説明

反射光学要素、投影系及び投影露光装置

【課題】少なくとも2つの交互材料の層を有する多層系を備えた反射面を基板上に含む紫外から極紫外までの波長範囲の反射光学要素、及び投影露光装置を提供する。
【解決手段】作動波長で屈折率の異なる実数部を有する少なくとも2つの交互材料の層(41,42)を有する多層系を備えた反射光学要素を提案し、作動波長である一定の入射角帯域幅分布を有する放射線は、反射光学要素上に入射することができ、反射面は、層(41,42)が第1の周期の厚み(P1)の交互材料を有する1つ又はそれよりも多くの第1の部分(A1)と、交互材料の層(41,42)が第1(P1)及び少なくとも1つの更に別の周期の厚み(P2)を有する1つ又はそれよりも多くの更に別の部分(A2)とを含み、反射面にわたる第1(A1)及び更に別の部分(A2)の配列は、入射角帯域幅分布に適応される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動波長での屈折率の異なる実数部を有する少なくとも2つの交互材料の層を有する多層系を備えた反射面を基板上に含む紫外から極紫外までの波長範囲の作動波長のための反射光学要素に関し、ある一定の入射角帯域幅分布の作動波長の放射線は、反射光学要素上に入射することができ、反射面は、交互材料層が第1の周期の厚みを有する第1の部分と、交互材料層が第1の及び更に別の周期の厚みを有する更に別の部分とを有する。更に、本発明は、極紫外波長範囲の作動波長で作動されてそのような反射光学要素を含む投影系及び投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ法を用いた半導体構成要素の製造において常により微細な構造を生成することを可能にするために、一層短い波長の光が使用される。特に約5nmと20nmの間の波長における極紫外(EUV)波長範囲で作業を行う場合には、レンズ様の要素を用いて透過モードで作業を行うことはもはや不可能であり、その代わりに多層系をベースとして各作動波長に適応された反射コーティングを有する反射光学要素の照明及び投影対物系又はマスクが構成される。多層系ベースの反射光学要素は、紫外波長範囲に対して使用することができる。
【0003】
多層系は、作動波長で高い屈折率実数部を有する材料(スペーサとも呼ぶ)と、作動波長で低い屈折率実数部を有する材料(吸収体とも呼ぶ)とが交互に付加された層であり、吸収体−スペーサの対は、ある一定の周期の厚みのスタックを形成し、この周期の厚みは、スタックを形成する個々の層の和に等しい。吸収体−スペーサの対を有するスタックを交互に配置することにより、結晶が本質的に模倣され、結晶の格子平面は、吸収体層に対応し、吸収体層の上でブラッグ反射が発生する。より複雑な多層系では、スタックは、吸収体層及びスペーサ層以外に1つ又はそれよりも多くの付加的な層を含む場合がある。これらの付加的な層は、例えば、スペーサ材料と吸収体材料との化学的混合を回避するか又は例えば赤外線放射線に起因する反射光学要素の加熱の場合にスタックの熱安定性を改善する機能を有することができる。
【0004】
露光される物体上に常により微細な構造を結像することを可能にするためには、投影露光装置の光学系は、可能な最も高い解像度を保証すべきである。この高い解像度は、作動波長としての可能な最も短い波長の使用だけでなく、可能な最も大きい開口で光学系を設計することによって得られる。しかし、そのような設計は、平均入射角と入射角の帯域幅の両方が、光学系のミラー毎のみならず、個々のミラー上で大幅に異なる場合があるという欠点を有する。それによって有用放射線の低い伝達率、及び結像欠陥がもたらされる可能性があり、投影露光装置の低い収量又は極めて不均一な瞳照明を招き、従って、結像品質が実質的に劣化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2004/0263820 A1
【特許文献2】EP 1 930 771 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に高解像度UV又はEUVリソグラフィに使用するための反射光学要素を更に開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によると、上述の目的は、作動波長で屈折率の異なる実数部を有する少なくとも2つの交互材料の層を有する多層系を備えた反射面を基板上に含む紫外から極紫外までの波長範囲の作動波長のための反射光学要素によって達成され、作動波長である一定の入射角帯域幅分布を有する放射線は、反射光学要素上に入射することができ、反射面は、交互材料層が第1の周期の厚みを有する1つ又はそれよりも多くの第1の部分と、交互材料層が第1の周期の厚み及び少なくとも1つの更に別の周期の厚みを有する1つ又はそれよりも多くの更に別の部分とを含み、反射面にわたる第1の部分及び更に別の部分の配列は、入射角帯域幅分布に適応される。
【0008】
