説明

受信装置、駆動装置、画像形成装置

【課題】LVDSレシーバにおける信号ラインの異常を検出することが可能な受信装置、駆動装置、画像形成装置を提供することを目的としている。
【解決手段】LVDSレシーバ110の非反転入力端子T10の電圧と反転入力端子T20の電圧との電位差が、LVDSレシーバ110が正常にデータ伝送を行うことが可能な入力の電位差の範囲において最も小さい電位差未満である状態が一定時間継続した場合を、信号ラインの異常として検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小振幅の差動信号を送信するドライバより送信された信号を受信する受信装置、この受信装置を有する駆動装置、この駆動装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速データの要求を満たすためのデータ伝送方式として、小振幅差動信号(LVDS:Low Voltage Differential Signal)方式が注目されている。LVDS方式は、例えばPPC(プレーン・ペーパー・コピア)やレーザ・プリンタにおいて画像処理プロセッサからレーザ・ダイオードを駆動させるレーザドライバへのデータ伝送を行う場合等に用いられる。
【0003】
従来のLVSD方式は、LVDSドライバとLVDSレシーバとが接続ケーブルを介して接続されて実現される。従来のLVDS方式において、LVDSレシーバの入力端子の入力データの状態が不定となった場合、LVDSレシーバの出力データも不定となる。
【0004】
例えば上述の画像処理プロセッサとレーザドライバとの間のデータ伝送にLVDS方式が用いられていた場合に、LVDSレシーバの出力データが不定となった場合、レーザ・ダイオードの発光を正しく制御できない等の問題があった。
【0005】
そこで従来のLVDSレシーバでは、入力端子に印加される入力データの状態の不定を検出する手段が考えられている。図1は、従来のLVDSレシーバの一例を示す図であり、図2は、従来のLVDSレシーバの他の例を示す図である。
【0006】
例えば図1(A)及び図1(B)に示すLVDSレシーバでは、入力端子A、Bが断線状態となるとプルアップ抵抗Rpにより入力端子A、Bに接続された配線の電圧が電源電圧付近となる。図1(A)及び図1(B)に示すLVDSレシーバでは、このとき入力端子A、Bの断線状態を検出する。図2に示すLVDSレシーバも同様である。
【0007】
また図1、図2に示す手段の他にも、例えば特許文献1には小振幅差動信号によりデータ伝送を行い、そのデータに基づきレーザ光を発生させる場合に問題となる事故の発生を防止する技術が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来の技術では、2本の入力端子(反転入力端子、非反転入力端子)のうち一方の入力端子のみ断線した場合には、信号ラインの異常を検出することはできない。従来のLVDSレシーバでは、一方の入力端子のみ断線した場合には、終端抵抗によりLVDSレシーバの反転入力端子の電圧、非反転入力端子の電圧共に同電位となるからである。
【0009】
反転入力端子の電圧、非反転入力端子の電圧共に同電位となるのは、通常プルアップ抵抗の方が終端抵抗よりも十分に抵抗値が大きいので、LVDSドライバ側の同相入力電圧を決定している基準電圧に引きずられるためである。
【0010】
また例えば一方の入力端子側の配線が短絡(接地もしくは電源電圧)した場合も同様に、LVDSレシーバの反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧とは、意図しない電圧レベル(接地もしくは電源電圧)で同電位となる場合がある。よって信号ラインの異常を検出することはできない。さらに反転入力端子と非反転入力端子とがショートした場合も同様に、反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧とが同電位になる。よって信号ラインの異常を検出することはできない。
【0011】
また従来のLVDSレシーバでは、LVDSレシーバの同相入力電圧を決定している基準電圧と、LVDSドライバ側の出力データとが別々に制御されている場合がある。この場合に、LVDSドライバ側の出力がハイインピーダンスであり、基準電圧が正常に出力されていると、LVDSレシーバの2本の入力端子の電圧は同電位となる。よって信号ラインの異常を検出することはできない。
【0012】
反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧とが同電位の場合、LVDSレシーバの出力データの状態は不定となる。
【0013】
