説明

受信機及び送信機

【課題】 確実に解錠しながらも受信機の損傷を低減する受信機及び送信機を提供する。
【解決手段】 非接触認証システム1は、リーダ3と鍵5を備えている。リーダ3の前面11bに形成されたかざし部28中央には椀状の凹部29が形成され、その内周面が黒色の受信面となっている。また、凹部29にはその凹部29の中心部を囲むように、その中心部を指示する円形の貫通孔31が貫通形成されている。さらに、鍵5の把持部43中央にも鍵5の基端部5a側に向かって矢印形の指標が形成されている。使用者は、鍵5の差込部45側を握り、リーダ3のかざし部28から2センチメートル程度の距離まで近づける。そして、受信部25が送信部の送信した固有の識別情報を認証したとき、リーダ3に備えられたLEDが点滅発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機及び送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンション等の集合住宅の住人共用のエントランス等に防犯ドアが設置されている。エントランスからマンションに入る際には、住民はエントランスの近辺に設置してある鍵とインターホンを備えた集合玄関機を鍵で解錠し、来訪者はインターホンを介して住民に集合玄関機を解錠してもらっていた。しかし、住民がエントランスからマンションに入る際に両手に荷物等を持っているとき等は一度荷物を地面に置いて鍵を解錠するため不便であったり、集合玄関機のピッキング等を防止する必要があったりするため、非接触式のロック装置が望まれていた。
【0003】
そこで、扉用二重ロック装置が提案されている(例えば、特許文献1)。扉用二重ロック装置は、ドアにメインの通常のキーロック装置に加えて電気的に駆動される補助ロック装置を取り付け、ドアの室外側表面に通常のキーロック装置の鍵孔と補助ロック装置の読み取り部とを有するロックアセンブリを取り付ける。メインのキーロック装置は鍵孔にキーアセンブリのキー部を差し込んで操作し、補助ロック装置は読み取り部にキーアセンブリのキータグをかざすことにより室外から操作する。
【特許文献1】特開2003−201785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の扉用二重ロック装置では、キータグと読み取り部との間の距離を十分なものとするために、読み取り部がドアの前面に出っ張っていることが多かった。そのため、住民がキータグを読み取り部にかざす際に距離感をつかみにくく、読み取り部にキータグが接触してしまい、読み取り部が損傷することがあった。一方、読み取り部が損傷しないようにキータグを過剰に遠ざけると、読み取り部が電波を受信できず、ドアを解錠することができなかった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、確実に解錠しながらも受信機の損傷を低減する受信機及び送信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、かざし板を有し、そのかざし板に送信機をかざして同送信機からの情報を受信する受信機において、前記かざし板を凹設して凹状の受信面を形成した。この発明によれば、かざし板に凹状の受信面を形成したので、送信機をかざし板にかざす際に、送信機が受信機の受信面に当接するのを低減でき、受信面の損傷を未然に防止することができる。また、送信機が凹状の受信面に入る程度まで近づけるように、凹状の受信面が使用者を誘導するため、送信機と受信機とが通信するのに適当な距離を確保しやすい。従って、確実に情報を受信しながらも受信機の受信面の損傷を低減することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の受信機において、前記送信機からの情報を受信するための電子部品を収容する収容室を有したケース本体を備え、そのケース本体の一側壁を前記かざし板とし、その一側壁を凹設して凹状の受信面を形成した。この発明によれば、送信機からの情報を受信するための電子部品を収容するケース本体の一側壁をかざし板とし、その一側壁を凹設して凹状の受信面を形成した。この結果、送信機を受信面
にかざして、受信機が送信機からの情報を受信するときに、送信機が受信機の受信面に当接するのを低減でき、受信面の損傷を未然に防止することができる。また、送信機が凹状の受信面に入る程度まで近づけるように、凹状の受信面が使用者を誘導するため、送信機と受信機とが通信するのに適当な距離を確保しやすい。従って、確実に情報を受信しながらも受信機の受信面の損傷を低減することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の受信機において、前記かざし板に形成した凹状の受信面を照明する発光手段を備えた。この発明によれば、かざし板に形成した凹状の受信面を照明する発光手段を備えたので、例えば、受信機の周辺が暗いときであっても、使用者が受信面を容易に視認することができる。