交互材料の層が多層系の深さにわたって1つよりも多くの周期の厚みを有する部分、言い換えれば吸収体−スペーサの対を有する異なるスタックの層厚が変化する部分は、幅広い入射角帯域にわたって有意な反射率を可能にし、一方、交互材料の層が多層系の深さにわたって本質的に1つの周期の厚みを有する部分と比較して最大反射率が低減することが見出された。例えば、1つの周期の厚みを有する部分を幅狭の入射角帯域幅を有する位置に配置し、1つよりも多くの周期の厚みを有する部分を幅広の入射角帯域幅を有する位置に多層系の深さにわたって配置することで、1つ周期の厚みの層を有する1つ又はそれよりも多くの部分、及び1つよりも多くの周期の厚みの層を有する更に別の部分の配列を反射光学要素の反射面にわたる入射角帯域幅の分布に適応させることにより、反射面を形成する多層系が反射面にわたって一定の周期の厚み分布のような入射角帯域幅分布には依存しない周期の厚み分布を有する従来の反射光学要素と比較して反射光学要素の全体の反射率を高めることができ、又はテレセントリック性又は楕円度のような結像特性を改善することができる。反射面の多層系の特殊な設計を使用することにより、反射光学要素は改善された反射率を有し、従って、高い開口数を有する投影露光装置を使用するUV又はEUVリソグラフィにおける使用に特に適し、この反射光学要素を使用することによって収量は増大する。反射光学要素は、例えば、投影露光装置のミラー、特に投影露光装置の投影系のミラーとすることができる。
【0009】
好ましくは、反射面にわたる第1の部分及び更に別の部分の配列は、ある一定の波長、例えば、作動波長で周期の厚みを特定的に変更することによって最大反射率を若干高く又は低くシフトさせることができるという事実を利用することによって平均入射角の変動に適応される。
【0010】
使用するべき光源及び着目している反射光学要素の前方に配置された光学要素を把握した場合に、入射角帯域幅分布、並びに平均入射角の分布の両方を厳密に計算することができることに注意すべきである。従って、これらの情報は、反射光学要素の多層系の構造を設計する時には既に算入済みとすることができる。更に、反射光学要素の製造中に発生し、品質管理中に検出され、結像誤差を誘起する場合がある面欠陥は、例えば、US2004/0263820 A1に説明されているもののような付加的な層を後に付加することによって補償することができる。
【0011】
好ましくは、反射面は、2つ又はそれよりも多くの第1の部分を有し、第1の周期の厚みは、全ての第1の部分内で同じである。好ましくは、反射面は、2つ又はそれよりも多くの更に別の部分を有し、少なくとも1つの周期の厚みは、全ての更に別の部分内で同じである。反射面の多層系内の異なる周期の厚みの可能な最小数を設けることにより、反射光学要素の製造中に多層系が基板に付加される時の被覆工程が簡素化される。
【0012】
有利な態様では、少なくとも1つの第1の部分は、厳密に1つの周期の厚みを有する交互材料層のシーケンスを含み、少なくとも1つの更に別の部分は、各々が厳密に1つの周期の厚みを有する交互材料層の少なくとも2つのシーケンスを含み、これらのシーケンスのうちの1つは、少なくとも1つの第1の部分のシーケンスと同じ周期の厚みを有する。それによって被覆工程を各種類のシーケンスに関する個々の段階に再分割することができ、従って、被覆工程は簡素化される。
【0013】
特に好ましくは、少なくとも1つの更に別の部分内では、少なくとも1つの第1の部分のシーケンスと同じ周期の厚みを有するシーケンスは、基板と少なくとも1つの更に別のシーケンスの間に配置される。被覆工程の開始時には、第1の周期の厚みを有する更に別の部分のそれぞれのシーケンスに対応するか又は第1の部分のシーケンスの第1の層に対応する連続的な周期の厚みを有する交互材料層の連続面を付加することができる。この場合、異なる部分に従って被覆工程を差別化する段階は、上方の層に対してしか必要とならない。従って、既存の被覆工程は、本明細書に提案する多層系に最小限にしか適応させなくてもよい。
【0014】
好ましい実施形態では、反射面にわたる第1の部分及び更に別の部分の配列は、方位角方向に周期的である。方位角方向に周期的な配列は、多角形の物体又は像視野において特に有利である。対称な多角形の物体又は像視野は、結像反射光学要素が直接に瞳平面に存在するか又は少なくともその近くに存在する場合には、これらの反射光学要素上で、その面にわたって方位角方向に周期的な入射角帯域幅分布を有する。正三角形の形状を有する物体又は像視野は、例えば、近瞳反射光学要素上で3回の周期を伴って方位角方向に周期的な入射角帯域幅分布を有し、正方形の形状を有する物体又は像視野は、近瞳反射光学要素上で4回の周期を伴って方位角方向に周期的な入射角帯域幅分布を有し、正六角形の形状を有する物体又は像視野は、近瞳反射光学要素上で6回の周期を伴って方位角方向に周期的な入射角帯域幅分布を有する。
【0015】
有利な態様では、反射面にわたる第1の部分及び更に別の部分の配列は、2つの周期を伴って方位角方向に周期的である。反射面の多層系の一部分のそのような配列を有する反射光学要素は、レチクルとも呼ぶマスクの構造が一部分で照明され、露光される物体上に結像する投影露光装置における使用に特に適している。多くの場合に、これらの部分は、一方の辺長が他方の辺長よりも実質的に長い本質的に矩形の形状を有する。変形では、レチクル構造の各結像部分が走査され、多くの場合に、走査区域も矩形である。これらの投影露光装置も、殆どの場合、矩形の物体又は像視野に対して設計される。矩形の物体又は像視野は、近瞳反射光学要素上に2つの周期を伴って方位角方向に周期的な入射角分布を生成し、方位角方向に周期的な部分を有する反射光学要素は、これに特に良好に適合する。
