説明

半導体部品の実装構造体

【課題】LGAをプリント配線板の第1の面に接着性樹脂を含むはんだペーストではんだ付けした回路基板において、第2の面をリフロー加熱する際、はんだの溶融膨張による噴出を防止すること。
【解決手段】下面に接続端子301を複数配置したLGA3が、接着性樹脂を含むフラックスとはんだ粉末とを含むはんだペースト2によって、少なくとも第1の面110において複数の接続端子301と対応する位置にそれぞれランド111が形成されたプリント配線板1にはんだ付けされた回路基板4であって、ランド111の外周を取り囲む位置に凸領域部113を備え、ランド111の外周と凸領域部113の内周との間には距離Aが設けられており、プリント配線板1は、第1の面110の反対側の第2の面120においてチップ部品6がはんだ付けされている、回路基板4である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器において用いられているプリント配線板に半導体部品などの電子部品をはんだ付けにより実装した半導体部品の実装構造体に関するものであり、特に接着性樹脂と硬化剤を含むフラックスとはんだ粉末を混合したはんだペーストではんだ付けされた半導体部品の実装構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器は高機能小型化が進み、携帯電話やパソコンなど携帯型の小型モバイル情報機器が普及してきている。これらに搭載される回路基板に実装される電子部品には半導体部品が多数使用されている。中でも半導体チップをインターポーザー基板に実装し、樹脂モールドなどでパッケージ化した状態で部品下面に接続端子をアレイ状に配置したボール・グリッド・アレイ(以下BGA)やランド・グリッド・アレイ(以下LGA)が主流になっている。特に薄型を必要とされる機器においては、接続端子にはんだボールによる突起を設けずはんだペーストのみで接合されるLGAは、より低背な回路基板の製造に有効である。
【0003】
またモバイル情報機器ではその用途から機器の落下衝撃に対する強度が必要とされているが、ロジック回路やメモリなどの機能集積度の高い半導体部品は接続端子数が多く微細化していると同時に、部品の接続端子がグリッド状に配置され実装面積が広いため落下時のプリント配線板の変形により一部の接続端子に応力が集中してはんだによる接続が断線することがある。
【0004】
このような落下衝撃に対する信頼性を向上させるために、半導体部品をはんだペーストによりリフロー加熱工程ではんだ付けした後、補強用樹脂接着剤をプリント配線板と半導体部品の間に充填するアンダーフィルにより半導体部品とプリント配線板を接着固定して落下衝撃による接続端子への応力集中を緩和する方法が一般的である。補強用樹脂接着剤でアンダーフィルにより固定する場合、落下衝撃に対する信頼性は向上する一方で、補強用樹脂接着剤を部品下面に均一に充填することが困難であり、また補強用樹脂接着剤を加熱などにより硬化させる工程が必要となるため生産性が悪かった。
【0005】
このため、従来の半導体部品の実装構造体としては、例えば特許文献1に記載されているように、はんだペーストに接着性樹脂と硬化剤を混合しリフロー加熱工程で補強するものがある。図10は特許文献1に記載された従来の半導体部品の実装構造体を示す図である。図10(a)においてプリント配線板1は第1の面110に形成されたランド111の上にはんだペースト2を配置し、LGA3を接続端子301が対向するように配置した後、図10(b)のようにリフロー加熱工程ではんだペースト2がはんだ201と接着性樹脂202とに分離して接合し、半導体部品下面でプリント配線板と接着性樹脂による均一な補強ができることで落下衝撃の信頼性を向上させるとともに、リフロー加熱工程ではんだ付けと同時に硬化して接着されるため生産性をよくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3849842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来の技術では、LGA3を両面に回路形成されたプリント配線板1の第1の面110にリフロー加熱によりはんだ付けして接合した後、プリント配線板1の裏面となる第2の面120に別の部品をリフロー加熱によりはんだ付けする場合、次の様な課題が有る。
【0008】
即ち、第1の面110にLGA3をはんだ付けすると、LGA3はプリント配線板1との距離が狭いため接続端子301のはんだ201は硬化した接着性樹脂202により周りを密閉された状態になり、第2の面120のリフロー加熱において、第1の面110のはんだ201が溶融し膨張する。これにより、接着性樹脂202による密閉部の内圧が高まり、接着性樹脂202を破壊して接続端子301から噴出してしまうため、電気的な接続品質が損なわれるという課題を有している。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、半導体部品が接着性樹脂を含むはんだペーストで第1の面にはんだ付けされたプリント配線板において、第2の面のリフロー加熱工程において、第1の面におけるはんだの噴出を防止し、電気的な接続品質を向上した半導体部品の実装構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
