説明

単軸ロボット

【課題】単軸ロボットが大型化することなくスライダ動作時に単軸ロボットの収容部の空気が外部に漏れるのを防止することができる単軸ロボットを提供する。
【解決手段】一軸方向に延びるとともに上方に開口する収容部を有するケース部材2と、収容部から一部が上方に突出した状態で前記収容部に収容されるとともに、軸方向に移動可能に取り付けられた可動部材3と、可動部材を軸方向に移動させる駆動装置と、開口部を上方から塞ぐシャッタ部材25とを有する単軸ロボットにおいて、収容部から上方に突出する可動部材の一部の移動領域を除いたケース部材の上面部上に、この上面部を貫通する貫通孔22eを介して収容部と連通する空気通路部7を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライダ動作時に収容部内の空気が圧縮されるのを抑制する構造を有する単軸ロボットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、略直方体形状のケーシング内にスライダが収容され、このスライダが軸方向(長手方向)に移動できるように構成された単軸ロボットが一般に知られている。具体的には、断面略U字状であって上方に開口する収容部を有するケーシングと、このケーシングの収容部に収容されるスライダとを備えており、前記収容部は上方から平板状のシャッタ部材で塞がれている。そして、前記スライダは、収容部に設置された駆動装置によって駆動されることにより、収容部内を一軸方向に移動できるようになっている。
【0003】
一般に、単軸ロボットの上記収容部には、特許文献1に示されるように、スライダの構成要素が密に収容されており、収容部の断面領域において余分なスペースがほとんど存在しない。したがって、このような単軸ロボットを軸方向一端側に移動させると、収容部内の軸方向一端側に存在していた空気が逃げ場を失って圧縮され、この圧縮された空気は、ケーシングとシャッタ部材との隙間からケーシング外部に排出されることになる。単軸ロボットの収容部には、塵埃や機械要素のグリス等が存在しており、収容部内の空気が外部に排出されると、この塵埃等が空気と共に外部に飛散してしまい、特にクリーンルームで使用される単軸ロボットでは、この塵埃の飛散がクリーンルームのクリーン度低下の要因となる。また、収容部内の軸方向他端側は圧力が負圧となり、外部から空気を塵埃と一緒に吸い込むと、単軸ロボットの故障の原因となる。
【0004】
特許文献1では、このような問題を解決するために、ケーシングの底壁や側壁に中空部を設け、この中空部を通じて軸方向一端側に圧縮された空気を軸方向他端側に循環させることによって、単軸ロボットの収容部の空気が外部に漏れたり、収容部内に外部から空気が侵入することをできるだけ防止することが開示されている。
【特許文献1】特開2000−197304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、特に、スペース効率等の問題から単軸ロボットの扁平、小型化が求められ、さらにスライダをロングストロークで高速に移動させることが求められている。
【0006】
しかし、特許文献1に示されるケーシングの底壁や側壁に中空部を設ける構成では、単軸ロボット全体が大型化してしまう問題がある。すなわち、ケーシングの底壁や側壁に中空部を形成しているため、中空部を設ける分だけ底壁や側壁の肉厚を厚く形成する必要がある。したがって、ケーシングの高さ方向又は幅方向(軸方向と直交する方向)の寸法が大きくなり、全体として単軸ロボットを小型化することが困難になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、単軸ロボットが大型化することなくスライダ動作時に単軸ロボットの収容部の空気が外部に漏れたり、収容部内に外部から空気が侵入することをできるだけ防止することができる単軸ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の単軸ロボットは、一軸方向に延びるとともに上方に開口する収容部を有するケース部材と、前記収容部から一部が上方に突出した状態で前記収容部に収容されるとともに、軸方向に移動可能に取り付けられた可動部材と、前記可動部材を軸方向に移動させる駆動装置と、前記収容部の上方開口部を上方から塞ぐシャッタ部材と、を有する単軸ロボットにおいて、前記ケース部材の上方部における前記可動部材の移動領域を除く両側のうち少なくとも一方側に、一部が前記シャッタ部材よりも上方に突出するとともに前記収容部と連通する空気通路部を備え、前記可動部材が軸方向一端側に移動すると、軸方向一端側の前記収容部の空気がこの空気通路部を通じて軸方向他端側の前記収容部に移動するように構成したことを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、可動部材が軸方向一端側に移動すると、この移動により収容部の軸方向一端側に存在している空気が空気通路部を通じて軸方向他端側に移動可能になるため、当該空気がシャッタ部材とケース部材との隙間から外部に漏れるのを防止することができる。