説明

可変ノズルターボチャージャ

【課題】可変ノズルの操作リンケージにおけるデポジットの固着・堆積を防止し、寒冷時等にあっても可変ノズルを確実に作動させ得る可変ノズルターボチャージャを提供する。
【解決手段】可変ノズル30の操作機構32が、ハウジング14、16内の操作機構室33に収納されるとともに、軸穴14hを通し外部からの操作力を入力する入力軸41と、入力軸41への操作入力に応じて可動ノズルベーン31を操作するベーン操作軸39とを有する可変ノズルターボチャージャにおいて、軸穴14hに、入力軸41を回転可能に支持する軸受ブッシュ51が設けられるとともに、入力軸41の外端部41bに操作レバー52が装着され、その操作レバー52が、軸受ブッシュ51によって入力軸方向の位置を規定されるとともに、入力軸41の外周面41cに対し90度より大きい角度θをなしつつ操作機構室33から離隔する方向に延びる軸外周延長面52eを形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変ノズルターボチャージャ、特に、可変ノズルを操作する操作力伝達機構の固着防止構造を有する可変ノズルターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用エンジンに装着されるターボチャージャの1つとして、可変ノズルターボチャージャ(可変ノズル方式のターボ過給機)が知られている。この可変ノズルターボチャージャは、タービン翼周りの排気通路に複数の可動ノズルベーンを配設し、その可動ノズルベーンの回動によって排気タービンを駆動する排気の流速(タービン翼に対する相対流速)を増加させるように可変ノズルを絞り、あるいは、その相対流速を減少させるように可変ノズルを開くことができるようになっており、通常、その可変ノズルを操作するアクチュエータがECU(電子制御ユニット)によって制御される。
【0003】
従来の可変ノズルターボチャージャは、タービンホイールを支持するセンタハウジングと、センタハウジングとの間にタービンホイールに排気を導くための排気流路を形成するタービンハウジングと、排気流路上に配置された複数の可動ノズルベーンからなる可変ノズルと、可動ノズルベーンに連結された操作用のリンク機構と、を備え、そのリンク機構を収納するリンク室がセンタハウジング内に形成されるものが多い。
【0004】
この種の可変ノズルターボチャージャとしては、ディーゼルエンジンに用いられるもので、リンク室の壁面の近傍にセンタハウジングよりも熱伝導率の低い低熱伝導部を設けることにより、センタハウジングの冷却の影響でリンク室の壁面温度が低下するのを防止し、操作用のリンク機構の軸隙間を通して排気流路側からリンク室内に漏れる排気浄化用の添加燃料等がリンク室内の壁面に付着したりそこにスーツ(soot;すす)が付着・堆積したりするためにリンク機構の動きが悪くなるという問題の解消を図ったものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−194135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来の可変ノズルターボチャージャにあっても、外部のアクチュエータからの操作力をリンク室内のリンク機構に伝達する操作リンケージの一部がリンク室の壁面の近傍を貫通する軸穴部分で、その軸受隙間から外部(大気側)に漏れ出る排気浄化用の添加燃料等が、その軸受ブッシュの大気側の端部の近傍と操作リンケージの一部との間に付着し、そこにスーツが付着・堆積することで、操作リンケージからリンク室内のリンク機構への操作伝達が妨げられることがあった。
【0007】
具体的には、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)装置の再生のために排気通路側に添加燃料が噴射されると、その添加燃料やスーツを含んだ排気ガスがタービンハウジング内の排気流路からリンク室内に流入し、リンク室からさらに操作リンケージの一部、例えば複数の可変ノズル開閉レバーに回動式のリングプレートを介して操作力を伝達するレバー操作軸の周りの軸受隙間を通して大気側に徐々に漏れ出ることになり、そのレバー操作軸を取り囲むブッシュの大気側の端部の近傍で、レバー操作軸や軸受ブッシュにデポジットが固着・堆積する。そして、例えば冬場の気温低下等にそのデポジットの固着力が増加すると、レバー操作軸を回動させるアクチュエータの始動トルクの大半がデポジットの剥ぎ取りに要するトルクとなってしまい、場合によっては、ECUの指令に対するアクチュエータの応答性が顕著に低下することで、機能異常を警告する警告手段、例えばMIL(Malfunction indicator lamp)が作動(点灯)してしまうことがあった。
【0008】
また、操作リンケージがブッシュに挿通される回動軸を回動レバーによって操作する場合、ブッシュの大気側の端部では、ブッシュと回動軸の間の摺動隙間が回動レバーの基端部とブッシュの大気側端部との間の隙間に連通するので、リンク室内から大気側に漏れ出る添加燃料やスーツがブッシュの大気側端部の近傍に付着し、そこにデポジットの固着・堆積が生じ易くなるという問題があった。
【0009】
特に、ブッシュが貫通するリンク室の側壁部から回動レバーの基端部の近傍に位置するようロータ軸線方向に立ち上がる壁が存在する場合に、冷却水により冷却されるセンタハウジングの影響を受ける等の理由から、回動レバーの基端部がその壁に対向する範囲において、デポジットの固着・堆積が生じ易くなっていた。
