説明

反応容器プレート及び反応処理方法

【課題】反応容器プレートの外部からの異物の進入や、外部への環境汚染を防ぐ。
【解決手段】封止された反応容器5と、反応容器5に接続された反応容器流路13,15,17からなる流路ユニット6a,6bと、封止容器35,37,39と、封止容器35,37,39に接続される封止容器流路35a,37a,39aと、シリンジ51と、切替えバルブ63を備えている。切替えバルブ63の切替えにより、シリンジ51を流路13,35a,37a,39aのいずれかに接続する。また、切替えバルブ63により、流路13,21,23,35a,37a,39aの端部を封止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物学的分析、生化学的分析、又は化学分析一般の分野において、医療や化学の現場において各種の解析や分析を行なうのに適する反応容器プレート及びその反応容器プレートを処理するための反応処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生化学的分析や通常の化学分析に使用する小型の反応装置としては、マイクロマルチチャンバ装置が使用されている。そのような装置としては、例えば平板状の基板表面に複数のウエルを形成したマイクロタイタープレートなどのマイクロウエル反応容器プレートが用いられている(例えば特許文献1を参照。)。
また、微量の液体を定量的に扱うことができる微量液体秤取構造として、第1流路及び第2流路と、上記第1流路の流路壁に開口する第3流路と、第2流路の流路壁に開口して第3流路の一端と第2流路を連結し第3流路よりも相対的に毛管引力が働きにくい性質を第4流路とを有する構造を備えたものがある(例えば特許文献2,3を参照。)。その微量液体秤取構造によれば、第1流路に導入された液体が第3流路内に引き込まれた後、第1流路に残存する上記液体を取り除き、第3流路の容積に応じた体積の液体を第2流路に秤取することができる。
【特許文献1】特開2005−177749号公報
【特許文献2】特開2004−163104号公報
【特許文献3】特開2005−114430号公報
【特許文献4】特許第3452717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のマイクロウエル反応容器プレートは、使用時には反応容器プレートの上面は大気に開放された状態となる。そのため、サンプルに外部から異物が進入する恐れがあるし、逆に反応生成物が外部の環境を汚染することもありうる。
また、特許文献2,3に開示された微量液体秤取構造では、第1流路の両端及び第2流路の両端に液体導入用のポートが形成されているが、それらのポートは大気に開放されており、それらのポートを介して反応生成物が外部の環境を汚染することもありうる。
そこで本発明は、反応容器プレートの外部からの異物の進入や、外部への環境汚染を防ぐことができる反応容器プレート及びその反応容器プレートを用いた反応処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかる反応容器プレートは、封止された反応容器と上記反応容器に接続された反応容器流路からなる流路ユニットを複数組と、上記反応容器とは別途設けられた封止容器と、上記封止容器に接続される封止容器流路と、液体を送液するためのシリンジと、上記シリンジを上記封止容器流路又は上記反応容器流路のいずれかに接続するための切替えバルブと、を備え、上記反応容器流路は、上記シリンジに接続される主流路と、上記主流路から分岐した所定容量の計量流路と、一端が上記計量流路に接続され他端が上記反応容器に接続された注入流路を備え、上記注入流路は上記計量流路よりも細く形成されて上記主流路及び上記計量流路に液体が導入されるときの液体導入圧力状態並びに上記主流路内の上記液体がパージされるときのパージ圧力状態では上記液体を通さず、それらよりも加圧状態で上記液体を通すものであり、上記シリンジ及び上記切替えバルブの駆動により、上記封止容器に収容された液体を上記封止容器流路、上記シリンジ、上記切替えバルブ及び上記反応容器流路を介して上記反応容器に注入するものである。
ここで、「注入流路は計量流路よりも細く形成されている」とは、注入流路が複数の流路により構成されている場合には、注入流路を構成する複数の流路がそれぞれ計量流路よりも細く形成されていることを意味する。
【0005】
本発明にかかる反応容器プレートを用いた反応処理方法は、本発明の反応容器プレートを用いた反応処理方法であって、上記導入圧力で上記主流路及び上記計量流路に液体を充填し、上記主流路に気体を流して上記計量流路内に上記液体を残存させつつ上記主流路内の上記液体を排出し、上記主流路内を上記導入圧力よりも大きく陽圧に若しくは上記反応容器内を陰圧に又は上記陽圧及び上記陰圧の両方にすることにより上記注入流路を介して上記計量流路内の上記液体を上記反応容器に注入する。
【0006】
本発明の反応容器プレート及びそれを用いた反応処理方法では、反応容器及び封止容器は封止されているので、反応容器プレートの外部からの異物の進入や、液体の外部への環境汚染を防ぐことができる。
【0007】
また、切替えバルブによりシリンジと封止容器流路が接続された状態では、封止容器とシリンジが封止容器流路及び切替えバルブを介して接続される。この流路接続状態でシリンジの吸引動作及び吐出動作を行なうことにより、封止容器内の液体を攪拌することができる。すなわち、本発明の反応容器プレートでは、封止容器を用いて液体を攪拌することができるので、液体を攪拌するための攪拌専用容器や攪拌部を設けなくてもよい。これにより、攪拌専用容器や攪拌部を配置するスペースを無くすことができ、攪拌専用容器や攪拌部を設ける場合に比べて、反応容器プレートのサイズを小さくすることができる。ただし、本発明の反応容器プレートにおいて攪拌専用容器や攪拌部を設けてもよい。なお、本発明の反応容器プレートにおいて、送液される液体は、シリンジの吸引動作及び吐出動作によって、容器内や流路内、シリンジ内でも攪拌される。
【0008】
本発明にかかる反応容器プレートにおいて、上記注入流路の水滴に対する接触角は90度以上であり、上記注入流路と上記計量流路の境界の面積は1〜10000000μm2(平方マイクロメートル)である例を挙げることができる。ここで、注入流路が複数の流路により構成されている場合には、上記面積は注入流路を構成する複数の流路のそれぞれの上記計量流路との境界の面積を意味する。
また、上記反応容器に接続された反応容器エアー抜き流路をさらに備えているようにしてもよい。
【0009】
上記流路ユニットごとに複数の上記反応容器を備え、それらの反応容器ごとに上記計量流路及び上記注入流路を備え、各流路ユニットで上記主流路に複数の上記計量流路が接続されているようにしてもよい。
【0010】
上記封止容器の一例は、サンプル液を収容するためのサンプル容器である。
上記サンプル容器は、尖端の鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に上記分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることのできる弾性部材によって密封されている例を挙げることができる。
また、上記封止容器に予めサンプル前処理液(サンプルを前処理するための液)又は試薬が収容されているようにしてもよい。
【0011】
本発明の反応容器プレートが遺伝子の分析を対象とする場合には、上記封止容器からなり遺伝子増幅反応を行なうための遺伝子増幅容器を備えていることが好ましい。遺伝子増幅容器は所定の温度サイクルで温度制御するのに適した形状になっていることが好ましい。なお、反応容器を遺伝子増幅部とすることもできる。
【0012】
また、上記切替えバルブの例としてはロータリー式バルブを挙げることができる。
さらに、上記ロータリー式バルブはその回転中心に上記シリンジにつながるポートを備え、上記シリンジは上記ロータリー式バルブ上に配置されているようにしてもよい。
【0013】
上記反応容器は少なくとも呈色反応、酵素反応、蛍光や化学発光又は生物発光を生じる反応のいずれかの反応を行なうためのものとすることができる。
【0014】
本発明の反応容器プレートを、遺伝子を含んだサンプルを測定するための反応容器プレートとする場合には、予め遺伝子増幅反応を行なったサンプルをこの反応容器プレートに導入してもよく、又はこの反応容器プレートの反応容器が遺伝子増幅反応を行なうことができるように、予め遺伝子増幅試薬が収容されるか、遺伝子増幅試薬を分注するように構成することができる。
遺伝子増幅反応にはPCR法やLAMP法などを含む。DNAを増幅するPCR法に着目すれば、前処理なしで血液などのサンプルから直接PCR反応を行なわせる方法も提案されている。そこでは、遺伝子を含むサンプル中の目的とする遺伝子を増幅する核酸合成法において、遺伝子を含むサンプル中の遺伝子包含体もしくは遺伝子を含むサンプルそのものを遺伝子増幅反応液に添加して、添加後の該反応液のpHが8.5−9.5(25℃)で遺伝子を含むサンプル中の目的とする遺伝子を増幅する(特許文献4参照。)。
【0015】
上記反応容器はその底部又は上方から光学的に測定が可能なように光透過性の材質にて構成されているようにしてもよい。
上記反応容器は上記反応容器流路に導入される液体に遺伝子が含まれている場合にその遺伝子と反応するプローブを備えているようにしてもよい。
さらに、上記プローブは蛍光標識されたものでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の反応容器プレートでは、封止された反応容器と反応容器に接続された反応容器流路からなる流路ユニットを複数組と、反応容器とは別途設けられた封止容器と、封止容器に接続される封止容器流路と、液体を送液するためのシリンジと、シリンジを封止容器流路又は反応容器流路のいずれかに接続するための切替えバルブと、を備え、反応容器流路は、シリンジに接続される主流路と、主流路から分岐した所定容量の計量流路と、一端が計量流路に接続され他端が反応容器に接続された注入流路を備え、注入流路は計量流路よりも細く形成されて主流路及び計量流路に液体が導入されるときの液体導入圧力状態並びに主流路内の液体がパージされるときのパージ圧力状態では液体を通さず、それらよりも加圧状態で液体を通すものであり、シリンジ及び切替えバルブの駆動により、封止容器に収容された液体を封止容器流路、シリンジ、切替えバルブ及び反応容器流路を介して反応容器に注入するようにした。
