印影の認証システム
【課題】印影画像の周波数成分における特徴点を抽出し、特徴点におけるチェックを行うことで、信頼性を更に向上させる印影の認証システムを提供すること。
【解決手段】スキャナ1で取り込まれた認証用印影画像データと入力部8で入力された識別データとを取得し、情報生成部10において、該識別データに対応する登録用印影画像データと2値1次元テンプレートを呼び出す処理と、前記呼び出した登録用印影画像データと認証用印影画像データとの相関に基づく位置合わせを行う位置合わせ処理と、DCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、DCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元情報を生成する処理とを実行し、該認証部9は、登録情報を生成する情報生成部10で生成した前記識別データに対応する2値1次元テンプレートと、認証情報を生成する情報生成部10で生成した前記2値1次元情報とを対比して認証すること。
【解決手段】スキャナ1で取り込まれた認証用印影画像データと入力部8で入力された識別データとを取得し、情報生成部10において、該識別データに対応する登録用印影画像データと2値1次元テンプレートを呼び出す処理と、前記呼び出した登録用印影画像データと認証用印影画像データとの相関に基づく位置合わせを行う位置合わせ処理と、DCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、DCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元情報を生成する処理とを実行し、該認証部9は、登録情報を生成する情報生成部10で生成した前記識別データに対応する2値1次元テンプレートと、認証情報を生成する情報生成部10で生成した前記2値1次元情報とを対比して認証すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印影の認証システムに関し、詳しくは印影画像の周波数成分における特徴点を抽出し、特徴点におけるチェックを行うことで、信頼性を更に向上させる印影の認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通帳の印鑑欄に届出印を押印し、預金を引き出す際に伝票の印影と通帳に押印されている届出の印影を銀行員が目視により照合確認している。しかしながら、通帳が盗難に遭い、通帳に捺印されている届出印鑑が偽造され、貯金が引き出されるトラブルが増えてきている。
【0003】
このため近年では、通帳に印影を表示しない方法を採用し始めているが、ユーザサイドからみると、通帳によって銀行取引しようとするとき、どの印鑑かわからず不便となっていた。ユーザが誤った印鑑を伝票に押してしまえば取引が不可能になり、これを回避するために複数の印鑑を銀行に持参して認証してもらう場合がある。
【0004】
しかし、かかる複数の印鑑認証を目視で行うことは手間がかかり、銀行作業の煩雑化を招くおそれがある。
【0005】
このため、特許文献1には、印影データを電子化して、従来目視で照合している事務作業の合理化が可能な通帳発行システム及び通帳並びに印影照合システムが提案されている。特許文献1ではラベルのコードの印字形式としてバーコード(1次元コード)を用いてもよい旨の記載はあるが、1次元コードの作成方法の開示がなく、実現不可能である。
【0006】
特許文献2では、印影のイメージとは別個に作った白ベタ又は黒ベタのビットマップイメージにキーワード(パスワード、検印日付、文書情報)を埋め込んで、埋め込みビットマップイメージを作り、この埋め込みビットマップイメージに登録印鑑イメージをAND合成して印鑑イメージを作っている。しかし、この技術は、画像の圧縮を採用していない画像埋め込み技術であるためデータ容量が大きくなる欠点がある。
【0007】
特許文献3は、口座番号等をバーコードにして、そのバーコードと印影イメージを関連付けてデータベースに登録しておく方法で、印鑑イメージを比較する点で特許文献2と同様な欠点がある。
【特許文献1】特開平10−208048号公報
【特許文献2】特開2000−20718号公報
【特許文献3】特開平9−319807公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、印影画像の周波数成分における特徴点を抽出し、特徴点におけるチェックを行うことで、信頼性を更に向上させる印影の認証システムを提供することにある。
【0009】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の発明によって解決される。
【0011】
(請求項1)
印鑑の印影を取り込む画像取込部を有するスキャナと、識別データを入力する入力部と登録情報及び認証情報を生成する情報生成部と印影画像の認証を行う認証部とを有する認証サーバを備え、
前記認証サーバにおける登録情報を生成する情報生成部は、前記スキャナで取り込まれた登録用印影画像データと前記入力部で入力された識別データとを取得し、該情報生成部において、前記取得した登録用印影画像データを複数のブロックに分割する処理と、各ブロック分毎にDCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応する番地(アドレス)とDCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元テンプレートを生成する処理とを実行し、
前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データを対応させて保存する手段とを有し、
前記認証サーバにおける認証情報を生成する情報生成部は、前記スキャナで取り込まれた認証用印影画像データと前記入力部で入力された識別データとを取得し、該情報生成部において、該識別データに対応する登録用印影画像データと2値1次元テンプレートを呼び出す処理と、前記呼び出した登録用印影画像データと認証用印影画像データとの相関に基づく位置合わせを行う位置合わせ処理と、該位置合わせ処理された認証用印影画像データを複数のブロックに分割する処理と、各ブロック分毎にDCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応する番地(アドレス)とDCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元情報を生成する処理とを実行し、
該認証部は、登録情報を生成する情報生成部で生成した前記識別データに対応する2値1次元テンプレートと、認証情報を生成する情報生成部で生成した前記2値1次元情報とを対比して認証することを特徴とする印影の認証システム。
【0012】
(請求項2)
情報生成部で生成された各ブロック毎の2値1次元テンプレート及び2値1次元情報は、印影がある画素の画素数を構成に含むことを特徴とする請求項1記載の印影の認証システム。
【0013】
(請求項3)
認証部は、2値1次元テンプレート及び又は2値1次元情報において印影がある画素の画素数が閾値以下である場合には、認証対象からは外し、閾値より多いブロックのみで認証を行う処理を実行することを特徴とする請求項2記載の印影の認証システム。
【0014】
(請求項4)
認証部は、2値1次元テンプレートと前記2値1次元情報とを対比すると共に、画素数を対比し、対比した結果を基にファジィ推論を用いて更に認証することを特徴とする請求項2又は3記載の印影の認証システム。
【0015】
(請求項5)
前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データを対応させて保存する手段が、認証サーバ内のデータテーブル、又は認証サーバとは別に設けたデータベースサーバ内のデータテーブルであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の印影の認証システム。
【0016】
(請求項6)
前記データテーブルは、前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データとを関連付けて構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【0017】
(請求項7)
前記データテーブルは、前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データと利用者属性とを関連付けて構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【0018】
(請求項8)
前記データテーブルは、メインデータテーブルとサブデータテーブルからなり、該メインデータテーブルは前記識別データと前記識別データに対応するサブデータテーブル名と登録用印影画像データとにより構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【0019】
(請求項9)
前記サブデータテーブルは前記識別データと前記識別データに対応する前記複数のブロックに分割した各ブロックのブロック番号と前記複数のブロックに分割した各ブロックの印影の画素数と前記登録情報を生成する情報生成部で生成した2値1次元テンプレートとにより構成されていることを特徴とする請求項8記載の印影の認証システム。
【0020】
(請求項10)
前記データテーブルにおけるサブデータテーブルへの保存を区分けする手段が、(1)少なくとも丸印、角印、楕円印の3つの印影の外周形状を含む印影の外周形状に対応させる構成、(2)印影の文字部分のエッジから読み仮名を判別して50音順に整理する構成、又は(3)少なくとも印相体、てん書体、古印体の3つの印影の書体を含む印影の書体に対応させる構成の何れかであることを特徴とする請求項8又は9記載の印影の認証システム。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、印影画像の周波数成分における特徴点を抽出し、特徴点におけるチェックを行うことで、信頼性を更に向上させる印影の認証システムを提供することができる。具体的には個人にとっても法人にとっても最重要問題であるような、不動産の取引、金銭の取扱などにおける安全性の確保のため、使用された印鑑が正規なのか偽造なのかを迅速かつ正確に判別できるシステムを提供でき、印鑑の印影で認証を行うような場所において大きな効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る印影の認証システムの一例を示す機能ブロック図であり、図2は本発明に係る印影の認証システムの他の例を示す機能ブロック図である。
【0024】
図1の例は、スキャナ1と認証サーバ2とデータベースサーバ3が通信回線網4によって接続されているシステム例である。図2の例は図1の例と異なり、データベースサーバ3がなく、スキャナ1と認証サーバ2によって構成され、データテーブル13が認証サーバ2に備えているシステム例である。
【0025】