また、例えば、受信機が情報を受信したとき発光手段を照明させることによって、情報が受信されたか否かを使用者が確実に認識することができるので、使用者が何度も送信機を受信機にかざす手間を低減することができる。従って、確実に情報を受信することができる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の受信機において、前記かざし板の背面側であって前記受信面と対向する位置に導光板を設け、前記導光板にて前記発光手段からの光を前記かざし板に形成した凹状の受信面に導光するようにした。この発明によれば、かざし板の背面側であって前記受信面と対向する位置に設けられた導光板にて発光手段からの光をかざし板に形成した凹状の受信面に導光する。この結果、例えば、発光手段が点発光素子であっても、受信面全体に発光手段からの光を導くことができる。従って、使用者が容易に受信機を視認できる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受信機において、前記かざし板に形成した凹状の受信面には、前記受信面の中心部を指示する指標が形成されている。この発明によれば、凹状の受信面に中心部を指示する指標が形成されているので、情報を送信するために受信面に送信機を近づける操作を、使用者が視覚を通じて容易に把握することができる。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の受信機において、前記指標は、前記導光板からの光を前記受信面側に出射させるための前記受信面に貫通形成した貫通孔である。この発明によれば、指標は貫通孔であるため、擦れて指標がかすれたり、消えたりすることを低減することができる。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の受信機において、前記貫通孔は、透過性の樹脂が埋設されている。この発明によれば、貫通孔には樹脂が埋設されているため、貫通孔にゴミが溜まって汚れることがない。
【0013】
請求項8に記載の発明は、送信部を備え、同送信機を受信機のかざし板にかざして同受信機に情報を送信するようにした送信機において、送信機を把持して前記送信機を前記かざし板にかざす際、その送信機の把持部に、その把持部を把持する親指又は人差し指の方向に合わせた位置決め手段を設けた。この発明によれば、情報を送信するために送信機を手で把持する際の把持部に、その把持部を把持する親指又は人差し指の方向に合わせた位置決め手段を設けたので、その把持部に当接する親指または人差し指の方向を特定することができる。この結果、送信機の向きを間違えて、かざし板にかざすようなことがなく、便利である。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の送信機において、前記位置決め手段は、前記把持部の一側に、親指の位置を特定する第1位置決め手段と、前記把持部の他側に、人差し指の位置を特定する第2位置決め手段とが設けられ、前記第2位置決め手段は、前記第1位置決め手段より送信機の先端側に形成されている。この発明によれば、送信機を手
で把持する際の他側の把持部に人差し指の位置を特定する第2位置決め手段は、送信機を手で把持する際の一側の把持部に、親指の位置を特定する第1位置決め手段より先端側に形成されている。この結果、送信機をかざし板にかざす際に送信機の向きを間違えることがなく、便利である。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の送信機において、前記第1位置決め手段に前記送信機の基端側を指示する指標が形成されている。この発明によれば、第1位置決め手段に送信機の基端側を指示する指標が形成されているので、送信機の使用方法を、使用者が視覚を通じて容易に把握することができる。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項8乃至10のいずれか1項に記載の送信機において、前記送信機は鍵に設けられている。この発明によれば、送信機は鍵に設けられているので、例えば、送信機と別に扉を物理的に解錠する鍵を所有するときと比較して、鍵及び送信機の管理の手間を低減することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、確実に解錠しながらも受信機の損傷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、発明を具体化した一実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図1は非接触認証システムを説明するための斜視図である。図1に示すように、非接触認証システム1は、受信機としてのリーダ3と送信機としての鍵5とを備えている。