説明

印刷制御装置及び画像形成装置

【課題】ウォーターマーク等の付加画像を印刷対象画像に合成し印刷処理する場合に、付加画像印刷データを一時的に保持する保持メモリを、そのメモリ容量内で効率よく利用し、たとえカラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷であっても、印刷速度の低下を極力抑えて、印刷装置の有するパフォーマンスを最大限発揮できる印刷制御装置を提供する。
【解決手段】デジタル複合機の印刷制御装置では、制御部が、保持メモリ13bの保持領域に、付加画像印刷データを一時保持させるにあたり、カラー用であれば、初段から最終段に向って格納していき、モノクロ用であれば、最終段から初段に向って格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ等の印刷装置に対し、記録用紙上に印刷される印刷対象画像にウォーターマーク等の付加画像を合成して印刷させる印刷制御装置、及びそれを備えるデジタル複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙上に印刷される印刷対象画像にウォーターマーク等の付加画像が合成された印刷データを生成し、印刷装置に出力して印刷させる印刷制御装置がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような印刷制御装置では、付加画像の画像データに画像処理を施して付加画像印刷データを生成し、これを印刷対象画像の印刷データに合成したものを、印刷装置に出力している。
【0004】
付加画像印刷データの生成を、印刷対象画像の印刷データの生成毎にその都度行う構成では、付加画像印刷データの生成にかかる時間のために、付加画像を合成しない通常印刷よりも、印刷速度が低下するといった問題がある。
【0005】
そこで、従来、付加画像印刷データを一時保持する保持メモリを設け、同じ付加画像印刷データであれば、付加画像印刷データの生成を行わず、保持されているデータを利用することが行われている。
【0006】
付加画像印刷データを一時保持する保持メモリについて記載されている特許文献としては、例えば、特許文献2を上げることができる。
【特許文献1】特開2006−13627号公報(公開日:2006年1月12日)
【特許文献2】特開2004−201205号公報(公開日:2004年7月15日)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の付加画像印刷データを一時保持する保持メモリを設けた構成であっても、カラー頁とモノクロ頁とが混載されている混載印刷において、付加画像を合成する場合に、印刷速度が低下するといった問題がある。
【0008】
つまり、1つの印刷ジョブにおいては、各頁の画像(印刷対象画像)に合成される付加画像は同じであるが、印刷対象画像がカラーである場合と、モノクロである場合とでは、付加画像が同じ画像であっても、付加画像印刷データは別に作る必要があり、カラー用の付加画像印刷データとモノクロ用の付加画像印刷データとが生成される。
【0009】
ところが、従来の構成では、保持メモリには、カラー用又はモノクロ用の何れか一方しか保持できない。そのため、図8のように、カラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷に付加画像を合成する場合、頁の画像(印刷対象画像)が、カラーからモノクロ、モノクロからカラーへ切り換わる度に、付加画像印刷データを生成することが必要となる。そのため、保持メモリを設けた構成であっても、印刷速度が低下する。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み成されたもので、その目的は、ウォーターマーク等の付加画像を印刷対象画像に合成し印刷処理する場合に、たとえカラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷であっても、付加画像印刷データを一時的に保持する保持メモリを、そのメモリ容量内で効率よく利用し、印刷速度の低下を極力抑えて、印刷装置の有するパフォーマンスを最大限発揮できる印刷制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る第1の印刷制御装置は、上記課題を解決するために、画像データを入力させる入力手段と、入力された印刷対象画像の画像データから印刷対象画像印刷データを生成する第1データ生成手段と、前記印刷対象画像に合成する付加画像の画像データから、当該印刷対象画像のカラー情報に応じて、カラー用の付加画像印刷データ或いはモノクロ用の付加画像印刷データを生成する第2データ生成手段と、前記付加画像印刷データを一時的に保持する保持領域を有する保持メモリと、前記印刷対象画像印刷データに何れか所定の方の前記付加画像印刷データを合成して出力用印刷データを作成するものであって、合成時に前記保持領域に合成すべき付加画像印刷データが保持されている場合は、保持されている付加画像印刷データを用いる印刷データ合成手段と、前記出力用印刷データを印刷装置へと出力する出力手段とを備えた印刷制御装置において、前記保持メモリを制御する保持メモリ制御手段を備え、該保持メモリ制御手段は、前記付加画像印刷データがカラー用である場合は、前記保持領域の上端或いは下端の何れか一方の端側からデータを格納して保持させ、モノクロ用であれば前記保持領域の他端側からデータを格納して保持させることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、保持メモリの保持領域には、カラー用の付加画像印刷データとモノクロ用の付加画像印刷データとの両方が保持されるので、カラー頁とモノクロ頁との混載印刷の場合でも、速度低下なく印刷することができる。
【0013】
しかも、保持メモリ制御手段は、付加画像印刷データがカラー用である場合は、保持領域の上端或いは下端の何れか一方の端側からデータを格納して保持させ、モノクロ用であれば保持領域の他端側からデータを格納して保持させる。なお、上端とは、保持領域に付されている初段であり、下端とは最終段のことである。
【0014】
したがって、例えば、保持領域の初段から所定の段まではカラー用、前記所定の段から最終段まではモノクロ用というように格納位置を設定するよりも、カラー用、或いはモノクロ用単独にて保持領域全域を使用することも可能となり、保持領域を有効に利用して、よりデータ量の多い付加画像印刷データも格納できる。
