説明

半導体装置製造用フィルム

【課題】被着体上にフリップチップ接続された半導体素子の裏面に形成するためのフリップチップ型半導体裏面用フィルムの一方の面のみに、セパレータが積層された半導体装置製造用フィルムにおいて、半導体素子に貼り着けられた後、セパレータが剥離されたか否かを識別できる半導体装置製造用フィルムを提供すること。
【解決手段】 被着体上にフリップチップ接続された半導体素子の裏面に形成するためのフリップチップ型半導体裏面用フィルムの一方の面のみに、セパレータが積層された半導体装置製造用フィルムであって、セパレータの波長400nm〜700nmにおける反射率が30%以上100%以下である半導体装置製造用フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置製造用フィルムに関する。半導体装置製造用フィルムが備えるフリップチップ型半導体裏面用フィルムは、半導体チップ等の半導体素子の裏面の保護と、強度向上等のために用いられる。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置及びそのパッケージの薄型化、小型化がより一層求められている。そのため、半導体装置及びそのパッケージとして、半導体チップ等の半導体素子が基板上にフリップチップボンディングにより実装された(フリップチップ接続された)フリップチップ型の半導体装置が広く利用されている。当該フリップチップ接続は半導体チップの回路面が基板の電極形成面と対向する形態で固定されるものである。このような半導体装置等では、半導体チップの裏面を保護フィルムにより保護し、半導体チップの損傷等を防止している場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−166451号公報
【特許文献2】特開2008−006386号公報
【特許文献3】特開2007−261035号公報
【特許文献4】特開2007−250970号公報
【特許文献5】特開2007−158026号公報
【特許文献6】特開2004−221169号公報
【特許文献7】特開2004−214288号公報
【特許文献8】特開2004−142430号公報
【特許文献9】特開2004−072108号公報
【特許文献10】特開2004−063551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、半導体チップの裏面にフィルムを貼り着ける方法について検討した。その結果、フリップチップ型半導体裏面用フィルムの一方の面のみに、セパレータが積層された半導体装置製造用フィルムを用いて、半導体チップの裏面にフリップチップ型半導体裏面用フィルムを貼り着ける方法を発明するに至った。具体的に、上記方法は、(1)半導体素子(例えば、半導体チップ)の裏面の形状に合わせて半導体装置製造用フィルムを切断し、(2)半導体素子の裏面に、切断した半導体装置製造用フィルムを貼着し、(3)半導体素子の裏面に貼り着けられた半導体装置製造用フィルムから、セパレータを剥離する工程を具備する。しかしながら、上記(3)の工程においては、セパレータの剥離が適切に行われないことが起こり得る。そして、セパレータが剥離されないまま、半導体装置の製造に供されると、後に行うレーザーマークを良好に行うことができないといった問題が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、被着体上にフリップチップ接続された半導体素子の裏面に形成するためのフリップチップ型半導体裏面用フィルムの一方の面のみに、セパレータが積層された半導体装置製造用フィルムにおいて、半導体素子に貼り着けられた後、セパレータが剥離されたか否かを識別できる半導体装置製造用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく検討した結果、セパレータの波長400〜700nmにおける反射率を一定範囲内とすることにより、半導体素子に貼り着けられた後の半導体装置製造用フィルムから、セパレータが剥離されたか否かを識別できることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明に係る半導体装置製造用フィルムは、被着体上にフリップチップ接続された半導体素子の裏面に形成するためのフリップチップ型半導体裏面用フィルムの一方の面のみに、セパレータが積層された半導体装置製造用フィルムであって、前記セパレータの波長400〜700nmにおける反射率が30%以上100%以下であることを特徴とする。
【0008】
前記構成によれば、前記セパレータの波長400〜700nmにおける反射率が30%以上100%以下であるため、30%以上100%以下でなくなると、セパレータが剥離されたと判定することができる。従って、半導体素子に貼り着けられた後、セパレータが剥離されたか否かを識別することができる。
【0009】
前記構成において、前記セパレータの波長400〜700nmにおける反射率と、前記フリップチップ型半導体裏面用フィルムの波長400〜700nmにおける反射率との差が5%以上であることが好ましい。前記反射率の差を5%以上とすることにより、反射率が変化したことや、セパレータの反射率が30%以上100%以下ではなくなったことをより確実に認識することができる。
【0010】
前記構成において、前記セパレータは、着色されていることが好ましい。前記セパレータが着色されていると、前記セパレータの前記反射率を30%以上100%以下とし易い。
【0011】
前記構成において、前記セパレータは、着色剤が添加されていることが好ましい。セパレータが着色剤の添加により着色されていると、セパレータと半導体裏面用フィルムとの界面から着色剤が半導体裏面用フィルムに移ることを抑制することができる。
【0012】
前記構成において、前記セパレータは、両面が剥離処理されていることが好ましい。前記セパレータの両面が剥離処理されていると半導体裏面用フィルムの一方の面のみに貼り付けた後巻きとり、さらにその後巻き戻す際にセパレータが貼りつけられた半導体裏面用フィルムのもう一方の面と接するセパレーターを確実に剥離することができる。
【0013】
前記構成において、前記セパレータは、シリコーン系剥離剤により剥離処理が施されていることが好ましい。前記セパレータが、シリコーン系剥離剤により剥離処理が施されていると、ロール保管後においても重剥離化することなく半導体裏面用フィルムから剥離することができる。
【0014】
前記構成において、前記セパレータの半導体裏面用フィルムが積層されている側の面における半導体裏面用フィルムとの剥離力をA、前記セパレータの半導体裏面用フィルムが積層されていない側の面における半導体裏面用フィルムとの剥離力をBとしたとき、
0.001≦A−B≦0.04[N/50mm]
を満たすことが好ましい。前記式を満たすと、半導体裏面用フィルムが積層されていない側の面とセパレータB面が固着することなく剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る半導体装置製造用フィルムの一例を示す断面模式図である。
【図2】図1に示した半導体装置製造用フィルムを用いた場合の半導体装置の製造方法を示す断面模式図である。
【図3】図1に示した半導体装置製造用フィルムを用いた場合の半導体装置の製造方法を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の一形態について、図1を参照しながら説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。図1は、本実施形態に係る半導体装置製造用フィルムの一例を示す断面模式図である。なお、本明細書において、図には、説明に不要な部分は省略し、また、説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。
【0017】
(半導体装置製造用フィルム)
図1で示されるように、半導体装置製造用フィルム40は、フリップチップ型半導体裏面用フィルム(以下、「半導体裏面用フィルム」という場合がある)2の一方の面(図1中、下側)のみにセパレータ42が積層された構成である。セパレータ42は、半導体裏面用フィルム2とともに半導体チップに貼着された後、半導体裏面用フィルム2から剥離されるものである。
【0018】
本実施の形態に係る半導体装置製造用フィルム40において、セパレータ42の波長 400〜700nmにおける反射率は、30%以上100%以下である。反射率が30%以上100%以下でなくなると、セパレータが剥離されたと判定することができる。従って、半導体チップに貼り着けられた後、セパレータが剥離されたか否かを識別することができる。
【0019】
半導体装置製造用フィルム40において、セパレータ42の波長400〜700nmにおける反射率と、半導体裏面用フィルム2の波長400〜700nmにおける反射率との差、すなわち、(セパレータ42の反射率)−(半導体裏面用フィルム2の反射率)は5%以上であることが好ましい。前記反射率の差は、5%以上75%以下であることがより好ましく、7%以上75%以下であることがさらに好ましい。前記反射率の差を5%以上とすることにより、反射率が変化したことや、セパレータの反射率が30%以上100%以下ではなくなったことをより確実に認識することができる。
【0020】
(フリップチップ型半導体裏面用フィルム)
半導体裏面用フィルム2はフィルム状の形態を有している。半導体裏面用フィルム2は、通常、未硬化状態(半硬化状態を含む)であり、半導体チップに貼着させた後に熱硬化される(詳細については後述する)。
【0021】