本実施形態では、リーダ3は、マンション等の集合住宅のエントランス脇に備えられた集合玄関機6に取り付けられている。集合玄関機6は、エントランスを不特定多数の人に開けられないようにマンションの住民が鍵で解錠したり、訪問客が各住居にいる住民にエントランスの解錠を依頼したりするためのものであって、インターホン7や、鍵5を持っていない来客が部屋番号等を入力するためのテンキー9と共に取り付けられている。一方、鍵5はマンションの各住居のドアを不特定多数の人に開けられないように取り付けられた錠を開閉するためのものであって、各住民が異なる鍵5を所有している。そして、この鍵5の基端部5aをリーダ3から2センチメートル程度の位置に近づけることによって、鍵5とリーダ3とが無線でデータを送受信する。本実施形態では、例えば、鍵5から各住民に付与された固有の識別情報等の情報が送信され、リーダ3がその識別情報を認証すると、マンションのエントランスが解錠されるようになっている。
【0019】
次に、リーダ3について図2〜図6、図12に従って説明する。図2はリーダ3の正面図、図3はリーダ3の断面図、図4はリーダ3の平面図、図5はリーダ3の背面図である。図3及び図4に示すように、リーダ3は、ケース本体としての本体11と該本体11の前面を覆うカバー13を備えている。本体11は、プラスチックで形成され、本実施形態では不透明な黒色の樹脂で形成されている。本体11は、その背面11a側に収容室としての第1収容部15が凹設されている。そして、本体11に形成した第1収容部15の前側を閉塞する一側壁を前側壁15aとし、その前側壁15aは上下左右方向に延出形成されている。前側壁15aの第1収容部15側の面には、横方向の長さが長い長方形の第2収容部17が凹設されている。
【0020】
第1収容部15には、基板19が収容されている。基板19は、図5に示すように四角形であって、例えば、エポキシ樹脂で形成されている。そして、その基板19上に発光手段としてのLED21、LED21用の電源端子23等が形成されている。図3及び図4に示すように、第1収容部15であって、基板19の前面には、受信部25が実装されている。
【0021】
第2収容部17には導光板27が収容されている。導光板27は、アクリル等の透明樹脂で形成されており、端面より入力された光を均一に面発光させる。本実施形態では、LED21が発光すると、その光を導光板27を介して均一に前側壁15aに伝搬するようになっている。
【0022】
一方、図2及び図3に示すように、前側壁15aの前面11bには、前面11bより若干突出形成された円板形状のかざし板としてのかざし部28が形成されている。かざし部28は、椀状の凹部29が凹設され、その内周面を受信面30としている。椀状の凹部29は、前面からみた外形が受信部25の各辺の長さと等しい直径であって、その中心部の最も深い場所が前記導光板27に接しない程度の深さで形成されている。凹部29には、その凹部29の中心部を囲むように、その中心部を指示する指標としての円形の貫通孔31が6つ貫通形成されており、リーダ3を前面(本体11の前面11b側)から見たときに、使用者がその貫通孔31から前記導光板27を視認できるようになっている。
【0023】
前記各貫通孔31は、光透過性の樹脂31a、例えば透明のアクリル樹脂が埋設されている。従って、導光板27を伝搬してきたLED21の光は各貫通孔31の各樹脂31aを介して伝搬し、受信面30側に出射する。その結果、使用者が、黒色のかざし部28に形成された各貫通孔31(樹脂31a)を介して前記導光板27からの光を視認でき、同かざし部28の位置を容易に確認できるようにしている。
【0024】
また、かざし部28の上下両側部の前側壁15aには、一対の螺合穴33が前面11bから凹設され、その螺合穴33には雄ネジ貫挿穴34がそれぞれ貫通形成されている。図12に示すように、集合玄関機6の前面板6aに形成した嵌合穴35に、前側壁15aが前面板6aの表面に係合するように本体11を嵌合させる。そして、前面板6aの背面から雄ネジBを、螺合穴33(図3参照)に配設したナットNに螺合させることによって、本体11は集合玄関機6の前面板6aに固定される。
【0025】
集合玄関機6の前面板6aに固定された本体11の前面11bには、カバー13が本体11を覆うように接着されている。カバー13は、亜鉛ダイキャストで形成されている。また、図2に示すように、カバー13の前面中央には、前記円形のかざし部28が露出するように貫通窓36が形成されている。
【0026】
次に、本体11の第1収容部15に収容した受信部25の電気的構成を図6に従って説明する。
