説明

口腔内崩壊錠剤のための直接圧縮性複合材

本発明は、水溶性賦形剤およびケイ酸カルシウムを共加工することによって調製される直接圧縮性複合材を記述する。本発明はさらに、共加工された複合材の錠剤製剤への組込みを記述する。口腔内崩壊錠剤は、最適な機械的強度を有し、口腔内で60秒以内に崩壊する。本発明は、口腔に入れたとき、水なしで、迅速に、好ましくは約60秒以内に溶解または崩壊する最適な機械的強度の錠剤を提供する。さらに詳細には、本発明は、少なくとも1つの水溶性賦形剤および少なくとも1つの水不溶性賦形剤、具体的にはケイ酸カルシウムを共加工することによって生成された複合材、および口腔崩壊性錠剤中でのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔に入れたとき、水なしで、迅速に、好ましくは約60秒以内に溶解または崩壊する最適な機械的強度の錠剤を提供する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、少なくとも1つの水溶性賦形剤および少なくとも1つの水不溶性賦形剤、具体的にはケイ酸カルシウムを共加工することによって生成された複合材、および口腔崩壊性錠剤中でのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
錠剤の機械的強度を維持しながら圧縮錠内部に速溶または速融のために十分な空隙を維持するプロセスを開発するために、口腔内崩壊錠剤の設計は相当量の研究活動を必要とする。口腔崩壊性剤形は、当技術分野で知られており、最もよく使用される技法の一部は、参照により本明細書に組み込まれる。多くの特許および既存の市販速溶性錠剤に関与する現在の技術は、複雑な加工技法、具体的には凍結乾燥、成形、および昇華、または特殊な賦形剤、具体的には発泡性カップル、高度微粉化剤などの使用を利用する。
【0004】
凍結乾燥は、多くの市販速溶性錠剤を生成する一般的な一プロセスであり、医薬品および適切な賦形剤を水または他の溶媒にとかした溶液または懸濁液を凍結乾燥することによってケーキまたはウエハを調製する。このような系は、水分に対して親和性が高く、空隙率が極めて高いため、舌上で極めて迅速に溶解する。特許文献1は、ブリスターパケット中に配置した活性成分および賦形剤を含むスラリーまたはペーストを凍結乾燥することを開示する。特許文献2は、予形成ブリスター中に活性薬物、糖アルコール、PEG 6000、タルク、甘味剤、および矯味剤を含む懸濁液を、室温またはわずかに高温で真空乾燥することを開示する。しかし、凍結乾燥プロセスには、いくつかの問題がある。これらのうち、最初の問題は、凍結乾燥に使用される溶液が水性であり、したがって、水感受性医薬品に適していないことである。また、低用量の活性剤に限定される。このプロセス自体、一般的に手間、コストおよび時間を要する。最後に、得られた剤形は、吸湿性であることに加えて、非常に軟らかい傾向があり、したがって特別な耐湿性および耐衝撃性パッケージング、ならびに慎重な取扱いを必要とする。
【0005】
特許文献3は、崩壊時間35秒〜45秒の高レベルの崩壊剤、具体的には16%のデンプン1500、および13.3%のクロスポピドンの使用を特許請求する。しかし、このような錠剤は、口中に入れたとき、チョークのようなまたは乾燥した感じがする。
【0006】
特許文献4は、口腔内での迅速崩壊を実現するために、発泡剤と共に錠剤化マトリックスに組み込まれた超粒状活性微粒子を必要とする、迅速に溶解する経口製剤を開示する。多くの速溶性錠剤は、発泡性化合物を含むことによっても製剤される。特許文献4および特許文献5は、発泡性カップル(重炭酸ナトリウムおよびクエン酸など)を錠剤に添加することを開示する。このような錠剤が湿気に曝露されると、ガス生成をもたらす発泡性カップルで接触および化学反応し、錠剤が崩壊する。しかし、発泡性対を含む錠剤は、湿気に高い感受性を示し、特殊な取扱い設備、湿度制御環境、および特殊な耐湿性パッケージングを含めて、非常にコストのかかる特定のプラントを必要とし、またこのような調製物は、口中で不快な感じがする。
【0007】
別の口腔崩壊技法は、特許文献6および特許文献7に記載される噴霧乾燥技術であり、80%を超える1つまたは複数の非吸湿性ポリオール水溶液を調製するステップと、得られた混合物を空気流に噴霧するステップとを含む技術である。噴霧乾燥プロセスで得られた組成物は、フィラメント構造を含む。同様に、特許文献8は、マンニトールおよびソルビトール溶液を共に噴霧乾燥して、非フィラメント状ミクロ構造を得ることによって、直接圧縮性および高成形性組成物を生成する方法に関する。これらの特許には両方とも、高度に濃縮された水溶液の使用が記載される。これらの水溶液は、高温で維持および噴霧されるはずのものであり、したがって特殊な設備を要する。
【0008】
口腔崩壊性剤形を開発する別の手法は、所望の崩壊時間をもたらすはずの賦形剤を最適に選択することを伴う。これらは、通常は圧縮された剤形である。特許文献9には、口中で25秒未満で崩壊するフラッシュメルト剤形の調製が記載される。これらは、超崩壊剤(4%〜8%)、分散化剤、具体的にはケイ酸カルシウム(20%〜70%)、非晶質シリカ、ヒュームドシリカ、珪藻土、タルク、カオリン、三ケイ酸アルミニウムマグネシウム、および結合剤から選択される分配剤(10重量%〜50重量%)から構成される顆粒からなる。結合剤の量を多くすればより強い錠剤を生成することができるが、崩壊時間は長くなる傾向がある。この問題に対処するために、多量の分散および分配剤を製剤に含有させる。これは、錠剤の重量を増大させ、また製剤のコストを上げる場合がある。
【0009】
特許文献10は、固体生成物に組み込まれた場合に、この形成された生成物の、実質的に水性の環境に接触させたときの崩壊率を著しく高める、合成メタケイ酸カルシウムに関する。即放性錠剤では、ケイ酸カルシウムを用いた崩壊時間の短縮は、より著しい。というのは、ケイ酸カルシウムを用いて調製された錠剤は空隙率が低く、口腔内での崩壊時間が増大するからである。しかし、通常の設備でケイ酸カルシウムを使用すると、ケイ酸カルシウムといくつかの金属は相互作用するため最終剤形が着色される。ケイ酸カルシウムは、その疎水性および静電性のため、非常に流動性が低く錠剤への圧縮中に重量および含有量の変動を引き起こすブレンドを生じる。さらに、剤形にチョークのような味も与える。
【0010】
一般に、上記に述べた技法または機構の1つまたは複数を利用する特定の製剤例が他にも多数存在する。これらの技法の大部分は、退屈で複雑な製造方法、特殊なパッケージングおよび貯蔵要件、高いコスト、薬物負荷の制限などある程度、上記に列挙した問題の1つまたは複数を有する。したがって、これらの問題を軽減またはなくす製剤が引き続き求められている。このような剤形の所望の特性としては、口腔内での迅速な崩壊性、加湿条件下での貯蔵時においても好ましい口当たりおよび最適な機械的強度が挙げられる。
【0011】
驚くべきことに、少なくとも1つの水溶性賦形剤、および少なくとも1つの水不溶性賦形剤、具体的にはケイ酸カルシウムを共加工することによって作製された複合材は、口中で迅速に崩壊または溶解する製剤になることが見い出された。これらの賦形剤を用いて作製された錠剤は、高速打錠機で加工し低コストパッケージで輸送するのに十分に頑強であり(例えば、低脆弱性、低駆出力、硬度)、同時に迅速崩壊性または溶解性を保持する。該錠剤は、好ましい口当たり、および良好な機械的強度を有し、またこのような錠剤は、特殊な取扱いまたはパッケージング条件を必要としない。
【特許文献1】米国特許第5298261号明細書
【特許文献2】国際公開第97/36879号パンフレット
【特許文献3】米国特許第5464632号明細書
【特許文献4】米国特許第5178878号明細書
【特許文献5】国際公開第91/04757号パンフレット
【特許文献6】米国特許第5958471号明細書
