説明

半導体装置

【課題】大幅なコストの増加を招くことなく、消費電力を低減することができる半導体装置の提供を図る。
【解決手段】複数の内部回路A〜Dと、外部から印加される電源電圧VDDを降下して、前記複数の内部回路へ供給する供給電圧VDDMA〜VDDMDを生成する複数の降圧回路51〜54と、前記複数の降圧回路により生成される前記複数の供給電圧の電圧値の組み合わせ状態に従って、前記電源電圧の電圧値を変更する電源管理部11と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願で言及する実施例は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の製造技術の進歩に伴って回路の集積度が向上し、また、同一の半導体チップ(半導体装置)に対して複数の回路が搭載されるようになってきている。
【0003】
一方、半導体装置(LSI)は、携帯電話等の電池駆動される電子機器に幅広く使用され、また、近年の省エネの推進によって、半導体装置の消費電力は、より一層の低減が望まれている。
【0004】
すなわち、近年のLSIの低消費電力化の要求に伴って、負荷が軽くなった回路に対して積極的に動作周波数(クロック周波数)を下げることによって消費電力を低減させる技術が利用されている。
【0005】
また、LSIにおける回路ブロック毎の負荷に応じて、それぞれの回路ブロックに対する供給電圧を下げるという技術(Dynamic Voltage and Frequency Scaling:DVFS)も採用され始めてきている。
【0006】
さらに、半導体装置内部における複数の回路に対して、外部から投入された電源電圧を降圧して印加する降圧回路(LDO:Low Drop Output regulator)を搭載した半導体装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−235223号公報
【特許文献2】特開2004−005670号公報
【特許文献3】特表2001−517332号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】H. Mair, et al., "A 65-nm Mobile Multimedia Applications Processor with an Adaptive Power Management Scheme to Compensate for Variations," Symposium on VLSI Circuits Digest Technical Papers, Paper 21-5, pp.224-225, June, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、近年、LSIの低消費電力化として様々な技術が提案され、それなりの効果が得られている。しかしながら、例えば、各回路ブロックに対してそれぞれDC−DCコンバータを設けて電源電圧の制御を行うと、コストの大幅な増加を招くことになる。
【0010】
また、各回路ブロックの負荷に応じて供給電圧の電圧値やクロック周波数を制御するようにしたLSIにおいても、より一層の消費電力の低減が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態の回路設計の検証方法によれば、複数の内部回路と、複数の降圧回路と、電源管理部と、を有することを特徴とする半導体装置が提供される。
【0012】
前記複数の降圧回路は、外部から印加される電源電圧を降下して、前記複数の内部回路へ供給する供給電圧を生成する。また、前記電源管理部は、前記複数の降圧回路により生成される前記複数の供給電圧の電圧値の組み合わせ状態に従って、前記電源電圧の電圧値を変更する。
【発明の効果】
【0013】
開示の半導体装置は、大幅なコストの増加を招くことなく、消費電力を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】DVFS技術の概要を説明するための図である。
【図2】DVFS制御を実現する半導体装置の一例を説明するための図である。
【図3】DVFS制御を実現する半導体装置における課題を説明するための図である。
【図4】第1実施例の半導体装置を示すブロック図である。
【図5】図4に示す半導体装置の動作の一例を説明するための図である。
【図6】第2実施例の半導体装置のシステムを示すブロック図である。
【図7】図6に示す半導体装置のPMUにおける負荷状態設定比較部の一例を説明するための図である。
【図8】図6に示す半導体装置のPMUにおける電源制御部の一例を説明するための図である。
【図9】図6〜図8に示すPMU全体の動作の一例を説明するための図(その1)である。
【図10】図6〜図8に示すPMU全体の動作の一例を説明するための図(その2)である。
【図11】図6に示す半導体装置におけるLDOの一例を説明するための図である。
【図12】図11に示すLDOにおけるデコーダの一例を説明するための図である。
【図13】図11に示すLDOにおける差動アンプの一例を説明するための図である。
【図14】図11に示すLDOにおける可変分圧回路の一例を説明するための図である。
【図15】第2実施例の半導体装置の動作の一例を説明するための図(その1)である。
【図16】第2実施例の半導体装置の動作の一例を説明するための図(その2)である。
【図17】第2実施例の半導体装置の動作の一例を説明するための図(その3)である。
【図18】第3実施例の半導体装置のシステムを示すブロック図である。
【図19】図18に示す半導体装置における負荷モードの設定例を説明するための図である。
【図20】図18に示す半導体装置のPMUにおける負荷状態設定比較部の一例を示すブロック図である。
【図21】図20に示す負荷状態設定比較部における最大負荷状態補正部の動作の一例を説明するための図である。
【図22】第3実施例の半導体装置における電圧降下および電圧上昇の動作による削減/損失電力を説明するための図である。
【図23】第3実施例の半導体装置の動作の一例を説明するための図(その1)である。
【図24】第3実施例の半導体装置の動作の一例を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、半導体装置の実施例を詳述する前に、図1〜図3を参照して、DVFS(Dynamic Voltage and Frequency Scaling)技術およびDVFS制御を実現する半導体装置、並びに、その半導体装置における課題を説明する。
【0016】
図1は、DVFS技術の概要を説明するための図であり、図1(a)および図1(b)は、DVFS未適用のLSI(半導体装置)の例(供給電圧は1.2V)を示し、また、図1(c)および図1(d)は、DVFS適用済のLSIの例を示す。
【0017】
なお、DVFS適用済のLSIにおいて、供給電圧は、動的に変化(例えば、1.2V,1.0V,0.8Vおよび〜0Vと変化)するようになっている。また、図1(a)および図1(b)、並びに、図1(c)および図1(d)の両方のLSIにおいて、回路の負荷が軽くなった場合には、クロックの周波数(動作周波数)を下げて消費電力を低減するようになっている。
【0018】
まず、図1(a)に示されるように、DVFS未適用のLSIの負荷モード(mode)において、『3(高負荷)』の時、クロック周波数が400MHzとされ、また、『2(中負荷)』の時、クロック周波数が200MHzとされる。
【0019】
さらに、『1(低負荷)』の時、クロック周波数が100MHzとされ、そして、『0(無負荷)』の時、クロック周波数が0MHz(停止)とされる。なお、供給電圧は、DVFS未適用なので、全てのモードにおいて、常に1.2Vである。
【0020】
一方、図1(c)に示されるように、DVFS適用済のLSIの負荷モード(mode)において、『3(高負荷)』の時、クロック周波数が400MHzで供給電圧が1.2Vとされる。
【0021】
また、『2(中負荷)』の時、クロック周波数が200MHzで供給電圧が1.0Vとされ、さらに、『1(低負荷)』の時、クロック周波数が100MHzで供給電圧が0.8Vとされる。なお、『0(無負荷)』の時、クロック周波数が0MHz(停止)で供給電圧が〜0Vとされる。
【0022】
具体的に、負荷モードが『高負荷』→『低負荷』→『高負荷』(mode=3→1→3)と変化する場合を説明する。
【0023】
まず、図1(b)に示されるように、DVFS未適用のLSIでは、供給電圧が1.2V一定で、クロック周波数だけが400MHz→100MHz→400MHzと変化するため、消費電力もそのクロック周波数の変化に応じて変化する。
【0024】
一方、図1(d)に示されるように、DVFS適用済のLSIでは、供給電圧が1.2V→0.8V→1.2Vと変化し、クロック周波数が400MHz→100MHz→400MHzと変化する。これにより、DVFS未適用のLSIと比較して、低負荷モード(mode=1)において、約33%の消費電力を低減することが可能なのが分かる。
【0025】
図2は、DVFS制御を実現する半導体装置の一例を説明するための図であり、内部回路(回路A)に対する制御を示すものである。ここで、図2(a)および図2(b)は、DVFS未適用のLSIの例(供給電圧は1.2V)を示し、また、図2(c)および図2(d)は、DVFS適用済のLSIの例を示す。
