説明

可搬物管理システム、及び、可搬物管理方法

【課題】本発明は、可搬物の建物内外での紛失を防止する可搬物管理システム、及び、可搬物管理方法に関し、可搬物の状態を確実に把握することができる可搬物監視システム及び可搬物監視方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、可搬物の搬出を管理する可搬物管理システムであって、子機識別子が付与され、可搬物に装着される子機と、親機識別子が付与され、前記可搬物の搬送者に携帯される親機と、可搬物の搬出時に、予め子機及び親機と通信を行い、子機識別子及び親機識別子を取得して、子機識別子と親機識別子とのペアを記憶し、子機及び親機と各々通信を行い、子機から子機識別子を取得し、親機から親機識別子を取得し、取得した子機識別子と取得した親機識別子と、前記予め記憶された子機識別子と親機識別子とのペアとを比較し、可搬物の不正な搬出を検知し、警報を出力する監視装置とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬物管理システム、及び、可搬物管理方法に係り、特に、可搬物を特定の区域から搬出する可搬物管理システム、及び、可搬物管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データが保存されている可搬記憶媒体の持ち運び中の紛失事案があとをたたない。当該事案は、企業・団体にとって、社会的な信用の失墜となる。当該事案は、建物外部だけでなく、建物内部でも発生している。
【0003】
原因としては、持ち運び中に、可搬記憶媒体が身体から離れたことに持ち運び者が気づかないことが考えられる。
【0004】
このような事案に対応するために、可搬記憶媒体に、無線通信技術を用いた「盗難防止装置」が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
盗難防止装置は、親機と子機から構成されており、親機を身体に、子機を可搬記憶媒体にあらかじめ取り付けておく。そして持ち運び者は、親機と子機付の可搬記憶媒体を携帯する。
【0006】
親機は、子機との距離がある一定以上離れたときにアラーム音を発する。これにより、持ち運び者は、可搬記憶媒体が身体から離れたことに気づくため、可搬記憶媒体の捜索を迅速に行なえる。これにより、企業・団体の建物内および建物外における紛失事案を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−117120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、親機と子機との両方が接近したまま、職員の身体から離れると、アラーム音が鳴ならず職員は、可搬記憶媒体が身体から離れたことに気づかないため、紛失事案が発生する。
【0009】
さらに、子機をつけた可搬記憶媒体を持っても、親機を持たない、または、親機の電源を入れないなどした場合は、可搬記憶媒体が身体から離れたことに気づかないため、紛失事案が発生する。
【0010】
さらに、従来の構成では、可搬記憶媒体を出入口などから搬出する場合の管理は行うことができないなどの課題がある。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、可搬物の不正な搬出を防止できる可搬物監視システム及び可搬物監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、可搬物の搬出を管理する可搬物管理システムであって、子機識別子が付与され、可搬物に装着される子機と、親機識別子が付与され、前記可搬物の搬送者に携帯される親機と、可搬物の搬出時に、予め子機及び親機と通信を行い、子機識別子及び親機識別子を取得して、子機識別子と親機識別子とのペアを記憶し、子機及び親機と各々通信を行い、子機から子機識別子を取得し、親機から親機識別子を取得し、取得した子機識別子と取得した親機識別子と、予め記憶された子機識別子と親機識別子とのペアとを比較することにより、可搬物の不正な搬出を検知し、警報を出力する監視装置とを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、可搬物の搬出を管理する可搬物管理システムであって、子機識別子が付与され、可搬物に装着される子機と、親機識別子が付与され、前記可搬物の搬送者に携帯される親機と、可搬物の搬出時に、予め子機及び親機と通信を行い、子機識別子及び親機識別子を取得して、子機識別子と親機識別子とのペアを記憶し、子機及び親機と各々通信を行い、子機から子機識別子を取得し、親機から親機識別子を取得し、取得した子機識別子と取得した親機識別子と、予め記憶された子機識別子と親機識別子とのペアとを比較することにより、可搬物の不正な搬出を検知し、警報を出力する監視装置とを含む構成とすることにより、可搬物だけを搬出しようとしたり、親機を紛失、置き忘れたり、また、子機を検知できないようにして搬出しようとするなどの不正な搬送を行うと警報が出力され、可搬物の不正な搬出を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例のシステム構成図である。
