説明

原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体及びそのリサイクル方法

【課題】小規模地域単位においても実現することのできる、原料リサイクル(資源循環)が容易な合成樹脂成形体及びそのリサイクル方法。
【解決手段】加水分解することによって単一の二塩基酸水溶液に分解され、前記水溶液に酸を加えて単量体を析出させることにより原料モノマーにリサイクルされる芳香族ジカルボン酸のポリ酸無水物からなる合成樹脂成形体。芳香族ジカルボン酸として、例えばリグニン酸とデンプンの発酵で得られるエタノールとを原料として合成することができるジ(4−カルボキシ−2−メトキシフェノキシ)−α,ω−エタンが好適である。自動車内装材、医療用消耗用具などへの利用が期待される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料を容易にリサイクルすることのできる合成樹脂成形体、前記成形体を用いて製造された車両用内装材及び医療用消耗用具、ならびにそれらのリサイクル方法及び原料リサイクルシステムに関する。詳しくは原料のリサイクルが容易な芳香族ジカルボン酸のポリ酸無水物成形体及びそのモノマーのリサイクル方法に関する。なお、車両用内装材としては、シート材、マット類、天井材、ダッシュボードなどが、医療用消耗用具としては、シーツ、手術着のほか、使捨ての包帯などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
繊維、フィルム、一般成型品を含む合成樹脂成形体(プラスチック)のリサイクル手段としては、大きく分けてペレットや破砕品などの再生加工原料、杭や板などの再生加工品、モノマー、その他の化学原料や高炉還元剤などの化学原料として物質をリサイクルするマテリアルリサイクルと、燃料油やガス化して再生燃料にしたり、ごみ発電のようにそのまま熱エネルギーとして回収するサーマルリサイクルとがあげられる。マテリアルリサイクルの利用では、ペットボトルがコスト面や再利用の用途面の制限などの課題を抱えながらも、主に再生加工原料としてのリサイクルが広く有効に実施されるようになってきた。廃プラスチックを分解して元の化学原料とする方法(ケミカルリサイクルとも称されている)は、合成樹脂をその原料モノマーとして回収し、再び新しい樹脂として循環、利用することができる理想的なリサイクルシステムといえる。しかし、実現に向けては、技術的な可能性があっても経済的に実施が困難な状況にある。
【0003】
さらに、現在利用されている合成樹脂は、ほとんどが有限な資源である化石原料、とくに石油に由来するという問題がある。化石原料を用いない合成樹脂として、セルロースやコラーゲンを原料とする繊維類、最近では生分解性樹脂組成物などがみられるものの、その特性から用途は限定的にならざるを得ず、また、新しい合成樹脂の原料にリサイクルすることはできない。資源リサイクルに関しては数多くの提案があるが、とくに本願発明に関連する先行文献として次の特許文献が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−002687号公報([0015]段落)
【特許文献2】特開2002−088264号公報([0020]段落)
【特許文献3】特開平10−259215号公報
【特許文献4】特開平8−024346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、小規模地域単位においても実現することのできる、原料リサイクル(資源循環)が容易な合成樹脂成形体及びそのリサイクル方法を課題とする。すなわち、不要になった合成樹脂製品を元の原料モノマーに解重合し、再び新しい合成樹脂製品の原料として資源循環するための簡便、容易で経済的にも現実的手段、とくに大量に使用されている自動車内装材やリサイクルに問題の多い医療用消耗用具など利用することのできる、資源循環に適した、望ましくは化石原料を使用しない合成樹脂を開発し、提供することを課題とする。
【0006】
さて、前記の課題を解決するためには、繊維、フィルムを含む一般成型体に対する成形性が良好であり、劣化しにくく使用時に安定しているが、不要になってリサイクルする際にはモノマーに解重合され、得られたモノマーを容易に単離して新しい合成樹脂の原料モノマーに使用できる合成樹脂の開発が必要である。従来の汎用合成樹脂においては、解重合に技術的困難があり、加えて汚れや添加剤の分離・除去、重合度や種類の異なる樹脂との分離、モノマーの精製などに多くの未解決の問題があるので、資源循環して原料モノマーを回収し、新しい合成樹脂を製造することは容易でなく、経済的にも成立するものではなかった。