説明

受信機、無線基地局、故障検出方法及びプログラム

【課題】簡易的な構成で、サービスを中断することなくリアルタイムの故障検出が可能な無線基地局の受信機等を提供する。
【解決手段】アンテナで受信された電気信号は、低雑音増幅などのアナログ処理を施され、A/D変換されてFPGA100内の各キャリア信号処理部に入力される。キャリア信号受信用に設定したキャリア信号処理部(110等)は、RX設定処理回路104からの制御信号に基づいて、各キャリア周波数の信号をベースバンド信号に変換する。故障検出用に設定されたキャリア信号処理部は、空き周波数領域における熱雑音に起因する信号の平均電力をRSSI報告値として出力する。故障検出演算回路103は、切替スイッチ102を介して入力されたRSSI報告値に基づいて、受信機が故障しているかどうかを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障検出機能を有する受信機、無線基地局、故障検出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の無線通信端末から構成される無線通信システムにおいて、無線通信端末は、通信サービスエリア毎に配置された無線基地局と無線通信を行う。無線基地局に備えられた受信機は、無線通信端末からの無線信号を受信して、無線基地局内の復調器に受信信号を出力する機能を有する。
【0003】
この無線基地局の受信機は、低雑音増幅器、フィルタ、A/Dコンバータ等を有するが、これら回路の増幅率低下、減衰量増加等による故障が起こるため、故障の発生を監視する必要がある。
受信機の故障検出方法は、例えば、受信機に受信信号と共にパイロット信号も入力し、パイロット信号に基づく受信機出力の平均電力や復調後のBERの測定により行う手法がある(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし、この場合、パイロット信号発生器や、受信信号とパイロット信号を結合、分離するためのカプラ等が必要となり構成が複雑になるという問題がある。
【0005】
一方、受信機には受信信号を入力せずに、熱雑音のみに起因する受信機出力レベルの平均値を測定することにより故障を検出するという手法がある(例えば、特許文献2)。
【0006】
図5に熱雑音に起因する受信機出力レベルに基づいて故障検出を行う受信機の構成を示す。受信機50は、アンテナ20、低雑音増幅器51、RFフィルタ52、ミキサ53、IF増幅器54、IFフィルタ55、A/Dコンバータ56、FPGA500、検波器501、故障検出演算回路502から構成される。
【0007】
アンテナ20が無線信号を受信せず受信機50に入力がない場合には、熱雑音のみが低雑音増幅器51に入力される。そのときのA/Dコンバータ56出力の平均電力を検波器501が測定する。このA/Dコンバータ56出力の平均電力値をRSSI(Received Signal Strength Indication)報告値5006と呼ぶ。
【0008】
故障検出演算回路502は、RSSI報告値5006が、予め定めた基準レベルより低いレベルになった場合には、受信機50が故障したと判断する。
この基準レベルは、熱雑音のみが低雑音増幅器51に入力された時のA/Dコンバータ56出力を、受信機50の総合利得を考慮して算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−203550号公報
【特許文献2】特開2008−206185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、サービス中は無線通信端末からの無線信号をアンテナ20が受信しているため、A/Dコンバータ56出力は受信電力を含んでおり、熱雑音レベルを下回って検出されることはない。よって、サービス中は故障を検出することができない。
【0011】
これに対し、特許文献2に記載の受信機は、低雑音増幅器51の前にスイッチを設け、アンテナ20に接続するか入力を終端するか切り替え可能としており、故障検出をする際は、入力を終端するようにしている。
しかし、入力を終端している間は、受信信号入力を中断し、サービスを停止させることとなるため、サービス中のリアルタイムの故障検出ができない。
また、スイッチや、スイッチの駆動回路を追加しなければならず、構成が複雑化してしまう。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、簡易的な構成で、サービスを中断することなくリアルタイムの故障検出が可能な受信機等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る受信機は、
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理手段と、
前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータで変換されたデジタル信号を分配する分配手段と、
前記分配手段で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換する複数のベースバンド信号生成手段と、
前記複数のベースバンド信号生成手段の中から、前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用しない空きベースバンド信号生成手段を選択するとともに、前記ベースバンド信号生成手段で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出し、前記空きベースバンド信号生成手段で前記空き周波数帯域の信号を前記ベースバンド信号に変換したときの出力強度に基づいて前記アナログ信号処理手段の出力異常の故障を検出する故障検出手段と、
を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第2の観点に係る無線基地局は、
前記第1の観点に係る受信機を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第3の観点に係る故障検出方法は、
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部と、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記A/D変換ステップで変換されたデジタル信号を分配する分配部と、前記分配部で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換するベースバンド信号生成部を有する受信機において、
前記複数のベースバンド信号生成部のうちの一部のベースバンド信号生成部に対して、前記複数の前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域を設定するキャリア周波数帯域設定ステップと、
前記ベースバンド信号生成部で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出する空き周波数帯域検出ステップと、
前記複数のベースバンド信号生成部のうち前記キャリア周波数帯域設定ステップで設定されなかった空きベースバンド信号生成部に対して、前記空き周波数帯域検出ステップで検出された空き周波数帯域の少なくとも一部を設定する空き周波数帯域設定ステップと、
前記空きベースバンド信号生成部の出力強度に基づいて、前記アナログ信号処理部の出力異常の故障を検出する故障検出ステップと、
を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部と、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記A/D変換手順で変換されたデジタル信号を分配する分配部と、前記分配手順で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換するベースバンド信号生成部を有する受信機を制御するコンピュータに、
前記複数のベースバンド信号生成部のうちの一部のベースバンド信号生成部に対して、前記複数の前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域を設定するキャリア周波数帯域設定手順と、
