説明

合わせガラス用中間膜、その製造方法およびそれを用いた合わせガラス

【課題】 透明性、接着性を維持しながら熱線を効率よく遮蔽し、且つ耐久性に優れた合わせガラス用中間膜を提供すること。
【解決手段】 ポリビニルアセタール(A)、可塑剤(B)、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)、および、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を含有する樹脂組成物層を少なくとも1層含む合わせガラス用中間膜であって、該樹脂組成物層が、ポリビニルアセタール(A)に対して、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)とを、別々に混合した後、溶融成形して得られたものであることを特徴とする合わせガラス用中間膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性、接着性、耐久性、および熱線遮蔽性に優れた合わせガラス用中間膜に関する。また、その製造方法およびそれを用いた合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、ガラスの飛散防止等の安全性向上のため、自動車等の車両、航空機、建築物等の窓ガラス等に広く利用されている。このような合わせガラスとしては、少なくとも1対のガラス板の間に、可塑化ポリビニルブチラール樹脂等からなる合わせガラス用中間膜を介在させ、貼り合わせたものが挙げられる。しかし、通常の合わせガラス用中間膜を用いた場合、熱的作用の大きな近赤外線(熱線)を遮蔽できないという問題があり、遮熱性の付与が求められていた。
【0003】
熱線遮蔽性を付与する目的で、錫ドープ酸化インジウム(ITO)微粒子やアンチモンドープ酸化錫(ATO)微粒子等の熱線吸収性能を有する微粒子をポリマー中に含有させることにより、熱線遮蔽機能を付与した合わせガラス用中間膜が提案されている。このような合わせガラスは、通常の合わせガラスに熱線カット機能を付与できるだけでなく、いわゆる熱線反射型の合わせガラスに比べ、優れた電磁波透過性を有するものとなる。
【0004】
このような熱線吸収性能を有する微粒子を含有した合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスは、同じく熱線遮蔽性能を有する有機化合物等を含有する場合に比べ耐候性は良好であり、長期間安定した熱線カット機能を発揮することができる。しかしながら、UV光等の高エネルギー線に長期間さらされた場合、熱線遮蔽微粒子の光触媒活性による樹脂の劣化や、熱線遮蔽微粒子そのものの変質が原因となり、合わせガラスの可視光透過率低下や黄変等を引き起こすことがあり、特に車両用に用いる場合等は安全性に重大な問題をもたらす可能性がある。
【0005】
こうした熱線遮蔽微粒子に起因する劣化を抑制する手法として、金属アルコキシドやカップリング剤等で表面処理する手法が知られている(特許文献1〜3参照)。このような表面処理された熱線遮蔽微粒子を用いることにより、マトリックス樹脂の劣化や熱線遮蔽微粒子の変質を抑制することができる。しかしながら、このような表面処理は同時に粒子の分散性にも影響を与えるため、透明性の高い合わせガラスを得ようとした場合には、表面処理を施した粒子に適した分散手法を構築する必要があった。特に、通常接着力を制御する目的で添加される接着力制御剤に含まれる金属イオンは、粒子表面との相互作用が強く分散性に多大な影響を及ぼすため、接着力制御剤と表面処理された熱線遮蔽微粒子を併用して樹脂に複合する場合には、低ヘイズ化が困難であった。
【0006】
特許文献4、5には、接着力制御剤として酢酸マグネシウムを添加したITO、ATO含有中間膜を用いた合わせガラスにおいて透明性の高い合わせガラスが得られているが、これらの場合は不活性物質で表面処理されたITO、ATO微粒子を使用していない。表面処理された粒子は通常の粒子と分散性が大きく異なるため、単純に接着力制御剤の添加量を制御するだけでは高い透明性を得る手段にはなり得なかった。また特許文献6には、不活性物質で表面処理されたITO微粒子を含有する合わせガラス用中間膜からなる合わせガラスの接着力制御方法について記載されているが、この場合接着力制御剤が添加された実例はない。実際には、接着力制御剤を添加せずにガラスと中間膜の接着性を安定的に制御することは非常に困難であり、ガラス接着性の制御に加え、耐候性と高い透明性を両立させる手法が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−016841号公報
【特許文献2】特開2001−240769号公報
【特許文献3】WO2005/118503号公報
【特許文献4】特開2001−302288号公報
【特許文献5】特許第3897519号公報
【特許文献6】特開2006−27962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、接着性、耐久性を維持しながら透明性および熱線遮蔽性に優れた合わせガラス用中間膜を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題に関して、鋭意検討を行った結果、ポリビニルアセタール(A)、可塑剤(B)、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)(以下、単に「熱線遮蔽微粒子(C)」と記すことがある)、および、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を含有する樹脂組成物層を少なくとも1層含む合わせガラス用中間膜であって、該樹脂組成物層が、ポリビニルアセタール(A)に対して、熱線遮蔽微粒子(C)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)とを、別々に混合した後、溶融成形して得られたものであることを特徴とする合わせガラス用中間膜が、熱線遮蔽微粒子(C)の凝集が抑制され、高い透明性を発現すると共に、耐久性およびガラス接着性に優れていることを見出した。
【0010】
ここで、前記樹脂組成物層は、ポリビニルアセタール(A)に対して、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)の分散液(d2)とを、別々に混合した後、溶融成形して得られたものであることが好ましく、該分散液(d1)が湿式粉砕処理を施されたものであることがより好ましい。
【0011】
また、接着力制御や耐熱性向上の観点から、前記樹脂組成物層が、ポリビニルアセタール(A)100重量部に対してアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を金属換算で0.0001〜0.04重量部含有することが好ましい。さらに、熱線遮蔽性能の観点から、前記樹脂組成物層が、ポリビニルアセタール(A)と可塑剤(B)との合計量100重量部に対して熱線遮蔽微粒子(C)0.001〜2重量部を含有することが好ましい。
【0012】
