説明

受診者確認装置及び受診カード作成装置

【課題】受診者に与える負担を軽減することができる受診者確認装置及び受診カード作成装置を提供する。
【解決手段】被検体Pの顔に赤外線を照射して第1及び第2の画像データを生成する第1及び第2の撮像部11,21と、第1及び第2の画像データを処理して3次元データを生成し、生成した3次元データを数値化して被検体Pの顔を識別するための第1及び第2の顔データを生成する第1及び第2の画像処理部12,22と、第1の画像処理部12で生成された第1の顔データを保存する受診カード30とを備え、被検体Pが所持する受診カード30に保存された第1の顔データと第2の画像処理部22で生成される第2の顔データを照合して、その第1の顔データに対応する被検体Pの顔と受診カード30を所持する被検体Pの顔が一致しているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療施設において診療を行う受診者の確認を行う受診者確認装置及び受診カード作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所等の医療施設では、総合受付に提出される健康保険証により初めて訪れた受診者を確認し、確認した受診者を識別する氏名、生年月日、受診者ID等の個人情報が記された例えば受診カードを発行して受付を行う。また、総合受付係に提出される受診カードにより再診のため訪れた受診者の受付を行う。
【0003】
総合受付の後、医師による診察を行う内科、産婦人科、画像診断装置(X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置等)や放射線治療装置により画像診断や放射線治療を行う画像診断及び放射線治療科、点滴などの投薬による治療を行う治療科等の各診療科の受付に提出される受診カードにより受付を行う。そして、受診カードに記された氏名を医師や看護師等が称呼して受診者を確認する。また、総合受付で確認した個人情報と称呼した後の診察券に記された生年月日等の照会により受診者を確認する。
【0004】
しかしながら、氏名の称呼による確認や、氏名や生年月日の照会による確認では、同姓同名や同生年月日により、受診者を誤認してしまう恐れがあるため、受診カードに受診者の顔写真を貼り付けて、称呼した受診者の顔を顔写真と見比べて照合することにより、受診者を確認する。
【0005】
また、最近では、受診者の指紋像をICカードに保存し、その指紋像を保存したICカードを所持する受診者の指紋を読み取り、読み取った指紋の像をそのICカードに保存された指紋像と照合することにより、受診者を確認する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−298119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、受診者の顔を顔写真と見比べる顔照合では、顔相似により誤認してしまう問題や、顔写真と見比べることにより受診者に心理的な負担を与えてしまう問題がある。また、受診カードを紛失した場合、顔などの個人情報が漏洩してしまう問題がある。更に、指紋照合では、汗をかいている状態や荒れている状態の指から指紋を読み取ろうとすると、読み取り精度が低下するため、読み取りを複数回行う必要が生じ、受診者に負担をかけてしまう問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、受診者に与える負担を軽減することができる受診者確認装置及び受診カード作成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、請求項1に係る本発明の受診者確認装置は、顔を識別する数値化された顔データが保存された受診カードを所持した撮影エリアに位置する被検体の顔に光を照射して画像データを生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された画像データを処理して3次元データを生成し、生成した3次元データを数値化して前記受診カードを所持する被検体の顔を識別するための顔データを生成する画像処理手段と、前記受診カードに保存された顔データと前記画像処理手段により生成された顔データを照合して、前記受診カードに保存された顔データに対応する顔と前記受診カードを所持する被検体の顔が一致しているか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る本発明の受診カード作成装置は、撮像エリアに位置する被検体の顔に光を照射して画像データを生成する撮像手段と、前記撮像手段により生成された画像データを処理して3次元データを生成し、生成した3次元データを数値化して前記被検体の顔を識別するための顔データを生成する画像処理手段と、前記画像処理手段により生成された顔データを保存する受診カードとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、受診者の顔を撮像して、高い精度で識別可能な受診者の形状に基づくデジタルデータを生成して受診カードに保存し、受診カードに保存されたデジタルデータとその受診カードを所持する受信者の撮像により得られるデジタルデータを照合することにより、受診者の確認を行うことができる。