説明

単結晶引き上げ装置の生成物燃焼方法

【課題】CZ法によるシリコン単結晶引き上げ装置において、生じる可燃性の粉塵を処理可能な排気システム及び粉塵の処理方法を提供する。
【解決手段】単結晶引き上げ装置に接続された排気管路と、前記排気管路を通して前記引き上げ装置に供給された不活性ガスを吸引する真空ポンプと、前記真空ポンプの手前で前記排気管路に配置され、前記真空ポンプによって排気されるガスを手前で処理するフィルタと、を備えた単結晶引き上げ装置の排気システムであって、前記フィルタは雰囲気ガスの成分に応じて加熱可能なヒータを備えることを特徴とする。これにより、未燃焼の可燃性の粉塵を十分に処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン単結晶引き上げ装置及びこれによる付帯工程を含むシリコン単結晶引き上げ方法に関し、より詳しくは、引き上げ工程中に生じる粉塵を処理するための装置及び粉塵の処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の基板として使用されるシリコン単結晶ウエーハは、チョクラルスキー(CZ)法(MCZ法を含む)によりシリコン単結晶を引き上げて製造される。ここで図9に例示したCZ法シリコン単結晶引き上げ装置とその排ガス配管について説明する。
【0003】
単結晶引き上げ装置の不活性ガス排気系として、シリコン単結晶棒の引き上げ装置900に排気管902を介して真空ポンプ904が接続され、この真空ポンプ904により排気管902を通して引き上げ装置900に供給された不活性ガス(例えば、Arガス)が吸引されるように構成される。この不活性ガス排気系では、引き上げ装置900の上部及び中央部には引き上げ装置900内に不活性ガスを供給する供給管906の左端が接続され、この供給管906の右端は不活性ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続される。このように構成された不活性ガス排気系では、引き上げ装置900によりシリコン単結晶棒を引き上げるときには、供給管906から引き上げ装置900内に不活性ガスを供給し、この引き上げ装置900内の不活性ガスを真空ポンプ904により吸引して引き上げ装置900内が所定の負圧に保たれる。
【0004】
また排気管902にはフィルタ908が設けられ、このフィルタ908を通して真空ポンプ904に排気される気体が流れ込む。このように構成された不活性ガス排気系では、引き上げ装置900によりシリコン単結晶棒を引き上げるときには、供給管906から引き上げ装置900内に不活性ガスを供給し、この引き上げ装置900内の不活性ガスを真空ポンプ904により吸引して引き上げ装置900内が所定の負圧に保たれる。一方、引き上げ装置900内の不活性ガスにはSiOやSiO等の粉塵が混入する。これらの粉塵の大部分は、このような不活性ガスから分離して排気管中の管壁(床)に積もる。そして一部は、フィルタ908により不活性ガスから分離され、堆積するようになっている。
【0005】
上記単結晶引き上げ装置900の不活性ガス排気系では、8〜10本の単結晶棒を引き上げて数百時間経過後に、手動式のリークバルブを開いて引き上げチャンバ内及び排気管路内に大気を導入する場合は、このとき引き上げチャンバ内及び排気管路内には比較的多量の可燃性の粉塵が堆積しているため、これらの粉塵が急激に燃焼して排気管路内及びダストチャンバ内の温度及び圧力が急激に上昇するおそれがある。そのため、単結晶引き上げ装置900による単結晶棒の引き上げ完了毎に、引き上げ装置900に接続された不活性ガス排気系の排気管902内に大気を導入して、排気管902内に堆積した粉塵を燃焼させる、単結晶引き上げ装置の不活性ガス排気系の粉塵燃焼方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0006】
また、単結晶引き上げ装置900に接続された排気管902と、排気管902を通して引き上げ装置900に供給された不活性ガスを吸引する真空ポンプ904とを有する単結晶引き上げ装置の不活性ガス排気系に、クリーニング用粉体分離器(不図示)とを備えるように構成されたものも提案されている(例えば、特許文献2)。これらの方法は1Ωcmを越える抵抗率の高い結晶や、それ以下の低抵抗であってもホウ素をドープした結晶を引上げる際に有効な手段である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−097797号公報
【特許文献2】特開2000−219591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、近年シリコンウェーハに要求される抵抗率を1Ωcm以下の、より低抵抗にシフトさせたNタイプのシリコンウェーハのニーズも高くなってきており、特に0.03Ωcm以下の単結晶を製造するためには単結晶の引上げ時に比較的多量のNタイプのドープ剤をドープすることが必要となってきている。Nタイプのドープ剤には、リン等のような自然発火性のものもあり、このような材料が、多く粉塵に混ざると、発火による危険性が増すおそれがある。
【0009】
