説明

単位用量投薬用の連結容器

組成物のスプレー投与またはミスト投与を生成するためのデバイスにおいて使用するための、医薬品組成物を含んだ剤型は、用量ブリスター区画と投薬ブリスター区画とを備えている。この構成では、前記区画を破壊することにより、所望されるスプレーパターンで組成物を投与する。特定の剤型は、複数の用量チャンバを備えている。これらのチャンバのそれぞれは、医薬品組成物の成分または一部を含んでおり、その内容物は、投薬時に、または投薬の直前に、混合または結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願の相互参照
適用なし。
連邦政府による資金提供を受けた研究または開発に関する記述
適用なし。
【背景技術】
【0002】
スプレーまたはミストの投与による投薬方法が最も効果的となる、または最も使いやすくなるような、薬物およびワクチンの数が増大している。スプレーまたはミスト状の制御された医薬品量を、ユーザの鼻、目、耳、肺または喉に投与するための、または、活性薬剤を局所的に投与するための、さまざまなデバイスが知られている。液状製剤、または粉末製剤を投与するためのさまざまなデバイスは、押しつぶすことの可能なアンプル内、ブリスター内、または他の剤型内に保持されている、一定量の医薬品組成物を含んでいる。この剤型は、使用の際、この剤型に孔をあけて内容物を解放するために、穿孔デバイスに押しつけられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前処理された剤型は、一定の用量を保存し、そして必要に応じて搬送するために便利な方法である。しかしながら、全ての薬物を、使用する前に、この方法で保存することが可能なわけではない。例えば、特定の活性薬剤は、液体キャリアと組みあわせたときに不安定となる。また、特定の活性薬剤は、投薬の直前に混合することが必要である。タンパク薬物およびワクチンを含む、多くの薬物は、凍結乾燥製剤内においてより安定化する可能性があり、また、最適な活性化のために、使用の直前に水和する必要のある可能性もある。
【0004】
したがって、一定の用量の活性薬剤を保存および投与するためのデバイスであって、その内部において薬剤の成分を個別のチャンバ内に保存することが可能であるとともに、使用の直前に、これらを液体または別の活性薬剤と混合することの可能なデバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、人間または人間以外の動物に対して、所望される容積およびスプレー形状を有するストリーム、液滴、スプレーまたはミストを投与する投与デバイスにおいて使用するための、薬物または医薬品の剤型を提供する。この剤型は、例えば、医薬品組成物または医療用組成物における一定の用量を、ユーザの鼻腔、目、口、耳、肺内、喉内または局所的な位置に対して投与するために使用することの可能なものである。好ましい実施形態では、粉末状の薬剤または凍結乾燥された薬剤などの流体または固体を含んでいる所定量の医薬品組成物または医療用組成物が、アンプルすなわちブリスター剤型内に含まれているか、または、その内部で生成される。このブリスター剤型は、貫通メカニズムに対して剤型を推進するために十分な力を有するプランジャーによって破壊される。これにより、剤型が貫通され、剤型から液体または固体の内容物が、投与チャネルを介して、ユーザに向けられているスプレー内に強制的に送られる。所定量とは、たいていの場合、薬物または医薬品組成物または医療用組成物における1回分の用量のことであり、特定の実施形態では、処方用量のことである。1回分の用量の投薬が2回以上のスプレーによってなされる場合には、流体または固体の剤型における所定量は、1回分の用量の一部であってもよい。
【0006】
本開示においては、粉末状、凍結乾燥された形状、または液状で投与することの可能な全ての医薬品が想定されている。この医薬品は、抗生物質、解熱剤、抗炎症薬、バイオジェネリック薬、ビタミン、共同因子、酵素、阻害物質、活性化因子、栄養素、DNAを用いた死滅ウイルスまたは生ウイルス、または微生物を含むワクチン、核酸、タンパク質、ペプチド、抗毒素、ペプチド模倣薬、または、この技術分野において既知の他の薬剤または医薬品組成物含んでいるが、これらに制限されるわけではない。医薬品組成物は、液体、粉末、凍結乾燥された薬剤、またはこれらの任意の組み合わせの形状となっており、1つまたは複数の活性薬剤を含んでいる。この活性薬剤については、必要に応じて、薬学的に受け入れ可能なキャリア、溶媒、希釈剤、保存料、界面活性剤、塩、アジュバント、粘着性薬剤、バッファ、キレート剤、または当業者にとって既知の他の含有物と、結合または混合してもよい。
【0007】
好ましい実施形態では、用量が、被験者に対して投薬または投与されることを意図されている場合、好ましい薬剤(例えば、マトリックス材、治療用の薬剤、活性薬剤、可塑剤、界面活性剤、および、本開示における機能的な賦形剤)は、薬学的に受け入れ可能な材料である。本明細書で使用されている、「薬学的に受け入れ可能なキャリア」または「薬学的に受け入れ可能な材料」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、被覆剤、抗菌性および抗真菌性の薬剤、等浸透圧性および遅延吸収性の薬剤、吸収増大性の薬剤などを含んでいる。医薬用の活性薬剤に関する上記のような薬剤および媒体を使用することは、この技術分野においては周知のことである。任意の従来の媒体または薬剤が活性薬剤と混合することのできないものである場合を除いて、その治療用の組成物内での使用が想定されている。補助的な活性薬剤を、組成物に組み込むことも可能である。「薬学的に受け入れ可能な」という表現は、また、人間または動物に対して投薬されたときに、アレルギー性またはそれに類似の有害反応を生成しない、分子的実体および組成物のことも指す。
【0008】
この本開示を、以下に示す剤型のような、特定の実施形態において説明することも可能である。この剤型は、医薬品組成物を投与するための剤型において、医薬品組成物における第1の成分を含んでいる第1の用量チャンバと、医薬品組成物における第2の成分を含んでいる第2の用量チャンバと、貫通可能な皮膜を備えている投薬チャンバと、を備えた剤型である。第2の用量チャンバと投薬チャンバとは、2つの分離されたチャンバであってもよいし、また、同一のチャンバであってもよい。貫通可能な皮膜は、貫通メカニズムまたは貫通デバイスによって貫通されるように設計されている、皮膜の一部である。この貫通可能な皮膜は、使用時に貫通される際、この皮膜のかけらの生成を抑制するため、および、貫通された皮膜が貫通チップにおける外側の壁をシールすることを促進するために、切れ目を付けられること、または薄くすることによって弱められているエリアを含んでいてもよい。この剤型は、さらに、シール、例えば第1の剥離シールを備えている。この第1の剥離シールは、第1の用量チャンバにおける内容物が、第2の用量チャンバにおける内容物と混合することを阻止する。また、この剤型は、第2のチャンバにおける内容物が投薬チャンバと混合することを阻止する、第2の剥離シールを備えてもよい。この剤型は、さらに、全てのチャンバの外周を取り囲む永久シールを備えてもよい。この場合、第1および第2の剥離シールは、永久シールに比して弱い粘着性を有しており、このために、第1および第2の剥離シールが、永久シールに比して、著しく弱い圧力の下で剥離するようになっている。