【0010】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたものであり、可変ノズルの操作リンケージにおけるデポジットの固着・堆積、特にリンク室内と大気側空間との間の壁を貫通するレバー操作軸の軸受ブッシュの大気側端部の近傍におけるデポジットの固着・堆積を確実に防止して、寒冷時等にあっても可変ノズルを確実に作動させることのできる可変ノズルターボチャージャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る可変ノズルターボチャージャは、上記目的達成のため、(1)タービンホイールを支持するとともに前記タービンホイールに排気を導くための排気流路を形成するハウジングと、前記排気流路上に配置された複数の可動ノズルベーンからなる可変ノズルと、前記可動ノズルベーンを操作するよう前記ハウジング内に収納された操作機構と、を備え、前記操作機構が、前記ハウジング内に形成され操作機構室に収納されるとともに、前記ハウジングに形成された軸穴を通して外部からの操作力を入力する入力軸と、前記入力軸への操作入力に応じて前記可動ノズルベーンを操作する操作部材と、を有する可変ノズルターボチャージャにおいて、前記ハウジングの軸穴に、前記操作機構の入力軸を回転可能に支持する軸受ブッシュが設けられるとともに、前記操作機構室から離隔する前記入力軸の外端部に前記入力軸を回動操作する操作レバーが装着され、前記操作レバーが、前記軸受ブッシュおよび前記ハウジングのうちいずれかによって前記入力軸の軸方向における位置を規定されるとともに、前記入力軸の外周面から該外周面に対し90度より大きい角度をなしつつ前記操作機構室から離隔する方向に延びる軸外周延長面を形成していることを特徴とする。
【0012】
この構成により、軸受ブッシュおよびハウジングのうちいずれかによって入力軸の軸方向における位置を規定された操作レバーが、入力軸の外周面からその外周面に対し90度より大きい角度をなしつつ操作機構室から離隔する方向に延びる軸外周延長面を形成することになるから、入力軸の外端部付近で入力軸の外周面が直角に(あるいは鋭角に)折れ曲がったり軸受隙間に通じる空間が狭められたりすることがなく、入力軸と軸受ブッシュとの間の摺動隙間を通って操作機構室側から外部(大気側)に徐々に漏れ出る排気ガスが軸受ブッシュの外端部付近に滞留し難くなる。したがって、軸受ブッシュの外端部付近におけるデポジットの固着・堆積を防止して、寒冷時等にあっても可変ノズルを確実に作動させることのできる可変ノズルターボチャージャとすることができることになる。
【0013】
上記(1)に記載の可変ノズルターボチャージャは、好ましくは、(2)前記軸受ブッシュが、前記入力軸の外端部側で前記操作レバーに摺動可能に係合する係合端面部と、前記係合端面部の軸方向位置より前記操作機構室側に近接する端面を形成するように切り欠かれた切欠き部と、を有し、前記操作レバーの軸外周延長面の少なくとも一部が、前記切欠き部の形成される角度範囲内に位置しているものである。
【0014】
この構成により、軸受ブッシュの外端部付近に軸受ブッシュの切欠き部の端面から操作レバーの軸受外周延長面までの間で広く開放される空間が形成され、その空間に入力軸と軸受ブッシュとの間の摺動隙間が連通することになって、軸受ブッシュの外端部付近におけるデポジットの固着・堆積が有効に防止されることになる。
【0015】
上記(1)、(2)に記載の可変ノズルターボチャージャにおいては、(3)前記操作レバーの軸外周延長面が、前記入力軸の外周面に対し鈍角をなしつつ前記操作機構室から離隔する方向に一定幅を有しているものであるのが好ましい。
【0016】
この構成により、操作レバーが、入力軸の外周面に対し鈍角をなしつつ操作機構室から離隔する方向に延びる軸外周延長面を形成することになるから、入力軸と軸受ブッシュとの間の摺動隙間を通って操作機構室側から外部に徐々に漏れ出る排気ガスが軸受ブッシュの外端部付近に滞留し難くなる。
【0017】
上記(1)、(2)に記載の可変ノズルターボチャージャにおいては、(4)前記操作レバーの軸外周延長面が、前記入力軸の外周面に対し180度以上の角度をなしつつ前記操作機構室から離隔する方向に一定幅を有していても好ましい。
【0018】
この構成により、操作レバーが、入力軸の外周面に対し180度以上の角度をなしつつ操作機構室から離隔する方向に延びる軸外周延長面を形成することになるから、入力軸と軸受ブッシュとの間の摺動隙間を通って操作機構室側から外部に徐々に漏れ出る排気ガスが軸受ブッシュの外端部付近に滞留し難くなる。
【0019】
上記(1)〜(4)に記載の可変ノズルターボチャージャにおいては、(5)前記操作レバーの軸外周延長面が、前記入力軸の軸方向における前記操作レバーの基端側の厚さ領域の全域にわたって形成されているのが好ましい。
【0020】
この構成により、入力軸と軸受ブッシュとの間の摺動隙間を通って操作機構室側から外部に徐々に漏れ出る排気ガスを操作レバーより外側の開放空間に導くことができる。
【0021】
上記(2)に記載の可変ノズルターボチャージャにおいては、(6)前記ハウジングが、前記軸穴が形成された第1壁部と、前記第1壁部に対し前記操作機構室から離隔する側に位置するとともに前記操作レバーの基端側に近接する第2壁部と、を含み、前記操作レバーの軸外周延長面が、前記軸受ブッシュの中心軸線より前記第2壁部に近接しているのが好ましい。
【0022】
この構成により、操作レバーの基端部付近で外部の雰囲気が滞留し易くなる第2壁部の近接で、入力軸と軸受ブッシュとの間の摺動隙間を通って操作機構室側から外部に徐々に漏れ出る排気ガスの流れを良くすることができ、デポジットの固着・堆積が有効に防止できることになる。