前述のようにCZ法によるシリコン単結晶引き上げ装置においては、たとえ不活性ガス雰囲気中で行ったとしても、シリコンや部分的に酸化したシリコン(例えば、SiO)のようなものの蒸気等が、引き上げチャンバー内、排気系の配管内等へ飛散し、そこで凝縮・固化等して(粉塵として)堆積する。そのため、定期的に或いは不定期にシリコン単結晶引き上げ装置の引き上げチャンバーや排気系の配管の清掃が必要である。その際に、チャンバー内や配管内が大気中に曝されることもあり、堆積した粉塵等の自然燃焼や局所的な発火が生じるおそれがある。粉塵に多くのリンが含まれると、摩擦による発火など、特にそのおそれが強くなる。また、このような燃焼は化学反応であるので、曝露されたときの温度等の諸条件により、生じたり生じなかったりすることもある。また、一般に燃焼反応は発熱反応であるので、局所的な発火が、その周りの未反応の粉塵の燃焼を促す場合もある。そして、燃焼の結果生成する反応生成物についても高抵抗の場合とは違う特性を持つと考えられるため考慮することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述のような課題に鑑みて、本発明では、単結晶引き上げ装置に接続された排気管路と、前記排気管路を通して前記引き上げ装置に供給された不活性ガスを吸引する真空ポンプと、前記真空ポンプの手前で前記排気管路に配置され、前記真空ポンプによって排気されるガスを手前で処理するフィルタと、を備えた単結晶引き上げ装置の排気システムであって、前記フィルタは雰囲気ガスの成分に応じて加熱可能なヒータを備えることを特徴とする排気システムを提供することができる。
【0011】
また、このような排気システムを用いて、引き上げた単結晶を取り出し、後処理を行う方法を提供する。
【0012】
より具体的には、以下のようなものを提供することができる。
(1)所定の量の水分と所定の量の酸素を含むガスを導入可能なバルブを備えた単結晶引き上げ装置に接続された排気管路と、前記単結晶引き上げ装置から前記排気管路へのガスの流れを停止可能な排気バルブと、前記引き上げ装置に供給された不活性ガス等を前記排気管路を通して吸引する真空ポンプと、前記排気管路に配置され、前記真空ポンプの手前で前記真空ポンプによって排気されるガスを手前で処理するフィルタを備えるダストボックスと、前記フィルタを加熱可能に備えられるヒータと、前記ダストボックスに所定の量の水分と所定の量の酸素を含むガスを導入可能なリーク弁と、前記排気バルブ、前記真空ポンプ、前記ヒータ、及び、前記リーク弁の動作を制御する制御装置と、を備える単結晶引き上げ装置の排気システムを提供することができる。
【0013】
ここで、所定の量の水分とは、水蒸気のみならず水粒子としてガス中に浮遊するものを含んでもよいが、後述する絶対湿度で用いる水蒸気のみを対象としてもよい。何れの形態の水であっても、粉塵の燃焼に影響を及ぼすからであり、後述する絶対湿度の計測にあたり、必ずしも両者が区別されて計測されるとは限らないからである。即ち、当業者が通常の方法で計測した絶対湿度で規定すれば十分である。また、所定の量の酸素とは、粉塵の燃焼に十分な量の酸素である。例えば、空気と同様な比率又は分圧の酸素であってもよく、それより少ない酸素であってもよく、また、それより多い酸素であってもよい。また、ヒータは、如何なる種類の公知のヒータをも使用可能である。真空環境を使用する場合もあるため、電気ヒータがより好ましい。レーザ光等を照射して加熱部位を加熱するヒータであってもよい。ヒータで加熱すると、酸化反応を引き起こすための活性化エネルギーを付与することができる。フィルタは、後述するように、粉塵が不必要に真空ポンプ等の機能部品へと侵入することを防止可能なものが好ましい。このフィルタで、侵入を防いだ粉塵は、可燃性のものもあり、燃焼熱に十分耐えることが好ましい。また、真空経路に備えられるため、脱ガスが少ないものが好ましい。更に、経済性等を考慮して、再生利用が可能な材質及び構造を備えることが好ましい。
【0014】
(2)前記制御装置は、真空ポンプを起動したまま前記引上げ装置側のバルブを開放し配管内の粉塵を燃焼させた後、前記排気バルブを閉鎖し、前記真空ポンプを停止して前記ダストボックス側リーク弁を開放し、前記ヒータにより前記フィルタを加熱するように制御することを特徴とする上記(1)に記載の排気システムを提供することができる。ここで、前記ヒータによる加熱は、例えば、雰囲気の圧力、酸素分圧、そして、温度等のような環境条件に応じて制御されてよい。
【0015】
