説明

単結晶引上装置の排気集塵装置

【課題】単結晶引上装置の排気系に設けられ、十分な粉塵除去効果が得られる単結晶引上装置の排気集塵装置を提供する。
【解決手段】サイクロン本体21内に、導入管22より導入した粉塵含有気体の旋回方向と略一致する旋回方向に、この気体を旋回させつつ、サイクロン本体21の下部へ案内する整流固定翼28a−28dを複数設ける。整流固定翼28a−28dは、円筒部24の中心軸に直交する所定の平面に沿い、サイクロン本体21内部の流出管23の外周部と円筒部24または円錐台状部25の内周部との間に放射状に固定配置された複数のフィンを有する。複数のフィンは、円筒部の中心軸線に直交する第1平面に対して傾斜角30度〜50度の傾斜角を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶製造時に単結晶引上装置の排気系に使用される排気集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チョクラルスキー法による単結晶引上装置では、チャンバ内にシリコン融液から蒸発するSiO等の浮遊物質が含まれる。この浮遊物質がチャンバ内に滞留すると、製造される単結晶の品質に悪影響を与える。このため、従来、Arガス等の不活性ガスをチャンバ内に供給しつつ、真空排気ポンプを用いた排気系によりチャンバ内部を減圧してチャンバ内のガスを排出し、チャンバ内の清浄を保つようにしている。
【0003】
しかし、長時間にわたり単結晶引上を行うことにより、排気されるガスに含まれるSiO等による粉塵が、真空排気ポンプ(メカニカルブースターポンプ)の内部のロータ等に多量に付着・堆積すると、場合によっては、ポンプが停止または破損するという問題点がある。このため、単結晶引上装置と真空排気ポンプとの間に、サイクロン装置による排気集塵装置を設けて粉塵の除去を行うことが提唱されている(例えば、特許文献1−3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3367910号公報
【特許文献2】特許第3478330号公報
【特許文献3】特許第3632526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のサイクロン装置を用いた排気集塵装置では、シリコン単結晶引上製造過程において、サイクロン装置の吸気圧が低下すると、サイクロン装置本来の気流旋回運動が発生せず、十分な粉塵(排気ガスに含まれる5〜10μm粒径のアモルファス)の捕集ができなかった。このため、前述のポンプの停止や破損の問題を軽減するために、排気集塵装置の後段に真空排気ポンプを2台並列接続し、これらを常時稼動させることが行われている。
【0006】
また、本願発明の発明者らによるシミュレーションによっても、サイクロン装置は、サイクロン本体内の気圧が低い場合には十分な気流の旋回運動が起こらないために、粉塵の分離効果が得られないことが分った。例えば、所定の装置構成で、サイクロン本体内の気圧を約73kPa(約550Torr)未満とし、サイクロン本体内を流れるガス流量を毎分数十〜200リットルとしたところ、気流旋回運動が発生しないというシミュレーション結果を得ている。このため、単結晶引き上げ装置において、サイクロン装置を高真空装置の排気系から粉塵を分離して除去する目的で使用しようとしても、十分な粉塵の除去効果が得られないことが懸念される。
【0007】
さらに、サイクロン装置に代えて、粉塵除去のために電気集塵機やメッシュフィルタを使用することも考えられるが、電気集塵機は電荷を帯びた粉塵が自然発火を起こして粉塵爆発を生じる危険があり、また、メッシュフィルタは目詰まりを起こして単結晶引上装置のチャンバ内を所望の真空度に保てなくなる虞がある。
【0008】
したがって、これらの点に着目してなされた本発明の目的は、単結晶引上装置の排気系に接続して、十分な粉塵除去効果が得られる単結晶引上装置の排気集塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する請求項1に係る排気集塵装置の発明は、
単結晶引上装置に接続された排気管と、前記排気管路を通して前記単結晶引上装置から粉塵含有気体を吸引する真空ポンプとを備えた単結晶引上装置の排気系に設けられる排気集塵装置であって、
粉塵含有ガスを導入する導入口をもつ円筒部と、該円筒部の下部に位置し該円筒部と同一軸線になるように結合し且つ下方に向けて径が狭まるとともに下端に開口を有する中空の円錐台状部と、前記円筒部の上面に位置し、粉塵含有気体中の粉塵を分離した気体を排出する排出口をもつ天板部と、前記円錐台状部の前記開口した下端部に結合した粉塵回収部とを有する密閉されたサイクロン本体と、
前記排気管に接続され、粉塵含有気体を、前記サイクロン本体の円筒部に設けた導入口から前記サイクロン本体の内部に、前記円筒部の内周面に沿って略水平方向に導入する導入管と、