前記ベースバンド信号生成部で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出する空き周波数帯域検出手順と、
前記複数のベースバンド信号生成部のうち前記キャリア周波数帯域設定手順で設定されなかった空きベースバンド信号生成部に対して、前記空き周波数帯域検出手順で検出された空き周波数帯域の少なくとも一部を設定する空き周波数帯域設定手順と、
前記空きベースバンド信号生成部の出力強度に基づいて、前記アナログ信号処理部の出力異常の故障を検出する故障検出手順と、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡易的な構成で、サービスを中断することなくリアルタイムの故障検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る無線基地局の構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線基地局の受信機の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る受信機のFPGAの内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る受信周波数領域における周波数配置を説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係るキャリア設定処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るキャリア設定処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るキャリア設定処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るキャリア設定処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係るキャリア設定処理におけるフラグ設定値を表した表を示す図である。
【図10】kTB値、kTBFG値を表した表を示す図である。
【図11】受信機におけるレベルダイヤを説明するための図である。
【図12】本発明の実施形態2に係る受信周波数領域における周波数配置を説明するための図である。
【図13】本発明の実施形態2に係るキャリア設定処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態2の故障検出用周波数帯域の帯域幅を表した表を示す図である。
【図15】従来の無線基地局の受信機の内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
本発明の実施形態1について図1乃至11を参照して詳細に説明する。
実施形態1に係る無線通信システムにおける無線基地局1は、移動局である無線通信端末から送信される無線信号を受信する。この無線通信システムの通信方式は、3G(3rd Generation)方式、LTE(Long Term Evolution)方式が混在しており、各々の方式の複数のキャリア信号を送受信するマルチキャリアの運用となっている。
【0020】
無線基地局は図1に示すように、無線通信端末から送信される無線信号を受信する受信機10と、アンテナ20と、3G変復調器30と、LTE変復調器40を備えている。受信機10と3G変復調器30の間、受信機10とLTE変復調器40の間は、CPR(Common Public Radio)インターフェイス(図中CPRIと示す)を介して、接続されている。
ここで、CPRインターフェイスは、無線基地局内の送受信機と、変復調器を含む制御部との間のプロトコル・インターフェイスに関する標準化規格に準拠したインターフェイスである。
【0021】
受信機10は、マルチキャリア受信可能な受信機で、各無線通信システム方式対応の無線通信端末から送信されアンテナ20で受信された無線信号に、増幅等のアナログ信号処理やAD変換処理等の受信処理を施す。そして得られたデジタル信号を、変復調装置に出力する。
【0022】
受信機10は、図2に示すように、低雑音増幅器11、RF(Radio Frequency)フィルタ12、ミキサ13、IF(Intermediate Frequency)増幅器14、IFフィルタ15、A/Dコンバータ16、FPGA(Field-Programmable Gate Array)100を備える。
【0023】
無線通信端末から送信される無線信号は、アンテナ20で電気信号(アナログ信号)に変換されて、受信機10に入力される。入力された電気信号は、低雑音増幅器11で低雑音増幅される。増幅された電気信号のうち所望の周波数成分だけが、RFフィルタ12を通過し、不要な周波数成分は除去される。
【0024】
RFフィルタ12を通過した電気信号は、受信機10内で生成するLocal信号2001とともにミキサ13に入力される。ミキサ13でLocal信号2001と混合されることにより、高周波数の電気信号が低周波数の電気信号(中間周波数信号:IF信号)に周波数変換される。
【0025】
周波数変換された中間周波数信号は、IF増幅器14で増幅される。増幅された中間周波数信号は、IFフィルタ15で所望の周波数成分2002のみ通過し、ミキサ13等で発生する不要なスプリアス等は除去される。IFフィルタ15を通過した中間周波数信号2002(アナログ信号)は、A/Dコンバータ16で標本化、量子化され、デジタル信号2003に変換される。
【0026】
変換されたデジタル信号2003はFPGA100に入力される。
FPGA100は、CPRインターフェイス(図中CPRIと示す)を介して、上位装置である変復調器30、40とも接続されている。
【0027】
FPGA100は、CPRインターフェイスを通じて変復調器30、40から入力されるRX設定信号2004に基づいて、A/Dコンバータ16から入力されるデジタル信号2003に各種データ加工を施し、UpLink出力データ2005を生成し、上位装置(変復調器30、40)に出力する。
【0028】
また、FPGA100は、UpLink出力データ2005の平均電力を示すRSSI(Received Signal Strength Indication)報告値2006を生成して出力する。また、RSSI報告値2006に基づいて生成する故障検出信号2007を出力する。
【0029】
FPGA100の内部構成を、図3を用いて説明する。
FPGA100は、図3に示すように、分配器101、キャリア信号処理部110、120、130、140、切替スイッチ102、故障検出演算回路103、RX設定制御回路104から構成される。
【0030】
受信機10はマルチキャリア受信を行うため、FPGA100に入力された信号2003は分配機101で分配され、キャリア信号処理部110、120、130、140に入力される。
ここで、キャリア信号処理部110、120、130、140で処理するキャリア信号に対してそれぞれ、キャリア番号1乃至4を付し、以下、各キャリア信号をキャリア1、キャリア2、キャリア3、キャリア4と呼ぶ。
【0031】
キャリア1のキャリア信号処理部110は、NCO(Numerical Controlled Oscillator)部111、FIR(Finite Impulse Response)フィルタ112、検波器113から構成される。
【0032】
NCO部111は、数値制御発振器(NCO)を備え、FPGA100の入力信号2003と、NCOの出力とを乗算することにより、ベースバンド信号を生成するベースバンド信号生成器として機能する。
ここで、NCO部111は、RX設定制御回路104から入力されるNCO制御信号2008に基づいて、デジタル信号2003をさらに低周波数のベースバンド信号に変換する。
【0033】
FIRフィルタ112は、ベースバンド信号の所望の周波数成分のみ通過させることでA/Dコンバータ16等で発生する不要なスプリアスを除去する。FIRフィルタ112を通過したベースバンド信号はUpLink出力データ2005として、CPRインターフェイスを通じて上位装置である変復調器30、40に出力される。