図1の例は、スキャナ1と認証サーバ2とデータベースサーバ3の各々の機能を分けているが、ハードウェアとしては、スキャナ1に認証サーバ2とデータベースサーバ3の機能を保有していてもよい。また認証サーバ2とデータベースサーバ3が一つのサーバで二つの機能を保有していてもよい。また図2の例は、スキャナ1と認証サーバ2の各々の機能を分けているが、ハードウェアとしては、スキャナ1に認証サーバ2の機能を保有していてもよい。
【0026】
以下の説明では、図1に示す例で説明する。
【0027】
スキャナ1は、登録用及び認証用の印影を印影画像データとして取り込む画像取込部5と、送信部6とを少なくとも備えている。
【0028】
認証サーバ2は、前記登録時と認証時の印影画像データをスキャナ1から取得する画像取得部7と、前記印影画像データに関連する登録用及び認証用の識別データを入力する入力部8と、後述する2値1次元テンプレートと認証用2値1次元情報とを対比して認証を行う認証部9と、後述する登録時に作成する登録用テンプレート、認証時に作成する2値1次元情報を作成する情報生成部10と、表示部11、送信部12とを少なくとも備えている。
【0029】
入力部8は、前記登録用及び認証用の印影画像に関連する識別データを入力する役割を果たすのもので、例えばユーザインターフェースを用いることが出来る。ユーザインターフェース8としては、キーボード、マウス、タッチパネル等を用いることが出来る。以下には、キーボードを入力部として用いた例で説明する。
【0030】
情報生成部10は、登録時は登録情報生成部、認証時は認証情報生成部とする。
【0031】
データベースサーバ3は、情報生成部で生成された登録情報を保存するデータテーブル13を少なくとも備えている。
【0032】
通信回線網4としては、例えば、LAN、WAN、インターネット、専用回線等の通信回線等が挙げられる。
【0033】
本発明に係る印影の認証システムは、登録処理と認証処理を含む。以下、登録処理と認証処理の各々について詳説する。
【0034】
(1)登録処理
以下に、登録処理の例を図3に基づいて説明する。
【0035】
最初、登録画面を表示部11に表示する(S1)。表示部11には、登録する印鑑の印影及び登録者を特定するための識別データ入力の登録画面(図示せず)が表示されている。
【0036】
次に、キーボード8から識別データを入力する(S2)。入力された識別データは、登録情報生成部に送られる。識別データとしては、ユーザ毎に重複しない個人情報であればよく、例えば銀行の口座番号、免許証番号、社会保険番号、納税者番号などのID番号が好ましい。また必要により氏名、生年月日、会社部署、役職などの利用者属性を入力しておいてもよい。
【0037】
次に、スキャナ1は、スキャナの画像取込部5を起動させて印影画像を取り込む(S3)。印影は、印影の文字を上下確認して押印する。このとき、水平・垂直方向が必ずしもあっていなくてもよい。S3で取り込まれた登録用印影画像データは、スキャナ1の送信部6から認証サーバ2に送信され、認証サーバ2の画像取得部7に送られる。画像取得部7は、送られた登録用印影画像データを取得し、該登録用印影画像データを登録情報生成部10に送り、登録情報生成部10は、登録用印影画像データと識別データを取得する(S4)。
【0038】
登録情報生成部10は、取得した登録用印影画像データを、設定・変更可能な閾値を用いて2値化の印影画像データとするよう画像処理する(S5)。例えば、スキャナ1から送られた印影画像データが256濃度階調で取り込まれたら、その階調から画素値を閾値195として、閾値以上を白、閾値未満を黒で画像処理する。図4(a)には、256階調の印影画像、図4(b)には、モノクロ画像の例が示されている。
【0039】
上記画像処理により、処理された印影を登録用本印影画像データとする。
【0040】
次に、登録情報生成部10において、2値1次元テンプレートの作成処理を行う(S6)。
【0041】
以下に、2値1次元テンプレート作成処理のシステムフローを図5に基づいて説明する。
【0042】
まず、登録用本印影画像データを分割する(S20)。分割する際に、印影の中心を求めておく必要がある。例えば、円形の印影の場合、印影の外周の中心と直径を、登録情報生成部10にて直径を可変可能なパラメータとして作り出し、印影の外周との相関によって求める。また角印の場合は、登録情報生成部10にて、水平、垂直な線を作り出し、角印の縦・横とを正確に一致させるようにし、角印の縦・横の最大長から中心を求める。このようにして求まった中心は、分割処理の際の中心にもなる。丸印の印影画像データを分割した例を図6に示す。400は、印影を分割した線であり、401は、線400により区切られたブロックである。本発明の好ましい実施例としては、横6ブロック、縦6ブロックの36分割にすることが好ましいが、これに限定されない。またブロックに番号を付与し、左上から右方向へ走査方式で1,2,3,・・・6となり、2行目のブロックも左から右へ同様に1行目の続き番号で順に付与し、最後の右下のブロックをナンバー36と付与してもよい。この番号の付与の方法は、これに限定されない。
【0043】
次に、前記分割されたブロックのうち、1ブロック毎に離散コサイン変換(DCT変換)を行う(S21)。
【0044】
1ブロックの画像がM×N画素の入力印影画像情報(デジタル画像情報)の場合に、横方向位置mと縦方向位置nの画像信号(画素値)をf(m,n)としたとき、周波数軸上の横方向位置u、縦方向vのDCT係数はF(u,v)で与えられる。
2次元DCTは、次数式で定義される。但し、信号f(m,n)はm=0・・・M-1,n=0・・・N-1 である。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】
ここで、C(u),C(v)は次数式で示すような正規化定数である。
【0048】
【数3】
【0049】
F(u,v)は実数であるから、その振幅部と符号部との分離可能関数(Separable function)
【0050】
【数4】
【0051】
として記述できる。ただし、
【0052】
【数5】
【0053】
である。
【0054】
以上のDCT変換によって、DCT係数を求める(S22)。そのDCT係数F(u,v)からDCT振幅とDCT符号(プラスとマイナス)が求めることができる。
【0055】
DCT振幅は各成分(周波数)位置でのパワーを表すものであり、いいかえれば原信号の中に含まれているその成分の大きさを表すものであり、DCT振幅は原信号のエネルギーに関した情報を担っているといえる。
【0056】
同じDCT振幅でも、DCT符号が異なれば明らかに異なった信号となる。DCT符号は、信号の構成に際してその信号の骨格となる情報を有している。即ち、DCT符号の正・負の配置で原信号を識別でき、正・負のDCT符号のみから輪郭線画が得られる。このことはDCT符号の特徴的性質を示す符号のみの逆変換であるsign-Only Synthesis(SOSともいう)の画像をみると明らかとなる。
【0057】
【数6】
【0058】
従って、DCT符号によって、各ブロックにおける印影画像の輪郭による書体の違い、印影の文字の太さ、ハネの傾き、ハネの度合い等の差が明らかとなる。ハネの差は、一般的にDCT変換をすると周波数の高いエリアに違いが出てくる。
【0059】
次に、DCT係数の番地を、DCT係数の絶対値の大きい方から所定数程度求め、該番地に該当するDCT符号を抽出する(S23)。所定数というのは、画素数によっても異なるが、本発明で好ましく適用できる1ブロック32×32画素の場合で、DCT係数の絶対値の大きい方から10%程度(例えば、100点程度)で決められる数(番地数)である。この番地を所定数求めるという処理が、特徴点抽出処理である。特徴点とその特徴点のDCT符号の分布図を図7に示す。図7では、説明の便宜上8×8画素における特徴点のDCT符号の分布図を示す。
【0060】
次に、S23の処理によって得られる特徴点の符号を基に、プラスを1、マイナスを0として表された2値1次元テンプレートを生成する(S24)。その結果をもとに図8に示すような1ブロック分の2値1次元テンプレートを作成することができる。
【0061】
上記2値1次元テンプレートを作成したら、1つのブロックについて終了したことになる。これをブロック数分行う。つまりS21からS24の処理を繰り返し、ブロック数分終了するまで行う。前記繰り返し処理を行い、ブロック数分の2値1次元テンプレートを生成する。
【0062】
以上のようにしてブロック数分の2値1次元テンプレートを生成したら、図5の登録処理に戻って、入力部で入力された登録者の識別データ(例えばIDなど)と前記生成された複数の2値1次元テンプレートと該複数の2値1次元テンプレートに対応した前記登録用本印影画像データからなる登録用テンプレートを作成する(S7)。図9には作成された登録用テンプレートの一例が示されている。また、登録用テンプレートのうち2値1次元テンプレートは、複数の2値1次元テンプレートを合成させて構成されてもよい。
【0063】
図9において、500は登録者のIDであり、501は2値1次元テンプレートであり、502は登録者の登録用本印影画像データであり、503は、ID500と2値1次元テンプレート501と登録用本印影画像データ502からなる登録用テンプレートである。
【0064】
認証サーバ2は、作成された登録用テンプレートを、データベースサーバ3に送り、データベースサーバ3は、登録用テンプレートをデータテーブル14に保存する(S8)。
【0065】
図10には、登録用テンプレート503を保存している例が示されている。データテーブルの形式は図示された形式に限定されず、利用者属性等の個人情報を登録してもよい。利用者属性とは、氏名、フリガナ、生年月日、会社名、会社部署、役職など印影を登録する際の登録者の属性である。
【0066】
また、データテーブルの他の例を図11,図12に示す。
【0067】
図11には、メインデータテーブルとサブデータテーブルがあり、メインデータテーブルには、IDに対応するサブデータテーブル名と印影画像データが登録され、サブデータテーブルには、IDとブロック番号に対応した各ブロックの画素数、2値1次元テンプレートが登録される。また必要に応じて登録者属性等の個人情報等が登録されてもよい。これは、登録用テンプレートを分割させて保存させるような処理であり、これを実現させる方法としては、登録用テンプレートに、登録情報生成部で生成される際、登録用テンプレートを構成する順序と情報量を決定させ、その情報量がどの情報なのかをあらかじめ、決めて生成すればよい。例えば、前記登録用テンプレートでは、ID500、2値1次元テンプレート501、印影画像ファイル名502が少なくとも保存されている。情報量例としては、IDを最初の8バイト、2値1次元テンプレートをIDの次に続く16バイト、印影画像ファイル名を2値1次元テンプレートの次に続く64バイトというように指定すれば、全部で88バイトの情報量となり、登録用テンプレートをそれぞれの情報毎に指定された情報量を参照し、データテーブルに当てはまるフィールドに保存していく。これにより、データテーブルを分散させても、それぞれの名称、情報量、登録用テンプレートを構成する順序に合わせた保存が可能になる。