【0023】
上記(6)に記載の可変ノズルターボチャージャにおいては、(7)前記軸受ブッシュの前記切欠き部が、前記軸受ブッシュの中心軸線より前記第2壁部から離隔する側に前記係合端面部を有し、前記軸受ブッシュの中心軸線より前記第2壁部に近接する側に前記切欠き部の主要部分を有するのが好ましい。
【0024】
この構成により、操作レバーの基端部付近で外部の雰囲気が滞留し易くなる第2壁部の近接で、入力軸と軸受ブッシュとの間の摺動隙間を通って操作機構室側から外部に徐々に漏れ出る排気ガスの流れを良くすることができるとともに、操作レバーの軸方向の位置決めが容易かつ確実にできることになる。
【0025】
上記(2)、(6)、(7)に記載の可変ノズルターボチャージャにおいては、(8)前記軸受ブッシュの前記切欠き部が、前記係合端面部から該係合端面部に対して前記操作機構室側に近接する方向に傾斜しつつ略楕円弧状の壁面を形成していてもよい。
【0026】
この構成により、切欠き部を有する軸受ブッシュを容易に成型もしくは加工することができる。
【0027】
上記(1)〜(8)に記載の可変ノズルターボチャージャにおいては、(9)前記操作レバーが、前記入力軸に支持される基端部およびアクチュエータからの操作力を受ける先端部を有する板状体からなり、前記基端部が前記入力軸の外周面と同心的に位置する円弧状の外周縁を有しているのが好ましい。
【0028】
この構成により、円弧状の外周縁に対応する広い角度範囲に軸外周延長面を形成し、入力軸と軸受ブッシュとの間の摺動隙間の出口部分を広角度範囲で開放することができる。
【0029】
上記(9)に記載の可変ノズルターボチャージャにおいては、(10)前記入力軸の外端部が、段付状に縮径されるとともに、前記操作レバーの基端部に形成された凹部に嵌入されているものであってもよい。
【0030】
この構成により、軸受ブッシュもしくはその近傍で操作レバーの軸方向の位置決めが容易に可能になるとともに、軸外周延長面の成型等が容易になる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、軸受ブッシュおよびハウジングのうちいずれかによって入力軸方向における位置を規定された操作レバーが、入力軸の外周面からその外周面に対し90度より大きい角度をなしつつ操作機構室から離隔する方向に延びる軸外周延長面を形成するようにしているので、入力軸の外端部付近で入力軸の外周面が直角に(あるいは鋭角に)折れ曲がったり軸受隙間に通じる空間が狭められたりすることをなくして、入力軸と軸受ブッシュとの間から外部(大気側)に漏れ出る排気ガスが軸受ブッシュの外端部付近に滞留するの防止することができ、軸受ブッシュの外端部付近におけるデポジットの固着・堆積を防止して、寒冷時等にあっても可変ノズルを確実に作動させることのできる可変ノズルターボチャージャを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る可変ノズルターボチャージャの要部拡大断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る可変ノズルターボチャージャの要部を含むタービン側の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る可変ノズルターボチャージャの可変ノズルの操作機構の背面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る可変ノズルターボチャージャの断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る可変ノズルターボチャージャの要部構成を示す図で、(a)は図1の部分拡大断面図、(b)はその軸受ブッシュの斜視図、(c)はその外側入力レバーの基端部の部分拡大図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る可変ノズルターボチャージャの作用を説明するグラフで、縦軸はデポジット剥れトルク[Nm]を、横軸は温度[°C]を示している。
【図7】本発明の第2実施形態に係る可変ノズルターボチャージャの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図1〜図5は、本発明の第1実施形態に係る可変ノズルターボチャージャを示す図であり、本実施形態は、本発明を車両用の内燃機関、例えばディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)に装備される可変ノズルターボチャージャに適用するものである。
【0035】
まず、構成について説明する。
【0036】
図2〜図4を用いて本実施形態の全体構成について説明すると、可変ノズルターボチャージャ1は、回転中心軸線C1に沿って延在するタービンシャフト11(ロータシャフト)と、タービンシャフト11の一端側(両図中の左端側)に一体に連結され図示しないエンジンの排気により回転駆動される公知のタービンホイール12と、タービンシャフト11の他端側に一体に連結され回転により遠心圧縮作用をなす公知のコンプレッサホイール13と、タービンシャフト11を回転自在に支持するセンタハウジング14と、センタハウジング14に連結されてタービンホイール12を収納するとともに、ノズル型の排気流路15を形成するタービンハウジング16と、センタハウジング14に連結されてコンプレッサホイール13を収納するとともにコンプレッサホイール13からの空気を減速するディフューザ型の吸気通路17を形成するコンプレッサハウジング18と、を備えている。
