説明

可塑化ポリラクチド

ポリラクチド樹脂と可塑剤を含み、可塑剤が、次の化学式を有し、


式中、
Rが、同じでも異なってもよく、少なくとも1つのRが、C以上の炭素鎖長を有する分枝アルキル基であり、
R’が、H又はアシル基である組成物。
別の態様では、本発明は、半晶質ポリラクチドフィルムを提供する方法を提供し、この方法は、ポリラクチド樹脂、成核剤及び前述の可塑剤を含むポリラクチド組成物を提供する工程を含む。組成物は、溶融シートとして押し出し成形され、溶融シートは次に、ポリラクチドを結晶化しフィルムが提供するように冷却される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、フィルム、そのようなフィルム及び最終物品の製造方法に関し、これらは全て少なくとも1つの可塑剤と共にポリラクチドを含む。
【背景技術】
【0002】
再生可能高分子は、天然材料又はバイオマス材料に由来する。再生可能で化学的分解可能な高分子は、廃棄物管理、利用可能性、コストなど、石油系高分子の使用によって生じる問題に取り組むときに興味深い。様々な製品のどれに使用するにも適した改善された再生可能高分子フィルムが長い間必要とされてきた。
【0003】
市販の再生可能高分子は、乳酸又はラクチドの重合から生成されたものである。乳酸は、コーンスターチ又はショ糖のバクテリア発酵によって得られる。しかし、重合反応が水を生成し、その水の存在によって高分子鎖の配列が分解し、その結果低分子量の高分子ができるので、乳酸を有用な生成物に直接重合できない。この問題を回避するために、乳酸は、典型的には、広範囲の分子量を有する高分子に重合し易い環状ラクチドモノマーに変換される。得られる高分子材料は、典型的には、「ポリ乳酸」、「ポリラクチド」又は「PLA」と呼ばれる。
【0004】
PLA単独では、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などの幅広く使用される幾つかの石油系高分子の代替として使用し難いことがある。ポリプロピレンとポリエチレンの両方のガラス転移温度(T)は、PLAのT(約60℃)よりかなり低い(例えば、約−80℃)。これらの結晶融点は、類似しているが(130℃〜160℃の範囲内)、PLAの晶析速度は、PEやPPより遅い。したがって、柔らかい半結晶PLAフィルムを生成することは、PP又はPEから類似のフィルムを作成するより難しいことがある。
【0005】
より柔らかい可撓性PLAフィルムを得るには、PLAとPLAと混和性のある可塑剤とを含むフィルム形成組成物を配合することが一般的である。可塑剤を使用すると、可塑剤の濃度が低いときでも、PLAのガラス転移温度(T)が実質的に下がる。PLAに一般に使用される1つの可塑剤は、約15重量%のレベルでPLAと調合されたときに低いガラス転移温度(例えば、T=約30℃)を有するPLAフィルムを提供するクエン酸アセチルトリ(n−ブチル)である。可塑化フィルムは、最初、非可塑化フィルムより柔かく、より低いTで処理中の結晶化が可能である。しかしながら、これらの改善された性質は、可塑剤がフィルムの表面を「被覆し」、蒸発するので時間の経過と共に劣化することがある。これらの影響は、室温で認められることがあり、高い温度(例えば、40℃以上)のほどはっきりする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
PLAと少なくとも1つの可塑剤とを含む組成物、そのような組成物から作成された老化安定フィルム及び品物、並びにそのような老化安定フィルム及び品物を製造する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一態様において、
ポリラクチド樹脂と、
次の化学式の可塑剤であって、
【0008】
【化1】

式中、
Rが、同じでも異なってもよく、少なくとも1つのRが、C以上の炭素鎖長を有する分枝アルキル基であり、
R’がH又はアシル基である可塑剤を含む組成物を提供することによって、当該技術分野の満たされていない必要性に対処する。
【0009】
別の態様では、本発明は、半晶質ポリラクチドフィルムを提供する方法を提供し、この方法は、
(a)ポリラクチド組成物を提供することであって、
(i)ポリラクチド樹脂、
(ii)成核剤及び、
(iii)次の化学式の可塑剤であって、
【0010】
【化2】

式中、
Rが、同じでも異なってもよく、少なくとも1つのR基が、C以上の炭素鎖長を有する分枝アルキル基であり、
R’が、H又はアシル基であるポリラクチド組成物を提供することと、
(b)組成物を溶融シートとして押し出し成形することと、
(c)シートを冷却してポリラクチドを結晶化させフィルムを提供すること、とを含む。
【0011】
材料に適用される用語「老化安定」は、時間の経過における材料の特性変化の評価を指す。幾つかの例では、老化安定性は、時間の経過における材料の重量又は質量の変化を決定することにより測定される。幾つかの例では、老化安定性は、時間の経過における材料の機械的性質の変化を決定することによって測定される。老化安定性は、材料が高い温度に晒された後で評価されてもよい。大きな重量損失が生じない場合でも、材料の機械的性質の消耗は、老化安定性が低いことを示す。
【0012】
用語「ポリラクチド」、「PLA」及び「ポリ乳酸」は、区別なく使用され、同じ高分子材料を指す。
【0013】
用語「含む」及びその変化形は、これらの用語が説明文及び特許請求の範囲において現れる場合、限定的な意味を有するものではない。
【0014】
