説明

印刷制御装置、画像形成装置及びプリントシステム

【課題】不要な電力消費を抑制しつつ、ユーザの利便性をも兼ね備えた手法を提供する。
【解決手段】印刷制御装置3は、MFP2の電力モードが省電力モードへと移行することを各PC1に通知するとともに、当該通知への応答として、PC1から移行中止の要求を受付可能となっている。そして、印刷制御装置3は、PC1から移行中止の要求を受け付けた場合に、MFP2に対して省電力モードへの移行中止を通知し、その後、移行中止の要求を受け付けたPC1に解除要求を通知する。また、印刷制御装置3は、解除要求の通知への応答として、移行中止に対する解除の同意をPC1から受け付けない場合には、MFP2に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御装置、画像形成装置及びプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、省電力の観点から、複数の電力モードを必要に応じて切り換えることができる画像形成装置が知られている。例えば、このような電力モードとしては、装置としての所定の機能を発揮することができる、すなわち、画像形成が可能な電力モード(通常電力モード)や、通常電力モードよりも電力消費を抑えた電力モード(省電力モード)などが挙げられる。
【0003】
例えば特許文献1には、省電力モードへの切換え機能を有する画像形成装置と、複数の情報処理装置とを接続し、複数の情報処理装置により画像形成装置を共有する手法が開示されている。この画像形成装置には、印刷制御装置が接続されており、印刷制御装置は、画像形成装置が省電力モードへ移行する所定時間前に、印刷制御装置に接続された情報処理装置のそれぞれに対して画像形成装置の省電力モードへの移行を通告する通告手段を備えている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、ネットワークを介して接続されている外部装置と、この外部装置から受信したデータを画像処理して印刷出力する画像形成装置と、からなる画像処理システムが開示されている。この画像処理システムは、画像形成装置が備える複数種類の省電力モードを外部装置に通知する通知手段と、通知手段によって通知された複数種類の省電力モードに基づいて、所望の省電力モードの指定入力を促す省電力モード指定手段と、画像形成装置を通知手段によって通知された省電力モードに移行する省電力モード移行手段と、を備えている。
【0005】
また、例えば特許文献3には、複数の消費電力モードに対応することができる画像形成装置が開示されている。具体的には、ネットワークを介して外部装置から、用意されている省電力モードの種類についてホスト装置に対して問い合わせがあった場合、画像形成装置は、それに対して各モードの情報を応答し、また、用意している各モードへの移行要求があった場合、それに応じてモード移行の制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−59090号公報
【特許文献2】特開2002−292973号公報
【特許文献3】特開2009−22481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示された手法によれば、省電力モードへの移行をその移行時間に先行して通知するだけであり、当該移行時間へと到達すると電力モードは省電力モードへと移行してしまう。一方、特許文献2,3に開示された手法によれば、ユーザの希望する省電力モードを選択することができるものの、省電力モードへの移行時間を迎えると、電力モードは省電力モードへと移行してしまう。
【0008】
前述のように、省電力モードは、電力消費を抑制することができるという長所を有するものの、省電力モードへと一度移行してしまうと、使用者が手動でスイッチをオンしなければ動作可能とならなかったり、ウォームアップや初期化動作といったように画像形成が可能な状態へと復帰するまでに時間を要したりといったように、ユーザの利便性を犠牲にしなければならないという必要もあった。
【0009】
電力消費を抑制することは当然に重要なことであるが、ユーザの利便性を必要に応じて考慮することにより経済性と利便性とを両立させるような手法が従来より望まれていた。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不要な電力消費を抑制しつつ、経済性とともにユーザの利便性をも備えた手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、画像形成装置、及び当該画像形成装置が実行するジョブを出力する情報処理装置のそれぞれと通信可能な印刷制御装置を提供する。かかる印刷制御装置は、画像形成装置の電力モードが通常電力モードよりも消費電力の少ない省電力モードへと移行することを情報処理装置に通知するとともに、当該通知への応答として、情報処理装置から省電力モードへの移行中止の要求を受付可能な移行中止受付手段と、移行中止受付手段が省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた場合に、画像形成装置に対して省電力モードへの移行中止を通知する移行中止通知手段と、省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた情報処理装置に、当該移行中止に対する解除の要求を通知する解除要求通知手段と、解除要求通知手段による通知への応答としての移行中止に対する解除の同意を情報処理装置から受け付けない場合には、画像形成装置に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知するモード移行許可手段と、を有する。
【0012】
ここで、第1の発明において、解除要求通知手段は、移行中止通知手段による通知から所定の猶予期間を経過した後に1回目の通知を行い、通知の後、所定の猶予期間の経過毎に2回目以降の通知を周期的に行うことができる。この場合、モード移行許可手段は、解除要求通知手段による通知の回数が判定回数に到達しても、移行中止に対する解除の同意を情報処理装置から受け付けない場合に、画像形成装置に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知することが好ましい。
【0013】
また、第1の発明は、ユーザによる選択に応じて、判定回数及び各回の通知に対する猶予期間のそれぞれを設定可能な設定手段をさらに有することが好ましい。