なお、UpLink出力データ2005は、各キャリア信号毎の信号線で出力されるパラレル出力データである。
【0034】
FIRフィルタ112は、RX設定制御回路104から入力されるFIRフィルタ制御信号2009に基づいて、Tap係数を定めるため、通過帯域を自動制御することが可能である。
【0035】
検波器113は、FIRフィルタ112を通過して出力されるUpLink出力データ2005の平均電力を示すRSSI(Received Signal Strength Indication)報告値2006を生成し、CPRインターフェイスを通じて変復調器30、40に報告するとともに、切替スイッチ102にも出力する。
なお、CPRインターフェイスに出力されるRSSI報告値2006は、各キャリア信号毎の信号線で出力されるパラレル出力データである。
【0036】
キャリア信号処理部120、130、140も、キャリア信号処理部110と同様の構成を有している。
【0037】
切替スイッチ102は、RX設定制御回路104から入力される切替スイッチ制御信号2010に基づいて、キャリア信号処理部110、120、130、14それぞれが出力するRSSI報告値2006を切り替えて出力する。
【0038】
故障検出演算回路103は、キャリア信号処理部110、120、130、140から切替スイッチ102を介して入力される、RSSI報告値2006に基づいて、受信機が故障しているかどうかを判断し、故障していると判断した場合には故障検出信号2007を出力する。
【0039】
RX設定制御回路104は、変復調器30、40を含む上位装置から入力されるRX設定信号2004に基づいて各ブロック回路が所望の動作をするようにNCO制御信号2008、FIRフィルタ制御信号2009、切替スイッチ制御信号2010、故障検出演算回路の制御信号2011を出力する。
【0040】
以上のように構成された受信機10における故障検出機能の動作を、図3乃至11を参照して説明する。
【0041】
本実施形態における受信機10は、LTE方式と3G方式の混在するマルチキャリア受信を行うが、無線通信システム方式の種類、受信周波数領域の周波数配置例を図4に示す。
【0042】
LTE方式はSC−FDMA変調方式を使用している。SC−FDMA変調波の帯域幅は、3GPP規格に則り、1.4MHz、3MHz、5MHz、10MHz、15MHz、20MHzとする。
3G方式は、W−CDMA変調方式やcdma2000変調方式を使用する。
【0043】
本実施形態に係る受信機の受信可能な全周波数領域は20MHzとする。この受信周波数領域におけるLTE方式と3G方式の周波数配置は、多数の組み合わせが存在し、図4はその組み合わせの一例である。
【0044】
(a)は3G方式のみの場合の周波数配置である。(b)は帯域幅5MHz以下のLTE方式と3G方式の周波数配置である。(c)は帯域幅10MHzのLTE方式と3G方式の周波数配置である。(d)は帯域幅15MHzのLTE方式と3G方式の周波数配置である。(e)は帯域幅20MHzのLTE方式の周波数配置である。つまり、総キャリア数は最大で4キャリアで、LTE方式は1キャリアのみである。
【0045】
RX設定制御回路は1、0の2値に変化するフラグF1〜F4を有している。
図4において、受信機10の受信周波数領域を4分割し(5MHz毎)、低周波数側からそれぞれの帯域にフラグF1〜F4を割り当てる。受信周波数領域の低周波数側の端の周波数をf=α[Hz]とすると、4分割(5MHz毎)に区切った領域の中心周波数は、フラグF1の領域がf=α+2.5[MH]、フラグF2の領域がα+7.5[MH]、フラグF3の領域がα+12.5[MH]、フラグF4の領域がα+17.5[MH]となる。
【0046】
上位装置からRX設定制御回路104に入力されるRX設定信号2004は、キャリア番号、キャリア周波数、及び帯域幅の情報を持つ。ここで、キャリア番号は、キャリア信号処理部110、120、130、140で処理するキャリア信号に対してそれぞれ付したキャリア1乃至4である。
【0047】
RX設定制御回路104は、指定されたキャリア番号に基づいて、使用するキャリア信号処理部110、120、130、140のいずれかを選択する。
このとき、LTE方式は最大で1キャリアのみであるため、キャリア信号処理部110(キャリア1)をLTEと3Gの共用とし、キャリア信号処理部120(キャリア2)、キャリア信号処理部130(キャリア3)、キャリア信号処理部140(キャリア4)は3G専用とする。
【0048】
また、RX設定制御回路104は、上位装置からのRX設定信号2004に基づいて、受信周波数領域を4分割した領域のうち1又は複数の領域を、キャリア信号受信に使用する周波数領域として設定するために、キャリア周波数と帯域幅を設定する信号を出力する。
そして、空いている周波数帯域を自動検出して、故障検出用の帯域として指定する信号も出力する。
【0049】
以下、RX設定制御回路104の処理であるキャリア設定処理を図5〜8のフローチャートに従って詳細に説明する。
なお、これらのフローチャートにおいてフラグ設定する処理は、図9に示した表のフローチャート対応番号を付した列を参照して、各キャリア周波数に対応するフラグ設定値に従って処理を行う。
【0050】
まず初期処理としてフラグF1〜F4に0を代入する(図5のステップS101)。
次に、RX設定信号2004のキャリア1に対応するキャリア周波数、及び帯域幅の情報に基づいて、キャリア1に設定する無線通信方式が3G方式であるか、LTE方式であるか、あるいは、キャリア1にはいずれの方式も設定されていないかを判断する(ステップS102)。
【0051】
キャリア1に設定する無線通信方式が3G方式である場合には、図9のフローチャート対応番号(11)〜(14)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS103)。例えば、RX設定信号2004の情報によると、図4の(a)のようにキャリア1に設定する無線通信方式が3G方式であり、キャリア周波数がα+2.5MHzである場合にはF1を1とする。
その後、図6のフローチャートへ進む。
【0052】
ステップS102において、キャリア1に設定する無線通信方式がLTE方式である場合には、RX設定信号2004の帯域幅の情報が5MHz以下であるか否かを判断する(ステップS104)。帯域幅が5MHz以下であった場合には、図9の(11)〜(14)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS105)。例えば、図4の(b)のようにキャリア1に設定する無線通信方式がLTE方式の帯域幅5MHz以下であり、キャリア周波数がα+7.5MHzである場合にはF2を1とする。
その後、図6のフローチャートへ進む。
【0053】
ステップS102において、キャリア1に設定する無線通信方式がLTE方式であり、かつ、RX設定信号2004の帯域幅の情報が5MHzより大きい場合には、図7のフローチャートに進む。
また、キャリア1に、いずれの無線通信方式も設定されていない場合は、図8のフローチャートに進む。
【0054】
キャリア1に設定する無線通信方式が3G方式であるか、LTE方式の帯域幅5MHz以下であった場合には(図6のフローチャート)、RX設定信号2004のキャリア2に対応するキャリア周波数、及び帯域幅の情報に基づいて、キャリア2に3G方式を設定するか、あるいは、キャリア2には設定しないかを判断する(ステップS201)。キャリア2に3G方式を設定する場合には、図9の(11)〜(14)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS202)。この時、キャリア周波数が重複することはないため、ステップS103でフラグ設定したフラグとは異なるフラグが変更される。
【0055】
同様にして、キャリア3、4にも3G方式を設定するか否かに応じて、図9の(11)〜(14)を参照してフラグを変更する(ステップS203〜S212)。フラグを設定した結果、F1〜F4全てが1となっている場合には、故障検出をするための空き領域はない。つまり、切替スイッチ102がいずれの端子に接続されていても、検波器113、123、133、143が出力するRSSI値から故障検出することができない。よって、RX設定制御回路104は、切替スイッチ102に対して、切替スイッチ制御信号2010は出力しない(ステップS213)。