【0037】
ここで、センタハウジング14、タービンハウジング16およびコンプレッサハウジング18は、可変ノズルターボチャージャ1のハウジングであるターボ本体10を構成している。
【0038】
タービンシャフト11は、排気流路15からの排気エネルギによってタービンホイール12が回転駆動されるとき、タービンホイール12と一体に回転するようになっており、このタービンシャフト11の回転によって、コンプレッサホイール13を回転させ、エンジンの吸気通路内に空気を過給するようになっている。
【0039】
図2に示すように、ノズル型の排気流路15は、その上流側の排気通路部分15aで排気マニホールド内の排気通路に連通しており、排気マニホールドからの排気ガスが流入する。また、この排気流路15は、上流側の排気通路部分15aからタービンホイール12に向かって放射内方へと湾曲させられたノズル通路部分15bを有しており、そのノズル通路部分15bを通り加速された排気ガスによって、タービンホイール12が駆動されるようになっている。タービンホイール12より下流側の排気通路部分15cは、公知の排気浄化装置が装着された排気管内に連通している。
【0040】
一方、図4に示すように、吸気通路17は、その上流側の吸気通路部分17aで図示しないエアクリーナに接続されており、エアクリーナを通して空気を吸入できるようになっている。また、この吸気通路17は、上流側の吸気通路部分17aの下流側でコンプレッサホイール13によって中心部から放射外方へと湾曲させられており、その下流のディフューザ通路部分17bがコンプレッサホイール13の周りを取り囲むとともにタービンシャフト11とほぼ直交する円環状の板状通路となっている。コンプレッサホイール13より下流側の吸気通路部分17cは、ディフューザ通路部分17bの外周部に接続された渦巻状の下流端で、図外のインタークーラを介してスロットルバルブ等が配置されたエンジンの吸気ポート側の吸気通路に接続されている。
【0041】
また、タービンシャフト11が貫通するセンタハウジング14の中心部には、タービンシャフト11を回転自在に支持するための複数の軸受、例えば一対の浮動ブッシュ軸受21、22(軸受ブッシュ)と、タービンシャフト11を軸方向で位置決めする位置決め手段(符号なし)等が装着されている。
【0042】
さらに、センタハウジング14には、一対の浮動ブッシュ軸受21、22に加圧された潤滑油を供給する油路25と、冷却水を通す複数の冷却水通路26、27と、が形成されている。
【0043】
図1〜図3に示すように、タービンシャフト11を介してタービンホイール12を回転可能に支持するセンタハウジング14と、このセンタハウジング14との間に排気流路15を形成するタービンハウジング16との間には、排気流路15上に位置するように複数の可動ノズルベーン31からなる可変ノズル30が配置されており、センタハウジング14内には、可動ノズルベーン31を操作する操作機構32が設けられている。
【0044】
また、複数の可動ノズルベーン31は、それぞれに一体化されたベーン操作軸39を介して排気流路15の壁面の一部をなすノズルバックプレート34によって等角度間隔に保持されており、そのノズルバックプレート34の背面側(図2中で右側)から、図3に示すような操作機構32によって開閉操作されるようになっている。
【0045】
操作機構32は、ターボ本体10内に形成され操作機構室33に収納されるとともに、センタハウジング14に形成された軸穴14h(図1参照)を通して外部からの操作力を入力する入力軸41と、入力軸41への操作入力に応じて可動ノズルベーン31を操作する出力部材としてのベーン操作軸39とを有している。
【0046】
操作機構32は、より具体的には、図1〜図4に示すように、操作機構室33内に位置する入力軸41の内端部41aに固定された基端部42bおよび二股の回動端部42aを有する内側入力レバー42と、この内側入力レバー42の回動端部42aに係合する入力ピン43が装着されるとともに、ノズルバックプレート34の背面側の環状段差部34sに回動可能に支持されたリングプレート44と、リングプレート44に可動ノズルベーン31に対応する個数だけ等角度間隔に植設された複数の開閉操作ピン45と、各開閉操作ピン45に係合する二股の係合端部46aおよびベーン操作軸39に固定された基端部46bを有する複数の開閉操作レバー46と、を有している。なお、このような操作機構32の機構自体は、公知のものと同様である。
【0047】
センタハウジング14の軸穴14hには、操作機構32の入力軸41を回転可能に支持する略円筒状の軸受ブッシュ51が設けられるとともに、操作機構室33から離隔する入力軸41の外端部41bには、入力軸41を回動操作する外側入力レバー52(操作レバー)が装着されている。
【0048】
軸受ブッシュ51は、入力軸41の外端部41b側で外側入力レバー52に摺動可能に係合する係合端面部51eと、係合端面部51eの軸方向位置より操作機構室33側に近接する弧状端面51c(略楕円孤状の壁面)を形成するように切り欠かれた切欠き部51dと、を有している。
【0049】
外側入力レバー52は、アクチュエータ90からの操作力を受ける先端部52aおよび入力軸41に支持される基端部52bを有する板金(板状体)からなり、図5に示すように、その基端部52bは、入力軸41の外周面41cと同心的に位置する円形の穴部52cおよび円弧状の外周縁52fを有している(図5(c)参照)。
【0050】