【0014】
また、第1の発明は、情報処理装置の接続状態を監視する監視手段をさらに有することが好ましい。この場合、モード移行許可手段は、監視手段により、省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた情報処理装置に関する接続状態の遮断が判断された場合には、画像形成装置に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知することが好ましい。
【0015】
また、第1の発明において、モード移行許可手段は、解除要求通知手段による通知への応答として、移行中止に対する解除の同意を情報処理装置から受け付けた場合には、画像形成装置に対して省電力モードへの移行許可を通知することが好ましい。
【0016】
また、第1の発明において、モード移行許可手段は、画像形成装置への通知に先立ち、省電力モードへの移行がなされることを、情報処理装置に通知することが好ましい。
【0017】
また、第1の発明は、移行中止受付手段が情報処理装置から受け付けた省電力モードへの移行中止の要求に関する履歴を、管理データベースとして保持する記憶手段をさらに有することが好ましい。移行中止受付手段は、記憶手段の管理データベースに基づいて、情報処理装置からの省電力モードへの移行中止の要求に関する拒否を判断することが望ましい。
【0018】
また、第2の発明は、情報処理装置から出力されるジョブに応じて画像形成を行う画像形成装置を提供する。この画像形成装置は、電力モードを通常電力モードよりも消費電力が少ない省電力モードへと移行させる電力モード移行手段と、電力モードが省電力モードへと移行することを情報処理装置に通知するとともに、当該通知への応答として、情報処理装置から省電力モードへの移行中止の要求を受付可能な移行中止受付手段と、移行中止受付手段が省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた場合に、モード移行手段に対して省電力モードへの移行中止を通知する移行中止通知手段と、省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた情報処理装置に、当該移行中止に対する解除の要求を通知する解除要求通知手段と、解除要求通知手段による通知への応答としての移行中止に対する解除の同意を情報処理装置から受け付けない場合には、電力モード移行手段に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知するモード移行許可手段と、を有する。
【0019】
また、第3の発明は、情報処理装置から出力されるジョブに応じて画像形成を行うとともに、電力モードを通常電力モードよりも消費電力が少ない省電力モードに移行可能な画像形成装置と、画像形成装置及び情報処理装置のそれぞれと通信可能な印刷制御装置と、を有するプリントシステムを提供する。この場合、印刷制御装置は、前述の第1の発明と同様の構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像形成装置において設定される移行時間に到達すると、省電力モードへと不可避的に移行してしまうという不便さを解消でき、また省電力モードへの移行が中止され続けるといった事態を抑制することができる。これにより、不要な電力消費を抑制しつつ、経済性とともにユーザの利便性を備えた手法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係るプリントシステムの全体構成を示すブロック図
【図2】PC1の構成を示すブロック図
【図3】MFP2の構成を示すブロック図
【図4】印刷制御装置3の構成を示すブロック図
【図5】管理データベースの構成を模式的に示す説明図
【図6】モード移行処理の手順を示すフローチャート
【図7】モード移行処理の手順を示すフローチャート
【図8】管理データベースの構成を模式的に示す説明図
【図9】第2の実施形態にかかるMFP4の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るプリントシステムの全体構成を示すブロック図である。本実施形態に係るプリントシステムは、複数のPC1と、MFP2と、印刷制御装置3とで構成されており、これらはLANやWAN等のネットワーク5を介して相互に通信可能に接続されている。なお、PC1、MFP2及び印刷制御装置3における相互間の接続は、ネットワーク5に限らず、直接的な接続(ローカル接続)を採用してもよい。また、本実施形態では、MFP2は一台で構成されているが、複数台であってもよく、また、PC1は一台であってもよい。さらに、PC1やMFP2の台数が多い場合には、負荷軽減の観点から印刷制御装置3を複数台設けてもよい。
【0023】
図2は、PC1の構成を示すブロック図である。PC1は、ユーザの指示に従いジョブを生成する情報処理装置である。このPC1は、制御部10と、表示部11と、操作部12とを主体に構成されている。
【0024】
制御部10は、CPU10a、ROMやRAMなどのメモリ10b、補助記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)10c、通信I/F部10dなどを備えるコンピュータであり、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。CPU10aは、制御プログラムに従い、各部の制御を行う。メモリ10bは、HDD10c、通信I/F部10dから読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する記憶領域であり、記憶されたデータはCPU10aによって処理され、必要に応じてHDD10cや通信I/F部10dに転送される。HDD10cは、制御プログラム、装置の処理機能に関する情報などを格納し、これらはCPU10aにより必要に応じて読み出され、メモリ10b上で実行処理される。通信I/F部10dは、ネットワーク5を介して繋がっている装置との接続を確立し、データの送受信を実行する。
【0025】
表示部11は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等からなる表示装置であり、制御部10に制御されることにより各種画面を表示する。また、操作部12は、キーボードやマウス等からなる入力装置であり、ユーザに操作されることにより、MFP2に送信するジョブ等の情報を制御部10に入力する。
