可動椎間板インプラント
脊椎内で椎間腔および安定性を維持する椎間板インプラントを提供する。一実施形態では、椎間板インプラントは3つ以上の構成部品を含み得る。インプラントの構成部品は健常な脊椎に関連するある生理運動を模倣し得る。ある実施形態では、インプラントの構成部品は正常な脊椎運動を模倣しながら、生理運動をある範囲内に制限し得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に医療用具の分野に関する。本発明のいくつかの実施形態は椎間板インプラントおよび該インプラントを挿入するのに用いられる器具に関する。本発明の他の実施形態は椎間板インプラントを形成する方法および外科的処置の間にインプラントを位置決めする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨は外傷、疾患および/または加齢により生じる変性を受けることがある。変性は骨を不安定にし、周囲の構造体に影響を及ぼし得る。例えば、脊椎が不安定になると、その結果隣接する椎骨間の正常な間隔が変化してしまう。隣接する椎骨間の正常な間隔に変化が生じると、椎体間を通る神経を圧力に晒すことになるかもしれない。神経に加わる圧力は疼痛および/または神経損傷を生じ得る。椎骨間の正常な間隔を維持すれば、椎体間を通る神経に加えられる圧力を低減させることができる。椎体間の正常な間隔を維持し、椎骨の相対運動を阻止するために、椎間板インプラントが用いられ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
椎間腔は2つの椎体間にある椎間板を完全または部分的に除去することによって生み出され得る。脊椎の腰部のための脊椎インプラントが、椎間板摘出術の後から椎間腔内に位置決めされ得る。このインプラントは前方、側方および/または後方進入法を用いて挿入され得る。この脊椎インプラントは癒合デバイスまたは人工ディスクであってよい。従来の後外側脊椎固定術用のシステムおよび方法は、処置部位近傍の軟組織の切開および退縮を必要とすることがある。切開および退縮は軟組織に外傷を生じさせ、また回復時間が長くなるかもしれない。低侵襲的処置およびシステムは回復時間を短縮するだけでなく、安定化させる部位を取り囲んでいる軟組織への外傷を低減させることができる。
【0004】
椎間板インプラントおよび/または椎間板インプラント器具は、Yuanらに付与された米国特許第5,676,701号、Buttner−Janzらに付与された米国特許第5,401,269号、Baumgartnerに付与された米国特許第5,370,697号、Marnayに付与された米国特許第5,314,477号、およびMarnayに付与された国際出願第WO01/19295号に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態では、椎骨の相互に対する正常な運動を可能にしながらヒト脊椎の椎骨を安定させるのに、椎間板インプラントが用いられてよい。人工椎間板インプラントが、罹患しているか、または障害のある椎間板の代わりとなり得る。人工椎間板インプラントは設置が容易で、周囲組織および筋への進入は最小になり得る。椎間板インプラントを使用すれば、設置および使用中に硬膜損傷または神経損傷のリスクが最小になり得る。
【0006】
人工椎間板インプラントは1つまたは複数の係合プレートおよび1つまたは複数の部材を含んでよい。係合プレートは脊椎の周囲椎骨間に納まり、該周囲椎骨と係合し得る。この係合プレートは周囲椎骨間の空間を維持し得る。1つまたは複数の部材は係合プレート間の空間内に位置決めされてよい。係合プレートおよび部材は周囲椎骨(すなわち、脊椎)の軸回転、前後運動および/または側方運動を可能にするように設計されてよい。側方運動には側屈を含んでよい。前後運動には屈曲および/または伸展を含んでよい。いくつかの実施形態では、別の係合プレートに対する1つの係合プレートの可動域が制限され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、係合プレートは部材の一部分に相補的な凹部を含んでよい。ある実施形態では、係合プレートは溝穴を含んでよい。この溝穴は鳩尾型であってよい。この溝穴は椎骨間に係合プレートを挿入するために用いられる器具の一部分と相補的であってよい。いくつかの実施形態では、溝穴は係合プレートの前−後軸に対してある角度を成して形成されてよい。いくつかの実施形態では、凹部の角度方向は係合プレート内の溝穴の角度に一致してよい。溝穴に角度が付いていることによって、修正した(例えば、角度を付けた)前方進入法を用いて椎間板インプラントを挿入することが可能となる。修正した進入法はL5椎骨の上に血管を退縮させることを容易にする。
【0008】
ある実施形態では、係合プレートは1つまたは複数の結合用凸部を含んでよい。1つまたは複数の結合用凸部は脊椎表面を貫通し得る。いくつかの実施形態では、結合用凸部は脊椎表面に形成された凹部内に位置決めされてよい。一旦椎骨内に位置決めされると、結合用凸部は椎骨に対する係合プレートの動きを阻止し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、椎間板インプラントは2つの係合プレートおよび1つの部材を含んでよい。この部材は凸部を含んでよい。係合プレートは凸部を含んで部材の表面を補完するように成形されてよい。部材は軸回転、第2の係合プレートに対する第1の係合プレートの側方および/または前後運動を可能にするように係合プレート間に位置決めされてよい。
【0010】
2つの係合プレートおよび1つの部材を備えた椎間板インプラントの実施形態では、この部材は相互に対する運動の独立した3つの成分に耐えることを可能にする。この部材は凸部および凹部を有してよい。この部材の凹部は第1上の凸部を補完して、第1の係合プレートが部材に対して回転できるようにし得る。この部材の凸部は第2の係合プレートの凹部を補完して、第2の係合プレートが部材に対して前後および/または側方運動をできるようにし得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、椎間板インプラントは2つの係合プレートおよび2つの部材を備えてよい。この部材は相互に対する運動の独立した3つの成分に耐えることを可能にする。第1の係合プレートの凸部は第1の部材の凹部を補完して、第1の係合プレートが第2の係合プレートに対して側屈できるようにし得る。第1の部材上の凸部は第2の部材の凹部を補完して、第1の係合プレートが第2の係合プレートに対して軸回転できるようにし得る。第2の部材の凸部は第2の係合プレートの凹部を補完して、係合プレートが相互に対して運動できるようにし得る。
【0012】
2つの係合プレートおよび2つの部材を備えた他の椎間板インプラントの実施形態では、第1の部材は第1の係合プレートに結合されて、第1の係合プレートが第2の係合プレートに対して軸回転できるようにし得る。第1の部材の凸部は第2の部材の凹部を補完して、係合プレートが相互に対して側屈できるようにし得る。第2の部材の凸部は第2の係合プレートの凹部を補完して、係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および/または伸展ができるようにし得る。
【0013】
1つの部材および2つの係合プレートを備えた椎間板インプラントの実施形態では、部材は球形を有してよい。この部材は係合プレートの凹部間に位置決めされてよい。この部材は相互に対して係合プレートが軸回転、前後運動および/または側方運動できるようにし得る。
【0014】
椎間板インプラント挿入処置用の器具セットは、誘導および/または挿入器具を含んでよい。挿入器具は、のみ、リーマー、六角ドライバ、スラップハンマ、インサータ、伸延器、押込器を含んでよいが、これに限定するものではない。器具セットは、試用エンドプレートおよび椎間板インプラント構成部品を含んでよい。試用エンドプレートは種々の寸法および前弯アラインメントの板であってよい。試用エンドプレートは脊椎表面から骨材料を除去するための止め具および/または器具ガイドを含んでよい。伸延器を試用エンドプレートと組み合わせて、椎間板インプラント挿入処置において使用されるインプラント構成部品の寸法、高さ、および前弯アラインメントが決定され得る。インプラント構成部品は、種々の寸法および前弯アラインメントの係合プレートならびに種々の寸法および形状の部材を含んでよいが、これに限定するものではない。
【0015】
2つの椎骨間に係合プレートを位置決めするためにインサータが使用されてよい。係合プレート間に所望の分離距離を確立するために、伸延器が係合プレート間に位置決めされてよい。1つまたは複数の部材が伸延器のボディを通って係合プレート間の空間まで導入されてよい。いくつかの実施形態では、部材は押込器と共に伸延器を通して導かれてよい。この押込器はインサータから伸延器が除去されるときに部材の位置を維持し得る。
【0016】
ある実施形態では、試用エンドプレート、部材、および係合プレートは可塑物、セラミック、高分子、複合物、および金属を含む種々の材料から形成されてよい。材料は耐久性、生体適合性、摩損特性、機械的強度および/または磨耗性状を含むが、これに限定しない因子に基づいて選択されてよい。いくつかの実施形態では、放射線標識が放射線技術には「不可視」である材料と組み合わされてよい。ある実施形態では、部材を形成するために選択される材料の摩擦係数を調整する工程が行われてよい(例えば、表面が研磨されるか、または粗加工されてよい)。他の実施形態では、ある部材が係合プレートおよび/または別の部材と接触することによって生じるノイズを低減させるために、係合プレートおよび/または部材の表面がコーティングされてよい。
【0017】
本発明の利点は、以下の詳細な説明と、添付図面を参照することによって当業者に明白になる。
【0018】
本発明には種々の変形および代替的形態を行う余地があるが、その特定の実施形態を一例として添付図面に示し、ここに詳細に記載する。添付図面は等尺でないことがある。添付図面および詳細な説明は本発明を開示した特定の形態に限定することを意図したものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲によって定められた本発明の精神および範囲内にあるすべての変形物、同等物、および代替物を包含することを理解すべきである。
【0019】
椎間板インプラントは脊椎の一部分を安定させるために用いられてよい。人工椎間板インプラントは自然磨耗、外傷、または疾患から生じる変性のために交換を要する椎間板の全部または一部と代わってよい。人工椎間板は椎骨間の正常な分離距離を修復し、脊椎の正常な運動および柔軟性を可能にし得る。
【0020】
椎間板インプラントはヒト椎骨の正常な限界に関連する範囲で、相互に対して隣接する椎骨の運動を可能にし得る。椎間板インプラントは軸回転、軸圧縮、および側方および/または前後運動を可能にし得る。ヒト脊椎では、軸回転は脊椎の縦軸周囲に約0.1°〜約3°の回転を含み得る。椎骨間の回転の軸は椎間板の繊維軟骨の性質に起因して中心がずれるかもしれない。2つの椎骨間の回転の軸はこの椎骨の中間地点の後方に位置し得る。側方運動は側屈を含み得る。側屈は最大で約0.5°〜約10°の右および/または左への運動を含み得る。前方運動は屈曲および/または伸展を含み得る。屈曲は最大で約0.5°〜約20°の前方運動を含み得る。伸展は最大で約0.5°〜約10°の後方運動を含み得る。
【0021】
いくつかのインプラントの実施形態は椎骨の正常な限界を超えた運動を阻止し得る。可動域を制限すれば、損傷の可能性が低減され得る。椎間板によって分離された椎骨に隣接する組織または構造体は、可動域の一部を制限し得る。例えば、周囲組織および構造体は、椎間板の軸回転を制限することがある。
【0022】
いくつかの実施形態では、脊椎の腰部の1つの椎間板または複数の椎間板を交換するために人工椎間板インプラントが使用されてよい。ある実施形態では、人工椎間板インプラントが脊椎の頚部または胸部において使用されてよい。いくつかの実施形態では、脊椎を安定させるために人工椎間板インプラントが他のシステムまたはデバイスと併用されてよい。他の実施形態では、椎間板インプラントは単独のシステムとして使用されてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は2つの椎骨間に挿入されてよい椎間板インプラントの一実施形態の構成部品の斜視図である。椎間板インプラント100は係合プレート102、部材104、および係合プレート106を含んでよい。インプラントを患者に植え込む際、インプラントの各係合プレートは、係合プレートが接する脊椎表面の少なくとも70%を覆い得る。部材104は係合プレート106から係合プレート102を分離し得る。ある実施形態では、部材104は脊椎の正常な圧縮から生じる圧力によって少なくとも部分的に係合プレート102と106との間で保持され得る。
【0024】
係合プレート102、106は隣接する椎骨に接触して脊椎に椎間板インプラントを固定し得る。係合プレート102、106の外表面110、110’上に位置決めされた結合用凸部108は脊椎表面の凹部内に位置決めされ得る。102、106の外表面110、110’上に位置決めされた結合用凸部108’は脊椎表面を貫通して椎骨に対する係合プレートの動きを阻止し得る。ある実施形態では、係合プレートは結合用凸部108、108’以外の、またはこれに加えて他の方法を用いて椎骨に結合されてよい。例えば、椎骨に係合プレートを取付けるために留め具が使用されてよい。留め具にはネジ、釘、びょう、トロカール、ピン、および羽枝を含んでよいが、これに限定するものではない。
【0025】
係合プレート102の内面112は溝穴114および凹部116を含んでよい。溝穴114の断面形状は正方形、長方形、台形、および不規則な形であってよいが、これに限定するものではない。係合プレート106の内面112’は椎間板インプラント100が組み立てられるときに係合プレート102の溝穴114に適合する溝穴114’を含んでよい。溝穴114、114’は、ほぞ穴118を含んでよい。ほぞ穴118は外科的処置の間にインプラント100の挿入を容易にするために使用される器具と係合し得る。いくつかの実施形態では、溝穴114、114’は鳩尾型であってよい。溝穴114、114’はインプラント100の全体寸法に高さおよび/または厚さを加えることなく挿入器具の使用を可能にし得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、係合プレートの溝穴は係合プレートの前−後軸に対して平行または実質的に平行であってよい。図2は溝穴114’が前−後軸119に平行である係合プレート106の一実施形態を示している。いくつかの実施形態では、溝穴は係合プレートの前−後軸に対して鋭角であってよい。図3は溝穴114’が前−後軸119に対して角度を成している係合プレート106の一実施形態を示している。溝穴114、114’は前−後軸119に対して約15°〜約30°の範囲の角度で形成されてよい。いくつかの実施形態では、溝穴114、114’は前−後軸119に対して約25°の角度で形成されてよい。溝穴114、114’が角度を成していることによって、修正した(例えば、角度を付けた)前方進入法を用いてインプラント100の挿入が可能となるかもしれない。いくつかの実施形態では、凹部116の角度方向は溝穴114、114’の角度に対応してよい。修正した前方進入法によってL5椎骨の上に血管を退縮させることが可能となり得る。いくつかの実施形態では、前−後軸119に対して溝穴114、114’が角度を成している係合プレート102、106は、中心結合用凸部(すなわち、キール)を含まないかもしれない。
【0027】
係合プレート102の凹部116の断面形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、または不規則な形であってよいが、これに限定するものではない。凹部116の側面は先細形状であってよい。凹部116の後ろ側120は凹部116の前側122の高さの少なくとも2倍であってよい。前側122と後ろ側120との間に高さの差があることによって、椎間板インプラント術において係合プレート102と106との間に部材104を位置決めする間に必要となる椎骨の退縮の行き過ぎが最小化され得る。いくつかの実施形態では、凹部116の底部は、残っている体液および/または骨物質を凹部から除去できるように、1つの開口部または複数の開口部を有してよい。
【0028】
部材104のベース124は係合プレート102の凹部内に収まってよい。ベース124は凹部116の形状に実質的に一致してよい。いくつかの実施形態では、部材104は先細形状の隆起であってよい。凹部116内に収まるベース124の幅は、部材104が該凹部内で並進できるように該凹部の幅より僅かに小さくてよい。凹部116は係合プレート102と106との間で部材104の位置を維持し得る。
【0029】
部材104は中心部分126を含んでよい。部材104の中心部分126の高さはインプラント100の高さに厚みを加え得る。中心部分126の高さは約5mm〜約20mmの範囲にあってよい。ある実施形態では、中心部分126は約9mmの高さを有してよい。いくつかの実施形態では、中心部分126は約11mmの高さを有してよい。他の実施形態では、中心部分126は約13mmの高さを有してよい。
【0030】
中心部分126は凸部128を含んでよい。凸部128は中心部分126の一体部分であってよい。いくつかの実施形態では、凸部128は中心部分126に接着剤で取付け、圧入、かつ/または溶接されてよい。凸部128は中心部分126と同じ高さであってよい。凸部128は器具と係合して係合プレート102と106との間への部材104の挿入を容易にし得る。
【0031】
部材104は凸部130を含んでよい。凸部130は楕円部分、卵形部分、または球形部分であってよいが、これに限定するものではない。係合プレート106の内面112’は凹部を含み得る。図2は図1に示した係合プレート105の底面図を示す。凹部132は部材104の凸部130を補完し得る。いくつかの実施形態では、凸部130は凹部132の深さを超えてよい。本願明細書で用いられるように、「補完する」または「相補的」とは、組み合わさって構成部品の滑らかな相対運動を可能にするインプラント構成部品の形状を意味する。
【0032】
図3は溝穴114’が前−後軸119に対して角度を成している係合プレート106の一実施形態の内面112’底面図を示している。溝穴114’は前−後軸119に対して約15°〜約30°の範囲の角度で形成されてよい。いくつかの実施形態では、溝穴114’は前−後軸119に対して約25°の角度で形成されてよい。ある実施形態では、凹部132の配向は溝穴114’の角度と一致するような角度であってよい。溝穴114’が角度を成していることによって、修正した(例えば、角度を付けた)前方進入法を用いてインプラント100の挿入が可能となり得る。
【0033】
図4は組立て後の図1に示したインプラントの断面図である。部材104の凸部130は係合プレート106の凹部132を補完し得る。凸部130の形状によって係合プレート106は係合プレート102に対して前後方向平面および/または左右方向平面内で動く(例えば、揺れ動く)ことが可能になり得る。係合プレート106が矢印134で示した前後方向平面内で係合プレート102に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および伸展が可能となり得る。係合プレート106が図1の矢印136で示した左右方向平面内で係合プレート102に対して動くことによって、係合プレート102、206に隣接する椎骨の側屈が可能となり得る。係合プレート106は矢印140で示した平面内において回転軸138の軸周囲に係合プレート102に対して回転し得る。いくつかの実施形態では、係合プレート102に対する係合プレート106の軸回転は患者の組織、骨、または他の物質によって制限され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、凸部130の高さおよび凹部132の深さは係合プレート102に対する係合プレート106の側方運動を制限するように選択されてよい。例えば、凸部130の高さによって係合プレート106は、係合プレート106が係合プレート102方向に揺動するときに係合プレート102に接触することができる。係合プレート102、106の内面112、112’が接触することによって、係合プレート102に対して係合プレート106の前後方向運動が制限され得る。係合プレート102、106の内面112、112’が接触することによって、隣接する椎骨の屈曲および/または伸展が制限され得る。凸部130の高さによって、インプラントによって可能になる最大の屈曲および/または伸展が決定され得る。いくつかの実施形態では、屈曲の最大量約0.5°〜約20°の範囲に制限されてよい。いくつかの実施形態では、インプラントによって可能となる最大の屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラントによって可能となる最大の屈曲は約15°であってよい。いくつかの実施形態では、伸展の最大量は約0.5°〜約12°の範囲に制限されてよい。いくつかの実施形態では、インプラントによって可能となる最大伸展は約5°であってよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、インプラントの構成部品は側屈の最大量を制限するために接触する表面を含んでよい。いくつかの実施形態では、患者が右または左に同じ量だけ側屈できるように、インプラントは等しい量の側屈を可能にし得る。いくつかの実施形態では、左への側屈の最大量は患者の特定の要求に適合するために、右への側屈の最大量とは異なるものであってよい。いくつかの実施形態では、インプラントは側屈の最大量を±0.5°〜約±15°内になるように設計されてよい。いくつかの実施形態では、側屈の最大量は約±10°であってよい。いくつかの実施形態では、インプラントによって可能となる側屈の最大量は約±5°であってよい。
【0036】
別の実施形態では、部材の凹部が係合プレートの凸部を補完し得る。図5に示したように、係合プレート106の凸部142は部材104の凹部144を補完してインプラントを形成し得る。係合プレート106と部材104との間の広い接触面積が、有利にはインプラントに加えられる圧縮荷重を比較的広い面積にわたって分散し得る。
【0037】
図6はインプラントの一実施形態の構成部品の斜視図を示している。インプラント100はインプラントに隣接する椎骨の全範囲の生理的運動を可能にする。係合プレート102の内面112は少なくとも1つの凸部を含んでよい。凸部146は係合プレート102に結合されてよい。いくつかの実施形態では、凸部146は係合プレート102の一体部分であってよい。凸部146は係合プレート102が部材104に対して自由に回転できるようにする形状を有してよい。凸部146のこの形状は先細形状、円形、または正方形であってよいが、これに限定するものではない。部材104は凹部148(図7には示さず)を含んでよい。凹部148は凸部146を補完してよい。凹部148は係合プレート102が部材104に対して動けるように凸部146よりも僅かに広い断面積を有してよい。凸部146に対する凹部148の寸法および/または形状によって、係合プレート102に対する部材104の回転範囲が決定され得る。
【0038】
図7に示したように、凹部148および凸部146は回転軸138の軸を定め得る。係合プレート102と部材104との間の摩擦は、部材に対して係合プレートが回転できるように十分低いものであってよい。係合プレート102は矢印140で示したように部材104に対して回転し得る。部材104に対する係合プレート102の回転は脊椎の軸回転を模倣したものであってよい。部材104の凹部148と係合プレート102の凸部146との間の広い接触面積によって、インプラント100に加えられる圧縮荷重を比較的広い表面積にわたって分散し得る。
【0039】
部材104は凸部150を含んでよい。係合プレート106の内面112’は凹部152を含んでよい。係合プレート106の凹部152は部材104の凸部150を補完し得る。凸部150の形状によって、係合プレート106は部材104に対して動く(例えば、揺れ動く)ことが可能となり得る。係合プレート106が部材104に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の側方運動(例えば、側屈)が可能となり得る。別の実施形態では、部材104は係合プレート106の凸部分に相補的な凹部を含んでよい。
【0040】
凸部150は前後方向平面および/または左右方向平面において弓形断面形状を有してよい。前後方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106は係合プレート102に対して図7の矢印134で示した方向に揺動し得る。係合プレート106が前後方向平面において係合プレート102に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および伸展が可能となる。左右方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106は係合プレート102に対して図6の矢印136で示した方向に動き得る。係合プレート106が左右平面方向において係合プレート102に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の側屈が可能となる。
【0041】