【図2】可搬記憶媒体101のブロック構成図である。
【図3】親機120のブロック構成図である。
【図4】監視装置130のブロック構成図である。
【図5】本発明の一実施例の動作説明図である。
【図6】通報先テーブルのデータ構成図である。
【図7】本発明の他の実施例のシステム構成図である。
【図8】機器監視装置210のブロック構成図である。
【図9】本発明の他の実施例の動作説明図である。
【図10】監視装置130の配置の一例を説明するための図である。
【図11】監視装置130の配置の他の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明の一実施例のシステム構成図を示す。
【0016】
本実施例では、可搬物が可搬記憶媒体101である場合について説明を行う。なお、可搬記憶媒体101は、USBメモリ、CD、DVD、ポータブルハードディスクなどの種々の記憶媒体である。
【0017】
本実施例の可搬物監視システム100は、子機110、親機120、監視装置130などを含む構成とされている。
【0018】
子機110は、可搬記憶媒体101に貼付され、無線通信により親機120及び監視装置130と通信可能な構成とされている。親機120は、職員毎に貸与され、可搬記憶媒体101を搬送する搬送者が携帯するものであり、無線通信により子機110及び監視装置130と通信可能な構成とされ、子機110とのペアリングを行う。また、監視装置130は、パソコン140に接続されて、可搬記憶媒体101へのデータの転送の許可などを行う。
【0019】
監視装置130は、子機110及び親機120と無線通信を行い、子機110の識別子及び親機120の識別子を取得し、子機110と親機120の状態を監視し、必要に応じて警報を出力したり、通報先端末装置150に警報を通知したりする。
【0020】
ここで、可搬記憶媒体101の構成について説明する。
【0021】
図2は可搬記憶媒体101のブロック構成図を示す。
【0022】
可搬記憶媒体101は、例えば、USBメモリなどから構成されており、インタフェース102、メモリ103、USBポート104などを構成とされており、インタフェース102、あるいは、メモリ103上に子機110が貼付された構成とされている。
【0023】
なお、子機110は、盗難防止装置の子機に相当するものであり、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)から構成とされ、通信部111、処理部112、子機記憶部113などを含む。
【0024】
RFIDは、識別子(ID)が記憶されたICチップである。RFIDは、RFIDリーダなどを用いることにより、電磁界や電波などを用いた近距離、例えば、数cm〜数m程度の無線通信によって記憶された識別子を読み取ることができる構成とされている。
【0025】
子機110は、例えば、可搬記録媒体101に貼付される。
【0026】
可搬記憶媒体101に貼り付けられた子機110は、可搬記憶媒体101から剥がすと子機110自身が破損するとともに、可搬記憶媒体101も破損する仕組みになっている。
【0027】
子機110は、可搬記憶媒体101が、例えば、上記のUSBメモリ、あるいは、ポータブルハードディスクのような記録機器である場合には、内蔵された回路基板の配線上に貼付される。回路基板の配線は、回路基板に蒸着されているので、子機110を剥がすと、配線も一緒に剥がれて、データの読取ができなくなる。
【0028】
また、子機110は、可搬記憶媒体101が、例えば、CD、DVDなどの場合には記録面に貼付される。CD、DVDなどの記録面は、フィルム上であるため、記録面に貼付された子機110を剥がすと、記録面も一緒に剥がれて、記録されたデータの読取ができなくなる。
【0029】
次に、親機120の構成について説明する。
【0030】
図3は親機120のブロック構成図を示す。
【0031】
親機120は、盗難防止装置の親機に相当する機器であり、例えば、パソコン140毎、あるいは、職員一人毎に与えられる。親機120は、子機110及び監視装置130と無線通信を行うとともに、パソコン140のUSBポートなどに接続することができる構成とされている。親機120は、例えば、通信部121、処理部122、親機記憶部123、インタフェース124、バッテリ125、人体検知部126、出力部127、USBポート128などを含む構成とされている。