【0026】
なお、図2(b)および図2(d)は、上述した図1(b)および図1(d)における負荷モードを、回路Aの負荷モードとして適用したものに相当する。
【0027】
まず、図2(a)に示されるように、DVFS未適用のLSI101は、内部回路A,B、および、PMU(Power Management Unit:電力管理ユニット)111を有する。ここで、回路Aは、0〜400MHzのクロックにより動作し、また、回路Bは、0〜200MHzのクロックにより動作する。
【0028】
PMU111は、回路AおよびBに対して、負荷モード(mode)に応じて周波数が変化するクロックを分配する。図2(b)に示されるように、DVFS未適用のLSI101は、負荷モードに応じて回路Aの周波数を変化させて消費電力を低減するようになっている。
【0029】
一方、図2(c)に示されるように、DVFS適用済のLSI201は、回路(内部回路)A,B、PMU211、降圧回路(LDO:Low Drop Output regulator:レギュレータ)212,213、および、基準電圧(VREF)発生回路214を有する。
【0030】
LDO212は、PMU211からの電圧制御信号を受け取って、入力された1.2Vの電源電圧を負荷モード(mode)に対応した電圧に降圧して回路Aに供給する。同様に、LDO213は、PMU211からの電圧制御信号を受け取って、入力された1.2Vの電源電圧を負荷モードに対応した電圧に降圧して回路Bに供給する。
【0031】
なお、PMU211は、上述したPMU111と同様に、回路AおよびBに対して、負荷モードに応じて周波数が変化するクロックを分配する。
【0032】
これにより、図2(d)に示されるように、回路Aの負荷モードにより、回路Aのクロック周波数が400MHz→100MHz→400MHzと変化すると共に、回路Aに対する供給電圧が1.2V→0.8V→1.2Vと変化する。
【0033】
その結果、DVFS未適用のLSIと比較して、回路Aの低負荷モード(mode=1)において、約33%の消費電力を低減することが可能なのが分かる。なお、VREF発生回路214は、LDO212および213から出力される供給電圧の電圧値を制御するために使用される基準電圧VREFを発生するための回路である。
【0034】
このように、図2(c)に示すLSI201は、LSI内部にレギュレータ(LDO)212,213を搭載し、外部からの電源電圧を単一(例えば、1.2V)にしてLSI内部で様々な電圧を発生し、各回路A,Bへ所定の電圧を供給するようになっている。
【0035】
すなわち、回路AをDVFS技術により低消費電力化したい場合、負荷モード(mode)に応じて、回路Aがその負荷を処理できる最小限のクロック周波数を図1(c)のように負荷モード(mode=0〜3)毎に割り振る。
【0036】
さらに、各クロック周波数で回路Aが動作できる最小限の供給電圧において、さらに、負荷モード毎に供給電圧の電圧値を図1(c)のように割り振る。
【0037】
つまり、DVFS適用済のLSI201は、回路Aの負荷状態の変化(mode=0〜3)に応じて、全体としての消費電力を低減するために、各負荷モードに応じてクロック周波数と供給電圧の両方を組み合せて設定するようになっている。
【0038】
この組み合わせは、必然的に、クロック周波数が高くなるほど高い供給電圧となり、クロック周波数が低くなるほど低い供給電圧で済むという組み合わせになる。無負荷の場合は、クロックを停止(0MHz)して電源供給を遮断しても良い。
【0039】
そして、図2(d)を参照して説明したように、回路Aにかかる負荷状態がmode=3→1→3と変化した場合、その都度、モード毎に割り当てられたクロック周波数と供給電圧の組み合わせに設定することにより全体としての低消費電力化が可能になる。
【0040】
図3は、DVFS制御を実現する半導体装置(LSI)における課題を説明するための図であり、図3(a)は、供給電圧がDC−DCコンバータにより制御されるLSIを示し、また、図3(b)は、供給電圧が内部LDOにより制御されるLSIを示す。
【0041】
まず、図3(a)において、参照符号301はLSI、A〜Dは内部回路、311はPMU、321〜324はDC−DCコンバータ(外部電源回路)、331〜334はインダクタ、そして、341〜344はキャパシタを示す。ここで、回路A〜Dは、例えば、4マルチコアのDSP(Digital Signal Processor)に相当する。
【0042】
図3(a)のLSI301は、各回路A〜Dに対して、専用のDC−DCコンバータ321〜324からの電圧(供給電圧)が供給されるようになっている。なお、各DC−DCコンバータ321〜324には、それぞれインダクタ331〜334およびキャパシタ341〜344等の電源部品が設けられている。
【0043】
ここで、各DC−DCコンバータ321〜324には、例えば、3.7Vのシステム電源電圧が印加され、それぞれ1.0V,0.8V,1.2Vおよび1.0Vの供給電圧を発生して、対応する回路A〜Dに供給する。
【0044】
この図3(a)に示すLSI301は、内部回路A〜Dのそれぞれに対して、供給電圧を変化させることができるDC−DCコンバータ321〜324を設けることにより、DVFS技術を適用した時の消費電力低減の効果を大きくすることができる。
【0045】
しかしながら、図3(a)のLSI301では、各回路A〜Dのそれぞれに対してDC−DCコンバータ321〜324を設けなければならず、さらに、インダクタ331〜334およびキャパシタ341〜344等の電源部品も設けなければならない。
【0046】
すなわち、図3(a)のLSI301は、回路への供給電圧の2乗に比例して電力を下げることができ、低消費電力化の面で有利である。しかしながら、内部回路に対応した複数のDC−DCコンバータや電源部品を外付けしなければならず、占有面積およびコストの大幅な増大を招くことになる。
【0047】
次に、図3(b)において、参照符号401はLSI、A〜Dは内部回路、411はPMU、420はDC−DCコンバータ(外部電源回路)、430はインダクタ、440はキャパシタ、そして、451〜454はLDOを示す。ここで、回路A〜Dは、例えば、4マルチコアのDSPに相当する。
【0048】
図3(b)のLSI401は、各回路A〜Dに対して、それぞれ専用のLDO451〜454を介して供給電圧が印加される。なお、各LDO451〜454には、例えば、3.7Vのシステム電源電圧を1.2Vに変換するDC−DCコンバータ420の出力電圧(電源電圧)が印加されている。
【0049】
なお、インダクタ430およびキャパシタ440は、DC−DCコンバータ420の出力電圧を安定化するための電源部品である。また、LDO451〜454は、各内部回路A〜Dに応じた供給電圧1.0V,0.8V,1.2Vおよび1.0Vを発生して供給する。
【0050】
図3(b)のLSI401は、回路A〜Dに対して1つのDC−DCコンバータ420およびそのための電源部品(インダクタ430およびキャパシタ440)を設けるだけでよいため、占有面積およびコストの面で有利である。
【0051】
しかしながら、各内部回路A〜Dに対する供給電圧は、LDO451〜454により生成しているため、消費電力低減の効果が小さくなる。
【0052】
すなわち、電源電圧を単一化してしまうと、例えば、ほとんどの内部回路が低い供給電圧で済むような低負荷状態において、1つでも高い負荷がかかって高い供給電圧となる回路が存在した場合に無駄な電力が消費されてしまう。
【0053】
具体的に、各LDO451〜454は、例えば、与えられた1.2Vの電源電圧電を所望の電圧(1.0V,0.8V,0V)に降圧する場合、その電源電圧と所望の電圧との差分の電圧を降下するために、所定の電力が無駄に消費されることになる。
【0054】
このように、DVFS技術を適用したLSIにおいては、低消費電力化の実現と、占有面積およびコストの低減との間のトレードオフがある。このトレードオフによって、例えば、図3(b)のLSI401では、低コストでシステムを構築できるが、その代償として低消費電力化が不十分になっていた。
【0055】
以下、添付図面を参照して、半導体装置の実施例を詳述する。図4は、第1実施例の半導体装置(LSI)を示すブロック図である。
【0056】
図4において、参照符号1はLSI、A〜Dは内部回路、11はPMU(Power Management Unit:電力管理ユニット)、2はDC−DCコンバータ(外部電源回路)、3はインダクタ、4はキャパシタ、そして、51〜54はLDOを示す。ここで、回路A〜Dは、例えば、4マルチコアのDSPに相当する。
【0057】
図4と図3(b)との比較から明らかなように、本第1実施例のLSI1は、各内部回路A〜Dに対して、それぞれ専用のLDO51〜54を介して供給電圧が印加されるようになっている。なお、各LDO51〜54には、例えば、3.7Vのシステム電源電圧を1.2Vの電源電圧に変換するDC−DCコンバータ2の出力電圧が印加されている。
【0058】
なお、インダクタ3およびキャパシタ4は、DC−DCコンバータ2の出力電圧を安定化するための電源部品である。また、LDO51〜54は、各内部回路11〜14に応じた供給電圧1.0V,0.8V,1.2Vおよび1.0Vを発生して供給する。
