説明

受け台及び包装装置

【課題】フィルムにおける溶断した部分のシール強度を高くする。
【解決手段】包装装置に設けられたシールユニット3を受けるための受け台40であって、シールユニット3は、フィルムを押える一対の押え部31と、フィルムを溶断又はヒートシールする溶断刃30又はヒートシールバーとを備え、受け台40は、各押え部31を受ける第1ブロックと、溶断刃30又はヒートシールバーを受ける第2ブロックとを備え、第1ブロックが、第2ブロックに比べて硬度が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムで製品を包装するための包装装置に用いられる受け台、及びこの受け台を備えた包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された包装装置は、熱収縮性フィルムで製品を包装するように構成されている。そして、包装装置は、L型のシールユニット(Lシーラ)と、シールユニットを受けるためのL型の受け台とを備える。シールユニットは、溶断刃を備え、加熱された溶断刃によって、フィルムを溶断する。更に、シールユニットは、溶断刃の両側に、一対のフィルム押え部を備える。
【0003】
従って、受け台は、シールユニットの溶断刃と押え部とを受けるように構成されている。受け台は、一般に、耐熱性ゴムからなり、ゴム硬度が高いと、溶断刃のフィルムに対する食い込み小さくなり、溶断され難い場合がある。また、ゴム硬度が低いと、押え部のフィルムに対するホールドが小さくなり、フィルムの張りが弱くなって溶断され難い場合がある。これにより、フィルムの種類に応じてゴム硬度を選定しても、フィルムにおける溶断した部分のシール強度が弱くなることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−32330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上記した問題点に鑑みて、フィルムのシール強度を高くできる受け台及び包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る受け台は、
フィルムで製品を包装するための包装装置に用いられ、包装装置に設けられたシールユニットを受けるための受け台であって、
シールユニットは、フィルムを押える一対の押え部と、フィルムを溶断又はヒートシールする溶断刃又はヒートシールバーとを備え、
受け台は、各押え部を受ける第1ブロックと、溶断刃又はヒートシールバーを受ける第2ブロックとを備え、第1ブロックが、第2ブロックに比べて硬度が高い。
【0007】
また、本発明に係る包装装置は、
フィルムで製品を包装するための包装装置であって、
フィルムをシールするためのシールユニットと、シールユニットを受けるための受け台とを備え、
シールユニットは、フィルムを押える一対の押え部と、フィルムを溶断又はヒートシールする溶断刃又はヒートシールバーとを備え、
受け台は、各押え部を受ける第1ブロックと、溶断刃又はヒートシールバーを受ける第2ブロックとを備え、第1ブロックが、第2ブロックに比べて硬度が高い。
【0008】
好ましくは、
受け台は、第1ブロックと第2ブロックとが、シールユニットに対向する面において、互いに連続した平坦面で構成されている。
【0009】
更に好ましくは、
受け台は、第1ブロックが、シールユニットに対向する面に凹部を備え、第2ブロックが、凹部に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、上記の通り、受け台が、第1ブロックと第2ブロックとからなる2ブロックで構成されており、第1ブロックが、第2ブロックに比べて硬度が高くなっている。即ち、第1ブロックは硬度が高く、第2ブロックは硬度が低く構成されている。これにより、シールユニットの押え部は、硬度の高い第1ブロックでフィルムを強くホールドして、フィルムをぴんと張った状態に維持でき、更に、シールユニットの溶断刃又はヒートシールバーは、硬度の低い第2ブロックでフィルムを食い込ませることができるので、フィルムにおけるシール部分の強度を非常に強くできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る包装装置を示し、(A)は上面図、(B)は側面図である。
【図2】包装装置の主要部を示す斜視図である。
