説明

反応染料、その製造及びその使用

【課題】反応染料、その製造及びその使用
【解決手段】

【化1】


式中R1は水素原子又は非置換の又は置換された炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し

(R2sはs個の、ハロゲン原子、ニトロ基、非置換の又はハロゲン原子で置換された炭素原子数1乃至4のアルキル基,炭素原子数2乃至4のアルカノイルアミノ基、炭素原子数1乃至4のアルキルスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基又はスルホ基と同一であるか又は異なる置換基を表し、
Meはクロム原子、コバルト原子又は鉄原子を表し、
Eは下記式
【化2】


(式中Xは塩素原子又はフッ素原子を示す。)で表される2価の基を表し、Tは式
【化3】


で表される繊維反応性基を表し、
(R30-2は0乃至2個の、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基又はスルホ基と同一であるか又は異なる基を表し、Zはビニル基又は基−CH2−CH2−Uを表し、そしてUはアルカリ性条件下で除去できる基を表し、Qは、基−CH(ハロゲン原子)−CH2−ハロゲン原子、を表すか、基−C(ハロゲ
ン原子)=CH2を表し、
sは0、1、2又は3の数を表し、qは0又は1の数を表し、Aは式
【化4】


(式中、R1、R2、X、T、m、n、q及びsは上記で定義された通りであり、
4及びR7は水素原子又は炭素原子数1乃至4のアルキル基を表し、
5及びR6はそれぞれ独立してヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、非置換の又はハロゲン原子で置換された炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数2乃至4のアルカノイルアミノ基,炭素原子数1乃至4のアルキルスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基又はスルホ基と同一であるか又は異なる置換基を表し、及びt及びuはそれぞれ独立して0、1、2又は3の数を表す。)で表される2価の基を表す。で表される反応染料は、特に合成ポリアミド繊維材料の染色に好適であり、優れた湿潤堅牢特性を有する染色物又は印刷物を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な反応染料、その製造方法及びその織物用繊維材料の染色又は印刷におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
反応染料を用いた染色の実践は、近年、染色の品質及び染色方法の経済性の実現への高い要求をもたらしている。そのため、特にその利用の点で改善された特性を有する新規な反応染料に対する要求が引き続き存在する。
【0003】
現在の染色においては、十分な直染性を有するとともに、定着していない染料を至極簡単に洗い流せる反応染料が要求される。目的が特に高い定着度を有する染色物を提供することなのでこれらは優れた染色率及び高い反応性もまた必要とされる。既知の染料はこれら全ての性能への要求を満足するものではない。
【0004】
ポリアミドにおける濃色の染色は、これまで、酸性染料を用いることによってのみ得られたが、このような染色は高温における湿気に対して堅牢でない。濃染であり同時に湿気に対して永久に堅牢な染色は反応染料用いることによってのみ得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、繊維材料の染色及び印刷のための、特に染料を合成ポリアミド繊維材料の染色に用いたときに、上述に特徴付けられる高度な品質を有する、新規な改善された反応染料を提供することにある。新規な染料は、高い定着率及び高い繊維−染料結合安定性によって識別される。該染料は、とりわけ、例えば光、湿気及び塩素に対する堅牢度などの、多方面に及ぶ優れた堅牢特性を有する染色が得られる。
【0006】
特に、とりわけ光沢の無い色調において、合成ポリアミドの微小繊維の染色に好適であり、そして、光及び湿気に対する高い堅牢性を有する染色を与える反応染料の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
下記に定義された新規な染料によって、提示された問題の大部分を解決することが見出された。
従って、本発明は、式
【0008】
【化1】

【0009】
[式中R1は水素原子又は非置換の又は置換された炭素原子数1乃至4のアルキル基を表
し、
(R2sはハロゲン原子、ニトロ基、非置換の又はハロ置換の炭素原子数1乃至4のアルキル基,炭素原子数2乃至4のアルカノイルアミノ基、炭素原子数1乃至4のアルキルスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基及びスルホ基の群からの、s個の同一又は異なる置換基を意味し、
Meはクロム原子、コバルト原子又は鉄原子を表し、
Eは下記式
【0010】
【化2】

【0011】
(式中Xは塩素原子又はフッ素原子を示す。)
で表される2価の基を表し、
Tは
【0012】
【化3】

【化4】

【0013】
で表される繊維反応性基を表し、
(R30-2は、ハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基及びスルホ基の群からの、0乃至2個の同一の又は異なる基を意味し、
Zはビニル基又は基−CH2−CH2−Uを表し、そしてUはアルカリ性条件下で脱離可能な基を表し、
Qは、基−CH(ハロゲン原子)−CH2−ハロゲン原子、又は基−C(ハロゲン原子)
=CH2を表し、
sは0、1、2又は3の数を表し、
qは0又は1の数を表し、
Aは下記式
【0014】
【化5】