これにより、受診者に与える負担を軽減することができる。また、受診カードを紛失したときの顔の情報の漏洩を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る受診者確認支援システムの構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る第1の撮像部の構成を示す図。
【図3】本発明の実施例に係る受診カード作成装置で作成された受診カードの構成の一例を示す図。
【図4】本発明の実施例に係る第1の受診者確認装置の構成を示す図。
【図5】本発明の実施例に係る受診カード作成装置の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施例に係る第1の受診者確認装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の実施例に係る受診者確認支援システムの構成を示した図である。この受診者確認支援システム100は、受診のために病院や診療所等の医療施設の総合受付(第1の受付)に初めて訪れ、受診者となる被検体Pの顔を撮像して受診カード30を作成する受診カード作成装置10を備えている。
【0015】
また、受診者確認支援システム100は、各診療科に設けられた第2の受付で、被検体Pが所持する受診カード作成装置10により作成された受診カード30を用いて、その診療科の受診者であるか否かの確認を行う受診者確認装置20と、受診カード作成装置10と受信者確認装置20の間で情報の送受信を行うためのネットワーク40とを備えている。
【0016】
受診カード作成装置10は、医療施設の第1の受付に設置され、第1の受付の第1撮像エリアに位置する被検体Pの顔に光を照射して2次元の第1の画像データを生成する第1の撮像部11と、この第1の撮像部11で生成された第1の画像データを処理して3次元データを生成し、生成した3次元データをデジタルデータである被検体Pの顔を識別するための第1の顔データを生成する第1の画像処理部12とを備えている。
【0017】
また、受診カード作成装置10は、第1の画像処理部12で生成された第1の顔データを受診カード30に保存するための保存手段である第1の顔データを2次元コードに変換する変換部13及びこの変換部13で2次元コード化された第1の顔データを印字する印字部14と、被検体Pを識別する顔以外の情報である例えば氏名、生年月日、住所、受診者ID等の個人情報や、被検体Pの診察、画像診断、及び治療等を行う各診療科の情報等の入力を行う操作部15とを備えている。
【0018】
更に、受診カード作成装置10は、操作部15から入力された被検体Pの個人情報を受診カード30に書き込むライタ16と、このライタ16により書き込まれた個人情報を受診カード30から読み出すリーダ17と、ネットワーク40を介して受診者確認装置20と情報の送受信を行うインターフェース18と、上記ユニットを制御する制御部19とを備えている。
【0019】
図2は、第1の撮像部11の構成を示した図である。この第1の撮像部11は、第1の受付に訪れた第1撮像エリアに位置する被検体Pから例えば0.6〜1.3m離間して配置され、目に見えない例えば格子状パターンの赤外線を第1撮像エリアの被検体Pの顔に照射する第1の光照射部111を備えている。また、第1の光照射部111から照射され、被検体Pの顔面に投影された格子状パターンの赤外線を検出して、例えば毎秒30フレームの第1の画像データを生成する高速撮像が可能な赤外線カメラ等を有する第1の光検出部112を備えている。そして、生成した第1の画像データを第1の画像処理部12に出力する。
【0020】
このように、赤外線を用いることにより、第1の受付の可視光の明るさに影響されることなく第1の画像データを生成することができる。また、高速撮像のため、被検体Pを完全に静止させる必要がない。これにより、被検体Pに心理的な負担を与えることなく撮像することができる。
【0021】
第1の画像処理部12は、第1の撮像部11から出力された第1の画像データを処理して3次元データを生成し、生成した3次元データを数値化して被検体Pの顔を識別する第1の顔データを生成する。そして、生成した第1の顔データを変換部13に出力する。
【0022】