前記熱線遮蔽微粒子(C)は、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、六ホウ化ランタン、六ホウ化セリウム、無水アンチモン酸亜鉛および硫化銅からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、無水アンチモン酸亜鉛であることがより好ましい。
【0013】
また、耐光性等の耐久性やガラス接着性の観点から、前記樹脂組成物層と、ポリビニルアセタール(A’)、可塑剤(B’)、および、紫外線吸収剤(D)を含有する第2の樹脂組成物層とを含む上記の合わせガラス用中間膜も好ましい。この場合において、前記樹脂組成物層は2つの第2の樹脂組成物層に挟まれた構造を有することがより好ましい。
【0014】
さらに、前記合わせガラス用中間膜を2mm厚のクリアガラス2枚で挟み、接着して作製した合わせガラスにおいて、ISO 16940に準じて測定した場合の20℃における1stモードのダンピング性能が22%以上であることが好ましく、10℃における1stモードのダンピング性能が10%以上であることも好ましい。
【0015】
そしてさらに、前記ポリビニルアセタール(A)におけるビニルアルコール単位量が22モル%以下、ビニルアセテート単位量が5〜8モル%であり、前記ポリビニルアセタール(A’)におけるビニルアルコール単位量が25〜34モル%、ビニルアセテート単位量が0.1〜11モル%であることが好ましい。
【0016】
また、前記樹脂組成物層に含まれる可塑剤の含有量と、前記第2の樹脂組成物層に含まれる可塑剤の含有量の差が5重量%以上であることも好ましい。
【0017】
前記合わせガラス用中間膜を2mm厚のクリアガラス2枚で挟み、接着して作製した合わせガラスにおいて、JIS K7105に準じて測定したヘイズが2%以下であることも好ましい。
【0018】
また上記課題は、前記合わせガラス用中間膜を用いて複数のガラス板を接着してなる合わせガラスを提供することによっても解決される。
【0019】
本発明は、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)および可塑剤(B)をポリビニルアセタール(A)と溶融混合し、フィルム状に成形する工程を含む、上記の合わせガラス用中間膜の製造方法をも包含する。この場合において、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)とを、別々にポリビニルアセタール(A)と混合した後、フィルム状に溶融成形する工程を含むことが好ましく、有機ケイ素化合物と熱線遮蔽微粒子の混合物を100〜400℃で焼成することにより表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)を調製する工程を含むことがより好ましく、熱線遮蔽微粒子(C)に粉砕処理を施すことにより、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)を調製する工程を含むことがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の合わせガラス用中間膜は、透明性、接着性、耐久性および熱線遮蔽性に優れている。したがって該中間膜を用いることによって、透明性、接着性、耐久性および熱線遮蔽性に優れた合わせガラスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール(A)、可塑剤(B)、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)、および、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を含有する樹脂組成物層を少なくとも1層含む。
【0022】
前記樹脂組成物層に含有されるポリビニルアセタール(A)は、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略称することがある)とアルデヒドとを、水および/または有機溶剤中で、酸触媒の存在下で反応させて得られた生成物を、場合によっては中和し、洗浄した後、乾燥することにより得ることができる。得られるポリビニルアセタール(A)の構造を下記一般式(I)に示す。
【0023】
【化1】



上記一般式(I)において、n、R、k(a)、lおよびmの意味は以下に示すとおりである。

n: アセタール化に用いたアルデヒドの種類(整数)
: a番目(aは1からnまでの整数)のアルデヒド残基
(a) :アルデヒド残基Rを含むアセタール単位の割合(モル比)
l: ビニルアルコール単位の割合(モル比)
m: ビニルアセテート単位の割合(モル比)
ただし、k(1)+k(2)+・・・+k(n)+l+m=1

上記一般式(I)において、各単位の配列の仕方は特に制限されず、ブロック的であっても、ランダム的であってもよい。
【0024】
ポリビニルアセタール(A)を製造する際のアセタール化反応、中和、洗浄、脱水の各操作は、特に限定されるものではなく、公知の方法で行うことができる。例えば、PVAの水溶液とアルデヒドとを酸触媒の存在下にアセタール化反応させて樹脂粒子を析出させる水溶媒法、PVAを有機溶媒中に分散させ、酸触媒の存在下にアルデヒドとアセタール化反応させ、この反応液をポリビニルアセタール(A)の貧溶媒である水等に加えて析出させる有機溶媒法等を採用することができる。いずれの方法を用いても、ポリビニルアセタール(A)が媒体中に分散したスラリーが得られる。
【0025】
上記方法により得られたスラリーは、酸触媒により酸性を呈しているため、必要に応じて水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム等のアルカリ中和剤等を添加して、pHが4.5以上、好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8となるように調整する。
【0026】
ポリビニルアセタール(A)の製造に用いられるPVAとしては、一般に、粘度平均重合度500〜4000、好ましくは1000〜2500のものが用いられる。ポリビニルアセタール(A)の粘度平均重合度は、原料のPVAの粘度平均重合度と実質的に同じである。原料のPVAの粘度平均重合度が500未満であるときには、力学物性が不足し、本発明の合わせガラス用中間膜の力学物性、特に靭性が不足するおそれがある。一方、原料のPVAの粘度平均重合度が4000を超えると溶融成形する際の溶融粘度が高くなりすぎるとともに、製造工程にも問題が生じるおそれがある。なお、ポリビニルアセタール(A)として、2種類以上のポリビニルアセタールを用いるときには、配合量を勘案した平均値が上記範囲を満足すればよい。ここで、PVAの重合度は、JIS K 6726に準じて測定することができる。具体的には、PVAを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度から求めることができる。
【0027】
