説明

半導体記憶装置及び半導体記憶装置の製造方法

【課題】相変化材料を記録層とするエッジコンタクト型メモリセルにおいて、被覆率の悪化による記録層の膜厚ばらつきによる下部電極と上部電極間の距離が変動し、この変動に基づきキャパシタ特性がばらつく(抵抗値の変動)ことを抑制する。
【解決手段】下部電極13、電極間絶縁膜14、上部電極15からなる積層膜16を形成し、この積層膜の各層側面を露出する凹部19aに相変化材料を埋設して記録層19とすることで記憶素子を構成すると、下部電極13と上部電極15間の距離は電極間絶縁膜14の厚みt1で一定となり、特性ばらつきを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置及びその製造方法に関し、詳しくは、相変化材料を記録層に用いた半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電源がオフ状態であっても情報を不揮発で保持することが可能な半導体記憶装置として、相変化材料を記録層として使用したPRAM(Phase change Random Access Memory;相変化ランダムアクセスメモリ)の開発が進められている。
【0003】
通常、PRAMでは、下部電極上に相変化材料層、相変化材料層上に上部電極を形成する。PRAMにおいて消費電力を低減するには、下部電極(ヒータ電極)と相変化材料の接触面積をできるだけ小さくすることが有効である。従来、プラグ形状の下部電極〔ヒータ電極上に相変化材料層、上部電極を積層したボトムコンタクト型が主流であるが、プラグの上部面積を縮小することが、リソグラフィ限界により妨げられている。これに代えて、平板形状の下部電極上に絶縁膜を形成し、下部電極と絶縁膜の積層構造の一部に凹部を形成した後、該凹部内に相変化材料を埋め込むことで、平板形状の下部電極の側面に相変化材料を接触させたエッジコンタクト型のメモリセルが提案されている(非特許文献1)。エッジコンタクト型では、下部電極の膜厚により相変化材料との接触面積を変えることができ、リソグラフィ技術の影響を受けることなく下部電極と相変化材料との接触面積を縮小することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ワイ エイチ ハ、外7名(Y. H Ha, et al.)、「消費電力が非常に小さい相変化RAM用エッジコンタクト型セル(An edge contact type cell for phase change RAM featuring very low power consumption)」、2003年VLSI技術シンポジウム予稿(2003 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers)、12B−4、p175、2003年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、非特許文献1に記載されている従来のエッジコンタクト型メモリセルについて検討を行った結果、以下のような問題点のあることを見出した。
【0006】
下部電極(ヒータ電極)と相変化材料を介して対向する上部電極間の距離は、凹部での相変化材料層のカバレッジに依存して変動しやすい。また凹部での相変化材料層のカバレッジを半導体基板上のすべてのメモリセルにおいて均一に制御して形成することは容易では無い。これは、下部電極と絶縁膜の積層構造に形成した微細化した凹部の側面を覆うように相変化材料層を堆積する必要があるためで、凹部の形状の影響を大きく受けて、凹部側壁でのカバレッジの悪化が起き易いからである。このため、従来のエッジコンタクト型メモリセルを用いたPRAMでは、下部電極と上部電極間の距離の変動に基づく特性ばらつき(抵抗値の変動)が生じやすいと言う問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態によれば、
半導体基板上に
下部電極、電極間絶縁層、上部電極とからなる積層膜と
前記積層膜の各層の側面と接する相変化材料からなる記録層と
を有する記憶素子を備えた半導体記憶装置が提供される。
【0008】
また、本発明の別の形態によれば、
複数のワード線と、該ワード線と交差する方向に延在した複数のビット線とを有し、前記ワード線とビット線のそれぞれの交点に相変化材料を記録層として有する記憶素子と能動素子を含むメモリセルを備えた相変化ランダムアクセスメモリであって、
前記記憶素子は、
下部電極、電極間絶縁層、上部電極とからなる積層膜と
前記積層膜の各層の側面と接する相変化材料からなる記録層と
を有する相変化ランダムアクセスメモリが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、記録層(相変化材料層)を介して対向する下部電極と上部電極の距離は両電極間に挟まれた電極間絶縁膜の膜厚によって制御できるため、両電極間距離のばらつきを抑制して、PRAMのメモリセルを形成することが可能となる。これにより、記録層がアモルファス相及び結晶相のいずれの状態でも、電極間の抵抗値のばらつきを抑制することができる。したがって、消費電力を低減した高性能のPRAMを容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係るメモリセルアレイ回路図(a)と、各メモリセルの回路図(b)である。
【図2】本発明の好ましい実施形態によるPRAM100のメモリセル構造を示す図であり、(a)は(b)のB-B部における略断面図、(b)は(a)のA-A部における略透視平面図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態によるPRAM100の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態によるPRAM100の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態によるPRAM100の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態によるPRAM100の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態によるPRAM100の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態によるPRAM100の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態によるPRAM100の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図10】従来技術によるPRAM150の構造を示す図であり、(a)は略断面図、(b1)、(b2)は(a)の破線部における拡大断面図であり、カバレッジによる相変化材料層の膜厚の差違を示す。
【図11】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200のメモリセル構造を示す図であり、(a)は(b)(c)のB-B部における略断面図、(b)は(a)、(c)のC−C部における略断面図、(c)は平面図である。