また、図1および図5に示すように、外側入力レバー52は、軸受ブッシュ51およびセンタハウジング14のうちいずれか、例えば軸受ブッシュ51によって入力軸41の軸方向における位置を規定される片側面52dと、入力軸41の外周面41cからその外周面41cに対し90度より大きい角度θ(例えば、150度)をなしつつ操作機構室33から離隔する方向に延びる軸外周延長面52eを有している。
【0051】
この外側入力レバー52の軸外周延長面52eは、入力軸41の外周面41cをさらに外側に延長するように外周面41cに連続する面として形成されており、外側入力レバー52の軸外周延長面52eの少なくとも一部、例えばほぼ全部が、軸受ブッシュ51の切欠き部51dが形成される角度範囲内に位置している。
【0052】
さらに、この外側入力レバー52の軸外周延長面52eは、入力軸41の外周面41cの端縁位置p1(図5(a)参照)を一端として、外周面41cに対し鈍角となる角度θをなしつつ操作機構室33から離隔する方向に一定幅wを有しているとともに、入力軸41の軸方向における外側入力レバー52の基端側の厚さ領域(図1中の外側入力レバー52の左右幅領域)の略全域にわたって形成されている。
【0053】
また、センタハウジング14は、軸穴14hが形成された第1壁部61と、第1壁部61に対し操作機構室33から離隔する側に位置するとともに外側入力レバー52の基端側に近接する第2壁部62と、を含んで構成されており、外側入力レバー52の軸外周延長面52eは、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62に近接している。
【0054】
軸受ブッシュ51の切欠き部51dは、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62から離隔する側に係合端面部51eを有し、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62に近接する側に切欠き部51dの主要部分を有している。この軸受ブッシュ51の切欠き部51dは、係合端面部51eから、その係合端面部51eに対して操作機構室33側に近接する方向に傾斜しつつ略楕円弧状の壁面である弧状端面51cを形成している。
【0055】
入力軸41の外端部41bは、段付状に縮径されており、その外端部41bが板金製の外側入力レバー52の基端部52bに形成された穴部52c(凹部)に例えば圧入されている。なお、この入力軸41の外端部41bは、外側入力レバー52の基端部52bにセレーション嵌合するものでもよいし、他の方法で固着・固定されてもよい。また、入力軸41と外側入力レバー52とが一体に形成されてもよい。
【0056】
次に、作用について説明する。
【0057】
上述のように構成された本実施形態の可変ノズルターボチャージャ1においては、軸受ブッシュ51およびセンタハウジング14のうちいずれかによって入力軸41の軸方向における位置を規定された外側入力レバー52が、入力軸41の外周面41cからその外周面に対し90度より大きい角度をなしつつ操作機構室33から離隔する方向に延びる軸外周延長面52eを形成し、この軸外周延長面52eが、入力軸41の外端部付近で入力軸41の外周面41cにつながる面となる。したがって、入力軸41の外端部の付近で、外周面41cにつながる面が直角に(あるいは鋭角に)折れ曲がったり軸受ブッシュ51内の軸受隙間に通じる空間が狭められたりすることがなく、入力軸41と軸受ブッシュ51との間の摺動隙間を通って操作機構室33側から外部(大気側)に徐々に漏れ出る排気ガス(図1中に二点鎖線で示す)が軸受ブッシュ51の外端部付近に滞留し難くなる。
【0058】
また、本実施形態では、軸受ブッシュ51が、入力軸41の外端部側で外側入力レバー52に摺動可能に係合する係合端面部51eと、係合端面部51eの軸方向位置より操作機構室33側に近接する端面を形成するように切り欠かれた切欠き部51dと、を有し、外側入力レバー52の軸外周延長面52eの少なくとも一部が、切欠き部51dの形成される角度範囲内に位置していることから、軸受ブッシュ51の外端部付近に軸受ブッシュ51の切欠き部51dの弧状端面51cから外側入力レバー52の軸受外周延長面52eまでの間で広く開放される空間が形成され、その空間に入力軸41と軸受ブッシュ51との間の摺動隙間が連通することになって、軸受ブッシュ51の外端部付近におけるデポジットの固着・堆積が有効に防止されることになる。さらに、デポジットの固着を招き易い、軸受ブッシュ51の外端側での軸受ブッシュ51と入力軸41との接触面積が、切欠き部51dによって縮小されることからも、デポジットの固着・堆積とそれによるデポジット剥れトルクの増加が有効に防止されることになる。
【0059】
図6は、本実施形態の上記構成を有する可変ノズルターボチャージャ1を一実施例として製作し、操作機構32への入力トルクの一部として費やされるデポジット剥れトルクを、従来構造の比較例と比較して示すグラフである。
【0060】
同図に示すように、従来構造の比較例では、温度が低い(例えば、摂氏10度以下)とデポジット剥れトルクとしてアクチュエータ90に必要なトルクが最小モータトルクより大きくなり得るため、可変ノズル30の確実な操作が困難になる可能性がある。
【0061】
これに対し、一実施例の可変ノズルターボチャージャでは、温度が低いときでも、デポジット剥れトルクとしてアクチュエータ90に必要なトルク(固着力)が最小モータトルクを十分に下回り、可変ノズル30の確実な操作が可能になる。
【0062】
