説明

半導体装置

【課題】光により消弧可能な光スイッチング素子又はその光スイッチング素子を備える半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明の半導体装置(100)は、窒化物半導体を含む素子構造を有する光スイッチング素子(10)と、前記光スイッチング素子に第1の波長の光を照射する第1の光源(20)と、を遮光部材(40)内に備え、前記光スイッチング素子(10)は、前記第1の波長の光を照射されることにより、該光を照射される前に比べて、立ち上がり電圧が上昇することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、より詳細には光スイッチング素子を含む半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光により点弧する光サイリスタ(例えば特許文献1,2参照)は、耐雑音性や電気的絶縁性に優れ、高電圧の電力変換装置などに利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−316455号公報
【特許文献2】特開平7−015004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の光サイリスタは、速やかな消弧が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、光により消弧可能な光スイッチング素子又はその光スイッチング素子を備える半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る半導体装置は、窒化物半導体を含む素子構造を有する光スイッチング素子と、前記光スイッチング素子に第1の波長の光を照射する第1の光源と、を遮光部材内に備え、前記光スイッチング素子は、前記第1の波長の光を照射されることにより、該光を照射される前に比べて、立ち上がり電圧が上昇することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光スイッチング素子の点弧と消弧を光により制御でき、高速応答のスイッチングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態に係る半導体装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る光スイッチング素子の照射光波長による立ち上がり電圧の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の一実施の形態に係る半導体装置の構成を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る光スイッチング素子の概略上面図(a)と、そのA−A断面における概略断面図(b)である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る光スイッチング素子の動作原理を示す概念図(a)及び(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する半導体装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す概略図である。図1に示す例の半導体装置100は、遮光部材40内に、光スイッチング素子10と、第1の光源20と、を備えている。第1の光源20は、第1の波長λ20の光を発光するものであり、該光を光スイッチング素子10に照射可能なように配置されている。なお、以下、光源の発光波長は、ピーク波長にて規定されるものとする。
【0011】
この半導体装置100は、光スイッチング素子10が電源装置50に接続されて駆動される。特に、光スイッチング素子10への入力は、該光スイッチング素子を制御性良く駆動するために、パルス電圧であることが好ましい。また、第1の光源20は、電源装置50に接続されていてもよいが、光スイッチング素子10とは別系統で駆動されることが好ましい。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る光スイッチング素子の照射光波長による立ち上がり電圧の変化を示すグラフである。なお、図2は、後述の実施の形態2に係る光スイッチング素子についても適用される。図2中の破線は、光スイッチング素子10に光が照射される前、好ましくは暗所、における電流−電圧特性曲線(以下、I−V曲線)である。また、図2中の二点鎖線は、光スイッチング素子10に第1の波長λ20の光が照射されているときのI−V曲線である。本図を見ればわかるように、光スイッチング素子10は、第1の波長λ20の光を照射されることにより、該光を照射される前に比べて、立ち上がり電圧が上昇する特性を有している。
