説明

原稿搬送装置

【課題】コンタクトガラスと無端状ベルトとの接触によるキズの発生を回避し、安定した原稿搬送性能を確保しながら、紙粉等の吸着のための動作を可能とする。
【解決手段】原稿搬送手段は、給紙された原稿を吸着して搬送するための搬送ベルト100と、搬送ベルト100を巻回し、搬送ベルト100を回転駆動し、かつ所定のタイミングでコンタクトガラス24面に対して移動させる2つ以上のベルト搬送ローラ(搬送駆動ローラ103、搬送従動ローラ104)と、搬送ベルト100に交番する電圧を印加し、静電吸着力を形成する交流電源102と、を有し、原稿搬送手段の2つ以上のベルト搬送ローラのうち、少なくとも一方を、コンタクトガラス24面に対して接離可能に構成し、原稿読み取り時には、コンタクトガラス24面の読取位置に微小間隙で離間して原稿を搬送し、他方、回転駆動しない状態でコンタクトガラス24に接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、スキャナ、ファクシミリ装置などに利用され、原稿を読取位置に搬送する原稿搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ブック原稿およびシートスルー原稿の両方を読取可能な画像読取装置が種々開発されている。このものは、コンタクトガラス上に静止された原稿を読取る際には移動するとともに、搬送される原稿を読取る際にスリットガラス上で停止するように構成された読取手段と、所定の読取位置に原稿を搬送するとともに読取後の原稿を排紙可能な自動原稿搬送装置と、備えた技術が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、このものにあっては、コンタクトガラスとは別にシートスルー原稿を読取るためのスリットガラスが必要となってしまうため、装置がその分だけ大型化、高コストになってしまう。これに対して、1つのコンタクトガラスによってブック原稿およびシートスルー原稿を読取るようにしたものが開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、このような従来の自動原稿搬送装置を有する画像読取装置にあっては、コンタクトガラスの端部で読取られた後の原稿をコンタクトガラスの端部から搬送ローラによって搬出して装置本体側方の排紙トレイ上に排紙するようになっているため、本体の側方に排紙トレイを設けたり、本体側方の排紙トレイに原稿をすくい上げるための機構を配設する領域が必要になる分だけ自動原稿搬送装置が長手方向に長くなってしまい、画像読取装置の設置スペースが増大してしまうという問題があった。
【0005】
そこで、特許文献3、特許文献4のように、コンタクトガラス上に静止された原稿を読み取る際には移動するとともに、搬送される原稿を読取る際にはコンタクトガラスの端部で停止する読取光学系を有し、シートスルー原稿の読取時には、原稿載置台に載置された原稿をコンタクトガラスの端部に向かって搬送し、コンタクトガラスの端部で読取られた後の原稿をコンタクトガラスの端部から搬送ローラによって搬出して装置本体側方の排紙トレイ上に排紙するようになっている。このものにあっては、1つのコンタクトガラスでブック原稿とシートスルー原稿の読み取りを行なうことができる分だけ装置を小型、低コストにすることができる。また、搬送ベルト上に不平等電解を形成することにより、原稿を静電吸着しコンタクトガラスの上方の押えカバー上にすくい上げて排紙することが行なわれている。
【0006】
【特許文献1】特開平2−48679号公報
【特許文献2】特開平2−77075号公報
【特許文献3】特開2003−206045号公報
【特許文献4】特開平8−254765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記に示されるような従来の技術にあっては、原稿搬送中に原稿などから発生する紙粉、その他ゴミ等をコンタクトガラス上からガラス面を傷つけずに効果的に除去することができないという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンタクトガラスと無端状ベルトとの接触によるキズの発生を回避し、安定した原稿搬送性能を確保しながら、紙粉等の吸着のための動作を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、画像読取装