説明

半導体記憶装置

【課題】セル間のショートを抑制して動作信頼性を向上すると共に、高速動作化に寄与できる半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】DRAMセルが形成される活性領域7は、シリコン基板1に形成された分離トレンチ40により規定され、分離トレンチ40内には分離絶縁膜4が形成される。DRAMセルは、ゲート電極12およびそのサイドウォール13を備えるMOSトランジスタと、上部電極22およびそのサイドウォール23を備えるキャパシタを有している。分離トレンチ40の上部にはリセス41が形成され、キャパシタの上部電極22はその内部に埋め込まれた埋設部を有する。上部電極22において、埋設部の外側エッジE1は、サイドウォールの外側エッジE2よりも内側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)など、キャパシタを有する半導体記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体記憶装置として、MOS(Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタと、当該MOSトランジスタのソース/ドレイン領域に接続した不純物拡散層を下部電極とするキャパシタとにより構成されるDRAMセルが知られている(例えば、特許文献1,2)。特許文献1のDRAMセルは、半導体基板の上面に配置され上部にリセス(キャビティ)が形成された分離絶縁膜(フィールド絶縁膜)を有しており、該リセスには半導体基板の側壁部分が露出される。DRAMセルのキャパシタがリセス内に露出した上記側壁部分にまで延在することで、該キャパシタの有効面積を増やして容量の増大を図っている。
【0003】
特許文献1のDRAMセルでは、MOSトランジスタのゲート電極側面のサイドウォールおよびキャパシタ上部電極側面のサイドウォールが厚く、MOSトランジスタのキャパシタに繋がるソース/ドレイン領域の上部が、それらのサイドウォールに完全に覆われていた。そのため、当該ソース/ドレイン領域上面をシリサイド化してMOSトランジスタとキャパシタ間を低抵抗化することができない。そのことは、半導体記憶装置の高速動作化の妨げとなる。
【0004】
一方、特許文献2には、MOSトランジスタのゲート電極側面のサイドウォールとキャパシタ上部電極側面のサイドウォールとが互いに離れたDRAMセル構造が示されており、MOSトランジスタのソース/ドレイン領域の上部にシリサイド層を形成して低抵抗化することが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特表2004−527901号公報
【特許文献2】特開2004−311853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2のDRAMセルでは、分離絶縁膜に形成するリセスの幅や、キャパシタ上部電極およびそのサイドウォールの幅によっては、該キャパシタ上部電極を構成するポリシリコンが隣接するDRAMセルの間に露出する可能性がある(詳細は後述する(図14、図15))。その場合、MOSトランジスタのソース/ドレイン領域の上部をシリサイド化する工程において、その露出したポリシリコンとソース/ドレイン領域上部とが一体的なシリサイド層を形成してしまう恐れがある。その場合、該シリサイド層を通してDRAMセル間のショートが発生し、半導体記憶装置の動作信頼性が低下してしまう。
【0007】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、メモリセル間のショートを抑制して動作信頼性を向上でき、且つ、高速動作化に寄与できる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体記憶装置は、半導体基板上部に形成されたトレンチにより規定される活性領域と、前記トレンチ内に形成された素子分離絶縁膜と、前記活性領域に形成されたMOSトランジスタと、前記MOSトランジスタのソース/ドレイン領域に接続した不純物拡散層である下部電極、前記不純物拡散層の表面に形成された誘電体層、および前記誘電体層上に形成された上部電極から成るキャパシタとを備える半導体記憶装置であって、前記素子分離絶縁膜は、前記トレンチの内壁を露出するリセスを有し、前記不純物拡散層および前記誘電体層は、前記活性領域の上面から前記リセス内に露出した前記トレンチの内壁にかけて延在し、前記上部電極は、前記リセス内に埋め込まれた埋設部を有すると共に、前記リセス内に埋め込まれていない部分の側面にサイドウォールを有し、前記上部電極において、前記埋設部の外側エッジは、前記サイドウォールの外側エッジよりも内側に位置しているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、上部電極の埋設部の外側エッジは、サイドウォールの外側エッジよりも内側に位置しているので、上部電極の埋設部は、該上部電極のリセスに埋設されていない部分あるいは、サイドウォールに完全に覆われる。