【0013】
このように、光スイッチング素子10の立ち上がり電圧を光照射により上昇させることができるため、その上昇した立ち上がり電圧より低い入力電圧に対しては、光スイッチング素子10を非導通状態(オフ状態)とすることができる。したがって、この光スイッチング素子10は、光照射により消弧することができる。
【0014】
また、図1に示す例の半導体装置100は、遮光部材40内に、第3の光源30をさらに備えている。第3の光源30は、第1の波長λ20より短い第3の波長λ30の光を発光するものであり、該光をサイリスタ10に照射可能なように配置されている。また、第3の光源30もまた、電源装置50に接続されていてもよいが、光スイッチング素子10とは別系統で駆動されることが好ましい。
【0015】
図2中の点線は、光スイッチング素子10に第3の波長λ30の光が照射されているときのI−V曲線である。本図を見ればわかるように、光スイッチング素子10は、第3の波長λ30の光を照射されることにより、該光を照射される前に比べて、立ち上がり電圧が降下する特性を有している。
【0016】
このように、光スイッチング素子10の立ち上がり電圧を光照射により降下させることもでき、その降下した立ち上がり電圧より高い入力電圧に対しては、光スイッチング素子10を導通状態(オン状態)とすることができる。したがって、この光スイッチング素子10は、光照射により点弧することもできる。
【0017】
以上のように、本例の光スイッチング素子10は、点弧と消弧を光により制御することができる。
【0018】
<実施の形態2>
図3は、実施の形態2に係る半導体装置の構成を示す概略図である。図3に示す例の半導体装置200は、遮光部材40内に、光スイッチング素子10と、第1の光源20と、第2の光源25と、第3の光源30と、を備えている。すなわち、この半導体装置200は、図1に示す例の半導体装置100の遮光部材40内に、第2の光源25が追加されたものである。第2の光源25は、第1の波長λ20より長い第2の波長λ25の光を発光するものであり、該光を光スイッチング素子10に照射可能なように配置されている。また、第2の光源25もまた、電源装置50に接続されていてもよいが、光スイッチング素子10とは別系統で駆動されることが好ましい。
【0019】
図2中の実線は、光スイッチング素子10に第2の波長λ25の光が照射されているときのI−V曲線である。本図を見ればわかるように、光スイッチング素子10は、照射される光の波長により立ち上がり電圧の上昇率が変わる特性を有している。特に、この光スイッチング素子10は、照射光の波長が長いほど、立ち上がり電圧が上昇しやすい傾向がある。したがって、第2の光源25を備えることにより、立ち上がり電圧を容易に変えることができる。なお、光スイッチング素子10の立ち上がり電圧を上昇させる波長の光を発光する光源は、1つや2つに限られず、3つ以上あってもよい。
【0020】
このように、光スイッチング素子10は、照射光の波長を選択することによって、立ち上がり電圧の値を選択することができ、点弧又は消弧する入力電圧の値を選択することができる。特に、発光波長の異なる複数の光源を備え、発光させる光源を切り替えることで、光スイッチング素子10の立ち上がり電圧を速やかに変えやすく、光スイッチング素子10の点弧と消弧を速やかに切り替えやすい。
【0021】
図4(a)は、実施の形態1に係る光スイッチング素子の概略上面図であり、図4(b)は、図4(a)のA−A断面における概略断面図である。
【0022】
(光スイッチング素子10)
図4に示すように、光スイッチング素子10は、素子構造15内に、窒化物半導体を各々含む、好ましくは窒化物半導体により各々構成される、第1のn型半導体層11、第1のp型半導体層12、第2のn型半導体層13、第2のp型半導体層14、をこの順に含む。なお、この各半導体層は、単層に限られず、複数の層で構成されていてもよく、全体としてその導電型を有していればよい。また、窒化物半導体は、主として、一般式InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)で表される。なお、III族元素の一部がBで置換されてもよく、Nの一部がP、Asなどで置換されてもよい。
【0023】