【0015】
ところで、記録用紙サイズによって、付加画像印刷データの一時保持に必要な保持領域の大きさは異なり、最大用紙サイズに対応したカラー用とモノクロ用の各付加画像印刷データの両方を保持できるように構成した場合、メモリ容量が大きくなり、コストも高くなる。また、記録用紙サイズは同じであっても、印刷解像度が高精度化されるに従い、付加画像印刷データのデータ量はますます大きくなる傾向にある。そのため、たとえ、最大用紙サイズに対応したカラー用とモノクロ用の各付加画像印刷データの両方を保持できるように設計した保持メモリであっても、印刷解像度が高精度化された場合には、対応できなくなる虞がある。
【0016】
そこで、本発明に係る印刷制御装置は、さらに、前記保持メモリ制御手段は、付加画像印刷データを前記保持領域の上端側或いは下端側から格納して保持するにおいて、既に他端側から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域に重ねて保持させる必要がある場合は、他端側から格納されたデータを保持しているデータ領域を解放して、保持を可能にする構成とすることが好ましい。
【0017】
これにより、保持メモリのメモリ容量を、最大用紙サイズに対応したカラー用とモノクロ用の各付加画像印刷データの両方を保持できるようなメモリ容量としなくても、例えば、印刷装置にて使用できる記録用紙の基本サイズに対応したカラー用とモノクロ用の各付加画像印刷データの両方を保持可能であり、かつ、前記記録用紙の最大サイズに対応した付加画像印刷データのよりデータ量の大きいカラー用を単独保持できる程度のメモリ容量に設定することで、カラー用、モノクロ用の両方を保持できる場合は保持し、保持できない場合は何れか一方のみを保持するといった、柔軟な対応が可能となり、保持メモリのメモリ容量に見合った付加画像印刷データの一時保存を行うことができる。
【0018】
また、本発明に係る印刷制御装置は、さらに、前記第2データ生成手段が、カラー用、モノクロ用それぞれの付加画像印刷データの生成に要する生成所要時間を計測する計測手段を備え、前記保持メモリ制御手段は、前記付加画像印刷データを前記保持領域の上端側或いは下端側から格納して保持するにおいて、既に他端側から格納されたデータを保持しているデータ領域に重ねて保持させる必要がある場合は、前記計測手段にて計測されたカラー用、モノクロ用それぞれの生成所要時間を比較し、保持しようとする付加画像印刷データが生成所要時間の長い方であれば、他端側から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放して、保持を可能にする一方、保持しようとする付加画像印刷データが生成所要時間の短い方であれば、保持を行わない構成とすることもできる。
【0019】
これによれば、カラー用とモノクロ用とで、付加画像印刷データを生成する時間を比較し、既に他端側から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域に重ねて保持させる必要がある場合には、生成所要時間の長い方の保持を優先させるので、必ず他方側から格納された付加画像印刷データのデータ領域を解放する構成よりも、付加画像印刷データを生成する時間を短くすることができる。これにより、印刷制御装置におけるハードウェアやソフト処理にかかる負荷を軽減することができる。
【0020】
例えば、本発明の印刷制御装置がデジタル複合機に搭載され、印刷ジョブ(コピージョブ)と共に、FAX送信ジョブなどのデュアルジョブを行う場合、付加画像印刷データを生成するために、第2印刷データ生成手段を使用するジョブリソースが増え、第2印刷データ生成手段のリソース待ちにより速度低下することがあるが、これにより、デュアルジョブなどの動作時にも速度低下を軽減することができる。
【0021】
本発明に係る印刷制御装置は、さらに、前記第2データ生成手段は、前記保持領域をワークエリアとして使用し、前記保持メモリ制御手段は、前記第2データ生成手段が付加画像印刷データを生成するワークエリアとして前記保持領域を使用させ、カラー用を生成する場合は、カラー用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放し、モノクロ用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を除く全領域を使用させ、モノクロ用を生成する場合は、モノクロ用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放し、カラー用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を除く全領域を使用させる構成とすることもできる。
【0022】
第1データ生成手段の動作中に第2データ生成手段を随時動作させることで、印刷速度の低下を抑制することができる。しかしながら、随時動作させるためには、第1データ生成手段が使用するワークエリアと、第2データ生成手段が使用するワークエリアの両方を確保する必要である。なお、これらワークエリアは、保持メモリとは別のメモリ(ワークメモリ)に確保される。
【0023】
一方、本発明に係る印刷制御装置では、保持領域の上端側、下端側から付加画像印刷データを格納していくため、空き領域は保持領域の中央部に位置し、上端側から格納された付加画像印刷データのデータ領域とも、下端側から格納された付加画像印刷データのデータ領域とも、連続した領域を形成できる。
【0024】
上記構成では、この連続した領域を、第2データ生成手段の使用するワークエリアとして利用する。カラー用の付加画像印刷データの生成においては、保持領域における、他端側から保持しているモノクロ用のデータ領域を除く全領域をワークエリアとして使用し、カラー用の付加画像印刷データが生成されると、これを格納する。同様に、モノクロ用の付加画像印刷データの生成においては、保持領域における、他端側から保持しているカラー用のデータ領域を除く全領域をワークエリアとして使用し、モノクロ用の付加画像印刷データが生成されると、これを格納する。
【0025】
これにより、ワークメモリに確保されるワークエリアは、第1データ生成手段が使用する分のみですみ、ワークメモリに必要とされるメモリ容量を最小にしながら、印刷速度の低下を抑制することができる。
【0026】