【0009】
本明細書で使用されている、「用量チャンバ」という用語は、「用量ブリスターチャンバ」という用語を包含するものであるが、最終的な医薬品組成物の成分または一部を含んでいる、開示されている剤型の区画を指している。用量チャンバは、投薬時または投薬の直前にチャンバの内容物が結合されるときに、最終的な医薬品組成物を形成するために他の成分と混合される、液体または固体の組成物を含むことが可能である。「投薬チャンバ」という用語は、「投薬ブリスターチャンバ」という用語を包含するものであるが、貫通可能な皮膜を含んでいるとともに、内部的な貫通メカニズムを備えることの可能なチャンバを指している。剥離ゾーンは、チャンバに圧力が印加されたときに、チャンバの内容物が混合可能となるように、裂けるか、または剥離するように設計されているシールである。
【0010】
この開示における特定の剤型は、剥離ゾーンによって、または、特定の実施形態では、例えばアルミフォイルなどの高い防湿性を有する材料によって分離された、2つの用量チャンバを有している。実施形態は、さらに、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の用量チャンバを有する剤型を含んでいる。これら全てのチャンバの内容物は、投与される医薬品組成物として混合される。これらのチャンバは、任意に組みあわせられた液体または固体を含むことが可能であるが、好ましい実施形態では、最終的な医薬品組成物は、液状である。特定の実施形態では、1回分の用量の容積が、単一の用量チャンバ内に収容できないほど大きい場合には、1つまたは複数の用量チャンバ、または全ての用量チャンバさえもが、同一の組成物または、同一の組成物におけるアリコート部分を含むことが可能である。この開示における1つの態様では、貫通デバイスによって貫通することの可能な、または圧力によって破裂させることの可能な剥離ゾーンまたは皮膜によって、用量チャンバが、蓄積中に、互いに分離され、これにより、投与デバイス内においてチャンバに圧力が印加されたときに、障害物が除去され、さらに、最終的な剥離または計画的な皮膜の不具合によって、完成された組成物が、治療部位に対する排出のための投薬チャンバに進入することが可能となる。
【0011】
特定の実施形態では、投薬チャンバは、内部的な貫通デバイスを備えている。開示されているデバイスについては、投与デバイスの一部である、外部的な貫通メカニズムを用いて使用されるように設計することも可能である、ということが理解されている。上記の内部的な貫通デバイスは、剤型に対して、その製造に関する、および、医薬品組成物がノズルを介して投薬されるまでの投薬ノズルの無菌性の維持に関する、複数の重要な利点を提示する。好ましくは、この内部的な貫通デバイスは、一体的な貫通器ノズル投薬システムである。
【0012】
したがって、この開示における剤型は、特定の実施形態においては、貫通デバイスを有する投薬ブリスターチャンバを備えるように説明されている。この貫通デバイスは、ほぼ中空の細長い部材であり、ベース端部と、このベース端部の反対側の貫通チップとを有しているとともに、排出ノズルを形成している。特定の実施形態では、剤型の製造時および使用時に、貫通デバイスを適切な位置に支持および保持するために、投薬ブリスターが、少なくとも貫通デバイスのベース端部に適合している。この貫通デバイスは、ベース端部上またはその近傍に、1つまたは複数の進入開口部を有しているとともに、1つまたは複数の進入ポートと排出ノズルとの間の流体接続を実現する内部導管を備えており、この内部導管の表面が、貫通デバイスを介して強制的に送られる流体のスプレーパターンおよび液滴サイズを制御するための構造特性(例えば、等高段差、ステップ、丸溝ひだ、肋材、くびれ、あるいはこれらの組み合わせ)を有している。この開示における別の態様では、進入開口部が、1つまたは複数の90°ベンドを有する、投薬ブリスターチャンバの内部から内部導管への流体経路を提供し、さらに、貫通デバイスを介して流体が強制的に送られるときに、直角の方向転換と内部導管の構造特性との組み合わせが、その流体の内部に渦を形成している。
【0013】
特定の医薬品組成物は、投薬の前に、追加的な混合を必要とする可能性があることがわかっている。これは、最終的な排出ステップの前に、ユーザが投与デバイスを振動することによって達成することが可能であり、または、最終的な剥離ゾーンの構造によって実現することも可能である。例えば、この開示における特定の実施形態は、用量ブリスターチャンバを投薬ブリスターチャンバから分離している剥離シールであって、用量ブリスターチャンバの内容物の混合を促進するような構造特性を備えている剥離シールを有している。好ましい構造は、1つまたは複数の曲線、蛇行形状、くびれ、またはこれらの組み合わせを備えている、が、これらに制限されるわけではない。この混合については、貫通ノズルの構造によって達成することも可能である。例えば、このノズル構造は、さらに、解放された流体または粉末の速度、圧力、パターン、分布、方向、およびプルーム形状を制御することも可能である。
【0014】
したがって、特定の実施形態では、この開示を、「特定の容積を有する剤型から、流体または固体の組成物を、制御されたスプレーパターンおよび液滴サイズで投薬するための貫通ノズル」として説明してもよい。このノズルは、進入端部および排出端部を有する実質的に細長い部材、進入端部と排出端部とを流体接続で接続する内部的なチャネル、進入端部における1つまたは複数の進入開口部、排出端部における排出用開口部、および、ノズルを介して強制的に送られる流体のスプレーパターンおよび液滴サイズを制御するための、内部チャンバの表面の構造、を備えている。進入ポートは、1つまたは複数の直角の方向転換を含む、内部チャネルに向かう流体経路を提供するように設計されている。この進入ポートについては、また、液体または固体の組成物がこのポートを介して強制的に送られるときに、この組成物内に渦を生成するように設計することも可能である。内部チャネル内の構造は、さらに、ステップ、丸溝ひだ、肋材、くびれ、等高段差、および、所望される液滴サイズおよびスプレー形状を生成するための関連する構造を備えることが可能であるが、これらに制限されるわけではない。特定の実施形態では、貫通チップを、細長い部材における排出端部(または進入端部)に配置してもよい。この貫通ノズルを、剤型内に備えることも可能である。したがって、この開示は、上記の貫通ノズルおよび医薬品組成物を備えた剤型を含んでいる。
【0015】
特定の実施形態では、本開示を、内部的に貫通される剤型として説明することも可能である。この剤型は、実質的にドーム型の柔軟性のあるブリスター、このドーム型のブリスターのベースに対してシールされている、ほぼ円形の貫通可能な表面、および、上述した貫通ノズルおよび液状組成物を含んでいる内部チャンバ、を備えている。特定の実施形態では、貫通ノズルは、ベースおよび貫通端部を有している。この構成では、ベースは、ドーム型のブリスターに取り付けられており、貫通端部は、貫通可能な表面に隣接している。
