説明

半導体集積回路の検査回路

【課題】組み込み自己検査(BIST)回路において検査対象回路に修正が発生した場合に、BISTの期待値を半導体集積回路の修正なく変更可能とする。
【解決手段】半導体集積回路100は、検査対象回路101とBIST回路とを有する半導体集積回路であって、当該BIST回路は多入力シフトレジスタ(MISR)103と期待値格納回路104と期待値照合回路105とを有する。検査対象回路101の回路修正が発生した場合に、当該回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値118を期待値格納回路104に半導体集積回路100の外部から設定することにより検査が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み込み自己検査(BIST:Built−In Self−Test)回路を有する半導体集積回路と、当該半導体集積回路を複数搭載したセット基板あるいはパッケージ(System In Chip)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路(LSI)の検査は、検査対象回路の入力に検査パターンを入力し、検査対象回路からの出力パターンが検査対象回路に故障が存在しない場合の出力パターン(正常出力パターン)と一致するか否かにより判断される。
【0003】
半導体集積回路の検査にはLSIテスタ等の検査装置を用いる。LSIテスタには、検査パターン及び正常出力パターンを格納しておくためのメモリと、検査パターンを発生する検査パターン発生器と、検査対象回路からの出力パターンが正常出力パターンと一致するか否かの判断をする出力応答解析器とが備わっている。
【0004】
テストを開始するに際して、まず、検査パターン及び正常出力パターンをテスタに内蔵しているメモリへ読み込む。その後、検査パターンを検査対象回路へ入力するとともに、検査対象回路からの出力パターンを正常出力パターンと比較する。この比較で不一致が発生した場合に、検査対象回路を含む半導体集積回路は不良品と判断される。
【0005】
しかしながら、近年のプロセスの微細化に伴う半導体集積回路の大規模化により、半導体集積回路の検査パターン及び正常出力パターンが長大になり、必要な全ての検査パターン及び正常出力パターンのサイズがLSIテスタのメモリの容量をオーバーしてしまうという問題が発生している。
【0006】
このような場合に有効な半導体集積回路の検査容易化技術として、組み込み自己検査(BIST)方式がある。BIST方式では、半導体集積回路内部に自己検査用回路を組み込むことにより、検査対象回路へ印加する検査入力パターンの生成や、検査対象回路からの出力パターンの圧縮及びその期待値の照合を簡便に行うことができる。
【0007】
BIST方式は、システムLSIのような、各々異なる特性を持つ複数の回路をコアブロックとして搭載した大規模かつ高速な半導体集積回路のテストを高品質かつ低コストで最適に行うことのできる効果的な手段である。
【0008】
論理回路に対する組み込み自己検査方式であるロジックBISTの基本構成の大きな特徴として、擬似ランダムパターン発生器(PRPG)と、出力応答圧縮器である多入力シフトレジスタ(MISR)とがデバイス内部に組み込まれていることが挙げられる。
【0009】
PRPGは検査対象回路への検査パターンの発生を行う。したがって、検査パターンをLSIテスタのメモリに格納する必要はない。MISRは検査対象回路からの出力パターンを数十ビットのデータに圧縮する。このことからも分かるように、BIST方式ではLSIテスタのメモリに格納するデータを大幅に削減することができるため、前述した問題を解決することができる。
【0010】
BIST方式での良・不良判定はMISRで圧縮されたデータと、検査対象回路に故障が存在しない場合の出力パターンがMISRで圧縮された場合のデータ(期待値データ)とを比較することで行う。実際の検査対象回路のMISRで圧縮されたデータと、期待値データとが一致すれば検査はパスであり、不一致であれば検査はフェイルとなる。
【0011】
期待値データとの比較方法は二通りある。一つ目は期待値データを半導体集積回路内部に持ち、半導体集積回路内部で期待値データとの比較を行い、パス・フェイルの判定信号のみを出力する方法である。二つ目は期待値データをLSIテスタ等の外部検査装置のメモリに格納しておき、MISRで圧縮されたデータを半導体集積回路の外部に読み出し、LSIテスタの期待値比較器で期待値データとの比較を行う方法である。
【0012】
一つ目の方法では、期待値データを半導体集積回路内部に格納するため、検査対象回路の変更が生じた場合に、格納する期待値データを変更するための回路修正も行わなければならないという課題が発生する。