上記PVAとしては特に限定されず、ポリ酢酸ビニル等をアルカリ、酸、アンモニア水等の存在下にけん化することにより製造されたもの等の従来公知のPVAを用いることができる。完全にけん化されたPVAであってもよく、また、部分的にけん化されたPVAであってもよいが、PVAのけん化度は好ましくは80モル%以上である。また、部分的に架橋された構造を含んでいてもよい。上記PVAとしては、単独であってもよいし、2種類以上を混合したものであってもよい。2種類以上のPVAを用いるときには、配合量を勘案した平均値が上記けん化度の範囲を満足すればよい。
【0028】
また、上記PVAとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体等の、酢酸ビニル等と共重合可能なモノマーとの共重合体のけん化物も用いることができる。さらに、カルボン酸等で変性された変性PVAも用いることができる。
【0029】
PVAをアセタール化するのに用いられるアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらアルデヒドの中でも、製造の容易度の観点から、ブチルアルデヒドが好ましく用いられる。
【0030】
ブチルアルデヒドを用いてPVAをアセタール化することにより得られるポリビニルアセタール(A)を、特にポリビニルブチラールと呼ぶ。本発明においては、ポリビニルアセタール(A)中に存在するアセタール単位のうち、ブチラール単位の割合(下式参照)が0.9を超えるポリビニルブチラールが好ましい。すなわち、前記式(I)に示されるポリビニルアセタール(A)の構造式において、R=C(ブチルアルデヒドの残基)であるとき、k(1)/(k(1)+k(2)+・・・+k(n))>0.9であるものが好ましい。
【0031】
アセタール化反応の酸触媒としては特に限定されず、例えば、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸が挙げられる。また、上記アセタール化反応の中和剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ;エチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド類;エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類が挙げられる。
【0032】
ポリビニルアセタール(A)のアセタール化度、ビニルアルコール単位量およびビニルアセテート単位量(モル%)は、以下の式で定義することができる。

アセタール化度(モル%)=[(k(1)+k(2)+・・・+k(n))×2]
/[(k(1)+k(2)+・・・+k(n))×2+l+m]×100
ビニルアルコール単位量(モル%)
=[l/[(k(1)+k(2)+・・・+k(n))×2+l+m]×100
ビニルアセテート単位量(モル%)
=[m/[(k(1)+k(2)+・・・+k(n))×2+l+m]×100
【0033】
ポリビニルアセタール(A)のアセタール化度は、好ましくは55〜83モル%である。アセタール化度が55モル%未満のポリビニルアセタール(A)は、製造コストが高いこと、入手が困難であること、また溶融加工性にも乏しいことからコストパフォーマンスの点で不利な場合がある。83モル%を超えるポリビニルアセタール(A)は、アセタール化反応の時間を長くする必要があるので生産性の点で不利な場合がある。ポリビニルアセタール(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上のポリビニルアセタールを用いる場合、配合量を勘案した平均値が上記アセタール化度の範囲を満足すればよい。
【0034】
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂組成物層は、可塑剤(B)を含有する。可塑剤(B)としては、ポリビニルアセタール(A)の可塑化に使用されている公知の可塑剤を用いることができる。好適には、脂肪族ポリオールの一塩基酸エステルや、直鎖あるいは分枝状アルコールの多塩基酸エステル等の有機系可塑剤群から一種もしくは二種以上が用いられる。
【0035】
脂肪族ポリオールの一塩基酸エステルとしては特に限定されるものではないが、脂肪族ジオールの一塩基酸エステルが好適であり、ポリアルキレングリコール、特にポリエチレングリコールの一塩基酸エステルがより好適である。具体的には、ジ、トリ、または、テトラアルキレングリコールと、炭素数4〜10の一塩基酸からなるエステルが好適に用いられる。
【0036】
直鎖あるいは分枝状アルコールの多塩基酸エステルとしては特に限定されるものではないが、例えばアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、リン酸と、炭素数4〜10の直鎖あるいは分枝状のアルコールからなるエステルが好適に用いられる。
【0037】
上記可塑剤群の中でも、例えばトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコール−ジ−n−ヘプタノエート、オリゴエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコール−ジ−イソノナネート、トリエチレングリコール−ジ−2−プロピルヘキサノエート、ジ−プロピレングリコールベンゾエート、ジヘキシルアジペート、ジ−2−ブトキシエチルアジペート、ジ−2−ブトキシエトキシエチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジブチルセバケート、ジ−2−ブトキシエチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジ−イソノニルフタレート、トリス2−エチルヘキシルホスフェート、ジイソノニルシクロヘキサンジカルボキシレート等の一種もしくは二種以上が好適に用いられる。
【0038】
可塑剤(B)の添加量は、ポリビニルアセタール(A)100重量部に対して、20〜100重量部であることが好ましい。20重量部未満では、得られる中間膜や合わせガラスの耐衝撃性が不十分となることがあり、逆に100重量部を超えると、可塑剤(B)がブリードアウトして、得られる中間膜や合わせガラスの透明性が低下したり、ガラスと中間膜の接着性が損なわれることがある。
【0039】
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂組成物層は、遮熱性付与の目的で、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)を含有する。この場合において用いられる熱線遮蔽微粒子は、機能として少なくとも近赤外波長領域の光線を吸収する性質を有するものであれば特に限定されず、例えば、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、六ホウ化ランタン、六ホウ化セリウム、無水アンチモン酸亜鉛、硫化銅等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、性能、安全性、原料入手性、価格等の観点から無水アンチモン酸亜鉛を含むことが好ましい。
【0040】
