説明

受信装置

【課題】受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分が分布する範囲にかかわらず、確実に内部干渉を抑えることができる受信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】グランド部を有する回路基板102と、回路基板のグランド部に対して不平衡給電される主アンテナ素子103と、回路基板に給電される主アンテナ素子103の給電端子113aと、主アンテナ素子103で受信した信号を復調する受信回路111と、回路基板上に配置するノイズ信号回路CPU112と、ノイズ信号回路CPU112から発生するノイズ信号の振幅と位相を調節して主アンテナ素子103で受信した信号に重畳する加算回路110と、ノイズ信号を検出する手段として回路基板のグランド部に対して不平衡給電されるノイズ検出アンテナ素子106と、前記回路基板に給電されるノイズ検出アンテナ素子106の給電端子113bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置およびその受信装置を含む無線装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、通信および放送に用いられる、無線信号を受信する受信装置においては、CPUやメモリ等の回路、受信信号を処理する演算回路、または、それらを動作させる基準クロック発生器等が発生する信号やその信号の高調波成分が受信信号の無線周波数帯域における干渉成分となって、受信信号の品質を劣化させるという内部干渉の問題がある。
【0003】
近年受信装置は多機能化が進み、その内部に内蔵する回路は増加する一方である。また、受信装置内部で取り扱う信号もディジタル化が進むとともに、処理速度や処理する情報量も増加している。また、受信装置はより一層の小型化が求められ、信号を受信するアンテナも小型化や内蔵化が進んでいる。このため、内部干渉の干渉成分は増加している。また、受信装置の小型化により干渉成分を発生する回路と受信アンテナとの結合が大きくなることにより、内部干渉の問題は一層大きくなっている。
【0004】
この問題に対する対策のため、回路配置の最適化や、干渉成分の不要な放射を抑圧するための部品(例えば、バイパスコンデンサ、チョークコイル、フィルタ、シールド等)の追加等が行われることがある。このような、回路配置の最適化および部品追加は、受信装置の設計工数の増加や原価の増加、受信装置の大型化をもたらしてしまう。
【0005】
そこで、以下のように、内部干渉を抑圧する様々な技術が提案されている。
【0006】
例えば、機器内で発生するノイズを検出し、検出したノイズを受信信号に干渉成分として重畳されているノイズ信号と逆相および同振幅に制御し、制御後のノイズを受信信号に加算してノイズを抑圧する技術がある(例えば、特許文献1参照)。図8は、前記特許文献1に記載された従来の受信装置を示している。
【0007】
図8において、従来の受信装置300は、例えば、受信信号から復調した映像信号を表示する装置であり、不図示の筐体内部に、表示素子115(例えば、液晶ディスプレイ)や回路基板102が設けられている。
【0008】
回路基板102上には主アンテナ素子103用の整合回路104があり、整合回路104には給電端子113が電気的に接続され、給電端子113は主アンテナ素子103と接続している。
【0009】
主アンテナ素子103は、受信信号および受信信号の干渉成分となる機器内で発生したノイズ信号116を受信して、受信した信号は整合回路104を介して加算回路に出力される。
【0010】
加算回路110は、整合回路104から出力される受信信号と可変利得位相回路109から出力される信号とを加算し、加算された信号を受信回路111に出力する。
【0011】
受信回路111は、加算回路110から出力される信号を復調し、復調後の信号をCPU112に出力する。
【0012】
CPU112は、受信回路111から出力される信号から表示素子115において映像を表示可能な信号を生成し、生成した映像信号は信号ライン114を通じて、表示素子115に出力する。
【0013】
CPU112は、例えば、映像信号を生成する際に、受信信号の干渉成分となるノイズ信号116をCPU112内部で発生させ、信号ライン114からノイズ信号116を放射する。
【0014】
表示素子115は、CPU112から出力される映像信号に基づいて映像を表示する。
【0015】