【0013】
このような課題に対して、ある従来技術は、検査対象回路の構成に変更があった場合でも期待値データの変更を不要とする。すなわち、この従来技術によれば、検査対象回路の修正に応じて、固定された期待値と期待値照合可能となるように、出力パターンの圧縮時にMISRに補正値を入力することで、MISRに残る最終的な圧縮データを、検査対象回路を修正する前のデータと同一にする(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−240390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、MISRに補正値を入力する上記従来技術では、検査対象回路の修正量が大きい場合にMISRに入力する補正値を算出するための計算が煩雑になり、また計算時間が膨大となる可能性がある。また、MISRに入力する補正値では検査対象回路の修正に対応しきれない場合があり、検査自体が実行できない可能性もある。
【0015】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたものであり、組み込み自己検査の期待値を半導体集積回路の修正なく変更可能とすることを目的とする。
【0016】
また、本発明は、半導体集積回路を複数搭載したセット基板あるいはパッケージにおいて、複数のチップ間の接続を行い、セット基板上にチップを実装したまま、検査対象の半導体集積回路の組み込み自己検査の期待値を外部から変更することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、請求項1の半導体集積回路は、検査対象回路と組み込み自己検査回路とを有する半導体集積回路であって、前記組み込み自己検査回路は多入力シフトレジスタと期待値格納回路と期待値照合回路とを有し、前記検査対象回路の回路修正が発生した場合に前記回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を前記期待値格納回路に前記半導体集積回路の外部から設定することにより検査が可能であることを特徴とする。
【0018】
請求項2のセット基板は、請求項1の半導体集積回路を複数搭載したセット基板であって、前記セット基板は前記複数の半導体集積回路の各々の外部端子と前記セット基板の外部端子との接続配線を有し、前記接続配線を経由して前記セット基板の外部端子から、前記半導体集積回路上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とする。
【0019】
請求項3のパッケージは、請求項1の半導体集積回路を複数搭載したパッケージであって、前記パッケージは前記複数の半導体集積回路の各々の外部端子と前記パッケージの外部端子との接続配線を有し、前記接続配線を経由して前記パッケージの外部端子から、前記半導体集積回路上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とする。
【0020】
請求項4のセット基板は、請求項3のパッケージを複数搭載したセット基板であって、前記セット基板は前記複数のパッケージの各々の外部端子と前記セット基板の外部端子との接続配線を有し、前記接続配線を経由して前記セット基板の外部端子から、前記パッケージ上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とする。
【0021】
請求項5のウエハは、請求項1の半導体集積回路を複数搭載したウエハであって、前記ウエハは前記複数の半導体集積回路の各々の外部端子と前記ウエハの外部端子との接続配線を有し、前記接続配線を経由して前記ウエハの外部端子から、前記半導体集積回路上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とする。
【0022】
請求項6の検査基板は、請求項1の半導体集積回路を複数搭載した検査基板であって、前記検査基板は前記複数の半導体集積回路の各々の外部端子と前記検査基板の外部端子との接続配線を有し、前記接続配線を経由して前記検査基板の外部端子から、前記半導体集積回路上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とする。
【0023】
請求項7の検査基板は、請求項3のパッケージを複数搭載した検査基板であって、前記検査基板は前記複数のパッケージの各々の外部端子と前記検査基板の外部端子との接続配線を有し、前記接続配線を経由して前記検査基板の外部端子から、前記パッケージ上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とする。