たとえば、加水分解可能な縮合系のポリアミドやポリエステルは、一部で解重合されモノマーとして回収されているが、長時間、高温で解重合し分解したモノマーを単離するために大がかりな装置を必要とし、小規模で手軽に原料のモノマーを回収をすることは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するべく研究の結果、ある種のポリ酸無水物は、繊維状物その他の形態への成形性があり、その製品は機能的に実用に耐え、しかも簡単な工程と装置とで容易に解重合され、容易に原料モノマーを単離できることが判った。その過程で異物は容易に除去されモノマー回収率が非常に良好であり、資源循環型素材として好適であることが見いだされた。しかも、これらのポリ酸無水物のいくつかは、石油以外の原料から合成することができる。すなわち、原料モノマーの二塩基酸も重合時に必要な無水酢酸も、木材などの石油以外の再生産が可能な原料やパルプ廃液などの廃棄物から合成できる。
【0008】
一般的にポリ酸無水物は加水分解されて二塩基酸に解重合される。アルカリで加水分解すれば二塩基酸のアルカリ塩水溶液になる。従って、アルカリで加水分解して二塩基酸を回収する場合、回収工程において水に溶けない通常の異物はこの段階で除去することができるし、また徹底的な消毒作用が施される。不溶物を除いた後の水溶液を酸性にすると、二塩基酸のアルカリ塩は水溶性でなければ析出する。析出物を分離すればに塩基酸すなわちモノマーを単離回収することができる。分離にはろ過操作を利用するとよい。しかし、折角モノマーを析出させても分離が困難であれば簡単にモノマーを回収することはできない。
【0009】
ポリ酸無水物であっても、脂肪酸系のポリ酸無水物は、空気中の水分によって加水分解され、その製品を使用することはできない。また、ジフェノールとジカルボン酸のエステルは、一種のポリ酸無水物といえ、繊維状物としての成形性はあるものの、空気中の水分で短時間に加水分解してしまうので、実用性に乏しい。また、分離工程を簡易に構成するために加水分解して得られるモノマーは、その分離操作を要しない原料モノマー1種類であることが望ましい。この点からしても、ジフェノールとジカルボン酸からのポリ酸無水物は、加水分解して得られるモノマーが2種類であって、2種類以上のジカルボン酸の共重合ポリ酸無水物である場合を含め、本発明の課題解決に好ましいとはいえない。
【0010】
自己縮合型ポリフェニルエステルは、一種のポリ酸無水物であり、アルカリ分解により1種類の二塩基酸になって回収できるが、ポリマーは空気中でも加水分解を起こし、実用性がないので除かれる。また、ポリカーボネートもポリ酸無水物の1種であり、アルカリ分解すると1種類の二塩基酸(ジフェニール)となって回収可能であるが、成形性に難点があり、かつ同時に発生する炭酸塩が炭素原子の回収につながらないので本発明の課題を解決するのに適当ではない。
【0011】
耐加水分解性があり繊維状やフィルム状形態を含む成形性に優れた成形可能なポリ酸無水物は、一般にモノマー回収が難しい。アルカリ分解後の二塩基酸水溶液を酸性にして二塩基酸を析出させると沈殿物がクリーム状又は糊状のスラリーとなり、例えば真空ろ過によってもろ過分離は難しい。高度なろ過装置や遠心脱水・乾燥装置を備えればモノマーを回収することは可能かも知れないが、本発明が目的とする小規模装置を設置して、経済的に原料モノマーを回収できるような二塩基酸のポリ酸無水物でなければならない。ある種のポリ酸無水物に限って、常温では耐加水分解性があり、アルカリ水溶液と加熱すれば比較的加水分解され易く、モノマーであるジカルボン酸塩となって溶解し、酸性にして得られた沈殿物を容易に分離できることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明は、芳香族ジカルボン酸のポリ酸無水物からなる合成樹脂成形体であって、かつ、前記の合成樹脂成形体は、加水分解することにより単一の二塩基酸に分解され、前記二塩基酸水溶液に酸を加えることにより前記ポリ酸無水物を構成するモノマーが析出されて、合成樹脂成形体の原料にリサイクルできることを特徴とする、原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体を提供する。前記の芳香族ジカルボン酸として具体的には、次の一般式(1)〜(3)のうち、いずれかに含まれる化合物を好ましく利用することができる。
【0013】
【化1】

【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
なかでも、一般式(2)においてRがメトキシ基である芳香族ジカルボン酸が好適である。
【0017】
前記の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体の形状は、その使用目的に従って適宜に選択できるが、繊維状物やフィルムを含むシート状物としてとくに有用である。具体的な用途としては車両用内装材や医療用消耗用具に好ましく利用できる。
【0018】