出力データの状態が不定となると、LVDSレシーバを用いてレーザドライバへのデータ伝送を行う場合に、LVDSレシーバからレーザドライバへ正しくデータ伝送ができない。LVDSレシーバから伝送されたデータで駆動される負荷が、レーザ・ダイオード等人体に被害を与える可能性がある負荷の場合には、特に信号配線の異常を検知して直ちに出力を停止する必要がある。
【0014】
また、LVDSドライバとLVDSレシーバとで電源が異なり、LVDSドライバ側の電源及びLVDSドライバに内蔵される出力トランジスタの耐圧が低い場合がある。この場合にLVDSドライバの出力がハイインピーダンスになると、LVDSレシーバの電源電圧がLVDSドライバに直接かかることになり、LVDSドライバが破壊する虞がある。
【0015】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、LVDSレシーバにおける信号ラインの異常を検出することが可能な受信装置、駆動装置、画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0017】
本発明は、小振幅の差動信号を送信するドライバより送信された信号を受信する受信装置であって、前記差動信号が入力される反転入力端子と非反転入力端子とを有する差動入力回路と、前記反転入力端子と前記非反転入力端子とに接続された配線の異常を検出する異常検出回路と、前記異常が検出されたとき、当該受信装置の出力信号を所定の状態とする制御回路と、を有し、前記異常検出回路は、前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が、予め決定された前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差の範囲において最小の電位差未満である状態が所定時間以上継続した場合に前記異常を検出する構成とした。
【0018】
また本発明の受信装置において、前記異常検出回路は、前記差動入力回路の前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が前記最小の電位差未満となったとき所定の信号を出力する電位差検出回路と、前電位差検出回路から出力された前記所定の信号を所定時間遅延させるディレイ回路と、を有する構成としても良い。
【0019】
また本発明の受信装置において、前記異常検出回路は、前記差動入力回路の前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が前記最小の電位差以下のとき出力信号が反転する第一のコンパレータ及び第二のコンパレータと、前記第一のコンパレータの出力信号と前記第二のコンパレータの出力信号とから生成される信号を所定時間遅延させるディレイ回路と、を有し、前記差動入力回路の反転入力端子が、前記第一のコンパレータの反転入力端子と前記第二のコンパレータの非反転入力端子とに接続され、前記差動入力回路の非反転入力端子が、前記第一のコンパレータの非反転入力端子と前記第二のコンパレータの反転入力端子とに接続され、前記第一のコンパレータの出力信号と前記第二のコンパレータの出力信号とが前記所定時間以上反転しないとき、前記異常を検出する構成としても良い。
【0020】
また本発明の受信装置において、前記異常検出回路は、前記差動入力回路の前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差を検出する電位差検出回路と、前記電位差と所定電圧とを比較する比較回路と、前記比較回路の出力信号を所定時間遅延させるディレイ回路と、を有し、前記所定電圧は、前記最小の電位差以下の値である構成としても良い。
【0021】
また本発明の受信装置において、前記ディレイ回路により遅延される前記所定時間は、前記所定時間と前記異常検出回路による検出時間との合計時間が、前記差動入力回路の最低動作レートの2倍以上となる時間であっても良い。
【0022】
また本発明の受信装置において、前記異常検出回路は、前記異常を検出したとき、前記異常を検出したことを通知する異常通知信号を出力する構成であっても良い。
【0023】
また本発明の受信装置において、前記異常検出回路は、前記異常が検出されたとき、前記差動入力回路をスタンバイ状態とする構成であっても良い。
【0024】
