説明

半導体記憶装置、半導体記憶装置の製造方法

【課題】完全CMOS型SRAMセルとして、セル面積とコストを大きく増やすことなくソフトエラー耐性を向上すること。
【解決手段】第1(2)の駆動用および負荷用MISFETのゲート電極が、第1(2)の転送用MISFETのゲート電極と別に一体型のN型ポリシリコンで形成され、該N型ポリシリコン中の不純物濃度が制御されて第1(2)の抵抗素子が形成されており、第1および第2の抵抗素子が、それぞれ、第1または第2の負荷用MISFETのゲート電極の先であって、第1または第2の駆動用MISFETとは逆方向側に形成されており、第2(1)のインバータの出力ノードからの配線が、第1(2)の抵抗素子となるN型ポリシリコンの上部に形成されたコンタクト電極に繋がり、第1および第2の負荷用MISFETが、N型ゲート電極をもつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタティックな状態に書き込みがされまた読み出しがされる半導体記憶装置およびその製造方法に係り、特に、いわゆるソフトエラーを抑制するのに好適な半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SRAM(static random access memory)セルのソフトエラー対策として、SRAMセルに抵抗(R)を付加する公知例は下記特許文献1、非特許文献1など数多く存在する。しかし、微細化の進んだサブミクロン世代のSRAMセルに抵抗(R)を付加するにあたり、セル面積とコストを大きく増やすことなく作り込むことは非常に難しい。
【特許文献1】特公平8−28439号公報
【非特許文献1】ジェー・エル・アンドリューズ(J. L. Andrews)、他5名、 "Single Event Error Immune CMOS RAM"、(米国) IEEE Trans. Nucl. Sci.、 NS-29(6)、 pp. 2040-2043、 Dec. 1982
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、完全CMOS型SRAMセルとして、セル面積とコストを大きく増やすことなくソフトエラー耐性を向上することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る半導体記憶装置は、半導体基板上に形成された第1および第2の駆動用MISFETと第1および第2の負荷用MISFETからなるフリップフロップ回路と、前記半導体基板上に形成された第1および第2の転送用MISFETとを有するメモリセルを備え、前記第1の駆動用MISFETと前記第1の負荷用MISFETとで第1のインバータを構成し前記第2の駆動用MISFETと前記第2の負荷用MISFETとで第2のインバータを構成する完全CMOS型の半導体記憶装置であって、前記第1の駆動用MISFETのゲート電極と前記第1の負荷用MISFETのゲート電極が、前記第1の転送用MISFETのゲート電極と別に一体型のN型ポリシリコンで形成され、該N型ポリシリコン中の不純物濃度が制御されて第1の抵抗素子が形成されており、前記第2の駆動用MISFETのゲート電極と前記第2の負荷用MISFETのゲート電極が、前記第2の転送用ゲート電極と別に一体型のN型ポリシリコンで形成され、該N型ポリシリコン中の不純物濃度が制御されて第2の抵抗素子が形成されており、前記第1および第2の抵抗素子が、それぞれ、前記第1または第2の負荷用MISFETのゲート電極の先であって、前記第1または第2の駆動用MISFETとは逆方向側に形成されており、前記第2のインバータの出力ノードからの配線が、前記第1の抵抗素子となる前記N型ポリシリコンの上部に形成されたコンタクト電極に繋がり、前記第1のインバータの出力ノードからの配線が、前記第2の抵抗素子となる前記N型ポリシリコンの上部に形成されたコンタクト電極に繋がり、前記第1および第2の負荷用MISFETが、N型ゲート電極をもつことを特徴とする。
【0005】
また、本発明の一態様に係る半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板上に形成された第1および第2の駆動用MISFETと第1および第2の負荷用MISFETからなるフリップフロップ回路と、前記半導体基板上に形成された第1および第2の転送用MISFETとを有するメモリセルを備え、前記第1の駆動用MISFETと前記第1の負荷用MISFETとで第1のインバータを構成し前記第2の駆動用MISFETと前記第2の負荷用MISFETとで第2のインバータを構成する完全CMOS型の半導体記憶装置の製造方法であって、前記第1、2のインバータそれぞれの前記駆動用MISFETのゲート電極および前記負荷用MISFETのゲート電極を、N型の不純物濃度を有するポリシリコン層でそれぞれ一体的に形成する工程と、前記形成されたポリシリコン層それぞれの前記第1または第2の