したがって、可動部材の移動に伴う発塵を防止することができる。また、前記可動部材の移動領域を除いた前記ケース部の上方部に空気通路部を設けているため、この空気通路部を設けたことによる単軸ロボットの大型化を抑制することができる。すなわち、上方に突出する可動部材の一部(上端部分)の幅は、ケース部材の幅よりも小さく形成されており、ケース部材の上方部における可動部材移動領域の側方にはスペースが存在している。したがって、このスペースを利用して空気通路部を設けているため、空気通路部を形成するためのスペースをケース部材に設ける必要がない。したがって、従来のように底壁や側壁に中空部を設けるものに比べて、ケース部材を大型化することなく空気通路部を設けることができる。また、空気通路部が開口部より上方となることで、シャッタ部材の側方を覆うことになり、シャッタ部材と開口部の間の隙間から塵埃が収容部内に侵入するのをより効果的に防止することができる。
【0010】
また、前記空気通路部の上端の高さ位置は、前記可動部材の上端の高さ位置よりも低いことが好ましい。
【0011】
このように構成することにより、可動部材を介して収容部内の各装置に必要な電源又は制御等の配線を空気通路部の上端の高さ位置と、前記可動部材の上端の高さ位置との差によって生じるスペースを使って設置することができる。
【0012】
また、前記空気通路部は、前記ケース部材の上方部にカバー部材が取り付けられることによって形成され、前記カバー部材は前記ケース部材に対して着脱自在に構成してもよい。
【0013】
このように構成することにより、メンテナンスに優れた空気通路部とすることができる。例えば、空気通路部に汚れが発生した場合であっても、カバー部材を取り外すことによって容易に空気通路部内を清掃することができる。また、カバー部材を取り外した空気通路部から、ノズルで収容部に向けてジェット状に空気を吹き込むことで、収容部内の塵埃を除去することができる。さらに、空気通路部をケース部材のみではなく、別部材であるカバー部材で形成することによって、ケース部材を安価なものとすることができる。
【0014】
また、前記駆動装置は、前記可動部に設けられたナット部と、このナット部と螺合するボールねじ軸と、このボールねじ軸又は前記ナット部を回転させる駆動源とを有しており、前記駆動源により前記ボールねじ軸又は前記ナット部を軸周りに回転させて、前記可動部材を軸方向に移動させるものを使用することができる。
【0015】
このように単軸ロボットの駆動装置を汎用性のあるボールねじを使用することにより、単軸ロボットを安価に製作することができる。
【0016】
また、前記可動部材の底面部と、この可動部材の底面部に対面する前記ケース部材の底面壁の表面とのうち、一方側表面にN極及びS極の磁性を有する磁石を軸方向に交互に配列したマグネット配列部を設けるとともに、他方側表面にコイル部を配置して、前記コイル部の磁性を変化させて可動部材を軸方向に移動させるリニアモータタイプの駆動装置であってもよい。
【0017】
このように単軸ロボットの駆動装置をリニアモータにすることにより、ボールねじタイプの駆動装置を用いる場合に比べて、単軸ロボットを扁平、小型化することができ、さらに可動部材(スライダ)を静粛かつ高速に移動させることができる単軸ロボットとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の単軸ロボットによれば、単軸ロボット全体として大型化することなくスライダ動作時における単軸ロボット内の空気が外部に漏れたり、外部の空気が内部に侵入するのをできるだけ防止し、塵埃が外部に飛散したり塵埃が外部から侵入するのをできるだけ防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかる単軸ロボットの平面図、図2は、図1のA−Aにおける断面図、図3は、図1の側面における部分断面図である。
【0020】
本発明の一実施形態に係る単軸ロボット1は、図1〜3に示すように、ケース部材2と、このケース部材2に一定方向に直線的に移動可能に支持される可動部材3とを備えている。
【0021】
上記ケース部材2は、フレーム21と一対の上部カバー22とを有しており、一軸方向に延びる枠状に形成されている。なお、本明細書では、説明の便宜のためにケース部材2の延びる一軸方向を前後方向とし(図1の上方を後、下方を前とする)、ケース部材2の幅方向(図2の左右方向)を左右方向として説明する。