【0016】
好ましくは、反射面にわたる第1の部分及び更に別の部分の配列は、rが、座標系の原点からの反射面上の点の距離であり、θが、反射面上のこの点の方位角に対応し、Nが、一部分内にある異なるシーケンスの数であり、Di(r)が、放射対称な層厚プロフィールであり、Ψi(2θ)が、方位角方向に周期的な関数である時に、次式として表現することができる分布に対応する。

上述の分布に基づいて、様々な基準に鑑みて既に最適化された従来の層厚プロフィールDi(r)を1からNまでの全てのiに対して2波方位角方向周期関数Ψi(2θ)で乗算し、全和を取ることにより、層厚プロフィールDi(r)を有する多層系を有する従来の反射光学要素を本明細書に説明する反射光学系を作り出すように特に容易に修正することができる。これらの手段により、周期の厚みは個々のシーケンス内で変更される。各周期の厚みに基づいて、シーケンスは、幅狭又は幅広の入射角帯域幅において有意な反射率を有する。1つ又はそれよりも多くのシーケンスを有する部分の配列は、関数Ψi(2θ)を用いて入射角帯域幅の分布に適応される。
【0017】
好ましくは、2波方位角方向周期関数Ψi(2θ)は、ステップ関数又は正弦又は余弦関数である。そのような多層系は、被覆工程中にシャッターの使用によって特に容易に製造することができる。
【0018】
更に別の態様によると、上述の目的は、紫外又は極紫外の波長範囲の波長で作動され、1つ又はそれよりも多くのそのような反射光学要素を含む投影露光装置のための投影系によって達成される。そのような投影系は、リソグラフィに使用される時に、有用放射線の改善された伝達率及び改善された結像特性という利点を有する。
【0019】
好ましい実施形態では、投影系は、瞳掩蔽系として構成される。この目的のために、投影系は、物体平面内の物体視野を像平面内の像視野内に結像するための複数のミラーを含み、ミラーのうちの少なくとも1つは、結像光の通過のための開口を有する。そのような投影系では、同等の開口数において瞳掩蔽を持たない投影系と比較して平均入射角と入射角帯域幅の両方を低減することができる。そのような投影系は、瞳掩蔽を有する投影系内でミラーとして使用される反射光学要素を有することで、平均入射角が実質的に小さく、従って、原理的に所定の入射角帯域幅にわたって高い反射率を可能にするという利点を有する。
【0020】
好ましくは、最大入射角帯域幅を有するミラーが、上述の反射光学要素として設けられる。これらの手段により、従来のミラーと比較して特に際立った反射率の改善を提供することができ、そのような投影系を有する投影露光装置における収量を大きく高めることができる。
【0021】
有利な態様では、特に第1の部分及び更に別の部分の配列が反射面にわたって方位角方向に周期的である場合には、反射光学要素は、投影系の瞳平面内又はその近くに配置される。
【0022】
更に、上述の目的は、極紫外波長範囲の波長で作動され、提案する反射光学要素を有する投影露光装置によって達成される。
【0023】
上記及び更に別の特徴は、本明細書及び図面、並びに特許請求の範囲から導出することができ、個々の特徴は、単独で又は本発明の実施形態及び同じく他の分野における部分結合の形態にある組合せに実施することができ、有利な実施形態及びそれ自体の保護に値する実施形態を表すことができる。
【0024】
好ましい例示的な実施形態を参照して本発明をより詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】投影露光装置の実施形態の概略図である。
【図2】投影系の実施形態の概略図である。
【図3a】多層系の様々な変形の概略図である。
【図3b】多層系の様々な変形の概略図である。
【図3c】多層系の様々な変形の概略図である。
【図4】反射光学要素の反射面にわたる異なる部分の分布の第1の例の概略図である。
【図5】反射光学要素の反射面にわたる異なる部分の分布の第2の例の概略図である。
【図6a】図2の投影系のミラーM5上の入射角分布及びそれに関連する入射角帯域幅分布の図である。
【図6b】図2の投影系のミラーM5上の入射角分布及びそれに関連する入射角帯域幅分布の図である。
【図7a】投影系のミラーM5が矩形視野の中心にある視野点に関して回転対称層厚分布を有する図2の投影系の射出瞳内の強度分布の図である。
【図7b】投影系のミラーM5が矩形視野の外側周囲部にある視野点に関して回転対称層厚分布を有する図2の投影系の射出瞳内の強度分布の図である。
【図7c】矩形視野の図である。
【図7d】射出瞳の幾何学形状の図である。
【図8a】投影系のミラーM5が矩形視野の中心にある視野点に関して方位角方向に周期的な層厚分布を有する図2の投影系の射出瞳内の強度分布の図である。
【図8b】投影系のミラーM5が矩形視野の外側周囲部にある視野点に関して方位角方向に周期的な層厚分布を有する図2の投影系の射出瞳内の強度分布の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、UV放射線又はEUV放射線を使用するリソグラフィのための投影露光装置1の例示的かつ非常に概略的な図である。投影露光装置1は、光源2を有する。光源は、光学要素(図示せず)を有する照明系4によって物体平面5内の物体視野にもたらされる照明光3を放出する。物体平面5内には、像視野として像平面8に配置された物体9上に結像される構造を有するレチクル6が配置される。この図に示している例では、露光される物体9は、物体ホルダ10を用いて像平面8内に保持されるウェーハである。物体平面5内の物体視野は、投影系7を用いて像平面8内のウェーハ9上に結像される。この目的のために、物体平面5から発する光ビーム3aが投影系7内に入射し、光ビーム3bが投影系7から射出するに従って望ましい結像スケールで像平面内のウェーハ9上に入射する。投影露光装置1は、走査型のものである。レチクル6と物体9の両方が、投影露光作動中にY方向に走査される。