負荷用MISFET側を除く前記第1または第2の駆動用MISFET側にN型不純物をイオン注入する工程と、前記ポリシリコン層をアニールする工程とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スタティックな状態に書き込みがされまた読み出しがされる半導体記憶装置およびその製造方法において、セル面積とコストを大きく増やすことなくソフトエラー耐性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一態様に係る半導体記憶装置によれば、完全CMOS型SRAMセルのソフトエラー対策として、セル面積と製造コストを大きく増やすことなく、例えば数kΩ〜数十MΩの抵抗をセル内に作り込むことができる。一般に、サブミクロン世代のSRAMセル領域内に(例えば面積が数μm以下の微小なセル領域内に)セル面積とコストを大きく増やすことなく、既存の構造の一部に高抵抗素子を付加することは非常に難しい。
【0008】
本発明の一態様では、例えばSRAMセルの一番長いゲートポリシリコンを利用して高抵抗素子を作り、負荷用MISFETのゲートをN型ポリシリコンにする。このため、SRAMセルとして、駆動用MISFETと負荷用MISFETのゲート電極が一つに繋がっている形態のものが向いている。ここでその抵抗値はポリシリコン内に導入するN型不純物量とその領域長さで制御する。また、負荷用MISFETのゲート電極をN型とすることで、ポリシリコン中の抵抗領域となる低濃度不純物を大きくとることができ、高抵抗素子が作りやすくなり小さなセル面積を実現する。また、本発明の一態様に係る半導体記憶装置の製造方法によればこのような半導体記憶装置を製造することができる。
【0009】
本発明の実施態様として、前記第1および第2の抵抗素子は、それぞれ、前記第1または第2の負荷用MISFETのゲート電極の領域を含んで形成されている、とすることができる。これにより、N型のゲート電極をもつ負荷用MISFETのそのポリシリコンの不純物濃度が低濃度の構造となるが、オン状態ではポリシリコン中がN型の蓄積状態となるため、電流駆動力の劣化が小さい。また、高抵抗素子の領域を長くとれるので、高抵抗化に都合がよい。
【0010】
また、実施態様として、前記第1および第2の負荷用MISFETのチャネル領域が、P型の埋め込み領域を有せず、かつ、低濃度のN型不純物を有する、とすることができる。N型ゲートをもつ負荷用MISFETのチャネル領域が低濃度N型不純物を含むようにすることで、1V以下のしきい値を実現でき、かつ、ソース・ドレイン領域、LDD部、エクステンション部となるP型拡散層濃度とチャネル濃度の交差による接合リークやトンネルリーク電流を抑えることができるので、低スタンドバイのP型MISFETを実現できる。
【0011】
また、実施態様として、前記第1および第2の抵抗素子の領域が、N型不純物を含まず、前記第1および第2の駆動用MISFETのゲート電極から前記第1および第2の負荷用MISFETのゲート電極までの前記N型ポリシリコンの領域が、高濃度のN型不純物を有する、とすることができる。これにより、短いポリシリコンの領域に、より高抵抗の素子を作ることができる。
【0012】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置におけるSRAMセルの等価回路を示す図である。このSRAMセルはいわゆる完全CMOS型である。図1において、Qt1、Qt2は転送トランジスタ(NMOS)、Qd1、Qd2は駆動トランジスタ(NMOS)、Qp1、Qp2は負荷トランジスタ(PMOS)である。これらのトランジスタは一般的な分類でMISFETである。トランジスタQd1とトランジスタQp1で第1のインバータを構成し、トランジスタQd2とトランジスタQp2で第2のインバータを構成している。これらのインバータの出力ノードが、それぞれ第1の記憶ノード54、第2の記憶ノード55になる。転送トランジスタQt1、Qt2のゲートはワード線51に接続され、そのソース・ドレインの一方はそれぞれビット線52、53に接続されている。
【0013】
第1の抵抗素子R1および第2の抵抗素子R2は、負荷トランジスタQp1、Qp2(PMOS)のゲートと記憶ノード54、55との間に作られた多結晶シリコン(以下、ポリシリコンという。)領域の抵抗である。このポリシリコン領域の抵抗は、数kΩ〜数十MΩの抵抗値を有する。なお、抵抗素子R1、R2を有することによる効果については後に詳細に説明する。
【0014】
図2は、本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置におけるSRAMセルの物理的構造を示す概略的な平面レイアウト図である。なお、説明の都合上、上層など省略している部分がある。また、図1で説明した符号の構成部分に相当する部位には、同一の符号を付している。
【0015】
