説明

単細胞化処理された植物の粉末化方法

【課題】 単細胞化植物の濃縮時に生じる細胞同士の再結着を防止すると共に、凍結乾燥時や得られた単細胞化粉末を再懸濁する際の細胞膜の破損も防止する。
【解決手段】 植物に細胞間物質溶解酵素を作用させる第1の工程と、第1の工程により得られた単細胞化された植物を含む懸濁液にシクロデキストリンを添加する第2の工程と、第2の工程により分散された細胞を含む懸濁液を減圧蒸留濃縮もしくは遠心分離にて濃縮する第3の工程と、第3の工程により濃縮された懸濁液を凍結乾燥又は噴霧乾燥にて粉末化する第4の工程とを備えた粉末化方法を用いる。
【効果】 シクロデキストリンが単細胞化された植物の細胞の周囲に集まって表面が親水基のミセルを形成するので、細胞同士の再結着が防止される。また、粉末化後においてもシクロデキストリンが安定化剤として機能するので、細胞膜の状態が保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単細胞化処理された植物の粉末化方法に関し、単細胞懸濁液の濃縮化時に生じる細胞の凝集及び密着を防止することが可能で、しかも、濃縮後の凍結乾燥時や得られた単細胞化粉末を再懸濁する際にも、細胞壁と細胞膜の破損を防ぐことができる好適な粉末化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、いわゆる健康食品や化粧品等の分野において、野菜、果物、薬草などの植物を単細胞化することにより、植物の細胞内に存在する栄養成分、色素成分などの機能性成分を細胞内に閉じ込めたまま粉末化して製品化する技術が利用されている。
【0003】
単細胞化の利点としては、機能性成分を細胞内に閉じ込めた状態を保持することによる機能性成分の保存性の向上と、加工時に発生する機能性成分の酸化等の変質及びロスの低減が挙げられる。特に、加工時に容易に変質してしまう機能性成分は、ミキサー等を用いて機械的に粉砕・抽出する方法では有効利用できず、細胞壁や細胞膜を破損せずに単細胞化することができて初めてその機能性を十分に利用することができる。
【0004】
植物を単細胞化し粉末化する製法は、大まかには以下の2つの工程からなる。最初の工程は、植物を単細胞化する工程である。植物は多数の細胞が細胞間物質で接着されて構成されているが、この細胞間物質は主にペクチン及びペクチンを不溶化したプロトペクチンを主とする多糖類であり、この多糖類を分解する酵素を作用させることによって植物を単細胞化することができる。
【0005】
細胞間物質が主としてプロトペクチンからなる場合は、細胞間物質溶解酵素としてペクチナーゼを使用する。ペクチナーゼは、ペクチンを分解する酵素の総称であり、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンリアーゼなど、数種類の酵素が混合されたものである。また、Bacillus属、Rhizopus属、Aspergillus 属等、起源となる菌により各酵素の活性及び配分が異なり、それによって特性が変化するので、種々のペクチナーゼが市販されている。
【0006】
次に、単細胞化された植物の懸濁液を乾燥させて粉末化する工程を実施する。例えば、ペクチナーゼを用いて単細胞化した植物は、単細胞化された細胞を含む懸濁液となる。植物の細胞壁は、セルロースからなる基本骨格が多糖類(マトリックス多糖:ヘミセルロース、ペクチン等)からなる基質に埋め込まれて構成されている。ペクチンは、酸性多糖であり、ホモガラクツロナン、ラムノガラクツロナンI、ラムノガラクツロナンII、アピオガラクツロナン、アラビナン、ガラクタンなどが知られている。
【0007】
よって、単細胞化した植物を健康食品や化粧品として製品化するためには、ペクチナーゼによる単細胞化処理を行った後に、単細胞化植物を含んだ懸濁液を乾燥させて粉末化する工程が不可欠である。単細胞化植物の粉末化は噴霧乾燥や凍結乾燥によって実現されている。
【0008】
そこで、上記工程を含む先行技術が幾つか提案されている。
【特許文献1】特開平9−75026号公報
【0009】
例えば、上記特許文献1には、植物に、Rhizopus属糸状菌から分離される酵素で、強固なプロトペクチンを解離するプロトペクチナーゼを主体とする細胞間物質分解酵素を作用させて、植物柔組織の細胞間物質を分解して植物を単細胞化する方法が開示されている。
【0010】
また、下記特許文献2には、香辛料原料に細胞間物質溶解酵素を作用させて植物組織を崩壊することにより単細胞化または微細組織化するとともに、細胞間物質を溶解除去した香辛料が開示されている。
【特許文献2】特開平7−23732号公報
【0011】
また、従来より、単細胞化処理された植物の懸濁液を粉末化する方法も種々提案されている。例えば、上記特許文献1には、単細胞懸濁液1ml中の細胞数が105 〜106 程度と少なくなる場合、この液をpH7.0に補正後、スプレードライヤーにかけて噴霧乾燥(スプレードライ)することで単細胞粉末を得る方法が開示されている。