下面に接続端子を複数配置した半導体部品が、接着性樹脂を含むフラックスと、はんだ粉末とを含むはんだペーストによって、前記複数の接続端子と対応する位置にそれぞれランドが形成されたプリント配線板にはんだ付けされた実装構造体であって、
前記ランドの外周を取り囲む位置に凸領域部を備え、
前記ランドの外周と、前記凸領域部の内周との間には距離が設けられており、
前記プリント配線板は、前記ランドが形成された反対側の面において他の部品がはんだ付けされている、半導体部品の実装構造体である。
【0011】
また、第2の本発明は、
前記接続端子と、それに対応する位置に形成された前記ランドとの間には、凝集した前記はんだ粉末がはんだ接合部を形成しており、
前記凸領域部と前記半導体部品の下面との間には、前記接着性樹脂が硬化しており、
前記はんだ接合部と前記硬化した前記接着性樹脂との間には隙間が形成されている、上記第1の本発明の半導体部品の実装構造体である。
【0012】
また、第3の本発明は、
前記ランドは直径D(mm)の円形状であり、前記凸領域部はリング形状であり、前記はんだペーストに占める前記はんだ粉末の体積比はB(%)であり、前記距離をA(mm)とした場合、
前記距離A(mm)は、次式
A=D[√{(100−B)/B+1}−1]/2
で表される、上記第2の本発明の半導体部品の実装構造体である。
【0013】
また、第4の本発明は、
前記半導体部品は、ランド・グリッド・アレイ方式の半導体部品であり、
前記凸領域部がシルク印刷により形成されている、上記第1〜3の本発明の何れか一つの半導体部品の実装構造体である。
【0014】
本構成によって、例えば、接着性樹脂が凸領域部において、半導体部品とプリント配線板を接着することで、はんだが接着性樹脂により密閉されない接続構造とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体部品の実装構造体によれば、はんだの噴出を防止出来て、電気的な接続品質を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1における実装構造体の部品実装の工程を示した断面図
【図2】本発明の実施の形態1における実装構造体のプリント配線板のランドと凸領域部の形状図
【図3】本発明の実施の形態1における実装構造体のリフロー加熱工程の断面図
【図4】本発明の実施の形態1における実装構造体のリフロー温度を示した図
【図5】(a)〜(c):本発明の実施の形態1における実装構造体のはんだペーストの溶融を示した図
【図6】本発明の実施の形態1における実装構造体の第2の面の部品実装の工程を示した断面図
【図7】本発明の実施の形態1における実装構造体の第2の面の部品実装の工程を示した断面図
【図8】本発明の実施の形態1における実装構造体のプリント配線板の凸領域部の別の例の形状図
【図9】本発明の実施の形態1における実装構造体のプリント配線板の凸領域部の更に別の例の形状図
【図10】(a)、(b):従来の実装構造体の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施の形態1)
まず半導体部品のマウント工程について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における半導体部品の実装構造体の部品実装の工程を示した断面図である。
【0019】
図1において、プリント配線板1は、ガラスエポキシ基材の両面に回路形成され第1の面110と第2の面120にそれぞれ銅箔により電気的な導通をとるランド111、121と絶縁体であるレジスト112、122が形成されている。直径D(mm)のランド111の周りには図2に示すように、ランド111の外周から距離A(mm)離れた位置に、周囲のレジスト上に高さS(mm)が、一例として0.01〜0.05mmであって、幅W(mm)のリング形状の凸領域部113をシルク印刷により形成している。ランド111上にステンシル印刷により厚さ0.12〜0.15mmとなるようにはんだペースト2を印刷した後、半導体部品であるLGA3を接続端子301とランド111が対向するように配置して回路基板4を構成する。
【0020】
尚、本実施の形態では、ランド111の径D(mm)は一例として0.35mmで形成されている。
【0021】
はんだペースト2は、熱硬化性のエポキシ系の接着性樹脂と硬化剤を含むフラックスにSn−58Biの組成からなるはんだ粉末を混合したものであり、はんだペースト2に占めるはんだ粉末は体積比で40〜60%である。