本発明の反応容器プレートを用いた反応処理方法では、本発明の反応容器プレートを用い、導入圧力で主流路及び計量流路に液体を充填し、主流路に気体を流して計量流路内に上記液体を残存させつつ主流路内の上記液体を排出し、主流路内を導入圧力よりも大きく陽圧に若しくは反応容器内を陰圧に又は陽圧及び陰圧の両方にすることにより注入流路を介して計量流路内の上記液体を上記反応容器に注入するようにした。
本発明の反応容器プレート及びそれを用いた反応処理方法によれば、反応容器プレートの外部からの異物の進入や、液体の外部への環境汚染を防ぐことができる。
さらに、複数組の流路ユニットを備えているようにしたので、反応容器に注入するサンプルや試薬の濃度、温度条件、反応条件などを流路ユニットごとで互いに異ならせることができる。また、試験する項目に合わせて、使用する流路ユニットの反応容器にのみ液体を注入するようにすれば、すべての反応容器に液体を注入する場合に比べて、反応容器に液体を注入する時間、ひいては処理時間を短縮することができる。また、反応容器内に予め試薬を収容しておく場合、試験する項目に合わせて、使用する流路ユニットの反応容器にのみ試薬を収容しておけば、すべての反応容器に試薬を収容しておく場合に比べて、低コスト化を図ることができる。
さらに、封止容器内で液体を攪拌することができるので、液体を攪拌するための攪拌専用容器を設ける必要はなく、攪拌専用容器を設ける場合に比べて反応容器プレートのサイズを小さくすることもできる。
【0017】
この反応容器プレートが遺伝子を含んだサンプルを測定するための反応容器プレートとなっている場合には、この反応容器プレートに注入され反応容器に導入されたサンプルを密閉系で扱うことができるようになるので、この反応容器プレートの外側の環境を汚染することがなく、また外部からの侵入物によってサンプルが汚染されることを防止することもできる。
【0018】
本発明の反応容器プレートにおいて、計量流路及び注入流路の水滴に対する接触角は90度以上であり、注入流路と計量流路の境界の面積は1〜10000000μm2であるようにすれば、主流路及び計量流路に液体が導入されるときに液体が注入流路に浸入しにくくなり、主流路及び計量流路に液体を導入するときの導入圧力を大きくすることができる。
【0019】
また、反応容器に接続された反応容器エアー抜き流路をさらに備えているようにすれば、注入流路を介しての反応容器への液体の注入の際に反応容器と反応容器エアー抜き流路の間で気体を流通させることができる。これにより、反応容器への液体の注入を円滑に行なうことができる。また、反応容器エアー抜き流路は、反応容器への液体の注入の際に、反応容器エアー抜き流路から反応容器内の気体を吸引して反応容器内を減圧させて液体を注入させる注入方法に用いることもできる。
【0020】
また、流路ユニットごとに複数の反応容器を備え、それらの反応容器ごとに計量流路及び注入流路を備え、各流路ユニットで主流路に複数の計量流路が接続されているようにすれば、複数の計量流路に液体を順次導入することができ、その後、注入流路を介して複数の反応容器に液体を同時に注入することができる。
【0021】
封止容器はサンプル液を収容するためのサンプル容器であるようにすれば、サンプルを収容するための容器を別途準備する必要がなくなる。
さらに、サンプル容器は、尖端の鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることのできる弾性部材によって密封されているようにすれば、弾性部材を介してサンプル容器内にサンプル液を注入することができ、その後サンプル液がサンプル容器外に漏れるのを防止することができる。
【0022】
また、封止容器に予めサンプル前処理液又は試薬が収容されているようにすれば、サンプル容器にサンプル前処理液又は試薬を分注する必要がなくなる。
【0023】
封止容器からなり遺伝子増幅反応を行なうための遺伝子増幅容器も備えているようにすれば、測定対象の遺伝子を微量にしか含んでいないサンプル液でもPCR法やLAMP法など遺伝子増幅反応によって反応容器プレート上で遺伝子を増幅して分析精度を高めることができるようになる。
【0024】
また、切替えバルブはロータリー式バルブとすることができる。その場合、ロータリー式バルブの回転中心にシリンジにつながるポートを配置すれば、流路構成が簡単になる。
さらに、ロータリー式バルブはその回転中心にシリンジにつながるポートを備え、シリンジはロータリー式バルブ上に配置されているようにすれば、上記ポート−シリンジ間の流路を短くする又は無くすことができ、構造が簡単になる。さらに、切替えバルブ上の領域を有効に利用することができ、シリンジを切替えバルブ上とは異なる領域に配置する場合に比べて、反応容器プレートの平面サイズの縮小化を図ることもできる。
【0025】
また、本発明の反応容器プレートが遺伝子を含んだサンプルを測定するための反応容器プレートである場合、反応容器で遺伝子増幅反応を行なうことができるようになっていれば、反応容器プレート外で遺伝子増幅反応を行なったサンプルを準備する必要がなくなる。
【0026】
また、反応容器はその底部又は上方から光学的に測定が可能なように光透過性の材質にて構成されているようにすれば、反応容器内の液体を他の容器へ移動させることなく光学的に測定することができる。
【0027】
また、反応容器は反応容器流路に導入される液体に遺伝子が含まれている場合にその遺伝子と反応するプローブを備えているようにすれば、反応容器内でプローブに対応する塩基配列をもつ遺伝子の検出を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は反応容器プレートの一実施例を示す図であり、(A)は概略的な平面図、(B)は(A)のA−A位置での断面に反応容器5、計量流路15、注入流路17、反応容器エアー抜き流路19,21、液体ドレイン空間29、サンプル容器35及びベローズ53の断面を加えた概略的な断面図、(C)はシリンジ51及びベローズ53近傍を拡大して示す概略的な断面図である。図2はこの実施例を分解して示す断面図及び切替えバルブの概略的な分解斜視図である。図3はこの実施例の1つの反応容器近傍を示す概略図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図、(C)は断面図である。図4はサンプル容器収容部とサンプル容器を拡大して示した図であり、(A)はサンプル容器収容部の平面図、(B)は(A)のB−B位置での断面図、(C)はサンプル容器の平面図、(D)は(C)のC−C位置での断面図、(E)はサンプル容器をサンプル容器収容部に第1保持位置で配置した断面図、(F)はサンプル容器をサンプル容器収容部に第2保持位置で配置した断面図である。図5は試薬容器収容部と試薬容器を拡大して示した図であり、(A)は試薬容器収容部の平面図、(B)は(A)のD−D位置での断面図、(C)は試薬容器の平面図、(D)は(C)のE−E位置での断面図、(E)は試薬容器を試薬容器収容部に第1保持位置で配置した断面図、(F)は試薬容器を試薬容器収容部に第2保持位置で配置した断面図である。図6はエアー吸引用容器収容部とエアー吸引用容器を拡大して示した図であり、(A)はエアー吸引用容器収容部の平面図、(B)は(A)のF−F位置での断面図、(C)はエアー吸引用容器の平面図、(D)は(C)のG−G位置での断面図、(E)はエアー吸引用容器をエアー吸引用容器収容部に第1保持位置で配置した断面図、(F)はエアー吸引用容器をエアー吸引用容器収容部に第2保持位置で配置した断面図である。
図1から図6を参照して反応容器プレートの一実施例について説明する。
【0029】
反応容器プレート1は容器ベース3の一表面に開口部をもつ複数の反応容器5を備えている。この実施例では千鳥状に配列に配置された6×2個の反応容器5の組が2つの流路ユニット6a,6bごとに設けられている。反応容器5内に試薬7及びワックス9が収容されている。
【0030】
反応容器5を含む容器ベース3の材質は特に限定されるものではないが、反応容器プレート1を使い捨て可能として用いる場合には、安価に入手可能な素材があることが好ましい。そのような素材として、例えばポリプロピレン、ポリカーボネートなどの樹脂素材が好ましい。反応容器5内の物質の検出を吸光度、蛍光、化学発光又は生物発光などにより行なう場合には、底面側から光学的な検出ができるようにするために光透過性の樹脂で形成されていることが好ましい。特に蛍光検出を行なう場合には、容器ベース3の材質として低自蛍光性(それ自身からの蛍光発生が少ない性質のこと)で光透過性の樹脂、例えばポリカーボネートなどの素材で形成されていることが好ましい。容器ベース3の厚さは0.2〜4.0mm(ミリメートル)、好ましくは1.0〜2.0mmである。蛍光検出用の低自蛍光性の観点からは容器ベース3の厚さは薄い方が好ましい。
【0031】
図1及び図3を参照して説明すると、容器ベース3上に反応容器5の配列領域を覆って流路ベース11が配置されている。流路ベース11は例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)やシリコーンゴムからなる。流路ベース11の厚みは例えば1.0〜5.0mmである。流路ベース11は容器ベース3との接合面に溝を備えている。その溝と容器ベース3の表面によって、主流路13、計量流路15、注入流路17、反応容器エアー抜き流路19,21が形成されている。主流路13、計量流路15及び注入流路17は反応容器流路を構成する。流路ベース11の容器ベース3との接合面には、反応容器5上に配置された凹部27も形成されている。図1(A)及び図3(A),(B)では流路ベース11について溝及び凹部のみを図示している。
流路ベース11は、流路ユニット6a,6bの形成領域を含んで一体成形で形成されたものであってもよいし、流路ユニット6a,6bごとに成形されたものであってもよい。流路ベース11が流路ユニット6a,6bごとに成形されている場合、流路ユニット6a,6bの形成領域を含んで一体成形されたものに比べて、流路ベース11は平面サイズが小さくなる。