【0016】
この開示には、特定のタイプの投与デバイスとともに剤型を使用することを可能とするような、特定の態様が含まれている。すなわち、特定の実施形態では、開示されている任意の剤型を、連続的な投薬のために、ストリップまたはディスク上に製造することが可能である。この手法では、1つのパッケージ内に、多数の用量を含めることが可能である。剤型は、さらに、以下のステップを実行する投与デバイスとともに使用するように設計されている。これらのステップとは、複数の用量ブリスターチャンバの間の剥離シールを剥離するように、および、これらの用量ブリスターチャンバの内容物が混合または結合されることを可能とするために、これらの用量ブリスターチャンバを圧迫するステップ、貫通チップを推進して皮膜を通過させるために、投薬チャンバを圧迫するステップ、および、投薬ブリスターチャンバから用量ブリスターチャンバを分離している剥離シールを剥離するため、および、混合または結合された医薬品組成物を、貫通デバイスを介して排出ノズルから外に吐出するために、用量ブリスターチャンバをさらに圧迫するステップ、である。
【0017】
本開示における他の実施形態は、医薬品組成物を投与するための剤型において、医薬品組成物における第1の成分を含んでいる第1の用量ブリスターチャンバと、医薬品組成物における第2の成分を含んでいる第2の用量ブリスターチャンバと、貫通可能な皮膜、圧力によって破裂可能な皮膜、または、機械的に弱められた皮膜を備えている投薬ブリスターチャンバと、を備えた剤型である。この剤型は、さらに、第1の用量ブリスターチャンバを第2の用量ブリスターチャンバから分離している防湿性皮膜と、用量ブリスターチャンバの内容物が投薬チャンバと混合することを阻止する剥離シールと、を備えている。好ましい実施形態では、この剤型は、シート材から形成されている。このシート材は、2つの外層および1つの内層を有するサンドイッチ形状の、3つの層を有している。第1の外層は、好ましくは、剤型の皮膜層を形成している、高い防湿性を有する材料であり、内層も、高い防湿性を有する材料である。この材料は、第1の用量ブリスターチャンバの隔壁を形成しているとともに、第1の用量ブリスターチャンバにおける内容物を、第2の用量ブリスターチャンバにおける内容物から分離している。さらに、第2の外層は、第2の用量ブリスターチャンバおよび投薬ブリスターチャンバの隔壁を形成している、柔軟性のある隔壁材料である。特定の実施形態では、第1の用量ブリスターチャンバにおける内容物を第2の用量ブリスターチャンバにおける内容物から分離している高い防湿性を有する材料を、用量ブリスターチャンバに圧力が印加されたときに特定の位置に裂け目が生じるように、薄くするか、または、この材料に切れ目を付けることが可能である。代替的な実施形態では、高い防湿性を有する材料を貫通するため、および、用量ブリスターチャンバに十分な圧力が印加されたときに、これらの用量ブリスターチャンバの内容物が混合されることを可能とするために、1つの用量ブリスターチャンバ内に、貫通デバイスを配置することも可能である。
【0018】
開示されている内部的に貫通される剤型については、さらに、剤型におけるより小さい設置面積または直径を必要とする投薬デバイス(例えば、ユーザの鼻腔に実際に進入しなければならない鼻腔用の投薬デバイスなど)のために設計することも可能である。したがって、特定の実施形態では、剤型のシールフランジを折り曲げるために、スエージ加工、または加圧成形プロセスが使用され、著しく小さい直径のパッケージが生成される。
【0019】
したがって、この開示における特定の実施形態は、投薬の直前に2つ以上の成分が混合される剤型を含んでいる。このような剤型は、皮膜および2つ以上のチャンバに分割されているブリスターを備えることが可能である。これらのチャンバは、シールによって分割されており、このシールは、ブリスターの全体の外周を取り囲んでいる主要なシールに比して、弱い接着性を有している。この実施形態では、各チャンバは、混合される最終的な用量における固体または液体部分を含み、好ましくは、最終的な混合物が液状となるように、少なくとも1つのチャンバが液体を含んでいる。この実施形態における1つの態様では、1つのチャンバの内容物が、隣接するチャンバの内部に強制的に送られ、このチャンバにおいて、2つの成分が混合される。これは、ブリスターの周囲にある主要な外周シールは破らずにチャンバ間の接着力の弱いシールを破るために十分な力を、第1のチャンバに印加すること、および、この第1のチャンバを崩壊させて、その内容物を圧力によって強制的に第2のチャンバに送ることによって、達成される。第2のチャンバについては、混合する前における第2のチャンバの容積を最小化するために、逆さになった頂部を有する、柔軟性のあるブリスターまたは隔壁の材料から構成することが可能である。シールを破り、第1のチャンバの内容物を第2のチャンバに強制的に送ることによって、チャンバの頂部が持ち上がり(または膨張して)、両方のチャンバの内容物を収容することが可能となる。そして、貫通メカニズムを含んでいるまたは、このメカニズムに隣接している第2のチャンバが、プランジャーによって破壊され、混合された組成物が投薬される。投薬の前に成分を混合するための多数のチャンバを有する剤型については、中央のチャンバを取り囲む、または部分的に取り囲む1つまたは複数のチャンバを有する、ほぼドーナツ型の形状とすることが可能であり、または、これらを、隣接配列または積層配列に配置してもよい。
【0020】
特定の実施形態では、剤型は、3つのチャンバを有することも可能である。この構成では、第1のチャンバが、第2のチャンバに含まれている液体または粉末と混合される、液体または粉末を、好ましくは、少なくとも1つの成分が液体である状態で、含んでいる。この実施形態では、剤型は、3つめの投薬チャンバを含んでおり、この投薬チャンバ内に2つのチャンバの内容物が搬送され、その後に投薬される。3つのチャンバを有する混合投薬器は、2つのプランジャーを備えることが可能である。第1のプランジャーは、貫通メカニズムに衝突させて投薬チャンバを破壊し、用量の無菌性を損なうことなく、チャンバから空気を解放する。他のプランジャーは、第1のチャンバを押圧し、これにより、第1のチャンバの内容物が、剥離ゾーンを介して強制的に第2のチャンバに送られ、これらの用量チャンバの内容物が、混合または結合される。第2のピストンが移動し続けているために、第1および第2のチャンバが完全に破壊される。そして、混合された組成物が、強制的に投薬チャンバに送られ、これを介して、所望されるスプレーパターンで、排出ノズルから外に排出される。成分の混合または結合と排出ノズルを介した組成物の排出との間のステップは、急速に生じてもよく、または、排出よりも十分に前に成分を混合または結合することを可能とするための遅延を含んでもよい。
【0021】