【図3】包装装置によってフィルムで包装された製品を示す斜視図である。
【図4】シールユニットおよび受けユニットが開いた包装装置を示し、(A)は側面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図5】シールユニットおよび受けユニットが閉じた包装装置を示し、(A)は側面図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図6】受け台を示し、(A)は斜視図、(B)は正面図である。
【図7】受け台の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る受け台及び包装装置の実施形態について説明する。
【0013】
[全体構成]
包装装置の全体構成について説明する。
図1〜図3の通り、包装装置は、ヒートシール手段と、製品搬送手段と、駆動機構とを備え、製品搬送手段によって製品1を搬送して、製品1をフィルム2で包囲し、駆動機構によってヒートシール手段を駆動し、ヒートシール手段によってフィルム2をヒートシールし、フィルム2によって製品1を包装する。
【0014】
製品搬送手段は、製品1をフィルム2で包囲するためにヒートシール位置に搬送する。製品搬送手段は、製品搬送コンベア5からなる。図2の通り、製品搬送コンベア5は、電気モータ等(不図示)によって駆動されて、製品1をフィルム2で包囲してヒートシール位置に搬送する。
【0015】
ヒートシール手段は、ヒートシール位置に配置される。ヒートシール手段は、互いに対向配置されたL型のシールユニット3及び受けユニット4からなる。シールユニット3は、後述するが、溶断刃30等を有する。また、受けユニット4は、後述するが、受け台40等を有する。そして、シールユニット3及び受けユニット4は、共通の軸部SPを中心として揺動可能になっている。
【0016】
駆動機構は、ヒートシール手段を駆動する。駆動機構は、電気モータ13と、駆動アーム14と、伝達手段15と、中間揺動部材16と、第1リンク17と、第2リンク18と、第3リンク19とからなる。駆動アーム14は、揺動可能である。伝達手段15は、チェーンからなり、電気モータ13と駆動アーム14を連結する。電気モータ13によってチェーン15が駆動されることにより、駆動アーム14が揺動する。チェーン15の代わりに、例えば伝達ベルト、伝達リンク等を使用してもよい。
【0017】
第1リンク17は、シールユニット3と中間揺動部材16とを連結する。第1リンク17の一端はシールユニット3に軸支され、他端は第1アーム16aに軸支されている。第2リンク18は、受けユニット4と中間揺動部材16とを連結する。第2リンク18の一端は受けユニット4に軸支され、他端は第2アーム16bに軸支されている。第3リンク19は、駆動アーム14と中間揺動部材16とを連結する。第3リンク19の一端は駆動アーム14に軸支され、他端は第3アーム16cに軸支されている。ここで、本実施例では、電気モータ13はブレーキ付きギヤードモータからなる。ブレーキ付きギヤードモータは、駆動アーム14が一定角度揺動したときに動作停止する。
【0018】
包装装置は、さらにフィルムを供給するためのフィルム供給源を備える。フィルム供給源は、図2の通り、フィルムロール6からなり、フィルム2が長手方向に設けられた折り目2aに沿って2つ折りにした状態で巻き付けられており、その状態でフィルム2を供給するようになっている。
【0019】
包装装置は、フィルム案内手段を有する。フィルム案内手段は、製品1の搬送面1aの両側(上下側)に設けられて互いに平行に対向配置されている。図2の通り、フィルム案内手段は、一対の直角三角形板7,7からなり、各直角三角形板7,7の斜辺7aが、製品1の搬送方向に対して45度の角度をなす。
【0020】
直角三角形板7は、製品1の搬送に伴い、フィルムロール6から2つ折りのフィルム2の供給を受け、斜辺7aを通じて、2つ折りのフィルム2を案内して方向転換および反転させ、製品1を2つ折りのフィルム2で包囲するようになっている。
【0021】
[動作説明]
次に、包装装置の動作について説明する。
まず、製品1が、製品搬送コンベア5によって、一対の直角三角形板7,7の間に搬送され、ヒートシール位置に搬送される。製品1の搬送に伴い、フィルムロール6から2つ折りのフィルム2が供給され、直角三角形板7の斜辺7aによって2つ折りのフィルム2が方向転換および反転されて、反転した2つ折りのフィルム2に製品1が包囲される。