流路ベース11がPDMSやシリコーンゴムなどの弾性樹脂によって形成されている場合、流路ベース11の平面サイズを小さくすることにより、流路ベース11と容器ベース3の密着性を向上させることができる。これにより、反応容器プレート1の製造歩留まりを向上させることができ、製造コストを低減することができる。
また、流路ベース11がポリプロピレンやポリカーボネートなどの硬質樹脂で形成されている場合、流路ベース11の平面サイズを小さくすることにより、流路ベース11における歪みやヒケ(望まない凹部)の形成を低減できる。これにより、流路ベース11、ひいては反応容器プレート1の製造歩留まりを向上させることができ、製造コストを低減することができる。
【0032】
主流路13は流路ユニット6a,6bごとに設けられている。主流路13は流路ユニット6a,6bですべての反応容器5の近傍を通るように形成されている。主流路13の一端は容器ベース3に設けられた貫通孔からなる流路14に接続されている。流路14は後述する切替えバルブ63のポートに接続されている。主流路13の他端は容器ベース3に形成された液体ドレイン空間29に接続されている。液体ドレイン空間29は流路ユニット6a,6bごとに設けられている。主流路13を構成する溝の寸法は例えば深さが400μm(マイクロメートル)、幅が500μmである。また、主流路13は、計量流路15が接続されている位置の下流側の所定長さ部分、例えば250μmの部分は幅が他の部分に比べて細く形成されており、例えばその幅は250μmである。
【0033】
計量流路15は主流路13から分岐して反応容器5ごとに設けられている。計量流路15の主流路13とは反対側の端部は反応容器5の近傍に配置されている。計量流路15を構成する溝の深さは例えば400μmである。計量流路15は内部容量が所定容量、例えば2.5μL(マイクロリットル)に形成されている。計量流路15の主流路13に接続されている部分の幅寸法は、上述の主流路13の細くなっている部分よりも太く、例えば500μmに形成されている。これにより、主流路13の一端から流れてくる液体に対して、計量流路15が分岐している部分では主流路13の方が計量流路15よりも流路抵抗が大きくなっている。主流路13の一端から流れてくる液体は、まず計量流路15に流れ込み、計量流路15が液体で充填された後、主流路13の細くなっている部分を介して下流側へ流れるようになっている。
【0034】
注入流路17も反応容器5ごとに設けられている。注入流路17の一端は計量流路15に接続されている。注入流路17の他端は反応容器5上に配置された凹部27に接続されて反応容器5上に導かれている。注入流路17は、反応容器5内と注入流路17内で圧力差がない状態で反応容器5内の液密を保つ寸法で形成されている。この実施例では、注入流路17は複数の溝により構成されており、その溝の寸法は例えば深さが10μm、幅が20μm、ピッチが20μmであり、500μmの幅領域に13本の溝が形成されている。ここでは、注入流路17を構成する溝と計量流路15の境界の面積、すなわち注入流路17を構成する溝の断面積は200μm2である。また、凹部27は深さが例えば400μmであり、平面形状は反応容器5よりも小さい円形である。
【0035】
反応容器エアー抜き流路19は反応容器5ごとに設けられている。反応容器エアー抜き流路19の一端は反応容器5上に配置された凹部27に注入流路17とは異なる位置で接続されて反応容器5上に配置されている。反応容器エアー抜き流路19は、反応容器5内と反応容器エアー抜き流路19内で圧力差がない状態で反応容器5内の液密を保つ寸法で形成されている。反応容器エアー抜き流路19の他端は反応容器エアー抜き流路21に接続されている。この実施例では、反応容器エアー抜き流路19は複数の溝により構成されており、その溝の寸法は例えば深さが10μm、幅が20μm、ピッチが20μmであり、500μmの幅領域に13本の溝が形成されている。
【0036】
反応容器エアー抜き流路21はこの実施例では流路ユニット6a,6bに2本ずつ設けられている。それぞれの反応容器エアー抜き流路21には複数の反応容器エアー抜き流路19が接続されている。反応容器エアー抜き流路21は反応容器エアー抜き流路21は容器ベース3に設けられた貫通孔からなる流路22に接続されている。流路22は流路ユニット6a,6bごとに設けられている。流路22は後述する切替えバルブ63のポートに接続されている。反応容器エアー抜き流路21を構成する溝の寸法は例えば深さが400μm、幅が500μmである。
【0037】
ドレイン空間エアー抜き流路23は液体ドレイン空間29を後述する切替えバルブ63のポートに接続するためのものである。ドレイン空間エアー抜き流路23の一端は液体ドレイン空間29上に配置されている。ドレイン空間エアー抜き流路23の他端は容器ベース3に設けられた貫通孔からなる流路24に接続されている。流路24は後述する切替えバルブ63のポートに接続されている。ドレイン空間エアー抜き流路23を構成する溝の寸法は例えば深さが400μm、幅が500μmである。
【0038】
容器ベース3に設けられた貫通孔からなるエアー抜き流路26が設けられている。エアー抜き流路26は流路ユニット6a,6bごとに設けられている。各エアー抜き流路26は後述する切替えバルブ63の別々のポートに接続されている。
【0039】
流路ベース11上に流路カバー33(図1(A)での図示は省略している。)が配置されている。流路カバー33は流路ベース11を容器ベース3に固定するためのものである。流路カバー33には反応容器5上の位置に貫通孔が形成されている。
【0040】
図1及び図4〜図6を参照して説明すると、反応容器5の配列領域及びドレイン空間29とは異なる位置で容器ベース3にサンプル容器収容部36、試薬容器収容部38及びエアー吸引用容器収容部40が形成されている。サンプル容器収容部36にはサンプル容器35が収容され、試薬容器収容部38には試薬容器37が収容され、エアー吸引用容器収容部40にはエアー吸引用39が収容される。サンプル容器35、試薬容器37及びエアー吸引用容器39は本発明の反応容器プレートの封止容器を構成する。
【0041】
図4に示すように、サンプル容器収容部36近傍の容器ベース3に、サンプル容器収容部36の底部から裏面に貫通しているサンプル流路35aと表面から裏面に貫通しているサンプル容器エアー抜き流路35bが形成されている。サンプル容器収容部36の開口部周囲の容器ベース3表面に、サンプル容器35を保持するための係止ツメ35cが3本配置されている。
【0042】
サンプル容器収容部36の底部に、サンプル容器収容部36の開口部側に向かって突出して設けられた突起状の突起流路35dが形成されている。突起流路35dの基端側の端部はサンプル流路35aと接続されている。突起流路35dの先端面は突起流路35dの突出方向に対して傾斜している。
【0043】
サンプル容器収容部36近傍の容器ベース3の表面に、上方に向かって突出して設けられた突起状の第2突起流路35eが形成されている。第2突起流路35eの基端側の端部はサンプル容器エアー抜き流路35bと接続されている。第2突起流路35eの先端面は第2突起流路35eの突出方向に対して傾斜している。
【0044】
突起流路35dの基端部の外周側面及び第2突起流路35eの基端部の外周側面に環状のパッキン35fが設けられている。例えばシリコーンゴムやPDMSなどの弾性材料によって形成されている。
【0045】
サンプル容器収容部36内に配置されるサンプル容器35は、サンプル容器主空間35gとサンプル容器エアー抜き流路35hとサンプル容器エアー抜き空間35iを備えている。
【0046】
サンプル容器主空間35gは、例えばポリプロピレン、ポリカーボネートなどの樹脂素材によって形成されたサンプル容器本体の上面から下面に貫通して設けられている。サンプル容器主空間35gの下面側の開口は、サンプル容器本体の下面に貼り付けられた、例えばアルミニウムからなるフィルム35j(貫通可能部)によって封止されている。サンプル容器主空間35gの上面側の開口は、サンプル容器本体の上面に貼り付けられた、例えばアルミニウムからなるフィルム35kによって封止されている。
【0047】
サンプル容器エアー抜き流路35hはサンプル容器本体の上面に形成された溝がフィルム35kで覆われることによって形成されている。サンプル容器エアー抜き流路35hを形成するための溝は例えば幅5〜200μm、深さ5〜200μmの寸法の1本又は複数本の細孔によって形成されており、サンプル容器主空間35g内とサンプル容器エアー抜き空間35i内で圧力差がない状態でサンプル容器主空間35gの液密を保つためのものである。
【0048】
サンプル容器エアー抜き空間35iは、サンプル容器本体の上部側面に設けられた突起部分に形成されており、その突起部分の上面から下面に貫通して設けられている。サンプル容器エアー抜き空間35iの下面側の開口は、突起部分の下面に貼り付けられた、例えばアルミニウムからなるフィルム35l(第2貫通可能部)によって封止されている。サンプル容器エアー抜き空間35iの上面側の開口は、フィルム35kによって封止されている。
【0049】
フィルム35k上に弾性部材であるセプタム41が形成されている。セプタム41は例えばシリコーンゴムやPDMSなどの弾性材料によって形成されており、尖端が鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることができる。セプタム41上にセプタム41を固定するためのセプタムストッパ43が配置されている。セプタムストッパ43はサンプル容器35上に開口部をもつ。この実施例ではサンプル容器主空間35g内に予め試薬45が収容されている。なお、図4ではセプタムストッパ43はセプタムストッパ43に設けられた係止ツメによりサンプル容器本体に固定されているが、セプタムストッパ43に設ける係止ツメの本数は任意である。また、セプタムストッパ43をサンプル容器本体に固定する方法はどのような方法であってもよく、例えば接着剤によってセプタムストッパ43をサンプル容器本体に固定してもよい。
【0050】