【0024】
請求項8のセット基板は、請求項2又は請求項4のセット基板であって、前記セット基板は前記複数の半導体集積回路又は前記複数のパッケージの各々の外部端子と前記セット基板の外部端子との接続配線を有し、前記接続配線として既存のバウンダリスキャンチェーンを使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、組み込み自己検査の期待値を半導体集積回路の修正なく変更可能とする。また、半導体集積回路を複数搭載したセット基板あるいはパッケージにおいて、複数のチップ間の接続を行い、セット基板上にチップを実装したまま、検査対象の半導体集積回路の組み込み自己検査の期待値を外部から変更することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施形態における半導体集積回路の平面図を示すものである。図1にあって本実施形態における半導体集積回路(LSI)100は、当該半導体集積回路100上に搭載されている検査対象回路101、パターン発生器102、多入力シフトレジスタ(MISR)103、期待値格納回路104、期待値照合回路105、バウンダリスキャンチェーン106、出力側セレクタ108からなる。
【0028】
検査対象回路101に回路修正が発生した場合にパターン発生器102が生成するパターンに関して信号線120を経由して検査対象回路101に入力する入力パターン115に対して、検査対象回路101から出力する信号線121を経由して出力される出力パターン116の値が変化し、それに伴いMISR103によりシグネチャ圧縮された値117も変化する。一方、検査対象回路101の回路修正に伴う上述のシグネチャ圧縮値117の変化は論理シミュレーションにより算出可能である。
【0029】
そして、対応するシグネチャ圧縮期待値118をバウンダリスキャンチェーン106を利用して半導体集積回路100の外部配線113から外部端子(TDI)109より入力し、バウンダリスキャンセル111を経由して期待値格納回路104のレジスタ119にバウンダリスキャンチェーン106から設定可能である。
【0030】
更に、期待値照合回路105のEX−NOR回路124にあってMISR103の出力信号122とレジスタ119の出力信号123とのEX−NORを取ることで期待値照合を行い、期待値照合回路105の出力信号112を、セレクト信号が“1”に設定されたバウンダリスキャンチェーン106との出力側セレクタ108を経由してバウンダリスキャンチェーン106の出力端子(TDO)110から出力可能であり、半導体集積回路100の外部信号114を観測することで検査対象回路101の検査が可能となる。
【0031】
同様にして、MISR103のその他出力配線に関しても期待値格納回路104の対応するレジスタにバウンダリスキャンチェーン106を経由して設定可能であり、期待値照合回路105にあって期待値照合が可能である。
【0032】
以上より、半導体集積回路100上の検査対象回路101に回路修正が発生した場合にあっても、半導体集積回路100の外部より回路修正に対応した期待値をバウンダリスキャンチェーン106を経由して入力することで検査対象回路101の検査が可能となる。
【0033】
図2は、本発明の第2の実施形態におけるセット基板の平面図を示すものである。図2にあって本実施形態におけるセット基板200は、当該セット基板200上に第1の実施形態にて説明した半導体集積回路(LSI)100を201、202、203、204と4個搭載しており、これらの半導体集積回路群をセット基板200の外部入力端子205から順番に接続する配線206、207、208、209、210と、外部出力端子211からなる。
【0034】
セット基板200上の半導体集積回路202の検査対象回路215に回路修正が発生した場合に、第1の実施形態にて説明した通り、半導体集積回路202上のパターン発生器214が検査対象回路215に入力する入力パターンに対して、検査対象回路215から出力される出力パターン値が変化し、それに伴いMISR216によりシグネチャ圧縮された値223も変化する。一方、検査対象回路215の回路修正に伴う上述のシグネチャ圧縮値の変化は論理シミュレーションにより算出可能である。
【0035】