(3)前記引上げ装置側のガスは、その重量絶対湿度が、0.005kg/kg(DA)〜0.020kg/kg(DA)である空気であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の排気システムを提供することができる。ここで、重量絶対湿度は次のように規定される。乾き空気の重量[kg]に対して湿り空気中に含まれる水蒸気の重量が[kg]であるとき、その比を重量絶対湿度といい、単位を[kg/kg(DA)]で表す。相対湿度と絶対湿度の関係は、例えば、湿り空気線図(h−X線図)により表現することができる(例えば、空気調和・衛生工学会)。尚、ここで、水蒸気に限らず、微粒子状で空気中を漂う水等を含んで、水分量として考えることが好ましいが、簡易的に上述の重量絶対湿度を使って規定することができる。この重量絶対湿度が低いと、静電気や容易な移動による摩擦により粉塵の燃焼が突発的になり易く、制御が困難となるので、重量絶対湿度は、0.005kg/kg(DA)以上が好ましく、更に好ましくは0.006kg/kg(DA)以上である。また、重量絶対湿度が多すぎると、粉塵の燃焼による生成物が好ましくない形態を取ることもあるので、0.020kg/kg(DA)以下が好ましく、更に好ましくは0.017kg/kg(DA)以下である。更に前記ダストボックス側のガスは、重量絶対湿度が0.020kg/kg(DA)以下である空気であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の排気システムを提供することができる。引上げ装置側と違い、ある程度酸化が進んだ物質の更なる酸化を目的とするため、水分量が少なくても問題はなく、下限は乾燥空気そのものである。
【0016】
(4)前記単結晶引き上げ装置において引き上げられる単結晶は、リンを含むシリコン単結晶であることを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の排気システムを提供することができる。このようなリンは、シリコン単結晶のドーパントとして添加されるものであってよい。例えば、シリコン融液中に赤リンを投入することで添加してもよい。本発明のシステムは、例えば、リンの投入量が10kgあたりのシリコン原料に対して0.5g以上、より好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上において、特に効率よく機能するが、これに限られるものではない。低抵抗率になればなるほど、また長時間の引上げになればなるほどリンの投入量は増加するため、本発明のシステムがより効率よく機能することはいうまでもない。
【0017】
(5)前記フィルタは、平均フィルタメッシュサイズが60〜400メッシュであることを特徴とする上記(4)に記載の排気システムを提供することができる。ここで、メッシュは、ふるいの目の大きさを表す単位であり、長さ1インチについての孔の数で示す。従って、ふるいの目開きは、フィルタを構成する針金の太さに依存する。しかしながら、本件出願の時に、当業者であるならば、その意味するところは明確である。また、メッシュではなく、ふるいの目開きの大きさで規定することもできる。例えば、以下の表により、規定してもよい。また、一般に使用されているASTMで規定するのが好ましい。
【0018】
【表1】

【0019】
このようなフィルタのメッシュサイズは、十分細かいことが好ましいが、細かすぎると却って目詰まりを生じ易く、真空引きが困難になり好ましくない。そのため、粉塵に含まれる粒子の径の大きさ、飛散する際のクラスターの大きさ等を考慮して適宜選択することができる。典型的には、例えば、フィルタ効率を考えれば、平均フィルタメッシュサイズが60メッシュ以上が好ましく、更に100メッシュ以上が好ましい。また、真空ポンプの負荷を考慮すれば、平均フィルタメッシュサイズが400メッシュ以下が好ましく、更に300メッシュ以下が好ましい。
【0020】
(6)単結晶引き上げ装置と、該単結晶引き上げ装置に排気バルブを介して接続される排気管路と、前記引き上げ装置に不活性ガスを供給するための第1のバルブと、前記引き上げ装置に酸素を含むガスを供給するための第2のバルブと、前記引き上げ装置内のガスを前記排気管路を通して吸引する真空ポンプと、前記排気管路に配置され、前記真空ポンプの手前で前記真空ポンプによって排気されるガスを手前で処理するフィルタを備えるダストボックスと、前記ダストボックスに酸素を含むガスを供給するためのリーク弁と、前記フィルタを加熱可能に設置されたヒータと、を備えるシステムによる単結晶の引き上げ後の後処理方法であって、単結晶引き上げ後、前記単結晶引き上げ装置を冷却する工程と、前記第1のバルブを閉じる工程と、前記第2のバルブを開ける工程と、前記排気バルブを閉じる工程と、前記真空ポンプを停止する工程と、前記リーク弁を開ける工程と、前記ヒータにより前記フィルタを加熱する工程と、を含む後処理方法を提供することができる。
【0021】
(7)前記酸素を含むガスについて、前記第2のバルブからのガスの場合はその重量絶対湿度が0.005kg/kg(DA)〜0.020kg/kg(DA)である空気であり、前記リーク弁からのガスの場合はその重量絶対湿度が0.020kg/kg(DA)以下である空気であることを特徴とする上記(6)に記載の後処理方法を提供することができる。ここで、前記第2のバルブからのガスは、前記リーク弁からのガスに比べ、同じか若しくはより高い重量絶対湿度を持つことができる。前記ダストボックスは、いわゆるホットゾーンから遠く高温になり難いため、またある程度酸化が進んだものを完全に酸化させることが目的のため、より燃え易い条件が好ましい。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の排気システムでは、排気系の配管に備えたフィルタにヒータを備えるように構成したので、不活性ガス若しくは真空中では起きない酸化反応(燃焼)が酸素導入により生じた場合であって、その反応が必ずしも十分ではない場合にも、酸化反応を促進することができる。例えば、いわゆるホットゾーンから離れた、排気系の配管の先の真空ポンプに近いところであっても、少なからず堆積する可能性のある粉塵を、十分に処理することができる。そのため、該配管において清掃をする際に不用意な発火を未然に防ぐことができる。また、好ましくない反応性生物を生じさせないように、酸化反応の環境を制御することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例にかかる排気系システムの模式図である。