【化6】

【0015】
(式中、R1、R2、X、T、m、n、q及びsは上記で定義された通りであり、
4及びR7は水素原子又は炭素原子数1乃至4のアルキル基を意味し、
5及びR6はそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、非置換の又はハロ置換の炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数2乃至4のアルカノイルアミノ基,炭素原子数1乃至4のアルキルスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基及びスルホ基の群からの、同一の又は異なる置換基を表し、
及びt及びuはそれぞれ独立して0、1、2又は3の数を表す。)
で表される2価の基を意味する。]で表される反応染料に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(2c)で表される基において、Meはメチル基及びEtはエチル基を表す。水素原子に加え、前記基は窒素原子上の置換基として好適である。
【0017】
1、R3、R4及びR7に関して考慮される炭素原子数1乃至4のアルキル基としては、それぞれその他のものとは独立して、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基又はイソブチル基、好ましくはメチル基又はエチル基及び特にはメチル基である。R1において、上記アルキル基は、非置換で
あるか又は例えば、ヒドロキシ基、スルホ基、スルファト基、シアノ基、カルボキシ基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、によって、又はフェニル基によって、好ましくはヒドロキシ基、スルファト基炭素原子数1乃至4のアルコキシ基によって、又はフェニル基で置換されている。R1のために、対応する非置換の基が好ましい。
【0018】
2、R5、R6、R7及びR8に関して考慮される炭素原子数1乃至4のアルキル基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基又はイソブチル基であり、好ましくはメチル基又はエチル基及び特にはメチル基である。前記アルキル基は非置換であるか又はハロゲン原子、例えばフッ素原子、塩素原子又は臭素原子、好ましくは、フッ素原子又は塩素原子によって一置
換又は複数置換されている。
【0019】
3に関して考慮される炭素原子数1乃至4のアルキル基としては、例えば、メトキシ
基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基又はイソブトキシ基、好ましくはメトキシ又はエトキシ基及び特にはメトキシ基である。
【0020】
2、R5、R6、R7及びR8に関して考慮されるハロゲン原子としては、それぞれその
他のものとは独立して、例えば、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であり、好ましくは塩素原子である。
2に関して考慮される炭素原子数2乃至4のアルキルアミノ基としては、例えばアセ
チルアミノ基又はプロピオニルアミノ基であり、好ましくはアセチルアミノ基である。
【0021】
2、R5、R6、R7及びR8に関して考慮される炭素原子数1乃至4のアルキルスルホ
ニル基としては、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基又はn−ブチルスルホニル基であり、好ましくはメチルスルホニル基であるか又はエチルスルホニル基である。
【0022】
カルバモイル基を表すR2、R5及びR6は、式−CONH2で表される基に対応する。
スルファモイル基を表すR2、R5及びR6は、式−SO2NH2で表される基に対応する

1は好ましくは水素原子である。
【0023】
好ましくは、(R2sは、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数2乃至4のアルキルアミノ基及びスルホ基、特にニトロ基及びスルホ基及びより特にはニトロ基の群からの、s個の同一又は異なる置換基を意味する。
【0024】
好ましくは、(R30-2は、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基及びスルホ基、特にメチル基、メトキシ基及びスルホ基の群からの、0乃至2個の同一又は異なる置換基を意味する。
【0025】
特に、好ましくは式(2c)は置換基R3を含有しない。
【0026】
Tは好ましくは、式(2c)、(2d)、(2e)又は(2f)、特に式(2c)又は(2d)、及びより特には式(2c)で表される基である。
【0027】
式(2f)で表される繊維反応性基におけるハロゲン原子(Hal)は好ましくは塩素原子又は臭素原子であり、特に臭素原子である。
【0028】
考慮される脱離基Uとしては、例えば、−Cl基、−Br基、−F基、−OSO3H基
、−SSO3H基、−OCO−CH3基、−OPO32基、−OCO−C65基、−OSO2−炭素原子数1乃至4のアルキル基又は−OSO2−N(炭素原子数1乃至4のアルキル基)2基を表す。好ましくは、Uは式−Cl基、−OSO3H基、−SSO3H基、−OC
O−CH3基、−OCO−C65基又は−OPO32基であり、特に−Cl基又は−OS
3H基である。
【0029】
好適なZ基の例は、従って、ビニル基、β−ブロモ−又はβ−クロロエチル基、β−アセトキシエチル基、β−ベンゾイルオキシエチル基、β−ホスファトエチル基、β−スルファトエチル基及びβ−チオスルファトエチル基である。Zは好ましくはビニル基、β−クロロエチル基またはβ−スルファトエチル基、及び、特にビニル基である。
【0030】
sは好ましくは1、2又は3の数を表し、特に1又は2の数及びより特には1の数を表す。
qは好ましくは0の数を表す。
rは好ましくは1の数を表す。
Meは好ましくはクロム原子を表す。
【0031】
Eは好ましくは式
【化7】

で表される2価の基であり、特に、式(1a1)で表される基である。
【0032】
式(2c)で表される基は、好ましくは式
【化8】

【化9】

(式中、Zは上記で与えれらた定義及び望ましい意味を有する)で表される基である。
【0033】
特に好ましくは、Tが式
【化10】

で表される繊維反応性基であるところの、式(1)で表される反応染料である。
さらに好ましい反応染料は、sが1の数であり、そしてR2がニトロ基又はスルホ基を
表す、式(1)で表される化合物である。
【0034】
Aは好ましくは式
【化11】