【0026】
本実施形態との関係において、制御部10は、ドキュメントを作成するためのアプリケーションソフトウェアを実行したり、ドキュメントの印刷をMFP2に指示するプリンタドライバとしての機能を有する。制御部10は、アプリケーションソフトウェアで作成されたドキュメントのデータを、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)の印刷データに変換し、当該印刷データ、印刷条件(部数や用紙サイズなど)を含むジョブをMFP2に送信する。
【0027】
図3は、MFP2の構成を示すブロック図である。MFP2は、用紙に画像形成を行う画像形成装置であり、本実施形態では、コピー、プリント、スキャナー、ネットワーク等の複合機(MFP:Multi Functional Peripherals)である。MFP2は、制御部20と、表示部21と、操作部22と、ADF23と、画像読取部24と、給紙部25と、画像形成部26とを主体に構成される。
【0028】
制御部20は、CPU20a、ROMやRAMなどのメモリ20b、補助記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)20c、通信I/F部20dなどを備えるコンピュータであり、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。制御部20を構成する各要素は、前述の制御部10を構成する各要素と同様の機能を担っている。
【0029】
表示部21は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等からなる表示装置であり、制御部10に制御されることにより各種画面を表示する。操作部22は、ボタンやスイッチ等からなる入力装置であり、ユーザに操作されることにより、MFP2に関する各種設定、MFP2が実行するジョブ等の情報を制御部20に入力する。なお、表示部21と操作部22とは各々独立した構成としてもよいが、例えばタッチパネルといったように、表示部21上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部22を設けた一体型の構成としてもよい。
【0030】
ADF23は、単数又は複数枚の原稿を自動で画像読取部24へ搬送する自動原稿送り装置である。
【0031】
画像読取部24は、例えば、光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。この画像読取部24は、ADF23によって搬送される原稿の画像を光学的に読み取り、画像信号を得ると、当該画像信号にA/D変換処理を施し、入力画像データとして制御部20に出力する。
【0032】
給紙部25は、各種サイズの用紙を格納する用紙トレイや、ローラやガイド部材等の搬送手段で構成される。この給紙部25は、ユーザにより指定された用紙を画像形成部26へと搬送する。
【0033】
画像形成部26は、用紙に画像を形成する機能を担っている。本実施形態における画像形成部26は、電子写真方式を利用して画像形成を行うものであり、例えば、レーザ光源や光学系から構成される露光ユニット、感光体ドラムとその周辺に配置されている帯電・現像ユニット、ローラなどの転写ユニット、定着ユニットなどで構成される。この画像形成部26は、(1)感光体ドラムを帯電させる、(2)露光部により感光体ドラム上に静電潜像を形成する、(3)形成された静電潜像にトナーを付着させる、(4)感光体ドラム上のトナー画像を用紙に転写する、(5)転写されたトナー画像を用紙に定着する、という一連のプロセスを通じて、用紙に画像(トナー画像)を形成する。
【0034】
本実施形態との関係において、制御部20は、これを機能的に捉えた場合、画像形成制御手段及び電力モード切換手段としての機能を備えている。
【0035】
<画像形成制御手段>
画像形成制御手段としての制御部20は、表示部21、操作部22、ADF23、画像読取部24、給紙部25及び画像形成部26の各部を制御することにより、用紙への画像形成を制御する。具体的には、制御部20は、PC1から受信したジョブに基づいて、用紙への画像形成を行ったり、画像読取部24が読み込んだ画像データを含むジョブに基づいて、用紙への画像形成を行ったりする。
【0036】
<電力モード移行手段>
電力モード移行手段としての制御部20は、MFP2に供給される電力状態を設定する電力モードとして、通常電力モードと、省電力モードとを有している。
【0037】
通常電力モードは、MFP2が動作するために必要な電力がMFP2に供給される電力モードであり、MFP2の電源オンに対応して初期的に設定される。具体的には、ユーザにより操作可能な外部操作スイッチ(図示せず)の操作を通じて内部メインスイッチがオンされることにより、制御部20に電力が供給される。かかる電力供給により制御部20が起動すると、制御部20は所定の内部リレーをオンすることで、MFP2を構成する他の要素に電力が供給されることとなり、これにより、通常電力モードが設定される。
【0038】
一方、省電力モードは、通常電力モードよりもMFP2による電力消費が少なくなるように、所定の電力がMFP2に供給される電力モードである。本実施形態にかかる省電力モードは、電力消費の抑制を最も尊重した電力モードであり、MFP2の電源オフの状態に相当する。省電力モードは、制御部20が前述の内部メインスイッチをオフすることにより、通常電力モードから移行可能であり、当該省電力モードでは、制御部20及び他の要素を含むMFP2の全てに対する電力供給が遮断された状態となる。この省電力モードへと移行した場合には、MFP2の電源オン以外、すなわち、ユーザによる外部スイッチの操作を通じた内部メインスイッチのオン以外では、通常電力モードへは復帰しないこととなる。
【0039】
制御部20は、通常、電力モードとして通常電力モードを選択しているが、所定の移行条件を具備することで省電力モードへと移行する。具体的には、制御部20は、ジョブの終了後、所定時間が経過するまでの間に新たなジョブが開始されないことを判断すると、電力モードを通常電力モードから省電力モードへと移行する。
【0040】
図4は、印刷制御装置3の構成を示すブロック図である。印刷制御装置3は、各PC1とMFP2との間に介在し、MFP2の印刷動作を管理している。この印刷制御装置3は、制御部30と、表示部31と、操作部32とを主体に構成される。