したがって、本開示を、剤型内において、投薬の前に混合される2つの成分からなる医薬品組成物を投薬するための方法として説明することも可能である。この方法は、複数のチャンバを有する剤型および投薬チャンバを準備するステップを含んでいる。この剤型では、破壊することの可能な第1のチャンバ内に第1の成分が含まれており、破壊することの可能な第2のチャンバ内に第2の成分が含まれている。そして、投薬チャンバは、内部的な貫通メカニズムおよび排出口を有しおり、第1および第2のチャンバが、接着シールによって分離されている。この方法は、さらに、破壊することの可能なチャンバを破壊するための、機械的な圧力を与えるステップを含み、これにより、接着シールが破られるとともに、破壊することの可能なチャンバの内容物が強制的に一緒にされ、さらに、チャンバの内容物が、貫通メカニズムを介して、排出口から外に強制的に排出される。なお、この場合、好ましくは、少なくとも1つの成分が液体である。
【0022】
この開示の全体にわたって(文脈上、そうではないと指示されている場合でない限り)、「comprise(包含する)」という語句、またはその変化形(例えば、「comprises」または「comprising」)は、「それを含むが、それに限られない」ということを意味するように理解される。このため、明確に述べられていない他の要素であっても、含まれる可能性がある。さらに、文脈上、そうではないと指示されている場合でない限り、「a」または「the」という用語の使用は、単一の物または要素を意味する可能性がある。または、それは、複数の物または要素、または、1つまたは複数の物または要素を意味する可能性がある。
【0023】
以下に示す図面は、本明細書の一部を形成しているとともに、本発明の特定の態様をさらに明示するために備えられている。本発明については、これらの図面の1つまたは複数を、ここに示されている特定の実施形態における詳細な説明と組みあわせて参照することによって、よりよく理解することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】内部的な貫通メカニズムを有する、剤型の実施形態を示す図である。
【図2】貫通メカニズムの実施形態を示す図である。
【図3】内容物を投薬する際における、内部的な貫通メカニズムを有する剤型の実施形態を明示する図である。
【図4】内部的な貫通メカニズムを有する、剤型の実施形態を示す図である。
【図5】用量を投薬するためのデバイスの筐体内にある、図4の実施形態を示す図である。
【図6】投薬の中間的なステップにおける、図5の剤型を示す図である。
【図7】排出時における、図5の剤型を示す図である。
【図8】2つの用量チャンバ、および、投与デバイスのプランジャーと相互作用する内部的な貫通メカニズムを有する、剤型の断面図である。
【図9】投薬における第1のステップにある、図8に示した剤型の断面図である。
【図10】投薬における中間的なステップにある、図8に示した剤型の断面図である。
【図11】排出時における、図8に示した剤型の断面図である。
【図12】多数の用量を順次的に投薬するためのストリップ上に配された、2つのチャンバを有する用量における実施形態を示す図である。
【図13】投与デバイスのピストンと相互作用している、2つのチャンバを有する剤型における実施形態を示す断面図である。
【図14】投薬の第1のステージにおける、図13に示した剤型の断面図である。
【図15】図13に示した剤型における、排出中の断面図である。
【図16】製造時における剤型の斜視図である。
【図17】投与デバイスにおいて使用するために円筒形に形成された、図16に示した剤型の斜視図である。
【図18】投与デバイスの筐体内における、図16に示した剤型の斜視図である。
【図19】待機モードにある投与デバイスの筐体内における、図16に示した剤型の断面図である。
【図20】投薬の第1のステップにおける、図16に示した剤型の断面図である。
【図21】排出時における、図16に示した剤型の断面図である。
【図22】多数の用量チャンバを有する剤型の斜視図である。
【図23】待機モードにある投与デバイスの筐体内における、図22に示した剤型の断面図である。
【図24】投薬の第1のステップにおける、図22に示した剤型の断面図である。
【図25】排出時における、図22に示した剤型の断面図である。
【図26】多数の用量を順次的に投薬するためのストリップ上に配された、図22に示した剤型の斜視図である。
【図27】高い防湿性を有する材料によって用量成分が分離されている、2つのチャンバを有する剤型の実施形態における断面図である。
【図28】投薬の第1のステップにおける、図27に示した剤型の断面図である。
【図29】排出時における、図27に示した剤型の断面図である。
【図30】高い防湿性を有する材料によって用量成分が分離されているとともに、チャンバの1つが貫通デバイスを備えている、2つのチャンバを有する剤型の実施形態における断面図である。
【図31】投薬の混合ステージにおける、図30に示した剤型の断面図である。
【図32】投薬の際に用量チャンバの内容物の混合を促進するような構造を提供している最終的な剥離ゾーンを有する、剤型の実施形態における斜視図である。
【図33】多数用量投薬器において使用するための、ブリスターストリップにおける斜視図である。
【図34】図33に示したストリップの底面図である。
【図35】トリム型の剤型における斜視図である。
【図36】図35に示した剤型の側面図である。
【図37】剤型における外側の直径を小さくするためにリムをスエージ加工した後の、剤型を示す図である。
【図38】スエージ加工された剤型の側面図である。
【図39】シールエリアの周囲にシール用の窪みを有する剤型を示す図である。
【図40】図39に示した剤型の実施形態における側面図である。
【図41】図39に示した剤型の実施形態における側面図である。
【図42】図39に示した剤型の実施形態における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示における好ましい実施形態は、1つまたは複数の医薬用活性薬剤における一定の用量と、剤型とを対象としており、上記剤型は、さらにこの剤型を貫通し、圧力下において内容物を解放することができるように、貫通可能な部分を含む。この開示において「圧力下」という表現を使用した場合には、この圧力は、一般的に、剤型自体の内部圧力ではなく、外部から印加される圧力であるということが理解される。一般的な操作においては、プランジャー、レバー、ラム、ホイール、または他の機械的なデバイスは、貫通部材にぶつけて剤型をつぶすため、および、開口部から内容物を強制的に排出するために十分な力をもって、剤型に接触する。この貫通部剤については、例えば針のような外部的な貫通部材とすることも可能であるし、または、剤型またはアンプル内に含めることも可能である。この剤型は、例えば、フォーム・フィル・シール技術、または、ブロー・フィル・シール技術などを含む、当業者に周知の方法を使用して生成することが可能なものである。フォーム・フィル・シールのプロセスは、同一の装置において、医薬用の活性薬剤を充填されて密閉またはシールされた、ブリスター(例えばブリスターパック)を、平らなシートまたはフィルムからなるロールから形成するために、使用できる。このプロセスは、空洞およびリッディングを有するベースの形成を含んでいる。この空洞内には、医薬用の活性薬剤、または、医薬用の活性薬剤と混合または結合してもよい薬剤が配置される。また、上記のリッディングは、例えばフォイルからなり、これを介して薬剤がブリスターの外部に投与されるものである。ブロー・フィル・シール技術は、機械の内部にある無菌の隔離されたエリア内において、連続的なプロセスで、剤型を形成し、充填し、そしてシールするステップを含んでいる。