で表される2価の基を表す。
【0035】
更に、Aが式
【化12】

で表される2価の基である、式(1)で表される反応染料が好ましい。
【0036】
本発明の更なる好ましい態様において、Aは式
【化13】

で表される2価の基である。
【0037】
更に好ましい反応染料は、Aが式
【化14】

で表される2価の基である、式(1)で表される化合物である。
【0038】
Eが式(1a)で表される基である式(1)で表される染料は、
(i)適当なクロム、コバルト又は鉄化合物を用いて式

【化15】

で表される化合物から、式
【化16】

で表される1:2金属錯体製造すること、及び
(ii)第一縮合工程において、(i)で得られた式(6)で表される1:2金属錯体染料を式
【化17】

で表されるハロゲン化シアヌルとともに縮合すること、及び
(iii)第二縮合工程において、(ii)で得られた式
【化18】

で表される一次縮合生成物を、式
【化19】

で表される化合物と共に縮合すること、又は
(iv)(i)で得られた式(6)で表される1:2金属錯体染料を式
【化20】

で表される化合物と共に縮合すること(式中、R1、R2、Me、X、T、A、m、n、r、s及びqはそれぞれ請求項1中で与えられた定義を有する)、によって製造される。
【0039】
式(6)で表される好適なハロゲン化シアヌルは、塩化シアヌルである。
【0040】
式(10)で表される化合物は、公知であるか又は公知の工程との類似、例えば、式(6)で表されるハロゲン化シアヌルを、Tが上で与えられる定義及び好ましい意味を有する式(9)で表される化合物とともに縮合することにより製造され得る。
【0041】
式(6)で表される1:2クロム錯体染料は公知の化合物であり、又は公知の化合物と同様に、例えば式
【化21】