本発明は、ドライバから送信された小振幅の差動信号を受信して出力する受信装置からの出力信号に基づき負荷を駆動させる駆動装置であって、前記受信装置は、前記差動信号が入力される反転入力端子と非反転入力端子とを有する差動入力回路と、前記反転入力端子と前記非反転入力端子とに接続された配線の異常を検出する異常検出回路と、前記異常が検出されたとき、当該受信装置の出力信号を所定の状態として前記負荷の駆動を停止させる制御回路と、を有し、前記異常検出回路は、前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が、予め決定された前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差の範囲において最小の電位差未満である状態が所定時間以上継続した場合に前記異常を検出する構成とした。
【0025】
本発明は、帯電した感光体表面上にレーザ・ダイオードが発光するレーザ光を照射して静電潜像を形成し、前記静電潜像に付着させたトナーを記録媒体に定着させて画像形成を行う画像形成装置であって、前記レーザ・ダイオードの発光を制御する駆動装置を有し、前記駆動装置は、ドライバから送信された小振幅の差動信号を受信して出力する受信装置からの出力信号に基づき前記レーザ・ダイオードを発光させ、前記受信装置は、前記差動信号が入力される反転入力端子と非反転入力端子とを有する差動入力回路と、前記反転入力端子と前記非反転入力端子とに接続された配線の異常を検出する異常検出回路と、前記異常が検出されたとき、当該受信装置の出力信号を所定の状態として前記レーザ・ダイオードの発光を停止させる制御回路と、を有し、前記異常検出回路は、前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が、予め決定された前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差の範囲において最小の電位差未満である状態が所定時間以上継続した場合に前記異常を検出する構成とした。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、LVDSレシーバにおける信号ラインの異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来のLVDSレシーバの一例を示す図である。
【図2】従来のLVDSレシーバの他の例を示す図である。
【図3】第一の実施形態の受信装置100を説明するための図である。
【図4】第二の実施形態の受信装置100Aを説明するための図である。
【図5】第三の実施形態の受信装置100Bを説明するための図である。
【図6】差分検出回路140と比較回路150とを説明するための図である。
【図7】第四の実施形態の駆動装置300を説明するための図である。
【図8】第五の実施形態の画像形成装置400を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明では、LVDSレシーバの反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧との電位差が、LVDSレシーバが正常にデータ伝送を行うことが可能な電位差の範囲において最も小さい電位差未満である状態が一定時間継続した場合を、信号ラインの異常として検出する。
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図3は、第一の実施形態の受信装置100を説明するための図である。
【0029】
本実施形態の受信装置100は、LVDSレシーバ110と、異常検出回路120と、アンド回路130と、終端抵抗Rtとを有する。
【0030】
LVDSレシーバ110は、2つの差動入力端子T10、T20を有する差動入力回路であり、図示しない接続ケーブルを介してLVDSドライバ200と接続されている。LVDSレシーバ110は、差動入力端子T10、T20間に与えられた差動電圧信号(以下、入力データ)Da、Dbに応じたロジック信号を出力する。尚入力データDbは、入力データDaの逆相の信号である。差動入力端子T10と差動入力端子T20との間には、終端抵抗Rtが接続されている。
【0031】
異常検出回路120は、LVDSレシーバ110の入力データDa、Dbに基づき信号ラインの異常を検出する。本実施形態の異常検出回路120は、電位差検出回路121、ディレイ回路122を有する。
【0032】
電位差検出回路121の入力には、LVDSレシーバ110の非反転入力端子T10と反転入力端子T20とが接続されており、非反転入力端子T10の電圧と反転入力端子T20の電圧の電位差(以下、入力電位差)を検出する。電位差検出回路121は、入力電位差が所定値未満になると、入力電位差が規格最小電位差未満であることを示す信号をディレイ回路122へ出力する。本実施形態の電位差検出回路121は、入力電位差が規格最小電位差未満である場合にハイレベル(以下、Hレベル)の信号を出力するものとした。
【0033】