そして、セット基板200上の半導体集積回路201、203、204上の出力側セレクタ229、233、235のセレクト信号を“0”に、半導体集積回路202上の出力側セレクタ231のセレクト信号を“1”にそれぞれ設定して、対応するシグネチャ圧縮期待値221として値“1”をセット基板200上の外部端子205より入力し、配線206、半導体集積回路201上のバウンダリスキャンチェーン225、配線207を経由して利用して半導体集積回路202の外部端子219より入力し、バウンダリスキャンチェーン213を経由して期待値格納回路217に期待値224として値“1”を設定可能である。更に、期待値照合回路218の出力信号を出力側セレクタ231を経由して半導体集積回路202の外部端子220より出力して、配線208、半導体集積回路203上のバウンダリスキャンチェーン226、出力側セレクタ233を経由して、更に配線209を経由して半導体集積回路204上のバウンダリスキャンチェーン227と出力側セレクタ235を経由して、配線210からセット基板200の出力端子211からの出力信号を観測することでセット基板200上の半導体集積回路202上の検査対象回路215の検査が可能となる。
【0036】
同様にして、セット基板200上のその他の半導体集積回路201、203、204の各々の検査対象回路についても排他的に検査可能である。
【0037】
以上より、セット基板200上の半導体集積回路201、202、203、204の検査対象回路の修正が発生した場合にあっても、セット基板200の外部より回路修正に対応した期待値をセット基板上の配線、半導体集積回路上のバウンダリスキャンチェーンを経由して入力することで検査対象回路の検査が可能となる。
【0038】
なお、本実施形態にあっては4個の半導体集積回路が搭載されている例を用いて説明しているが、搭載する半導体集積回路の個数には制限は無い。また同種/異種の半導体集積回路を搭載している場合にも同様に検査可能である。
【0039】
図3は、本発明の第3の実施形態におけるパッケージの平面図を示すものである。図3にあって本実施形態におけるパッケージ300は、当該パッケージ300上に第1の実施形態にて説明した半導体集積回路100を301、302、303、304と4個搭載しており、これらの半導体集積回路群をパッケージ300の外部入力端子305から順番に接続する配線306、307、308、309、310と、外部出力端子311からなる。
【0040】
パッケージ300上の半導体集積回路302の検査対象回路315に回路修正が発生した場合に、第1の実施形態にて説明した通り、半導体集積回路302上のパターン発生器314が検査対象回路315に入力する入力パターンに対して、検査対象回路315から出力される出力パターン値が変化し、それに伴いMISR316によりシグネチャ圧縮された値323も変化する。一方、検査対象回路315の回路修正に伴う上述のシグネチャ圧縮値の変化は論理シミュレーションにより算出可能である。
【0041】
そして、パッケージ300上の半導体集積回路301、303、304上の出力側セレクタ329、333、335のセレクト信号を“0”に、半導体集積回路302上の出力側セレクタ331のセレクト信号を“1”にそれぞれ設定して、対応するシグネチャ圧縮期待値321として値“1”をパッケージ300上の外部端子305より入力し、配線306、半導体集積回路301上のバウンダリスキャンチェーン325、配線307を経由して利用して半導体集積回路302の外部端子319より入力し、バウンダリスキャンチェーン313を経由して期待値格納回路317に期待値324として値“1”を設定可能である。更に、期待値照合回路318の出力信号を出力側セレクタ331を経由して半導体集積回路302の外部端子320より出力して、配線308、半導体集積回路303上のバウンダリスキャンチェーン326、出力側セレクタ333を経由して、更に配線309を経由して半導体集積回路304上のバウンダリスキャンチェーン327と出力側セレクタ335を経由して、配線310からパッケージ300の出力端子311からの出力信号を観測することで、パッケージ300上の半導体集積回路302上の検査対象回路315の検査が可能となる。
【0042】
同様にして、パッケージ300上のその他の半導体集積回路301、303、304の各々の検査対象回路についても排他的に検査可能である。
【0043】
以上より、パッケージ300上の半導体集積回路301、302、303、304の検査対象回路の修正が発生した場合にあっても、パッケージ300の外部より回路修正に対応した期待値をパッケージ上の配線、半導体集積回路上のバウンダリスキャンチェーンを経由して入力することで検査対象回路の検査が可能となる。
【0044】
なお、本実施形態にあっては4個の半導体集積回路が搭載されている例を用いて説明しているが、搭載する半導体集積回路の個数には制限は無い。また同種/異種の半導体集積回路を搭載している場合にも同様に検査可能である。
【0045】
図4は、本発明の第4の実施形態におけるセット基板の平面図を示すものである。図4にあって本実施形態におけるセット基板400は、当該セット基板400上に第3の実施形態にて説明したパッケージ300を401、402、403、404と4個搭載しており、これらのパッケージ群をセット基板400の外部入力端子405から順番に接続する配線406、407、408、409、410と、外部出力端子411からなる。