半導体裏面用フィルム2の波長400〜700nmにおける反射率は、1%以上25%以下であることが好ましく、1%以上23%以下であることがより好ましく、1%以上20%以下であることがさらに好ましい。前記反射率を、25%以下とすることにより、セパレータ42との反射率の差を大きくすることができる。
【0022】
ここで、半導体裏面用フィルムは単層でもよく複数の層が積層された積層フィルムであってもよいが、半導体裏面用フィルムが積層フィルムである場合、前記反射率は積層フィルム全体として1%以上25%以下の範囲であればよい。半導体裏面用フィルムの前記反射率は、後述する色材(着色剤)を用いて着色すること等によりコントロールすることができる。なお、半導体裏面用フィルムの波長400〜700における反射率は、実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0023】
前記半導体裏面用フィルムは、少なくとも熱硬化性樹脂により形成されていることが好ましく、更に少なくとも熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とにより形成されていることがより好ましい。少なくとも熱硬化性樹脂により形成することで、半導体裏面用フィルムは接着剤層としての機能を有効に発揮させることができる。
【0024】
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6−ナイロンや6,6−ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はフッ素樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらの熱可塑性樹脂のうち、イオン性不純物が少なく耐熱性が高く、半導体素子の信頼性を確保できるアクリル樹脂が特に好ましい。
【0025】
前記アクリル樹脂としては、特に限定されるものではなく、炭素数30以下(好ましくは炭素数4〜18、更に好ましくは炭素数6〜10、特に好ましくは炭素数8又は9)の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体等が挙げられる。すなわち、本発明では、アクリル樹脂とは、メタクリル樹脂も含む広義の意味である。前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0026】
また、前記アクリル樹脂を形成するための他のモノマー(アルキル基の炭素数が30以下のアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル以外のモノマー)としては、特に限定されるものではなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸をいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0027】
また、前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂の他、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。熱硬化性樹脂としては、特に、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等含有が少ないエポキシ樹脂が好適である。また、エポキシ樹脂の硬化剤としてはフェノール樹脂を好適に用いることができる。
【0028】
エポキシ樹脂としては、特に限定は無く、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオンレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型エポキシ樹脂、トリスグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂若しくはグリシジルアミン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を用いることができる。
【0029】
エポキシ樹脂としては、前記例示のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。
【0030】
更に、前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。フェノール樹脂は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうちフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂が特に好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
【0031】
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5当量〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8当量〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
【0032】
前記熱硬化性樹脂の含有量としては、半導体裏面用フィルムにおける全樹脂成分に対して5重量%以上90重量%以下であることが好ましく、10重量%以上85重量%以下であることがより好ましく、15重量%以上80重量%以下であることがさらに好ましい。前記含有量を、5重量%以上にすることにより、耐熱性を保持することができる。また、樹脂封止工程よりも前に半導体裏面用フィルムを半導体チップに貼着する場合には、封止樹脂を熱硬化させる際に、半導体裏面用フィルムを十分に熱硬化させることができ、半導体素子の裏面に確実に接着固定させて、剥離のないフリップチップ型の半導体装置の製造が可能になる。一方、前記含有量を90重量%以下にすることにより、パッケージ(PKG:フリップチップ型の半導体装置)の反りを抑制することができる。
【0033】
エポキシ樹脂とフェノール樹脂の熱硬化促進触媒としては、特に制限されず、公知の熱硬化促進触媒の中から適宜選択して用いることができる。熱硬化促進触媒は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱硬化促進触媒としては、例えば、アミン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、ホウ素系硬化促進剤、リン−ホウ素系硬化促進剤などを用いることができる。
【0034】
前記半導体裏面用フィルムとしては、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂を含む樹脂組成物や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を含む樹脂組成物により形成されていることが好適である。これらの樹脂は、イオン性不純物が少なく耐熱性が高いので、半導体素子の信頼性を確保できる。
【0035】
半導体裏面用フィルム2は、半導体ウエハの裏面(回路非形成面)に対して接着性(密着性)を有していることが重要である。半導体裏面用フィルム2は、例えば、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂を含む樹脂組成物により形成することができる。半導体裏面用フィルム2を予めある程度架橋させておく為、作製に際し、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくことが好ましい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
【0036】
半導体裏面用フィルムの半導体素子に対する接着力(23℃、剥離角度180度、剥離速度300mm/分)は、0.5N/20mm〜15N/20mmの範囲が好ましく、0.7N/20mm〜10N/20mmの範囲がより好ましい。0.5N/20mm以上にすることにより、優れた密着性で半導体素子に貼着されており、浮き等の発生を防止することができる。一方、15N/20mm以下にすることにより、セパレータ42から容易に剥離することができる。
【0037】
前記架橋剤としては、特に制限されず、公知の架橋剤を用いることができる。具体的には、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤の他、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤が好適である。また、前記架橋剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0038】
前記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−トなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。また、前記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0039】
なお、架橋剤の使用量は、特に制限されず、架橋させる程度に応じて適宜選択することができる。具体的には、架橋剤の使用量としては、例えば、ポリマー成分(特に、分子鎖末端の官能基を有する重合体)100重量部に対し、通常7重量部以下(例えば、0.05重量部〜7重量部)とするのが好ましい。架橋剤の使用量がポリマー成分100重量部に対して7重量部より多いと、接着力が低下するので好ましくない。なお、凝集力向上の観点からは、架橋剤の使用量はポリマー成分100重量部に対して0.05重量部以上であることが好ましい。
【0040】