【0012】
また、上記特許文献2には、香辛料原料にプロトペクチナーゼなどの酵素を作用させて単細胞化し、篩別した後、得られた懸濁液を遠心分離にかけて上澄みを除去し、得られたペースト状の沈殿物を水洗した後、凍結乾燥(フリーズドライ)して乾燥する方法が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1のように、単細胞化した植物を含んだ懸濁液を噴霧乾燥して粉末化する場合は、例えば120℃以上の熱を加えることになり、細胞膜や細胞内成分に悪影響を与えることは避けられないという問題があった。
【0014】
また、特許文献2のように、懸濁液を遠心分離にかけて上澄みを除去して濃縮後、凍結乾燥によって粉末化させる方法を用いる場合は、濃縮してペースト状の沈殿物とした時点で細胞間の距離が短くなるため単細胞同士が凝集および密着してしまうという問題があった。
【0015】
このように、単細胞同士が凝集および密着したままの状態で凍結乾燥を行うと、乾燥後に粉砕して粉末化したときに細胞が破壊されてしまうため、単細胞化の最大の目的である細胞内の機能成分の保護が不可能となる。そこで、懸濁液を濃縮しないか、濃縮の割合を減らすことも考えられたが、1回の凍結乾燥で得られる単細胞化処理された植物の量が少なくなり、コストアップが避けられず採算が取れなくなるので、製品化は困難となる。
【0016】
加えて、従来の製法は、濃縮化時には再接着せず細胞壁が保持されている場合でも、凍結時の氷晶化によって細胞膜が破損するという問題もあった。
【0017】
植物細胞はセルロース、へミセルロースなどから構成される細胞壁と、脂質二重膜で構成される細胞膜で細胞内部を保護している。細胞壁は物理的な外力から細胞内を守り、細胞膜は細胞内外の物質の出入りを制御している。したがって、細胞膜が破損した単細胞化粉末は、たとえ細胞壁が破損していない状態であっても、細胞壁の間隙を酸素が自由に通過するため、細胞内の機能性成分は徐々に変質してしまう。同様に、揮発性成分は細胞壁の間隙から細胞外へと放出される。また、細胞膜の破損による最大の問題は、単細胞化粉末を水に懸濁させた時に発生する水溶性成分及び揮発性成分の細胞外への漏洩である。これら成分は懸濁時に速やかに細胞外へ拡散してしまい、単細胞粉末のメリットをすべて損ねてしまう。
【0018】
以上をまとめると、従来の技術には、濃縮化時に生じる細胞の凝集及び密着の問題(以下、第1の課題という。)と、凍結乾燥時や得られた単細胞化粉末を再懸濁する際に生じる細胞膜等の破損の問題(以下、第2の課題という。)があった。
【0019】
本発明は、上記した従来の第1及び第2の課題を解決するためになされたものであり、単細胞化された植物を濃縮する際に生じる細胞同士の凝集及び密着を防止することが可能で、しかも、細胞膜の破損を防止することもできる最適な単細胞化粉末を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するため、本発明の単細胞化処理された植物の粉末化方法は、
植物に細胞間物質溶解酵素を作用させる第1の工程と、
前記第1の工程により得られた単細胞化された植物を含む懸濁液にシクロデキストリンを添加する第2の工程と、
前記第2の工程により分散された細胞を含む懸濁液を減圧蒸留濃縮もしくは遠心分離にて濃縮する第3の工程と、
前記第3の工程により濃縮された懸濁液を凍結乾燥又は噴霧乾燥にて粉末化する第4の工程と、
を備えたことを最も主要な特徴点としている。
【0021】
また、本発明の植物の単細胞化粉末は、上記粉末化方法により得られる植物の単細胞化粉末であって、細胞膜の安定化剤としてシクロデキストリンを添加したことを最も主要な特徴点としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シクロデキストリンが単細胞化された植物の細胞の周囲に集まってミセルを形成して表面が親水基となり互いに電気的に反発するので、減圧蒸留濃縮もしくは遠心分離にて濃縮するときでも、単細胞同士の凝集、密着、再結着が防止され、単細胞の状態を保ち細胞壁を破壊することなく粉末化することが可能となり、第1の課題を解決することができる。
【0023】
また、本発明の粉末化方法の第2の工程で添加するシクロデキストリンは、濃縮化後も残存し、細胞膜の安定化剤としても機能するので、懸濁液の凍結乾燥時や得られた単細胞化粉末の再懸濁する際にも、細胞膜の良好な状態が保持され、破損を防止できるので、第2の課題も解決することができる。そのため、本発明の植物の単細胞化粉末は、細胞内部の機能性成分、特に水溶性成分や揮発性成分の変質や漏洩を大幅に低減することができ、さらには、例えば腸に到達するまで機能性成分を細胞内に保持することで、リポソーム製剤と同様のドラッグデリバリーシステムの機能が得られる。