一端部が前記サイクロン本体の天板部に設けた排出口から前記サイクロン本体内に前記サイクロン本体と同一軸線になるように延在させて、前記サイクロン本体内に2つの空間部である内側空間部と外側空間部とに区画形成するとともに、他端部が前記真空ポンプに接続され、該真空ポンプの吸引により、前記粉塵含有気体中の粉塵を分離した気体を、前記サイクロン本体から排出させる円筒状の排出管と、
前記真空ポンプによる前記排出管を通じた吸引により、前記サイクロン本体内を所定の減圧雰囲気にした状態にて、前記導入管によりサイクロン本体内に導入した前記粉塵含有気体の旋回方向と略一致する旋回方向に、前記粉塵含有気体を旋回させつつ、前記サイクロン本体の下部へ案内する整流手段と
を備えることを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の排気集塵装置において、
前記所定の減圧雰囲気は、73kPa(約550Torr)以下であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の排気集塵装置において
前記整流手段は、前記円筒部の中心軸線に直交する第1平面に沿い、前記サイクロン本体内の前記外側空間部に放射状に固定配置された複数のフィンを有する整流固定翼を含んで構成され、該複数のフィンは、前記第1平面に対して所定の傾斜角を有することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の排気集塵装置において、
前記整流手段は、サイクロン本体の軸線方向に所定の間隔をおいて配設された複数の前記整流固定翼により構成されることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項3または4に記載の排気集塵装置において
前記複数のフィンの前記所定の傾斜角は30度以上50度以下であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項3または4に記載の排気集塵装置において、
前記複数のフィンの前記所定の傾斜角を略40度としたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項7に係る発明は、請求項3〜6のいずれか一項に記載の排気集塵装置において、
前記整流固定翼の開口率は20%以上40%以下であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の排気集塵装置において、
前記整流固定翼の開口率は、略29.8%であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項3〜8のいずれか一項に記載の排気集塵装置において、
前記サイクロン本体は、使用時において、前記整流固定翼により該サイクロン本体内に気圧差が生じるように構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、導入管より導入した粉塵含有気体の旋回方向と略一致する旋回方向に、この気体を旋回させつつ、前記サイクロン本体の下部へ案内する整流手段を設けたので、サイクロン本体内の圧力を低くした場合にも、排出管を通じた吸引力により、気体の旋回運動を発生させ、サイクロンによる粉塵の捕集をすることができる。さらに、固定配置された整流手段を用いることにより、装置の製造および運転に要するコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る排気集塵装置を単結晶引上装置の排気系に接続した状態を示す概略構成図である。
【図2】第1実施の形態に係る排気集塵装置の概略構成を斜め上方から眺めたときの透視図である。
【図3】整流固定翼を示す斜視図である。
【図4】シミュレーションによる排気集塵装置内における粉体の挙動を示す図である。
【図5】第2実施の形態に係る排気集塵装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0021】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る排気集塵装置を単結晶引上装置の排気系に接続した状態を示す概略構成図である。
【0022】
図1において、単結晶引上装置11は、チョクラルスキー法によるシリコン等の半導体単結晶の引上装置であり、そのチャンバ11aは、排気系の一部を構成する排気管12に接続されている。排気系は、この排気管12、スロットルバルブ13、排気集塵装置であるサイクロン装置14およびポンプ15により構成される。排気管12のチャンバ11aが接続された端部と異なる端部は、後述するサイクロン装置14の導入管に接続される。スロットルバルブ13は、排気管12の管路に設けられ、排気管12を流れるガスの流量を調整することにより、チャンバ11a内の圧力を調整する。さらに、サイクロン装置14の後述する排出管は、ポンプ15に接続される。ポンプ15は、図示しないメカニカルブースターポンプとドライポンプとを直列して構成されており、チャンバ11aを0.13Pa(1mTorr)以下の高真空まで減圧することが可能である。