よって、埋設部の上面が、DRAMセルの間に露出することはない。従って、高速動作化を図るためにMOSトランジスタおよびキャパシタの各電極をシリサイド化しても、それに伴いセル間をショートさせるシリサイド層は形成されず、動作信頼性の低下は伴わない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は一般的なDRAMセルの回路図である。DRAMセル100は、データの書き込み、リフレッシュ、読み出し等を行うアクセストランジスタであるPMOSトランジスタ101と、データに応じた電荷を蓄積するキャパシタ102とにより構成される。PMOSトランジスタ101において、ゲート端子はワード線WLに接続し、ソース/ドレイン端子の一方はビット線BLに接続し他方はキャパシタ102の片方の端子に接続する。キャパシタ102のもう片方の端子は所定の電源に接続される。
【0011】
図2(a)は、本実施の形態に係る半導体記憶装置が備えるDRAMセルの断面図である。同図では、DRAMセルアレイのうち、ビット線BLの延在方向に隣接する2つのセルを示している。即ち、図2(a)中の左側にはPMOSトランジスタT1とキャパシタC1とから成るDRAMセルが示されており、右側にはPMOSトランジスタT2とキャパシタC2とから成るDRAMセルが示されている。
【0012】
本実施の形態では、DRAMセルはP型のシリコン基板1に形成される。そしてDRAMを構成するPMOSトランジスタT1,T2およびキャパシタC1,C2が形成される領域にはNウェル2が形成されている。図2(a)に示す2つのセル間には、分離トレンチ40が形成されており、その中にSTI(shallow trench isolation)である分離絶縁膜4が形成される。分離絶縁膜4は高密度プラズマ酸化膜であり、当該分離絶縁膜4とシリコン基板1との間には、薄い熱酸化膜である酸化膜5が介在している。さらに、Nウェル2内における分離絶縁膜4底部の深さ近傍の一帯には、チャネルカット層3が形成される。
【0013】
PMOSトランジスタT1,T2の各々は、ゲート酸化膜11、その上に形成されたポリシリコンのゲート電極12、該ゲート電極12の側面に形成されたサイドウォール13、シリコン基板1の表面部におけるゲート電極12両側に形成されたソース/ドレイン領域14および15により構成される。ゲート電極12、ソース/ドレイン領域14,15の上部には、それぞれシリサイド層121,141,151が形成される。ソース/ドレイン領域14は、シリサイド層141を介して、ビット線BLへ接続するコンタクト16に接続する。
【0014】
図2(a)の如く、キャパシタC1,C2は、上部電極22を共有しており、下部電極として機能するP型の不純物拡散層24(以下「下部拡散層24」)、上部電極22と下部拡散層24の間の誘電体層として機能する絶縁膜21(以下「誘電体層21」)をそれぞれ備えている。上部電極22の上部にはシリサイド層221が形成される。また、P型の下部拡散層24は、同じくP型のソース/ドレイン領域15に接続している。つまり、下部拡散層24はソース/ドレイン領域15に電気的に接続しており、図1に示したキャパシタ102におけるPMOSトランジスタ101のソース/ドレイン端子に接続する側の電極として機能している。
【0015】
通常、分離絶縁膜は、分離トレンチ40を完全に埋めるように形成されるが、本実施の形態の分離絶縁膜4には、上部電極22の下方に、分離トレンチ40の側壁を露出するリセス41が形成される。そのため図2(a)の断面では、分離絶縁膜4は分離トレンチ40の底部のみに形成される。それに対応するように、下部拡散層24および誘電体層21は分離トレンチ40の内壁(リセス41の内壁)にも形成され、上部電極22の一部はリセス41内に埋め込まれる。この構成により、シリコン基板1の上面だけでなく分離トレンチ40の側壁も、キャパシタC1,C2の有効面積として寄与することができ、キャパシタC1,C2の容量は増加する。
【0016】