【0032】
通信部121は、子機110及び監視装置130と無線通信を行うためのデバイスから構成され、子機110から子機識別子を取得するとともに、監視装置130に親機識別子などを通知する。処理部122は、監視装置130からの要求に応じて親機識別子を読み出し、監視装置130に送信するとともに、パソコン140からの可搬記録媒体101へのデータ転送要求に基づいて子機110の子機識別子と対応を行い、監視装置130に登録し、パソコン140にデータ転送を許可する処理、人体検知部126の検知結果に基づいて監視装置130に通知したり、出力部127から警報を出力したりする処理などの各種処理を実行する。
【0033】
親機記憶部123は、メモリであり、親識別子が記憶されている。インタフェース124は、USBインタフェースによりパソコン140との通信を行う。バッテリ125は、二次電池などから構成されており、USBポート128を介してパソコン140から供給される5Vの直流電圧によって充電され、親機120の通信部121、処理部122、親機記憶部123、インタフェース124、人体検知部126、出力部127などの各部に電源を供給する。
【0034】
人体検知部126は、人体を通信路とする人体通信という技術を用いて親機120が人体に近接していることを検出するデバイスから構成されている。人体検知部126は、人体側に送信電極及び受信電極を有し、送信電極に特定の信号を印加し、受信電極で検出することにより、親機120が人体に近接して設けられていることを検知できる。例えば、親機120が空気あるいは絶縁物に近接して設けられている場合には、受信電極で送信電極から特定の信号を検出できず、人体に近接していないことを検出できる。また、親機120が導体に近接して設けられている場合には、送信電極からの特定の信号がほとんど減衰、遅延なく受信電極に現れるので、人体に近接していないことを検出できる。
【0035】
さらに、親機120が人体に近接して設けられている場合には、人体は抵抗及び容量成分を有するので、送信電極からの特定の信号が人体の抵抗成分に応じて減衰するとともに容量成分に応じて遅延して受信電極に現れることになるので、人体に近接していることを検出できる。
【0036】
これによって、人体検知部126により親機120が人体に携帯されているか否かを検知できる。
【0037】
親機120は、例えば、ベルトなどが取り付けられており、身体の任意の部分(腰、手首など)に取り付けることができように構成されている。
【0038】
出力部127は、スピーカ、フラッシュなどが内蔵された構成とされており、処理部122からの指示によりブザーやメッセージを音響出力したり、フラッシュが点滅したりする。親機120は、子機110とペアリングが行われた後、一定時間以上、人体検知部126により人体が検知されてない状態が継続した場合には、出力部127から警報を出力する構成とされている。これにより、可搬記憶媒体101の搬送時において、親機120の紛失、置き忘れなどを防止できる。
【0039】
USBポート128は、例えば、USBソケットコネクタ、あるいは、USBプラグコネクタなどから構成されており、USBケーブルを介してパソコン140のUSBポートに接続される。
【0040】
次に、監視装置130の構成について説明する。
【0041】
図4は監視装置130のブロック構成図を示す。
【0042】
監視装置130は、例えば、出入口付近の室内側天井部分に設置して、子機110の識別子、及び、親機120の識別子を読み取り、読み取り結果によって、アラーム音、アラームメッセージ等を発生させる。所定の通報先に通報を行うことが出来る。
【0043】
監視装置130は、通信部131、処理部132、監視装置記憶部133、インタフェース134、出力部135などを含む構成とされている。通信部131は、子機110、親機120と無線通信を行うためのデバイスである。
【0044】
処理部132は、親機120から、通信部131、あるいは、インタフェース134を通じて受信した子機識別子及び親機識別子のペアを、監視装置記憶部133に記憶するとともに、子機110から通信部131を通じて受信する子機識別子及び親機120から通信部131を通じて受信する親機識別子に基づいて子機110及び親機120の状態を検知して、異常がある場合に出力部135から警報を出力したり、ネットワーク160を通じて通報先端末装置150に警報を通知したりする。
【0045】