置に搭載され、この画像読取装置のコンタクトガラス面の読取位置に原稿を搬送する原稿搬送手段を備え、当該原稿を読み取った後、排紙する原稿搬送装置であって、前記原稿搬送手段は、給紙された原稿を吸着して搬送するための無端状ベルトと、前記無端状ベルトを巻回して張架し、当該無端状ベルトを回転駆動し、かつ所定のタイミングで前記コンタクトガラス面に対して移動させる、少なくとも2つ以上のベルト搬送ローラと、前記無端状ベルトに交番する電圧を印加し、静電吸着力を形成する印加部材と、を有し、前記原稿搬送手段の2つ以上のベルト搬送ローラのうち、少なくとも一方を、前記コンタクトガラス面に対して接離可能に構成し、原稿読み取り時には、前記コンタクトガラス面の読取位置に微小間隙で離間して原稿を搬送し、他方、回転駆動しない状態において、前記コンタクトガラスに接触することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1の記載において、さらに、原稿載置の有無を検知する原稿有無検知手段を有し、前記原稿搬送手段は、前記原稿有無検出手段による検知情報にしたがって前記コンタクトガラス面に対して接離することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3にかかる発明は、請求項2の記載において、前記原稿搬送手段は、前記原稿有無検知手段による検知情報にしたがって回転駆動を開始し、同時に前記印加部材による印加を行い、前記無端状ベルト上に不平等電解が形成されている面が、少なくとも前記コンタクトガラスの鉛直上方に達する位置まで回転駆動を続け、停止後、前記コンタクトガラスに接触する位置に移動することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1の記載において、さらに、原稿載置の有無を検知する原稿有無検知手段と、原稿の排紙を検知する原稿排紙検知手段と、を有し、前記原稿搬送手段は、前記原稿有無検出手段および前記原稿排紙検知手段の検知情報にしたがって前記コンタクトガラス面に対して接離することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5にかかる発明は、請求項1の記載において、さらに、原稿載置の有無を検知する原稿有無検知手段と、原稿の排紙を検知する原稿排紙検知手段と、を有し、前記原稿搬送手段の無端状ベルトを張架するローラは、前記原稿有無検出手段および前記原稿排紙検知手段の検知情報にしたがって回転駆動を停止し、前記コンタクトガラスに接触する位置に移動することを特徴とする。
【0014】
また、請求項6にかかる発明は、請求項1の記載において、前記原稿搬送手段の無端状ベルトを張架するローラは、前記コンタクトガラスに接触後、再度コンタクトガラスに対し微小隙間を設けた位置に移動し、回転駆動を開始することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7にかかる発明は、請求項1〜6のいずれか一つの記載において、前記原稿搬送手段の無端状ベルトを張架するローラ対の下流上方に第3のローラを設け、前記無端状ベルトを3本のローラで張架することを特徴とする。
【0016】
また、請求項8にかかる発明は、請求項7の記載において、前記第3のローラにおける水平方向の頂点に接する位置に、前記無端状ベルトに形成された不平等電解を除電し、前記無端ベルト上の付着物を除去する付着物除去手段と、前記付着物除去手段の鉛直下方に設けられ、前記付着物除去手段で除去される付着物を回収する付着物回収部材と、をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9にかかる発明は、請求項8の記載において、前記付着物回収部材に、付着物の回収量が略満杯であることを検知する満杯検知手段を設けたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項10にかかる発明は、請求項8または9の記載において、前記付着物回収部材は、装置本体から取り外し可能な構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる原稿搬送装置は、原稿搬送手段が、給紙された原稿を吸着して搬送するための無端状ベルトと、無端状ベルトを巻回して張架し、当該無端状ベルトを回転駆動し、かつ所定のタイミングでコンタクトガラス面に対して