【特許文献7】米国特許第6165511号明細書
【特許文献8】国際公開第03051338A1号パンフレット
【特許文献9】欧州特許第1145711号明細書
【特許文献10】国際公開第03045844A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、口腔内での崩壊時間が60秒未満である口腔内崩壊錠剤を開発することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、共加工することによって調製された複合材を使用して、口腔崩壊性錠剤を開発することである。
【0014】
さらに、本発明の目的は、少なくとも1つの水溶性賦形剤および少なくとも1つの水不溶性賦形剤、具体的にはケイ酸カルシウムを共加工することによって、複合材を調製すること、およびそれを口腔崩壊性錠剤中で使用することである。
【0015】
さらに、本発明の目的は、噴霧乾燥により少なくとも1つの水溶性賦形剤および少なくとも1つの水不溶性賦形剤、具体的にはケイ酸カルシウムを共加工することによって、複合材を調製することである。
【0016】
本発明の別の目的は、噴霧乾燥することによって、空隙率が50%を超える複合材を調製することである。
【0017】
本発明の目的は、噴霧乾燥によりケイ酸カルシウムおよびマンニトールを共加工することによって、複合材を調製すること、およびそれを口腔崩壊性錠剤中で使用することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、ウィッキング時間が60秒未満である口腔内崩壊錠剤を開発することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、ラグ時間が10秒未満である口腔内崩壊錠剤を開発することである。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、硬度が少なくとも10Nである口腔内崩壊錠剤を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
発明の広義の態様によれば、共加工することによって調製された、少なくとも1つの水溶性賦形剤およびケイ酸カルシウムを含む口腔崩壊性錠剤用直接圧縮性複合材が提供される。
【0022】
発明の別の態様によれば、最適な機械的強度を有する口腔内崩壊錠製剤であって、
a.少なくとも1つの医薬活性成分または栄養補助剤、
b.マンニトールおよびケイ酸カルシウムを共加工することによって生成された複合材、
c.少なくとも1つの他の賦形剤
を含み、この錠剤が最適な機械的強度を有し、口腔内での崩壊時間が約60秒である、口腔内崩壊錠製剤が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
グラス一杯の水または消化管で迅速に溶解または崩壊する固体の医薬剤形は、長年当技術分野で知られている。水中で溶解または発泡して、医薬品を放出する剤形の運搬が便利であるという明らかな利点は、よく知られている。迅速崩壊技術は、医薬品産業において最近の最も刺激的な開発の1つである。口腔崩壊性錠剤は、余分な水を投与することなしに口中で迅速に崩壊/溶解する錠剤である。これらの剤形は、錠剤製剤の便利さを提供する一方、液体製剤によってもたらされる飲み込みやすさも可能にする。このような剤形は、その投与しやすさおよび好ましい口当たりのため、患者、特に通常の錠剤を飲み込むことが困難である子供、高齢者、および統合失調症患者に、1日の投薬計画に従い、液体経口剤よりはるかに正確な投与の快適さを受けるよう促すことができる。このような錠剤であれば有用であるはずのさらに別の状況は、特定の状態で錠剤を飲み込むのに役立つ水が容易には入手できない場合である。
【0024】
本明細書では、用語「共加工された賦形剤」は、少なくとも2つの賦形剤が互いに近接して存在している賦形剤複合材を意味する。実施形態の1つにおいて、このような賦形剤複合材は、一方の賦形剤が他方の粒子構造に組み込まれていることがある。
【0025】
本明細書では、用語「空隙率」は、材料内の空隙空間の尺度であり、分数(0〜1)または百分率値(0%〜100%)として測定される。空隙率は、嵩容積に対する空隙空間の比であり、次式で求めることができる。空隙率=(嵩容積−真の容積)/嵩容積
本明細書では、用語「ウィッキング時間(wicking time)」は、水が錠剤にしみ込み、錠剤芯部を完全に濡らすのにかかる時間(秒)を意味する。ウィッキング時間試験は、口腔崩壊性錠剤の性能を評価するために用いられる。ウィッキング時間の決定は、ペトリ皿(直径約10cm)で実施される。ペトリ皿に、厚さ約0.25mmのティッシュペーパーを重ねる。ティッシュペーパーを10mlの水(好ましくは水溶性染料を用いて着色した水)で濡らし、30秒間浸漬させる。次いで、錠剤を濡れたティッシュペーパー上に置き、水が錠剤の表面に到達し、それを完全に濡らすのにかかる時間を「ウィッキング時間」として記録する。重量が200mgを超える錠剤の場合、この試験を適切に変更することができる。
【0026】
本明細書では、用語「口中溶解時間」は、ヒトボランティアにおいてかつヒトボランティアによって求められた、錠剤が口中で完全に溶解するのにかかる時間(秒)を意味する。
【0027】
本明細書では、用語「ラグ時間」は、ヒトボランティアにおいてかつヒトボランティアによって求められた、錠剤を舌にのせた後、軟化し、崩壊を始めるのにかかる時間(秒)を意味する。
【0028】
本明細書では、用語「インビトロ崩壊時間」は、USP崩壊装置を使用して求めた、錠剤が完全に崩壊するのにかかる時間を意味する。
【0029】
複合材
複合材は、少なくとも1つの水溶性賦形剤および少なくとも1つの水不溶性賦形剤を共加工することによって得られた賦形剤のブレンドである。
【0030】
本発明の実施形態に従う水溶性賦形剤は、水に可溶な賦形剤である。好ましい例としては、水溶性炭水化物類、塩、または多価アルコールもしくはその誘導体が挙げられる。水溶性炭水化物類は、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖とすることができる。例としては、単糖類、具体的にはグリセルアルデヒド、エリトロース、トレオース、リボース、アラビノース、キシロース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、フルクトース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、およびソルビトール;二糖類、具体的にはマルトース、ラクトース、セロビオース、スクロース、マンニトール、およびトレハロース;オリゴ糖、具体的にはラフィノース、スタキオース、およびデキストレート類;または多糖、具体的にはマルトデキストリン、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、カロース、ガラクトマンナン、キシラン、およびラミンが挙げられるが、これらに限定されない。糖は、好ましくはマンニトール、ラクトース、サッカロース、トレハロース、キシリトール、およびエリトリトールから選択される少なくとも1つである。好ましくは、糖はマンニトールである。これらの水溶性賦形剤を単独または組み合わせて使用することができる。また、水溶性賦形剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、またはそれらの誘導体のような多価アルコール類、塩類、具体的には塩化ナトリウム、または水溶性セルロース誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の実施形態に従う水不溶性賦形剤は、水に不溶な賦形剤である。これらの賦形剤としては、無機塩、具体的にはケイ酸カルシウム−そのオルト、メタ、およびアルファの三斜晶形、三ケイ酸マグネシウム−そのオルトおよびメタ形、または軽質無水ケイ酸、マイカ、合成ケイ酸アルミニウム、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、セルロース類、具体的には微結晶セルロース、結晶セルロース、セルロース誘導体、ビニルピロリドン誘導体、コロイド状二酸化ケイ素などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい水不溶性剤はメタケイ酸カルシウムである。最も好ましい水不溶性剤は、HuberによってRxcipient FM1000として上市されている、アスペクト比が約1:1〜約2.5:1であり、吸油量が約20ml/100gm〜220ml/100gmであるケイ酸カルシウムである。これは、剤形の崩壊時間を短縮する独特の物理的形態のケイ酸カルシウムである。