【0068】
また、サブデータテーブル名を印影の書体、印影の外周形状、印影の文字部分のエッジから読み仮名を判別し50音順、例えばあ行テーブル等に決めて、印影の登録の際にどのサブデータテーブルに保存するか決めてもよい。印影の書体としては、印相体、けい書体、古印体その他隷書体、楷書体、行書体等も含まれる。また、サブテーブル名としては、法人印、個人印等の印鑑の種類によっても区分けされてもよい。また、印影の外周形状の直径等の大きさによって区分けされてもよい。図12には、印影の書体をサブデータテーブル名に用いた場合の例を示す。
【0069】
サブデータテーブルへの参照方法としては、図示しないが、ID等により例えば1000番代はサブデータテーブル1を参照しに行く、10000番代はサブデータテーブル2を参照しに行くというように、ID番号等でサブデータテーブルの参照を行ってもよいし、角印、丸印、その他楕円形印など印影の形状でサブテーブルを参照しにいくようにしてもよいし、印影の文字の読み方で、50音順に分けたサブデータテーブルを参照しに行くようにしてもよい。文字の読み方は、印影の文字を識別するようにしてもよいし、登録者の属性情報等で氏名、フリガナなどの登録情報で識別してもよい。
【0070】
また、図示しないが、多種のサブデータテーブルを作成する際にメインデータテーブルにID等の個数による振り分け、印影形状、印影の書体等による振り分けを行う際には、予めメインデータテーブルに登録者の印影の形状、印影の書体なども識別データに対応させて登録しておいてもよい。例えば、印影の書体のサブデータテーブルを持ち、更に印影の形状によるサブデータテーブルも作成したいというときに、上記、印影の形状がメインデータテーブルに保存してあれば、その印影の形状によるデータを基に該当する登録者データを、サブデータテーブルに区分けし保存することができる。
【0071】
(2)認証処理
次に、認証処理について説明する。
【0072】
図13には、認証処理の例が示されている。
【0073】
表示部11に、認証画面を表示する(S30)。表示部11には、IDの入力欄と決定ボタンを少なくとも備えている認証画面(図示せず)が示されている。
【0074】
キーボード8で入力欄にIDを入力し(S31)、決定ボタンを押すと、スキャナ5が起動し、取込状態となる。
【0075】
次に、スキャナ5で専用紙に押印された印影を取り込む(S32)。印影は多値画像として取り込まれる。該取り込まれた印影は、認証用印影画像データとしてスキャナ1の送信部6から認証サーバ2の画像取得部7に送られる。該送られた認証用印影画像データは、画像取得部7から認証情報生成部10に送られ、認証情報生成部10は、認証用印影画像データを取得する(S33)。
【0076】
認証サーバ2は、登録用テンプレートのうちID(例えばGSD0001)に対応する登録用テンプレートをデータテーブルから呼び出す(S34)。
【0077】
該呼び出された登録用テンプレートのうち登録用本印影画像データを認証情報生成部10に送り、該送られた登録用本印影画像データと、前記取得した認証用印影画像データとを比較し、認証用印影画像データを登録用本印影画像データに合わせるように位置合わせ処理する(S35)。具体的には、取得した認証用印影画像データを登録時と同様に登録時の設定変更可能な閾値を用いて複数個のテスト2値印影画像を作り、更に、登録用本印影画像データとテスト2値印影画像との相互相関値を利用して最適閾値を決定する。このとき、テスト2値印影画像をシフト1画素刻み、回転を3度刻みで相互相関値を求め、相関値の最大値を探す。同じ印影にてS35の処理をした場合、相関値の最大値は0.9以上になる。違った印影を用いた場合は、0.6以下となる。0.9以上になった位置をおおよそテスト2値印影画像の位置と決定する。決定したら、前記おおよその位置及びその近傍をシフト1画素刻み、回転を1度刻みで探索する。これによって相互相関値を求め、相関値の最大値を探す。相関値の最大値が求まった位置が一致した場所となる。次に一致した場所において登録時の設定変更可能な閾値を±3ずつ変化させていき、登録用本印影画像テスト2値印影画像と相互相関値が最大となったときの閾値を最適閾値として、認証用印影画像を2値化し、認証用2値印影画像を作成する。
【0078】
印影が全く違った場合、画像処理をしても相関値が0.9未満の場合は、もう一度、印影を取り込ませるよう指示するようにしてもよい。つまりS32の処理まで戻すよう指示をする。また認証処理自体を終了させるようにしてもよいし、認証画面を表示させ、認証処理をはじめからやり直させるようにしてもよい。つまりS30まで戻すようにすることである。
【0079】
次に、認証情報生成部10において、2値1次元情報を作成する(S36)。
【0080】
以下に、2値1次元情報作成処理フローの説明を図14に基づいて説明する。
【0081】
先ず、認証情報生成部10は、登録処理と同様に、認証用2値印影画像データの分割を行う(S50)。認証用2値印影画像データは、分割される際に、登録処理と同様に登録用の本印影画像を分割した画素数(例えば1ブロック32×32画素)にあわせるように分割することが好ましい。
【0082】
分割された認証用2値印影画像データを登録処理と同様な手法で1ブロック毎にDCT変換を行う(S51)。次いで、DCT係数を算出する(S52)。
【0083】
次いで該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応するDCT符号を求める(S53)。この処理は、登録処理と同様であり、また所定数の定義も登録処理と同様である。S53の処理は1ブロック分に写っている印影画像の特徴点を抽出する処理である。
【0084】
特徴点の符号を基に「0」、「1」で表された2値1次元情報を生成する(S54)。この処理は分割された画像データのうちの1ブロックにて行われているため、上記処理はブロック数分行われる。ブロック数分行い、ブロック数分の2値1次元情報を生成する。つまりS51〜S54をブロック数分繰り返し行う。
【0085】
認証情報生成部10で生成された2値1次元情報は、認証部9に送られる。送られる際に、1ブロック毎に生成された2値1次元情報は、全て作成されるまで、RAM等のメモリに一次的に記憶され、ブロック数分の処理が完了した時点で認証部に送られてもよいし、1ブロック毎に生成された時点で認証部に送られてもよいし、特に限定されない。
【0086】
認証部9は、2値1次元情報を取得したら、図13の処理に戻り、呼び出された登録用テンプレートのうち2値1次元テンプレートと2値1次元情報とを各ブロックごとに対比する(S37)。例えば、3行4列目のブロックが、ABCDという2値1次元テンプレートに対して、ABCFという2値1次元情報があるとする。この16進数のデータを対比する。2進数に直すと、3行4列目のブロックの2値1次元テンプレートは1010101111001101、3行4列目のブロックの2値1次元情報は1010101111001111という情報になる。前記2進数の各ビットで対比する。16点中15点が合致したので、一致率は、93.75%となる。一致率が出たら、1つのブロックでの対比が終了したことになり、これをブロック数分行い、各ブロックにて一致率が計算される。
【0087】
計算された全ブロックの各々の一致率と、各々の一致率の平均値を表示部に送る(S38)。
【0088】
一致率の平均値が93%以上という結果が出て、尚且つ各々の一致率が93%以上であった場合は、認証が許可される。また、一致率の平均値が93%未満の結果が出た場合は、認証が拒否される。許可、拒否いずれの場合も結果は表示部に送られる。
【0089】
一致率の平均値が閾値以上という結果が出て、一致率が93%未満なブロックがあった場合は、印影画像データの該当するブロックの背景色を印影が見える程度の度合いで変色する。更に、「要再検査」等のコメントを表示部に送る(S39)。このとき、コメントを出された部分については、改めて黙示等で確認してもよいし、これに限定されない。
【0090】
ここで、各ブロックの一致率及びブロック数分の一致率の平均値は93%という値を用いているが、これは一致率の閾値であり、この値は設定変更可能である。
【0091】
表示部は、前記送られた結果を表示する(S40)。表示された結果例を図15に示す。図15には、認証用2値印影画像データ、平均一致率、閾値未満であったブロックの一致率とコメントが表示されている。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は上記に限定されず、以下の他の好ましい態様を採用することもできる。
【0093】
S22の処理の際、100点程度求めた特徴点の位置情報を横をi,縦をjとして記憶してもよい。記憶された位置情報は後述する認証処理の際、テスト印影の特徴点抽出処理を行わず、この記憶された位置情報を用いることができる。
【0094】
S24の処理のとき、2値1次元テンプレートに対応するブロックの印影画像の印影画素数も記憶しておいてもよい。つまり2値1次元テンプレートは、画素数と2値1次元の情報で構成されてもよい。
【0095】
S7の処理のとき、登録用テンプレートのうち2値1次元テンプレートを、ブロック数分集合させ、1つにまとめて作成してもよいし、2以上の2値1次元テンプレートを合成させ複数作成してもよい。また、2以上の2値1次元テンプレートを合成させる場合の組み合わせ方は任意であり、特に限定されない。また、ブロック数分の2値1次元テンプレートを集合させ1つにまとめる場合、走査方向は、左上ブロックを1ブロックとして左上から順に右に向かい、1行目が終ったら次行の左側のブロックから右に向かわせ、全ブロックが走査し終わるまで走査させる。走査方向は、これに限定されず、ブロックを斜めに走査してもよいし、右上から左に向かって走査してもよい。
【0096】
S34の処理の際に、登録テンプレートを呼び出すのではなく、IDに対応したサブデータテーブルを参照しに行き、必要な情報を呼び出すようにしてもよい。必要な情報は、その都度参照しに行っても良いし、最初にサブデータテーブルのIDに対応した情報を取り出しておき、認証サーバに記憶させておいてもよい。
【0097】
S50の処理で、画像処理をした後、S51の処理前に、各ブロックにおける印影のある画素数、つまりは、2値化された印影画像のうち各ブロックの印影がある画素の数を記憶しておいてもよい。
【0098】
S37の処理において、S50の処理で、画素数が記憶されてあった場合、各ブロックの一致率だけでなく、画素数も登録時と認証時の各ブロックでの差分を計算する。このとき、各ブロックでの登録時の印影画像の画素数、認証時の印影画像の画素数のどちらか少なくともいずれかが画素数50未満であった場合には、認証対象から外すようにしてもよい。また、一致率と差分を用いてファジィ推論により総合信頼度を求めて認証を行うことも出来る。
【0099】
以下、ファジィ推論について説明する。
【0100】