移動させる、少なくとも2つ以上のベルト搬送ローラと、無端状ベルトに交番する電圧を印加し、静電吸着力を形成する印加部材と、を有し、原稿搬送手段の2つ以上のベルト搬送ローラのうち、少なくとも一方を、前記コンタクトガラス面に対して接離可能に構成し、原稿読み取り時には、コンタクトガラス面の読取位置に微小間隙で離間して原稿を搬送し、他方、回転駆動しない状態において、コンタクトガラスに接触することにより、原稿搬送中は、コンタクトガラスと無端状ベルトとの接触によるキズの発生を回避し、安定した原稿搬送性能を確保しながら、紙粉等の吸着のための動作が可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる原稿搬送装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態)
図1は、この実施の形態にかかる自動原稿搬送装置の全体構成を示す説明図である。また、図2は、この実施の形態にかかる自動原稿搬送装置の構成および読取時の動作状態を示す説明図であり、図3は、この実施の形態にかかる自動原稿搬送装置の構成および非読取時の動作状態を示す説明図である。
【0022】
この図1において、符号21は原稿をコンタクトガラス24上で光学的に読み取り電気信号として画像情報を得るスキャナ装置であり、このスキャナ装置21上には複数枚の原稿を1枚ずつコンタクトガラス24の読取位置に搬送する自動原稿搬送装置22が載置されている。この自動原稿搬送装置22は原稿載置台としての原稿トレイ23に載置された原稿を矢印R方向に反転させてコンタクトガラス24上の読取り位置に搬送するようになっている。
【0023】
スキャナ装置21は支持部材25によってスキャナ装置21の本体21aに回動自在に取り付けられており、コンタクトガラス24に対して開閉自在になっている。また、スキャナ装置21には図中左右方向に移動して原稿面を走査可能な走行体26が設けられており、この走行体26は原稿面に光を照射するランプ等の光源27および光源27から原稿面に照射された光を反射するミラー28から構成されている。このミラー28によって反射された光はミラーユニット31のミラー29,30によってレンズ32に結像された後、光電変換素子33によって画像情報が読み取られるようになっている。これら走行体26、ミラーユニット31、レンズ32および光電変換素子33は読取り光学系を構成している。また、コンタクトガラス24の端部にはスケール34が設けられており、コンタクトガラス24上にブック原稿等を静止させて読取る際には、ブック原稿等の端部をこのスケール34に突き当てた状態で走行体26を読取位置Bから左側に走行させるようになっている。
【0024】
一方、自動原稿搬送装置22は、図2に示すように原稿トレイ23上に載置された原稿1を読取位置Aの下方で停止した走行体26上に給紙搬送するため、給紙駆動ローラ106、給紙従動ローラ107、給紙ベルト108、分離コロ109とからなる給紙ユニットと、搬送駆動ローラ103と搬送従動ローラ104,114に張架された搬送ベルト100および搬送ガイド105からなる搬送ユニットを備える。搬送手段によって搬送し、読み取った原稿を、排紙上ガイド110、排紙下ガイド111、排紙駆動ローラ112、排紙従動ローラ113とからなる排紙ユニットにより排紙トレイ40上に排出する。
【0025】
図2に示す、符号120はCPU,RAM,ROMなどを備えたマイクロコンピュータシステムで構成され、このスキャナ装置21および自動原稿搬送装置22を統括的に制御する制御部、符号121は後述するように、無端状ベルトの搬送ベルト100を巻回した搬送駆動ローラ103をコンタクトガラス24面に対して接触/離間する接離駆動部、符号122はこのスキャナ装置21および自動原稿搬送装置22の操作設定を行なうための設定キーやテンキーなどを有し、また装置の状態などを液晶パネルに表示する表示部である。接離駆動部121の具体的な手段としては、ソレノイドによるON/OFFにより搬送駆動ローラ103を接触/離間させる機構、カム機構など公知の機構を用いる。制御部120には、原稿積載検知センサ117の原稿有無信号、排出検知センサ118の原稿排出信号、紙粉検知センサ116の紙粉満杯信号などが入力される。
【0026】