【0027】
照明系4、特に投影系7のミラーのうちの1つ又はそれよりも多くは、作動波長で屈折率の異なる実数部を有する少なくとも2つの交互材料の層を有する多層系を備えた反射面を基板上に含む紫外から極紫外までの波長範囲の作動波長のための反射光学要素とすることができ、作動波長である一定の入射角帯域幅分布を有する放射線は、反射光学要素上に入射することができ、反射面は、交互材料層が第1の周期の厚みを有する1つ又はそれよりも多くの第1の部分と、交互材料層が第1の周期の厚み及び少なくとも1つの更に別の周期の厚みを有する1つ又はそれよりも多くの更に別の部分とを有し、反射面にわたる第1の部分及び更に別の部分の配列は、入射角帯域幅分布に適応される。
【0028】
図2は、6つのミラーM1からM6を含む図1の投影系7の実施形態を例示的かつ概略的な方式で示している使用される投影系に基づいて、6つよりも多いか又は少ないミラーが存在してもよい。図2は、物体平面5内の物体視野から発し、6つのミラーM1からM6を通じて像平面8内の像視野内に結像される中心部分光ビーム11b及び組合せ光ビームの周囲部にある2つの部分光ビーム11a、cのビーム経路を示している。
【0029】
ミラーM1からM4は、物体平面5を中間像平面8’内に結像する。部分光ビーム11a〜cは、中間平面8’の1つの点で交わる。従って、中間平面8’を瞳平面8’とも呼ぶ。ミラーM6は、この例では放射方向に見て瞳平面8’の後方の近くに配置される。ミラーM6のような光学要素の最も近い瞳平面までの近接度又は距離は、周囲部分光ビーム11a、cの主光線(この図には示していない)の距離D(CR)、並びに部分光ビーム11a、b、又はcによってそれぞれの光学要素上で照射される面の1つの方向の広がりD(SA)を考慮することによってパラメータ化することができる。パラメータPは、D(CR)とD(SA)との和に対するD(SA)の比として定めることができる。それぞれの反射光学要素が正確に瞳平面に配置される場合には、定義によってD(CR)は0に等しい。この場合Pは1に等しくなる。それぞれの光学要素が視野平面に配置される場合には、部分光が、関係する視野点に理想的に収束するので、D(SA)は0に等しくなる。この場合、Pも同様に0に等しくなる。従って、D(CR)≪D(SA)の場合、言い換えれば、Pが1に近い値を有する場合には、反射光学要素は、瞳平面の近くに配置される。瞳平面への「近さ」というこの概念は、EP 1 930 771 A1においてその図4に関連してより詳細に説明されている。EP 1 930 771 A1の内容は、引用によって組み込まれている。この瞳平面には、その中心位置に掩蔽シャッター(図示せず)が配置される。これらの手段により、ミラーM5、M6内の中心貫通開口部に関連する部分ビームは掩蔽される。中間像平面8’内の中間像を像平面8内に結像するためのミラーM6と合わせて使用されるミラーM5は、部分光ビーム11a〜cが再度組み合わされる更に別の瞳平面の近くに配置される。図2に示している投影系の実施形態は、中心瞳掩蔽を有する系である。
【0030】
ミラーM1からM6の各々は、本明細書で説明する反射光学要素のうちの1つとすることができる。図2に示している例では、1つのみ又は1つよりも多くの周期の厚みを有する多層系の一部分の配列を各ミラー上の入射角帯域幅の分布に適応させることによる反射率改善は、特にこの図に示す例では最も大きい入射角帯域幅を有するミラーであるミラーM5において得ることができる。
【0031】
図3a〜cは、反射光学要素20の構造を略示している。基板22には、本質的に反射面21を形成する多層系23が付加される(図3aを参照されたい)。図3bは、多層系23の全体の構造を略示している。この例では、多層系23は、異なる複素屈折率を有する様々な材料で基板22を順次被覆することによって生成されたものである。更に、汚染のような外部の影響に対する保護のための複数の異なる材料層で構成することができる保護層25が、多層系23に付加的に付加されている。本質的に多層系23は、好ましい実施形態では図3cに略示している構造を有する多くの反復的なスタックであり、周期の厚みとも呼ぶ厚みを有するスタック24から構成される。特にスタック24の複数の反復によって作動波長で十分に高い反射をもたらすスタック24の重要な層は、高い屈折率実数部を有する材料のいわゆるスペーサ層26、及び低い屈折率実数部を有する材料のいわゆる吸収体層27である。それによって結晶が本質的に模倣され、吸収体層21は、結晶内のそれぞれのスペーサ層22によって定められる互いにからの距離を有する格子平面であり、その上で入射する紫外放射線又は特に極端紫外放射線の反射が発生する格子平面に対応する。層の厚みは、各吸収体層21上で反射される放射線が、ある一定の作動波長で建設的に干渉し、それによって反射光学要素の高い反射率が得られるように選択される。本明細書では、反射率はブラッグ条件に従い、従って、波長だけでなく入射角にも依存する。