ひとつのSRAMセル30は点線で示される領域である。この領域は、その中心点で点対称図形となることから、このレイアウト図を点対称型のセルと呼ぶことにする。図2に示すように、SRAMセル30は、シリコン領域1、2、3、4、素子分離領域21、ポリシリコン領域5、8、ポリシリコン領域(以下ポリシリコン層という)6、7を有する。ポリシリコン領域5、8、ポリシリコン層6、7は、ゲート電極や抵抗素子として機能する。
【0016】
また、コンタクト12、14は接地線へ繋がり、コンタクト17、18は電源線に繋がり、コンタクト11、16はビット線へ繋がる。コンタクト15とコンタクト9は上部配線で繋がることで第2の記憶ノードを形成し、さらにコンタクト9とコンタクト19が上部配線で繋がることで第2の記憶ノードと第1のインバータのゲート電極が繋がることになる。同様に、コンタクト10とコンタクト13が上部配線で繋がることで第1の記憶ノードを形成し、さらにコンタクト10とコンタクト20が上部配線で繋がることでノード1と第2のインバータのゲート電極が繋がることになる。
【0017】
また、トランジスタQp1とコンタクト19の間、トランジスタQp2とコンタクト20の間にポリシリコン層による抵抗素子R1、R2を形成するが、本実施形態のSRAMセルは、抵抗素子R1、R2およびPFETのゲート電極がN型であることを除き、従来のSRAMセルと同様の構成を有している。
【0018】
次に、ポリシリコン層6中の抵抗素子R1を縦断する断面の構造について図3を参照してさらに説明する。図3は、図2に示す平面レイアウト図中のA−Aa断面の矢視方向図である。なお、図3におけるB1からB4は、図2中に示したB1からB4に相当する目安の位置である。図3において、すでに説明した構成要素と同一部位には同一符号を付してある。
【0019】
図3に示すように、この半導体記憶装置は、シリコン基板として不純物濃度1E14〜1E16cm−3程度の低濃度P型タイプのシリコン基板70を使用し、不純物濃度1E16〜1E18cm−3程度のNウェル71が不純物濃度1E16〜1E18cm−3程度のPウェル72を覆うトリプルウェル構造となっている。変形例としては、図4に示すようにNウェル71とPウェル72が隣り合い、Pウェル72とP型の基板70が繋がっているツインウェル構造であってもよい。図4は、図3に示したものとは異なる、図2に示す平面レイアウト図中のA−Aa断面の矢視方向図である。図4において図3と同一相当の部位には同一符号を付してある。上記以外のその部分の説明は図3の説明と同じである。
【0020】
また、図3(または図4)で、半導体記憶装置として、素子分離領域62、ゲート絶縁膜63、ポリシリコン層6、TiSiやCoSi等のサリサイド層65、シリコンナイトライド層またはシリコンオキサイド層66、タングステンのコンタクト67、Ti/TiNなどのバリアメタル層77、スペーサー層73、スペーサー層74、層間膜75、層間膜76、配線層78を有する。ポリシリコン層6内は、1E19cm−3を超える高濃度不純物層6aと1E19cm−3以下の低濃度不純物層6bに分割されており、高濃度不純物層6aはトランジスタQd1、Qp1のゲート電極および配線として使用されている。一方、低濃度不純物層6bは抵抗素子R1として使用されている。
【0021】
次に、図5ないし図20を参照して、図3に示した構造を得るための工程について以下説明する。図5ないし図20は、図2に示したSRAMセルの製造過程をA−Aa断面で示した工程図である。これらの図においてすでに説明した部位と同一相当の部位には同一符号を付してある。
【0022】
まず、図5に示すように、B(ホウ素)濃度が1E14〜1E16個/cmのP型の基板70に、浅いトレンチによる素子分離領域62を形成し、Nウェル71とPウェル72、そしてNウェル71とPウェル72の下にN領域をイオン注入で作りトリプルウェル構造を形成する。そして、ウェットエッチングで基板表面の犠牲酸化膜を除去後、さらにゲート絶縁膜63を熱酸化によって付ける。
【0023】
次に、図5に示した構造に、図6に示すようにゲート電極となるポリシリコン層64を堆積し、ドーズ量が0個/cm(すなわちこの場合はイオン注入しない)から14乗台個/cmの範囲でP(リン)(またはAs(ヒ素)でもよい)をイオン注入する。このドーズ量によってポリシリコン層64に低濃度不純物層69の領域を作り抵抗素子の抵抗値を制御する。なお、図6では、イオン注入による方法を示したが、ポリシリコン層を堆積するときにP(リン)またはAs(ヒ素)をドープしながら低濃度不純物層69を堆積する方法でもかまわない(図7参照)。その場合は、狙いの抵抗値になるようにポリシリコン層64中の不純物濃度が0〜19乗台個/cmの範囲で制御する。
【0024】
続いて、図8に示すように、ポリシリコン層64がシリサイド化されないようにするためのマスクとなるシリコンナイトライド層(またはシリコンオキサイド層)66を堆積する。さらに、図9に示すように、ゲート加工用のマスク79を使ってシリコンナイトライド層66およびポリシリコン層64をRIE(reactive ion etching)法で加工する。