印鑑認証の場合、一般にテンプレートにて一致率の計算のみで十分と考えられるが、ブロック内の印影の形状によっては、テンプレートだけでは不十分なこともあり得る。ファジィ推論は印影のかすれ等によりテンプレートの一致率が不安定となることを防ぐ目的で導入する。
【0101】
ファジィ推論を導入するにあたり、テンプレート一致率の他に対応するブロックの印影画素数を用いる。登録用本印影と認証用2値印影との画素差が大きいということは異なる印影である可能性が高いということであり、画素差が小さいならば同じ印影である可能性が高いということになる。この性質はテンプレート一致率と同じ性質であるが、必ずしも一致しているわけではない。テンプレートチェックは、周波数面からの特徴点のチェックであり、画素差チェックは、画像平面そのものからのチェックであり、互いに欠けている部分を補う性質を有している。用いたファジィ推論は直接法であり、使用するパラメータは、テンプレートの一致率と画素差である。図16(a)には、「テンプレート一致率・大」に対するメンバーシップ関数が示されていて、図16(b)には「テンプレート一致率・小」に対するメンバーシップ関数が示されていて、図17(a)には、「画素差・大」に対するメンバーシップ関数が示されている。図17(b)には、「画素差・小」に対するメンバーシップ関数が示されている。
【0102】
ルールのパラメータは上記のテンプレート一致率と登録用本印影画像と認証用2値印影画像との画素差とする。以下のルールを一致率及び画素差を求めたブロックに適用し、各ブロックの信頼度を求め、それらの重み付き平均として最終結論を求める。
【0103】
ルール1:一致率が大きく、画素差が大きいならば、信頼度はどちらともいえない。
【0104】
ルール2:一致率が大きく、画素差が小さいならば、信頼度は高い。
【0105】
ルール3:一致率が小さく、画素差が大きいならば、信頼度は低い。
【0106】
ルール4:一致率が小さく、画素差が小さいならば、信頼度はどちらとも言えない。
【0107】
これらは一般にif,thenルールと呼ばれている。例えばルール1でいうと、「一致率が大きく、画素差が大きいならば」という前半部分がif、「信頼度はどちらともいえない」という後半部分がthenと呼ばれる。これは図16(a)が、一致率が大きくという関数、図16(b)が、一致率が小さくという関数に当てはまる。また図17(a)が、画素差が大きいならばという関数、図17(b)が、画素差が小さいならばという関数に当てはまる。前半部分はAND演算で信頼度エリアが決定され、4つのルールにおいて信頼度エリアが決定されたら、その結果をOR演算し、重心を求める。
【0108】
例えば、一致率69%、画素差54のブロックがあったとする。このブロックの一致率、画素差をパラメータとし、ファジィ推論を用いた例を図18に示す。
【0109】
まずそれぞれのルールにおいて、上記パラメータを当てはめ、信頼度エリアを決定する。
決定された信頼度エリアをOR演算で出されたときの重心部分がそのブロックでの信頼度となる。この重心を求めると信頼度は0.2352となる。これにより一つのブロックの信頼度が決定される。
【0110】
上記手法を他のブロックでも行うことで全てのブロックの信頼度を求め、重み付き平均で最終的に総合信頼度を決定する。下記数式に総合信頼度を求める式を示す。
【0111】
Sを総合信頼度、M(n)を第nブロックの一致率、C(n)を第nブロックに対する重みとすると、
【0112】
【数7】
【0113】
である。ここで、36という数は、分割数例であり、固定されるわけではない。
【0114】
また、C(n)は画素差が少ないブロックの不安定さが総合信頼度に与える影響を軽減するものであり、
【0115】
【数8】
【0116】
とすると、
【0117】
【数9】
【0118】
で定義される。
【0119】
数8の数式の重みは、各ブロックの印影のある画素数に依存したもので、たとえ一致率が低くてもブロックの印影のある画素の画素数が少ないとその信頼性はやや低く、十分な画素数を持つブロックの信頼度と同等の重みで平均を取るには公平さを欠く。したがってこれらの不公平さをなくすために経験に基づいて印影のある画素の画素数に依存した重みをつけたものである。また、印影のある画素の画素数が十分なブロックで一致率が閾値より低い場合は、数7による総合信頼度の数値と共に、そのブロックナンバーと画素数、一致率及び「要再検査」という文言を打ち出しそのブロックを色付けした画像を出力している。出力した例を図19に示す。図19に示してある総合信頼度は、−1〜+1の間で表される小数2桁の実数であり、ブロックナンバーは、分割した際に付けられたブロック番号であり、画素数は、認証用2値印影画像データのブロックナンバーに対応した印影の画素数であり、一致率は、ブロックナンバーでの一致率である。またコメントは、ブロックナンバーでの信頼度により、閾値未満の場合に打ち出されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明のシステムの一例を示すブロック図
【図2】本発明のシステムの他の例を示すブロック図
【図3】本発明の登録処理のフロー例を示す図
【図4】(a)はスキャナの画像取込部で取り込んだ印影画像、(b)は画像処理をして2値印影画像を示す図
【図5】本発明の2値1次元テンプレート作成処理のフロー例を示す図
【図6】本発明の印影画像の分割例を示す図
【図7】本発明の分割された1つのブロックをDCT変換したのちのDCT符号の特徴点分布を示す図
【図8】本発明の2値1次元テンプレートの例を示す図
【図9】本発明の登録用テンプレートの例を示す図
【図10】本発明のデータテーブルの例を示す図
【図11】本発明の他の態様におけるデータテーブルの例を示す図
【図12】本発明の他の態様におけるデータテーブルの例を示す図
【図13】本発明の認証処理のフロー例を示す図
【図14】本発明の2値1次元情報作成処理のフロー例を示す図
【図15】本発明の認証結果の表示例を示す図
【図16】本発明のファジィ推論における一致率に係るメンバーシップ関数の例を示す図
【図17】本発明のファジィ推論における画素差に係るメンバーシップ関数の例を示す図
【図18】本発明のファジィ推論における1つのブロックの信頼度を導き出す例を示す図
【図19】本発明のファジィ推論を用いた場合の認証結果の表示例を示す図
【符号の説明】
【0121】
1:スキャナ
2:認証サーバ
3:データベースサーバ
4:通信回線網
5:画像取込部
6:送信部
7:画像取得部
8:入力部
9:認証部
10:情報生成部
11:表示部
12:送信部
13:データテーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、印影の認証システムに関し、詳しくは印影画像の周波数成分における特徴点を抽出し、特徴点におけるチェックを行うことで、信頼性を更に向上させる印影の認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通帳の印鑑欄に届出印を押印し、預金を引き出す際に伝票の印影と通帳に押印されている届出の印影を銀行員が目視により照合確認している。しかしながら、通帳が盗難に遭い、通帳に捺印されている届出印鑑が偽造され、貯金が引き出されるトラブルが増えてきている。
【0003】
このため近年では、通帳に印影を表示しない方法を採用し始めているが、ユーザサイドからみると、通帳によって銀行取引しようとするとき、どの印鑑かわからず不便となっていた。ユーザが誤った印鑑を伝票に押してしまえば取引が不可能になり、これを回避するために複数の印鑑を銀行に持参して認証してもらう場合がある。
【0004】
しかし、かかる複数の印鑑認証を目視で行うことは手間がかかり、銀行作業の煩雑化を招くおそれがある。
【0005】
このため、特許文献1には、印影データを電子化して、従来目視で照合している事務作業の合理化が可能な通帳発行システム及び通帳並びに印影照合システムが提案されている。特許文献1ではラベルのコードの印字形式としてバーコード(1次元コード)を用いてもよい旨の記載はあるが、1次元コードの作成方法の開示がなく、実現不可能である。
【0006】
特許文献2では、印影のイメージとは別個に作った白ベタ又は黒ベタのビットマップイメージにキーワード(パスワード、検印日付、文書情報)を埋め込んで、埋め込みビットマップイメージを作り、この埋め込みビットマップイメージに登録印鑑イメージをAND合成して印鑑イメージを作っている。しかし、この技術は、画像の圧縮を採用していない画像埋め込み技術であるためデータ容量が大きくなる欠点がある。
【0007】
特許文献3は、口座番号等をバーコードにして、そのバーコードと印影イメージを関連付けてデータベースに登録しておく方法で、印鑑イメージを比較する点で特許文献2と同様な欠点がある。
【特許文献1】特開平10−208048号公報
【特許文献2】特開2000−20718号公報
【特許文献3】特開平9−319807公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、印影画像の周波数成分における特徴点を抽出し、特徴点におけるチェックを行うことで、信頼性を更に向上させる印影の認証システムを提供することにある。
【0009】
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、以下の発明によって解決される。
【0011】
(請求項1)
印鑑の印影を取り込む画像取込部を有するスキャナと、識別データを入力する入力部と登録情報及び認証情報を生成する情報生成部と印影画像の認証を行う認証部とを有する認証サーバを備え、
前記認証サーバにおける登録情報を生成する情報生成部は、前記スキャナで取り込まれた登録用印影画像データと前記入力部で入力された識別データとを取得し、該情報生成部において、前記取得した登録用印影画像データを複数のブロックに分割する処理と、各ブロック分毎にDCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応する番地(アドレス)とDCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元テンプレートを生成する処理とを実行し、
前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データを対応させて保存する手段とを有し、
前記認証サーバにおける認証情報を生成する情報生成部は、前記スキャナで取り込まれた認証用印影画像データと前記入力部で入力された識別データとを取得し、該情報生成部において、該識別データに対応する登録用印影画像データと2値1次元テンプレートを呼び出す処理と、前記呼び出した登録用印影画像データと認証用印影画像データとの相関に基づく位置合わせを行う位置合わせ処理と、該位置合わせ処理された認証用印影画像データを複数のブロックに分割する処理と、各ブロック分毎にDCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応する番地(アドレス)とDCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元情報を生成する処理とを実行し、