【0046】
セット基板400上のパッケージ402の半導体集積回路302の検査対象回路315に回路修正が発生した場合に、第3の実施形態にて説明した通り、半導体集積回路302上のパターン発生器314が検査対象回路315に入力する入力パターンに対して、検査対象回路315から出力されるパターン値が変化し、それに伴いMISR316によりシグネチャ圧縮された値323も変化する。一方、検査対象回路315の回路修正に伴う上述のシグネチャ圧縮値の変化は論理シミュレーションにより算出可能である。
【0047】
まず、セット基板400上のパッケージ402上の半導体集積回路301、303、304の出力側セレクタ329、333、335のセレクト信号を“0”に、半導体集積回路302上の出力側セレクタ331のセレクト信号を“1”にそれぞれ設定し、またパッケージ401、403、404の半導体集積回路301、302、303、304上の出力側セレクタ329、331、333、335のセレクト信号を“0”に設定する。そして、パッケージ402上の半導体集積回路302上の検査対象回路315の回路修正に対応するシグネチャ圧縮期待値324として値“1”をセット基板400上の外部端子405より入力し、配線406、パッケージ401、配線407を経由してパッケージ402の外部端子305より入力し、期待値格納回路317に期待値324として値“1”を設定可能である。更に、期待値照合回路318の出力信号を出力側セレクタ331を経由して半導体集積回路302の外部端子320より出力して、配線308、半導体集積回路303上のバウンダリスキャンチェーン326、出力側セレクタ333を経由して、更に配線309を経由して半導体集積回路304上のバウンダリスキャンチェーン327と出力側セレクタ335を経由して、配線310からパッケージ402の出力端子311より出力する。そして、配線408、パッケージ403、配線409.パッケージ404、配線410を経由して、外部端子411からの出力信号を観測することで、セット基板400上のパッケージ402上の半導体集積回路302上の検査対象回路315の検査が可能となる。
【0048】
同様にして、セット基板400上のパッケージ402上のその他の半導体集積回路301、303、304上の各々の検査対象回路についても排他的に検査可能である。更に、セット基板400上のパッケージ401、403、404上の半導体集積回路上の各々の検査対象回路についても排他的に検査可能である。
【0049】
以上より、セット基板400上のパッケージ401、402、403、404上の半導体集積回路上の検査対象回路の修正が発生した場合にあっても、セット基板400の外部より回路修正に対応した期待値をセット基板上の配線、パッケージ上の配線、半導体集積回路上のバウンダリスキャンチェーンを経由して入力することで検査対象回路の検査が可能となる。
【0050】
なお、本実施形態にあっては4個のパッケージが搭載されている例を用いて説明しているが、搭載するパッケージの個数には制限は無い。また同種/異種のパッケージを搭載している場合にも同様に検査可能である。
【0051】
図5は、本発明の第5の実施形態におけるウエハの平面図を示すものである。図5にあって本実施形態におけるウエハ500は、当該ウエハ500上に第1の実施形態にて説明した半導体集積回路100を502、503と2個搭載しており、これらの半導体集積回路群と、ウエハ500の外部入力端子504と、スクライブライン509、510、511、512、513上に形成された配線505、506、507と、外部出力端子508とからなる。
【0052】
ウエハ500上の半導体集積回路503の検査対象回路に回路修正が発生した場合に、第1の実施形態にて説明した通り、半導体集積回路503上のパターン発生器102が検査対象回路101に入力する入力パターン115に対して、検査対象回路101から出力される出力パターン116が変化し、それに伴いMISR103によりシグネチャ圧縮された値117も変化する。一方、検査対象回路101の回路修正に伴う上述のシグネチャ圧縮値の変化は論理シミュレーションにより算出可能である。
【0053】