尚規格最小電位差とは、LVDSレシーバ110が正常にデータ伝送を行うことが可能な入力電位差の範囲において最も小さい電位差であり、予めLVDSレシーバ110の仕様に対応した規格により決められた値である。
【0034】
ディレイ回路122は、電位差検出回路121からのHレベルの信号が所定の遅延時間継続して入力されると、Hレベルの信号をアンド回路130へ出力する。尚本実施形態では、ディレイ回路122に設定される遅延時間と、電位差検出回路121による電位差検出遅延時間との合計時間が、LVDSレシーバ110の最低動作転送レートの2倍以上であることが好ましい。
【0035】
アンド回路130は、異常検出回路120により信号ラインの異常が検出されると、受信装置100の出力信号をローレベル(以下Lレベル)に固定する。アンド回路130では、ディレイ回路122から出力されたHレベルの信号がLレベルの信号に反転されて一方の入力端子T21に入力される。この場合アンド回路130の出力信号はLレベルに固定される。したがって受信装置100の出力信号はLレベルに固定される。
【0036】
すなわち本実施形態の受信装置100では、入力電位差が規格最小電位差未満となり所定時間経過すると、差動入力端子T10、T20と接続された信号ラインに異常が発生したものする。そして本実施形態の受信装置100は、出力信号をLレベルに固定する。
【0037】
このため、例えば受信装置100の出力信号がレーザドライバ等に供給される場合に、信号ラインの異常を検出するとレーザドライバ等の動作を停止させることができる。
【0038】
尚本実施形態において、入力電位差が規格最小電位差以上である場合は、アンド回路130の入力端子T21へは常にLレベルの信号が供給される。アンド回路130の他方の入力端子T11は、LVDSレシーバ110の出力信号が入力されている。LVDSレシーバ110の出力信号は、入力データDaと入力データDbとにより決定されるため、受信装置100の出力信号が異常検出回路120の影響を受けることはない。
【0039】
また本実施形態のディレイ回路122は、電位差検出回路121からのHレベルの信号が所定時間継続して入力されると、信号ラインの異常を通知する異常通知信号を外部へ出力しても良い。外部とは、例えば本実施形態の受信装置100が搭載されている本体装置の制御手段等であっても良い。ディレイ回路122にHレベルの信号が入力されてから異常通知信号が出力されるまでの所定時間は、例えばディレイ回路122に設定された遅延時間であっても良いし、予め別途設定されていても良い。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態では、LVDSレシーバ110の差動入力端子T10と差動入力端子T20とに入力される入力データDaと入力データDbの電位差に基づき異常を検出している。よって本実施形態では、例えば差動入力端子T10、T20のうち何れか一方のみが断線状態となった場合にも信号ラインの異常を検出することができる。
【0041】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、異常検出回路の構成が第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0042】
図4は、第二の実施形態の受信装置100Aを説明するための図である。本実施形態の異常検出回路120Aは、ディレイ回路122、コンパレータ123、124、アンド回路125を有する。
【0043】
コンパレータ123、124は、オフセット付きコンパレータである。コンパレータ123、124のオフセット電圧をαとした場合、コンパレータ123、124は、非反転入力端子電圧+α=反転入力端子電圧となったときに出力信号が反転する。
【0044】
本実施形態のコンパレータ123、124は、オフセット電圧αが規格最小電位差の値と等しいコンパレータとした。
【0045】
コンパレータ123の非反転入力端子T31は、LVDSレシーバ110の非反転入力端子T10と接続されており、入力データDaが入力される。コンパレータ123の反転入力端子T32は、LVDSレシーバ110の反転入力端子T20と接続されており、入力データDbが入力される。コンパレータ123の出力は、アンド回路125の一方の入力端子T51と接続されている。
【0046】
コンパレータ124の非反転入力端子T41は、LVDSレシーバ110の反転入力端子T20と接続されており、入力データDbが入力される。コンパレータ124の反転入力端子T42は、LVDSレシーバ110の非反転入力端子T10と接続されており、入力データDが入力される。コンパレータ124の出力は、アンド回路125の他方の入力端子T52と接続されている。アンド回路125の出力は、ディレイ回路122へ供給される。