【0026】
内部的な貫通部材を有する剤型の例が、図1に示されている。図1の剤型は、ブリスター剤型1であり、これは、ドーム型に形成された隔壁2、および、シールエリア4に沿って隔壁2をシールしている皮膜3を備えている。このブリスター剤型1の内部にシールされているものは、貫通ノズル5および液状組成物9である。
【0027】
図1の貫通ノズルは、図2にも示されている。貫通ノズル5におけるこの例は、先細りになっている側面10、および、進入ポート7と排出ポート12とを接続する内部チャンバ8を備えている。この内部チャンバ8は、内部の等高段差11、および、内部チャンバ8の内壁における他の構造を備えることが可能である。これらの等高段差および他の構造は、流体または固体の薬剤9の流れに影響を及ぼすように設計されている。特定の薬物または特定の用途における必要性に応じて、スプレー状、ミスト状またはストリーム状の流体または固体の薬剤を排出ポート12から排出するための特定の用途に関しては、異なるノズル構造が形成される。
【0028】
使用中のブリスター剤型が図3に示されている。1回分の用量の投薬が実行されるときには、剤型は、特定の部位(例えばユーザの目、耳、鼻、口、肺または皮膚など)に医薬品を投与するように設計されたデバイス内に配置される。このデバイスは、経口(oral)、経口(peroral)、経腸、非経口、経肺、経直腸、経耳、経局部、経鼻、経膣、経舌、直接噴射、経静脈、経動脈、経心内膜、内皮、経筋肉、経腹腔、皮下、経眼球、経眼、経鼻腔、経胸膜、経くも膜下、経腫瘍、経子宮、経同所、経皮、経頬および経皮下によって、または、他の投与ルートを介して、医薬品を投与してもよい。このようなデバイスの多くは、爆発力によって剤型に対してラムを推進する、点火メカニズムを有している。このようなデバイスの例は、係属中の米国仮出願第60/853,328号に記載されており、その全ての内容は、引用することにより、ここに組み込まれている。この動作の結果は、図3に明示されている。この図では、方向15に沿った力が、プランジャー13によって、ドーム型の隔壁2の背面に印加されている。貫通チップ6が皮膜3を突き破り、液状の薬物9が、進入ポート7から排出ポート12に抜けるように内部チャンバ8内に流れ、そして、排出パターン14で投与されている。貫通ノズル5における貫通チップ6および先細りの側面10によって、皮膜3が、貫通ノズル5の周囲を固くシールしている。これにより、薬物9が、排出ポート12から強制的に流し出されている。
【0029】
ブリスター剤型100における他の実施形態が、図4に示されている。このバージョンは、貫通ノズル105における排出ポート112と同じ側に、進入ポート107を有している。この構成は、投薬の際に、成分109を、2つの90°ベンドを介して強制的に流すようになっている。内部チャンバ108内の等高段差111とともに、この一連のベンドを介して、液体または固体の薬剤を強制的に流すことは、排出パターン114を制御する。ブリスター剤型100内では、隔壁102の一部116が、貫通ノズルにおけるベース120の形状に適合するように形成されている。この隔壁は、組み立ての際、および、投薬の際に、貫通ノズル105を適切な位置に支持および保持する。このように、この隔壁は、製造時および実際の使用時に、貫通ノズルを確保し、これを適切な位置に保持するように機能する。
【0030】
図5に示されているブリスター剤型100は、待機モードにあるプランジャー13を有する筐体18内に配置されている。筐体18は、投薬の際に、貫通ノズル105によって皮膜103を貫通することを可能とするための、排出用開口部19を有している。図6に示されているように、投薬動作の間では、方向15に沿った力が、プランジャー13に印加されており、これにより、隔壁102が圧迫され、貫通ノズル105が、貫通ポイント20において皮膜103内に推進される。投薬における次のステージが、図7に示されている。上記の力がプランジャー13を隔壁102に対して推進し続けているために、隔壁が崩壊し、これにより、貫通皮膜103が皮膜を突き通されるとともに、薬剤109が、貫通ノズル105を介して、排出パターン114で排出ポート112から押し出される。この実施形態では、ブリスター剤型100の形状が、投薬メカニズムの筐体18およびプランジャー13に適合するように設計されており、これにより、所望されるスプレーパターン114を得るために、隔壁102が、接触エリア116内において貫通ノズル105をシールすること、および、皮膜103が、シールエリア21の周囲において貫通ノズル105をシールすることを確実にしている。
【0031】
特定の実施形態では、この開示は、2つ以上の医薬品、または、投薬中または投薬の直前に混合または結合される、薬物における2つ以上の成分を、別個のチャンバに保持する剤型を対象としている。これらのチャンバは、さらに、1つの医薬品、および、投薬の直前に薬剤と混合または結合される第2の成分を有してもよい。別個のチャンバ内にある医薬品および混合薬剤については、液状組成物、固体組成物、または、1つまたは複数の液状組成物および1つまたは複数の固体組成物してもよい。この固体組成物は、例えば、粉末状の医薬品組成物でもよいし、凍結乾燥された組成物であってもよい。チャンバ内の医薬品または混合薬剤は、一般的には互いに異なっている。しかしながら、同一の医薬品または混合薬剤が、同一の剤型における2つ以上のチャンバ内に存在してもよい。2つのチャンバを有するブリスター剤型22の例が、図8に示されている。このブリスターは、外輪形状、またはアーチ型の形状を有するチャンバ23、および、内部チャンバ24を備えている。このチャンバ23には、薬剤46における第1の容積が充填されおり、内部チャンバ24には、薬剤47における第2の容積が充填されている。薬剤46または47の一方を、粉末状とすることが可能であるが、2つのうちの一方は、好ましくは、液状である。2つのチャンバ間のシールは、剥離ゾーン25である。このエリアは、隔壁材料の破裂強度よりも低い圧力において、かつ、シールエリア144よりも低い圧力において、その隔壁142と皮膜143との間のシールを解放する。このコンセプトは、さらに、外側プランジャー26を利用しており、これもまた、基本的には丸い部材であり、プランジャー13とは無関係に動くことが可能である。
【0032】
投薬ステップにおける剤型22が、図9、10および11に示されている。第1のステージでは、外側プランジャー26が、外側チャンバ23に対して押しつけられている。臨界圧力となると、剥離ゾーン25が、そのシールを解放し、第1の薬剤46が内部チャンバ24内に推進され、第2の薬剤47と混合する。図10に示すように、外側プランジャー26が完全に押し下げられ、外側チャンバ23が完全に崩壊すると、全ての第1の薬剤46が、内部チャンバ24内に推進される。これにより、内部チャンバ24の隔壁が、両方のチャンバの内容物を含むドーム型に膨張する。図9と図10との比較は、この膨張を示している。すなわち、内部チャンバの側面が、図9では(2次元の図面において)へこんでいる一方、図10では凸形状に膨張している。最終ステージが、図11に明示されている。この図では、プランジャー13が、貫通ノズル145を推進して皮膜143を通過させ、内部チャンバ24を崩壊させるように、内側プランジャー13に力が印加されており、これによって、第1の薬剤46および第2の薬剤47の混合物が、内部チャンバ148を介して、排出パターン214で排出ポート212から外に出射される。接触エリア116とシールエリア221との間のシールが、再び、貫通ノズル145を介して全ての薬剤を押し出し、これにより、所望されるスプレー構造が得られる。