前記の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体、及び前記の合成樹脂成形体を素材に用いた、車両用内装材や医療用消耗用具などをはじめとして各種製品(以下、これらを総称して原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体という)は、アルカリや高温・高圧の水、微生物などにより加水分解することができるが、アルカリ水溶液で加水分解すればアルカリ塩水溶液となるので、得られた加水分解水溶液に酸を加えてポリ酸無水物のモノマーを析出させ、前記合成樹脂成形体の原料を回収することができる。
【0019】
さらに本発明は、前記の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体から原料モノマーをリサイクルするために、前記したいずれかの合成樹脂成形体を、アルカリ水溶液により加水分解する工程と、得られた加水分解物に酸を加えてポリ酸無水物のモノマーを析出させる工程と、析出されたモノマーを分離回収する工程とからなることを特徴とする、合成樹脂成形体の原料リサイクルシステムを提供する。前記原料リサイクルシステムにおける析出されたモノマーを分離回収する工程としては、ろ過による分離手段を好ましく用いることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る原料リサイクルが容易な合成樹脂は、繊維やフィルムを含むシート状物等の各種形状について成形性があり、その製品は機能的に実用に耐え、しかも簡単な装置で加水分解され、原料モノマーとして容易に単離、経済的に回収できる。回収の過程で異物は容易に除去され、モノマー回収率は非常に良好であって、資源循環型素材として好適である。とくに車両用内装材や医療用消耗用具としての利用が期待される。しかも、前記合成樹脂のいくつかは、石油以外の原料を出発物質として合成することができる。すなわち、原料モノマーの二塩基酸も重合時に必要な無水酢酸も木材などの石油以外の再生産可能な原料やパルプ廃液などの廃棄物から製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る資源循環システムに利用できるポリ酸無水物について以下に説明する。
本発明のポリ酸無水物に用いられる芳香族ジカルボン酸としては、前記の一般式(1)、(2)及び(3)のいずれかで示される群の中から選択するとよい。
【0022】
第1の芳香族ジカルボン酸群、すなわち前記の一般式(1)で示される群においては、a、bがともに0の場合に、そのポリ酸無水物は溶融成形が不能であり、a、bのいずれかが0の場合には、そのポリ酸無水物は、加水分解して得られたモノマーを酸によって析出させると粘度の高いクリーム状になって分離は極めて困難である。a、bが4以上になると、そのポリ酸無水物は耐水性が悪く実用に耐えられない。一方、cが0の化合物は不安定であり、cが4以上の場合にはそのポリ酸無水物は耐水性がよくない。この群に含まれる芳香族ジカルボン酸としては、1,4−ビスカルボキシメチルベンゼン、1,4−ビスカルボキシエチルベンゼン、p−カルボキシメチルフェニル カルボキシメチルエーテル、p−カルボキシエチルフェニル カルボキシエチルエーテルなどがあげられる。
【0023】
第2の芳香族ジカルボン酸群、すなわち前記の一般式(2)で示される群においては、dが0の化合物は不安定であり、dが9以上の場合には得られるポリ酸無水物の融点が100℃以下になって実用的ではない。eが0の場合にはその化合物は不安定であり、eが4以上になると耐水性が悪くなって実用に耐えられない。Rが水素の場合のポリ酸無水物は、繊維形成能があり成型品の物性も優れているが、モノマーを回収するためにアルカリにより加水分解されたモノマーを酸で析出させると、dが1以外の化合物では、クリーム状の粘度の高いスラリーになって分離が困難になる。ところが、Rが水素以外の置換基の場合には、酸で析出させたモノマーの分離が容易である。dは1以上の整数であればよいが、dが大きくなりすぎるとポリ酸無水物の融点が下がり100℃以下になって実用性がなくなるので8以下が望ましい。
【0024】
この群に含まれる芳香族ジカルボン酸としては、ジ(4−カルボキシフェノキシ−α,ω−メタン、ジ(4−カルボキシ−2−クロロフェノキシ)−α,ω−メタン、ジ(4−カルボキシ−2−メチルフェノキシ)−α,ω−メタン、ジ(4−カルボキシ−2−メトキシフェノキシ)−α,ω−メタン、ジ(4−カルボキシ−2−メトキシフェノキシ)−α,ω−エタン、ジ(4−カルボキシ−2−メトキシフェノキシ)−α,ω−プロパン、2−メトキシ−4−カルボキシフェニル カルボキシメチルエーテル、2−メトキシ−4−カルボキシフェニル カルボキシエチルエーテル、2−メトキシ−4−カルボキシフェニル カルボキシプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0025】