【図2】図1の排気系システムの燃焼のタイムチャートを示す図である。
【図3A】インゴットの取り出し工程を図解するフローである。
【図3B】図3Aの工程において、排気燃焼工程の部分を図解するフローである。
【図4A】図1のフィルタに備えられるヒータの温度特性を示すグラフである。
【図4B】本発明の実施例に用いられ得るフィルタ及びヒータの模式図である。
【図4C】本発明の実施例に用いられ得る別のフィルタ及びヒータの模式図である。
【図4D】本発明の実施例に用いられ得るまた別のフィルタ及びヒータの模式図である。
【図4E】本発明の実施例に用いられ得る更に別のフィルタ及びヒータの模式図である。
【図5】本発明の排気システムにおいて、ドーパントとして添加されたリンが、反応することにより生成する可能性のある化合物の特性をまとめたものである。
【図6】本発明の排気システムにおいて、生じ得るリンの化学反応(水分が多い場合)を模式的に示す図である。
【図7】本発明の排気システムにおいて、生じ得るリンの化学反応(水分が少なく、酸素がある場合)を模式的に示す図である。
【図8】本発明の実施例のために行った予備実験における粉塵の採取位置を図解し、また、その位置での水分量をまとめたものである。
【図9】従来のCZ法による単結晶引き上げ装置及びその排気系を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の構成又は機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。また、以下の説明では、本発明に係る実施の態様の例を示したに過ぎず、当業者の技術常識に基づき、本発明の範囲を超えることなく、適宜変更可能である。従って、本発明の範囲はこれらの具体例に限定されるものではない。また、これらの図面は、説明のために強調されて表されており、実際の寸法とは異なる場合がある。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例にかかる排気システムを図解する。排気系システム10は、単結晶引き上げ装置12と、大気等へのリークを含む供給管路系14と、真空ポンプ等を含む排気管路系16と、供給管路系14及び排気管路系16の動作を制御する制御装置を含む制御系18を備える。単結晶引き上げ装置12では、チョクラルスキー法により、チャンバ20内でシリコン単結晶が引き上げられる。このチャンバ20には、引き上げ雰囲気となるアルゴンのような不活性ガスを供給する供給管路系14の供給配管22及び大気リーク用のリーク配管24と、排気管路系16の排気用の排気配管26が接続される。
【0026】
単結晶引き上げ中は、チャンバ20の供給管路系14のアルゴン供給源28からアルゴン等の不活性ガスを導入してシリコン酸化物等の反応生成物を排除して単結晶の汚染を防止し、チャンバ20の下部からの排気配管26により排気している。供給管路系14には、このアルゴンの流量を調整可能な電磁バルブ30が備えられている。チャンバ20の雰囲気を酸化性にする場合は、配管32をこの電磁バルブ30の川下側に接続する。配管32は、エア(空気)の第1の供給源34から、レギュレータ36、調整弁38、そして、電磁バルブ40をその順に配置して接続される。また、チャンバ20に接続されるリーク配管24には、リーク弁(電磁バルブ)42が備えられている。
【0027】
排気管路系16においては、チャンバ20の下部に接続される排気配管26には、チャンバ20から、ボールバルブ44、電磁バルブ46、バルブ48の順にこれらが備えられ、更に、排気配管26の延長先には、粉塵等をフィルタリングするフィルタ50を備えるダストボックス51が備えられる。このフィルタ50は、後述するヒータ52により加熱可能に備えられている。フィルタ50を通り、更に、排気配管26の延長先には、調整弁54へと分岐する分岐管とのTジョイント部56がある。それを超えて排気配管26は、排気燃焼バルブ58に接続される。この排気燃焼バルブ58から出た排気配管26は、先ほどのTジョイント部56から分岐し、調整弁54を通って、再びTジョイント部60にて、この分岐管にジョイントされる。排気配管26は、更にメカニカルブースター62、そして、真空ポンプ64へと続いて接続される。ダストボックス51にはリーク配管が接続され、リーク弁51aが備えられる。このリーク弁51aの先には、所定の水分量を含むエアを供給可能な第2の供給源51bが備えられる。
【0028】