該認証部は、登録情報を生成する情報生成部で生成した前記識別データに対応する2値1次元テンプレートと、認証情報を生成する情報生成部で生成した前記2値1次元情報とを対比して認証することを特徴とする印影の認証システム。
【0012】
(請求項2)
情報生成部で生成された各ブロック毎の2値1次元テンプレート及び2値1次元情報は、印影がある画素の画素数を構成に含むことを特徴とする請求項1記載の印影の認証システム。
【0013】
(請求項3)
認証部は、2値1次元テンプレート及び又は2値1次元情報において印影がある画素の画素数が閾値以下である場合には、認証対象からは外し、閾値より多いブロックのみで認証を行う処理を実行することを特徴とする請求項2記載の印影の認証システム。
【0014】
(請求項4)
認証部は、2値1次元テンプレートと前記2値1次元情報とを対比すると共に、画素数を対比し、対比した結果を基にファジィ推論を用いて更に認証することを特徴とする請求項2又は3記載の印影の認証システム。
【0015】
(請求項5)
前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データを対応させて保存する手段が、認証サーバ内のデータテーブル、又は認証サーバとは別に設けたデータベースサーバ内のデータテーブルであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の印影の認証システム。
【0016】
(請求項6)
前記データテーブルは、前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データとを関連付けて構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【0017】
(請求項7)
前記データテーブルは、前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データと利用者属性とを関連付けて構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【0018】
(請求項8)
前記データテーブルは、メインデータテーブルとサブデータテーブルからなり、該メインデータテーブルは前記識別データと前記識別データに対応するサブデータテーブル名と登録用印影画像データとにより構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【0019】
(請求項9)
前記サブデータテーブルは前記識別データと前記識別データに対応する前記複数のブロックに分割した各ブロックのブロック番号と前記複数のブロックに分割した各ブロックの印影の画素数と前記登録情報を生成する情報生成部で生成した2値1次元テンプレートとにより構成されていることを特徴とする請求項8記載の印影の認証システム。
【0020】
(請求項10)
前記データテーブルにおけるサブデータテーブルへの保存を区分けする手段が、(1)少なくとも丸印、角印、楕円印の3つの印影の外周形状を含む印影の外周形状に対応させる構成、(2)印影の文字部分のエッジから読み仮名を判別して50音順に整理する構成、又は(3)少なくとも印相体、てん書体、古印体の3つの印影の書体を含む印影の書体に対応させる構成の何れかであることを特徴とする請求項8又は9記載の印影の認証システム。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、印影画像の周波数成分における特徴点を抽出し、特徴点におけるチェックを行うことで、信頼性を更に向上させる印影の認証システムを提供することができる。具体的には個人にとっても法人にとっても最重要問題であるような、不動産の取引、金銭の取扱などにおける安全性の確保のため、使用された印鑑が正規なのか偽造なのかを迅速かつ正確に判別できるシステムを提供でき、印鑑の印影で認証を行うような場所において大きな効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係る印影の認証システムの一例を示す機能ブロック図であり、図2は本発明に係る印影の認証システムの他の例を示す機能ブロック図である。
【0024】
図1の例は、スキャナ1と認証サーバ2とデータベースサーバ3が通信回線網4によって接続されているシステム例である。図2の例は図1の例と異なり、データベースサーバ3がなく、スキャナ1と認証サーバ2によって構成され、データテーブル13が認証サーバ2に備えているシステム例である。
【0025】
図1の例は、スキャナ1と認証サーバ2とデータベースサーバ3の各々の機能を分けているが、ハードウェアとしては、スキャナ1に認証サーバ2とデータベースサーバ3の機能を保有していてもよい。また認証サーバ2とデータベースサーバ3が一つのサーバで二つの機能を保有していてもよい。また図2の例は、スキャナ1と認証サーバ2の各々の機能を分けているが、ハードウェアとしては、スキャナ1に認証サーバ2の機能を保有していてもよい。
【0026】
以下の説明では、図1に示す例で説明する。
【0027】
スキャナ1は、登録用及び認証用の印影を印影画像データとして取り込む画像取込部5と、送信部6とを少なくとも備えている。
【0028】
認証サーバ2は、前記登録時と認証時の印影画像データをスキャナ1から取得する画像取得部7と、前記印影画像データに関連する登録用及び認証用の識別データを入力する入力部8と、後述する2値1次元テンプレートと認証用2値1次元情報とを対比して認証を行う認証部9と、後述する登録時に作成する登録用テンプレート、認証時に作成する2値1次元情報を作成する情報生成部10と、表示部11、送信部12とを少なくとも備えている。
【0029】
入力部8は、前記登録用及び認証用の印影画像に関連する識別データを入力する役割を果たすのもので、例えばユーザインターフェースを用いることが出来る。ユーザインターフェース8としては、キーボード、マウス、タッチパネル等を用いることが出来る。以下には、キーボードを入力部として用いた例で説明する。
【0030】
情報生成部10は、登録時は登録情報生成部、認証時は認証情報生成部とする。
【0031】
データベースサーバ3は、情報生成部で生成された登録情報を保存するデータテーブル13を少なくとも備えている。
【0032】
通信回線網4としては、例えば、LAN、WAN、インターネット、専用回線等の通信回線等が挙げられる。
【0033】
本発明に係る印影の認証システムは、登録処理と認証処理を含む。以下、登録処理と認証処理の各々について詳説する。
【0034】
(1)登録処理
以下に、登録処理の例を図3に基づいて説明する。
【0035】
最初、登録画面を表示部11に表示する(S1)。表示部11には、登録する印鑑の印影及び登録者を特定するための識別データ入力の登録画面(図示せず)が表示されている。
【0036】
次に、キーボード8から識別データを入力する(S2)。入力された識別データは、登録情報生成部に送られる。識別データとしては、ユーザ毎に重複しない個人情報であればよく、例えば銀行の口座番号、免許証番号、社会保険番号、納税者番号などのID番号が好ましい。また必要により氏名、生年月日、会社部署、役職などの利用者属性を入力しておいてもよい。
【0037】
次に、スキャナ1は、スキャナの画像取込部5を起動させて印影画像を取り込む(S3)。印影は、印影の文字を上下確認して押印する。このとき、水平・垂直方向が必ずしもあっていなくてもよい。S3で取り込まれた登録用印影画像データは、スキャナ1の送信部6から認証サーバ2に送信され、認証サーバ2の画像取得部7に送られる。画像取得部7は、送られた登録用印影画像データを取得し、該登録用印影画像データを登録情報生成部10に送り、登録情報生成部10は、登録用印影画像データと識別データを取得する(S4)。
【0038】
登録情報生成部10は、取得した登録用印影画像データを、設定・変更可能な閾値を用いて2値化の印影画像データとするよう画像処理する(S5)。例えば、スキャナ1から送られた印影画像データが256濃度階調で取り込まれたら、その階調から画素値を閾値195として、閾値以上を白、閾値未満を黒で画像処理する。図4(a)には、256階調の印影画像、図4(b)には、モノクロ画像の例が示されている。
【0039】
上記画像処理により、処理された印影を登録用本印影画像データとする。
【0040】
次に、登録情報生成部10において、2値1次元テンプレートの作成処理を行う(S6)。
【0041】
以下に、2値1次元テンプレート作成処理のシステムフローを図5に基づいて説明する。
【0042】
まず、登録用本印影画像データを分割する(S20)。分割する際に、印影の中心を求めておく必要がある。例えば、円形の印影の場合、印影の外周の中心と直径を、登録情報生成部10にて直径を可変可能なパラメータとして作り出し、印影の外周との相関によって求める。また角印の場合は、登録情報生成部10にて、水平、垂直な線を作り出し、角印の縦・横とを正確に一致させるようにし、角印の縦・横の最大長から中心を求める。このようにして求まった中心は、分割処理の際の中心にもなる。丸印の印影画像データを分割した例を図6に示す。400は、印影を分割した線であり、401は、線400により区切られたブロックである。本発明の好ましい実施例としては、横6ブロック、縦6ブロックの36分割にすることが好ましいが、これに限定されない。またブロックに番号を付与し、左上から右方向へ走査方式で1,2,3,・・・6となり、2行目のブロックも左から右へ同様に1行目の続き番号で順に付与し、最後の右下のブロックをナンバー36と付与してもよい。この番号の付与の方法は、これに限定されない。
【0043】
次に、前記分割されたブロックのうち、1ブロック毎に離散コサイン変換(DCT変換)を行う(S21)。
【0044】
1ブロックの画像がM×N画素の入力印影画像情報(デジタル画像情報)の場合に、横方向位置mと縦方向位置nの画像信号(画素値)をf(m,n)としたとき、周波数軸上の横方向位置u、縦方向vのDCT係数はF(u,v)で与えられる。
2次元DCTは、次数式で定義される。但し、信号f(m,n)はm=0・・・M-1,n=0・・・N-1 である。
【0045】
【数1】
【0046】
【数2】
【0047】
ここで、C(u),C(v)は次数式で示すような正規化定数である。
【0048】
【数3】
【0049】
F(u,v)は実数であるから、その振幅部と符号部との分離可能関数(Separable function)
【0050】
【数4】
【0051】
として記述できる。ただし、
【0052】
【数5】
【0053】
である。
【0054】
以上のDCT変換によって、DCT係数を求める(S22)。そのDCT係数F(u,v)からDCT振幅とDCT符号(プラスとマイナス)が求めることができる。
【0055】
DCT振幅は各成分(周波数)位置でのパワーを表すものであり、いいかえれば原信号の中に含まれているその成分の大きさを表すものであり、DCT振幅は原信号のエネルギーに関した情報を担っているといえる。