第3の芳香族ジカルボン酸群、すなわち前記の一般式(3)で示される群においては、fが0の場合は化合物が不安定であり、fが3以上ではポリ酸無水物の耐水性が悪く実用に耐えられない。
【0026】
この群に含まれる芳香族ジカルボン酸としては、3カルボキシフェノキシ酢酸、3カルボキシフェノキシプロピオン酸、3カルボキシフェノキシ酪酸などが挙げられる。
【0027】
前記した芳香族ジカルボン酸の中でもとくに有用なのは、第2の群においてRがメトキシ基の場合である。Rがメトキシ基の芳香族ジカルボン酸は、バニリン酸とアルキレンジハロゲン化物とから合成することができる。このうちバニリン酸は、木材のリグニンから製造され、工業的には木粉や亜硫酸パルプ廃液からバニリンを合成し酸化することによって製造できる。すなわち、石油原料ではなく木材を原料として得られる化合物なので、再生産が可能である。また、アルキレンジハロゲン化物も石油以外の原料から合成することができる。
【0028】
たとえば、Rがメトキシ基でdが1の場合、すなわちジ(4−カルボキシ−2−メトキシフェノキシ)−α,ω−メタンは、リグニン酸とジクロロメタンとから合成できる。ジクロロメタンは、天然ガスから分離、もしくは木材を原料として合成した酢酸ナトリウムを分解して得られるメタンから合成できる。同じくdが2のジ(4−カルボキシ−2−メトキシフェノキシ)−α,ω−エタンは、リグニン酸とデンプンの発酵で得られるエタノールとを原料として合成できる。dが3の場合も同様にして、リグニン酸とデンプンの発酵で近年工業的に製造されるようになったトリメチレングリコールとを原料として合成できる。
【0029】
また、e=1の場合、すなわち2−メトキシ−4−カルボキシフェニル カルボキシメチルエーテルは、バニリン酸とモノクロル酢酸とから合成できる。モノクロル酢酸は木材の乾留で得られる酢酸が原料である。eが2の場合の原料であるサクシン酸は、天然ガスやメタノールと一酸化炭素とから合成できるので原料の脱石油が可能である。
【0030】
さて、前記の芳香族ジカルボン酸からポリ酸無水物を得るための重合方法には、とくに制限されるものではなく、公知の重合方法を利用することができる。一例をあげると、前記したいずれかの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて酢酸と芳香族ジカルボン酸との混合酸無水物を合成する。これを精製した後、高温、高真空下で脱酢酸溶融重縮合することによりポリ酸無水物を得ることができる。得られたポリ酸無水物は、通常、溶融法により成形するが、適宜の溶媒を用いて成形することもできる。得られたポリ酸無水物の特性と使用目的とに応じ、適当な成形手段を利用して繊維、フィルムを含む所望の製品形態に成形することができる。
【0031】
つぎに、使用済のあるいは産業廃棄物等として廃棄された、リサイクル原料としての本発明に係る原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体からモノマーを回収する方法について、例をあげながら具体的に説明する。まず、準備処理として必要により適宜に、洗浄、ふるい、比重分離、磁気選別などの各種分離手段を利用してリサイクル原料から砂、金属などの異物を分離し、あるいは裁断し粉砕する。準備処理を終えたリサイクル原料は、加水分解槽に投入してアルカリ水溶液によりポリ酸無水物の加水分解を行う。使用するアルカリは、アルカリ金属の水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが使用されるが、他の金属水酸化物であっても加水分解後のカルボキシル基の金属塩が水溶性であれば好ましく、とくに問題はない。水酸化物でなくても前記と同様、加水分解後水溶性であれば、金属単体、金属酸化物金属炭酸塩、金属酢酸塩を利用してもよい。また、塩基性のアミン水溶液、例えばアンモニア水なども使用できる。
【0032】
アルカリ濃度に特別な制限はなく、ポリ酸無水物にもよるが一般的に1〜15重量%程度がよい。使用するアルカリの量は、廃棄物のポリ酸無水物が加水分解されて生成される酸成分に対して1/2当量以上のアルカリ量であることが好ましい。反応温度は短時間で処理するために加熱する方がよい。本発明に係る合成樹脂成形体は容易に加水分解されて溶解する。混在する通常の異物はアルカリ水溶液に溶解しないので残さになり、例えばろ過して分離することができる。アルカリ水溶液中で加熱することにより消毒も可能なので、衛生材料を含めて医療用消耗用具として利用されている合成樹脂成形体のリサイクルも可能である。
【0033】
ついで、異物を分離した加水分解液に酸を加えて中和すると、モノマーである芳香族ジカルボン酸が析出される。前記のモノマーを単離した後の処理を容易にするために、酸の添加量は必要最小限にするのがよい。酸としては、塩酸、希硫酸、硝酸などを用いればよい。
【0034】