以上のような排気システム10は、制御系18の制御装置70により制御されており、具体的には、通信回線(無線及び/又は有線)により、各電磁弁40、42、ヒータ52、そして、排気燃焼バルブ58が接続され、モニタ情報及び動作指令の送受信により制御される。
【0029】
単結晶引き上げ装置12による引き上げは、次のようにして行われる。チャンバ20内に設置された石英ルツボ(不図示)に、原料の多結晶シリコンを充填し、その外周に設けた円筒状の黒鉛ヒータ(不図示)で加熱し、多結晶シリコンを溶融した後、チャンバ20上部の結晶巻上げ機構(不図示)からワイヤを繰り出して単結晶の種結晶をシリコン融液に浸し、石英ルツボと種結晶をそれぞれ反対方向に回転させながら、種結晶をシリコン融液より引き上げて単結晶を所望の直径と長さまで成長させる。このとき、シリコン酸化物等の反応生成物を排除すべく、チャンバ20内は、まず、排気管路系16により真空に引かれ、次に、供給管路系14からアルゴンを供給され、チャンバ20内を不活性雰囲気とする。その後、所定の圧力となるように、アルゴン供給量と、排気管路系16による排気量を調整し、多結晶シリコンを溶融して、上述のように単結晶を引き上げる。
【0030】
そして、引き上げられた単結晶棒は、プルチャンバ内に引き込まれ、ゲートバルブ(不図示)を閉じて、メインチャンバとは遮断される。その後冷却を待って、プルチャンバに設けられた単結晶棒取り出し用のプルチャンバドア(不図示)から外へ搬出する。単結晶棒の取り出し完了後、単結晶育成中に引き上げ装置12のチャンバ20やルツボ、ヒータ、断熱材等の炉内部材(以下、ホットゾーンということがある)、或いは、主に排気管路系16に付着した粉塵(主に、シリコン酸化物)を除去したり、消耗部品等の交換を行い、次回の引き上げに備えるために単結晶引き上げ装置12の解体、整備作業に入る。このシリコン酸化物は、例えば、石英製の坩堝の酸素と溶融するケイ素との間の化学反応により生じ、単結晶引き上げ時は、高温のため気体又は微粒子としてチャンバ20内のみならず、チャンバ20外にも飛散する。
【0031】
ここで、上述するように、シリコン酸化物からなる粉塵が、チャンバ20内に留まらず、排気管路系16にも付着・堆積する。このようなシリコン酸化物は、例えば、SiOのような不安定な化合物であり、大気等に含まれる酸素と接触すると、自発的に/熱を加えると、燃焼し、例えば、二酸化ケイ素のような更に安定な酸化物となる。また、このような粉塵には、シリコン酸化物以外にも、シリコン単結晶にドープされるドーパントの元素も含まれる。例えば、ホウ素(ボロン)、リン、アンチモン、砒素等である。これらのドーパントは、従来は量も少なかったため、粉塵に対してあまり大きな影響を与えなかったが、近年多く添加するシリコン単結晶を使用することも増え、無視することはできなくなってきている。例えば、リンは赤リンとして坩堝に投入されシリコン融液中に溶解されるが、赤リンは、赤褐色の無臭の固体であり、紫リンと黄リンの固溶体と考えられ、融点が589.5℃(43.1atm)である。そのため、単結晶引き上げ中に、赤リン等として、或いは、リン化合物として飛散し、上記粉塵に混入することもあり、場合によっては、自然発火可能な白リン(発火点:34℃)が粉塵に混入することが考えられる。
【0032】
これまでにも、チャンバ内や排気管路系内を開放し清掃する際に、シリコン酸化物等からなる粉塵が、大気導入により発火するので、十分な注意が必要であったが、更に、このようなドーパントが加わると、その発火は思いがけないものとなることがある。例えば、大気を導入すれば、全ての反応性の粉塵が燃焼し、以降の発火のおそれがなかったが、必ずしも全ての粉塵が大気の導入で燃焼するわけではなく、未燃焼のものが、その後の何かを契機として発火する現象が生じることが分かった。特に、粉塵に上述するリンが混入している場合にそのような現象が多く生じているようである。
【0033】
例えば、図1において、チャンバ20内はもちろんのこと、排気配管26においても、粉塵の堆積が認められるが、排気管路26のバルブ48辺りまでだけでなく、更にその延長先であるフィルタ50においても粉塵の堆積が認められた。そして、大気が導入されると、チャンバ20内及びバルブ48辺りに堆積する粉塵は、直ちに自発燃焼し、その燃焼(発熱反応)による活性化エネルギーを受けて、自発燃焼には至らない部分も合わせて容易に燃焼するに至った。また、フィルタ50近辺に堆積した粉塵は、一部に自発燃焼するものもあったが、この自発燃焼による活性化エネルギーを受けて、自発燃焼には至らない部分の燃焼が必ずしも十分に行われなかったことが判明した。つまり、従来は、SiO等の不安定な化合物を含む粉塵は、大気導入により、容易に燃焼し、より安定な化合物になったが、粉塵が堆積する場所によっては、容易に燃焼するとは限らないことが判明した。そして、それは自発燃焼に至らない部分が、熱による活性化エネルギーを十分に得られない場合に、生じると考えられる。また、特にリンのようなドーパントが混入する場合は、熱ではないきっかけ、例えば摩擦等を契機にした発火から生じた燃焼による熱エネルギーの供給により、大気が十分に導入された後の清掃時の発火をもたらすこともあり得る。
【0034】
例えば、次のような発熱反応が考えられる。
式1)