【0022】
上記フレーム21は、所定厚みを有する底壁部21aと、この底壁部21aの左右両側で底壁部21aよりも上方に延びる側壁部21bとからなり、上方に開口する断面略コ字状で前後方向に延びている。このフレーム21は、例えばアルミニウム合金等の押出し材で構成することが可能である。また、フレーム21の側壁部21bには、固定孔23が複数個所設けられている。この固定孔23は、側壁部21bの一部を切り欠いた切欠部23aと、底壁部21aを貫通する挿通孔23bとで構成されており、この挿通孔23bにボルトを挿通することによって単軸ロボット1を基台(相手部材)に固定するためのものである。具体的には、単軸ロボット1を基台に固定する場合には、図2の2点鎖線で示すように、ボルトbを前記切欠部23aから挿通孔23bに挿入し、工具を上方から、後述する貫通孔22e及び工具孔22cを通して操作するか、あるいは、そのまま切欠部23aから工具を操作することによって前記ボルトを締結する。
【0023】
上記一対の上部カバー22は、それぞれが互いに対象な断面略L字状をなしており、上面部22aと側面部22bとを有している。そして、側面部22bの下端部が上記フレーム21の側壁部21bの上端部にボルトaで固定されて、側面部22b及び上面部22aが全長にわたって側壁部21bの上方の空間を外側から覆っている。すなわち、フレーム21の底壁部21aと側壁部21b及び、一対の上部カバー22の側面部22bと上面部22aとにより、収容部24が形成されている。また、上部カバー22の両上面部22aによって、当該両上面部22aの間に開口部22a1が形成されており、両上面部22aにおける開口部22a1側端部に形成される平坦面22a2に可撓性部材からなるシャッタ25が載置可能となっている。
【0024】
また、上部カバー22の側面部22bの下端部における固定孔23に対応する位置には、工具孔22cが設けられており、通常、収容部24内の空気が工具孔22cから外部に出ることがないように、埋め栓22dで塞がれている。
【0025】
また、上記ケース部材2内には、フレーム21の底壁部21aの左右両端部上に前後方向に延びる左右一対のガイドレール41が配置されているとともに、底壁部21aのほぼ中央位置には、前後方向に延びるマグネットプレート5が配置されている。
【0026】
上記マグネットプレート5は、平板状のプレート部材51上に、複数個の永久磁石52を軸方向にN,Sの磁極が交互になるように配列された板状部材(マグネット配列部)である。このマグネットプレート5は、永久磁石52が上方になるように、プレート部材51とフレーム21の底壁部21aとがボルトで固定されている。
【0027】
また、上記フレーム21の底壁部21aの右端部には、上記ガイドレール41に沿って、細長のプレート状の磁気スケール42が底壁部21aの略全長にわたって設けられている。この磁気スケール42は、後述のMRヘッド43により読取可能なように磁気的に目盛りを記録したものである。
【0028】
上記可動部材3は、スライドテーブル31とこのスライドテーブル31の下面に連結された可動ブロック32とを有している。
【0029】
上記スライドテーブル31は、上記一対のガイドレール41に跨る形状に形成され、このスライドテーブル31の下面の左右両端部には、上記ガイドレール41に係合する被ガイド部31aが取付けられており、これにより当該スライドテーブル31がガイドレール41に摺動自在に支持されている。そして、このスライドテーブル31の下面の中央部に上記可動ブロック32が連結されている。
【0030】
上記可動ブロック32は、前後方向に延び、断面略四角形の角柱形状に形成されており、その底面部32aが、上記マグネットプレート5と対面するように配置されている。そして、この可動ブロック32内には、複数のコイル(不図示)が備えられており、このコイルと上記マグネットプレート5の永久磁石52とが互いに対面するようになっている。また、コイルは、図示されない基板に接続され、この基板及び当該基板に接続されたケーブルWを介して図外の電源及び制御回路に電気的に接続されるようになっている。すなわち、このコイルとマグネットプレート5とで構成されているリニアモータが本実施形態における駆動装置である。なお、ケース部材2の側面側には、ケーブルベア6が隣接されており、上記ケーブルWはこのケーブルベア6に保持されるようになっている。
【0031】
上記スライドテーブル31の右側部には、磁気ヘッドとしてのMRヘッド43が設けられている。このMRヘッド43は、上記磁気スケール42に対向し、可動部材3の移動中に上記磁気スケール42を読取ることにより可動部材3の位置を検出するものである。
