説明

可撓止水継手およびその施工方法

【課題】継手部分の変形などによっても防水シートが破断することがなく、可撓止水部材の内側に回り込む浸水などの止水性を向上することができる可撓止水継手およびその施工方法を提供すること。
【解決手段】可撓止水部材20の先行および後行打設固定部21,22それぞれと防水シート14,14を接着することで、可撓止水部材20の内側への水の侵入を防止することができ、防水シート14に、可撓止水部材20の内側への水の浸入に関与しない部分に破断防止部14aを設けることで、変形時の防水シート14、14の破断を防止する。
これにより、継手部13の変形などによっても防水シート14,14が破断することがなく、可撓止水部材20の内側に回り込む水などの止水性を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可撓止水継手およびその施工方法に関し、コンクリートを打ち継いで構築される、水路、水処理施設、トンネル、共同溝などのコンクリート構造体の継手部の止水および相対変位を可能とする可撓止水継手における止水性の向上を図るようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体である水路や水槽あるいは共同溝等の地中に構築される暗渠などの壁部分の継手部には、内外を止水するとともにその両側のコンクリート構造体の地震時変位並びに温度変化等に起因する壁部分の伸縮等を許容する必要があり、ゴムや合成樹脂の止水板など可撓止水部材を供えた可撓止水継手が介設されている。
【0003】
このようなコンクリート構造体である共同溝などのコンクリート構造体用の可撓止水継手では、可撓止水部材として、例えば特許文献1に開示された可撓ゴム継手1が用いられており、図9に示すように、略楕円形状の中空部2と、この中空部2を挟んで断面略V字状に固定される一対のフランジ部3、3と、これらフランジ部3、3の外側に突き出して形成された複数条の突条4を備えて構成され、コンクリート構造体5,5間に中空部2を挟むように位置させ、フランジ部3,3および複数の突条4を打設するコンクリート内に埋設して固定するようにしている。そして、コンクリート構造体5,5の中空部2の内側の目地部分には、目地材6が設けてある。
【特許文献1】特開2002−167789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような可撓ゴム継手1を用いた可撓止水継手では、止水性を向上するため、図10に示すように、コンクリート構造体5,5の継手部分を跨ぐように外周部に防水シート7を巻き付けるようにすることが行われていた。
【0005】
ところが、この防水シート7をコンクリート構造体5,5に接着剤などで取り付けると、コンクリート構造体5,5の地震などの変位によって防水シート7が破断してしまい十分な止水性を得ることができず、一方、接着せずに巻き付けるだけでは、隙間からの浸水が起こり、十分な止水性を得ることができないという問題がある。
【0006】
また、可撓ゴム継手1を用い、図示省略したが、フランジ部3,3の外側にコンクリートを打設せず、アンカーボルトなどを介してコンクリート構造体に取り付け、フランジ部の外側に発泡材を接着して変形できる空間を確保し、発泡材の外側に防水シートを接着することも行われていたが、この場合にも、すでに説明した可撓止水継手と同様に、地震などの変位による防水シートの破断やフランジ部の内側に入り込む浸水に対する十分な止水性を得ることができないという問題がある。
【0007】
この発明は、かかる従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、継手部分の変形などによっても防水シートが破断することがなく、可撓止水部材の内側に回り込む浸水などの止水性を向上することができる可撓止水継手およびその施工方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためこの発明の請求項1記載の可撓止水継手は、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水部材を設けるとともに、この可撓止水部材および隣接する先行・後行コンクリートの継手部の外周を防水シートで覆う可撓止水継手であって、前記可撓止水部材は、前記先行および後行のコンクリート構造体に打設により埋設固定される先行打設固定部および後行打設固定部と、これら先行打設固定部および後行打設固定部の間に設けられ止水および相対変位を可能とする伸縮部と、を備えており、
前記防水シートは、前記継手部に対応して変形時の破断防止部が設けられており、前記可撓止水継部材の前記先行打設固定部および後行打設固定部と前記防水シートとを接着固定してなることを特徴とするものである。
【0009】
この可撓止水継手によれば、可撓止水部材の先行および後行打設固定部それぞれと防水シートを接着することで、可撓止水部材の内側への水の浸入を防止し、防水シートに、可撓止水部材の内側への水の浸入に関与しない部分に破断防止部として、例えば空間や突合せ部、あるいは切れ易くした切り欠き形状などを設けることで、変形時の防水シートの破断を防止できるようにしている。
【0010】
また、この発明の請求項2記載の可撓止水継手は、請求項1記載の構成に加え、前記先行および後行打設固定部に、前記防水シートと接着する接着部を突き出して形成してなることを特徴とするものである。
【0011】
この可撓止水継手によれば、前記先行および後行打設固定部に、前記防水シートと接着する接着部を突き出して形成するようにしており、防水シートの接着部で簡単に接着できるようになるとともに、接着部の剛性を弱くしておくことで、不陸や防水シートの貼り合せ部に段差などがあってもそれに追従して接着できるようになる。
【0012】
さらに、この発明の請求項3記載の可撓止水継手は、請求項2記載の構成に加え、前記先行および後行打設固定部の接着部を、先端部が前記防水シートと平行となるとともに、基端部が直角となるように形成してなることを特徴とするものである。
【0013】