したがって、例えば冬場の気温低下等であっても、外側入力レバー52を回動させるアクチュエータ90の始動トルクの大半がデポジットの剥ぎ取りに要するトルクとなってしまうことはなく、機能異常を警告するMIL等の警告手段が作動するような事態を回避できる。すなわち、本実施形態では、軸受ブッシュ51の外端部付近におけるデポジットの固着・堆積を防止して、寒冷時等にあっても可変ノズル30を確実に作動させることができることになる。
【0063】
本実施形態では、さらに、外側入力レバー52の軸外周延長面52eが、入力軸41の外周面41cに対し鈍角をなしつつ操作機構室33から離隔する方向に外側入力レバー52の基端側の厚さ領域の全域に及ぶ程度の大きな一定幅wを有しているので、入力軸41と軸受ブッシュ51との間の摺動隙間を通って操作機構室33側から外部に徐々に漏れ出る排気ガスが、入力軸41の外周面41cに連続する軸外周延長面52eに沿って外方側に流れ、外側入力レバー52より外側の開放空間に導かれることになり、軸受ブッシュ51の外端部付近にデポジットが付着・堆積し難くなる。
【0064】
加えて、ターボ本体10のセンタハウジング14が、軸穴14hが形成された第1壁部61と、第1壁部61に対し操作機構室33から離隔する側に位置するとともに外側入力レバー52の基端部52b側に近接する第2壁部62と、を含み、外側入力レバー52の軸外周延長面52eが、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62に近接し対向しているので、外側入力レバー52の基端部52b付近で外部の雰囲気が滞留し易くなる第2壁部62の近接で、入力軸41と軸受ブッシュ51との間の摺動隙間を通って操作機構室側33から外部に徐々に漏れ出る排気ガスの流れが良くなり、デポジットの固着・堆積がより有効に防止できることになる。
【0065】
しかも、軸受ブッシュ51の切欠き部が、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62から離隔する側に係合端面部51eを有し、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62に近接する側に切欠き部51dの主要部分を有するので、外側入力レバー52の基端部52b付近で外部の雰囲気が滞留し易くなる第2壁部62の近接で、入力軸41と軸受ブッシュ51との間の摺動隙間を通って操作機構室33側から外部に徐々に漏れ出る排気ガスの流れをさらに良くすることができるとともに、外側入力レバー52の軸方向の位置決めが容易かつ確実にできることになる。
【0066】
本実施形態では、軸受ブッシュ51の切欠き部51dが、係合端面部51eからその係合端面部51eに対して操作機構室33側に近接する方向に傾斜しつつ略楕円弧状の弧状端面51cを形成しているので、切欠き部51dを有する軸受ブッシュ51を容易に成型もしくは加工することもできる。
【0067】
また、外側入力レバー52が、入力軸41に支持される基端部52bおよびアクチュエータ90からの操作力を受ける先端部52aを有する板金(板状体)からなり、基端部52bが入力軸41の外周面41cと同心的に位置する円弧状の外周縁52fを有しているので、円弧状の外周縁52fに対応する広い角度範囲に軸外周延長面52eを形成し、入力軸41と軸受ブッシュ51との間の摺動隙間の出口部分を広角度範囲で開放することができる。
【0068】
さらに、入力軸41の外端部41bが、段付状に縮径されるとともに、外側入力レバー52の基端部52bに形成された穴部52cに嵌入されているので、軸受ブッシュ51もしくはその近傍で外側入力レバー52の軸方向の位置決めが容易に可能になるとともに、軸外周延長面52eの成型等が容易になる。
【0069】
このように、本実施形態の可変ノズルターボチャージャ1においては、軸受ブッシュ51およびターボ本体10のうちいずれかによって入力軸41方向における位置を規定された外側入力レバー52が、入力軸41の外周面41cからその外周面に対し90度より大きい角度θをなしつつ操作機構室33から離隔する方向に延びる軸外周延長面52eを形成するようにしているので、入力軸41の外端部41b付近で入力軸41の外周面41cに続く面が直角に(あるいは鋭角に)折れ曲がったり軸受隙間に通じる空間が狭められたりすることをなくして、入力軸41と軸受ブッシュ51との間から外部(大気側)に漏れ出る排気ガスが軸受ブッシュ51の外端部付近に滞留することを防止することができ、軸受ブッシュ51の外端部付近におけるデポジットの固着・堆積を防止して、寒冷時等にあっても可変ノズル30を確実に作動させることができる。
【0070】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る可変ノズルターボチャージャを示す図であり、その要部のみを拡大して示している。なお、本実施形態は、上述の第1実施形態と類似するものであるので、第1実施形態と同一または類似の構成要素については、図1〜図5中の対応する構成要素の符号を用いて、相違点についてのみ詳述する。
【0071】
本実施形態においては、操作機構室33から離隔する入力軸41の外端部41bに、入力軸41を回動操作する外側入力レバー72(操作レバー)が装着されている。
【0072】
この外側入力レバー72は、アクチュエータ90からの操作力を受ける先端部72aおよび入力軸41に支持される基端部72bを有する板金(板状体)からなり、その基端部72bは、入力軸41の外周面41cと同心的に位置する円形の穴72cを有している。
【0073】