で表される1:1クロム錯体化合物を、式(5)で表されるアゾ化合物(式中、A、R1
、(R2s、m、n、r、s及びqはそれぞれ前述の定義及び好ましい意味を有する。)と反応させることによって得られる。
【0042】
式(11)で表される1:1クロム錯体化合物と式(5)で表されるアゾ化合物との反応は、例えば40乃至130℃、特に70乃至100℃の温度で、例えば8乃至14のpH値、特に10乃至13のpH値で、例えば水性媒体中で実施される。該反応は鉱酸中和性又はアルカリ性媒体の存在下、例えばアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属酢酸塩又はアルカリ金属水酸化物の存在下で、より有利に実施され、好ましいアルカリ金属はナトリウムである。
【0043】
Aが対称な基ではない場合、(i)の手順で製造された式(6)で表される1:2金属錯体は、通常2種の配位異性体を含む。
本発明との関連で、例えば式(1)、(6)及び(8)で表される形態で開示された金属錯体に加え、本開示は、対応する配位異性体もまた含むとされるべきである。
【0044】
式(4)、(5)、(9)及び(11)で表される化合物は、公知であり、又は公知の方法と同様の方法で得られる。
例えば式(11)で表される1:1クロム錯体化合物は、例えば水性媒体中で、所望により加圧下で、例えば90乃至130℃の温度でクロム塩との反応が実施される、慣用のクロム化プロセスにより得られる。好適なクロム塩は、例えば、酢酸クロム(III)、硝酸クロム(III)、塩化クロム(III)、サリチル酸クロム(III)及び硫酸クロム(III)である。
【0045】
式(4)及び(5)で表される化合物は、慣用のジアゾ化及びカップリング反応により得られる。ジアゾ化は一般に、鉱酸水溶液中で、例えば0乃至20℃の低温にて、亜硝酸の反応により実施され、カップリングは例えば8乃至12のアルカリpH値にて有利に実施される。
【0046】
式(4)及び(5)で表されるアゾ化合物の1:2コバルト又は鉄錯体染料は公知であるか又は公知の方法と同様の方法で得られる。
【0047】
1:2クロム又は1:2コバルト錯体染料は、例えば、英国特許出願公開第716753号明細書、英国特許第719274号明細書、英国特許第745641号明細書、及び英国特許出願公開第851861号明細書中に記載された方法と同様に得られる。1:2鉄錯体染料は、例えば米国特許第5376151号明細書中に記載された方法と同様に得られる。
【0048】
縮合反応は、それ自体知られた、通常、例えば0乃至50℃の温度で、例えば2乃至10のpH値にて、水溶液中で実施される。
【0049】
(ii)による、式(6)で表される1:2金属錯体染料と式(7)で表されるハロゲン化シアヌルとの縮合は、好ましくは0乃至5℃の温度で、3乃至6のpH値で実施される。(iii)による、式(8)で表される一次縮合生成物と式(9)で表される化合物との縮合は、好ましくは0乃至30℃の温度で、4乃至7のpH値で実施される。(iv)による、式(5)で表される1:2金属錯体染料と式(10)で表される化合物との縮合は、好ましくは20乃至50℃の温度で、4乃至6のpH値で実施される。
【0050】
最終生成物は、所望により、加えて転換反応を受ける。そのような転換反応は、例えば、β−スルファトエチルスルホニル又はβ−クロロエチルスルホニル基のビニルスルホニル基への転換、又は、α,β−ジハロプロピオニルアミノ基のα−ハロアクリロイルアミノ基への変換などの、ビニル化可能な反応基T(Z又はQ)の希釈水酸化ナトリウム溶液での処理によるビニル形態への変換である。前記反応はそれ自体公知である。該転換反応は一般に、中性乃至アルカリ媒体中で、例えば20乃至70℃の温度で、例えば6乃至14のpH値で行われる。
【0051】
Eが式(1b)又は(1c)で表される基である式(1)で表される反応染料は、同様の方法で製造される。
【0052】
式(1)で表される反応染料は、それぞれ遊離したスルホン酸の形態、又は、好ましくは、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム又はアンモニウム塩、又は、例えばトリエ
タノールアンモニウム塩などの有機アミンの塩などの、それらの塩の形態であるスルホ基を含有する。
【0053】
式(1)で表される反応染料は、所望により、例えば塩化ナトリウム又はデキストリンなどの更なる添加剤を含み得る。
【0054】
本発明の式(1)で表される反応染料は、所望により、さらに、例えば取り扱い性の改善や保存性を向上させる、例えば、緩衝剤、分散剤又はアンチダスト(抗粉塵)剤などの補助剤を加えても良い。そのような補助剤は当業者に既知である
【0055】
本発明の式(1)で表される反応染料は、例えば、ヒドロキシ基含有又は窒素原子含有の繊維材料の染色又は印刷のために好適である。言及され得る例としては、絹、羊毛、あらゆる種類のセルロース繊維材料、及びポリウレタン、そしてポリアミド繊維である。セルロース繊維材料は、例えば、木綿、麻及びヘンプなどの天然セルロース繊維、並びに、また、セルロース及び再生されたセルロースである。本発明の反応染料は、例えば木綿とポリエステル繊維又はポリアミド繊維の混紡などの混紡布に存在するヒドロキシ基含有繊維の染色又は印刷にも好適でもある。
【0056】
天然又は合成ポリアミド繊維材料、特に、例えば
ポリアミド6(ポリ−ε−カプロラクタム)、ポリアミド6,6(ポリヘキサメチレンアジピン酸アミド)、ポリアミド7、ポリアミド6,12(ポリヘキサメチレンドデカン酸アミド)、ポリアミド11又はポリアミド12、ポリアミド6,6又はポリアミド6との共重合ポリアミド、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ε−カプロラクタムおよびアジピン酸のポリマー、アジピン酸、ヘキサメチレンジアミンおよびイソフタル酸のポリマーか、またはアジピン酸、ヘキサメチレンジアミンおよび2−メチルペンタメチレンジアミンもしくは2−エチルテトラメチレンジアミンのポリマーなどの合成ポリアミド繊維材料の染色又は印刷が好ましい。本発明の式(1)で表される反応染料は、更に、混紡繊維又は合成ポリアミド及び羊毛の糸の染色又は印刷に好適である。
【0057】
本発明の方法は、合成ポリアミドの微小繊維の染色又は印刷にも有利に好適である。微小繊維は、個々の撚り糸が1デニール(1.1dtex)未満の繊度を有する糸から形成される繊維材料を意味すると解される。このような微小繊維は公知であり、そして通常、溶融紡績により製造される。
【0058】
前記織物材料は、非常に広い範囲の加工形態、例えば繊維、糸、織布、又は編布及びカーペットの形態を取り得る。
【0059】
式(1)で表される反応染料は、慣用の染色及び印刷法に従った染色又は印刷に使用し得る。染色液体又は印刷ペーストは、水及び該染料を含むことに加えて、例えば、湿潤剤、消泡剤、均染剤、又は織物材料の特性に影響する物質、例えば柔軟剤、防炎加工のための添加剤、又は防汚、撥水及び撥油剤、更に硬水軟化剤及び、アルギン酸塩及びセルロースエーテルなどの天然又は合成の増粘剤などの、更なる添加剤を含み得る。
【0060】
織カーペット材料の場合、移動印刷(displacement printing)又は空間染色などの印刷方法が重要である。
【0061】
好ましくは、特に排出法で染色が実施され、カーペットの染色の場合、連続法でも実施可能である。
【0062】
染色は、好ましくはpH値2乃至7、特に2.5乃至5.5、より特には3乃至4.5
で実施される。液体比は例えば1:5乃至1:50、好ましくは1:5乃至1:30の広い範囲から選択され得る。染色は、好ましくは、80乃至130℃の温度、特に85乃至120℃の温度で実施される。
【0063】
式(1)で表される反応染料は、良好な総合的特性、例えば、塩素、摩擦、湿気、濡れ摩擦、洗浄、水、海水及び汗に対する優れた堅牢性、及び、光に対する優れた堅牢性を有する均整な染色をもたらす。それらはまた、均一染色構築能、優れた親和力、高い反応性、優れた定着能及び非常に優れた強化能によって区別される。本発明の染料は、優れた水溶解性を有し、他の染料と容易に組み合わさる。
【0064】
本発明の式(1)で表される染料は、記録システムでの使用のための着色剤としてもまた好適である。そのような記録システムは、例えば、紙若しくは織物への印刷に用いるための、商業的に入手できるインクジェット印刷装置、又は筆記用具、例えば万年筆又はボールペン、特にインクジェット印刷装置である。それらの目的のために、本発明の染料は第一に、記録システムでの使用のために好適な形態にさせられる。好適な形態は、例えば、着色剤として本発明の染料を含む水性インクである。該インクは、所望量の水中で各成分を一緒に混合することによる、慣用の方法により製造され得る。
【0065】