【0022】
製品1がヒートシール位置に搬送されるとき、シールユニット3及び受けユニット4は互いに開いている。製品1の搬送後、駆動手段の第1リンク17がシールユニット3を駆動し、駆動手段の第2リンク18が受けユニット4を駆動して、シールユニット3及び受けユニット4が互いに閉じる。この結果、2つ折りのフィルム2は、シールユニット3及び受けユニット4に挟まれて溶断され、製品1がフィルム2に包装される(図3参照)。
【0023】
[ヒートシール手段]
次に、ヒートシール手段について説明する。
上記の通り、ヒートシール手段は、互いに対向配置されたL型のシールユニット3および受けユニット4を備える。尚、ヒートシール手段は、筒形のフィルムを横断して溶断するI型等であってもよい。
【0024】
図4及び図5の通り、シールユニット3は、溶断刃30、押え部31、フレーム32、バネ部33を備える。L型のフレーム32は、軸部SPに軸支されている。そして、図4(B)及び図5(B)の通り、シールユニット3は、フレーム32の両側に、一対の押えプレート(押え部)31,31を備える。各押え部31,31は、上部の連結部31aによって連結されている。従って、フレーム32と押え部31とは、互いに移動自在になっている。
【0025】
シールユニット3は、フレーム32の上方で固定された固定フレーム32aを備える。シールユニット3は、上下に延設する複数の圧縮バネ部33を備え、バネ部33の上端は固定フレーム32aに連結され、下端は押え部31の連結部31aに連結されている。従って、バネ部33は、固定フレーム32aと押え部31とを付勢する。
【0026】
更に、シールユニット3は、フレーム32に固定されたL型の溶断刃30を備える。溶断刃30は、ヒーター30aによって加熱される。従って、溶断刃30は、フレーム32と一体に動作する。そして、溶断刃30は、各押え部31,31の間に配置される。
【0027】
また、図4及び図5の通り、受けユニット4は、受け台40及びフレーム41を備える。L型のフレーム41は、軸部SPに軸支されている。そして、図4(B)及び図5(B)の通り、受けユニット4は、フレーム41の上部に受け台40が固定されている。受け台40は、溶断刃30及び押え部31の先端(下端)に対向して配置され、シールユニット3および受けユニット4が閉じるときに、溶断刃30及び押え部31の先端を受けるようになっている。
【0028】
図4の通り、シールユニット3と受けユニット4とが開いている状態では、溶断刃30の下端は、バネ部33の付勢によって、押え部32の下端よりも上方に位置する。
【0029】
そして、シールユニット3と受けユニット4とが閉じてくると、先ず、押え部31の下端が受け台40に当接し、続いて図5の通り、押え部31が受け台40に当接した状態で、バネ部33が圧縮されて、溶断刃30の下端が受け台40に当接する。これにより、フィルム2は、一対の押え部31,31の下端と受け台40とにホールドされて、その状態で、溶断刃30の下端と受け台40とで溶断される。
【0030】
ここで、図6の通り、受け台40は、第1ブロック40aと第2ブロック40bとからなる。受け台40は、一般に、耐熱性ゴム部材からなり、第1ブロック40aと第2ブロック40bとの硬度が異なる。第1ブロック40aは、幅方向Wの両側に配置され、一対の押え部31,31の下端を受ける。第2ブロック40bは、幅方向Wの中央に配置され、溶断刃30の下端を受ける。
【0031】
第1ブロック40aの硬度は、第2ブロック40bの硬度よりも高い。本実施形態では、第1ブロック40aはゴム硬度70°、第2ブロック40bはゴム硬度50°である。これにより、シールユニット3と受けユニット4とが閉じた際に、押え部31は、硬度の高い第1ブロック40aでフィルム2を強くホールドして、フィルム2をぴんと張った状態に維持でき、更に、溶断刃30は、硬度の低い第2ブロック40bでフィルム2を食い込ませることができる。これにより、フィルム2におけるシール部分の強度を非常に高くできる。
【0032】