また、本発明にかかるデジタル複合機は、上記課題を解決するために、前記した本発明の印刷制御装置を含み、前記印刷制御装置における前記印刷装置として画像形成部を備えたことを特徴としている。
【0027】
上述したように、印刷ジョブ(コピージョブ)と共に、FAX送信ジョブなどのデュアルジョブを行うことがある。このようなデュアルジョブを行う場合、付加画像印刷データを生成するために、第2印刷データ生成手段を使用するジョブリソースが増え、第2印刷データ生成手段のリソース待ちにより速度低下することがあるが、本発明の印刷制御装置の構成を採用することで、既に説明したように、デュアルジョブなどの動作時にも速度低下を軽減することができる。
【0028】
また、本発明の印刷制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記印刷制御装置をコンピュータにて実現させる印刷制御プログラムも本発明の範疇に入り、また、該制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、ウォーターマーク等の付加画像を印刷対象画像に合成し印刷処理する場合に、たとえカラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷であっても、付加画像印刷データを一時的に保持する保持メモリを、そのメモリ容量内で効率よく利用し、印刷速度の低下を極力抑えて、印刷装置の有するパフォーマンスを最大限発揮できる。
【0030】
また、印刷ジョブ(コピージョブ)と共に、FAX送信ジョブなどのデュアルジョブが行われるような場合でも、付加画像印刷データを生成するために、第2印刷データ生成手段を使用するジョブリソースが増え、第2印刷データ生成手段のリソース待ちにより印刷速度が低下するようなことなく、デュアルジョブなどの動作時にも印刷速度の低下を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図5基づいて説明すると以下の通りである。
【0032】
図2は、本実施形態であるデジタル複合機(画像形成装置)の制御系の構成を示すブロック図である。デジタル複合機は、外部端末9と、印刷制御装置10と、印刷装置20を備えている。デジタル複合機の場合、外部端末9がスキャナに相当し、印刷装置20が、電子写真方式やインクジェット方式を採用した画像形成部に相当する。なお、図2では、デジタル複合機が有するプリンタ、コピー、ファクシミリ及びスキャナの機能のうち、印刷に関する部分のみを記載している。
【0033】
印刷制御装置10は、CPU、ROM、RAMよりなる制御部11を備えており、CPUがROMに予め格納された制御プログラムを読込んで実行することにより、バス(不図示)を介して接続された各種ハードウェアを制御し、全体として本発明に係る印刷制御装置として動作させるものである。制御部11が、本発明における保持メモリ制御手段の機能を有する。
【0034】
印刷制御装置10は、制御部11のほか、入力部12、メモリ13、画像処理部14、画像回転部15、画像合成部16、HDD17、圧縮伸張部18、出力部19、生成時間計測部21を備えている。
【0035】
図3、図4のフローチャートを参照しながら、印刷制御装置10の各部の機能を説明する。入力部12は、スキャナ等の外部端末9から入力される印刷対象画像の画像データを受付けるものである。入力部12に入力される印刷対象画像の画像データは、RGBデータなどからなる。入力部12より、後述する付加画像の画像データを入力させることも可能である。
【0036】
メモリ13は、各種処理に用いられるワークメモリ13aと、付加画像印刷データを一時的に保持する保持メモリ13bとを有している。
【0037】
画像処理部(第1データ生成手段、第2データ生成手段)14は、入力部12より入力された印刷対象画像の画像データ(RGBデータ)を読み出し、前段画像処理を施すものである。画像処理部14、入力部12より入力された画像データに対し、前段画像処理として、シェーディング補正、センサ色補正部、MTF補正、γ補正、領域分離処理等の画像処理を施す。
【0038】
画像回転部(第1データ生成手段、第2データ生成手段)12は、前段画像処理が施された印刷対象画像の画像データに対し、必要に応じて画像回転処理を施すものである。
【0039】
入力部12より入力された画像データは、画像処理部14、画像回転部15を経て、画像データと、文字や絵などの領域を分離した画像情報データとに分離される。
【0040】
圧縮伸張部18は、画像処理部14、画像回転部15にて処理が施された印刷対象画像の画像データを、JPEG圧縮等の圧縮技術を用いて圧縮するものである。HDD17は、圧縮データを、一旦保存するものである。
【0041】
図3のフローチャートに、入力部12から入力された印刷対象画像の画像データに前段画像処理を施し、圧縮してHDD17に保存するまでの処理を示す。
【0042】
入力部12から入力された印刷対象画像の画像データは、画像処理部14にて前段画像処理され、画像回転部15にて画像回転処理が行われる(S1)。次に、圧縮伸張部18にて画像データが圧縮され(S2)、HDD17に保存される。なお、画像処理部14、画像回転部15、及び圧縮伸張部18は、S1、S2の各種処理において、ワークメモリ13aを使用する。
【0043】
一方、圧縮伸張部18は、HDD17から読み出された圧縮データを伸張するものでもある。そして、前記画像処理部14は、伸張された画像データに対し、色補正処理、黒生成/下色除去処理、空間フィルタ処理、平滑化処理、中間調生成処理等の後段画像処理を施すものでもあり、画像回転部15も、画像処理部14が後段画像処理を施した印刷データに対して、必要に応じてさらに画像回転処理を施すものでもある。
【0044】
後段画像処理が施されることで、伸張されたRGBデータである画像データは、印刷装置20の状態に適応し、印刷装置20が扱うことのできるCMYKデータの印刷データが生成される。
【0045】
出力部19は、画像処理部14、画像回転部15にて、処理された印刷データを、印刷装置20に対して出力するものである。ウォーターマークなど付加画像の合成処理が必要ない場合は、CMYKデータに変換された印刷対象画像の印刷データは、この時点で出力部19より印刷装置20へ送られ、印刷装置20にて印刷処理が行われる。
【0046】