また、外側入力レバー72は、軸受ブッシュ51およびセンタハウジング14のうちいずれか、例えば軸受ブッシュ51によって入力軸41の軸方向における位置を規定される片側面72dと、入力軸41の外周面41cからその外周面41cに対し90度より大きい角度θ´、例えば180度もしくはそれ以上の角度をなしつつ操作機構室33から離隔する方向に延びる軸外周延長面72eを有している。この軸外周延長面72eは、図7中では、入力軸41の外周面41cと同径の円弧状外周面である。
【0074】
この外側入力レバー72の軸外周延長面72eは、入力軸41の外周面41cをさらに外側に延長するように外周面41cに連続する面として形成されており、外側入力レバー72の軸外周延長面72eの少なくとも一部、例えばほぼ全部が、軸受ブッシュ51の切欠き部51dの形成される角度範囲内に位置している。
【0075】
さらに、この外側入力レバー72の軸外周延長面72eは、入力軸41の外周面41cの端縁位置p1を一端として、外周面41cに対し180度以上の角度θ´をなしつつ操作機構室33から離隔する方向に一定幅w´を有しているとともに、入力軸41の軸方向における外側入力レバー72の基端側の厚さ領域(図7中の外側入力レバー72の左右幅領域)の略全域にわたって形成されている。また、外側入力レバー72の軸外周延長面72eは、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62に近接している。
【0076】
入力軸41の外端部41bは、板金製の外側入力レバー72の基端部72bに形成された穴部72c(凹部でもよい)に例えば圧入されている。
【0077】
軸受ブッシュ51の切欠き部51dは、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62から離隔する側に係合端面部51eを有し、軸受ブッシュ51の中心軸線Cbより第2壁部62に近接する側に切欠き部51dの主要部分を有しているが、第1実施形態では平坦な弧状端面51cを形成していたのに対し、本実施形態では、弧状端面51cが湾曲している。ただし、軸受ブッシュ51の切欠き部51dは、係合端面部51eから、その係合端面部51eに対して操作機構室33側に近接する側に弧状端面51cを有している。
【0078】
本実施形態においても、軸受ブッシュ51およびターボ本体10のうちいずれかによって入力軸41方向における位置を規定された外側入力レバー72が、入力軸41の外周面41cからその外周面41cに対し90度より大きい角度θをなしつつ操作機構室33から離隔する方向に延びる軸外周延長面72eを形成するようにしているので、入力軸41の外端部41b付近で入力軸41の外周面41cに続く面が直角にあるいは鋭角に折れ曲がったり軸受隙間に通じる空間が狭められたりすることをなくして、入力軸41と軸受ブッシュ51との間から外部(大気側)に漏れ出る排気ガスが軸受ブッシュ51の外端部付近に滞留することを防止することができ、軸受ブッシュ51の外端部付近におけるデポジットの固着・堆積を防止して、寒冷時等にあっても可変ノズル30を確実に作動させることができる。
【0079】
しかも、本実施形態では、外側入力レバー72の軸外周延長面72eが、入力軸41の外周面41cに対し90度より十分に大きい180度以上の角度をなしつつ操作機構室33から離隔する方向に一定幅wを有しているので、入力軸41と軸受ブッシュ51との間の摺動隙間を通って操作機構室33側から外部に徐々に漏れ出る排気ガスが、軸受ブッシュ51の外端部付近により滞留し難くなるとともに、外側入力レバー72より外側の開放空間に容易に導かれることで、軸受ブッシュ51の外端部付近におけるデポジットの固着・堆積がより確実に防止されることになる。
【0080】
なお、上述の各実施形態においては、可変ノズルターボチャージャがディーゼルエンジン用のものであったが、特にディーゼルエンジン用に限定されるものでないことはいうまでもない。また、軸受ブッシュ51と入力軸41の間の摺動隙間については、特に言及しなかったが、入力軸41の回動のための摺動が可能であるものの、この隙間を通して操作機構室33から大気側に排気ガスの漏れ出るのを抑制するために、摺動隙間(軸受隙間)は十分に狭められている。また、係合端面部51eは、円弧状のものとしたが、円弧状の摺動領域内に配置される複数の突起状のものであってもよい。また、軸受ブッシュ51の外端部の軸穴を例えば切欠き部51dを形成すべき側に拡径および偏心させることで、環状の係合端面部とすることも可能である。すなわち、切欠き部は、軸受ブッシュの外端側の軸穴を拡径させるような切欠きであって、外周壁面部分を切り欠かないものでもよい。
【0081】
以上説明したように、本発明に係る可変ノズルターボチャージャは、軸受ブッシュおよびハウジングのうちいずれかによって入力軸方向における位置を規定された操作レバーが、入力軸の外周面からその外周面に対し90度より大きい角度をなしつつ操作機構室から離隔する方向に延びる軸外周延長面を形成するようにしているので、入力軸の外端部付近で入力軸の外周面が直角にあるいは鋭角に折れ曲がったり軸受隙間に通じる空間が狭められたりすることをなくして、入力軸と軸受ブッシュとの間から外部に漏れ出る排気ガスが軸受ブッシュの外端部付近に滞留するのを防止することができ、軸受ブッシュの外端部付近におけるデポジットの固着・堆積を防止して、寒冷時等にあっても可変ノズルを確実に作動させることのできる可変ノズルターボチャージャを提供することができるという効果を奏するものであり、可変ノズルを操作する操作力伝達機構の固着防止構造を有する可変ノズルターボチャージャ全般に有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 可変ノズルターボチャージャ