サンプル容器本体の側面に係止用溝35m,35nが形成されている。係止用溝35m,35nは、サンプル容器35が係止ツメ35cによってサンプル容器収容部36内に第1保持位置又は第2保持位置で保持されるようにするためのものである。係止用溝35mは係止用溝35nよりも下方側に形成されており、サンプル容器35を第1保持位置((E)参照)で保持するためのものである。係止用溝35nはサンプル容器35を第2保持位置((F)参照)で保持するためのものである。係止ツメ35c及び係止用溝35m,35nは本発明の反応容器プレートの封止容器保持機構を構成する。ただし、封止容器保持機構は係止ツメ35c及び係止用溝35m,35nからなるものに限定されるものではなく、サンプル容器35(封止容器)を第1保持位置及び第2保持位置で保持することができる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0051】
第1保持位置では、(E)に示すように、フィルム35jと突起流路35dが対向して配置され、かつ、フィルム35lと第2突起流路35eが対向して配置される。第1保持位置の状態から、サンプル容器35を容器ベース3側に押し込むことにより、サンプル容器35を第2保持位置へ移動させることができる。
【0052】
第2保持位置では、(F)に示すように、突起流路35dの先端がフィルム35jを貫通してサンプル容器主空間35g内に挿入され、かつ、第2突起流路35eの先端がフィルム35lを貫通してサンプル容器エアー抜き空間35i内に挿入される。第2保持位置の状態で、サンプル容器主空間35gとサンプル容器流路35aが突起流路35dを介して接続され、サンプル容器エアー抜き空間35iとサンプル容器エアー抜き流路35bが突起流路35eを介して接続される。このとき、サンプル容器35のサンプル容器本体の下面がパッキン35f,35fに押し付けられる。これにより、サンプル容器主空間35gとサンプル容器流路35a、及びサンプル容器エアー抜き空間35iとサンプル容器エアー抜き流路35bは、高い気密性をもって接続される。これにより、液漏れ及びエアー漏れを防止することができる。ただし、液漏れ及びエアー漏れを防止する方法はパッキン35f,35fを設けることに限定されるものではなく、気密性をもってサンプル容器35と流路35a,35bを接続することができる方法であれば、どのような方法であってもよい。
【0053】
サンプル容器35を第1保持位置に配置しておけば、サンプル容器35とサンプル容器流路35aを分離した状態で反応容器プレートを保存することができるので、サンプル容器主空間35gに試薬45や希釈水などの液体や試薬などの粉末状の固体を予め封入して保存しておいても、保存時にその液体や固体がサンプル容器流路35aに入り込むことはない。
【0054】
さらに、第1保持位置では、サンプル容器主空間35g及びサンプル容器エアー抜き空間35iは密閉されているので、試薬45や希釈水などの液体をサンプル容器主空間35gに予め封入しておいても、その液体が蒸発するのを防止できる。
【0055】
次に、図5を参照して試薬容器37及び試薬容器収容部38について説明する。
試薬容器収容部38は図4を参照して説明したサンプル容器収容部36と同様の構造をもつ。すなわち、試薬流路37a、試薬容器エアー抜き流路37b、係止ツメ37c、突起流路37d、第2突起流路37e及びパッキン37f,37fを備えている。
【0056】
試薬容器37は図4を参照して説明したサンプル容器35と同様の構造をもつ。ただし、試薬容器37は、サンプル容器35と比較して、セプタム41を備えておらず、セプタムストッパ43に替えてカバー47を備えている。すなわち、試薬容器37は、試薬容器主空間37g、試薬容器エアー抜き流路37h、試薬容器エアー抜き空間37i、フィルム37j,37k,37l、係止用溝37m,37n、及びカバー47を備えている。カバー47は、試薬容器本体の上面に貼り付けられたフィルム37kが破損するのを防止するためのものである。試薬容器主空間37g内に希釈水49が収容されている。なお、図5ではカバー47はカバー47に設けられた係止ツメにより試薬容器本体に固定されているが、カバー47に設ける係止ツメの本数は任意である。また、カバー47を試薬容器本体に固定する方法はどのような方法であってもよく、例えば接着剤によってカバー47を試薬容器本体に固定してもよい。
【0057】
試薬容器37も、サンプル容器35と同様に、試薬容器収容部38に第1保持位置((E)参照)と第2保持位置((F)参照)で配置される。試薬容器37と試薬容器流路37a及び試薬容器エアー抜き流路37bの接続は、図4を参照して説明したサンプル容器35とサンプル容器流路35a及び試薬容器エアー抜き流路35bの接続と同様である。
【0058】
試薬容器37を第1保持位置に配置しておけば、試薬容器37と試薬容器流路37aを分離した状態で反応容器プレートを保存することができるので、試薬容器主空間37gに試薬や希釈水49などの液体や試薬などの粉末状の固体を予め封入して保存しておいても、保存時にその液体や固体が試薬容器流路37aに入り込むことはない。
【0059】
さらに、第1保持位置では、試薬容器主空間37g及び試薬容器エアー抜き空間37iは密閉されているので、試薬や希釈水49などの液体を試薬容器主空間37gに予め封入しておいても、その液体が蒸発するのを防止できる。
【0060】
次に、図6を参照してエアー吸引用容器39及びエアー吸引用容器収容部40について説明する。
エアー吸引用容器収容部40は図5を参照して説明した試薬容器収容部38と同様の構造をもつ。すなわち、エアー吸引用流路39a、エアー吸引用容器エアー抜き流路39b、係止ツメ39c、突起流路39d、第2突起流路39e及びパッキン39f,39fを備えている。
【0061】
エアー吸引用容器39は図5を参照して説明した試薬容器37と同様の構造をもつ。すなわち、エアー吸引用容器39は、エアー吸引用容器主空間39g、エアー吸引用容器エアー抜き流路39h、エアー吸引用容器エアー抜き空間39i、フィルム39j,39k,39l、係止用溝39m,39n、及びカバー47を備えている。エアー吸引用容器主空間39g内には液体及び固体は収容されておらず、エアーが充満している。
【0062】
エアー吸引用容器39も、サンプル容器35及び試薬容器37と同様に、エアー吸引用容器収容部40に第1保持位置((E)参照)と第2保持位置((F)参照)で配置される。エアー吸引用容器39とエアー吸引用容器流路39a及びエアー吸引用容器エアー抜き流路39bの接続は、図4を参照して説明したサンプル容器35とサンプル容器流路35a及び試薬容器エアー抜き流路35bの接続と同様である。
【0063】
図1及び図2を参照して説明を続けると、反応容器5の配列領域、ドレイン空間29及び容器収容部36,38,40とは異なる位置の容器ベース3の表面にシリンジ51が設けられている。シリンジ51は容器ベース3に形成されたシリンダ51aとシリンダ51a内に配置されたプランジャ51bとカバー体51dにより形成されている。容器ベース3にシリンダ51aの底部に設けられた吐出口から裏面に貫通しているシリンジ流路51cが形成されている。
【0064】
カバー体51dはプランジャ51bの摺動方向に可撓性をもち、シリンダ51aとプランジャ51bに接続されている。カバー体51dは、シリンダ51aの内壁のプランジャ51bが接触する部分をシリンダ51a外の雰囲気とは気密性を保って遮断するためのものであり、シリンダ51aとプランジャ51bとカバー体51dで囲まれた封止空間51eを形成している。シリンダ51aに接続される側のカバー体51dの端部はシリンダキャップ51fによりシリンダ51aの上端に気密性を確保して固定されている。また、プランジャ51bに接続される側のカバー体51dの端部は接着剤によりプランジャ51bの上面に気密性を確保して接続されている。ただし、カバー体51dをシリンダ51a、プランジャ51bに接続する方法及び位置はこれに限定されるものではない。
【0065】
このように、カバー体51dは、シリンダ51aとプランジャ51bに接続されてシリンダ51aとプランジャ51bとカバー体51dで囲まれた封止空間51eを形成しているので、シリンダ51aとプランジャ51bの間を介しての、外部からの異物の進入や、液体の外部への環境汚染が防ぐことができる。なお、カバー体51dはプランジャ51bの摺動方向に可撓性をもつので、プランジャ51bの摺動動作は可能である。
【0066】
この実施例ではプランジャ51bとカバー体51dは別々の部材により形成されているが、プランジャとカバー体は一体成形されたものであってもよい。一体成形されたプランジャとカバー体の材料として例えばシリコーンゴムを挙げることができる。
【0067】
容器ベース3には、反応容器5の配列領域、ドレイン空間29、容器35,37,39及びシリンジ51とは異なる位置にベローズ53も設けられている。ベローズ53は内部空間が封止されており、伸縮することにより内部容量が受動的に可変なものであり、例えば容器ベース3に設けられた貫通孔53a内に配置されている。
【0068】
反応容器5の配列領域とは異なる位置で容器ベース3の裏面に容器ボトム55が取り付けられている。容器ボトム55にはベローズ53に連通する位置にエアー抜き流路53bが設けられている。ベローズ53は容器ボトム55の表面に密着して接続されている。容器ボトム55は流路14,22,24,26,35a,35b,37a,37b,39a,39b,51c,53bを所定のポート位置に導くためのものである。容器ボトム55には、容器エアー抜き流路35b,37b,39bを連通させるための流路55a(図1(A)参照)を形成するための溝が形成されている。流路55aは容器ベース3に形成されていてもよい。その場合、容器ボトム55は、容器エアー抜き流路35b,37b,39bと容器ベース3の流路55aを連通させるための貫通孔を備えている。
【0069】
容器ベース3容器及びボトム55に、一端が封止空間51eに接続され、他端がベローズ53にされたシリンジエアー抜き流路53cが設けられている。図1(A)でのシリンジエアー抜き流路53cの図示は省略している。
このように、一端が封止空間51eに接続され、他端がベローズ53されているシリンジエアー抜き流路53cを備えているので、封止空間51eを反応容器プレート1外部雰囲気とは遮断しつつ、プランジャ51bが摺動するときに封止空間51eの内部容量の変化にともなう封止空間51e内部の圧力変化を緩和することができ、プランジャ51bを円滑に摺動させることができる。