ここで、第1の光照射部111から照射された格子状パターンの赤外線は被検体Pの顔面に投影される。このため、第1の光検出部112で生成される第1の画像データを構成する格子状パターンのデータは、被検体Pの顔の形状に基づく起伏に応じて歪んでいる。この歪んだパターンを再構築して3次元データを生成し、生成した3次元データをデジタルデータである例えば4万ポイントから成る100分の1ミリ単位の数値で表されるテンプレートに変換する。次いで、変換したテンプレートを所定のアルゴリズムにより例えば512バイトに軽量化して、第1の顔データを生成する。この3D顔認証法により、例えば他人受入れ率100万分の1の精度で顔を識別することができる。
【0023】
このように、第1の画像データの歪んだパターンを再構築して3次元データを生成するため、被検体Pを正面又は正面から左右に例えば30°横を向いた範囲までの方向から撮像することが可能となり、被検体Pに意識させることなく撮像することができる。これにより、被検体Pに心理的な負担を与えることなく撮像することができる。
【0024】
また、被検体Pの顔の形状に基づく起伏に応じて第1の顔データを生成することにより、指紋認証のように被検体Pの顔の汗や肌荒れ等の表面状態の影響を受けることがないため、被検体Pにかかる負担を軽減することができる。また、高い精度で顔の識別が可能なデータを得ることができる。
【0025】
図1に示した変換部13は、第1の画像処理部12から出力された第1の顔データを例えばQRコード等の2次元コードに変換し、変換した2次元コードを印字部14に出力する。また、印字部14は、プリンタを備え、変換部13から出力された2次元コードを受診カード30に印字する。
【0026】
このように、第1の顔データを汎用性に優れた2次元コードに変換して取り扱うことができる。
【0027】
操作部15は、キーボード、マウスなどの入力デバイスを備え、第1の撮像部11における被検体Pの撮像や、印字部14で2次元コードの印字を行わせるための入力を行う。また、第1の撮像部11で撮像される被検体Pの個人情報の入力を行う。更に、第1の受付に訪れた被検体Pの診察、画像診断、及び治療を行う各診療科の情報等の入力を行う。
【0028】
ライタ16は、書込み位置に設定された受診カード30に操作部15から入力された被検体Pの個人情報を書き込み保存する。
【0029】
リーダ17は、読出し位置に設定された受診カード30に保存される個人情報を読み出し、読み出した個人情報を制御部19に出力する。ここでは、第1の受付に訪れた被検体Pの再診の受付けを受理するために受診カード30から読出しが行われる。
【0030】
インターフェース18は、ネットワーク40を介して受診者確認装置20から送信される、第2の受付に移動した被検体Pがその受付の受診者であるか否かを問い合わせるための受診者問合せ情報を受信して制御部19に出力する。また、受診者問合せ情報の受信に応じて、制御部19から出力される受診者返答情報を、ネットワーク40を介して受診者確認装置20に返信する。
【0031】
制御部19は、CPUと記憶回路を備え、操作部15から入力された入力情報に基づいて、第1の撮像部11、第1の画像処理部12、変換部13、印字部14、ライタ16、リーダ17、及びインターフェース18の各ユニットの制御や装置全体の制御を行う。
【0032】
また、操作部15から入力された個人情報及び診療科情報や、リーダ17から出力された個人情報と共に操作部15から入力された診療科情報を含む情報を受診者受付情報として保存して、第1の受付における受付を受理する。
【0033】
更に、保存した受診者受付情報に基づいて、インターフェース18から出力された受診者問合せ情報に含まれる個人情報を有する被検体Pが第1の受付で受理された受診者であるか否かを判定する。
【0034】
そして、保存した受診者受付情報の中に受診者問合せ情報に含まれる個人情報を有する受診者受付情報が存在する場合、第1の受付で受理された受診者であると判定し、その受診者受付情報に含まれる診療科情報を受診者返答情報としてインターフェース18に出力する。
【0035】
また、保存した受診者受付情報の中に、受診者問合せ情報に含まれる個人情報を有する受診者受付情報が存在しない場合、第1の受付で未受理の受診者であると判定し、受付を拒否する情報を受診者返答情報としてインターフェース18に出力する。
【0036】
図3は、受診カード作成装置10で作成された受診カード30の構成の一例を示した図である。この受診カード30は、カード本体31、このカード本体31に設けられた例えば磁気ストリップ等のメモリを有する記憶エリア32、及びカード本体31に設けられた印字エリア33により構成される。
【0037】
記憶エリア32には、受診カード作成装置10のライタ16により書き込まれた被検体Pの個人情報が保存されている。また、印字エリア33には、記憶エリア32に保存された個人情報で識別される被検体Pの顔を識別する第1の顔データが、受診カード作成装置10の印字部14により2次元コードとして印字保存されている。
【0038】