【0032】
また、スライドテーブル31の上方には、作業部材支持用のテーブル33が配設され、このテーブル33に、用途に応じた各種の作業部材が取付けられるようになっている。このテーブル33は、上記スライドテーブル31の上面に載置された状態で、複数箇所においてボルトによりスライドテーブル31に固定されている。上記テーブル33の上面複数箇所には、作業部材をボルト止め等で取付けるための取付座33aが設けられ、この取付座33aを除く部分でテーブル33がテーブルカバー33bにより覆われている。
【0033】
また、図3に示すように、上記テーブル33は、その内部を上記シャッタ25が通過可能な形状に形成され、適所にはローラ33cが設けられている。上記ローラ33cは、当該テーブル33が位置する部分ではシャッタ25を上方に凸となるように案内するとともに、当該テーブル33の前後方向端部位置ではシャッタ25を上部カバー22の上面部22a上に位置させるものである。したがって、図2に示すように、シャッタ25が上方に凸とされた部分においては、シャッタ25の端部と平坦面22a2との間に高さ方向の隙間が形成され、この隙間から上方に延びるテーブル33の一部(四隅)に上記取付座33aが形成されている。一方、スライドテーブル31の一部は、上面部22aの上方まで延設され、この延設された部分によって、テーブル33におけるシャッタ25の下方に位置する部分とスライドテーブル31とがボルト33dで連結されている。したがって、シャッタ25の端部と平坦面22a2とで形成される隙間は、その一部がテーブル33により塞がれている。すなわち、上面部22aと、この上面部22aと対向するテーブル33の下面とでその隙間を小さくすることによって、外部と収容部24との間の空気の移動を防ぐことにしている。これにより、前記両上面部22a間の開口部22a1をシャッタ25で塞いだ状態のままで可動部材3を移動させることが可能になっている。そして、上部カバー22の上面部22a上において、可動部材3(テーブル33)が移動する領域を本発明では可動部材3の移動領域としている。
【0034】
また、上記ケース部材2の左右両端部には、空気通路部7が形成されている。この空気通路部7は、上部カバー22の上面部22aから上方に膨出するように形成され、上部カバー22の上面部22aから上方に延びる一対の突出壁7aと、この突出壁7aに係合するカバー部材7bとを有しており、前後方向に延びるように形成されている。
【0035】
このカバー部材7bは、断面略U字状に形成されており、その両先端部には上部カバー22の突出壁7aと着脱自在に係合する係合部7cが形成されている。この係合部7cが上部カバー22の突出壁7aに係合することによって、前記カバー部材7bが上方に凸となる姿勢で嵌め合わされ、上部カバー22の上面部22a、上記突出壁7a及びカバー部材7bによって空気通路部7が形成されている。そして、本実施形態では、空気通路部7の上端における高さ位置は、上記テーブル33の上端における高さ位置よりも低くなるように形成されており、この高さ位置の差によって形成される隙間から上記ケーブルベア6からのケーブルWを収容部24内に引き入れるようになっている。なお、本実施形態では、カバー部材7bは樹脂で形成されており、カバー部材7bを左右方向に撓ませることによって、上部カバー22の突出壁7aに対して着脱できるように構成されている。
【0036】
また、上記空気通路部7を形成する上部カバー22の上面部22aには、貫通孔22eが前後方向に亘って所定個所設けられており、この貫通孔22eを通じて空気通路部7内と、上記収容部24とが連通するようになっている。したがって、可動部材3を挟んで前後に分かれるケース部材2の収容部24は、この空気通路部7によって連通しており、収容部24に存在する空気は、空気通路部7を通じて収容部24内を前後方向に自由に移動できるようになっている。
【0037】
このように構成された単軸ロボット1において、可動部材3を例えば前方に移動させた場合について説明する。上記可動ブロック32内のコイルに電流が流れ、電流と永久磁石52との相互作用によって生じる推力により、可動部材3が前方に移動すると、ケース部材2の収容部24における前方部分の空気は、可動部材3によってさらに前方側に移動する。前方側に移動した空気は、上部カバー22の上面部22aの前方側に設けられた貫通孔22eを介して空気通路部7に移動する。そして空気通路部7の空気は、上部カバー22の上面部22aの後方側に設けられた貫通孔22eから収容部24の後方側に移動する。また、可動部材3が前方に移動する場合と同様に、後方に移動する場合には、収容部24の後方部分における空気は、上部カバー22の上面部22aの後方側に設けられた貫通孔22eを介して空気通路部7に移動し、さらに上方カバーの上面部22aの前方側に設けられた貫通孔22eから収容部24の前方側に移動する。