監視装置記憶部133は、メモリなどから構成されており、親機120から、通信部131、あるいは、インタフェース134を通じて受信した子機識別子及び親機識別子のペアを記憶する。
【0046】
インタフェース134は、ネットワーク160を介してパソコン140、通報先端末装置150との通信を行うためのデバイスである。
【0047】
出力部135は、スピーカ、フラッシュなどが内蔵された構成とされており、処理部132からの指示によりブザーやメッセージを音響出力したり、フラッシュが点滅したりする。
【0048】
なお、ネットワーク160は、無線LAN、有線LANなどの有線又は無線のセキュアな通信回線から構成されており、例えば、SSL通信、VPN通信、WEP方式による無線LANなどが含まれる。
【0049】
次に、パソコン140で、可搬記憶媒体101にデータを移動させるときの動作について説明する。
【0050】
図5は本発明の一実施例の動作説明図を示す。
【0051】
このとき、パソコン140のUSBポートに子機110及び親機120が接続された状態であり、子機110と親機120とはペアリングされていないものとする。
【0052】
ステップS1−1でパソコン140に可搬記憶媒体101へのデータ転送指示があると、パソコン140は、ステップS1−2で親機120にデータ転送通知を送信する。
【0053】
親機120は、ステップS2−1でパソコン140からのデータ転送通知を受信すると、ステップS2−2で子機110に子機識別子を要求する。
【0054】
子機110は、ステップS3−1で親機120から子機識別子の要求を受信すると、ステップS3−2で子機記憶部113から子機識別子を読み出して親機120に送信する。
【0055】
親機120は、ステップS2−3で子機110から子機識別子を受信すると、受信した子機識別子を親機記憶部123に記憶し、ステップS2−4で親機記憶部123から親機識別子を読み出す。親機120は、ステップS2−5で受信した子機識別子と親機記憶部123から読み出した親機識別子とでペアを作成し、ステップS2−6で監視装置130に送信する。
【0056】
監視装置130は、ステップS4−1で親機120から子機識別子と親機識別子とのペアを受信すると、ステップS4−2で親機120から受信した子機識別子と親機識別子とのペアを監視装置記憶部133に記憶する。監視装置130は、親機120から受信した子機識別子と親機識別子とのペアを監視装置記憶部133に記憶すると、ステップS4−3で親機120にペア登録完了通知を送信する。
【0057】
親機120は、ステップS2−7で監視装置130からペア登録完了通知を受信すると、ステップS2−8でパソコン140にデータ転送許可通知を送信する。
【0058】
パソコン140は、ステップS1−3で親機120からデータ転送許可通知を受信すると、ステップS1−4でデータを可搬記憶媒体101に転送する。パソコン140は、ステップS1−5でデータの可搬記憶媒体101への転送が完了すると、ステップ1−6で親機120にデータ転送完了通知を送信する。
【0059】
親機120は、ステップS2−9でパソコン140からデータ転送完了通知を受信すると、ステップS2−10、S2−11、S2−12で所定時間内に人体検知部126により人体が検知されたか否かを判定する。なお、ステップS2−10は、計時を開始するステップであり、ステップS2−11は、人体検知部126からの検知結果を判定するステップであり、ステップS2−12は、計時を開始してから所定時間経過したか否かを判定するステップである。
【0060】
親機120は、ステップS2−10、S2−11、S2−12で所定時間内に人体検知部126により人体が検知されなければ、可搬記憶媒体101の搬送者が親機110をパソコン140に装着し、身につけていないと判断して、ステップS2−13で出力部127から警報を出力する。これによって、搬送者は、親機120を身体に装着していないことに気づくことができる。
【0061】
なお、親機120は、警報をパソコン140、監視装置130などを通して通報先端末装置150に通知するようにしてもよい。これにより、通報先から搬送者に対して親機110を身体に装着していないことを知らせることができる。
【0062】
また、親機120は、ステップS2−10、S2−11、S2−12で所定時間内に人体検知部126により人体が検知されれば、親機120が搬送者の身につけられたものと判断して、ステップS2−14で人体検知部126の検知結果を監視する。
【0063】
親機120は、ステップS2−14で人体検知部126の検知結果、人体を検知していれば、搬送者の身に装着されているものと判断する。また、親機120は、ステップS2−14で人体検知部126の検知結果、人体を検知できなければ、親機120を落としたか、忘れたものと判断して、ステップS2−13で出力部127から警報を出力する。