そして、受診カード30は、このカードの所有者となる記憶エリア32に保存された個人情報を有し、且つ印字エリア33に保存された第1の顔データに対応する顔を有する被検体Pに対して第1の受付で発行される。また、再診で訪れた被検体Pから第1の受付に提出される。
【0039】
このように、デジタルデータである第1の顔データを受診カード30に保存することにより、受診カード30を紛失した場合でもそのカードの所有者の顔の情報の漏洩を防ぐことができる。
【0040】
なお、受診カード30を、例えば受診票用紙やカードに2次元コード化した個人情報及び第1の顔データを印字したものに置き換えて実施するようにしてもよい。また、個人情報を記憶する例えばICチップを設けたICカードに2次元コード化した第1の顔データを印字したものに置き換えて実施するようにしてもよい。
【0041】
また、受診カード30を、個人情報及び第1の顔データを記憶する例えばICチップや磁気ストリップ等のメモリを設けたカードに置き換えて実施するようにしてもよい。
【0042】
更に、第1の顔データに有効期限を設け、その有効期限の情報を2次元コードに変換して受診カード30に印字するように実施してもよい。これにより、第1の顔データの更新時期が明確になり、被検体Pの顔が長期間に亘って変形する場合の認証精度の低下を防ぐことができる。
【0043】
図1に示した受診者確認装置20は、n台の第1乃至第nの受診者確認装置201乃至20nにより構成される。そして、受診カード作成装置10で作成され、第1の受付で発行された受診カード30を所持する被検体Pが移動する内科、産婦人科、画像診断装置(X線診断装置、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置等)や放射線治療装置により画像診断や放射線治療を行う画像診断及び放射線治療科、点滴などの投薬による治療を行う治療科等の各第1乃至第nの診療科に設けられた第2の受付(第21乃至第2nの受付)に設置される。
【0044】
図4は、第1の受診者確認装置201の構成を示した図である。この第1の受診者確認装置201は、例えば第1の診療科に設けられた第21の受付に設置され、第21の受付の第21撮像エリアに位置する被検体Pの顔に光を照射して2次元の第2の画像データを生成する第2の撮像部21と、この第2の撮像部21で生成された第2の画像データを処理して3次元データを生成し、生成した3次元データを数値化して被検体Pの顔を識別するための第2の顔データを生成する第2の画像処理部22とを備えている。
【0045】
また、第1の受診者確認装置201は、第21の受付に提出された受診カード30に保存される個人情報や2次元コードを読み出すリーダ23と、リーダ23により読み出された2次元コードを元の第1の顔データに戻すデコード部24と、デコード部24により戻された第1の顔データと第2の画像処理部22で生成された第2の顔データの照合により判定を行う判定部25とを備えている。
【0046】
更に、第1の受診者確認装置201は、判定部25の判定結果を出力する出力手段である表示部26と、第21の受付に提出された受診カード30から個人情報や2次元コードを読み出させるための入力等を行う操作部27と、リーダ23により読み出された個人情報を含む受診者問合せ情報を、ネットワーク40を介して受診カード作成装置10に送信するインターフェース28と、上記ユニットを制御する制御部29とを備えている。
【0047】
第2の撮像部21は、図2に示した第1の撮像部11と同様に構成される第2の光照射部及び第2の光検出部を備え、第21撮像エリアに位置する被検体Pから例えば0.6〜1.3m離間して配置され、被検体Pの顔を撮像して2次元の第2の画像データを生成し、生成した第2の画像データを第2の画像処理部22に出力する。
【0048】
このように、赤外線を用いることにより、第21の受付の可視光の明るさに影響されることなく第2の画像データを生成することができる。また、高速撮像のため、被検体Pを完全に静止させる必要がない。これにより、被検体Pに心理的な負担を与えることなく撮像することができる。
【0049】
第2の画像処理部22は、第1の画像処理部12と同様に構成され、第2の撮像部21から出力された第2の画像データを処理してデジタルデータである数値化した第2の顔データを生成し、生成した第2の顔データを判定部25に出力する。
【0050】
このように、被検体Pの顔の形状に基づく起伏に応じて第2の顔データを生成することにより、指紋認証のように被検体Pの顔の汗や肌荒れ等の表面状態の影響を受けることがないため、被検体Pにかかる負担を軽減することができる。また、高い精度で顔の識別が可能なデータを得ることができる。
【0051】
リーダ23は、読出し位置に設定された受診カード30の印字エリア33に保存された2次元コードを読み出すリーダ及びその受診カード30の記憶エリア32に保存された個人情報を読み出すリーダを備えている。そして、読み出した個人情報を制御部29に出力し、読み出した2次元コードをデコード部24に出力する。ここでは、第21の受付に移動した被検体Pが第1の診療科の受診者であるか否かの確認を行うために受診カード30から読出しが行われる。