【0024】
例えば植物に含まれる有益な機能性たんぱく質である各種の酵素や、トランスジェニック植物中に発現させたワクチンタンパク質等は、経口摂取した場合、胃に含まれるたんぱく質分解酵素によって容易に分解される。これらが腸で有効に働く場合、腸に達した時には既に失活しており、酵素やワクチンタンパク質としての機能性を十分に発揮できない。しかし、本発明では、シクロデキストリン又はその誘導体と、必要に応じて多価アルコールや、α−トコフェロール、コレステロール、カロテノイド、食用油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステロールエステルから選択される一又は複数の油性物質を添加することによって細胞膜を安定化しているため、細胞内にある酵素やワクチンは胃での分解を免れ、腸で放出される。そのため、腸内でその酵素やワクチンタンパク質の機能性を十分に発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、第1及び第2の課題を解決するという目的を、植物に細胞間物質溶解酵素を作用させる第1の工程と、前記第1の工程により得られた単細胞化された植物を含む懸濁液にシクロデキストリンを添加する第2の工程と、前記第2の工程により分散された細胞を含む懸濁液を減圧蒸留濃縮もしくは遠心分離にて濃縮する第3の工程と、前記第3の工程により濃縮された懸濁液を凍結乾燥又は噴霧乾燥にて粉末化する第4の工程とを備えた粉末化方法を採用することによって達成した。以下、本発明の第1〜第4の工程の一例を具体的に説明する。
【0026】
(第1の工程)
第1の工程は、植物に細胞間物質溶解酵素を作用させる工程である。細胞間物質溶解酵素としては、例えばペクチナーゼを使用することができる。例えば、植物を所要のサイズに切断した後、水に浸し、ペクチナーゼが所定の重量%となるように調整した酵素液を添加し、酵素反応させると、単細胞を含む懸濁液の状態となる。なお、細胞壁分解酵素を併用して同時に細胞壁を分解し、プロトプラストとしてもよい。細胞壁分解酵素としては、例えばセルラーゼを使用することができる。第1の工程により、植物は単細胞化された懸濁液の状態となる。
【0027】
この懸濁液には残渣が含まれているため、20メッシュ(JIS)の篩で濾過し、残渣を取り除く。こうして得られた懸濁液は、時間が経過すると単細胞粒子が沈殿し、2層に分離する。
【0028】
(第2の工程)
第2の工程は、第1の工程により得られた単細胞化された植物を含む懸濁液にシクロデキストリンを添加する工程である。具体的には、例えば第1の工程で得られた懸濁液100重両部に対し、シクロデキストリン0.1〜5重量部を微量添加してよく攪拌する。シクロデキストリンはグルコースが5個以上結合した環状オリゴ糖の一種である。
【0029】
また、第2工程で、シクロデキストリンと共に多価アルコールを添加しても良い。多価アルコールも、シクロデキストリンと共に、単細胞化粉末の細胞膜の安定化剤として機能するからである。具体的には、植物100重量部に対し、シクロデキストリン0.05〜10重量部と多価アルコール0.005〜5重量部を添加して充分に時間をかけて緩やかに攪拌する。なお、懸濁液には残渣が含まれるため、必要に応じてフィルターでろ過を行う。
【0030】
添加する多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールなどから選択できる。より好ましくはグリセリンを使用する。
【0031】
なお、第2工程は第1工程と同時に実施することも可能である。すなわち、同じ反応槽に細胞間物質溶解酵素とシクロデキストリンを同時に添加して作用させてもよく、また反応槽に添加する順序はシクロデキストリンの方が先になっても構わない。
【0032】
添加するシクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、それらの誘導体のどれを用いても良い。本発明において「シクロデキストリン」は、その誘導体を含むものである。また、非分岐シクロデキストリン、分岐シクロデキストリン(グルコシルシクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリンなど)、シクロデキストリン誘導体(ジメチルシクロデキストリン、ヒドロキシエチルシクロデキストリンなど)のどれを用いても良い。
【0033】
もっとも、本発明者等が種々検討したところによると、γ体のシクロデキストリンは、水への溶解性が高いので、より好ましいことが判明している。また、細胞同士の再結着を防ぐ第1の課題に対しては、マルトシルβシクロデキストリンがより好ましいことが判明している。
【0034】