なお、本発明では、架橋剤を用いる代わりに、あるいは、架橋剤を用いるとともに、電子線や紫外線などの照射により架橋処理を施すことも可能である。
【0041】
前記半導体裏面用フィルムは着色されていることが好ましい。これにより、波長400〜700nmにおける反射率を低くすることができる。その結果、セパレータとの反射率の差を大きくすることができる。また、優れたマーキング性及び外観性を発揮させることができ、付加価値のある外観の半導体装置とすることが可能になる。このように、着色された半導体裏面用フィルムは、優れたマーキング性を有しているので、半導体素子又は該半導体素子が用いられた半導体装置の非回路面側の面に、半導体裏面用フィルムを介して、印刷方法やレーザーマーキング方法などの各種マーキング方法を利用することにより、マーキングを施し、文字情報や図形情報などの各種情報を付与させることができる。特に、着色の色をコントロールすることにより、マーキングにより付与された情報(文字情報、図形情報など)を、優れた視認性で視認することが可能になる。また、半導体裏面用フィルムは着色されているので、ダイシングテープと、半導体裏面用フィルムとを、容易に区別することができ、作業性等を向上させることができる。更に、例えば半導体装置として、製品別に色分けすることも可能である。着色により呈している色としては特に制限されないが、例えば、黒色、青色、赤色などの濃色であることが好ましく、特に黒色であることが好適である。
【0042】
本実施の形態において、濃色とは、基本的には、L表色系で規定されるLが、60以下(0〜60)[好ましくは50以下(0〜50)、さらに好ましくは40以下(0〜40)]となる濃い色のことを意味している。
【0043】
また、黒色とは、基本的には、L表色系で規定されるLが、35以下(0〜35)[好ましくは30以下(0〜30)、さらに好ましくは25以下(0〜25)]となる黒色系色のことを意味している。なお、黒色において、L表色系で規定されるaやbは、それぞれ、Lの値に応じて適宜選択することができる。aやbとしては、例えば、両方とも、−10〜10であることが好ましく、より好ましくは−5〜5であり、特に−3〜3の範囲(中でも0又はほぼ0)であることが好適である。
【0044】
なお、本実施の形態において、L表色系で規定されるL、a、bは、色彩色差計(商品名「CR−200」ミノルタ社製;色彩色差計)を用いて測定することにより求められる。なお、L表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L)表色系と称される色空間のことを意味している。また、L表色系は、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。
【0045】
半導体裏面用フィルムを着色する際には、目的とする色に応じて、色材(着色剤)を用いることができる。このような色材としては、黒系色材、青系色材、赤系色材などの各種濃色系色材を好適に用いることができ、特に黒系色材が好適である。色材としては、顔料、染料などいずれであってもよい。色材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、染料としては、酸性染料、反応染料、直接染料、分散染料、カチオン染料等のいずれの形態の染料であっても用いることが可能である。また、顔料も、その形態は特に制限されず、公知の顔料から適宜選択して用いることができる。
【0046】
特に、色材として染料を用いると、半導体裏面用フィルム中には、染料が溶解により均一又はほぼ均一に分散した状態となるため、着色濃度が均一又はほぼ均一な半導体裏面用フィルムを容易に製造することができる。そのため、色材として染料を用いると、半導体裏面用フィルムは、着色濃度を均一又はほぼ均一とすることができ、マーキング性や外観性を向上させることができる。
【0047】
黒系色材としては、特に制限されないが、例えば、無機の黒系顔料、黒系染料から適宜選択することができる。また、黒系色材としては、シアン系色材(青緑系色材)、マゼンダ系色材(赤紫系色材)およびイエロー系色材(黄系色材)が混合された色材混合物であってもよい。黒系色材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。もちろん、黒系色材は、黒以外の色の色材と併用することもできる。
【0048】
具体的には、黒系色材としては、例えば、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなど)、グラファイト(黒鉛)、酸化銅、二酸化マンガン、アゾ系顔料(アゾメチンアゾブラックなど)、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライトなど)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素などが挙げられる。
【0049】
本発明では、黒系色材としては、C.I.ソルベントブラック3、同7、同22、同27、同29、同34、同43、同70、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同48、同52、同107、同109、同110、同119、同154C.I.ディスパーズブラック1、同3、同10、同24等のブラック系染料;C.I.ピグメントブラック1、同7等のブラック系顔料なども利用することができる。
【0050】
このような黒系色材としては、例えば、商品名「Oil Black BY」、商品名「OilBlack BS」、商品名「OilBlack HBB」、商品名「Oil Black 803」、商品名「Oil Black 860」、商品名「Oil Black 5970」、商品名「Oil Black 5906」、商品名「Oil Black 5905」(オリエント化学工業株式会社製)などが市販されている。
【0051】
黒系色材以外の色材としては、例えば、シアン系色材、マゼンダ系色材、イエロー系色材などが挙げられる。シアン系色材としては、例えば、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95;C.I.アシッドブルー6、同45等のシアン系染料;C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同15:6、同16、同17、同17:1、同18、同22、同25、同56、同60、同63、同65、同66;C.I.バットブルー4;同60、C.I.ピグメントグリーン7等のシアン系顔料などが挙げられる。
【0052】
また、マゼンダ系色材において、マゼンダ系染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同52、同58、同63、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同111、同121、同122;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、同13、同14、同21、同27;C.I.ディスパースバイオレット1;C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40;C.I.ベーシックバイオレット1、同3、同7、同10、同14、同15、同21、同25、同26、同27、28などが挙げられる。
【0053】
マゼンダ系色材において、マゼンダ系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同42、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49、同49:1、同50、同51、同52、同52:2、同53:1、同54、同55、同56、同57:1、同58、同60、同60:1、同63、同63:1、同63:2、同64、同64:1、同67、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同92、同101、同104、同105、同106、同108、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同146、同147、同149、同150、同151、同163、同166、同168、同170、同171、同172、同175、同176、同177、同178、同179、同184、同185、同187、同190、同193、同202、同206、同207、同209、同219、同222、同224、同238、同245;C.I.ピグメントバイオレット3、同9、同19、同23、同31、同32、同33、同36、同38、同43、同50;C.I.バットレッド1、同2、同10、同13、同15、同23、同29、同35などが挙げられる。
【0054】
また、イエロー系色材としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等のイエロー系染料;C.I.ピグメントオレンジ31、同43;C.I.ピグメントイエロー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同23、同24、同34、同35、同37、同42、同53、同55、同65、同73、同74、同75、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同98、同100、同101、同104、同108、同109、同110、同113、同114、同116、同117、同120、同128、同129、同133、同138、同139、同147、同150、同151、同153、同154、同155、同156、同167、同172、同173、同180、同185、同195;C.I.バットイエロー1、同3、同20等のイエロー系顔料などが挙げられる。