基材として、上述のヒドロキシ基含有又は窒素原子含有繊維材料、特に天然又は合成ポリアミド繊維材料が考慮される。繊維材料は、特に織物用繊維材料である。
【0066】
紙及びプラスチックフィルムもまた基材として考慮される。
【0067】
本発明のインクを使用してプリントすることができる紙の例は、市販のインクジェット紙、写真紙、光沢紙及びプラスチックコーティング紙、たとえばエプソンインクジェット紙、エプソン写真紙、エプソン光沢紙、エプソン光沢フィルム、HP特殊インクジェット紙、エンキャド写真光沢紙及びイルフォード写真紙を含む。プラスチックフィルムは、たとえば透明又は乳白/不透明である。適当なプラスチックフィルムは、たとえば3M透明フィルムである。
【0068】
用途、例えば織物の印刷又は紙の印刷、の性質に依り、例えば粘度、又はインクの他の物理的特性、特に問題の支持体の親和性に影響を与える特性をそれに応じて調整することが必要であり得る。
【0069】
水性インク中で使用される染料は、好ましくは低い塩含有量であるべきである、すなわち、染料の質量に基づいて0.5質量%より少ない総塩含有量でなくてはならない。製造の結果及び/又はそれに続く希釈剤の添加の結果として、比較的高い塩含有量を有する染料は、例えば膜分離の手段、限外ろ過、逆浸透法又は透析法など、により脱塩され得る。
【0070】
インクは好ましくは、インクの総質量に基づき、1乃至35質量%、特に1乃至30質量%、好ましくは1乃至20質量%の総染料含量を有する。
この場合好ましい下限は1.5質量%、好ましくは2質量%及び特に3質量%である
【0071】
該インクは、通常、インクの総質量を基準として2乃至30質量%、特に5乃至30質量%、好ましくは10乃至25質量%の量にて、水混和性有機溶媒、例えば炭素原子数1乃至4のアルコール類(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール又はイソブタノールなど);アミド類(例えばジメチルホルミアミド又はジメチルアセトアミドなど);ケトン又はケトンアルコール類(例えばアセトン又はジアセトンアルコールなど);エーテル類(例えばテトラヒドロフラン又はジオキサンなど);含窒素複素環化合物類(例えばN−メチル
−2−ピロリドン又は1,3−ジメチル−2−イミダゾリドンなど);ポリアルキレングリコール類(例えばポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールなど);炭素原子数2乃至6のアルキレングリコール類及びチオグリコール類(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール及びジエチレングリコールなど);他のポリオール類(例えばグリセロール又は1,2,6−ヘキサントリオールなど);多価アルコールの炭素原子数1乃至4のアルキルエーテル類(例えば2−メトキシ−エタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシ]エタノール又は2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エタノールなど)を、好ましくはN−メチル−2−ピロリドン、ジエチレングリコール、グリセロール又は特に1,2−プロピレングリコールを含み得る。
【0072】
加えて、該インクは、例えばε−カプロラクタム等の可溶化剤もまた含み得る。
【0073】
該インクは、特に粘度を調整する目的で、天然又は合成由来の増粘剤を含み得る。
【0074】
言及され得る増粘剤の例としては、市販のアルギン酸塩増粘剤、スターチエーテル類又はローカストビーン粉エーテル類、特にアルギン酸ナトリウム単独、或いはメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの変性セルロースとの、特に、好ましくは20乃至25質量%のカルボキシメチルセルロースとの混合剤が挙げられる。言及され得る合成増粘剤は、例えばポリ(メタ)アクリル酸類又はポリ(メタ)アクリルアミド類及びポリアルキレングリコール類、例えば2000乃至20000の分子量を有するもの、例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール又はエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの混合ポリアルキレングリコール類をベースとするものである。
【0075】
該インクは、このような増粘剤を、例えばインクの総質量に基づき0.01乃至2質量%、特に0.01乃至1%及び好ましくは0.01乃至0.5質量%の量で含む。
【0076】
該インクは、緩衝物質、例えばホウ砂、ホウ酸塩、リン酸塩、ポリリン酸塩又はクエン酸塩などもまた含み得る。言及され得る例としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム及びクエン酸ナトリウムが挙げられる。これらは、例えば4乃至9、特に5乃至8.5のpH値を確立するために、インクの総質量に基づき、特に0.1乃至3質量%、好ましくは0.1乃至1質量%の量にて使用される。
【0077】
更なる添加剤として、該インクは、界面活性剤又は保湿剤を含み得る。
【0078】
好適な界面活性剤としては、市販のアニオン性又は非イオン性の界面活性剤が含まれる。本発明のインクの保湿剤としては、例えば尿素又は乳酸ナトリウム(50乃至60%水溶液の形態が有利である)とグリセロール及び/又はプロピレングリコールの好ましくは0.1乃至30質量%、特に2乃至30質量%との混合物が考慮される。
【0079】
好ましくは、インクは1乃至40mPa・s、特に1乃至20mPa・s、より特には1乃至10mPa・sの粘度を有する。
【0080】
また、該インクは、慣用の添加剤、例えば消泡剤又は特に真菌及び/又は細菌の成長を防ぐ防腐剤も含み得る。このような添加剤は、通常、インクの総質量に基づいて、0.01乃至1重量%の量で使用される。
【0081】
防腐剤として、ホルムアルデヒド生成剤、例えばパラホルムアルデヒド及びトリオキサン、特に、約30乃至40質量%の水性ホルムアルデヒド水溶液、例えば2−(4−チアゾリル)ベンズイミアゾールなどのイミダゾール化合物、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン又は2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オンなどのチアゾール化合物、ヨウ素化合物、ニトリル、フェノール、ハロアルキルチオ化合物又はピリジン誘導体、特に1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン又は2−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オンが考慮される。好適な防腐剤は、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンの20質量%ジプロピレングリコール溶液(Proxel(登録商標)GXL)である。
【0082】
該インクは、例えば、インクの総質量を基準として、例えば0.01乃至1質量%量の、ポリエトキシパーフルオロアルコール(Forafac(登録商標)又はZonyl(登録商標)製品)などのフッ素化ポリマー又はテロマーなどのさらなる添加剤をも含み得る。
【0083】
インクジェット印刷法の場合、ノズルから制御された方法で基材上に個々のインクの液滴が噴霧される。その目的に使用されるのは、たいてい連続インクジェット法及びドロップ・オン・デマンド法である。連続インクジェット法において、液滴は連続的に生成され、印刷工程に不要な液滴は容器内への放出され、再利用される。一方、ドロップ・オン・デマンド法においては、液滴は要求時に生成され、印刷に使用される;すなわち、液滴は印刷操作に要求されたときにのみ生成される。液滴の生成は、例えば圧電インクジェットヘッドの使用、又は熱エネルギー(バブルジェット(登録商標))によって影響を受ける。圧電インクジェットヘッドの使用による印刷及び連続インクジェット法による印刷が好ましい。
【0084】
本発明は、従って、本発明の式(1)で表される染料を含む水性インク、並びに、インクジェット印刷法における様々な基材、特に織物用繊維材料の印刷のための該インクの使用に関し、上述の定義及び好ましいものが染料、インク及び基材に適用される。
【0085】
以下の実施例は本発明を説明するために用いられる。他に記載がない限り、温度は摂氏温度であり、部は質量部であり、パーセントデータは質量パーセントである。質量部は、リットルに対するキログラムのように、体積部に対して同じ関係を有する
【実施例】
【0086】
実施例1
(a)遊離酸の形態の式
【化22】