【0059】
ここで、PMU11は、DC−DCコンバータ2に対して、例えば、I2Cバスを介して外部電源制御信号Extcntを出力し、DC−DCコンバータ2出力電圧(電源電圧)を制御するようになっている。
【0060】
すなわち、本第1実施例のLSI1において、DC−DCコンバータ2の出力電圧は、回路A〜Dに供給する供給電圧のうちで最も電圧値が高い最高供給電圧と同じになるように制御される。
【0061】
このように、本第1実施例の半導体装置によれば、外部に設けるDC−DCコンバータは1個でよいため大幅なコストの増加を招くことなく、消費電力を低減することが可能になる。
【0062】
図5は、図4に示す半導体装置の動作の一例を説明するための図であり、内部電源制御(LDO51〜54の制御)と外部電源制御(DC−DCコンバータ2の制御)の関係を説明するためのものである。
【0063】
図5において、横軸は時間tを示し、回路A〜回路Dに供給する電圧(内部電源電圧)の時間変化、並びに、DC−DCコンバータ2の出力電圧(外部電源電圧)の時間変化が示されている。
【0064】
図5から明らかなように、DC−DCコンバータ2の出力電圧は、その時点で最も電圧値が高い供給電圧(最高供給電圧)と同じになるように制御され、これにより、LDO51〜54で無駄に消費される電力を低減するようになっている。
【0065】
具体的に、例えば、期間T12において、回路Aの供給電圧は0.8V、回路Bの供給電圧は0V,回路Cの供給電圧は1.0V、そして、回路Dの供給電圧は0.8Vとなっており、電圧値が最も高いのは、1.0Vである。そのため、期間T12において、DC−DCコンバータ2の出力電圧(電源電圧)は、1.0Vに制御される。
【0066】
これにより、期間T12では、LDO51〜54が1.2Vの電源電圧(DC−DCコンバータ2の出力電圧)を降圧するよりも、1.0Vの電源電圧を降圧して各供給電圧を生成することで、LDO51〜54で無駄に消費される電力を低減することができる。なお、最も高い供給電圧(1.0V)を供給するLDO(53)は、印加された電源電圧(1.0V)を降圧せずにそのまま供給電圧として出力する。
【0067】
また、例えば、期間T13において、回路Aの供給電圧は0.8から0Vへ変化し、回路Bの供給電圧は0V,回路Cの供給電圧は0.8V、そして、回路Dの供給電圧は0.8Vとなっており、電圧値が最も高いのは、0.8Vである。そのため、期間T13において、DC−DCコンバータ2の出力電圧は、0.8Vに制御される。
【0068】
これにより、期間T13では、LDO51〜54が1.2Vの電源電圧を降圧するよりも、0.8Vの電源電圧を降圧して各供給電圧を生成することで、LDO51〜54で無駄に消費される電力を低減することができる。なお、最も高い供給電圧(0.8V)を供給するLDO(53,54)は、印加された電源電圧(0.8V)を降圧せずにそのまま供給電圧として出力する。
【0069】
また、他の期間T11およびT14では、1.2Vとなる供給電圧が存在するため、DC−DCコンバータ2の出力電圧は、1.2Vに制御される。
【0070】
このように、本第1実施例の半導体装置によれば、外部からの電源電圧の電圧値およびLDOから供給される供給電圧の電圧値を制御することにより、システム全体のコストを低く維持しつつ、より消費電力を削減することが可能になる。
【0071】
図6は、第2実施例の半導体装置のシステムを示すブロック図である。図6に示されるように、PMU11は、外部電源制御部12、内部電源制御部13、および、負荷状態設定比較部14を有する。
【0072】
外部電源制御部12は、負荷状態設定比較部14からの信号SS1を受け取り、例えば、I2Cバスを介して外部電源制御信号ExtcntをDC−DCコンバータ(外部電源回路)2に出力し、DC−DCコンバータ2の出力電圧(電源電圧)VDDを制御する。
【0073】
すなわち、外部電源制御部12は、例えば、I2Cシリアル信号の制御信号ExtcntによりDC−DCコンバータ2の出力電圧VDDを、内部回路A〜Dの供給電圧VDDMA〜VDDMDのうちで最も高い電圧値となるように制御する。
【0074】
内部電源制御部13は、負荷状態設定比較部14からの信号SS2を受け取り、供給電圧制御信号(制御コード)vca〜vcdを対応するLDO51〜54に出力し、LDO51〜54の出力電圧(供給電圧)VDDMA〜VDDMDを制御する。
【0075】
負荷状態設定比較部14は、負荷モード信号Lmodeを受け取って各時刻で最適な電源電圧制御するために負荷モード状態を解析し、外部電源制御部12および内部電源制御部13に対して信号SS1およびSS2を出力する。
【0076】
LDO51〜54は、それぞれ内部電源制御部13からの制御コードvca〜vcdを受け取り、内部回路A〜Dに供給する供給電圧VDDMA〜VDDMDの電圧値を制御する。
【0077】
図7は、図6に示す半導体装置のPMUにおける負荷状態設定比較部の一例を説明するための図であり、図7(a)は負荷状態設定テーブルの一例を示し、また、図7(b)は負荷状態設定比較部14の一例を示す。
【0078】
図7(a)に示されるように、負荷状態設定テーブルは、負荷モード信号Lmodeの値とクロック周波数の関係を示す。
【0079】
すなわち、負荷モード信号Lmodeが『3(高負荷)』,『2(中負荷)』,『1(低負荷)』および『0(無負荷)』の時、クロック周波数は、例えば、それぞれ400MHz,200MHz,100MHzおよび0MHzに設定される。
【0080】
図7(b)に示されるように、負荷状態設定比較部14は、回路A〜Dの負荷状態設レジスタ140a〜140d、負荷状態比較器142、および、最大負荷状態(MAX)レジスタ141を有する。
【0081】
負荷状態設レジスタ140a〜140dは、各回路A〜Dの負荷状態(0〜3)を格納し、また、負荷状態比較器142は、負荷状態設レジスタ140a〜140dに格納された負荷状態の中で最大負荷状態を判定する。そして、MAXレジスタ141は、負荷状態比較器142により判定された最大負荷状態を格納する。
【0082】
ここで、MAXレジスタ141に格納された値は、外部電源制御部12に対して信号SS1として出力される。また、内部回路A〜Dの負荷状態を表す負荷状態設レジスタ140a〜140dに格納された値は、MAXレジスタ141に格納された値と共に、内部電源制御部13に対して信号SS2として出力される。
【0083】
図8は、図6に示す半導体装置のPMUにおける電源制御部の一例を説明するための図であり、図8(a)は供給電圧設定テーブルの一例を示し、また、図8(b)は外部電源制御部12および内部電源制御部13の一例を示す。
【0084】
図8(a)に示されるように、供給電圧設定テーブルは、負荷モード信号Lmodeの値、各内部回路A〜Dに対する供給電圧VDDMA〜VDDMDの電圧値、および、供給電圧制御信号(制御コード)vcx(x=a,b,c,d)の関係を示す。
【0085】
すなわち、負荷モード信号Lmodeが『3(高負荷)』,『2(中負荷)』,『1(低負荷)』および『0(無負荷)』の時、供給電圧は、それぞれ1.2V,1.0V,0.8Vおよび〜0Vに設定される。
【0086】
ここで、供給電圧が1.2V,1.0V,0.8Vおよび〜0Vに設定される時、2ビットの制御コードvcxは『11』『10』『01』『00』に設定される。なお、後述するように、制御コードvcxを3ビットの信号とし、最上位ビットを外部からの電源電圧VDDをそのまま出力するか否かの制御に使用してもよい。
【0087】
図8(b)に示されるように、外部電源制御部12は、状態変化検知回路121および外部電圧設定回路122を有する。状態変化検知回路121は、MAXレジスタ141からの信号(最大負荷状態)SS1を受け取って、最大負荷状態の変化を検知する。
【0088】
また、外部電圧設定回路122は、状態変化検知回路121および供給電圧設定テーブル131の出力信号を受け取って、DC−DCコンバータ2の出力電圧を制御する信号Extcnt(例えば、I2Cシリアル信号)を生成する。
【0089】
そして、DC−DCコンバータ2は、前述したように、制御信号Extcntを受け取って、内部回路A〜Dの供給電圧VDDMA〜VDDMDのうちで最も高い電圧値(最高供給電圧)となる出力電圧VDDを出力する。すなわち、DC−DCコンバータ2は、供給電圧設定テーブルで規定された最大負荷状態時における電圧値の電源電圧VDDを出力する。
【0090】
内部電源制御部13は、回路A〜Dの電圧設定レジスタ130a〜130d、および、供給電圧設定テーブル131を有する。各電圧設定レジスタ130a〜130dは、対応する各回路A〜Dの負荷状態に応じて、制御信号(制御コード)vca[2:0]〜vcd[2:0]を格納する。
【0091】
各電圧設定レジスタ130a〜130dに格納された制御信号vca[2:0]〜vcd[2:0]は、各内部回路A〜Dに対する供給電圧VDDMA〜VDDMDを発生するLDO51〜54に出力され、その電圧値を制御する。
【0092】
具体的に、例えば、回路Aが中負荷(mode=2)に設定された場合、それを他の回路B,C,Dと比較した上で、mode=2が最大負荷状態でなければ、vca[2:0]として供給電圧テーブルで定められた制御コード『010』をLDO51に出力する。