上記熱線遮蔽微粒子は、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物によって表面処理される。粒子表面が有機ケイ素化合物によって処理されていることにより、樹脂の劣化や熱線遮蔽微粒子の変質を抑制することができる。一般に無機微粒子を金属酸化物の類で表面処理する手法は知られているが、処理の難易度は対象となる無機微粒子の表面状態、具体的には粒子表面に存在する水酸基量に依存するため、無機微粒子の種類によっては表面処理が非常に困難な場合もある。特に前記無水アンチモン酸亜鉛は、その表面状態が他の熱線遮蔽微粒子と異なることから表面処理が難しく、有機ケイ素化合物による処理が行われた実例はほとんど存在しないが、本発明の方法は、無水アンチモン酸亜鉛においても適用可能なものである。
【0041】
上記加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物としては特に限定されず、加水分解により結合が切断され得る加水分解性置換基を少なくとも一つ以上有するものであればよい。例えば、下記式(II)で表される有機ケイ素化合物が用いられる。

Si(OR ・・・・・・・・(II)

式(II)中、Rは水素原子またはアルキル基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基、アシル基、アリル基、アリール基、ビニル基、エポキシ基、スルフィル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、一部が置換されていてもよい直鎖あるいは環状アルキル基等を含む置換基を表す。また、a、bは0〜4の整数を表し、a+bは4である。
【0042】
上記一般式(II)で表される有機ケイ素化合物の中でも、例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、アリルトリエトキシシラン、アセトキシメチルトリメトキシシラン、アセトキシメチルトリエトキシシラン、アセトキシエチルトリメトキシシラン、アセトキシエチルトリエトキシシラン、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、2−アセトキシポリエチレンオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、2−アクリロキシエトキシトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシ)プロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−メチルジエトキシシリルプロポキシ)ジフェニルケトン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)ジフェニルケトン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3―イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7―テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂組成物層は、上記熱線遮蔽微粒子(C)を、ポリビニルアセタール(A)と可塑剤(B)との合計量100重量部に対して0.001〜2重量部含有することが好ましい。含有量が0.001重量部以下であると、期待される熱線遮蔽効果が得られないおそれがある。より好ましくは0.002重量部以上、さらに好ましくは0.005重量部以上である。また、含有量が2重量部を超えると、合わせガラスの透明性が損なわれるおそれがある。より好ましくは1.5重量部以下、さらに好ましくは1重量部以下である。
【0044】
熱線遮蔽微粒子(C)において、上記加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物の定着量は、熱線遮蔽微粒子(C)100重量部に対して0.05〜50重量部であることが好ましい。有機ケイ素化合物の定着量が0.05重量部未満であると、粒子表面における有機ケイ素化合物の定着量が十分でないために、光触媒活性の低下や粒子の変質防止といった効果が得られにくくなるおそれがある。より好ましくは0.1重量部以上である。また、50重量部を超えると、粒子が粗大化し目的とする分散が得られないおそれがあるし、表面処理が高コストとなるおそれがある。より好ましくは、40重量部以下である。
【0045】
加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)を作製する方法としては、熱線遮蔽微粒子が細かく分散した分散液を予め調製し、そこに有機ケイ素化合物を添加する方法が好ましい。この方法により、ナノサイズ粒子の表面に有機ケイ素化合物を偏在させることができ、結果として粒子全体を均一に処理することができる。また、有機ケイ素化合物を添加した後は、一度分散媒を留去し、得られる混合物の粉体を100〜400℃で焼成することが好ましい。一度溶媒を留去してから高温で処理することにより、強固な化学的結合で有機ケイ素化合物を熱線遮蔽微粒子表面に定着させることができる。これにより、溶融混練時における有機ケイ素化合物の脱離を抑制し、より高い表面処理効果を得ることができる。
【0046】
上記熱線遮蔽微粒子の分散液に含まれる溶媒としては特に限定されるものではないが、有機ケイ素化合物の加水分解性を考慮し、水あるいは水と親和性の高い有機溶媒が好適に用いられる。このような有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフラン、アセトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を用いることができる。
【0047】
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂組成物層は、接着力制御や樹脂pH調整等の目的でアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を含有する。アルカリ金属塩/アルカリ土類金属塩としては特に限定されないが、塩を形成するアルカリ金属/アルカリ土類金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等が挙げられる。また、塩を形成する酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸等の直鎖カルボン酸や、2−エチルブタン酸、2−エチルヘキサン酸等の分枝カルボン酸等の有機酸、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂組成物層は、上記アルカリ金属塩/アルカリ土類金属塩(E)を、ポリビニルアセタール(A)100重量部に対して金属換算で0.0001〜0.04重量部含有することが好ましい。0.0001重量部未満であると、接着力や樹脂pHの制御といった効果が得られないおそれがある。より好ましくは0.001重量部以上である。また、0.04重量部を超えると、有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子の凝集を促進し、結果として合わせガラスの透明性が失われるおそれがある。より好ましくは0.025重量部以下、さらに好ましくは0.02重量部以下である。