図8は図7に示した係合プレート106の内面112’の底面図を示している。係合プレート106は凹部152を含んでよい。凹部152の形状は部材104の凸部150を補完し得る。凹部152は前後方向平面および/または左右方向平面が弓形断面形状である凹形であってよい。凹部152の形状によって係合プレート106は前後方向平面および/または左右方向平面において部材104に対して動き得る。係合プレート106が前後方向平面および/または左右方向平面において部材104に対して動くことによって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲、伸展および/または側屈が可能となり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、図7に示したように、係合プレート106はリミッター154を備えてよい。リミッター154は部材104の表面156に接触するように位置決めされてよい。リミッター154と表面156との接触によって、係合プレート106の係合プレート102に対する後方運動が制限され得る。したがって、リミッター154と表面156との接触によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の伸展が制限され得る。係合プレート106の内面112’に対するリミッター154の高さおよび/または係合プレート102の内面112に対する表面156の高さは、インプラントに隣接する椎骨の伸展を制限するように制限されてよい。インプラント100によって可能となる最大伸展は、約3°〜約12°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約8°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約5°であってよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、係合プレート106の内面112’は部材104の表面156に接触し得る。表面156との内面112’の接触によって、係合プレート106の係合プレート102に対する前方運動が制限され得る。部材104の表面156との係合プレート106の内面112’の接触によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲が制限され得る。係合プレート102の内面112に対する表面156の高さは、係合プレート102、106に隣接する椎骨屈曲を制限するように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大屈曲は、約5°〜約20°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0044】
図9はインプラントの一実施形態の構成部品の斜視図を示している。インプラント100によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の軸回転が制限され得る。係合プレート102は凹部158を含んでよい。凹部158の端部は円弧状であってよい。この円弧は共通の中心点を共有してよい。部材104のベース124は凹部158内に収まってよい。ベース124の表面は凹部158の円弧状表面に実質的に一致し得る。ベース124の幅は部材104が凹部の端部によって形成された曲線に沿って凹部158内で並進できるように、凹部158の幅未満であってよい。
【0045】
図10はインプラント組立て後の図9に示したインプラントの断面図を示している。部材104のベース124は係合プレート102の凹部158を補完し得る。回転軸138の軸は係合プレート102、106の重心に、あるいは該重心近傍にあってよいか、または係合プレートから外れていてもよい。係合プレート102が係合プレート106に対して回転することによって、インプラント100に近接する椎骨の回転が可能となり得る。
【0046】
凹部158の形状によって、係合プレート102は矢印140に示した平面において係合プレート106に対して軸方向に回転し得る。ベース124が凹部158内で動くことによって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の軸回転が可能になり得る。インプラント100によって可能になる最大軸回転は、約±0.1°〜約±6°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能になる最大軸回転は約±3°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能になる最大軸回転は約±1°であってよい。
【0047】
係合プレート106は凹部152を含んでよい。凹部152は部材104の凸部150を補完してよい。別の実施形態では、部材104は係合プレート106の凸部に相補的な凹部を含んでよい。凸部150は前後方向平面および/または左右方向平面において弓形断面形状を有してよい。前後方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106が矢印134で示した方向に部材104に対して動く(例えば、揺動する)ことが可能となり得る。係合プレート106が前後方向平面において部材104に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および/または伸展が可能となり得る。左右方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106が図9に矢印136で示した方向に部材104に対して動く(例えば、揺動する)ことが可能となり得る。左右方向平面において部材104に対して係合プレート106が動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の側屈が可能になり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、係合プレート106(図10に示す)の内面112’が部材104の表面156に接触し得る。内面112’の表面156との接触によって、前後方向平面における係合プレート106の係合プレート102に対する動きが制限され得る。内面112’の表面156との接触によって、脊椎の屈曲が制限され得る。ある実施形態では、内面112に対する表面156の高さは脊椎の屈曲を制限するように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大屈曲は、約5°〜約20°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、係合プレート102に対する係合プレート106の後方運動が制限され得る。係合プレート106はリミッター154を含んでよい。使用中、リミッター154は接触面156に接触して係合プレート102に対する係合プレート106の後方運動を制限し得る。リミッター154の表面156との接触によって、脊椎の伸展が制限され得る。内面112’に対するリミッター154の高さおよび/または内面112に対する接触面156の高さは、脊椎の伸展を制限するように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大伸展は、約3°〜約12°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約8°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約5°であってよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、係合プレート102の内面112は凸部を有してよい。図11に示したインプラント100の係合プレート102は凸部160を含んでいる。凸部160は前後方向平面および/または左右方向平面において弓形断面形状を有してよい。図12に示すように、部材104は凹部162を含んでよい。凹部162の端部は弓形でよい。該弓形は同じ中心点を共有してよい。凸部160は、部材104の凹部162に収まってよい。係合プレート102の凸部160は凹部162を補完し得る。凸部160の幅は凹部162の幅未満であってよい。係合プレート102は凹部の端部によって定められた曲線に沿って凹部162内で並進し得る。
【0051】
図13はインプラント組立て後の図11に示したインプラントの断面図を示している。部材104の凹部162は係合プレート102の凸部160を補完し得る。凸部160の形状によって回転軸138の軸周囲で、係合プレート102、106の相対運動が矢印140で示した平面において可能となる。回転軸138の軸はインプラント100重心、または該重心近傍にあってよいか、あるいは該重心から外れていてよい。
【0052】
インプラント100によって可能となる最大軸回転は、約±0.1°〜約±6°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大軸回転は約±3°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大軸回転は約±1°であってよい。係合プレート106に対する係合プレート102の回転は凹部162の深さに対する凸部160の高さによって制限され得る。いくつかの実施形態では、係合プレート106に対する係合プレート102の回転は凸部160の曲率および/または凹部162の曲率によって制限され得る。
【0053】
係合プレート106の内面112’は凹部152を含んでよい。凹部152の形状は部材104の凸部150と相補的であってよい。凸部150は凹部152を補完し得る。凸部150によって、係合プレート106は部材104に対して動く(例えば、揺動する)ことが可能となり得る。係合プレート106が部材104に対して動くことによって、脊椎の側方運動が可能になり得る。いくつかの実施形態では、部材104は係合プレート106の凸部と相補的な凹部を含んでよい。
【0054】
凸部150は前後方向平面および/または左右方向平面において弓形断面形状を有してよい。前後方向平面における凸部150の弓形形状によって、係合プレート106は矢印134で示した方向に部材104に対して動くことが可能となり得る。係合プレート106が前後方向平面において係合プレート102に対して動くことによって、脊椎の屈曲および/または伸展が可能となり得る。左右方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106は図11に示した矢印136で示した方向に部材104に対して動くことが可能となり得る。係合プレート106が左右平面において部材104に対して動くことによって、脊椎の側屈が可能となり得る。
【0055】
係合プレート106の内面112’は部材104の接触面156と接触し得る。内面112’の表面156との接触によって、係合プレート102に対する係合プレート106前方運動が制限され得る。したがって、内面112’の表面156との接触によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲が制限され得る。部材104の端部の厚さは、インプラント100によって可能となる屈曲を制限し得る。インプラント100によって可能となる最大屈曲は、約5°〜約20°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、椎間板インプラント100は図14および16に示したような2つの係合プレートおよび2つの部材を含んでよい。図15および17はそれぞれ、図14および16に示したインプラント100の断面図である。インプラント100の係合プレート102は凸部164を有してよい。凸部164は少なくとも1つの軸に沿って弓形断面形状を有してよい。凸部164の1つの軸に沿った弓形断面形状は、係合プレート102と部材104との間の接触の面積を増大させ得る。部材104は凹部166を含んでよい。凹部166は凸部164を補完し得る。凸部164の形状によって、係合プレート102に対する部材104の前後方向の並進が可能となり得る。係合プレート102に対する部材104の並進によって、脊椎安定化処置の間にインプラント100を位置決めすることが可能となり得る。
【0057】
凸部164近傍の係合プレート102の厚さは、内面112、112”が係合プレートの外面に対して傾斜しているように端部168、168’近傍の係合プレート102の厚さを超えてよい。いくつかの実施形態では、内面112の傾斜は内面112”の傾斜とは異なっていてよい。ある実施形態では、凹部166の近傍の部材104の厚さは、表面172、172’が表面156に対して傾斜になっているように端部170、170’における部材の厚さを超えてよい。
【0058】
内面112、112”および表面172、172’は、左右方向平面において部材104に対して係合プレート102の運動(例えば、揺動)が可能になるように傾斜になってよい。部材104が矢印136で示した方向へ動くことによって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の側屈が可能となり得る。内面112、112”および表面172、172’は、左右方向平面における脊椎の側方運動が制限されるように傾斜になってよい。いくつかの実施形態では、表面156に対する表面172の傾斜は、表面156に対する表面172’の傾斜とは異なっていてよい。いくつかの実施形態では、表面172、172’の傾斜は内面112、112”の傾斜とは符号が反対であってよい。係合プレート102が部材104に対して動くことによって、内面112、112”が接触面172、172’と接触することが可能となり得る。内面112、112”および表面172、172’が接触することによって、インプラント100に加えられる圧縮荷重は比較的広い表面積にわたって分散され得る。
【0059】
部材104は凸部146を含んでよい。凸部146は部材104に結合され得る。いくつかの実施形態では、凸部146は部材104の一体部分であってよい。凸部146の形状は、先細形状、円形、または正方形であってよいが、これに限定するものではない。部材174は図15および17に示したような凹部148を含んでよい。凹部148は凸部146を補完し得る。凹部148は、部材104、174の相対運動が可能となるように、凸部146よりも僅かに広い断面積を有してよい。いくつかの実施形態では、部材174は矢印140で示した回転軸138の軸周囲で部材104に対して回転してよい。図15に示したように、回転軸138の軸はインプラント100の中心近傍にあってよい。いくつかの実施形態では、回転軸138の軸は図17に示したように、より中心からずれて位置してよい。部材104に対する部材174の回転域は、凸部146の寸法および/形状に対する凹部148の寸法および/または形状によって制限され得る。
【0060】
部材174の表面176は凸部146が凹部148内に収まるときに部材104の表面156に接触し得る。部材104と部材174との間の比較的広い接触面積が、インプラントに隣接する椎骨の回転を可能にしながらインプラント100に加えられる有効荷重を分散し得る。例えば、凸部146(図14に示す)は凸部146と凹部148との間の接触面積を増大させ得る平面を有している。部材104と部材174との間の摩擦を低減させることによって、相互に対する部材の滑らかな回転が可能になり得る。
【0061】
部材174は凸部178を有してよい。凸部178は前後方向平面において弓形断面形状を有してよい。係合プレート106は凹部180(図15および図17に示す)を含んでよい。凹部180は前後方向平面において弓形断面形状を有する凹状であってよい。凹部180は部材174の凸部178を補完し得る。いくつかの実施形態では、凹部180は、係合プレート106が部材174に対して動き得るように凸部178よりも僅かに広い断面積を有してよい。係合プレート106が部材174に対して動くことによって、図15および17の矢印134で示した平面において係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および/または伸展が可能となり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、相互に対するインプラント100の構成部品の前後方向および/または左右方向への運動は制限され得る。図14および15に示したように、係合プレート106はリミッター154を備えてよい。リミッター154は係合プレート106の内面112’から延びる凸部であってよい。一実施形態では、リミッター154は係合プレート106のある側に沿って延在してよい。リミッター154は係合プレート106が係合プレート102に向かって後方に揺動するときに、部材174の表面182に接触するように位置決めされてよい。リミッター154の長さを長くすることによって、リミッター154と部材174との間の接触の面積が増大されてよい。リミッター154と部材174との間の接触の面積を増大させることによって、インプラント100上の圧縮荷重が比較的広い面積にわたって分散され得る。比較的広い面積にわたって荷重を分散させることによって、インプラント100の構成部品間の応力が低減され得る。
【0063】
リミッター154の表面182との接触によって、部材174に対する係合プレート106の動きが制限され得る。内面112’に対するリミッター154の高さおよび/または部材174の表面176と182との間の距離は、部材174に対する係合プレート106の動きを制限するように選択されてよい。ある実施形態では、部材174の表面182は表面182とリミッター154との間の接触の面積を増大させるために、表面176に対して傾斜してよい。表面182は係合プレート106と部材174との間の可動域を増大させるために傾斜であってよい。いくつかの実施形態では、表面182の傾斜によって部材174に対する係合プレート106の動きが制限され得る。ある実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は、約3°〜約12°の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約8°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約5°であってよい。いくつかのインプラントの実施形態は椎間板インプラントの運動の別の成分を制限するように設計されたリミッターを備えてよい。他のインプラントの実施形態は椎間板インプラントの運動の他の成分を制限するように設計された1つまたは複数の付加的なリミッターを備えてよい。
【0064】
ある実施形態では、係合プレート106の内面112’は部材174の接触面182と接触し得る。内面112’の表面182との接触によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲が制限され得る。部材174の表面176と182との間の距離は、係合プレート102、106に隣接する椎骨間の屈曲が制限されるように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大屈曲は、約5°〜約20°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0065】
ある実施形態では、インプラント100の構成部品は相互に結合され得る。インプラント100の構成部品を結合することによって、外科的処置の前にインプラントが部分的に組み立てられ得る。インプラント100の構成部品のいくつかは、脊椎の通常の圧縮から生じる圧迫によって、使用中に少なくとも部分的に結合され得る。
【0066】
図18は係合プレート102、部材104および174、および係合プレート106を備えたインプラント100の構成部品の斜視図を示している。図19はインプラント組立て後の図18に示したインプラントの断面図を示している。図18および19に示したように、係合プレート102は凸部146および開口部184を含んでよい。凸部146は係合プレート102に結合され得る。いくつかの実施形態では、凸部146は係合プレート102の一体部分であってよい。凸部146の形状は、円形、正方形、長方形、または不規則な形であってよいが、これに限定するものではない。凸部146は部材104内の凹部148(図19に示す)を補完し得る。ある実施形態では、凹部148は係合プレート102が部材104に対して動き得るように、凸部146よりも僅かに広い断面積を有してよい。いくつかの実施形態では、凹部148は部材104に対する係合プレート102の回転を阻止するために、凸部146の断面積と実質的に等しい断面積を有してよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、開口部184は係合プレート102を通って延在してよい。他の実施形態では、開口部184は係合プレート102の所定の深さまで延びてよい。開口部184はカプラ186などの結合デバイスを収容するように設計されて(例えば、ねじ切りされて)よい。カプラ186はねじ、ボルト、またはピンチクランプであってよいが、これに限定するものではない。カプラ186は部材104を係合プレート102に結合し得る。使用中、カプラ186は部材104の少なくとも一部分を通って係合プレート102の開口部184内に延びてよい。カプラ186の頭部は部材104の開口部188内に埋め込まれてよい。カプラ186によって係合プレート102が部材104に対して動くことが可能となり得る。いくつかの実施形態では、係合プレート102は、図19の矢印140で示した平面において部材104に対して回転軸138の軸周囲に回転し得る。係合プレート102、106の相対運動によって、インプラント100に隣接する椎骨の軸回転が可能となり得る。回転軸138の軸は脊椎の回転の軸を模倣するように、係合プレート102、106の中心から外れていてよい。
【0068】
図18に示したように、部材104は凸部164を有してよい。凸部164は少なくとも1つの軸に沿って弓形断面形状を有してよい。部材174は凹部166を含んでよい。凹部166は少なくとも1つの軸に沿って弓形断面形状を有してよい。図20のインプラント100の側面図に示したように、凹部166は部材104の凸部164を補完し得る。いくつかの実施形態では、部材104近傍の係合プレート102の厚さは、内面112、112”が係合プレートの外面に向かって傾斜しているように、端部168、168’における係合プレートの厚さを超えてよい。いくつかの実施形態では、内面112の傾斜は内面112”の傾斜とは異なっていてよい。凹部166近傍の部材174の厚さは、第2の部材174の表面192、192’が係合プレート102を起点に傾斜しているように、端部190、190’における部材の厚さを超えてよい。いくつかの実施形態では、表面192の傾斜は表面192’の傾斜とは異なっていてよい。いくつかの実施形態では、表面192、192’の傾斜はそれぞれ、内面112、112”の傾斜と実質的に同じ大きさであってよい。
【0069】
傾斜になった表面112、112”によって、係合プレート102は左右方向平面において部材104に対して動く(例えば、揺動する)ことが可能となり得る。係合プレート102、106の相対運動によって、図18の矢印136で示した平面において係合プレートに隣接する椎骨の側屈が可能となり得る。それぞれ表面112、112”および192、192’が接触することによって、インプラント100に加えられる圧縮荷重が比較的広い面積にわたって分散され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、部材174は凸部178を有してよい。凸部178は弓形断面形状を有してよい。係合プレート106は凹部180を有してよい。凹部180は弓形断面形状を有する凹状であってよい。凹部180は凸部178を補完し得る。凹部180は係合プレート106が図19の矢印134で示したように係合プレート102に向かって動く(例えば、揺動する)ことが可能となるように、凸部178よりも僅かに広い断面積を有してよい。係合プレート106が部材174に対して動くことによって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲および/または伸展が可能になり得る。
【0071】
部材104は1つまたは複数の止め具194(図18および19に示す)を含んでよい。止め具194は部材104の端部の一方または両方に結合され得る。いくつかの実施形態では、止め具194は部材104の一体部分であってよい。止め具194は部材104に対する部材174の前後方向の並進を制限し得る。部材104に対して部材174の並進を制限することによって、インプラント100を椎骨間に位置決めすることが容易になり得る。
【0072】
ある実施形態では、止め具194が係合プレート106の内面112’と接触することによって、インプラント100に隣接する椎骨の伸展が制限され得る。止め具194の高さおよび/または係合プレート106の厚さによって、インプラント100によって可能となる伸展が制限され得る。インプラント100によって可能となる最大伸展は、約3°〜約12°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約8°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約5°であってよい。
【0073】