【0052】
デコード部24は、リーダ23から出力された2次元コードを元の第1の顔データに戻して判定部25に出力する。
【0053】
判定部25は、リーダ23から読み出された個人情報に応じて、制御部29から供給されるその個人情報を有する被検体Pが第1の診療科の受診者である場合の判定結果に基づいて、デコード部24から出力される第1の顔データと第2の画像処理部22から出力される第2の顔データとを照合する。そして、第1の顔データに対応する顔と第2の画像処理部22から出力される第2の顔データに対応する顔が一致しているか否かを判定する。この判定結果から第21撮像エリアの受診カード30を所持する被検体Pがそのカードの所有者であるか否かを判断する。そして、その判断の結果を表示部26に出力する。
【0054】
表示部26は、液晶パネルやCRTを備え、判定部25から出力された判断の結果を表示する。なお、スピーカを備えた音声部を設け、判定部25から出力された判断の結果を音声出力するように実施してもよい。
【0055】
操作部27は、キーボード、マウスなどの入力デバイスを備え、第21の受付に提出された受診カード30に保存される個人情報を読み出させるための入力等を行う。
【0056】
インターフェース28は、リーダ23から出力された個人情報に応じて制御部29から出力される受診者問合せ情報を、ネットワーク40を介して受診カード作成装置10に送信する。また、受診者問合せ情報の送信に応じて、ネットワーク40を介して受診カード作成装置10から返信される受診者返答情報を制御部29に出力する。
【0057】
制御部29は、CPUと記憶回路を備え、操作部27から入力された入力情報に基づいて、第2の撮像部21、第2の画像処理部22、リーダ23、デコード部24、判定部25、表示部26、及びインターフェース28の各ユニットの制御や装置全体の制御を行う。また、リーダ23から出力される個人情報を含む情報を受診者問合せ情報としてインターフェース28に出力する。更に、受診者問合わせ情報の出力に応じて、インターフェース28から出力される受診者返答情報に基づいて、リーダ23から出力された個人情報を有する被検体Pが第1の診療科の受診者であるか否かを判定する。
【0058】
そして、受診者返答情報に診療科情報が含まれている場合、その診療科情報に基づいて判定する。ここで、受診者返答情報に含まれる診療科情報が第1の診療科である場合、リーダ23から出力された個人情報を有する被検体Pが第1の診療科の受診者であると判定する。また、受診者返答情報に含まれる診療科情報が第1の診療科以外の診療科である場合、リーダ23から出力された個人情報を有する被検体Pが第1の診療科以外の受診者であると判定する。
【0059】
また、受診者返答情報に受付拒否情報が含まれている場合、リーダ23から出力された個人情報を有する被検体Pが例えば当日の受信者でないと判定して受付を拒否し、その受付拒否情報を表示部26に出力する。
【0060】
なお、各第2乃至第nの受診者確認装置202乃至20nは、第1の受診者確認装置201と設置される受付が異なる以外は同様に構成されるので、その説明を省略する。
【0061】
以下、図1乃至図6を参照して、受診者確認支援システム100の動作の一例を説明する。図5は、受診カード作成装置10の動作を示すフローチャートである。また、図6は、第1の受診者確認装置201の動作を示すフローチャートである。
【0062】
先ず、受診カード作成装置10の動作について説明する。
図5において、第1の受付に訪れた被検体Pにより例えば診療申込書と健康保険証が提出される。そして、操作部15から被検体Pの個人情報及び診療科の情報を入力する操作が行われると、受診カード作成装置10は動作を開始する(ステップS1)。
【0063】
制御部19は、第1の撮像部11、第1の画像処理部12、変換部13、印字部14、及びライタ16に受診カード30の作成を指示すると共に、操作部15から入力された個人情報及び診療科情報を受診者受付情報として内部に保存する。ライタ16は、読出し位置に設定された受診カード30の記憶エリア32に操作部15から入力された個人情報を書き込み保存する(ステップS2)。
【0064】
次いで、操作部15から撮像操作が行われると、第1の撮像部11の第1の光照射部111は、第1撮像エリアに位置する被検体Pの顔に格子状パターンの赤外線を照射する。第1の光検出部112は、第1の光照射部111から照射され、格子状パターンの赤外線が投影された被検体Pの顔面を撮像して第1の画像データを生成し、生成した第1の画像データを第1の画像処理部12に出力する(ステップS3)。
【0065】
第1の画像処理部12は、第1の光検出部112から出力された第1の画像データを処理して第1の顔データを生成し、生成した第1の顔データを変換部13に出力する(ステップS4)。