【0093】
もし、mode=2が最大負荷状態であれば、vca[2:0]としてコード『110』をLDO51に出力する。
【0094】
すなわち、制御コードvca〜vcdは3ビットの信号とされ、下位2ビットが各LDO51〜54から出力される供給電圧の電圧値を制御し、最上位ビットが外部からの電源電圧VDDをそのまま出力するか否かを制御する。
【0095】
図9および図10は、図6〜図8に示すPMU全体の動作の一例を説明するための図である。
【0096】
まず、外部電源制御部12の動作を説明する。図9は、回路A〜Dの負荷状態レジスタ140a〜140dに格納された負荷状態、最大負荷状態レジスタ141に格納された最大負荷状態(MAX)、並びに、外部電源制御部12における状態変化検知回路121および外部電圧設定回路122の状態(出力)を示す。
【0097】
ここで、内部回路A〜Dの負荷状態レジスタ140a〜140dの値は、PMU11の外部から与えられる負荷モード信号Lmodeによって、図9(図10)の上部のように変化する場合を考える。
【0098】
図9に示されるように、期間T21〜T27において、回路A〜Dの最大負荷状態(MAX:SS1)は、『3(高負荷)』→『2(中負荷)』→『1(低負荷)』→『2(中負荷)』→『1(低負荷)』→『2(中負荷)』→『3(高負荷)』と変化する。
【0099】
なお、回路A〜Dの最大負荷状態は、図7(b)に示されるように、負荷状態設定比較部14における最大負荷状態レジスタ141に格納され、外部電源制御部12に対して信号SS1として出力される。
【0100】
図8(b)に示されるように、信号SS1を受け取る状態変化検知回路121は、回路A〜Dの最大負荷状態の変化を検知してパルス信号を出力し、その信号を受け取った外部電圧設定回路122は、状態変化後の設定電圧を表す制御信号Extcntを出力する。
【0101】
そして、制御信号Extcntは、LSI1の外部に設けられたDC−DCコンバータ2に出力され、その出力電圧(電源電圧)VDDの電圧値を制御する。なお、図9において、参照符号NOPは、外部電圧設定回路122の非動作(Non-Operation)状態を示す。この非動作状態期間では、VDDには以前の電圧値が維持される。
【0102】
すなわち、図9に示されるように、電源電圧VDDは、期間T21〜T27において、1.2V→1.0V→0.8V→1.0V→0.8V→1.0V→1.2Vと変化し、内部回路A〜Dの供給電圧のうちで最も高い電圧値となるように制御される。
【0103】
次に、内部電源制御部13の動作を説明する。図10は、回路A〜Dの負荷状態レジスタ140a〜140dに格納された負荷状態、最大負荷状態レジスタ141に格納された最大負荷状態、並びに、内部電源制御部13から出力される制御信号vca[2:0]〜vcd[2:0]を示す。
【0104】
まず、図7(b)および図8(b)に示されるように、最大負荷状態レジスタ141の出力および内部回路A〜Dの負荷状態レジスタ140a〜140dの出力は、信号SS2として内部電源制御部13に出力される。
【0105】
そして、図8(b)に示されるように、内部回路A〜Dの電圧設定レジスタ130a〜130dの出力(制御コード)vca[2:0]〜vcd[2:0]は、LDO51〜54に出力され、回路A〜Dに対する供給電圧VDDMA〜VDDMDを制御する。
【0106】
すなわち、図10に示されるように、負荷モード信号Lmodeにより内部回路A〜Dの負荷状態レジスタ140a〜140dの値が図10の上部のように変化する時、それに対応して制御コードの下位2ビットvca[1:0]〜vcd[1:0]が変化する。
【0107】
具体的に、LDO51〜54に出力される制御コードの下位2ビットvca[1:0]〜vcd[1:0]は、図8(a)の供給電圧設定テーブルによる負荷モード信号Lmodeに対応した値に設定される。
【0108】
また、制御コードの最上位ビットvca[2]〜vcd[2]は、負荷状態レジスタ140a〜140dの値と最大負荷状態レジスタ141の出力の関係により規定される。
【0109】
具体的に、制御コードの最上位ビットvca[2]〜vcd[2]は、負荷状態レジスタ140a〜140dの値と最大負荷状態レジスタ141の出力が一致していれば『1』に設定され、異なっていれば『0』に設定される。
【0110】
すなわち、最も高い供給電圧(最高供給電圧)を供給するLDOに対しては、制御コードの最上位ビットを『1』にして、電源電圧VDDをそのまま供給電圧として出力する。
【0111】
図11は、図6に示す半導体装置におけるLDOの一例を説明するための図であり、内部回路Aに対するLDO51を示すものである。なお、LDO52〜54も、LDO51と同様である。
【0112】
ここで、図11(a)は、LDO51のブロック図であり、図11(b)は、図11(a)における可変分圧回路513の動作を説明するための図である。
【0113】
まず、図11(a)に示されるように、LDO51は、デコーダ511、差動アンプ512、可変分圧回路513、および、供給トランジスタ(pMOSトランジスタ)514を有する。
【0114】
デコーダ511は、回路Aの電圧設定レジスタ130aからの3ビットの制御コード(出力)vca[0],vca[1],vca[2]を受け取り、その制御コードに従った信号disable,lvfixおよびswを出力する。
【0115】
可変分圧回路513は、デコーダ511からの信号swに従って、内部回路Aに対する供給電圧VDDMAの分圧比を制御し、その供給電圧VDDMAを分圧した電圧(モニタ信号)MON−Aを差動アンプ512に出力する。
【0116】
差動アンプ512は、基準電圧信号VREF(例えば、0.6V)、デコーダ511からの信号disableおよびlvfix、並びに、可変分圧回路513からのモニタ信号MON−Aを受け取り、供給トランジスタ514の制御信号GAを制御する。
【0117】
すなわち、差動アンプ512は、モニタ信号MON−Aが基準電圧信号VREFと同電位になるように、供給トランジスタ514のゲートに与える制御信号GAを制御して供給トランジスタ514に流れる供給電流を調整する。
【0118】
ここで、図11(b−1)に示されるように、可変分圧回路513では、例えば、出力電圧(回路Aに対する供給電圧)VDDMAを0.8Vに設定したい場合には、信号SWを『0』にする。
【0119】
これにより、抵抗R1の抵抗値が25kΩで抵抗R2の抵抗値が75kΩになり、供給電圧VDDMAが目的とする0.8Vになれば、モニタ信号MON−Aが基準電圧信号VREFと同じ0.6Vになるようにしてフィードバック制御が行われる。
【0120】
また、図11(b−2)に示されるように、可変分圧回路513では、例えば、供給電圧VDDMAを1.0Vに設定したい場合には、信号SWを『1』にする。
【0121】
これにより、抵抗R1の抵抗値が40kΩで抵抗R2の抵抗値が60kΩになり、供給電圧VDDMAが目的とする1.0Vになれば、モニタ信号MON−Aが基準電圧信号VREFと同じ0.6Vになるようにしてフィードバック制御が行われる。
【0122】
すなわち、差動アンプ512は、モニタ信号MON−Aが基準電圧信号VREFよりも低い時、MON−AがVREF(0.6V)になるまで、回路Aの消費電流よりも供給トランジスタ514の電流を増やして供給電圧VDDMAを上昇させる。
【0123】
逆に、差動アンプ512は、モニタ信号MON−Aが基準電圧信号VREFより高い時、MON−AがVREF(0.6V)になるまで、回路Aの消費電流よりも供給トランジスタ514の電流を減らして供給電圧VDDMAを下降させる。
【0124】
ここで、差動アンプ512には、デコーダ511からの非活性信号disableおよび出力レベル固定信号lvfixが入力され、LDO51〜54の供給電圧VDDMA〜VDDMDと電源電圧VDDの各電圧値に対応した制御が行われる。
【0125】
具体的に、LDO51からの供給電圧VDDMAを1.0Vに設定する場合、例えば、回路Aが最大負荷状態ではない時(vca[2]=0)、すなわち、VDD=1.2Vの時は、差動アンプ512を活性化する(通常LDOモード:sw=1)。
【0126】
また、例えば、回路Aが最大負荷状態に等しい時(vca[2]=1)、すなわち、VDD=1.0Vの時は、差動アンプ512を停止(非活性に)して供給トランジスタ514を強制的にオンする。
【0127】
ここで、供給トランジスタ514を強制的にオンするのは、外部電源電圧VDDと、回路Aの供給電圧VDDMAの目的とする電圧値が等しいので、電源電圧VDDを降下することなくそのまま供給電圧VDDMAとして出力するためである。
【0128】
さらに、例えば、回路Aが無負荷状態の場合、すなわち、VDDMA=0Vの時、差動アンプ512を停止して供給トランジスタ514を強制的にオフ、或いは、ゲート制御信号GAを『0』に固定する。
【0129】
ここで、供給トランジスタ514を強制的にオフするのは、内部回路Aが無負荷状態の時にはその回路Aに電源を供給しなくてもよいので、供給電圧VDDMAを電源電圧VDDから遮断して無駄なリーク電力などを削減するためである。なお、他の内部回路B〜DのLDO52〜54も、LDO51と同様である。