部材174の表面182は部材の表面192、192’に対して傾斜していてよい。係合プレート106の内面112’は係合プレートの外面に対して傾斜していてよい。表面182の傾斜および/または内面112’の傾斜は、表面182と係合プレート106のリミッター154との間の表面積を増大させるように選択されてよい。表面182の傾斜は係合プレート106と部材174との間の可動域を増大させるように選択されてよい。いくつかの実施形態では、凹部180の形状および/または寸法によって、インプラントの別の構成部品に対する係合プレート106の動きが制限され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、係合プレート106の内面112’は部材174の表面182に接触してよい。内面112’および表面182の接触によって脊椎の屈曲が制限され得る。部材174の表面182と表面192、192’との間の距離は、係合プレート102、106に隣接する椎骨の間の屈曲を制限するように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大屈曲は約5°〜約20°であってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1の係合プレートは第2の係合プレートと実質的に同じであってよい。実質的に同じ係合プレートを有するインプラントの製造コストは低減され得る。図21は実質的に同じ係合プレート102を有するインプラント100の斜視図を示している。部材104は係合プレート102を分離し得る。ある実施形態では、部材104は卵形、回転楕円形、および楕円形を含む円形を有してよいが、これに限定するものではない。部材104は金属(例えば、クロム)またはセラミックから形成されてよい。ある実施形態では、部材104は磨耗を防ぐために高度に研磨されてよい。係合プレート102は凹部132を含んでよい。凹部132は部材104を補完し得る。部材104の厚さは凹部132の深さの合計を超えてよい。
【0076】
図22はインプラント組立て後の図21に示したインプラントの断面図を示している。部材104によって係合プレート102が分離されていることによって、係合プレートは相互に対して「揺動」し得る。係合プレート102が前後方向平面において相互に対して揺動することによって、矢印134で示した平面において屈曲および/または伸展が可能となり得る。係合プレート102が左右方向平面において相互に対して揺動することによって、図21の矢印136で示した平面において側屈が可能となり得る。
【0077】
部材104の形状は部材104の表面と凹部132との間に広い接触面積を提供し得る。部材104の形状によってインプラント100の磨耗および/または故障が低減され得る。楕円形状を有する凹部132によって、部材104は回転軸138の軸周囲でヒト脊椎運動を模倣することが可能となり得る。係合プレート102は矢印140で示した平面において回転軸138の軸周囲で相互に対して自由に回転し得る。いくつかの実施形態では、回転軸138の軸は部材104が凹部132内で並進するにしたがって変化し得る。一実施形態では、可動域(例えば、軸回転)は部材104の形状および/または凹部132の形状によって制限され得る。
【0078】
一実施形態では、凹部132近傍の係合プレート102の内面は隆起していてよい。1つまたは複数の表面196A〜196D(図21に示す)の隆起は、係合プレート102の相対運動を制限するように選択されてよい。1つまたは複数の表面196A〜196Dは、図21および22に示したような係合プレート102の外面に対して傾斜になっていてよい。表面196A〜196Dの傾斜は係合プレート102間の接触面積を増大し得る。係合プレート102間の接触面積を増大させることによって、インプラントの磨耗が阻止され得る。
【0079】
ある実施形態では、表面196Dは脊椎インプラントに隣接する椎骨の屈曲を制限し得る。表面196Bはインプラント100に隣接する椎骨の伸展を制限し得る。表面196Aおよび196Cはインプラント100に隣接する椎骨の側屈を制限し得る。いくつかの実施形態では、相互に対する係合プレート102の軸回転は制限され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、インプラントは椎骨の半径方向の曲率に適合するように湾曲してよい。インプラントは種々の大きさの曲率を有してよい。例えば、椎間板インプラントは大きい曲率、中間の曲率、および/または小さい曲率を有してよい。インプラントによって提供される半径方向の曲率の表示は、インプラント上にエッチングされるか、そうでない場合には印が付けられてよい。
【0081】
いくつかの椎間板インプラントの実施形態では、係合プレートは脊椎の所望の前弯曲率を確立するように傾斜していてよい。種々の前弯曲率を有する種々の異なる構成部品は、外科医が所望の前弯角を有するインプラントを形成できるように外科医に市販されている。インプラントが提供するであろう脊椎前弯の量を示すために、前弯表示は椎間板インプラント上にエッチングされるか、そうでない場合には印が付けられて(例えば、色分けされて)よい。一実施形態では、腰部椎間板インプラントは約5°〜約20°の範囲の前弯角(例えば、約12°)を有してよい。
【0082】
係合プレートは椎骨表面への係合プレートの結合を促進するように設計されてよい。隣接する椎骨へインプラントの係合プレートを結合することによって、椎間板インプラントは安定し得る。係合プレートは椎骨への係合プレートの結合を容易にするための1つまたは複数の結合用凸部を含んでよい。結合用凸部は係合プレートの外面から延びてよい。結合用凸部は係合プレートに圧入、溶接、接着剤で取付けられるか、それ以外の場合には貼り付けられてよいが、これに限定するものではない。別の場合には、結合用凸部は係合プレートの一部分として形成されてよい。インプラント100の安定性を確実にするために、任意の組合せの結合用凸部108が共に使用されてよい。
【0083】
係合プレートは、例えば、図9〜11に示したような1つの結合用凸部108を含んでよい。図23は2つの結合用凸部108を備えた係合プレート102の図を示している。いくつかの実施形態では、係合プレートは図24および25に示したような複数の結合用凸部108を含んでよい。いくつかの実施形態では、係合プレートは実質的に同じ形状および寸法の結合用凸部を含んでよい。ある実施形態では、係合プレートは種々の寸法および/または形状の結合用凸部を含んでよい。結合用凸部の形状および/または寸法は耐久性、荷重配分、および椎骨内に相補的な凹部を形成する容易さを含む因子に基づいて選択されてよいが、これに限定するものではない。
【0084】
ある実施形態では、係合プレートから延びている結合用凸部は椎骨内に形成された凹部内に位置決めされてよい。この凹部は結合用凸部を補完し得る。結合用凸部108は例えば図9〜11に示したような弓形断面形状を有してよい。いくつかの実施形態では、結合用凸部は正方形または長方形の断面を有してよい。図26は長方形の断面を有する結合用凸部108の図を示している。ある実施形態では、結合用凸部は、1つまたは複数の方向に先細形状になっていてよい。図27に示した結合用凸部108は前後方向に先細形状になっている。結合用凸部が先細になっていることによって、結合用凸部が骨内の凹部に押し込まれて骨に係合プレートを固定し得る。凹部に結合用凸部を押し込むことによって、椎骨に対する係合プレートの動きおよび/または骨からの係合プレートの圧出が阻止され得る。いくつかの実施形態では、骨に隣接して位置決めされる結合用凸部の表面は、結合用凸部の骨との骨統合を促進するために粗面になっていてよいか、またはコーティング(例えば、ヒドロキシアパタイト)を含んでよい。いくつかの実施形態では、図1、24、および25に示したような結合用凸部は、椎骨に対する係合プレートの動きを阻止するためかつ/または骨からの係合プレートの圧出を阻止するために、隣接する骨を貫通してよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、前方進入法を用いたインプラント挿入を容易にするために、1つまたは複数の結合用凸部は実質的に前後方向面内に配向されてよい。いくつかの実施形態では、側方進入法を用いたインプラント挿入を容易にするために、1つまたは複数の結合用凸部は実質的に左右方向平面内に配向されてよい。ある実施形態では、椎骨に対する係合プレートの動きを阻止するためかつ/または骨からの係合プレートの圧出を阻止するために、図1に示したような種々の断面形状の結合用凸部の組合せが使用されてよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、インプラントを椎骨に結合させるために締付システムが使用されてよい。このインプラントはタブのある面内に開口部を有するタブを含んでよい。この開口部は骨締付具の頭部に係合または結合され得る。締付システムは締付具および固定機構を含んでよい。固定機構はインプラントと締付具との間に位置決めされ得る。この固定機構は椎骨およびインプラントからの締付具の後退を防ぎ得る。いくつかの実施形態では、固定機構はインプラントの開口部内に位置決めされるリングであってよい。リングが開口部内にあるとき、締付具が開口部から後退し始める場合、リングを介して挿入される締付具の頭部はリングと接触し得る。リングと締付部の頭部との組合せは大き過ぎるので開口部から出られず、これにより椎骨およびインプラントからの締付具の後退が阻止される。リングが開口部内にあるとき、リングはインプラントに固定されることなく締付具の頭部に固定されてよく、したがって椎骨に係合プレートを確実に締め付けることが可能となる。Wagnerらに付与された米国特許第6,454,769号およびFreidらに付与された米国特許第6,331,179号は締付具の後退を防ぐ固定機構を備えた締付システムを記載している。
【0087】
ある実施形態では、椎間板摘出術を施行後に隣接する椎骨間に椎間板インプラントを挿入または/位置決めするために、1つまたは複数の器具が使用されてよい。隣接する椎骨間の用意された椎間腔内にインプラントを位置決めするために、インサータが使用されてよい。このインサータは、患者の切開部の上方から椎間腔内にインサータの遠位端を配置できるように十分に長いものであってよい。インプラントの係合プレートはインサータの遠位端のアーム部に結合され得る。
【0088】
図28はインサータ210の一実施形態の斜視図を示している。インサータ212はボディ210およびアーム部214を備えてよい。ボディ212は開口部216を含んでよい。開口部216は1つまたは複数の誘導、挿入および/または除去器具をインサータ210内に位置決めできるような寸法であってよい。アーム部214はインサータ210をインプラントの係合プレートに結合するための延長部218を含んでよい。延長部218は係合プレート102、106(図1に示す)内の溝穴114に係合するために、面取りされているか、円形であるか、鳩尾形であるか、それ以外の場合には機械加工されていてよい。延長部218は戻り止め220を含んでよい。戻り止め220はインプラントにインサータ210を結合させるために、係合プレート102、106の刻み目118に位置決めされてよい。図29は係合プレート102、106に結合された延長部218を示している。
【0089】
アーム部214の部分はアーム部間に先細になる分離距離を確立するために、相互に対して角度が付いている。アーム部214の部分に角度が付いていることによって、インサータ210に取付けられた係合プレート102、106間の所望の分離距離を確立する器具の挿入が容易になり得る。
【0090】
アーム部214は機構222を含んでよい。図30は機構222がアーム部214上にあるインサータ210の側面図を示している。図28に示したように、インサータ210は溝穴224を含んでよい。溝穴224は機構222からアーム部214および延長部218を介して戻り止め220付近のインサータ210の一部分まで延在し得る。溝穴224によってインサータ210の部分226は曲がり得る。押圧機構222は部分226を動かして係合プレート内に位置する刻み目から戻り止め220を解放し得る。機構222が押圧されるとき、係合プレート内の戻り止めが刻み目から解放されてインサータ210を係合プレートから分離し得る。いくつかの実施形態では、アーム部214は、部材222が押圧されたときに動くことができないインサータの部分を安定させる補強部材228を含んでよい。補強部材228は部分226の外方向への動きを阻止し得る。
【0091】
インサータ210の近位端は、スラップハンマまたは押込器などの打込み器具または誘導器具と係合するように形成されてよい。インサータ210(図28に示す)の近位端内の溝穴230は機械加工されるか、それ以外の場合には図31に示したカプラ232などの結合デバイスを受け取るように設計されてよい。図31はスラップハンマ234に結合されたインサータ210の斜視図を示している。カプラ232は打込み器具または誘導器具の取付台と係合し得る。スラップハンマ234は取付台236を備えてよい。カプラ232は取付台236をインサータ210に結合し得る。
【0092】
いくつかのインプラント挿入手技の間、椎間腔が小さ過ぎて、隣接する椎骨の表面を損なわずに、インサータに結合されたインプラント構成部品を挿入することができないかもしれない。シムが椎骨に隣接して設置されてよい。インサータに結合された係合プレートはシムの隣に位置決めされ得る。椎骨を引き離して、椎骨間に係合プレートを挿入するために、インサータは下方に打ち込まれてよい。係合プレートの挿入後、シムは除去され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、隣接する椎骨を引き離しかつ/または係合プレートを引き離して係合プレート間に部材を挿入できるようにするために、伸延器が使用されてよい。図32は伸延器の一実施形態の斜視図を示している。伸延器238はボディ240、アーム部242、および取付台244を備えてよい。ボディ240およびアーム部242は溝246を含んでよい。溝246は部材104(図1に示す)の凸部128よりも断面積が僅かに大きくてよい。部材104の凸部128は溝246に収まって、部材104がボディ240およびアーム部242を介して係合プレート間のある位置まで誘導することを可能にし得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、溝246はインプラントの特定の寸法の部材のみを収容するような寸法および/または形状であってよい。例えば、13mmインプラント用の部材は、11mmインプラント用の寸法の分離距離を確立する伸延器に適合しないであろう。いくつかの実施形態では、部材および伸延器は実質的に同じ色に色分けされてよい。外科医はある部材を実質的に同じ色の伸延器に押し込むことだけを知り得る。
【0095】
ある実施形態では、アーム部242は補強部材248を含んでよい。補強部材248はインプラントを形成するために、係合プレート間に部材を挿入する間にアーム部242が動くのを阻止し得る。
【0096】
取付台244上の溝穴250はカプラを受け取るように機械加工されてよい。カプラはスラップハンマなどの打込み器具に伸延器238を結合し得る。
【0097】
図33はインサータ210内に位置決めされた伸延器238の斜視図を示している。アーム部242はインサータ210のアーム部214を分離し得る。アーム部214が伸延器238によって分離されるとき、係合プレート102、106が分離される。係合プレート102、106内の溝穴およびアーム部242は、係合プレートが分離工程の間に実質的に平行のままであるようにアーム部214を分離し得る。係合プレート102、106は係合プレート間に部材を挿入する間に実質的に平行のままであり得る。伸延器238を用いてアーム部214を分離することによって、伸延器の係合プレート102、106との接触は最小化されるか、または除去され得る。伸延中に伸延器238の係合プレート102、106との接触を最小化または除去することによって、係合プレートのインサータ210からの不所望の分離が阻止され得る。
【0098】
図34は押込器の一実施形態の斜視図を示している。押込器252はボディ254および取付台256を備えてよい。ボディ254の遠位端の幅は該ボディの近位端の幅未満であり得る。ボディ254は凸部258を含んでよい。凸部258は伸延器238の溝246(図32に示す)内に収まって、押込器252が伸延器のボディ240およびアーム部242を介して導かれるのを可能にし得る。いくつかの実施形態では、特定の寸法の伸延器に適合するように、押込器は色分けされてよい。いくつかの実施形態では、凸部258は押込器が任意の寸法の伸延器に収まるような寸法であってよい。
【0099】
伸延器238を介して係合プレート間の所望の位置まで部材を移動させるために、押込器252が使用されてよい。図35は伸延器238およびインサータ210内に位置決めされた押込器252の一実施形態の側面図を示している。押込器252がインサータ210内に位置決めされるとき、押込器は係合プレート102、106間で部材の位置を維持して、係合プレートからの伸延器238の除去を可能にし得る。
【0100】
いくつかのインプラント挿入手技の間、1つの経路または複数の経路が椎骨内に形成され得る。この経路または複数の経路は係合プレートの1つの結合用凸部または複数の結合用凸部に対応し得る。椎骨内に1つの経路または複数の経路が形成されるのを容易にするために、器具ガイドが使用されてよい。いくつかの実施形態では、2つの器具ガイドがインサータに結合されてよい。この器具ガイドは椎間腔内に挿入され得る。椎骨に対して器具ガイドを動かすために、伸延器がインサータ内に導入されてよい。この器具ガイドと組み合わせて器具を用いることによって、複数の経路が椎骨内に形成され得る。
【0101】
図36は器具ガイド260の斜視図を示している。器具ガイド260は溝穴261、止め具262、およびガイドピース264を含んでよい。溝穴261によって器具ガイド260がインサータのアーム部の延長部に結合することが可能となり得る。止め具262は椎骨間での器具ガイド260の挿入深さを制限し得る。止め具262は開口部266を有してよい。椎骨内に1つの経路または複数の経路を形成する間に器具ガイド260を椎骨に固定するために、締付具が開口部266を介して位置決めされてよい。この締付具はねじ、ピン、羽枝、またはトロカールを含んでよいが、これに限定するものではない。締付具の頭部は大き過ぎて開口部266を通り抜けることができなくてもよい。
【0102】
器具(例えば、チゼル、ドリル、リーマー)の刃先を椎骨に対して所望の位置に設置するためにガイドピース264が使用されてよい。この器具はガイドピース開口部268を通され得る。ガイドピース開口部は、器具がその中に経路を形成する椎骨に対して器具の刃部分を適切に方向付けし得る。椎骨内に経路を形成する間に器具の刃先を導くために、器具の一部分が溝270内に位置決めされ得る。器具が溝270に沿って移動するとき、椎骨内に溝を形成するために、骨物質が器具ガイド260に隣接する椎骨表面から除去され得る。係合プレート上の結合用凸部の断面形状に類似する長さおよび/または深さの開口部を形成するために、骨物質が除去され得る。
【0103】
図37は伸延器238、打込み器272、およびインサータ210に結合された器具ガイド260の斜視図を示している。打込み器272は締付具が器具ガイド260を椎骨に結合させるように、締付具274のシャフトを止め具262内の開口部を介して位置決めし得る。
【0104】
図38Aはチゼル276の平面図を示している。図38Bはチゼル276の側面図を示している。チゼル276は端部部材278、シャフト280、およびハンドル282を含んでよい。端部部材278は骨を貫通することのできる刃先を含んでよい。いくつかの実施形態では、インサータの近位部分と椎骨間に位置決めされた経路ガイドとの間のある角度に適合するように、シャフト280は曲げられ得る。
【0105】
図39は器具ガイド260、伸延器238、およびインサータ210に結合されたチゼル276の斜視図を示す。チゼル276の端部部材278はガイドピース264内のガイドピース開口部を介して挿入され、かつ器具ガイド260の溝270内に位置決めされ得る。端部部材278の刃先は椎骨内に押し込まれ得る。椎骨内の端部部材278の挿入深さは蛍光X線透視法を用いて監視されてよい。いくつかの実施形態では、シャフト280には目盛が付けられてよい。チゼルの端部部材が最初に椎骨に接触するとき、インサータの先端部に関連する最初の読取値が読み取られ得る。チゼルが椎骨内に打ち込まれるにしたがって、インサータの先端部に関連する今の読取値とインサータの先端部に関連する最初の読取値との間の差を取得することによって、挿入深さの推定値が提供され得る。いくつかの実施形態では、椎骨内へのチゼルの挿入深さを制限するために、止め具がシャフト280上に位置決めされてよい。止め具はガイドピース264に接触し得る。
【0106】
図40はインサータ210と組み合わされたリーマー、伸延器238、および器具ガイド260の斜視図を示している。椎骨表面内に溝を形成するために、リーマー284は椎骨表面からの骨物質の除去を可能にし得る。(図9〜11に示したような)係合プレート上の弓形形状の結合用凸部を補完するために、溝は弓形断面形状を有してよい。リーマー284はカッター286、ボディ288、およびハンドル290を備えてよい。いくつかの実施形態では、ドライブシャフトがボディ288内に位置決めされてよい。このドライブシャフトはカッター286およびハンドル290に結合され得る。カッター286がインサータおよび椎骨に対して適切な配向になるように、ドライブシャフトは柔軟性があるか、または継目を有してよい。カッター286は器具ガイド260のガイドピース264の開口部内に挿入され得る。ハンドル290が回転することによって、カッター286が椎骨を除去し、かつ椎骨内に溝を形成することが可能となり得る。止め具292がガイドピース264と接触することによって、椎骨内へのカッター286の挿入深さが制限され得る。ボディ288に沿った留め具292の位置は調整可能であってよい。いくつかの実施形態では、椎骨内へのカッター286の挿入深さは、蛍光X線画像法を用いて溝の形成中に監視されてよい。
【0107】
ある実施形態では、椎骨間に椎間腔を形成する間に試用スペーサが用いられてよい。適切な大きさの椎間腔が椎骨間に形成れたことを決定するために、試用スペーサが用いられてよい。試用スペーサは試用エンドプレートおよび/または係合プレートの寸法も決定し得る。図41は試用スペーサ294の実施形態を示している。試用スペーサ294の遠位端は、係合プレートおよび/または試用エンドプレートの寸法(例えば、小、中、および大)と類似してよい。
【0108】
いくつかのインプラント挿入手技の間、患者に挿入されるインプラントの適切な高さおよび前弯角を決定するために、試用エンドプレートが使用されてよい。試用エンドプレートの上面は試用エンドプレートが椎骨間で容易に摺動するように、滑らかかつ/または研磨されてよい。図42は試用エンドプレート296の底面図を示している。試用エンドプレート296はインサータのアーム部の延長部と係合する溝穴114を有してよい。溝穴114は刻み目118を有してよい。刻み目118はインサータの戻り止めと係合して、試用エンドプレート296にインサータを確実に結合し得る。
【0109】
試用エンドプレート296は厚さが変動してよい。例えば、溝穴114近傍の端部における試用エンドプレート296の厚さは、この溝穴と反対側の端部における試用エンドプレート296の厚さを超えてよい。試用エンドプレート296は約2°〜約22°(例えば、約3°、約6°、約9°、約12°)の範囲の傾斜を有してよい。上部試用エンドプレートおよび下部試用エンドプレートの組み合わされた角度によって、試用エンドプレートに対応するインプラントの係合プレートによって確立されるであろう前弯角が決定され得る。例えば、傾斜が3°の2つの試用エンドプレートが使用される場合、椎骨間に形成されるインプラントは、各々3°の傾斜を有する2つの係合プレートを用いて形成され得る。この形成されたインプラントは椎骨間に6°の前弯角を確立し得る。上部試用エンドプレートが3°の傾斜を有し、下部試用プレートが6°の傾斜を有する場合、椎骨間に形成されるインプラントは3°の傾斜を有する上部係合プレートおよび6°の傾斜を有する下部係合プレートを用いて形成されてよい。この形成されたインプラントは椎骨間に9°の前弯角を確立し得る。
【0110】
インプラント挿入手技用の器具キットは、器具キットに提供された各係合プレートに高さおよび傾斜の点で対応している個々の試用エンドプレートを含んでよい。同じ寸法および傾斜の3つ以上の係合プレートが器具セットに提供される場合、その寸法および傾斜の係合プレートに対応する試用エンドプレートの2つのみが器具セット内で必要となる。各係合プレートに対応する試用エンドプレートを有していることによって、外科医は椎骨間で利用可能な係合プレートに対応する試用エンドプレートの挿入が可能となり得る。外科医は器具キット内に提供された試用エンドプレートを用いて形成され得るインプラントの組合せの各々を試験することができる。外科医は適した試用エンドプレートおよび伸延器を選択することによって、椎間腔に形成されるべきインプラントの正確なモデルを試験することができる。
【0111】
試用エンドプレートがインサータに結合され、かつ椎間腔内に位置決めされるとき、試用エンドプレートを分離するために伸延器がインサータ内に位置決めされてよい。伸延器が容易にインサータ内に摺動する場合、より大きな伸延器が試用され得る。伸延器をインサータ内に挿入できない場合、より小さな伸延器が試用され得る。インサータ内に伸延器を挿入するために何らかの力が必要となる場合、その伸延器が適した伸延器となり得る。伸延器が適している場合、約1.5mm〜約2.0mmだけ椎骨が過度に伸延され得る。椎骨が約1.5mm〜約2.0mmだけ過度に伸延されることによって、一旦椎間板インプラントが挿入されると椎間板インプラントの構成部品の相対運動を可能にするのに十分に、椎骨に近接する靭帯が延ばされ得る。試用エンドプレートが椎骨間に所望の前弯および高さを確立したかどうかを決定するために、蛍光X線像が取得されてよい。前弯または高さが正しくない場合、他の試用エンドプレートおよび/または伸延器がインサータに結合されてよい。インサータは試用エンドプレートおよび伸延器が椎骨間に所望の高さおよび前弯角を確立するまで、椎骨間で位置決めされ得る。その試用エンドプレートおよび伸延器を下方に滑り込ませる部材に対応する係合プレートは、前記器具キットから入手され得る。