【0066】
変換部13は、第1の画像処理部12から出力された第1の顔データを2次元コードに変換し、変換した2次元コードを印字部14に出力する(ステップS5)。
【0067】
印字部14は、変換部13から出力された2次元コードを受診カード30の印字エリア33に印字する(ステップS6)。
【0068】
受診カード30に個人情報及び2次元コード化された第1の顔データが保存された後、制御部19が第1の撮像部11、第1の画像処理部12、変換部13、印字部14、及びライタ16に受診カード30の作成の終了を指示することにより、受診カード作成装置10は動作を終了する(ステップS7)。
【0069】
受診カード作成装置10により作成され、第1の受付で発行された受診カード30を受け取った被検体Pは、例えば第1の診療科に移動する。
【0070】
次に、第1の受診者確認装置201の動作について説明する。
図6は、第1の受診者確認装置201の動作をしたフローチャートである。第1の診療科の第21の受付へ移動した被検体Pは、第21撮像エリアで所持していた受診カード30を第21の受付に提出する。そして、リーダ23の読出し位置に受診カード30が設定された後、操作部27から受診者問合わせの操作が行われると、第1の受診者確認装置201は動作を開始する(ステップS11)。
【0071】
制御部29は、第2の撮像部21、第2の画像処理部22、リーダ23、デコード部24、判定部25、表示部26、及びインターフェース28に受診者の確認を指示する。リーダ23は、読出し位置に設定された受診カード30に保存される個人情報を読み出し、読み出した個人情報を制御部29に出力する(ステップS12)。
【0072】
制御部29は、リーダ23から出力された個人情報を含む情報を受診者問合せ情報としてインターフェース28に出力する。インターフェース28は、制御部29から出力された受診者問合せ情報を、ネットワーク40を介して受診カード作成装置10に送信する。この送信に応じて、ネットワーク40を介して受診カード作成装置10から返信される受診者返答情報を制御部29に出力する。
【0073】
制御部29は、インターフェース28から出力された受診者返答情報に基づいて、リーダ23から出力された個人情報を有する被検体Pが第1の診療科の受診者であるか否かを判定する。
【0074】
そして、受診者返答情報に診療科情報が含まれている場合(ステップS13のはい)、ステップS14へ移行する。また、受診者返答情報に受付拒否の情報が含まれている場合(ステップS13のいいえ)、ステップS15へ移行する。
【0075】
ステップS13の「はい」の後に、受診者返答情報に含まれる診療科情報が第1の診療科である場合(ステップS14のはい)、リーダ23から出力された個人情報を有する被検体Pは第1の診療科の受診者であると判定し、ステップS16へ移行する。また、受診者返答情報に含まれる診療科情報が第1の診療科以外の診療科である場合(ステップS14のいいえ)、リーダ23から出力された個人情報を有する被検体Pは第1の診療科以外の受診者であると判定し、ステップS15へ移行する。
【0076】
このように、受診者問合わせの操作を行うだけの簡単な操作で、リーダ23の読出し位置に設定された受診カード30の所有者が第1の診療科の受診者であるか否かを判定することができる。
【0077】
ステップS14の「はい」の後に、第2の撮像部21は、第21撮像エリアに位置する被検体Pを撮像して第2の画像データを生成し、生成した第2の画像データを第2の画像処理部22に出力する(ステップS16)。
【0078】
第2の画像処理部22は、第2の撮像部21から出力された第2の画像データを処理して第2の顔データを生成し、生成した第2の顔データを判定部25に出力する(ステップS17)。
【0079】
リーダ23は、読出し位置の受診カード30に保存される2次元コードを読み出し、読み出した2次元コードをデコード部24に出力する(ステップS18)。
【0080】
デコード部24は、リーダ23から出力された2次元コードを元の第1の顔データに戻し、元に戻した第1の顔データを判定部25に出力する(ステップS19)。
【0081】
判定部25は、デコード部24から出力された第1の顔データと第2の画像処理部22から出力された第2の顔データを照合して、第1の顔データに対応する顔と第2の画像処理部22から出力された第2の顔データに対応する顔が一致しているか否かを判定する。
【0082】
そして、第1の顔データと第2の顔データの差が予め設定された許容範囲内である場合(ステップS20のはい)、第1の顔データに対応する顔と第2の顔データに対応する顔が一致していると判定し、第21撮像エリアの被検体Pがリーダ23の読出し位置に設定された受診カード30の所有者であると判断する。そして、表示部26にその判断結果としての受付受理の情報を表示する(ステップS21)。
【0083】