この可撓止水継手によれば、前記先行および後行打設固定部の接着部を、先端部が前記防水シートと平行となるとともに、基端部が直角となるように形成してあり、防水シートの接着部の基端部と先端部の直角部分にアングル材などの簡単な支持金具を当てて押えることができ、可撓止水部材の形状保持や接着を容易にできるようになる。
【0014】
また、この発明の請求項4記載の可撓止水継手は、請求項2または3記載の構成に加え、前記接着部および前記防水シートの内側に補助防水シートを配置し、前記接着部および前記防水シートとの接着および/または接着に替え、前記補助防水シートを接着してなることを特徴とするものである。
【0015】
この可撓止水継手によれば、前記接着部および前記防水シートの内側に補助防水シートを配置し、前記接着部および前記防水シートとの接着および/または接着に替え、前記補助防水シートを接着するようにしており、防水シートとともに、あるいは単独で内側に接着した補助防水シートで内側に回り込む水などを一層完全に止水できるようになる。
【0016】
さらに、この発明の請求項5記載の可撓止水継手は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記可撓止水部材の外側と前記防水シートとの間に、前記可撓止水部材の形状を保持する形状保持部材を設けてなることを特徴とするものである。
【0017】
この可撓止水継手によれば、前記可撓止水部材の外側と前記防水シートとの間に、前記可撓止水部材の形状を保持する形状保持部材を設けてあり、形状を保持して接着やコンクリート構造体への取り付けが容易となる。
【0018】
また、この発明の請求項6記載の可撓止水継手は、前記請求項1〜5のいずれかに記載の構成に加え、前記可撓止水部材の内側に目地材を配置し、この目地材に打設されるコンクリートの流出を防止するシール用シート部材を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
この可撓止水継手によれば、前記可撓止水部材の内側に目地材を配置し、この目地材に打設されるコンクリートの流出を防止するシール用シート部材を設けるようにしており、一層確実に打設されるコンクリートの流出を防止できるようになる。
【0020】
さらに、この発明の請求項7記載の可撓止水継手の施工方法は、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水部材を設けるとともに、継手部の外側を防水シートで覆う可撓止水継手を施工するに際し、前記継手部を挟むコンクリート構造体の打設用の型枠の内側に前記継手部に対応して変形時の破断防止部が設けられた防水シートを取り付け、仮設用治具で形状が保持された前記可撓止水部材の先行打設固定部および後行打設固定部と前記防水シートとを接着固定した後、先行のコンクリートを打設して前記先行打設固定部を埋設固定し、次いで、前記仮設用治具を取り除いて後行のコンクリートを打設して後行打設固定部を埋設固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0021】
この可撓止水継手の施工方法によれば、先行および後行のコンクリート打設用の型枠に防水シートを取り付け、仮設用治具で保持した可撓止水部材の先行および後行打設固定部を接着するようにすることで、簡単に防水シートと可撓止水部材の先行および後行打設固定部とを接着でき、簡単に施工できるようになる。
【0022】
また、この発明の請求項8記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項7記載の構成に加え、前記先行のコンクリートの打設前に、先行のコンクリート側の前記防水シートと前記先行打設固定部とを接着固定した後、先行のコンクリートを打設するようにし、前記後行のコンクリートの打設前に、後行のコンクリート側の前記防水シートを取り付けるとともに、前記後行打設固定部と接着固定するようにしたことを特徴とするものである。
【0023】
この可撓止水継手の施工方法によれば、前記先行のコンクリートの打設前に、先行のコンクリート側の前記防水シートと前記先行打設固定部とを接着固定した後、先行のコンクリートを打設するようにし、前記後行のコンクリートの打設前に、後行のコンクリート側の前記防水シートを取り付けるとともに、前記後行打設固定部と接着固定するようにしており、後行打設固定部と防水シートの接着固定を後行のコンクリート打設前に行うようにしても施工することができ、施工が容易にできるようになる。
【0024】
さらに、この発明の請求項9記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項7または8記載の構成に加え、前記可撓止水部材に前記防水シートへの接着部を形成しておき、当該可撓止水部材および接着部を支持金具で押えて孔加工を必要とせずに前記防水シートと接着するようにしたことを特徴とするものである。
【0025】
この可撓止水継手の施工方法よれば、前記可撓止水部材に前記防水シートへの接着部を形成しておき、当該可撓止水部材および接着部を支持金具で押えて孔加工を必要とせずに前記防水シートと接着するようにしており、可撓止水部材および接着部を支持金具で支持することで防水シートも支持でき、防水シートに孔加工をすることなく、可撓止水部材の接着部と防水シートとを接着できるようになる。
【0026】
また、この発明の請求項10記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項7〜9のいずれかに記載の構成に加え、前記可撓止水部材を、前記可撓止水部材の外側と前記防水シートとの間に設けた形状保持部材で形状を保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0027】
この可撓止水継手の施工方法によれば、前記可撓止水部材を、前記可撓止水部材の外側と前記防水シートとの間に設けた形状保持部材で形状を保持するようにしており、可撓止水部材の形状保持が一層容易にでき、可撓止水部材と防水シートとを一層簡単に接着できるようになる。