非分岐シクロデキストリン、分岐シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体の内部は、疎水性(親油性)、外部は親水性となっている。シクロデキストリンによって各細胞粒子は表面が親水基のミセルを形成するので、このミセル化した各細胞粒子は電気的な反発により分散し、各単細胞が分散した好適な懸濁液を得ることができる。
【0035】
また、第2工程で、α−トコフェロール、コレステロール、カロテノイド、食用油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステロールエステルから選択される一又は複数の油性物質を、シクロデキストリン、多価アルコールと共に併用してもよい。前記油性成分も、シクロデキストリン、多価アルコールと共に、単細胞化粉末の細胞膜の安定化剤として機能するからである。ここで、前記油性物質はシクロデキストリン包接体であってもよいし、シクロデキストリンとの物理的混合物でも、前記包接体及び物理的混合物の混在した状態でもよい。具体的には、シクロデキストリン100重量部に対して前記油性物質10〜50重量部を添加して充分に時間をかけて緩やかに攪拌する。前記包接体として使用する場合は、シクロデキストリンと前記油性物質とを強攪拌等の一般的な方法で先に包接体としたものを、単細胞化された植物の懸濁液に添加して充分に時間をかけて緩やかに攪拌する。なお、モル比でα−トコフェロール:γ−シクロデキストリン=1:2となるように調整したα−トコフェロールγ−シクロデキストリン包接体を使用することで細胞膜の安定性が最も高くなることが判明している。これは、前記油性物質単体やシクロデキストリン単体よりも、前記油性物質のシクロデキストリン包接体のほうが、細胞膜との結合性が高い為だと考えられる。
【0036】
(第3の工程)
第3の工程は、第2の工程で得られた単細胞が分散された懸濁液を、遠心分離または減圧蒸留濃縮により濃縮する工程である。遠心分離を用いる場合は、例えば、懸濁液を1500Gで10分間遠心分離機にかけてミセル化した単細胞粒子を分離した後、水を加えて濃縮率を整えた懸濁液を得る。また、減圧蒸留濃縮を用いる場合は、例えば、減圧蒸留濃縮装置を用いて懸濁液を減圧下で30℃に保ち蒸留濃縮し、濃縮された懸濁液を得る。本発明では、第2工程において、シクロデキストリンを添加していることにより、細胞同士の接着が防止されるため、従来の技術では再接着を起こして後の粉末化の工程で細胞壁破壊の原因となっていた高濃縮化が可能となる。
【0037】
(第4の工程)
第4の工程は、第3の工程により濃縮された懸濁液を凍結乾燥(フリーズドライ)又は噴霧乾燥(スプレードライ)にて粉末化する工程である。凍結乾燥を用いる場合、粉末化は、例えば、濃縮された懸濁液を−30℃で予備冷凍後、真空凍結乾燥器にて最終品温が60℃以下となるよう50時間程度乾燥させ、その後、適度な圧力を加えて打撃することで粉砕することにより実施される。以上の第1〜第4の工程により、単細胞化された状態をそのまま保って健康食品や化粧品用の粉末を得ることができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の効果を確認するために実施した試験1〜5を示し、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
〔試験1:単細胞懸濁液を高濃縮した際の再結着防止効果の確認〕
人参にペクチナーゼ(マセロチームA(登録商標):ヤクルト薬品工業社製)を作用させて単細胞化し、減圧蒸留濃縮にて濃縮する際の条件を変化させて、凍結乾燥によって得られた粉末の性質を比較した。なお、得られた粉末中の細胞からの内容成分の流出量を確認するため、細胞内に色素(βカロテン)が多く含まれる人参を使用した。
【0040】
(酵素処理)
人参100gを5mm角に切断した後、300gの蒸留水に浸し、上記ペクチナーゼの割合が水と人参を併せた総重量に対して0.5重量%となるように調整した酵素液を添加して45℃、120分間攪拌下(300rpm)で反応させて懸濁液を得た。残渣を20メッシュ(JIS)の篩で濾過して単細胞を含む懸濁液を得た。
【0041】
(濃縮)
単細胞を含む懸濁液へのシクロデキストリンの添加については、以下のように条件を変えて、比較例1、実施例1〜3とした。
比較例1: シクロデキストリンを添加しないもの
実施例1: 懸濁液に対しβ−シクロデキストリン(CAVAMAX (登録商標)W7、Wacker-Chemie GmbH社)1重量%を添加するもの
実施例2: 懸濁液に対しγ−シクロデキストリン(CAVAMAX (登録商標)W8、Wacker-Chemie GmbH社)1重量%を添加するもの
実施例3: 懸濁液に対しマルトシルβシクロデキストリン(G2−β−CDTM、横浜国際バイオ研究所製)1重量%を添加するもの
【0042】
各懸濁液は、スターラーを用いてよく攪拌し、1時間静置した。これら4つの条件で、懸濁液の重量のそれぞれ2.5〜5倍まで減圧蒸留濃縮にて濃縮した。