【0056】
ここで、図6のフローに従ってF1〜F4全てが1となった場合とは、図4の(a)、(b)に示した周波数配置となっている場合等が該当する。
【0057】
一方、図6のフローの中で、キャリア2〜4のいずれかのキャリア番号に3G方式を設定しなかった場合には、フラグの少なくとも1つが0であることになる。この場合は、受信周波数領域内に空き領域があるため、その領域(フラグが0の領域)を故障検出に使用する。
【0058】
このとき、切替スイッチ102の出力端子が、3G方式を設定しなかったキャリア番号の検波器に接続されるように、RX設定制御回路104は切替スイッチ102に対して、切替スイッチ制御信号2010を出力する(ステップS214〜S216)。
【0059】
次に、ステップS102、S104において、キャリア1に設定する無線通信方式がLTE方式であり、かつ、RX設定信号2004の帯域幅の情報が5MHzより大きい場合には(図7のフローチャート)、帯域幅が10MHz、15MHz、20MHzのいずれであるかを判断する(ステップS301)。
【0060】
キャリア2に設定する帯域幅が10MHzである場合には、図9の(5)〜(7)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS302)。この時、LTE方式が、受信周波数領域を4分割した領域のうち2つを使用することになるので、2つのフラグを1に変更することとなる。
【0061】
ステップS302のフラグ設定後、RX設定信号2004のキャリア2に対応するキャリア周波数、及び帯域幅情報に基づいて、キャリア2に3G方式を設定するか、あるいは、キャリア2には設定しないかを判断する(ステップS303)。キャリア2に3G方式を設定する場合には、図9の(11)〜(14)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS304)。この時ステップS302でフラグ設定したフラグとは異なるフラグが変更される。
【0062】
同様にして、キャリア3にも3G方式を設定するか否かに応じて、図9の(11)〜(14)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS305〜S308)。フラグを設定した結果、F1〜F4全てが1となっている場合には、故障検出をするための空き領域はない。つまり、切替スイッチ102がいずれの端子に接続されていても、検波器113、123、133、143が出力するRSSI値から故障検出することができない。よって、RX設定制御回路104は、切替スイッチ102に対して、切替スイッチ制御信号2010は出力しない(ステップS309)。
【0063】
ここで、ステップS302〜S306に従って、F1〜F4全てが1となった場合とは、図4の(c)に示した周波数配置となっている場合等が該当する。
【0064】
一方、ステップS303、S305、S307の中で、キャリア2、3のいずれかのキャリア番号に3G方式を設定しなかった場合には、フラグの少なくとも1つが0であることになる。この場合は、受信周波数領域内に空き領域があるため、その領域(フラグが0の領域)を故障検出に使用する。
【0065】
このとき、切替スイッチ102の出力端子が、3G方式を設定しなかったキャリア番号の検波器に接続されるように、RX設定制御回路104は切替スイッチ102に対して、切替スイッチ制御信号2010を出力する(ステップS310、S311)。
【0066】
ステップS301において、キャリア2に設定する帯域幅が15MHzである場合には、図9の(8)〜(9)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS312)。この時、受信周波数領域を4分割した領域のうち3つを使用することになるので、3つのフラグを1に変更することとなる。
【0067】
ステップS312のフラグ設定後、RX設定信号2004のキャリア2に対応するキャリア周波数、及び帯域幅情報に基づいて、キャリア2に3G方式を設定するか、あるいは、キャリア2には設定しないかを判断する(ステップS313)。キャリア2に3G方式を設定する場合には、図9の(11)〜(14)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS314)。この時ステップS312でフラグ設定したフラグとは異なるフラグが変更される。
【0068】
フラグを設定した結果、F1〜F4全てが1となっている場合には、故障検出をするための空き領域はない。つまり、切替スイッチ102がいずれの端子に接続されていても、検波器113、123、133、143が出力するRSSI値から故障検出することができない。よって、RX設定制御回路104は、切替スイッチ102に対して、切替スイッチ制御信号2010は出力しない(ステップS315)。
【0069】
ここで、ステップS312〜S314に従って、F1〜F4全てが1となった場合とは、図4の(d)に示した周波数配置となっている場合等が該当する。
【0070】
一方、ステップS313において、キャリア2に3G方式を設定しなかった場合には、フラグの少なくとも1つが0であることになる。この場合は、受信周波数領域内に空き領域があるため、その領域(フラグが0の領域)を故障検出に使用する。
【0071】
このとき、切替スイッチ102の出力端子が、3G方式を設定しなかったキャリア2の検波器に接続されるように、RX設定制御回路104は切替スイッチ102に対して、切替スイッチ制御信号2010を出力する(ステップS316)。
【0072】
ステップS301において、キャリア2に設定する帯域幅が20MHzである場合には、図9の(10)にしたがって全てのフラグを1に変更する(ステップS317)。つまり、受信周波数領域を4分割した領域全てを使用することになる。
【0073】
したがって、この場合には故障検出をするための空き領域はない。つまり、切替スイッチ102がいずれの端子に接続されていても、検波器113、123、133、143が出力するRSSI値から故障検出することができない。よって、RX設定制御回路104は、切替スイッチ102に対して、切替スイッチ制御信号2010は出力しない(ステップS318)。
【0074】
ここで、ステップS317に従って、F1〜F4全てが1となった場合とは、図4の(e)に示した周波数配置となっている場合が該当する。
【0075】
次に、ステップS102において、キャリア1には、いずれの無線通信方式も設定しない場合には(図8のフローチャート)、RX設定信号2004のキャリア2に対応するキャリア周波数、及び帯域幅情報に基づいて、キャリア2に3G方式を設定するか、あるいは、キャリア2には設定しないかを判断する(ステップS401)。
【0076】
キャリア2に3G方式を設定する場合には、図9の(11)〜(14)を参照して、RX設定信号2004のキャリア周波数に対応するフラグを変更する(ステップS402)。
同様にして、キャリア3、4にも3G方式を設定するか否かに応じて、図9の(11)〜(14)を参照してフラグを変更する(ステップS403〜S406)。
【0077】
ここで、ステップS102においてキャリア1にいずれの無線通信方式も設定しなかったため、キャリア2〜4に3G方式を設定したか否かにかかわらず、フラグの少なくとも1つが0であることになる。この場合は、受信周波数領域に空き領域があるため、その領域(フラグが0の領域)を故障検出に使用する。
【0078】
このとき、切替スイッチ102の出力端子が、キャリア1の検波器113に接続されるように、RX設定制御回路104は切替スイッチ102に対して、切替スイッチ制御信号2010を出力する(ステップS407)。
【0079】
以上のようにして、RX設定制御回路104は、キャリア1〜4それぞれを、キャリア信号受信用と、故障検出用に設定する。このキャリア設定に基づいて、RX設定制御回路104は、NCO部111、121、131、141、FIRフィルタ112、122、132、142、検波器113、123、133、143、切替スイッチ102に対して制御信号を出力する。
