説明

印刷回路板の開口へ圧入するための導電性接触ピンを持つ電気部品

上側及び下側に導体条片を持ちかつ貫通開口壁面をめっきされない開口(2)を持つ電気部品が紹介され、印刷回路板の開口(2)が所定の寸法(D2)を持ち、接触ピン(1)が、押圧結合部を形成する少なくとも1つの部分長(l 1.1)において、開口の寸法(D2)に対して所定の過剰寸法(D1.1>D2)を持っている。接触ピン(1)の導入可能な長さ(l 1)が開口(2)の深さ(l 2)より大きく、従って接触ピン(1)が、圧入された状態で印刷回路板(2)を貫通して導入方向へ突出している。
本発明によれば、接触ピン(1)が、第1の部分長(l 1.1)にわたってのみ、開口(2)に対して過剰寸法(D1.1)を持ち、導入方向にある側に、開口の寸法(D2)より小さい不足寸法(D1.2<D2)を有する第2の部分長(l 1.2)を持ち、第1の部分長(l 1.1)が印刷回路板の開口(2)の深さ(l 2)より小さく、従って導入後第2の部分長(l 1.2)の一部が開口内に残る。
接触区域の電気接続は接触ピンによって行われ、この接触ピンが導入方向において逆の側において圧入状態でこの側にある接触区域(3)の縁(3.2)と過剰寸法(D1.1)により接触し、なるべく気密に冷間溶接され、導入方向にある側でそこの接触区域(6)と流動ろう付けされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の印刷回路板の開口へ圧入するための導電性接触ピンを持つ電気部品に関する。
【背景技術】
【0002】
このような圧入接触ピンは、1片から中実に又はばね開口の形成により弾性的に形成される。印刷回路板の開口は金属被覆されて所定の寸法を持ち、従って一般に設けられる丸い開口では特定の直径を持っている。従って接触ピンは、少なくとも一部の範囲に、押圧結合部を形成するため、開口の寸法に対して所定の過剰寸法を持ち、それが圧力ばめを規定する。更に一般に接触ピンの導入可能な長さは、開口の深さより大きいので、圧入された状態で接触ピンは、印刷回路板を貫通して導入方向へ突出している。
【0003】
特に中実の接触ピンでは、印刷回路板特にDEM材料又はFR4材料から成る印刷回路板では、圧入する際の力のため開口の縁範囲に変形が起こる。特に貫通開口壁面をめっきされない貫通開口では、接触ピンの導入方向にある側の導体条片との接触がおこなわれない、という危険がある。特に印刷回路板の誘電体母材の範囲も、圧入の際圧入方向において接触ピンと印刷回路板の導体条片との間へ押込まれる可能性がある。誘電体母材自体は、ろう付け過程においてぬれないので、接触部が形成されないことがある。
【発明の開示】