【0064】
なお、警報を、パソコン140、監視装置130などを通して通報先端末装置150に通知するようにしてもよい。
【0065】
親機120は、ステップS2−15で子機120に子機識別子を要求する。子機110は、ステップS3−1で子機識別子の要求を受信すると、ステップS3−2で子機識別子を子機記憶部113から読み出し、親機120に送信する。
【0066】
親機120は、ステップS2−16で子機識別子を受信すると、ステップS2−17で受信した子機識別子の正当性を判断する。すなわち、受信した子機識別子が親機記憶部123に記憶された子機識別子と比較して一致していれるか否かを判断する。
親機120は、ステップS2−17で受信した子機識別子が親機記憶部123に記憶された子機識別子と一致すれば、受信した子機識別子が正当であり、ペアリングされた親機120と子機110とが近接している、と判断できる。正当であれば、ステップS2−14に戻り処理を続ける。
【0067】
親機120は、ステップS2−17で受信した子機識別子が親機記憶部123に記憶された子機識別子と不一致であると、受信した子機識別子が正当ではなく、ペアリングされた親機120と子機110とが離間している、と判断し、ステップS2−13で出力部127から警報を出力する。なお、親機120は、警報を、パソコン140、監視装置130などを通して通報先端末装置150に通知するようにしてもよい。
【0068】
一方、監視装置130は、ステップS4−3でペア登録完了通知を親機120に送信すると、ステップS4−4で子機110に子機識別子を要求するとともに、親機120に親機識別子を要求する。
【0069】
子機110は、ステップS3−1で子機識別子の要求を受信すると、ステップS3−2で子機識別子を子機記憶部113から読み出し、監視装置130に送信する。また、親機120は、ステップS2−18で親機識別子の要求を受信すると、ステップS2−19で親機記憶部123から親機識別子を読み出し、監視装置130に送信する。
【0070】
監視装置130は、ステップS4−5で子機110から受信した子機識別子と親機120から受信した親機識別子とが監視装置記憶部133に記憶されたペアか否かを判定する。監視装置130は、ステップS4−5で子機110から受信した子機識別子と親機120から受信した親機識別子とがペアでないとき、ステップS4−6で子機110と親機120とが離間していると判断して、出力部135から警報を出力する。なお、監視装置130は、警報を、ネットワーク160を介して通報先端末装置150に通知するようにしてもよい。なお、このとき、監視装置130が通報先端末装置150に警報を通報するために、監視装置130の監視装置記憶部133は、親機識別子、通報先の名称、電子メールアドレスからなる通報先テーブルを持つ。処理部132は、監視装置記憶部133に記憶された通報先テーブルを参照して通報先端末装置150に通報を行う。
【0071】
図6は、通報先テーブルのデータ構成図を示す。
【0072】
通報先テーブルは、親機識別子、通報先名称及び電子メールアドレスから構成されている。なお、通報先は、一つの親機識別子に対して1箇所でもあっても、複数箇所であってもよい。
【0073】
図5に戻って説明を続ける。
【0074】
さらに、監視装置130は、子機識別子と親機識別子とを一定時間、例えば、数十分から1時間程度読み取れないときには、可搬記憶媒体101をアルミホイルなどによりシールドして不正に持ち出そうとしているものと判断して、警報を出力する。
【0075】
また、監視装置130は、警報が出力されるときには、ネットワーク160などを介して電気錠170を制御して、出入口を施錠し、可搬記憶媒体101の外部への持ち出しを禁止する。
【0076】
なお、子機110から受信した子機識別子と親機120から受信した親機識別子とがペアでない状況としては、子機識別子だけ、あるいは、親機識別子のみが取得できる場合なども考えられる。
【0077】
また、監視装置130は、ステップS4−5で子機110から受信した子機識別子と親機120から受信した親機識別子とがペアであるときには、ステップS4−4に戻って処理を続ける。
【0078】
なお、親機120の出力部127には、スイッチSWが設けられており、スイッチSWを操作することにより、出力部127から警報が出力されたときに警報の出力を一時停止することができるように構成されている。
【0079】
なお、親機120は、パソコン140に再度接続されたときには、親機記憶部123に記憶されている子機識別子を自動的に消去するとともに、出力部127からの警報の出力を停止する。これにより、別の可搬記憶媒体101へのデータの書き込みが可能となる。