【0130】
図12は、図11に示すLDOにおけるデコーダの一例を説明するための図であり、図12(a)はデコーダ511の真理値表を示し、また、図12(b)は、デコーダ511の一例の回路を示す。
【0131】
図12(b)に示されるように、デコーダ511は、NORゲート5111、ANDゲート5112、インバータ5113,5114、および、ORゲート5115,5116を有する。
【0132】
そして、内部回路Aの電圧設定レジスタ130aからの3ビットの制御コードvca[0],vca[1],vca[2]を受け取って、図12(a)に示す真理値表の選択信号SW,出力レベル固定信号lvfixおよび非活性信号disableを出力する。
【0133】
図12(a)の真理値表において、参照符号Xは『0』および『1』のどちらでもよい状態(ドントケア:Don't Care)を示し、また、※を付したvca[0:2]=011は、現実には存在しないモードである。
【0134】
ここで、選択信号SW=0は、目的とする供給電圧VDDMAが0.8Vの時の可変分圧回路513における抵抗R1,R2の設定であり、また、SW=1は、目的とするVDDMAが1.0Vの時の可変分圧回路513における抵抗R1,R2の設定である。
【0135】
さらに、出力レベル固定信号lvfix=0は、供給トランジスタ514を強制的にオフする設定であり、また、lvfix=1は、供給トランジスタ514を強制的にオンする設定である。
【0136】
そして、非活性信号disable=0は、差動アンプ512を活性化する設定であり、また、disable=1は、差動アンプ512を停止(非活性化)する設定である。前述したlvfixによる出力レベル固定の設定は、差動アンプ停止の設定(disable=1)の時に有効にする。
【0137】
図13は、図11に示すLDOにおける差動アンプの一例を説明するための図である。ここで、図13(a)は、信号disable,lvfix,GAと、差動アンプ512の内部制御トランジスタ(535;532,542;534,545;539)のオン/オフ状態を示す。また、図13(b)は、差動アンプ512の一例の具体的な回路を示す。
【0138】
まず、図13(b)に示されるように、差動アンプ512は、内部信号生成回路520、pMOSトランジスタ531〜539、および、nMOSトランジスタ540〜547を有する。
【0139】
内部信号生成回路520は、インバータ521〜524、ANDゲート525およびORゲート526を有する。この内部信号生成回路520は、デコーダ511からの非活性信号disableおよび出力レベル固定信号lvfixを受け取って、内部信号Sp,Sn,Spgn,Spgp,Spopを生成する。
【0140】
図13(b)に示されるように、内部信号生成回路520で生成された内部信号Spはトランジスタ532のゲートに供給され、信号Snはトランジスタ535および542のゲートに供給され、そして、信号Spgnはトランジスタ545のゲートに供給される。
【0141】
さらに、内部信号Spgpはトランジスタ534のゲートに供給され、また、信号Spopはトランジスタ539のゲートに供給される。そして、基準電圧信号VREFおよび可変分圧回路513からのモニタ信号MON−Aは、差動対トランジスタ537および538のゲートに供給されている。
【0142】
なお、図13(b)において、参照符号bias0は、固定の低電位電源電圧VSS(0V)を示し、また、bias1は、固定の高電位電源電圧VDD(1.2V)を示す。
【0143】
ここで、図13(a)から明らかなように、信号Snは、信号Spの反転論理の信号で非活性信号disableと同じ論理の信号であり、また、信号pgpは、信号pgnの反転論理の信号となっている。
【0144】
図13(a)は、図13(b)に示す差動アンプ512における、内部信号Sp,Sn,Spgn,Spgp,Spopにより制御されるトランジスタ532,535,542,545,534,539のオン/オフ動作を示している。
【0145】
すなわち、図13(a)に示されるように、まず、非活性信号disable=0の時、トランジスタ535がオンし、トランジスタ532,542がオフして差動アンプ512は活性化される。さらに、供給トランジスタ514のゲート制御信号GAを強制固定するためのトランジスタ534,545,539がオフし、通常動作モード(LDOモード)に設定される。この通常モード時は、通常の差動アンプとして動作し、lvfixの値は関わらない。
【0146】
一方、非活性信号disable=1の時、トランジスタ535がオフし、トランジスタ532,542がオンして差動アンプ512は非活性化(停止)される。そして、出力レベル固定信号lvfixの値によって、ゲート制御信号GAを強制的に『0』固定とするか、或いは、強制的に『1』固定とするかを決める。
【0147】
すなわち、出力レベル固定信号lvfix=1の時、トランジスタ534,545がオフしてトランジスタ539がオンし、ゲート制御信号GAは強制的に『0』(低レベル)固定とされる。これにより、信号GAにより制御されるpMOSトランジスタの供給トランジスタ514は、強制的にオン状態となる。
【0148】
また、出力レベル固定信号lvfix=0の時、トランジスタ534,545がオンしてトランジスタ539がオフし、ゲート制御信号GAは強制的に『1』(高レベル)固定とされ、信号GAにより制御される供給トランジスタ514は強制的にオフ状態となる。
【0149】
なお、図13に示す差動アンプ512は、単なる例であり、様々なものを適用することができるのはいうまでもない。
【0150】
図14は、図11に示すLDOにおける可変分圧回路の一例を説明するための図であり、図14(a)は、可変分圧回路513の一例を示す回路図であり、また、図14(b)は分圧比切換スイッチSW1,SW2のオン/オフ動作を示す図である。
【0151】
なお、図14(b)において、※VDDMAは、内部回路Aの供給電圧が0.8Vおよび1.0Vの状態を示しているが、それらの場合、モニタ信号MON−Aの電圧は、いずれも基準電圧VREFと同じ0.6Vになる。
【0152】
まず、図14(a)に示されるように、可変分圧回路513は、インバータ550、抵抗552,552,553、および、スイッチSW0,SW1を有する。
【0153】
スイッチSW1は、選択信号SWにより制御され、また、スイッチSW0は、信号SWをインバータ550で反転した信号により制御される。従って、スイッチSW0とSW1は、信号SWに従って逆相でオン/オフ動作することになる。
【0154】
すなわち、図14(b)に示されるように、信号SW=0の時、スイッチSW0はオンしてスイッチSW1はオフする。これにより、モニタ信号MON−Aは、抵抗551による25kΩと、直列接続された抵抗552および553による75kΩの接続ノードから取り出される。
【0155】
これにより、目的とする内部回路Aに対する供給電圧VDDMAが0.8Vのときに、モニタ信号MON−Aが0.6Vとなるように設定される。
【0156】
そして、モニタ信号MON−Aの電圧値が0.6Vとなるように、差動アンプ512および供給トランジスタ514による制御が行われるため、供給電圧VDDMAは、0.8Vとなるように制御されることになる。
【0157】
一方、信号SW=1の時、スイッチSW0はオフしてスイッチSW1はオンする。これにより、モニタ信号MON−Aは、直列接続された抵抗551および552による40kΩと、抵抗553による60kΩの接続ノードから取り出される。
【0158】
すなわち、信号SW=0の時とはモニタ信号MON−Aを生成する抵抗の分圧比を変化させて、目的とする内部回路Aに対する供給電圧VDDMAが1.0Vのときに、モニタ信号MON−Aが0.6Vとなるように設定される。
【0159】
そして、モニタ信号MON−Aの電圧値が0.6Vとなるように、差動アンプ512および供給トランジスタ514による制御が行われるため、供給電圧VDDMAは、1.0Vとなるように制御されることになる。
【0160】
すなわち、図14(a)の可変分圧回路513は、選択信号SWを『0』とすることにより供給電圧VDDMAを0.8Vとし、また、選択信号SWを『1』とすることにより供給電圧VDDMAを1.0Vとすることができる。
【0161】
なお、図11〜14では、内部回路Aに対するLDO51を例として説明したが、内部回路B〜Dに対するLDO52〜54も同様とすることができるのはもちろんである。
【0162】
図15〜図17は、第2実施例の半導体装置の動作の一例を説明するための図であり、内部回路AのLDO51の内部動作に注目して説明するものである。
【0163】
ここで、図15は回路A以外の回路B〜Dによる最大負荷状態が『3(高負荷)』の場合を示し、図16は『2(中負荷)』の場合を示し、そして、図17は『1(低負荷)』)の場合を示している。
【0164】
まず、図15に示されるように、内部回路B〜Dによる最大負荷状態が『3(高負荷)』の場合、すなわち、最大負荷状態レジスタ141の出力(MAX)が常に『3(高負荷)』となっている場合、状態変化検知回路121は、出力『0』を維持する。すなわち、状態変化検知回路121は、パルス信号を出力せず、外部電圧設定回路122は非動作状態(NOP)のままとなり、VDD=1.2Vを維持する。