ノイズ検出アンテナ301は、信号ライン114から放射されるノイズ信号116を検出するために信号ライン114の近傍に配設し、ノイズ信号116を十分なレベルで検出できるように信号ライン114と平行に密着した配置構造としている。
【0016】
ノイズ検出アンテナ301は、受信信号の干渉成分となるノイズ信号116を検出し、検出した信号を可変利得位相回路109に出力する。
【0017】
可変利得位相回路109は、検出したノイズ信号116の位相成分と振幅成分を可変制御し、検出したノイズ信号116と逆位相および同振幅の信号を生成し、生成した信号を加算回路110に出力する。
【0018】
整合回路104から出力される信号と可変利得位相回路109から出力される信号とが加算回路110によって加算されることにより、受信信号に重畳されたノイズ信号成分は抑圧される。
【0019】
このように、従来の受信装置300は、CPUなどの部品や基板回路パターンなどの特定のノイズ発生源の極めて近傍に、干渉成分となるノイズを検出するノイズ検出アンテナを配置して、所望のノイズ成分のみを高いレベルで検出して、受信信号の品質を劣化させるという内部干渉を抑圧するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0178157号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上記特許文献1記載の技術では、ノイズ発生源となる部品や干渉成分を放射する回路が大型のものであるために干渉成分が広範囲に分布している場合には、干渉成分の検出レベルの不足や周波数特性が十分に一致できず、受信信号に重畳されているノイズを十分に抑圧できない。
【0022】
また、複数のノイズ発生源によって複数の干渉成分を広範囲に分布している場合には、複数のノイズ検出アンテナを配設するために、受信装置等が大型化してしまう。
【0023】
更に、複数のノイズ発生源同士が近接して複数の干渉成分を分布している場合に、複数のノイズ検出アンテナを近接して配設する場合には、所望の干渉成分以外の不要な干渉成分をも受信してしまって周波数特性が十分に一致できず、受信信号に重畳されているノイズを十分に抑圧できない。また、各ノイズ検出アンテナ同士が近接する影響によって、各ノイズ検出アンテナの性能が劣化して、所要のアンテナ性能を得ることが困難である。
【0024】
本発明は、上記課題を解決するために、受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分が分布する範囲にかかわらず、確実に内部干渉を抑えることができる受信装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記従来の課題を解決するため、本発明の受信装置は、筐体と、筐体内に設けられ接地電位と同じ電位のグランドパターンを有する回路基板と、回路基板のグランドパターンから不平衡給電する主アンテナ素子と、回路基板から主アンテナ素子に給電する第1給電部と、主アンテナ素子で受信した信号を復調する受信回路と、回路基板上に配置するノイズ信号回路と、ノイズ信号回路から発生するノイズ信号の振幅と位相を調節して主アンテナ素子で受信した信号に重畳する位相振幅調整回路と、ノイズ信号を検出する手段として回路基板のグランドパターンから不平衡給電するノイズ検出アンテナ素子と、回路基板からノイズ検出アンテナ素子に給電する第2給電部を備え、回路基板から主アンテナ素子とノイズ検出用アンテナとに給電する。
【0026】
上記構成によれば、一つ及び複数のノイズ発生源から発生する干渉成分が分布する範囲にかかわらず、受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分を効率よく検出して、確実に内部干渉を抑えることができる。
【0027】
また、本発明の受信装置は、第1の筐体と、第2の筐体と、第1の筐体と第2の筐体とが回動自在に連結する導電性のヒンジ部と、第1の筐体に設けられた金属フレームと、第2の筐体内部に設けられグランドパターンを有する回路基板と、回路基板のグランドパターンからヒンジ部を介して金属フレームに不平衡給電する主アンテナ素子と、回路基板からヒンジ部に給電する第1給電部と、主アンテナ素子で受信した信号を復調する受信回路と、回路基板上に配置するノイズ信号回路と、ノイズ信号回路から発生するノイズ信号の振幅と位相を調節して主アンテナ素子で受信した信号に重畳する位相振幅調整回路と、ノイズ信号を検出する手段として回路基板のグランドパターンから不平衡給電するノイズ検出アンテナ素子と、回路基板から前記ノイズ検出アンテナ素子に給電する第2給電部を備え、回路基板から主アンテナ素子とノイズ検出用アンテナとに給電する。