【0032】
EUVリソグラフィでは、例えば、12nmと15nmの間の波長が好ましい。この波長範囲では、吸収体材料としてモリブデンをスペーサ材料としてシリコンベースの多層系により、特に高い反射率を得ることができる。13.5nmの波長では、理論的に、75%を超える範囲の反射率が可能である。例えば、約7nmの厚み、及び約0.4の吸収体層厚対スタック厚の比を有する50個から60個のスタックを使用することができる。しかし、実際のモリブデン−シリコン多層系では、ケイ化モリブデンの混合層が形成され、それによって最大反射率の実質的な低下に至る結果を招く。光学特性の劣化を抑止するために、図3cに示している例によると、スペーサ26から吸収体27への界面と、吸収体27からスペーサ26への界面の両方において中間層28を設け、多層系の熱力学的及び熱的安定性を高めることを提案する。
【0033】
個別層26、27、28、並びに反復的なスタック24の厚み、すなわち、多層系にわたる周期の厚みは一定とすることができ、又はどのような反射プロフィールを得るべきかに依存して変化することができることに注意すべきである。特に、ある一定の波長に対して多層系を最適化することができ、この場合、最大反射率及び/又は反射帯域幅は他の波長におけるものよりも高い。この波長の放射線では、それぞれの反射光学要素20は、例えば、EUVリソグラフィに使用され、これが、反射光学要素20が最適化されたこの波長を作動波長とも呼ぶ理由である。交互材料及び層厚を適切な方式で選択することにより、X線又はUV範囲にわたる他の波長に対して多層系を設計することができる。
【0034】
本明細書に説明する反射光学要素のための多層系は、第1の周期の厚みを有する1つ又はそれよりも多くの第1の部分と、第1の周期の厚み及び少なくとも1つの更に別の周期の厚みを有する1つ又はそれよりも多くの更に別の部分とに再分割され、反射面にわたる第1の部分及び更に別の部分の配列は、反射面上の入射角帯域幅分布に適応される。本明細書では、第1の部分は、小さい入射角帯域幅の区域内にあり、更に別の部分は、大きい入射角帯域幅の区域内にある。多層系の様々な部分の範囲の厚み分布の2つの実施形態を図4及び図5に例示的な方式で示している。基板面上に座標原点を有する厚みDを固定ラジアル距離における方位角θの関数としてプロットしている。
【0035】
図4及び図5に示している例では、第1の部分及び更に別の部分A1,A2の配列は、反射面にわたって方位角方向に2つの周期を有して周期的である。本明細書では、第1の部分A1は、正確に1つの周期の厚みP1を有する各々が1つの吸収体層41と1つのスペーサ層42とのスタックシーケンスF1を有し、更に別の部分A2は、同様に各々が1つの吸収体層41と1つのスペーサ層42とを有する2つのスタックシーケンスF2、F3を有し、第1の部分A1のシーケンスF1におけるものと同じ周期の厚みP2を有する更に別の部分A2のシーケンスF2は、基板とシーケンスF2の上に配置される各シーケンスF3との間に配置される。
【0036】
両方の配列は、次式として表現することができる分布に対応する。

ここで、rは、座標原点からの反射面の点の距離であり、θは、反射面上のこの点の方位角であり、Nは、一部分内にある異なるシーケンスの数であり、Di(r)は、放射対称な層厚プロフィールであり、Ψi(2θ)は、方位角方向に周期的な関数である。これらの手段により、これらの部分の配列は、矩形の物体又は像視野に特に良好に適応され、そので、レチクルが連続的又は段階的な方式で走査される投影露光装置において多くの場合に使用される。
【0037】
図4に示している例では、Ψ1(2θ)は、第1の部分A1のシーケンスF1又は更に別の部分A2の第1のシーケンスF2内の層厚プロフィールに関して1という一定の値にあり、Ψ2(2θ)は、0°〜45°、135°〜225°、及び315°〜360°の方位角における第2のシーケンスF3内の層プロフィールに関して1よりも小さい値を有し、45°〜135°及び225°〜315°の方位角に関して1という値を有するステップ関数である。これは、第2の部分A2の第2のシーケンスF3において、第1の部分A1のシーケンスF1又は、更に別の部分A2の第1のシーケンスF2のスタック厚P1とは異なる値を有する明確に定められたスタック厚P2をもたらす。この例においてより簡単な被覆工程を可能にするために、更に別の部分A2内に付加的に与えられた第2の周期の厚みP2が全ての更に別の部分A2内で同じであるのと全く同様に、第1の周期の厚みP1は、全ての部分A1、A2内で同じである。
【0038】
図5に示している例では、Ψ2(2θ)は余弦関数である。これらの手段により、区域0°及び180°内の第1の部分A1から区域90°及び270°内の更に別の部分A2への移行は連続的である。更に別の部分A2内では、基板と第2のシーケンスF3の間に配置されたシーケンスF2、及び第1の部分A1のシーケンスF1は、一定の第1の周期の厚みP1を有する。更に別の部分A2の第2のシーケンスF3内では、周期の厚みP2は、方位角方向に余弦関数によって変調される。
【0039】