また、第1の顔データと第2の顔データの差が許容範囲から外れている場合(ステップS20のいいえ)、第1の顔データに対応する顔と第2の顔データに対応する顔が不一致であると判定し、第21撮像エリアの被検体Pがリーダ23の読出し位置に設定された受診カード30の非所有者であると判断し、ステップS15へ移行する。
【0084】
このように、第21撮像エリアの被検体Pが所持する受診カード30の所有者が第1の診療科の受診者である場合、その被検体Pを撮像して第2の顔データを生成し、生成した第2の顔データを受診カード30に保存された第1の顔データと照合することにより、第21撮像エリアの被検体Pが所持する受診カード30の所有者であるか否かを判断することができる。
【0085】
ステップS21の後に、受付受理された第21撮像エリアの被検体Pは、第1の診療科内に移動する。そして、第1の診療科で、被検体Pの診察、画像診断を行うための撮影、放射線治療、又は投薬治療等が行われる。
【0086】
このように、第21の受付へ移動した被検体Pを称呼しないで、受診者の確認を行うことができる。このため、被検体Pの氏名等の個人情報の漏洩を防ぐことができる。
【0087】
ステップS13の「いいえ」、ステップS14の「いいえ」、又はステップS20の「いいえ」の後に、判定部25は、表示部26に例えば「第21撮像エリアの受診者の受付を拒否します」等の受付拒否の情報を表示する(ステップS15)。
【0088】
このように、第21撮像エリアの被検体Pが所持する受診カード30の所有者である場合、受付受理の情報を表示部26に表示することができる。また、第21撮像エリアの被検体Pが所持する受診カード30の非所有者である場合、受付拒否の情報を表示部26に表示することができる。
【0089】
受付拒否された第21撮像エリアの被検体Pには、第1の受付で受付が受理されていない、又は第1の診療科以外の診療科であることが伝えられる。そして、伝えられた被検体Pは、第21の受付から立ち去り、第1の受付又は第1の診療科以外の診療科の受付へ移動する。
【0090】
ステップS15又はステップS21の後、制御部29が第2の撮像部21、第2の画像処理部22、リーダ23、デコード部24、判定部25、表示部26、及びインターフェース28に受診者の確認の停止を指示することにより、第1の受診者確認装置201は動作を終了する(ステップS22)。
【0091】
以上述べた本発明の実施例によれば、被検体Pの顔を第1及び第2の撮像部11,21で撮像することにより、被検体Pに意識させることなく撮像することができる。これにより、被検体Pに心理的な負担を与えることなく撮像することができる。
【0092】
また、被検体Pの顔の形状に基づく起伏に応じて第1及び第2の顔データを生成することにより、指紋認証のように被検体Pの顔の汗や肌荒れ等の表面状態の影響を受けることがないため、被検体Pにかかる負担を軽減することができる。
【0093】
更に、被検体Pの顔の形状に基づく起伏に応じて第1の顔データを生成することにより、高い精度で顔の識別が可能なデータを得ることができる。また、指紋認証のように被検体Pの顔の汗や肌荒れ等の表面状態の影響を受けることがないため、被検体Pにかかる負担を軽減することができる。
【0094】
更にまた、生成した第1の顔データを受診カード30に保存することにより、受診カード30を紛失した場合でも被検体Pの顔の情報の漏洩を防ぐことができる。
【0095】
そして、受診者問合わせの操作を行うだけの簡単な操作で、第21撮像エリアの被検体Pが所持する受診カード30の所有者が第1の診療科の受診者であるか否かを判定することができる。次いで、第21撮像エリアの被検体Pが所持する受診カード30の所有者が第1の診療科の受診者である場合、その被検体Pを撮像して第2の顔データを生成し、生成した第2の顔データを受診カード30に保存された第1の顔データと照合して、第21撮像エリアの被検体Pがその受診カード30の所有者であるか否かを判断することができる。そして、第21撮像エリアの被検体Pが所持する受診カード30の所有者である場合、受付受理の情報を表示部26に表示することができる。また、第21撮像エリアの被検体Pが所持する受診カード30の非所有者である場合、受付拒否の情報を表示部26に表示することができる。これにより、第21の受付へ移動した被検体Pを称呼しないで受診者の確認を行うことができるため、被検体Pの氏名等の個人情報の漏洩を防ぐことができる。また、受診者の顔を見比べることなく確認することができるため、受診者にかかる負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0096】
P 被検体
10 受診カード作成装置
11 第1の撮像部
12 第1の画像処理部
13 変換部
14 印字部
15,27 操作部
16 ライタ
17,23 リーダ
18,28 インターフェース
19,29 制御部
20 受診者確認装置