本明細書で使用する時、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。したがって、例えば、「1つの(a)」成核剤を含む組成物は、その組成物が「1つ以上の(one or more)」成核剤を含むことを意味すると解釈できる。同様に「1つの」可塑剤を含有する組成物は、「1つ以上の」可塑剤を含有する組成物を意味すると解釈できる。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「又は」は、その内容によって別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられている。用語「及び/又は」は、挙げられた要素の1つ若しくは全て、又は挙げられた要素の任意の2つ以上の組合わせを意味する。
【0016】
本明細書で使用されるとき、全ての数値は、用語「約」で修正されると仮定される。
【0017】
本明細書における終点による数値範囲の列挙は、列挙範囲内に含まれる全ての数字を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)ことを理解されたい。また、特定の値「まで(up to)」を含む数値範囲は、その値を含むように理解される。
【0018】
以上の要約は、本発明のあらゆる実施形態又は実施態様について述べるものではない。当業者は、詳細な説明、非限定的な例、及び添付の特許請求の範囲を含む本明細書の残りの節を検討することにより本発明を理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の様々な実施形態では、ポリラクチド(又はPLA)と少なくとも1つの可塑剤を含む組成物が示される。前述の組成物から作成されるフィルム及び品物、並びにそのようなフィルム及び品物の製造方法も示される。本発明の実施形態では、柔軟な老化安定PLAフィルムを提供するために、特定の可塑剤が、組成物、物品及びフィルムに添加される。
【0020】
再生可能な高分子材料は、ポリラクチド(PLA)である。乳酸は、2つの光学異性体、(S)−乳酸としても知られるL−乳酸、及び(R)−乳酸としても知られるD−乳酸を有する。乳酸のキラル性のために、いくつかの別個の形態のポリラクチド(2つの(S)−乳酸残基を含む、L−ラクチドとしても知られるL,L−ラクチド、D−ラクチドとしても知られる、2つの(R)−乳酸残基を含むD,D−ラクチド、及び(R)−乳酸残基と(S)−乳酸残基とを1つずつ含むメソ−ラクチド)が存在する。L−ラクチドとDラクチドのラセミ混合物の重合により、通常、非晶質材料のポリ−DLラクチドが合成される。得られるPLAフィルムの結晶化度は、成核剤の使用によって高められることが多く、フィルムの可撓性、耐久性及び全体的な「感触」を高めるために可塑剤が加えられる。
【0021】
可塑剤分子は、高分子の鎖の間に埋め込まれ、高分子の分子を離間させ(例えば、「自由体積」を大きくする)、プラスチックのガラス転移温度を下げ同時にプラスチックを柔らかくすると考えられる。プラスチック材料の場合、可塑剤が多いほど、プラスチックのガラス転移温度(T)が下がる。PLAフィルム及び物品用の従来の可塑剤は、高分子内から外側面に移動する傾向があり、これは「ブルーミング」として知られる現象である。表面では、幾つかの可塑剤分子は、周囲温度にある程度依存する割合で周囲大気に蒸発するほど揮発性である。幾つかの可塑剤の「ブルーミング」により、PLAフィルムは、その初期の可撓性が低下することがあり、また次第に油分が多い状態になり、接触に対して滑り易くなることがある。更に、引張強さ、弾性率、破壊伸び率などの特性に悪影響を及ぼす可能性があり、また老化安定性低下を呈するようなフィルムの特性の原因となりやすい。
【0022】
本発明の実施形態では、丈夫な老化安定フィルムの作成に使用する溶融PLA組成物が提供される。組成物は、PLA樹脂を可塑剤と、典型的には成核剤と共に含む。PLAは、Natureworks LLC,Minnetonka,Minnesotaなどの商業的供給源から得られる。
【0023】
本明細書の実施形態では、PLA組成物に含めるに適切な可塑剤には、分枝アルキル基を含むものが挙げられ、可塑剤は、次の化学式(I)で表わされる。
【0024】
【化3】

式中、
Rは、同じでも異なってもよく、3つの「R」基のうちの少なくとも1つは、C以上の炭素鎖長を有する分枝アルキル基である。
【0025】
R’は、H又はアシル基である。
【0026】
幾つかの実施形態では、PLA組成物は、化学式(I)による可塑剤を含み、Rは、例えば、C〜C10、又はC〜Cの炭素鎖長を有する1つ又は複数の分枝アルキル基であり、R’は、アセチルである。
【0027】
幾つかの実施形態では、可塑剤は、化学式(I)に示された通りであり、少なくとも1つのR基が、分枝Cアルキルであり、R’がH又はアセチルである。1つ又は複数のR基が分枝Cアルキル基である幾つかの実施形態では、Cアルキル基は、3−メチルブチルでもよい。特定の実施形態では、R基が全て3−メチルブチルであり、R’が、アセチルであり、即ち、可塑剤は、クエン酸アセチルトリ−3メチルブチルである。
【0028】
幾つかの実施形態では、可塑剤は、化学式(I)に示された通りであり、少なくとも1つのR基が、分枝Cアルキルであり、R’が、H又はアセチルである。1つ又は複数のR基が分枝Cアルキル基である幾つかの実施形態では、Cアルキル基は、2−メチルブチルである。特定の実施形態では、R基が全て2−メチルブチルであり、R’が、アセチルであり、即ち、可塑剤は、クエン酸アセチルトリ−2−メチルブチルである。
【0029】