DRAMセルアレイにおける各セルは、ワード線WLの延在方向にも並べて配設される。本実施の形態では、ゲート電極12はワード線WLとして機能しており、ビット線BLに対して直角方向に延在する。図3に、本実施の形態に係るDRAMセルアレイの上面図を示す。同図において、図2(a)に示したものと同様の要素には、同一符号を付している。上記の図2(a)は、図3のA−A線に沿った断面に対応したものである。図3の如く、シリコン基板1において、DRAMセルが形成される活性領域7は、分離絶縁膜4(即ち分離トレンチ40)により規定されている。
【0017】
図2(b)は、図3のB−B線に沿った断面図であり、本実施の形態に係るDRAMセルアレイにおける、ワード線WL(ゲート電極12)の延在方向に隣接するDRAMセルの間の素子分離領域の断面を示している。同図においても、図2(a)に示したものと同様の要素には、同一符号を付している。
【0018】
図2(b)のように、ゲート電極12の延在方向に隣接するDRAMセルの間でも、分離絶縁膜4には、上部電極22の下方に、分離トレンチ40の側壁(図2(b)では不図示、図3において符号71で示す)を露出するリセス41が形成される。それに対応するように、下部拡散層24および誘電体層21はその分離トレンチ40の内壁にも形成され、上部電極22の一部がリセス41内に埋め込まれる。それにより、分離トレンチ40の内壁(図3の符号71)もキャパシタC1,C2の有効面積に寄与することができ、キャパシタC1,C2の容量をさらに増加させている。
【0019】
また上記のように、本実施の形態ではソース/ドレイン領域15の上部にシリサイド層151が形成される。それにより、アクセストランジスタ(PMOSトランジスタT1,T2)とキャパシタ(キャパシタC1,C2)との間の接続抵抗を低く抑えることができ、DRAMセルの高速動作化に寄与できる。
【0020】
図4(a)は、本実施の形態に係るDRAMセルの構成を示す斜視図である。同図は、図3の領域Cの部分の断面拡大図である。また図4(b)は、図3および図4(a)のB−B線に沿った断面斜視図を示している。これら図においても図2(a),(b)および図3に示したものと同様の要素には、同一符号を付している。図4(a),(b)においては、簡単のため、ソース/ドレイン領域14,15、下部拡散層24および酸化膜5の図示は省略している。
【0021】
図4(a),(b)のように、DRAMセルが形成される活性領域7は、分離絶縁膜4が埋め込まれた分離トレンチ40により規定され、分離絶縁膜4の上部には分離トレンチ40の内壁を露出するリセス41が形成される。キャパシタC1,C2の上部電極22は、分離絶縁膜4に形成されたリセス41内に埋め込まれた部分(埋設部)を有している。また、サイドウォール23は、上部電極22の当該リセス41内に埋め込まれていない部分の側面に形成される。上部電極22の上部にはシリサイド層121が形成され、ゲート電極12と上部電極22の間のソース/ドレイン領域15(図4(a),(b)では不図示)の上部にはシリサイド層151が形成される。
【0022】
先に述べたように、上記の構成のDRAMセルでは、分離絶縁膜4に形成するリセス41の幅や、上部電極22およびそのサイドウォール23の幅によっては、リセス41内に埋め込まれた上部電極22の一部であるポリシリコンが、隣接するDRAMセルの間に露出する可能性がある。また、DRAMセルの製造過程において、リセス41の形成工程や上部電極22の形成工程における位置合わせずれや寸法変動によっても、同じ現象が生じる。その場合、PMOSトランジスタT1,T2のソース/ドレイン領域15をシリサイド化する工程で、セル間に露出したポリシリコンがシリサイド層151と一体的なシリサイド層を形成し、セル間のショートを生じさせる恐れがある。
【0023】
そのことを図14(a),(b)および図15(a),(b)を用いて説明する。これらの図は、それぞれ上記の図2(a),(b)および図4(a),(b)に対応している(図14(a),(b)では、層間絶縁膜6,コンタクト16,ビット線BLを省略している)。
【0024】
例えば、リセス41の形成工程でのマスクパターンの位置が左にずれ、且つ、ゲート電極12および上部電極22の形成工程でのマスクパターンの位置が右にずれると、それらの図に示すような構成になる。即ち、図14(b)、図15(b)のように上部電極22の位置とリセス41の位置とが大きくずれ、該リセス41に埋め込まれた上部電極22の埋設部の上面が、サイドウォール23とサイドウォール13との間に露出する。その場合、図15(b)に示すように、上部電極22における埋設部のエッジE1が、当該上部電極22のサイドウォール23の外側エッジE2よりも外側に位置するようになる。
【0025】