図6において、受信部25は、電子部品としてのアンテナコイル37、リーダ回路38、CPU39、メモリ40を備えている。リーダ回路38は、アンテナコイル37に交流電圧をかけることにより電磁界を発生させて、鍵5に電力を供給すると共に、アンテナコイル37にて鍵5から送信される固有の識別情報等を受信する。リーダ回路38は、アンテナコイル37が受信した識別情報等を復調する。CPU39は、復調した識別情報がメモリ40に予め記憶された居住者等の識別情報と一致するか否かを判断する。CPU39は、識別情報が予め登録した居住者等の識別情報と一致したと判断したとき、白く発光しているLED21を点滅発光させる。また、このとき、CPU39は、マンションのエントランスを解錠させるための制御信号を生成し、図示しないエントランス開閉装置に出力するようになっている。一方、識別情報が一致しないと判断したとき、CPU39はLED21を点滅発光させないようになっている。
【0027】
次に、鍵5について図7〜図10に従って説明する。図7は鍵5の正面図、図8は鍵5の背面図、図9は鍵5の側面図、図10は鍵5の平面図である。図7に示すように、鍵5は、金属からなる鍵本体41と鍵本体41に取着される把持部43とを備えている。この鍵本体41は、鍵穴に差し込まれる差込部45を備えており、この差込部45には溝及び
切欠き等が形成されている。また、鍵5は、この差込部45に形成された溝及び切欠きを除いて、左右対称に形成されている。さらに、図9に示すように、鍵本体41は、差込部45の一端に連続して形成された板状の取着部47を備えている。取着部47は、差込部45の反対側に向かうにつれて拡がるような略台形状に形成されている。
【0028】
把持部43は、図9に示すように、樹脂からなる板状の表用チップ43a及び裏用チップ43bによって構成され、表用チップ43aが鍵本体41の取着部47の表面47a側に、裏用チップ43bが前記取着部47の裏面47b側になるように鍵本体41に対して固定される。
【0029】
図7に示すように、表用チップ43aは、その外形が略台形状になるように形成され、基端部43cに向かうにつれて拡がっている。そして、表用チップ43aは、基端部43c側が鍵本体41の基端部側(鍵5の基端部5a側)に、先端部43d側が差込部45側になるように鍵本体41に取着される。
【0030】
表用チップ43aの表面右側には、送信部49が内蔵されている。また、表用チップ43aの表面中央には、位置決め手段、第1位置決め手段としての表側凹部51が鍵5の長手方向に沿って形成されている。この表側凹部51は、使用者が鍵5を各住居のドアに形成された鍵穴に差し込む際の、表用チップ43aに当接する親指の方向に合わせて形成されている。また、表側凹部51の表面には、鍵5の基端側(基端部5a側)に向かうような矢印形の指標53が3つ切欠き形成されている。これにより、使用者が送信部49から識別情報を送信する際に、差込部45を握って鍵5の基端部5a側をリーダ3に向けることが視覚を通じて理解しやすくなっている。つまり、表側凹部51は、使用者が送信部49から識別情報を送信する際に差込部45を握ったときの表用チップ43aに当接する親指の方向にも合うように形成されている。
【0031】
一方、図8に示すように、裏用チップ43bは、表用チップ43aと同様に略台形状に形成され、基端部43eに向かうにつれて拡がっている。この裏用チップ43bは、その基端部43eを鍵本体41の基端部側(鍵5の基端部5a側)にして鍵本体41に対して取着される。さらに、裏用チップ43bの表面には、蒲鉾形状の位置決め手段、第2位置決め手段としての凸部55が形成されている。この凸部55は、前記表側凹部51より先端側(鍵5の差込部45側)に形成されているため、把持部43を把持した際に、人差し指の腹が凸部55の先端部43f側に沿って密着し、ぴったりと合うような感触を使用者に与える。さらに、送信部49から固有の識別情報を送信する際に、使用者が差込部45側を握ったときにも人差し指の腹が凸部55の基端部43e側に沿って密着し、ぴったりと合うような感触を使用者に与える。
【0032】
詳述すると、解錠又は施錠のために把持部43を把持する際には、親指と人指し指とを略直交するように交差させて、親指の腹と人指し指の側面とで把持部43の基端部43e,43c側を挟んで支持するのが通常である。また、リーダ3に鍵5を近づけるために差込部45を把持する際には、図12に示すように、親指と人指し指とを略直交するように交差させて、親指の腹と人指し指の側面とで把持部43の先端部43f,43d側を挟んで支持するのが通常である。いずれの場合も、親指の腹が、表用チップ43aの表面に当接し、人指し指の側面が裏用チップ43bの表面に当接する。従って、表用チップ43aに表側凹部51を設けることにより、把持部43を把持した際に親指の腹が表側凹部51に沿って密着し、ぴったりと合うような感触を使用者に与える。さらに、裏用チップ43bに突設された凸部55に人差し指の側面が密着し、ぴったりと合うような感触を使用者に与える。
【0033】
次に、鍵5の表用チップ43aに内蔵された送信部49の電気的構成を図11に従って
説明する。