21 第2の撮像部
22 第2の画像処理部
24 デコード部
25 判定部
26 表示部
30 受診カード
201 第1の受診者確認装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔を識別する数値化された顔データが保存された受診カードを所持した撮影エリアに位置する被検体の顔に光を照射して画像データを生成する撮像手段と、
前記撮像手段により生成された画像データを処理して3次元データを生成し、生成した3次元データを数値化して前記受診カードを所持する被検体の顔を識別するための顔データを生成する画像処理手段と、
前記受診カードに保存された顔データと前記画像処理手段により生成された顔データを照合して、前記受診カードに保存された顔データに対応する顔と前記受診カードを所持する被検体の顔が一致しているか否かを判定する判定手段とを
備えたことを特徴とする受診者確認装置。
【請求項2】
前記受診カードに保存された顔データは、2次元コード化されたデータであり
前記2次元コードを読み出す読み出し手段、及びこの読み出し手段に読み出された2次元コードを元の顔データに戻すデコード手段を有し、
前記判定手段は、前記デコード手段により元に戻された顔データと前記画像処理手段により生成された顔データを照合するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の受診者確認装置。
【請求項3】
前記受診カードには、この受診カードに保存された顔データにより識別される被検体の個人情報が保存され、
前記判定手段は、前記受診カードを所持した被検体がその受診カードに保存される個人情報を有する所有者である場合に前記受診カードに保存された顔データと前記画像処理手段により生成された顔データを照合するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の受診者確認装置。
【請求項4】
前記撮像手段は、所定の診療科に設けられた前記撮像エリアを有する受付に設置され、
前記判定手段は、前記受診カードに保存された顔データに対応する顔と前記受診カードを所持する被検体の顔が一致している場合に前記受付における受付を受理する情報を出力手段に出力し、前記受診カードに保存された顔データに対応する顔と前記受診カードを所持する被検体の顔が不一致である場合に前記受付における受付を拒否する情報を前記出力手段に出力するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の受診者確認装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、所定のパターンの赤外線を前記撮像エリアに位置する被検体の顔に照射する光照射手段及びこの光照射手段により前記被検体の顔面に投影された前記所定のパターンの赤外線を検出して画像データを生成する光検出手段を有し、
前記画像処理手段は、前記光検出手段により生成された画像データを構成している前記被検体の顔の形状に基づく起伏に応じて歪んだ前記所定のパターンのデータを再構築して3次元データを生成し、生成した3次元データを数値化して顔データを生成するようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の受診者確認装置。
【請求項6】
撮像エリアに位置する被検体の顔に光を照射して画像データを生成する撮像手段と、
前記撮像手段により生成された画像データを処理して3次元データを生成し、生成した3次元データを数値化して前記被検体の顔を識別するための顔データを生成する画像処理手段と、
前記画像処理手段により生成された顔データを保存する受診カードとを
備えたことを特徴とする受診カード作成装置。
【請求項7】
前記画像処理手段により生成された顔データを2次元コードに変換する変換手段、及びこの変換手段により変換された2次元コードを印字する印字手段を有し、
前記受診カードに保存された顔データは、前記印字手段により印字された2次元コードで表されるデータであることを特徴とする請求項6に記載の受診カード作成装置。
【請求項8】
前記撮像手段により撮像される被検体の個人情報を前記受診カードに書き込み保存する書き込み手段、及びこの書き込み手段により前記受診カードに保存された個人情報を読み出す読出し手段を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の受診カード作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−95948(P2011−95948A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248498(P2009−248498)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】