通常、前記のように芳香族ジカルボン酸のアルカリ塩水溶液を中和して芳香族カルボン酸を析出させると、多くの芳香族ジカルボン酸では析出物の結晶が非常に細かくなったり結晶性が悪くなったりして分離が困難である。とくに、芳香族ジカルボン酸の場合、分子が大きいこともあり結晶性が悪く、析出物はクリーム状になってその分離は極めて困難である。容易に分離できなければ、事実上、モノマーの回収はできない。ところが研究の結果見出された本発明に係るポリ酸無水物においては、アルカリで加水分解し、中和して得られる芳香族ジカルボン酸が容易に分離可能でありところに、その特長がある。
【0035】
本発明に係るポリ酸無水物のモノマーを回収、分離する方法としては、ほかにもポリ酸無水物をアルカリで加水分解した後、カルシウム塩のような不溶性の塩として単離する方法がある。この方法においてもカルシウム塩から最終的にモノマーを回収するには芳香族ジカルボン酸として析出させるのでその分離性が重要である。
【0036】
以下に実施例を挙げて具体的に説明する。なお、糸条の引張強度及び伸度は、JIS L−1015(1981)に準拠して行った(使用機器マッケンジー社製)。また、回収率は、(回収二塩基酸重量/二塩基酸分子量)を(回収前ポリ酸無水物重量)/(ポリ酸無水物繰返し単位の分子量(二塩基酸の分子量−18))で除した値である。固有粘度は、酸無水物を所定の溶媒に溶解し、30℃でCannon−Fenske型粘度計を用い、濃度が0.1、0.2、0.3、0.4重量%における粘度を測定して溶媒単独の場合との相対粘度を算出し、濃度0に外挿した値である。
【実施例1】
【0037】
ステンレス鋼製の還流冷却器付き加熱反応槽に1,4−ビスカルボキシメチルベンゼン10kgと150リットルの無水酢酸とを投入し、5時間、加熱・反応させた。さらに、活性炭による脱色操作を2回実施して、減圧下70℃で酢酸及び無水酢酸を留出させ10リットルまで濃縮し、冷却して前記ジカルボン酸のジアセテートを析出させた。収率は約86%であった。直ちに内容物を重合槽に移し、窒素気流中で約2時間、200℃に加熱し攪拌して酢酸を溜出させた後、1mmHg以下に減圧して1時間重合を続行した。重合槽を窒素で常圧に戻し、さらに窒素圧をかけて底部より重合物をストランド状で押出し、水中を通し冷却カットして粒状にした。得られたポリ酸無水物の融点は155℃、ジオキサン30℃における固有粘度は0.382であった。
【0038】
得られたポリ酸無水物10kgを、真空下70℃で4時間乾燥し、計量式供給機を備えたスクリュー径が30mmの2軸ベント式押出機を用い190℃、500g/分の速度で溶融押し出した。押し出されたポリ酸無水物をギアポンプにより昇圧して500ホールのノズルから押し出して紡糸し、600m/分の速度で巻き取った。巻き取った糸を集めて200,000dtexとして2.5倍に延伸した後、通常の油剤を付与し、押込捲縮機でクリンプを付与し、得られたトウを120℃で乾燥した。前記のトウを通常のカッターで長さ51mmにカットし短繊維を得た。得られた短繊維の繊度は6.6dtex、引張強度1.9g/dtex、伸度120%、捲縮数は11ヶ/インチ、油剤の付着量は0.3重量%であった。この短繊維を通常の方法でニードルパンチし、SBRフォームを塗布してバッキングし、カーペットに加工した。
【0039】
前記のカーペットを通常の破砕機を用いて約20mm程度の細片とし、その約10kgを200リットルの加熱装置及び還流冷却器付反応槽に入れ、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を100リットルを加えて1時間煮沸した。カーペットはバッキング材を残して溶解した。この液を反応槽の底から取り出し、ろ布の上から注いでバッキング材と使用中に付着した砂などの異物やごみを除去した。得られたろ液を塩酸で中和して白色の結晶を得た。この結晶は、常圧のまま、ろ布により簡単にろ過、分離することができた。分離した結晶を乾燥して融点を測定したところ、245℃であった。モノマーである1,4ビスカルボキシメチルベンゼンであることが確認された。回収率は96%であった。
【0040】
[比較例1]
実施例1に使用したのと同じ方式の、ただし、ガラスフラスコを反応器として用い、ビーカースケールの比較実験を行った。すなわち、還流冷却器を備えた2リットルのフラスコに150gのビスフェノールAを入れ、54gの水酸化ナトリウム及び400ml水を加えて溶解させた。さらに、830mlの水に溶解したモノクロル酢酸8.6gを滴下し90℃で3時間反応させた。室温まで冷却した後、塩酸で酸性にしたところ沈殿物を生じた。生じた沈殿物をエチルエーテルで抽出した。エチルエーテルを無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、蒸発させると160gの2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−0,0’−ジアセチックアシドの結晶が得られた。
【0041】