【0080】
具体的には、RX設定制御回路104は、キャリア信号受信用に設定したキャリア信号処理部の各NCO部に対して、キャリア周波数の情報を含むNCO制御信号2008を出力する。このNCO制御信号2008に基づいて、数値制御発振器(NCO)はキャリア周波数に対応する周波数の発振信号を生成し、デジタル信号2003と乗算することにより、ベースバンド信号を生成する。
【0081】
また、RX設定制御回路104は、各FIRフィルタに対して帯域幅の情報を含むFIRフィルタ制御信号2009を出力する。FIRフィルタは、このFIRフィルタ制御信号2009の帯域幅に対応する周波数成分のみ通過させることで、A/Dコンバータ16等で発生する不要なスプリアスを除去したUpLink出力データ2005を生成し、CPRインターフェイスを通じて上位装置である変復調器30、40に出力する。
【0082】
一方、故障検出用に設定されたキャリア信号処理部に対しては、空き領域の中心周波数の情報を含むNCO制御信号2008を出力する。このNCO制御信号2008に基づいて、数値制御発振器(NCO)は中心周波数に対応する周波数の発振信号を生成し、FPGA100に入力される熱雑音に起因する信号と乗算して出力する。
【0083】
また、RX設定制御回路104は、故障検出用のキャリア信号処理部のFIRフィルタに対して故障検出用の帯域幅の情報を含むFIRフィルタ制御信号2009を出力する。FIRフィルタは、このFIRフィルタ制御信号2009の帯域幅に対応する周波数成分のみ通過させた信号を出力する。
故障検出用に設定されたキャリア信号処理部の検波器は、FIRフィルタが出力した信号の平均電力をRSSI報告値として出力する。
【0084】
RX設定制御回路104は、切替スイッチ102に対して、故障検出用のキャリア番号の情報を含む切替スイッチ制御信号2010を出力する。この切替スイッチ制御信号2010に基づいて、切替スイッチ102の出力端子が、故障検出用のキャリア信号処理部の出力端子に接続されるように、切替スイッチ102を切り替える。
【0085】
故障検出演算回路103は、故障検出用のキャリア信号処理部から切替スイッチ102を介して入力される、RSSI報告値2006に基づいて、受信機が故障しているかどうかを判断し故障していると判断した場合には故障検出信号2007を出力する。
【0086】
次に、RSSI報告値2006に基づく故障判断について説明する。
【0087】
アンテナ20が出力する最小の電力は熱雑音レベルであり、熱雑音レベルより低いレベルになることは有り得ない現象である。受信機の故障は、主に利得が下がることであるため、キャリア信号処理部の検波器113、123、133、143で検出されるべきレベルは、熱雑音レベルの入力が受信機10の各構成部を通過して出力されるレベルより大きいレベルであると言える。この熱雑音に起因するレベルを閾値レベルとして算出し、この閾値レベルより低いレベルになったら受信機が故障したと判断する。
【0088】
故障検出演算回路104は、RX設定制御回路104が出力する故障検出制御信号2011に基づいてRSSI報告値2006と閾値レベルを比較し、RSSI報告値2006が閾値レベルより低い場合に故障検出信号2007を出力し、CPRインターフェイスを通じて上位装置に報告する。
【0089】
図10には、無線通信システム方式毎のキャリア周波数と、各周波数帯域における熱雑音レベルであるkTB値と、RSSI報告値2006と比較する閾値レベルであるkTBFG値を表した表を示している。
【0090】
kTB値は、以下の式(1)により得られる。

kTB[dBm] = 10×log (k [J/K]×T[K]×B[Hz]×103) ……(1)

ここで、kはボルツマン定数[J/K]であり、Tは温度[K]、Bは占有帯域幅[Hz]である。
【0091】
kTBFG値は、各周波数帯域における熱雑音レベルが受信機10の低雑音増幅器11からキャリア信号処理部のFIRフィルタまでを通過して得られる出力レベルである。本実施形態では、kTB値に対して、総合雑音指数NFが3dB、総合利得が+56dBであるとして計算している。
【0092】
kTBFG値は、以下の式(2)により得られる。ここで、総合利得は、図2の低雑音増幅器11からキャリア1のFIRフィルタ113までの利得の合計を意味する。

kTBFG[dBm] = kTB [dBm] + 総合NF[dB] + 総合利得[dB] ……(2)
【0093】
図11は、本実施形態に係る受信機を通過する信号のレベルダイヤを示した図である。
まず、正常運用時(a)のレベルダイヤについて説明する。無線通信端末300は、無線信号を送受信することで無線通信経路を介して無線基地局装置と通信する。通信する際に無線基地局で得られるRSSI報告値が最適となるように、無線通信端末300の出力レベルが制御される。
【0094】
キャリア信号を受信するキャリア信号処理部をキャリア1とし、最適なRSSI報告値を−24dBmと仮定すると、受信機10の総合利得+56dBであるため、無線基地局の入力レベルは−80dBmである。無線通信経路における伝搬ロスは−50dBであるとすると、無線通信端末300の出力レベルは−30dBmに制御されている。
【0095】
一方、キャリア信号の受信に使用しないキャリア信号処理部がキャリア2であるときに、空き周波数帯域をキャリア2に設定すると、その帯域におけるアンテナ20の出力レベルは、熱雑音レベル(kTBレベル)である。よって、キャリア2のRSSI報告値は、受信機の総合利得+56dB、総合NFが3dBであることを考慮したkTBFGレベルと同等となる。
【0096】
例えば、故障検出に用いる帯域幅を4.5MHzであるとすると、アンテナ20の出力であるkTBレベルは−107.3dBmであり、FIRフィルタ122の出力であるkTBFGレベルは−48.3dBmとなる(図10参照)。
【0097】
次に、故障検出時(b)のレベルダイヤについて説明する。低雑音増幅器11などが故障することで総合利得が+36dBとなった場合でも、RSSI報告値が最適となるように、無線通信端末300の出力レベルは制御される。
【0098】
キャリア受信するキャリア信号処理部をキャリア1とし、最適なRSSI報告値を−24dBmと仮定すると、受信機10の総合利得+36dBであるため、無線基地局の入力レベルは−60dBmである。無線通信経路における伝搬ロスは−50dBであるとすると、無線通信端末300の出力レベルは−10dBmに制御されている。
【0099】
つまり、正常運用時であっても、故障時であっても、無線通信端末300の出力レベルが制御されているために、RSSI報告値は同じ−24dBmとなる。よって、運用キャリア回路をサービス中に使用しても故障検出はできない。
【0100】
一方、キャリア信号の受信に使用しないキャリア信号処理部がキャリア2であるときに、空き周波数帯域をキャリア2に設定すると、アンテナ20が出力するレベルは、正常時と同じ熱雑音レベル(kTBレベル)であるのに対し、総合利得が36dB、総合NFが3dBであるため、キャリア2のRSSI報告値は、−68.3dBmとなる。
【0101】
RSSI報告値(−68.3dBm)と、正常時のkTBFGレベル(−49.3dBm)を比較すると、RSSI報告値がkTBFGレベルより低いので、総合利得が下がっていることが判別できる。
【0102】
このようにして、RSSI報告値がkTBFGレベルより低いことを検出すると、故障検出演算回路103は、故障検出信号2007を出力し、CPRインターフェイスを通じて上位装置に報告する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態においては、キャリア受信に使用していない周波数帯域と、キャリア信号処理部を検出して、その周波数帯域と、キャリア信号処理部を故障検出に利用することにより、サービスを中断することなくリアルタイムに故障検出することができる。
【0104】
(実施形態2)
本発明の実施形態2について図12、13を参照して説明する。受信機の内部構成と、は実施形態1と同一であるため、説明を省略する。
また、実施形態1の受信機の動作のうち、キャリア設定処理の一部の内容を除いて共通するため、共通する部分の説明も省略する。
【0105】