【0055】
シアン系色材、マゼンダ系色材、イエロー系色材などの各種色材は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、シアン系色材、マゼンダ系色材、イエロー系色材などの各種色材を2種以上用いる場合、これらの色材の混合割合(または配合割合)としては、特に制限されず、各色材の種類や目的とする色などに応じて適宜選択することができる。
【0056】
半導体裏面用フィルム2を着色させる場合、その着色形態は特に制限されない。例えば、半導体裏面用フィルムは、着色剤が添加された単層のフィルム状物であってもよい。また、少なくとも熱硬化性樹脂により形成された樹脂層と、着色剤層とが少なくとも積層された積層フィルムであってもよい。なお、半導体裏面用フィルム2が樹脂層と着色剤層との積層フィルムである場合、積層形態の半導体裏面用フィルム2としては、樹脂層/着色剤層/樹脂層の積層形態を有していることが好ましい。この場合、着色剤層の両側の2つの樹脂層は、同一の組成の樹脂層であってもよく、異なる組成の樹脂層であってもよい。
【0057】
半導体裏面用フィルム2には、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば、充填剤(フィラー)、難燃剤、シランカップリング剤、イオントラップ剤の他、増量剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤などが挙げられる。
【0058】
前記充填剤としては、無機充填剤、有機充填剤のいずれであってもよいが、無機充填剤が好適である。無機充填剤等の充填剤の配合により、半導体裏面用フィルムに導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を図ることができる。なお、半導体裏面用フィルム2としては導電性であっても、非導電性であってもよい。前記無機充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田などの金属、又は合金類、その他カーボンなどからなる種々の無機粉末などが挙げられる。充填剤は単独で又は2種以上を併用して用いることができる。充填剤としては、なかでも、シリカ、特に溶融シリカが好適である。なお、無機充填剤の平均粒径は0.1μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。無機充填剤の平均粒径は、例えば、レーザー回折型粒度分布測定装置によって測定することができる。
【0059】
前記充填剤(特に無機充填剤)の配合量は、有機樹脂成分100重量部に対して80重量部以下(0重量部〜80重量部)であることが好ましく、特に0重量部〜70重量部であることが好適である。
【0060】
また、前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。難燃剤は、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。イオントラップ剤は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0061】
半導体裏面用フィルム2は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と、必要に応じてアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂と、必要に応じて溶媒やその他の添加剤などとを混合して樹脂組成物を調製し、フィルム状の層に形成する慣用の方法を利用し形成することができる。具体的には、例えば、セパレータ42上に前記樹脂組成物を塗布して樹脂層(又は接着剤層)を形成する方法や、樹脂層形成用シート(剥離紙など)上に前記樹脂組成物を塗布して樹脂層(又は接着剤層)を形成し、これをセパレータ42上に転写(移着)する方法などにより、半導体裏面用フィルムとしてのフィルム状の層(接着剤層)を形成することができる。なお、前記樹脂組成物は、溶液であっても分散液であってもよい。
【0062】
なお、半導体裏面用フィルム2が、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成されている場合、半導体裏面用フィルムは、半導体素子に適用する前の段階では、熱硬化性樹脂が未硬化又は部分硬化の状態である。この場合、半導体素子に適用後に、半導体裏面用フィルム中の熱硬化性樹脂を完全に又はほぼ完全に硬化させる。具体的には、フリップチップボンディング工程よりも前に半導体裏面用フィルム2を半導体素子に貼着する場合には、フリップチップボンディング工程で封止材をキュアする際に半導体裏面用フィルム中の熱硬化性樹脂を完全に又はほぼ完全に硬化させる。また、フリップチップボンディング工程よりも後に半導体裏面用フィルム2を半導体素子に貼着する場合には、例えば、レーザーマーキングした後等に行われる熱処理(レーザーマーキングした後に行われるリフロー工程)により、半導体裏面用フィルム中の熱硬化性樹脂を完全に又はほぼ完全に硬化させる。
【0063】
このように、半導体裏面用フィルムは、熱硬化性樹脂を含んでいても、該熱硬化性樹脂は未硬化又は部分硬化の状態であるため、半導体裏面用フィルムのゲル分率としては、特に制限されないが、例えば、50重量%以下(0重量%〜50重量%)の範囲より適宜選択することができ、好ましくは30重量%以下(0重量%〜30重量%)であり、特に10重量%以下(0重量%〜10重量%)であることが好適である。半導体裏面用フィルムのゲル分率の測定方法は、以下の測定方法により測定することができる。
<ゲル分率の測定方法>
半導体裏面用フィルムから約0.1gをサンプリングして精秤し(試料の重量)、該サンプルをメッシュ状シートで包んだ後、約50mlのトルエン中に室温で1週間浸漬させる。その後、溶剤不溶分(メッシュ状シートの内容物)をトルエンから取り出し、130℃で約2時間乾燥させ、乾燥後の溶剤不溶分を秤量し(浸漬・乾燥後の重量)、下記式(a)よりゲル分率(重量%)を算出する。
ゲル分率(重量%)=[(浸漬・乾燥後の重量)/(試料の重量)]×100 (a)
【0064】
なお、半導体裏面用フィルムのゲル分率は、樹脂成分の種類やその含有量、架橋剤の種類やその含有量の他、加熱温度や加熱時間などによりコントロールすることができる。
【0065】
本発明において、半導体裏面用フィルムは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成されたフィルム状物である場合、半導体素子に対する密着性を有効に発揮することができる。
【0066】
尚、半導体装置製造のプロセスにおいては、水を使用することから、半導体裏面用フィルムが吸湿して、常態以上の含水率になる場合がある。この様な高含水率の状態で加熱されると、半導体裏面用フィルム2と半導体素子との接着界面に水蒸気が溜まり、浮きが発生する場合がある。従って、半導体裏面用フィルムとしては、透湿性の高いコア材料を両面に設けた構成とすることにより、水蒸気が拡散して、かかる問題を回避することが可能となる。かかる観点から、コア材料の片面又は両面に半導体裏面用フィルムを形成した多層構造を半導体裏面用フィルムとして用いてもよい。前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。
【0067】
半導体裏面用フィルム2の厚さ(積層フィルムの場合は総厚)は特に限定されないが、例えば、2μm〜200μm程度の範囲から適宜選択することができる。更に、前記厚さは4μm〜160μm程度が好ましく、6μm〜100μm程度がより好ましく、10μm〜80μm程度が特に好ましい。
【0068】
前記半導体裏面用フィルム2の未硬化状態における23℃での引張貯蔵弾性率は1GPa以上(例えば、1GPa〜50GPa)であることが好ましく、より好ましくは2GPa以上であり、特に3GPa以上であることが好適である。前記引張貯蔵弾性率が1GPa以上であると、半導体チップを半導体裏面用フィルムと共に、半導体裏面用フィルムを支持体上に載置して、輸送等を行った際に、半導体裏面用フィルムが支持体に貼着するのを有効に抑制または防止することができる。なお、半導体裏面用フィルム2が熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成されている場合、前述のように、熱硬化性樹脂は、通常、未硬化又は部分硬化の状態であるので、半導体裏面用フィルムの23℃における弾性率は、通常、熱硬化性樹脂が未硬化状態又は部分硬化状態での23℃における弾性率となる。
【0069】
ここで、半導体裏面用フィルム2は単層でもよく複数の層が積層された積層フィルムであってもよいが、積層フィルムの場合、前記未硬化状態における23℃での引張貯蔵弾性率は積層フィルム全体として1GPa以上(例えば、1GPa〜50GPa)の範囲であればよい。また、半導体裏面用フィルムの未硬化状態における前記引張貯蔵弾性率(23℃)は、樹脂成分(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂)の種類やその含有量、シリカフィラー等の充填材の種類やその含有量などによりコントロールすることができる。なお、半導体裏面用フィルム2が複数の層が積層された積層フィルムである場合(半導体裏面用フィルムが積層の形態を有している場合)、その積層形態としては、例えば、ウエハ接着層とレーザーマーク層とからなる積層形態などを例示することができる。また、このようなウエハ接着層とレーザーマーク層との間には、他の層(中間層、光線遮断層、補強層、着色層、基材層、電磁波遮断層、熱伝導層、粘着層など)が設けられていてもよい。なお、ウエハ接着層はウエハに対して優れた密着性(接着性)を発揮する層であり、ウエハの裏面と接触する層である。一方、レーザーマーク層は優れたレーザーマーキング性を発揮する層であり、半導体チップの裏面にレーザーマーキングを行う際に利用される層である。