10 ターボ本体(ハウジング)
12 タービンホイール
14 センタハウジング
14h 軸穴
15 排気流路
16 タービンハウジング
30 可変ノズル
31 可動ノズルベーン
32 操作機構
33 操作機構室
39 ベーン操作軸(出力部材)
41 入力軸
41b 外端部
41c 外周面
46 開閉操作レバー
51 軸受ブッシュ
51c 孤状端面(略楕円孤状の壁面)
51d 切欠き部
51e 係合端面部
52、72 外側入力レバー(操作レバー)
52b 基端部
52c、72c 穴部(凹部)
52e、72e 軸外周延長面
52f 外周縁
61 第1壁部
62 第2壁部
90 アクチュエータ
C1 回転中心軸線
p1 端縁位置
w、w´ 幅
θ、θ´ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンホイールを支持するとともに前記タービンホイールに排気を導くための排気流路を形成するハウジングと、前記排気流路上に配置された複数の可動ノズルベーンからなる可変ノズルと、前記可動ノズルベーンを操作するよう前記ハウジング内に収納された操作機構と、を備え、前記操作機構が、前記ハウジング内に形成され操作機構室に収納されるとともに、前記ハウジングに形成された軸穴を通して外部からの操作力を入力する入力軸と、前記入力軸への操作入力に応じて前記可動ノズルベーンを操作する出力部材と、を有する可変ノズルターボチャージャにおいて、
前記ハウジングの軸穴に、前記操作機構の入力軸を回転可能に支持する軸受ブッシュが設けられるとともに、前記操作機構室から離隔する前記入力軸の外端部に前記入力軸を回動操作する操作レバーが装着され、
前記操作レバーが、前記軸受ブッシュおよび前記ハウジングのうちいずれかによって前記入力軸の軸方向における位置を規定されるとともに、前記入力軸の外周面から該外周面に対し90度より大きい角度をなしつつ前記操作機構室から離隔する方向に延びる軸外周延長面を形成していることを特徴とする可変ノズルターボチャージャ。
【請求項2】
前記軸受ブッシュが、前記入力軸の外端部側で前記操作レバーに摺動可能に係合する係合端面部と、前記係合端面部の軸方向位置より前記操作機構室側に近接する端面を形成するように切り欠かれた切欠き部と、を有し、
前記操作レバーの軸外周延長面の少なくとも一部が、前記切欠き部の形成される角度範囲内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の可変ノズルターボチャージャ。
【請求項3】
前記操作レバーの軸外周延長面が、前記入力軸の外周面に対し鈍角をなしつつ前記操作機構室から離隔する方向に一定幅を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変ノズルターボチャージャ。
【請求項4】
前記操作レバーの軸外周延長面が、前記入力軸の外周面に対し180度以上の角度をなしつつ前記操作機構室から離隔する方向に一定幅を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可変ノズルターボチャージャ。
【請求項5】
前記操作レバーの軸外周延長面が、前記入力軸の軸方向における前記操作レバーの基端側の厚さ領域の全域にわたって形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか1の請求項に記載の可変ノズルターボチャージャ。
【請求項6】
前記ハウジングが、前記軸穴が形成された第1壁部と、前記第1壁部に対し前記操作機構室から離隔する側に位置するとともに前記操作レバーの基端側に近接する第2壁部と、を含み、
前記操作レバーの軸外周延長面が、前記軸受ブッシュの中心軸線より前記第2壁部に近接していることを特徴とする請求項2に記載の可変ノズルターボチャージャ。
【請求項7】
前記軸受ブッシュの前記切欠き部が、前記軸受ブッシュの中心軸線より前記第2壁部から離隔する側に前記係合端面部を有し、前記軸受ブッシュの中心軸線より前記第2壁部に近接する側に前記切欠き部の主要部分を有することを特徴とする請求項6に記載の可変ノズルターボチャージャ。
【請求項8】
前記軸受ブッシュの前記切欠き部が、前記係合端面部から該係合端面部に対して前記操作機構室側に近接する方向に傾斜しつつ略楕円弧状の壁面を形成している請求項2、請求項6または請求項7に記載の可変ノズルターボチャージャ。
【請求項9】
前記操作レバーが、前記入力軸に支持される基端部およびアクチュエータからの操作力を受ける先端部を有する板状体からなり、
前記基端部が前記入力軸の外周面と同心的に位置する円弧状の外周縁を有していることを特徴とする請求項1ないし請求項8のうちいずれか1の請求項に記載の可変ノズルターボチャージャ。
【請求項10】
前記入力軸の外端部が、段付状に縮径されるとともに、前記操作レバーの基端部に形成された凹部に嵌入されていることを特徴とする請求項9に記載の可変ノズルターボチャージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−223120(P2010−223120A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72094(P2009−72094)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】