【0043】
(凍結乾燥)
濃縮した懸濁液を冷蔵庫にて24時間静置した後、冷凍庫にて凍結した。この凍結した懸濁液を凍結乾燥により乾燥させて粉末を得た。得られた乾燥粉末を0.01g取り、10ccの水に再度添加し、MICROTUBE MIXER MT360(TOMY社製) を用いて15分攪拌させたのち、顕微鏡を用いて細胞の状態を確認した。なお、比較例1、実施例1〜3について、それぞれ2回ずつ試験を行った。結果は、表1に示すとおりとなった。
【0044】
【表1】

【0045】
単細胞化した植物の懸濁液を濃縮する場合、比較例1のようにシクロデキストリンを添加せずにそのまま濃縮すると、図5(a)に示すように、細胞同士が密着した状態(いくつもの細胞が重なりあった状態)が見られた。また、細胞同士が密着した状態のため、凍結乾燥時もしくは乾燥後粉砕時に細胞壁の破損の原因となり、図5(b)に示すように、内容成分が流出して塊状になったものが多く見られた。この結果は、内容成分が揮発性であれば粉砕時に失われてしまうことを示している。なお、図1は、比較例1の顕微鏡写真全体を表したものである。
【0046】
一方、実施例1〜3のように、シクロデキストリンを微量添加した懸濁液を濃縮した本発明の場合は、細胞同士の密着がほとんどないという結果が得られた。具体的には、図2は、β−シクロデキストリンを添加した実施例1の顕微鏡写真を、図3は、マルトシルβシクロデキストリンを添加した実施例2の顕微鏡写真を、図4は、γ−シクロデキストリンを添加した実施例3の顕微鏡写真を示している。何れも細胞同士の密着がなく、細胞の内容成分の流出が低減されている。
【0047】
特に、マルトシルβシクロデキストリンでは、濃縮した懸濁液の重量(g)に対する得られた乾燥粉末の重量(g)の割合が10%以上の高濃縮時でも、図3に示すように、細胞同士の密着がないだけでなく、細胞が均一に分散しており、好適な結果が得られた。
【0048】
懸濁液にシクロデキストリンを添加すると、懸濁液中の細胞の細胞壁に存在するペクチンのカルボキシル基、メチルエステル化したカルボキシル基などをシクロデキストリンが包接すると考えられる。シクロデキストリンの外部はヒドロキシ基が多数存在し、親水性を示すため、液中で細胞同士が反発し、高濃度に濃縮した場合でも細胞間の距離が保たれる。
【0049】
シクロデキストリンの水への溶解度は、25℃で、α体が14.5g/100mL、β体が1.8g/100mL、γ体が23.2g/100mL、マルトシルβシクロデキストリンが162g/100mLであり、β体はその溶解性が一番低い。上記実験では、β体よりもγ体、γ体よりもマルトシルβシクロデキストリンの方が良い結果が得られており、本発明で得られる作用には、シクロデキストリンの水への溶解性が関連していると考えられる。特に、マルトシルβシクロデキストリンを用いた場合、最も良い結果が得られることがわかった。
【0050】
もっとも、γ−シクロデキストリンは、マルトシルβシクロデキストリンよりも低コストで実施できるため、コストをなるべく抑えつつ一定レベル以上の良い効果を得たい場合は、γ−シクロデキストリンを用いるのが望ましい。
【0051】
〔試験2−1:単細胞化粉末の細胞膜保持率の測定)
(単細胞化粉末の作成)
ペクチナーゼ(マセロチームA(登録商標):ヤクルト薬品工業社製):5%を添加した酵素反応液20mlに、一辺5mmに刻んだオーストラリア産ブルーベリーの果皮10gを加え、37℃で5時間インキュベートして単細胞懸濁液を作成し、20メッシュのフィルターを用いて残渣を取り除いた。この懸濁液1ml(アントシアニン含有赤色細胞の数:3.5×103 /ml)に対し、γ−シクロデキストリン(CAVAMAX (登録商標)W8、Wacker-Chemie GmbH社)、グリセリン(和光純薬工業社製 特級)、α−トコフェロール(dl−α−トコフェロール、和光純薬工業社製)の量を下記実施例A〜Dのように変化させて添加し、充分に時間をかけて均一になるように緩やかに攪拌した後に遠心分離(1500G×10分)によって上清を取り除き、残った沈殿を凍結乾燥して単細胞化粉末を得た。また、シクロデキストリン、グリセリン、α−トコフェロールを全く添加せず、その他は全く同じ方法で単細胞化粉末を作成し比較例aとした。さらに、シクロデキストリン、グリセリン、α―トコフェロールを全く添加せず、デキストリン(アミコールR:日澱化学社製)を添加し、その他は全く同じ方法で単細胞化粉末を作成し比較例bとした。
【0052】
(懸濁液1mlに対する添加量)
実施例A γ−シクロデキストリン 1.0%
実施例B γ−シクロデキストリン 1.0%
グリセリン 0.1%
実施例C γ−シクロデキストリン 1.0%
グリセリン 0.1%
α−トコフェロール 0.2%
実施例D α−トコフェロールγ−シクロデキストリン
包接体(α−トコフェロール:シクロデキス
トリンの重量比=1:5) 1.0%