更に他の実施形態では、可塑剤は、化学式(I)に示された通りであり、少なくとも1つのR基が、分枝Cアルキル基であり、R’がH又はアセチルである。1つ又は複数のR基が分枝Cアルキル基である幾つかの実施形態では、Cアルキル基がそれぞれ2−エチルヘキシルである。特定の実施形態では、R基が全て2−エチルヘキシルであり、R’がアセチルであり、即ち、可塑剤は、クエン酸アセチルトリ−2−エチルヘキシルである。
【0030】
更に他の実施形態では、可塑剤は、化学式(I)に示された通りであり、少なくとも1つのR基が分枝Cアルキル基であり、R’がH又はアセチルである。1つ以上のR基が分枝Cアルキル基である幾つかの実施形態では、Cアルキル基はそれぞれ2オクチルである。特定の実施形態では、R基が全て2−オクチルであり、R’がアセチルであり、即ち、可塑剤は、クエン酸アセチルトリ−2−オクチルである。
【0031】
他の特定の分子が、化学式(I)の範囲に含まれ、本明細書では詳細に述べないが、本発明の範囲内であることが理解されよう。実際には、1つ又は複数の分枝アルキル基部分を含む様々な実施形態が、本発明の範囲に含まれる。更に、幾つかの実施形態では、単一の可塑剤分子が、複数の分枝アルキル基部分(例えば、2−エチルヘキシル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、及び2−オクチルから選択されたアルキル基部分の組み合わせ)を含んでもよい。幾つかの実施形態では、可塑剤分子は、以上の群から選択された3つの異なるアルキル基部分を含んでもよい。更に他の実施形態では、可塑剤は、2つの異なる分枝アルキル基部分、即ち、2つの同一部分を含むアルキル基部分の何らかの組み合わせと、他の2つと異なる追加の部分を含んでもよく、当該部分は、2−エチルヘキシル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、及び2−オクチルから選択される。
【0032】
本明細書で述べる様々な実施形態では、前述の可塑剤は、約5重量%〜約35重量%の範囲、約7重量%〜約25重量%の範囲、又は約10重量%〜約20重量%の範囲内の濃度でPLA組成物中に存在してもよい。
【0033】
化学式(I)のような組成物を有するクエン酸エステル系可塑剤は、Basel,SwitzerlandのJungbunzlauer AGなどの商業的供給源から購入可能である。しかしながら、可塑剤は、当業者によって理解される確立された合成法によって作成されてもよい。例えば、可塑剤は、2段階法で作成されてもよく、最初に、クエン酸が、p−トルエンスルファン酸触媒を使用して150℃で最適なアルコールによりエステル化される。得られた材料は、再びp−トルエンスルファン酸触媒を使用して、150℃で無水酢酸を使用してアセチル化される。得られた可塑剤材料は、標準技術を使用して精製され分離される。1つ又は複数の特定の合成法は、本明細書の非限定的な例に見ることができる。
【0034】
結晶化を促進するために、PLA組成物中に、成核剤が、典型的には約0.1重量%〜約10重量%の範囲、又は約0.5重量%〜約5重量%の範囲の濃度で存在してもよい。適切な成核剤は、当業者によって選択されてもよい。幾つかの実施形態では、適切な成核剤は、無機鉱物、有機化合物、有機酸塩、微粉結晶性高分子、及び以上のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。有用な成核剤の例には、例えば、滑石(水和ケイ酸マグネシウム−HMg(SiO又はMgSi10(OH))、シリカ(SiO)、チタニア(TiO)、アルミナ(Al)、酸化亜鉛、サッカリンのナトリウム塩、ケイ酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、チタン酸カルシウム、窒化ホウ素、銅フタロシアニン、フタロシアニンなどが挙げられる。適切な無機成核剤には、少なくとも25ナノメートル又は少なくとも0.1マイクロメートルの平均粒径を有するものが挙げられる。複数の異なる成核剤の組み合わせを使用してもよい。
【0035】
本発明によるPLA組成物の調製では、成分は、当業者に既知の任意の適切な手段を使用して完全に混合される。PLA、可塑剤及び成核剤が混合されてPLA組成物が作成され、混合は、ミキサ(例えば、Brabenderミキサ)、押出機、捏和機などで行われてもよい。混合の後で、組成物は、プロセスと利用可能機器の規模を考慮した公知の技術を使用してフィルムに形成されてもよい。幾つかの実施形態では、PLA組成物を圧縮機に送り、次に圧縮し固化して個別のPLAフィルムシートを形成する。他の実施形態では、PLA組成物は、連続長のPLAフィルムを形成するのに適した冷却温度で維持されたキャスティングローラ上に押し出し成形されてもよい。更に、本発明の実施形態によるPLAフィルムの製造方法を非限定的な例で述べる。
【0036】