【0041】
制御部30は、CPU30a、ROMやRAMなどのメモリ30b、補助記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)30c、通信I/F部30dなどを備えるコンピュータであり、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。制御部30を構成する各要素は、前述の制御部10を構成する各要素と同様の機能を担っている。
【0042】
表示部31は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)ディスプレイ等からなる表示装置であり、制御部30に制御されることにより各種画面を表示する。また、操作部32は、キーボードやマウス等からなる入力装置であり、ユーザに操作されることにより、各種設定や指示を制御部30に入力する。
【0043】
本実施形態との関係において、制御部30は、これを機能的に捉えた場合、印刷制御手段と、移行中止受付手段と、移行中止通知手段と、解除要求通知手段と、モード移行許可手段と、監視手段と、記憶手段としての機能を有している。
【0044】
<印刷制御手段>
印刷制御手段としての制御部30は、各PC1からMFP2へと送信されるジョブを中継し、これを管理した上でMFP2へと送信する。かかる制御部30の動作により、複数のPC1からのジョブがMFP2に集中し、MFP2の処理能力を超えてしまうといった事態を抑制することができる。
【0045】
<移行中止受付手段>
移行中止受付手段としての制御部30は、MFP2の電力モードが省電力モードへと移行することを、省電力モードへの移行時間よりも先行して各PC1に通知する。また、制御部30は、当該通知への応答として、PC1から、省電力モードへの移行中止の要求を受け付けることができる。制御部30は、この受付結果に応じて、後述する管理データベースの更新を行うこともできる。
【0046】
<移行中止通知手段>
移行中止通知手段としての制御部30は、PC1から省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた場合に、MFP2に対して省電力モードへの移行中止を通知する。
【0047】
<解除要求通知手段>
解除要求通知手段としての制御部30は、省電力モードへの移行中止の要求を受け付けたPC1に、移行中止に対する解除の要求(解除要求)を通知する。この場合、制御部30は、移行中止の通知から所定の猶予期間を経過した後に1回目の通知を行い、この通知の後、所定の猶予期間の経過毎に2回目以降の通知を周期的に行う。
【0048】
<モード移行許可手段>
モード移行許可手段としての制御部30は、PC1への解除要求の通知への応答として、移行中止に対する解除の同意を当該PC1から受け付けない場合には、MFP2に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知する。
【0049】
<設定手段>
設定手段としての制御部30は、後述する判定回数Cth及び各回の解除要求の通知に対する猶予期間Tthのそれぞれを設定することができる。かかる設定は、操作部32からの入力信号に基づいて、すなわち、当該操作部32を操作するユーザによる選択に応じて実行することができる。
【0050】
<監視手段>
監視手段としての制御部30は、ネットワーク5に対する各PC1の接続状態を監視している。また、制御部30は、監視状態の結果に応じて、後述する管理データベースの更新を行うこともできる。
【0051】
<記憶手段>
記憶手段としての制御部30は、例えば、HDD30cに、管理データベースを格納している。この管理データベースは、ネットワーク5に接続するPC1の接続状態、および、PC1から受け付けた省電力モードへの移行中止の要求に関する履歴を保持している。
【0052】
図5は、管理データベースの構成を模式的に示す説明図である。管理データベースは、PC1毎に作成されたレコードの集合であり、一つのレコードは、「PCID」、「接続状態」、「移行中止要求の有無」及び「移行中止要求の回数」によって構成されている。「PCID」は、ネットワーク5に接続されるPC1を識別するための機器固有の識別子であり、例えばMACアドレス等がこれに該当する。「接続状態」は、当該PC1がネットワーク5に接続しているか否かという状態を示す。例えば、「接続状態」は、PC1がネットワーク5に接続している場合には「有」に設定され、PC1がネットワーク5に接続していない場合には「無」に設定される。「移行中止要求の有無」は、後述するように印刷制御装置3から各PC1にモード移行を通知した際に、当該通知に対する応答として、PC1が移行中止の要求を通知したか否かという状態を示す。例えば、「移行中止要求の有無」は、初期的には「無」に設定されており、PC1が移行中止の要求を通知した場合には「有」に設定される。「移行中止要求の回数」は、PC1が移行中止の要求を通知した回数であり、ゼロを示す「−」が初期値として設定される。
【0053】
この管理データベースは、印刷制御装置3の制御部30により適宜更新される。具体的には、制御部30は、あるPC1がネットワーク5に接続されたことを判断した場合、当該PC1の識別子に基づいて管理データベースを検索し、当該PC1の識別子と一致するPCIDを有するレコードが存在するか否かを確認する。該当するレコードが存在しない場合、制御部30は、「PCID」、「接続状態」、「移行中止要求の有無」及び「移行中止要求の回数」の各該当部分を記述した新規のレコードを管理データベースに追加する。この場合、制御部30は、新規なレコードにおいて、「PCID」として当該PC1の識別子を記述し、「接続状態」として「有」を記述する。
【0054】
また、制御部30は、PC1が移行中止を要求した場合には、当該PC1の識別子に基づいて管理データベースを検索し、当該PC1の識別子と一致するPCIDを有するレコードを特定する。そして、制御部30は、「移行中止要求の有無」を「無」から「有」に更新するとともに、「移行中止要求の回数」を現在値に対して「1」を加算した値に更新する。
【0055】
なお、管理データベースの更新方法としては、新規のレコードを制御部30がオンラインで追加する手法以外にも、印刷制御装置3の管理者(ユーザ)が、作成したレコードを必要に応じて管理データベースに追加してもよい。
【0056】