【0032】
これらの水溶性および水不溶性の賦形剤は、複合材中に1:50〜50:1の比で存在することができる。好ましくは、この比は1:30〜30:1、より好ましくは1:20〜20:1とすることができる。
【0033】
水不溶性賦形剤および水溶性賦形剤の近接を保証するものであれば、任意のプロセスを使用することができる。このようなプロセスであれば、水不溶性賦形剤および水溶性賦形剤の緊密な接触が保証されるはずである。好ましいプロセスの一部によって、水溶性賦形剤で水不溶性賦形剤を完全または部分的に被覆することを複合材の調製に使用できることが可能になる。該プロセスとしては、物理的混合、湿式混合、錯体化、沈殿、噴霧乾燥、凍結乾燥、マイクロカプセル化、噴霧凝結、ホットメルト、ガス貧溶媒化、または超臨界流体加工で使用される超臨界溶媒法の急速蒸発を挙げることができるが、これらに限定されない。複合材を調製する好ましい方法は、噴霧乾燥である。
【0034】
噴霧乾燥は、粒子形成および乾燥を伴う工業プロセスである。液体供給材料である溶液、乳濁液、および駆出可能な懸濁液から、乾燥固体を粉末、顆粒、または集塊の形で連続生成するのに非常に適している。したがって、噴霧乾燥は、最終生成物が粒径分布、残留水分含有量、嵩密度、および粒子形状に関して正確な品質規格に準拠しなければならない場合の理想的なプロセスである。噴霧乾燥は、液体供給材料を液滴に噴霧化し、その液滴を乾燥チャンバー内で熱空気と接触させることを伴う。噴霧は、回転(ホイール)またはノズル噴霧器によって生成される。液滴からの水分の蒸発、および乾燥粒子の形成は、温度および気流を制御した条件下で進められる。粉末は、乾燥チャンバーから連続的に放出される。操作条件および乾燥機デザインは、生成物および粉末の仕様の乾燥特性に従って選択される。
【0035】
噴霧乾燥プロセスにはいくつかの変数があり、供給物組成、供給物粘度、密度、供給物噴霧速度、入口温度、出口温度、温度差、霧化圧、真空、滞在時間が挙げられる。これらのパラメータはすべて、所望の生成物を実現するために変更することができる。
【0036】
使用されるプロセスは、オーバーヘッドスターラ、ホモジナイザーなどを使用して均質化された水溶性および水不溶性賦形剤のスラリーの調製を含む。供給物を、噴霧乾燥チャンバーに供給する前に撹拌しながら予熱することができる。この分散物を噴霧するために、単一流体ノズルまたは二流体ノズルを使用することができる。あるいは、回転ディスクを使用して、供給物を噴霧することもできる。並流、向流、または混合流などの方法のいずれかを使用して、粒子を乾燥することができる。供給物の全固形分は、約2〜75%、好ましくは5〜60%、より好ましくは10〜50%と様々である。
【0037】
少なくとも1つの水溶性賦形剤および少なくとも1つの水不溶性賦形剤、具体的にはケイ酸カルシウムの複合材は、いくつかの望ましい特性を有することがある。乾燥減量を用いて求めた複合材の水分含有量は、好ましくは2%未満である。複合材の空隙率は、口腔内崩壊錠剤の性能において重要な役割を果たす。崩壊時間が60秒未満であるためには、複合材の空隙率は、少なくとも約50%とするべきである。ウィッキング時間、口腔内での崩壊時間、およびラグ時間を決定する別のパラメータは、複合材の粒径分布である。このパラメータは、錠剤に圧縮する準備ができているブレンドの流動性も決定する。粒子の40%以上が150ミクロン未満であることが望ましい。
【0038】
活性成分
本明細書では、用語「活性成分」または「活性剤」は、何らかの薬理学的特性を有する1つまたは複数の化合物を意味する。本発明で使用することができる活性成分(AI)には制限は無い。活性成分は、それ自体をまたは適切な矯味剤でコーティングして前記組成物に含有することができる。本発明の組成物は、少なくとも1つの適切な医薬活性成分または栄養補助活性成分を含有する。使用することができる医薬材料としては、例えば胃腸機能調節剤;アセクロフェナク、ジクロフェナク、イブプロフェン、フルビプロフェン、ピロキシカム、スリンダク、およびセレコキシブを含むが、これらに限定されない抗炎症剤;アセトアミノフェン、フェンタニル、トラマドール、およびアスピリンを含むが、これらに限定されない鎮痛薬;シルデナフィルおよびアポモルヒネを含むが、これらに限定されない勃起不全治療剤;スマトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、およびエルゴタミンを含むが、これらに限定されない抗片頭痛薬;ロラタジン、フェキソフェナジン、プソイドエフェドリン、およびセチリジンを含むが、これらに限定されない抗ヒスタミン剤;ニトログリセリンおよび硝酸イソソルビドを含むが、これらに限定されない心血管作動薬;フロセミドおよびスピロノラクトンを含むが、これらに限定されない利尿薬;プロプラノロール、アムロジピン、フェロジピン、ニフェジピン、カプトリル、ラミプリル、アテノロール、およびジルチアゼムを含むが、これらに限定されない降圧剤;シムビスタチン(simvistatin)、アトロバスタチン、およびプラバスタチンを含むが、これらに限定されない抗低脂血症剤;シミエチジン、ラニチジン、ファモチジン、オメプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール、およびランソプラゾールを含むが、これらに限定されない抗潰瘍剤;メクリジン塩酸塩、オンダンセトロン、グラニセトロン、ラモセトロン、およびトロピセトロンを含むが、これらに限定されない制吐薬;抗凝血薬、具体的にはチクロピジン塩酸塩、ジクマロール、またはワルファリンカリウム;抗てんかん薬、具体的にはフェニトインナトリウムおよびラモトリジン、アミノフィリン、テオフィリン、テルブタリン、フェノテロール、フォルモテロール、およびケトチフェンを含むが、これらに限定されない抗喘息剤;脳代謝改善薬、具体的にはメクロフェノキサート塩酸塩;穏和精神安定薬、具体的にはオキサゾラム、ジアゼパム、クロナゼパム、クロチアゼパム、メダゼパム、テマゼパム、フルジアゼパム、ニトラゼパム、アルプラゾラム、ロラゼパム、またはクロルジアゼポキシド;フルオキセチン、ミルタゼピン、エスシタロプラム、およびセルトラリンを含むが、これらに限定されない抗うつ薬;パーキンソン病または下肢静止不能症候群の治療薬、具体的にはロピニロール塩酸塩;アルツハイマー病薬、具体的にはメマンチン;統合失調症薬、具体的にはリスペリドン、オランゼピン、およびアリピプラゾール;抗菌および抗真菌経口剤、具体的にはペニシリン、アンピシリン、アモキシシリン、セファレキシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、アカンピシリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、エリスロマイシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