【0070】
容器ボトム55の容器ベース3とは反対側の面に円盤状のシール板57、ロータアッパー59及びロータベース61からなるロータリー式の切替えバルブ63が設けられている。切替えバルブ63はロック65により容器ボトム55に取り付けられている。
【0071】
シール板57は、その周縁部近傍に設けられ、流路14,35a,37a,39aのいずれかに接続される貫通孔57aと、それよりも内側の同心円上に設けられた貫通溝57b,57d,57eと、中心に設けられ、シリンジ流路51cに接続される貫通孔57cを備えている。
ロータアッパー59は、シール板57の貫通孔57aと同じ位置に設けられた貫通孔59aと、シール板57の貫通溝57b,57d,57eに対応して表面に設けられた溝59b,59d,59eと、中心に設けられた貫通孔59cを備えている。
ロータベース61はその表面に、ロータアッパー59の周縁部と中心に配置された2つの貫通孔59a,59cを接続するための溝61aを備えている。
便宜上、図1(A)にも溝59b,59d,59e,61aを示す(太線参照)。
【0072】
図1(A)に示した切替えバルブ63の位置は、シリンジ流路51cは流路14,35a,37a,39aのいずれにも接続されておらず、エアー抜き流路53bも流路22,24,35b,37b,39bのいずれとも接続されていない初期状態の位置を示している。
【0073】
反応容器プレート1では、注入流路17は反応容器5内と注入流路17内で圧力差がない状態で反応容器5の液密を保つように形成されている。反応容器エアー抜き流路19も反応容器5内と反応容器エアー抜き流路19内で圧力差がない状態で反応容器5の液密を保つように形成されている。反応容器流路の主流路13と、主流路13が接続された液体ドレイン空間29及びドレイン空間エアー抜き流路23は切替えバルブ63の切替えにより密閉可能になっている。容器35,37,39はセプタム41又はフィルム47で封止されている。容器35,37,39に接続された流路35a,35b,37a,37b,39a,39bは切替えバルブ63の切替えにより密閉可能になっている。エアー抜き流路53bの一端はベローズ53に接続されて密閉されている。このように、反応容器プレート1内部の容器及び流路は密閉系で形成されている。なお、ベローズ53を備えていない構成であってエアー抜き流路53bが反応容器プレート1外部の雰囲気と接続されている場合であっても、切替えバルブ63の切替えによりエアー抜き流路53bを反応容器プレート1内部の容器及びエアー抜き流路53b以外の流路とは遮断できるので、液体が収容される又は液体が流される容器及び流路を密閉系にすることができる。
【0074】
図7は図1に示した反応容器プレート1を処理するための反応処理装置を反応容器プレート1とともに示す断面図である。反応容器プレート1の構造は図1と同じなのでその説明は省略する。
反応処理装置は反応容器5の温度調整をするための温調機構67と、シリンジ51を駆動するためのシリンジ駆動ユニット69と、切替えバルブ63を切り替えるための切替えバルブ駆動ユニット71を備えている。
【0075】
図8から図14は、サンプル容器35からサンプル液を反応容器5に導入する動作を説明するための平面図である。図1及び図8から図14を参照してこの動作を説明する。
【0076】
サンプル容器35、試薬容器37及びエアー吸引用容器39が第1保持位置で保持されている状態で、図示しない尖端が鋭利な分注器具を用い、サンプル容器35上のセプタム41を貫通して例えば5μLのサンプル液をサンプル容器35内に分注する。サンプル液を分注後、分注器具を引き抜く。分注器具を引き抜いたときのセプタム41の貫通孔はセプタム41の弾性により閉じられる。
【0077】
第1保持位置で保持されているサンプル容器35、試薬容器37及びエアー吸引用容器39を容器ベース3側に押し込んで第2保持位置へ移動させる。これにより、サンプル容器主空間35gとサンプル容器流路35a、サンプル容器エアー抜き空間35iとサンプル容器エアー抜き流路35b、試薬容器主空間37gと試薬容器流路37a、試薬容器エアー抜き空間37iと試薬容器エアー抜き流路37b、エアー吸引用容器主空間39gとエアー吸引用容器流路39a、エアー吸引用容器エアー抜き空間39iとエアー吸引用容器エアー抜き流路39bが気密性をもってそれぞれ接続される。なお、サンプル容器35内にサンプル液を分注する前に、サンプル容器35、試薬容器37及びエアー吸引用容器39を容器ベース3側に押し込んで第2保持位置へ移動させ、その後、サンプル容器35内にサンプル液を分注するようにしてもよい。
【0078】
シリンジ駆動ユニット69をシリンジ51のプランジャ51bに接続し、切替えバルブ駆動ユニット71を切替えバルブ63に接続する。
図8に示すように、図1(A)に示した切替えバルブ63の状態から切替えバルブ63を回転させて、溝61aによってサンプル流路35aとシリンジ流路51cを接続する。同時に、溝59eによって、サンプル容器エアー抜き流路35bを、流路55aを介してエアー抜き流路53bに接続する。サンプル容器35には例えば45μLの試薬45が収容されている。
【0079】
シリンジ51のプランジャ51bを摺動させてサンプル容器35内のサンプル液及び試薬45を混合させる。その後、サンプル容器35内の混合液を切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に例えば10μLだけ吸引する。このとき、サンプル容器35はエアー抜き流路35e,35d,35b、切替えバルブ63及びエアー抜き流路53bを介してベローズ53に接続されているので、サンプル容器35内の気体容量の変化にともなってベローズ53が伸縮する。また、プランジャ51bの摺動により、カバー体51dが変形して封止空間51e(図1(C)参照。)の内部容量が変化する。封止空間51eはシリンジエアー抜き流路53cを介してベローズ53に接続されているので、封止空間51eの内部容量の変化によってもベローズ53が伸縮する。以下に説明する動作工程でも、プランジャ51bの摺動による封止空間51eの内部容量の変化にともなってベローズ53が伸縮する。
【0080】
図9に示すように、切替えバルブ63を回転させて、溝61aによって試薬流路37aとシリンジ流路51cを接続する。同時に、溝59dによって、試薬容器エアー抜き流路37bを、流路55aを介してエアー抜き流路53bに接続する。試薬容器37には例えば190μLの希釈水49が収容されている。切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に吸引した混合液を試薬容器37内に注入し、シリンジ51を摺動させて混合液と希釈水49と混合する。その希釈混合液を切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に例えば半分、すなわち100μL吸引する。このとき、試薬容器37はエアー抜き流路37e,37d,37b、切替えバルブ63及びエアー抜き流路53bを介してベローズ53に接続されているので、試薬容器37内の気体容量の変化にともなってベローズ53が伸縮する。
【0081】
図10に示すように、切替えバルブ63を回転させて、溝61aによって、流路ユニット6aの主流路13の一端に接続された流路14とシリンジ流路51cを接続する。同時に、液体ドレイン空間29に接続された流路22、及び反応容器エアー抜き流路21に接続された流路24を、溝59bによってエアー抜き流路26に接続する。シリンジ51を押出し方向に駆動させて、切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に吸引した希釈混合液を流路ユニット6aの主流路13に送る。流路ユニット6aにおいて、流路14側から主流路13に注入された希釈混合液は、シボ及び矢印によって示すように、流路14側から順に計量流路15を満たし、液体ドレイン空間29に到達する。希釈混合液が主流路13及び計量流路15に導入されるときの導入圧力状態では、注入流路17は、気体は通すが希釈混合液を通さない。計量流路15への希釈混合液の充填にともなって計量流路15の気体は注入流路17を介して反応容器5内へ移動する。この気体の移動にともない、反応容器5内の気体の一部は反応容器エアー抜き流路19,21へ移動する。さらに反応容器エアー抜き流路19からエアー抜き流路26までの流路内の気体は順次エアー抜き流路26側へ移動する(白抜き矢印参照)。また、液体ドレイン空間29に希釈混合液が注入されることにより、液体ドレイン空間29からエアー抜き流路26までの流路内の気体は順次エアー抜き流路26側へ移動する(白抜き矢印参照)。
【0082】
図11に示すように、切替えバルブ63を回転させて、溝61aによって、エアー吸引用流路39aとシリンジ流路51cを接続する。同時に、エアー吸引用容器エアー抜き流路39bを溝59bによってエアー抜き流路53bに接続する。シリンジ51を吸引側に駆動させてエアー吸引用容器39内の気体を切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に吸引する。このとき、エアー吸引用容器39はエアー抜き流路39e,39d,39b、切替えバルブ63及びエアー抜き流路53bを介してベローズ53に接続されているので、エアー吸引用容器39内の減圧にともなってベローズ53が収縮する(白抜き矢印参照)。
【0083】
図12に示すように、切替えバルブ63を回転させて、図10の接続状態と同じく、流路ユニット6aに対して、溝61aによって流路14とシリンジ流路51cを接続し、溝59bによって流路22,24とエアー抜き流路26を接続する。シリンジ51を押出し方向に駆動させて、切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内の気体を流路ユニット6aの主流路13に送って主流路13内の希釈混合液をパージする(白抜き矢印参照)。このときのパージ圧力状態では注入流路17は希釈混合液を通さないので、計量流路15内には希釈混合液が残存している(シボ参照。)。パージされた希釈混合液は液体ドレイン空間29内に収容される。また、液体ドレイン空間29に希釈混合液が注入されることにより、液体ドレイン空間29からエアー抜き流路26までの流路内の気体は順次エアー抜き流路26側へ移動する(白抜き矢印参照)。