キャリア設定処理において、キャリア1にLTE方式を設定し、帯域幅が10MHz、15MHz、20MHzであった場合には、図12に示すように、LTE方式の占有帯域幅(OBW)はそれぞれ、9MHz、13.5MHz、18.0MHzであるため、帯域の両端に未使用の領域がある(図12の斜線部分)。本実施形態では、この未使用の領域を用いて故障検出を行う。
【0106】
図13に示すように、キャリア設定処理において、キャリア1にLTE方式を設定し(図5のステップS102)、帯域幅が10MHzであった場合(ステップS501)、キャリア2、3に3G方式を設定するか判断する(ステップS503、S505、S506)。キャリア2、3双方に3G方式を設定する場合には、受信周波数領域を4分割した領域1つ分は空いていない。よって、LTE方式に割り当てた領域のうちLTE方式の占有帯域幅の両端にある、中心周波数α+0.25[MHz]、帯域幅0.5[MHz]の領域を故障検出に使用する(ステップS510)。
また、故障検出にはデータ受信に使用していないキャリア4のキャリア信号処理部140を用いる(ステップS510)。
【0107】
よって、RX設定制御回路104は、キャリア信号処理部140のNCO部141に対して、中心周波数α+0.25[MHz]の情報を含むNCO部制御信号2008を出力する。また、RX設定制御回路104は、キャリア信号処理部140のFIRフィルタ142に対して、帯域幅0.5[MHz]の情報を含むFIRフィルタ制御信号2009を出力する。
【0108】
また、RX設定制御回路104は、切替スイッチ部102に対して、キャリア信号処理部140の検波器114出力が切替スイッチ102の出力に接続されるように、切替スイッチ制御信号2010を出力する。
【0109】
これらの制御信号を受信することにより、キャリア信号処理部140のNCO部141は、中心周波数に対応する周波数の発振信号を生成し、FPGA100に入力される熱雑音に起因する信号と乗算して出力する。FIRフィルタ142は、NCO部141出力信号のうち、FIRフィルタ制御信号の帯域幅0.5[MHz]に対応する周波数成分のみ通過させて出力する。
【0110】
そして、検波器143は、FIRフィルタ142が出力した信号の平均電力をRSSI報告値2006として出力する。このRSSI報告値2006は切替スイッチ102を介して故障検出回路103に入力される。
故障検出回路103は、RSSI報告値2006を帯域幅0.5[MHz]として算出したkTBFG値(図14参照)より小さいときに故障であることを示す故障検出信号2007を出力する。
【0111】
同様にして、キャリア1にLTE方式を設定し(図5のステップS102)、帯域幅が15MHzであった場合(ステップS501)には、キャリア2に3G方式を設定するか判断する。キャリア2に3G方式を設定する場合には、(ステップS509)、受信周波数領域を4分割した領域1つ分は空いていない。よって、LTE方式に割り当てた領域のうちLTE方式の占有帯域幅の両端にある、中心周波数α+0.375[MHz]、帯域幅0.75[MHz]の領域を故障検出に使用する(ステップS513)。
また、故障検出には、データ受信に使用していないキャリア3のキャリア信号処理部130を用いる(ステップS513)。
【0112】
よって、RX設定制御回路104は、キャリア信号処理部130のNCO部131に対して、中心周波数α+0.375[MHz]の情報を含むNCO部制御信号2008を出力する。また、RX設定制御回路104は、キャリア信号処理部130のFIRフィルタ132に対して、帯域幅0.75[MHz]の情報を含むFIRフィルタ制御信号2009を出力する。
【0113】
また、RX設定制御回路104は、切替スイッチ部102に対して、キャリア信号処理部130の検波器133出力が切替スイッチ102の出力に接続されるように、切替スイッチ制御信号2010を出力する。
【0114】
これらの制御信号を受信することにより、キャリア信号処理部130のNCO部131は、中心周波数に対応する周波数の発振信号を生成し、FPGA100に入力される熱雑音に起因する信号と乗算して出力する。FIRフィルタ132は、NCO部131出力信号のうち、FIRフィルタ制御信号2009の帯域幅0.75[MHz]に対応する周波数成分のみ通過させて出力する。
【0115】
そして、検波器133は、FIRフィルタ132が出力した信号の平均電力をRSSI報告2006値として出力する。このRSSI報告値2006は切替スイッチ102を介して故障検出回路103に入力される。
故障検出回路103は、RSSI報告値2006を帯域幅0.75[MHz]として算出したkTBFG値(図14参照)より小さいときに故障であることを示す故障検出信号2007を出力する。
【0116】
同様にして、キャリア1にLTE方式を設定し(図5のステップS102)、帯域幅が20MHzであった場合(ステップS501)には、LTE方式の占有帯域幅の両端にある、中心周波数α+0.5[MHz]、帯域幅1.0[MHz]の領域を故障検出に使用する(ステップS515)。
また、故障検出にはデータ受信に使用していないキャリア2のキャリア信号処理部120を用いる(ステップS515)。
【0117】
よって、RX設定制御回路104は、キャリア信号処理部120のNCO部121に対して、中心周波数α+0.5[MHz]の情報を含むNCO部制御信号2008を出力する。また、RX設定制御回路104は、キャリア信号処理部120のFIRフィルタ122に対して、帯域幅1.0[MHz]の情報を含むFIRフィルタ制御信号2009を出力する。
【0118】
また、RX設定制御回路104は、切替スイッチ部102に対して、キャリア信号処理部120の検波器123出力が切替スイッチ102の出力に接続されるように、切替スイッチ制御信号2010を出力する。
【0119】
これらの制御信号を受信することにより、キャリア信号処理部120のNCO部121は、中心周波数に対応する周波数の発振信号を生成し、FPGA100に入力される熱雑音に起因する信号と乗算して出力する。FIRフィルタ122は、NCO部121出力信号のうち、FIRフィルタ制御信号2009の帯域幅1.0[MHz]に対応する周波数成分のみ通過させて出力する。
【0120】
そして、検波器123は、FIRフィルタが出力した信号の平均電力をRSSI報告値2006として出力する。このRSSI報告値2006は切替スイッチ102を介して故障検出回路103に入力される。
故障検出回路103は、RSSI報告値2006を帯域幅1.0[MHz]として算出したkTBFG値(図14参照)より小さいときに故障であることを示す故障検出信号2007を出力する。
【0121】
以上説明したように、本実施形態においては、受信周波数領域を4分割した領域をそれぞれキャリア受信用に設定した場合であっても、LTE方式の占有帯域幅の両端にある非運用の周波数帯域を故障検出に利用することにより、サービスを中断することなくリアルタイムに故障検出することができる。
【0122】
このように本発明は、無線通信システムの無線基地局のマルチキャリア受信可能な受信機において、データ受信に使用していない周波数領域を自動検出し、その領域を故障検出に用いることにより、故障検出用の追加信号や追加回路を要することなく簡易な構成で、サービスを中断することなくリアルタイムに故障検出することができる。
【0123】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0124】
例えば、無線通信方式をLTE方式及び3G方式の混在システムとしたが、他の通信方式であってもよい。この場合、受信周波数領域全域の帯域幅、分割数、分割後の帯域幅をその通信方式に合わせることにより、他の通信方式にも適用が可能である。
また、キャリア信号処理部の受信周波数領域の分割数に対応して、任意の数の処理部を設けてもよい。
【0125】
また、実施形態1において、受信周波数領域を4つに分割した領域がすべてキャリア受信に使用されている場合には、切替スイッチに対して信号を出力しないとしたが、予め決めておいた端子に接続するように切替スイッチ制御信号2010を出力してもよい。
【0126】