【0033】
特定の実施形態では、図12に示すように、2つの分離された成分を有する剤型を、用量ストリップ27に製造することが可能である。このストリップについては、1回分の用量の医薬品、または、1つまたは複数の医薬品を含む混合物を反復的に投与するための、適切な投与デバイス内において使用することが可能である。ストリップにおける各ユニットは、第1の剥離ゾーン31によって第2の用量チャンバ29に接続されている第1の用量チャンバ28、および、第2の剥離ゾーン32によって第2の投薬チャンバ29に接続されている投薬チャンバ30を含んでいる。用量ストリップ27のユニットは、まるで第1のプランジャー33を有する筐体218内に配置されているかのように、図13に示されている。この第1のプランジャー33は、第2のプランジャー34とは無関係に動作する。第1のチャンバは、1回分の用量の医薬品からなる第1の成分146を含んでおり、第12のチャンバ29は、第2の成分147を含んでいる。筐体18は、貫通ノズル165の前部に配置された、排出用開口部219を備えている。図14に示すように、複合薬剤の投薬における第1のステージでは、第1の力35が、第1のプランジャー33を押すことで、投薬チャンバ30が崩壊し、貫通ノズル165が、皮膜163を突き通す。そして、第2の力36が、第1の用量チャンバ28に対して第2のプランジャー34を押すことで、第1の剥離ゾーン31がそのシールを解放するとともに、第1の成分146が第2の成分147と混合する。図15に示すように、第2のプランジャー34が完全に押し下げられた場合、それは、複合チャンバの崩壊を引き起し、さらに、薬剤の混合物を、投薬チャンバ30を介して、貫通ノズル165を介して、排出パターン214で排出ポート212から外に押し出す。
【0034】
代替的な2つのチャンバを有するブリスター剤型337が、図17に示されている。この剤型337は、第1の用量チャンバ328、第1の剥離ゾーン331、第2の用量チャンバ329、第2の剥離ゾーン332、および投薬チャンバ330を有している。このブリスターについては、図16に示されているような平らな部分品として製造することが可能であるとともに、投薬のための円柱形の筐体とともに使用するために、図17に示すような丸い形に折り畳むことが可能である。図18は、互いに独立に動作される剤型に隣接した2つのプランジャー333、334を有する、投薬デバイスの一部を示している。図19に示されているように、第1のプランジャー333は、傾斜したカム表面338を有しており、投薬チャンバ330および第1の用量チャンバ328に接触して配置されている。この第1のプランジャー333に対して十分な力315が印加された場合、図20に示されているように、このプランジャーは、投薬チャンバ330を崩壊し、貫通ノズル305を推進して皮膜303を通過させ、同時に、第1の用量チャンバ328の一部を強制的に崩壊させる。これにより、第1の剥離ゾーン331が分離されるとともに、薬剤が混合される。第2のプランジャー334が発射された場合、図21に示されているように、これにより、第1の用量チャンバ328における残存部分が崩壊し、さらに、第2の用量チャンバ329が押しつぶされる。これによって、第2の剥離ゾーン332が解放され、混合成分が、排出パターン314で貫通ノズル305から外に押し出される。
【0035】
多数のチャンバを有する剤型439の実施形態が、図22に示されている。この実施形態については、1回分の用量に混合するべき3つ以上の薬剤成分を有する薬物のために、使用することが可能である。図22に示した剤型は、例えば、4つの別個の成分を混合するために使用されることが可能である。4つの成分チャンバ428および440の間には、3つの初期剥離ゾーン441がある。最終的な剥離ゾーン442は、排出チャネル443に接続されており、さらに、このチャネルは、投薬チャンバ430に接続されている。この剤型439は、図23に示されているように、互いに独立して離れて動作されるプランジャー433および434を有する筐体内において使用するように設計されている。図24に示されているように、薬剤が投薬されるときには、第1のプランジャー433が、投薬チャンバ430を破壊する。第2のプランジャー434は、第1の用量チャンバ428内に推進され、これにより、初期剥離ゾーン441のシールが解放されるとともに、結果として生じた全ての成分を含んでいる膨張したチャンバ内において、複数の成分が混合される。第2のプランジャー434が、混合されたチャンバをさらに破壊し続けているために(図25)、最終的な剥離ゾーン442が解放され、混合成分が、排出チャネル443を介して、貫通ノズル405を介して流れ出し、所望のパターン414で排出される。図26は、角度のついたストリップ445上に取り付けられた、混合成分における多重投与を可能とするための、マルチアングル・ブリスター剤型439の例示である。
【0036】
この開示における特定の実施形態は、ブリスターチャンバ内に医薬品をシールするように設計されている。このブリスターチャンバは、水蒸気が薬剤に到達することを防止するために、非常に低い浸透性を有している。このような実施形態の例が、図27に示されている。2つのチャンバを有するブリスター剤型560は、皮膜および隔壁を形成するために、3層フィルム546を利用している。中間層548および皮膜層503は、高い防湿性を有する、材料(例えばアルミフォイルなど)から形成されている。最上部層547は、柔軟性のある隔壁材料から形成されている。第1の用量チャンバ528は、最上層547と中間層548との間に形成されている。第2の用量チャンバ529は、第2の用量チャンバ529内の薬剤が、第1の用量チャンバ528内における液状の薬剤からシールされるように、中間層548と皮膜層503との間に形成されている。第2の用量チャンバ529は、剥離ゾーン525によって、投薬チャンバ530から離されている。
【0037】
図28に示されているように、成分の投薬における最初のステップでは、第1の力535が、第1のプランジャー533に印加されており、これにより、投薬チャンバ530が崩壊するとともに、貫通ノズル505が、排出用開口部519を介して筐体518内に推進される。第2の力536が第2のプランジャー534に印加されることで、、第1の用量チャンバ528が圧縮され、第1の用量チャンバ528と第2の用量チャンバ529との間の中間層548内に、裂け目549が生成される。これにより、複数の成分の混合が可能となる。裂け目549については、所望の位置における中間層548を薄くすることによって、または、スクライビング、部分的なレーザー切断線の形成、または他の手段によってその中間層548を弱くすることによって、所望の位置に集中させることが可能である。第2のプランジャー534が移動し続けているために、第1の用量チャンバ528は、完全に崩壊すし、これにより、剥離ゾーン525が強制的に解放されて、混合成分が、投薬チャンバ530を介して、排出パターン514で貫通ノズル505から外に流れ出ることが可能となる。