、またはテルビナフィン;合成抗菌剤、具体的にはナリジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸三水和物、エノキサシン、シノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、またはスルファメトキサゾールトリメトプリム;鎮痙薬、具体的には臭化プロパンテリン、アトロピン硫酸塩、臭化オキサピウム、臭化チメピジウム、鎮咳剤、抗喘息剤;筋弛緩薬、具体的にはカルバミン酸クロルフェネシン、トルペリゾン塩酸塩、エペリゾン塩酸塩、チザニジン塩酸塩、メフェネシン、クロロゾキサゾン、フェンプロバメート、メトカルバモール、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、アフロクアロン、バクロフェン、またはダントロレンナトリウム;抗糖尿病経口剤、具体的にはグリベンクラミド、トルブタミド、またはグリミジンナトリウム;循環器系作用剤、具体的にはユビデカレノンまたはATP−2Na;鉄剤、具体的には硫酸第一鉄または乾燥硫酸第一鉄;ビタミン類、具体的にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、または葉酸;頻尿治療薬、具体的にはフラボキサート塩酸塩、オキシブチニン塩酸塩、テロジリン塩酸塩、または4−ジエチルアミノ−1,1−ジメチル−2−ブチニル(I)−a−シクロヘキシル−oc−フェニルグリコラート塩酸塩;アンジオテンシン変換酵素阻害薬、具体的にはマレイン酸エナラプリル、抗ウィルス剤、具体的にはホスホノギ酸三ナトリウム、ジダノシン、ジデオキシシチジン、アジドデオキシチミジン、ジデヒドロ−デオキシチミジン、アデホビルジピボキシル、アバカビル、アンプレナビル、デラビルジン、エファビレンツ、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、ネビラピン、リトナビル、サキナビル、またはスタブジン.が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
栄養補助材料の例としては、ヒトの健康に薬効があると考えられる任意の材料が挙げられるが、これらに限定されない。このような材料としては、補酵素Q−10、コンドロイトイン、エキネシア、マオウ、グルコサミン、ニンニク、イチョウ、人参、ブドウ種子抽出物、ガラナ、サンザシ、ハーブ類、カバ、コーラナッツ、ルテイン、オトギリソウ、ビンポセチン、およびヨヒンビが挙げられる。
【0040】
活性成分は、任意の形、具体的にはその通常の形、矯味した形、腸溶制御または放出制御の形で存在することができる。矯味は、当技術分野で知られているプロセスのいずれでも実施することができ、シクロデキストリン類、イオン交換樹脂、または任意の他の適切な作用剤を用いる錯体化に限定されない。矯味は、水溶性または水不溶性ポリマーもしくは溶解性がpH依存性であるポリマー、または蝋でコーティングすることによって実現することもできる。腸溶放出および放出制御は共に、活性成分またはその顆粒を適切な遅延剤またはポリマーでコーティングする必要があり得る。
【0041】
活性成分を、粉末の形、顆粒、ペレット、ビーズ、または任意の他の形の製剤に組み込むことができる。
【0042】
本発明の錠剤は、複合材および活性成分に加えて、1つまたは複数の結合剤、崩壊剤、超崩壊剤、希釈剤、唾液分泌剤、界面活性剤、香味剤、甘味剤、着色剤、希釈剤、酸性化剤、適切な矯味剤、増粘剤、流動促進剤または滑沢剤、可溶化剤、および安定剤を含むことができる。
【0043】
本発明の組成物は、天然、修飾、またはα化デンプン、クロスポピドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、および発泡性崩壊系に限定されないが、これらから選択される少なくとも1つの超崩壊剤も含む。本発明で好ましい崩壊剤としては、クロスポピドン、および天然、修飾、またはα化デンプンが挙げられる。該組成物で使用する超崩壊剤の量は、前記剤形の約2重量%〜50重量%である。
【0044】
適切な結合剤としては、例えばデンプン、α化デンプン、セルロース誘導体、具体的にはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)、ならびにそれらの塩が挙げられる。適切な希釈剤としては、例えばデンプン、第二リン酸カルシウム、微結晶セルロースなどが挙げられる。
【0045】
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、およびフマル酸ステアリン酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物は、コロイド状シリカ、シリカゲル、沈降シリカ、またはそれらの組合せから選択される流動促進剤も含むことができる。前記組成物は、前記組成物の崩壊性を改善するため、唾液分泌剤、具体的には好ましくは分子量4000の微細化ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、または微細化沈降シリカも含むことができるが、これらに限定されない。
【0046】
上記の賦形剤に加えて、本発明の組成物は、アスパルテーム、ステビア抽出物、カンゾウ、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファム、スクラロース、およびグリチルリチン酸ジカリウムから選択された少なくとも1つの甘味剤;1つまたは複数の香味剤、例えばミント香味剤、オレンジ香味剤、レモン香味剤、イチゴ香気、バニラ香味剤、ラズベリー香気、チェリー香味剤、マグナスイート(magnasweet) 135、キーライム香味剤、ブドウ香味剤トルシルアート(trusil art) 511815、果実抽出物、および着色剤、または染料も含む。本発明で有用な着色剤または矯味剤には制限は無く、これらの特性は固体剤形を消費する患者の年齢に基づいて選択されることもあり得る。
【0047】
用語「固体剤形」は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などを意味することができる。しかし、最も好ましい剤形は錠剤である。用語「錠剤」は、組成物を圧縮またはその他の方法で形成して、定められた形状を有する固体を形成することによって得られる成形または圧縮粉末組成物を包含するものと解釈される。本発明に従う錠剤は、当技術分野で知られている一般的な製錠方法の通常の技法、具体的には直接圧縮、湿式造粒法、乾式造粒、および押出/溶融顆粒化を用いて製造することができる。好ましいプロセスは、それらを一定の時間混合した後、薬物−賦形剤のブレンドの圧縮を伴う直接圧縮である。
【0048】
錠剤は、様々な形状、具体的には楕円形、三角形、アーモンド形、ピーナッツ形、平行四辺形、丸形、五角形、六角形、および台形とすることができる。好ましい形状は、丸形、楕円形、および平行四辺形である。
【0049】
口腔崩壊性錠剤の性能は、いくつかのパラメータ、すなわちウィッキング時間、口腔内での崩壊時間、インビトロ崩壊時間、ラグ時間などを用いて評価することができる。本発明の様々な実施形態によれば、口腔内でのウィッキング時間と崩壊時間は共に、60秒未満であり、ラグ時間は10秒未満である。
【0050】
特定の実施形態によって本発明を説明してきたが、修正形態および等価形態は、当業者に明らかであり、本発明の範囲内に包含されるよう意図されている。
【0051】
本発明、その目的、および効果の詳細は、下記で実施例によってより詳細に説明されるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0052】
(実施例1)物理的混合によって生成された口腔崩壊性錠剤
表1:口腔崩壊性錠剤の組成成分
【0053】
【表1】