【0165】
従って、期間T311〜T315において、回路Aの負荷状態レジスタ140aの出力が『1』→『0』→『2』→『3』→『1』と変化すると、制御コードvca[2:0]は、001→000→010→111→001と変化する。
【0166】
さらに、制御コードvca[2:0]は、デコーダ511によって信号disable,lvfix,swに変換され、前述した制御が行われる。具体的に、例えば、期間T312において、非活性信号disable=1で出力レベル固定信号lvfix=0となって、供給トランジスタ514は強制的にオフされる。
【0167】
また、例えば、期間T314において、非活性信号disable=1で出力レベル固定信号lvfix=1となって、供給トランジスタ514は強制的にオンされ、1.2Vの電源電圧VDDがそのまま供給電圧VDDMAとしてLDO51から出力される。なお、他の期間T311,T313およびT315において、LDO51は通常のレギュレータとしての動作を行う。
【0168】
次に、図16に示されるように、回路B〜Dによる最大負荷状態が『2(中負荷)』の場合、状態変化検知回路121は、回路Aの負荷状態が『3(高負荷)』となる期間の前後でパルス信号を出力する。すなわち、状態変化検知回路121は、期間T324およびT325の最初でパルス信号を出力する。
【0169】
そして、外部電圧設定回路122は、期間T324で外部のDC−DCコンバータ2に対して1.2Vを設定する制御信号Extcntを出力し、また、期間T325でDC−DCコンバータ2に対して1.0Vを設定する信号Extcntを出力する。
【0170】
従って、期間T321〜T325において、回路Aの負荷状態レジスタ140aの出力が『1』→『0』→『2』→『3』→『1』と変化すると、最大負荷状態レジスタ141の出力(MAX)は、『2』→『2』→『2』→『3』→『2』と変化する。さらに、制御コードvca[2:0]は、001→000→110→111→001と変化する。
【0171】
そして、例えば、期間T322において、非活性信号disable=1で出力レベル固定信号lvfix=0となって、供給トランジスタ514は強制的にオフされる。
【0172】
また、例えば、期間T323およびT324において、非活性信号disable=1で出力レベル固定信号lvfix=1となって、供給トランジスタ514は強制的にオンされる。
【0173】
ここで、期間T323では、1.0Vの電源電圧VDDがそのまま供給電圧VDDMAとしてLDO51から出力され、また、期間T324では、1.2Vの電源電圧VDDがそのまま供給電圧VDDMAとしてLDO51から出力される。なお、他の期間T321およびT325において、LDO51は通常のレギュレータとしての動作を行う。
【0174】
これにより、例えば、期間T323では、1.0Vの電源電圧VDDをそのまま供給電圧VDDMAとして出力し、また、期間T321およびT325では1.0Vの電源電圧VDDから供給電圧を生成することで、消費電力を低減することができる。
【0175】
すなわち、例えば、1.2Vの固定の電源電圧VDDを使用して各負荷状態に応じた内部回路Aの供給電圧VDDMAを出力する場合よりも、消費電力を低減することが可能になる。
【0176】
さらに、図17に示されるように、回路B〜Dによる最大負荷状態が『1(低負荷)』の場合、状態変化検知回路121は、回路Aの負荷状態が『1(低負荷)』または『0(無負荷)』を維持する以外の期間の前後でパルス信号を出力する。すなわち、状態変化検知回路121は、期間T333,T334およびT335の最初でパルス信号を出力する。
【0177】
そして、外部電圧設定回路122は、期間T333で外部のDC−DCコンバータ2に対して1.0Vを設定する制御信号Extcntを出力し、また、期間T334でDC−DCコンバータ2に対して1.2Vを設定する信号Extcntを出力する。さらに、外部電圧設定回路122は、期間T335で外部のDC−DCコンバータ2に対して0.8Vを設定する制御信号Extcntを出力する。
【0178】
従って、期間T331〜T335において、回路Aの負荷状態レジスタ140aの出力が『1』→『0』→『2』→『3』→『1』と変化すると、最大負荷状態レジスタ141の出力(MAX)は、『1』→『1』→『2』→『3』→『1』と変化する。さらに、制御コードvca[2:0]は、101→000→110→111→101と変化する。
【0179】
そして、例えば、期間T332において、非活性信号disable=1で出力レベル固定信号lvfix=0となって、供給トランジスタ514は強制的にオフされる。
【0180】
また、例えば、期間T331,T333,T334およびT335において、非活性信号disable=1で出力レベル固定信号lvfix=1となって、供給トランジスタ514は強制的にオンされる。
【0181】
ここで、期間T331およびT335では、0.8Vの電源電圧VDDがそのまま供給電圧VDDMAとしてLDO51から出力され、また、期間T333では、1.0Vの電源電圧VDDがそのまま供給電圧VDDMAとしてLDO51から出力される。さらに、期間T334では、1.2Vの電源電圧VDDがそのまま供給電圧VDDMAとしてLDO51から出力される。
【0182】
そして、例えば、期間T331およびT335では、0.8Vの電源電圧VDDをそのまま供給電圧VDDMAとして出力し、また、期間T333では、1.0Vの電源電圧VDDをそのまま供給電圧VDDMAとして出力する。
【0183】
これにより、例えば、1.2Vの固定の電源電圧VDDを使用して各負荷状態に応じた内部回路Aの供給電圧VDDMAを出力する場合よりも、消費電力を低減することが可能になる。なお、回路A以外の回路B〜DのLDO52〜54に関しても同様である。
【0184】
このように、本第2実施例の半導体装置によれば、外部に設けるDC−DCコンバータは1個でよいため大幅なコストの増加を招くことなく、消費電力を低減することが可能になる。
【0185】
図18は、第3実施例の半導体装置のシステムを示すブロック図であり、また、図19は、図18に示す半導体装置における負荷モードの設定例を説明するための図である。
【0186】
まず、図18と前述した図6との比較から明らかなように、本第3実施例の半導体装置は、負荷モード信号LmodeをLSI1の外部から順次与えるのではなく、例えば、内部回路Aから与えるようになっている。
【0187】
すなわち、回路Aは、ユーザインターフェースとの情報交換を行って全体の仕事量を分析し、各回路(回路Aを含めた回路A〜D)にデータ処理量を割り付ける管理者(マスタ)の役割を担わせる。
【0188】
例えば、アプリケションに対応した所定の処理をLSI1に実行させる場合、例えば、その所定の処理を実行する各回路A〜Dの負荷状態が予め分かっていることがある。そのような場合、例えば、回路A〜Dの負荷状態の時間的な情報を回路Aに与えておく。
【0189】
具体的に、例えば、図19に示されるような負荷モード信号Lmodeおよびスケジュール信号(情報)Scheduleを、処理サイクルタイムTごとにユーザインターフェースを介して内部回路Aに与える。
【0190】
回路Aは、例えば、図19に示すような回路A〜Dの負荷モード信号Lmodeの時系列情報(schedule)を、処理サイクルタイムT単位で予め作成し、該当する処理サイクルが実際に始まる前にPMU11’(負荷情報設定比較部14’)に供給する。
【0191】
なお、前述した図6に示す第2実施例では、第3実施例における内部回路Aの役割を、例えば、LSI1の外部に設けられたシステムマイコンが担い、そのシステムマイコンから負荷モード信号Lmodeが順次供給されている。
【0192】
さらに、本第3実施例の半導体装置は、PMU11’が最短期間制約部15を有している。この最短期間制約部15は、スケジュールされた状態変化予定に対して、電源制御の制限を与えるためのものである。
【0193】
すなわち、LSI1の外部に設けられたDC−DCコンバータ2による電源電圧VDDの制御を、最短期間Tminと比較して制御することにより、消費電力の無駄をさらに低減するようにしたものである。なお、詳細は、図21および図22等を参照して詳述する。
【0194】
なお、例えば、前述した図6に示す負荷モード信号Lmodeを外部から供給する第2実施例の半導体装置に対して、PMU11に最短期間制約部15を設けることもできるのはいうまでもない。
【0195】
図20は、図18に示す半導体装置のPMUにおける負荷状態設定比較部14’の一例を示すブロック図である。
【0196】
図20と前述した図7(b)との比較から明らかなように、本第3実施例における負荷状態設定比較部14’は、第2実施例における負荷状態設定比較部14に対して、さらに、出力制御部143、最大負荷状態補正部144、および、タイマ145を有する。
【0197】
回路A〜Dの負荷状態レジスタ140a’〜140d’には、上述したように、回路Aからの負荷モード信号Lmodeおよびスケジュール信号Scheduleが供給される。すなわち、負荷状態レジスタ140a’〜140d’には、図19の上部のような負荷状態のスケジュールが格納されることになる。
【0198】