【0056】
同じDCT振幅でも、DCT符号が異なれば明らかに異なった信号となる。DCT符号は、信号の構成に際してその信号の骨格となる情報を有している。即ち、DCT符号の正・負の配置で原信号を識別でき、正・負のDCT符号のみから輪郭線画が得られる。このことはDCT符号の特徴的性質を示す符号のみの逆変換であるsign-Only Synthesis(SOSともいう)の画像をみると明らかとなる。
【0057】
【数6】
【0058】
従って、DCT符号によって、各ブロックにおける印影画像の輪郭による書体の違い、印影の文字の太さ、ハネの傾き、ハネの度合い等の差が明らかとなる。ハネの差は、一般的にDCT変換をすると周波数の高いエリアに違いが出てくる。
【0059】
次に、DCT係数の番地を、DCT係数の絶対値の大きい方から所定数程度求め、該番地に該当するDCT符号を抽出する(S23)。所定数というのは、画素数によっても異なるが、本発明で好ましく適用できる1ブロック32×32画素の場合で、DCT係数の絶対値の大きい方から10%程度(例えば、100点程度)で決められる数(番地数)である。この番地を所定数求めるという処理が、特徴点抽出処理である。特徴点とその特徴点のDCT符号の分布図を図7に示す。図7では、説明の便宜上8×8画素における特徴点のDCT符号の分布図を示す。
【0060】
次に、S23の処理によって得られる特徴点の符号を基に、プラスを1、マイナスを0として表された2値1次元テンプレートを生成する(S24)。その結果をもとに図8に示すような1ブロック分の2値1次元テンプレートを作成することができる。
【0061】
上記2値1次元テンプレートを作成したら、1つのブロックについて終了したことになる。これをブロック数分行う。つまりS21からS24の処理を繰り返し、ブロック数分終了するまで行う。前記繰り返し処理を行い、ブロック数分の2値1次元テンプレートを生成する。
【0062】
以上のようにしてブロック数分の2値1次元テンプレートを生成したら、図5の登録処理に戻って、入力部で入力された登録者の識別データ(例えばIDなど)と前記生成された複数の2値1次元テンプレートと該複数の2値1次元テンプレートに対応した前記登録用本印影画像データからなる登録用テンプレートを作成する(S7)。図9には作成された登録用テンプレートの一例が示されている。また、登録用テンプレートのうち2値1次元テンプレートは、複数の2値1次元テンプレートを合成させて構成されてもよい。
【0063】
図9において、500は登録者のIDであり、501は2値1次元テンプレートであり、502は登録者の登録用本印影画像データであり、503は、ID500と2値1次元テンプレート501と登録用本印影画像データ502からなる登録用テンプレートである。
【0064】
認証サーバ2は、作成された登録用テンプレートを、データベースサーバ3に送り、データベースサーバ3は、登録用テンプレートをデータテーブル14に保存する(S8)。
【0065】
図10には、登録用テンプレート503を保存している例が示されている。データテーブルの形式は図示された形式に限定されず、利用者属性等の個人情報を登録してもよい。利用者属性とは、氏名、フリガナ、生年月日、会社名、会社部署、役職など印影を登録する際の登録者の属性である。
【0066】
また、データテーブルの他の例を図11,図12に示す。
【0067】
図11には、メインデータテーブルとサブデータテーブルがあり、メインデータテーブルには、IDに対応するサブデータテーブル名と印影画像データが登録され、サブデータテーブルには、IDとブロック番号に対応した各ブロックの画素数、2値1次元テンプレートが登録される。また必要に応じて登録者属性等の個人情報等が登録されてもよい。これは、登録用テンプレートを分割させて保存させるような処理であり、これを実現させる方法としては、登録用テンプレートに、登録情報生成部で生成される際、登録用テンプレートを構成する順序と情報量を決定させ、その情報量がどの情報なのかをあらかじめ、決めて生成すればよい。例えば、前記登録用テンプレートでは、ID500、2値1次元テンプレート501、印影画像ファイル名502が少なくとも保存されている。情報量例としては、IDを最初の8バイト、2値1次元テンプレートをIDの次に続く16バイト、印影画像ファイル名を2値1次元テンプレートの次に続く64バイトというように指定すれば、全部で88バイトの情報量となり、登録用テンプレートをそれぞれの情報毎に指定された情報量を参照し、データテーブルに当てはまるフィールドに保存していく。これにより、データテーブルを分散させても、それぞれの名称、情報量、登録用テンプレートを構成する順序に合わせた保存が可能になる。
【0068】
また、サブデータテーブル名を印影の書体、印影の外周形状、印影の文字部分のエッジから読み仮名を判別し50音順、例えばあ行テーブル等に決めて、印影の登録の際にどのサブデータテーブルに保存するか決めてもよい。印影の書体としては、印相体、けい書体、古印体その他隷書体、楷書体、行書体等も含まれる。また、サブテーブル名としては、法人印、個人印等の印鑑の種類によっても区分けされてもよい。また、印影の外周形状の直径等の大きさによって区分けされてもよい。図12には、印影の書体をサブデータテーブル名に用いた場合の例を示す。
【0069】
サブデータテーブルへの参照方法としては、図示しないが、ID等により例えば1000番代はサブデータテーブル1を参照しに行く、10000番代はサブデータテーブル2を参照しに行くというように、ID番号等でサブデータテーブルの参照を行ってもよいし、角印、丸印、その他楕円形印など印影の形状でサブテーブルを参照しにいくようにしてもよいし、印影の文字の読み方で、50音順に分けたサブデータテーブルを参照しに行くようにしてもよい。文字の読み方は、印影の文字を識別するようにしてもよいし、登録者の属性情報等で氏名、フリガナなどの登録情報で識別してもよい。
【0070】
また、図示しないが、多種のサブデータテーブルを作成する際にメインデータテーブルにID等の個数による振り分け、印影形状、印影の書体等による振り分けを行う際には、予めメインデータテーブルに登録者の印影の形状、印影の書体なども識別データに対応させて登録しておいてもよい。例えば、印影の書体のサブデータテーブルを持ち、更に印影の形状によるサブデータテーブルも作成したいというときに、上記、印影の形状がメインデータテーブルに保存してあれば、その印影の形状によるデータを基に該当する登録者データを、サブデータテーブルに区分けし保存することができる。
【0071】
(2)認証処理
次に、認証処理について説明する。
【0072】
図13には、認証処理の例が示されている。
【0073】
表示部11に、認証画面を表示する(S30)。表示部11には、IDの入力欄と決定ボタンを少なくとも備えている認証画面(図示せず)が示されている。
【0074】
キーボード8で入力欄にIDを入力し(S31)、決定ボタンを押すと、スキャナ5が起動し、取込状態となる。
【0075】
次に、スキャナ5で専用紙に押印された印影を取り込む(S32)。印影は多値画像として取り込まれる。該取り込まれた印影は、認証用印影画像データとしてスキャナ1の送信部6から認証サーバ2の画像取得部7に送られる。該送られた認証用印影画像データは、画像取得部7から認証情報生成部10に送られ、認証情報生成部10は、認証用印影画像データを取得する(S33)。
【0076】
認証サーバ2は、登録用テンプレートのうちID(例えばGSD0001)に対応する登録用テンプレートをデータテーブルから呼び出す(S34)。
【0077】
該呼び出された登録用テンプレートのうち登録用本印影画像データを認証情報生成部10に送り、該送られた登録用本印影画像データと、前記取得した認証用印影画像データとを比較し、認証用印影画像データを登録用本印影画像データに合わせるように位置合わせ処理する(S35)。具体的には、取得した認証用印影画像データを登録時と同様に登録時の設定変更可能な閾値を用いて複数個のテスト2値印影画像を作り、更に、登録用本印影画像データとテスト2値印影画像との相互相関値を利用して最適閾値を決定する。このとき、テスト2値印影画像をシフト1画素刻み、回転を3度刻みで相互相関値を求め、相関値の最大値を探す。同じ印影にてS35の処理をした場合、相関値の最大値は0.9以上になる。違った印影を用いた場合は、0.6以下となる。0.9以上になった位置をおおよそテスト2値印影画像の位置と決定する。決定したら、前記おおよその位置及びその近傍をシフト1画素刻み、回転を1度刻みで探索する。これによって相互相関値を求め、相関値の最大値を探す。相関値の最大値が求まった位置が一致した場所となる。次に一致した場所において登録時の設定変更可能な閾値を±3ずつ変化させていき、登録用本印影画像テスト2値印影画像と相互相関値が最大となったときの閾値を最適閾値として、認証用印影画像を2値化し、認証用2値印影画像を作成する。
【0078】
印影が全く違った場合、画像処理をしても相関値が0.9未満の場合は、もう一度、印影を取り込ませるよう指示するようにしてもよい。つまりS32の処理まで戻すよう指示をする。また認証処理自体を終了させるようにしてもよいし、認証画面を表示させ、認証処理をはじめからやり直させるようにしてもよい。つまりS30まで戻すようにすることである。
【0079】
次に、認証情報生成部10において、2値1次元情報を作成する(S36)。
【0080】
以下に、2値1次元情報作成処理フローの説明を図14に基づいて説明する。
【0081】
先ず、認証情報生成部10は、登録処理と同様に、認証用2値印影画像データの分割を行う(S50)。認証用2値印影画像データは、分割される際に、登録処理と同様に登録用の本印影画像を分割した画素数(例えば1ブロック32×32画素)にあわせるように分割することが好ましい。
【0082】
分割された認証用2値印影画像データを登録処理と同様な手法で1ブロック毎にDCT変換を行う(S51)。次いで、DCT係数を算出する(S52)。
【0083】
次いで該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応するDCT符号を求める(S53)。この処理は、登録処理と同様であり、また所定数の定義も登録処理と同様である。S53の処理は1ブロック分に写っている印影画像の特徴点を抽出する処理である。
【0084】
特徴点の符号を基に「0」、「1」で表された2値1次元情報を生成する(S54)。この処理は分割された画像データのうちの1ブロックにて行われているため、上記処理はブロック数分行われる。ブロック数分行い、ブロック数分の2値1次元情報を生成する。つまりS51〜S54をブロック数分繰り返し行う。
【0085】
認証情報生成部10で生成された2値1次元情報は、認証部9に送られる。送られる際に、1ブロック毎に生成された2値1次元情報は、全て作成されるまで、RAM等のメモリに一次的に記憶され、ブロック数分の処理が完了した時点で認証部に送られてもよいし、1ブロック毎に生成された時点で認証部に送られてもよいし、特に限定されない。
【0086】