各半導体層は、不純物を適宜ドープすることで、その導電型を制御することができる。n型不純物としては、Si、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr、Cdなどを用いることができ、特にSi又はOが好ましい。p型不純物としては、Mg、C、Zn、Be、Mn、Ca、Srなどを用いることができ、特にMg又はCが好ましい。これら不純物の濃度は、例えば1×1017/cm以上1×1021/cm以下とすることができる。なお、本明細書における「ドープ」とは、半導体層に不純物を意図的に添加することを意味し、隣接する層からの不純物の拡散や、汚染等による意図しない不純物の混入などは含まないものとする。したがって、「アンドープ」とは、半導体層に不純物を意図的にドープしないことを意味する。具体的には、その不純物の濃度が例えば1×1017/cm未満、好ましくは5×1016/cm未満の場合は、アンドープである。
【0024】
窒化物半導体の成長方法は、成長速度や膜厚の制御がしやすい有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)が好ましい。MOCVDでは、原料ガスに、窒素源ガスとしてアンモニア(NH)と、III族源ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)などを用いる。
【0025】
光スイッチング素子10の素子構造15のより具体的な構成としては、以下のようなものが挙げられる。特に、第1のp型半導体層12は、n型不純物とp型不純物の両方がドープされていることが好ましい。このとき、第1のp型半導体層12は、n型不純物とp型不純物の両方がドープされているが、多数キャリアが正孔となっている状態を有する。これにより、第1のp型半導体層12内に不純物準位が他の層より比較的多く設けられ、本発明の光スイッチング素子の特性が得られやすいと考えられる。更には、第1及び第2のn型半導体層11,13は、n型不純物がドープされp型不純物がアンドープであって、また第2のp型半導体層14は、p型不純物がドープされn型不純物がアンドープであることが好ましい。例えば、第1及び第2のn型半導体層11,13にはSi、第1のp型半導体層12にはSiとC、第2のp型半導体層14にはMg、が各々ドープされるとよい。第1のp型半導体層12の不純物濃度は、例えば1×1017/cm以上2×1019/cm以下の範囲で、n型不純物よりp型不純物の濃度を大きくするとよい。より具体的には、n型不純物の濃度を1×1017/cm以上5×1017/cm未満とし、p型不純物の濃度を5×1017/cm以上5×1018/cm以下とする。
【0026】
第1のp型半導体層12の膜厚は、例えば1nm以上1μm以下であり、好ましくは10nm以上500nm以下、より好ましくは20nm以上100nm以下とする。その他の半導体層の膜厚は、特に限定されないが、第1のn型半導体層11の膜厚は例えば1nm以上10μm以下とし、第2のn型半導体層13及び第2のp型半導体層14の膜厚は例えば1nm以上1μm以下とする。また、第1及び第2のn型半導体層11,13、第1及び第2のp型半導体層12,14は、GaNを主成分として形成されることで、その結晶性を高めやすい。
【0027】
第1の波長λ20及び第3の波長λ30は、光スイッチング素子10の素子構造15の構成に依存して変わると考えられるが、後述の実施例など代表的な例としては、以下のように定義することができる。第1の波長λ20は、470nmより長い波長とすることができる。その上限は、特に限定されないが、例えば780nm以下である。また、第3の波長λ30は、470nm以下とすることができる。その下限は、特に限定されないが、例えば380nm以上である。
【0028】
図示する例の光スイッチング素子10は、基板16を備え、その基板16上に素子構造15が設けられている。基板16は、素子構造15を構成する半導体の成長用基板であってもよいし、その成長用基板を除去した後、素子構造15に接合される接合基板であってもよい。なお、基板16が接合基板の場合は通常、基板側からの半導体層の順序が図示しているものと逆になる。成長用基板は、サファイア、GaN、SiC、Si、GaAsなどを用いることができる。接合基板は、銅合金(Cu−Wなど)、Si、ガラスなどを用いることができる。また、基板16は省略することもでき、光スイッチング素子10を薄膜状の素子としてもよい。
【0029】
図示する例の光スイッチング素子10では、n側電極(カソード)17が、第1のn型半導体層11に設けられている。さらに、p側電極(アノード)19が、透光性導電膜18を介して、第2のp型半導体層14に設けられている。pn両電極には、例えばAu、Pt、Pd、Rh、Ni、W、Mo、Cr、Tiのいずれかの金属又はこれらの合金やそれらの組み合わせを用いることができる。透光性導電膜18は、ITOやIZO、Ni/Auなどを用いることができ、省略してもよい。基板16が絶縁性の場合はpn両電極が同一面側に設けられる構造を、基板16が導電性の場合はn側/p側電極が互いに反対の面に各々設けられる構造を、採用することができる。
【0030】