SiO + O2/2 → SiO2
式2)
P + (3/4)O2 → (1/4)P46
【0035】
ここで、P46は、三酸化二リンとも呼ばれ、無色の液体状である。後述するように(図5参照)、これは210℃で分解して赤リンと酸化物(P:O〜1:2)になるものである。赤リンは、赤褐色の粉末で、黄リン(第3類)の同素体であるが、黄リンよりも安定で、比較的安全(毒性はない)である。赤リンの発火点は260℃である。フィルタ50には、ヒータ52が構成・配置され、上式のような反応のための活性化エネルギーを付与することができるようになっている。このため、上記式のような安定化反応が、フィルタ50近傍でも十分に行うことができる。
【0036】
図2は、本発明の排気システムの燃焼回路のタイムチャートを図解する。図3A及び3Bのフローチャートと共に以下工程を説明する。単結晶引き上げ装置12による引き上げが終了後、インゴットの取り出しが行われる(図3A)。即ち、十分冷却が行われた後(S10)、バルブ48が全開され(S12)、アルゴン供給配管22の電磁バルブ30が閉じられる(S14)。これによりチャンバ20内は減圧され、その圧力が所定圧(例えば、0.8Torr)以下となることを確認する(S16)。そして、図3Bに示す排気燃焼工程(S18)が行われる。排気燃焼工程では、制御装置70の操作盤の排気燃焼スタートボタンが押され(S40)、所定の水分量を含むエアを導入すべく電磁バルブ40(大気中の水分量が所定の量であれば大気導入用の電磁バルブ42でもよい)が開放される(S42)。そして、その2分後にチャンバ20内が炉内所定圧力(例えば、3〜30Torr)になったところで(S44)、配管切替バルブ操作が行われ調整バルブ54が所定量のガスを真空ポンプ64が排気可能にして、排気燃焼バルブ58が閉じられる(S46)。この状態で約60分間放置し(S48)、大気中の酸素と粉塵との反応を安定的に起こさせる。これにより主に排気配管26中の粉塵が安定的に燃焼する。このように排気配管26中の粉塵は真空ポンプ64を稼動させたまま単結晶引き上げ装置12からのエア導入で燃焼させることが好ましい。この際、乾燥空気を導入すると摩擦でリンが発火するおそれがある。そのため、導入するエアの湿度をコントロールすることが好ましい。それによりリンを含む粉塵がリンの化学反応も手伝い、摩擦による急激な発火を防止しつつ、安定的に燃焼する。排気配管26内は単結晶引き上げ装置12に近いこともあり、温度が高くこの燃焼によりほぼ完全に酸化すると考えられる。ここで、リンを含む粉塵について考察すれば、粉塵がさらさらしていると圧変化による粉塵の移動で摩擦が起こり、リンが自然発火するおそれがある。一方、自然発火を防止するために、多量の水分を導入すると、リンなどが反応し、粘土状の物質を生成するが、この粘土状の物質がメカニカルブースター62や真空ポンプ64まで運ばれると、メカニカルブースター62や真空ポンプ64停止の原因となるおそれがある。
【0037】
主な燃焼が終了し、チャンバ20内の圧力が200Torr程度になると、電磁バルブ40(又は42)が閉じられる(S50)。そして、終了ブザーが鳴り(S52)、終了ボタンが押される(S54)。次に、ボールバルブ44が閉じられ、排気管路系16がチャンバ20から遮断される(S56)。チャンバ20内は、供給管路系14よりアルゴンが導入され、炉内は常圧となる(S58)。一方、排気配管26中の燃焼が終了すると共に、真空ポンプ64により減圧される。この状態では、ダストボックス51内やフィルタ50近傍には、未燃焼の粉塵が存在すると考えられるので、燃焼反応を十分行うべく、所定の水分量を持つエアの導入の準備をする。即ち、調整バルブ54を閉じ(S60)、真空ポンプ64を停止し(S62)、ヒータ52によるダストボックス51及び/又はフィルタ50の加熱を行う。そして、リーク弁51aを開け、所定の水分量を持つエアを供給源51bより導入する。このように、排気配管26の燃焼が終了したら、ポンプを止めてダストボックス51にエアを導入するのは、単結晶引き上げ装置12側からの大気導入では十分な酸素が供給されていなかったダストボックス51内の粉塵にも酸素が供給されて十分燃焼できるからである。この際、エアの湿度コントロールを適切に行うことが好ましいことは上述と同様である。このヒータ加熱及びエア導入により、ダストボックス51内の粉塵の燃焼が安定的に且つ十分に行われる。これは、ダストボックス内は単結晶引き上げ装置12側の排気配管26に比べて温度が低く、大気の導入のみでは粉塵の燃焼が十分行われないおそれがあるところ、ヒータ加熱により、それを補うことができる。ヒータ52のスイッチを入れて加熱する場合、ヒータ温度は、短時間で500℃となることが好ましい。
【0038】