【図12】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図13】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図14】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図15】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図16】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図17】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図18】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図19】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【図20】本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のBB部における略断面図、(b)は略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
〔第1の実施形態例〕
図1(a)は、本発明を用いて形成した、n行×m列(n、mは2以上の整数)のマトリックス構造を有するPRAMのメモリセルアレイ回路図であり、図1(b)は各メモリセルの回路図である。
【0013】
PRAMでは、記憶素子(不揮発性素子)の記録層を構成する相変化材料の相状態によってデータを記憶しており、記録層を構成する相変化材料は、アモルファス相(非晶質相)及び結晶相のいずれかの相状態をとることができる。アモルファス相では相対的に高抵抗状態、結晶相では相対的に低抵抗状態となる。つまり、PRAMに用いる相変化材料は、結晶相における電気抵抗とアモルファス相における電気抵抗が大きく異なっていることから、この現象を利用して、データを記録することができる。
【0014】
相状態の変化は、相変化材料に書き込み電流を流し、これにより相変化材料を加熱することによって行われる。相変化材料をアモルファス状態とするためには、高電圧で短いパルスを加え、融点以上の温度に一旦加熱した後、急冷すればよい。一方、相変化材料を結晶状態とするためには、低電圧で長いパルスを加え、結晶化温度以上、融点未満の温度に保持すればよい。加熱は通電によって行い、加熱時の温度は通電量、すなわち、単位時間当たりの電流量や通電時間によって制御することができる。データの読み出しは、相変化材料に読み出し電流を流し、その抵抗値を測定することによって行われる。
【0015】
図1に示すように、このPRAMは、n本のワード線W1〜Wnと、m本のビット線B1〜Bmと、これらのワード線W1〜Wnとビット線B1〜Bmの各交点に配置されたメモリセル(1、1)〜(n、m)とを備えている。ワード線W1〜Wnは、ロウデコーダ101に接続されて、ビット線B1〜Bmは、カラムデコーダ102に接続されている。各メモリセルは、夫々対応するビット線B1〜Bmとグランド105との間に直列に接続されたトランジスタ103及び記憶素子104によって構成されている。トランジスタ103の制御端子(ゲート電極)は、夫々対応するワード線W1〜Wnに接続されている。
【0016】
このような構成を有する不揮発性半導体記憶装置は、ロウデコーダ101によってワード線W1〜Wnのいずれか一つを活性化し、この状態でビット線B1〜Bmの少なくとも1本に電流を流すことによって、データの書き込み及び読み出しを行うことができる。つまり、対応するワード線が活性化しているメモリセルでは、トランジスタがオンするため、対応するビット線は、記憶素子104を介してグランド105に接続された状態となる。したがって、この状態で所定のカラムデコーダにより選択したビット線に書き込み電流を流せば、記憶素子104に含まれる記録層を相変化させることができる。
【0017】
データの読み出しを行う場合も、ロウデコーダ101によってワード線W1〜Wnのいずれか一つを活性化し、この状態で、ビット線B1〜Bmの少なくとも1本に読み出し電流を流せばよい。記録層がアモルファス相となっているメモリセルについては抵抗値が高くなり、記録層が結晶相となっているメモリセルについては抵抗値が低くなることから、これを図示しないセンスアンプによって検出すれば、記録層の相状態を把握することができる。
【0018】
図2(a)及び(b)は、本発明の好ましい実施形態によるPRAM100のメモリセル構造を示す図であり、(a)は(b)のB−B部における略断面図、(b)は(a)のA−A部における略透視平面図である。
【0019】
図2(a)及び(b)に示すように、夫々に対応するビット線B1〜Bmのうち、一つのビット線Bjを共有する2つのメモリセル(i,j)、(i+1,j)が配置されている。本実施形態によるPRAM100には、半導体基板1にメモリセルを構成する能動素子として4つのMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが設けられている。夫々のトランジスタは、半導体基板1の主面上に設けられた素子分離領域となるSTI(Shallow Trench Isolation)2によって囲まれた2つの活性領域3a、3b内に位置しており、半導体基板1上に設けられたY方向に延在するゲート絶縁膜4と、ゲート絶縁膜4を覆うようにY方向に延在するゲート電極5と、半導体基板1の1つの活性領域3(3aまたは3b)に対して設けられた3つの拡散層6で構成される。ここでは、説明の便宜上、4個のMOSトランジスタを記載しているが、実際には、メモリセル領域全体で数千〜数十万個のMOSトランジスタが配置されるものであり、ここで記載した2つの活性領域3も同様である。したがって、ビット線およびワード線も数百〜数千オーダーの本数となるものである。
【0020】
図2(b)において、活性領域3aと3bにおける構成は、夫々2つのMOSトランジスタを有した同じ構成であるため、以下の説明では活性領域3aについて述べる。
【0021】
ゲート電極5の上面は、エッチングマスクとなっていた絶縁膜7で覆われており、ゲート絶縁膜4とゲート電極5の側面はサイドウォール絶縁膜8で覆われている。ここで、2つのトランジスタのゲート電極5aはワード線Wiを構成し、ゲート電極5bはワード線Wi+1を構成する。ゲート電極5とは別にワード線を設けて接続しても良い。なお、2つのトランジスタのソースは拡散層6bとなって共有されており、第1の層間絶縁膜9に設けられた第1のコンタクトプラグ10bと、層間絶縁膜11、18、20に設けられた第4のコンタクトプラグ22を介して、グランド配線となる導電層23bに接続されている。また2つのトランジスタのドレインは拡散層6aと6cとなっており、第1のコンタクトプラグ10aと10c並びに第2のコンタクトプラブ12を介して、夫々に対応する記憶素子に接続される。
【0022】