【0022】
、はんだペースト2に占めるはんだ粉末が体積比で40%とした場合、凸領域部113の内周とランド111の外周との距離A(mm)は、次式で表される。
【0023】
A=D(√2.5−1)/2
また、幅Wは、W>Aとなるように形成されている。これについては更に後述する。
【0024】
尚、この距離A、凸領域部113の幅Wおよび高さSは、はんだペースト2に含まれる接着性樹脂202の体積より決定される。
【0025】
次に、距離Aを表す上記式の導出に関して詳細に説明する。
【0026】
まず、以下の1)〜4)に示す条件が成り立つものとする。
【0027】
1)はんだペースト2に占めるはんだ粉末の体積比が40%である場合、接着性樹脂202の体積比は概ね60%として良いとする。
【0028】
2)はんだペースト2を直径Dのランド111の領域に、高さS0で印刷したとする。
【0029】
3)はんだペースト2に含まれる接着性樹脂202は、図5(b)に示されている様に凝集したはんだ201の周囲に押し出されるが、その押し出された接着性樹脂202の高さは、レジスト112とLGA3との距離S1に等しいとする。ただし、S0>S1である。
【0030】
4)一方、距離S1は、はんだペースト2に占めるはんだ粉末の体積比によって決まるものとする。即ち、ここでは、はんだペースト2に占めるはんだ粉末の体積比が40%であるから、S1=0.4×S0である。
【0031】
尚、本発明のはんだ接合部の一例が、本実施の形態の凝集したはんだ201に該当する。
【0032】
以上の条件下で、はんだペースト2に含まれる接着性樹脂202の体積(次式の左辺に対応)が、はんだ粉末の溶融により、はんだ201の周囲に押し出された接着性樹脂202の体積(次式の右辺に対応)と等しいとして、次式(1)を得る。
【0033】
ここで、X(mm)は、凸領域部113の内周の直径とする。
【0034】
0.6×(D/2)×π×S0={(X/2)×π−(D/2)×π}×0.4×S0 ・・・・・・・・・(式1)
式1を整理すると、X=D√2.5が得られる。
【0035】
よって、距離A(mm)は、
A=(X−D)/2
=D(√2.5−1)/2 ・・・・・・・・・(式2)
となる。
【0036】
この様にして得られた式2から次のことが言える。
【0037】
即ち、はんだペースト2に占めるはんだ粉末の体積比が40%である場合、凸領域部113の内周とランド111の外周との距離Aは、
i)A>D(√2.5−1)/2であれば、
距離Aが大きいため、第1面のリフロー工程で、接着性樹脂202がランド111から押し出されても凸領域部113にまで至らず、接着性樹脂202とはんだ201が密着してしまい、従来と同じ状況になり、本発明の効果が十分に得られない。また、
ii)A<D(√2.5−1)/2であれば、
距離Aが小さくなり過ぎる場合があるため、第1面のリフロー工程で、接着性樹脂202とはんだ201が密着してしまい、従来と同じ状況になり、本発明の効果が十分に得られない。
【0038】
従って、本発明の効果を充分に得るためには、はんだペースト2に占めるはんだ粉末の体積比が例えば40%である場合、凸領域部113の内周とランド111の外周との距離Aは、D(√2.5−1)/2に設定することが望ましい。
【0039】
以上のことから、凸領域部113の内周とランド111の外周との距離A(mm)は、はんだペーストに占めるはんだ粉末の体積比B(%)に依存すると言える。
【0040】
従って、距離A(mm)を一般式で表すために、上記の式1〜式2の導出プロセスを同様に適用して、次式3〜次式4が得られる。
【0041】
(1−B/100)×(D/2)×π×S0={(X/2)×π−(D/2)×π}×(B/100)×S0 ・・・・・・・(式3)
式3を整理すると、X=D√{(100−B)/B+1}が得られる。
【0042】
よって、距離A(mm)は、
A=(X−D)/2
=D[√{(100−B)/B+1}−1]/2 ・・・・・・・・・・・(式4)
となる。
【0043】
例えば、はんだ粉末の体積比が40%の場合、はんだ201は最も少なくなりランド111と接続端子301の間の距離は狭くなり、接着性樹脂202の体積は最も多くなる。
【0044】
この場合の距離A(mm)は、式4にD=0.35mm、B=40を代入することにより求まり、次式に示す様に約0.1mmとなる。
【0045】
A=0.35(√2.5−1)/2≒0.1
よって、この場合、凸領域部113の幅Wは、上記W>Aの条件により、0.1mmより大きく設定し、高さSは0.01mmとすることで十分な効果が得られる。
【0046】
W>Aの条件を定めた理由は次の通りである。即ち、凸領域部113の幅Wについては、押し出された接着性樹脂202がほぼ浸透できる狭い空間領域(凸領域部113とLGA3との間の狭小空間に対応)を確保する必要があるので、(凸領域部113とLGA3との間の狭小空間)≧(接着性樹脂202の体積)となる様な幅Wを得るために、W>Aとした。