【0080】
本実施例によれば、可搬記憶媒体101に装着されている子機110と、搬送者が身につける親機120と、子機識別子及び親機識別子を監視する監視装置130とにより、可搬記憶媒体101の室外への搬出を監視することにより、可搬記憶媒体101だけを搬出しようとしたり、子機110、又は、親機120を紛失、置き忘れたり、また、子機110を検知できないようにして搬出するなどの不正な搬送を行った場合には、警報が出力されるため、不正な搬送を警告でき、不正なデータの漏洩などを防止できる。
【0081】
なお、本実施例では、親機120をパソコン140に接続する構成としたが、親機120とは別に、可搬記憶媒体101へのデータ転送、パソコン140からの取り外しなどを監視する機器監視装置を設けるようにしてもよい。
【0082】
図7は、本発明の他の実施例のシステム構成図を示す。なお、同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0083】
本実施例の可搬物監視システム200は、親機120とは別に、機器監視装置210を設けた構成とされている。
【0084】
機器監視装置210は、パソコン140のUSBポート、PCカードスロットなどに接続され、パソコン140におけるデータ転送、パソコン140からの取り外しなどを監視する装置であり、親機120と無線通信を行う。
【0085】
図8は、機器監視装置210のブロック構成図を示す。
【0086】
機器監視装置210は、通信部211、処理部212、記憶部213、インタフェース214、USBポート215などを含む構成とされている。
【0087】
通信部211は、親機120と無線通信を行うためのデバイスである。処理部212は、記憶部213などに記憶されたプログラムに基づいてパソコン140における可搬記憶媒体101へのデータの転送のための処理を実行する。
【0088】
記憶部213は、メモリなどから構成されており、処理部212で実行されるプログラム、子機110から取得した子機識別子、親機120から取得した親機識別子などを保存する。
【0089】
インタフェース214は、USBポート215を介してパソコン140とのインタフェースをとるデバイスである。
【0090】
次に、本実施例のパソコン140における可搬記録媒体101へのデータ転送時の動作を説明する。
【0091】
図9は、本発明の他の実施例の動作説明図を示す。
【0092】
パソコン140がステップS4-21で可搬記憶媒体101へのデータ転送指示を受けると、ステップS4−22でデータ転送の実行を待機状態とする。機器監視装置210は、ステップS5−1でパソコン140の可搬記憶媒体101へのデータ転送指示を検知すると、ステップS5−2で親機120がパソコン140に接続されているか否かを判定する。
【0093】
機器監視装置210は、ステップS5−2で親機120がパソコン140に接続されていると判定した場合、ステップS5−3で親機120から人体装着通知信号が供給されるのを待機する。親機120は、ステップS2−21でパソコン140から取り外されて、人体に装着されると、人体検知部126が人体に装着されたことを検知して、ステップS2−22で機器監視装置210に人体装着信号を送信する。
【0094】
機器監視装置210は、ステップS5−3で親機120から人体装着信号を受信すると、ステップS5−4で、パソコン140にデータ転送許可信号を送信する。
【0095】
パソコン140は、ステップS4−23で機器監視装置210からデータ転送許可信号を受信すると、ステップS4−24で可搬記憶媒体101にデータ転送する。パソコン140は、ステップS4−25で可搬記憶媒体101へのデータの転送が完了すると、ステップS2−26で機器監視装置210にデータ転送完了信号を通知する。
【0096】
機器監視装置210は、ステップS5−5でパソコン140からデータ転送完了信号を受信すると、ステップS5−6で子機110に子機識別子を要求する。子機110は、ステップS3−1で機器監視装置210から子機識別子の要求を受信すると、ステップS3−2で子機記憶部113から子機識別子を読み出し、機器監視装置210に送信する。
【0097】
機器監視装置210は、ステップS5−7で子機110から子機識別子を受信すると、ステップS5−8で受信した子機識別子を親機120に送信するとともに、ステップS5−9で受信した子機識別子と接続された親機識別子とを対応付けたペアを監視装置130に送信する。
【0098】