2つのMOSトランジスタを覆う第1の層間絶縁膜9には、夫々の拡散層6a、6b、6cと接続する第1のコンタクトプラグ10(10a、10b、10c)が設けられており、そのうち第1のコンタクトプラグ10aと10cは、第1の層間絶縁膜9上に位置する第2の層間絶縁膜11に設けられた第2のコンタクトプラグ12と接続している。
【0023】
第2の層間絶縁膜11上には、夫々のMOSトランジスタに対応した2つの記憶素子が設けられている。記憶素子は、下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15とサイドウォール膜17と記録層19で構成されている。ここで、下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15は積層状態となっており、電極間絶縁膜14が下部電極13と上部電極15の間に位置することによって、下部電極13と上部電極15の電気的絶縁がなされている。今後、下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15による積層膜を積層膜16と称することがある。サイドウォール膜17は、積層膜16の側面を覆うように設けられており、記録層19は相変化材料によって形成され、積層膜16を覆うように設けられた第3の層間絶縁膜18において、積層膜16を半導体基板1の法線の向きとなるZ方向で2つに分断するように設けられている。さらに、記録層19の底部は第2の層間絶縁膜11中に位置しており、記録層19の上面の位置は、第3の層間絶縁膜18の上面と一致している。
【0024】
第3の層間絶縁膜18上には、第4の層間絶縁膜20が位置しており、記録層19を覆っている。第4の層間絶縁膜20を貫通して設けられた第3のコンタクトプラグ21は、上部電極15と接続しており、第2乃至第4の層間絶縁膜11、18、20を貫通して設けられた第4のコンタクトプラブ22は、第1のコンタクトプラブ10bと接続されている。なお第4のコンタクトプラグ22は、積層膜16の側面に設けられた絶縁膜によるサイドウォール膜17と接しているので、積層膜16との絶縁性が保たれている。
【0025】
第4の層間絶縁膜20上には、導電層23がマスク膜24と共にY方向に延在して設けられており、特に導電層23bはグランド配線となって、第4のコンタクトプラブ22と第1のコンタクトプラグ10bを介して拡散層6bと接続されている。一方、導電層23aと23cは、第3のコンタクトプラグ21を介して、記憶素子を構成する上部電極15と接続されている。導電層23を覆うように設けられた第5の層間絶縁膜25には、第5のコンタクトプラグ26が設けられており、導電層23aと23cに接続している。さらに第5のコンタクトプラグ26は、第5の層間絶縁膜25上にX方向に延在して設けられた配線層27と接続している。
【0026】
以上説明したように、本発明によるPRAMでは、不揮発性メモリを構成している下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15が積層構造となっており、記録層19は下部電極13と上部電極15の夫々の側面部に接続するように設けられている。この構造によれば、下部電極13と上部電極15の距離は、電極間絶縁膜14の厚さに依存することになる。さらに詳細に述べると、下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15は、夫々半導体基板1の主面に対して平行な平面に積層した構造となっているため、下部電極13と上部電極15の距離は、夫々の側面部に形成した記録層19の厚さに関係することなく、電極間絶縁膜14の厚さに依存することになる。電極間絶縁膜14を平面上で均一に形成することは容易である。その結果、下部電極13と上部電極15の間の距離のばらつきが抑制されるので、PRAM100の動作を安定させることができる。
【0027】
図3乃至図9は、本発明の好ましい実施形態によるPRAM100の製造方法を説明する工程図であり、(a)は(b)のB−B部における略断面図、(b)は略平面図である。
【0028】
(図3工程)
本実施形態によるPRAMの製造方法では、まずシリコン等の半導体基板1上に選択素子としてプレーナ型のMOSトランジスタを形成する。選択素子の構造並びに製造方法は特に限定されるものではなく、縦型MOSトランジスタやバイポーラトランジスタ等によって形成してもよい。ここでは、図2に示したPRAM100と同じように、プレーナ型のMOSトランジスタを構成しているゲート絶縁膜4、ゲート電極5、拡散層6を示している。さらに、トランジスタを覆っている第1の層間絶縁膜9に形成された第1のコンタクトプラグ10を示している。
【0029】
(図4工程)
次に、第1の層間絶縁膜9上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、180nm厚のシリコン酸化膜である第2の層間絶縁膜11を成膜する。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、第1のコンタクトプラグ10の一部が露出するように、第2の層間絶縁膜11に直径65nmのホール12aを形成する。次に、スパッタ法による120nm厚のタングステン(W)で、ホール12aを埋め込む。次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって、第2の層間絶縁膜11上で余剰となっているタングステンを除去して、第2のコンタクトプラグ12を形成する。なお、CMP法によって第2の層間絶縁膜11を70nm程度研磨するため、第2の層間絶縁膜11の膜厚は、約110nmとなる。
【0030】
(図5工程)
次に、第2の層間絶縁膜11上にスパッタ法によって5nm厚の窒化チタン(TiN)である下部電極13を成膜する。次に、下部電極13上にCVD法によって、30nm厚のシリコン窒化膜である電極間絶縁膜14を成膜する。電極間絶縁膜14をCVD法を用いて形成することで、半導体基板1の上面において、均一な膜厚で形成することができる。次に、電極間絶縁膜14上にスパッタ法によって、20nm厚の窒化チタン(TiN)である上部電極15を成膜して、下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15を積層状態とする。
【0031】
(図6工程)
次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、積層状態となった下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15を第1の方向(X方向)に長尺を有する平面形状にパターニングする。このときのドライエッチングは、下部電極13の下地となっている第2の層間絶縁膜11までオーバーエッチングして、下部電極13を完全に分離する。このパターニングによって、積層膜16(パターニングされた下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15)は、縦寸法Y1が70nm、横寸法X1が200nmとなり、1つの第2のコンタクトプラグ12に対して、1つのX方向に長尺を有する矩形状の積層膜16が接続する。次に、CVD法によって厚さ30nmのシリコン窒化膜を成膜してからエッチバックすることで、積層膜16の側面にシリコン窒化膜であるサイドウォール絶縁膜17を形成する。