同じ反応器を用い、100gの2,2’ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−0,0’−ジアセチックアシドと1リットルの無水酢酸とを投入し、12時間、還流・加熱した。これに活性炭を加えて脱色し、活性炭を除いた後、メカニカルシール付の攪拌機を中央の口に装着した2リットルの2口フラスコに投入した。もう一方の口にはコンデンサーを介して真空ポンプに連結した。マントルヒーターで加熱し攪拌しながら無水酢酸を留去させ、次いで硝酸塩バスに浸漬し、窒素気流中で温度を上げて280℃とし、真空ポンプで1Torrに減圧し、2時間攪拌を続けて重合させた。得られた重合物の融点は200℃、30℃ジオキサンでの固有粘度は0.313であった。この重合物は曳糸性があり、30mm押出機を用いて260℃で溶融し、0.3mmφのノズルから押し出して得られた糸条を2.3倍に冷延伸し、引張強度2.8g/dtex、伸度133%の繊維を製造した。
【0042】
上記の繊維10gを100リットルの5重量%の水酸化ナトリウム水溶液中で、30分間、加熱し溶解させた。得られた溶解液をろ過して異物を除去し、希塩酸で中和したところ白濁を生じた。この白濁物は糊状のスラリーとなり、べとついていて、ろ過することはできなかった。水流真空ポンプを用いて12時間吸引し、水分の除去を試みたが水分を分離することはできなかった。
【実施例2】
【0043】
実施例1に使用したのと同じ反応槽を用い、木材のリグニンを酸化して得られたバニリン酸1.68kgと水酸化ナトリウム0.5kgとを10リットルの水に溶解し、1,2−ジブロムエタン0.94kgを加えて75℃で20時間加熱した。さらに水酸化ナトリウム300gを追加して4時間、加熱した。冷却後、塩酸を加えて中和すると白色沈殿が析出した。この沈殿物を10リットルのエタノールで洗浄して未反応のバニリンを除去し、1.4kgの白色粉末を得た(収率76%)。融点277℃のジ(4−カルボキシ−2−メトキシフェノキシ)エタンであった。
【0044】
このモノマー1kgに対して8リットルの無水酢酸を加え加熱還流させた。次第に二塩基酸が反応して溶解した。無水酢酸とを約2リットルの容量まで濃縮して冷却すると結晶が析出した。これを無水酢酸で再結晶すると融点が148℃の混合酸無水物が得られた。収量が0.79kgであった(収率65%)。このようにして得た混合酸無水物0.5kgを0.5リットルの無水酢酸とともに実施例1に使用したのと同じ重合槽に投入し、窒素置換後、1時間加熱、還流した。無水酢酸を溜出させ、窒素気流中で240℃まで昇温した。さらに0.1Torrの減圧下2時間攪拌を続けた後、窒素で加圧して内容物を底部からストランドとして取り出し、破砕機で小片にした。得られたポリマーの30℃、m−クレゾール中での固有粘度は0.364、であった。前記のポリマーを実施例1と同じ装置を用いて250℃で紡糸し得られた単糸径が6.6dtexの未延伸糸を2.5倍に延伸して、引張強度2.7g/dtex、伸度102%のフィラメントを製造した。
【0045】
また、250℃に加熱した加圧板の上にシリコーン潤滑油を噴霧した10×10cmのアルミニウム箔を置き、その上に乾燥したポリ酸無水物1gを置いてアルミニウム箔に包み、加圧板の間にはさみ、油圧プレスで30秒間、150kg/cmに加圧した。放圧後、水冷してアルミニウム箔をはがして厚さが120μmのフィルムを得た。得られたフィルムを10×1cmに切断し、テンシロンにより測定した引張強さは23Mpa、伸度は365%であった。
【0046】
上記フィルム1gを5重量%水酸化ナトリウム水溶液200mlに浸漬し加熱すると15分後に完全に溶解した。得られた溶液を塩酸で中和して生じた沈殿物を真空吸引ろ過して水洗、乾燥した。ろ過、分離はきわめて容易であった。沈殿物はジ(4−カルボキシ−2−メトキシフェノキシ)−α,ω’−エタンとみられ、その融点を測定したところ277℃であり、その回収率は93%であった。
【0047】
[比較例2]
比較例1と同様にして、還流冷却器を備えた2リットルのガラスフラスコを反応器として、ビーカースケールの比較実験を行った。前記の反応器を用い、2モルのp−ヒドロキシ安息香酸と1モルの1,3−ジブロモプロパンとを4モルの水酸化ナトリウム中で3時間加熱・還流させ、さらに1モルの水酸化ナトリウムを加えて2時間加熱・還流し、冷却してジ(4−カルボキシフェノキシ)−α,ω−プロパンのナトリウム塩の沈殿を得た。これを水に溶解して塩酸を加えジカルボン酸を得た。得られたジカルボン酸を、実施例2におけると同様に、無水酢酸と反応させた後、無水酢酸を留出させてジ(4−カルボキシフェノキシ)−α,ω−プロパンと酢酸との混合酸無水物を得た。さらに、無水酢酸で再結晶させて、融点が102℃のジ(4−カルボキシフェノキシ)−α,ω−プロパンと酢酸との混合酸無水物を得た。
【0048】
得られた混合酸無水物を実施例2と同様にして280℃で重合し、融点が265℃、30℃のm−クレゾールでの固有粘度が0.285のポリ酸無水物を得た。得られた重合物を実施例2と同様にして280℃でフィルムに成形した。