以下、本実施形態のプリントシステムにかかるMFP2の省電力モードへの移行処理(以下単に「モード移行処理」という)の一連の動作について説明する。ここで、図6,7は、モード移行処理の手順を示すフローチャートである。
【0057】
まず、ステップ1(S1)において、MFP2の制御部20は、MFP2が通常電力モードから省電力モードへと移行する時間(以下「移行時間」という)を印刷制御装置3に対して通知するための条件を具備しているか否かを判断する。移行時間の通知条件としては、移行時間の所定時間前に到達したことなどとすることができる。例えば、移行時間をMFP2のジョブ終了から30分が経過した時間、及び所定時間を10分と仮定した場合、制御部20は、当該移行時間の10分前の時間、すなわち、ジョブ終了から20分が経過した時間に到達することで、通知条件を具備したと判断する。上記条件のもとで具体例をあげると、MFP2のジョブ終了が12時である場合、移行時間は12時30分となり、12時20分に到達すれば通知条件を具備したと判断する。
【0058】
このステップ1において肯定判定された場合、すなわち、移行時間の通知条件を具備する場合には、ステップ2(S2)に進む。一方、ステップ1において否定判定された場合、すなわち、移行時間の通知条件を具備していない場合は、ステップ1の処理を再度行う。
【0059】
ステップ2において、制御部20は、移行時間を印刷制御装置3に通知する。
【0060】
ステップ3(S3)において、印刷制御装置3の制御部30は、MFP2から通知された移行時間を取得すると、これをメモリ30bに保存する。そして、ステップ4(S4)において、制御部30は、所定時間(例えば5分)後に移行時間に到達するか否かを判断する。このステップ5において肯定判定された場合、すなわち、移行時間の所定時間前に到達した場合には、ステップ5(S5)に進む。一方、ステップ4において否定判定された場合、すなわち、移行時間の所定時間前に到達していない場合には、ステップ4の処理を再度行う。
【0061】
ステップ5において、制御部30は、所定時間後のモード移行をネットワーク5に接続する各PC1に通知する。この通知は、MFP2の電力モードが所定時間後に通常電力モードから省電力モードへと移行すること(モード移行)を各PC1に通知するとともに、省電力モードへの移行中止の要否を各PC1に確認するための通知として機能する。具体的には、制御部30は、モード移行の提示と、移行中止の要否の確認とを実行するコマンドを各PC1に送信する。この場合、制御部30は、管理データベースを参照し、「接続状態」が「有」に該当するPC1に対して、所定時間後のモード移行を通知する。
【0062】
ステップ6(S6)において、PC1の制御部10は、印刷制御装置3から所定のコマンドを受信すると、モード移行の情報(例えば所定のメッセージ)と、移行中止の要否を確認する情報(例えば「YES」又は「NO」が選択可能なアイコン)とを表示部11に表示する。これにより、制御部10は、移行中止の要否の選択をPC1のユーザに促す。
【0063】
ステップ7(S7)において、制御部10は、操作部12からの入力信号に基づいて、移行中止の要求があったか否かを判断する。このステップ7において肯定判断された場合、すなわち、移行中止の要求があった場合には、ステップ8(S8)に進む。一方、ステップ7において否定判定された場合、移行中止の要求がない場合には、本処理を終了する。
【0064】
ステップ8において、制御部10は、移行中止の要求を印刷制御装置3に通知する。なお、以下の説明では、ネットワーク5に接続する複数のPC1のうち、ある1つのPC1が移行中止の要求を通知したと仮定する。
【0065】
ステップ9(S9)において、印刷制御装置3の制御部30は、PC1から移行中止の要求を受け付けると、これを保存する。具体的には、制御部30は、PC1からの通知に付帯する情報を参照し、これを送信したPC1の識別子を取得する。そして、制御部30は、当該PC1の識別子に基づいて管理データベースを検索し、当該PC1の識別子と一致するPCIDを有するレコードを特定する。そして、制御部30は、特定したレコードの「移行中止要求の有無」を「有」に更新するとともに、「移行中止要求の回数」を現在値に「1」を加算した値に更新する。
【0066】
ステップ10(S10)において、制御部30は、MFP2に省電力モードへの移行中止を通知する。また、制御部30は、移行中止の要求を受け付けたPC1以外の各PC1に対して、移行中止がなされた旨を通知する。この場合、制御部30は、管理データベースを参照し、「接続状態」が「有」に該当し、かつ、「移行中止要求の有無」が「無」に該当する各PC1に対して、移行中止がなされた旨の通知を行う。
【0067】
ステップ11(S11)において、MFP2の制御部20は、省電力モードへの移行を中止する。すなわち、制御部20は、移行時間に到達した場合であっても、電力モードを通常電力モードのままで継続する。
【0068】
ステップ12(S12)において、移行中止がなされた旨の通知を取得した各PC1の制御部10は、MFP2による省電力モードへの移行が中止された旨の情報を表示部11に表示する。
【0069】
一方、ステップ13(S13)において、印刷制御装置3の制御部30は、カウンタCを読み込む。このカウンタCは、移行中止の要求を受け付けたPC1に対して、後述する解除要求を送信した回数をカウントするものであり、初期的にはゼロに設定されている。
【0070】
ステップ14(S14)において、制御部30は、猶予期間Tthを設定する。この猶予期間Tthは、カウンタCの値に応じて設定される時間であり、例えば、カウンタCの値が大きい程、その時間が短くなるように設定されている。カウンタCが「0」であれば、猶予期間Tthは「15分」に設定され、カウンタCが「1」であれば、猶予期間Tthは「8分」に設定され、カウンタCが「2」であれば、猶予期間Tthは「3分」に設定されるといった如くである。
【0071】
図7を参照するに、ステップ15(S15)において、制御部30は、タイマTmを参照する。このタイマTmの参照により、制御部30は、ステップ10における通知、または後述するステップ17(S17)における通知のうち、直近に行われた通知からの経過時間を認識することができる。
【0072】
そして、ステップ16(S16)において、制御部30は、タイマTmが猶予期間Tthに到達したか否かを判断する。このステップ16において肯定判定された場合、すなわち、タイマTmが猶予期間Tthに到達した場合には、ステップ17(S17)に進む。一方、ステップ16において否定判定された場合、すなわち、タイマTmが猶予期間Tthに到達していない場合には、ステップ15の処理に戻る。