【0028】
さらに、この発明の請求項11記載の可撓止水継手の施工方法は、請求項7〜10のいずれかに記載の構成に加え、前記可撓止水部材の内側に目地材を配置し、この目地材に打設されるコンクリートの流出を防止するシール用シート部材を設けた後、コンクリートを打設するようにしたことを特徴とするものである。
【0029】
この可撓止水継手の施工方法によれば、前記可撓止水部材の内側に目地材を配置し、この目地材に打設されるコンクリートの流出を防止するシール用シート部材を設けた後、コンクリートを打設するようにしており、目地材を設け、この目地材にシール用シート部材を設けることで、確実に打設されるコンクリートの流出を防止することができるようになる。
【発明の効果】
【0030】
この発明の請求項1記載の可撓止水継手によれば、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水部材を設けるとともに、この可撓止水部材および隣接する先行・後行コンクリートの継手部の外周を防水シートで覆う可撓止水継手で、前記可撓止水部材は、前記先行および後行のコンクリート構造体に打設により埋設固定される先行打設固定部および後行打設固定部と、これら先行打設固定部および後行打設固定部の間に設けられ止水および相対変位を可能とする伸縮部と、を備えており、前記防水シートは、前記継手部に対応して変形時の破断防止部が設けられており、前記可撓止水継部材の前記先行打設固定部および後行打設固定部と前記防水シートとを接着固定するようにしたので、可撓止水部材の先行および後行打設固定部それぞれと防水シートを接着することで、可撓止水部材の内側への水の侵入を防止することができ、防水シートに、可撓止水部材の内側への水の浸入に関与しない部分に破断防止部として、例えば空間や突合せ部、あるいは切れ易くした切り欠き形状などを設けることで、変形時の防水シートの破断を防止することができる。これにより、継手部分の変形などによっても防水シートが破断することがなく、可撓止水部材の内側に回り込む水などの止水性を向上することができる。
【0031】
また、この発明の請求項2記載の可撓止水継手によれば、前記先行および後行打設固定部に、前記防水シートと接着する接着部を突き出して形成するようにしたので、防水シートの接着部で簡単に接着することができるとともに、接着部の剛性を弱くしておくことで、不陸や防水シートの貼り合せ部に段差などがあってもそれに追従して接着することもできる。
【0032】
さらに、この発明の請求項3記載の可撓止水継手によれば、前記先行および後行打設固定部の接着部を、先端部が前記防水シートと平行となるとともに、基端部が直角となるように形成したので、防水シートの接着部基端部と先端部の直角部分にアングル材などの簡単な支持金具を当てて押えることができ、可撓止水部材の形状保持や接着を容易に行うことができる。
【0033】
また、この発明の請求項4記載の可撓止水継手によれば、前記接着部および前記防水シートの内側に補助防水シートを配置し、前記接着部および前記防水シートとの接着および/または接着に替え、前記補助防水シートを接着するようにしたので、防水シートとともに、あるいは単独で内側に接着した補助防水シートで内側に回り込む水などを一層完全に止水することができる。
【0034】
さらに、この発明の請求項5記載の可撓止水継手によれば、前記可撓止水部材の外側と前記防水シートとの間に、前記可撓止水部材の形状を保持する形状保持部材を設けたので、可撓止水部材の形状を保持して接着やコンクリート構造体への取り付けを容易にすることができる。
【0035】
また、この発明の請求項6記載の可撓止水継手によれば、前記可撓止水部材の内側に目地材を配置し、この目地材に打設されるコンクリートの流出を防止するシール用シート部材を設けたので、一層確実に打設されるコンクリートの流出を防止できるようになる。
【0036】
さらに、この発明の請求項7記載の可撓止水継手の施工方法によれば、先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水部材を設けるとともに、継手部の外側を防水シートで覆う可撓止水継手を施工するに際し、前記継手部を挟むコンクリート構造体の打設用の型枠の内側に前記継手部に対応して変形時の破断防止部が設けられた防水シートを取り付け、仮設用治具で形状が保持された前記可撓止水部材の先行打設固定部および後行打設固定部と前記防水シートとを接着固定した後、先行のコンクリートを打設して前記先行打設固定部を埋設固定し、次いで、前記仮設用治具を取り除いて後行のコンクリートを打設して後行打設固定部を埋設固定するようにしたので、先行および後行のコンクリート打設用の型枠に防水シートを取り付け、仮設用治具で保持した可撓止水部材の先行および後行打設固定部を接着することで、簡単に防水シートと可撓止水部材の先行および後行打設固定部とを接着でき、簡単に施工することができるとともに、可撓止水部材の内側への水などの浸入を防止して止水性を向上することができる。
【0037】
また、この発明の請求項8記載の可撓止水継手の施工方法によれば、前記先行のコンクリートの打設前に、先行のコンクリート側の前記防水シートと前記先行打設固定部とを接着固定した後、先行のコンクリートを打設するようにし、前記後行のコンクリートの打設前に、後行のコンクリート側の前記防水シートを取り付けるとともに、前記後行打設固定部と接着固定するようにしたので、後行打設固定部と防水シートの接着固定を後行のコンクリート打設前に行うようにしても施工することができ、施工が容易にできるとともに、可撓止水部材の内側への水などの浸入を防止して止水性を向上することができる。
【0038】
さらに、この発明の請求項9記載の可撓止水継手の施工方法よれば、前記可撓止水部材に前記防水シートへの接着部を形成しておき、当該可撓止水部材および接着部を支持金具で押えて孔加工を必要とせずに前記防水シートと接着するようにしたので、可撓止水部材および接着部を支持金具で支持することで防水シートも支持でき、防水シートに孔加工をすることなく、可撓止水部材の接着部と防水シートとを接着することができる。