【0112】
図43は部材用シーターの斜視図を示している。部材用シーター298はインプラントの部材を係合プレート間に設置するのを容易にし得る。部材用シーター298はアーム部300、300’およびハンドル302、302’を含んでよい。アーム部300、300’はハンドル302、302’上に枢軸的に結合されてよい。アーム部300’は部材104(図1に示す)の凸部128の上側に位置決めされてよい。アーム部300’は係合プレート102(図1に示す)の溝穴114と係合し得る。ハンドル302’方向にハンドル302を押すことによって、アーム部300’はアーム部300に向かって動くことが可能となり得る。アーム部300に向かってアーム部300’が動くことによって、部材104を係合プレート102の凹部116内に確実に位置決めすることが可能となり得る。部材104を設置後、部材用シーター298は椎間腔から除去され得る。
【0113】
係合プレート、部材および/または試用エンドプレートは、金属、合金、セラミック、高分子、および/または複合物を含むが、これに限定しない1つまたは複数の生体適合性材料から製造されてよい。例えば、合金にはコバルト−クロム−モリブデン(CoCrMo)を含んでよい。セラミックにはアルミナ、ジルコニア、または複合物を含んでよいが、これに限定するものではない。インプラント構成部品に用いられる高分子には超高分子量ポリエチレン、ポリフルオロカーボンおよび/またはポリエステルエステルケトン(PEEK)を含んでよい。いくつかの実施形態では、椎間板インプラントのすべての構成部品は金属から形成されてよい。ある実施形態では、係合プレートおよび/または部材はチタン、チタン合金、スチールおよび/またはスチール合金から形成されてよい。さらに、材料は耐久性およびヒト骨などの生物組織が材料と癒合する容易性などの特性に基づいて選択されてよい。例えば、チタンは長期間磨耗しにくいが、骨と癒合しやすい。コバルト−クロム−モリブデン合金はよく磨耗するだけでなく、生物組織と癒合し得ない。
【0114】
いくつかの実施形態では、係合プレートおよび/または部材は生体吸収性材料であってよいか、または生体吸収性材料を含んでよい。骨と接触する係合プレートおよび/または部材の表面はインプラント構成部品の骨との骨統合を促進するためにコーティングを含んでよい。このコーティングは骨形成タンパク質、ヒドロキシアパタイトおよび/またはチタンプラズマスプレーであってよいが、これに限定するものではない。
【0115】
ある実施形態では、時間経過によるインプラントの磨耗を低減させるために、インプラントの係合プレート、部材および/または試用エンドプレートは種々の材料から形成されてよい。あるインプラントの実施形態は、チタンまたはコバルト−クロム−モリブデンから形成された係合プレートおよび(アルミナなどの)セラミックまたは(超高分子量ポリエチレンなどの)高分子から形成された1つまたは複数の部材を含んでよい。材料選択は種々の因子によって影響を及ぼされ得る。例えば、多くの高分子はある厚さ未満で製造されると「流れ」易くなり、これによって変形するか、あるいはインプラントの故障につながる可能性がある。しかし、セラミックは変形し易くはないが、圧力で粉砕される可能性がある。
【0116】
ある実施形態では、インプラントおよび/または試用エンドプレートは、予め組み立てられかつ必要となるまで無菌パッケージに保存された状態で配送かつ/または販売され得る。いくつかのインプラントの実施形態では、放射線標識がX線に対して不可視であるインプラントの構成部品内に設置されてよい。この放射線標識によって、X線または他の画像法を用いて構成部品の位置を決定することが可能となり得る。インプラントの全構成部品の位置を決定する能力によって、インプラントの位置を決定するために外科的処置を行う必要がなくなり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、係合プレート、部材および/または試用エンドプレートを形成するのに用いられる材料の摩擦係数を調節する工程が行われてよい。インプラント構成部品は、摩擦係数を低減させ、かつ係合プレートおよび/または部材上の磨耗の量を減少させるために、機械加工、形成かつ/または化学処理される。いくつかのインプラントの実施形態では、インサート、コーティング、ライナー、または覆いが、係合プレートおよび/または部材の表面全体または一部に施される。インサート、コーティング、ライナー、または覆いは、インプラントの別の構成部品に対する係合プレートおよび/または他の部材の摩擦特性または他の物理的特性を変化させてよい。いくつかの実施形態では、インプラント構成部品間の接触により生じるノイズを低減させるために、部材の表面および/または係合プレートの内面は表面コーティングを含んでよい。
【0118】
インプラントは前方、側方および/または後方進入法を用いて椎骨に隣接する椎間腔内に位置決めされ得る。外科医は椎間板摘出術を施行して椎間板の一部または全部を除去してよい。インプラント用の椎間腔を用意するために、キューレット、骨鉗子、および骨削り器などの器具が使用されてよい。インプラントの係合プレートと接触するであろう椎骨表面から軟骨または他の組織が除去されてよい。椎骨表面は椎骨表面に接して設置される係合プレートの外面に実質的に一致するように成形されてよい。
【0119】
インプラント挿入手技では、形成された椎間腔が十分に大きいかどうかを決定するためおよび/または椎間腔内に挿入されるインプラントの寸法(例えば、小、中、または大)を決定するために、試用スペーサが椎間腔内に挿入されてよい。適切な幅および深さの椎間腔が形成されたかどうかを決定するために試用スペーサを椎骨間に位置決めした状態で、放射線像が椎間板摘出術中に取得されてよい。1つまたは複数のマークが椎骨の端部の中心近傍の椎骨の表面に記録または焼き付けられてよい。このマークまたは複数のマークは、インプラント挿入中のインプラントおよび/または器具の適した側方位置を決定するための基準として使用され得る。
【0120】
必要があれば、器具ガイドは椎骨に接して位置決めされてよい。椎骨内に凹部を形成するためにリーマーまたはチゼルが器具ガイドと共に使用されてよい。凹部は椎骨間に挿入されるインプラントの係合プレートから延びる結合用凸部の形状と一致する形状を有してよい。
【0121】
試用エンドプレートはインサータに結合され得る。試用エンドプレートは椎骨間に位置決めされ得る。試用エンドプレートを分離するために、所定の高さの伸延器がインサータ内に位置決めされてよい。いくつかの挿入手技中、インサータ内に伸延器を打ち込むためにマレットまたは他の打撃デバイスが使用されてよい。試用エンドプレートおよび伸延器の組合せが椎骨間に所望の分離高さおよび/または前弯角を確立しない場合、椎骨の所望の分離高さおよび/または前弯アラインメントを確立する組合せが見つかるまで種々の試用エンドプレートおよび種々の伸延器が試験されてよい。椎間腔からの試用エンドプレートの除去が困難な場合、椎間腔からのインサータおよび試用エンドプレートの除去を容易にするためにスラップハンマまたは他の打撃デバイスが使用されてよい。試用エンドプレートおよび伸延器の種々の組合せを用いることによって、外科医は椎間腔に挿入されるインプラント構成部品の正確な前弯角および高さを決定することが可能となり得る。
【0122】
所望の分離高さおよび前弯角を確立する試用エンドプレートに対応する係合プレートは、器具キット内に提供された市販の係合プレートから選択されてよい。選択された係合プレートはインサータのアーム部に結合され得る。係合プレートは椎間腔内に位置決めされ得る。選択された伸延器はインサータ内に位置決めされ得る。いくつかの挿入手技の間、インサータ内に伸延器を打ち込むためにマレットまたは他の打撃デバイスが使用されてよい。インサータ内に伸延器を位置決めすることによって、アーム部に取付けられた係合プレートは所望の分離距離に分離され得る。係合プレートを分離することによって、隣接する椎骨の表面内に係合プレートの結合用凸部を押し込んで、椎骨に係合プレートが固定され得る。
【0123】
伸延器の経路を下方に摺動させるであろう部材は器具セットから入手され得る。部材は伸延器内に位置決めされ、かつ押込器を用いて係合プレート間に導かれ得る。係合プレート間で部材の位置を維持するために押込器がインサータに結合されてよい。部材が係合プレート間に位置決めされた後、係合プレートからアーム部上の延長部を解放するために、インサータのアーム部上の機構が係合され得る。インサータ、伸延器、および押込器が椎間板から除去されてよい。いくつかの挿入手技の間、椎間腔からインサータ、伸延器および/または押込器の除去を容易にするためにスラップハンマが使用されてよい。インプラントが望むように位置決めされることを確実にするために、放射線像が取得されてよい。
【0124】
いくつかの挿入手技の間、インサータが係合プレートから除去された後に、部材用シーターが使用されてよい。部材用シーターは部材の凸部上または係合プレートの溝穴内に位置決めされ得る。係合プレートの凹部内に部材を確実に設置するために、部材用シーターのハンドルが押圧されてよい。凸部および係合プレートからアーム部を分離するために、ハンドルは解放可能であってよい。部材用シーターは椎間腔から除去されてよい。
【0125】
本願明細書の解説を考慮すれば、当業者には本発明の種々の態様のさらなる変形例および代替例が明白となろう。したがって、本願明細書の解説は単なる例示であると理解されるべきであり、当業者に本発明を実施するための一般的様式を教示するためのものである。本願明細書に示しかつ記載した本発明の形態は実施形態の例として解釈されるものと理解されるべきである。要素および材料が本願明細書に図示かつ記載したものに代えられてよく、パーツおよびプロセスは入れ換えられてよく、本発明のある特徴は独立して利用されてよく、これらはすべて本発明のこの説明の利点を得た後で当業者には明白となろう。添付の特許請求の範囲に記載したような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本願明細書に記載の要素に変更がなされてよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図2】係合プレートの一実施形態を示す底面図である。
【図3】係合プレートの一実施形態を示す底面図である。
【図4】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図5】椎間板インプラントの構成部品を示す側面図である。
【図6】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図7】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図8】係合プレートを示す底面図である。
【図9】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図10】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図11】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図12】部材を示す平面図である。
【図13】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図14】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図15】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図16】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図17】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図18】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図19】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図20】椎間板インプラントの一実施形態を示す側面図である。
【図21】椎間板インプラントの一実施形態を示す斜視図である。
【図22】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図23】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図24】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図25】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図26】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図27】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図28】インサータの一実施形態を示す斜視図である。
【図29】係合プレートに結合されたインサータの一実施形態を示す側面図である。
【図30】インサータの一実施形態を示す側面図である。
【図31】インサータに結合されたスラップハンマの一実施形態を示す斜視図である。
【図32】伸延器の一実施形態を示す斜視図である。
【図33】インサータ内に位置決めされた伸延器の一実施形態を示す斜視図である。
【図34】押込器の一実施形態を示す斜視図である。
【図35】インサータに結合された押込器一実施形態を示す側面図である。
【図36】器具ガイドの一実施形態を示す斜視図である。
【図37】インサータに結合された器具ガイドを示す斜視図である。
【図38A】チゼルの一実施形態を示す略図である。
【図38B】チゼルの一実施形態を示す略図である。
【図39】器具ガイドと併用されたチゼルを示す斜視図である。
【図40】器具ガイドと併用されたリーマーを示す斜視図である。
【図41】試用スペーサの複数の実施形態を示す略図である。
【図42】試用エンドプレートの一実施形態を示す底面図である。
【図43】部材用シーターを示す斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に医療用具の分野に関する。本発明のいくつかの実施形態は椎間板インプラントおよび該インプラントを挿入するのに用いられる器具に関する。本発明の他の実施形態は椎間板インプラントを形成する方法および外科的処置の間にインプラントを位置決めする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨は外傷、疾患および/または加齢により生じる変性を受けることがある。変性は骨を不安定にし、周囲の構造体に影響を及ぼし得る。例えば、脊椎が不安定になると、その結果隣接する椎骨間の正常な間隔が変化してしまう。隣接する椎骨間の正常な間隔に変化が生じると、椎体間を通る神経を圧力に晒すことになるかもしれない。神経に加わる圧力は疼痛および/または神経損傷を生じ得る。椎骨間の正常な間隔を維持すれば、椎体間を通る神経に加えられる圧力を低減させることができる。椎体間の正常な間隔を維持し、椎骨の相対運動を阻止するために、椎間板インプラントが用いられ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
椎間腔は2つの椎体間にある椎間板を完全または部分的に除去することによって生み出され得る。脊椎の腰部のための脊椎インプラントが、椎間板摘出術の後から椎間腔内に位置決めされ得る。このインプラントは前方、側方および/または後方進入法を用いて挿入され得る。この脊椎インプラントは癒合デバイスまたは人工ディスクであってよい。従来の後外側脊椎固定術用のシステムおよび方法は、処置部位近傍の軟組織の切開および退縮を必要とすることがある。切開および退縮は軟組織に外傷を生じさせ、また回復時間が長くなるかもしれない。低侵襲的処置およびシステムは回復時間を短縮するだけでなく、安定化させる部位を取り囲んでいる軟組織への外傷を低減させることができる。
【0004】
椎間板インプラントおよび/または椎間板インプラント器具は、Yuanらに付与された米国特許第5,676,701号、Buttner−Janzらに付与された米国特許第5,401,269号、Baumgartnerに付与された米国特許第5,370,697号、Marnayに付与された米国特許第5,314,477号、およびMarnayに付与された国際出願第WO01/19295号に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態では、椎骨の相互に対する正常な運動を可能にしながらヒト脊椎の椎骨を安定させるのに、椎間板インプラントが用いられてよい。人工椎間板インプラントが、罹患しているか、または障害のある椎間板の代わりとなり得る。人工椎間板インプラントは設置が容易で、周囲組織および筋への進入は最小になり得る。椎間板インプラントを使用すれば、設置および使用中に硬膜損傷または神経損傷のリスクが最小になり得る。
【0006】
人工椎間板インプラントは1つまたは複数の係合プレートおよび1つまたは複数の部材を含んでよい。係合プレートは脊椎の周囲椎骨間に納まり、該周囲椎骨と係合し得る。この係合プレートは周囲椎骨間の空間を維持し得る。1つまたは複数の部材は係合プレート間の空間内に位置決めされてよい。係合プレートおよび部材は周囲椎骨(すなわち、脊椎)の軸回転、前後運動および/または側方運動を可能にするように設計されてよい。側方運動には側屈を含んでよい。前後運動には屈曲および/または伸展を含んでよい。いくつかの実施形態では、別の係合プレートに対する1つの係合プレートの可動域が制限され得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、係合プレートは部材の一部分に相補的な凹部を含んでよい。ある実施形態では、係合プレートは溝穴を含んでよい。この溝穴は鳩尾型であってよい。この溝穴は椎骨間に係合プレートを挿入するために用いられる器具の一部分と相補的であってよい。いくつかの実施形態では、溝穴は係合プレートの前−後軸に対してある角度を成して形成されてよい。いくつかの実施形態では、凹部の角度方向は係合プレート内の溝穴の角度に一致してよい。溝穴に角度が付いていることによって、修正した(例えば、角度を付けた)前方進入法を用いて椎間板インプラントを挿入することが可能となる。修正した進入法はL5椎骨の上に血管を退縮させることを容易にする。
【0008】
ある実施形態では、係合プレートは1つまたは複数の結合用凸部を含んでよい。1つまたは複数の結合用凸部は脊椎表面を貫通し得る。いくつかの実施形態では、結合用凸部は脊椎表面に形成された凹部内に位置決めされてよい。一旦椎骨内に位置決めされると、結合用凸部は椎骨に対する係合プレートの動きを阻止し得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、椎間板インプラントは2つの係合プレートおよび1つの部材を含んでよい。この部材は凸部を含んでよい。係合プレートは凸部を含んで部材の表面を補完するように成形されてよい。部材は軸回転、第2の係合プレートに対する第1の係合プレートの側方および/または前後運動を可能にするように係合プレート間に位置決めされてよい。
【0010】
2つの係合プレートおよび1つの部材を備えた椎間板インプラントの実施形態では、この部材は相互に対する運動の独立した3つの成分に耐えることを可能にする。この部材は凸部および凹部を有してよい。この部材の凹部は第1上の凸部を補完して、第1の係合プレートが部材に対して回転できるようにし得る。この部材の凸部は第2の係合プレートの凹部を補完して、第2の係合プレートが部材に対して前後および/または側方運動をできるようにし得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、椎間板インプラントは2つの係合プレートおよび2つの部材を備えてよい。この部材は相互に対する運動の独立した3つの成分に耐えることを可能にする。第1の係合プレートの凸部は第1の部材の凹部を補完して、第1の係合プレートが第2の係合プレートに対して側屈できるようにし得る。第1の部材上の凸部は第2の部材の凹部を補完して、第1の係合プレートが第2の係合プレートに対して軸回転できるようにし得る。第2の部材の凸部は第2の係合プレートの凹部を補完して、係合プレートが相互に対して運動できるようにし得る。
【0012】
2つの係合プレートおよび2つの部材を備えた他の椎間板インプラントの実施形態では、第1の部材は第1の係合プレートに結合されて、第1の係合プレートが第2の係合プレートに対して軸回転できるようにし得る。第1の部材の凸部は第2の部材の凹部を補完して、係合プレートが相互に対して側屈できるようにし得る。第2の部材の凸部は第2の係合プレートの凹部を補完して、係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および/または伸展ができるようにし得る。
【0013】
1つの部材および2つの係合プレートを備えた椎間板インプラントの実施形態では、部材は球形を有してよい。この部材は係合プレートの凹部間に位置決めされてよい。この部材は相互に対して係合プレートが軸回転、前後運動および/または側方運動できるようにし得る。
【0014】
椎間板インプラント挿入処置用の器具セットは、誘導および/または挿入器具を含んでよい。挿入器具は、のみ、リーマー、六角ドライバ、スラップハンマ、インサータ、伸延器、押込器を含んでよいが、これに限定するものではない。器具セットは、試用エンドプレートおよび椎間板インプラント構成部品を含んでよい。試用エンドプレートは種々の寸法および前弯アラインメントの板であってよい。試用エンドプレートは脊椎表面から骨材料を除去するための止め具および/または器具ガイドを含んでよい。伸延器を試用エンドプレートと組み合わせて、椎間板インプラント挿入処置において使用されるインプラント構成部品の寸法、高さ、および前弯アラインメントが決定され得る。インプラント構成部品は、種々の寸法および前弯アラインメントの係合プレートならびに種々の寸法および形状の部材を含んでよいが、これに限定するものではない。
【0015】
2つの椎骨間に係合プレートを位置決めするためにインサータが使用されてよい。係合プレート間に所望の分離距離を確立するために、伸延器が係合プレート間に位置決めされてよい。1つまたは複数の部材が伸延器のボディを通って係合プレート間の空間まで導入されてよい。いくつかの実施形態では、部材は押込器と共に伸延器を通して導かれてよい。この押込器はインサータから伸延器が除去されるときに部材の位置を維持し得る。
【0016】
ある実施形態では、試用エンドプレート、部材、および係合プレートは可塑物、セラミック、高分子、複合物、および金属を含む種々の材料から形成されてよい。材料は耐久性、生体適合性、摩損特性、機械的強度および/または磨耗性状を含むが、これに限定しない因子に基づいて選択されてよい。いくつかの実施形態では、放射線標識が放射線技術には「不可視」である材料と組み合わされてよい。ある実施形態では、部材を形成するために選択される材料の摩擦係数を調整する工程が行われてよい(例えば、表面が研磨されるか、または粗加工されてよい)。他の実施形態では、ある部材が係合プレートおよび/または別の部材と接触することによって生じるノイズを低減させるために、係合プレートおよび/または部材の表面がコーティングされてよい。
【0017】
本発明の利点は、以下の詳細な説明と、添付図面を参照することによって当業者に明白になる。
【0018】
本発明には種々の変形および代替的形態を行う余地があるが、その特定の実施形態を一例として添付図面に示し、ここに詳細に記載する。添付図面は等尺でないことがある。添付図面および詳細な説明は本発明を開示した特定の形態に限定することを意図したものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲によって定められた本発明の精神および範囲内にあるすべての変形物、同等物、および代替物を包含することを理解すべきである。
【0019】
椎間板インプラントは脊椎の一部分を安定させるために用いられてよい。人工椎間板インプラントは自然磨耗、外傷、または疾患から生じる変性のために交換を要する椎間板の全部または一部と代わってよい。人工椎間板は椎骨間の正常な分離距離を修復し、脊椎の正常な運動および柔軟性を可能にし得る。
【0020】
椎間板インプラントはヒト椎骨の正常な限界に関連する範囲で、相互に対して隣接する椎骨の運動を可能にし得る。椎間板インプラントは軸回転、軸圧縮、および側方および/または前後運動を可能にし得る。ヒト脊椎では、軸回転は脊椎の縦軸周囲に約0.1°〜約3°の回転を含み得る。椎骨間の回転の軸は椎間板の繊維軟骨の性質に起因して中心がずれるかもしれない。2つの椎骨間の回転の軸はこの椎骨の中間地点の後方に位置し得る。側方運動は側屈を含み得る。側屈は最大で約0.5°〜約10°の右および/または左への運動を含み得る。前方運動は屈曲および/または伸展を含み得る。屈曲は最大で約0.5°〜約20°の前方運動を含み得る。伸展は最大で約0.5°〜約10°の後方運動を含み得る。
【0021】
いくつかのインプラントの実施形態は椎骨の正常な限界を超えた運動を阻止し得る。可動域を制限すれば、損傷の可能性が低減され得る。椎間板によって分離された椎骨に隣接する組織または構造体は、可動域の一部を制限し得る。例えば、周囲組織および構造体は、椎間板の軸回転を制限することがある。
【0022】