【0084】
図13に示すように、切替えバルブ63を回転させて、図11の接続状態と同じく、溝61aによってエアー吸引用流路39aとシリンジ流路51cを接続し、溝59bによってエアー吸引用容器エアー抜き流路39bとエアー抜き流路53bを接続する。シリンジ51を吸引側に駆動させてエアー吸引用容器39内の気体を切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に吸引する。このとき、図11を参照して説明したのと同様に、ベローズ53が収縮する(白抜き矢印参照)。
【0085】
図14に示すように、切替えバルブ63を回転させて、流路ユニット6aに対して、溝61aによって流路14とシリンジ流路51cを接続する。同時に、溝59bによって流路24とエアー抜き流路26を接続する。この接続状態は、流路ユニット6aの主流路13の下流側端が接続された液体ドレイン空間29がエアー抜き流路26に接続されていない点で図10及び図12に示した接続状態とは異なる。シリンジ51を押出し方向に駆動させる。主流路13の下流側端はエアー抜き流路26には接続されていないので、主流路13内が液体導入圧力及びパージ導入圧力よりも大きく加圧される。これにより、計量流路15内の希釈混合液が注入流路17を通って反応容器5内に注入される。希釈混合液が反応容器5内に注入された後は主流路13内の気体の一部は計量流路15及び注入流路17を介して反応容器5内に流れ込む。このとき、反応容器5は、反応容器エアー抜き流路19,21、流路24及び溝59bを介してエアー抜き流路26に接続されているので、反応容器5、エアー抜き流路26間の気体は順次エアー抜き流路26側へ移動する(白抜き矢印参照)。 これにより、流路ユニット6aに対して、希釈混合液を反応容器5に導入する動作が完了する。
【0086】
続いて、流路ユニット6bに対して、希釈混合液を反応容器5に導入する動作を説明する。
図15に示すように、切替えバルブ63を回転させて、図9の接続状態と同じく、溝61aによって試薬流路37aとシリンジ流路51cを接続し、溝59dによって試薬容器エアー抜き流路37bとエアー抜き流路53bを接続する。試薬容器37内に残っている希釈混合液を切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に例えば全部、すなわち100μL吸引する。このとき、試薬容器37は、図9の接続状態で説明したのと同様にベローズ53に接続されているので、試薬容器37内の気体容量の変化にともなってベローズ53が伸縮する。
【0087】
図16に示すように、切替えバルブ63を回転させて、溝61aによって、流路ユニット6bの主流路13の一端に接続された流路14とシリンジ流路51cを接続する。同時に、液体ドレイン空間29に接続された流路22、及び反応容器エアー抜き流路21に接続された流路24を、溝59bによってエアー抜き流路26に接続する。シリンジ51を押出し方向に駆動させて、切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に吸引した希釈混合液を流路ユニット6bの主流路13に送る。図10の接続状態で流路ユニット6aについて説明したのと同様に、流路ユニット6bにおいて、流路14側から主流路13に注入された希釈混合液は、シボ及び矢印によって示すように、流路14側から順に計量流路15を満たし、液体ドレイン空間29に到達する。さらに、主流路13、計量流路15、液体ドレイン空間29への希釈混合液の充填にともなって、流路内の気体がエアー抜き流路26側へ移動する(白抜き矢印参照)。
【0088】
図17に示すように、切替えバルブ63を回転させて、図11の接続状態と同じく、溝61aによってエアー吸引用流路39aとシリンジ流路51cを接続し、溝59bによってエアー吸引用容器エアー抜き流路39bとエアー抜き流路53bを接続する。シリンジ51を吸引側に駆動させてエアー吸引用容器39内の気体を切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に吸引する。このとき、図11を参照して説明したのと同様に、ベローズ53が収縮する(白抜き矢印参照)。
【0089】
図18に示すように、切替えバルブ63を回転させて、図16の接続状態と同じく、流路ユニット6bに対して、溝61aによって流路14とシリンジ流路51cを接続し、溝59bによって流路22,24とエアー抜き流路26を接続する。シリンジ51を押出し方向に駆動させて、切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内の気体を流路ユニット6bの主流路13に送って主流路13内の希釈混合液をパージする(白抜き矢印参照)。このときのパージ圧力状態では注入流路17は希釈混合液を通さないので、計量流路15内には希釈混合液が残存している(シボ参照。)。パージされた希釈混合液は液体ドレイン空間29内に収容される。また、液体ドレイン空間29に希釈混合液が注入されることにより、液体ドレイン空間29からエアー抜き流路26までの流路内の気体は順次エアー抜き流路26側へ移動する(白抜き矢印参照)。
【0090】
図19に示すように、切替えバルブ63を回転させて、図11の接続状態と同じく、溝61aによってエアー吸引用流路39aとシリンジ流路51cを接続し、溝59bによってエアー吸引用容器エアー抜き流路39bとエアー抜き流路53bを接続する。シリンジ51を吸引側に駆動させてエアー吸引用容器39内の気体を切替えバルブ63内の流路、シリンジ流路51c及びシリンジ51内に吸引する。このとき、図11を参照して説明したのと同様に、ベローズ53が収縮する(白抜き矢印参照)。
【0091】
図20に示すように、切替えバルブ63を回転させて、流路ユニット6bに対して、溝61aによって流路14とシリンジ流路51cを接続する。同時に、溝59bによって流路24とエアー抜き流路26を接続する。この接続状態は、流路ユニット6bの主流路13の下流側端が接続された液体ドレイン空間29がエアー抜き流路26に接続されていない点で図16及び図18に示した接続状態とは異なる。シリンジ51を押出し方向に駆動させる。主流路13の下流側端はエアー抜き流路26には接続されていないので、主流路13内が液体導入圧力及びパージ導入圧力よりも大きく加圧される。これにより、計量流路15内の希釈混合液が注入流路17を通って反応容器5内に注入される。希釈混合液が反応容器5内に注入された後は主流路13内の気体の一部は計量流路15及び注入流路17を介して反応容器5内に流れ込む。このとき、反応容器5は、反応容器エアー抜き流路19,21、流路24及び溝59bを介してエアー抜き流路26に接続されているので、反応容器5、エアー抜き流路26間の気体は順次エアー抜き流路26側へ移動する(白抜き矢印参照)。
これにより、流路ユニット6bに対して、希釈混合液を反応容器5に導入する動作が完了する。
【0092】
切替えバルブ63を図1の接続状態にして反応容器プレート1内部の容器、流路及びドレイン空間を密閉した後、温調機構67により反応容器5を加熱してワックス9を融解させる。これにより、反応容器5に注入された希釈混合液はワックス9の下に入り、希釈混合液と試薬7が混ざり反応する。このように、反応容器プレート1によれば反応処理を密閉系で行なうことができる。
また、希釈混合液を反応容器5内に注入する前に、温調機構67により反応容器5を加熱してワックス9を融解させておき、反応容器5内への希釈混合液の注入時にワックス9が融解しているようにしてもよい。この場合、反応容器5に注入された希釈混合液は直ちにワックス9の下に入り、希釈混合液と試薬7が混ざり反応する。切替えバルブ63の接続状態が図14の状態であっても、ベローズ53により密閉系は確保されている。希釈混合液の注入後に切替えバルブ63を図1の接続状態にすれば、反応容器プレート1内部の容器、流路及びドレイン空間を密閉することができる。ここで切替えバルブ63を図1の接続状態に切り替えるタイミングは、希釈混合液の注入直後から希釈混合液と試薬7の反応終了までのいずれのタイミングであってもよいし、希釈混合液と試薬7の反応終了後であってもよい。
このように、反応容器プレート1によれば、反応処理を密閉系で行なうことができ、反応処理前及び反応処理後も密閉系にすることができる。
【0093】
この実施例では、流路ユニット6a,6bの両方に希釈混合液を導入しているが、流路ユニット6a,6bのいずれか一方のみに希釈混合液を導入するようにしてもよい。
また、流路ユニットの数は3つ以上であってもよい。
また、流路ユニット6a,6bで、注入する希釈混合液のサンプル液濃度を異ならせてもよい。例えば、図8から図20を参照して説明した上記動作において、図14を参照して説明した動作(希釈混合液を流路ユニット6aの反応容器5へ注入する動作)と、図15を参照して説明した動作(流路ユニット6bに注入する希釈混合液をシリンジ51内に吸引する動作)との間に、図9の接続状態にしてシリンジ51内にサンプル液と試薬の混合液を所定量だけ吸引する動作と、図14の接続状態にしてシリンジ51内の混合液と試薬容器37内の希釈混合液を混合する動作を追加するようにしてもよい。これにより、流路ユニット6aの反応容器5に注入する希釈混合液よりもサンプル液濃度が濃い希釈混合液を流路ユニット6bの反応容器5に注入することができる。
【0094】
また、この実施例では流路13,15,17,19,21,23を形成するための溝は流路ベース11に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、それらの流路の全部又は一部分を形成するための溝を容器ベース3表面に形成してもよい。
【0095】
図21は反応容器プレートの他の実施例の反応容器近傍を拡大して示す概略的な断面図である。この実施例は、容器ベースと流路ベースの間に流路スペーサを配置した以外の構成は図1から図6を参照して説明した上記実施例と同じである。
【0096】