本発明の実施形態では、部分的に結晶でありかつ本明細書の化学式(I)の組成物を含む可塑剤で可塑化されたPLAフィルムが提供される。そのような可塑化PLAフィルムは、他の可塑剤で可塑化されたPLAフィルムと比較して改善された特性を示す。PLAフィルムがクエン酸エステル系可塑剤を含む実施形態では、典型的には、高い分子量のアルキル部分を含むクエン酸エステル系可塑剤の方が、低い分子量を有するアルキル基部分より優れた性能を有する。直鎖アルキル基部分を有する既知の可塑剤を含むPLAフィルムは、可塑剤がフィルムの表面に移動する「ブルーミング」現象が起きやすい。可塑剤の著しいブルーミングは、フィルムの物理特性を低下させる可能性がある。高温時、クエン酸エステル系可塑剤の中にはフィルムの表面から蒸発するものがある。その結果、PLAフィルムには、他の物理特性の低下に加えて測定できるほど重量損失が生じることがある。分枝アルキル基部分の分子量が大きいほど(例えば、C以上の分岐アルキル基部分)、非分枝アルキル置換基を含む類似の可塑剤と比較したときに、典型的にはPLAフィルム内でより安定した可塑剤が提供される。本発明の様々な実施形態で使用される分枝アルキル置換可塑剤は、「ブルーミング」の傾向を驚くほど低減し、それによりPLAフィルムの老化安定性に寄与する。一般に、より高い分子量の分枝アルキル基を含む可塑剤ほど、PLAフィルムのガラス転移温度の低下を示した。幾つかの実施形態では、PLAフィルムのガラス転移温度の低下は、約30℃〜40℃の範囲、幾つかの実施形態では20℃〜40℃の範囲である。換言すると、本発明の様々な実施形態では、PLAの標準ガラス遷移温度は、約60℃から約40℃、又は約30℃未満、又は約20℃に低下した。
【0037】
本発明による可塑化ポリラクチドフィルムは、良好な老化安定性を示し、可塑剤の「ブルーミング」を示さない。幾つかの実施形態では、化学式(I)で示されたような可塑剤を含み、可塑剤が約15重量%の濃度で存在するPLAフィルムが提供される。化学式(I)に示された可塑剤を使用するので、PLAフィルムは、約65℃の温度で4週間アニールされたとき、約3%未満の重量損失が起こる。
【0038】
別の実施形態では、PLAフィルムは、約15重量%の濃度で存在する化学式(I)の可塑剤を含むことができ、フィルムは、約65℃の温度で4週間アニールされたときに約1%未満の重量損失が起こる。
【0039】
様々な実施形態では、本発明は、例えば、共同所有された同時係属米国仮出願第61/141120号に記載されたような、一方又は両方の主面の様々な構造のうちのいずかを有するPLAフィルムの製造方法を提供する。特定の実施形態では、PLAフィルムは、例えば、米国特許第6,132,660号、同第6,039,911号、第5,679,302号及び同第6,635,212号に記載されたようなフックファスナ(ヘッドステム機械式ファスナとも呼ばれる)の作成に使用することができる軸状ウェブである。他の実施形態では、つや消し仕上げフィルムが提供されてもよい。例示的なつや消し仕上げフィルム構造面の構造は、少なくとも約1.25マイクロメートルの粗さ平均(Ra)を有することができる。
【0040】
他の実施形態では、溶融PLA組成物は、PLAと、必要に応じてPLAと適合性のある他の高分子とを含むように配合されてもよい。典型的には、ポリラクチドは、5重量%未満のd−ラクチド、又は2重量%未満のd−ラクチドを含む。
【0041】
本発明の一実施形態によって作成されたPLAフィルムは、様々な製品に使用することができる。例えば、それらは、おむつ又は病院用ガウンのような使い捨て衣類の閉鎖機構のフック・アンド・ループ式ファスナとして、おむつのバックシートとして、テープ(おむつテープなど)、テープフラッグ、リント除去テープ(例えばリントローラー)、及び不織布及び紙のような他の基材へのフィルムのラミネートに、使用することができる。例えば、つや消し仕上げのPLA含有フィルムは、おむつ(例えばバックシート又はテープ支持体として)、テープ、テープフラッグ、及びリント除去テープのような日用品用途に使用することができる。つや消し仕上げ面は、必要に応じて、つや消し仕上げPLAフィルムの片側にあってもよく両側にあってもよい。支持体として本発明のつや消し仕上げフィルムを使用するテープの接着剤は、つや消し仕上げされた表面に配置されてもよく、又は反対側の(典型的には平滑な)表面に配置されてもよい。
【0042】
そのような使い捨て衣類は、フック・アンド・ループ式ファスナシステムの代わりに接着締結式のタブ(例えばおむつテープ)を含んでもよい。そのようなテープは、上に接着剤層を有する表面を含むPLAフィルム(つや消し仕上げフィルムなど)を含むことができる。本発明により作成され、テープフラグや、糸屑除去シート又はローラに使用されるテープなどの様々な他の用途に使用するのに適したPLAフィルム裏材を使用して、他のテープを作成することができる。粘着式エラストマ(例えば、A〜Bタイプ・ブロック共重合体)など様々な接着剤を使用することができる。
【0043】
本発明の実施形態の更なる説明では、ポリラクチド樹脂と次の化学式の可塑剤を含む第1の組成物が提供される。
【0044】
【化4】

式中、
Rは、同じでも異なってもよく、少なくとも1つのR基が、C以上の炭素鎖長を有する分枝アルキル基であり、
R’が、H又はアシル基である。
【0045】
前述の特徴のいずれか又は全てを有する第1の組成物の一種でもよい第2の組成物が提供され、Rは、C〜C10の炭素鎖長を有する1つ又は複数の分枝アルキル基である。
【0046】
第1又は第2の組成物の一種でもよい第3の組成物が提供される。第3の組成物では、Rは、C〜Cの炭素鎖長を有する1つ又は複数の分枝アルキル基である。
【0047】
第1〜第3の組成物のいずれかの一種でもよい第4の組成物が提供される。第4の組成物では、可塑剤は、組成物中に約5重量%〜約35重量%の範囲の濃度で存在する。
【0048】
第1から第4の組成物のいずれかの一種でもよい第5の組成物が提供される。第5の組成物では、組成物は、更に、約0.1重量%〜約10重量%の量の成核剤を含む。成核剤は、無機鉱物、有機化合物、有機酸塩、及び微粉結晶性高分子からなる群から選択される。
【0049】
第1から第5の組成物のいずれかの一種でもよい第6の組成物が提供される。第6の組成物では、R’は、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、分枝Cアルキル基である。