このヒータの温度特性を図4Aのグラフに表す。ヒータ加熱を開始すると速やかに最高温度の500℃に達するが、それまでに、周辺の部材の温度も十分に高くなり、未反応の粉塵中の化合物(特に、リンを含む)は、燃焼を開始する。燃焼が開始されれば、燃焼による発熱量で活性化のための熱エネルギーは十分まかなえるので、ヒータ52のスイッチを切る。そして、フィルタ50近傍の粉塵の燃焼をフィルタ50を収納するフィルタボックス51に備えられる窓から確認して、着火完了ランプを点灯させる。そして、フィルタ50近傍の粉塵の燃焼が十分行われた後に、燃えるべき不安定な化合物が実質的にないような状態となり、自然に消火する。これにより、排気システムの大気導入に伴う燃焼処理の工程を完了する。そして、燃焼バルブ58を開けて(S64)、真空ポンプ64をONすることにより(S66)、排気管路系を排気する。そして、プルチャンバを開けて(S20)、インゴットを取り出す(S22)。このようにして一連のインゴット取出し工程が終了し、次の工程であるチャンバ20や排気管路系16の清掃を行うことができる。
【0039】
一方、大気導入時の粉塵の化学反応は、上記式1及び2だけではなく、大気中の水蒸気或いは水分により、それ以外の反応が生じることが判明した。従って、大気等のエア導入時には、導入されるガスの中の水分量をコントロールすることが好ましい。特に粉塵中にリンを含む場合、生成した化合物によっては、真空ポンプに影響を与えるものもある。そのため、この影響も考慮することが好ましい。
【0040】
図4Bから図4Eにおいて、このような本発明の実施例に適用可能なヒータ付きフィルタの模式図を示す。何れの図も、円筒形の筐体の上面を取り外し、前側の側面の一部を破断させて内部が見えるように描いている。図4Bは、本発明の実施例に適用可能なフィルタ100の本体部分を模式的に示す破断斜視図である。フィルタ100は、下端に円板状のフィルタとして機能するメッシュ102を備える円筒形の筐体110により主に構成される。筐体110の内側面には、メッシュ102の直ぐ上にバンドヒータ104がほぼ一周分、側面に沿って配置され、メッシュ102の外周側から、また、筐体110の内面下部からフィルタ100を加熱することができる。このフィルタ及び次のフィルタは、上面に窓(不図示)が設けられており、中を観察することができる。図4Cは、別の例を示すが、波を打つような形でヒータ105がメッシュ102上に配置されている。ヒータ以外の構成は図4Bのものと同じであるので説明は省略する。この方式では、粉塵が直接ヒータ105に接触する可能性が高くなり、粉塵の着火・発火をより容易に促すことができる。図4Dは、更に別の例を示すが、図4Cのフィルタと異なり、ヒータ106がほぼ平行に等間隔でメッシュ102上に並べられている。また、筐体110の右側にガラス窓112が設けられており、中を観察することができる。図4Eは、フィルタとして機能するフィルタ板108が、導電性であり、通電することにより加熱可能なものである。このフィルタ板108は、筐体110から絶縁的に固定されており、必要に応じて電極との接触が可能な構造を備える。このような導電性のフィルタの例としては、例えば、特開平7−60036号に開示されたものがある。この発明においては、粒子状物質即ちパティキュレートを捕集するフィルタであり、フィルタを導電性に構成し、該フィルタで捕集されたパティキュレートをフィルタに通電して均一に加熱し、パティキュレートを均一に燃焼させることができる。この方式では、フィルタに堆積する粉塵を均一に加熱可能であり、燃え残しを有効に防止することができる。また、この場合、ガラス窓112から中の燃焼状態を観測可能なセンサー113を備えてもよい。このセンサー113は、例えば、粉塵の燃焼に起因する火炎を観測し、種々の制御(例えば、ヒータスイッチのオン・オフ、バルブの開閉等)をすることができる。これにより、粉塵の燃焼をより管理し易くなる。
【0041】
図5は、リン化合物の特性をまとめたものである。上述する粉塵に混入したリンの燃焼により、酸化リンがまず生成すると考えられるが、その主な生成物は、三酸化二リンであると考えられている。これが、フィルタボックス内等で水と反応して、リン酸(ホスホン酸)を生成すると、その強い還元性から、接触する壁材等との反応を促進するおそれもある。また、リン酸(オルトリン酸)は酸であるため、やはり接触する壁材等との反応が懸念され、その生成には十分に留意することが望ましい。
【0042】
ここで、図6及び7に基づき、飛散したリンの反応について考察する。図6は比較的水が多く存在する場合を考察したものである。粉塵中のリン(Px)は、まず、酸化リン(PxOy)となり、壁面等に付着する水分と反応し、HPO(Liq)を生成し、酸化ケイ素(SiOを含む)と共に粘土状の物質を形成すると考えられる。この粘土状の物質は、リン酸(オルトリン酸)を含むと考えられるので、酸としての反応性があり、注意が必要である。
【0043】
一方、水があまりない場合は、図7に示すように、粉塵中のリン(Px)は、まず、酸化リン(PxOy)となり、周囲の酸素と反応し、P46(Liq)又は(PO2を生成し、酸化ケイ素(SiOを含む)と共に粘土状の物質を形成すると考えられる。この粘土状の物質は、リン酸(ホスホン酸)を含むと考えられるので、還元性があり、注意が必要である。モデルとなる排気系において粉塵に含まれる水分量を測定したところ、図8に示すような結果が得られた。尚、このときは、フィルタ部にあるヒータを使用せず、単に、排気系の配管路内を大気開放にした後に採取したサンプルに対する結果である。測定は、気化法によるもので、カールフィッシャー水分計を用いた。これから分かることは、何れの場所においても水分量は、多くないので図6のように多量の水により粉塵が燃焼等を通じて粘土状になった可能性は低いと考えられる。また、若干ではあるが、真空ポンプへ向う程、水分量が減っており、リンの化合物もそれに合わせて変化すると推測される。従って、材質等の選定は、部位に応じたものが好ましい。