また、実施形態2において、キャリア1がLTE方式に設定されて受信周波数領域を4つに分割した領域の2〜3の領域をLTE方式で使用し、残りの領域のいずれかを3G方式に使用せず空き領域となっている場合には、その空き領域を故障検出に使用し、残りの領域をすべて3G方式に使用される場合に限り、LTE方式の占有帯域幅の両端の空き領域を使用するとした。しかし、残りの領域を3G方式に使用するか否かに関わらず、LTE方式の占有帯域幅の両端の空き領域を使用して故障検出してもよい。
これにより、空き領域の自動検出の処理を簡易化させることができる。
【0127】
また、前記実施形態の設定制御回路104が実行した処理は、FPGA外部に設けた演算回路にプログラムを実行させることにより、FPGA100の各構成部を制御してもよい。
【0128】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【0129】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0130】
(付記1)
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理手段と、
前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータで変換されたデジタル信号を分配する分配手段と、
前記分配手段で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換する複数のベースバンド信号生成手段と、
前記複数のベースバンド信号生成手段の中から、前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用しない空きベースバンド信号生成手段を選択するとともに、前記ベースバンド信号生成手段で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出し、前記空きベースバンド信号生成手段で前記空き周波数帯域の信号を前記ベースバンド信号に変換したときの出力強度に基づいて前記アナログ信号処理手段の出力異常の故障を検出する故障検出手段と、
を有することを特徴とする受信機。
【0131】
(付記2)
前記故障検出手段は、
前記複数のベースバンド信号生成手段のうちの一部のベースバンド信号生成手段に対して、前記複数の前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域を設定するキャリア周波数帯域設定手段と、
前記ベースバンド信号生成手段で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出する空き周波数帯域検出手段と、
前記複数のベースバンド信号生成手段のうち前記キャリア周波数帯域設定手段で設定されなかった空きベースバンド信号生成手段に対して、前記空き周波数帯域検出手段で検出された空き周波数帯域の少なくとも一部を設定する空き周波数帯域設定手段と、
前記空きベースバンド信号生成手段の出力強度に基づいて、前記アナログ信号処理手段の出力異常を検出する異常検出手段と、を備える、
ことを特徴とする付記1に記載の受信機。
【0132】
(付記3)
前記複数のキャリア信号を含むアナログ信号は、アンテナ受信したLTE方式又は3G方式の無線信号であり、
前記キャリア周波数帯域設定手段は、前記受信周波数領域を所定の数で分割した領域をLTE方式の信号処理又は3G方式の信号処理に割り当てるようにキャリア周波数帯域を設定し、
前記空き周波数帯域検出手段は、前記分割した領域のうち、前記LTE方式の信号処理又は3G方式の信号処理に割り当てられなかった周波数帯域を検出する、
ことを特徴とする付記2に記載の受信機。
【0133】
(付記4)
前記複数のキャリア信号を含むアナログ信号は、アンテナ受信したLTE方式又は3G方式の無線信号であり、
前記キャリア周波数帯域設定手段は、前記受信周波数領域を所定の数で分割した領域をLTE方式の信号処理又は3G方式の信号処理に割り当てるようにキャリア周波数帯域を設定し、
前記空き周波数帯域検出手段は、前記分割した領域を前記LTE方式の信号処理に割り当てた領域のうち、前記LTE方式の信号の占有帯域幅に属さない周波数帯域を検出する、
ことを特徴とする付記2に記載の受信機。
【0134】
(付記5)
前記故障検出手段で検出するアナログ信号処理手段の出力異常は、前記低雑音増幅の利得の低下を含む、
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の受信機。
【0135】
(付記6)
前記異常検出手段は、前記空きベースバンド信号生成手段の出力強度が、前記空き周波数帯域設定手段で設定された空き周波数帯域における熱雑音に前記アナログ信号処理手段の総合利得と総合NFを加算して算出した値より低い場合に、前記アナログ信号処理手段の出力が異常であることを検出する、
ことを特徴とする付記2乃至5のいずれかに記載の受信機。
【0136】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の受信機を備える無線基地局。
【0137】
(付記8)
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部と、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記A/D変換ステップで変換されたデジタル信号を分配する分配部と、前記分配部で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換するベースバンド信号生成部と、を有する受信機において、
前記複数のベースバンド信号生成部のうちの一部のベースバンド信号生成部に対して、前記複数の前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域を設定するキャリア周波数帯域設定ステップと、
前記ベースバンド信号生成部で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出する空き周波数帯域検出ステップと、
前記複数のベースバンド信号生成部のうち前記キャリア周波数帯域設定ステップで設定されなかった空きベースバンド信号生成部に対して、前記空き周波数帯域検出ステップで検出された空き周波数帯域の少なくとも一部を設定する空き周波数帯域設定ステップと、
前記空きベースバンド信号生成部の出力強度に基づいて、前記アナログ信号処理部の出力異常の故障を検出する故障検出ステップと、
を有することを特徴とする故障検出方法。
【0138】
(付記9)
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部と、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記A/D変換手順で変換されたデジタル信号を分配する分配部と、前記分配手順で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換するベースバンド信号生成部と、を有する受信機を制御するコンピュータに、
前記複数のベースバンド信号生成部のうちの一部のベースバンド信号生成部に対して、前記複数の前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域を設定するキャリア周波数帯域設定手順と、
前記ベースバンド信号生成部で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出する空き周波数帯域検出手順と、
前記複数のベースバンド信号生成部のうち前記キャリア周波数帯域設定手順で設定されなかった空きベースバンド信号生成部に対して、前記空き周波数帯域検出手順で検出された空き周波数帯域の少なくとも一部を設定する空き周波数帯域設定手順と、
前記空きベースバンド信号生成部の出力強度に基づいて、前記アナログ信号処理部の出力異常の故障を検出する故障検出手順と、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0139】
1 無線基地局
10 受信機
20 アンテナ
30 3G変復調器
40 LTE変復調器
11 低雑音増幅器
12 RFフィルタ