【0050】
第1から第6の組成物のいずれかの一種でもよい第7の組成物が提供される。第7の組成物では、R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、3−メチルブチル又は2−メチルブチルである。
【0051】
第1から第7の組成物いずれかの一種でもよい第8の組成物が提供される。第8の組成物では、R基が全て、3−メチルブチル又は2−メチルブチルである。
【0052】
第1から第5の組成物いずれかの一種でもよい第9の組成物が提供される。第9の組成物では、R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、分枝Cアルキル基である。
【0053】
第9の組成物の一種でもよい第10の組成物が提供される。第10の組成物では、R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、2−エチルヘキシルである。
【0054】
第9又は第10の組成物の一種でもよい第11の組成物が提供される。第11の組成物では、3つ全てのR基が、2−エチルヘキシルである。
【0055】
第9の組成物の一種である第12の組成物が提供される。第12の組成物では、R’が、Hでもアセチルでもよく、少なくとも1つのR基が、2−オクチルである。
【0056】
第9又は第12組成物の一種でもよい第13の組成物が提供される。第13の組成物では、3つの全てのR基が2−オクチルである。
【0057】
以上の組成物に加えて、第1のPLAフィルムが提供される。第1のフィルムは、第1から第13の組成物のいずれかから作成され、フィルムは、少なくとも部分的に結晶性である。
【0058】
第1のフィルムの一種である第2のPLAフィルムが提供される。第2のフィルムは、フィルム中に約5重量%〜約35重量%の濃度の可塑剤を含む。
【0059】
第1又は第2のフィルムの一種である第3のフィルムが提供される。第3のフィルムは、約50℃未満のガラス転移温度を有する。
【0060】
第1から第3のフィルムの一種である第4のフィルムが提供される。第4のフィルムは、約15重量%の濃度で存在する可塑剤を有し、フィルムは、約65℃の温度で4週間アニールされたときに約3%未満の重量損失を受ける。
【0061】
第1から第4のフィルムの一種である第5のフィルムが提供される。第5のフィルムの特徴は、約15重量%の濃度で存在する可塑剤を有し、フィルムは、約65℃の温度で4週間アニールされたときに約1%未満の重量損失を受ける。
【0062】
組成物とフィルムに加えて、半晶質ポリラクチドフィルムを作成する第1の方法が提供され、第1の方法は、
(a)ポリラクチド組成物を提供する工程であって、
(i)ポリラクチド樹脂、
(ii)成核剤、及び、
(iii)次の化学式の可塑剤であって、
【0063】
【化5】

式中、
Rが、同じでも異なってもよく、少なくとも1つのR基が、C以上の炭素鎖長を有する分枝アルキルであり、
R’が、H又はアシル基であるポリラクチド組成物を提供する工程と、
(b)組成物を溶融シートとして押し出し成形する工程と、
(c)シートを冷却してポリラクチドを結晶化させフィルムを提供する工程と、を含む第1の方法を提供する。
【0064】
第1の方法の全ての特徴を有することができる第2の方法が提供される。第2の方法では、組成物中に約5重量%〜約35重量%の濃度の可塑剤が存在する。
【0065】
第1又は第2の方法の全ての特徴を有することができる第3の方法が提供される。第3の方法は、組成物中に約0.1重量%〜約10重量%の量の成核剤を加える。成核剤は、無機鉱物、有機化合物、有機酸塩、及び微粉結晶性高分子を含む群から選択される。
【0066】
第1から第3の方法の全ての特徴を有することができる第4の方法が提供される。第4の方法は、R’基がH又はアセチルでありかつ少なくとも1つのR基がC分枝アルキル基である可塑剤を利用する。
【0067】
第4の方法の全ての特徴を有することができる第5の方法が提供される。第5の方法は、R’基がH又はアセチルでありかつ少なくとも1つのR基が3−メチルブチルである可塑剤を利用する。
【0068】
第4の又は第5の方法の全ての特徴を有することができる第6の方法が提供される。第6の方法は、R’がH又はアセチルでありかつR基が3−メチルブチルである可塑剤を利用する。
【0069】
第4の方法の全ての特徴を有することができる第7の方法が提供される。第7の方法は、R’基がH又はアセチルでありかつ少なくとも1つのR基が2−メチルブチルである可塑剤を利用する。
【0070】
第7の方法の全ての特徴を有することができる第8の方法が提供される。第8の方法は、R’がH又はアセチルであり、かつ全てのR基が2−メチルブチルである可塑剤を利用する。
【0071】
第1から第3の方法の全ての特徴を有することができる第9の方法が提供される。第9の方法は、R’がH又はアセチルでありかつ少なくとも1つのR基がC分枝アルキル基である可塑剤を利用する。
【0072】
第9の方法の全ての特徴を有することができる第10の方法が提供されるが、可塑剤が、H又はアセチルであるR’を含み、少なくとも1つのR基が2−エチルヘキシルである。
【0073】
第9又は第10の方法の全ての特徴を有することができる第11の方法が提供されるが、R’は、H又はアセチルであり、R基が全て2−エチルヘキシルである。
【0074】