に相当する化合物26.4部を、100部の水にかき混ぜながら加えた。約50部の氷を添加することによりスラリーを0℃に冷却し、水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH4に調節し、氷で冷却することにより温度を0℃に維持した。得られた溶液を、20部の水、約80部の氷、及び0.2部のNa2HPO4・12H2O中の18.2部塩化シアヌル
のスラリーにゆっくりと供給し、水酸化ナトリウム水溶液を添加することによりpHを3に維持し、そして、氷を添加することにより温度を0℃に維持した。ここに示す通り遊離酸の形態で、式
【化23】

で表される化合物を含む懸濁液を得た。
【0087】
(b)遊離酸の形態の式
【化24】

に相当する42部の化合物を550部の水、15部の蟻酸及び6.8部の酢酸クロム(III)でスラリーにし、100乃至105℃の温度にてオートクレーブ中で20時間加熱した。その圧力は約3barであった。室温まで冷却した後、沈殿生成物を濾過し水で洗いそして50℃の温度にて真空中で乾燥させた。遊離酸の形態で、式
【化25】

に相当する1:1錯体化合物を得た。
【0088】
(c)遊離酸の形態で、式
【化26】

に相当し、そしてジアゾ化された4−ニトロ−2−アミノフェノール及び2−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸から慣用的な手順に従い製造されたモノアゾ染料38.8部を、600部の水中の、(b)に従い得られた47部のクロム錯体と均質になるまで撹拌し、70℃まで加熱した。pHの値は8.0乃至8.5に定め、2Nの水酸化ナトリウム溶液を添加することにより維持した。その後、上記温度にて、結果として生じる透明な溶液中で、2つの出発化合物のどちらも検出できなくなるまで撹拌を実施した。遊離酸の形態で、式
【化27】