【0047】
尚、このとき、第1の面に110に印刷されたはんだペースト2の高さが、例えば、0.15mmであった場合、レジスト112とLGA3との距離S1は0.4×0.15mm=0.06mmとなる。従って、仮に凸領域部113の高さSを、例えば0.05mmに設定した場合、幅Wは0.5mm以上必要であり、高さSが0.05mm以上ではLGA3との距離が十分に確保出来なくなるため、十分な効果が得られない。
【0048】
また、例えば、はんだ粉末の体積比が60%の場合、はんだ201は最も多くなりランド111と接続端子301の間の距離が広がる一方で、接着性樹脂202の体積は最も少なくなる。
【0049】
この場合の距離A(mm)は、式4にD=0.35mm、B=60を代入することにより求まり、次式に示す様に約0.05mmとなる。
【0050】
A=0.35(√1.67−1)/2≒0.05
よって、この場合、凸領域部113の幅Wは0.05mmより大きく設定し、高さSは0.01mmとすることで十分な効果が得られる。
【0051】
次にリフロー工程について説明する。図3に示すように回路基板4はリフロー炉5の中をコンベア501により搬送されながら、上下に配置された複数のヒーター502により加熱される。その間で図4に示すように、室温T1からSn−58Biのはんだ粉末の融点T2である138℃以上に加熱され、はんだ粉末が溶融した後、硬化温度T3である160℃で硬化時間Bを6分としている。回路基板4が融点T2に至ると、図5(a)に示すようにはんだペースト2のはんだ粉末が溶融するため、ランド111と接続端子301への濡れ作用により、はんだ201がランド111と接続端子301の間ではんだ粉末の体積となるように凝集する。このため、図5(b)のようにプリント配線板1とLGA3の距離が0.06〜0.07mmとなるように狭くなり、接着性樹脂202は硬化剤と共に流動して周囲へ押し出され、凸領域部113に至る。レジスト112とLGAの距離S1より凸領域部113とLGA3の距離S2が狭くS1>S2となっているため、流動した接着性樹脂202は液体の浸透性により、図5(c)に示すように凸領域部113に浸透して移動する。この状態のまま、硬化温度T3で硬化時間Bを経過することで、接着性樹脂202は硬化剤と反応して硬化し、プリント配線板1とLGA3を接着固定し、はんだ201と接着性樹脂202の間に隙間114を有し、はんだ201が密閉されることのない回路基板4を構成する。
【0052】
次に第2の面120の部品実装について説明する。図6に示すように回路基板4を反転して、上述した第1の面110と同様にランド121にはんだペースト2をステンシル印刷しチップ部品6を配置する。さらに同様に回路基板4は、図7に示すようにリフロー加熱工程にて融点T2に至ると第2の面120のはんだペースト2のはんだ粉末が溶融し、第2の面120のはんだ201はランド121に濡れ作用で凝集し接着性樹脂202は押し出される。同時に第1の面110のはんだ201も再度溶融し膨張するが、周囲の接着性樹脂202との間に隙間114を有する構成であるため、第1の面110のはんだ201が膨張しても逃げる隙間114があるため内圧が高まることがなく噴出を防止することができる。
【0053】
なお、本実施の形態において、ランド111の外周の全周にて凸領域部113と均一な距離Aを設けたが、図8に示すようにランド111の外周の50%で凸領域部213と接していても従来の構成に比べて効果が得られる。しかしながら、ランド111の外周の50%を越える範囲において凸領域部213と接してしまうと、接着性樹脂202の凸領域部213への浸透が不十分になるため、はんだ201と接着性樹脂202の間に十分な隙間が形成できず効果が得られない。尚、図8に示す構成例は、ランド111の外周の全部を取り囲む位置に凸領域部213が形成されており、ランド111の外周と、凸領域部213の内周の一部との間に距離Aが設けられている例である。
【0054】
また、上記実施の形態では、ランド111の外周の全周にわたって凸領域部113との距離Aを上記の(式4)で求められる最適寸法に設定した構成を説明したが、これに限らず例えば、第1の面110の接着性樹脂202は、第1の面110のリフロー工程で基本的には放射状に広がるので、ランド111の全外周の概略の範囲において、(式4)で求められる距離Aが確保されておれば、必ずしも全周にわたって距離Aを均一に確保してなくとも良い。この場合でも、ランド111の周囲に押し出された接着性樹脂202が凸領域部113に到達した後は、液状の接着性樹脂202の凸領域部113とLGA3との間の空間への浸透が促進されるからである。
【0055】