一方、ウォーターマークなど付加画像の合成処理が必要な場合は、画像合成部(印刷データ合成手段)17にて、印刷対象画像の印刷データに、付加画像印刷データを合成する合成処理が行われる。
【0047】
付加画像は、例えば、HDD17に予め格納されており、操作パネル(図示せず)等を用いてユーザが選択することができる。付加画像の画像データはRGBデータであり、ワークメモリ13aに取り込まれて、画像処理部14にて後段画像処理が施され、印刷装置20に状態に適応し、印刷装置20が扱うことのできるYMCKデータの印刷データが生成される。画像回転部15においても、必要に応じて画像回転処理が行われる。
【0048】
なお、付加画像は、図示しない通信部を介して、外部の情報処理装置より送られてくる構成であっても、外部端末9を用いて、ユーザ自らが印刷対象画像と同じ手順で、印刷制御装置10に読み取らせることも可能である。
【0049】
画像合成部17は、このように生成された付加画像印刷データと、印刷対象画像の印刷データとを合成するものである。
【0050】
図4のフローチャートに、印刷対象画像に付加画像を付けて画像出力する際の、印刷対象画像の印刷データをHDD17から読み出し、画像出力するまでの処理を示す。
【0051】
印刷対象画像の圧縮データをHDD17からワークエリア13aに取り込み(S11)、圧縮伸張部18にて伸張し(S12)、画像処理部14、画像回転部15にて、後段画像処理、画像回転処理が施される(S13)。これにて、印刷対象画像の印刷データが生成される。
【0052】
一方、付加画像を合成する必要がある場合は、まず、保持メモリ13bに対応する付加画像印刷データが保持されているかどうかを判断する。保存されている場合は、HDD17から読み出した付加画像の画像データと、保持メモリ13b内の付加画像印刷データとが同じかどうか、画像パターン、色、回転方向、用紙サイズなどで判定する。画像パターンや色、回転方向など同じであれば、S20に進み、保持メモリ13b内に一時保持されている付加画像印刷データを読み出す。
【0053】
一方、何も保持されていな場合や、画像パターンや色、回転方向などが違っている場合は、S15に進む。
【0054】
S15では、HDD17から付加画像の画像データをワークエリア13aに取り込み(S15)、画像処理部14、画像回転部15にて、後段画像処理、画像回転処理が施される(S16)。これにて、付加画像印刷データが生成される。
【0055】
S20、S16からは、S18に進み、画像合成部16が、印刷対象画像の印刷データと、S20にて保持メモリ13bから読み出した付加画像印刷データ、或いはS16で生成した付加画像印刷データとを合成し(S18)、出力部19が印刷装置20へと出力する(S19)。
【0056】
HDD17から読み出したデータを、出力部19を介して出力するまでのS11〜S18までの各処理において、画像処理部14、画像回転部15、圧縮伸張部18及び画像合成部16は、ワークメモリ13aを使用する。
【0057】
また、S16で生成された付加画像印刷データは、S18における画像合成処理と同時に、ワークメモリ13aからエリア保存メモリ13bに転送し、保持メモリ13bにて一時保存させる(S18)。保持メモリ13bに保持される印刷データには、付加画像の種類や回転角、色、濃度などの情報も同時に保持しおく。
【0058】
以下、この保持メモリ13bに付加画像印刷データを一時保存する場合に、制御部11がメモリ13に対して実施する書込み制御について詳細に説明する。
【0059】
まずは、図5を用いて、本願出願人が最初に考え出した、本発明の前提となる書込み制御について説明する。
【0060】
〔発明が解決しようとする課題〕の項においても説明したように、保持メモリに、カラー用又はモノクロ用の何れか一方しか保持できない構成では、図7のように、カラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷に付加画像を合成する場合に、頁の画像(印刷対象画像)が、カラーからモノクロ、モノクロからカラーへ切り換わる度に、付加画像印刷データを生成することが必要となる。
【0061】
そこで、本願出願人は、保持メモリ13bに、カラー用及びモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持させ、印刷対象画像のカラー情報に応じて、保持された2つの付加画像印刷データの何れかを読み出し、印刷対象画像の印刷データに合成する構成を採用した。これによれば、カラー用、モノクロ用の付加画像印刷データをそれぞれ1度生成するだけですみ、印刷ジョブが完了するまで、保持した付加画像印刷データを使いまわすことができる。
【0062】
図5(a)図5(b)に、本発明の前提となる書込み制御で書き込まれた保持メモリ113bを示す。図5(a)は、付加画像を付ける印刷ジョブにおいて、印刷装置20が扱う基本サイズA4のカラー頁とモノクロ頁とが混載している場合の、保持メモリ113bにおける保持領域のデータ保持状態を示している。ここでは、保持メモリ113bの保持領域における、初段(上端)から矢印Aにて示す下側の所定の段までを、カラー用の付加画像印刷データの格納領域とし、矢印Aにて示す下側の所定の段から最終段(下端)までを、モノクロ用の付加画像印刷データの格納領域としている。
【0063】
カラー用の付加画像印刷データは、保持メモリ113bの初段から順に格納され、モノクロ用の付加画像印刷データは、保持メモリ113bの矢印Aにて示す所定の段から順に格納される。
【0064】
一方、図5(b)は、付加画像を付ける印刷ジョブにおいて、印刷装置20が扱う最大サイズA3のカラー頁とモノクロ頁とが混載している場合の、保持メモリ113bにおける保持領域のデータ保持状態を示している。
【0065】
図5(b)においても、保持メモリ113bにおける初段から順に格納され、モノクロ用の付加画像印刷データは、保持メモリ113bの矢印Aにて示す所定の段から順に格納されている。
【0066】
そして、図5(b)よりわかるように、保持メモリ113bのメモリ容量(保持領域のサイズ)は、最大サイズA3において、カラー用とモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持できる大きさに設定されている。
【0067】
これにより、基本サイズのA4はもちろんのこと、最大サイズA3のカラー頁とモノクロ頁とが混載している混載印刷であっても、付加画像印刷データの生成に起因する印刷速度の低下を回避できる。