そして、ウエハ500上の半導体集積回路503上の出力側セレクタ108のセレクト信号を“1”に、半導体集積回路502上の出力側セレクタ108のセレクト信号を“0”にそれぞれ設定して、対応するシグネチャ圧縮期待値118をウエハ500上のスクライブライン509上の外部端子504より入力し、スクライブライン509上の配線507、半導体集積回路502上のバウンダリスキャンチェーンを経由してスクライブライン509、513、511、512、510上の配線506を経由して半導体集積回路503の外部端子109より入力し、バウンダリスキャンチェーン106を経由して期待値格納回路104に期待値を設定可能である。更に、期待値照合回路105の出力信号を出力側セレクタ108を経由して半導体集積回路503の外部端子110より出力して、スクライブライン510、512、509上の配線505からウエハ500の出力端子509からの出力信号を観測することでウエハ500上の半導体集積回路503上の検査対象回路101の検査が可能となる。
【0054】
同様にして、ウエハ500上のその他の半導体集積回路502の検査対象回路101についても排他的に検査可能である。
【0055】
以上より、ウエハ500上の半導体集積回路502、503の検査対象回路101の修正が発生した場合にあっても、ウエハ500の外部より回路修正に対応した期待値をウエハ上の配線、半導体集積回路上のバウンダリスキャンチェーンを経由して入力することで検査対象回路の検査が可能となる。
【0056】
なお、本実施形態にあっては2個の半導体集積回路が搭載されている例を用いて説明しているが、搭載する半導体集積回路の個数には制限は無い。また同種/異種の半導体集積回路を搭載している場合にも同様に検査可能である。
【0057】
図6は、本発明の第6の実施形態における検査基板の平面図を示すものである。図6にあって本実施形態における検査基板600は、当該検査基板600上に第1の実施形態にて説明した半導体集積回路100を601、602、603、604と4個搭載しており、これらの半導体集積回路群を検査基板600の外部入力端子605から順番に接続する配線606、607、608、609、610と、外部出力端子611からなる。
【0058】
検査基板600上の半導体集積回路602の検査対象回路615に回路修正が発生した場合に、第1の実施形態にて説明した通り、半導体集積回路602上のパターン発生器614が検査対象回路615に入力する入力パターンに対して、検査対象回路615から出力される出力パターン値が変化し、それに伴いMISR616によりシグネチャ圧縮された値623も変化する。一方、検査対象回路615の回路修正に伴う上述のシグネチャ圧縮値の変化は論理シミュレーションにより算出可能である。
【0059】
そして、検査基板600上の半導体集積回路601、603、604上の出力側セレクタ629、633、635のセレクト信号を“0”に、半導体集積回路602上の出力側セレクタ631のセレクト信号を“1”にそれぞれ設定して、対応するシグネチャ圧縮期待値621として値“1”を検査基板600上の外部端子605より入力し、配線606、半導体集積回路601上のバウンダリスキャンチェーン625、配線619を経由して利用して半導体集積回路602の外部端子619より入力し、バウンダリスキャンチェーン613を経由して期待値格納回路617に期待値624として値“1”を設定可能である。更に、期待値照合回路618の出力信号を出力側セレクタ631を経由して半導体集積回路602の外部端子620より出力して、配線608、半導体集積回路603上のバウンダリスキャンチェーン626、出力側セレクタ633を経由して、更に配線609を経由して半導体集積回路604上のバウンダリスキャンチェーン627と出力側セレクタ635を経由して、配線610から検査基板600の出力端子611からの出力信号を観測することで検査基板600上の半導体集積回路602上の検査対象回路615の検査が可能となる。
【0060】
同様にして、検査基板600上のその他の半導体集積回路601、603、604の各々の検査対象回路についても排他的に検査可能である。
【0061】
以上より、検査基板600上の半導体集積回路601、602、603、604の検査対象回路の修正が発生した場合にあっても、検査基板600の外部より回路修正に対応した期待値を検査基板上の配線、半導体集積回路上のバウンダリスキャンチェーンを経由して入力することで検査対象回路の検査が可能となる。
【0062】
なお、本実施形態にあっては4個の半導体集積回路が搭載されている例を用いて説明しているが、搭載する半導体集積回路の個数には制限は無い。また同種/異種の半導体集積回路を搭載している場合にも同様に検査可能である。
【0063】
図7は、本発明の第7の実施形態における検査基板の平面図を示すものである。図7にあって本実施形態における検査基板700は、当該検査基板700上に第3の実施形態にて説明したパッケージ300を701、702、703、704と4個搭載しており、これらのパッケージ群を検査基板700の外部入力端子705から順番に接続する配線706、707、708、709、710と、外部出力端子711からなる。