【0025】
次に、トランジスタのゲート電極とソース/ドレイン領域を形成するためのイオン注入を後ほど行うが、図10に示すように、ゲート電極として高濃度領域を作る必要がある駆動用トランジスタ側のシリコンナイトライド層66を部分的にエッチングするため、マスク79aを使ってRIE法で加工する。続いて、図11、図12に示すように、スペーサー層73、74を堆積の後、これをRIEで加工する。
【0026】
次に、図13に示すように、マスク80を使用して、NMOSのソース/ドレイン領域とシリコンナイトライド層66がないポリシリコン層64の領域に高濃度のAs(ヒ素)、またはP(リン)、またはAs(ヒ素)とP(リン)とをイオン注入し、N型の高濃度領域を形成する。
【0027】
そして、図14に示すように、マスク80に反転のマスク81を利用して、PMOSのソース/ドレイン領域とシリコンナイトライド膜66がないポリシリコン層64の領域に高濃度のB(ホウ素)をイオン注入して、P型の高濃度領域を形成する。ここで、ポリシリコン層64上にシリコンナイトライド層66(またはシリコンオキサイド層)がある部分は、イオン注入の飛程からポリシリコン層64内に不純物が入らないように先のシリコンナイトライド層66(またはシリコンオキサイド層)の膜厚が調整されているので不純物が入らないが、入っても影響しない程度にする。一方、負荷トランジスタのソース/ドレイン領域だけは、高濃度のP型不純物が入り、PMOSトランジスタとなる。
【0028】
続いて、図15に示すように、スペーサー層73の上面をエッチングで加工除去した後、不活性雰囲気でアニールすることで、N型の高濃度領域を負荷トランジスタQp1、Qp2のゲート領域まで拡散させる(高濃度不純物層6aになる。残り部分が低濃度不純物層6bである。高濃度不純物層6aと低濃度不純物層6bとで目的とするポリシリコン層6となる。)。このときの拡散時間、温度は、シリコンナイトライド層66の長さの関係とNFETのトランジスタ特性を加味して調整する。
【0029】
図21には、このように形成されたポリシリコン層6における不純物濃度の位置的な関係の一例を示す。図21は、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面におけるポリシリコン層の不純物濃度の一例を示す図である。なお、濃度設定はこの場合に限ることはない。
【0030】
次に、図16に示すように、サリサイド工程でTiSiまたはCoSi等のサリサイド層65をポリシリコン層6上の所定領域に形成する。続いて、図17に示すように、層間膜75、76を堆積し、さらに図18に示すように、コンタクトマスクを使用して、抵抗素子R1となるN型の低濃度側のポリシリコン層6上部にコンタクトホールを開口する。続いて、図19に示すように、バリアメタル層77を形成し、さらに図20に示すようにタングステン(W)を堆積し、コンタクト67および配線層78を形成する。ここでポリシリコン層6とのコンタクト抵抗は、ポリシリコン層6中の不純物濃度が低い場合に高抵抗になるので、高抵抗素子としても機能する。したがって、抵抗素子R1、R2は、より厳密には、ポリシリコン層6中の抵抗とコンタクト抵抗の2つの因子で決まることになる。
【0031】
次に、抵抗素子R1、R2を有することによる効果について以下説明する。第1の記憶ノード54側につながる抵抗素子R2と、インバータを形成している負荷用トランジスタQp2と駆動用トランジスタQd2のゲート容量およびオーバーラップ容量の合計容量C2は、その回路配置から時定数(τ=CR)を持つ。もしも、記憶ノード54にソフトエラーの元になる電荷が流れ込んだとき(その原因には例えばα線または宇宙線が考えられる)、その時定数τ=C2×R2で緩和されて、対向するインバータのゲート電圧、すなわちトランジスタQp2とトランジスタQd2のゲート電圧が変動しにくくなるので、結果的にインバータが反転する最大電荷量が増加したことになり、ソフトエラー耐性が上がることになる。
【0032】
図22には、第1の記憶ノード54に電荷が流入したときの、抵抗を挿入した場合(a)としない場合(b)の第1の記憶ノード54および第2の記憶ノード55の電位波形を横軸を時間にとって示した。流入する電荷量の大きさと挿入する抵抗値の関係で結果は変わるが、うまく設定すると(a)のように記憶ノード54および記憶ノード55の電位が反転せずにもとの電位状態に戻る。
【0033】
ところで、ポリシリコン層6、7の抵抗素子R1、R2の値は、不純物濃度の他に低濃度領域の長さでも調整できる。負荷トランジスタQp1、Qp2のゲート電極部まで低濃度領域にできれば、さらに高抵抗な素子を形成できる。しかし、一般にゲート電極のポリシリコン中の濃度が低濃度になると、そのトランジスタの駆動力劣化が懸念される。ところが、ゲート電極となるポリシリコンとしてN型を使用していることから、駆動用トランジスタがON状態のときのポリシリコン内は電子が蓄積状態となるため、駆動力低下の影響が少ないという利点がある。