【0068】
なお、図5(a)図5(a)に示す付加画像用ワークエリアは、付加画像印刷データを作るために使用される、ワークメモリ上の領域を示している。
【0069】
しかしながら、印刷解像度の高精度化に伴い、付加画像印刷データのデータ量が増え、最大サイズA3に対応したカラー用及びモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持するには、より大きな保持メモリ13bが必要となってきている。そのため、この構成で、印刷解像度の高精度化に対応するためには、保持メモリ113bのメモリ容量を大きくするなど、コストアップが避けられないことが判明した。
【0070】
そこで、本願出願人は、保持メモリにカラー用及びモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持して、カラー頁とモノクロ頁とが混載している混載印刷ジョブであっても、速度低下を回避するといった、基本的な技術思想は変えることこなく、より効果的に、保持メモリを使用して、コストアップを伴うことなく、印刷速度の低下を抑制できる保持メモリの書込み制御を提案するに至った。
【0071】
即ち、本実施形態の印刷制御装置10では、制御部11は、保持メモリ13bの保持領域の書込みを制御し、保持メモリ13bに付加画像印刷データを一時保持させるにあたり、カラー用であれば、保持領域の初段から最終段に向って格納していき、モノクロ用であれば、最終段から初段に向って格納していく構成とした。もちろん、逆に、モノクロ用であれば、保持領域の初段から最終段に向って格納していき、カラー用であれば、最終段から初段に向って格納していく構成としてもよい。
【0072】
図1(a)〜図1(c)に、本発明の書込み制御で書き込まれた保持メモリ13bを示す。図1(a)は、印刷装置20が扱う基本サイズA4のカラー頁とモノクロ頁とが混載している場合の、保持メモリ13bにおける保持領域のデータ保持状態を示している。矢印Xは、カラー用の付加画像印刷データを格納していく方向を示しており、矢印Yはモノクロ用の付加画像印刷デーを格納していく方向を示している。A4サイズの場合、カラー用とモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持することができる。
【0073】
一方、図1(b)は、印刷装置20が扱う最大サイズA3のカラー頁とモノクロ頁とが混載している場合の、保持メモリ13bにおける保持領域のデータ保持状態を示している。最大サイズA3の場合、保持メモリ13bに保持される付加画像印刷データは、カラー用或いはモノクロ用の何れか一方となる。
【0074】
図1(c)は、印刷装置20が扱う基本サイズA4よりもさらに小さいA5のカラー頁とモノクロ頁とが混載している場合の、保持メモリ13bにおける保持領域のデータ保持状態を示している。A5サイズも、カラー用とモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持することができる。
【0075】
そして、図1(a)〜図1(c)よりわかるように、本実施形態では、保持メモリ13bのメモリ容量は、基本サイズのA4サイズにおいて、カラー用とモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持することができる大きさであって、最大サイズであるA3のカラー用の付加画像印刷データを保持し得る大きさに設定されている。
【0076】
したがって、A4,A5などの場合は、保持領域の上端及び下端からそれぞれ、カラー用及びモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持することがで、カラー頁とモノクロ頁との混載印刷の場合でも、速度低下なく印刷することができる。
【0077】
一方、A3の場合は、例えばモノクロ用の付加画像印刷データを保持している状態で、カラー用の付加画像印刷データを保持する場合は、モノクロ用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放して、カラー用の付加画像印刷データを保持することとなる。逆に、カラー用の付加画像印刷データを保持している状態で、モノクロ用を保持する場合は、カラー用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放して、モノクロ用の付加画像印刷データを保持することとなる。
【0078】
この場合、印刷対象画像が、カラー用からモノクロ用、モノクロ用からカラー用へと切り換わる場合には、図8に示したように、モノクロ用の付加画像印刷データ、カラー用の付加画像印刷データを生成することが必要となるため、一見、印刷速度の低下を招くように思える。
【0079】
しかしながら、A3サイズはA4に比べてもともと印刷速度が低く、たとえ付加画像印刷データを毎回生成したとしても、速度低下は起こらない、或いは起こったとしも、印刷装置20のパフォーマンスを大きく低下させるほどの遅れにはならない。本願出願人は、この点に着目して、本発明を行った。
【0080】
例を挙げて説明すると、あるシステムにおいては、図4における、S11の圧縮データ読込からS13の印刷対象画像の印刷データ生成までの所要時間をT、S15の付加画像読込から付加画像印刷データ生成までの所要時間をZ、1枚印刷するための間隔時間をRとすると、A4サイズを1分間に50枚印刷処理する50枚機の場合、A4,A3におけるT、Z、Rは以下のようになる。
【0081】
A4:50cpmで印刷:T 604msec,Z 790msec,R 1200msec
A3:25cpmで印刷:T 1209msec,Z 1130msec,R 2727msec
A4の場合は、T+Z=1394msec (43cpm)>Rとなり、A4の付加画像印刷データを毎回生成して合成すると、43cpmの速度にしかならない。つまり、1分間に50枚の印刷が可能なパフォーマンスを有していながら、付加画像を付すが故に、1分間に43枚しか印刷できないこととなる。これは換言すると、A4の場合は、付加画像印刷データを必ず、一時保持しなければ、50cpmを実現できないということである。
【0082】
一方、A3の場合は、T+Z=2339msec (25cpm) <Rとなり、A3の付加画像印刷データを毎回生成して合成しても、25cpmの速度は可能である。そのため、A3の場合は、付加画像印刷データを必ず一時保存する必要はなく、付加画像印刷データを毎回生成しても印刷速度の低下にはならない。