【0038】
このように、可動部材3の移動に付随して、ケース部材2における収容部24の空気は、空気通路部7を通じて自由に行き来できるため、従来のように可動部材3の移動により収容部24の空気が圧縮され、この空気が上部カバー22の上面部22aとシャッタ25との間から外部に排出することを防止することができる。また、空気通路部7を可動部材3の移動領域を除くケース部材2の上面部22a上に設けたため、従来のように空気通路部7の設置を確保するためにケース部材2の肉厚を増加させる必要がない。したがって、単軸ロボット1全体として大型化することなく空気通路部7を形成することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、空気通路部7を上部カバー22の上面部22aから膨出するように設けているため、上部カバー22の上面部22aとシャッタ25との間からケース部材2の収容部24内に異物が入るのを抑制することができる。すなわち、図3に示すように、上記実施形態では、シャッタ25がテーブル33内を通過するように設けているため、テーブル33の位置におけるシャッタ25の高さ位置は、他の部分におけるシャッタ25の高さ位置よりも高くなる。そのため、側面視で上部カバー22の上面部22a上面とテーブル33位置のシャッタ25との間に隙間が形成されるが、この隙間はその一部がテーブル33により塞がれるが、テーブル33の下面と上面部22aの上面との間には小さな隙間が形成される。しかし、この隙間を側方から隠すように空気通路部7が形成されているため(図2参照)、空気通路部7が左右方向から異物が侵入するのを抑制することができる。
【0040】
また、上記実施形態では、空気通路部7のカバー部材7bが着脱自在に取り付けられているため、保守作業を容易に行うことができる。すなわち、例えば単軸ロボット1を基台に取付け又は取り外しを行う場合には、まず、前記カバー部材7bを取り外すとともに、工具孔22cに取り付けられている埋め栓22dを取り外すことにより、上部カバー22の貫通孔22e及び、工具孔22cを通して固定孔23を臨むことができる。そして、この貫通孔22e及び工具孔22cに工具を挿通することによって、ボルトbの締結又は取り外しを行うことができる。したがって、単軸ロボット1を基台に取り付け取り外しに際し、シャッタ25や上部カバー22を取り外す必要がなく、作業性が向上する。また、貫通孔22e及び工具孔22cにより工具が導かれるので、工具を収容部24内の部品に突き当てて、この部品を損傷することも防止することができる。また、フレーム21の側壁部21bに設けた切欠部23aから工具を用いてボルトbの締結又は取り外しを行う場合に比べて、工具の作業性を向上させることができる。
【0041】
また、上記実施形態では、駆動装置について、マグネットプレート5を底壁部21aに設置し、コイルを可動ブロック32に設ける場合について説明したが、底壁部21aにコイルを設置し、マグネットプレート5を可動ブロック32の底面に設置するものであってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、リニアモータタイプの駆動装置として、マグネットプレート5とコイルとを使用した場合について説明したが、ケース部材2の収容部24に前後方向に延びるマグネットシャフト(永久磁石52を軸方向に交互に配列したもの)を設け、このマグネットシャフトの外径側に設置するコイルを介して可動部材3を前記マグネットシャフトに遊嵌させたリニアモータタイプであってもよい。
【0043】
また、駆動装置としてリニアモータを使用せず、可動部材3にナット部を設け、この可動部材3のナット部と螺合するボールねじ軸と、このボールねじ軸に連結される出力軸を備える駆動源(モータ)とを備え、前記駆動源の出力軸の回転により前記ボールねじ軸を軸周りに回転させて、前記可動部材3を軸方向に移動させるボールねじタイプの駆動装置を用いたものであってもよい。この場合には、リニアモータのように永久磁石が収容部24内に配置されることがないので、組立時に鉄製のボルト等が磁石に吸引されることがないようにする等の特別な配慮を不要であるというメリットがある。また、駆動装置として汎用性のあるボールねじを使用するため、安価な単軸ロボット1とすることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、空気通路部7のカバー部材7bとして、樹脂製のものについて説明したが、金属製のカバー部材7bであってもよいし、ケース部材2を形成する部材と同じアルミ合金等で形成したものであってもよい。