いくつかの実施形態では、脊椎の腰部の1つの椎間板または複数の椎間板を交換するために人工椎間板インプラントが使用されてよい。ある実施形態では、人工椎間板インプラントが脊椎の頚部または胸部において使用されてよい。いくつかの実施形態では、脊椎を安定させるために人工椎間板インプラントが他のシステムまたはデバイスと併用されてよい。他の実施形態では、椎間板インプラントは単独のシステムとして使用されてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は2つの椎骨間に挿入されてよい椎間板インプラントの一実施形態の構成部品の斜視図である。椎間板インプラント100は係合プレート102、部材104、および係合プレート106を含んでよい。インプラントを患者に植え込む際、インプラントの各係合プレートは、係合プレートが接する脊椎表面の少なくとも70%を覆い得る。部材104は係合プレート106から係合プレート102を分離し得る。ある実施形態では、部材104は脊椎の正常な圧縮から生じる圧力によって少なくとも部分的に係合プレート102と106との間で保持され得る。
【0024】
係合プレート102、106は隣接する椎骨に接触して脊椎に椎間板インプラントを固定し得る。係合プレート102、106の外表面110、110’上に位置決めされた結合用凸部108は脊椎表面の凹部内に位置決めされ得る。102、106の外表面110、110’上に位置決めされた結合用凸部108’は脊椎表面を貫通して椎骨に対する係合プレートの動きを阻止し得る。ある実施形態では、係合プレートは結合用凸部108、108’以外の、またはこれに加えて他の方法を用いて椎骨に結合されてよい。例えば、椎骨に係合プレートを取付けるために留め具が使用されてよい。留め具にはネジ、釘、びょう、トロカール、ピン、および羽枝を含んでよいが、これに限定するものではない。
【0025】
係合プレート102の内面112は溝穴114および凹部116を含んでよい。溝穴114の断面形状は正方形、長方形、台形、および不規則な形であってよいが、これに限定するものではない。係合プレート106の内面112’は椎間板インプラント100が組み立てられるときに係合プレート102の溝穴114に適合する溝穴114’を含んでよい。溝穴114、114’は、ほぞ穴118を含んでよい。ほぞ穴118は外科的処置の間にインプラント100の挿入を容易にするために使用される器具と係合し得る。いくつかの実施形態では、溝穴114、114’は鳩尾型であってよい。溝穴114、114’はインプラント100の全体寸法に高さおよび/または厚さを加えることなく挿入器具の使用を可能にし得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、係合プレートの溝穴は係合プレートの前−後軸に対して平行または実質的に平行であってよい。図2は溝穴114’が前−後軸119に平行である係合プレート106の一実施形態を示している。いくつかの実施形態では、溝穴は係合プレートの前−後軸に対して鋭角であってよい。図3は溝穴114’が前−後軸119に対して角度を成している係合プレート106の一実施形態を示している。溝穴114、114’は前−後軸119に対して約15°〜約30°の範囲の角度で形成されてよい。いくつかの実施形態では、溝穴114、114’は前−後軸119に対して約25°の角度で形成されてよい。溝穴114、114’が角度を成していることによって、修正した(例えば、角度を付けた)前方進入法を用いてインプラント100の挿入が可能となるかもしれない。いくつかの実施形態では、凹部116の角度方向は溝穴114、114’の角度に対応してよい。修正した前方進入法によってL5椎骨の上に血管を退縮させることが可能となり得る。いくつかの実施形態では、前−後軸119に対して溝穴114、114’が角度を成している係合プレート102、106は、中心結合用凸部(すなわち、キール)を含まないかもしれない。
【0027】
係合プレート102の凹部116の断面形状は、円形、楕円形、正方形、長方形、または不規則な形であってよいが、これに限定するものではない。凹部116の側面は先細形状であってよい。凹部116の後ろ側120は凹部116の前側122の高さの少なくとも2倍であってよい。前側122と後ろ側120との間に高さの差があることによって、椎間板インプラント術において係合プレート102と106との間に部材104を位置決めする間に必要となる椎骨の退縮の行き過ぎが最小化され得る。いくつかの実施形態では、凹部116の底部は、残っている体液および/または骨物質を凹部から除去できるように、1つの開口部または複数の開口部を有してよい。
【0028】
部材104のベース124は係合プレート102の凹部内に収まってよい。ベース124は凹部116の形状に実質的に一致してよい。いくつかの実施形態では、部材104は先細形状の隆起であってよい。凹部116内に収まるベース124の幅は、部材104が該凹部内で並進できるように該凹部の幅より僅かに小さくてよい。凹部116は係合プレート102と106との間で部材104の位置を維持し得る。
【0029】
部材104は中心部分126を含んでよい。部材104の中心部分126の高さはインプラント100の高さに厚みを加え得る。中心部分126の高さは約5mm〜約20mmの範囲にあってよい。ある実施形態では、中心部分126は約9mmの高さを有してよい。いくつかの実施形態では、中心部分126は約11mmの高さを有してよい。他の実施形態では、中心部分126は約13mmの高さを有してよい。
【0030】
中心部分126は凸部128を含んでよい。凸部128は中心部分126の一体部分であってよい。いくつかの実施形態では、凸部128は中心部分126に接着剤で取付け、圧入、かつ/または溶接されてよい。凸部128は中心部分126と同じ高さであってよい。凸部128は器具と係合して係合プレート102と106との間への部材104の挿入を容易にし得る。
【0031】
部材104は凸部130を含んでよい。凸部130は楕円部分、卵形部分、または球形部分であってよいが、これに限定するものではない。係合プレート106の内面112’は凹部を含み得る。図2は図1に示した係合プレート105の底面図を示す。凹部132は部材104の凸部130を補完し得る。いくつかの実施形態では、凸部130は凹部132の深さを超えてよい。本願明細書で用いられるように、「補完する」または「相補的」とは、組み合わさって構成部品の滑らかな相対運動を可能にするインプラント構成部品の形状を意味する。
【0032】
図3は溝穴114’が前−後軸119に対して角度を成している係合プレート106の一実施形態の内面112’底面図を示している。溝穴114’は前−後軸119に対して約15°〜約30°の範囲の角度で形成されてよい。いくつかの実施形態では、溝穴114’は前−後軸119に対して約25°の角度で形成されてよい。ある実施形態では、凹部132の配向は溝穴114’の角度と一致するような角度であってよい。溝穴114’が角度を成していることによって、修正した(例えば、角度を付けた)前方進入法を用いてインプラント100の挿入が可能となり得る。
【0033】
図4は組立て後の図1に示したインプラントの断面図である。部材104の凸部130は係合プレート106の凹部132を補完し得る。凸部130の形状によって係合プレート106は係合プレート102に対して前後方向平面および/または左右方向平面内で動く(例えば、揺れ動く)ことが可能になり得る。係合プレート106が矢印134で示した前後方向平面内で係合プレート102に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および伸展が可能となり得る。係合プレート106が図1の矢印136で示した左右方向平面内で係合プレート102に対して動くことによって、係合プレート102、206に隣接する椎骨の側屈が可能となり得る。係合プレート106は矢印140で示した平面内において回転軸138の軸周囲に係合プレート102に対して回転し得る。いくつかの実施形態では、係合プレート102に対する係合プレート106の軸回転は患者の組織、骨、または他の物質によって制限され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、凸部130の高さおよび凹部132の深さは係合プレート102に対する係合プレート106の側方運動を制限するように選択されてよい。例えば、凸部130の高さによって係合プレート106は、係合プレート106が係合プレート102方向に揺動するときに係合プレート102に接触することができる。係合プレート102、106の内面112、112’が接触することによって、係合プレート102に対して係合プレート106の前後方向運動が制限され得る。係合プレート102、106の内面112、112’が接触することによって、隣接する椎骨の屈曲および/または伸展が制限され得る。凸部130の高さによって、インプラントによって可能になる最大の屈曲および/または伸展が決定され得る。いくつかの実施形態では、屈曲の最大量約0.5°〜約20°の範囲に制限されてよい。いくつかの実施形態では、インプラントによって可能となる最大の屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラントによって可能となる最大の屈曲は約15°であってよい。いくつかの実施形態では、伸展の最大量は約0.5°〜約12°の範囲に制限されてよい。いくつかの実施形態では、インプラントによって可能となる最大伸展は約5°であってよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、インプラントの構成部品は側屈の最大量を制限するために接触する表面を含んでよい。いくつかの実施形態では、患者が右または左に同じ量だけ側屈できるように、インプラントは等しい量の側屈を可能にし得る。いくつかの実施形態では、左への側屈の最大量は患者の特定の要求に適合するために、右への側屈の最大量とは異なるものであってよい。いくつかの実施形態では、インプラントは側屈の最大量を±0.5°〜約±15°内になるように設計されてよい。いくつかの実施形態では、側屈の最大量は約±10°であってよい。いくつかの実施形態では、インプラントによって可能となる側屈の最大量は約±5°であってよい。
【0036】
別の実施形態では、部材の凹部が係合プレートの凸部を補完し得る。図5に示したように、係合プレート106の凸部142は部材104の凹部144を補完してインプラントを形成し得る。係合プレート106と部材104との間の広い接触面積が、有利にはインプラントに加えられる圧縮荷重を比較的広い面積にわたって分散し得る。
【0037】
図6はインプラントの一実施形態の構成部品の斜視図を示している。インプラント100はインプラントに隣接する椎骨の全範囲の生理的運動を可能にする。係合プレート102の内面112は少なくとも1つの凸部を含んでよい。凸部146は係合プレート102に結合されてよい。いくつかの実施形態では、凸部146は係合プレート102の一体部分であってよい。凸部146は係合プレート102が部材104に対して自由に回転できるようにする形状を有してよい。凸部146のこの形状は先細形状、円形、または正方形であってよいが、これに限定するものではない。部材104は凹部148(図7には示さず)を含んでよい。凹部148は凸部146を補完してよい。凹部148は係合プレート102が部材104に対して動けるように凸部146よりも僅かに広い断面積を有してよい。凸部146に対する凹部148の寸法および/または形状によって、係合プレート102に対する部材104の回転範囲が決定され得る。
【0038】
図7に示したように、凹部148および凸部146は回転軸138の軸を定め得る。係合プレート102と部材104との間の摩擦は、部材に対して係合プレートが回転できるように十分低いものであってよい。係合プレート102は矢印140で示したように部材104に対して回転し得る。部材104に対する係合プレート102の回転は脊椎の軸回転を模倣したものであってよい。部材104の凹部148と係合プレート102の凸部146との間の広い接触面積によって、インプラント100に加えられる圧縮荷重を比較的広い表面積にわたって分散し得る。
【0039】
部材104は凸部150を含んでよい。係合プレート106の内面112’は凹部152を含んでよい。係合プレート106の凹部152は部材104の凸部150を補完し得る。凸部150の形状によって、係合プレート106は部材104に対して動く(例えば、揺れ動く)ことが可能となり得る。係合プレート106が部材104に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の側方運動(例えば、側屈)が可能となり得る。別の実施形態では、部材104は係合プレート106の凸部分に相補的な凹部を含んでよい。
【0040】
凸部150は前後方向平面および/または左右方向平面において弓形断面形状を有してよい。前後方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106は係合プレート102に対して図7の矢印134で示した方向に揺動し得る。係合プレート106が前後方向平面において係合プレート102に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および伸展が可能となる。左右方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106は係合プレート102に対して図6の矢印136で示した方向に動き得る。係合プレート106が左右平面方向において係合プレート102に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の側屈が可能となる。
【0041】
図8は図7に示した係合プレート106の内面112’の底面図を示している。係合プレート106は凹部152を含んでよい。凹部152の形状は部材104の凸部150を補完し得る。凹部152は前後方向平面および/または左右方向平面が弓形断面形状である凹形であってよい。凹部152の形状によって係合プレート106は前後方向平面および/または左右方向平面において部材104に対して動き得る。係合プレート106が前後方向平面および/または左右方向平面において部材104に対して動くことによって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲、伸展および/または側屈が可能となり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、図7に示したように、係合プレート106はリミッター154を備えてよい。リミッター154は部材104の表面156に接触するように位置決めされてよい。リミッター154と表面156との接触によって、係合プレート106の係合プレート102に対する後方運動が制限され得る。したがって、リミッター154と表面156との接触によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の伸展が制限され得る。係合プレート106の内面112’に対するリミッター154の高さおよび/または係合プレート102の内面112に対する表面156の高さは、インプラントに隣接する椎骨の伸展を制限するように制限されてよい。インプラント100によって可能となる最大伸展は、約3°〜約12°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約8°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約5°であってよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、係合プレート106の内面112’は部材104の表面156に接触し得る。表面156との内面112’の接触によって、係合プレート106の係合プレート102に対する前方運動が制限され得る。部材104の表面156との係合プレート106の内面112’の接触によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲が制限され得る。係合プレート102の内面112に対する表面156の高さは、係合プレート102、106に隣接する椎骨屈曲を制限するように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大屈曲は、約5°〜約20°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0044】
図9はインプラントの一実施形態の構成部品の斜視図を示している。インプラント100によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の軸回転が制限され得る。係合プレート102は凹部158を含んでよい。凹部158の端部は円弧状であってよい。この円弧は共通の中心点を共有してよい。部材104のベース124は凹部158内に収まってよい。ベース124の表面は凹部158の円弧状表面に実質的に一致し得る。ベース124の幅は部材104が凹部の端部によって形成された曲線に沿って凹部158内で並進できるように、凹部158の幅未満であってよい。
【0045】
図10はインプラント組立て後の図9に示したインプラントの断面図を示している。部材104のベース124は係合プレート102の凹部158を補完し得る。回転軸138の軸は係合プレート102、106の重心に、あるいは該重心近傍にあってよいか、または係合プレートから外れていてもよい。係合プレート102が係合プレート106に対して回転することによって、インプラント100に近接する椎骨の回転が可能となり得る。
【0046】
凹部158の形状によって、係合プレート102は矢印140に示した平面において係合プレート106に対して軸方向に回転し得る。ベース124が凹部158内で動くことによって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の軸回転が可能になり得る。インプラント100によって可能になる最大軸回転は、約±0.1°〜約±6°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能になる最大軸回転は約±3°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能になる最大軸回転は約±1°であってよい。
【0047】
係合プレート106は凹部152を含んでよい。凹部152は部材104の凸部150を補完してよい。別の実施形態では、部材104は係合プレート106の凸部に相補的な凹部を含んでよい。凸部150は前後方向平面および/または左右方向平面において弓形断面形状を有してよい。前後方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106が矢印134で示した方向に部材104に対して動く(例えば、揺動する)ことが可能となり得る。係合プレート106が前後方向平面において部材104に対して動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および/または伸展が可能となり得る。左右方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106が図9に矢印136で示した方向に部材104に対して動く(例えば、揺動する)ことが可能となり得る。左右方向平面において部材104に対して係合プレート106が動くことによって、係合プレートに隣接する椎骨の側屈が可能になり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、係合プレート106(図10に示す)の内面112’が部材104の表面156に接触し得る。内面112’の表面156との接触によって、前後方向平面における係合プレート106の係合プレート102に対する動きが制限され得る。内面112’の表面156との接触によって、脊椎の屈曲が制限され得る。ある実施形態では、内面112に対する表面156の高さは脊椎の屈曲を制限するように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大屈曲は、約5°〜約20°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、係合プレート102に対する係合プレート106の後方運動が制限され得る。係合プレート106はリミッター154を含んでよい。使用中、リミッター154は接触面156に接触して係合プレート102に対する係合プレート106の後方運動を制限し得る。リミッター154の表面156との接触によって、脊椎の伸展が制限され得る。内面112’に対するリミッター154の高さおよび/または内面112に対する接触面156の高さは、脊椎の伸展を制限するように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大伸展は、約3°〜約12°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約8°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約5°であってよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、係合プレート102の内面112は凸部を有してよい。図11に示したインプラント100の係合プレート102は凸部160を含んでいる。凸部160は前後方向平面および/または左右方向平面において弓形断面形状を有してよい。図12に示すように、部材104は凹部162を含んでよい。凹部162の端部は弓形でよい。該弓形は同じ中心点を共有してよい。凸部160は、部材104の凹部162に収まってよい。係合プレート102の凸部160は凹部162を補完し得る。凸部160の幅は凹部162の幅未満であってよい。係合プレート102は凹部の端部によって定められた曲線に沿って凹部162内で並進し得る。
【0051】
図13はインプラント組立て後の図11に示したインプラントの断面図を示している。部材104の凹部162は係合プレート102の凸部160を補完し得る。凸部160の形状によって回転軸138の軸周囲で、係合プレート102、106の相対運動が矢印140で示した平面において可能となる。回転軸138の軸はインプラント100重心、または該重心近傍にあってよいか、あるいは該重心から外れていてよい。
【0052】
インプラント100によって可能となる最大軸回転は、約±0.1°〜約±6°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大軸回転は約±3°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大軸回転は約±1°であってよい。係合プレート106に対する係合プレート102の回転は凹部162の深さに対する凸部160の高さによって制限され得る。いくつかの実施形態では、係合プレート106に対する係合プレート102の回転は凸部160の曲率および/または凹部162の曲率によって制限され得る。
【0053】
係合プレート106の内面112’は凹部152を含んでよい。凹部152の形状は部材104の凸部150と相補的であってよい。凸部150は凹部152を補完し得る。凸部150によって、係合プレート106は部材104に対して動く(例えば、揺動する)ことが可能となり得る。係合プレート106が部材104に対して動くことによって、脊椎の側方運動が可能になり得る。いくつかの実施形態では、部材104は係合プレート106の凸部と相補的な凹部を含んでよい。
【0054】
凸部150は前後方向平面および/または左右方向平面において弓形断面形状を有してよい。前後方向平面における凸部150の弓形形状によって、係合プレート106は矢印134で示した方向に部材104に対して動くことが可能となり得る。係合プレート106が前後方向平面において係合プレート102に対して動くことによって、脊椎の屈曲および/または伸展が可能となり得る。左右方向平面の凸部150の弓形形状によって、係合プレート106は図11に示した矢印136で示した方向に部材104に対して動くことが可能となり得る。係合プレート106が左右平面において部材104に対して動くことによって、脊椎の側屈が可能となり得る。
【0055】
係合プレート106の内面112’は部材104の接触面156と接触し得る。内面112’の表面156との接触によって、係合プレート102に対する係合プレート106前方運動が制限され得る。したがって、内面112’の表面156との接触によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲が制限され得る。部材104の端部の厚さは、インプラント100によって可能となる屈曲を制限し得る。インプラント100によって可能となる最大屈曲は、約5°〜約20°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、椎間板インプラント100は図14および16に示したような2つの係合プレートおよび2つの部材を含んでよい。図15および17はそれぞれ、図14および16に示したインプラント100の断面図である。インプラント100の係合プレート102は凸部164を有してよい。凸部164は少なくとも1つの軸に沿って弓形断面形状を有してよい。凸部164の1つの軸に沿った弓形断面形状は、係合プレート102と部材104との間の接触の面積を増大させ得る。部材104は凹部166を含んでよい。凹部166は凸部164を補完し得る。凸部164の形状によって、係合プレート102に対する部材104の前後方向の並進が可能となり得る。係合プレート102に対する部材104の並進によって、脊椎安定化処置の間にインプラント100を位置決めすることが可能となり得る。
【0057】
凸部164近傍の係合プレート102の厚さは、内面112、112”が係合プレートの外面に対して傾斜しているように端部168、168’近傍の係合プレート102の厚さを超えてよい。いくつかの実施形態では、内面112の傾斜は内面112”の傾斜とは異なっていてよい。ある実施形態では、凹部166の近傍の部材104の厚さは、表面172、172’が表面156に対して傾斜になっているように端部170、170’における部材の厚さを超えてよい。