に相当する配位異性体化合物を得た。
【0089】
(d)前記透明な溶液を50℃に冷却し、塩酸を添加することにより、pHを約5の値に調節し、そして、(a)に従い得られた懸濁液をゆっくりと添加し、水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、pHを5の値に維持した。反応を完全にするために、撹拌を更に2時間実施し、そして、pH6乃至7での透析によって該溶液から塩を除き、そして、乾燥するまで蒸発により濃縮させた。遊離酸の形態で、式
【化28】

で表される化合物及びその配位異性体(λmax=544nm)に相当する染料であり、ア
ミノ基含有繊維において、非常に良好な総合的な堅牢特性を有する、臙脂の色合いの染色物又は印刷物をもたらす染料を得た。
【0090】
実施例2
実施例1の染料の水溶液を水酸化ナトリウムで室温にてpH値11にて2時間処理した。得られた溶液を透析によって脱塩し、蒸発によって濃縮した。遊離酸の形態で、式
【化29】

で表される化合物及びその配位異性体(λmax=550nm)に相当する染料を得た。式
(102)で表される染料は、特に欧州特許出願第1687478号に記載された染色方法を用いた際に、事後定着なしですら、アミノ基含有繊維を非常に良好な永久的な湿潤−堅牢特性を有する臙脂の色合いで染色する。
【0091】
実施例3乃至9:

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

で表される染料、そして対応するアクリル化及びビニル化の形態は、実施例1及び2で記載された方法(式の形態で開示された式(103)乃至(109)で表される染料に加え、該開示は対応する配位異性体をも含むものとしてみなされるべきである)と同様の方法で得られ得る。
【0092】
染色手順1:
ポリアミド6,6繊維材料(ヘレンカ トリコット)10部を、酢酸を用いてpH3に調整した水性液体500部中で染色した。実施例2の染料の割合は、繊維の質量に基づいて2%であった。温度98℃における染色時間は30乃至90分であった。染色された繊維材料は、移され、水ですすがれ、pH10乃至11.5、70乃至90℃における20乃至30分間のソーダ洗浄において、定着していない染料を除去した。再び水を用いた洗浄した後、酢酸浴中でpH4に酸性化し、繊維材料を乾燥させた。卓越した光−及び湿潤−堅牢特性を有する臙脂色染色物を得た。
【0093】
染色手順2:
ポリアミド微小繊維72%及びエラスタン28%からなる混紡繊維70gを、蟻酸3g、湿潤剤0.4g、均染剤0.7gを含む1.5リットルの液体で、10分間40℃にて、染色装置中で処理した。液体のpHを2.9とし、ごく少量の水に予め溶解した実施例2の染料3.8gを加えた。染色する材料を、染色液体中で、40℃で5分間処理し、100℃に加熱し、その温度で20分間染色した。塩化カルシウム14gを続いて加え、40分間染色を実施した。染色後、材料を1,6−ヘキサメチレンジアミン2gを含む後処理浴1.5リットルを用いて、70乃至90℃の温度で20分間処理した。材料を慣用の方法ですすぎ、仕上げた。非常に優れた堅牢特性を有する深い均整な染色物が得られた(AATCC 16Eに従う洗浄堅牢性:符号(note)5)。
【0094】
さらに堅牢特性を改善するため、慣用の後定着工程又はアルカリ後処理が追加可能である。アルカリ後処理のため、ソーダ2g/lを含み、pH9.2である新しい浴中で、60乃至80℃で20分間、染色物を処理した。
【0095】
染色手順3:
染浴1000部当たり、実施例2の染料3部及び市販の増粘剤1部、非イオン性湿潤剤1部、並びに染浴のpHを5.0にするのに必要なクエン酸適量を含む染浴を、ポリアミド6,6の織カーペット材料の連続染色に用いた。織カーペット材料を次に100℃で5分間、蒸気中で定着させ、慣用の方法で洗浄及び乾燥させた。織カーペット材料は、優れた堅牢特性を有する均一の臙脂色染色が際立っていた。
【0096】
染色手順4:
水100部に対して実施例2の染料1.6部、硫酸ナトリウム0.5部並びに酢酸ナトリウム2部を含み、酢酸(80%)を用いてpH値4.5に調整された染浴中にて、羊毛毛糸10部を30℃で撹拌した。液体を45分間かけて沸騰させ、さらに45乃至70分間沸騰温度にて維持した。染色材料を取り除き、冷水にて徹底的にすすぎ、乾燥させた。非常に優れた堅牢特性を有する臙脂色染色物が得られた。
【0097】
印刷手順I
(a)マーセル法処理された木綿サテン地を、炭酸ナトリウム30g/l及び尿素50g/l(70%液体ピックアップ)を含む液体でパッド染色し、乾燥させた。
(b)ドロップ・オン・デマンドインクジェットヘッド(バブルジェット(登録商標))を用いて、工程(a)で前処理された木綿サテン地を
−実施例2の式(102)で表される反応染料 15質量%
−1,2−プロピレングリコール 15質量%、及び
−水 70質量%
を含む水性インクで印刷した。印刷物を完全に乾燥し、飽和蒸気中で8分間102℃で定着させ、冷却すすぎし、沸騰下で洗浄し、再度すすいで乾燥させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