本実施形態では、受け台40は、第1ブロック40aの幅方向Wの中央に凹部を備え、この凹部に第2ブロック40bを嵌め込んで構成される。そして、シールユニット3に対向する面(上面)が、第1ブロック40aと第2ブロック40bとで互いに連続した平坦面(面一)になっている。これにより、受け台40の加工性及び生産性に非常に優れる。尚、第2ブロック40bは、溶断刃30に対応して配置されているので、溶断刃30が中央位置より偏心しているときは、それに対応して、第2ブロック40bも偏心して配置される。
【0033】
[変形例]
図7(A)の通り、受け台40の変形例は、長尺なL型又はI型の別々の第1ブロック40a及び第2ブロック40bからなっており、第1ブロック40aの幅方向の両側に第2ブロック40bを一体化してなる。更にまた、図7(B)の通り、別の受け台40は、対向面(上面)において、第2ブロック40bが第1ブロック40aより窪んでいる。これにより、フィルム2の溶断性を向上して、シール部分の強度をより高くできる。
【0034】
また、本実施形態では、シールユニット3は、フィルム2を溶断するための溶断刃30を備えるが、フィルム2をヒートシールするためのヒートシールバーを備えても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 製品
1a 搬送面
2 フィルム
2a 折り目
3 シールユニット
30 溶断刃
30a ヒーター
31 押え部
32 フレーム
32a 固定フレーム
33 バネ部
4 受けユニット
40 受け台
40a 第1ブロック
40b 第2ブロック
41 フレーム
5 製品搬送コンベア
6 フィルムロール
7 直角三角形板
7a 斜辺
13 電気モータ
14 駆動アーム
15 チェーン
16 中間部材
17 第1リンク
18 第2リンク
19 第3リンク
SP 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムで製品を包装するための包装装置に用いられ、前記包装装置に設けられたシールユニットを受けるための受け台であって、
前記シールユニットは、前記フィルムを押える一対の押え部と、前記フィルムを溶断又はヒートシールする溶断刃又はヒートシールバーとを備え、
前記受け台は、前記各押え部を受ける第1ブロックと、前記溶断刃又はヒートシールバーを受ける第2ブロックとを備え、前記第1ブロックが、前記第2ブロックに比べて硬度が高いことを特徴とする受け台。
【請求項2】
前記第1ブロックと前記第2ブロックとが、前記シールユニットに対向する面において、互いに連続した平坦面で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の受け台。
【請求項3】
前記第1ブロックは、前記シールユニットに対向する面に凹部を備え、前記第2ブロックは、前記凹部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の受け台。
【請求項4】
フィルムで製品を包装するための包装装置であって、
前記フィルムをシールするためのシールユニットと、前記シールユニットを受けるための受け台とを備え、
前記シールユニットは、前記フィルムを押える一対の押え部と、前記フィルムを溶断又はヒートシールする溶断刃又はヒートシールバーとを備え、
前記受け台は、前記各押え部を受ける第1ブロックと、前記溶断刃又はヒートシールバーを受ける第2ブロックとを備え、前記第1ブロックが、前記第2ブロックに比べて硬度が高いことを特徴とする包装装置。
【請求項5】
前記受け台は、前記第1ブロックと前記第2ブロックとが、前記シールユニットに対向する面において、互いに連続した平坦面で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の包装装置。
【請求項6】
前記受け台は、前記第1ブロックが、前記シールユニットに対向する面に凹部を備え、前記第2ブロックが、前記凹部に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の包装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−116417(P2011−116417A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276160(P2009−276160)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000135025)株式会社ニッサンキコー (8)
【Fターム(参考)】