【0023】
次に、サイクロン装置14について説明する。図2は、サイクロン装置14の概略構成を斜め上方から眺めたときの透視図である。サイクロン装置14は、主に、サイクロン本体21と排気管12に接続されサイクロン本体21に粉塵含有気体を導入させる導入管22と、ポンプ15に接続されポンプ15の吸引によりサイクロン本体21から粉塵含有気体中の粉塵を分離した気体を排出させる円筒状の排出管23と、サイクロン本体21内に設けられた整流固定翼28a−28dとから構成されている。
【0024】
サイクロン本体21は、粉塵含有気体を導入する導入口をもつ円筒部24と、円筒部24の下端部にこの円筒部24と同一軸線になるように結合し且つ下方に向けて径が狭まるとともに下端に開口を有する中空の円錐台状部25と、円筒部24の上面に位置し、粉塵含有気体中の粉塵を分離した気体を排出する排出口をもつ天板部26と、円錐台状部25の開口した下端部に結合する粉塵回収部27とから構成される中空の構造を有し、内部の空間は外部から気密に密閉されている。
【0025】
また、導入管22は、サイクロン本体21の円筒部24の導入口から、円筒部24の内周面に沿う方向に水平に気体を導入させるように、円筒部24に気密に結合されている。さらに、排出管23は、一端部がサイクロン本体の天板部26に設けた排出口からサイクロン本体21に同一軸線になるように延在し、サイクロン本体21の内部で円筒状の中筒部23aを形成している。この中筒部23aは、サイクロン本体内に2つの空間部である内側空間部と外側空間部とを区画形成する。ここでも、天板部26の排出口と排出管23との間は気密に結合されている。また、排出管23の他端部は、ポンプ15へ接続される。さらに、サイクロン本体21の内において、外側空間部、すなわち、排出管23の中筒部23aの外周面とサイクロン本体21の内周面との間には、整流手段を構成する4つの整流固定翼28a−28dが設けられている。
【0026】
図3は、整流固定翼28a−28dを示す斜視図である。各整流固定翼28a−28dは、内周リング31と外周リング32と50枚の細長い平板状のフィン33とから構成されている。内周リング31は、排出管23の中筒部23aの外周に、3方向からボルト締めで結合されている。各フィン33は、一端が内周リング31に結合し、長手方向を円筒部24および円錐台状部25の中心軸を中心とした略放射方向に向けて等間隔に配列される。また、他端は外周リング32に結合し、これによって外周リング32を支持する。また、各フィン33は、整流固定翼を通過する気体が、導入管22から円筒部の内周に沿って導入される気体の旋回方向と同じ旋回方向に旋回するように傾斜している。この傾斜角度は、円筒部24の中心軸線に直交する第1平面、すなわち、図3では内周リングおよび外周リングを含む水平面に対して30°または45°に設定可能に構成されている。
【0027】
次に、単結晶引上装置11により、結晶成長を行う際の、サイクロン装置14の作用について図1、2を参照して説明する。
【0028】
結晶成長時において、単結晶引上装置11のチャンバ11a内には、シリコン融液から蒸発するSiO等の浮遊物質(アモルファスの粉体)が発生する。この浮遊物質は、製造される単結晶の品質に悪影響を与えるため、図示しない導入管からArガスなどの不活性ガスをチャンバ11aに供給しつつ、排気系を構成する排気管12からこの気体を排出することにより、気体とともにチャンバ11a外へ排出される。これにより、チャンバ11a内の清浄を保つことができる。
【0029】
従って、単結晶引上装置11の排気系を流れる気体には、SiO等の微小な粉体が含まれる。この粉体はチャンバ11a内の気体とともに、排気管12およびスロットルバルブ13を経由して、導入管22からサイクロン装置14のサイクロン本体21内に円筒部24の内周面に沿う方向に流入する。さらに、この流入した気体は、4段に配置された整流固定翼28a−28dのそれぞれを通過することにより旋回運動を行う。
【0030】
ここで、整流固定翼28a−28dは、ポンプ15により排出管23のサイクロン本体21内の開口部に生じる引圧のため、これら整流固定翼28a−28dによって隔てられたサイクロン本体21の各空間に、気体の流入する上部から下部に向けて順次高真空となるように気圧差を生じさせる。このため、気体の旋回速度は整流固定翼を通過するとともに、順次高速となり円錐台状部25の下部に至る。円錐台状部25の下部に到達した気体は、その後、排出管23を経てポンプ15へ排出される。サイクロン本体21の導入管22が接続された側の気圧は、約2.7kPa(約20Torr)である。
【0031】
ここで、サイクロン本体21に流入した気体内に含まれる微小な粉体は、一部は、整流固定翼28a−28dのフィン33に衝突して、これらフィンに付着するとともに、サイクロン本体21内で発生する旋回流によるサイクロン効果により、遠心力により気体から分離され重力により粉塵回収部27に沈下し、捕集される。