【0083】
但し、付加画像印刷データを生成することで、画像処理部14が使用されるため、付加画像を付ける印刷ジョブ中に、FAX送信などのデュアル操作を行うと、画像処理部14を使用するジョブリソースが増え、画像処理部14のリソース待ちにより速度低下することがある。そのため、付加画像印刷データは、一時保存することが好ましい。
【0084】
また、制御部11は、図1(b)のA3の場合のように、保持メモリ13bの上端或いは下端から付加画像印刷データを保持させるにあたり、既に他端から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域に重ねて保持させる必要がある場合は、他方側から保持した付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放するようになっている。
【0085】
これにより、保持メモリ13bの保持領域のメモリ容量を、最大のA3サイズの付加画像印刷データをカラー用とモノクロ用の両方を保持できるようなメモリ容量としなくても、A4,A5など、付加画像印刷データをカラー用とモノクロ用の両方保持できる場合は保持し、A3など、両方を保持できない場合は何れか一方のみを保持するといった、柔軟な対応が可能となり、保持メモリ13Bのメモリ容量に見合った付加画像印刷データの一時保存を行うことができる。
【0086】
そして、特に、本実施形態においては、印刷制御装置10には、図2に示すように、生成時間計測部21が設けられており、制御部11は、既に他端側から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域に重ねて保持させる必要がある場合は、計測されたカラー用、モノクロ用それぞれの生成所要時間を比較し、長いほうの付加画像印刷データを優先的に保持するようになっている。
【0087】
これについて、より詳細に説明する。生成時間計測部21は、カラー用、モノクロ用それぞれの付加画像印刷データの生成に要する生成所要時間を計測するものである。制御部11は、付加画像印刷データを保持領域の上端側或いは下端側から格納して保持するにおいて、既に他端側から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域に重ねて保持させる必要がある場合は、生成時間計測部21にて計測されたカラー用、モノクロ用それぞれの生成所要時間を比較する。そして、保持しようとする付加画像印刷データが生成所要時間の長い方であれば、他端側から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放して、保持を可能にする。一方、保持しようとする付加画像印刷データが生成所要時間の短い方であれば、付加画像印刷データの保持を行わない。
【0088】
これによれば、生成所要時間の長い方の保持が優先されるので、必ず他方側から格納された付加画像印刷データのデータ領域を解放する構成よりも、付加画像印刷データを生成する時間を短くすることができる。
【0089】
これにより、印刷制御装置におけるハードウェアやソフト処理にかかる負荷を軽減することができる。上述したように、印刷ジョブ(コピージョブ)と共に、FAX送信ジョブなどのデュアルジョブを行う場合、付加画像印刷データを生成するために、画像処理部14を使用するジョブリソースが増え、画像処理部14のリソース待ちにより印刷速度が低下することがあるが、これにより、デュアルジョブなどの動作時にも印刷速度の低下を軽減することができる。
【0090】
〔実施の形態2〕
本発明のその他の実施形態について図6、図7に基づいて説明すると以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いた部材と同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略し、実施の形態1と異なる点のみ説明する。
【0091】
図6(a)〜図6(c)に、本発明の書込み制御で書き込まれた保持メモリ13b’を示す。図6(a)は、印刷装置20が扱う基本サイズA4のカラー頁とモノクロ頁とが混載している場合の、保持メモリ13bにおける保持領域のデータ保持状態を示している。A4サイズの場合、カラー用とモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持することができる。
【0092】
図6(b)は、印刷装置20が扱う最大サイズA3のカラー頁とモノクロ頁とが混載している場合の、保持メモリ13bにおける保持領域のデータ保持状態を示している。最大サイズA3の場合、保持メモリ13bに保持される付加画像印刷データは、カラー用或いはモノクロ用の何れか一方となる。
【0093】
図6(c)は、印刷装置20が扱う基本サイズA4よりもさらに小さいA5のカラー頁とモノクロ頁とが混載している場合の、保持メモリ13bにおける保持領域のデータ保持状態を示している。A5サイズも、カラー用とモノクロ用の両方の付加画像印刷データを保持することができる。
【0094】
なお、ここまでは、実施の形態1の、付加画像印刷データの保持の仕方と同じである。異なるのは、保持メモリ13bを付加画像印刷データを生成するためのワークエリアとしても利用する点である。
【0095】
つまり、保持領域の上端側、下端側から付加画像印刷データを格納していくことにより、空き領域は保持領域の中央部に位置し、上端側から格納された付加画像印刷データの領域とも、下端側から格納された付加画像印刷データの領域とも、連続した領域を形成できる。本願出願人は、この点に着目し、付加画像印刷データを生成するためのワークエリアとしても利用することとした。
【0096】
即ち、本実施形態の印刷制御装置10においては、画像処理部14が保持メモリ13b’の保持領域を付加画像印刷データ生成のためのワークエリアとして使用する。そして、制御部11は、画像処理部14が、後段画像処理増処理を施して付加画像印刷データを生成するワークエリアとして、保持メモリ13b’の保持領域を使用させ、カラー用を生成する場合は、カラー用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放し、モノクロ用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を除いて使用させ、カラー用の付加画像印刷データが生成されると、これを保持領域の初段より格納して保持する。一方、モノクロ用を生成する場合は、モノクロ用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放し、カラー用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を除いて使用させ、モノクロ用の付加画像印刷データが生成されると、これを保持領域の最終段より格納して保持する。