【0039】
また、この発明の請求項10記載の可撓止水継手の施工方法によれば、前記可撓止水部材を、前記可撓止水部材の外側と前記防水シートとの間に設けた形状保持部材で形状を保持するようにしたので、可撓止水部材の形状保持が一層容易にでき、可撓止水部材と防水シートとを一層簡単に接着することができる。
【0040】
さらに、この発明の請求項11記載の可撓止水継手の施工方法によれば、前記可撓止水部材の内側に目地材を配置し、この目地材に打設されるコンクリートの流出を防止するシール用シート部材を設けた後、コンクリートを打設するようにしたので、目地材に設けたシール用シート部材で、確実に打設されるコンクリートの流出を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、この発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2はこの発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかり、図1は可撓止水継手が設けられるコンクリート構造体の概略斜視図、図2は可撓止水継手のコンクリート構造体の側面での部分横断面図である。また、図3および図4はこの発明の可撓止水継手の施工方法の一実施の形態にかかり、図3は前半部分の各工程の横断面図、図4は後半部分の各工程の横断面図である。
【0042】
この可撓止水継手10では、可撓止水部材20を、コンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体11,12の継手部13に設けることで、止水するとともに、継手部13の両側のコンクリート構造体11,12の地震や温度変化などによる相対変位を可能とするものであり、コンクリート構造体11,12の継手部13の外側には、防水シート14が設けられ、止水性を向上する。
【0043】
コンクリート構造体の一例である共同溝では、例えば図1に示すように、断面形状が矩形で所定長さの函体11,12が継手部13で連結され、継手部13の外側には、防水シート14が設けられて構成され、一般には、開削工法によって均しコンクリート15の上面に現場打ちによって所定長さ毎(函体毎)に継手部13を介設して打ち継がれて構築され、完成後は所定深さの地中に埋め戻されるものであるが、ここでは、側壁部に図示しない外構造体がある場合を例に説明する。
【0044】
このようなコンクリート構造体11、12の継手部13に設けられる可撓止水部材20は、図2に示すように、いわゆる外防水型止水板と称されるものであり、先行打設固定部21および後行打設固定部22を備え、これら先行打設固定部21と後行打設固定部22との間に伸縮することで止水と相対変位を許容する伸縮部23とを備え、ゴムや合成樹脂などの可撓性素材によって横断面方向には一体的に形成され、長手方向には、分割されたものを継手部13の形状に合わせて工場や現場で環状などに成形されて構成される。
【0045】
なお、先行打設固定部21と後行打設固定部22は説明の便宜上定めたもので構造上は同一で対称に配置され、いずれを先行あるいは後行としても良いものである。
【0046】
この可撓止水部材20では、先行打設固定部21および後行打設固定部22が同一形状とされ、先行および後行のコンクリート構造体11,12の継手部13の外周のV字状の傾斜面11a,12aに当てられる側面シール部21a,22aと、外側面がこれら側面シール部21a,22aと略直交するとともに、傾斜面11a,12aに略垂直で内側面が互いに略直線状の板状のアンカー部21b,22bを備え、それぞれの板状のアンカー部21b,22bの先端部に両外側に膨らんだ膨出部21c,22cを備えている。
【0047】
そして、これら先行打設固定部21と後行打設固定部22の間に横断面形状が継手部13の内側から見て略逆U字状の伸縮部23が配置され、継手部13の内側の開口端部に先行打設固定部21および後行打設固定部22の内側端部がそれぞれ連結されて一体に形成されている。
【0048】
また、この可撓止水部材20では、先行打設固定部21および後行打設固定部22の側面シール部21a,22aのコンクリート構造体11,12側にそれぞれブチルシート21d,22dが取り付けられ、コンクリートとの間の止水性を確保できるようにしてある。
【0049】
また、この可撓止水部材20では、継手部13の外周に設けられる防水シート14との接着のための接着部24が設けられ、先行打設固定部21および後行打設固定部22の側面シール部21a、22aの先端部から継手部13の端面と平行な接着基端部24a,24aが設けられ、その先端に直角に突き出して防水シート14と平行な接着先端部24b,24bが一体に成形してある。このような接着基端部24a,24aと接着先端部24b、24bを直角にしておくことで、アングル材などの直角の支持金具を使用して接着部24を簡単に支持することができ、施工を容易にすることができる。
【0050】
そして、接着先端部24b、24bが伸縮部23の頂部より継手部13の外側に位置するようにしてあり、接着先端部24b、24bと防水シート14とを接着した状態で伸縮部23の頂部とに空間が形成されるようにしてある。
【0051】
なお、接着先端部24b、24bは、剛性を他の部分に比較して小さくすることで、防水シート14に不陸や防水シート14の貼り合せ部に段差などがあってもこれらを吸収して接着できるようにすることが好ましい。
【0052】
この可撓止水部材20の伸縮部23の両側および外側には、接着や部分接着で形状を保持できるように発泡材の支持部材25が設けてあり、両側の側部支持部材25a、25aと外側の外側支持部材25bとで構成してある。これら支持部材25は、発泡材、例えばスポンジゴムや発泡スチロールなどで作られ、外側支持部材25bは、防水シート14と伸縮部23の頂部とで形成される空間に配置され、外表面がコンクリート構造体11、12の外面と面一となる形状とされ、その剛性で可撓止水部材20の形状を保持できるようにしてある。側部支持部材25a、25aは、側面シール部21a、22aと伸縮部23とのそれぞれの空間に対応して横断面形状が略三角形に成形されたものが配置してある。