【0049】
本発明の合わせガラス用中間膜を構成する樹脂組成物層は、ポリビニルアセタール(A)に対して、熱線遮蔽微粒子(C)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)とを、別々に混合した後、溶融成形して得られる。熱線遮蔽微粒子(C)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)とを、ポリビニルアセタール(A)に別々に添加することにより、樹脂組成物層中における熱線遮蔽微粒子(C)の凝集を抑制し、結果としてヘイズの低い膜を得ることができる。
【0050】
混合の方法は特に制限されず、熱線遮蔽微粒子(C)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を別々に添加できる手法であればよい。例えば、熱線遮蔽微粒子(C)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を別々にポリビニルアセタール(A)に混合する手法、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)の分散液(d2)とを別々にポリビニルアセタール(A)に混合する手法、熱線遮蔽微粒子(C)を含むポリビニルアセタール(A)の成形体と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)の分散液(d2)を別々にポリビニルアセタール(A)に混合する手法、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を含むポリビニルアセタール(A)の成形体と、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)を別々にポリビニルアセタール(A)に混合する手法等が挙げられる。これらの中でも、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)の分散液(d2)とを、別々にポリビニルアセタール(A)に混合することが好ましい。ここで、分散液(d1)、分散液(d2)、可塑剤(B)およびポリビニルアセタール(A)を溶融混合する順序は特に限定されない。
【0051】
上記分散液(d1)に含まれる溶媒としては特に限定されるものではなく、汎用の有機溶媒、水、あるいは可塑剤等を用いることができる。汎用の有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサン、トルエン、アセトニトリル等が挙げられる。
【0052】
また、上記分散液(d2)に含まれる溶媒としては特に限定されるものではなく、上記分散液(d1)と同様の溶媒を分散媒として使用できるが、特にアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩の水溶液を可塑剤中に懸濁させた状態であることが好ましい。
【0053】
熱線遮蔽微粒子(C)を樹脂組成物層中に微分散させるためには、その分散液(d1)中でも同様に細かく分散していることが好ましい。例えば、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)に対して機械的に粉砕する操作を施すことが低ヘイズ化の観点から好ましい。
【0054】
熱線遮蔽微粒子(C)を分散液中で粉砕するための装置としては、サンドミル、ボールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、アトライター、ペイントシェーカー、ナノマイザー、高速攪拌機、超音波分散機、ビーズミル等が挙げられる。これらの装置を用いて熱線遮蔽微粒子(C)の凝集体を粉砕して分散させることができる。効率良く、細かい平均粒子径に到達させるためにはビーズミルが好ましい。
【0055】
上記分散液(d1)を調製する際には、粉砕した粒子の再凝集を防ぐために予め分散剤を添加しておくことが好ましい。使用する分散剤としては特に限定されず、熱線遮蔽微粒子の種類、有機ケイ素化合物の種類、有機ケイ素化合物の表面定着量、分散媒等様々な条件に適合するものが用いられる。このような分散剤としては、アミン系分散剤、カルボン酸系分散剤、リン酸エステル系分散剤、硫酸エステル系分散剤、ポリオキシエチレン系分散剤、アルコール系分散剤、キレート剤、ポリビニルピロリドン、PVA、ポリビニルブチラール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0056】
上記分散液(d1)、分散液(d2)、可塑剤(B)およびポリビニルアセタール(A)を混合する方法としては特に制限はないが、生産性等の観点から溶融混練により混合することが好ましい。混練方法としては特に限定されず、一軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、オープンロール、ニーダー等の公知の混練機を用いることができる。
【0057】
混合された溶融物は、樹脂組成物層を形成するためにフィルム状に溶融成形される。成形方法としては公知の方法を採用することができる。上記溶融混練装置に直接Tダイを装着してフィルムを製造することもできるし、一旦樹脂組成物ペレットを製造してから、別途フィルムを成形しても構わない。フィルムの膜厚は、特に限定されるものではないが、合わせガラスとして最小限必要な耐貫通性や耐候性を考慮すると、0.2〜1.2mm、好ましくは0.3〜1.0mmである。
【0058】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記の樹脂組成物層1層からなる場合もあるが、該樹脂組成物層と、ポリビニルアセタール(A’)、可塑剤(B’)、および、紫外線吸収剤(D)を含有する第2の樹脂組成物層とを含んでいてもよい。この場合において、前記樹脂組成物層(以下、第1の樹脂組成物層と記すことがある)が2つの第2の樹脂組成物層に挟まれた構造を有することが好ましい。紫外線吸収剤(D)を含有する第2の樹脂組成物層を有することにより、第1の樹脂組成物層における樹脂の劣化や熱線遮蔽微粒子(C)の変質を抑制することができる。
【0059】
このとき、第1の樹脂組成物層に含有される熱線遮蔽微粒子(C)の量は、合わせガラス用中間膜を構成する全ての層に含有されるポリビニルアセタールと可塑剤の合計量100重量部に対して0.001〜2重量部であることが好ましい。
【0060】
また、第2の樹脂組成物層には、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩を添加してもよい。このように、熱線遮蔽微粒子(C)を含まない層にも接着力制御機能を付与することにより、第1の樹脂組成物層のアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩の量を低減し、熱線遮蔽微粒子(C)の凝集を低減することができる。