【0070】
尚、前記引張貯蔵弾性率は、未硬化状態の半導体裏面用フィルム2を作製し、レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置「Solid Analyzer RS A2」を用いて、引張モードにて、サンプル幅:10mm、サンプル長さ:22.5mm、サンプル厚さ:0.2mmで、周波数:1Hz、昇温速度:10℃/分、窒素雰囲気下、所定の温度(23℃)にて測定して、得られた引張貯蔵弾性率の値とした。
【0071】
また、半導体裏面用フィルム2における可視光(波長:400nm〜800nm)の光線透過率(可視光透過率)は、特に制限されないが、例えば、20%以下(0%〜20%)の範囲であることが好ましく、より好ましくは10%以下(0%〜10%)、特に好ましくは5%以下(0%〜5%)である。半導体裏面用フィルム2は、可視光透過率が20%より大きいと、光線通過により、半導体素子に悪影響を及ぼす恐れがある。また、前記可視光透過率(%)は、半導体裏面用フィルム2の樹脂成分の種類やその含有量、着色剤(顔料や染料など)の種類やその含有量、無機充填材の含有量などによりコントロールすることができる。
【0072】
半導体裏面用フィルム2の可視光透過率(%)は、次の通りにして測定することができる。即ち、厚さ(平均厚さ)20μmの半導体裏面用フィルム2単体を作製する。次に、半導体裏面用フィルム2に対し、波長:400nm〜800nmの可視光線[装置:島津製作所製の可視光発生装置(商品名「ABSORPTION SPECTRO PHOTOMETR」)]を所定の強度で照射し、透過した可視光線の強度を測定する。更に、可視光線が半導体裏面用フィルム2を透過する前後の強度変化より、可視光透過率の値を求めることができる。尚、20μmの厚さでない半導体裏面用フィルム2の可視光透過率(%;波長:400nm〜800nm)の値により、厚さ:20μmの半導体裏面用フィルム2の可視光透過率(%;波長:400nm〜800nm)を導き出すことも可能である。また、本発明では、厚さ20μmの半導体裏面用フィルム2の場合における可視光透過率(%)を求めているが、本発明に係る半導体裏面用フィルムは厚さ20μmのものに限定される趣旨ではない。
【0073】
また、半導体裏面用フィルム2としては、その吸湿率が低い方が好ましい。具体的には、前記吸湿率は1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.8重量%以下である。前記吸湿率を1重量%以下にすることにより、レーザーマーキング性を向上させることができる。また、例えば、リフロー工程に於いて、半導体裏面用フィルム2と半導体素子との間でボイドの発生などを抑制又は防止することもできる。尚、前記吸湿率は、半導体裏面用フィルム2を、温度85℃、相対湿度85%RHの雰囲気下で168時間放置する前後の重量変化により算出した値である。半導体裏面用フィルム2が熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成されている場合、前記吸湿率は、熱硬化後の半導体裏面用フィルムに対し、温度85℃、相対湿度85%RHの雰囲気下で168時間放置したときの値を意味する。また、前記吸湿率は、例えば、無機フィラーの添加量を変化させることにより調整することができる。
【0074】
また、半導体裏面用フィルム2としては、揮発分の割合が少ない方が好ましい。具体的には、加熱処理後の半導体裏面用フィルム2の重量減少率(重量減少量の割合)が1重量%以下が好ましく、0.8重量%以下がより好ましい。加熱処理の条件は、例えば、加熱温度250℃、加熱時間1時間である。前記重量減少率を1重量%以下にすることにより、レーザーマーキング性を向上させることができる。また、例えば、リフロー工程に於いて、フリップチップ型の半導体装置にクラックが発生するのを抑制又は防止することができる。前記重量減少率は、例えば、鉛フリーハンダリフロー時のクラック発生を減少させ得る無機物を添加することにより、調整することができる。なお、半導体裏面用フィルム2が熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物により形成されている場合、前記重量減少率は、熱硬化後の半導体裏面用フィルムに対し、加熱温度250℃、加熱時間1時間の条件下で加熱したときの値を意味する。
【0075】
前記半導体裏面用フィルム2は、一方の面のみにセパレータ42が積層されている。半導体裏面用フィルム2は、セパレータ42に積層された状態、すなわち、半導体装置製造用フィルム40の形態でロール状に巻回されていることが好ましい。これにより、半導体裏面用フィルム2のセパレータ42が積層されていない側の面を、当該表面側に位置するセパレータ42(セパレータ42の裏面)に当接させ、実用に供するまで半導体裏面用フィルムを保護することができる。特に、半導体裏面用フィルム2は、貼着される半導体素子の裏面の形状に合わせて切断された後、当該半導体素子に貼着される。そのため、半導体装置製造用フィルム40は、半導体素子の幅(縦幅又は横幅)に合わせて所定幅に切断し、短冊状半導体裏面用フィルムの状態でロール状に巻回されていることがより好ましい。
【0076】
(セパレータ)
セパレータ42としては、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、フェルト、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体や、これらの積層体[特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など]等の適宜な薄葉体を用いることができる。本発明では、基材としては、プラスチックのフィルムやシートなどのプラスチック系基材を好適に用いることができる。このようなプラスチック材における素材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体等のエチレンをモノマー成分とする共重合体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;アクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリ塩化ビニリデン;ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体);セルロース系樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂などが挙げられる。セパレータ42は単層であってもよく2種以上の複層でもよい。セパレータ42は、半導体装置製造用フィルム40の状態で半導体裏面用フィルム2とともに半導体素子の表面の形状に合わせて切断された後、半導体裏面用フィルム2とともに半導体素子に貼り着けられる。その後、リフロー工程の前、又は、後に、半導体裏面用フィルム2から剥離される。なお、セパレータ42の製造方法としては、従来公知の方法により形成することができる。
【0077】
セパレータ42は、両面が剥離処理されていることが好ましい。セパレータ42の両面が剥離処理されていると半導体裏面用フィルムの一方の面のみにセパレータ42が積層された状態でロール状に巻回することができる。
【0078】
前記剥離処理に用いられる離型剤としては、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤、シリコーン系離型剤等を挙げることができる。なかでも、シリコーン系剥離剤が好ましい。セパレータ42が、シリコーン系剥離剤により剥離処理が施されていると、半導体裏面用フィルムからセパレータを容易に剥離することができる。
【0079】
また、セパレータ42は、セパレータ42の半導体裏面用フィルム2が積層されている側の面における半導体裏面用フィルム2との剥離力をA、セパレータ42の半導体裏面用フィルム2が積層されていない側の面における半導体裏面用フィルム2との剥離力をBとしたとき、
0.001≦A−B≦0.04[N/50mm]
を満たすことが好ましい。前記式を満たすと、半導体裏面用フィルムが積層されていない側の面とセパレータB面が固着することなく剥離することができる。
【0080】
前記剥離力A及び前記剥離力Bは、セパレータと半導体裏面用フィルムとラミネータを用い、温度60度で貼り合わせた後、引っ張り試験機により速度300mm/minで剥離することで得ることができる。
【0081】
セパレータ42の厚さは、特に制限されないが、25〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましく、35〜100μmがさらに好ましい。
【0082】