【0064】
検査基板700上のパッケージ702上の半導体集積回路302上の検査対象回路315に回路修正が発生した場合に、第3の実施形態にて説明した通り、半導体集積回路302上のパターン発生器314が検査対象回路315に入力する入力パターンに対して、検査対象回路315から出力されるパターン値が変化し、それに伴いMISR316によりシグネチャ圧縮された値323も変化する。一方、検査対象回路315の回路修正に伴う上述のシグネチャ圧縮値の変化は論理シミュレーションにより算出可能である。
【0065】
まず、検査基板700上のパッケージ702上の半導体集積回路301、303、304上の出力側セレクタ329、333、335のセレクト信号を“0”に、半導体集積回路302上の出力側セレクタ331のセレクト信号を“1”にそれぞれ設定し、またパッケージ701、703、704上の半導体集積回路301、302、303、304上の出力側セレクタ329、331、333、335のセレクト信号を“0”に設定する。そして、パッケージ702上の半導体集積回路302上の検査対象回路315の回路修正に対応するシグネチャ圧縮期待値324として値“1”を検査基板700上の外部端子705より入力し、配線706、パッケージ701、配線707を経由してパッケージ702の外部端子305より入力し、期待値格納回路317に期待値324として値“1”を設定可能である。更に、期待値照合回路318の出力信号を出力側セレクタ331を経由して半導体集積回路302の外部端子320より出力して、配線308、半導体集積回路303上のバウンダリスキャンチェーン326、出力側セレクタ333を経由して、更に配線309を経由して半導体集積回路304上のバウンダリスキャンチェーン327と出力側セレクタ335を経由して、配線310からパッケージ702の出力端子311より出力する。そして、配線708、パッケージ703、配線709.パッケージ704、配線710を経由して、外部端子711からの出力信号を観測することで、検査基板700上のパッケージ702上の半導体集積回路302上の検査対象回路315の検査が可能となる。
【0066】
同様にして、検査基板700上のパッケージ702上のその他の半導体集積回路301、303、304上の各々の検査対象回路についても排他的に検査可能である。更に、検査基板700上のパッケージ701、703、704上の半導体集積回路上の各々の検査対象回路についても排他的に検査可能である。
【0067】
以上より、検査基板700上のパッケージ701、702、703、704上の半導体集積回路上の検査対象回路の修正が発生した場合にあっても、検査基板700の外部より回路修正に対応した期待値をセット基板上の配線、パッケージ上の配線、半導体集積回路上のバウンダリスキャンチェーンを経由して入力することで検査対象回路の検査が可能となる。
【0068】
なお、本実施形態にあっては4個のパッケージが搭載されている例を用いて説明しているが、搭載するパッケージの個数には制限は無い。また同種/異種のパッケージを搭載している場合にも同様に検査可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、組み込み自己検査の期待値を半導体集積回路の修正なく変更可能とし、半導体集積回路を複数搭載したセット基板あるいはパッケージにおいて、複数のチップ間の接続を行い、セット基板上にチップを実装したまま、検査対象の半導体集積回路の組み込み自己検査の期待値を外部から変更することが可能となり、BIST技術を用いた半導体集積回路の検査回路等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施形態における半導体集積回路の説明図である。
【図2】第2の実施形態におけるセット基板の説明図である。
【図3】第3の実施形態におけるパッケージの説明図である。
【図4】第4の実施形態におけるセット基板の説明図である。
【図5】第5の実施形態におけるウエハの説明図である。
【図6】第6の実施形態における検査基板の説明図である。
【図7】第7の実施形態における検査基板の説明図である。
【符号の説明】
【0071】
100 半導体集積回路
101 検査対象回路
102 パターン発生器
103 多入力シフトレジスタ(MISR)
104 期待値格納回路
105 期待値照合回路
106 バウンダリスキャンチェーン
108 出力側セレクタ
200 セット基板
205 セット基板の外部入力端子
206、207、208、209、210 セット基板上の配線
211 セット基板の外部出力端子
300 パッケージ
305 パッケージの外部入力端子
306、307、308、309、310 パッケージ上の配線
311 パッケージの外部出力端子