搬送ベルト100は、無端状のベルトであり、二重構造の樹脂フィルムから構成され、この樹脂フィルムは表面層が高抵抗(1014Ω以上)フィルムから構成されるとともに、裏面層が低抵抗層(108Ω以下)フィルムで構成されている。この無端状の搬送ベルト100は搬送駆動ローラ103および搬送従動ローラ104,114に券回されており、この各ローラ103,104,114により図中時計回転方向に回動するようになっている。
【0027】
搬送駆動ローラ103は接地されており、この搬送駆動ローラ103には搬送ベルト100を介して電極ローラ101が摺接している。電極ローラ101は金属ローラあるいは、金属ローラに108〜1011Ωのゴムが被覆されたものから構成されており、この電極ローラ101には、交流電源102から交流電圧が印加されるようになっている。
【0028】
したがって、搬送ベルト100は搬送駆動ローラ103によって時計回転方向に一定速度vmm/sの速度で移動し、原稿1の給紙位置は無端状の搬送ベルト100の移動方向に対して電極ローラ101の当接位置よりも下流側で対向電極としての電極ローラ101に接する範囲となっている。このため、搬送ベルト100には原稿1がその表面に給紙されるに先立って交流電源102によって電極ローラ101を介して交流電圧が印加され、これによって搬送ベルト100の表面には、電荷密度+σ、−σが交互にv/Ammのピッチで並んだ電界密度パターンが形成される。また、搬送ベルト100の裏面にも同様の電荷密度パターンが180°ずれて形成される。このように形成された電荷密度パターンによって搬送ベルト100の表面近傍には不平等電界が形成される。上述した電極ローラ101および交流電源102は印加部材を構成している。
【0029】
上記不平等電解により搬送ベルト100の表面に吸着された原稿1は、搬送駆動ローラ103の径が、原稿のコシ<静電吸着力となる大きさに設定されているため、搬送ベルト100から剥離することなく読取位置Aに搬送される。これにより、読取位置Aにおいては、搬送ベルト100は、コンタクトガラス24に対して0.1〜0.5mm程度離れた位置に配置しているため、上記不平等電解により搬送ベルト100に吸着し搬送される原稿はコンタクトガラス24に接触することなく、搬送される。読取位置Aを通過した後、搬送従動ローラ104は、搬送駆動ローラ103の上方に位置しているため、原稿1は搬送ベルト100に吸着されたまま徐々に上方向に送られ、原稿1の先端が搬送従動ローラ104に達すると、搬送従動ローラ104の径が、原稿のコシ>静電吸着力となる大きさに設定されているため、搬送従動ローラ104を通過した位置で搬送ベルト100から剥離し、排紙上ガイド110および排紙下ガイド111内に案内される。排紙口の近傍には、排紙駆動ローラ112、排紙従動ローラ113が設けられており、このローラ対によって原稿1は排紙トレイ40上に排出される。
【0030】
本実施の形態では、給紙ユニットから搬送ユニットに受け渡された原稿1は、全搬送経路にて搬送ベルト100に静電的に吸着されながら搬送されるため、搬送経路内で原稿1は安定しており、従来のような搬送ローラ対の部品ばらつきによるスキュー(斜め送り)、スリップ等は発生しない。さらに、読取位置Aにおいても、原稿1は搬送ベルト100に全面吸着された状態であるため、従来のような搬送ローラを原稿の後端が抜ける際や、搬送経路の受渡し部の隙間の影響によるショックジター(微小な搬送ずれにより読取画像が飛ぶ現象)の発生も回避しており、安定した読み取りが可能である。
【0031】
原稿トレイ23上に原稿1をセットすると、原稿積載検知センサ117により、原稿1のセットが検知される。この検知情報を元に、搬送駆動ローラ103が符号103aの読取位置で回転駆動し、同時に交流電源102から電極ローラ101を介して搬送ベルト100に不平等電解が形成される。搬送ローラ103は、搬送ベルトに形成された不平等電解が読取位置Aに到達するまで回転駆動を続けた後、停止する。このとき、搬送駆動ローラ103は、接離駆動部121により、図3に示す位置103bに移動し、Bに示す位置で搬送ベルト100とコンタクトガラス24が接触する。Bの位置では搬送ベルト100には不平等電解が形成されているためコンタクトガラス24上の紙粉、ゴミ等が吸着される。
【0032】