【0047】
また本実施形態のLVDSレシーバ110は、同相入力電圧範囲を決定するための基準電圧がLVDSドライバ200側の基準電圧源210により生成されている。同相入力電圧範囲とは、LVDSレシーバ110を正常に動作させる入力電圧の範囲である。
【0048】
以下に本実施形態の異常検出回路120Aの動作を説明する。
【0049】
本実施形態において、コンパレータ123、124は、入力電位差がオフセット電圧α以下の場合に出力が反転する。本実施形態のコンパレータ123、124は、入力電位差がオフセット電圧αより大きい場合にLレベルの信号を出力し、入力電位差がオフセット電圧α以下の場合にHレベルの信号を出力するものとした。よって本実施形態のコンパレータ123、124は、入力電位差がオフセット電圧α以下となると、Hレベルの信号を出力する。
【0050】
アンド回路125の入力端子T51、T52にはHレベルの信号が入力されるため、アンド回路125の出力はHレベルに固定される。このHレベルの信号はディレイ回路122に入力される。ディレイ回路122において、所定の遅延時間Hレベルの入力が継続すると、Hレベルの信号はアンド回路130へ出力される。アンド回路130では、Hレベルの信号が反転されて入力端子T21に入力される。
【0051】
本実施形態において、アンド回路125からHレベルの信号が出力される場合は、コンパレータ123の出力とコンパレータ124の出力とがHレベルとなったときである。よって本実施形態では、コンパレータ123の出力とコンパレータ124の出力とが共に所定の遅延時間以上Hレベルであるときに、信号ラインの異常を検出する。
【0052】
また本実施形態のディレイ回路122は、アンド回路125からのHレベルの信号の供給が所定の遅延時間以上継続した場合、LVDSレシーバ110へスリープ信号を供給し、LVDSレシーバ110をスタンバイ状態としても良い。信号ラインの異常を検出したときにLVDSレシーバ110をスタンバイ状態とすれば、LVDSレシーバ110の消費電流を低減させることができる。また同相入力によるチャタリングノイズを防止することができる。本来LVDSレシーバは同相入力されるとディジタル的には出力不定となる。理想的には中間電位が出力されるからである。しかし、同相入力状態であっても実機においては、微小な(数mVレベル)ノイズがLVDSレシーバ入力や出力に継続的にのり、ノイズの度に出力がHiかLoを繰り返す状態が断続的に続く状態を、同相入力によるチャタリングとする。
【0053】
尚本実施形態では、アンド回路125により生成される、コンパレータ123の出力信号とコンパレータ124の出力信号との論理積である信号がディレイ回路122に入力される構成としたが、これに限定されない。例えば本実施形態では、コンパレータ123、124を繋ぎかえてコンパレータ123の出力信号とコンパレータ124の出力信号との論理和である信号又は排他的論理和である信号がディレイ回路122へ入力されても良い。
【0054】
(第三の実施形態)
以下に本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、異常検出回路の構成が第一の実施形態と相違する。よって以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0055】
図5は、第三の実施形態の受信装置100Bを説明するための図である。本実施形態の受信装置100Bにおいて、異常検出回路120Bは、差分検出回路140、比較回路150、ディレイ回路122を有する。
【0056】
本実施形態の差分検出回路140には、入力データDaと入力データDbとが入力されており、入力電位差を検出する。比較回路150は、差分検出回路140により検出された入力電位差と後述するオフセット電圧α1とを比較する。
【0057】
本実施形態の受信装置100Bでは、入力電位差がオフセット電圧α1以下であったとき、信号ラインの異常を検出する。すなわち比較回路150からHレベルの信号がディレイ回路122へ出力される。ディレイ回路122は、比較回路150から所定の遅延時間以上継続してHレベルの信号が供給されると、Hレベルの信号を出力する。ディレイ回路122から出力されたHレベルの信号は、反転されてアンド回路130の入力端子T21へ入力される。
【0058】
以下に図6を参照して本実施形態の差分検出回路140と比較回路150とを説明する。図6は、差分検出回路140と比較回路150とを説明するための図である。
【0059】
本実施形態の差分検出回路140は、アンプ141、抵抗R1〜抵抗R4、基準電圧VREFを生成する基準電圧源142により構成されている。