【0034】
この実施形態では、N型ゲート電極をもつPMOSを負荷用トランジスタとして使用することになる。その場合、仕事関数の違いでしきい値が高くなることを利用し、チャネルを低濃度(1E18cm−3以下)のN型不純物のみで形成することでしきい値を1V以下に調整する。この方法を使うと、セル内のしきい値を調整するチャネルイオン注入工程の減少分でコストの増加が避けられることや、チャネル濃度が低いことによるドレイン近傍の接合リーク電流の減少により低スタンドバイ電流特性を実現できるという2つのメリットがある。
【0035】
なお、上記実施形態では、ゲートやソース/ドレインにサリサイド工程を適用した場合の例を示したが、サリサイド工程なしの場合にも適用できる。さらに、図22(a)、(b)、(c)に示すように、SRAMセルに容量Ca、Cb、Cを付加する(例えばSRAMの上部構造として付加することができる。)ことによれば、さらに時定数τを大きくすることができ、ソフトエラー耐性を増すことができる。図22は、本発明の他の実施形態に係る半導体記憶装置におけるSRAMセルの等価回路を示す図であり、すでに説明した構成要素には同一の符号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置におけるSRAMセルの等価回路を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体記憶装置におけるSRAMセルの物理的構造を示す概略的な平面レイアウト図。
【図3】図2に示す平面レイアウト図中のA−Aa断面の矢視方向図。
【図4】図3に示したものとは異なる、図2に示す平面レイアウト図中のA−Aa断面の矢視方向図。
【図5】図2に示したSRAMセルの製造過程をA−Aa断面で示した工程図。
【図6】図5の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図7】図6の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図8】図7の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図9】図8の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図10】図9の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図11】図10の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図12】図11の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図13】図12の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図14】図13の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図15】図14の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図16】図15の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図17】図16の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図18】図17の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図19】図18の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図20】図19の続図であって、図2に示したSRAMセルのA−Aa断面における工程図。
【図21】図2に示したSRAMセルのA−Aa断面におけるポリシリコン層の不純物濃度の一例を示す図。
【図22】図2に示したSRAMセルの抵抗素子R1、R2による効果の説明図。
【図23】本発明の他の実施形態に係る半導体記憶装置におけるSRAMセルの等価回路を示す図。
【符号の説明】
【0037】