図11において、送信部49は、アンテナコイル61a,61b、クロック63、CPU65、メモリ67、変調回路69、電源回路70を備えている。本実施形態の送信部49には電池が内蔵されておらず、リーダ3内の受信部25のアンテナコイル37に交流電圧をかけることにより発生する電磁界を、送信部49のアンテナコイル61aが受けて電力が誘導されることにより、その電力が電源回路70に供給され充電される。また、この電力供給時にキャリア周波数も受信し、このキャリア周波数を用いて作成した通信周波数等からなるクロック63によって送信部49内の回路は動作する。そして、CPU65は、メモリ67に記憶された固有の識別情報を変調回路69で変調し、アンテナコイル61bを介して表用チップ43aの基端側(鍵5の基端部5a側)から受信部25に送信する。
【0034】
次に、上記のように構成されたリーダ3を鍵5を用いて解錠する場合の作用について説明する。
まず、図12に示すように、使用者は、鍵5の差込部45側を握り、リーダ3のかざし部28から2センチメートル程度の距離まで近づける。このとき、リーダ3のカバー13の前面に当接する程度の距離まで鍵5を近づけても、リーダ3(本体11)のかざし部28には凹部29が形成されているため、鍵5が凹部29に当接して本体11の前面11bを損傷するのを低減することができる。また、図2に示すように、凹部29には該凹部29の中心部を囲むように、その中心部を指示する円形の貫通孔31を貫通形成したことから、導光板27を伝搬してくるLED21の光は貫通孔31を介して出射されるため、この凹部29の中心部に向かって鍵5を近づけることを使用者が視覚を通じて容易に把握することができる。
【0035】
また、送信部49が送信した識別情報を受信部25が認証したとき、リーダ3に備えられたLED21が白く点滅発光する。そのため、使用者は、識別情報が認識されたか否かを視認することができるので、使用者が識別情報が認証されたか否かを把握できずに何度も鍵5をかざし部28に近づけたりする必要がない。
【0036】
一方、識別情報が認識されてエントランスが解錠されると、使用者はエントランスを通過し、その使用者の住居まで行く。そして、使用者は、鍵5を持ち替えて鍵5の把持部43側を把持し、各住居のドアに形成された鍵穴に鍵5の差込部45を差込み、住居のドアを解錠する。
【0037】
上記実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、リーダ3の本体11の前面11bに、使用者が鍵5をかざすためのかざし部28を形成し、そのかざし部28に椀状の凹部29を設け、その内周面を受信面30とした。そして、その本体11の前面11bを覆うカバー13の前面中央にかざし部28が露出するように貫通窓36を形成した。この結果、識別情報の認証の際に、リーダ3のカバー13のかざし部28に当接する程度の距離まで使用者が鍵5を近づけても、かざし部28には凹部29が形成されているため、鍵5のリーダ3への当接によるリーダ3の損傷を低減することができる。
【0038】
(2)本実施形態では、リーダ3の本体11の前面11bに形成されたかざし部28に凹部29を設けた。この結果、識別情報の認証の際に、使用者が鍵5をかざし部28に近づけるとき、鍵5が凹部29に入る程度まで近づけるように、凹部29が使用者を誘導するため、送信部49(鍵5)と受信部25(リーダ3)とが通信するのに適当な距離を確保しやすい。従って、確実にエントランスを解錠することができる。
【0039】
(3)本実施形態では、リーダ3の本体11の前面11bに形成されたかざし部28に
凹部29を設けた。この結果、識別情報の認証の際に、使用者が鍵5をリーダ3に近づけるとき、送信部49(鍵5)と受信部25(リーダ3)とが通信するのに適当な距離を確保しながらも、鍵5のリーダ3への当接によるリーダ3の損傷を低減することができる。従って、エントランス(リーダ3)の解錠の際に使用者の安心感を高めることができる。
【0040】
(4)本実施形態では、凹部29にその凹部29の中心部を囲むように、その中心部を指示する円形の貫通孔31を6つ貫通形成したので、エントランスを解錠するために凹部29(かざし部28)に鍵5を近づける操作を、使用者が視覚を通じて容易に把握することができる。
【0041】
(5)本実施形態では、貫通孔31は凹部29に貫通形成したので、印刷等により形成された指標のように擦れて、かすれたり、消えたりするといったことはない。
(6)本実施形態ではしかも、貫通孔31には透明の樹脂31aを埋設したので、ゴミ等が溜まって汚れて美観を損なうこともなく、掃除も容易に行うことができる。
【0042】
(7)本実施形態では、鍵5に送信部49を設けたので、例えば、送信部49を備えていない鍵5と別に送信部49を備えた非接触ICカードを用いて、リーダ3を解錠するときと比較して、複数の鍵等を使用者が管理する手間を低減することができる。
【0043】
(8)本実施形態では、鍵5の把持部43の表用チップ43aに表側凹部51を設けたので、リーダ3に鍵5を近づけるため、使用者が差込部45を把持したとき、触感により、確実にその表側凹部51に親指の位置を特定することができる。