【0049】
成形した10×10cmのフィルムを5枚(各1g)を5重量%水酸化カリウム水溶液500ml中で15分間加熱し溶解させ、塩酸で中和して沈殿物を得た。得られた沈殿物は、べとついたクリーム状であって、6時間真空ろ過を試みたが水を分離することはできなかった。
【0050】
[比較例3]
比較例1と同様にして、セバシン酸200gと1リットルの無水酢酸とを還流下に5時間加熱した後、無水酢酸を20Torrの真空で溜出させた。残さに乾燥ベンゼンを加えて溶解、ろ過して、ろ液に乾燥石油エーテルを加えると沈殿を生じた。得られた沈殿物は、セバシン酸と酢酸との混合酸無水物が重合した環状のオリゴマーで、融点が75℃、収量は143gであった。この沈殿物をデシケータ中、五酸化リンで乾燥した後、そのうちの50gを重合用反応器に入れて200℃で加熱し、油拡散ポンプを用いて0.01Torrまで減圧すると、環状二量体を昇華させながら重合が進行した。1時間後に残さは融点が83℃のポリマーになっていた。収量は34gであった。このポリマーは微量の水分で加水分解するため、固有粘度を測定することはできなかった。
【0051】
前記のポリ酸無水物を重合直後の溶融状態のまま、底部に径が0.5mmφのノズルを取り付けた直径2cmの簡易紡糸機の加熱式シリンダーに移した。前記の簡易紡糸機は、油圧によりピストンを作動させてシリンダー内の溶融物を押し出すことができる。シリンダーを200℃に保持し、ポリ酸無水物をピストンで押し出し、吐出物を手で引っ張ると糸状物が得られ、冷延伸可能であった。冷延伸した糸条を測定すると繊度が21.6dtex、引張強度は1.9g/dtex、伸度82.7%であった。得られた糸条は、空気中に放置すると加水分解されてで脆化し、6時間後には強度0.2g/dtex、伸度25%にまで劣化していた。
【実施例3】
【0052】
[実施例3〜10]として、比較例1と同様のビーカースケール実験を行い、各種のポリ酸無水物を合成し、その実用性と回収の難易を評価したのでその結果をまとめて表1に示す。なお、実用性は、融点、成形性及び耐加水分解性によって評価した。融点は各ポリ酸無水物の融点測定値を示す。成形性は、成形性の厳しい繊維形成能を指標として、比較例3に記載した簡易紡糸機を用い、重合物をよく乾燥して融点よりも高温度で0.5mmφのノズルから30kg/cmの油圧で押し出し得られた糸条物を冷延伸し、延伸可能であれば○、そうでなければ×として評価した。耐加水分解性は、対象のポリ酸無水物を糸条体に形成し、室温で水中に24時間した後の引張強度を測定し、その値が元の50%以上であれば○、50%未満を×とした。
【0053】
モノマー回収の難易は、ポリ酸化物のアルカリ加水分解液を酸で中和して沈殿するモノマーのろ過性で判別した。すなわち、ポリ酸無水物10gを5重量%水酸化ナトリウム200ml中で2時間加熱還流して溶解し、塩酸で中和してモノマーを析出させた。吸引びんの漏斗にろ紙(東洋アドバンテック製5A)をおき、前記のモノマー析出溶液を注いで、水流アスピレータで吸引しモノマーをろ過、分離した。15分以内でろ過された場合を○とし、クリーム状スラリーとなって水分を保持したまま、ろ過、分離されない場合を×とした。
【0054】
[比較例4〜18]
本発明の研究段階において、各種の芳香族ジカルボン酸から実施例3と同様の方法に準じてポリ酸無水物を合成し、その実用性と回収の難易を評価したので、その結果を比較例としてまとめ、表2及び3に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明を利用することよって、繊維、フィルムを含む一般成型物などの合成樹脂成型品を容易にリサイクルすることが可能になり、さらには資源再循環型社会、とくに化石原料、とくに石油を出発原料としない資源再循環型社会を構築できるを構築することが期待できる。とりわけ使捨て製品である衛生材料、医療用物資、包装材料、農業用シートなどの素材として好適である。このほか、廃棄物処理が困難な寝装品や建材類などにも利用してもよい。複数の小規模モノマー回収装置を各所に設けて収集された本発明に係る合成樹脂成形体をモノマーとして回収し、回収されたモノマーを重合工場に集め、重合工場で精製し原料モノマーとして重合し、本発明合成樹脂として各種の成形体に加工し再使用することができる。そしてその廃棄物は再び各所でモノマーに回収し重合工場に送って重合し、合成樹脂成形体に加工して資源循環が繰り返される。需要に対する不足分のみ合成したモノマーを補充すればよい。大規模な資源リサイクル工程を必要とするため、廃棄物の保管や輸送コストに問題のある現在のペットボトルのリサイクルシステムよりも有利になるとの期待もある。
【0059】