第1から第3の方法の全ての特徴を有することができる第12の方法が提供されるが、R’がH又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が2−オクチルである。
【0075】
第12の方法の全ての特徴を有することができる第13の方法が提供されるが、R’がH又はアセチルであり、R基が全て2−オクチルである。
【0076】
第1から第13の方法の全ての特徴を有することができる第14の方法が提供されるが、組成物は、構造化面を有するツールロール上に押し出し成形される。
【0077】
第1から第14の方法のいずれかにより作成される半晶質ポリラクチドフィルムが提供される。
【0078】
ポリラクチド物品は、第1から第14の方法のいずれかにより作成された使い捨て衣服の形で提供される。使い捨ての衣服は、おむつでもよい。
【0079】
また、追加の実施形態を以下の非限定的な例で述べる。
【実施例】
【0080】
以下の実施例は、本発明の更に他の特徴と実施形態を説明するために記載される。特に断らない限り部分は全て重量である。
【0081】
材料:
PLA−Natureworks LLC,Minnetonka,MNから得られる商用名称「4032D」を有するポリ乳酸。
【0082】
C4可塑剤−Vertellus Performance Materials,Greensboro,NCから商標名「Citroflex A4」で商業的に得られるアセチルトリ(n−ブチル)クエン酸エステル系可塑剤である。
【0083】
C8可塑剤−Jungbunzlauer、バーゼル、スイスから商標名「Citrofol AHII」で商業的に得られるアセチルトリ−2−エチルヘキシルクエン酸エステル系可塑剤である。
【0084】
C5可塑剤−以下の一般手順にしたがって作成されるアセチルトリ(メチルブチル)クエン酸エステル系可塑剤である。
【0085】
他の可塑剤の調製:
クエン酸一水和物と3当量のアルコールを三ツ口丸底フラスコに加え、トルエンに溶解させた(〜約0.5g反応物/mLトルエン)。少量の酸触媒(p−トルエンスルファン酸、1重量%のクエン酸)を加え、フラスコを攪拌し窒素雰囲気下で150℃に加熱した。反応の生成物、水及びトルエンを、それらの共沸点85℃で揮発させた。ディーン−スターク・トラップ付きの凝縮器を使用して、揮発した溶剤を収集し、より高密度の水相をときどき抜いた。フラスコから水を除去することは、反応の完了を加速するのに役立った。6〜24時間の反応後、溶液を室温に冷した。クエン酸トリアルキル生成物を、重炭酸ナトリウム溶液、脱イオン水リンス液、ブラインリンス液による洗浄、硫酸マグネシウムを加えた攪拌、濾過によって精製分離し、残った液体をロータリー・エバポレータに取り出した。
【0086】
分離したクエン酸トリアルキル生成物を、無水酢酸と共に丸底フラスコに加えた(1.5当量)。内容物をトルエンに約0.4g反応物/mLトルエンの濃度で溶かした。p−トルエンスルファン酸などの少量の酸触媒を加え(1重量%のクエン酸塩)、フラスコを攪拌し窒素雰囲気下で80℃に加熱した。6〜24時間の反応後、溶液を氷の上で最大約45分間攪拌して、余分な無水酢酸を加水分解させた。クエン酸アセチルトリアルキル生成物を、重炭酸ナトリウム溶液、脱イオン水リンス液、ブラインリンス液による洗浄、硫酸マグネシウムを加えた攪拌、濾過によって精製分離し、残った液体をロータリー・エバポレータに取り出した。
【0087】
試験方法:
DSC(示差走査熱量測定)
TA Instruments Q2000 Differential Scanning Calorimeterを使用して、可塑化フィルムサンプルの結晶化度とガラス転移温度を測定した。それぞれ約10mgのサンプルを0℃から220℃まで10℃/分で加熱し、代表的な初期結晶エンタルピーを、低温結晶化エンタルピーと溶融エンタルピーとの差として求めた。100%結晶PLAの場合、100J/gを使用して結晶化度を決定した。典型的には、最大PLA結晶化度は、約35%である。
【0088】
引き裂き強さ
重量1600gのProtear Elmendorf引き裂き試験機(Twing−Albert Instrument Co.)を使用して引き裂き試験を行った。Instron Model 1122,5500Rを使用して引張試験を行った。それぞれ幅2.5cm厚さ63.5マイクロメートルのフィルムストリップを、初期長さ5cmから25.4cm/分で伸ばした。
【0089】
引張強さと弾性率
Instron Model 1122,5500Rを使用して引張試験を行った。長さ5cmのゲージと共に、幅2.5cmのサンプルを使用した。25.4cm/分のクロスヘッド速度を使用してサンプルを引き伸ばした。
【0090】
(実施例1)
ポリ乳酸(PLA)高分子(Natureworks LLC,Minnetonka,MNから入手した4032D)と以下の手順を使用して、可塑化半結晶ポリ乳酸フィルムを調製した。40mm 10ゾーンのニ軸押出機(40:1L/D)を使用して、PLA高分子、可塑剤及び成核剤を融解し容積式計量ポンプに押し出し、次に幅25センチメートル(25cm)の従来のコートハンガーフィルムダイ内に押し出しす。PLAポリマーは、水分を全て除去するために60℃で最低12時間乾燥し、次いで、ロス・イン・ウェイトフィーダーを毎時7.7キログラム(kg/時)の供給速度で使用して、押出し機の第1ゾーンに供給した。第1ゾーンは約25℃で水冷した。押出し機の第2ゾーンは210℃に設定し、残りの8つのゾーンは180℃に設定した。型の温度は180℃に維持した。押出し機の速度は毎分200回転(RPM)に設定した。ロス−イン−ウエイトフイーダーを使用して成核剤(UltraTalc 609)を第1の押出機ゾーンに送り込み、最終フィルムを基準に2.5重量%の濃度を達成した。較正済み容積測定ポンプを使用して、アセチルトリ(メチルブチル)クエン酸エステル系可塑剤(C5)を押出機のゾーン3に送り込み、最終フィルム組成を基準にして15重量%の濃度を達成した。押出機からの押出物を、一方の側の直径48cmの温度制御されたつや消し仕上げ鋼ツールローラ(105℃)と、他方の側の直径20cmのチル(冷却)ローラで構成されたニップ内に垂直下方に注入した。線1cm当たり116Nのニップ力を使用した。