【0044】
(9)本実施形態では、鍵5の把持部43の表用チップ43aに設けた表側凹部51は、使用者がリーダ3に鍵5を近づけるため差込部45を把持したとき、各住居のドアを解錠するため把持部43を把持したときのいずれの場合であっても、触感により、確実にその表側凹部51に親指の位置を特定することができる。従って、エントランス(リーダ3)の解錠、住居のドアの解錠のいずれの場合であっても、使用者が鍵5の持ちかたを間違えることを低減し、確実に解錠することができる。
【0045】
(10)本実施形態では、鍵5の把持部43の裏用チップ43bに凸部55を設けたので、使用者がリーダ3に鍵5を近づけるため差込部45を把持したとき、触感により、確実にその凸部55に人差し指の位置を特定することができる。
【0046】
(11)本実施形態では、鍵5の把持部43の裏用チップ43bに設けた凸部55は、リーダ3に鍵5を近づけるため差込部45を把持したとき、各住居のドアを解錠するため把持部43を把持したときのいずれの場合であっても、触感により、確実にその凸部55に人差し指の位置を特定することができる。従って、エントランス(リーダ3)の解錠、住居のドアの解錠のいずれの場合であっても、使用者が鍵5の持ちかたを間違えることを低減し、確実に解錠することができる。
【0047】
(12)本実施形態によれば、鍵5に備えられた送信部49から送信された識別情報が、リーダ3に備えられた受信部25にて受信されて認証されると、リーダ3のLED21が点滅した。この結果、認証されたか否かを使用者が確実に認識することができるので、使用者が何度も鍵5をリーダ3に近づける操作を繰り返す手間を低減することができる。
【0048】
(13)本実施形態によれば、鍵5に備えられた送信部49から送信された識別情報が、リーダ3に備えられた受信部25にて受信されて認証されると、リーダ3のLED21が点滅した。この結果、認証されたか否かを使用者が確実に認識することができるので、エントランス(リーダ3)の解錠の際に使用者の安心感を高めることができる。
【0049】
(14)本実施形態によれば、リーダ3のかざし部28(受信面30)は黒色で、LED21の光を白にした。この結果、白と黒の対照的な外観となり、使用者が、LED21の点滅を容易に視認することができる。従って、認証されたか否かを使用者が確実に認識することができる。
【0050】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、鍵5に送信部49を設けたが、鍵5に送信部49を設けずに、鍵5とは別に、送信機としての非接触ICカード等に送信部49を設けてもよい。この場合であっても、リーダ3のかざし部28に形成された凹部29によって、非接触ICカード等をかざし部28に過剰に近づけてしまってリーダ3に非接触ICカード等が当接することによるリーダ3の損傷を低減することができる。また、この非接触ICカードの表面に親指の位置を特定可能な凹部を、裏面に人差し指の位置を特定可能な凸部を形成することによって、使用者が非接触ICカード等の持ちかたを間違えることを低減し、確実に解錠することができる。
【0051】
○上記実施形態では、本体11の前面11b側にカバー13が取り付けられたが、カバー13を取り付けなくてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
○上記実施形態では、リーダ3に形成した凹部29は円形であったが、これに限らず、例えば、楕円形、三角錐形、円錐形、四角錐形、菱形、四角形、星形等、リーダ3の本体11の前面11bより凹んでいればどのような形でもよい。
【0053】
○上記実施形態では、凹部29の中心部を囲むように、その中心部を指示する指標としての円形の貫通孔31を6つ貫通形成した。これに限らず、図13に示すように、凹部29の中心部を囲むように貫通形成された円形の貫通孔31は4つでもよく、要は、使用者が鍵5を凹部29の中心に近づける操作を視覚を通じて容易に把握することができれば、その数は限定されない。
【0054】
○上記実施形態では、凹部29の中心部を囲むように、その中心部を指示する指標としての円形の貫通孔31を6つ貫通形成したが、これに限らず、図14に示すように、凹部29の中心部に向かうような左右対称の矢印形の貫通孔31を3つずつ貫通形成してもよい。また、円形、矢印形以外であっても、星形、三つ葉形、放射形、雫形等、使用者が鍵5を凹部29の中心に近づける操作を視覚を通じて容易に把握できやすい形であればよく、使用者が鍵5を凹部29の中心に近づける操作を視覚を通じて容易に把握することができればよい。さらに、貫通孔31の個数も同様に、使用者が鍵5を凹部29の中心に近づける操作を視覚を通じて容易に把握できる個数であればよい。
【0055】