当該露出部は、シリサイド層151の形成工程によりシリサイド化され、シリサイド層152を形成する。このときシリサイド層152は、図15(a)に示すようにシリサイド層151と一体的に形成されてしまう。その結果、当該シリサイド層152を通してDRAMセル間のショートが生じてしまうのである。
【0026】
そこで、本実施の形態では、上部電極22を構成するポリシリコンが、ゲート電極12の延在方向に隣接するDRAMセルの間の分離絶縁膜4上面に露出することが防止されるようにレイアウトを行う。即ち、本実施の形態においては、図4(a)、図4(b)の如く、上部電極22において、埋設部のエッジE1が、サイドウォール23の外側エッジE2よりも内側に位置するようにする。言い換えれば、分離絶縁膜4のリセス41のエッジが、上部電極22およびサイドウォール23の少なくとも片方に覆われるようにする。
【0027】
そのように構成すれば、上部電極22の埋設部のポリシリコンが、隣接するDRAMセルの間の上面に露出しないので、上記の問題を回避できる。よって、DRAMセル間のショートを抑制して動作信頼性を向上しつつ、ソース/ドレイン領域15の上部にシリサイド層151を形成することが可能になり、半導体記憶装置の高速動作化に寄与できる。
【0028】
より好ましくは、上部電極22のみによりリセス41全体が覆われるのがよい。そのような構成すると、キャパシタC1,C2の有効面積の減少が最小限に抑えられると共に、リセス41にサイドウォール23の一部が入り込んでしまうことに起因する平坦性の悪化が防止される。
【0029】
次に、本実施の形態に係る半導記憶体装置の製造方法について説明する。図5〜図13は、当該製造方法を説明するための工程図である。各図(a)は図3のA−A線に沿った断面を示しており、各図(b)は図3のB−B線に沿った断面を示している。また、各図(c)は、当該半導体記憶装置のロジック部などである周辺回路(図3では不図示)の断面を示している。
【0030】
まず図5(a)〜(c)に示すように、シリコン基板1のDRAMセル領域および周辺回路領域に分離トレンチ40を形成し、その中に酸化膜5および分離絶縁膜4を形成する。より具体的には次の手順で行われる。即ち、シリコン基板1の上面を熱酸化して酸化膜51を形成し、その上にシリコン窒化膜を形成する。そして当該シリコン窒化膜を分離トレンチ40のパターンに開口し、その開口されたシリコン窒化膜をマスクにして、酸化膜51およびシリコン基板1の上部をエッチングすることにより、分離トレンチ40を形成する。その後、熱酸化により分離トレンチ40の内壁に酸化膜5を形成し、高密度プラズマ酸化膜により分離トレンチ40内を埋める。そしてCMPによりシリコン基板1上面上の余剰な高密度プラズマ酸化膜を除去することで分離トレンチ40内に分離絶縁膜4を形成し、さらにシリコン窒化膜を除去すると図5の構成が得られる。
【0031】
続いて、図6(a)〜(c)のように、リセス41のパターンに開口が形成されたレジストマスク52を形成する。当該レジストマスク52をマスクにするドライエッチングにより、分離絶縁膜4および酸化膜5の上部を除去してリセス41を形成する(図7(a)〜(c))。なお、図7(a)の断面においては、レジストマスク52の開口の幅が分離トレンチ40の幅よりも広いが、シリコン基板1と分離絶縁膜4および酸化膜5とのエッチング選択性を確保できるエッチングを行うことにより、分離絶縁膜4および酸化膜5の上部のみを除去する。このときのリセス41の深さは、分離トレンチ40の深さの半分程度が望ましい。リセス41を深くするほどキャパシタC1,C2のそれぞれの有効面積を大きくできるが、深すぎるとキャパシタC1とC2とにより寄生MOSトランジスタが構成されてしまい、隣接セル間での電荷リークが生じてしまう。ここで、図7(b)のようにリセス41の幅をWaとする。
【0032】
続いて、レジストマスク52をマスクにして、P型イオンをシリコン基板1に注入する(図8(a)〜(c))。図8(a)の断面においてはレジストマスク52の開口の幅が分離トレンチ40の幅よりも広いので、P型イオンはリセス41に露出した分離トレンチ40の内壁部分に注入される。このようにして、分離トレンチ40の内壁に高濃度(1020/cm3程度)の下部拡散層24を形成する。
【0033】
レジストマスク52および酸化膜51を除去し、シリコン基板1表面に犠牲酸化膜(不図示)を形成した後、イオン注入によって、Nウェル2およびチャネルカット層3の形成や、PMOSトランジスタT1,T2および周辺回路のトランジスタ(以下「周辺トランジスタ」)のしきい値を調整するためのチャネルドープを行う。そして犠牲酸化膜を除去した後、図9(a)〜(c)のように、シリコン基板1の表面に酸化膜53およびポリシリコン膜54を形成する。なお、上記イオン注入はポリシリコン膜54の成膜後に行ってもよい。