【0061】
第2の樹脂組成物層に含有されるポリビニルアセタール(A’)および可塑剤(B’)としては、第1の樹脂組成物層に含有されるポリビニルアセタール(A)および可塑剤(B)と同じものが使用できる。
【0062】
この場合において、ポリビニルアセタール(A)におけるビニルアルコール単位量は22モル%以下であることが好ましく、16.5〜21モル%がより好ましく、17〜20モル%がさらに好ましい。ポリビニルアセタール(A)におけるビニルアセテート単位量は5〜8モル%であることが好ましく、5〜7.9モル%がより好ましく、5〜7.5モル%がさらに好ましく、5.3〜7.2モル%が最も好ましい。一方、ポリビニルアセタール(A’)におけるビニルアルコール単位量は25〜34モル%であることが好ましく、27〜32モル%がより好ましく、29〜31モル%がさらに好ましい。ポリビニルアセタール(A’)におけるビニルアセテート単位量は0.1〜11モル%であることが好ましく、0.1〜4モル%がより好ましく、0.1〜2モル%がさらに好ましい。ポリビニルアセタール(A)および(A’)の分子構造が上記のような範囲にあると、得られる合わせガラス用中間膜の遮音性能が向上する。
【0063】
ここで、遮音性能はダンピング性能で評価される。すなわち、合わせガラス用中間膜を2mm厚のクリアガラス2枚で挟み、接着して作製した合わせガラスにおいて、ISO 16940に準じて測定した場合の20℃における1stモードのダンピング性能が22%以上であることが好ましく、また、10℃における1stモードのダンピング性能が10%以上であることも好ましい。
【0064】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、軟質層を導入することにより力学的強度を維持したまま遮音性能を付与することもできる。例えば、第1の樹脂組成物層に含まれる可塑剤の含有量と、第2の樹脂組成物層に含まれる可塑剤の含有量の差が5重量%以上である場合には、可塑剤を多く含む層が軟質層となり、遮音性能が発揮される。上記可塑剤の含有量の差は、7.5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。
【0065】
第2の樹脂組成物層に含有される紫外線吸収剤(D)は、特に限定されるものではないが、例えばチバ・ジャパン社製TinuvinP、Tinuvin213、Tinuvin234、Tinuvin326、Tinuvin326、Tinuvin328、Tinuvin329、Tinuvin571等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバ・ジャパン社製Tinuvin1577等のトリアジン系紫外線吸収剤、チバ・ジャパン社製CHIMASSORB81等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、クラリアント社製HostavinPR−25等のマロン酸エステル系紫外線吸収剤等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、これらの紫外線吸収剤には、ヒンダードアミン系化合物等公知の光安定剤を併用してもよい。
【0066】
第2の樹脂組成物層における上記紫外線吸収剤(D)の添加量としては特に限定されないが、ポリビニルアセタール(A’)および可塑剤(B’)からなる樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましい。添加量が0.01重量部未満の場合は、紫外線遮蔽効果が期待できないおそれがある。より好ましい添加量は0.05重量部以上、さらに好ましくは0.1重量部以上である。また、添加量が10重量部を超えると、中間膜の着色が著しくなるおそれがある。より好ましい添加量は5重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。
【0067】
複数の層を有する合わせガラス用中間膜を製造する方法としては、一般的な多層フィルムの成形方法が適用できる。即ち、各層の樹脂組成物をダイあるいはフィードブロックへ共押し出しする手法、各層を別々にフィルム成形し、その後貼り合わせる手法等が挙げられる。
【0068】
本発明の合わせガラス用中間膜は、2mm厚のクリアガラス2枚で挟み、接着して作製した合わせガラスにおいて、JIS K7105に準じて測定したヘイズが2%以下であることが好ましい。
【0069】
本発明の合わせガラス用中間膜には、発明の効果を阻害しない範囲で必要に応じて各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、安定剤、滑剤、難燃剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、熱線反射剤、熱線吸収剤、耐衝撃助剤、充填剤、耐湿剤、等が添加されていてもよい。
【0070】
こうして得られた本発明の合わせガラス用中間膜を用いて合わせガラスが製造される。用いられるガラスは特に限定されず、一般に使用されているものが使用でき、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入りガラス、線入りガラス、着色されたガラス、熱線吸収ガラス等が挙げられる。また、無機ガラス以外に、透明性に優れるポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等を用いてもよい。本発明の合わせガラスを製造する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、中間膜を少なくとも2枚のガラス板で挟み、加熱溶融させてから冷却固化させることによって合わせガラスが製造される。
【0071】
本発明の合わせガラス用中間膜は、透明性、接着性、耐久性および熱線遮蔽性に優れている。したがって、これをガラスと積層することにより得られる合わせガラスは、建築物、車両、航空機、船舶等の窓材等として広く用いることができる。合わせガラスが用いられる車両としては、自動車、電車等が挙げられ、自動車においては、本発明の合わせガラスを、フロントガラス、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラス等として用いることができる。
【0072】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、各評価値は以下の方法に従って測定・算出した。
【0073】
[有機ケイ素化合物定着量]
理学電機工業株式会社製の蛍光X線分析装置「RIX3100」を用い、作製した熱線遮蔽微粒子について、ケイ素原子存在量(微粒子の固形分に対する重量%)を測定した。そして、下記式(III)に従って有機ケイ素化合物の定着量(微粒子の固形分に対する重量%)を算出した。

定着量 = 粒子中のSi原子の存在量 × (SiORの分子量/Siの原子量)
… (III)