○上記実施形態では、凹部29に指標としての貫通孔31を貫通形成したが、これに限らず、凹部29に指標を描いてもよい。これにより、エントランスを解錠するためにリーダ3のかざし部28に鍵5を近づける操作を、使用者が視覚を通じて容易に把握できながらも、指標の形状や位置を容易に変更することができる。また、凹部29に指標のステッカー等を貼付してもよいし、凹部29に指標を刻印してもよいし、凹部29を透明にし、その透明の凹部29に指標を埋め込んでもよく、使用者が鍵5をリーダ3のかざし部28に近づける操作を視覚を通じて容易に把握できればよい。
【0056】
○上記実施形態では、鍵5の表側凹部51に形成した指標53は、鍵5の基端部5aに向かうような矢印形であったが、これに限らず、使用者が鍵5の基端部5aをリーダ3に近づけることを視覚を通じて容易に把握することができる形状であればよい。
【0057】
○上記実施形態では、夜間等のリーダ3の周囲が暗いときのみLED21を常に発光させてもよい。この場合、LED21と導光板27に替えて、リーダ3は蓄光板を備えてもよい。また、識別情報を認識しているか否かに関わらず常にLED21を発光させ、識別情報を認識したときには他の色でLED21を発光させたり、点滅させたりしてもよい。これにより、識別情報を認識したか否かを使用者が視覚を通じて容易に把握しながらも、夜間や日陰等でリーダ3周辺が暗いときであっても、使用者が容易に、確実にエントランス(リーダ3)を解錠することができる。
【0058】
○上記実施形態では、リーダ3はLED21と導光板27を備え、受信部25が送信部49の送信した識別情報を受信し、CPU39が認識したときLED21から発光する光は一色であった。これを、6つの貫通孔31のうち、各貫通孔31から異なる色の光を出射させてもよいし、各貫通孔31を順番に同じ色又は異なる色の光を出射させてもよいし、各貫通孔31からランダムに同じ色又は異なる色で出射させてもよいし、所定の位置に形成された貫通孔31から順番に出射させてもよい。すなわち、一層、使用者が凹部29の中央部に鍵5を近づけることを視覚を通じて把握しやすくなれば、どのような発光方法でもよい。
【0059】
また、同様の発光方法を、識別情報を認識したときに適用してもよい。これにより、一層、エントランス(リーダ3)が解錠されたことを使用者が視覚を通じて把握することができるため、使用者が複数回、解錠操作をすることを低減することができるとともに、エントランス(リーダ3)の解錠の際の安心感を高めることができる。
【0060】
○上記実施形態では、リーダ3の受信面30は黒色であって、リーダ3のLED21は白く発光した。これに限らず、受信面30とLED21の発光する色は、それぞれ対照的であって、使用者が、LED21の点灯を容易に把握することができる色であればよい。
【0061】
○上記実施形態では、リーダ3はLED21と導光板27を備え、受信部25が送信部49の送信した識別情報を受信し、CPU39が認識したときLED21が点滅発光し、その光が導光板27によって拡散された。これを、LED21及び導光板27を備えずに、発光手段として有機エレクトロルミネッセンス素子等の面発光素子を用いてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
○上記実施形態では、リーダ3はLED21と導光板27を備え、受信部25が送信部49の送信した識別情報を受信し、CPU39が認識したときLED21が点滅発光し、その光が導光板27によって拡散されたが、導光板27を備えなくてもよい。
【0063】
○上記実施形態では、リーダ3はLED21と導光板27を備え、受信部25が送信部49の送信した識別情報を受信し、CPU39が認識したときLED21が点滅発光し、その光が導光板27によって拡散された。これを、リーダ3がLED21、導光板27を備えなくてもよい。この場合であっても、識別情報の認証の際に、リーダ3のカバー13の前面に当接する程度の距離まで使用者が鍵5を近づけても、リーダ3(本体11)には凹部29が形成されているため、鍵5のリーダ3への当接によるリーダ3の損傷を低減することができる。
【0064】
○上記実施形態では、リーダ3はLED21と導光板27を備え、受信部25が送信部49の送信した識別情報を受信し、CPU39が認識したときLED21が点滅発光したが、LED21に限らず、発光手段として有機エレクトロルミネッセンス等の発光素子を用いてもよい。
【0065】
○上記実施形態では、リーダ3の凹部29に鍵5をかざすとき、鍵5の基端部5a側をかざす、すなわちリーダ3と鍵5とが直交するようにかざしたが、これに限らず、鍵5の表用チップ43a側をかざす、すなわちリーダ3と鍵5とが平行になるようにかざしてもよい。
【0066】
○上記実施形態では、裏用チップ43bに人差し指の側面を密着させることのできる蒲鉾形状の凸部55を形成したが、これに限らず、四角柱状、四角錐状等人差し指の側面を密着させることのできる形であれば他の形状でもよい。
【0067】
○上記実施形態では、裏用チップ43bに人差し指の側面を密着させることのできる蒲鉾形状の凸部55を形成したが、これに限らず、人差し指の腹を密着可能な凹部を形成してもよく、人差し指の位置が特定できる形状であればよい。