グリセリン 0.1%
比較例a 添加せず
比較例b デキストリン 1.0%
【0053】
(細胞膜の保持率)
上記のようにして得られた各粉末をそれぞれ蒸留水1mlに懸濁し、アントシアニン含有赤色細胞のうち、細胞膜が破損していない細胞の数を顕微鏡下でカウントした。なお、細胞膜が破損していないアントシアニン含有赤色細胞の例として、実施例Dの粉末を水に再懸濁時の細胞を図7に示す。結果は以下の表2のようになった。
【0054】
【表2】

【0055】
表2により明らかなように、何も添加せずに粉末化した比較例aやデキストリンを添加して粉末化した比較例bの場合、粉末の再懸濁時に細胞膜を保持した細胞が全体の10%未満と微量であるのに対して、実施例Aでは、γ−シクロデキストリンを微量添加することにより、細胞膜を保持した赤色細胞が全体の50%以上と有意に増加し、細胞膜が安定化したことが確認された。さらに、実施例B、C、Dでは、グリセリン、α−トコフェロールをシクロデキストリンと併せて微量加えることによって、細胞膜を保持した赤色細胞が全体の70%〜90%となり、細胞膜の安定性がさらに増加することが確認された。さらに実施例C、Dの比較により、α−トコフェロールとγシクロデキストリンの物理的混合物よりも、α−トコフェロールγシクロデキストリン包接体の方が細胞膜の安定性を高めることが確認された。
【0056】
〔試験2−2:細胞膜保持率の測定〕
(単細胞化粉末の作成)
北欧産青果ブルーベリー10gを、細胞間物質溶解酵素(ペクトリアーゼY−23、盛進工業社製):0.5%)、γ−シクロデキストリン(CAVAMAX (登録商標)W8、Wacker-Chemie GmbH社):0.5%、グリセリン(和光純薬工業社製 特級):0.1%を含む30mlの溶液に浸漬し、40℃で1時間インキュベートして単細胞化した。上記反応液から20メッシュ(JIS)のフィルターにて残渣を取り除いた後、遠心分離(1500G×10分)によって濃縮した後、凍結乾燥して本発明にかかるブルーベリー単細胞化粉末0.2gを得た(以下、実施例4とする)。比較対照には、γ−シクロデキストリン及びグリセリンを添加しない以外は上記と全く同じ方法で得られる単細胞化粉末を使用した(以下、比較例2とする。)。
【0057】
(細胞内アントシアニン保持率の調査)
細胞膜が破損していると、単細胞化粉末を蒸留水に懸濁させた時に容易にアントシアニン等の水溶性成分が流出する。そこで、実施例4と比較例2で、細胞内アントシアニン保持率=((総アントシアニン量)−(漏洩したアントシアニン量))/(単細胞化粉末の総アントシアニン量)を夫々調査した。
【0058】
なお、漏洩したアントシアニン量は、単細胞化粉末0.05gを蒸留水1mlに懸濁させて4℃にて1晩静置したのち、遠心分離(1500G)によって分離した上清のアントシアニン量から算出した。また、アントシアニン量は1%塩酸酸性メタノールにて100℃×1時間加熱して抽出されるデルフィニジンの極大吸収波長の吸光度から算出した。試験結果は、表3に示すとおりとなった。
【0059】
【表3】

【0060】
表3により明らかなように、本発明にかかる実施例4の単細胞化粉末は、γ−シクロデキストリン及びグリセリンの添加により細胞膜が安定化しているため、比較例2の単細胞化粉末と比較すると、水溶性成分の細胞外への漏洩がはるかに低減されており、かつ、粉末としてのアントシアニン含有量も10%向上していることが確認された。
【0061】
〔試験3:単細胞化粉末中のビタミンCの安定性調査〕
(単細胞化粉末の作成)
青果パプリカ10gに、ペクチナーゼ(マセロチームA(登録商標):ヤクルト薬品工業社製)を作用させ、その他の条件は試験2−2と全く同一にしてパプリカ単細胞化粉末0.13gを得た(以下、実施例5とする)。比較対照には、パプリカを粉砕して凍結乾燥したパプリカ粉末(以下、比較例3とする)を使用した。また、比較対照として、L−アスコルビン酸(ナカライテスク製:純度99.5%、以下、比較例4とする)のデータも測定した。
【0062】
(加速試験及びビタミンC定量)
パプリカにはビタミンC(アスコルビン酸)が多く含まれている。細胞膜が破損されずに良い状態を保持している程、ビタミンCは細胞膜によって保護され、安定化する。そこで、実施例5、比較例3、比較例4の各粉末に対し、湿度5%、温度45℃の条件下で3日間の加速試験を行い、前後のビタミンC量を、ビタミンC定量キット(コスモ・バイオ社製)を用いて定量し、各粉末0.01gあたりのビタミンC残存率(%:加速試験後の残存ビタミンC量/加速試験前のビタミンC量)を求めた。結果は、以下の表4に示すとおりとなった。
【0063】
【表4】

【0064】
表4により明らかなように、本発明にかかる単細胞化粉末は、細胞膜が破損されずに良い状態を保持しているため、細胞内のビタミンCは、比較例3の凍結乾燥粉末や比較例4のL−アスコルビン酸と比較して格段に安定していることが確認された。