認証部9は、2値1次元情報を取得したら、図13の処理に戻り、呼び出された登録用テンプレートのうち2値1次元テンプレートと2値1次元情報とを各ブロックごとに対比する(S37)。例えば、3行4列目のブロックが、ABCDという2値1次元テンプレートに対して、ABCFという2値1次元情報があるとする。この16進数のデータを対比する。2進数に直すと、3行4列目のブロックの2値1次元テンプレートは1010101111001101、3行4列目のブロックの2値1次元情報は1010101111001111という情報になる。前記2進数の各ビットで対比する。16点中15点が合致したので、一致率は、93.75%となる。一致率が出たら、1つのブロックでの対比が終了したことになり、これをブロック数分行い、各ブロックにて一致率が計算される。
【0087】
計算された全ブロックの各々の一致率と、各々の一致率の平均値を表示部に送る(S38)。
【0088】
一致率の平均値が93%以上という結果が出て、尚且つ各々の一致率が93%以上であった場合は、認証が許可される。また、一致率の平均値が93%未満の結果が出た場合は、認証が拒否される。許可、拒否いずれの場合も結果は表示部に送られる。
【0089】
一致率の平均値が閾値以上という結果が出て、一致率が93%未満なブロックがあった場合は、印影画像データの該当するブロックの背景色を印影が見える程度の度合いで変色する。更に、「要再検査」等のコメントを表示部に送る(S39)。このとき、コメントを出された部分については、改めて黙示等で確認してもよいし、これに限定されない。
【0090】
ここで、各ブロックの一致率及びブロック数分の一致率の平均値は93%という値を用いているが、これは一致率の閾値であり、この値は設定変更可能である。
【0091】
表示部は、前記送られた結果を表示する(S40)。表示された結果例を図15に示す。図15には、認証用2値印影画像データ、平均一致率、閾値未満であったブロックの一致率とコメントが表示されている。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は上記に限定されず、以下の他の好ましい態様を採用することもできる。
【0093】
S22の処理の際、100点程度求めた特徴点の位置情報を横をi,縦をjとして記憶してもよい。記憶された位置情報は後述する認証処理の際、テスト印影の特徴点抽出処理を行わず、この記憶された位置情報を用いることができる。
【0094】
S24の処理のとき、2値1次元テンプレートに対応するブロックの印影画像の印影画素数も記憶しておいてもよい。つまり2値1次元テンプレートは、画素数と2値1次元の情報で構成されてもよい。
【0095】
S7の処理のとき、登録用テンプレートのうち2値1次元テンプレートを、ブロック数分集合させ、1つにまとめて作成してもよいし、2以上の2値1次元テンプレートを合成させ複数作成してもよい。また、2以上の2値1次元テンプレートを合成させる場合の組み合わせ方は任意であり、特に限定されない。また、ブロック数分の2値1次元テンプレートを集合させ1つにまとめる場合、走査方向は、左上ブロックを1ブロックとして左上から順に右に向かい、1行目が終ったら次行の左側のブロックから右に向かわせ、全ブロックが走査し終わるまで走査させる。走査方向は、これに限定されず、ブロックを斜めに走査してもよいし、右上から左に向かって走査してもよい。
【0096】
S34の処理の際に、登録テンプレートを呼び出すのではなく、IDに対応したサブデータテーブルを参照しに行き、必要な情報を呼び出すようにしてもよい。必要な情報は、その都度参照しに行っても良いし、最初にサブデータテーブルのIDに対応した情報を取り出しておき、認証サーバに記憶させておいてもよい。
【0097】
S50の処理で、画像処理をした後、S51の処理前に、各ブロックにおける印影のある画素数、つまりは、2値化された印影画像のうち各ブロックの印影がある画素の数を記憶しておいてもよい。
【0098】
S37の処理において、S50の処理で、画素数が記憶されてあった場合、各ブロックの一致率だけでなく、画素数も登録時と認証時の各ブロックでの差分を計算する。このとき、各ブロックでの登録時の印影画像の画素数、認証時の印影画像の画素数のどちらか少なくともいずれかが画素数50未満であった場合には、認証対象から外すようにしてもよい。また、一致率と差分を用いてファジィ推論により総合信頼度を求めて認証を行うことも出来る。
【0099】
以下、ファジィ推論について説明する。
【0100】
印鑑認証の場合、一般にテンプレートにて一致率の計算のみで十分と考えられるが、ブロック内の印影の形状によっては、テンプレートだけでは不十分なこともあり得る。ファジィ推論は印影のかすれ等によりテンプレートの一致率が不安定となることを防ぐ目的で導入する。
【0101】
ファジィ推論を導入するにあたり、テンプレート一致率の他に対応するブロックの印影画素数を用いる。登録用本印影と認証用2値印影との画素差が大きいということは異なる印影である可能性が高いということであり、画素差が小さいならば同じ印影である可能性が高いということになる。この性質はテンプレート一致率と同じ性質であるが、必ずしも一致しているわけではない。テンプレートチェックは、周波数面からの特徴点のチェックであり、画素差チェックは、画像平面そのものからのチェックであり、互いに欠けている部分を補う性質を有している。用いたファジィ推論は直接法であり、使用するパラメータは、テンプレートの一致率と画素差である。図16(a)には、「テンプレート一致率・大」に対するメンバーシップ関数が示されていて、図16(b)には「テンプレート一致率・小」に対するメンバーシップ関数が示されていて、図17(a)には、「画素差・大」に対するメンバーシップ関数が示されている。図17(b)には、「画素差・小」に対するメンバーシップ関数が示されている。
【0102】
ルールのパラメータは上記のテンプレート一致率と登録用本印影画像と認証用2値印影画像との画素差とする。以下のルールを一致率及び画素差を求めたブロックに適用し、各ブロックの信頼度を求め、それらの重み付き平均として最終結論を求める。
【0103】
ルール1:一致率が大きく、画素差が大きいならば、信頼度はどちらともいえない。
【0104】
ルール2:一致率が大きく、画素差が小さいならば、信頼度は高い。
【0105】
ルール3:一致率が小さく、画素差が大きいならば、信頼度は低い。
【0106】
ルール4:一致率が小さく、画素差が小さいならば、信頼度はどちらとも言えない。
【0107】
これらは一般にif,thenルールと呼ばれている。例えばルール1でいうと、「一致率が大きく、画素差が大きいならば」という前半部分がif、「信頼度はどちらともいえない」という後半部分がthenと呼ばれる。これは図16(a)が、一致率が大きくという関数、図16(b)が、一致率が小さくという関数に当てはまる。また図17(a)が、画素差が大きいならばという関数、図17(b)が、画素差が小さいならばという関数に当てはまる。前半部分はAND演算で信頼度エリアが決定され、4つのルールにおいて信頼度エリアが決定されたら、その結果をOR演算し、重心を求める。
【0108】
例えば、一致率69%、画素差54のブロックがあったとする。このブロックの一致率、画素差をパラメータとし、ファジィ推論を用いた例を図18に示す。
【0109】
まずそれぞれのルールにおいて、上記パラメータを当てはめ、信頼度エリアを決定する。
決定された信頼度エリアをOR演算で出されたときの重心部分がそのブロックでの信頼度となる。この重心を求めると信頼度は0.2352となる。これにより一つのブロックの信頼度が決定される。
【0110】
上記手法を他のブロックでも行うことで全てのブロックの信頼度を求め、重み付き平均で最終的に総合信頼度を決定する。下記数式に総合信頼度を求める式を示す。
【0111】
Sを総合信頼度、M(n)を第nブロックの一致率、C(n)を第nブロックに対する重みとすると、
【0112】
【数7】
【0113】
である。ここで、36という数は、分割数例であり、固定されるわけではない。
【0114】
また、C(n)は画素差が少ないブロックの不安定さが総合信頼度に与える影響を軽減するものであり、
【0115】
【数8】
【0116】
とすると、
【0117】
【数9】
【0118】
で定義される。
【0119】
数8の数式の重みは、各ブロックの印影のある画素数に依存したもので、たとえ一致率が低くてもブロックの印影のある画素の画素数が少ないとその信頼性はやや低く、十分な画素数を持つブロックの信頼度と同等の重みで平均を取るには公平さを欠く。したがってこれらの不公平さをなくすために経験に基づいて印影のある画素の画素数に依存した重みをつけたものである。また、印影のある画素の画素数が十分なブロックで一致率が閾値より低い場合は、数7による総合信頼度の数値と共に、そのブロックナンバーと画素数、一致率及び「要再検査」という文言を打ち出しそのブロックを色付けした画像を出力している。出力した例を図19に示す。図19に示してある総合信頼度は、−1〜+1の間で表される小数2桁の実数であり、ブロックナンバーは、分割した際に付けられたブロック番号であり、画素数は、認証用2値印影画像データのブロックナンバーに対応した印影の画素数であり、一致率は、ブロックナンバーでの一致率である。またコメントは、ブロックナンバーでの信頼度により、閾値未満の場合に打ち出されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明のシステムの一例を示すブロック図
【図2】本発明のシステムの他の例を示すブロック図
【図3】本発明の登録処理のフロー例を示す図
【図4】(a)はスキャナの画像取込部で取り込んだ印影画像、(b)は画像処理をして2値印影画像を示す図
【図5】本発明の2値1次元テンプレート作成処理のフロー例を示す図
【図6】本発明の印影画像の分割例を示す図
【図7】本発明の分割された1つのブロックをDCT変換したのちのDCT符号の特徴点分布を示す図
【図8】本発明の2値1次元テンプレートの例を示す図
【図9】本発明の登録用テンプレートの例を示す図
【図10】本発明のデータテーブルの例を示す図
【図11】本発明の他の態様におけるデータテーブルの例を示す図
【図12】本発明の他の態様におけるデータテーブルの例を示す図
【図13】本発明の認証処理のフロー例を示す図
【図14】本発明の2値1次元情報作成処理のフロー例を示す図
【図15】本発明の認証結果の表示例を示す図
【図16】本発明のファジィ推論における一致率に係るメンバーシップ関数の例を示す図
【図17】本発明のファジィ推論における画素差に係るメンバーシップ関数の例を示す図
【図18】本発明のファジィ推論における1つのブロックの信頼度を導き出す例を示す図
【図19】本発明のファジィ推論を用いた場合の認証結果の表示例を示す図
【符号の説明】
【0121】
1:スキャナ
2:認証サーバ
3:データベースサーバ
4:通信回線網
5:画像取込部
6:送信部
7:画像取得部
8:入力部
9:認証部
10:情報生成部
11:表示部
12:送信部
13:データテーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印鑑の印影を取り込む画像取込部を有するスキャナと、識別データを入力する入力部と登録情報及び認証情報を生成する情報生成部と印影画像の認証を行う認証部とを有する認証サーバを備え、
前記認証サーバにおける登録情報を生成する情報生成部は、前記スキャナで取り込まれた登録用印影画像データと前記入力部で入力された識別データとを取得し、該情報生成部において、前記取得した登録用印影画像データを複数のブロックに分割する処理と、各ブロック分毎にDCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応する番地(アドレス)とDCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元テンプレートを生成する処理とを実行し、
前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データを対応させて保存する手段とを有し、
前記認証サーバにおける認証情報を生成する情報生成部は、前記スキャナで取り込まれた認証用印影画像データと前記入力部で入力された識別データとを取得し、該情報生成部において、該識別データに対応する登録用印影画像データと2値1次元テンプレートを呼び出す処理と、前記呼び出した登録用印影画像データと認証用印影画像データとの相関に基づく位置合わせを行う位置合わせ処理と、該位置合わせ処理された認証用印影画像データを複数のブロックに分割する処理と、各ブロック分毎にDCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応する番地(アドレス)とDCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元情報を生成する処理とを実行し、
該認証部は、登録情報を生成する情報生成部で生成した前記識別データに対応する2値1次元テンプレートと、認証情報を生成する情報生成部で生成した前記2値1次元情報とを対比して認証することを特徴とする印影の認証システム。
【請求項2】
情報生成部で生成された各ブロック毎の2値1次元テンプレート及び2値1次元情報は、印影がある画素の画素数を構成に含むことを特徴とする請求項1記載の印影の認証システム。
【請求項3】
認証部は、2値1次元テンプレート及び又は2値1次元情報において印影がある画素の画素数が閾値以下である場合には、認証対象からは外し、閾値より多いブロックのみで認証を行う処理を実行することを特徴とする請求項2記載の印影の認証システム。
【請求項4】
認証部は、2値1次元テンプレートと前記2値1次元情報とを対比すると共に、画素数を対比し、対比した結果を基にファジィ推論を用いて更に認証することを特徴とする請求項2又は3記載の印影の認証システム。
【請求項5】
前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データを対応させて保存する手段が、認証サーバ内のデータテーブル、又は認証サーバとは別に設けたデータベースサーバ内のデータテーブルであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の印影の認証システム。
【請求項6】
前記データテーブルは、前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データとを関連付けて構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【請求項7】
前記データテーブルは、前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データと利用者属性とを関連付けて構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【請求項8】
前記データテーブルは、メインデータテーブルとサブデータテーブルからなり、該メインデータテーブルは前記識別データと前記識別データに対応するサブデータテーブル名と登録用印影画像データとにより構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【請求項9】
前記サブデータテーブルは前記識別データと前記識別データに対応する前記複数のブロックに分割した各ブロックのブロック番号と前記複数のブロックに分割した各ブロックの印影の画素数と前記登録情報を生成する情報生成部で生成した2値1次元テンプレートとにより構成されていることを特徴とする請求項8記載の印影の認証システム。
【請求項10】
前記データテーブルにおけるサブデータテーブルへの保存を区分けする手段が、(1)少なくとも丸印、角印、楕円印の3つの印影の外周形状を含む印影の外周形状に対応させる構成、(2)印影の文字部分のエッジから読み仮名を判別して50音順に整理する構成、又は(3)少なくとも印相体、てん書体、古印体の3つの印影の書体を含む印影の書体に対応させる構成の何れかであることを特徴とする請求項8又は9記載の印影の認証システム。
【請求項1】
印鑑の印影を取り込む画像取込部を有するスキャナと、識別データを入力する入力部と登録情報及び認証情報を生成する情報生成部と印影画像の認証を行う認証部とを有する認証サーバを備え、
前記認証サーバにおける登録情報を生成する情報生成部は、前記スキャナで取り込まれた登録用印影画像データと前記入力部で入力された識別データとを取得し、該情報生成部において、前記取得した登録用印影画像データを複数のブロックに分割する処理と、各ブロック分毎にDCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応する番地(アドレス)とDCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元テンプレートを生成する処理とを実行し、
前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データを対応させて保存する手段とを有し、
前記認証サーバにおける認証情報を生成する情報生成部は、前記スキャナで取り込まれた認証用印影画像データと前記入力部で入力された識別データとを取得し、該情報生成部において、該識別データに対応する登録用印影画像データと2値1次元テンプレートを呼び出す処理と、前記呼び出した登録用印影画像データと認証用印影画像データとの相関に基づく位置合わせを行う位置合わせ処理と、該位置合わせ処理された認証用印影画像データを複数のブロックに分割する処理と、各ブロック分毎にDCT変換する処理と、DCT係数を算出する処理と、該DCT係数の絶対値の上位から所定数までの該DCT係数に1対1対応する番地(アドレス)とDCT符号を求める処理と、該DCT符号からブロック数分の2値1次元情報を生成する処理とを実行し、
該認証部は、登録情報を生成する情報生成部で生成した前記識別データに対応する2値1次元テンプレートと、認証情報を生成する情報生成部で生成した前記2値1次元情報とを対比して認証することを特徴とする印影の認証システム。
【請求項2】
情報生成部で生成された各ブロック毎の2値1次元テンプレート及び2値1次元情報は、印影がある画素の画素数を構成に含むことを特徴とする請求項1記載の印影の認証システム。
【請求項3】
認証部は、2値1次元テンプレート及び又は2値1次元情報において印影がある画素の画素数が閾値以下である場合には、認証対象からは外し、閾値より多いブロックのみで認証を行う処理を実行することを特徴とする請求項2記載の印影の認証システム。
【請求項4】
認証部は、2値1次元テンプレートと前記2値1次元情報とを対比すると共に、画素数を対比し、対比した結果を基にファジィ推論を用いて更に認証することを特徴とする請求項2又は3記載の印影の認証システム。
【請求項5】
前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データを対応させて保存する手段が、認証サーバ内のデータテーブル、又は認証サーバとは別に設けたデータベースサーバ内のデータテーブルであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の印影の認証システム。
【請求項6】
前記データテーブルは、前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データとを関連付けて構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【請求項7】
前記データテーブルは、前記生成されたブロック数分の2値1次元テンプレートと前記取得した識別データと前記取得した登録用印影画像データと利用者属性とを関連付けて構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【請求項8】
前記データテーブルは、メインデータテーブルとサブデータテーブルからなり、該メインデータテーブルは前記識別データと前記識別データに対応するサブデータテーブル名と登録用印影画像データとにより構成されていることを特徴とする請求項5記載の印影の認証システム。
【請求項9】
前記サブデータテーブルは前記識別データと前記識別データに対応する前記複数のブロックに分割した各ブロックのブロック番号と前記複数のブロックに分割した各ブロックの印影の画素数と前記登録情報を生成する情報生成部で生成した2値1次元テンプレートとにより構成されていることを特徴とする請求項8記載の印影の認証システム。
【請求項10】
前記データテーブルにおけるサブデータテーブルへの保存を区分けする手段が、(1)少なくとも丸印、角印、楕円印の3つの印影の外周形状を含む印影の外周形状に対応させる構成、(2)印影の文字部分のエッジから読み仮名を判別して50音順に整理する構成、又は(3)少なくとも印相体、てん書体、古印体の3つの印影の書体を含む印影の書体に対応させる構成の何れかであることを特徴とする請求項8又は9記載の印影の認証システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図6】
【図7】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−53608(P2006−53608A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232718(P2004−232718)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【出願人】(502297070)株式会社グローバル・セキュリティ・デザイン (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【出願人】(502297070)株式会社グローバル・セキュリティ・デザイン (6)
【Fターム(参考)】
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