この図に示している例では、1種類の第1の部分と1種類の更に別の部分とが設けられることに注意すべきである。第1の周期の厚み及び更に別の周期の厚みの変化を考えることができる。特に、1つよりも多くの更に別の周期の厚みを有する更に別の部分を設けることができる。
【0040】
更に別の例示的な実施形態として、図1の投影露光装置の図2に示している投影系のミラーM5に対して、矩形の物体又は像視野を有するEUVリソグラフィのための実施形態でより詳細に解説することにする。図6aには、ミラーM5の反射面にわたる平均入射角の分布を等高線グラフとして示しており、個々の等高線は、度によるある一定の入射角に対応する。反射面は、極座標r,θでパラメータ化することができる。ミラーM5は、その中心にその後のミラーM6によって反射された放射線が通過する通路を有する(図2を参照されたい)。平均入射角は、通路の周囲部における約6.58°から反射面の外側周囲部における約14.30°まで変化する。反射面の表面法線からの偏位は、入射角として測定される。図6bには、ミラーM5の反射面にわたる入射角帯域幅分布を同様に等高線グラフとして示している。個々の等高線は、ある一定の入射角帯域幅に対応する。入射角帯域幅は、特に、x=0mmにおける、すなわち、0°と180°とにおける約1.94°から、y=0mmにおける、すなわち、90°と270°とにおける約7.01°まで方位角方向に変化し、従って、二波形分布が存在する。
【0041】
瞳ミラーM5の反射面にわたる入射角帯域幅のこの幅広い変化は、視野の中心にある視野点又は視野周囲部にある視野点のいずれの光ビームであるかに基づいて、投影系の瞳内に大きく異なる放射線強度をもたらす可能性がある。図7cには、物体又は像視野の例を略示している。辺長は、y方向におけるものよりもx方向に実質的に長い。各視野点(x,y)からは、複数のビームが様々な角度で放出される。各視野点に関して異なる強度分布が射出瞳内にもたらされる。以下では、(0.0)における中心にある視野点に関する強度分布、及び視野の外側周囲部にある視野点(xmax,0)に関する強度分布をより詳細に解説する。
【0042】
配列が入射角帯域幅分布に適応され、異なる周期の厚みを有する部分を伴わない従来の多層系を用いたM5のような図2の投影系の瞳ミラーにおける伝達率としての瞳内の強度分布を視野の中心にある視野点に関して図7aに、及び視野の外側周囲部にある視野点に関して図7bにある一定の伝達率の値に対応する等高線グラフとして示している。αを入射角とするsin(α)の値を有する角度空間内の瞳の広がりを物体又は像視野のフーリエ変換として示し、その関数として平均伝達率をプロットしている。瞳は、瞳掩蔽の理由から中央に孔を有する。伝達率が高くなる程、そのようなミラーを有する投影露光装置を用いて得ることができる収量は高くなる。射出瞳の広がりは、ビーム方向に対して垂直な平面内でのそれぞれの投影系の開口数NAに対応し、直交座標x及びyにより、この例ではx方向(NAx)にもy方向(Nay)にも0.5でパラメータ化されている。
【0043】
従来の多層系は、スペーサとしてシリコンを及び吸収体としてルテニウムをベースとし、炭化ホウ素の中間層を有する13.5nmの作動波長に対する多層系である。スタック内の層のシーケンスは、シリコン−炭化ホウ素−ルテニウム−炭化ホウ素である。層厚は、スペーサ層では3.649nm、吸収体層では3.153nm、中間層では0.400nmである。スタック数は16であり、多層系は、3.627nm厚のシリコン層、0.400nm厚の炭化ホウ素、及び保護層としての1.5nm厚のルテニウム層によって真空に対して閉じている。これらの層厚は、公称層厚d0である。多層系は、次式の構造を有する反射面にわたる回転対称層厚プロフィールを有する。
d(x,y) = d0(C0+C2x x2+C2y y2)
ここで、係数C0=9.10*10-01、C2x=5.50*10-06、C2y=5.50*10-06である。
【0044】
図7aに示している、視野中心から放出されるビームの場合には、伝達率は、瞳にわたって0.4977と0.5133の間で変化し、0.5090という平均値を有する。幾何学的中心に対する伝達率分布の重心のシフトは、テレセントリック性パラメータを用いて単位mradにおけるarcsin(α)として測定される。x方向には、テレセントリック性は0.0000mradであり、y方向には、テレセントリック性は−0.2320mradである。この値が0に近づく程、シフトは小さくなり、従って、結像欠陥の危険性も小さくなる。
【0045】
均一に照明される瞳からの更に別の偏位は、楕円度パラメータによって単位%で測定される。視野点(x,y)の関数としての楕円度は、

として定められ、この場合、強度Iは、各場合に射出瞳全体にわたって積分され、r及びφは瞳座標である(射出瞳及び極座標を略示している7dも参照されたい)。図7aでは、楕円度は0.0408%である。楕円度が0%に近づく程、結像欠陥の危険性は小さくなる。特に、楕円度は、水平構造と垂直構造の間の分離境界における差に関する尺度である。
【0046】
上述の従来の多層系を有するミラーM5における物体又は像視野の外側周囲部にある視野点に関する伝達率の分布を図7bに示している。伝達率は、視野の中心からの視野点に関するものよりも大幅に不規則に瞳にわたって分布される。値は、0.4871という平均値を伴って0.5231と0.4288の間で変化する。特に、x方向のテレセントリック性は、−0.5509%の楕円度と同様に6.4867mradと非常に高く、一方、y方向では、テレセントリック性は−0.0482mradである。