【0053】
また、可撓止水部材20と接着される防水シート14には、継手部13の変位によって破断しないように、破断防止部14aが設けてあり、可撓止水部材20の伸縮部23の外側に位置する部分が分断してあり、50mm程度の間隔をあけた空間としてある。なお、破断防止部14aとしては、空間に限らず、突合せ部や切れ易くした切り欠き形状などで構成しても良い。
【0054】
この防水シート14の止水性は、可撓止水部材20の外側とコンクリート構造物11,12の間を止水できれば良く、内側は、可撓止水部材20自体で止水できるので、防水シート14を分断して中心部に破断防止部14aによる間隔をあけても何ら問題となることはない。
【0055】
そして、この防水シート14と可撓止水部材20の接着部24の接着先端部24b,24bとが接着され、水の浸入を阻止できるようにしてある。
【0056】
なお、接着部24の接着先端部24b、24bの端部を斜めに切り落とすことで、防水シート14との密着性を高め、一層止水性を向上できるようにしてある。
【0057】
この防水シート14は、防水シート14の上から穿孔し、グリッピングアンカー16を打ち込んで側壁部の外構造体である図示しない底版もしくは側壁に取り付けられ、可撓止水部材20を支える治具を締付けるのに利用し、可撓止水部材20の接着部24と接着した後、治具を取り外し、復旧用の防水シート17で孔を塞ぐようにする。
【0058】
また、この可撓止水継手10では、可撓止水部材20の伸縮部23の間とコンクリート構造物11、12の端面との間に、目地材26が取り付けられる。
【0059】
次に、このように構成した可撓止水継手10のコンクリート構造体11,12の継手部13への施工方法について、図3および図4により説明する。
【0060】
この可撓止水継手10の施工では、まず、コンクリート構造物11,12の外側を成形する図示しない先行側および後行側それぞれの底版もしくは側壁を、継手部13を挟む両側に設置し、その内側に防水シート14,14を破断防止部14aとなる間隔、例えば50mmをあけて配置し、防水シート14,14の上から穿孔し、可撓止水部材20の取り付け範囲の両側にグリップアンカー16を打ち込み、周方向には、所定のピッチ、例えば500mmピッチで複数打ち込む。この防水シート14,14には、可撓止水部材20の取り付け中心位置と両端の接着部24が位置する設置範囲、例えば250mmの範囲を予め罫書いておく(図3(a)参照)。
【0061】
次に、可撓止水部材20の設置を3つの治具31,32,33を用いて行う(図3(b)参照)。すなわち、2つの側部支持部材25a、25aと外側支持部材25bで形状が保持された可撓止水部材20の先行打設固定部21側の接着部24の接着先端部24bに板状の治具31を当て、グリップアンカー16にボルト31aを締め付けて固定する。このとき、防水シート14と可撓止水部材20の接着先端部24bおよび外側支持部材25bとはそれぞれ接着処理を行う。
【0062】
また、可撓止水部材20の後行打設固定部22側の接着部24の接着基端部24aと接着先端部24bにアングル材の治具32を当て、グリップアンカー16にボルト32aを締め付けて固定する。このとき、防水シート14と可撓止水部材20の後行側でも接着先端部24bおよび外側支持部材25bとはそれぞれ接着処理を行う。
【0063】
そして、このアングル材の治具32にL字状の治具33を長孔を介して位置調整可能に連結し、この治具33で可撓止水部材20の後行側の内側面を支持する。
【0064】
なお、この可撓止水部材20の設置状態では、伸縮部23の間に目地材26を取り付けておくとともに、先行打設固定部21および後行打設固定部22の側面シール部21a,22aのコンクリート構造体11,12側にそれぞれブチルシート21d,22dを取り付けておく。
【0065】
次に、先行コンクリートの打設準備をし、コンクリートを打設する(図3(c)参照)。
防水シート14と可撓止水部材20との接着処理が完了する時間が経過した後、先行側の治具31をボルト31aごと取り外し、防水シート14の孔に復旧用の防水シート17を貼り付けてシール状態とする。そして、先行側のコンクリート構造体11の継手部13の端面を成形する妻型枠34などの型枠を設置した後、先行コンクリートを打設する。
【0066】
なお、この先行コンクリートの打設前に、目地材26および妻型枠34にコンクリートの流出を防止するシール用シート材としてゴムシートを貼り付けるようにしても良く、妻型枠34の空隙からのコンクリートの流出を確実に防止できる。
【0067】
こうして先行コンクリートを打設し養生後、後行側の2つの治具32,33を取り外すとともに、妻型枠34および他の底版もしくは側壁を取り外し、防水シート14の孔に復旧用の防水シート17を貼り付けてシール状態とする(図4(a)参照)。
【0068】
さらに、継手部13の端面の妻型枠34に代えてゴムやスポンジなどの発泡目地材26を配置し、コンクリート構造体12の継手部13の端面に接着して取り付けて可撓止水部材20の圧縮変形時の変形抵抗の減少および損傷防止を図るようにする(図4(b)参照)。
【0069】
こののち、後行のコンクリート構造体12の構築に必要な底版もしくは側壁などを組み立てた後、後行のコンクリートを打設し、養生後、後行側の底版もしくは側壁を取り外して可撓止水継手10が完成する(図4(c)参照)。
【0070】
このような可撓止水継手10およびその施工方法によれば、可撓止水部材20の接着部24の接着先端部24b,24bと防水シート14とを接着するようにしたので、可撓止水部材20の裏側とコンクリート構造物11,12との間の止水性を向上することができ、コンクリート構造物11,12が変位して可撓止水部材20が変形する場合でも、防水シート14,14に破断防止部14aを設けてあるので、防水シート14,14の破断を防止して、止水状態を保持することができる。
【0071】