【0028】
上記構成によれば、一つ及び複数のノイズ発生源から発生する干渉成分が分布する範囲にかかわらず、受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分を効率よく検出して、確実に内部干渉を抑えることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明の受信装置によれば、干渉成分が分布する範囲にかかわらず、受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分を効率よく検出して、確実に内部干渉を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における受信装置の構成を示す透視図
【図2】本発明の実施の形態1における受信装置の構成を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1におけるパッチアンテナ型ノイズ検出センサを用いた配置例の斜視図
【図4】本発明の実施の形態1における逆Fアンテナ型ノイズ検出センサを用いた配置例の斜視図
【図5】本発明の実施の形態2における受信装置の構成を示す正面図
【図6】本発明の実施の形態2における受信装置の構成を示す右側面図
【図7】本発明の実施の形態2における受信装置の構成を示す左側面図
【図8】従来の受信装置の構成を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1を説明するための受信装置の構成を示す透視図であり、
図2は本発明の実施の形態1を説明するための受信装置の構成を示す斜視図である。
【0033】
図1及び図2において、図8と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
実施の形態1では、受信装置として携帯型の受信装置を例にとって説明する。
<構成例1(図1、図2)>
図1および図2に示すように、受信装置100は、携帯型の筐体の一例として、直方体形状の筐体101を備えており、筐体101は絶縁体である樹脂の成形品が用いられている。
【0035】
筐体101内部に設けられる回路基板102は、受信装置100の各種機能を実現する回路部品が実装されたプリント基板であり、そのほぼ全面に回路の接地電位となるグランドパターン(図示略)が形成されている。
【0036】
主アンテナ素子103は、回路基板102のグランドパターンに対して不平衡給電されたアンテナ素子であり、例えば、モノポールアンテナとして動作するものであり、回路基板のグランドパターンとの距離を離間(例えば、2mm以上、又は受信装置が800MHz帯で使用される場合にはλ/20以上)して構成することがアンテナ性能上望ましい。主アンテナ素子103は、筐体101の内部に配設された導体板やプリント基板上の印刷パターンで形成したものでもよい。
【0037】
給電端子113aは、主アンテナ素子103と、回路基板102上の主アンテナ整合回路104に、例えば、バネ接触や半田付けにより電気的に接続される。
【0038】
主アンテナ整合回路104は、回路基板102上の加算回路110に接続されており、例えば、コンデンサやインダクタ、抵抗器等の部品を用いて回路を形成されており、主アンテナ素子103のインピーダンスを加算回路110の入力インピーダンスに整合させる。
【0039】
主アンテナ整合回路接地105は、主アンテナ整合回路104の接地電位であり、整合回路104傍のグランドパターンに接続される。
【0040】
ノイズ検出アンテナ素子106は、回路基板102のグランドパターンに対して不平衡給電されたアンテナ素子であり、図2に示すノイズ検出アンテナ106は、モノポールアンテナ型の素子として動作ものであり、回路基板102のグランドパターンを接地電位とする干渉成分を発生するノイズ源となる回路、例えば、CPU112が放射するノイズ信号116を受信する。ノイズ検出アンテナ素子106は、筐体101の内部に配設された導体板、導線やプリント基板上の印刷パターンで形成したものでもよい。
【0041】
給電端子113bは、ノイズ検出アンテナ素子106と、回路基板102上のノイズ検出アンテナ整合回路107に、例えば、バネ接触や半田付けにより電気的に接続される。
【0042】