【0058】
内面112、112”および表面172、172’は、左右方向平面において部材104に対して係合プレート102の運動(例えば、揺動)が可能になるように傾斜になってよい。部材104が矢印136で示した方向へ動くことによって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の側屈が可能となり得る。内面112、112”および表面172、172’は、左右方向平面における脊椎の側方運動が制限されるように傾斜になってよい。いくつかの実施形態では、表面156に対する表面172の傾斜は、表面156に対する表面172’の傾斜とは異なっていてよい。いくつかの実施形態では、表面172、172’の傾斜は内面112、112”の傾斜とは符号が反対であってよい。係合プレート102が部材104に対して動くことによって、内面112、112”が接触面172、172’と接触することが可能となり得る。内面112、112”および表面172、172’が接触することによって、インプラント100に加えられる圧縮荷重は比較的広い表面積にわたって分散され得る。
【0059】
部材104は凸部146を含んでよい。凸部146は部材104に結合され得る。いくつかの実施形態では、凸部146は部材104の一体部分であってよい。凸部146の形状は、先細形状、円形、または正方形であってよいが、これに限定するものではない。部材174は図15および17に示したような凹部148を含んでよい。凹部148は凸部146を補完し得る。凹部148は、部材104、174の相対運動が可能となるように、凸部146よりも僅かに広い断面積を有してよい。いくつかの実施形態では、部材174は矢印140で示した回転軸138の軸周囲で部材104に対して回転してよい。図15に示したように、回転軸138の軸はインプラント100の中心近傍にあってよい。いくつかの実施形態では、回転軸138の軸は図17に示したように、より中心からずれて位置してよい。部材104に対する部材174の回転域は、凸部146の寸法および/形状に対する凹部148の寸法および/または形状によって制限され得る。
【0060】
部材174の表面176は凸部146が凹部148内に収まるときに部材104の表面156に接触し得る。部材104と部材174との間の比較的広い接触面積が、インプラントに隣接する椎骨の回転を可能にしながらインプラント100に加えられる有効荷重を分散し得る。例えば、凸部146(図14に示す)は凸部146と凹部148との間の接触面積を増大させ得る平面を有している。部材104と部材174との間の摩擦を低減させることによって、相互に対する部材の滑らかな回転が可能になり得る。
【0061】
部材174は凸部178を有してよい。凸部178は前後方向平面において弓形断面形状を有してよい。係合プレート106は凹部180(図15および図17に示す)を含んでよい。凹部180は前後方向平面において弓形断面形状を有する凹状であってよい。凹部180は部材174の凸部178を補完し得る。いくつかの実施形態では、凹部180は、係合プレート106が部材174に対して動き得るように凸部178よりも僅かに広い断面積を有してよい。係合プレート106が部材174に対して動くことによって、図15および17の矢印134で示した平面において係合プレートに隣接する椎骨の屈曲および/または伸展が可能となり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、相互に対するインプラント100の構成部品の前後方向および/または左右方向への運動は制限され得る。図14および15に示したように、係合プレート106はリミッター154を備えてよい。リミッター154は係合プレート106の内面112’から延びる凸部であってよい。一実施形態では、リミッター154は係合プレート106のある側に沿って延在してよい。リミッター154は係合プレート106が係合プレート102に向かって後方に揺動するときに、部材174の表面182に接触するように位置決めされてよい。リミッター154の長さを長くすることによって、リミッター154と部材174との間の接触の面積が増大されてよい。リミッター154と部材174との間の接触の面積を増大させることによって、インプラント100上の圧縮荷重が比較的広い面積にわたって分散され得る。比較的広い面積にわたって荷重を分散させることによって、インプラント100の構成部品間の応力が低減され得る。
【0063】
リミッター154の表面182との接触によって、部材174に対する係合プレート106の動きが制限され得る。内面112’に対するリミッター154の高さおよび/または部材174の表面176と182との間の距離は、部材174に対する係合プレート106の動きを制限するように選択されてよい。ある実施形態では、部材174の表面182は表面182とリミッター154との間の接触の面積を増大させるために、表面176に対して傾斜してよい。表面182は係合プレート106と部材174との間の可動域を増大させるために傾斜であってよい。いくつかの実施形態では、表面182の傾斜によって部材174に対する係合プレート106の動きが制限され得る。ある実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は、約3°〜約12°の範囲であってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約8°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約5°であってよい。いくつかのインプラントの実施形態は椎間板インプラントの運動の別の成分を制限するように設計されたリミッターを備えてよい。他のインプラントの実施形態は椎間板インプラントの運動の他の成分を制限するように設計された1つまたは複数の付加的なリミッターを備えてよい。
【0064】
ある実施形態では、係合プレート106の内面112’は部材174の接触面182と接触し得る。内面112’の表面182との接触によって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲が制限され得る。部材174の表面176と182との間の距離は、係合プレート102、106に隣接する椎骨間の屈曲が制限されるように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大屈曲は、約5°〜約20°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0065】
ある実施形態では、インプラント100の構成部品は相互に結合され得る。インプラント100の構成部品を結合することによって、外科的処置の前にインプラントが部分的に組み立てられ得る。インプラント100の構成部品のいくつかは、脊椎の通常の圧縮から生じる圧迫によって、使用中に少なくとも部分的に結合され得る。
【0066】
図18は係合プレート102、部材104および174、および係合プレート106を備えたインプラント100の構成部品の斜視図を示している。図19はインプラント組立て後の図18に示したインプラントの断面図を示している。図18および19に示したように、係合プレート102は凸部146および開口部184を含んでよい。凸部146は係合プレート102に結合され得る。いくつかの実施形態では、凸部146は係合プレート102の一体部分であってよい。凸部146の形状は、円形、正方形、長方形、または不規則な形であってよいが、これに限定するものではない。凸部146は部材104内の凹部148(図19に示す)を補完し得る。ある実施形態では、凹部148は係合プレート102が部材104に対して動き得るように、凸部146よりも僅かに広い断面積を有してよい。いくつかの実施形態では、凹部148は部材104に対する係合プレート102の回転を阻止するために、凸部146の断面積と実質的に等しい断面積を有してよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、開口部184は係合プレート102を通って延在してよい。他の実施形態では、開口部184は係合プレート102の所定の深さまで延びてよい。開口部184はカプラ186などの結合デバイスを収容するように設計されて(例えば、ねじ切りされて)よい。カプラ186はねじ、ボルト、またはピンチクランプであってよいが、これに限定するものではない。カプラ186は部材104を係合プレート102に結合し得る。使用中、カプラ186は部材104の少なくとも一部分を通って係合プレート102の開口部184内に延びてよい。カプラ186の頭部は部材104の開口部188内に埋め込まれてよい。カプラ186によって係合プレート102が部材104に対して動くことが可能となり得る。いくつかの実施形態では、係合プレート102は、図19の矢印140で示した平面において部材104に対して回転軸138の軸周囲に回転し得る。係合プレート102、106の相対運動によって、インプラント100に隣接する椎骨の軸回転が可能となり得る。回転軸138の軸は脊椎の回転の軸を模倣するように、係合プレート102、106の中心から外れていてよい。
【0068】
図18に示したように、部材104は凸部164を有してよい。凸部164は少なくとも1つの軸に沿って弓形断面形状を有してよい。部材174は凹部166を含んでよい。凹部166は少なくとも1つの軸に沿って弓形断面形状を有してよい。図20のインプラント100の側面図に示したように、凹部166は部材104の凸部164を補完し得る。いくつかの実施形態では、部材104近傍の係合プレート102の厚さは、内面112、112”が係合プレートの外面に向かって傾斜しているように、端部168、168’における係合プレートの厚さを超えてよい。いくつかの実施形態では、内面112の傾斜は内面112”の傾斜とは異なっていてよい。凹部166近傍の部材174の厚さは、第2の部材174の表面192、192’が係合プレート102を起点に傾斜しているように、端部190、190’における部材の厚さを超えてよい。いくつかの実施形態では、表面192の傾斜は表面192’の傾斜とは異なっていてよい。いくつかの実施形態では、表面192、192’の傾斜はそれぞれ、内面112、112”の傾斜と実質的に同じ大きさであってよい。
【0069】
傾斜になった表面112、112”によって、係合プレート102は左右方向平面において部材104に対して動く(例えば、揺動する)ことが可能となり得る。係合プレート102、106の相対運動によって、図18の矢印136で示した平面において係合プレートに隣接する椎骨の側屈が可能となり得る。それぞれ表面112、112”および192、192’が接触することによって、インプラント100に加えられる圧縮荷重が比較的広い面積にわたって分散され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、部材174は凸部178を有してよい。凸部178は弓形断面形状を有してよい。係合プレート106は凹部180を有してよい。凹部180は弓形断面形状を有する凹状であってよい。凹部180は凸部178を補完し得る。凹部180は係合プレート106が図19の矢印134で示したように係合プレート102に向かって動く(例えば、揺動する)ことが可能となるように、凸部178よりも僅かに広い断面積を有してよい。係合プレート106が部材174に対して動くことによって、係合プレート102、106に隣接する椎骨の屈曲および/または伸展が可能になり得る。
【0071】
部材104は1つまたは複数の止め具194(図18および19に示す)を含んでよい。止め具194は部材104の端部の一方または両方に結合され得る。いくつかの実施形態では、止め具194は部材104の一体部分であってよい。止め具194は部材104に対する部材174の前後方向の並進を制限し得る。部材104に対して部材174の並進を制限することによって、インプラント100を椎骨間に位置決めすることが容易になり得る。
【0072】
ある実施形態では、止め具194が係合プレート106の内面112’と接触することによって、インプラント100に隣接する椎骨の伸展が制限され得る。止め具194の高さおよび/または係合プレート106の厚さによって、インプラント100によって可能となる伸展が制限され得る。インプラント100によって可能となる最大伸展は、約3°〜約12°の範囲にあってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約8°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大伸展は約5°であってよい。
【0073】
部材174の表面182は部材の表面192、192’に対して傾斜していてよい。係合プレート106の内面112’は係合プレートの外面に対して傾斜していてよい。表面182の傾斜および/または内面112’の傾斜は、表面182と係合プレート106のリミッター154との間の表面積を増大させるように選択されてよい。表面182の傾斜は係合プレート106と部材174との間の可動域を増大させるように選択されてよい。いくつかの実施形態では、凹部180の形状および/または寸法によって、インプラントの別の構成部品に対する係合プレート106の動きが制限され得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、係合プレート106の内面112’は部材174の表面182に接触してよい。内面112’および表面182の接触によって脊椎の屈曲が制限され得る。部材174の表面182と表面192、192’との間の距離は、係合プレート102、106に隣接する椎骨の間の屈曲を制限するように選択されてよい。インプラント100によって可能となる最大屈曲は約5°〜約20°であってよい。いくつかの実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約10°であってよい。他の実施形態では、インプラント100によって可能となる最大屈曲は約15°であってよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1の係合プレートは第2の係合プレートと実質的に同じであってよい。実質的に同じ係合プレートを有するインプラントの製造コストは低減され得る。図21は実質的に同じ係合プレート102を有するインプラント100の斜視図を示している。部材104は係合プレート102を分離し得る。ある実施形態では、部材104は卵形、回転楕円形、および楕円形を含む円形を有してよいが、これに限定するものではない。部材104は金属(例えば、クロム)またはセラミックから形成されてよい。ある実施形態では、部材104は磨耗を防ぐために高度に研磨されてよい。係合プレート102は凹部132を含んでよい。凹部132は部材104を補完し得る。部材104の厚さは凹部132の深さの合計を超えてよい。
【0076】
図22はインプラント組立て後の図21に示したインプラントの断面図を示している。部材104によって係合プレート102が分離されていることによって、係合プレートは相互に対して「揺動」し得る。係合プレート102が前後方向平面において相互に対して揺動することによって、矢印134で示した平面において屈曲および/または伸展が可能となり得る。係合プレート102が左右方向平面において相互に対して揺動することによって、図21の矢印136で示した平面において側屈が可能となり得る。
【0077】
部材104の形状は部材104の表面と凹部132との間に広い接触面積を提供し得る。部材104の形状によってインプラント100の磨耗および/または故障が低減され得る。楕円形状を有する凹部132によって、部材104は回転軸138の軸周囲でヒト脊椎運動を模倣することが可能となり得る。係合プレート102は矢印140で示した平面において回転軸138の軸周囲で相互に対して自由に回転し得る。いくつかの実施形態では、回転軸138の軸は部材104が凹部132内で並進するにしたがって変化し得る。一実施形態では、可動域(例えば、軸回転)は部材104の形状および/または凹部132の形状によって制限され得る。
【0078】
一実施形態では、凹部132近傍の係合プレート102の内面は隆起していてよい。1つまたは複数の表面196A〜196D(図21に示す)の隆起は、係合プレート102の相対運動を制限するように選択されてよい。1つまたは複数の表面196A〜196Dは、図21および22に示したような係合プレート102の外面に対して傾斜になっていてよい。表面196A〜196Dの傾斜は係合プレート102間の接触面積を増大し得る。係合プレート102間の接触面積を増大させることによって、インプラントの磨耗が阻止され得る。
【0079】
ある実施形態では、表面196Dは脊椎インプラントに隣接する椎骨の屈曲を制限し得る。表面196Bはインプラント100に隣接する椎骨の伸展を制限し得る。表面196Aおよび196Cはインプラント100に隣接する椎骨の側屈を制限し得る。いくつかの実施形態では、相互に対する係合プレート102の軸回転は制限され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、インプラントは椎骨の半径方向の曲率に適合するように湾曲してよい。インプラントは種々の大きさの曲率を有してよい。例えば、椎間板インプラントは大きい曲率、中間の曲率、および/または小さい曲率を有してよい。インプラントによって提供される半径方向の曲率の表示は、インプラント上にエッチングされるか、そうでない場合には印が付けられてよい。
【0081】
いくつかの椎間板インプラントの実施形態では、係合プレートは脊椎の所望の前弯曲率を確立するように傾斜していてよい。種々の前弯曲率を有する種々の異なる構成部品は、外科医が所望の前弯角を有するインプラントを形成できるように外科医に市販されている。インプラントが提供するであろう脊椎前弯の量を示すために、前弯表示は椎間板インプラント上にエッチングされるか、そうでない場合には印が付けられて(例えば、色分けされて)よい。一実施形態では、腰部椎間板インプラントは約5°〜約20°の範囲の前弯角(例えば、約12°)を有してよい。
【0082】
係合プレートは椎骨表面への係合プレートの結合を促進するように設計されてよい。隣接する椎骨へインプラントの係合プレートを結合することによって、椎間板インプラントは安定し得る。係合プレートは椎骨への係合プレートの結合を容易にするための1つまたは複数の結合用凸部を含んでよい。結合用凸部は係合プレートの外面から延びてよい。結合用凸部は係合プレートに圧入、溶接、接着剤で取付けられるか、それ以外の場合には貼り付けられてよいが、これに限定するものではない。別の場合には、結合用凸部は係合プレートの一部分として形成されてよい。インプラント100の安定性を確実にするために、任意の組合せの結合用凸部108が共に使用されてよい。
【0083】
係合プレートは、例えば、図9〜11に示したような1つの結合用凸部108を含んでよい。図23は2つの結合用凸部108を備えた係合プレート102の図を示している。いくつかの実施形態では、係合プレートは図24および25に示したような複数の結合用凸部108を含んでよい。いくつかの実施形態では、係合プレートは実質的に同じ形状および寸法の結合用凸部を含んでよい。ある実施形態では、係合プレートは種々の寸法および/または形状の結合用凸部を含んでよい。結合用凸部の形状および/または寸法は耐久性、荷重配分、および椎骨内に相補的な凹部を形成する容易さを含む因子に基づいて選択されてよいが、これに限定するものではない。
【0084】
ある実施形態では、係合プレートから延びている結合用凸部は椎骨内に形成された凹部内に位置決めされてよい。この凹部は結合用凸部を補完し得る。結合用凸部108は例えば図9〜11に示したような弓形断面形状を有してよい。いくつかの実施形態では、結合用凸部は正方形または長方形の断面を有してよい。図26は長方形の断面を有する結合用凸部108の図を示している。ある実施形態では、結合用凸部は、1つまたは複数の方向に先細形状になっていてよい。図27に示した結合用凸部108は前後方向に先細形状になっている。結合用凸部が先細になっていることによって、結合用凸部が骨内の凹部に押し込まれて骨に係合プレートを固定し得る。凹部に結合用凸部を押し込むことによって、椎骨に対する係合プレートの動きおよび/または骨からの係合プレートの圧出が阻止され得る。いくつかの実施形態では、骨に隣接して位置決めされる結合用凸部の表面は、結合用凸部の骨との骨統合を促進するために粗面になっていてよいか、またはコーティング(例えば、ヒドロキシアパタイト)を含んでよい。いくつかの実施形態では、図1、24、および25に示したような結合用凸部は、椎骨に対する係合プレートの動きを阻止するためかつ/または骨からの係合プレートの圧出を阻止するために、隣接する骨を貫通してよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、前方進入法を用いたインプラント挿入を容易にするために、1つまたは複数の結合用凸部は実質的に前後方向面内に配向されてよい。いくつかの実施形態では、側方進入法を用いたインプラント挿入を容易にするために、1つまたは複数の結合用凸部は実質的に左右方向平面内に配向されてよい。ある実施形態では、椎骨に対する係合プレートの動きを阻止するためかつ/または骨からの係合プレートの圧出を阻止するために、図1に示したような種々の断面形状の結合用凸部の組合せが使用されてよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、インプラントを椎骨に結合させるために締付システムが使用されてよい。このインプラントはタブのある面内に開口部を有するタブを含んでよい。この開口部は骨締付具の頭部に係合または結合され得る。締付システムは締付具および固定機構を含んでよい。固定機構はインプラントと締付具との間に位置決めされ得る。この固定機構は椎骨およびインプラントからの締付具の後退を防ぎ得る。いくつかの実施形態では、固定機構はインプラントの開口部内に位置決めされるリングであってよい。リングが開口部内にあるとき、締付具が開口部から後退し始める場合、リングを介して挿入される締付具の頭部はリングと接触し得る。リングと締付部の頭部との組合せは大き過ぎるので開口部から出られず、これにより椎骨およびインプラントからの締付具の後退が阻止される。リングが開口部内にあるとき、リングはインプラントに固定されることなく締付具の頭部に固定されてよく、したがって椎骨に係合プレートを確実に締め付けることが可能となる。Wagnerらに付与された米国特許第6,454,769号およびFreidらに付与された米国特許第6,331,179号は締付具の後退を防ぐ固定機構を備えた締付システムを記載している。
【0087】
ある実施形態では、椎間板摘出術を施行後に隣接する椎骨間に椎間板インプラントを挿入または/位置決めするために、1つまたは複数の器具が使用されてよい。隣接する椎骨間の用意された椎間腔内にインプラントを位置決めするために、インサータが使用されてよい。このインサータは、患者の切開部の上方から椎間腔内にインサータの遠位端を配置できるように十分に長いものであってよい。インプラントの係合プレートはインサータの遠位端のアーム部に結合され得る。
【0088】
図28はインサータ210の一実施形態の斜視図を示している。インサータ212はボディ210およびアーム部214を備えてよい。ボディ212は開口部216を含んでよい。開口部216は1つまたは複数の誘導、挿入および/または除去器具をインサータ210内に位置決めできるような寸法であってよい。アーム部214はインサータ210をインプラントの係合プレートに結合するための延長部218を含んでよい。延長部218は係合プレート102、106(図1に示す)内の溝穴114に係合するために、面取りされているか、円形であるか、鳩尾形であるか、それ以外の場合には機械加工されていてよい。延長部218は戻り止め220を含んでよい。戻り止め220はインプラントにインサータ210を結合させるために、係合プレート102、106の刻み目118に位置決めされてよい。図29は係合プレート102、106に結合された延長部218を示している。
【0089】
アーム部214の部分はアーム部間に先細になる分離距離を確立するために、相互に対して角度が付いている。アーム部214の部分に角度が付いていることによって、インサータ210に取付けられた係合プレート102、106間の所望の分離距離を確立する器具の挿入が容易になり得る。
【0090】
アーム部214は機構222を含んでよい。図30は機構222がアーム部214上にあるインサータ210の側面図を示している。図28に示したように、インサータ210は溝穴224を含んでよい。溝穴224は機構222からアーム部214および延長部218を介して戻り止め220付近のインサータ210の一部分まで延在し得る。溝穴224によってインサータ210の部分226は曲がり得る。押圧機構222は部分226を動かして係合プレート内に位置する刻み目から戻り止め220を解放し得る。機構222が押圧されるとき、係合プレート内の戻り止めが刻み目から解放されてインサータ210を係合プレートから分離し得る。いくつかの実施形態では、アーム部214は、部材222が押圧されたときに動くことができないインサータの部分を安定させる補強部材228を含んでよい。補強部材228は部分226の外方向への動きを阻止し得る。
【0091】
インサータ210の近位端は、スラップハンマまたは押込器などの打込み器具または誘導器具と係合するように形成されてよい。インサータ210(図28に示す)の近位端内の溝穴230は機械加工されるか、それ以外の場合には図31に示したカプラ232などの結合デバイスを受け取るように設計されてよい。図31はスラップハンマ234に結合されたインサータ210の斜視図を示している。カプラ232は打込み器具または誘導器具の取付台と係合し得る。スラップハンマ234は取付台236を備えてよい。カプラ232は取付台236をインサータ210に結合し得る。