【0034】
その後、ポリシリコン膜54上に所定パターンのレジストマスクを形成し、それをマスクにするエッチングによりポリシリコン膜54をパターニングして、ゲート電極12および上部電極22、並びに周辺トランジスタのゲート電極31を形成する(図10(a)〜(c))。ここで、図10(a),(b)のように、上部電極22の幅をWb、ゲート電極12と上部電極22との間隔をWcとする。
【0035】
そして、ゲート電極12、上部電極22、周辺トランジスタのゲート電極31をマスクとするイオン注入により、PMOSトランジスタT1,T2および周辺トランジスタのLDD層を形成する。その後、全面にシリコン窒化膜を堆積してエッチバックすることで、ゲート電極12、上部電極22、周辺トランジスタのゲート電極31の側面にそれぞれサイドウォール13,23,34を形成する。それと共に、酸化膜53もパターニングされ、PMOSトランジスタT1,T2のゲート酸化膜11、キャパシタC1,C2の誘電体層21、周辺トランジスタのゲート酸化膜33が形成される。さらに、イオン注入を行って、PMOSトランジスタT1,T2のソース/ドレイン領域14,15、並びに周辺トランジスタのソース/ドレイン領域32を形成する(図11(a)〜(c))。ここで、各サイドウォール13,23の幅をWdとする。
【0036】
その後、シリサイドを形成する領域の全面に、例えばコバルトなどの金属膜を形成して熱処理を施し、未反応の金属膜を除去することにより、DRAMセル領域および周辺回路領域に、自己整合的にシリサイド層121、141、151、221、311,321が形成される(図12(a)〜(c))。
【0037】
そして層間絶縁膜6を堆積してその中にコンタクト16、35を形成し、当該層間絶縁膜6の上にビット線BLおよび周辺回路の配線37を形成する(図13(a)〜(c))。
【0038】
以上の工程により、周辺回路を含む本実施の形態に係る半導体記憶装置が形成される。また、上の説明で定義した各寸法、即ちリセス41の幅Wa、上部電極22の幅Wb、ゲート電極12と上部電極22との間隔Wc、サイドウォール13および23の幅Wdは、図3にも示されている。
【0039】
本実施の形態では、上部電極22の埋設部のエッジE1が、サイドウォール23の外側エッジE2よりも内側に位置するようにレイアウトする。そのためには、リセス41、ゲート電極12、上部電極22の形成工程における位置合わせずれや寸法変動が無視できる仮定すると、図3から分かるように、リセス41の幅Wa、上部電極22の幅Wb、ゲート電極12と上部電極22との間隔Wc、サイドウォール13および23の幅Wdが、
【0040】
【数1】

【0041】
の関係を満たせばよい。
【0042】
ここで、リセス41形成工程(図6,図7)でのマスクパターンの位置合わせずれ量を、そのばらつきを含めてσ1とし、当該リセス41の幅Waの寸法ばらつきをσaとする。また、ゲート電極12および上部電極22の形成工程(図10)でのマスクパターンの位置合わせずれ量をそのばらつきを含めてσ2とし、上部電極22の幅Wbの寸法ばらつきをσb、ゲート電極12と上部電極22との間隔Wcの寸法ばらつきをσc、サイドウォール13の幅Wdの寸法ばらつきをσdとする。
【0043】
その場合、形成されたDRAMセルにおいて、上記の寸法Wa、Wb、Wdが上記の式(1)を満たすようにするためには、寸法Wa、Wb、Wdそれぞれの設計値(例えば、マスクパターンにおける寸法)Wa0、Wb0、Wd0を、それらが
【0044】
【数2】

【0045】
の関係を満たすように決定することが望ましい。
【0046】
また、本実施の形態では、ソース/ドレイン領域15の上部にシリサイド層151を形成するので、シリサイド層151の形成工程(図13)において、当該ソース/ドレイン領域15が露出する必要がある。つまり、ゲート電極12側面のサイドウォール13と上部電極22側面のサイドウォール23とが互いに離れている必要がある。従って、ゲート電極12と上部電極22との間隔Wcとサイドウォール13および23の幅Wdが、
【0047】
【数3】

【0048】
の関係を満たす必要がある。その場合、上記の寸法Wc、Wdがそれぞれに対応する設計値(例えば、マスクパターンにおける寸法)Wc0、Wd0を、それらが
【0049】
【数4】

【0050】
の関係を満たすように決定することが望ましい。
【0051】