この場合、カバー部材7bを撓ませて着脱することが困難である場合には、前後方向にスライドさせて着脱できるように構成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、空気通路部7のカバー部材7bを着脱自在であるものについて説明したが、上部カバー22と一体化されたものであってもよい。この場合には、空気通路部7内の空気が外部に排出するのを完全に防止することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、空気通路部7を上部カバー22の左右両端部に設けた場合について説明したが、いずれか一方のみに設けたものであってもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、空気通路部7は収容部24と上面部22aによって分離され、この上面部22aに複数個所設けられた貫通孔22eを通じて連通する例について説明したが、空気通路部7と収容部24とが軸方向に亘って連通一体化するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の単軸ロボットの平面図である。
【図2】図1のA−A部分における断面図である。
【図3】図1の側面における部分断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 単軸ロボット
2 ケース部材
3 可動部材
7 空気通路部
7a 突出壁
7b カバー部材
21 フレーム
22 上部カバー
22e 貫通孔
24 収容部
25 シャッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸方向に延びるとともに上方に開口する収容部を有するケース部材と、
前記収容部から一部が上方に突出した状態で前記収容部に収容されるとともに、軸方向に移動可能に取り付けられた可動部材と、
前記可動部材を軸方向に移動させる駆動装置と、
前記収容部の上方開口部を上方から塞ぐシャッタ部材と、
を有する単軸ロボットにおいて、
前記ケース部材の上方部における前記可動部材の移動領域を除く両側のうち少なくとも一方側に、一部が前記シャッタ部材よりも上方に突出するとともに前記収容部と連通する空気通路部を備え、前記可動部材が軸方向一端側に移動すると、軸方向一端側の前記収容部の空気がこの空気通路部を通じて軸方向他端側の前記収容部に移動するように構成したことを特徴とする単軸ロボット。
【請求項2】
前記空気通路部の上端の高さ位置は、前記可動部材の上端の高さ位置よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の単軸ロボット。
【請求項3】
前記空気通路部は、前記ケース部材の上方部にカバー部材が取り付けられることによって形成され、前記カバー部材は前記ケース部材に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1または2に記載の単軸ロボット。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記可動部に設けられたナット部と、このナット部と螺合するボールねじ軸と、このボールねじ軸又は前記ナット部を回転させる駆動源とを有しており、前記駆動源により前記ボールねじ軸又は前記ナット部を軸周りに回転させて、前記可動部材を軸方向に移動させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の単軸ロボット。
【請求項5】
前記駆動装置は、前記可動部材の底面部と、この可動部材の底面部に対面する前記ケース部材の底面壁の表面とのうち、一方側表面にN極及びS極の磁性を有する磁石を軸方向に交互に配列したマグネット配列部を設けるとともに、他方側表面にコイル部を配置して、前記コイル部の磁性を変化させて可動部材を軸方向に移動させるようにしたリニアモータにより構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の単軸ロボット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−144591(P2007−144591A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344678(P2005−344678)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケ−ブルベア
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】