この後、搬送駆動ローラ103は図2の103aの位置に戻り、再度回転駆動を開始する。搬送方向における下流側の搬送従動ローラ114の近傍には除電ブラシ119が設けられており、除電ブラシ119により、搬送ベルト100上の不平等電解が除電され、同時に吸着されていた紙粉、ゴミ等も掻き落とされ、紙粉受け部115内に堆積する。また、原稿トレイ23上の原稿1が全て搬送され、原稿積載検知センサ117により原稿なしであると検知された後、排出検知センサ118により、排出完了が検知されると、搬送駆動ローラ103の停止位置103bへの移動、B位置での紙粉、ゴミ等の吸着が行われ、上述同様に紙粉受け部115に、紙粉、ゴミ等が堆積する。紙粉受け部115は自動原稿搬送装置22から取り外し可能に構成されている。紙粉検知センサ116により、紙粉受け部115内部の紙粉の堆積が検出されると、たとえば操作・表示部122に紙粉受け部115が略満杯である旨の表示や廃棄を促す表示を行なうことで、紙粉受け部115を取り出し、堆積した紙粉、ゴミ等を廃棄することが可能である。
【0033】
ブック原稿等を読取る場合には、自動原稿搬送装置22を開放し、コンタクトガラス24上に、スケール34に原稿の端部を突き当て載置する。図示しないスタートスイッチ等により、走行体26は図1中、読取位置Bから左側に走行して光源27から原稿面を照射し、反射光がミラー28〜30によって反射され、レンズ32に結像された後、光電変換素子33によって画像情報が読取られる。
【0034】
したがって、以上説明してきた実施の形態によれば、搬送ベルト100を張架する2本のローラの内、少なくとも一方の位置を移動可能な構成、すなわち本実施の形態では搬送ベルト100を巻回する搬送駆動ローラ103をコンタクトガラス24面に対して離間/接触する構成とし、停止時にのみコンタクトガラス24面に接触するようにしたことにより、原稿搬送中は、コンタクトガラス200と搬送ベルト100との接触によるキズの発生を回避し、安定した原稿の搬送性能を確保しながら、紙粉等の吸着のための動作を行なうことが可能となる。
【0035】
また、移動可能なローラ(本例では、搬送駆動ローラ103)は、コンタクトガラス24に対し微小隙間を設けた位置では回転駆動することにより原稿を搬送し、回転駆動しない状態において、コンタクトガラス24に接触する位置に移動するため、コンタクトガラス24上に積載された紙粉、その他ゴミなどを搬送ベルト100に吸着させる。これにより、搬送駆動ローラ103は、コンタクトガラス24に対し微小隙間を設けた位置では回転駆動することにより原稿を搬送し、紙粉等吸着時には停止した状態で、コンタクトガラス24に接触する位置に移動するため、搬送中はコンタクトガラス24との擦れによるキズの発生を回避し、紙粉、その他ゴミなどを搬送ベルト100に吸着させるときは確実に吸着させることが可能となる。
【0036】
また、移動可能なローラ(本例では、搬送駆動ローラ103は、原稿トレイ23上に設けられた、原稿の有無を検出する手段(原稿積載検知センサ117)による検知情報に基づき移動することにより、原稿セットによる原稿の有無の検知情報により、搬送前にコンタクトガラス24上の紙粉、ゴミなどをベルトに吸着させる。これにより、原稿セット時に紙粉除去走査を行うため、読取開始前にコンタクトガラス上24の紙粉、ゴミ等を除去し、読取画像の品質を向上させることができる。
【0037】
また、原稿トレイ23上に設けられた、原稿有無検出手段(原稿積載検知センサ117)からの検知情報により、無端状ベルトを張架する搬送ローラ100は回転駆動を始め、同時に印加部材による印加を行い、無端状ベルト上に不平等電解が形成されている面が、少なくともコンタクトガラス24の鉛直上方に達する位置まで搬送ローラ100は回転駆動を続け、停止後、前記移動可能なローラはコンタクトガラス24に接触する位置に移動することにより、不平等電解が印加された面を確実にコンタクトガラス24の読取位置に接触させる。これにより、原稿セット検知後、移動可能なローラは回転駆動を始め、同時搬送にベルト100に印加し、不平等電解が形成された面をコンタクトガラス24に接触させるため、搬送前のコンタクトガラス24上の紙粉、ゴミ等を確実に除去可能である。
【0038】
また、前記移動可能なローラは、原稿トレイ23上に設けられた、原稿の有無を検出する手段(原稿積載検知センサ117)と、排紙手段による原稿の排出を検出する手段(排出検知センサ118)の双方からによる検出情報に基づき移動させることにより、セットされた全原稿の読み取り終了後に、コンタクトガラス24上の紙粉、ゴミ等をベルトに吸着させる。これにより、原稿の読み取り終了後にもコンタクトガラス24上の紙粉、ゴミ等を除去するため、搬送中発生の紙粉を直ぐに除去できるため、紙粉等の堆積による固着を回避可能である。