【0032】
(図7工程)
次に、積層膜16を覆うようにCVD法によって、80nm厚のシリコン酸化膜である第3の層間絶縁膜18を成膜してから、CMP法によって第3の層間絶縁膜18の平坦化を行う。このとき、CMP法によって第3の層間絶縁膜18を40nm研磨するため、第3の層間絶縁膜18の膜厚は、40nmとなる。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、記録層を形成する際の型枠となる凹部(ホール19a)を形成する。このホール19aは、縦寸法Y2を150nm、横寸法X2を70nm、深さH1を125nmとしたため、下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15で構成された積層膜16を完全に分断している。また、積層膜16を完全に分断するためには、下部電極13をオーバーエッチングする必要があり、それに伴って、第2の層間絶縁膜11にもホール19aの一部を構成している深さ30nmのホール19bが形成される。なお、ホール19aは、必ずしも積層膜16を分断する必要は無く、少なくとも積層膜16の各層(下部電極13,電極間絶縁膜14、上部電極15)の側面部が連続して露出するように形成されていれば良い。例えば、Y方向に隣接する2つの積層膜16間にホール19aを形成し、ホール19aのY方向の両端部に積層膜16の各層が露出するようにしても良い。また、ホール19aに代えて、Y方向に延在する溝を形成して、Y方向に配置される複数の積層膜を1つの溝で分断しても良い。いずれも、露出する下部電極側面の面積が記録層との所望の接触面積を満たすように形成される。
【0033】
(図8工程)
次に、ホール19aを埋め込むようにスパッタ法にて、70nm厚の相変化材料を成膜する。相変化材料とは、2つ以上の相状態をとり、相状態によって電気抵抗が異なる材料であれば特に限定されないが、カルコゲナイド材料を選択することが好ましい。カルコゲナイド材料とは、ゲルマニウム(Ge)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、インジウム(In)、セレン(Se)等の元素を少なくとも一つ以上含む合金を指す。一例として、GaSb、InSb、InSe、SbTe、GeTe等の2元系元素、GeSbTe、InSbTe、GaSeTe、SnSbTe、InSbGe等の3元系元素、AgInSbTe、(GeSn)SbTe、GeSb(SeTe)、Te81Ge15Sb等の4元系元素を挙げることができる。本実施形態においては特に、GeSbTe(GST)を選択することが好ましい。次に、CMP法によって、第3の層間絶縁膜18上に残留している相変化材料を除去して、記録層19を形成する。これで、記憶素子が完成して、下部電極13と上部電極15は、電極間絶縁膜14の厚さt1=30nmの間隔で対向し、夫々の側面に形成された記録層19を介して電気的に接続されている。なお、成膜直後の相変化材料はアモルファス状態であり、通常は、その後の熱処理(400℃程度)により相変化材料全体を結晶化して低抵抗状態とする。一般的なPRAMでは、低抵抗状態(結晶相)をデジタルの「0」に、高抵抗状態(アモルファス相)をデジタルの「1」に対応させることから、このような熱処理により初期状態の記録層は全てデジタルの「0」状態に設定される。この熱処理は、単独の処理としても良く、また、その他のプロセスにおける熱処理を兼用しても良い。
【0034】
(図9工程)
次に、第3の層間絶縁膜18上にCVD法によって、60nm厚のシリコン窒化膜である第4の層間絶縁膜20を形成する。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法により、第4の層間絶縁膜20と第3の層間絶縁膜18を貫いて、上部電極15の一部を露出させる直径70nmのホール21aを形成する。同様にして、第2乃至第4の層間絶縁膜11、18、20を貫いて、第1のコンタクトプラグ10bの一部を露出させる直径70nmのホール22aを形成する。次に、ホール21aと22aを埋め込むように、スパッタ法によって、120nm厚のタングステンを成膜する。次に、CMP法によって、第4の層間絶縁膜20上で余剰となっているタングステンを除去して、第3のコンタクトプラグ21と第4のコンタクトプラグ22を形成する。
【0035】
次に、第4の層間絶縁膜20上にスパッタ法を用いて、270nm厚のアルミニウム(Al)を成膜する。さらに、アルミニウム上にCVD法を用いて、250nm厚のシリコン酸化膜であるマスク膜24を成膜する。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法により、マスク膜24をエッチングマスクとしたアルミニウムのパターニングを行い、Y方向に延在した第1の配線23を形成する。このときマスク膜24は、薄膜化するものの残留して、第1の配線23上に位置している。次に、第1の配線23を覆うようにCVD法を用いて、1000nm厚のシリコン酸化膜である第5の層間絶縁膜25を成膜してから、CMP法によって第5の層間絶縁膜25の平坦化を行う。このとき、CMP法によって第5の層間絶縁膜25を500nm研磨するため、第5の層間絶縁膜25の膜厚は、500nmとなる。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、第1の配線23aと23cの一部が露出するように直径60nmのホール26aを形成する。次に、ホール26aを埋め込むようにスパッタ法にて、200nm厚のタングステンを成膜する。次に、CMP法によって、第5の層間絶縁膜25上で余剰となっているタングステンを除去して、第5のコンタクトプラグ26を形成する。次に、第5の層間絶縁膜25上にスパッタ法を用いて620nm厚のアルミニウム(Al)を成膜する。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、アルミニウムをパターニングして、X方向に延在した第2の配線27を形成する。
【0036】
以上の工程によって半導体装置が完成する。
なお、各層の膜厚やホールのサイズ等は一例であって、変更が可能である。
また下部電極及び上部電極に使用する導電体はTiN以外の金属膜(例えばタングステン等)や、複数の金属の積層膜も可能である。また、下部電極と上部電極を異なる材料で形成してもよい。
【0037】
ここで比較のため、従来のエッジコンタクト型メモリセルを備えたPRAMについて説明する。
【0038】
図10は、従来技術によるPRAM150の構造を示す図であり、(a)は略断面図、(b1)、(b2)は(a)の破線部における拡大断面図であり、カバレッジによる相変化材料層の膜厚の差違を示す。
【0039】