滑沢剤を除いて、すべての賦形剤をブレンダ中でブレンドして、均一な塊を得た。この塊を潤滑し、下記のパラメータを有する錠剤に圧縮した。
硬度(N) :10〜30
脆弱性(%) :1.5%
インビトロ崩壊時間(秒):5〜10
口腔内での崩壊時間(秒):20〜30
所望の脆弱性および崩壊時間の錠剤が得られた。
【0054】
(実施例2)
(a)噴霧乾燥によるマンニトールおよびケイ酸カルシウムの共加工
180gのマンニトールを、約80℃の温度で水に溶解した。この溶液に、20gのケイ酸カルシウムを添加し、撹拌して、均一な塊を得た。この塊を、噴霧乾燥機中、下記の条件下で噴霧した。
入口温度 :180〜200℃
出口温度 :80〜120℃
ノズル直径:1mm
供給速度 :150〜200ml/Hr
霧化圧 :0.7〜1.2Kg/cm
得られた複合材は自由流動性があり、嵩密度は0.3〜0.5g/ccの範囲であり、粒子の約75%は150ミクロン未満であった。
【0055】
(b)マンニトールの噴霧乾燥
マンニトールを単独で、上記の条件下に噴霧乾燥した。
【0056】
(実施例3)噴霧乾燥によるマンニトール、ソルビトール、およびケイ酸カルシウムの共加工
160gのマンニトール、および20gのソルビトールを、70〜75℃の温度で水に溶解した。この溶液に、20gのケイ酸カルシウムを添加し、撹拌して、均一な塊を得た。この塊を、噴霧乾燥機中、下記の条件下で噴霧した。
入口温度 :180〜200℃
出口温度 :70〜100℃
ノズル直径:1mm
供給速度 :150〜200ml/Hr
霧化圧 :3〜4Kg/cm
得られた複合材は自由流動性があり、嵩密度は0.4〜0.5g/ccであった。
【0057】
(実施例4)噴霧乾燥によるマンニトール、微結晶セルロース、およびケイ酸カルシウムの共加工
160gのマンニトールを、約70℃の温度で水に溶解した。この溶液に、20gのケイ酸カルシウムおよび20gの微結晶セルロースを添加し、撹拌して、均一な塊を得た。この塊を、噴霧乾燥機中、実施例2に記載するのと同じ条件下で噴霧した。得られた複合材は自由流動性があり、嵩密度は0.4g/ccであった。
【0058】
(実施例5)噴霧乾燥によるマンニトールおよびケイ酸カルシウムの共加工
240gのマンニトールを、室温で4.0リットルの水に溶解した。この溶液に、560gのケイ酸カルシウムを添加し、撹拌して、均質な塊を得た。この塊を、噴霧乾燥機中、下記の条件下で噴霧した。
入口温度 :200〜220℃
出口温度 :80〜120℃
ノズル直径:2.0mm
供給速度 :70〜90ml/min
霧化圧 :0.2Kg/cm
得られた複合材は自由流動性があり、嵩密度は0.55〜0.65g/ccであり、乾燥減量によって求めた水分含有量は1.0%未満であった。粒子の約90%は、粒径が150ミクロン未満であり、複合材の空隙率は望ましい63%であった。
【0059】
(実施例6)噴霧乾燥によるマンニトールおよびケイ酸カルシウムの共加工
600.0gのマンニトールを、室温で3.0リットルの水に溶解した。この溶液に、600.0gのケイ酸カルシウムを添加し、撹拌して、均一な塊を得た。この塊を、噴霧乾燥機中、下記の条件下で噴霧した。
入口温度 :200〜205℃
出口温度 :105〜125℃
ノズル直径:2.0mm
供給速度 :70〜90ml/min
霧化圧 :0.2Kg/cm
得られた複合材の水分含有量は1%未満であり、空隙率は65%であり、自由流動性があり、嵩密度は0.6〜0.8g/ccであった。
【0060】
(実施例7)噴霧乾燥によるマンニトール、ケイ酸カルシウム、およびポリエチレングリコールの共加工
340.0gのマンニトールおよび20.0gのポリエチレングリコールを、室温で2.0リットルの水に溶解した。この溶液に、40.0gのケイ酸カルシウムを添加し、撹拌して、均一な塊を得た。この塊を、噴霧乾燥機中、下記の条件下で噴霧した。
入口温度 :200〜205℃
出口温度 :105〜125℃
ノズル直径:2.0mm
供給速度 :70〜90ml/Hr
霧化圧 :0.2Kgf/cm
得られた複合材は、自由流動性があり、嵩密度は0.5〜0.7g/ccであり、水分含有量は0.5%であった。複合材の空隙率は61%であった。
【0061】
(実施例8)回転ディスクを用いた噴霧乾燥によるマンニトールおよびケイ酸カルシウムの共加工
900.0gのマンニトールを、室温で5.0リットルの水に溶解した。この溶液に、100.0gのケイ酸カルシウムを添加し、撹拌して、均一な塊を得た。この塊を、噴霧乾燥機中、下記の条件下で噴霧した。
入口温度 :200〜205℃
出口温度 :85〜95℃
回転ディスク半径:6.0cm
回転ディスク速度:24000rpm
供給速度 :70〜90ml/Hr
得られた複合材の嵩密度は0.45〜0.55g/ccであり、流動性は良好であった。水分含有量は約0.6%であり、粒子の約95%は150ミクロン未満であった。
【0062】
(実施例9)マンニトールおよびケイ酸カルシウムの複合材、ならびに噴霧乾燥したマンニトールを用いた錠剤製剤
表2:複合材および噴霧乾燥したマンニトールを使用した口腔崩壊性錠剤の組成
【0063】
【表2】