負荷状態レジスタ140a’〜140d’の出力には、出力制御部143が設けられ、タイマ145からの時間情報に応じた回路A〜Dの負荷状態を、内部電源制御部13へ信号SS2として出力する。
【0199】
負荷状態比較器142’は、負荷状態レジスタ140a’〜140d’の情報から最大負荷状態のスケジュール情報を生成し、信号MAX−preとして最大負荷状態補正部144に出力する。
【0200】
最大負荷状態補正部144は、最短期間制約記憶部15からの最短期間情報Tminを受け取って、信号MAX−preに補正を加えて最大負荷状態レジスタ141’に出力する。最大負荷状態レジスタ141’は、タイマ145からの時間情報を受け取って格納し、その出力を信号SS1として外部電源制御部12へ出力する。
【0201】
図21は、図20に示す負荷状態設定比較部14’における最大負荷状態補正部144の動作の一例を説明するための図である。
【0202】
ここで、図21(a)は、期間T41〜T43において、信号(状態)MAX−preが『2(中負荷)』→『1(低負荷)』→『3(高負荷)』と変化する場合を示す。また、図21(b)は、期間T44〜T46において、信号MAX−preが『3(高負荷)』→『1(低負荷)』→『2(中負荷)』と変化する場合を示す。
【0203】
図21(a)および図21(b)に示されるように、最大負荷状態補正部144は、信号MAX−preにおいて、高い負荷状態に挟まれた低い負荷状態の時間帯Tspareが存在する場合、その時間帯が所定の期間Tminより長いか否かで制御を変化させる。
【0204】
具体的に、高い負荷状態に挟まれた低い負荷状態の時間帯Tspareが、所定の期間(最短期間)Tminよりも長い(Tspare>Tmin)とき、外部のDC−DCコンバータ2による電源電圧VDDの制御をそのまま実行する。
【0205】
すなわち、Tspare>Tminのとき、最大負荷状態補正部144は、負荷状態比較器142’からの信号MAX−preを、最大負荷状態MAXとして最大負荷状態レジスタ141’に出力して格納する。これにより、DC−DCコンバータ2は、最大負荷状態MAX(MAX−pre)に従って制御される。
【0206】
一方、高い負荷状態に挟まれた低い負荷状態の時間帯Tspareが、最短期間Tminよりも長くない(Tspare≦Tmin)とき、DC−DCコンバータ2は、通常の制御とは異なる制御が行われる。
【0207】
すなわち、Tspare≦Tminのとき、最大負荷状態補正部144は、負荷状態比較器142’からの信号MAX−preを、その時間的に前後する2つ負荷状態を示す信号のうちで低い方の負荷状態の信号に補正する。
【0208】
具体的に、図21(a)では、『1(低負荷)』の負荷状態に変化させるべき期間T42(VDD=0.8V)は、直前の期間T41の『2(中負荷)』の負荷状態(VDD=1.0V)を維持するように制御される。
【0209】
また、図21(b)では、『1(低負荷)』の負荷状態に変化させるべき期間T45(VDD=0.8V)は、直後の期間T46の『2(中負荷)』の負荷状態(VDD=1.0V)に、期間T46よりも早いタイミングの期間T45で変化するように制御される。
【0210】
図22は、第3実施例の半導体装置における電圧降下および電圧上昇の動作による削減/損失電力を説明するための図である。
【0211】
ここで、図22(a)は、本第3実施例のLSI1を、外部に設けたDC−DCコンバータ2、インダクタ3およびキャパシタ4と共に示すものであり、図22(b)は消費電力の様子を示すものである。
【0212】
なお、図22(b)において、参照符号Erは、電源電圧VDDを下げて動作させることにより削減できる削減電力を示し、また、Emは、電源電圧VDDの電圧上昇動作によって増加してしまう損失電力(キャパシタ4を再充電するため)を示す。
【0213】
すなわち、例えば、LSI1の外部に設けたDC−DCコンバータ2により電源電圧VDDを生成する場合、その電源電圧のレベルを安定させるために大きな平滑化容量(キャパシタ3)Cpを搭載することが多い。
【0214】
そのため、例えば、電源電圧VDDの下降・上昇動作を繰り返すことによって損失するエネルギー(損失電力)Emが存在する。その動作1回あたりの損失電力Emは、次の(式1)のように表される。ここで、Vは、電源電圧VDDの下降前と上昇前の電圧値の差分である。
Em=Cp*V2 (式1)
【0215】
従って、損失電力Emは、キャパシタ4の容量Cpが大きくなればなるほど、大きくなる。従って、電源電圧VDDの下降・上昇動作を行う際には、損失電力Emよりも大きなエネルギー利得(削減電力Er:Er>Em)が無ければならないことになる。
【0216】
すなわち、Er<Emでは、電源電圧VDDを下降させずに高いまま維持した方が電力的に得する。なお、削減電力(エネルギー利得)Erは、電源電圧VDDを下降させた状態で回路動作させることによる利得に相当する。
【0217】
このErは、上記のEmの計算に使用したVと、回路動作率α、回路負荷容量CL、動作周波数f、および、電圧を下降した状態で使える時間Tlowを使って、次の(式1)のように表される。
Er=α*CL*f*Tlow*V2 (式2)
【0218】
ゆえに、電圧下降・上昇を行うことによって電力が得する条件は、Er>Emなので、前述したパラメータを使用すると、次の(式3)のようになる。
Tlow>Cp/(α*CL*f) (式3)
【0219】
すなわち、電圧下降して回路動作できる期間(Tlow)がCp/(α*CL*f)以上ないと、電圧下降させない方が電力的に得することになる。
【0220】
従って、前述した図20における最大状態補正部144は、電圧を落として回路を使える時間(図21におけるTspare)が、電力損得の視点で十分かどうかを判断してDC−DCコンバータ2に電圧下降させるかどうかを決めるものである。
【0221】
そのため、最大状態補正部144で判断基準として使用する最短期間Tminとしては、Cp/(α*CL*f)の値に、電圧下降・上昇にかかる期間(Tup,Tdown)を加算した値に設定するのが好ましい。
【0222】
図23および図24は、第3実施例の半導体装置の動作の一例を説明するための図である。ここで、図23および図24は、前述した第2実施例に関する図9および図10に対応するものであり、上述した負荷状態が『1(低負荷)』におけるTspareとTminの大小関係による制御を加えたものに相当する。
【0223】
すなわち、図23および図24において、負荷状態が『1(低負荷)』の期間T53では、Tspare≦Tminとなっており、また、負荷状態が『1(低負荷)』の期間T55では、Tspare>Tminとなっている。
【0224】
従って、『1(低負荷)』の負荷状態に変化させるべき期間T53(VDD=0.8V)は、Tspare≦Tminなので、直前の期間T52(或いは、直後の期間T54)の『2(中負荷)』の負荷状態(VDD=1.0V)を維持するように制御される。
【0225】
ここで、図23および図24に示されるように、期間T53では、最大負荷状態レジスタ141’に格納される値(最大負荷状態)MAXは、その期間T53の信号MAX−preではなく、例えば、直前の期間T52のMAX−preと同じ値になっている。
【0226】
一方、『1(低負荷)』の負荷状態に変化させるべき期間T55(VDD=0.8V)は、Tspare>Tminなので、そのまま『1(低負荷)』の負荷状態(VDD=0.8V)になるように制御される。すなわち、最大負荷状態レジスタ141’に格納される値MAXは、その期間T55の信号MAX−preの値そのものとなる。
【0227】
このように、本第3実施例の半導体装置によれば、最大負荷状態補正部144によって、負荷状態比較器142’からの信号MAX−preに対する最大負荷補正処理を行い、その補正された値を最大負荷状態レジスタ141’に格納するようになっている。
【0228】
なお、状態変化検知回路121および外部電圧設定回路122による外部電源制御部12の処理、並びに、回路A〜Dの電圧設定レジスタ130a〜130d等による内部電源制御部13の処理は、前述したのと同様なので、その説明は省略する。
【0229】
すなわち、図18に示す第3実施例の半導体装置に対しても、例えば、図8を参照して説明した外部電源制御部12および内部電源制御部13、並びに、図11〜図14を参照して説明したLDO51〜54をそのまま適用することができる。
【0230】
このように、本第3実施例の半導体装置によれば、前述した第1および第2実施例の半導体装置に加えて、より効果的な消費電力の低減を行うことが可能になる。
【0231】
なお、以上では、負荷状態(供給電圧の電圧値)が『3』〜『0』で動作する4つの内部回路A〜Dを備える半導体装置(LSI)1を例として説明したが、これらは、様々に変化され得るのはいうまでもない。
【0232】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに、以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の内部回路と、
外部から印加される電源電圧を降下して、前記複数の内部回路へ供給する供給電圧を生成する複数の降圧回路と、
前記複数の降圧回路により生成される前記複数の供給電圧の電圧値の組み合わせ状態に従って、前記電源電圧の電圧値を変更する電源管理部と、を有することを特徴とする半導体装置。