【0065】
〔試験4:βカロテンの溶出試験〕
試験3で作成した実施例5のパプリカ単細胞化粉末0.05gを用いて胃液処理又は腸液処理を行い、βカロテンの溶出試験を実施した。比較対照としては、極刻みにしたパプリカ青果0.5g(水分含量90%)を検体とした(以下、比較例5とする。)。
【0066】
胃液にはペプシン4%を含む日本薬局方崩壊試験の第1液50ml、腸液にはトリプシン2%及びパンクレアチン2%を含む第2液50mlを使用した。胃液処理は37℃にて2時間、腸液処理は37℃にて3時間それぞれをインキュベートした。
【0067】
その後、βカロテンの極大吸収波長(453nm)の吸光度を測定し、溶出したβカロテンの吸光度の値を比較した。結果は、以下の表5に示すとおりとなった。
【0068】
【表5】

【0069】
比較例5のパプリカでは総溶出量0.1736に対し、胃液処理0.1225となっており、総量の70%が胃液処理で溶出している。これに対して、本発明にかかるパプリカ単細胞化粉末では、総溶出量0.7570に対し、腸液処理0.5807となっており、76%が腸液処理で溶出している。この結果から、本発明のパプリカ単細胞化粉末を経口摂取した場合、その細胞内のβカロテンが主に腸で溶出するというドラッグデリバリーシステムの機能を持つことが明らかとなった。さらに、本発明のパプリカ単細胞化粉末は青果の4倍のβカロテンが溶出したことから、青果に比べ消化性も格段に高まることが確認された。
【0070】
〔試験5:タンパク質の消化試験〕
試験2−2と全く同一の製法で得られた人参単細胞化粉末(以下、実施例6とする。)を使用して、胃及び腸でのタンパク質の消化試験を実施した。
【0071】
胃液及び腸液は試験4と同じ方法で調整した。実施例6の人参単細胞化粉末を胃液又は腸液に懸濁し、37℃にて1時間インキュベートし、胃液中及び腸液中の細胞内のタンパク質残量、及び処理液中に遊離するアミノ酸としてロイシンを定量し、それぞれ消化前のタンパク質に対する分解率、及びロイシン量の経時変化を調査した。結果は、図6のグラフに示すとおりとなった。
【0072】
図6のグラフに示すように、実施例6の人参単細胞化粉末は、胃液処理ではタンパク質の分解は進まず、タンパク質の分解により遊離するアミノ酸(ロイシン)量は15〜60分の間でほとんど変化しない。一方、腸液処理ではタンパク質の分解が進み、その分解に対応して遊離アミノ酸(ロイシン)量が増加している。1時間の胃液処理でのタンパク質分解率は総量の10%未満、腸液処理でのタンパク質分解率は総量の33%となった。この結果から、本発明の単細胞化粉末は、経口摂取した場合、胃内では細胞内タンパク質の安定性が保たれ、腸内では細胞膜が乱れて、たんぱく質が放出及び分解されるドラッグデリバリーシステムの機能を有することが確認された。
【0073】
以上説明したように、本発明によれば、シクロデキストリンが単細胞化された植物の細胞の周囲に集まってミセルを形成して表面が親水基となり互いに電気的に反発するので、減圧蒸留濃縮もしくは遠心分離にて濃縮するときでも、単細胞同士の凝集及び密着、再結着が防止され、単細胞の状態を保ち細胞壁を破壊することなく粉末化することが可能となり、第1の課題を解決することができる。
【0074】
また、本発明の単細胞化粉末は、添加したシクロデキストリンが細胞膜の安定化剤として機能するので、懸濁液の凍結乾燥時や得られた単細胞化粉末の再懸濁する際にも、細胞膜の破損を防止でき、第2の課題も解決することができる。加えて、本発明によれば、以下の(1)(2)(3)の効果も得られる。
【0075】
(1)噴霧乾燥が利用できること
本発明は、凍結乾燥だけでなく、噴霧乾燥も用いた場合でも、細胞内の状態を保って粉末化することができる。これは、噴霧乾燥の場合、例えば120℃以上の熱を加えることになるため、従来の粉末化方法では、細胞膜や細胞内成分に悪影響を与えることは避けられないという問題があったが、本発明では、シクロデキストリンが単細胞化された細胞の周囲に集合して膜を形成するため、このシクロデキストリンの膜によって細胞内への熱の伝達が可及的に遮断されるからである。
【0076】
(2)粉末化された製品になった後に起きる細胞同士の接着も回避できること
単細胞化された植物の細胞壁表面に存在する水溶性多糖は吸湿性があるため、従来の粉末化方法では、粉末化された製品になった後においても、時間の経過とともに細胞壁表面が水分を含み、細胞同士が互いに接着してしまうという問題があった。しかし、本発明では、シクロデキストリン自体に吸湿性があるため、シクロデキストリンが細胞壁表面に存在する水溶性多糖に代わって水分を吸収するので、細胞壁表面が水分を含むことは可及的に抑制される。したがって、本発明では、粉末化された製品になった後に細胞同士が接着する問題点も解消され、製品の取り扱いが容易となる。
【0077】
(3)ドラッグデリバリーシステムとして利用できること