滑沢剤を除いて、すべての賦形剤をブレンダ中でブレンドして、均一な塊を得た。この塊を潤滑し、下記のパラメータを有する錠剤に圧縮した。
【0064】
A B
硬度(N) :10〜20 10〜20
脆弱性(%) :0.85 1.0
インビトロ崩壊時間(秒):15〜20 5〜10
口腔内での崩壊時間(秒):40〜50 25〜40
低脆弱性で所望の崩壊時間の頑強な錠剤が得られた。
【0065】
(実施例10)マンニトール、微結晶セルロース、およびケイ酸カルシウムの複合材を使用した錠剤製剤
表3:実施例4の複合材を使用した口腔崩壊性錠剤の組成物
【0066】
【表3】

滑沢剤を除いて、すべての賦形剤をブレンダ中でブレンドして、均一な塊を得た。この塊を潤滑し、下記のパラメータを有する錠剤に圧縮した。
硬度(N) :10〜20
脆弱性(%) :0.8〜0.9
インビトロ崩壊時間(秒):8〜12
口腔内での崩壊時間(秒):30〜40
低脆弱性で所望の崩壊時間の頑強な錠剤が得られた。
【0067】
(実施例11)ウィッキング試験
該試験を実施して、口腔崩壊性錠剤による水取込み速度を求める。直径約10cmの円形のティッシュペーパー5枚を直径10cmのペトリ皿に置いた。水溶性染料のエオシンを含有する水10ミリリットルをペトリ皿に添加した。錠剤(重量100mg)をティッシュペーパーの表面に慎重にのせた。水が毛管作用によって錠剤の上方表面に到達するのに必要とされた時間を、ウィッキング時間として記した。
【0068】
表4:様々な口腔崩壊性錠剤のウィッキング時間
【0069】
【表4】

このウィッキング時間は、噴霧乾燥した複合材はより短いウィッキング時間を示し、これらの錠剤が迅速崩壊性であることを示唆する。噴霧乾燥したマンニトールと本発明の複合材の間で、かなり短縮されたウィッキング時間が複合材によってもたらされる。
【0070】
(実施例12)苦味のない薬物の口腔崩壊性錠剤
表4:口腔崩壊性錠剤の組成
【0071】
【表5】

薬物および複合材を混合して、プレミックスを得た。このプレミックスを、さらに他の不活性成分と混合し、潤滑し、錠剤に圧縮した。錠剤はすべて、口当たりが良好であり、口中で60秒以内に崩壊した。
【0072】
(実施例13)トラマドール塩酸塩の口腔崩壊性錠剤
【0073】
【表6】

【0074】
【表7】

薬物および複合材を混合して、プレミックスを得た。このプレミックスを、さらに他の不活性成分と混合し、潤滑し、錠剤に圧縮した。
【0075】
錠剤はすべて、口当たりが良好であり、口中で60秒以内に崩壊した。
【0076】
(実施例14)矯味ドネペジルの口腔崩壊性錠剤
【0077】
【表8】

薬物および複合材を混合して、プレミックスを得た。このプレミックスを、さらに他の不活性成分と混合し、潤滑し、ラグ時間5秒未満の錠剤に圧縮した。
【0078】
(実施例15)高用量の苦味のある薬物パラセタモールの口腔崩壊性錠剤
【0079】
【表9】

薬物および複合材を混合して、プレミックスを得た。このプレミックスを、さらに他の不活性成分と混合し、潤滑し、錠剤に圧縮した。錠剤は、ウィッキング時間が所望の約55秒であり、口当たりは良好であった。
【0080】
(実施例16)実施例5で調製された噴霧乾燥ODT賦形剤と共に錠剤に組み込まれた矯味アリピプラゾール
【0081】
【表10】