また、上記実施の形態では、ランド111の外周の全周にわたって凸領域部113が形成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、図9に示す様な凸領域部313の形状であっても良い。この場合、図9に示す様に、凸領域部313は、ランド111の概ね半周にわたって形成されており、第2の面120の部品実装におけるリフロー加熱工程において、第1の面のはんだ201が再度溶融して膨張しても、逃げる隙間314があるため内圧が高まることが低減されるので、はんだ201の噴出を防止することが出来る。尚、図9に示す構成例は、ランド111の外周の一部を取り囲む位置に凸領域部313を備え、ランド111の外周と、凸領域部313の内周の全部との間に距離Aが設けられている例である。
【0056】
また、プリント配線板1に形成される凸領域部の形状は、全てが同じ形状である必要はなく、例えば、図2に示した凸領域部113と、図8に示した凸領域部213と、図9に示した凸領域部313の全部または一部を組み合わせて配置された構成でも良い。
【0057】
以上のように、本発明の半導体部品の実装構造体によれば、接着性樹脂を含むはんだペーストによりLGAを実装することで、落下衝撃に対してLGAとプリント配線板を均一に接着してはんだ接続端子が断線することを確実に防止する構造をリフロー加熱工程で形成できることで信頼性と生産性を両立すると共に、プリント配線板のランド周囲に距離を設けて形成した凸領域部において接着性樹脂がプリント配線板と半導体部品を接着することで、はんだ接合部が接着性樹脂で密閉されることなく、第2の面のリフロー加熱工程で、第1の面のはんだ接合部が溶融しても噴出を防止することができ接続品質を損なうことのないLGAの半導体部品の実装構造体とすることができる。
【0058】
即ち、本発明の半導体部品の実装構造体は、接着性樹脂を含むはんだペーストによりLGAを実装した場合でも、プリント配線板のランド周囲に距離を設けて形成した凸領域部で接着性樹脂がプリント配線板と半導体部品を接着することで、はんだと接着性樹脂で密閉することなく、第2の面のはんだ付けではんだが溶融しても噴出を防止することができ、接続品質を損なうことのないLGAの半導体部品の実装構造体を提供出来る。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の半導体部品の実装構造体は、第1の面におけるはんだの噴出を防止出来て、電気的な接続品質を向上させることが出来、電子機器において用いられているプリント配線板に半導体部品をはんだ付けにより実装する回路基板の実装品質を向上する用途等にも適用できる。
【符号の説明】
【0060】
1 プリント配線板
2 はんだペースト
3 LGA
4 回路基板
6 チップ部品
111、121 ランド
112、122 レジスト
113、213、313 凸領域部
114、314 隙間
201 はんだ
202 接着性樹脂
301 接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に接続端子を複数配置した半導体部品が、接着性樹脂を含むフラックスと、はんだ粉末とを含むはんだペーストによって、前記複数の接続端子と対応する位置にそれぞれランドが形成されたプリント配線板にはんだ付けされた実装構造体であって、
前記ランドの外周を取り囲む位置に凸領域部を備え、
前記ランドの外周と、前記凸領域部の内周との間には距離が設けられており、
前記プリント配線板は、前記ランドが形成された反対側の面において他の部品がはんだ付けされている、半導体部品の実装構造体。
【請求項2】
前記接続端子と、それに対応する位置に形成された前記ランドとの間には、凝集した前記はんだ粉末がはんだ接合部を形成しており、
前記凸領域部と前記半導体部品の下面との間には、前記接着性樹脂が硬化しており、
前記はんだ接合部と前記硬化した前記接着性樹脂との間には隙間が形成されている、請求項1に記載の半導体部品の実装構造体。
【請求項3】
前記ランドは直径D(mm)の円形状であり、前記凸領域部はリング形状であり、前記はんだペーストに占める前記はんだ粉末の体積比はB(%)であり、前記距離をA(mm)とした場合、
前記距離A(mm)は、次式
A=D[√{(100−B)/B+1}−1]/2
で表される、請求項2に記載の半導体部品の実装構造体。
【請求項4】
前記半導体部品は、ランド・グリッド・アレイ方式の半導体部品であり、
前記凸領域部がシルク印刷により形成されている、請求項1〜3の何れか一つに記載の半導体部品の実装構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−256672(P2012−256672A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128131(P2011−128131)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】