【0047】
比較のために、図8a、図8bには、本明細書に説明する反射光学要素として構成されたミラーM5における射出瞳にわたる対応する伝達率分布を示している。この目的に対して、このミラーM5の多層系は、反射面にわって上位の18層では回転対称ではないが2波方位角方向周期的である層厚プロフィールを除いて、図7a、図7bを参照して説明した従来の多層系に適合する。層厚プロフィールは、最初の49層では、係数C0=9.33*10-01、C2x=2.70*10-06を有し、その上にある18層では、係数C0=9.40*10-01、C2x=2.00*10-06、C2y=−3.80*10-06を有する。上記に直交座標で示した層厚プロフィールは、極座標では次式の構造を有する。
d(r,θ) = d0*[c0+0.5*r2*((C2x+C2y)+(C2x-C2y)*cos(2θ))]
【0048】
最初の49層では、C2xは、C2yに等しいので、厚みは、θに依存しない。その結果は、回転対称分布である。上位の18層では、C2xは、C2yに等しくないので、cos(2θ)に比例する係数が付加され、従って、rの各値に対して、すなわち、ミラー中心からの各距離に対して図5に示しているような第1の部分と更に別の部分との分布がもたらされる。この場合、第1の部分は、入射角帯域幅が小さい傾向を有する位置に配置され、更に別の部分は、入射角帯域幅が大きい傾向を有する位置に配置される(図6bも参照されたい)。上述のことと同時に、係数C0、C2x、C2yを選択する時に、ミラー面にわたるそれぞれの方位角θにおける平均入射角に対して、反射率が可能な限り高くなければならないことが考慮に入れられる。
【0049】
図8aに示している視野の中心からの視野点の場合には、伝達率の値は、0.5001という平均値を伴って瞳にわたって0.4193と0.5105の間で変化する。x方向には、テレセントリック性は、0.0000mradであり、y方向には、テレセントリック性は、−1.3339mradであり、一方、楕円度は、2.2986%である。図8bには、物体又は像視野の外側周囲部にある視野点に関する伝達率の分布を示している。伝達率の値は、0.7545mradのx方向テレセントリック性、−1,4222mradのy方向テレセントリック性、及び−0.9086%の楕円度において、0.4884という平均値を伴って0.5162と0.3875の間で変化する。従って、瞳にわたる伝達率分布は、視野の中心からの視野点に関しては若干低い平均伝達率を伴って幾分不規則であるが、視野の周囲部における視野点に関しては、伝達率分布は、従来のミラーM5よりも若干高い平均伝達率を伴って実質的に均一である。物体又は像視野の全ての視野点に注意すると、本明細書に提案するミラーM5において、若干高い平均伝達率を伴って瞳にわたって非常に均一な伝達率分布がもたらされる。従って、それぞれの投影露光装置では、より高い収量が、同時により少ない結像欠陥しか伴わずに可能になる。本明細書に説明する例では、投影系の1つのミラーのみを本明細書に説明する方式で修正した。投影系又は投影露光装置内のより多くのミラー、及び同じく場合に基づいて多層系を含むレチクルが入射角帯域幅分布に適応される程、正の効果は強くなる。
【0050】
本明細書に説明した種類の多層系を用いて得られる正の効果は、材料の選択、中間層の存在、スタック数、及び作動波長の選択には依存しないことに注意すべきである。逆に、反射光学要素のそれぞれの入射角帯域幅分布及び平均入射角の変動に適応されたUV又はEUVリソグラフィのための反射光学要素を得るために、本明細書に説明した方式でこれまで公知の全ての多層系を修正することができる。
【0051】
参照番号のリスト
1 投影露光装置
2 光源
3 ビーム
3a 光ビーム
3b 光ビーム
4 照明系
5 物体平面
6 レチクル
7 投影系
8 像平面
8’ 中間像平面
9 物体
10 物体ホルダ
11a,c 周囲光ビーム
11b 中心光ビーム
12 レチクル
20 反射光学要素
21 反射面
22 基板
23 多層系
24 スタック
25 保護層
26 スペーサ
27 吸収体
28 中間層
41 吸収体
42 スペーサ
M1 ミラー
M2 ミラー
M3 ミラー
M4 ミラー
M5 ミラー
M6 ミラー
A1 第1の部分
A2 更に別の部分
P1 第1の周期の厚み
P2 更に別の周期の厚み
F1 シーケンス
F2 シーケンス
F3 シーケンス
【符号の説明】
【0052】
41,42 交互材料の層
A1 第1の部分
A2 更に別の部分
P1 第1の周期の厚み
P2 更に別の周期の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動波長で屈折率の異なる実数部を有する少なくとも2つの交互材料の層を有する多層系を備えた反射面を基板上に含み、ある一定の入射角帯域幅分布を有する該作動波長の放射線が、反射光学要素上に入射することができ、該反射面が、該交互材料の層が第1の周期の厚みを有する1つ又はそれよりも多くの第1の部分と、該交互材料の層が第1の及び少なくとも1つの更に別の周期の厚みを有する1つ又はそれよりも多くの更に別の部分とを含む、紫外から極紫外までの波長範囲の作動波長のための反射光学要素であって、