上述したように、セパレータ42の波長400〜700nmにおける反射率は、30%以上100%以下である。前記反射率を30%以上100%以下とする方法としては、特に制限されないが、セパレータ42を着色することが好ましい。セパレータ42を着色させる場合、その着色形態は特に制限されず、例えば、セパレータ42は、着色剤が添加されたフィルム状物であってもよく、プラスチック系のシートと着色剤層(例えば、印刷層)とが少なくとも積層された積層フィルムであってもよい。なかでも、セパレータ42は、着色剤が添加された単層のフィルム状物であることが好ましい。セパレータ42と半導体裏面用フィルム2との界面から着色剤が半導体裏面用フィルム2に移ることを抑制することができるからである。着色により呈している色としては特に制限されないが、波長400〜700nmにおける反射率を高くできる色が好ましい。このような色としては、例えば、白色、黄色、赤色、青色、緑色等が好ましく、特に、白色であることが好ましい。なお、セパレータ42は、本発明の効果等を損なわない範囲で、その他の添加剤(充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤など)が含まれていてもよい。
【0083】
セパレータ42を着色する際には、目的とする色に応じて、色材(着色剤)を用いることができる。色材としては、顔料、染料などいずれであってもよい。色材は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、染料としては、酸性染料、反応染料、直接染料、分散染料、カチオン染料等のいずれの形態の染料であっても用いることが可能である。また、顔料も、その形態は特に制限されず、公知の顔料から適宜選択して用いることができる。
【0084】
なお、半導体装置製造用フィルム40の厚さ(半導体裏面用フィルム2の厚さと、セパレータ42との厚さの総厚)としては、例えば、30μm〜400μmとすることができ、48μm〜168μmとすることが好ましい。
【0085】
(半導体装置製造用フィルムの製造方法)
本実施の形態に係る半導体装置製造用フィルムの製造方法について、図1に示す半導体装置製造用フィルム40を例にして説明する。先ず、セパレータ42は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。このとき、必要に応じて着色剤を添加する。次に、必要に応じてセパレータ42の片面又は両面に離型剤を塗布する剥離処理を行う。
【0086】
次に、半導体裏面用フィルム2を形成する為の形成材料を剥離紙上に乾燥後の厚みが所定厚みとなる様に塗布し、更に所定条件下で乾燥して(熱硬化が必要な場合などでは、必要に応じて加熱処理を施し乾燥して)、塗布層を形成する。この塗布層をセパレータ42上に転写することにより、半導体裏面用フィルム2の一方の面のみに、セパレータ42が積層された半導体装置製造用フィルム40が得られる。なお、セパレータ42上に、半導体裏面用フィルム2を形成する為の形成材料を直接塗布した後、所定条件下で乾燥する(熱硬化が必要な場合などでは、必要に応じて加熱処理を施して乾燥する)ことによっても、半導体装置製造用フィルム40を得ることができる。なお、半導体裏面用フィルム2を形成する際に熱硬化を行う場合、部分硬化の状態となる程度で熱硬化を行うことが重要であるが、好ましくは熱硬化を行わない。
【0087】
半導体装置製造用フィルム40は、フリップチップボンディング工程を具備する半導体装置の製造の際に好適に用いることができる。すなわち、半導体装置製造用フィルム40が備える半導体裏面用フィルム2は、半導体チップの裏面に貼着された状態又は形態で、フリップチップ実装の半導体装置の製造に用いられる。
【0088】
(半導体ウエハ)
半導体ウエハとしては、公知乃至慣用の半導体ウエハであれば特に制限されず、各種素材の半導体ウエハから適宜選択して用いることができる。本発明では、半導体ウエハとしては、シリコンウエハを好適に用いることができる。
【0089】
(半導体装置の製造方法)
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法について、図2及び図3を参照しながら以下に説明する。図2及び図3は、図1に示した半導体装置製造用フィルムを用いた場合の半導体装置の製造方法を示す断面模式図である。
【0090】
前記半導体装置の製造方法は、半導体装置製造用フィルム40を用いて半導体装置を製造することができる。具体的には、ダイシングテープ上に半導体ウエハを貼着する工程と、前記半導体ウエハをダイシングする工程と、ダイシングにより得られた半導体素子をピックアップする工程と、前記半導体素子を被着体上にフリップチップ接続する工程と、前記半導体素子の裏面の形状に合わせて切断された半導体装置製造用フィルム40を、前記半導体素子の裏面に貼着する工程と、前記半導体素子の裏面に貼り着けられた半導体装置製造用フィルム40から、セパレータ42を剥離する工程とを少なくとも具備する。
【0091】
[マウント工程]
先ず、図2(a)で示されるように、基材31上に粘着剤層32が設けられた従来公知のダイシングテープ3に半導体ウエハ4を貼着して、これを固定する(マウント工程)。なお、ダイシングテープ3は、半導体ウエハ4の裏面に貼着される。半導体ウエハ4の裏面とは、回路面とは反対側の面(非回路面、非電極形成面などとも称される)を意味する。貼着方法は特に限定されないが、圧着による方法が好ましい。圧着は、通常、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行われる。
【0092】
[ダイシング工程」
次に、図2(b)で示されるように、半導体ウエハ4のダイシングを行う。これにより、半導体ウエハ4を所定のサイズに切断して個片化(小片化)し、半導体チップ5を製造する。ダイシングは、例えば、半導体ウエハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えば、ダイシングテープ3まで切込みを行うフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。
【0093】
なお、ダイシングテープ3のエキスパンドを行う場合、該エキスパンドは従来公知のエキスパンド装置を用いて行うことができる。エキスパンド装置は、ダイシングリングを介してダイシングテープ3を下方へ押し下げることが可能なドーナッツ状の外リングと、外リングよりも径が小さくダイシングテープ3を支持する内リングとを有している。このエキスパンド工程により、後述のピックアップ工程において、隣り合う半導体チップ同士が接触して破損するのを防ぐことが出来る。
【0094】
[ピックアップ工程]
ダイシングテープ3に接着固定された半導体チップ5を回収する為に、図2(c)で示されるように、半導体チップ5のピックアップを行って、半導体チップ5をダイシングテープ3より剥離させる。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシングテープ3の基材31側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。
【0095】
[フリップチップ接続工程]
ピックアップした半導体チップ5は、図2(d)で示されるように、基板等の被着体に、フリップチップボンディング方式(フリップチップ実装方式)により固定させる。具体的には、半導体チップ5を、半導体チップ5の回路面(表面、回路パターン形成面、電極形成面などとも称される)が被着体6と対向する形態で、被着体6に常法に従い固定させる。例えば、半導体チップ5の回路面側に形成されているバンプ51を、被着体6の接続パッドに被着された接合用の導電材(半田など)61に接触させて押圧しながら導電材を溶融させることにより、半導体チップ5と被着体6との電気的導通を確保し、半導体チップ5を被着体6に固定させることができる(フリップチップボンディング工程)。このとき、半導体チップ5と被着体6との間には空隙が形成されており、その空隙間距離は、一般的に30μm〜300μm程度である。尚、半導体チップ5を被着体6上にフリップチップボンディング(フリップチップ接続)した後は、半導体チップ5と被着体6との対向面や間隙を洗浄し、該間隙に封止材(封止樹脂など)を充填させて封止することが重要である。
【0096】
被着体6としては、リードフレームや回路基板(配線回路基板など)等の各種基板を用いることができる。このような基板の材質としては、特に限定されるものではないが、セラミック基板や、プラスチック基板が挙げられる。プラスチック基板としては、例えば、エポキシ基板、ビスマレイミドトリアジン基板、ポリイミド基板等が挙げられる。
【0097】
フリップチップボンディング工程において、バンプや導電材の材質としては、特に限定されず、例えば、錫−鉛系金属材、錫−銀系金属材、錫−銀−銅系金属材、錫−亜鉛系金属材、錫−亜鉛−ビスマス系金属材等の半田類(合金)や、金系金属材、銅系金属材などが挙げられる。
【0098】
なお、フリップチップボンディング工程では、導電材を溶融させて、半導体チップ5の回路面側のバンプと、被着体6の表面の導電材とを接続させているが、この導電材の溶融時の温度としては、通常、260℃程度(例えば、250℃〜300℃)となっている。
【0099】
本工程では、半導体チップ5と被着体6との対向面(電極形成面)や間隙の洗浄を行うのが好ましい。当該洗浄に用いられる洗浄液としては、特に制限されず、例えば、有機系の洗浄液や、水系の洗浄液が挙げられる。
【0100】
次に、フリップチップボンディングされた半導体チップ5と被着体6との間の間隙を封止するための封止工程を行う。封止工程は、封止樹脂を用いて行われる。このときの封止条件としては特に限定されないが、通常、175℃で60秒間〜90秒間の加熱を行うことにより、封止樹脂の熱硬化が行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165℃〜185℃で、数分間キュアすることができる。
【0101】