1…シリコン領域、2…シリコン領域、3…シリコン領域、4…シリコン領域、5…ポリシリコン領域、6…ポリシリコン層、6a…高濃度不純物層、6b…低濃度不純物層、7…ポリシリコン層、8…ポリシリコン領域、9…コンタクト、10…コンタクト、11…コンタクト、12…コンタクト、13…コンタクト、14…コンタクト、15…コンタクト、16…コンタクト、17…コンタクト、18…コンタクト、19…コンタクト、20…コンタクト、21…素子分離領域、30…一つのSRAMセル、51…ワード線、52、53…ビット線、54…第1の記憶ノード、55…第2の記憶ノード、62…素子分離領域、63…ゲート絶縁膜、64…ポリシリコン層、65…サリサイド層、66…シリコンナイトライド層またはシリコンオキサイド層、67…タングステンコンタクト、68…高濃度不純物層、69…低濃度不純物層、70…シリコン基板、71…Nウェル、72…Pウェル、73…スペーサー層、74…スペーサー層、75…層間膜、76…層間膜、77…バリアメタル層、78…配線層、79…マスク、79a…マスク、80…マスク、81…マスク、R1、R2…抵抗素子、Qd1…第1の駆動トランジスタ(MISFET)、Qd2…第2の駆動トランジスタ(MISFET)、Qp1…第1の負荷トランジスタ(MISFET)、Qp2…第2の負荷トランジスタ(MISFET)、Qt1…第1の転送トランジスタ(MISFET)、Qt2…第2の転送トランジスタ(MISFET)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に形成された第1および第2の駆動用MISFETと第1および第2の負荷用MISFETからなるフリップフロップ回路と、前記半導体基板上に形成された第1および第2の転送用MISFETとを有するメモリセルを備え、前記第1の駆動用MISFETと前記第1の負荷用MISFETとで第1のインバータを構成し前記第2の駆動用MISFETと前記第2の負荷用MISFETとで第2のインバータを構成する完全CMOS型の半導体記憶装置であって、
前記第1の駆動用MISFETのゲート電極と前記第1の負荷用MISFETのゲート電極が、前記第1の転送用MISFETのゲート電極と別に一体型のN型ポリシリコンで形成され、該N型ポリシリコン中の不純物濃度が制御されて第1の抵抗素子が形成されており、
前記第2の駆動用MISFETのゲート電極と前記第2の負荷用MISFETのゲート電極が、前記第2の転送用ゲート電極と別に一体型のN型ポリシリコンで形成され、該N型ポリシリコン中の不純物濃度が制御されて第2の抵抗素子が形成されており、
前記第1および第2の抵抗素子が、それぞれ、前記第1または第2の負荷用MISFETのゲート電極の先であって、前記第1または第2の駆動用MISFETとは逆方向側に形成されており、
前記第2のインバータの出力ノードからの配線が、前記第1の抵抗素子となる前記N型ポリシリコンの上部に形成されたコンタクト電極に繋がり、
前記第1のインバータの出力ノードからの配線が、前記第2の抵抗素子となる前記N型ポリシリコンの上部に形成されたコンタクト電極に繋がり、
前記第1および第2の負荷用MISFETが、N型ゲート電極をもつこと
を特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1および第2の抵抗素子が、それぞれ、前記第1または第2の負荷用MISFETのゲート電極の領域を含んで形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1および第2の負荷用MISFETのチャネル領域が、P型の埋め込み領域を有せず、かつ、低濃度のN型不純物を有することを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1および第2の抵抗素子の領域が、N型不純物を含まず、
前記第1および第2の駆動用MISFETのゲート電極から前記第1および第2の負荷用MISFETのゲート電極までの前記N型ポリシリコンの領域が、高濃度のN型不純物を有すること
を特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
半導体基板上に形成された第1および第2の駆動用MISFETと第1および第2の負荷用MISFETからなるフリップフロップ回路と、前記半導体基板上に形成された第1および第2の転送用MISFETとを有するメモリセルを備え、前記第1の駆動用MISFETと前記第1の負荷用MISFETとで第1のインバータを構成し前記第2の駆動用MISFETと前記第2の負荷用MISFETとで第2のインバータを構成する完全CMOS型の半導体記憶装置の製造方法であって、
前記第1、2のインバータそれぞれの前記駆動用MISFETのゲート電極および前記負荷用MISFETのゲート電極を、N型の不純物濃度を有するポリシリコン層でそれぞれ一体的に形成する工程と、
前記形成されたポリシリコン層それぞれの前記第1または第2の負荷用MISFET側を除く前記第1または第2の駆動用MISFET側にN型不純物をイオン注入する工程と、
前記ポリシリコン層をアニールする工程と
を具備することを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−13250(P2006−13250A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190299(P2004−190299)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】