【0044】
以上より、フィルタ50及びフィルタ50が設置されるフィルタボックスの粉塵と接する部位の材質は、これらの化合物のとの反応がし難いものが好ましいことがわかる。例えば、SUS304等のステンレスである。
【符号の説明】
【0045】
10 排気システム 12 単結晶引き上げ装置 14 供給管路系
16 排気管路系 18 制御系 20 チャンバ 22 供給配管
24 リーク配管 26 排気配管 28 アルゴン供給源
30 電磁バルブ 32 配管 34 エアの供給源
36 レギュレータ 38 調整弁 40 電磁バルブ
42 リーク弁(電磁バルブ) 44 ボールバルブ 46 電磁バルブ
48 バルブ 50 フィルタ 52 ヒータ 54 調整弁
56 Tジョイント部 58 排気燃焼バルブ 60 Tジョイント部
62 メカニカルブースター 64 真空ポンプ 100 フィルタ
102 メッシュ 104、105、106 ヒータ 108 フィルタ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の量の水分と所定の量の酸素を含むガスを導入可能なバルブを備えた単結晶引き上げ装置に接続された排気管路と、
前記単結晶引き上げ装置から前記排気管路へのガスの流れを停止可能な排気バルブと、
前記引き上げ装置に供給された不活性ガスを前記排気管路を通して吸引する真空ポンプと、
前記排気管路に配置され、前記真空ポンプの手前で前記真空ポンプによって排気されるガスを手前で処理するフィルタを備えるダストボックスと、
前記フィルタを加熱可能に備えられるヒータと、
前記ダストボックスに所定の量の水分と所定の量の酸素を含むガスを導入可能なリーク弁と、
前記排気バルブ、前記真空ポンプ、前記ヒータ、及び、前記リーク弁の動作を制御する制御装置と、を備える単結晶引き上げ装置の排気システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記排気バルブを閉鎖し、前記真空ポンプを停止して前記リーク弁を開放し、前記ヒータにより前記フィルタを加熱するように制御することを特徴とする請求項1に記載の排気システム。
【請求項3】
前記ガスについて、前記単結晶引き上げ装置に備えられたバルブからのガスの場合はその重量絶対湿度が0.005kg/kg(DA)〜0.020kg/kg(DA)である空気であり、前記リーク弁からのガスの場合はその重量絶対湿度が0.020kg/kg(DA)である空気であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気システム。
【請求項4】
前記単結晶引き上げ装置において引き上げられる単結晶は、リンを含むシリコン単結晶であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の排気システム。
【請求項5】
前記フィルタは、平均フィルタメッシュサイズが60〜400メッシュであることを特徴とする請求項4に記載の排気システム。
【請求項6】
単結晶引き上げ装置と、
該単結晶引き上げ装置に排気バルブを介して接続される排気管路と、
前記引き上げ装置に不活性ガスを供給するための第1のバルブと、
前記引き上げ装置に酸素を含むガスを供給するための第2のバルブと、
前記引き上げ装置内のガスを前記排気管路を通して吸引する真空ポンプと、
前記排気管路に配置され、前記真空ポンプの手前で前記真空ポンプによって排気されるガスを手前で処理するフィルタを備えるダストボックスと、
前記ダストボックスに酸素を含むガスを供給するためのリーク弁と、
前記フィルタを加熱可能に設置されたヒータと、を備えるシステムによる単結晶の引き上げ後の後処理方法であって、
単結晶引き上げ後、前記単結晶引き上げ装置を冷却する工程と、
前記第1のバルブを閉じる工程と、
前記第2のバルブを開ける工程と、
前記排気バルブを閉じる工程と、
前記真空ポンプを停止する工程と、
前記リーク弁を開ける工程と、
前記ヒータにより前記フィルタを加熱する工程と、を含む後処理方法。
【請求項7】
前記酸素を含むガスについて、前記第2のバルブからのガスの場合はその重量絶対湿度が0.005kg/kg(DA)〜0.020kg/kg(DA)である空気であり、前記リーク弁からのガスの場合はその重量絶対湿度が0.020kg/kg(DA)以下である空気であることを特徴とする請求項6に記載の後処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−148906(P2012−148906A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7034(P2011−7034)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000184713)SUMCO TECHXIV株式会社 (265)
【Fターム(参考)】