細胞膜は胃の環境下で分解されない。本発明により得られる単細胞化粉末は、細胞膜が破損することなく安定化しているので、植物が有する天然の機能性成分の変質及びロスを低減すると共に、経口摂取した場合に胃での分解を防止し、その後小腸に達した時はじめて細胞膜が乱れて細胞内成分を放出することができる。したがって、特に胃酸での変質によって著しく効果を失う機能性成分については、腸での吸収率が向上し、その有効利用率は格段に改善される。
【0078】
本発明は上記実施例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の粉末化方法は、例えば、唐辛子、ゴーヤ、アロエ、にんにく、青パパイヤ、大豆、玉ねぎ、ウコン、長寿草など植物の種類は問わず、種々の植物を原材料とする健康食品や化粧品などに広く適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】シクロデキストリンを添加しない比較例1の粉末化方法で得られた乾燥粉末を光学顕微鏡(100倍)で撮影したものである。
【図2】懸濁液に対しβ−シクロデキストリン1重量%を添加する実施例1の粉末化方法で得られた乾燥粉末を光学顕微鏡(100倍)で撮影したものである。
【図3】懸濁液に対しγ−シクロデキストリン1重量%を添加する実施例2の粉末化方法で得られた乾燥粉末を光学顕微鏡(100倍)で撮影したものである。
【図4】懸濁液に対しマルトシルβシクロデキストリン1重量%を添加する実施例3の粉末化方法で得られた乾燥粉末を光学顕微鏡(100倍)で撮影したものである。
【図5】シクロデキストリンを添加しない比較例1の粉末化方法で得られた乾燥粉末を光学顕微鏡(100倍)で撮影したものであり、(a)は細胞同士が密着した状態を、(b)は内容成分が流出して塊状になった状態を示したものである。
【図6】タンパク質の消化試験(試験5)の結果を示したもので、タンパク質残量と遊離ロイシン量の時間毎の変化を表したグラフである。
【図7】細胞膜保持率の測定試験(試験2−1)において実施例Dの粉末を水に再懸濁した時の細胞膜が破損していないアントシアニン含有赤色細胞を示したものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物に細胞間物質溶解酵素を作用させる第1の工程と、
前記第1の工程により得られた単細胞化された植物を含む懸濁液にシクロデキストリンを添加する第2の工程と、
前記第2の工程により分散された細胞を含む懸濁液を減圧蒸留濃縮もしくは遠心分離にて濃縮する第3の工程と、
前記第3の工程により濃縮された懸濁液を凍結乾燥又は噴霧乾燥にて粉末化する第4の工程と、
を備えたことを特徴とする、単細胞化処理された植物の粉末化方法。
【請求項2】
前記シクロデキストリンが、γ−シクロデキストリンであることを特徴とする請求項1記載の単細胞化処理された植物の粉末化方法。
【請求項3】
前記シクロデキストリンが、マルトシルβシクロデキストリンであることを特徴とする請求項1記載の単細胞化処理された植物の粉末化方法。
【請求項4】
請求項1記載の粉末化方法により得られる植物の単細胞化粉末であって、細胞膜の安定化剤としてシクロデキストリンを添加したことを特徴とする植物の単細胞化粉末。
【請求項5】
前記シクロデキストリンがγ−シクロデキストリンであることを特徴とする請求項4に記載の植物の単細胞化粉末。
【請求項6】
請求項1記載の粉末化方法により得られる植物の単細胞化粉末であって、細胞膜の安定化剤としてシクロデキストリンと多価アルコールを添加したことを特徴とする植物の単細胞化粉末。
【請求項7】
前記多価アルコールがグリセリンであることを特徴とする請求項6に記載の植物の単細胞化粉末。
【請求項8】
請求項1記載の粉末化方法により得られる植物の単細胞化粉末であって、細胞膜の安定化剤としてシクロデキストリンと、α−トコフェロール、コレステロール、カロテノイド、食用油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、コレステロールエステルから選択される一又は複数の油性物質を添加したことを特徴とする植物の単細胞化粉末。
【請求項9】
前記油性物質がα−トコフェロールであることを特徴とする請求項8に記載の植物の単細胞化粉末。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−142267(P2009−142267A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294779(P2008−294779)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(501187136)バイオアイ株式会社 (2)
【出願人】(594017145)
【Fターム(参考)】