プロセス:
成分を矯味薬物と共に、40メッシュの篩にかけた。篩にかけた混合物をブレンドして、均質化して、潤滑し、圧縮して、下記の特性を有する錠剤130mgを得た。
硬度(N) :15〜22
脆弱性(%) :0.75
崩壊時間(秒) :15
口腔内での崩壊時間(秒):30〜40
錠剤は、口腔での崩壊時間が所望の約30〜40秒であり、口当たりが良好であった。ラグ時間は約4秒であった。
【0082】
(実施例17)9:1の比で噴霧乾燥したマンニトールおよびケイ酸カルシウムの物理的混合物を含む錠剤に組み込まれた矯味ロピニロール
【0083】
【表11】

プロセス:
成分を矯味薬物と共に、40メッシュの篩にかけた。篩にかけた混合物をブレンドして、均質化して、潤滑し、圧縮して、下記の特性を有する錠剤100mgを得た。
硬度(N) :20〜25
脆弱性(%) :0.5
ウィッキング時間(秒) :30
口腔内での崩壊時間(秒):30。
【0084】
(実施例18)腸溶コーティングエソメプラゾールの口腔崩壊性錠剤
【0085】
【表12】

プロセス:
成分を一緒に、40メッシュの篩にかけ、ブレンドして、均質化して、潤滑し、圧縮して、下記の特性を有する錠剤250mgを得た。
硬度(N) :40
脆弱性(%) :0.6
ウィッキング時間(時間):45
口腔内での崩壊時間(秒):50。
【0086】
(実施例19)メマンチンの口腔崩壊性錠剤
【0087】
【表13】