【0097】
HDD17からワークメモリ13aに読み込まれた印刷対象画像の画像データに対し、圧縮伸張部18が伸張を施し、画像処理部14が後段画像処理を施し、画像回転部15が画像回転処理を施し、これにより、印刷対象画像印刷データが生成される。また、画像処理部14、画像回転部15は、付加画像印刷データの生成にも使用される。
【0098】
画像処理部14にて後段画像処理が施された印刷対象画像の印刷データに対し、画像回転部15が画像回転処理を行っている間に、画像処理部14にて付加画像の画像データに対する後段画像処理を実施させようとすると、付加画像の画像処理を行うワークエリアが必要となる。
【0099】
つまり、ワークメモリにおいて、印刷対象画像の画像回転処理のためのワークエリアと、付加画像の画像処理を行うワークエリアとが両方同時に必要となる。ワークエリアの広さは、処理速度に影響するため、2つの処理にて領域を分け合って用いると処理速度が必然的に遅くなる。一方、2つの処理にて領域を分けあっても、十分速い処理時間を確保しようとすると、ワークメモリのメモリ容量が増大する。
【0100】
上記構成によれば、このような付加画像印刷データを生成するためのワークエリアを、ワークメモリではなく、保持メモリにもつ構成としているので、ワークメモリのメモリ容量をその分小さくすることができる。
【0101】
これにより、印刷対象画像印刷データの生成と、付加画像印刷データの生成とを並行して行うことによる印刷速度の低減を、ワークメモリのメモリ容量を最小としながら実現できる。
【0102】
図7(a)〜図7(f)に、保持メモリ13b’を、150MBに設定した場合の、保持メモリ13’のメモリ使用量を、概念的に示す。図7(a)は、A4のカラー用及びモノクロ用の両方の付加画像印刷データが保持された場合のメモリ概念図である。
【0103】
図7(b)は、図7(a)から、他の付加画像の、カラー用の生成要求がきた場合のメモリ概念図である。カラー用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放して、モノクロ用の付加画像印刷データを残したまま、すべての保持領域を、ワークエリアとして使用する。なお、付加画像の画像データ(RGBデータ)より生成するため、A4では最大102MBのワーク領域があれば、なお良い(生成速度に影響する)。最大102MBのワーク領域がなければ、付加画像の画像データを分割して、使用できるワークエリアにて処理を行う。
【0104】
図7(c)は、図7(a)から他の付加画像の、モノクロ用の生成要求がきた場合のメモリ概念図である。モノクロ用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放して、カラー用の付加画像印刷データを残したまま、すべての保持領域を、ワークエリアとして使用する。
【0105】
図7(d)は、A3のカラー用の付加画像印刷データが保持されている場合のメモリ概念図である。図7(e)は、A3のモノクロ用の付加画像印刷データが保持されている場合のメモリ概念図である。
【0106】
図7(f)は、図7(d)、図7(e)から、A3の色情報の異なる付加画像印刷データが来た場合のメモリ概念図である。図7(d)の状態から、一時保存すべきモノクロ用の付加画像印刷データのサイズと、ワークエリアとを考慮すると、図7(d)の領域を開放して、図7(f)の状態にてモノクロ用の付加画像印刷データを生成する必要がある。また、図7(e)の状態から、一時保持すべきカラー用の付加画像印刷データのサイズと、ワークエリアとを考慮すると、図7(e)の領域を開放して、図7(f)の状態にてカラー用の付加画像印刷データを生成する必要がある。
【0107】
なお、150MBは、A4カラーの付加画像印刷データが保持された場合、カラー用の付加画像データを保持したまま、モノクロ用の付加画像印刷データが生成できると共に、A3のカラー用の付加画像印刷データを単独保持できる最小メモリ容量である。
【0108】
最後に、印刷制御装置10における、出力部19、入力部12、圧縮伸張部18、生成時間制御部21、画像処理部14、画像回転部15、及び画像合成部16は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0109】
すなわち、印刷制御装置10は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである印刷制御装置10の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像形成システム1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0110】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0111】
また、印刷制御装置10を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0112】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1(a)〜図1(c)は、本発明の実施形態を示すものであり、カラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷の場合の、保持メモリにおける保持領域のデータ保持状態を示す説明図である。
【図2】本実施形態であるデジタル複合機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態であるデジタル複合機の印刷制御装置が、入力部から入力された印刷対象画像の画像データに前段画像処理、画像回転処理を施し、圧縮してHDDに保存するまでの処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態であるデジタル複合機の印刷制御装置が、印刷対象画像の圧縮データをHDDから読み出し、後段画像処理、画像回転処理を施して印刷対象画像印刷データを生成する一方、付加画像の画像データに後段画像処理、画像回転処理を施して付加画像印刷データ生成し、両印刷データを合成して出力するまでの処理を示すフローチャートである。