ノイズ検出アンテナ整合回路107は、回路基板102上の可変利得位相回路109に接続されており、例えば、コンデンサやインダクタ、抵抗器等の部品を用いて回路を形成されており、ノイズ検出アンテナ106のインピーダンスを可変利得位相回路109の入力インピーダンスに整合させる。
【0043】
ノイズ検出アンテナ接地点108は、ノイズ検出アンテナ整合回路107の接地電位であり、整合回路107傍のグランドパターンに接続される。
【0044】
図1および図2に示すように、主アンテナ素子103の給電位置、例えば、給電端子13aと、ノイズ検出アンテナ素子106の給電位置、例えば、給電端子113bとの距離L1は、主アンテナ素子103の受信動作周波数帯の波長の1/4以内(例えば、受信周波数800MHz帯で使用される場合には94mm以内)とする構成にすることがノイズ検出アンテナ性能上望ましい。また、主アンテナ素子103の給電位置、例えば、給電端子13aと、及びノイズ検出アンテナ素子106の給電位置、例えば、給電端子113bのそれぞれの給電位置を、図1に示すように、回路基板102上の同一辺に配設する構成としてもよい。
【0045】
以上のように構成された受信装置において、回路基板102のグランド部に対して不平衡給電されるノイズ検出アンテナ106は、回路基板102のグランドパターンを接地電位とする干渉成分を発生するノイズ源となる回路、例えば、CPU112が放射するノイズ信号116を効率よく検出することができる。このように、本実施の形態によれば、干渉成分が分布する範囲にかかわらず、受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分を効率よく検出して、確実に内部干渉を抑えることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、主アンテナ素子103を一例としてモノポールアンテナを挙げたが、回路基板102のグランドパターンに対して不平衡給電されたアンテナ素子であればその他のアンテナでもよい。
【0047】
なお、本実施の形態では、CPU112をノイズ源の一例として挙げたが、ノイズ源は、回路基板102のグランド部を接地電位とする回路、例えば、映像信号を保持するメモリ回路や、DC/DC電源等の電源回路、液晶ディスプレイ等の信号処理回路等である場合もある。また、ノイズ源として、回路基板102上に実装される回路に限らず、回路基板102以外でも回路基板102のグランド部と導通するグランド部を有する回路であってもよい。この場合にあっても、上記同様の構成を採ることにより、同様な効果を得ることができる。
【0048】
なお、上記構成では、図2に示すノイズ検出アンテナ106は、モノポールアンテナ型の素子として動作するものでの構成例あったが、その他のアンテナ構成について、以下に説明する。
【0049】
図3および図4は本発明の第1の実施形態を説明するための受信装置の構成を示す斜視図である。図3及び図4において、上記にて説明した図1、図2と重複する部分には同一の符号を付して説明を省略する
<構成例2(図3)>
図3に示すように、ノイズ検出アンテナ素子106は、回路基板102のグランドパターンに対して不平衡給電されたアンテナ素子であり、図3に示すノイズ検出アンテナ106は、パッチアンテナ型の素子として動作ものであり、回路基板102のグランドパターンを接地電位とする干渉成分を発生するノイズ源となる回路、例えば、CPU112が放射するノイズ信号116を受信する。ノイズ検出アンテナ素子106は、筐体101の内部に配設された導体板、導線やプリント基板上の印刷パターンで形成したものでもよい。
【0050】
以上のように構成された受信装置において、回路基板102のグランド部に対して不平衡給電されるノイズ検出アンテナ106は、回路基板102のグランドパターンを接地電位とする干渉成分を発生するノイズ源となる回路、例えば、CPU112が放射するノイズ信号116を効率よく検出することができる。このように、本実施の形態によれば、干渉成分が分布する範囲にかかわらず、受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分を効率よく検出して、確実に内部干渉を抑えることができる。
<構成例3(図4)>
図4に示すように、接地用端子117は、ノイズ検出アンテナ素子106と、回路基板102上のグランドパターンに、例えば、バネ接触や半田付けにより電気的に接続される。
【0051】