【0039】
また、原稿トレイ23および排紙部の原稿積載検知センサ117からの検知情報により、無端状ベルトを張架する搬送ローラ100は回転駆動を停止し、移動可能なローラはコンタクトガラス24に接触する位置に移動することにより、無端状ベルトに不平等電解が印加されている状態のまま、読取終了後、短時間でコンタクトガラス24に接触させる。これにより、原稿排出後、直ちに紙粉等除去が行われるため、時間効率を向上させることが可能となる。
【0040】
また、移動可能なローラは、コンタクトガラス24に接触後、再度コンタクトガラス24に対し微小隙間を設けた位置に移動し、無端状ベルトを張架する搬送ローラ100は回転駆動を開始させることにより、コンタクトガラス24上の紙粉、その他ゴミ等を吸着した状態で搬送ベルト100を回転駆動させる。これにより、紙粉、ゴミ等を吸着後、コンタクトガラス24から搬送ローラ100が離間し、回転駆動を開始するため、読取位置に堆積した紙粉、ゴミ等を移動(搬送)させることが可能となる。
【0041】
また、無端状ベルトを張架するローラ対の下流上方に第3のローラ(搬送従動ローラ114)を設け、前記無端状ベルトを3本のローラで張架することにより、搬送ベルト100に吸着された紙粉、その他ゴミ等をベルトから剥離させる手段を設ける。これにより、ベルトを3本のローラで張架することにより、除電ブラシ、紙粉受けを配置可能であり、コンタクトガラス24上に堆積していた紙粉、ゴミ等を集積することが可能となる。
【0042】
また、第3のローラの水平方向頂点に接する位置に、前記無端状ベルトに形成された不平等電解を除去する手段(除電ブラシ119)を設け、その鉛直下方に箱型部材(紙粉受け部115)を設け、搬送ベルト100に吸着された紙粉、その他ゴミ等を除電ブラシで掻き落とし、紙粉受けに格納する。これにより、第3のローラの水平方向頂点に接する位置に、除電ブラシ119を配し、その直下に紙粉受けを設けたことにより、コンタクトガラス24上から吸着搬送された紙粉、ゴミ等を一箇所に格納可能であり、装置内部への散乱を防止できる。
【0043】
また、箱型部材(紙粉受け部115)内部に、検出手段(紙粉検知センサ116)を設け、紙粉受けに溜まった紙粉、ゴミ等を検出する。これにより、紙粉受け部115内部の紙粉検知センサ116により、堆積量を検出可能であり、堆積した紙粉、ゴミ等があふれ出し散乱することを防止できる。
【0044】
また、箱型部材(紙粉受け部115)は、装置本体から取り外し可能な構成としたことにより、上記紙粉受け内部の紙粉検知センサ116により、溜まった紙粉その他ゴミ等の堆積を検出後、本体から取り出し、堆積物を破棄する。これにより、紙粉受けを装置本体から取り外し可能としたため、紙粉検知センサ116による検知情報を確認した後、堆積した紙粉、ゴミ等を装置から取り出し、廃棄することが可能であり、再利用ができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかる原稿搬送装置は、スキャナ、複写機、ファクシミリ装置などに有用であり、特に、原稿の搬送によりコンタクトガラス面に発生する紙粉、その他ゴミ等の除去する原稿を搬送する装置全般に適している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この実施の形態にかかる自動原稿搬送装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】、この実施の形態にかかる自動原稿搬送装置の構成および読取時の動作状態を示す説明図である。
【図3】この実施の形態にかかる自動原稿搬送装置の構成および非読取時の動作状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
21 スキャナ装置
22 自動原稿搬送装置
23 原稿トレイ
24 コンタクトガラス
100 搬送ベルト
101 電極ローラ
102 交流電源
103 搬送駆動ローラ
104,114 搬送従動ローラ
115 紙粉受け部
116 紙粉検知センサ
117 原稿積載検知センサ
118 排出検知センサ
119 除電ブラシ
120 制御部
121 接離駆動部
122 操作・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置に搭載され、この画像読取装置のコンタクトガラス面の読取位置に原稿を搬送する原稿搬送手段を備え、当該原稿を読み取った後、排紙する原稿搬送装置であって、