監視装置130は、ステップS1−21で子機識別子と親機識別子とのペアを受信すると、ステップS1−22で子機識別子と親機識別子とのペアを監視装置記憶部133に登録する。監視装置130でのデータ転送処理は、終了する。なお、監視装置130は、以降、前述したように、子機110から子機識別子を読み取り、親機120から親機識別子を読み取り、読み取った子機識別子、及び、親機識別子と、監視装置記憶部133に記憶した子機識別子と親機識別子とのペアとに基づいて可搬記憶媒体101及び親機120の状態を監視する。
【0099】
また、親機120は、ステップS2−22で機器監視装置210から子機識別子を受信すると、ステップS2−23で、親機記憶部123から親機識別子を読み出し、機器監視装置210から受信した子機識別子とペアを作成し、ステップS2−24で親機記憶部123に記憶する。以上により、親機120でのデータ転送時の処理は終了する。なお、親機120は、例えば、図5、ステップS2−14〜S2−13などに記載のように、親機記憶部123に記憶された親機識別子と子機識別子とにより、子機110の正当性を判断して、警報を出力する処理を実行する。
【0100】
次に監視装置130の配置例について説明する。
【0101】
図10は監視装置130の配置の一例を説明するための図を示す。
【0102】
図10は、監視装置130を出入り口付近に設置し、出入り口に設置された扉180に設けられた電気錠170を制御するようにした配置である。
【0103】
搬送者190が親機120及び親機120とペアをなす可搬記憶媒体101と近接して搬送していれば、正当な搬送者であると判断できるため、監視装置130は警報を出力しないので、電気錠170は解錠状態であり、搬送者190は、扉180を開け、可搬記憶媒体101を持って外に出ることができる。
【0104】
一方、搬送者190が可搬記憶媒体101のみを搬送して、外に出ようすると、不正な搬送者であると判断できるため、監視装置130は警報を出力するとともに、電気錠170を施錠状態に制御する。これによって、搬送者190は、扉180を開け、可搬記憶媒体101を持って外に出ることはできなくなる。
【0105】
図11は監視装置130の配置の他の一例を説明するための図を示す。
【0106】
電気錠などを設置できない場合、例えば、同一フロア内に特定の監視区域Aを設ける場合には、図11に示すように、監視区域Aの周縁部に複数の監視装置130を設ける。監視装置130は、監視装置130の下部を通過するときに可搬記憶媒体101の子機110及び親機120の識別子を検知し、親機120及び親機120とペアをなす可搬記憶媒体101が近接して搬送されていれば、正当な搬送者であると判断し、監視装置130は警報を出力しないようにする。
【0107】
また、監視装置130は、監視装置130の下部を通過するときに可搬記憶媒体101の子機110のみの子機識別子、あるいは、親機120のみの親機識別子、さらには、ペアをなさない子機識別子と親機識別子が検知された場合には、親機120及び親機120とペアをなす可搬記憶媒体101が近接して搬送されていないので、不当な搬送者であると判断し、監視装置130は警報を出力する。また、監視装置130から子機110、親機120に警報を出力するように命令を送信し、子機110、親機120から警報を出力させるようにしてもよい。
【0108】
なお、監視装置130の配置方法は上記図10、図11の形態に限定されるものではない。
【0109】
なお、上記実施例では、可搬記憶媒体101の搬送を例に説明を行ったが、可搬物は、可搬記録媒体101に限定されるものではなく、子機110を取り付け可能な各種携帯型電子機器、貴重品などに適用できることは言うまでもない。
【0110】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形例が考えられることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0111】
100、200 可搬物監視システム
101 可搬記憶媒体、102 インタフェース、103 メモリ
104 USBポート
110 子機
111 通信部、112 処理部、113 子機記憶部
120 親機
121 通信部、122 処理部、123 親機記憶部、124 インタフェース
125 バッテリ、126 人体検知部、127 出力部、128 USBポート
130 監視装置
131 通信部、132 処理部、133 監視装置記憶部、134 インタフェース
135 出力部
140 パソコン
150 通報先端末装置
160 ネットワーク
170 電気錠、180 扉、190 搬送者
210 機器監視装置
211 通信部、212 処理部、213 記憶部、214 インタフェース