ただし、式(III)中、Rは当該有機ケイ素化合物の分子中、アルコキシ基以外のケイ素原子と共有結合を有する置換基を表す。
【0074】
[可視光透過率・日射透過率]
島津製作所株式会社製の分光光度計「SolidSpec−3700」を用い、作製した合わせガラスについて、波長領域280〜2500nmの透過率を測定した。そして、JIS R3106に準じ、380〜780nmの可視光透過率(%)を求めた。また、JIS R3106記載の重価係数を用いて300〜2500nmの日射透過率(%)を求めた。
【0075】
[ヘイズ]
日本電色工業株式会社製の濁度計「NDH−5000」を用い、作製した合わせガラスについて、JIS K7105に準じてヘイズ(%)を測定した。
【0076】
[耐光性]
耐光性評価には、スガ試験機株式会社製の耐光性試験機「デューパネル光コントロールウェザーメーターFDP」を用いた。得られた合わせガラスに対して強度30W/mでUV光を200時間照射し、照射前後の可視光透過率の差(ΔTL)を算出し、耐光性の指標とした。
【実施例1】
【0077】
[表面処理された熱線遮蔽微粒子の作製]
ZnSbである無水アンチモン酸亜鉛の60重量%メタノール分散液(日産化学株式会社製「CX−Z693M−F」)に、無水アンチモン酸亜鉛100重量部に対して5重量部のフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM−103」)、水を添加し、5時間加熱還流した。この分散液をエバポレーターで濃縮し、乾燥粉末を得た後、200℃で2時間焼成した。その後、得られた粉末をメタノール、アセトンで洗浄し、未反応物を溶出除去して、表面処理アンチモン酸亜鉛粉末を得た。この表面処理アンチモン酸亜鉛粉末の有機ケイ素化合物定着量を、上記の方法によって求めた。以上の結果を表1に示す。
【0078】
[合わせガラス用中間膜の作製]
作製した表面処理アンチモン酸亜鉛粉末にメタノールを加え、ビーズミルで粉砕処理して、濃度10重量%の表面処理アンチモン酸亜鉛メタノール分散液(d0)を作製した。得られた分散液(d0)1.6g、第一工業製薬社製界面活性剤「プライサーフA208F」0.16g、可塑剤としてトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(以下3G8と略す)5.2gを混合して得られた分散液(d1)と、3G8を10g、紫外線吸収剤としてチバ・ジャパン社製「Tinuvin328」を0.14g、接着力制御剤として酢酸マグネシウム、酢酸カリウムの混合物(混合重量比:2/1)の25重量%水溶液0.08gを混合して得られた分散液(d2)をそれぞれ別々にポリビニルブチラール(原料PVAの粘度平均重合度1700、アセタール化度70モル%、ビニルアルコール単位量29モル%、ビニルアセテート単位量1モル%)40gに添加し混合した。この混合物をラボプラストミルで、170℃で混練した後、プレス機で、140℃、5分間プレス成形することにより厚さ0.76mmの合わせガラス用中間膜を作製した。該中間膜の構成を表2に示す。
【0079】
[合わせガラスの作製と評価]
得られた合わせガラス用中間膜を、2mm厚のガラス(Saint Gobain社製、Planilux Clear)2枚を用いて挟んだ後、減圧下、140℃で90分保持することにより、合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスを、上記の方法によって評価した。結果を表3に記す。
【実施例2】
【0080】
実施例1において、表面処理アンチモン酸亜鉛粉末を作製する際に、使用するフェニルトリメトキシシランの量を10重量部としたこと以外は実施例1と同様にして表面処理アンチモン酸亜鉛粉末を得た。以下、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、評価した。結果を表1〜3に示す。
【実施例3】
【0081】
実施例1において、表面処理アンチモン酸亜鉛粉末を作製する際に、添加するケイ素化合物としてヘキシルトリメトキシシランを使用したこと以外は実施例1と同様にして表面処理アンチモン酸亜鉛粉末を得た。以下、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、評価した。結果を表1〜3に示す。
【実施例4】
【0082】
実施例1において、分散液(d1)の代わりに、分散液(d0)8.0g、第一工業製薬社製界面活性剤「プライサーフA208F」0.8g、3G8 5.2gを混合して得られた分散液(d1’)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ0.16mmの合わせガラス用中間膜層xを作製した。次に、3G8を15.2g、紫外線吸収剤として「Tinuvin328」を0.14g、酢酸マグネシウム、酢酸カリウムの混合物(混合重量比:2/1)の25重量%水溶液0.08gを、上記と同じポリビニルブチラール40gに添加して混合し、以降は実施例1と同様にして厚さ0.3mmの合わせガラス用中間膜層yを作製した。さらに、作製した層xを2枚の層yで挟み、以降は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスを、上記の方法によって評価した。結果を表3に記す。
【実施例5】
【0083】
3G8を19.9g、酢酸マグネシウム、酢酸カリウムの混合物(混合重量比:2/1)の25重量%水溶液0.08gを、ポリビニルブチラール(原料PVAの粘度平均重合度1700、アセタール化度74モル%、ビニルアルコール単位量19モル%、ビニルアセテート単位量7モル%)35.3gに添加して混合した。この混合物をラボプラストミルで、170℃で混練した後、プレス機で、140℃、5分間プレス成形することにより厚さ0.16mmの合わせガラス用中間膜層xを作製した。次に、実施例1において、分散液(d1)の代わりに、分散液(d0)2.0g、リン酸エステル0.2g、3G8 5.2gを混合して得られた分散液(d1”)を使用したこと以外は実施例1と同様にして、厚さ0.3mmの合わせガラス用中間膜層yを作製した。さらに、作製した層xを2枚の層yで挟み、以降は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスを、上記の方法によって評価した。結果を表3に記す。
また、この合わせガラスについて、ISO 16940に準じて10℃における1stモード(179Hz)のダンピング性能を評価した結果、ダンピング性能は11%であった。また、20℃における1stモード(128Hz)のダンピング性能は23%であった。
【実施例6】
【0084】
実施例4において、層xに含まれるポリビニルブチラール(原料PVAの粘度平均重合度1700、アセタール化度74モル%、ビニルアルコール単位量19モル%、ビニルアセテート単位量7モル%)の添加量が35.3g、d1’に含まれる3G8の量が9.9g、d2に含まれる3G8の量が10gであり、且つこの混合物をラボプラストミルで、100℃で混練したこと以外は実施例1と同様にしてサンプルを作製した。得られた合わせガラスを、上記の方法によって評価した。結果を表3に記す。