前記封止樹脂としては、絶縁性を有する樹脂(絶縁樹脂)であれば特に制限されず、公知の封止樹脂等の封止材から適宜選択して用いることができるが、弾性を有する絶縁樹脂がより好ましい。封止樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、前記に例示のエポキシ樹脂等が挙げられる。また、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物による封止樹脂としては、樹脂成分として、エポキシ樹脂以外に、エポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂(フェノール樹脂など)や、熱可塑性樹脂などが含まれていてもよい。なお、フェノール樹脂としては、エポキシ樹脂の硬化剤としても利用することができ、このようなフェノール樹脂としては、前記に例示のフェノール樹脂などが挙げられる。
【0102】
ここで、半導体装置製造用フィルム40を、半導体チップ5の裏面の形状に合わせて切断しておく。この切断は、トムソン刃などの打抜き刃、レーザーを用いることにより行うことができる。
【0103】
次に、図3(a)で示されるように、フリップチップボンディングされた半導体チップ5の裏面に、半導体チップ5の裏面と半導体裏面用フィルム2とが貼り合わせ面となるように、切断した半導体装置製造用フィルム40を貼着する。この貼着は、吸着コレットを用いることにより行うことができる。
【0104】
次に、図3(b)で示されるように、半導体チップ5の裏面に貼り着けられた半導体装置製造用フィルム40から、セパレータ42を剥離する。
【0105】
次に、半導体装置製造用フィルム40から、セパレータ42が剥離されたか否かを検査する。本検査工程では、セパレータ42が剥離されているはずの半導体チップ5に、半導体チップ5の裏面側から波長400〜700nmの光線を照射する。そしてその反射光が30%以上100%以下であれば、セパレータ42は剥離されていないと判断する。上述したように、セパレータ42の波長400〜700nmにおける反射率は30%以上100%以下であるため、前記反射光が30%以上100%以下であれば、セパレータ42が剥離されていないと判断することができるからである。一方、前記反射光が30%以上100%以下ではないのであれば、セパレータ42は剥離されていると判断する。セパレータ42が剥離されている場合、前記光線は、半導体チップ5の裏面に貼り着けられた半導体裏面用フィルム2により反射されることとなる。従って、前記反射光が30%以上100%以下ではないのであれば、セパレータ42は剥離されていると判断することができる。ここで、セパレータ42の波長400〜700nmにおける反射率と、半導体裏面用フィルムの2波長400〜700nmにおける反射率との差が5%以上であることが好ましい。前記反射率の差が5%以上であると、セパレータ42が剥離されている場合に検出される反射率と、剥離されていない場合に検出される反射率とは大きく異なるため、より確実にセパレータ42が剥離されているか否かを判断することができるからである。
【0106】
前記半導体装置製造用フィルム40を用いて製造された半導体装置(フリップチップ実装の半導体装置)は、半導体チップの裏面に半導体裏面用フィルムが貼着されているため、各種マーキングを優れた視認性で施すことができる。特に、マーキング方法がレーザーマーキング方法であっても、優れたコントラスト比でマーキングを施すことができ、レーザーマーキングにより施された各種情報(文字情報、図研情報など)を良好に視認することが可能である。なお、レーザーマーキングを行う際には、公知のレーザーマーキング装置を利用することができる。また、レーザーとしては、気体レーザー、個体レーザー、液体レーザーなどの各種レーザーを利用することができる。具体的には、気体レーザーとしては、特に制限されず、公知の気体レーザーを利用することができるが、炭酸ガスレーザー(COレーザー)、エキシマレーザー(ArFレーザー、KrFレーザー、XeClレーザー、XeFレーザーなど)が好適である。また、固体レーザーとしては、特に制限されず、公知の固体レーザーを利用することができるが、YAGレーザー(Nd:YAGレーザーなど)、YVOレーザーが好適である。
【0107】
なお、半導体裏面用フィルム2にレーザーマーキングした後、必要に応じて、熱処理(レーザーマーキングした後に行われるリフロー工程)を行ってもよい。この熱処理条件としては特に限定されないが、通常、210〜270℃で5秒間〜50秒間の加熱とすることができる。
【0108】
上述した半導体装置の製造方法では、フリップチップボンディングされた半導体チップ5と被着体6との間の間隙を封止するための封止工程を行った後に、半導体チップ5の裏面に、半導体装置製造用フィルム40を貼着する場合について説明した。しかしながら、本発明において、半導体チップの裏面に、半導体装置製造用フィルムを貼着するタイミングは、この例に限定されず、例えば、前記封止工程よりも前(例えば、フリップチップボンディングの後)に貼着することとしてもよい。なお、前記封止工程よりも前に、半導体チップの裏面に、半導体装置製造用フィルムを貼着する場合、セパレータを剥離するタイミングは、特に制限されず、前記封止工程よりも前であってもよく、前記封止工程の後であってもよい。また、前記封止工程よりも前に、半導体チップの裏面に、半導体装置製造用フィルムを貼着し、前記封止工程よりも前に、セパレータを剥離する場合、セパレータが剥離されたか否かを検査するタイミングは、特に限定されず、前記封止工程よりも前であってもよく、前記封止工程の後であってもよい。
【0109】
本発明の半導体装置製造用フィルムを用いて製造された半導体装置は、フリップチップ実装方式で実装された半導体装置であるので、ダイボンディング実装方式で実装された半導体装置よりも、薄型化、小型化された形状となっている。このため、各種の電子機器・電子部品又はそれらの材料・部材として好適に用いることができる。具体的には、本発明のフリップチップ実装の半導体装置が利用される電子機器としては、いわゆる「携帯電話」や「PHS」、小型のコンピュータ(例えば、いわゆる「PDA」(携帯情報端末)、いわゆる「ノートパソコン」、いわゆる「ネットブック(商標)」、いわゆる「ウェアラブルコンピュータ」など)、「携帯電話」及びコンピュータが一体化された小型の電子機器、いわゆる「デジタルカメラ(商標)」、いわゆる「デジタルビデオカメラ」、小型のテレビ、小型のゲーム機器、小型のデジタルオーディオプレイヤー、いわゆる「電子手帳」、いわゆる「電子辞書」、いわゆる「電子書籍」用電子機器端末、小型のデジタルタイプの時計などのモバイル型の電子機器(持ち運び可能な電子機器)などが挙げられるが、もちろん、モバイル型以外(設置型など)の電子機器(例えば、いわゆる「ディスクトップパソコン」、薄型テレビ、録画・再生用電子機器(ハードディスクレコーダー、DVDプレイヤー等)、プロジェクター、マイクロマシンなど)などであってもよい。また、電子部品又は、電子機器・電子部品の材料・部材としては、例えば、いわゆる「CPU」の部材、各種記憶装置(いわゆる「メモリー」、ハードディスクなど)の部材などが挙げられる。
【実施例】
【0110】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、各例中、部は特記がない限りいずれも重量基準である。
【0111】
(実施例1)
<セパレータの準備>
重剥離面を有する厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムと、軽剥離面を有する厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとを用意した。次に、白色インキ、及び、接着層を介してこれら2枚のポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、セパレータを得た。なお、前記重剥離面は、前記軽剥離面よりも剥離力を要する面をいう。
【0112】
<半導体装置製造用フィルムの作製>
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(商品名「パラクロンW−197CM」根上工業株式会社製):100部に対して、エポキシ樹脂(商品名「エピコート1004」JER株式会社製):113部、フェノール樹脂(商品名「ミレックスXLC−4L」三井化学株式会社製):121部、球状シリカ(商品名「SO−25R」株式会社アドマテックス製):246部、染料1(商品名「OIL GREEN 502」オリエント化学工業株式会社製):5部、染料2(商品名「OIL BLACK BS」オリエント化学工業株式会社製):5部をメチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度が23.6重量%となる接着剤組成物の溶液を調製した。
【0113】
この接着剤組成物の溶液を、前記セパレータの重剥離面上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ(平均厚さ)20μmの半導体裏面用フィルムAを作製した。
【0114】
得られたフィルムを10mm幅にスリットし、巻き取ることで半導体裏面用フィルムの一方の面のみにセパレータが積層された半導体装置製造用フィルムAを作成した。
【0115】
(実施例2)
<半導体装置製造用フィルムの作製>
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(商品名「パラクロンW−197CM」根上工業株式会社製):100部に対して、エポキシ樹脂(商品名「エピコート1004」JER株式会社製):113部、フェノール樹脂(商品名「ミレックスXLC−4L」三井化学株式会社製):121部、球状シリカ(商品名「SO−25R」株式会社アドマテックス製):246部、染料1(商品名「OIL GREEN 502」オリエント化学工業株式会社製):10部、染料2(商品名「OIL BLACK BS」オリエント化学工業株式会社製):10部をメチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度が23.6重量%となる接着剤組成物の溶液を調製した。