[式中R1は水素原子又は非置換の又は置換された炭素原子数1乃至4のアルキル基を表
し、
(R2sは、ハロゲン原子、ニトロ基、非置換の又はハロ置換の炭素原子数1乃至4のアルキル基,炭素原子数2乃至4のアルカノイルアミノ基、炭素原子数1乃至4のアルキルスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基及びスルホ基の群からの、s個の同一又は異なる置換基を意味し、
Meはクロム原子、コバルト原子又は鉄原子を表し、
Eは式
【化2】

(式中Xは塩素原子又はフッ素原子を示す。)
で表される2価の基を表し、
Tは式
【化3】

【化4】

で表される繊維反応性基を表し、
(R30-2はハロゲン原子、炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基及びスルホ基の群からの、0乃至2個の同一の又は異なる基を意味し、
Zはビニル基又は基−CH2−CH2−Uを表し、そしてUはアルカリ性条件下で脱離可能な基を表し、
Qは、基 −CH(ハロゲン原子)−CH2−ハロゲン原子、又は基 −C(ハロゲン原子
)=CH2を表し、
sは0、1、2又は3の数を表し、
qは0又は1の数を表し、
Aは式
【化5】

【化6】

(式中、R1、R2、X、T、m、n、q及びsは上記で定義された通りであり、
4及びR7は水素原子又は炭素原子数1乃至4のアルキル基を意味し、
5及びR6はそれぞれ独立して、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、非置換の又はハロ置換の炭素原子数1乃至4のアルキル基、炭素原子数1乃至4のアルコキシ基、炭素原子数2乃至4のアルカノイルアミノ基,炭素原子数1乃至4のアルキルスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル基及びスルホ基の群からの、同一の又は異なる置換基を表し、
及びt及びuはそれぞれ独立して0、1、2又は3の数を表す。)
で表される2価の基を意味する。]で表される反応染料。
【請求項2】
1が水素原子を表す、請求項1記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項3】
Zがビニル基、β−クロロエチル基又はβ−スルファトエチル基である、請求項1又は請求項2に記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項4】
Tが、式
【化7】

で表される繊維反応性基である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項5】
qが0の数を表す、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項6】
sが1の数を表し、R2がニトロ基又はスルホ基を意味する、請求項1乃至5のいずれか
に1項に記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項7】
Aが式
【化8】

で表される2価の基を意味する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項8】
Aが式
【化9】

で表される2価の基を意味する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項9】
Aが式
【化10】

で表される2価の基を意味する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項10】
Aが式
【化11】

で表される2価の基を意味する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の式(1)で表される反応染料。
【請求項11】
Eが式(1a)で表される基を表す、請求項1に記載の式(1)で表される反応染料の製造方法において、
(i)適当なクロム化合物、コバルト化合物又は鉄化合物を用いて、式
【化12】

で表される化合物から、式
【化13】

で表される1:2金属錯体染料を製造する工程、及び
(ii)第一縮合工程において、(i)で得られた式(6)で表される1:2金属錯体染料を式
【化14】

で表されるハロゲン化シアヌルと共に縮合すること、及び
(iii)第二縮合工程において、(ii)で得られた式
【化15】

で表される一次縮合生成物を、式
【化16】

で表される化合物と共に縮合すること、又は
(iv)(i)で得られた式(6)で表される1:2金属錯体染料を式
【化17】

で表される化合物と共に縮合することを含み、
1、R2、Me、X、T、A、m、n、r、s及びqはそれぞれ請求項1中で与えられた定義を有する、方法。
【請求項12】
ヒドロキシ基含有又は窒素原子含有繊維材料の染色又は印刷における、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の、又は請求項11に記載の方法によって製造された、反応染料の使用
【請求項13】
天然又は合成ポリアミド繊維材料、特に合成ポリアミド繊維材料が染色又は印刷される、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
式(1)で表される請求項1に記載の反応染料を含む水性インク。
【請求項15】
請求項14の水性インクを使用することを含む、インクジェット印刷法による、織物用繊維材料、紙又はプラスチックフィルムの印刷方法。

【公表番号】特表2012−515817(P2012−515817A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546735(P2011−546735)
【出願日】平成22年1月11日(2010.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050221
【国際公開番号】WO2010/084044
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(300052420)ハンツマン アドバンスト マテリアルズ (スイッツァランド) ゲーエムベーハー (26)
【氏名又は名称原語表記】HUNTSMAN ADVANCED MATERIALS (SWITZERLAND) GMBH
【Fターム(参考)】