【図5】図5(a)図5(b)は、本発明の前提となる構成を示すもので、カラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷の場合の、保持メモリにおける保持領域のデータ保持状態を示す説明図である。
【図6】図6(a)〜図6(c)は、本発明の他の実施形態を示すものであり、カラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷の場合の、保持メモリにおける保持領域のデータ保持状態を示す説明図である。
【図7】図7(a)〜図7(f)は、本発明の他の実施形態であるデジタル複合機における印刷制御装置において、保持メモリを150MBに設定した場合の、メモリの使用量を概念的に示す説明図である。
【図8】従来の印刷制御装置における、カラー頁とモノクロ頁とが混載した混載印刷の場合の、保持メモリにおける保持領域のデータ保持状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0114】
1 デジタル複合機(画像形成装置)
10 印刷制御装置
11 制御部(保持メモリ制御手段)
12 入力部(入力手段)
13 a 保持メモリ
14 画像処理部(第1データ生成手段、第2データ生成手段)
15 画像回転部(第1データ生成手段、第2データ生成手段)
16 画像合成部(印刷データ合成手段)
19 出力部(出力手段)
20 印刷装置(印刷画像形成部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力させる入力手段と、
入力された印刷対象画像の画像データから印刷対象画像印刷データを生成する第1データ生成手段と、
前記印刷対象画像に合成する付加画像の画像データから、当該印刷対象画像のカラー情報に応じて、カラー用の付加画像印刷データ或いはモノクロ用の付加画像印刷データを生成する第2データ生成手段と、
前記付加画像印刷データを一時的に保持する保持領域を有する保持メモリと、
前記印刷対象画像印刷データに何れか所定の方の前記付加画像印刷データを合成して出力用印刷データを作成するものであって、合成時に前記保持領域に合成すべき付加画像印刷データが保持されている場合は、保持されている付加画像印刷データを用いる印刷データ合成手段と、
前記出力用印刷データを印刷装置へと出力する出力手段とを備えた印刷制御装置において、
前記保持メモリを制御する保持メモリ制御手段を備え、
該保持メモリ制御手段は、前記付加画像印刷データがカラー用である場合は、前記保持領域の上端或いは下端の何れか一方の端側からデータを格納して保持させ、モノクロ用であれば前記保持領域の他端側からデータを格納して保持させることを特徴とする印刷制御装置。
【請求項2】
前記保持メモリ制御手段は、前記付加画像印刷データを前記保持領域の上端側或いは下端側から格納して保持するにおいて、既に他端側から格納されたデータを保持しているデータ領域に重ねて保持させる必要がある場合は、他端側から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放して、保持を可能にすることを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項3】
前記第2データ生成手段が、カラー用、モノクロ用それぞれの付加画像印刷データの生成に要する生成所要時間を計測する計測手段を備え、
前記保持メモリ制御手段は、前記付加画像印刷データを前記保持領域の上端側或いは下端側から格納して保持するにおいて、既に他端側から格納されたデータを保持しているデータ領域に重ねて保持させる必要がある場合は、前記計測手段にて計測されたカラー用、モノクロ用それぞれの生成所要時間を比較し、保持しようとする付加画像印刷データが生成所要時間の長い方であれば、他端側から格納された付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放して、保持を可能にする一方、保持しようとする付加画像印刷データが生成所要時間の短い方であれば、保持を行わないことを特徴とする請求項1に記載の印刷制御装置。
【請求項4】
前記第2データ生成手段は、前記保持領域をワークエリアとして使用し、
前記保持メモリ制御手段は、前記第2データ生成手段が付加画像印刷データを生成するワークエリアとして前記保持領域を使用させ、カラー用を生成する場合は、カラー用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放し、モノクロ用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を除く全領域を使用させ、モノクロ用を生成する場合は、モノクロ用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を解放し、カラー用の付加画像印刷データを保持しているデータ領域を除く全領域を使用させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷制御装置。
【請求項5】
プリンタ、コピー、ファクシミリ及びスキャナの機能を備えた画像形成装置であって、
前記請求項1〜4の何れかに記載の印刷制御装置を含み、前記印刷制御装置における前記印刷装置として画像形成部を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
印刷制御プログラムであって、コンピュータを請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷制御装置の各手段として機能させる印刷制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−55574(P2010−55574A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222871(P2008−222871)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】