【0091】
押出しプロセスを支援するために、連続シリコーンゴムベルトを冷却ロールの周囲に巻いた(約180度の巻き)。ベルトの内面(押出し品と接触していない表面)は、設定点20℃で2つのスチールロールで冷却した。押出し品は、最初の押出し品の付着点から測定されるツールロール周囲のほぼ180度にかけてベルト及びツールロールと接触するように維持した。次いで、冷却された押出しフィルムをベルトから分離し、追加的に約60度の巻きにかけてツールロールと接触したまま維持してから、連続ロールに巻いた。フィルムは、ツールローラの速度より僅かに速く動作する駆動剥離ゴム被覆ローラを使用して、ツールローラから9.1メートル/分(m/分)で引き出された。ツールロールは、5.9マイクロメートルの平均Ra租さを達成するようにクロムメッキスチールロールをサンドブラストすることによって用意した。フィルム巻取り速度は、約65マイクロメートルのフィルム厚を達成するように調整した。
【0092】
(実施例2)
可塑剤の濃度を20重量%に高めたこと以外、実施例1と同じようにポリ乳酸フィルムを調製した。
【0093】
(実施例3)
Citrofol AHIIを可塑剤として15重量%の濃度で使用したこと以外、実施例1と同じように可塑化ポリ乳酸フィルムを調製した。
【0094】
比較例C1
Citroflex A4を可塑剤として15重量%の濃度で使用したこと以外、実施例1と同じように可塑化ポリ乳酸フィルムを調製した。
【0095】
比較例C2
A4可塑剤を20重量%の濃度で使用したこと以外、比較例C1と同じように可塑化ポリ乳酸フィルムを調製した。
【0096】
対照フィルム
可塑剤又は核形成促進剤を使用しない以外、実施例1と同じようにポリ乳酸フィルムを調製した。
【0097】
実施例1〜3、比較例C1とC2、及び対照からのサンプルの5個の複製を、下の表1に報告された平均で試験した。それぞれのサンプルの破壊時の引張応力、破壊時のひずみ、及びヤング率を記録した。
【0098】
【表1】

【0099】
実施例4〜9、比較例C3〜C5
Brabenderバッチミキサー内で75rpm、180℃でPLAを可塑剤(15重量%)と5分間混合してサンプルを調製した。5分の混合時間は、PLA樹脂内に可塑剤を均一に分散させるのに十分であった。組成物を圧縮器に送り圧縮して厚さ5ミルのシートを形成した。PLAシートを高温(65℃)に晒したとき、時間の経過によるPLAシートの重量を測定することによって、PLA中の各可塑剤の老化安定性を評価した。温度は、熱対流炉を使用することにより維持された。表2に、データを4週間にわたる部分的な損失重量として示す。各サンプルの重量損失の原因をH NMRを使用して調べ、PLAの劣化によるものではなく可塑剤蒸発によって生じたことが分かった。表2は、シートの表面に集まった可塑剤によって老化シートの表面が「油分が多い」かどうか(表2に「+」によって示された)を示す追加の観察を含む。
【0100】
【表2】

【0101】
本発明の種々の実施形態は、当業者が理解するのに十分に詳細に述べられた。実施形態を詳細に開示したが、添付の「特許請求の範囲に示されたような本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、述べた実施形態に対する変更又は修正を行うことができることを理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリラクチド樹脂と、
次の化学式の可塑剤であって、
【化1】

式中、
Rが、同じでも異なってもよく、少なくとも1つのRが、C以上の炭素鎖長を有する分枝アルキル基であり、
R’がH又はアシル基である可塑剤と、を含む配合物。
【請求項2】
Rが、C〜C10の炭素鎖長を有する1つ以上の分枝アルキル基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Rが、C〜Cの炭素鎖長を有する1つ以上の分枝アルキル基である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
可塑剤が、約5重量%〜約35重量%の範囲の濃度で存在する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
約0.1重量%〜約10重量%の量の成核剤を更に含み、前記成核剤が、無機鉱物、有機化合物、有機酸塩、及び微粉結晶性高分子からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
R’が、アセチルであり、少なくとも1つのR基が、分枝Cアルキル基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、3−メチルブチルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
R基が、全て3−メチルブチルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、分枝Cアルキル基である、請求項1〜5に記載の組成物。