また、上記の用途以外にも大量に廃棄物が発生する自動車用材料にも適している。例えば内装材としてシート材、カーマット、トランクマット、天井材、ドアリム、ダッシュボードなどに使用し、廃車の解体業者から集めてリサイクルすれば効率的に大量の資源の循環が可能になる。また、種々雑多な使われ方をしても、ごみ収集時にポリ酸無水物を分別収集することにより回収できるので多くの産業分野の製品に利用できる。
【0060】
本発明のモノマーは石油原料ではなく、木材などの再生産可能な原料から合成できるので資源の枯渇を招かない。こうして完全な資源循環型社会を構築することが可能になる。とくに本発明は、製品の生産量が大きく使用済製品の回収が比較的容易で、しかも従来リサイクルがあまりなされていない、自動車内装材、医療用消耗用具などの原料リサイクルに利用できる可能性が大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジカルボン酸のポリ酸無水物からなる合成樹脂成形体であって、かつ、前記の合成樹脂成形体は、加水分解することにより単一の二塩基酸に分解され、前記二塩基酸水溶液に酸を加えることにより前記ポリ酸無水物を構成するモノマーが析出されて、合成樹脂成形体の原料にリサイクルできることを特徴とする、原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体。
【請求項2】
ポリ酸無水物が、一般式(1)で示される芳香族ジカルボン酸のポリ酸無水物からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体。
【化1】

【請求項3】
ポリ酸無水物が、一般式(2)で示される芳香族ジカルボン酸のポリ酸無水物からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体。
【化2】

【請求項4】
がメトキシ基である、ことを特徴とする請求項3に記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体。
【請求項5】
ポリ酸無水物が、一般式(3)で示される芳香族ジカルボン酸のポリ酸無水物からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体。
【化3】

【請求項6】
前記の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体の形状が繊維状物である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体。
【請求項7】
前記の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体の形状がシート状物である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体。
【請求項8】
原料素材の全部又は一部が、請求項1〜5のいずれかに記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体である、ことを特徴とする車両用内装材
【請求項9】
原料素材の全部又は一部が、請求項1〜5のいずれかに記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体である、ことを特徴とする医療用消耗用具。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれかに記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体、請求項8に記載の車両用内装材、又は請求項9に記載の医療用消耗用具を、アルカリ水溶液により加水分解し、得られた加水分解水溶液に酸を加えてポリ酸無水物のモノマーを析出させ、前記合成樹脂成形体の原料を回収する、ことを特徴とする合成樹脂成形体の原料リサイクル方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれかに記載の原料リサイクルが容易な合成樹脂成形体、請求項8に記載の車両用内装材、又は請求項9に記載の医療用消耗用具を、アルカリ水溶液により加水分解する工程と、得られた加水分解物に酸を加えてポリ酸無水物のモノマーを析出させる工程と、析出されたモノマーを分離回収する工程とを含んでなる、ことを特徴とする合成樹脂成形体の原料リサイクルシステム。
【請求項12】
析出されたモノマーを分離回収する工程として、ろ過による分離手段を用いる、ことを特徴とする、請求項11に記載の合成樹脂成形体の原料リサイクルシステム。

【公開番号】特開2006−22226(P2006−22226A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202109(P2004−202109)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(504264296)サンエム技研有限会社 (1)
【Fターム(参考)】