なお、光スイッチング素子10は、光により点弧/消弧が可能であり、点弧時に発光する光スイッチング素子とすることもできる。この場合、光スイッチング素子10の発光波長は、第3の波長λ30以下であることが好ましい。これにより、光スイッチング素子10自身が発光する光による光スイッチング素子10の点弧/消弧への影響を軽減することができる。また、このように光スイッチング素子10を発光させる場合には、素子構造15内、より詳細には第2のn型半導体層13と第2のp型半導体層14の間、に活性層を備えることが好ましい。また、第3の光源30として、このような発光する光スイッチング素子を用いることもできる。
【0031】
図5(a),(b)は、実施の形態1に係る光スイッチング素子の動作原理を示す概念図である。まず、図5(a)に示すように、光スイッチング素子10に第1の波長λ20の光が照射されているとき、第1のp型半導体層12において、価電子帯の電子が、その光を吸収して、不純物や結晶欠陥による深い準位に捕捉され、価電子帯の正孔が増加する。これにより、第1のp型半導体層12の電位障壁が高くなり、立ち上がり電圧が上昇する。また、照射光の波長が長いほど立ち上がり電圧が上昇しやすい傾向は、不純物や結晶欠陥による深い準位が低エネルギー側に多く設けられているためであると考えられる。次に、図5(b)に示すように、光スイッチング素子10に第3の波長λ30の光が照射されているとき、第1のp型半導体層12において、深い準位に捕捉されていた電子が、その光を吸収して、伝導帯に励起される。これにより、第1のp型半導体層12の電位障壁が低くなり、立ち上がり電圧が降下する。以上のように、光スイッチング素子10は、照射光の波長に依存して立ち上がり電圧が変わると考えられる。
【0032】
以下、本発明の半導体装置における光スイッチング素子以外の各構成要素について説明する。
【0033】
(光源20,25,30)
光源は、発光ダイオード素子や半導体レーザ素子等の半導体発光素子を好適に用いることができる。また、有機EL素子などでもよい。特に、発光ダイオード素子は、比較的安価で且つ小型な光源とすることができる。半導体レーザ素子は、発光スペクトルの線幅が比較的小さく、光スイッチング素子の点弧/消弧を精度良く切り替えることができる。また、光ファイバを利用して光スイッチング素子に効率良く光を照射することもできる。光源は、これらの発光素子そのもの、つまりチップの状態であってもよいし、発光素子が配線基板、リードフレーム、樹脂パッケージ、ステムなどの基体に実装されたものであってもよい。また、これらの発光素子と、蛍光体や非線形光学結晶などと、の組み合わせを切り替え可能な、波長可変の光源としてもよい。
【0034】
(遮光部材40)
遮光部材は、光スイッチング素子を覆って、光スイッチング素子への余計な外来光の入射を抑制するものである。遮光部材は、光スイッチング素子や光源を収容する筐体でもよいし、光スイッチング素子に直接形成されたものでもよい。具体的には、例えば、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、フェノール樹脂、BTレジン(bismaleimide triazine resin)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、液晶ポリマーなどの樹脂材料を用いることができる。また、これらの透光性樹脂に、カーボンブラックなどの顔料を配合することで、暗色の樹脂とすることが好ましい。なお、遮光部材を光スイッチング素子に直接形成する場合は、光源の光を光スイッチング素子に照射可能なように、これらの透光性樹脂により光スイッチング素子や光源を被覆し、更にその上を上記暗色の樹脂で被覆するとよい。
【0035】
(電源装置50)
電源装置は、光スイッチング素子に所望の信号を入力可能な電源を備えるものであればよい。電源装置は、電流源でもよいが、光スイッチング素子への印加電圧を制御しやすい電圧源が好ましく、パルス電圧源がより好ましい。なお、電源装置は、配線基板や回路基板を備えていてもよく、光スイッチング素子や光源はそのような基板上に設けられていてもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0037】
実施例1の光スイッチング素子は、光により点弧及び消弧が可能であり、点弧時に発光する光スイッチング素子である。この光スイッチング素子は、サファイア基板上に、MOCVD法により成長された、以下の表1に示すような窒化物半導体の素子構造を備える。
【0038】
【表1】

【0039】