【0032】
これによって、微小な粉体が分離され取り除かれた気体が、ポンプ15に送出されるので、ポンプ15のメカニカルブースターポンプ内のロータに、粉体が付着、堆積して、ポンプが停止したり、ポンプそのものが破損したりするなどの不具合や事故の発生を防止することができる。
【0033】
図4は、シミュレーションによる排気集塵装置であるサイクロン装置内における粉体の挙動を示す図である。図4(a)は、整流固定翼を有さない従来のサイクロン装置によるものであり、図4(b)は、本願発明に係るサイクロン装置14を用いたものである。このシミュレーションにおいて、サイクロン装置内14の気圧は27.2kPa−28.0kPaである。また、サイクロン装置14の整流固定翼28a−28dの各フィンは、円筒部24の中心軸線に直交する第1平面、すなわち、図4において水平面に対して、45度の傾きを有するものとした。このシミュレーションにより、高真空下で、図4(a)に示す従来のサイクロン装置では気流の旋回が発生せず、気体が粉塵回収部27付近まで下降しない一方、図4(b)に示す本願発明のサイクロン装置14では、内部で気流が旋回して粉塵回収部27まで高速旋回をして下降することが確認された。さらに、本発明のサイクロン装置14では、微小粉体はポンプ15まで移送されず、排出管23の屈曲部までに留まることが確認された。
【0034】
さらに、フィンの水平面に対する角度を30度−50度(最も好ましくは40度)とし、整流固定翼の開口率を20%−40%(最も好ましくは、29.8%)とした場合に、整流固定翼を2段以上設ければ、サイクロン本体を流れる気体の流量が毎分180リットルの条件下で、サイクロン本体21の内部が9.3kPa−25kPaの高真空であっても気体が旋回運動をして、径が10μm以上の粉体を捕集できることを確認した。ここで、「開口率」は、円筒部の中心軸方向に見たサイクロン本体の断面積に対する整流固定翼のフィン間の間隙の面積の比率である。
【0035】
さらに、本願の発明者らが実験機を用いて行った実験に拠れば、サイクロン本体を流れる気体の流量が毎分180リットル、サイクロン装置14内部の気圧を16kPa−20kPaとし、また、フィン33の角度を45度としたところ、整流固定翼28a−28dのフィン33の気体の導入方向前面にのみ粉体が付着し、ポンプ15に付着する粉体の量に減少が見られた。フィンの背面に粉体が付着しないことは、サイクロン装置14内で気体の旋回運動が発生しているためと解される。
【0036】
以上説明したように本実施の形態によれば、排気集塵装置であるサイクロン装置において、気流を所定の旋回方向に案内する整流固定翼を設けたので、サイクロン本体内を真空に排気しながら、気流旋回運動を発生させることができ、気体内の微小な粉体を気体から分離除去することができる。さらに、整流固定翼28a−28dのフィン33に微小粉体が付着することにより、フィルタの役割をするので、より粉体の除去効率を高めることができる。
【0037】
(第2実施の形態)
図5は、第2実施の形態に係る排気集塵装置であるサイクロン装置の概略構成を示す側面図である。本実施の形態は、第1実施の形態に係る排気集塵装置において、上述のシミュレーションの結果に基づいて、整流固定翼を2段にしたものである。図5に示すように、2つの整流固定翼28aおよび28bは、サイクロン本体21の円筒部24の外側空間部に設けられている。また、整流固定翼28a,28bのフィン33の、円筒部24の中心軸線に直交する第1平面、すなわち、図5における水平面に対する傾斜角度を40°とする。この装置のサイクロン本体21は、メンテナンス性を考慮し、円筒部の中間および円筒部と円錐台状部との間で分割可能に構成されている。その他の構成は、第1実施の形態のサイクロン装置14と同様なので、同一構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0038】
以上のような構成によって、本実施の形態の排気集塵装置であるサイクロン装置14は、第1実施の形態のサイクロン装置14と同様に、サイクロン本体21の内部を真空に排気しながら、気流旋回運動を発生させることができることが確認された。このとき、10μm以上の大きさの微小粉体が捕集され、ポンプ15へは送出されないことも確認された。したがって、本実施の形態に拠れば、整流固定翼を2段で構成するより簡単且つ軽量な装置構成によって、第1実施の形態と同様のサイクロン効果による微小粉体の分離、除去が可能になった。
【0039】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上記の実施の形態において、整流固定翼は4段または2段の構成を例示したが、これと異なる段数の構成としても良い。また、各整流固定翼28a−28dのフィンの数を50枚としたが、これに限られず、他の枚数のフィンを用いた整流固定翼を用いることも可能である。さらに、フィン33の形状は平板状としたが、これに限られず、旋回流を発生させるために様々な形状を採ることが可能である。