プロセス:
成分を矯味薬物と共に、40メッシュの篩にかけた。篩にかけた混合物をブレンドして、均質化して、潤滑し、圧縮して、下記の特性を有する錠剤210mgを得た。
硬度(N) :45
脆弱性(%) :0.3
ウィッキング時間(秒) :48
口腔内での崩壊時間(秒):40〜50。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔崩壊性錠剤用直接圧縮性複合材であって、共加工することによって調製された、少なくとも1つの水溶性賦形剤およびケイ酸カルシウムを含む直接圧縮性複合材。
【請求項2】
前記水溶性賦形剤が炭水化物、水溶性塩、または多価アルコールもしくはその誘導体である、請求項1に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項3】
前記水溶性炭水化物が、単糖、二糖、オリゴ糖、または多糖である、請求項2に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項4】
前記単糖が、キシロース、グルコース、マンノース、フルクトース、ガラクトース、およびソルビトールである、請求項3に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項5】
前記二糖が、マルトース、ラクトース、セロビオース、スクロース、マンニトール、およびトレハロースである、請求項3に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項6】
前記オリゴ糖が、ラフィノースおよびデキストラートである、請求項3に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項7】
前記多糖がマルトデキストリンである、請求項3に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項8】
前記水溶性塩が塩化ナトリウムである、請求項2に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項9】
前記水溶性多価アルコールが、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびグリセリンである、請求項2に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項10】
ケイ酸カルシウムのアスペクト比が約1:1〜約2.5:1であり、吸油量が約20ml/100gm〜220ml/100gmである、請求項1に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項11】
少なくとも1つの水溶性賦形剤とケイ酸カルシウムの比が約50:1〜約1:50である、請求項1に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項12】
少なくとも1つの水溶性賦形剤とケイ酸カルシウムの比が好ましくは約30:1〜約1:30であり、より好ましくは約20:1〜約1:20である、請求項1に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項13】
前記複合材の粒子の40%以上が150ミクロン未満である、請求項1に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項14】
前記複合材の乾燥減量が2%w/w未満である、請求項1に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項15】
前記複合材の空隙率が少なくとも約50%である、請求項1に記載の直接圧縮性複合材。
【請求項16】
前記共加工が、物理的混合、湿式混合、錯体化、沈殿、噴霧乾燥、凍結乾燥、マイクロカプセル化、噴霧凝結、ホットメルト、ガス貧溶媒化、または超臨界流体加工で使用される超臨界溶媒法の急速蒸発などのプロセスを含む、請求項1に記載の直接圧縮性複合材を生成する方法。
【請求項17】
請求項1に記載の直接圧縮性複合材を生成する方法であって、共加工が噴霧乾燥を含む方法。
【請求項18】
請求項1に記載の直接圧縮性複合材を生成する方法であって、噴霧乾燥法が
a.水溶性賦形剤を水に溶解するステップと
b.ケイ酸カルシウムを、撹拌しながらステップaの溶液に添加するステップと、
c.ブレンドを均質化して、均一にするステップと、
d.混合物を空気流中で乾燥するステップと、
e.共加工した賦形剤を形成するステップと、を含む方法。
【請求項19】
直接圧縮性複合材を生成する方法であって、噴霧乾燥が
a.マンニトールを水に溶解するステップと、
b.ケイ酸カルシウムを、撹拌しながらステップaの溶液に添加するステップと、
c.ブレンドを均質化して、均一にするステップと、
d.混合物を空気流中で乾燥するステップと、
e.共加工した賦形剤を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
最適な機械的強度を有する口腔内崩壊錠製剤であって、
a.少なくとも1つの医薬活性成分または栄養補助剤、
b.少なくとも1つの水溶性賦形剤およびケイ酸カルシウムを共加工することによって生成された複合材、
c.少なくとも1つの他の賦形剤
を含み、その結果、該錠剤が最適の機械的強度を有し、口腔内での崩壊時間が約60秒である、口腔内崩壊錠製剤。
【請求項21】
前記活性成分が、胃腸機能調節剤;アセクロフェナク、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルビプロフェン、ピロキシカム、スリンダク、およびセレコキシブを含むが、これらに限定されない抗炎症剤;アセトアミノフェン、フェンタニル、トラマドール、およびアスピリンを含むが、これらに限定されない鎮痛薬;シルデナフィル、およびアポモルヒネを含むが、これらに限定されない勃起不全治療剤;スマトリプタン、リザトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、およびエルゴタミンを含むが、これらに限定されない抗片頭痛薬;ロラタジン、フェキソフェナジン、プソイドエフェドリン、およびセチリジンを含むが、これらに限定されない抗ヒスタミン剤;ニトログリセリンおよび硝酸イソソルビドを含むが、これらに限定されない心血管作動薬;フロセミドおよびスピロノラクトンを含むが、これらに限定されない利尿薬;プロプラノロール、アムロジピン、フェロジピン、ニフェジピン、カプトプリル、ラミプリル、アテノロール、およびジルチアゼムを含むが、これらに限定されない降圧剤;シムビスタチン(simvistatin)、アトロバスタチン、およびプラバスタチンを含むが、これらに限定されない抗低脂血症剤;シミエチジン、ラニチジン、ファモチジン、オメプラゾール、エソメプラゾール、ラベプラゾール、およびランソプラゾールを含むが、これらに限定されない抗潰瘍剤;メクリジン塩酸塩、オンダンセトロン、グラニセトロン、ラモセトロン、およびトロピセトロンを含むが、これらに限定されない制吐薬;抗凝血薬、具体的にはチクロピジン塩酸塩、ジクマロール、またはワルファリンカリウム;抗てんかん薬、具体的にはフェニトインナトリウムおよびラモトリジン、アミノフィリン、テオフィリン、テルブタリン、フェノテロール、フォルモテロール、およびケトチフェンを含むが、これらに限定されない抗喘息剤;脳代謝改善薬、具体的にはメクロフェノキサート塩酸塩;穏和精神安定薬、具体的にはオキサゾラム、ジアゼパム、クロナゼパム、クロチアゼパム、メダゼパム、テマゼパム、フルジアゼパム、ニトラゼパム、アルプラゾラム、ロラゼパム、またはクロルジアゼポキシド;フルオキセチン、ミルタゼピン、エスシタロプラム、およびセルトラリンを含むが、これらに限定されない抗うつ薬;パーキンソン病または下肢静止不能症候群の治療薬、具体的にはロピニロール塩酸塩;アルツハイマー病薬、具体的にはメマンチン;統合失調症薬、具体的にはリスペリドン、オランゼピン、およびアリピプラゾール;抗菌および抗真菌経口剤、具体的にはペニシリン、アンピシリン、アモキシシリン、セファレキシン、エチルコハク酸エリスロマイシン、アカンピシリン塩酸塩、ミノサイクリン塩酸塩、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、エリスロマイシン、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、またはテルビナフィン;合成抗菌剤、具体的にはナリジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸三水和物、エノキサシン、シノキサシン、オフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、またはスルファメトキサゾールトリメトプリム;鎮痙薬、具体的には臭化プロパンテリン、アトロピン硫酸塩、臭化オキサピウム、臭化チメピジウム、鎮咳剤、抗喘息剤;筋弛緩薬、具体的にはカルバミン酸クロルフェネシン、トルペリゾン塩酸塩、エペリゾン塩酸塩、チザニジン塩酸塩、メフェネシン、クロロゾキサゾン、フェンプロバメート、メトカルバモール、クロルメザノン、メシル酸プリジノール、アフロクアロン、バクロフェン、またはダントロレンナトリウム;抗糖尿病経口剤、具体的にはグリベンクラミド、トルブタミド、またはグリミジンナトリウム;循環器系作用剤、具体的にはユビデカレノンまたはATP−2Na;;鉄剤、具体的には硫酸第一鉄または乾燥硫酸第一鉄;ビタミン類、具体的にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、または葉酸;頻尿治療薬、具体的にはフラボキサート塩酸塩、オキシブチニン塩酸塩、テロジリン塩酸塩、または4−ジエチルアミノ−1,1−ジメチル−2−ブチニル(I)−a−シクロヘキシル−oc−フェニルグリコラート塩酸塩;アンジオテンシン変換酵素阻害薬、具体的にはマレイン酸エナラプリル、抗ウィルス剤、具体的にはホスホノギ酸三ナトリウム、ジダノシン、ジデオキシシチジン、アジドデオキシチミジン、ジデヒドロ−デオキシチミジン、アデホビルジピボキシル、アバカビル、アンプレナビル、デラビルジン、エファビレンツ、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、ネビラピン、リトナビル、サキナビル、またはスタブジン、およびそれらの組合せから選択される、請求項20に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項22】
前記栄養補助成分が、ヒトの健康に薬効がある作用剤、具体的には、補酵素Q−10、コンドロイトイン、エキネシア、マオウ、グルコサミン、ニンニク、イチョウ、人参、ブドウ種子抽出物、ガラナ、サンザシ、ハーブ類、カバ、コラナッツ、ルテイン、オトギリソウ、ビンポセチン、およびヨヒンビ、ならびにそれらの組合せを含む、請求項20に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項23】
前記賦形剤が、1つまたは複数の結合剤、崩壊剤、超崩壊剤、希釈剤、唾液分泌剤、界面活性剤、香味剤、甘味剤、着色剤、希釈剤、酸味剤、適切な矯味剤、増粘剤、流動促進剤または滑沢剤、可溶化剤、および安定剤の群から選択される、請求項20に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項24】
前記超崩壊剤が、天然、修飾、または糊化デンプン、クロスポピドン、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、および発泡性崩壊系である、請求項23に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項25】
前記好ましい超崩壊剤が、クロスポピドンおよびデンプンである、請求項24に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項26】
前記結合剤が、デンプン、糊化デンプン、セルロース誘導体、具体的にはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)、ならびにそれらの塩である、請求項23に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項27】
前記希釈剤が、デンプン、リン酸ジカルシウム、微結晶セルロースなどである、請求項23に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項28】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、およびフマル酸ステアリン酸ナトリウムである、請求項23に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項29】
前記流動促進剤が、コロイド状シリカ、シリカゲル、沈降シリカ、およびそれらの組合せから選択される、請求項23に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項30】
前記唾液分泌剤が、微細化ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、および微細化沈降シリカである、請求項23に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項31】
前記甘味剤が、アスパルテーム、ステビア抽出物、カンゾウ、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファム、スクラロース、およびグリチルリチン酸ジカリウムである、請求項23に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項32】
前記錠のウィッキング時間が60秒未満である、請求項20に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項33】
口中崩壊のラグ時間が10秒未満である、請求項20に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項34】
口腔内での崩壊時間が60秒未満である、請求項20に記載の口腔内崩壊錠剤。
【請求項35】
最適な機械的強度を有する口腔内崩壊錠製剤であって、
a.少なくとも1つの医薬活性成分または栄養補助剤、
b.マンニトールおよびケイ酸カルシウムを共加工することによって生成された複合材、
c.少なくとも1つの他の賦形剤
を含み、その結果、錠剤が最適の機械的強度を有し、口腔内での崩壊時間が約60秒である、口腔内崩壊錠製剤。

【公表番号】特表2009−532343(P2009−532343A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502338(P2009−502338)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000138
【国際公開番号】WO2007/113856
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(508291685)ルビコン リサーチ プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】