215 USBポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬物の搬出を管理する可搬物管理システムであって、
子機識別子が付与され、前記可搬物に装着される子機と、
親機識別子が付与され、前記可搬物の搬送者に携帯される親機と、
前記可搬物の搬出時に、予め前記子機及び前記親機と通信を行い、前記子機識別子及び前記親機識別子を取得して、前記子機識別子と前記親機識別子とのペアを記憶し、前記子機及び前記親機と各々通信を行い、前記子機から前記子機識別子を取得し、前記親機から前記親機識別子を取得し、取得した前記子機識別子と取得した前記親機識別子と、前記前記予め記憶された前記子機識別子と前記親機識別子とのペアとを比較することにより、前記可搬物の不正な搬出を検知し、警報を出力する監視装置とを含む可搬物管理システム。
【請求項2】
前記子機は、前記子機識別子を記憶する子機記憶部と、
前記親機及び前記監視装置と通信を行い、前記親機及び前記監視装置からの要求に応じて前記子機記憶部から前記子機識別子を読み出し、前記親機及び前記監視装置に送信する通信部とを含み、
前記親機は、親機識別子を記憶する親機記憶部と、
人体に近接していることを検知する人体検知部と、
前記子機及び前記監視装置と通信を行う通信部と、
ペア設定時に、前記通信部により前記子機と通信を行い、前記子機識別子と前記親機記憶部に記憶された前記親機識別子とを対応させ、前記子機と前記親機とのペアを設定し、前記子機識別子と前記親機識別子とのペアを前記監視装置に送信し、前記子機と通信を行い、前記親機記憶部に記憶された前記親機識別子に対応する子機識別子が識別できないときに警報を出力し、前記監視装置と通信を行い、前記監視装置からの要求に応じて前記親機記憶部から前記親機識別子を読み出し、前記通信部を介して前記監視装置に送信させる処理部とを含み、
前記監視装置は、前記子機及び前記親機と通信を行う通信部と、
前記親機から送信される前記子機識別子と前記親機識別子とのペアを記憶する監視装置記憶部と、
前記子機から送信される前記子機識別子と前記親機から送信される前記親機識別子とが、前記監視装置記憶部に記憶されている前記子機識別子と前記親機識別子とのペアと一致しないときは、警報を出力する処理部とを含む請求項1記載の可搬物管理システム。
【請求項3】
前記子機は、RFIDである請求項1又は2記載の可搬物管理システム。
【請求項4】
前記可搬物は、可搬記憶媒体であり、
前記子機は、前記可搬記憶媒体に取り付けられ、
前記子機及び前記可搬記憶媒体とは、前記子機と前記可搬記憶媒体とが取りはずされると、破損するように取り付けられている請求項1乃至3のいずれか一項記載の可搬物管理システム。
【請求項5】
前記可搬記憶媒体は、情報処理装置にデータの書き込み可能に装着され、
前記親機は、前記情報処理装置に通信可能に接続され、
前記親機の前記処理部は、前記情報処理装置から前記可搬記憶媒体へのデータの書き込みを検知してから一定時間内に前記人体検知部により人体が検知されないと、前記警報を出力する請求項4記載の可搬物管理システム。
【請求項6】
前記可搬記憶媒体は、情報処理装置にデータの書き込み可能に装着され、
前記親機は、前記情報処理装置に通信可能に接続され、
前記親機の前記処理部は、前記人体検知部により人体が検知されたときに、前記情報処理装置から前記可搬記憶媒体へのデータの書き込みを許可し、
前記情報処理装置は、前記親機からのデータ書き込み許可に応じてデータを前記可搬記憶媒体に書き込む請求項4記載の可搬物管理システム。
【請求項7】
可搬物の搬出を管理する可搬物管理方法であって、
子機識別子が付与され、前記可搬物に装着される子機と、
親機識別子が付与され、前記可搬物の搬送者に携帯される親機と、
前記子機識別子及び前記親機識別子を監視する監視装置とを含み、
前記可搬物の搬出時に、予め前記子機及び前記親機と通信を行い、前記子機識別子及び前記親機識別子を取得して、前記子機識別子と前記親機識別子とのペアを記憶し、前記子機及び前記親機と各々通信を行い、前記子機から前記子機識別子を取得し、前記親機から前記親機識別子を取得し、取得した前記子機識別子と取得した前記親機識別子と、前記前記予め記憶された前記子機識別子と前記親機識別子とのペアとを比較することにより、前記可搬物の不正な搬出を検知する可搬物管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−224920(P2010−224920A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72121(P2009−72121)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】