【0040】
なお、本発明の排気集塵装置の減圧雰囲気の好適な範囲は、約9.3kPa−73kPaであり、各整流固定翼間の好適な圧力差は、約4.7kPa−5.3kPaである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
単結晶引上装置の排気系に本発明の排気集塵装置を用いることで、サイクロン本体内の圧力を低くした場合にも、排出管を通じた吸引力により、気体の旋回運動を発生させ、サイクロンによる粉塵の捕集をすることができる。
【符号の説明】
【0042】
11 単結晶引上装置
11a チャンバ
12 排気管
13 スロットルバルブ
14 サイクロン装置
15 ポンプ
21 サイクロン本体
22 導入管
23 排出管
23a 中筒部
24 円筒部
25 円錐台状部
26 天板部
27 粉塵回収部
28a−28d 整流固定翼
31 内周リング
32 外周リング
33 フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶引上装置に接続された排気管と、前記排気管路を通して前記単結晶引上装置から粉塵含有気体を吸引する真空ポンプとを備えた単結晶引上装置の排気系に設けられる排気集塵装置であって、
粉塵含有ガスを導入する導入口をもつ円筒部と、該円筒部の下部に位置し該円筒部と同一軸線になるように結合し且つ下方に向けて径が狭まるとともに下端に開口を有する中空の円錐台状部と、前記円筒部の上面に位置し、粉塵含有気体中の粉塵を分離した気体を排出する排出口をもつ天板部と、前記円錐台状部の前記開口した下端部に結合した粉塵回収部とを有する密閉されたサイクロン本体と、
前記排気管に接続され、粉塵含有気体を、前記サイクロン本体の円筒部に設けた導入口から前記サイクロン本体の内部に、前記円筒部の内周面に沿って略水平方向に導入する導入管と、
一端部が前記サイクロン本体の天板部に設けた排出口から前記サイクロン本体内に前記サイクロン本体と同一軸線になるように延在させて、前記サイクロン本体内に2つの空間部である内側空間部と外側空間部とに区画形成するとともに、他端部が前記真空ポンプに接続され、該真空ポンプの吸引により、前記粉塵含有気体中の粉塵を分離した気体を、前記サイクロン本体から排出させる円筒状の排出管と、
前記真空ポンプによる前記排出管を通じた吸引により、前記サイクロン本体内を所定の減圧雰囲気にした状態にて、前記導入管によりサイクロン本体内に導入した前記粉塵含有気体の旋回方向と略一致する旋回方向に、前記粉塵含有気体を旋回させつつ、前記サイクロン本体の下部へ案内する整流手段と
を備えることを特徴とする排気集塵装置。
【請求項2】
前記所定の減圧雰囲気は、73kPa(550Torr)以下である請求項1に記載の排気集塵装置。
【請求項3】
前記整流手段は、前記円筒部の中心軸線に直交する第1平面に沿い、前記サイクロン本体内の前記外側空間部に放射状に固定配置された複数のフィンを有する整流固定翼を含んで構成され、該複数のフィンは、前記第1平面に対して所定の傾斜角を有することを特徴とする請求項1または2に記載の排気集塵装置。
【請求項4】
前記整流手段は、サイクロン本体の軸線方向に所定の間隔をおいて配設された複数の前記整流固定翼により構成されることを特徴とする請求項3に記載の排気集塵装置。
【請求項5】
前記複数のフィンの前記所定の傾斜角は30度以上50度以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の排気集塵装置。
【請求項6】
前記複数のフィンの前記所定の傾斜角を略40度としたことを特徴とする請求項3または4に記載の排気集塵装置。
【請求項7】
前記整流固定翼の開口率は20%以上40%以下であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の排気集塵装置。
【請求項8】
前記整流固定翼の開口率は、略29.8%であることを特徴とする請求項7に記載の排気集塵装置。
【請求項9】
前記サイクロン本体は、使用時において、前記整流固定翼により該サイクロン本体内に気圧差が生じるように構成されたことを特徴とする請求項3〜8のいずれか一項に記載の排気集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−32127(P2011−32127A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179449(P2009−179449)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000184713)SUMCO TECHXIV株式会社 (265)
【Fターム(参考)】