従来技術によるPRAMと本発明の実施形態によるPRAMを比較すると、トランジスタ並びに配線構造は同じであるが、記憶素子の構造が異なっている。すなわち、図10に示す通り、従来技術による記憶素子では、記憶素子を構成する下部電極13と電極間絶縁膜14が積層されており、この積層構造の一部に凹部が設けられている。記録層19は、積層構造上に形成され、その上に上部電極15が形成される。上部電極15の一部は記録層19の一部と共に凹部内にも形成され、Z方向に蛇行した構造となっている。上部電極15と下部電極13は、凹部内において下部電極15の側面部において記録層19を介して対向している。このような構造の従来技術による不揮発性メモリにおいては、下部電極13と上部電極15間における最短の導電経路がX方向となっているため、記録層19の厚さtによって導電経路の抵抗値が変動する。さらに詳細に述べると、相変化材料が結晶状態である場合の記録層19の抵抗Rは、R=ρc×t/Aで示される。ここで、ρcは結晶状態における相変化材料の比抵抗、Aは導電経路の断面積であり、記録層19の厚さtが厚くなるほど導電経路の抵抗は大きくなる。前述したように、PRAMでは、記憶素子の記録層を構成する相変化材料の相状態によってデータを記憶しているので、導電経路の電気抵抗が変動すると、PRAMの動作が安定しないという問題が生じる。
【0040】
従来技術では、記録層19を下部電極13の側面部に成膜するため、記録層19の被覆率(カバレッジ)の相違によって、記録層19の厚さtが変動する。すなわち、図10の(b1)、(b2)に示すように、カバレッジが良好な状態(b1)の記録層19の厚さt2は、カバレッジが悪い状態(b2)の厚さt3よりも厚くなる(t2>t3)。カバレッジの状態は、記録層19を形成するホール19cの形状に依存しており、十分に制御することができないので、記録層19の厚さばらつきは避けられなかった。
【0041】
これに対して、本発明によるPRAMでは、不揮発性メモリを構成する下部電極13と電極間絶縁膜14と上部電極15を積層させた後に、積層膜16を分断するように記録層19を形成している。この製造方法によれば、記録層19は必然的に積層膜16の側面部に形成されることになり、さらに下部電極13と上部電極15の距離は、電極間絶縁膜14の厚さt1(図8参照)に依存している。電極間絶縁膜14は、半導体基板1の主面に対して平行な平面に成膜したものであるので、下地の形状に依存することなく厚さt1を制御することができる。その結果、電極間絶縁膜14の厚さ変動が低減するので、PRAM100の特性ばらつきを低減し、動作を安定させることが容易となる。
【0042】
〔第2の実施形態例〕
図11(a)、(b)、(c)は、本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200を示す図であり、(a)は(b)(c)のBB部における略断面図、(b)は(a)(c)のCC部における略断面図、(c)は略平面図である。
【0043】
図11(a)及び(b)に示すように、本実施形態によるPRAM200は、半導体ピラー52(以降、シリコンピラーと表記)が隣接して位置しており、シリコンピラー52には能動素子となる縦型MOSトランジスタが設けられている。シリコンピラー52に設けられた縦型MOSトランジスタは、半導体基板50(以降、半導体基板50と表記)に設けられた素子分離領域となるSTI(Shallow Trench Isolation)51に囲まれた活性領域53内に位置しており、シリコンピラー52の側面部に設けられたゲート絶縁膜54と、ゲート絶縁膜54を覆うゲート電極55と、シリコンピラー52の下部周辺に設けられた第1の拡散層56と、シリコンピラー52の上面に設けられた第2の拡散層57で構成される。なお、第1の拡散層56は、シリコンピラー52の真下の領域ではなく、シリコンピラー52が設けられていない半導体基板50の平坦領域に位置している。図11では、説明の便宜上4行3列の計12個のMOSトランジスタを記載しているが、実際には、数千〜数十万個のMOSトランジスタが配置されるものである。
【0044】
シリコンピラー52は複数隣接して、半導体基板50の主面に対してほぼ垂直に設けられている。図11(b)に示すように、Y方向で隣接している2つのシリコンピラー52の間の距離は、ゲート電極55の膜厚の2倍未満に設定されている。Y方向で2つのシリコンピラー52をこのように配置することで、各シリコンピラー52の側面に設けられたゲート電極55同士を接触させることができ、電気的接続を確実にすることができる。一方、X方向で隣接するシリコンピラー52間の距離は、図11(a)に示すように、ゲート電極55同士が接触しないように十分な距離が保たれている。
【0045】
ゲート電極55は、シリコンピラー52の側面に設けられたゲート絶縁膜54と、シリコンピラー52の上面に位置している第2の拡散層57の側面部に設けられたサイドウォール絶縁膜58を覆うように設けられている。さらに詳細には、ゲート電極55は、ゲート絶縁膜54の外周を覆うように位置しており、サイドウォール絶縁膜58を介して、第2の拡散層57の周縁部を覆うリング状の上部領域を有している。また、ゲート電極55と第1の拡散層56とを絶縁するように絶縁膜80が半導体基板50表面に設けられている。なお、ここではシリコンピラー52の外周全面にゲート電極55を設けた、いわゆるサラウンドゲート型の縦型MOSトランジスタを示しているが、少なくとも一つの側面にゲート電極が形成された他の縦型MOSトランジスタとしても良い。
【0046】
グランド配線となる第1の拡散層56は、活性領域53の底部、すなわち、第1の層間絶縁膜60によって埋め込まれたシリコンピラー52の下部周辺に設けられている。第2の拡散層57は、シリコンピラー52の上面に設けられている。第1及び第2の拡散層56、57は、半導体基板中の不純物とは反対の導電型を有する不純物をイオン注入することにより形成することができる。第2の拡散層57は、シリコンピラー52の上部に位置したLDD(Lightly Doped Drain)領域59に接続されている。第2の拡散層57の外壁面には、ゲート電極55との間を絶縁する筒状のサイドウォール絶縁膜58が位置しており、第2の拡散層57とゲート電極55との間の絶縁が確保されている。
【0047】
第2の拡散層57に接続している第1のコンタクトプラグ64は、第1の層間絶縁膜60と第2の層間絶縁膜63を貫通するコンタクトホール内に導電性材料を充填することにより設けられている。同様に、下部電極68に接続している第2のコンタクトプラグ67は、第3の層間絶縁膜65を貫通するように設けられており、ゲート電極55に接続している第3のコンタクトプラグ62は、第1の層間絶縁膜60と第1の配線層61を貫通するように設けられている。コンタクトプラグの材料としては、ポリシリコンやタングステンを用いることが好ましい。第1のコンタクトプラグ64と第2のコンタクトプラグ67が接触しているので、第1のコンタクトプラグ64と接している第2の拡散層57は、第2のコンタクトプラグ67と接している下部電極68と電気的に接続されている。また、ゲート電極55は、第3のコンタクトプラグ(ゲートコンタクトとも表記する)62を介して第1の配線層61と接続している。
【0048】