【0092】
いくつかのインプラント挿入手技の間、椎間腔が小さ過ぎて、隣接する椎骨の表面を損なわずに、インサータに結合されたインプラント構成部品を挿入することができないかもしれない。シムが椎骨に隣接して設置されてよい。インサータに結合された係合プレートはシムの隣に位置決めされ得る。椎骨を引き離して、椎骨間に係合プレートを挿入するために、インサータは下方に打ち込まれてよい。係合プレートの挿入後、シムは除去され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、隣接する椎骨を引き離しかつ/または係合プレートを引き離して係合プレート間に部材を挿入できるようにするために、伸延器が使用されてよい。図32は伸延器の一実施形態の斜視図を示している。伸延器238はボディ240、アーム部242、および取付台244を備えてよい。ボディ240およびアーム部242は溝246を含んでよい。溝246は部材104(図1に示す)の凸部128よりも断面積が僅かに大きくてよい。部材104の凸部128は溝246に収まって、部材104がボディ240およびアーム部242を介して係合プレート間のある位置まで誘導することを可能にし得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、溝246はインプラントの特定の寸法の部材のみを収容するような寸法および/または形状であってよい。例えば、13mmインプラント用の部材は、11mmインプラント用の寸法の分離距離を確立する伸延器に適合しないであろう。いくつかの実施形態では、部材および伸延器は実質的に同じ色に色分けされてよい。外科医はある部材を実質的に同じ色の伸延器に押し込むことだけを知り得る。
【0095】
ある実施形態では、アーム部242は補強部材248を含んでよい。補強部材248はインプラントを形成するために、係合プレート間に部材を挿入する間にアーム部242が動くのを阻止し得る。
【0096】
取付台244上の溝穴250はカプラを受け取るように機械加工されてよい。カプラはスラップハンマなどの打込み器具に伸延器238を結合し得る。
【0097】
図33はインサータ210内に位置決めされた伸延器238の斜視図を示している。アーム部242はインサータ210のアーム部214を分離し得る。アーム部214が伸延器238によって分離されるとき、係合プレート102、106が分離される。係合プレート102、106内の溝穴およびアーム部242は、係合プレートが分離工程の間に実質的に平行のままであるようにアーム部214を分離し得る。係合プレート102、106は係合プレート間に部材を挿入する間に実質的に平行のままであり得る。伸延器238を用いてアーム部214を分離することによって、伸延器の係合プレート102、106との接触は最小化されるか、または除去され得る。伸延中に伸延器238の係合プレート102、106との接触を最小化または除去することによって、係合プレートのインサータ210からの不所望の分離が阻止され得る。
【0098】
図34は押込器の一実施形態の斜視図を示している。押込器252はボディ254および取付台256を備えてよい。ボディ254の遠位端の幅は該ボディの近位端の幅未満であり得る。ボディ254は凸部258を含んでよい。凸部258は伸延器238の溝246(図32に示す)内に収まって、押込器252が伸延器のボディ240およびアーム部242を介して導かれるのを可能にし得る。いくつかの実施形態では、特定の寸法の伸延器に適合するように、押込器は色分けされてよい。いくつかの実施形態では、凸部258は押込器が任意の寸法の伸延器に収まるような寸法であってよい。
【0099】
伸延器238を介して係合プレート間の所望の位置まで部材を移動させるために、押込器252が使用されてよい。図35は伸延器238およびインサータ210内に位置決めされた押込器252の一実施形態の側面図を示している。押込器252がインサータ210内に位置決めされるとき、押込器は係合プレート102、106間で部材の位置を維持して、係合プレートからの伸延器238の除去を可能にし得る。
【0100】
いくつかのインプラント挿入手技の間、1つの経路または複数の経路が椎骨内に形成され得る。この経路または複数の経路は係合プレートの1つの結合用凸部または複数の結合用凸部に対応し得る。椎骨内に1つの経路または複数の経路が形成されるのを容易にするために、器具ガイドが使用されてよい。いくつかの実施形態では、2つの器具ガイドがインサータに結合されてよい。この器具ガイドは椎間腔内に挿入され得る。椎骨に対して器具ガイドを動かすために、伸延器がインサータ内に導入されてよい。この器具ガイドと組み合わせて器具を用いることによって、複数の経路が椎骨内に形成され得る。
【0101】
図36は器具ガイド260の斜視図を示している。器具ガイド260は溝穴261、止め具262、およびガイドピース264を含んでよい。溝穴261によって器具ガイド260がインサータのアーム部の延長部に結合することが可能となり得る。止め具262は椎骨間での器具ガイド260の挿入深さを制限し得る。止め具262は開口部266を有してよい。椎骨内に1つの経路または複数の経路を形成する間に器具ガイド260を椎骨に固定するために、締付具が開口部266を介して位置決めされてよい。この締付具はねじ、ピン、羽枝、またはトロカールを含んでよいが、これに限定するものではない。締付具の頭部は大き過ぎて開口部266を通り抜けることができなくてもよい。
【0102】
器具(例えば、チゼル、ドリル、リーマー)の刃先を椎骨に対して所望の位置に設置するためにガイドピース264が使用されてよい。この器具はガイドピース開口部268を通され得る。ガイドピース開口部は、器具がその中に経路を形成する椎骨に対して器具の刃部分を適切に方向付けし得る。椎骨内に経路を形成する間に器具の刃先を導くために、器具の一部分が溝270内に位置決めされ得る。器具が溝270に沿って移動するとき、椎骨内に溝を形成するために、骨物質が器具ガイド260に隣接する椎骨表面から除去され得る。係合プレート上の結合用凸部の断面形状に類似する長さおよび/または深さの開口部を形成するために、骨物質が除去され得る。
【0103】
図37は伸延器238、打込み器272、およびインサータ210に結合された器具ガイド260の斜視図を示している。打込み器272は締付具が器具ガイド260を椎骨に結合させるように、締付具274のシャフトを止め具262内の開口部を介して位置決めし得る。
【0104】
図38Aはチゼル276の平面図を示している。図38Bはチゼル276の側面図を示している。チゼル276は端部部材278、シャフト280、およびハンドル282を含んでよい。端部部材278は骨を貫通することのできる刃先を含んでよい。いくつかの実施形態では、インサータの近位部分と椎骨間に位置決めされた経路ガイドとの間のある角度に適合するように、シャフト280は曲げられ得る。
【0105】
図39は器具ガイド260、伸延器238、およびインサータ210に結合されたチゼル276の斜視図を示す。チゼル276の端部部材278はガイドピース264内のガイドピース開口部を介して挿入され、かつ器具ガイド260の溝270内に位置決めされ得る。端部部材278の刃先は椎骨内に押し込まれ得る。椎骨内の端部部材278の挿入深さは蛍光X線透視法を用いて監視されてよい。いくつかの実施形態では、シャフト280には目盛が付けられてよい。チゼルの端部部材が最初に椎骨に接触するとき、インサータの先端部に関連する最初の読取値が読み取られ得る。チゼルが椎骨内に打ち込まれるにしたがって、インサータの先端部に関連する今の読取値とインサータの先端部に関連する最初の読取値との間の差を取得することによって、挿入深さの推定値が提供され得る。いくつかの実施形態では、椎骨内へのチゼルの挿入深さを制限するために、止め具がシャフト280上に位置決めされてよい。止め具はガイドピース264に接触し得る。
【0106】
図40はインサータ210と組み合わされたリーマー、伸延器238、および器具ガイド260の斜視図を示している。椎骨表面内に溝を形成するために、リーマー284は椎骨表面からの骨物質の除去を可能にし得る。(図9〜11に示したような)係合プレート上の弓形形状の結合用凸部を補完するために、溝は弓形断面形状を有してよい。リーマー284はカッター286、ボディ288、およびハンドル290を備えてよい。いくつかの実施形態では、ドライブシャフトがボディ288内に位置決めされてよい。このドライブシャフトはカッター286およびハンドル290に結合され得る。カッター286がインサータおよび椎骨に対して適切な配向になるように、ドライブシャフトは柔軟性があるか、または継目を有してよい。カッター286は器具ガイド260のガイドピース264の開口部内に挿入され得る。ハンドル290が回転することによって、カッター286が椎骨を除去し、かつ椎骨内に溝を形成することが可能となり得る。止め具292がガイドピース264と接触することによって、椎骨内へのカッター286の挿入深さが制限され得る。ボディ288に沿った留め具292の位置は調整可能であってよい。いくつかの実施形態では、椎骨内へのカッター286の挿入深さは、蛍光X線画像法を用いて溝の形成中に監視されてよい。
【0107】
ある実施形態では、椎骨間に椎間腔を形成する間に試用スペーサが用いられてよい。適切な大きさの椎間腔が椎骨間に形成れたことを決定するために、試用スペーサが用いられてよい。試用スペーサは試用エンドプレートおよび/または係合プレートの寸法も決定し得る。図41は試用スペーサ294の実施形態を示している。試用スペーサ294の遠位端は、係合プレートおよび/または試用エンドプレートの寸法(例えば、小、中、および大)と類似してよい。
【0108】
いくつかのインプラント挿入手技の間、患者に挿入されるインプラントの適切な高さおよび前弯角を決定するために、試用エンドプレートが使用されてよい。試用エンドプレートの上面は試用エンドプレートが椎骨間で容易に摺動するように、滑らかかつ/または研磨されてよい。図42は試用エンドプレート296の底面図を示している。試用エンドプレート296はインサータのアーム部の延長部と係合する溝穴114を有してよい。溝穴114は刻み目118を有してよい。刻み目118はインサータの戻り止めと係合して、試用エンドプレート296にインサータを確実に結合し得る。
【0109】
試用エンドプレート296は厚さが変動してよい。例えば、溝穴114近傍の端部における試用エンドプレート296の厚さは、この溝穴と反対側の端部における試用エンドプレート296の厚さを超えてよい。試用エンドプレート296は約2°〜約22°(例えば、約3°、約6°、約9°、約12°)の範囲の傾斜を有してよい。上部試用エンドプレートおよび下部試用エンドプレートの組み合わされた角度によって、試用エンドプレートに対応するインプラントの係合プレートによって確立されるであろう前弯角が決定され得る。例えば、傾斜が3°の2つの試用エンドプレートが使用される場合、椎骨間に形成されるインプラントは、各々3°の傾斜を有する2つの係合プレートを用いて形成され得る。この形成されたインプラントは椎骨間に6°の前弯角を確立し得る。上部試用エンドプレートが3°の傾斜を有し、下部試用プレートが6°の傾斜を有する場合、椎骨間に形成されるインプラントは3°の傾斜を有する上部係合プレートおよび6°の傾斜を有する下部係合プレートを用いて形成されてよい。この形成されたインプラントは椎骨間に9°の前弯角を確立し得る。
【0110】
インプラント挿入手技用の器具キットは、器具キットに提供された各係合プレートに高さおよび傾斜の点で対応している個々の試用エンドプレートを含んでよい。同じ寸法および傾斜の3つ以上の係合プレートが器具セットに提供される場合、その寸法および傾斜の係合プレートに対応する試用エンドプレートの2つのみが器具セット内で必要となる。各係合プレートに対応する試用エンドプレートを有していることによって、外科医は椎骨間で利用可能な係合プレートに対応する試用エンドプレートの挿入が可能となり得る。外科医は器具キット内に提供された試用エンドプレートを用いて形成され得るインプラントの組合せの各々を試験することができる。外科医は適した試用エンドプレートおよび伸延器を選択することによって、椎間腔に形成されるべきインプラントの正確なモデルを試験することができる。
【0111】
試用エンドプレートがインサータに結合され、かつ椎間腔内に位置決めされるとき、試用エンドプレートを分離するために伸延器がインサータ内に位置決めされてよい。伸延器が容易にインサータ内に摺動する場合、より大きな伸延器が試用され得る。伸延器をインサータ内に挿入できない場合、より小さな伸延器が試用され得る。インサータ内に伸延器を挿入するために何らかの力が必要となる場合、その伸延器が適した伸延器となり得る。伸延器が適している場合、約1.5mm〜約2.0mmだけ椎骨が過度に伸延され得る。椎骨が約1.5mm〜約2.0mmだけ過度に伸延されることによって、一旦椎間板インプラントが挿入されると椎間板インプラントの構成部品の相対運動を可能にするのに十分に、椎骨に近接する靭帯が延ばされ得る。試用エンドプレートが椎骨間に所望の前弯および高さを確立したかどうかを決定するために、蛍光X線像が取得されてよい。前弯または高さが正しくない場合、他の試用エンドプレートおよび/または伸延器がインサータに結合されてよい。インサータは試用エンドプレートおよび伸延器が椎骨間に所望の高さおよび前弯角を確立するまで、椎骨間で位置決めされ得る。その試用エンドプレートおよび伸延器を下方に滑り込ませる部材に対応する係合プレートは、前記器具キットから入手され得る。
【0112】
図43は部材用シーターの斜視図を示している。部材用シーター298はインプラントの部材を係合プレート間に設置するのを容易にし得る。部材用シーター298はアーム部300、300’およびハンドル302、302’を含んでよい。アーム部300、300’はハンドル302、302’上に枢軸的に結合されてよい。アーム部300’は部材104(図1に示す)の凸部128の上側に位置決めされてよい。アーム部300’は係合プレート102(図1に示す)の溝穴114と係合し得る。ハンドル302’方向にハンドル302を押すことによって、アーム部300’はアーム部300に向かって動くことが可能となり得る。アーム部300に向かってアーム部300’が動くことによって、部材104を係合プレート102の凹部116内に確実に位置決めすることが可能となり得る。部材104を設置後、部材用シーター298は椎間腔から除去され得る。
【0113】
係合プレート、部材および/または試用エンドプレートは、金属、合金、セラミック、高分子、および/または複合物を含むが、これに限定しない1つまたは複数の生体適合性材料から製造されてよい。例えば、合金にはコバルト−クロム−モリブデン(CoCrMo)を含んでよい。セラミックにはアルミナ、ジルコニア、または複合物を含んでよいが、これに限定するものではない。インプラント構成部品に用いられる高分子には超高分子量ポリエチレン、ポリフルオロカーボンおよび/またはポリエステルエステルケトン(PEEK)を含んでよい。いくつかの実施形態では、椎間板インプラントのすべての構成部品は金属から形成されてよい。ある実施形態では、係合プレートおよび/または部材はチタン、チタン合金、スチールおよび/またはスチール合金から形成されてよい。さらに、材料は耐久性およびヒト骨などの生物組織が材料と癒合する容易性などの特性に基づいて選択されてよい。例えば、チタンは長期間磨耗しにくいが、骨と癒合しやすい。コバルト−クロム−モリブデン合金はよく磨耗するだけでなく、生物組織と癒合し得ない。
【0114】
いくつかの実施形態では、係合プレートおよび/または部材は生体吸収性材料であってよいか、または生体吸収性材料を含んでよい。骨と接触する係合プレートおよび/または部材の表面はインプラント構成部品の骨との骨統合を促進するためにコーティングを含んでよい。このコーティングは骨形成タンパク質、ヒドロキシアパタイトおよび/またはチタンプラズマスプレーであってよいが、これに限定するものではない。
【0115】
ある実施形態では、時間経過によるインプラントの磨耗を低減させるために、インプラントの係合プレート、部材および/または試用エンドプレートは種々の材料から形成されてよい。あるインプラントの実施形態は、チタンまたはコバルト−クロム−モリブデンから形成された係合プレートおよび(アルミナなどの)セラミックまたは(超高分子量ポリエチレンなどの)高分子から形成された1つまたは複数の部材を含んでよい。材料選択は種々の因子によって影響を及ぼされ得る。例えば、多くの高分子はある厚さ未満で製造されると「流れ」易くなり、これによって変形するか、あるいはインプラントの故障につながる可能性がある。しかし、セラミックは変形し易くはないが、圧力で粉砕される可能性がある。
【0116】
ある実施形態では、インプラントおよび/または試用エンドプレートは、予め組み立てられかつ必要となるまで無菌パッケージに保存された状態で配送かつ/または販売され得る。いくつかのインプラントの実施形態では、放射線標識がX線に対して不可視であるインプラントの構成部品内に設置されてよい。この放射線標識によって、X線または他の画像法を用いて構成部品の位置を決定することが可能となり得る。インプラントの全構成部品の位置を決定する能力によって、インプラントの位置を決定するために外科的処置を行う必要がなくなり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、係合プレート、部材および/または試用エンドプレートを形成するのに用いられる材料の摩擦係数を調節する工程が行われてよい。インプラント構成部品は、摩擦係数を低減させ、かつ係合プレートおよび/または部材上の磨耗の量を減少させるために、機械加工、形成かつ/または化学処理される。いくつかのインプラントの実施形態では、インサート、コーティング、ライナー、または覆いが、係合プレートおよび/または部材の表面全体または一部に施される。インサート、コーティング、ライナー、または覆いは、インプラントの別の構成部品に対する係合プレートおよび/または他の部材の摩擦特性または他の物理的特性を変化させてよい。いくつかの実施形態では、インプラント構成部品間の接触により生じるノイズを低減させるために、部材の表面および/または係合プレートの内面は表面コーティングを含んでよい。
【0118】
インプラントは前方、側方および/または後方進入法を用いて椎骨に隣接する椎間腔内に位置決めされ得る。外科医は椎間板摘出術を施行して椎間板の一部または全部を除去してよい。インプラント用の椎間腔を用意するために、キューレット、骨鉗子、および骨削り器などの器具が使用されてよい。インプラントの係合プレートと接触するであろう椎骨表面から軟骨または他の組織が除去されてよい。椎骨表面は椎骨表面に接して設置される係合プレートの外面に実質的に一致するように成形されてよい。
【0119】
インプラント挿入手技では、形成された椎間腔が十分に大きいかどうかを決定するためおよび/または椎間腔内に挿入されるインプラントの寸法(例えば、小、中、または大)を決定するために、試用スペーサが椎間腔内に挿入されてよい。適切な幅および深さの椎間腔が形成されたかどうかを決定するために試用スペーサを椎骨間に位置決めした状態で、放射線像が椎間板摘出術中に取得されてよい。1つまたは複数のマークが椎骨の端部の中心近傍の椎骨の表面に記録または焼き付けられてよい。このマークまたは複数のマークは、インプラント挿入中のインプラントおよび/または器具の適した側方位置を決定するための基準として使用され得る。
【0120】
必要があれば、器具ガイドは椎骨に接して位置決めされてよい。椎骨内に凹部を形成するためにリーマーまたはチゼルが器具ガイドと共に使用されてよい。凹部は椎骨間に挿入されるインプラントの係合プレートから延びる結合用凸部の形状と一致する形状を有してよい。
【0121】
試用エンドプレートはインサータに結合され得る。試用エンドプレートは椎骨間に位置決めされ得る。試用エンドプレートを分離するために、所定の高さの伸延器がインサータ内に位置決めされてよい。いくつかの挿入手技中、インサータ内に伸延器を打ち込むためにマレットまたは他の打撃デバイスが使用されてよい。試用エンドプレートおよび伸延器の組合せが椎骨間に所望の分離高さおよび/または前弯角を確立しない場合、椎骨の所望の分離高さおよび/または前弯アラインメントを確立する組合せが見つかるまで種々の試用エンドプレートおよび種々の伸延器が試験されてよい。椎間腔からの試用エンドプレートの除去が困難な場合、椎間腔からのインサータおよび試用エンドプレートの除去を容易にするためにスラップハンマまたは他の打撃デバイスが使用されてよい。試用エンドプレートおよび伸延器の種々の組合せを用いることによって、外科医は椎間腔に挿入されるインプラント構成部品の正確な前弯角および高さを決定することが可能となり得る。
【0122】
所望の分離高さおよび前弯角を確立する試用エンドプレートに対応する係合プレートは、器具キット内に提供された市販の係合プレートから選択されてよい。選択された係合プレートはインサータのアーム部に結合され得る。係合プレートは椎間腔内に位置決めされ得る。選択された伸延器はインサータ内に位置決めされ得る。いくつかの挿入手技の間、インサータ内に伸延器を打ち込むためにマレットまたは他の打撃デバイスが使用されてよい。インサータ内に伸延器を位置決めすることによって、アーム部に取付けられた係合プレートは所望の分離距離に分離され得る。係合プレートを分離することによって、隣接する椎骨の表面内に係合プレートの結合用凸部を押し込んで、椎骨に係合プレートが固定され得る。
【0123】
伸延器の経路を下方に摺動させるであろう部材は器具セットから入手され得る。部材は伸延器内に位置決めされ、かつ押込器を用いて係合プレート間に導かれ得る。係合プレート間で部材の位置を維持するために押込器がインサータに結合されてよい。部材が係合プレート間に位置決めされた後、係合プレートからアーム部上の延長部を解放するために、インサータのアーム部上の機構が係合され得る。インサータ、伸延器、および押込器が椎間板から除去されてよい。いくつかの挿入手技の間、椎間腔からインサータ、伸延器および/または押込器の除去を容易にするためにスラップハンマが使用されてよい。インプラントが望むように位置決めされることを確実にするために、放射線像が取得されてよい。
【0124】
いくつかの挿入手技の間、インサータが係合プレートから除去された後に、部材用シーターが使用されてよい。部材用シーターは部材の凸部上または係合プレートの溝穴内に位置決めされ得る。係合プレートの凹部内に部材を確実に設置するために、部材用シーターのハンドルが押圧されてよい。凸部および係合プレートからアーム部を分離するために、ハンドルは解放可能であってよい。部材用シーターは椎間腔から除去されてよい。
【0125】
本願明細書の解説を考慮すれば、当業者には本発明の種々の態様のさらなる変形例および代替例が明白となろう。したがって、本願明細書の解説は単なる例示であると理解されるべきであり、当業者に本発明を実施するための一般的様式を教示するためのものである。本願明細書に示しかつ記載した本発明の形態は実施形態の例として解釈されるものと理解されるべきである。要素および材料が本願明細書に図示かつ記載したものに代えられてよく、パーツおよびプロセスは入れ換えられてよく、本発明のある特徴は独立して利用されてよく、これらはすべて本発明のこの説明の利点を得た後で当業者には明白となろう。添付の特許請求の範囲に記載したような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本願明細書に記載の要素に変更がなされてよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図2】係合プレートの一実施形態を示す底面図である。
【図3】係合プレートの一実施形態を示す底面図である。
【図4】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図5】椎間板インプラントの構成部品を示す側面図である。
【図6】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図7】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図8】係合プレートを示す底面図である。
【図9】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図10】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図11】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図12】部材を示す平面図である。
【図13】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図14】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図15】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図16】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図17】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図18】椎間板インプラントの構成部品を示す斜視図である。
【図19】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図20】椎間板インプラントの一実施形態を示す側面図である。
【図21】椎間板インプラントの一実施形態を示す斜視図である。
【図22】椎間板インプラントの一実施形態を示す断面図である。