【0060】
アンプ141の非反転入力端子T141は、抵抗R1を介してLVDSレシーバ110の差動入力端子T10と接続されており、入力データDaが入力される。またアンプ141の非反転入力端子T141は、抵抗R3を介してアンプ141の出力端子T143と接続されている。
【0061】
アンプ141の反転入力端子T142は、抵抗R2を介してLVDSレシーバ110の差動入力端子T20と接続されており、入力データDbが入力される。またアンプ141の反転入力端子T142は、抵抗R4と基準電圧源142とを介して接地されている。
【0062】
本実施形態の比較回路150は、コンパレータ151、152、XOR回路153、基準電圧源154、155を有する。
【0063】
コンパレータ151の非反転入力端子T151とコンパレータ152の非反転入力端子T153とは、アンプ141の出力端子T143と接続されている。コンパレータ151の反転入力端子T152は、基準電圧源154を介して接地されている。コンパレータ152の反転入力端子T154は、基準電圧源155を介して接地されている。
【0064】
コンパレータ151の出力は、XOR回路153の入力端子T155と接続されている。コンパレータ152の出力は、XOR回路153の入力端子T156と接続されている。XOR回路153の出力は、ディレイ回路122へ供給される。
【0065】
本実施形態のコンパレータ151、152は、オフセット電圧が等しいコンパレータとした。本実施形態では、コンパレータ151、152のオフセット電圧をα1とした。
【0066】
基準電圧源154は、所定の基準電圧VREFにコンパレータ151のオフセット電圧α1を加算した電圧を生成する。基準電圧源155は、所定の基準電圧VREFからコンパレータ152のオフセット電圧α1を減算した電圧を生成する。
【0067】
本実施形態において、入力データDaの電圧を電圧Vaとし入力データDbの電圧を電圧Vbとした場合、差分検出回路140では、電圧Vaと電圧Vbとの引き算を行う。引き算(Va−Vb)の結果が負の値となった場合、負電源がないと引き算結果が0Vとなってしまう。そこで本実施形態では、比較回路150の基準電圧源154において基準電圧VREFをオフセット電圧α1へ加算している。また比較回路150の基準電圧源155において基準電圧VREFからオフセット電圧α1を減算している。
【0068】
本実施形態の差分検出回路140において、アンプ141の非反転入力端子T141の電圧及び反転入力端子T142の電圧(点Aの電圧)は、(VREF+Vb)/2となる。またアンプ141の出力端子T143の電圧(点Bの電圧)は、[Va−{Va−(VREF+Vb)/2}×2=Vb−Va+VREF]となる。
【0069】
ここで比較回路150の出力がHレベルとなる場合を考える。
【0070】
比較回路150の出力をHレベルとするためには、XOR回路153の出力をHレベルにすれば良い。よってコンパレータ151の出力又はコンパレータ152の出力の何れか一方がHレベルとなれば良い。
【0071】
本実施形態では、(VREF−α1≦Vb−Va+VREF≦VREF+α1)の条件を満たせば、コンパレータ151の出力又はコンパレータ152の出力の何れかがHレベルになる。上記条件は、(−α1≦Vb−Va≦α1)と示すことができる。さらのこの条件は、(Vb−Va)≦|α1|と置き換えることができる。
【0072】
よって本実施形態では、入力電位差がコンパレータ151、152のオフセット電圧α1以下である場合に信号ラインに異常があると判断される。
【0073】
尚本実施形態の抵抗R1〜抵抗R4は、LVDSレシーバ110の動作に影響を与えないように、終点抵抗Rtの抵抗値よりも十分抵抗値が大きい抵抗であることが好ましい。
【0074】
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第四の実施形態について説明する。本発明の第四の実施形態は、LVDS受信装置を有する駆動回路である。以下の本実施形態の説明では、第二の実施形態の受信装置100Aを有する駆動装置の例を説明する。尚以下の第四の実施形態の説明において、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには第二の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0075】
図7は、第四の実施形態の駆動装置300を説明するための図である。
【0076】
本実施形態の駆動装置300は、受信装置100A、LVDSドライバ200、画像プロセッサ310、スイッチ部320を有しており、駆動装置300の負荷としてLD(laser diode)330がスイッチ部320と接続されている。