ノイズ検出アンテナ素子106は、回路基板102のグランドパターンに対して不平衡給電されたアンテナ素子であり、図4に示すノイズ検出アンテナ106は、逆Fアンテナ型の素子として動作ものであり、回路基板102のグランドパターンを接地電位とする干渉成分を発生するノイズ源となる回路、例えば、CPU112が放射するノイズ信号116を受信する。ノイズ検出アンテナ素子106は、筐体101の内部に配設された導体板、導線やプリント基板上の印刷パターンで形成したものでもよい。
【0052】
以上のように構成された受信装置において、回路基板102のグランド部に対して不平衡給電されるノイズ検出アンテナ106は、回路基板102のグランドパターンを接地電位とする干渉成分を発生するノイズ源となる回路、例えば、CPU112が放射するノイズ信号116を効率よく検出することができる。このように、本実施の形態によれば、干渉成分が分布する範囲にかかわらず、受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分を効率よく検出して、確実に内部干渉を抑えることができる。
【0053】
(実施の形態2)
図5は本発明の実施の形態2を説明するための受信装置の構成を示す正面図であり、図6は本発明の実施の形態2を説明するための受信装置の構成を示す右側面図であり、図7は本発明の実施の形態を説明するための受信装置の構成を示す左側面図である。
【0054】
図5、図6および図7において、実施の形態1で説明した図1、図2、図3及び図4と重複する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
実施の形態2では、受信装置として折り畳み可能な構造を持つ携帯型の受信装置を例にとって説明する。
【0056】
図5、図6および図7に示すように、受信装置200は、第1の筐体の一例としての上筐体201bと、ヒンジ部207aおよび207bによって上筐体201bと回動自在に連結された第2の筐体の一例としての下筐体201aとを備え、ヒンジ部207aおよび207bを中心として回動させることで開いた状態と閉じた状態の2つの状態をとることができる。なお、下筐体201aと上筐体201bは絶縁体である樹脂の成形品が用いられている。
【0057】
上筐体201b内部には、金属フレーム202、ノイズ検出アンテナ素子106を備える。
【0058】
金属フレーム202は、高い導電性を有し、かつ軽量で高強度の金属(例えばマグネシウム合金)が用いられる。この種の金属を用いることによって上筐体201bの強度を確保した薄型形状にすることができるとともに、金属フレーム202をアンテナ素子として動作させることが可能となる。
【0059】
下筐体201aの内部には、回路基板102が設けられ、回路基板102には、主アンテナ整合回路104、主アンテナ接地点105、ノイズ検出アンテナ整合回路107、ノイズ検出アンテナ接地点108、可変利得位相回路109、加算回路110、受信回路111、CPU112、信号ライン114、表示素子115が配設される。
【0060】
回路基板102は、受信装置200の各種機能を実現する回路部品が実装されたプリント基板であり、そのほぼ全面に回路の接地電位となるグランドパターン(図示略)が形成されている。
【0061】
ヒンジ部207aは、上筐体201bに取り付けられたヒンジ金具205b、下筐体201aに取り付けられた205a、ヒンジ金具205aとヒンジ金具205bをそれぞれ回動自在に連結するための回転軸204aを有して構成される。
【0062】
金属フレーム202の下側部分(−Z方向)には上筐体210bに取付けるためのネジ穴が開けられており、また、ヒンジ金具205bにも金属フレーム202に開けられたネジ穴と対応する位置にネジ穴が開けられている。
【0063】
取付けネジ206aは、金属フレーム202とヒンジ金具205bを介して、上筐体201bのネジ穴部209bに取付けられる。
【0064】
この構成により、金属フレーム202とヒンジ金具205bと電気的に接続されるとともに、上筐体201b、ヒンジ金具205b及び金属フレーム202とが機械的に固定される。
【0065】
ヒンジ金具205bは、さらに回転軸204aを介してヒンジ金具205aと回動自在に連結される。ヒンジ金具205a、205b及び回転軸204aは導電性の金属で形成されており、それぞれの間の接触点において電気的に導通する。
【0066】
ヒンジ金具205aには下筐体201aに取付けるためのネジ穴が開けられており、また、給電端子113aにも、ネジ穴開けられている。取付けネジ206aは、ヒンジ金具205aのネジ穴及び給電端子113aのネジ穴を介して、下筐体201aのネジ穴部209aに取付けられる。この構成により、ヒンジ金具205aと給電端子113aとが電気的に接続されるとともに、下筐体201a、ヒンジ金具205a及び給電端子113aとが機械的に固定される。