【0038】
3層フィルムを有するブリスター剤型における他の実施形態が、図30に示されている。この実施形態660は、第1の用量チャンバ628、第2の用量チャンバ629、剥離ゾーン625および投薬チャンバ630を有する3層フィルム646、および、第2の用量チャンバ629の内部にある内部的な貫通部材650を利用している。この貫通部材については、他の実施形態では、第1の用量チャンバ628内に配置することも可能である。使用時(図31)には、第1の力635が第1のプランジャー633に印加されることで、投薬チャンバ630が崩壊し、そして、第2の力636が第2のプランジャー634に印加されることで、第1の用量チャンバ628が押しつぶされる。第1の用量チャンバ628内の圧力が、貫通部材650の先端に対して中間層648を押しつけることで、中間層648内に裂け目649が生じ、複数の薬剤を混合することが可能となる。第2のプランジャー634が引き続き移動することによって、第1の用量チャンバ628における完全な崩壊、剥離ゾーン625の分離、および、混合成分の排出が生じる。
【0039】
2つのチャンバを有する剤型における他の実施形態が、図32に示されている。この実施形態は、2つの成分におけるより高い程度の混合を提供するものである。この実施形態751は、第1の用量チャンバ728、第1の剥離ゾーン731、第2の用量チャンバ729、湾曲した(または曲がりくねった)剥離ゾーン752、および、投薬チャンバ730を備えている。第1の用量チャンバ728の隔壁に対する圧力によって、第1の剥離ゾーン731の分離、および、第2の用量チャンバ729内への第1の薬剤の流れが生じる。さらなる圧力によって、湾曲した(または曲がりくねった)剥離ゾーン752の分離、および、剥離ゾーン752を介して投薬チャンバ730内に向かい、さらにこのチャンバ730を通過する薬剤の流れが生じる。剥離ゾーン752内での方向転換は、複数の成分の混合を増大する。さらに、追加的な混合手段を使用することも可能である。この手段とは、例えば、流路内の制限、多数の流路への分離、または、当業者に知られている他の方法などである。
【0040】
さまざまな液状または固体の薬剤における吸収のレートおよび方法は、液滴のサイズ、および、鼻腔内における分布によって影響されるため、このスプレーパターンを制御することが有益である。表面構造74を、異なるタイプのらせん流、垂直流および他の流れのために設計することができ、またこの設計を、投薬される液体または固体のさまざまな粘着性に合わせて調整することもできる。例えば、渦を形成するため、ブリスターの内容物をよりいっそう混合するため、流体特性のタイプを層流から乱流に(またはその逆に)変更するため、または、圧力、速度、表面張力または粘着性などの流体特性を変更するために、表面構造を追加してもよい。スプレーパターンを制御するための表面構造の上記使用については、上述した容積式の剤型50における貫通体54の排出経路55に適用することも可能である。
【0041】
特定の実施形態では、ここに記載したような、薬物および内部的な貫通ノズルを有する整形されたブリスター剤型が、より小さい直径の投薬メカニズムのために構成されており、この構成でも、制御されたスプレーの形状をした、正確な1回分の用量を与えるようになっている。このような複数の剤型801を有するブリスターストリップ800が、図33に示されている。このストリップは、内部に剤型が形成されているブリスター材層802、および、このブリスター材に接合されているフタ材803(図34のストリップにおける裏側に示されている)を備えている。同心円状のシールエリア804は、含まれている薬物を投与するために剤型が押しつぶされたときでも破壊されることのない、弾力的なシールを提供している。
【0042】
薬物を首尾よく投与するために、薬物は、望まれているスプレー形状を生成するために十分な速度で、貫通ノズルを流れる必要がある。この明細書で述べたように、これは、貫通ノズルを押圧してフタ材を通過させるために十分な力でブリスター構造を圧迫することによって、達成され、これにより、剤型が完全に破壊されるとともに、ノズルを介して、その内容物が必要な速度で押し出される。投薬動作の際、ブリスター材に対するフタ材によるシールは、フタを貫通するノズルに到達する前に漏れが生じることのないように、十分に強くなければならない。鼻腔内への投薬などの特定の用量状況によって必要とされるより小さいサイズは、ブリスター材に対するフタ材によるシールに対して、より大きな課題を提供する。
【0043】
トリム型の剤型が、図35に示されている。この図では、トリムエッジ805が、シールエリア804の外側に示されており、特定用途のためのより小さな直径の剤型が与えられる。この剤型の側面図が、図36に示されている。この剤型については、ブリスター材に対するフタ材によるシールの強度に対してマイナスの影響を与えることなく、全体的な直径をさらに減少するような方法によって、スエージ加工または圧力加工することが可能である。スエージ加工された剤型が、図37に示されている。このスエージ加工された剤型では、リム806が、外側の直径807をさらに減少するように、加工されている。
【0044】
特定の実施形態では、図39に示されているように、シールエリア804の周囲に同心円状の窪み808を形成することによって、シールエリア804の強度を増大することが可能である。図40〜42の側面図に示されているように、フタ材(図40)、ブリスター材(図41)、または双方(図42)に、窪みを形成することが可能である。
【0045】
この明細書において開示および特許請求されている全てのデバイスおよび方法については、本発明を考慮すると、必要以上の実験をすることなく、製造および実行することが可能である。この発明におけるデバイスおよび方法は、好ましい実施形態に関連して説明されている。しかしながら、当業者にとっては当然のことであるが、これらのデバイスおよび/または方法に対して、さらに、この明細書に記載した方法におけるステップまたは一連のステップにおいて、本発明のコンセプト、精神および範囲から逸脱することなく、変化形を適用することが可能である。当業者にとって明らかな、このような類似の代替品および改良品の全ては、添付されている特許請求の範囲によって規定された、本発明の精神、範囲およびコンセプト内のものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品組成物を投与するための剤型において、
前記医薬品組成物における第1の成分を含んでいる第1の用量ブリスターチャンバと、
前記医薬品組成物における第2の成分を含んでいる第2の用量ブリスターチャンバと、
貫通可能な皮膜を備えている投薬ブリスターチャンバと、を備えた剤型であって、
前記剤型が、
前記第1の用量ブリスターチャンバにおける内容物が、前記第2の用量ブリスターチャンバにおける内容物と混合することを阻止する第1の剥離シールと、
前記第2のチャンバにおける内容物が、前記投薬チャンバと混合することを阻止する第2の剥離シールと、