そして、反応性イオンエッチングで半導体の積層体の一部を除去して、第1のn型半導体層のSiドープGaN層が露出され、その露出面にn側電極が設けられている。n側電極は、スパッタ法で形成された、W/Pt/Au(膜厚20nm/200nm/400nm)である。p側電極は、最上層のMg高ドープGaN層上に、蒸着法で形成された膜厚400nmのITOの透光性導電膜を介して、スパッタ法で形成された、Rh/Pt/Au(膜厚100nm/200nm/400nm)である。なお、半導体の積層体は、pn両電極を露出させて、スパッタ法で形成された膜厚200nmのSiOの保護膜に被覆されている。
【0040】
実施例1の半導体装置は、黒色のシリコーン樹脂製の筐体である遮光部材内に、上記のような光スイッチング素子と、3種類の光源と、を収容したものである。第1、第2、第3の光源はそれぞれ、緑色発光(発光波長550nm)、赤色発光(発光波長630nm)、青色発光(発光波長460nm)の発光ダイオード素子である。なお、この光スイッチング素子に、第1、第2、第3の光源の光をそれぞれ照射したとき、立ち上がり電圧は、4.0V、5.7V、2.5Vになる。
【0041】
<駆動例1>
この半導体装置をパルス電圧源に接続し、入力信号として、振幅3.5Vのパルス電圧を光スイッチング素子に印加する。そして、光スイッチング素子に第2の光源の赤色光を照射すると、光スイッチング素子をオフ状態とし、入力信号を遮断することができる。また、光スイッチング素子に第3の光源の青色光を照射すると、光スイッチング素子をオン状態とし、入力信号を通過させることができる。再度オフ状態に戻すには、光スイッチング素子に第2の光源の赤色光を照射すればよい。
【0042】
<駆動例2>
また、この半導体装置をパルス電圧源に接続し、入力信号として、振幅3.0Vと4.5Vのパルス電圧を光スイッチング素子に各々印加する。そして、光スイッチング素子に第1の光源の緑色光を照射すると、振幅3.0Vの入力信号を遮断し、振幅4.5Vの入力信号を通過させることができる。また、光スイッチング素子に第2の光源の赤色光を照射すると、両振幅の入力信号を遮断することができる。また、光スイッチング素子に第3の光源の青色光を照射すると、両振幅の入力信号を通過させることができる。このように、発光させる光源に応じて、特定の入力信号を選択的に通過させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る半導体装置は、電力変換装置におけるスイッチング電源などに利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
10…光スイッチング素子(11…第1のn型半導体層、12…第1のp型半導体層、13…第2のn型半導体層、14…第2のp型半導体層、15…素子構造、16…基板、17…n側電極、18…透光性導電膜、19…p側電極)
20…第1の光源、25…第2の光源、30…第3の光源
40…遮光部材
50…電源装置
100,200…半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体を含む素子構造を有する光スイッチング素子と、前記光スイッチング素子に第1の波長の光を照射する第1の光源と、を遮光部材内に備え、
前記光スイッチング素子は、前記第1の波長の光を照射されることにより、該光を照射される前に比べて、立ち上がり電圧が上昇することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記光スイッチング素子は、照射される光の波長により立ち上がり電圧の上昇率が変わる請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記光スイッチング素子に前記第1の波長より長い第2の波長の光を照射する第2の光源を前記遮光部材内に備える請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の波長は、470nmより長い請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記光スイッチング素子に前記第1の波長より短い第3の波長の光を照射する第3の光源を前記遮光部材内に備え、
前記光スイッチング素子は、前記第3の波長の光を照射されることにより、該光を照射される前に比べて、立ち上がり電圧が降下する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3の波長は、470nm以下である請求項5に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−42069(P2013−42069A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179478(P2011−179478)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】