【0067】
給電端子113aは、下筐体201の内部に配置された回路基板102上の主アンテナ整合回路104に、例えば、バネ接触や半田付けにより接続される。
【0068】
ヒンジ部207bは、上筐体201bと下筐体201aをそれぞれ回動自在に連結するための回転軸204bを有して構成される。
【0069】
回転軸204bは、例えば、絶縁体である樹脂製の成型品であり、円筒状で中が空洞となった形状をしている。
【0070】
回転軸204a、204bを中心として、上筐体201bと下筐体201aは回動させることができ、開いた状態と閉じた状態の2つの状態をとることができる構成とする。
【0071】
給電ケーブル208は、上筐体201b側に設けられたノイズ検出アンテナ素子106に接続され、回転軸204bの空洞部を通って下筐体201a側に設けられた回路基板102上のノイズ検出アンテナ整合回路107に接続される。給電ケーブル208は、例えば、同軸ケーブルが用いられ、ノイズ検出アンテナ素子に、例えば、バネ接触や半田付け、ケーブル勘合用コネクタを介して接続され、また、ノイズ検出アンテナ整合回路107に、例えば、バネ接触や半田付け、ケーブル勘合用コネクタを介して接続される。
【0072】
この構成により、上筐体201bに設けられた金属フレーム202及びヒンジ部207aと、下筐体201aに設けられた回路基板102上のグランドパターンとが、ダイポールアンテナとして動作する。このとき、金属フレーム202及びヒンジ部207aが第1のアンテナ素子として動作し、主アンテナ整合回路104が、その第1のアンテナ素子のインピーダンスを、加算回路110の入力インピーダンス(例えば、50Ω)に整合させる。一方、回路基板102上のグランドパターンが第2のアンテナ素子として動作する。
受信装置200は、上記の第1及び第2のアンテナ素子による筐体全体を用いた主アンテナによって受信信号を受信する。
【0073】
上記構成のように、第1及び第2のアンテナ素子によるダイポールアンテナとして動作する構成の一例としては、特許第3596774号に示されるものである。
【0074】
ノイズ検出センサ106は、上筐体201b側に配設されて、第3のアンテナ素子として動作して、上筐体201bの内部に配設された導体板、導線やプリント基板上の印刷パターンで形成したものでもよい。第3のアンテナ素子であるノイズ検出アンテナ素子106と、第2のアンテナ素子である回路基板102上のグランドパターンとが、ダイポールアンテナとして動作して、回路基板102のグランドを接地電位とするノイズ源となる回路、例えば、CPU112が放射するノイズ信号116を受信する。
【0075】
図5に示すように、第1及び第2のアンテナ素子の給電位置、例えば、給電端子13aと、ノイズ検出アンテナ素子106の給電位置、例えば、給電端子113bとの距離L2は、第1及び第2のアンテナ素子により形成される主アンテナの受信動作周波数帯の波長の1/4以内(例えば、受信周波数800MHz帯で使用される場合には94mm以内)とする構成にすることがノイズ検出アンテナ性能上望ましい。また、第1及び第2のアンテナ素子の給電位置、例えば、給電端子13aと、及びノイズ検出アンテナ素子106の給電位置、例えば、給電端子113bのそれぞれの給電位置を、図5に示すように、回路基板102上の同一辺に配設する構成としてもよい。
【0076】
以上のように構成された受信装置において、回路基板102のグランド部に対して不平衡給電されるノイズ検出アンテナ106は、回路基板102のグランドパターンを接地電位とする干渉成分を発生するノイズ源となる回路、例えば、CPU112が放射するノイズ信号116を効率よく検出することができる。このように、本実施の形態によれば、干渉成分が分布する範囲にかかわらず、受信装置の大型化を招くことなく、干渉成分を効率よく検出して、確実に内部干渉を抑えることができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、CPU112をノイズ源の一例として挙げたが、ノイズ源は、回路基板102のグランド部を接地電位とする回路、例えば、映像信号を保持するメモリ回路や、DC/DC電源等の電源回路、液晶ディスプレイ等の信号処理回路等である場合もある。また、ノイズ源として、回路基板102上に実装される回路に限らず、回路基板102以外でも回路基板102のグランド部と導通するグランド部を有する回路であってもよい。