容器ベース3上に反応容器5の配列領域を覆って流路スペーサ73が配置され、さらにその上に流路ベース11、流路カバー33がその順に配置されている。流路スペーサ73は例えばPDMSやシリコーンゴムからなる。流路スペーサ73の厚みは例えば0.5〜5.0mmである。流路スペーサ73は反応容器5内に突出している凸部75を反応容器5ごとに備えている。凸部75は断面が略台形に形成されており、例えば基端部の幅は1.0〜2.8mm、先端部の幅は0.2〜0.5mmであり、先端部が基端部に比べて細くなっている。また、凸部75の表面には超撥水処理が施されている。ただし、凸部75の表面に必ずしも撥水処理が施されていなくてもよい。
【0097】
さらに、流路スペーサ73は凸部75の先端部から反対側の面に貫通している貫通孔からなる注入流路77を凸部75の形成位置ごとに備えている。注入流路77の内径は例えば500μmである。注入流路77の流路ベース11側の開口は流路ベース11の注入流路17に接続されている。なお、この実施例では図1から図6を参照して説明した上記実施例と比較して流路ベース11に凹部27を備えていない。
さらに、流路スペーサ73は流路ベース11の反応容器エアー抜き流路19と反応容器5を連通させるための貫通孔からなる反応容器エアー抜き流路79も備えている。
【0098】
また、図示は省略するが、流路スペーサ73は、主流路13の両端部、反応容器エアー抜き流路21のエアードレイン空間31側の端部、及びドレイン空間エアー抜き流路23,25の両端部に貫通孔を備え、それらの流路13,21,23,25を容器ベース3に設けられた容器29,31又は流路24,25bに接続している。
【0099】
この実施例では、注入流路77の注入流路15とは反対側の端部(注入流路の他端)は反応容器5の内側上面に突出して形成された凸部75の先端に配置されているので、注入流路15,77を通って反応容器5に注入される液体が反応容器5に滴下しやすくなる。
【0100】
さらに、液体が注入流路77を通って凸部75の先端から吐出される際に凸部75の先端に形成される液滴が反応容器5の側壁に接触するように凸部75の先端を反応容器5の側壁近傍に配置すれば、反応容器5の側壁を伝って液体を反応容器5内に注入することができ、より確実に反応容器5内に液体を注入することができる。ただし、凸部75の形成位置は、凸部75の先端に形成される液滴が反応容器5の側壁には接触しない位置であってもよい。
【0101】
図22は反応容器プレートのさらに他の実施例の反応容器近傍を拡大して示す概略的な断面図である。
この実施例は、図21を参照して説明した実施例と比べて、反応容器5の内部に突起部81をさらに備えている。突起部81の先端は凸部75の先端の下方に配置されている。これにより、凸部75の先端に形成される液滴を反応容器5内に導きやすくなる。特に、突起部81の少なくとも先端の表面に親水性処理を施しておけば、特に有効である。
【0102】
図23は反応容器プレートのさらに他の実施例の反応容器近傍を拡大して示す概略的な断面図である。
この実施例は、図22を参照して説明した実施例と比べて、反応容器5の側壁に形成された段差部83と、反応容器5の上面とは間隔をもって段差部83の上面に形成された凸条部85をさらに備えている。段差部83及び凸条部85は上方から見て環状に形成されている。凸条部85の先端は反応容器5の側壁とは間隔をもって配置されている。
凸条部85の先端が反応容器5の上面及び側面とは間隔をもって配置されていることにより、反応容器5の内部に収容された液体が反応容器の側壁を伝って反応容器5の上面に到達するのを防止することができる。この効果は凸条部85の少なくとも先端部分に撥水処理を施しておくと特に有効である。
【0103】
図23に示した段差部83及び凸条部85を備えた構成は図21に示した実施例にも適用することができる。
また、図21、図22又は図23を参照して説明した各実施例では、流路13,15,17,19,21,23を形成するための溝は流路ベース11に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、それらの流路の全部又は一部分を形成するための溝は、流路スペーサ73の流路ベース11側表面、流路スペーサ73の容器ベース3側表面、容器ベース3表面のいずれに形成されていてもよい。
【0104】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、形状、材料、配置、個数、寸法、流路構成などは一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0105】
例えば、エアー抜き流路53bに接続されたベローズ53は内部容量が受動的に可変な容量可変部材であれば他の構造であってもよい。そのような構造として例えば可撓材料からなる袋状のものや、シリンジ状のものなどを挙げることができる。
また、ベローズ53等の容量可変部材は必ずしも備えていなくてもよい。
また、容器35,37,39に試薬等の液体を予め収容しないのであれば、エアー抜き流路の一部分に細孔からなる流路35e,37e,39eを必ずしも備えている必要はない。
【0106】
また、上記の実施例では、封止容器としての容器35,37,39に連通して設けられたエアー抜き流路35b,37b,39bは切替えバルブ63を介してエアー抜き流路53bに接続されるが、封止容器に連通して設けられるエアー抜き流路は反応容器プレート外部、又はベローズ53等の容量可変部に直接接続されていてもよい。
また、容器35,37,39の封止方法として開閉可能なキャップを用いてもよい。
【0107】
また、上記実施例では容器ベース3は1つの部品により形成されているが、容器ベースは複数の部品によって形成されていてもよい。
また、反応容器5内の試薬は乾燥試薬でもよい。
また、サンプル容器35内や反応容器5内に予め試薬は収容されていなくてもよい。
また、上記実施例では試薬容器37に希釈水49が収容されているが、希釈水49に変えて試薬を収容するようにしてもよい。
【0108】
また、容器ベース3に遺伝子増幅反応を行なうための遺伝子増幅容器を備えているようにしてもよい。例えば、試薬容器37を空の状態にしておけば、遺伝子増幅容器として用いることができる。
【0109】
また、反応容器5内に遺伝子増幅反応を行なうための試薬を収容しておけば、反応容器5内で遺伝子増幅反応を行なうことができる。
また、主流路13に導入される液体に遺伝子が含まれている場合、反応容器5内にその遺伝子と反応するプローブを備えているようにしてもよい。
【0110】
また、上記実施例では、シリンジ51は切替えバルブ63上に配置されているが、シリンジ51を配置する位置は切替えバルブ63上に限定されるものではなく、どこでもよい。
また、上記実施例では切替えバルブとしてロータリー式の切替えバルブ63を用いているが、切替えバルブはこれに限定されるものではなく、種々の流路切替えバルブを用いることができる。また、切替えバルブを複数備えていてもよい。
【0111】
また、上記実施例では、計量流路15に充填された液体を注入流路17を介して反応容器5に注入する際に、エアーパージ後の主流路13内を加圧して液体を反応容器5に注入しているが、本発明の反応処理方法はこれに限定されるものではない。例えば、シリンジ51を用いて反応容器エアー抜き流路21内を陰圧にできるように流路構成を変更し、反応容器エアー抜き流路21内、ひいては反応容器5内を陰圧にすることによって計量流路15に充填された液体を注入流路17を介して反応容器5に注入するようにしてもよい。また、別途シリンジを用意して、主流路13内を陽圧にし、かつ反応容器5内を陰圧にして、反応容器5に液体を注入するようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施例において、封止容器の貫通可能部及び第2貫通可能部は、例えばアルミニウムからなるフィルム35j,35l,37j,37l,39j,39lによって形成されているが、貫通可能部及び第2貫通可能部は、これに限定されるものではなく、他の材料のフィルムであってもよいし、容器本体と同じ材料によって形成されていてもよい。例えば容器本体がポリプロピレン、ポリカーボネートなどの樹脂素材によって形成されている場合、貫通可能部及び第2貫通可能部における樹脂材料の厚みを突起流路及び第2突起流路で貫通可能な程度の厚みにすれば、貫通可能部及び第2貫通可能部を容器本体と一体成形によって形成することができる。ここで、貫通可能部、第2貫通可能部を容器本体と一体成形によって形成した場合の貫通可能部、第2貫通可能部の厚みは、例えば0.01〜0.5mmである。
【0113】
また、上記実施例では、第1保持位置で保持されている封止容器35,37,39を容器ベース3側に押し込んで第2保持位置へ移動させて、封止容器及び封止容器流路を接続する構造になっているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の反応容器プレートは、封止容器と封止容器流路が予め接続されている構造を備えていてもよい。
【0114】
また、上記実施例では、1本の主流路13を備え、すべての計量流路15が主流路13に接続されているが、流路構成はこれに限定されるものではない。例えば、複数本の主流路を設け、各主流路に1つ又は複数の計量流路を接続するようにしてもよい。
【0115】
本発明の反応容器プレートにおいて、主流路は密閉可能なものであるが、主流路の両端が開閉可能になっていることにより主流路が密閉可能になっている例を挙げることができる。ここで、「主流路の両端が開閉可能になっている」とは、主流路の端部に他の空間が接続され、この他の空間の、主流路とは反対側の端部が開閉可能になっている場合も含む。例えば、上記実施例では、流路14や、液体ドレイン空間29、ドレイン空間エアー抜き流路23及び流路22が上記他の空間に相当する。