400 セット基板
405 セット基板の外部入力端子
406、407、408、409、410 セット基板上の配線
411 セット基板の外部出力端子
500 ウエハ
504 ウエハの外部入力端子
509、510、511、512、513 ウエハ上のスクライブライン
505、506、507 ウエハ上のスクライブライン上に形成された配線
508 ウエハの外部出力端子
600 検査基板
605 検査基板の外部入力端子
606、607、608、609、610 検査基板上の配線
611 検査基板の外部出力端子
700 検査基板
705 検査基板の外部入力端子
706、707、708、709、710 検査基板上の配線
711 検査基板の外部出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象回路と組み込み自己検査回路とを有する半導体集積回路であって、
前記組み込み自己検査回路は、多入力シフトレジスタと、期待値格納回路と、期待値照合回路とを有し、
前記検査対象回路の回路修正が発生した場合に、前記回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を前記期待値格納回路に前記半導体集積回路の外部から設定することにより検査が可能であることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路を複数搭載したセット基板であって、
前記セット基板は、前記複数の半導体集積回路の各々の外部端子と前記セット基板の外部端子との接続配線を有し、
前記接続配線を経由して前記セット基板の外部端子から、前記半導体集積回路上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とするセット基板。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路を複数搭載したパッケージであって、
前記パッケージは、前記複数の半導体集積回路の各々の外部端子と前記パッケージの外部端子との接続配線を有し、
前記接続配線を経由して前記パッケージの外部端子から、前記半導体集積回路上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とするパッケージ。
【請求項4】
請求項3記載のパッケージを複数搭載したセット基板であって、
前記セット基板は、前記複数のパッケージの各々の外部端子と前記セット基板の外部端子との接続配線を有し、
前記接続配線を経由して前記セット基板の外部端子から、前記パッケージ上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とするセット基板。
【請求項5】
請求項1記載の半導体集積回路を複数搭載したウエハであって、
前記ウエハは、前記複数の半導体集積回路の各々の外部端子と前記ウエハの外部端子との接続配線を有し、
前記接続配線を経由して前記ウエハの外部端子から、前記半導体集積回路上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とするウエハ。
【請求項6】
請求項1記載の半導体集積回路を複数搭載した検査基板であって、
前記検査基板は、前記複数の半導体集積回路の各々の外部端子と前記検査基板の外部端子との接続配線を有し、
前記接続配線を経由して前記検査基板の外部端子から、前記半導体集積回路上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とする検査基板。
【請求項7】
請求項3記載のパッケージを複数搭載した検査基板であって、
前記検査基板は、前記複数のパッケージの各々の外部端子と前記検査基板の外部端子との接続配線を有し、
前記接続配線を経由して前記検査基板の外部端子から、前記パッケージ上の検査対象回路の回路修正に対応した圧縮シグネチャの期待値を入力することで検査が可能であることを特徴とする検査基板。
【請求項8】
請求項2又は4に記載のセット基板であって、
前記セット基板は、前記複数の半導体集積回路又は前記複数のパッケージの各々の外部端子と前記セット基板の外部端子との接続配線を有し、
前記接続配線として既存のバウンダリスキャンチェーンを使用することを特徴とするセット基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−250634(P2009−250634A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95256(P2008−95256)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】