【0073】
ステップ17において、制御部30は、移行中止に対する解除の要求(解除要求)を、移行中止の要求を受け付けたPC1に対して通知する。
【0074】
ステップ18(S18)において、PC1の制御部10は、解除要求を受け付けると、この解除要求を表示部11に表示する。具体的には、制御部10は、解除要求の情報(例えば所定のメッセージ)と、解除要求に同意するか否かを確認する情報(例えば「YES」又は「NO」が選択可能なアイコン)とを表示部11に表示する。これにより、制御部10は、移行中止に対する解除に同意するか否かの選択をPC1のユーザに促す。
【0075】
ステップ19(S19)において、制御部10は、操作部12からの入力信号に基づいて、移行中止に対する解除の同意があったか否かを判断する。このステップ19において肯定判定された場合、解除同意があった場合には、ステップ20(S20)に進む。一方、ステップ19において否定判断された場合、すなわち、解除同意がない場合には、ステップ21(S21)に進む。
【0076】
ステップ20において、PC1の制御部10は、移行中止に対する解除の同意を印刷制御装置3に通知する。
【0077】
ステップ21(S21)において、印刷制御装置3の制御部30は、解除要求の通知への応答として、所定時間が経過しても、解除の同意をPC1から受け付けない場合には、カウンタCの値が、解除要求を通知する上限回数を規定した判定回数Cthに到達したか否かを判断する。このステップ21において否定判定された場合、すなわち、カウンタCの値が判定回数Cthに到達していない場合には、ステップ22(S22)に進む。一方、ステップ21において肯定判定された場合、すなわち、カウンタCの値が判定回数Cthに到達した場合には、ステップ23(S23)に進む。
【0078】
ステップ22において、制御部30は、カウンタCを「1」だけインクリメントした後、ステップ13の処理に戻る。
【0079】
カウンタCの値が判定回数Cthに到達した場合、若しくはPC1から解除同意の通知を受け付けた場合、ステップ23において、制御部30は、省電力モードへの移行許可を決定する。なお、カウンタCの値が判定回数Cthに到達した場合には、PC1から解除同意の通知を受け付けないにも係わらず、制御部30は、省電力モードへの移行許可を強制的に決定することとなる。また、制御部30は、PC1からの通知に付帯する情報を参照し、これを送信したPC1の識別子を取得する。そして、制御部30は、当該PC1の識別子に基づいて管理データベースを検索し、当該PC1の識別子と一致するPCIDを有するレコードを特定する。そして、制御部30は、特定したレコードの「移行中止要求の有無」を「無」に更新する。
【0080】
ステップ24(S24)において、制御部30は、モード移行の通知、すなわち、移行中止を解除して、モード移行を実行する旨の通知を、ネットワーク5に接続する各PC1に対して行う。
【0081】
ステップ25(S25)において、PC1の制御部10は、モード移行を行う旨の情報を表示部11に表示する。これにより、PC1のユーザに、MFP2が省電力モードへ移行することについて注意を喚起することができる。
【0082】
ステップ26(S26)において、印刷制御装置30の制御部30は、省電力モードへの移行許可をMFP2に通知する。なお、ステップ26の処理は、ステップ24の処理を行った直後に実行してもよいし、ある程度の待ち時間を経過した後に実行してもよい。
【0083】
ステップ27(S27)において、MFP2の制御部20は、電力モードを通常電力モードから省電力モードへと移行する。
【0084】
このような一連のプロセスにより、MFP2は省電力モードへと移行することとなる。なお、省電力モードへの移行が中止されている期間(ステップ11からステップ23)に、いずれかのPC1からジョブが入力された場合、印刷制御装置3の制御部30は、処理の中止をMFP2及びPC1に通知し、これにより、ジョブ終了後、ステップ1の処理に戻ることとする。この場合、制御部30は、管理データベースの「移行中止要求の有無」を「無」に、「移行中止要求の回数」を「−」にリセットするものとする。
【0085】
このように本実施形態において、印刷制御装置3は、MFP2の電力モードが省電力モードへと移行することを各PC1に通知するとともに、当該通知への応答として、PC1から移行中止の要求を受付可能となっている。そして、印刷制御装置3は、PC1から移行中止の要求を受け付けた場合に、MFP2に対して省電力モードへの移行中止を通知し、その後、移行中止の要求を受け付けたPC1に解除要求を通知する。また、印刷制御装置3は、解除要求の通知への応答として、移行中止に対する解除の同意をPC1から受け付けない場合には、MFP2に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知している。
【0086】
かかる構成によれば、印刷制御装置3がPC1から移行中止の要求を受け付ける機能を備えることで、PC1側から移行中止の要否を選択することができる。そのため、MFP2において設定される移行時間に到達すると、省電力モードへと不可避的に移行してしまうという不便さを解消することができるので、ユーザの利便性を確保することができる。一方、移行中止に対する解除の同意をPC1から受け付けない場合には、MFP2に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知する機能を備えることで、省電力モードへの移行が中止され続けるといった事態を抑制することができる。これにより、不要な電力消費を抑制しつつ、経済性とともにユーザの利便性を備えた手法を実現することができる。
【0087】
また、本実施形態において、印刷制御装置3は、複数回の解除要求の通知を行い、それでもなお、移行中止に対する解除の同意をPC1から受け付けない場合に、MFP2に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知している。そのため、解除要求の通知に対する応答に複数回の機会を与えることができるので、ユーザの利便性の向上を図ることができる。
【0088】