【請求項10】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、2−エチルヘキシルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
R基が、全て2−エチルヘキシルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、2−オクチルである、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
R基が、全て2−オクチルである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記フィルムが、少なくとも部分的に結晶質である、請求項1に記載の組成物で作成されたポリラクチドフィルム。
【請求項15】
前記可塑剤が、約5重量%〜約35重量%の範囲の濃度でフィルム内に存在する、請求項14に記載に記載のポリラクチドフィルム。
【請求項16】
約50℃未満のガラス転移温度を有する、請求項14又は15のいずれかに記載のポリラクチドフィルム。
【請求項17】
前記可塑剤が、約15重量%の濃度で存在し、前記フィルムが、約65℃の温度で4週間アニールされたときに約3%未満の重量損失を有する、請求項14〜16のいずれか一項に記載のポリラクチドフィルム。
【請求項18】
前記可塑剤が、約15重量%の濃度で存在し、前記フィルムが、約65℃の温度で4週間アニールされたときに約1%未満の重量損失を有する、請求項14〜17のいずれか一項に記載のポリラクチドフィルム。
【請求項19】
半晶質ポリラクチドフィルムを提供する方法であって、
(a)ポリラクチド組成物を提供することであって、
(i)ポリラクチド樹脂、
(ii)成核剤及び、
(iii)次の化学式の可塑剤であって、
【化2】

式中、
Rが、同じでも異なってもよく、少なくとも1つのR基が、C以上の炭素鎖長を有する分枝アルキル基であり、
R’が、H又はアシル基である可塑剤を含むポリラクチド組成物を提供することと、
(b)前記組成物を溶融シートとして押し出し成形することと、
(c)前記シートを冷却して前記ポリラクチドを結晶させ前記フィルムを提供すること、とを含む方法。
【請求項20】
前記可塑剤が、約5重量%〜約35重量%の範囲の濃度で組成物中に存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記成核剤が、約0.1重量%〜約10重量%の量で前記組成物に添加され、前記成核剤が、無機鉱物、有機化合物、有機酸塩及び微粉結晶性高分子からなる群から選択される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、C分枝アルキル基である、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、3−メチルブチルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
R’が、H又はアセチルであり、3つ全てのR基が、3−メチルブチルである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、2−メチルブチルである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
R’が、H又はアセチルであり、3つ全てのR基が、2−メチルブチルである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、C分枝アルキル基であり、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、2−エチルヘキシルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
R’が、H又はアセチルであり、3つ全てのR基が、2−エチルヘキシルである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
R’が、H又はアセチルであり、少なくとも1つのR基が、2−オクチルである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
R’が、H又はアセチルであり、3つ全てのR基が、2−オクチルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、構造化面を有するツールローラ上に押し出し成形される、請求項19〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項19〜32のいずれか一項に記載の方法によって作成された半晶質ポリラクチドフィルム。
【請求項34】
請求項19〜32のいずれか一項に記載の方法によって作成されたポリラクチド物品。
【請求項35】
請求項34の物品を含む使い捨て衣服。
【請求項36】
おむつの形態の請求項35に記載の使い捨て衣服。

【公表番号】特表2013−515822(P2013−515822A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546184(P2012−546184)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061737
【国際公開番号】WO2011/082052
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】