前記原稿搬送手段は、
給紙された原稿を吸着して搬送するための無端状ベルトと、
前記無端状ベルトを巻回して張架し、当該無端状ベルトを回転駆動し、かつ所定のタイミングで前記コンタクトガラス面に対して移動させる、少なくとも2つ以上のベルト搬送ローラと、
前記無端状ベルトに交番する電圧を印加し、静電吸着力を形成する印加部材と、
を有し、
前記原稿搬送手段の2つ以上のベルト搬送ローラのうち、少なくとも一方を、前記コンタクトガラス面に対して接離可能に構成し、
原稿読み取り時には、前記コンタクトガラス面の読取位置に微小間隙で離間して原稿を搬送し、他方、回転駆動しない状態において、前記コンタクトガラスに接触することを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
さらに、原稿載置の有無を検知する原稿有無検知手段を有し、
前記原稿搬送手段は、前記原稿有無検出手段による検知情報にしたがって前記コンタクトガラス面に対して接離することを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記原稿搬送手段は、前記原稿有無検知手段による検知情報にしたがって回転駆動を開始し、同時に前記印加部材による印加を行い、前記無端状ベルト上に不平等電解が形成されている面が、少なくとも前記コンタクトガラスの鉛直上方に達する位置まで回転駆動を続け、停止後、前記コンタクトガラスに接触する位置に移動することを特徴とする請求項2に記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
さらに、原稿載置の有無を検知する原稿有無検知手段と、原稿の排紙を検知する原稿排紙検知手段と、を有し、
前記原稿搬送手段は、前記原稿有無検出手段および前記原稿排紙検知手段の検知情報にしたがって前記コンタクトガラス面に対して接離することを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
さらに、原稿載置の有無を検知する原稿有無検知手段と、原稿の排紙を検知する原稿排紙検知手段と、を有し、
前記原稿搬送手段の無端状ベルトを張架するローラは、前記原稿有無検出手段および前記原稿排紙検知手段の検知情報にしたがって回転駆動を停止し、前記コンタクトガラスに接触する位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記原稿搬送手段の無端状ベルトを張架するローラは、前記コンタクトガラスに接触後、再度コンタクトガラスに対し微小隙間を設けた位置に移動し、回転駆動を開始することを特徴とする請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記原稿搬送手段の無端状ベルトを張架するローラ対の下流上方に第3のローラを設け、前記無端状ベルトを3本のローラで張架することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
前記第3のローラにおける水平方向の頂点に接する位置に、前記無端状ベルトに形成された不平等電解を除電し、前記無端ベルト上の付着物を除去する付着物除去手段と、
前記付着物除去手段の鉛直下方に設けられ、前記付着物除去手段で除去される付着物を回収する付着物回収部材と、
をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の原稿搬送装置。
【請求項9】
前記付着物回収部材に、付着物の回収量が略満杯であることを検知する満杯検知手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載の原稿搬送装置。
【請求項10】
前記付着物回収部材は、装置本体から取り外し可能な構成としたことを特徴とする請求項8または9に記載の原稿搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−42894(P2010−42894A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207209(P2008−207209)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】