また、本実施形態において、印刷制御装置3は、移行中止の要求を受け付けたPC1に関する接続状態の遮断が判断された場合には、MFP2に対して省電力モードへの移行許可を強制的に通知している。かかる構成によれば、移行中止の要求を行ったPC1が、移行中止に対する解除を行うことなくネットワーク5から外れた場合に、省電力モードへ移行しないままとなってしまうといった事態を抑制することができる。これにより、不要な電力消費を抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態において、印刷制御装置3は、解除要求の通知への応答として、移行中止に対する解除の同意をPC1から受け付けた場合には、MFP2に対して省電力モードへの移行許可を通知する。これにより、移行中止の要求を一旦行ったものの、それが不要となった場合には、解除の同意を反映させることで、不要な電力消費を抑制することができる。
【0090】
なお、本実施形態において、印刷制御装置3は、ユーザ(システムの管理者)による選択に応じて、判定回数Cth及び各回の通知に対する猶予期間Tthのそれぞれを設定可能としてもよい。これにより、利便性を重んじたシステム構成としたり、経済性を重んじたシステム構成としたりといったように、システムの仕様を自在に選択することができる。
【0091】
また、上述した実施形態では、あるPC1から移行中止の要求を受け付けた場合、それ以後は、どのPC1からも移行中止の要求を受け付けていないが、モード移行処理の流れは、これに限定されるものではない。例えば、移行中止の要求を複数回に亘って受け付けてもよい。
【0092】
具体的には、印刷制御装置3は、ステップ24においてモード移行の通知を行う場合に、ステップ5の処理と同様に、移行中止の要求を受け付け可能としてもよい。この場合、印刷制御装置3は、移行中止の要求を受け付けた場合には、ステップ9の処理に移行し、一方、移行中止の要求を受け付けない場合には、ステップ26の処理を実行すればよい。
【0093】
なお、制限無くPC1から移行中止の要求を受け付けてしまうと、省電力の要求を満たすことができない。そこで、2回目以降の移行中止の要求を受け付けた場合には、ステップ9の処理において、以下に示すような受付禁止条件を具備するか否かの判断を実行することが好ましい。そして、この受付禁止条件を具備する場合には、ステップ10の処理へは進まずに、ステップ26の処理に移行し、一方、受付禁止条件を具備しない場合には、ステップ10の処理に移行することが望ましい。
【0094】
(1)移行中止の要求を受け付けることができる総回数に制限(上限値)を設ける。
例えば、印刷制御装置3の制御部30は、移行中止の要求を受け付けた場合には、図8に示すように、個々のレコード毎に「移行中止要求の回数」の値を読み込み、これを合算する。そして、制御部30は、当該合算値が上限値以上の場合には、受付禁止条件を具備したと判断する。
【0095】
(2)移行中止の要求を受け付けることができる回数を、1つのPC1につき規定数(例えば1回)に制限する。
例えば、制御部30は、移行中止の要求を受け付けた場合には、これを受け付けたPC1に対応するレコードから「移行中止要求の回数」を読み込み、これが規定数(1回)以上ならば、受付禁止条件を具備したと判断する。
【0096】
このように、印刷制御装置3は、管理データベースに基づいて、PC1からの省電力モードへの移行中止の要求に関する拒否を判断することができる。かかる構成により、移行中止の要求の受け付け形態を自在に設定することができるので、ユーザの求める利便性を効果的に設定することができる。
【0097】
また、上述した実施形態において、MFP2は、移行時間をジョブの終了タイミングを起点として決定しているが、所定のスケジュールによって定まる時間(例えば午後6時)を移行時間としてもよい。
【0098】
(第2の実施形態)
【0099】
図9は、第2の実施形態にかかるMFP4の構成を示すブロック図である。MFP4は、用紙に画像形成を行う画像形成装置であり、本実施形態では、コピー、プリント、スキャナー、ネットワーク等の機能複合機(MFP:Multi Functional Printer)である。また、本実施形態にかかるMFP4は、第1の実施形態に示すMFP1と同様の機能を担うとともに、第1の実施形態に示す印刷制御装置3と同様の機能も担っている。
【0100】
このMFP4は、制御部40と、表示部41と、操作部42と、ADF43と、画像読取部44と、給紙部45と、画像形成部46とを主体に構成される。
【0101】
制御部40は、CPU40a、ROMやRAMなどのメモリ40b、補助記憶装置としてのHDD(Hard Disk Drive)40c、通信I/F部40dなどを備え、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。制御部40を構成する各要素は、前述の制御部10を構成する各要素と同様の機能を担っている。
【0102】
かかる制御部40は、第1の実施形態に示すMFP2の制御部20が実現する機能(MFP制御機能(画像形成制御手段及び電力モード切換手段としての機能))とともに、第1の実施形態に示す印刷制御装置3の制御部30が実現する機能(印刷制御機能(印刷制御手段、移行中止受付手段、移行中止通知手段、解除要求通知手段、モード移行許可手段、監視手段及び記憶手段としての機能))を行う。
【0103】
かかる構成によれば、第1の実施形態と同様に、不要な電力消費を抑制しつつも、ユーザの利便性も兼ね備えた手法を提供することができる。また、MFP4が、第1の実施形態に示す印刷制御装置3の機能を担うことで、プリントシステムの構成として印刷制御装置3を必ずしも必要としないので、システム構成の簡素化を図ることができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0105】
1 PC
10 制御部
11 表示部
12 操作部
2 MFP
20 制御部
21 表示部
22 操作部
23 ADF
24 画像読取部
25 給紙部
26 画像形成部
3 印刷制御装置
30 制御部
31 表示部
32 操作部
4 MFP
5 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置、及び当該画像形成装置が実行するジョブを出力する情報処理装置のそれぞれと通信可能な印刷制御装置において、
画像形成装置の電力モードが通常電力モードよりも消費電力の少ない省電力モードへと移行することを前記情報処理装置に通知するとともに、当該通知への応答として、前記情報処理装置から前記省電力モードへの移行中止の要求を受付可能な移行中止受付手段と、