【0116】
この接着剤組成物の溶液を、実施例1と同様にして準備したセパレータ(白色)の重剥離面上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ(平均厚さ)20μmの半導体裏面用フィルムBを作製した。
【0117】
得られたフィルムを10mm幅にスリットし、巻き取ることで半導体裏面用フィルムの一方の面のみにセパレータが積層された半導体装置製造用フィルムを作成した。
【0118】
(実施例3)
<半導体装置製造用フィルムの作製>
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(商品名「パラクロンW−197CM」根上工業株式会社製):100部に対して、エポキシ樹脂(商品名「エピコート1004」JER株式会社製):32部、フェノール樹脂(商品名「ミレックスXLC−4L」三井化学株式会社製):35部、球状シリカ(商品名「SO−25R」株式会社アドマテックス製):90部、染料2(商品名「OIL BLACK BS」オリエント化学工業株式会社製):2部をメチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度が23.6重量%となる接着剤組成物の溶液を調製した。
【0119】
この接着剤組成物の溶液を、実施例1と同様にして準備したセパレータ(白色)の重剥離面上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ(平均厚さ)20μmの半導体裏面用フィルムCを作製した。
【0120】
得られたフィルムを10mm幅にスリットし、巻き取ることで半導体裏面用フィルムの一方の面のみにセパレータが積層された半導体装置製造用フィルムを作成した。
【0121】
(比較例1)
<半導体装置製造用フィルムの作製>
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(商品名「パラクロンW−197CM」根上工業株式会社製):100部に対して、エポキシ樹脂(商品名「エピコート1004」JER株式会社製):32部、フェノール樹脂(商品名「ミレックスXLC−4L」三井化学株式会社製):35部、球状シリカ(商品名「SO−25R」株式会社アドマテックス製):90部、染料2(商品名「OIL BLACK BS」オリエント化学工業株式会社製):1部をメチルエチルケトンに溶解して、固形分濃度が23.6重量%となる接着剤組成物の溶液を調製した。
【0122】
この接着剤組成物の溶液を、実施例1と同様にして準備したセパレータ(白色)の重剥離面上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させることにより、厚さ(平均厚さ)20μmの半導体裏面用フィルムDを作製した。
【0123】
得られたフィルムを10mm幅にスリットし、巻き取ることで半導体裏面用フィルムの一方の面のみにセパレータが積層された半導体装置製造用フィルムを作成した。
【0124】
(半導体裏面用フィルムの物性測定)
実施例、比較例で作製した半導体裏面用フィルム(半導体裏面用フィルムA〜半導体裏面用フィルムD)について、可視光透過率(%)、吸湿率(重量%)、重量減少率(重量%)、引張貯蔵弾性率(GPa)、及び、反射率(%)を測定した。測定結果は表1に示した。
【0125】
<可視光透過率の測定方法>
実施例、比較例で作製された半導体裏面用フィルム(半導体裏面用フィルムA〜半導体裏面用フィルムD)(厚さ:20μm)の可視光線(波長:380nm〜750nm)透過率を測定した。測定は、セパレータの積層されていない状態の半導体裏面用フィルムに可視光線を照射し、透過した可視光線の強度を、分光光度計(島津製作所社製の分光光度計「ABSORPTION SPECTRO PHOTOMETR」)を用いて測定し、可視光線の透過前後の強度変化より、可視光透過率(%)を求めた。
【0126】
<吸湿率の測定方法>
実施例、比較例で作製された半導体裏面用フィルム(半導体裏面用フィルムA〜半導体裏面用フィルムD)を、温度:85℃、湿度:85%RHの恒温恒湿槽に168時間放置して、放置前後の重量減少率から、吸水率(重量%)を求めた。
【0127】
<重量減少率の測定方法>
実施例、比較例で作製された半導体裏面用フィルム(半導体裏面用フィルムA〜半導体裏面用フィルムC)を、温度:250℃の乾燥機に1時間放置して、放置前後の重量(重量減少量)から、重量減少率(重量%)を求めた。
【0128】
<弾性率の測定方法>
半導体裏面用フィルムの弾性率は、レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置「Solid Analyzer RSA2」を用いて、引張モードにて、サンプル幅:10mm、サンプル長さ:22.5mm、サンプル厚さ:0.2mmで、周波数:1Hz、昇温速度:10℃/分、窒素雰囲気下、所定の温度(23℃)にて測定し、得られた引張貯蔵弾性率E´の値とした。
【0129】
<反射率の測定方法>
反射率の測定は、反射率測定装置(X-rite)を用いて波長400〜700nmの反射率を10nm間隔で測定した。
【0130】
(セパレータの反射率測定)
実施例1〜3のセパレータについて、反射率(%)を測定した。測定は、前記のとおり反射率測定装置(X-rite)を用いて波長400〜700nmの反射率を10nm間隔で測定した。測定結果は表1に示した。また、セパレータの反射率と半導体裏面用フィルムとの反射率差(%)、すなわち、(セパレータの反射率)−(半導体裏面用フィルムの反射率)も合わせて表1に示した。
【0131】
(セパレータ剥離検出性)
セパレータ剥離前後で可視光を照射し、明度測定機「KEYENCE社製」にて明度を計測することでセパレータが剥離されていることを検出できるか否かを評価した。結果を表2に示す。
【0132】
(剥離力の測定)
実施例1〜3および比較例1の半導体装置製造用フィルムについて、セパレータの半導体裏面用フィルムが積層されている側の面における半導体裏面用フィルムとの剥離力A(N/50mm)と、セパレータの半導体裏面用フィルムが積層されていない側の面における半導体裏面用フィルムとの剥離力B(N/50mm)とを測定した。前記剥離力A及び前記剥離力Bは、シリコーン離型処理されたセパレータと半導体裏面用フィルムとをラミネーターを用いて温度60度で貼り合わせ、剥離試験機で速度300mm/minで剥離し、得た。結果を表2に示す。また、剥離力Aと剥離力Bとの差、すなわち、(剥離力A)−(剥離力B)も合わせて表2に示した。
【0133】
【表1】

【0134】
【表2】

【符号の説明】
【0135】
2 フリップチップ型半導体裏面用フィルム
4 半導体ウエハ
40 半導体装置製造用フィルム
42 セパレータ
5 半導体チップ
51 半導体チップ5の回路面側に形成されているバンプ
6 被着体
61 被着体6の接続パッドに被着された接合用の導電材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体上にフリップチップ接続された半導体素子の裏面に形成するためのフリップチップ型半導体裏面用フィルムの一方の面のみに、セパレータが積層された半導体装置製造用フィルムであって、
前記セパレータの波長400〜700nmにおける反射率が30%以上100%以下であることを特徴とする半導体装置製造用フィルム。
【請求項2】
前記セパレータの波長400〜700nmにおける反射率と、前記フリップチップ型半導体裏面用フィルムの波長400〜700nmにおける反射率との差が5%以上であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置製造用フィルム。
【請求項3】
前記セパレータは、着色されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置製造用フィルム。
【請求項4】
前記セパレータは、着色剤が添加されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置製造用フィルム。
【請求項5】
前記セパレータは、両面が剥離処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の半導体装置製造用フィルム。
【請求項6】
前記セパレータは、シリコーン系剥離剤により剥離処理が施されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置製造用フィルム。
【請求項7】
前記セパレータの半導体裏面用フィルムが積層されている側の面における半導体裏面用フィルムとの剥離力をA、前記セパレータの半導体裏面用フィルムが積層されていない側の面における半導体裏面用フィルムとの剥離力をBとしたとき、
0.001≦A−B≦0.04[N/50mm]
を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の半導体装置製造用フィルム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−21270(P2013−21270A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155820(P2011−155820)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】