上記の寸法Wa、Wb、Wc、Wdそれぞれの設計値Wa0、Wb0、Wc0、Wd0を、それらが式(2)および式(4)を満たすように決定することにより、形成されたDRAMセルにおいて式(1)および式(3)が確実に満たされるようになる。
【0052】
即ち、上部電極22において、埋設部のエッジE1がサイドウォール23の外側エッジE2よりも内側に位置し、且つ、ソース/ドレイン領域15の上部にシリサイド層151を形成可能であるDRAMセルを確実に形成することができる。従って、セル間のショートを抑制して半導体記憶装置の動作信頼性を向上できると共に、各DRAMセルにおいてアクセストランジスタとキャパシタとの間の接続抵抗が小さくなり、半導体記憶装置の高速動作化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】一般的なDRAMセルの回路図である。
【図2】実施の形態に係る半導体記憶装置が備えるDRAMセルの断面図である。
【図3】実施の形態に係るDRAMセルアレイの上面図である。
【図4】実施の形態に係るDRAMセルの構成を示す斜視図である。
【図5】実施の形態に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図6】実施の形態に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図7】実施の形態に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図8】実施の形態に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図9】実施の形態に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図10】実施の形態に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図11】実施の形態に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図12】実施の形態に係るDRAMセルの製造方法を示す工程図である。
【図13】製造方法を説明するための工程図である。
【図14】従来のDRAMセルにおける問題を説明するための図である。
【図15】従来のDRAMセルにおける問題を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1 シリコン基板、2 Nウェル、3 チャネルカット層、4 分離絶縁膜、5 酸化膜、6 層間絶縁膜、7 活性領域、11 ゲート酸化膜、12 ゲート電極、13,23 サイドウォール、14 ソース/ドレイン領域、15 ソース/ドレイン領域、16 コンタクト、21 誘電体層、22 上部電極、24 下部拡散層、40 分離トレンチ、41 リセス、121,141,151,221 シリサイド層、T1,T2 PMOSトランジスタ、C1,C2 キャパシタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上部に形成されたトレンチにより規定される活性領域と、
前記トレンチ内に形成された素子分離絶縁膜と、
前記活性領域に形成されたMOSトランジスタと、
前記MOSトランジスタのソース/ドレイン領域に接続した不純物拡散層である下部電極、前記不純物拡散層の表面に形成された誘電体層、および前記誘電体層上に形成された上部電極から成るキャパシタとを備える半導体記憶装置であって、
前記素子分離絶縁膜は、前記トレンチの内壁を露出するリセスを有し、
前記不純物拡散層および前記誘電体層は、前記活性領域の上面から前記リセス内に露出した前記トレンチの内壁にかけて延在し、
前記上部電極は、前記リセス内に埋め込まれた埋設部を有すると共に、前記リセス内に埋め込まれていない部分の側面にサイドウォールを有し、
前記上部電極において、前記埋設部の外側エッジは、前記サイドウォールの外側エッジよりも内側に位置している
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記MOSトランジスタのソース/ドレイン領域上部に、シリサイド層が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−186185(P2006−186185A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379735(P2004−379735)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】