この場合にあっても、上記同様の構成を採ることにより、同様な効果を得ることができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、給電ケーブル208を一例としてノイズ検出アンテナ素子106の給電線として挙げたが、ケーブル状のものでなくても、ノイズ検出アンテナ106とノイズ検出アンテナ整合回路の間を電気的に接続できるもの、例えば、導通性の金属で形成されたヒンジ部品であっても、同様な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明にかかる受信装置は、携帯電話、パーソナルコンピュータ、テレビ受信機、PDA等の端末装置に有用である。
【符号の説明】
【0080】
100、200 受信装置
101 筐体
102 回路基板
103 主アンテナ素子
104 主アンテナ整合回路
105 主アンテナ整合回路接地点
106、301 ノイズ検出アンテナ素子
107 ノイズ検出アンテナ整合回路
108 ノイズ検出アンテナ整合回路接地点
109 可変利得位相回路
110 加算回路
111 受信回路
112 CPU
113、113a,113b 給電端子
114 信号ライン
115 表示素子
116 ノイズ信号
117 接地用端子
201a 下筐体
201b 上筐体
202 金属フレーム
204a,204b 回転軸
205a,205b ヒンジ金具
206a,206b 取付けネジ
207a,207b ヒンジ部
208 ケーブル
209a,209b ネジ穴部
210 スイッチ
211 インピーダンス素子
212 制御回路
213 整合回路接地点
300 従来の受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に設けられ接地電位と同じ電位のグランドパターンを有する回路基板と、前記回路基板のグランドパターンから不平衡給電する主アンテナ素子と、前記回路基板から前記主アンテナ素子に給電する第1給電部と、前記主アンテナ素子で受信した信号を復調する受信回路と、前記回路基板上に配置するノイズ信号回路と、前記ノイズ信号回路から発生するノイズ信号の振幅と位相を調節して前記主アンテナ素子で受信した信号に重畳する位相振幅調整回路と、前記ノイズ信号を検出する手段として前記回路基板のグランドパターンから不平衡給電するノイズ検出アンテナ素子と、前記回路基板から前記ノイズ検出アンテナ素子に給電する第2給電部を備え、前記回路基板から前記主アンテナ素子と前記ノイズ検出用アンテナとに給電することを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記第1給電部と前記第2給電部は、前記回路基板の同一辺上に配置することを特徴とする請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】

前記第1給電部と前記第2給電部は、前記主アンテナ素子の動作周波数の1/4波長以内の距離に配置することを特徴とする請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とが回動自在に連結する導電性のヒンジ部と、前記第1の筐体に設けられた金属フレームと、前記第2の筐体内部に設けられグランドパターンを有する回路基板と、前記回路基板のグランドパターンから前記ヒンジ部を介して金属フレームに不平衡給電する主アンテナ素子と、前記回路基板から前記ヒンジ部に給電する第1給電部と、前記主アンテナ素子で受信した信号を復調する受信回路と、前記回路基板上に配置するノイズ信号回路と、前記ノイズ信号回路から発生するノイズ信号の振幅と位相を調節して前記主アンテナ素子で受信した信号に重畳する位相振幅調整回路と、前記ノイズ信号を検出する手段として前記回路基板のグランドパターンから不平衡給電するノイズ検出アンテナ素子と、前記回路基板から前記ノイズ検出アンテナ素子に給電する第2給電部を備え、前記回路基板から前記主アンテナ素子と前記ノイズ検出用アンテナとに給電することを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−199466(P2011−199466A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62357(P2010−62357)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】