【0233】
(付記2)
付記1に記載の半導体装置において、
前記各降圧回路は、対応する前記各内部回路に対して前記各供給電圧を供給し、前記電源管理部からの制御信号に従って当該各内部回路の負荷状態に適した電圧値の供給電圧を生成するレギュレータであることを特徴とする半導体装置。
【0234】
(付記3)
付記2に記載の半導体装置において、
前記電源管理部は、前記電源電圧の電圧値を、前記複数の供給電圧のうちで最も高い電圧値の最高供給電圧に従って変更することを特徴とする半導体装置。
【0235】
(付記4)
付記3に記載の半導体装置において、
前記電源電圧は、DC−DCコンバータの出力電圧であり、
前記電源管理部は、前記電源電圧を前記最高供給電圧と同じ電圧値となるように、前記DC−DCコンバータを制御することを特徴とする半導体装置。
【0236】
(付記5)
付記4に記載の半導体装置において、
前記各レギュレータは、
前記電源電圧が印加され、当該レギュレータに対応する前記内部回路に対して供給電圧を供給する供給トランジスタと、
前記供給電圧から得られたモニタ信号の電圧と基準電圧を比較して前記供給トランジスタを制御する差動アンプと、を有することを特徴とする半導体装置。
【0237】
(付記6)
付記5に記載の半導体装置において、前記差動アンプは、
該差動アンプを有する当該レギュレータによる供給電圧が前記最高供給電圧の時、前記供給トランジスタの駆動電流を最大となるように制御することを特徴とする半導体装置。
【0238】
(付記7)
付記5に記載の半導体装置において、前記差動アンプは、
該差動アンプを有する当該レギュレータに対応する前記内部回路が無負荷状態の時、前記供給トランジスタの駆動電流を遮断するように制御することを特徴とする半導体装置。
【0239】
(付記8)
付記6または7に記載の半導体装置において、
前記差動アンプは、前記供給トランジスタの駆動電流を最大となるように、或いは、遮断するように制御する時、当該差動アンプにおける前記モニタ信号の電圧と前記基準電圧を比較する動作を停止することを特徴とする半導体装置。
【0240】
(付記9)
付記1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記電源管理部は、前記電源電圧の電圧値を変更する際、当該電源電圧が同じ電圧値となる期間が所定の期間より短く、当該電源電圧の変更により消費電力の損失が生じると予め判断できる場合には、前記電源電圧の電圧値を維持することを特徴とする半導体装置。
【0241】
(付記10)
付記9に記載の半導体装置において、
前記電源管理部は、第1期間における前記電源電圧の第1電圧値が、その直前の第2期間の第2電圧値およびその直後の第3期間の第3電圧値よりも低く、かつ、前記第1期間が所定の期間よりも短いと予め判断できる場合には、前記第1電圧値を、前記第2電圧値および前記第3電圧値のうちで低い方の電圧値に一致させることを特徴とする半導体装置。
【0242】
(付記11)
付記10に記載の半導体装置において、
前記電源管理部は、前記第1の期間が前記所定の期間よりも長い場合には、前記第1期間における前記電源電圧を前記第1電圧値に変更することを特徴とする半導体装置。
【0243】
(付記12)
付記10または11に記載の半導体装置において、
前記所定の期間は、
前記第2電圧値の前記電源電圧を、前記第1電圧値に変更したときに低減される削減電力と、
前記第1電圧値の前記電源電圧を、前記第3電圧値に変更するときに消費される損失電力を比較して決められることを特徴とする半導体装置。
【0244】
(付記13)
付記12に記載の半導体装置において、
前記所定の期間は、さらに、前記電源電圧を下降および上昇するのにかかる期間も考慮して決められることを特徴とする半導体装置。
【0245】
(付記14)
付記1〜13のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記電源管理部は、前記複数の内部回路の負荷モードを外部から受け取ることを特徴とする半導体装置。
【0246】
(付記15)
付記1〜13のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記複数の内部回路の負荷モードは、所定の処理サイクルタイムごとに、前記複数の内部回路における第1内部回路に対してスケジュール情報と共に供給され、
前記電源管理部は、前記第1内部回路から、前記複数の内部回路の負荷モードおよび前記スケジュール情報を受け取ることを特徴とする半導体装置。
【符号の説明】
【0247】
1,101,201,301,401 半導体装置(LSI)
2,321〜324,420 外部電源回路(DC−DCコンバータ)
3,331〜334,430 インダクタ
4,440,341〜344 キャパシタ
11,11’,111,211,311,411 電力管理ユニット(PMU)
12 外部電源制御部
13 内部電源制御部
14,14’ 負荷状態設定比較部
15 最短期間制約記憶部
51〜54,451〜454 降圧回路(LDO)
121 状態変化検知回路
122 外部電圧設定回路
140a〜140d,140a’〜140d’ 負荷状態レジスタ
141,141’ 最大負荷状態レジスタ
142,142’ 負荷状態比較器
143 出力制御部
144 最大負荷状態補正部
145 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内部回路と、
外部から印加される電源電圧を降下して、前記複数の内部回路へ供給する供給電圧を生成する複数の降圧回路と、
前記複数の降圧回路により生成される前記複数の供給電圧の電圧値の組み合わせ状態に従って、前記電源電圧の電圧値を変更する電源管理部と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記各降圧回路は、対応する前記各内部回路に対して前記各供給電圧を供給し、前記電源管理部からの制御信号に従って当該各内部回路の負荷状態に適した電圧値の供給電圧を生成するレギュレータであることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記電源管理部は、前記電源電圧の電圧値を、前記複数の供給電圧のうちで最も高い電圧値の最高供給電圧に従って変更することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記電源電圧は、DC−DCコンバータの出力電圧であり、
前記電源管理部は、前記電源電圧を前記最高供給電圧と同じ電圧値となるように、前記DC−DCコンバータを制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記各レギュレータは、
前記電源電圧が印加され、当該レギュレータに対応する前記内部回路に対して供給電圧を供給する供給トランジスタと、
前記供給電圧から得られたモニタ信号の電圧と基準電圧を比較して前記供給トランジスタを制御する差動アンプと、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、前記差動アンプは、
該差動アンプを有する当該レギュレータによる供給電圧が前記最高供給電圧の時、前記供給トランジスタの駆動電流を最大となるように制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項5に記載の半導体装置において、前記差動アンプは、
該差動アンプを有する当該レギュレータに対応する前記内部回路が無負荷状態の時、前記供給トランジスタの駆動電流を遮断するように制御することを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の半導体装置において、
前記差動アンプは、前記供給トランジスタの駆動電流を最大となるように、或いは、遮断するように制御する時、当該差動アンプにおける前記モニタ信号の電圧と前記基準電圧を比較する動作を停止することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記電源管理部は、前記電源電圧の電圧値を変更する際、当該電源電圧が同じ電圧値となる期間が所定の期間より短く、当該電源電圧の変更により消費電力の損失が生じると予め判断できる場合には、前記電源電圧の電圧値を維持することを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置において、
前記電源管理部は、第1期間における前記電源電圧の第1電圧値が、その直前の第2期間の第2電圧値およびその直後の第3期間の第3電圧値よりも低く、かつ、前記第1期間が所定の期間よりも短いと予め判断できる場合には、前記第1電圧値を、前記第2電圧値および前記第3電圧値のうちで低い方の電圧値に一致させることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−229311(P2011−229311A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98025(P2010−98025)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】