【0068】
○上記実施形態では、表側凹部51に指標53を切欠き形成したが、これに限らず、表側凹部51に指標53を描いてもよいし、表側凹部51に指標53のステッカー等を貼付してもよいし、表側凹部51を透明部材にして指標53を埋め込んでもよく、使用者が鍵5の基端部5a側を凹部29の中心に近づける操作を視覚を通じて容易に把握できればよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態の非接触認証システムの概略を説明するための斜視図。
【図2】同じく、リーダの正面図。
【図3】同じく、リーダの断面図。
【図4】同じく、リーダの平面図。
【図5】同じく、リーダの背面図。
【図6】同じく、受信部の電気的構成を説明するブロック図。
【図7】同じく、鍵の正面図。
【図8】同じく、鍵の背面図。
【図9】同じく、鍵の側面図。
【図10】同じく、鍵の平面図。
【図11】同じく、送信部の電気的構成を説明するブロック図。
【図12】同じく、非接触認証システムの使用方法を説明する説明図。
【図13】別例のリーダの正面図。
【図14】同じく、リーダの正面図。
【符号の説明】
【0070】
1…非接触認証システム、3…リーダ、5…鍵、5a…基端部、6…集合玄関機、11…本体、11a…背面、13…カバー、19…基板、21…LED、25…受信部、27…導光板、28…かざし部、29…凹部、30…受信面、31…貫通孔、31a…樹脂、33…螺合穴、36…貫通窓、41…鍵本体、43…把持部、45…差込部、49…送信部、51…表側凹部、53…指標、55…凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かざし板を有し、そのかざし板に送信機をかざして同送信機からの情報を受信する受信機において、
前記かざし板を凹設して凹状の受信面を形成したことを特徴とする受信機。
【請求項2】
請求項1に記載の受信機において、
前記送信機からの情報を受信するための電子部品を収容する収容室を有したケース本体を備え、そのケース本体の一側壁を前記かざし板とし、その一側壁を凹設して凹状の受信面を形成したことを特徴とする受信機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の受信機において、
前記かざし板に形成した凹状の受信面を照明する発光手段を備えたことを特徴とする受信機。
【請求項4】
請求項3に記載の受信機において、
前記かざし板の背面側であって前記受信面と対向する位置に導光板を設け、前記導光板にて前記発光手段からの光を前記かざし板に形成した凹状の受信面に導光するようにしたことを特徴とする受信機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の受信機において、
前記かざし板に形成した凹状の受信面には、前記受信面の中心部を指示する指標が形成されていることを特徴とする受信機。
【請求項6】
請求項5に記載の受信機において、
前記指標は、前記導光板からの光を前記受信面側に出射させるための前記受信面に貫通形成した貫通孔であることを特徴とする受信機。
【請求項7】
請求項6に記載の受信機において、
前記貫通孔は、透過性の樹脂が埋設されていることを特徴とする受信機。
【請求項8】
送信部を備え、同送信機を受信機のかざし板にかざして同受信機に情報を送信するようにした送信機において、
送信機を把持して前記送信機を前記かざし板にかざす際、その送信機の把持部に、その把持部を把持する親指又は人差し指の方向に合わせた位置決め手段を設けたことを特徴とする送信機。
【請求項9】
請求項8に記載の送信機において、
前記位置決め手段は、
前記把持部の一側に、親指の位置を特定する第1位置決め手段と、
前記把持部の他側に、人差し指の位置を特定する第2位置決め手段と
が設けられ、
前記第2位置決め手段は、前記第1位置決め手段より送信機の先端側に形成されていることを特徴とする送信機。
【請求項10】
請求項9に記載の送信機において、
前記第1位置決め手段に前記送信機の基端側を指示する指標が形成されていることを特徴とする送信機。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の送信機において、
前記送信機は鍵に設けられていることを特徴とする送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−67920(P2007−67920A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252387(P2005−252387)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000131038)株式会社オプナス (51)
【Fターム(参考)】