また、この可撓止水継手10およびその施工方法によれば、防水シート14,14と接着する接着部24,24を突き出して形成したので、防水シート14,14とこの接着部24,24で簡単に接着することができるとともに、接着部24の剛性を弱くしておくことで、防水シート14,14に不陸や防水シート14の貼り合せ部に段差などがあってもそれに追従して接着することもできる。
【0072】
さらに、接着部24の接着先端部24bと接着基端部24aとが直角となるようにしたので、防水シートの接着の際、直角部分にアングル材などの簡単な金具32を当てて押えることができ、可撓止水部材20の形状保持や接着を容易に行うことができる。
【0073】
さらに、この可撓止水継手10およびその施工方法によれば、可撓止水部材20の外側と防水シート14,14との間に、可撓止水部材20の形状を保持する側部支持部材25aと外側支持部材25bを形状保持部材として設けたので、可撓止水部材20の形状を保持して接着やコンクリート構造体11,12への取り付けを容易にすることができる。
【0074】
次に、この発明の可撓止水継手およびその施工方法を外防水型止水板に適用した他の一実施の形態について、図5および図6により説明するが、すでに説明した施工方法と同一部分には、同一記号を記し、説明は省略する。
【0075】
この可撓止水継手の施工方法でも、すでに説明した可撓止水部材20を用い、施工に当たって、防水シート14,14に孔加工を行わず、その復旧の必要をなくして施工するようにしている。
【0076】
この可撓止水継手10の施工では、まず、コンクリート構造物11,12の外側を成形する図示しない先行側および後行側それぞれの底版もしくは側壁を、継手部13を挟む両側に設置し、先行側の底版もしくは側壁の内側にのみ防水シート14を継手部13の中心まで配置する。そして、後行側の底版もしくは側壁には、可撓止水部材20の取り付け範囲の外側にグリップアンカー16を打ち込み、周方向には、所定のピッチ、例えば500mmピッチで複数打ち込む。
【0077】
なお、この防水シート14と後行の底版もしくは側壁には、可撓止水部材20の取り付け中心位置と両端の接着部24が位置する設置範囲、例えば250mmの範囲を予め罫書いておく(図5(a)参照)。
【0078】
次に、可撓止水部材20の設置を2つの治具41,42を用いて行う(図5(b)参照)。すなわち、2つの側部支持部材25a、25aと外側支持部材25bで形状が保持された可撓止水部材20の後行打設固定部22側の接着部24の接着先端部24bと接着基端部24aにアングル材の治具41を当て、グリップアンカー16にボルト41aで締め付けて固定する。そして、このアングル材の治具41にL字状の治具42を、長孔を介して位置調整可能に連結し、この治具42で可撓止水部材20の先行側および後行側の内側面を支持する。
【0079】
このとき、先行側の防水シート14と可撓止水部材20の接着先端部24bおよび外側支持部材25bとはそれぞれ接着処理を行う。また、後行側の接着先端部24bと底版もしくは側壁との間には、防水シートの厚さに相当するゴム板などのスペーサ43を入れておく。
【0080】
なお、この可撓止水部材20の設置状態では、伸縮部23の間に目地材26を取り付けておくとともに、先行打設固定部21および後行打設固定部22の側面シール部21a,22aのコンクリート構造体11,12側にそれぞれブチルシート21d,22dを取り付けておく。
【0081】
次に、先行コンクリートの打設準備をし、コンクリートを打設する(図5(c)参照)。
先行側の防水シート14と可撓止水部材20との接着処理が完了する時間が経過した後、先行側の内側面を支持していた治具42を後行側の内側面だけの片側支持状態とし、先行側のコンクリート構造体11の継手部13の端面を成形する妻型枠34などの型枠を設置した後、先行コンクリートを打設する。
【0082】
なお、この先行コンクリートの打設前に、目地材26および妻型枠34にコンクリートの流出を防止するシール用シート材としてゴムシートを貼り付けるようにしても良く、妻型枠34の空隙からのコンクリートの流出を確実に防止できる。
【0083】
こうして先行コンクリートを打設し養生後、後行側の2つの治具41、42を取り外すとともに、妻型枠34を取り外し、後行側の底版もしくは側壁の内側のスペーサ43を外して防水シート14を破断防止部14aとしての間隔をあけて配置する(図6(a)参照)。このとき、可撓止水部材20の先行打設固定部21が先行のコンクリート構造物11で支持された状態であるので、後行打設固定部22側の接着部24を継手部13の内側に押しやりながら防水シート14を設置し、後行側の防水シート14と可撓止水部材20の後行打設固定部22側の接着先端部24bおよび外側支持部材25bとはそれぞれ接着処理を行う。
【0084】
この後、継手部13の端面の妻型枠34に代えてゴムやスポンジなどの発泡目地材26を配置し、コンクリート構造体12の継手部13の端面に接着して取り付け、可撓止水部材20の圧縮変形時の変形抵抗の減少および損傷防止を図るようにする(図6(b)参照)。
最後に、後行のコンクリートを打設し、可撓止水継手10が完成する(図6(c)参照)。
【0085】
このような可撓止水継手10の施工方法によれば、防水シート14,14に孔加工を施すことなく、可撓止水部材20を設置して可撓止水継手10を施工することができ、防水シートの復旧が必要なく施工が容易となるとともに、孔を形成することがないので、止水性を維持することができるほか、すでに説明した可撓止水継手10およびその施工方法と同一の作用効果を奏する。
【0086】
この可撓止水継手の施工方法で、防水シート14による止水性をより向上するため、図7に示すように、防水シート14,14と可撓止水部材20の接着部24の内側に補助防水シート45,45を張り合わせるようにする。
【0087】
このような可撓止水継手およびその施工方法によれば、可撓止水部材20の接続部24の接着先端部24bおよび防水シート14の内側に、補助防水シート45を接着するようにしたので、内側に接着した補助防水シート45で可撓止水部材20の内側に回り込む浸水などを一層完全に止水することができる。