反射面(21)にわたる第1の及び更に別の部分(A1,A2)の配列が、入射角帯域幅分布に適応される、
ことを特徴とする反射光学要素。
【請求項2】
前記反射面(21)にわたる前記第1の及び更に別の部分(A1,A2)の前記配列は、平均入射角の変動に適応されることを特徴とする請求項1に記載の反射光学要素。
【請求項3】
前記反射面(21)は、2つ又はそれよりも多くの第1の部分(A1)を含み、前記第1の周期の厚み(P1)は、全ての第1の部分(A1)で同じであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反射光学要素。
【請求項4】
前記反射面(21)は、2つ又はそれよりも多くの更に別の部分(A2)を含み、前記少なくとも1つの更に別の周期の厚み(P2)は、全ての更に別の部分(A2)で同じであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の反射光学要素。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の部分(A1)は、厳密に1つの周期の厚み(P1)を有する交互材料の層(41,42)のシーケンス(F1)を有し、前記少なくとも1つの更に別の部分(A2)は、各々が厳密に1つの周期の厚み(P1,P2)を有する交互材料の層(41,42)の少なくとも2つのシーケンス(F2,F3)を有し、該シーケンスのうちの1つ(F2)は、該少なくとも1つの第1の部分(A1)の該シーケンス(F1)と同じ周期の厚み(P1)を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の反射光学要素。
【請求項6】
前記少なくとも1つの更に別の部分(A2)において、該少なくとも1つの更に別の部分(A1)の前記シーケンス(F1)と同じ周期の厚み(P1)を有する前記シーケンス(F2)は、前記基板(22)と前記少なくとも1つの更に別のシーケンス(F3)の間に配置されることを特徴とする請求項5に記載の反射光学要素。
【請求項7】
前記第1の及び更に別の部分(A1,A2)の前記配列は、前記反射面にわたって方位角方向に周期的であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射光学要素。
【請求項8】
前記第1の及び更に別の部分(A1,A2)の前記配列は、前記反射面にわたって方位角方向に2つの周期を伴って周期的であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の反射光学要素。
【請求項9】
前記配列は、

として表現される分布に対応し、ここで、rは、座標原点からの前記反射面(22)上の点の距離であり、θは、該反射面上の該点の方位角であり、Nは、一部分における異なるシーケンスの数であり、Di(r)は、放射対称な層厚プロフィールであり、Ψi(2θ)は、方位角方向に周期的な関数であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の反射光学要素。
【請求項10】
Ψi(2θ)は、ステップ関数であることを特徴とする請求項9に記載の反射光学要素。
【請求項11】
Ψi(2θ)は、正弦又は余弦関数であることを特徴とする請求項9に記載の反射光学要素。
【請求項12】
投影露光装置のための紫外又は極紫外の波長範囲の波長で作動される投影系であって、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の反射光学要素、
を含むことを特徴とする投影系。
【請求項13】
瞳掩蔽系(7)として構成されることを特徴とする請求項12に記載の投影系。
【請求項14】
最大入射角帯域幅を有するミラー(M5)が、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の反射光学要素として構成されることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の投影系。
【請求項15】
前記反射光学要素は、投影系の瞳平面に又はその近くに配置されることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の投影系。
【請求項16】
紫外又は極紫外の波長範囲の波長で作動される投影露光装置であって、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の反射光学要素(M5)、
を含むことを特徴とする投影露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図8a】
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【図8b】
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【公開番号】特開2011−228699(P2011−228699A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−84032(P2011−84032)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】