前記全てのチャンバの外周を取り囲む永久シールと、をさらに備えており、
前記第1および第2の剥離シールが、前記永久シールに比して弱い粘着性を有しており、このために、第1および第2の剥離シールが、永久シールに比して、著しく弱い圧力の下で剥離するようになっている、剤型。
【請求項2】
1つまたは複数の追加的な用量ブリスターチャンバをさらに備えており、これらのチャンバのそれぞれが、前記医薬品組成物における別の成分を含んでおり、さらに、剥離シールによって、他の全ての用量ブリスターチャンバから分離されている、請求項1に記載の剤型。
【請求項3】
前記投薬ブリスターチャンバが、貫通デバイスを有しており、
この貫通デバイスが、ほぼ中空の細長い部材であり、ベース端部と、このベース端部の反対側の貫通チップとを有しているとともに、排出ノズルを形成しており、
この貫通デバイスが、前記ベース端部上またはその近傍に、1つまたは複数の進入開口部を有しているとともに、1つまたは複数の進入ポートと排出ノズルとの間の流体接続を実現する内部導管を備えており、
この内部導管の表面が、前記貫通デバイスを介して強制的に送られる流体のスプレーパターンおよび液滴サイズを制御するための構造特性を有している、請求項1に記載の剤型。
【請求項4】
前記構造特性が、等高段差、ステップ、丸溝ひだ、肋材、くびれ、またはこれらの組み合わせを含んでいる、請求項3に記載の剤型。
【請求項5】
前記1つまたは複数の進入開口部が、1つまたは複数の90°ベンドを有する、前記投薬ブリスターチャンバの内部から前記内部導管への流体経路を提供している、請求項3に記載の剤型。
【請求項6】
前記1つまたは複数の進入ポートおよび構造特性が、前記貫通デバイスを介して強制的に送られる流体の内部に渦を形成している、請求項3に記載の剤型。
【請求項7】
前記医薬品組成物の成分のそれぞれが、粉末状または液状であり、ただし、少なくとも1つの成分が液状である、請求項1または2に記載の剤型。
【請求項8】
前記医薬品組成物における少なくとも1つの成分が、凍結乾燥された活性薬剤である、請求項1に記載の剤型。
【請求項9】
2つ以上の用量ブリスターチャンバが、前記医薬品組成物における同一の成分を含む部分を有している、請求項1または2に記載の剤型。
【請求項10】
全ての用量ブリスターチャンバが、同一の医薬品組成物を含む部分を有している、請求項1または2に記載の剤型。
【請求項11】
前記医薬品組成物が、人間に対して投薬するためのものである、請求項1または2に記載の剤型。
【請求項12】
前記医薬品組成物が、人間以外の動物に対して投薬するためのものである、請求項1または2に記載の剤型。
【請求項13】
投薬デバイスによる連続的な投薬にかかるように構成されている、請求項1または2に記載の剤型を複数備えている用量ストリップ。
【請求項14】
前記投薬ブリスターが、前記剤型の製造時および使用時に、前記貫通デバイスを適切な位置に支持および保持するために、少なくとも前記貫通デバイスのベース端部に適合している、請求項3に記載の剤型。
【請求項15】
使用時に、前記貫通可能な皮膜のかけらの生成を抑制するため、および、貫通された皮膜が前記貫通チップにおける外側の壁をシールすることを促進するために、この貫通可能な皮膜が、切れ目を付けられることによって弱められている、請求項1または2に記載の剤型。
【請求項16】
前記用量ブリスターチャンバを前記投薬ブリスターチャンバから分離している前記剥離シールが、用量ブリスターチャンバの内容物の混合を促進するような構造特性を備えている、請求項1または2に記載の剤型。
【請求項17】
前記構造特性が、1つまたは複数の曲線、蛇行形状、くびれ、またはこれらの組み合わせを備えている、請求項16に記載の剤型。
【請求項18】
請求項1または2に記載の剤型であって、1つまたは複数のプランジャーを有する投薬デバイスにおいて使用されるように設計されている剤型において、
これらのプランジャーが、
前記複数の用量ブリスターチャンバの間の剥離シールを剥離するように、および、これらの用量ブリスターチャンバの内容物が混合されることを可能とするために、これらの用量ブリスターチャンバを圧迫するステップと、
前記貫通チップを推進して前記皮膜を通過させるために、前記投薬チャンバを圧迫するステップと、
前記投薬ブリスターチャンバから前記用量ブリスターチャンバを分離している剥離シールを剥離するため、および、混合された医薬品組成物を、前記貫通デバイスを介して前記排出ノズルから外に吐出するために、前記用量ブリスターチャンバをさらに圧迫するステップと、
を実行するようになっている、剤型
【請求項19】
医薬品組成物を投与するための剤型において、
前記医薬品組成物における第1の成分を含んでいる第1の用量ブリスターチャンバと、
前記医薬品組成物における第2の成分を含んでいる第2の用量ブリスターチャンバと、
貫通可能な皮膜を備えている投薬ブリスターチャンバと、を備えた剤型であって、
前記剤型が、
前記第1の用量ブリスターチャンバを前記第2の用量ブリスターチャンバから分離している防湿性皮膜と、
前記用量ブリスターチャンバの内容物が、前記投薬チャンバと混合することを阻止する剥離シールと、
をさらに備えている剤型。
【請求項20】
3つの層を有するシート材を有しており、これらの3つの層が、
前記剤型の皮膜層を形成している、高い防湿性を有する材料である第1の外層と、
前記第1の用量ブリスターチャンバの隔壁を形成しているとともに、前記第1の用量ブリスターチャンバにおける内容物を、前記第2の用量ブリスターチャンバにおける内容物から分離している、高い防湿性を有する材料である内層と、
前記第2の用量ブリスターチャンバおよび前記投薬ブリスターチャンバの隔壁を形成している、柔軟性のある隔壁材料である第2の外層と、
を備える、請求項19に記載の剤型。
【請求項21】
前記第1の用量ブリスターチャンバにおける内容物を前記第2の用量ブリスターチャンバにおける内容物から分離している高い防湿性を有する材料が、前記用量ブリスターチャンバに圧力が印加されたときに特定の位置に裂け目が生じるように、薄くなっているか、または、切れ目が付けられている、請求項20に記載の剤型。
【請求項22】
前記高い防湿性を有する材料を貫通するため、および、前記用量ブリスターチャンバに十分な圧力が印加されたときに、これらの用量ブリスターチャンバの内容物が混合されることを可能とするために、1つの用量ブリスターチャンバ内に、貫通デバイスが配置されている、請求項19に記載の剤型。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公表番号】特表2010−529869(P2010−529869A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508588(P2010−508588)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/063782
【国際公開番号】WO2008/144439
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(506355707)ミスティック ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】