【0088】
なお、補助防水シート45、45を用いる場合には、後行側防止シート14と可撓止水部材20の接着先端部24bの外側を接着する工程を省略し、内側を補助防水シート45と接着することで工事を簡素化することもできる。
【0089】
次に、この発明の可撓止水継手およびその施工方法の他の一実施の形態について、図8(a),(b)により説明するが、すでに説明した上記の実施の形態と同一部分には、同一記号を記し説明は省略する。
【0090】
この可撓止水継手およびその施工方法では、すでに説明した可撓止水部材20とは形状が異なる可撓止水部材50を用いるもので、(b)では、接着先端部が設けてある。
【0091】
コンクリート構造体11、12の継手部13に設けられるこの可撓止水部材50は、いわゆる外防水型止水板と称されるものであり、先行打設固定部51および後行打設固定部52を備え、これら先行打設固定部51と後行打設固定部52との間に伸縮することで止水と相対変位を許容する伸縮部53とを備え、ゴムや合成樹脂などの可撓性素材によって横断面方向には一体的に形成され、長手方向には、分割されたものを継手部13の形状に合わせて工場や現場で環状などに成形されて構成される。
【0092】
なお、先行打設固定部51と後行打設固定部52は説明の便宜上定めたもので構造上は同一で対称に配置され、いずれを先行あるいは後行としても良いものである。
【0093】
この可撓止水継手50の先行打設固定部51および後行打設固定部52は、それぞれ先に打設される先行コンクリート構造体11および後に打設する後行コンクリート構造体12の外側面に当てられる継手部13を挟んで直線状に配置される板状の側面シール部51a,52aを備え、それぞれの側面シール部51a、52aからコンリート構造体11、12内の中心に向かうように突き出してアンカー部51b、52bが2条ずつ形成してあり、先端部に膨らんだ膨出部51c、52cが形成して構成してある。そして、継手部13の端面に近いアンカー部および膨出部が端面より遠い内側のものより大きくしてあり、コンクリートの打設によって埋設固定する際に、強固に埋設固定できるようにしてある。
【0094】
また、それぞれの側面シール部51a、52aの内側面には、ブチルシート51d、52dが設けてあり、その粘着力で接着され、コンクリート構造体11、12と先行打設固定部51および後行打設固定部52との間の止水性を確保できるようにしてある。
【0095】
さらに、図8(b)に示す可撓止水部材50では、防水シートとの接着性を向上するため、薄くして剛性を低くした接着先端部51e、52eがそれぞれ形成してある。
【0096】
このような先行打設固定部51と後行打設固定部52の間に設けられる可撓性止水継手50の伸縮部53は、継手部13の内側から見て中空の略逆台形状の横断面形状とされ、外側となる逆台形底部分(図の紙面上部)が先行打設固定部51および後行打設固定部52の側面シール部51a、52aの外側面と略面一となるように配置されて連続するようになっており、伸縮部53の逆台形天部分(図の紙面下部)が継手部13の内側に突き出すように形成してある。そして、伸縮部53の中空部の肉厚が外側となる逆台形底部分(図の紙面上部)だけを他の部分に比べて薄くしてあり、変位の吸収を大きくできるようにしてある。
【0097】
このような可撓止水部材50を用いる可撓止水継手10では、継手部13を挟んで防水シート14,14が破断防止部14aを介して配置され、これら防水シート14,14と可撓止水部材50の先行打設固定部51および後行打設固定部52の外側面が接着処理されて接着してある。また、コンクリート構造体11,12の端面間には、目地材26が介装される。
【0098】
なお、図8(b)に示す可撓止水部材50では、接着先端部51e、52eを介して防水シート14と接着することで、不陸や防水シートの貼り合せ部に段差などがあってもこれらに追従して接着することができ、一層確実に接着することができる。
【0099】
これにより、継手部13で可撓止水部材50の内側に入り込む水などの浸入を防止でき、止水性を向上することができ、可撓止水部材50が変形しても防水シート14,14に破断防止部14aが設けてあるので、防水シート14,14が破断せず、止水性を維持することができる。
【0100】
なお、この防水シート14、14の破断防止部14aも空間、突合せ部、切れ易い切り欠き形状などのいずれでも良い。
【0101】
このような可撓止水部材50を用いる可撓止水継手の施工方法は、可撓止水部材50の形状が異なることから使用する治具の形状を変える必要はあるが、すでに説明した可撓止水部材20を用いる場合と同一の工程で施工することができるので、ここでは、説明を省略する。
【0102】
なお、施工の際に、防水シート14,14に孔加工を施して施工する場合でも、孔加工を施すことなく施工する場合のいずれであっても良く、防水シート14,14と可撓止水部材50とは、接着処理を行う。
【0103】
また、補助防水シートを用い、防水性を向上するようにしても良く、目地材26にシール用シート部材を貼りつけることで、打設されるコンクリートの流出を防止するようにしても良い。
【0104】
このような可撓止水部材50を用いる可撓止水継手の施工方法によれば、すでに説明した可撓止水部材20を用いる可撓止水継手の施工方法と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかる可撓止水継手が設けられるコンクリート構造体の概略斜視図である。
【図2】この発明の可撓止水継手の一実施の形態にかかる可撓止水継手のコンクリート構造体の側面での部分横断面図である。
【図3】この発明の可撓止水継手の施工方法の一実施の形態にかかる前半部分の各工程の横断面図である。
【図4】この発明の可撓止水継手の施工方法の一実施の形態にかかる後半部分の各工程の横断面図である。
【図5】この発明の可撓止水継手の施工方法の他の一実施の形態にかかる前半部分の各工程の横断面図である。
【図6】この発明の可撓止水継手の施工方法の他の一実施の形態にかかる後半部分の各工程の横断面図である。