また、本発明の反応容器プレートにおいて、反応容器エアー抜き流路は密閉可能なものであるが、反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が開閉可能になっていることにより反応容器エアー抜き流路が密閉可能になっている例を挙げることができる。ここで、「反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が開閉可能になっている」とは、反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部に他の空間が接続され、この他の空間の、反応容器エアー抜き流路とは反対側の端部が開閉可能になっている場合も含む。例えば、上記実施例では、流路24が上記他の空間に相当する。
このような態様では、主流路及び計量流路に液体が導入され、次に主流路内の上記液体がパージされ、さらに計量流路内に残存する上記液体が反応容器内に注入された後、主流路の両端、及び反応容器エアー抜き流路の反応容器とは反対側の端部が閉じられて主流路及び反応容器エアー抜き流路が密閉される。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は種々の化学反応や生物化学反応の測定に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】反応容器プレートの一実施例を示す図であり、(A)は概略的な平面図、(B)は(A)のA−A位置での断面に反応容器、ベローズ、ドレイン空間、計量流路、注入流路、サンプル容器及びサンプル容器エアー抜き流路の断面を加えた概略的な断面図、(C)はシリンジ51及びベローズ53近傍を拡大して示す概略的な断面図である。
【図2】同実施例を分解して示す断面図及び切替えバルブの概略的な分解斜視図である。
【図3】同実施例の1つの反応容器近傍を示す概略図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図、(C)は断面図である。
【図4】同実施例のサンプル容器収容部とサンプル容器を拡大して示した図であり、(A)はサンプル容器収容部の平面図、(B)は(A)のB−B位置での断面図、(C)はサンプル容器の平面図、(D)は(C)のC−C位置での断面図、(E)はサンプル容器をサンプル容器収容部に第1保持位置で配置した断面図、(F)はサンプル容器をサンプル容器収容部に第2保持位置で配置した断面図である。
【図5】同実施例の試薬容器収容部と試薬容器を拡大して示した図であり、(A)は試薬容器収容部の平面図、(B)は(A)のD−D位置での断面図、(C)は試薬容器の平面図、(D)は(C)のE−E位置での断面図、(E)は試薬容器を試薬容器収容部に第1保持位置で配置した断面図、(F)は試薬容器を試薬容器収容部に第2保持位置で配置した断面図である。
【図6】同実施例のエアー吸引用容器収容部とエアー吸引用容器を拡大して示した図であり、(A)はエアー吸引用容器収容部の平面図、(B)は(A)のF−F位置での断面図、(C)はエアー吸引用容器の平面図、(D)は(C)のG−G位置での断面図、(E)はエアー吸引用容器をエアー吸引用容器収容部に第1保持位置で配置した断面図、(F)はエアー吸引用容器をエアー吸引用容器収容部に第2保持位置で配置した断面図である。
【図7】反応容器プレートを処理するための反応処理装置を反応容器プレートとともに示した概略的な断面図である。
【図8】サンプル容器からサンプル液を反応容器に導入する動作を説明するための平面図である。
【図9】図8に続く動作を説明するための平面図である。
【図10】図9に続く動作を説明するための平面図である。
【図11】図10に続く動作を説明するための平面図である。
【図12】図11に続く動作を説明するための平面図である。
【図13】図12に続く動作を説明するための平面図である。
【図14】図13に続く動作を説明するための平面図である。
【図15】図14に続く動作を説明するための平面図である。
【図16】図15に続く動作を説明するための平面図である。
【図17】図16に続く動作を説明するための平面図である。
【図18】図17に続く動作を説明するための平面図である。
【図19】図18に続く動作を説明するための平面図である。
【図20】図19に続く動作を説明するための平面図である。
【図21】反応容器プレートの他の実施例の反応容器近傍を拡大して示す概略的な断面図である。
【図22】反応容器プレートのさらに他の実施例の反応容器近傍を拡大して示す概略的な断面図である。
【図23】反応容器プレートのさらに他の実施例の反応容器近傍を拡大して示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0118】
1 反応容器プレート
3 容器ベース
5 反応容器
6a,6b 流路ユニット
11 流路ベース
13 主流路
15 計量流路
17 注入流路
19,21 反応容器エアー抜き流路
35 サンプル容器(封止容器)
35a サンプル容器流路(封止容器流路)
35b サンプル容器エアー抜き流路
337 試薬容器(封止容器)
37a 試薬容器流路(封止容器流路)
37b 試薬容器エアー抜き流路
39 エアー吸引用容器(封止容器)
39a エアー吸引用容器流路(封止容器流路)
39b エアー吸引用容器エアー抜き流路
41 セプタム(弾性部材)
51 シリンジ
63 切替えバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止された反応容器と前記反応容器に接続された反応容器流路からなる流路ユニットを複数組と、
前記反応容器とは別途設けられた封止容器と、
前記封止容器に接続される封止容器流路と、
液体を送液するためのシリンジと、
前記シリンジを前記封止容器流路又は前記反応容器流路のいずれかに接続するための切替えバルブと、を備え、
前記反応容器流路は、前記シリンジに接続される主流路と、前記主流路から分岐した所定容量の計量流路と、一端が前記計量流路に接続され他端が前記反応容器に接続された注入流路を備え、
前記注入流路は前記計量流路よりも細く形成されて前記主流路及び前記計量流路に液体が導入されるときの液体導入圧力状態並びに前記主流路内の前記液体がパージされるときのパージ圧力状態では前記液体を通さず、それらよりも加圧状態で前記液体を通すものであり、
前記シリンジ及び前記切替えバルブの駆動により、前記封止容器に収容された液体を前記封止容器流路、前記シリンジ、前記切替えバルブ及び前記反応容器流路を介して前記反応容器に注入する反応容器プレート。
【請求項2】
前記注入流路の水滴に対する接触角は90度以上であり、前記注入流路と前記計量流路の境界の面積は1〜10000000μm2である請求項1に記載の反応容器プレート。
【請求項3】
前記反応容器に接続された反応容器エアー抜き流路をさらに備えている請求項1又は2に記載の反応容器プレート。
【請求項4】
前記流路ユニットごとに複数の前記反応容器を備え、それらの反応容器ごとに前記計量流路及び前記注入流路を備え、各流路ユニットで前記主流路に複数の前記計量流路が接続されている請求項1から3のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項5】
前記封止容器はサンプル液を収容するためのサンプル容器である請求項1から4のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項6】
前記サンプル容器は、尖端の鋭利な分注器具により貫通でき、かつ貫通後に前記分注器具を引き抜くとその貫通孔を弾性によって閉じることのできる弾性部材によって密封されている請求項5に記載の反応容器プレート。
【請求項7】
前記封止容器に予めサンプル前処理液又は試薬が収容されている請求項1から6のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項8】
前記封止容器からなり遺伝子増幅反応を行なうための遺伝子増幅容器も備えている請求項1から7のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項9】
前記切替えバルブはロータリー式バルブである請求項1から8のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項10】
前記ロータリー式バルブはその回転中心に前記シリンジにつながるポートを備え、
前記シリンジは前記ロータリー式バルブ上に配置されている請求項9に記載の反応容器プレート。
【請求項11】
前記反応容器は少なくとも呈色反応、酵素反応、蛍光や化学発光又は生物発光を生じる反応のいずれかの反応を行なうためのものである請求項1から10のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項12】
遺伝子を含んだサンプルを測定するための反応容器プレートであり、前記反応容器で遺伝子増幅反応を行なうことができるようになっている請求項1から11のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項13】
前記反応容器はその底部又は上方から光学的に測定が可能なように光透過性の材質にて構成されている請求項1から12のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項14】
前記反応容器は、前記反応容器に注入される液体に遺伝子が含まれている場合にその遺伝子と反応するプローブを備えている請求項1から13のいずれか一項に記載の反応容器プレート。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の前記反応容器プレートを用いた反応処理方法であって、
前記導入圧力で前記主流路及び前記計量流路に液体を充填し、
前記主流路に気体を流して前記計量流路内に前記液体を残存させつつ前記主流路内の前記液体を排出し、
前記主流路内を前記導入圧力よりも大きく陽圧に若しくは前記反応容器内を陰圧に又は前記陽圧及び前記陰圧の両方にすることより前記注入流路を介して前記計量流路内の前記液体を前記反応容器に注入することを特徴とする反応処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−250694(P2009−250694A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96550(P2008−96550)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】