【図23】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図24】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図25】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図26】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図27】結合用凸部の実施形態を示す略図である。
【図28】インサータの一実施形態を示す斜視図である。
【図29】係合プレートに結合されたインサータの一実施形態を示す側面図である。
【図30】インサータの一実施形態を示す側面図である。
【図31】インサータに結合されたスラップハンマの一実施形態を示す斜視図である。
【図32】伸延器の一実施形態を示す斜視図である。
【図33】インサータ内に位置決めされた伸延器の一実施形態を示す斜視図である。
【図34】押込器の一実施形態を示す斜視図である。
【図35】インサータに結合された押込器一実施形態を示す側面図である。
【図36】器具ガイドの一実施形態を示す斜視図である。
【図37】インサータに結合された器具ガイドを示す斜視図である。
【図38A】チゼルの一実施形態を示す略図である。
【図38B】チゼルの一実施形態を示す略図である。
【図39】器具ガイドと併用されたチゼルを示す斜視図である。
【図40】器具ガイドと併用されたリーマーを示す斜視図である。
【図41】試用スペーサの複数の実施形態を示す略図である。
【図42】試用エンドプレートの一実施形態を示す底面図である。
【図43】部材用シーターを示す斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの係合プレートを備えたヒト脊椎用の人工椎間板であって、
各係合プレートは凹部と、椎間板インプラントの挿入中に挿入器具と係合するように構成された2つ以上の溝穴とを含み、
溝穴は係合プレートの前−後軸に対してある角度を成しており、かつ1つまたは複数の部材が係合プレート間に位置決め可能であり、部材の少なくとも1つは使用中に相互に対して係合プレートの軸回転、側方運動および前後運動を可能にするために、凹部の少なくとも1つを補完するように構成された部分を含んでいる人工椎間板。
【請求項2】
凹部の少なくとも1つの1つまたは複数の側が先細形状になっている請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
凹部の少なくとも1つの後ろ側の高さが前側の高さを超えている請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
凹部の少なくとも1つを補完するように構成された部分は凸部であり、かつ凹部の少なくとも1つは凸部に相補的な凹部を含んでいる請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
係合プレートの少なくとも1つは凸部を含み、部材の少なくとも1つは凹部を含み、かつ凸部は凹部に相補的である請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
2つの係合プレートおよび1つまたは複数の部材は金属で製造される請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
溝穴は鳩尾形である請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
ヒト椎骨間に人工椎間板インプラントを挿入するシステムであって、
ボディと、ボディを通る経路と、人工椎間板インプラントの係合プレートと解放可能に結合されるように構成されたアーム部とを有するインサータと、
ヒト椎骨間に椎間腔を形成するために係合プレートを分離する間にインサータのアーム部に結合された係合プレートが実質的に平行のままであるようにインサータのアーム部を分離するように構成された、ボディの経路内に位置決め可能な伸延器とを備えたシステム。
【請求項9】
インサータが係合プレートにインサータを結合することによって係合プレート間の分離が大きくならないように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
インサータのアーム部は係合プレート内の鳩尾形溝穴と解放可能に結合されるように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
インサータおよび伸延器は、係合プレートの挿入中に伸延器が係合プレートと接触しないように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
押込器をさらに備え、押込器は経路を介して部材を伸延器内に打ち込み、かつ係合プレート間に部材を位置決めするように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
インサータ内の経路を介して係合プレート内に部材を設置するように構成された部材用シーターをさらに備える請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
試用エンドプレートおよび1つまたは複数の付加的な伸延器をさらに備え、試用エンドプレートは挿入される人工椎間板インプラントの高さおよび前弯角を決定するために、伸延器と組み合わせて使用されるように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
ヒト脊椎間に人工椎間板インプラントを形成する方法であって、
ヒト椎骨間に2つの係合プレートを位置決めする工程と、
係合プレートが実質的に平行なままであるように、係合プレートを分離する工程と、
部材の少なくとも1つの表面が係合プレートの少なくとも1つの相補的表面に接触するように、係合プレート間に1つまたは複数の部材を位置決めする工程とを含み、
係合プレートおよび部材の少なくとも1つは、使用中に係合プレートの相対運動を可能にするように構成された方法。
【請求項16】
椎骨間に係合プレートを位置決めする前に、椎骨間に形成される人工椎間板インプラントの高さ、寸法、および前弯角を決定する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
係合プレートの少なくとも1つの上の凸部と係合するために、椎骨の少なくとも1つ内に凹部を形成する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
部材の少なくとも1つを位置決めする工程は、係合プレートの少なくとも1つの円形凹部内に該部材を位置決めする工程を含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
係合プレートは椎骨への角度の付いた前方進入法を用いて位置決めされる請求項15に記載の方法。
【請求項20】
係合プレートは椎骨への前方進入法を用いて位置決めされる請求項15に記載の方法。
【請求項21】
椎間板インプラントであって、
第1の係合プレートおよび第2の係合プレートと、
係合プレート間に位置決め可能な部材とを備え、
第1の係合プレートは部材のベースを受け取るように構成された凹部を含み、凹部の1つまたは複数の側面は先細形状であり、かつ第2の係合プレートの表面は使用中に相互に対して係合プレートの軸回転、側方運動および前後運動を可能にするために部材の表面を補完する椎間板インプラント。
【請求項22】
凹部の後ろ側の高さは凹部の前側の高さよりも大きい請求項21に記載のインプラント。
【請求項23】
係合プレートの少なくとも1つは部材の凸部に相補的な凹部を含む請求項21に記載のインプラント。
【請求項24】
係合プレートの少なくとも1つは部材の凹部に相補的な凸部を含む請求項21に記載のインプラント。
【請求項25】
係合プレートの少なくとも1つは少なくとも1つの結合用凸部を含む請求項21に記載のインプラント。
【請求項26】
係合プレートは1つまたは複数の溝穴を含み、溝穴はインプラント挿入用器具と係合するように構成された請求項21に記載のインプラント。
【請求項27】
係合プレートは1つまたは複数の溝穴を含み、溝穴はインプラント挿入用器具と係合するように構成され、かつ溝穴は係合プレートの前−後軸に対してある角度で位置決めされた請求項21に記載のインプラント。
【請求項28】
人工椎間板インプラントを挿入するシステムであって、
ボディと、ボディを通る経路と、人工椎間板インプラントの係合プレートと解放可能に結合されるように構成されたアーム部とを有するインサータと、
アーム部に結合された係合プレート間に分離距離を確立するためにアーム部を移動するように構成された、ボディに経路を介して位置決め可能な1つまたは複数の伸延器とを備えたシステム。
【請求項29】
係合プレート間のある位置まで伸延器を介して経路の下方に部材を打ち込むように構成された押込器をさらに備える請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
係合プレート間に部材を設置するように構成された部材用シーターをさらに備える請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
試用エンドプレートをさらに備え、少なくとも1つの伸延器と組み合わせた試用エンドプレートは、挿入される人工椎間板インプラントの高さおよび前弯角を決定するように構成された請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
器具キットであって、
1つまたは複数の試用エンドプレートと、
複数のインプラント構成部品と、
椎間腔内に構成部品を位置決めできるように、選択されたインプラント構成部品に結合されるように構成されたインサータと、
インサータに結合された選択されたインプラント構成部品間に分離距離を確立するために、インサータに結合されるように構成された1つまたは複数の伸延器とを備えた器具キット。
【請求項33】
インサータは試用エンドプレートに結合されるように構成された請求項32に記載の器具キット。
【請求項34】
1つまたは複数の試用エンドプレートは傾斜になっている請求項32に記載の器具キット。
【請求項35】
インサータに結合された選択されたインプラント構成部品間にインプラント構成部品を位置決めするように構成された押込器をさらに備えた請求項32に記載の器具キット。
【請求項36】
部材用シーターをさらに備え、部材用シーターはインプラント構成部品の1つに圧力を印加するように構成された請求項32に記載の器具キット。
【請求項37】
インサータに結合された選択されたインプラント構成部品間にインプラント構成部品を位置決めするように構成された押込器をさらに備えた請求項32に記載の器具キット。
【請求項38】
脊椎の椎骨間にインプラントを形成する方法であって、
1対の係合プレートをインサータの一部分に結合する工程と、
隣接する椎骨間に係合プレートを位置決めする工程と、
係合プレート間に1つまたは複数の部材を位置決めする工程とを含み、
係合プレートの少なくとも一部分および少なくとも1つの部材の少なくとも一部分は、第2の椎骨に対する第1の椎骨の少なくとも幾らかの運動を可能にするように構成された方法。
【請求項39】
係合プレートを位置決めする工程は椎骨への前方進入法を含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
係合プレートを位置決めする工程は椎骨への角度の付いた前方進入法を含む請求項38に記載の方法。
【請求項41】
インサータ内に伸延器を位置決めする工程をさらに含み、伸延器は実質的に平行な方向に第2の係合プレートから1つの係合プレートを分離するように構成された請求項38に記載の方法。
【請求項42】
インサータ内に伸延器を位置決めする工程をさらに含み、伸延器は第2の係合プレートから1つの係合プレートを分離するように構成され、かつ1つまたは複数の部材のうちのある部材を係合プレート間に位置決めする工程は、押込器を用いて伸延器を介して部材を誘導する工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項43】
運動は脊椎の少なくとも軸回転および側方運動を含む請求項38に記載の方法。
【請求項44】
係合プレートの前弯角および挿入される部材の高さを決定するために、インサータに係合プレートを結合させる前に椎間腔内に1つまたは複数の試用インプラントおよび1つまたは複数の伸延器を挿入する工程をさらに含む請求項38に記載の方法。
【請求項45】
椎間板インプラント挿入用の器具であって、
ボディと、
1つまたは複数の係合プレートに結合されるように構成された1つまたは複数のアーム部と、
ボディの開口部内に位置決め可能な伸延器とを備え、伸延器は実質的に平行な方向に第2の係合プレートから1つの係合プレートを分離するように構成された器具。
【請求項1】
2つの係合プレートを備えたヒト脊椎用の人工椎間板であって、
各係合プレートは凹部と、椎間板インプラントの挿入中に挿入器具と係合するように構成された2つ以上の溝穴とを含み、
溝穴は係合プレートの前−後軸に対してある角度を成しており、かつ1つまたは複数の部材が係合プレート間に位置決め可能であり、部材の少なくとも1つは使用中に相互に対して係合プレートの軸回転、側方運動および前後運動を可能にするために、凹部の少なくとも1つを補完するように構成された部分を含んでいる人工椎間板。
【請求項2】
凹部の少なくとも1つの1つまたは複数の側が先細形状になっている請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
凹部の少なくとも1つの後ろ側の高さが前側の高さを超えている請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
凹部の少なくとも1つを補完するように構成された部分は凸部であり、かつ凹部の少なくとも1つは凸部に相補的な凹部を含んでいる請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
係合プレートの少なくとも1つは凸部を含み、部材の少なくとも1つは凹部を含み、かつ凸部は凹部に相補的である請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
2つの係合プレートおよび1つまたは複数の部材は金属で製造される請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
溝穴は鳩尾形である請求項1に記載のインプラント。
【請求項8】
ヒト椎骨間に人工椎間板インプラントを挿入するシステムであって、
ボディと、ボディを通る経路と、人工椎間板インプラントの係合プレートと解放可能に結合されるように構成されたアーム部とを有するインサータと、
ヒト椎骨間に椎間腔を形成するために係合プレートを分離する間にインサータのアーム部に結合された係合プレートが実質的に平行のままであるようにインサータのアーム部を分離するように構成された、ボディの経路内に位置決め可能な伸延器とを備えたシステム。
【請求項9】
インサータが係合プレートにインサータを結合することによって係合プレート間の分離が大きくならないように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
インサータのアーム部は係合プレート内の鳩尾形溝穴と解放可能に結合されるように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
インサータおよび伸延器は、係合プレートの挿入中に伸延器が係合プレートと接触しないように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
押込器をさらに備え、押込器は経路を介して部材を伸延器内に打ち込み、かつ係合プレート間に部材を位置決めするように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
インサータ内の経路を介して係合プレート内に部材を設置するように構成された部材用シーターをさらに備える請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
試用エンドプレートおよび1つまたは複数の付加的な伸延器をさらに備え、試用エンドプレートは挿入される人工椎間板インプラントの高さおよび前弯角を決定するために、伸延器と組み合わせて使用されるように構成された請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
ヒト脊椎間に人工椎間板インプラントを形成する方法であって、
ヒト椎骨間に2つの係合プレートを位置決めする工程と、
係合プレートが実質的に平行なままであるように、係合プレートを分離する工程と、
部材の少なくとも1つの表面が係合プレートの少なくとも1つの相補的表面に接触するように、係合プレート間に1つまたは複数の部材を位置決めする工程とを含み、
係合プレートおよび部材の少なくとも1つは、使用中に係合プレートの相対運動を可能にするように構成された方法。
【請求項16】
椎骨間に係合プレートを位置決めする前に、椎骨間に形成される人工椎間板インプラントの高さ、寸法、および前弯角を決定する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
係合プレートの少なくとも1つの上の凸部と係合するために、椎骨の少なくとも1つ内に凹部を形成する工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項18】
部材の少なくとも1つを位置決めする工程は、係合プレートの少なくとも1つの円形凹部内に該部材を位置決めする工程を含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
係合プレートは椎骨への角度の付いた前方進入法を用いて位置決めされる請求項15に記載の方法。
【請求項20】
係合プレートは椎骨への前方進入法を用いて位置決めされる請求項15に記載の方法。
【請求項21】
椎間板インプラントであって、
第1の係合プレートおよび第2の係合プレートと、
係合プレート間に位置決め可能な部材とを備え、
第1の係合プレートは部材のベースを受け取るように構成された凹部を含み、凹部の1つまたは複数の側面は先細形状であり、かつ第2の係合プレートの表面は使用中に相互に対して係合プレートの軸回転、側方運動および前後運動を可能にするために部材の表面を補完する椎間板インプラント。
【請求項22】
凹部の後ろ側の高さは凹部の前側の高さよりも大きい請求項21に記載のインプラント。
【請求項23】
係合プレートの少なくとも1つは部材の凸部に相補的な凹部を含む請求項21に記載のインプラント。
【請求項24】
係合プレートの少なくとも1つは部材の凹部に相補的な凸部を含む請求項21に記載のインプラント。
【請求項25】
係合プレートの少なくとも1つは少なくとも1つの結合用凸部を含む請求項21に記載のインプラント。
【請求項26】
係合プレートは1つまたは複数の溝穴を含み、溝穴はインプラント挿入用器具と係合するように構成された請求項21に記載のインプラント。
【請求項27】
係合プレートは1つまたは複数の溝穴を含み、溝穴はインプラント挿入用器具と係合するように構成され、かつ溝穴は係合プレートの前−後軸に対してある角度で位置決めされた請求項21に記載のインプラント。
【請求項28】
人工椎間板インプラントを挿入するシステムであって、
ボディと、ボディを通る経路と、人工椎間板インプラントの係合プレートと解放可能に結合されるように構成されたアーム部とを有するインサータと、
アーム部に結合された係合プレート間に分離距離を確立するためにアーム部を移動するように構成された、ボディに経路を介して位置決め可能な1つまたは複数の伸延器とを備えたシステム。
【請求項29】
係合プレート間のある位置まで伸延器を介して経路の下方に部材を打ち込むように構成された押込器をさらに備える請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
係合プレート間に部材を設置するように構成された部材用シーターをさらに備える請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
試用エンドプレートをさらに備え、少なくとも1つの伸延器と組み合わせた試用エンドプレートは、挿入される人工椎間板インプラントの高さおよび前弯角を決定するように構成された請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
器具キットであって、
1つまたは複数の試用エンドプレートと、
複数のインプラント構成部品と、
椎間腔内に構成部品を位置決めできるように、選択されたインプラント構成部品に結合されるように構成されたインサータと、
インサータに結合された選択されたインプラント構成部品間に分離距離を確立するために、インサータに結合されるように構成された1つまたは複数の伸延器とを備えた器具キット。
【請求項33】
インサータは試用エンドプレートに結合されるように構成された請求項32に記載の器具キット。
【請求項34】
1つまたは複数の試用エンドプレートは傾斜になっている請求項32に記載の器具キット。
【請求項35】
インサータに結合された選択されたインプラント構成部品間にインプラント構成部品を位置決めするように構成された押込器をさらに備えた請求項32に記載の器具キット。
【請求項36】
部材用シーターをさらに備え、部材用シーターはインプラント構成部品の1つに圧力を印加するように構成された請求項32に記載の器具キット。
【請求項37】
インサータに結合された選択されたインプラント構成部品間にインプラント構成部品を位置決めするように構成された押込器をさらに備えた請求項32に記載の器具キット。
【請求項38】
脊椎の椎骨間にインプラントを形成する方法であって、
1対の係合プレートをインサータの一部分に結合する工程と、
隣接する椎骨間に係合プレートを位置決めする工程と、
係合プレート間に1つまたは複数の部材を位置決めする工程とを含み、
係合プレートの少なくとも一部分および少なくとも1つの部材の少なくとも一部分は、第2の椎骨に対する第1の椎骨の少なくとも幾らかの運動を可能にするように構成された方法。
【請求項39】
係合プレートを位置決めする工程は椎骨への前方進入法を含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
係合プレートを位置決めする工程は椎骨への角度の付いた前方進入法を含む請求項38に記載の方法。
【請求項41】
インサータ内に伸延器を位置決めする工程をさらに含み、伸延器は実質的に平行な方向に第2の係合プレートから1つの係合プレートを分離するように構成された請求項38に記載の方法。
【請求項42】
インサータ内に伸延器を位置決めする工程をさらに含み、伸延器は第2の係合プレートから1つの係合プレートを分離するように構成され、かつ1つまたは複数の部材のうちのある部材を係合プレート間に位置決めする工程は、押込器を用いて伸延器を介して部材を誘導する工程を含む請求項38に記載の方法。
【請求項43】
運動は脊椎の少なくとも軸回転および側方運動を含む請求項38に記載の方法。
【請求項44】
係合プレートの前弯角および挿入される部材の高さを決定するために、インサータに係合プレートを結合させる前に椎間腔内に1つまたは複数の試用インプラントおよび1つまたは複数の伸延器を挿入する工程をさらに含む請求項38に記載の方法。
【請求項45】
椎間板インプラント挿入用の器具であって、
ボディと、
1つまたは複数の係合プレートに結合されるように構成された1つまたは複数のアーム部と、
ボディの開口部内に位置決め可能な伸延器とを備え、伸延器は実質的に平行な方向に第2の係合プレートから1つの係合プレートを分離するように構成された器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38A】
【図38B】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
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【図30】
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【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38A】
【図38B】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【公表番号】特表2006−504492(P2006−504492A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550317(P2004−550317)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/034641
【国際公開番号】WO2004/041131
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(504293469)スパイナル・コンセプツ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/034641
【国際公開番号】WO2004/041131
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(504293469)スパイナル・コンセプツ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】
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