13 ミキサ
14 IF増幅器
15 IFフィルタ
16 A/Dコンバータ
100 FPGA
101 分配器
102 切替スイッチ
103 故障検出演算回路
104 RX設定制御回路
110、120、130、140 キャリア信号処理部
111、121、131、141 NCO部
112、122、132、142 FIRフィルタ
113、123、133、143 検波器
300 無線通信端末
50 受信機
51 低雑音増幅器
52 RFフィルタ
53 ミキサ
54 IF増幅器
55 IFフィルタ
56 A/Dコンバータ
500 FPGA
501 検波器
502 故障検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理手段と、
前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータと、
前記A/Dコンバータで変換されたデジタル信号を分配する分配手段と、
前記分配手段で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換する複数のベースバンド信号生成手段と、
前記複数のベースバンド信号生成手段の中から、前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用しない空きベースバンド信号生成手段を選択するとともに、前記ベースバンド信号生成手段で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出し、前記空きベースバンド信号生成手段で前記空き周波数帯域の信号を前記ベースバンド信号に変換したときの出力強度に基づいて前記アナログ信号処理手段の出力異常の故障を検出する故障検出手段と、
を有することを特徴とする受信機。
【請求項2】
前記故障検出手段は、
前記複数のベースバンド信号生成手段のうちの一部のベースバンド信号生成手段に対して、前記複数の前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域を設定するキャリア周波数帯域設定手段と、
前記ベースバンド信号生成手段で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出する空き周波数帯域検出手段と、
前記複数のベースバンド信号生成手段のうち前記キャリア周波数帯域設定手段で設定されなかった空きベースバンド信号生成手段に対して、前記空き周波数帯域検出手段で検出された空き周波数帯域の少なくとも一部を設定する空き周波数帯域設定手段と、
前記空きベースバンド信号生成手段の出力強度に基づいて、前記アナログ信号処理手段の出力異常を検出する異常検出手段と、を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の受信機。
【請求項3】
前記複数のキャリア信号を含むアナログ信号は、アンテナ受信したLTE方式又は3G方式の無線信号であり、
前記キャリア周波数帯域設定手段は、前記受信周波数領域を所定の数で分割した領域をLTE方式の信号処理又は3G方式の信号処理に割り当てるようにキャリア周波数帯域を設定し、
前記空き周波数帯域検出手段は、前記分割した領域のうち、前記LTE方式の信号処理又は3G方式の信号処理に割り当てられなかった周波数帯域を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の受信機。
【請求項4】
前記複数のキャリア信号を含むアナログ信号は、アンテナ受信したLTE方式又は3G方式の無線信号であり、
前記キャリア周波数帯域設定手段は、前記受信周波数領域を所定の数で分割した領域をLTE方式の信号処理又は3G方式の信号処理に割り当てるようにキャリア周波数帯域を設定し、
前記空き周波数帯域検出手段は、前記分割した領域を前記LTE方式の信号処理に割り当てた領域のうち、前記LTE方式の信号の占有帯域幅に属さない周波数帯域を検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の受信機。
【請求項5】
前記故障検出手段で検出するアナログ信号処理手段の出力異常は、前記低雑音増幅の利得の低下を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の受信機。
【請求項6】
前記異常検出手段は、前記空きベースバンド信号生成手段の出力強度が、前記空き周波数帯域設定手段で設定された空き周波数帯域における熱雑音に前記アナログ信号処理手段の総合利得と総合NFを加算して算出した値より低い場合に、前記アナログ信号処理手段の出力が異常であることを検出する、
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の受信機。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の受信機を備える無線基地局。
【請求項8】
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部と、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記A/D変換ステップで変換されたデジタル信号を分配する分配部と、前記分配部で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換するベースバンド信号生成部と、を有する受信機において、
前記複数のベースバンド信号生成部のうちの一部のベースバンド信号生成部に対して、前記複数の前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域を設定するキャリア周波数帯域設定ステップと、
前記ベースバンド信号生成部で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出する空き周波数帯域検出ステップと、
前記複数のベースバンド信号生成部のうち前記キャリア周波数帯域設定ステップで設定されなかった空きベースバンド信号生成部に対して、前記空き周波数帯域検出ステップで検出された空き周波数帯域の少なくとも一部を設定する空き周波数帯域設定ステップと、
前記空きベースバンド信号生成部の出力強度に基づいて、前記アナログ信号処理部の出力異常の故障を検出する故障検出ステップと、
を有することを特徴とする故障検出方法。
【請求項9】
複数のキャリア信号を含むアナログ信号に対し低雑音増幅を含むアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部と、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部と、前記A/D変換手順で変換されたデジタル信号を分配する分配部と、前記分配手順で分配された信号のうち、互いに異なる周波数帯域の信号をそれぞれ複数のベースバンド信号に変換するベースバンド信号生成部と、を有する受信機を制御するコンピュータに、
前記複数のベースバンド信号生成部のうちの一部のベースバンド信号生成部に対して、前記複数の前記キャリア信号に基づくベースバンド信号の生成に使用するキャリア周波数帯域を設定するキャリア周波数帯域設定手順と、
前記ベースバンド信号生成部で信号生成可能な受信周波数領域のうち、前記キャリア周波数帯域以外の空き周波数帯域を検出する空き周波数帯域検出手順と、
前記複数のベースバンド信号生成部のうち前記キャリア周波数帯域設定手順で設定されなかった空きベースバンド信号生成部に対して、前記空き周波数帯域検出手順で検出された空き周波数帯域の少なくとも一部を設定する空き周波数帯域設定手順と、
前記空きベースバンド信号生成部の出力強度に基づいて、前記アナログ信号処理部の出力異常の故障を検出する故障検出手順と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−175691(P2012−175691A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39082(P2011−39082)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】