【図7】この発明の可撓止水継手の他の一実施の形態にかかる可撓止水継手のコンクリート構造体の側面での部分横断面図である。
【図8】この発明の可撓止水継手のさらに他の一実施の形態にかかるそれぞれ可撓止水継手のコンクリート構造体の側面での部分横断面図である。
【図9】従来の止水板の横断面図である。
【図10】従来の可撓止水継手が設けられるコンクリート構造体の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0106】
10 可撓止水継手
11 コンクリート構造体
11a 傾斜面
12 コンクリート構造体
12a 傾斜面
13 継手部
14 防水シート
14a 破断防止部
15 均しコンクリート
16 グリッピングアンカー
17 復旧用の防水シート
20 可撓止水部材
21 先行打設固定部
21a 側面シール部
21b アンカー部
21c 膨出部
21d ブチルシート
22 後行打設固定部
22a 側面シール部
22b アンカー部
22c 膨出部
22d ブチルシート
23 伸縮部
24 接着部
24a 接着基端部
24b 接着先端部
25 支持部材
25a 側部支持部材
25b 外側支持部材
26 目地材
31 治具
31a ボルト
32 治具
32a ボルト
33 治具
34 妻型枠
41 治具
41a ボルト
42 治具
43 スペーサ
50 可撓止水部材
51 先行打設固定部
52 後行打設固定部
51e 接着先端部
52e 接着先端部
53 伸縮部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水部材を設けるとともに、この可撓止水部材および隣接する先行・後行コンクリートの継手部の外周を防水シートで覆う可撓止水継手であって、
前記可撓止水部材は、前記先行および後行のコンクリート構造体に打設により埋設固定される先行打設固定部および後行打設固定部と、
これら先行打設固定部および後行打設固定部の間に設けられ止水および相対変位を可能とする伸縮部と、を備えており、
前記防水シートは、前記継手部に対応して変形時の破断防止部が設けられており、
前記可撓止水継部材の前記先行打設固定部および後行打設固定部と前記防水シートとを接着固定してなることを特徴とする可撓止水継手。
【請求項2】
前記先行および後行打設固定部に、前記防水シートと接着する接着部を突き出して形成してなることを特徴とする請求項1記載の可撓止水継手。
【請求項3】
前記先行および後行打設固定部の接着部を、先端部が前記防水シートと平行となるとともに、基端部が直角となるように形成してなることを特徴とする請求項2記載の可撓止水継手。
【請求項4】
前記接着部および前記防水シートの内側に補助防水シートを配置し、前記接着部および前記防水シートとの接着および/または接着に替え、前記補助防水シートを接着してなることを特徴とする請求項2または3記載の可撓止水継手。
【請求項5】
前記可撓止水部材の外側と前記防水シートとの間に、前記可撓止水部材の形状を保持する形状保持部材を設けてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の可撓止水継手。
【請求項6】
前記可撓止水部材の内側に目地材を配置し、この目地材に打設されるコンクリートの流出を防止するシール用シート部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の可撓止水継手。
【請求項7】
先行および後行のコンクリートを打ち継いで構築されるコンクリート構造体の継手部に内外の止水および当該継手部の相対変位を可能とする可撓止水部材を設けるとともに、継手部の外側を防水シートで覆う可撓止水継手を施工するに際し、
前記継手部を挟むコンクリート構造体の打設用の型枠の内側に前記継手部に対応して変形時の破断防止部が設けられた防水シートを取り付け、仮設用治具で形状が保持された前記可撓止水部材の先行打設固定部および後行打設固定部と前記防水シートとを接着固定した後、先行のコンクリートを打設して前記先行打設固定部を埋設固定し、次いで、前記仮設用治具を取り除いて後行のコンクリートを打設して後行打設固定部を埋設固定するようにしたことを特徴とする可撓止水継手の施工方法。
【請求項8】
前記先行のコンクリートの打設前に、先行のコンクリート側の前記防水シートと前記先行打設固定部とを接着固定した後、先行のコンクリートを打設するようにし、前記後行のコンクリートの打設前に、後行のコンクリート側の前記防水シートを取り付けるとともに、前記後行打設固定部と接着固定するようにしたことを特徴とする請求項7記載の可撓止水継手の施工方法。
【請求項9】
前記可撓止水部材に前記防水シートへの接着部を形成しておき、当該可撓止水部材および接着部を支持金具で押えて孔加工を必要とせずに前記防水シートと接着するようにしたことを特徴とする請求項7または8記載の可撓止水継手の施工方法。
【請求項10】
前記可撓止水部材を、前記可撓止水部材の外側と前記防水シートとの間に設けた形状保持部材で形状を保持するようにしたことを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の可撓止水継手の施工方法。
【請求項11】
前記可撓止水部材の内側に目地材を配置し、この目地材に打設されるコンクリートの流出を防止するシール用シート部材を設けた後、コンクリートを打設するようにしたことを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の可撓止水継手の施工方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−38426(P2008−38426A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212955(P2006−212955)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(000196624)西武ポリマ化成株式会社 (60)
【Fターム(参考)】