前記移行中止受付手段が前記省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた場合に、前記画像形成装置に対して前記省電力モードへの移行中止を通知する移行中止通知手段と、
前記省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた情報処理装置に、当該移行中止に対する解除の要求を通知する解除要求通知手段と、
前記解除要求通知手段による通知への応答としての前記移行中止に対する解除の同意を前記情報処理装置から受け付けない場合には、前記画像形成装置に対して前記省電力モードへの移行許可を強制的に通知するモード移行許可手段と、
を有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記解除要求通知手段は、前記移行中止通知手段による通知から所定の猶予期間を経過した後に1回目の通知を行い、当該通知の後、所定の猶予期間の経過毎に2回目以降の通知を周期的に行うこととし、
前記モード移行許可手段は、前記解除要求通知手段による通知の回数が判定回数に到達しても、前記移行中止に対する解除の同意を前記情報処理装置から受け付けない場合に、前記画像形成装置に対して前記省電力モードへの移行許可を強制的に通知することを特徴とする請求項1に記載された印刷制御装置。
【請求項3】
ユーザによる選択に応じて、前記判定回数及び各回の通知に対する前記猶予期間のそれぞれを設定可能な設定手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載された印刷制御装置。
【請求項4】
前記情報処理装置の接続状態を監視する監視手段をさらに有し、
前記モード移行許可手段は、前記監視手段により、前記省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた情報処理装置に関する接続状態の遮断が判断された場合には、前記画像形成装置に対して前記省電力モードへの移行許可を強制的に通知することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された印刷制御装置。
【請求項5】
前記モード移行許可手段は、前記解除要求通知手段による通知への応答として、前記移行中止に対する解除の同意を前記情報処理装置から受け付けた場合には、前記画像形成装置に対して前記省電力モードへの移行許可を通知することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された印刷制御装置。
【請求項6】
前記モード移行許可手段は、前記画像形成装置への通知に先立ち、前記省電力モードへの移行がなされることを、前記情報処理装置に通知することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された印刷制御装置。
【請求項7】
前記移行中止受付手段が前記情報処理装置から受け付けた前記省電力モードへの移行中止の要求に関する履歴を、管理データベースとして保持する記憶手段をさらに有し、
前記移行中止受付手段は、前記記憶手段の管理データベースに基づいて、前記情報処理装置からの前記省電力モードへの移行中止の要求に関する拒否を判断することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載された印刷制御装置。
【請求項8】
情報処理装置から出力されるジョブに応じて画像形成を行う画像形成装置において、
電力モードを通常電力モードよりも消費電力が少ない省電力モードへと移行させる電力モード移行手段と、
前記電力モードが前記省電力モードへと移行することを前記情報処理装置に通知するとともに、当該通知への応答として、前記情報処理装置から前記省電力モードへの移行中止の要求を受付可能な移行中止受付手段と、
前記移行中止受付手段が前記省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた場合に、前記モード移行手段に対して前記省電力モードへの移行中止を通知する移行中止通知手段と、
前記省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた情報処理装置に、当該移行中止に対する解除の要求を通知する解除要求通知手段と、
前記解除要求通知手段による通知への応答としての前記移行中止に対する解除の同意を前記情報処理装置から受け付けない場合には、前記電力モード移行手段に対して前記省電力モードへの移行許可を強制的に通知するモード移行許可手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
情報処理装置から出力されるジョブに応じて画像形成を行うとともに、電力モードを通常電力モードよりも消費電力が少ない省電力モードに移行可能な画像形成装置と、
前記画像形成装置及び前記情報処理装置のそれぞれと通信可能な印刷制御装置と、を有し、
前記印刷制御装置は、
画像形成装置の電力モードが通常電力モードよりも消費電力の少ない省電力モードへと移行することを前記情報処理装置に通知するとともに、当該通知への応答として、前記情報処理装置から前記省電力モードへの移行中止の要求を受付可能な移行中止受付手段と、
前記移行中止受付手段が前記省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた場合に、前記画像形成装置に対して前記省電力モードへの移行中止を通知する移行中止通知手段と、
前記省電力モードへの移行中止の要求を受け付けた情報処理装置に、当該移行中止に対する解除の要求を通知する解除要求通知手段と、
前記解除要求通知手段による通知への応答としての前記移行中止に対する解除の同意を前記情報処理装置から受け付けない場合には、前記画像形成装置に対して前記省電力モードへの移行許可を強制的に通知するモード移行許可手段と、
を有することを特徴とするプリントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−20521(P2013−20521A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154606(P2011−154606)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】