第3の層間絶縁膜65上には、シリコンピラーに設けられたMOSトランジスタ数に対応した記憶素子(不揮発性素子)が設けられている。記憶素子は、下部電極68と電極間絶縁膜69と上部電極70と記録層73で構成されている。ここで、下部電極68と電極間絶縁膜69と上部電極70は積層状態となっており、電極間絶縁膜69が下部電極68と上部電極70の間に位置することによって、下部電極68と上部電極70の電気的絶縁がなされている。今後、下部電極68と電極間絶縁膜69と上部電極70による積層膜を積層膜71と称することがある。記録層73は、第2のコンタクトプラグ67が位置している第3の層間絶縁膜65と積層膜71を覆うように設けられた第4の層間絶縁膜72において、隣接して位置している積層膜71の間で夫々の積層膜71と接続するようにY方向に延在して設けられている。さらに、記録層73の底部は第3の層間絶縁膜65の膜中に位置しており、記録層73上面の位置は、第4の層間絶縁膜72の上面と一致している。なお、記録層73は、積層膜71の全ての側面に接続されるのでは無く、積層膜71を構成している4つの側面の1つだけに接続するように設けるものである。したがって、記録層73は、積層膜71の1つ置きに設けられている。なお図中において、左側の積層膜71aと中央の積層膜71bは、1つの記録層73aを共有しているが、右側の積層膜71cには、共有する積層膜が存在しないので、1つの記録層73bを占有している。このような構造は、積層膜71が奇数個存在する場合、必ず生ずる構造である。つまり、積層膜71が偶数個存在する場合、記録層73は隣接する2つの積層膜71の間に位置して共有されることになるが、積層膜71が奇数個存在する場合、最終的に1つの積層膜71が余剰となるため、その余った積層膜71だけは必然的に1つの記録層73を占有することになる。
【0049】
第4の層間絶縁膜72上には、記録層73を覆うように第5の層間絶縁膜74が位置している。第5の層間絶縁膜74を貫通して設けられた第4のコンタクトプラグ76は、上部電極70に接続されている。なお記録層73との絶縁性を向上させるために、第2のコンタクトプラグ67の側面には絶縁膜によるサイドウォール膜66が設けられている。同様に、第4のコンタクトプラグ76の側面には絶縁膜によるサイドウォール膜75が設けられている。さらに、第5の層間絶縁膜74上には、ビット線となる導電層77が設けられており、第4のコンタクトプラグ76を介して、不揮発性メモリを構成する上部電極70と接続されている。
【0050】
以上説明したように、本発明によるPRAMでは、不揮発性メモリを構成している下部電極68と電極間絶縁膜69と上部電極70が積層構造となっており、記録層73は下部電極68と上部電極70の夫々の側面部に接続するように設けられている。この構造によれば、下部電極68と上部電極70の距離は、電極間絶縁膜69の厚さに依存することになる。さらに詳細に述べると、下部電極68と電極間絶縁膜69と上部電極70は、夫々半導体基板50の主面に対して平行な平面に積層した構造となっているため、下部電極68と上部電極70の距離は、夫々の側面部に形成した記録層73の厚さに関係することなく、電極間絶縁膜69の厚さに依存することになる。その結果、下部電極68と上部電極70の距離変動が低減するので、PRAM200の動作を安定させることができる。
さらに、本発明によるPRAMでは、下部電極68と電極間絶縁膜69と上部電極70が積層構造としてシリコンピラー52上に位置しており、記録層73は隣接するシリコンピラー52の間に位置している。この構造によれば、シリコンピラー52に形成しているトランジスタの占有面積を拡大することなく不揮発性メモリを配置できるので、縦型トランジスタを備えるPRAM200の高密度化を図ることができる。
【0051】
図12乃至図20は、本発明の好ましい他の実施形態によるPRAM200の製造方法を示す図であり、(a)は略断面図、(b)は略平面図である。
【0052】
(図12工程)
本実施形態によるPRAM200の製造工程では、まず半導体基板50上に縦型トランジスタを形成する。トランジスタの構造並びに製造方法は特に限定されるものではなく、周知の構造並びに製造方法によって形成することができる。ここでは、図11に示したPRAM200と同じように、シリコンピラー52においてトランジスタを構成しているゲート絶縁膜54、ゲート電極55、第1の拡散層56、第2の拡散層57を示している。さらに、トランジスタを覆っている第1の層間絶縁膜60と第2の層間絶縁膜63に形成された第1のコンタクトプラグ64と、第1の層間絶縁膜60に形成された第1の配線層61を示している。
【0053】
(図13工程)
次に、第2の層間絶縁膜63上にCVD法によって180nm厚のシリコン酸化膜である第3の層間絶縁膜65を成膜する。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、第1のコンタクトプラグ64の一部が露出するように、第3の層間絶縁膜65に直径65nmのホール67aを形成する。次に、ホール67aの内壁にCVD法によって、10nm厚のシリコン窒化膜を成膜後にエッチバックすることで、サイドウォール膜66を形成する。
【0054】
(図14工程)
次に、スパッタ法による100nm厚のタングステン(W)でホール67aを埋め込む。次に、CMP法によって、第3の層間絶縁膜65上で余剰となっているタングステンを除去して、第2のコンタクトプラグ67を形成する。このとき、第2のコンタクトプラグ67は、サイドウォール膜66によって側壁が囲まれており、第1のコンタクトプラグ64を介して、第2の拡散層57と接続している。なお、CMP法によって第3の層間絶縁膜65を70nmオーバー研磨するため、第3の層間絶縁膜65の膜厚は、110nmとなる。
【0055】
(図15工程)
次に、第3の層間絶縁膜65上にスパッタ法によって5nm厚の窒化チタン(TiN)である下部電極68を成膜する。次に、下部電極68上にCVD法によって、30nm厚のシリコン窒化膜である絶縁膜69を成膜する。次に、絶縁膜69上にスパッタ法によって、20nm厚の窒化チタン(TiN)である上部電極70を成膜して、下部電極68と絶縁膜69と上部電極70を積層状態とする。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、積層状態となった下部電極68と絶縁膜69と上部電極70をパターニングする。このときのドライエッチングは、下部電極68の下地となっている第3の層間絶縁膜65までオーバーエッチングして、下部電極68を完全に分離する。このパターニングによって、積層膜71(パターニングされた下部電極68と絶縁膜69と上部電極70)は、縦寸法Y3が70nm、横寸法X3が70nmとなり、1つの第2のコンタクトプラグ67に対して、1つの積層膜71が接続する。
【0056】
(図16工程)
次に、積層膜71を覆うようにCVD法によって、80nm厚のシリコン酸化膜である第4の層間絶縁膜72を成膜してから、CMP法によって第4の層間絶縁膜72の平坦化を行う。このとき、CMP法によって第4の層間絶縁膜72を40nm研磨するため、第4の層間絶縁膜72の膜厚は、40nmとなる。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法によって、記録層を形成する際の型枠となる溝73Aを形成する。
この溝73Aは、幅W1を70nm、深さH2を125nmとしたため、溝73Aの底面を下部電極68の底面よりも下方の第3の絶縁膜65に形成している。なお、溝73Aによって、積層膜71における側面部の一部が露出するが、全ての側面部を露出させるのではなく、積層膜71を構成する4つの側面のうちの1面だけを露出させるものである。従って、溝73Aは、隣接した積層膜71間の全てに形成するのではなく、1つ置きに形成している。