【0077】
本実施形態の駆動装置300では、画像プロセッサ310から出力される画像データをLVDSドライバ200により受信装置100Aへ伝送する。受信装置100Aは、伝送された画像データにしたがってスイッチ部320をオン/オフさせる。スイッチ部320は、受信装置100Aからの出力信号に基づきオン/オフさせる。本実施形態のスイッチ部320は、Hレベルの信号でオンされ、Lレベルの信号でオフされる。
【0078】
本実施形態の駆動装置では、LVDSドライバ200と受信装置100Aとの間の信号ラインに異常が検出された場合、受信装置100の出力信号はLレベルで固定される。よって本実施形態では、信号ラインに異常が検出された場合はスイッチ部320がオフされて、LD330を消灯させる。
【0079】
このように本実施形態の駆動装置300では、LVDSドライバ200と受信装置100AとによりLVDS方式でデータが伝送される装置において、LVDSドライバ200と受信装置100Aとの間の信号ラインの異常を検出する。そして信号ラインの異常を検出した場合、駆動装置300に接続された負荷の駆動を停止させる。
【0080】
尚本実施形態では、受信装置100Aを適用した形態を説明したが、第一の実施形態で説明した受信装置100、第三の実施形態で説明した受信装置100Bを本実施形態の駆動装置300に適用することもできる。
【0081】
(第五の実施形態)
以下に本発明の第五の実施形態について説明する。本発明の第五の実施形態は、第四の実施形態の駆動装置300が画像形成装置に搭載された形態である。
【0082】
図8は、第五の実施形態の画像形成装置400を説明するための図である。
【0083】
本実施形態の画像形成装置400は、LDのレーザ光を用いて画像形成を行う。画像形成装置400は、入力部410、画像処理部420、出力部430を有する。入力部410は、例えばスキャン装置等の画像読取装置であっても良い。または入力部410は、画像形成装置400が接続された情報処理装置等からネットワークを介して画像データを取得するためのインターフェイス装置であっても良い。
【0084】
画像処理部410は、入力部410から入力された画像データを出力部430による出力が可能なデータとする画像処理を行う。また画像処理部410は、第四の実施形態で説明した駆動装置300を有する。画像処理部410において、画像データは駆動装置300の画像プロセッサ310に入力され、画像処理が行われる。画像処理が行われた後の画像データは、LVDSドライバ200、受信装置100AによりLVDS方式で伝送され、出力部430へ出力される。
【0085】
出力部430は、印刷用紙等の記録媒体へ画像形成を行うための光学系431を含む。また出力部430は、光学系431の他にも画像形成を行うために必要な各種構成を含む。例えば出力部430は、予め帯電させた感光体に対し、画像形成部分に光学系431に含まれるLD330のレーザ光を照射し、感光体表面の画像形成部分を除電する。さらに出力部430は、感光体にトナーを吸着させ、レーザ光により除電された部分に付着したトナーを記録媒体に熱定着させて画像形成を行う。
【0086】
本実施形態の画像形成装置400では、駆動装置300を有することにより、画像データの伝送経路である信号ラインに異常が検出された場合に、LD330からのレーザ光の照射を停止させることができる。
【0087】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】
【特許文献1】特許第3798571号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小振幅の差動信号を送信するドライバより送信された信号を受信する受信装置であって、
前記差動信号が入力される反転入力端子と非反転入力端子とを有する差動入力回路と、
前記反転入力端子と前記非反転入力端子とに接続された配線の異常を検出する異常検出回路と、
前記異常が検出されたとき、当該受信装置の出力信号を所定の状態とする制御回路と、を有し、
前記異常検出回路は、
前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が、予め決定された前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差の範囲において最小の電位差未満である状態が所定時間以上継続した場合に前記異常を検出する受信装置。
【請求項2】
前記異常検出回路は、
前記差動入力回路の前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が前記最小の電位差未満となったとき所定の信号を出力する電位差検出回路と、