【課題が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、この問題を回避する電気部品を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は請求項1の特徴によって解決される。有利な展開は従属請求項からわかる。
【0006】
本発明が図及び実施例により以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
変形従って場合によってはそれに伴う電気的接触の問題を回避するため、接触ピン1は、第1の部分長l1.1にわたってのみ開口2に対して過剰寸法を持ち、即ち開口2の直径D2に対して大きい直径D1.1が、接触ピンの一部にわたってのみ存在し、導入方向にあって開口2の寸法D2より小さい不足寸法(D1.2<D2)を持つ第2の部分長l 1.2が設けられている。
【0008】
第1の部分長l 1.1は印刷回路板の開口2の深さl 2より小さいので、導入後第2の部分長l 1.2の少なくとも一部が開口内に留まる。それにより圧入の際中実接触ピン1の所でも、導入方向にある側で印刷回路板の変形が全く又は極めて僅かしか起こらない。こうして圧入後接触ピン1と開口2の下縁範囲5との間に間隙7が残り、適切な寸法設定では、この間隙7へのろう8の進入を可能にするのに充分である。
【0009】
過剰寸法D1.1を持つ接触ピン1の第1の部分長l 1.1の縁は、圧入後、開口2の寸法に一致する接触区域3の縁3.2に接触する。その際接触ピン1と接触区域3との冷間溶接が縁3.2の所で行われるのが好ましく、印刷回路板の上側で接触ピン1と接触区域3との間に、気密なろうなし押圧結合部が生じる。
【0010】
接触ピン1の導入可能な長さl 1は、接触ピン1から形成されるストッパ1.3によつて限定され、少なくとも2つの側でなるべく力分布をよくするため、このストッパ1.3は軸線に対して対称に取巻くように形成されている。
【0011】
図示した構成では、第2の部分長l 1.2は第1の部分長l 1.1への移行範囲を持ち、この移行範囲で連続的な先細りが行われる。それにより導入の際動かなくなるのを防止され、開口2に対する接触ピン1の相対的同心配置が可能になる。
【0012】
このような接触ピンは、なるべく流動ろう付けにより、接触ピンの導入方向にある側で、印刷回路板と接続される。この接触ピンの特別な利点は、図1に示されている結合部を見ると明らかである。そこでは印刷回路板の開口2の下縁範囲の僅かな変形と、流動ろう付け中にろうの流入による下側での良好なろう付け結合が明らかに認められ、この縁範囲における印刷回路板9の誘電体材料が殆ど変形せず、少なくとも接触ピン1と導体条片6との間の範囲までもたらされないので、ぬれの問題も起こらない。
【0013】
このような接触ピンは、電気部品の電気構造要素を印刷回路板に結合するために利用可能であり、少なくとも1つの構造要素が適当な接触ピン1を持ち、接触ピン1が、導入方向にある印刷回路板側で、流動ろう付けにより印刷回路板9の導体条片6と電気的に接続されている。
【0014】
更にこのような接触ピンは、印刷回路板9の上側及び下側で導体条片3,6の接触区域の開口2へ接触ピン1が圧入されていることによって、印刷回路板の上側及び下側で電気導体条片3,6の接続部の形成のために適している。接触ピン1のストッパ1.3は、導入方向において逆の側で、そこにある導体条片3の接触区域に接触し、導入方向にある側で接触ピン1が、流動ろう付けによりそこにある導体条片6の接触区域に電機接続されている。
【0015】
このような電気部品は、圧入接触ピン特に中実の接触ピンを持つ部品には適していなかった安価な材料特にCEM1,CEM3又はRF4から成る印刷回路板9により構成可能である。印刷回路板9にある開口2は金属被覆される必要がなく、印刷回路板9に打抜き可能である。
【0016】
これらの安価な印刷回路板に対して、流動ろう付け過程と共に提案された接触ピンにより、著しい費用節約が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 本発明による接触ピンを持つ部品を示す。
【図2】 圧入前における接触ピン及び印刷回路板を示す。
【符号の説明】
【0018】
1 接触ピン
2 開口
3,6 接触区域
8 ろう
9 印刷回路板
D1.1 過剰寸法
D1.2 不足寸法
D2 開口の寸法
l 1 導入可能な長さ
l 1.1 第1の部分長
l 1.2 第2の部分長
l 2 開口の深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側及び下側に電気導体条片(3,6)を持ちかつ貫通開口壁面をめっきされない印刷回路板(2)から成る電気部品において、上側及び下側にある導体条片(3,6)の電気接続が、少なくとも1つの導電性接触ピン(1)によって行われ、
a)印刷回路板が少なくとも1つの金属被覆されない開口(2)を持ち、
b)印刷回路板の開口(2)が所定の寸法(D2)を持ち、接触ピン(1)が、押圧結合部を形成する第1の部分長(l 1.1)にわたって、開口の寸法(D2)に対して所定の過剰寸法(D1.1>D2)を持ち、かつ
c)導入方向にあって、開口の寸法(D2)より小さい不足寸法(D1.2<D2)を有する第2の部分長(l 1.2)を持ち、
d)第1の部分長(l 1.1)が印刷回路板の開口(2)の深さ(l 2)より小さく、従って導入後第2の部分長(l 1.2)の一部が開口内に残り、
e)接触ピン(1)の導入可能な長さ(l 1)が開口(2)の深さ(l 2)より大きく、従って接触ピン(1)が、圧入された状態で印刷回路板(2)を貫通して導入方向へ突出し、
f)印刷回路板(9)の上側及び下側で開口(2)の周りに、それぞれ接触区域(3,6)が設けられ、これらの接触区域が開口(2)の寸法(D2)に相当する縁を形成し、従って圧入された状態で接触ピン(1)が、導入方向において逆の側で、そこにある印刷回路板の接触区域(3)に接触し、
g)接触ピン(1)が、導入方向にある側で、そこにある印刷回路板の接触区域(6)と流動ろう付けにより結合されている
ことを特徴とする、電気部品。
【請求項2】
接触ピンの第2の部分長(l 1.2)が第1の部分長(l 1.1)への移行範囲を持ち、この移行範囲において連続的な先細りが行われることを特徴とする、請求項1に記載の電気部品。
【請求項3】
接触ピン(1)が中実に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電気部品。
【請求項4】
CEM材料又はFR4材料から成る印刷回路板(9)が使用されることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の電気部品。
【請求項5】
接触ピン(1)の導入可能な長さ(l 1)を限定するストッパ(1.3)が設けられていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の電気部品。
【請求項6】
接触ピン(1)の圧入の際、導入方向において逆の側で、そこにある接触区域(3)の縁が、接触ピン(1)と冷間溶接され、印刷回路板の上側で接触ピン(1)と接触区域(3)との間に、気密なろうなし圧入結合部が生じることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の電気部品。
【請求項7】
開口(2)が印刷回路板(9)に打抜かれていることを特徴とする、先行する請求項の1つに記載の電気部品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−522684(P2007−522684A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501102(P2007−501102)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002814
【国際公開番号】WO2005/079127
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(503355292)コンティ テミック マイクロエレクトロニック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (79)
【氏名又は名称原語表記】Conti Temic microelectronic GmbH
【住所又は居所原語表記】Sieboldstrasse 19, D−90411 Nuernberg, Germany
【Fターム(参考)】