【0057】
(図17工程)
次に、溝73Aを埋め込むようにスパッタ法にて、70nm厚の相変化材料を成膜する。相変化材料とは、2つ以上の相状態をとり、相状態によって電気抵抗が異なる材料であれば特に限定されない。本実施形態においては相変化材料として、GeSbTe(GST)を例示することができる。次に、CMP法によって、第4の層間絶縁膜72上に残留している相変化材料を除去して、記録層73を形成する。これで、記憶素子が完成して、下部電極68と上部電極70は、絶縁膜69の厚さt4=30nmの間隔で対向し、夫々の側面に形成された記録層73で、電気的に接続されている。ここで、記録層73aは、2つの積層膜71aと71bを構成する夫々の下部電極68a(68b)と上部電極70a(70b)を電気的に接続しているが、記録層73bは積層膜71cを構成する下部電極68cと上部電極70cだけを接続している。
【0058】
(図18工程)
次に、第4の層間絶縁膜72上にCVD法によって60nm厚のシリコン窒化膜である第5の層間絶縁膜74を成膜する。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法により、第5の層間絶縁膜74を貫いて、上部電極70の少なくとも一部を露出させる直径70nmのホール76aを形成する。次に、ホール76aの内壁にCVD法によって、10nm厚のシリコン窒化膜を成膜後にエッチバックすることで、サイドウォール膜75を形成する。
【0059】
(図19工程)
次に、ホール76aを埋め込むように、スパッタ法によって、120nm厚のタングステンを成膜する。次に、CMP法によって、第5の層間絶縁膜74上で余剰となっているタングステンを除去して、第4のコンタクトプラグ76を形成する。
【0060】
(図20工程)
次に、第5の層間絶縁膜74上にスパッタ法を用いて、270nm厚のアルミニウム(Al)を成膜する。次に、フォトリソグラフィ法とドライエッチング法により、アルミニウムのパターニングを行い、X方向に延在した第2の配線層77を形成する。ここで、第2の配線層77は、第4のコンタクトプラグ76を介して、上部電極70と接続している。
【0061】
以上説明したように、本発明によるPRAMの製造方法では、不揮発性メモリを構成する下部電極68と絶縁膜69と上部電極70を積層した後に、隣接した積層膜71の間に記録層73を形成している。この製造方法によれば、記録層73は必然的に積層膜71の側面部に形成されることになり、さらに下部電極68と上部電極70の距離は、絶縁膜69の厚さt4(図17参照)に依存している。絶縁膜69は、半導体基板50の主面に対して平行な平面に成膜したものであるので、下地の形状に依存することなく厚さt4を制御することができる。その結果、絶縁膜69の厚さ変動が低減するので、PRAM200の動作を安定させることができる。
【0062】
さらに、本発明によるPRAMでは、下部電極68と絶縁膜69と上部電極70を積層構造としてシリコンピラー52上に形成しており、記録層73は隣接するシリコンピラー52の間に形成している。この製造方法によれば、シリコンピラー52に形成しているトランジスタの占有面積を拡大することなく不揮発性メモリを形成できるので、縦型トランジスタを備えるPRAM200の高密度化を図ることができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1、50 半導体基板
2、51 素子分離領域
3、53 活性領域
4、54 ゲート絶縁膜
5、55 ゲート電極
6 拡散層
7 絶縁膜
8、58 サイドウォール絶縁膜
9、60 第1の層間絶縁膜
10、64 第1のコンタクトプラグ
11、63 第2の層間絶縁膜
12、67 第2のコンタクトプラグ
13、68 下部電極
14、69 電極間絶縁膜
15、70 上部電極
16、71 積層膜
17、66、75 サイドウォール膜
18、65 第3の層間絶縁膜
19、73 記録層
20、72 第4の層間絶縁膜
21、62 第3のコンタクトプラグ
22、76 第4のコンタクトプラグ
23、77 導電層
24 マスク膜
25、74 第5の層間絶縁膜
26 第5のコンタクトプラグ
27 配線層
52 半導体ピラー(シリコンピラー)
56 第1の拡散層
57 第2の拡散層
59 LDD領域
80 絶縁膜
100,200 PRAM
101 ロウデコーダ
102 カラムデコーダ
103 トランジスタ
104 記憶素子
105 グランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に
下部電極、電極間絶縁層、上部電極とからなる積層膜と
前記積層膜の各層の側面と接する相変化材料からなる記録層と
を有する記憶素子を備えた半導体記憶装置。
【請求項2】
さらに前記上部電極上の層間絶縁膜と、前記下部電極下の層間絶縁膜とを有し、
前記記録層は、上部電極上の層間絶縁膜を貫通し、下部電極下の層間絶縁膜の少なくとも一部を掘り下げた深さを有する凹部内に埋め込まれたものである請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記積層膜は第1の方向に長尺な平面形状を有し、前記記録層は前記第1の方向と交差する方向に延在して、前記積層膜を分断する請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記積層膜の前記分断面以外の側面にサイドウォール絶縁膜を有する請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
半導体基板上に前記下部電極に電気的に接続される能動素子を有し、
隣接する2つの能動素子に電気的に接続された2つの下部電極間に前記記録層が形成され、1つの記録層が隣接する2つの記憶素子に共有される請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記積層膜は第1の方向に長尺な平面形状を有し、前記第1の方向と直交する第2の方向に隣接する2つの積層膜の対向する側面に接して前記記録層が形成されている請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記積層膜は、第1の方向と該第1の方向と直交する第2の方向のそれぞれに複数形成されており、前記記録層は、第1の方向及び第2の方向の一方に隣接する2つの積層膜間に1つ置きに形成されている請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記下部電極に電気的に接続される能動素子は縦型MOSトランジスタであり、前記それぞれの積層膜の下に配置され、前記MOSトランジスタの上部拡散層が前記積層膜中の下部電極のそれぞれに電気的に接続されている請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記縦型MOSトランジスタは、前記第1の方向及び第2の方向の前記一方に隣接する縦型MOSトランジスタのゲート電極が分離され、前記第1の方向及び第2の方向の他方に隣接する縦型MOSトランジスタ間のゲート電極同士が接続されている請求項8に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