前電位差検出回路から出力された前記所定の信号を所定時間遅延させるディレイ回路と、を有する請求項1記載の受信装置。
【請求項3】
前記異常検出回路は、
前記差動入力回路の前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が前記最小の電位差以下のとき出力信号が反転する第一のコンパレータ及び第二のコンパレータと、
前記第一のコンパレータの出力信号と前記第二のコンパレータの出力信号とから生成される信号を所定時間遅延させるディレイ回路と、を有し、
前記差動入力回路の反転入力端子が、前記第一のコンパレータの反転入力端子と前記第二のコンパレータの非反転入力端子とに接続され、
前記差動入力回路の非反転入力端子が、前記第一のコンパレータの非反転入力端子と前記第二のコンパレータの反転入力端子とに接続され、
前記第一のコンパレータの出力信号と前記第二のコンパレータの出力信号とが前記所定時間以上反転しないとき、前記異常を検出する請求項1記載の受信装置。
【請求項4】
前記異常検出回路は、
前記差動入力回路の前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差を検出する電位差検出回路と、
前記電位差と所定電圧とを比較する比較回路と、
前記比較回路の出力信号を所定時間遅延させるディレイ回路と、を有し、
前記所定電圧は、前記最小の電位差以下の値である請求項1記載の受信装置。
【請求項5】
前記ディレイ回路により遅延される前記所定時間は、
前記所定時間と前記異常検出回路による検出時間との合計時間が、前記差動入力回路の最低動作レートの2倍以上となる時間である請求項1ないし4の何れか一項に記載の受信装置。
【請求項6】
前記異常検出回路は、
前記異常を検出したとき、前記異常を検出したことを通知する異常通知信号を出力する請求項1ないし5の何れか一項に記載の受信装置。
【請求項7】
前記異常検出回路は、
前記異常が検出されたとき、前記差動入力回路をスタンバイ状態とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の受信装置。
【請求項8】
ドライバから送信された小振幅の差動信号を受信して出力する受信装置からの出力信号
に基づき負荷を駆動させる駆動装置であって、
前記受信装置は、
前記差動信号が入力される反転入力端子と非反転入力端子とを有する差動入力回路と、
前記反転入力端子と前記非反転入力端子とに接続された配線の異常を検出する異常検出回路と、
前記異常が検出されたとき、当該受信装置の出力信号を所定の状態として前記負荷の駆動を停止させる制御回路と、を有し、
前記異常検出回路は、
前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が、予め決定された前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差の範囲において最小の電位差未満である状態が所定時間以上継続した場合に前記異常を検出する駆動装置。
【請求項9】
帯電した感光体表面上にレーザ・ダイオードが発光するレーザ光を照射して静電潜像を形成し、前記静電潜像に付着させたトナーを記録媒体に定着させて画像形成を行う画像形成装置であって、
前記レーザ・ダイオードの発光を制御する駆動装置を有し、
前記駆動装置は、
ドライバから送信された小振幅の差動信号を受信して出力する受信装置からの出力信号に基づき前記レーザ・ダイオードを発光させ、
前記受信装置は、
前記差動信号が入力される反転入力端子と非反転入力端子とを有する差動入力回路と、
前記反転入力端子と前記非反転入力端子とに接続された配線の異常を検出する異常検出回路と、
前記異常が検出されたとき、当該受信装置の出力信号を所定の状態として前記レーザ・ダイオードの発光を停止させる制御回路と、を有し、
前記異常検出回路は、
前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差が、予め決定された前記反転入力端子の電圧と前記非反転入力端子の電圧との電位差の範囲において最小の電位差未満である状態が所定時間以上継続した場合に前記異常を検出する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−213246(P2010−213246A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60256(P2009−60256)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】