複数のワード線と、該ワード線と交差する方向に延在した複数のビット線とを有し、前記ワード線とビット線のそれぞれの交点に相変化材料を記録層として有する記憶素子と能動素子を含むメモリセルを備えた相変化ランダムアクセスメモリであって、
前記記憶素子は、
下部電極、電極間絶縁層、上部電極とからなる積層膜と
前記積層膜の各層の側面と接する相変化材料からなる記録層と
を有する相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項11】
前記能動素子は、前記ワード線をゲート電極とし、該ゲート電極の両側の半導体基板中に拡散層を有するMOSトランジスタであり、前記記憶素子の下部電極に前記拡散層の一方が電気的に接続され、前記記憶素子の上部電極に前記ビット線が電気的に接続される請求項10に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項12】
前記MOSトランジスタは、素子分離領域で区画された活性領域に一つの拡散層を共有してそれぞれ2つずつ形成されており、
前記共有される拡散層は接地電位に接続され、
共有されない2つの拡散層はそれぞれ前記記憶素子に接続される請求項11に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項13】
前記積層膜は前記ビット線の延在する方向に長尺な平面形状を有し、前記記録層は前記ワード線が延在する方向に延在して、前記積層膜を分断する請求項11又は12に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項14】
前記積層膜の前記分断面以外の側面にサイドウォール絶縁膜を有する請求項13に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項15】
前記能動素子は、半導体基板上に直立する半導体ピラーと、該半導体ピラーの下部に形成された第1の拡散層と、半導体ピラーの上部に形成された第2の拡散層と、半導体ピラーの少なくとも一つの側面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極とを有する縦型MOSトランジスタであり、
前記ゲート電極は、前記ワード線であるか、前記ワード線に電気的に接続されており、
前記記憶素子の下部電極に前記縦型MOSトランジスタの第2の拡散層が電気的に接続され、前記記憶素子の上部電極に前記ビット線が電気的に接続される請求項10に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項16】
隣接する2つの縦型MOSトランジスタに電気的に接続された2つの下部電極を含む積層膜間に前記記録層が形成され、1つの記録層が隣接する2つの記憶素子に共有される請求項15に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項17】
前記記録層は、ビット線の延在する方向に隣接する2つの積層膜間に1つ置きに形成されている請求項16に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項18】
前記縦型MOSトランジスタは、前記ビット線の延在する方向に隣接する縦型MOSトランジスタのゲート電極が分離され、前記ワード線方向に隣接する縦型MOSトランジスタ間のゲート電極同士が接続されている請求項15乃至17のいずれか1項に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項19】
さらに前記上部電極上の層間絶縁膜と、前記下部電極下の層間絶縁膜とを有し、前記記録層は、上部電極上の層間絶縁膜を貫通し、下部電極下の層間絶縁膜の少なくとも一部を掘り下げた深さを有する凹部内に埋め込まれたものである請求項10乃至18のいずれか1項に記載の相変化ランダムアクセスメモリ。
【請求項20】
記録層として相変化材料を含む記憶素子を備えた半導体記憶装置の製造方法であって、
半導体基板上に形成された層間絶縁膜上に、下部電極、電極間絶縁膜、上部電極の積層膜を形成する工程、
前記積層膜を所定の形状にパターニングする工程、
前記パターニングされた積層膜を覆って層間絶縁膜を形成する工程、
前記積層膜上の層間絶縁膜を貫通し、前記積層膜の各層側面を露出する凹部を形成する工程、
前記凹部内に相変化材料を埋設し、記録層を形成する工程、
とを有する半導体記憶装置の製造方法。
【請求項21】
前記凹部は、前記下部電極下の層間絶縁膜の少なくとも一部を掘り下げて形成する請求項20に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項22】
前記積層膜は第1の方向に長尺な平面形状にパターニングされ、前記凹部は前記第1の方向と交差する方向に延在して、前記積層膜を分断して形成される請求項20又は21に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項23】
前記積層膜をパターニングした後、積層膜側面にサイドウォール絶縁膜を形成する工程をさらに有する請求項20乃至22のいずれか1項に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項24】
半導体基板上に複数の能動素子を形成する工程を有し、
隣接する2つの能動素子に電気的に接続された2つの下部電極を含む積層膜の対向する側面を露出するように前記凹部を形成する請求項20又は21に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項25】
前記積層膜は第1の方向に長尺な平面形状にパターニングされ、前記凹部は前記第1の方向と直交する第2の方向に隣接する2つの積層膜間に形成する請求項24に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項26】
前記積層膜は、第1の方向と該第1の方向と直交する第2の方向のそれぞれに複数にパターニングされ、前記凹部は、第1の方向及び第2の方向の一方に隣接する2つの積層膜間に1つ置きに形成する請求項25に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項27】
前記能動素子は縦型MOSトランジスタであり、前記積層膜は、前記MOSトランジスタの上部拡散層が前記積層膜中の下部電極のそれぞれに電気的に接続された部分を残してパターニングされる請求項26に記載の半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−142375(P2012−142375A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293079(P2010−293079)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】