また、この合わせガラスについて、ISO 16940に準じて10℃における1stモード(179Hz)のダンピング性能を評価した結果、ダンピング性能は11%であった。また、20℃における1stモード(128Hz)のダンピング性能は23%であった。
【0085】
比較例1
実施例1において、表面処理アンチモン酸亜鉛メタノール分散液(d0)を使用しなかったこと以外は実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、評価した。結果を表1〜3に示す。
【0086】
比較例2
実施例1において、表面処理アンチモン酸亜鉛メタノール分散液(d0)の代わりに、無水アンチモン酸亜鉛の60重量%メタノール分散液(日産化学株式会社製「CX−Z693M−F」)をビーズミルで粉砕処理し、微粒子化した無水アンチモン酸亜鉛分散液(60重量%メタノール分散液)を0.27g使用したこと以外は実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、評価した。結果を表1〜3に示す。
【0087】
比較例3
実施例1において、分散液(d1)と、3G8を10g、紫外線吸収剤として「Tinuvin328」を0.14g、接着力制御剤として酢酸マグネシウム、酢酸カリウムの混合物(混合重量比:2/1)の25重量%水溶液0.32gをあらかじめ混合した後、ポリビニルブチラールに一括添加したこと以外は実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜および合わせガラスを作製し、評価した。結果を表1〜3に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
【表3】

【0091】
表3に示す結果から、本発明の合わせガラス用中間膜を使用した合わせガラス(実施例1〜6)は、高い可視光透過率を保持しながら日射透過率を低く抑え、高エネルギー線照射下の劣化が少なく、且つ接着力制御剤を添加してもヘイズがほとんどないことがわかる。熱線遮蔽微粒子(C)を含有しない場合(比較例1)は、熱線遮蔽性能が十分ではない。熱線遮蔽微粒子が有機ケイ素化合物によって表面処理されていない場合(比較例2)は、高エネルギー線照射下の劣化が著しい。アルカリ金属/アルカリ土類金属と有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)をあらかじめ混合して添加する場合(比較例3)、表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)の凝集が促進され、結果としてヘイズを低く抑えることができず、可視光透過率が低下する。
【0092】
本発明によれば、透明性、接着性を維持しながら熱線を効率よく遮蔽し、且つ耐久性に優れた合わせガラス用中間膜を提供することができる。該合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスは、例えば、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス、ルーフガラス、航空機や電車等の乗り物のガラス部分、建築用ガラス等に好適に用いることができ、温度上昇を抑制することで過剰な冷房設備の使用を低減でき、環境に優しい空間設計を可能とするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアセタール(A)、可塑剤(B)、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)、および、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を含有する樹脂組成物層を少なくとも1層含む合わせガラス用中間膜であって、該樹脂組成物層が、ポリビニルアセタール(A)に対して、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)とを、別々に混合した後、溶融成形して得られたものであることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
前記樹脂組成物層が、ポリビニルアセタール(A)に対して、加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)の分散液(d2)とを、別々に混合した後、溶融成形して得られたものである請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
分散液(d1)が湿式粉砕処理を施されたものである、請求項2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
前記樹脂組成物層が、ポリビニルアセタール(A)100重量部に対してアルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)を金属換算で0.0001〜0.04重量部含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
前記樹脂組成物層が、ポリビニルアセタール(A)と可塑剤(B)との合計量100重量部に対して加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)0.001〜2重量部を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
前記熱線遮蔽微粒子(C)が、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、酸化タングステン、六ホウ化ランタン、六ホウ化セリウム、無水アンチモン酸亜鉛および硫化銅からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項7】
前記熱線遮蔽微粒子(C)が無水アンチモン酸亜鉛である、請求項6に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
前記樹脂組成物層と、ポリビニルアセタール(A’)、可塑剤(B’)、および、紫外線吸収剤(D)を含有する第2の樹脂組成物層とを含む、請求項1〜7のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
前記樹脂組成物層が2つの第2の樹脂組成物層に挟まれた構造を有する、請求項8に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
前記合わせガラス用中間膜を2mm厚のクリアガラス2枚で挟み、接着して作製した合わせガラスにおいて、ISO 16940に準じて測定した場合の20℃における1stモードのダンピング性能が22%以上である、請求項8または9に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項11】
前記合わせガラス用中間膜を2mm厚のクリアガラス2枚で挟み、接着して作製した合わせガラスにおいて、ISO 16940に準じて測定した場合の10℃における1stモードのダンピング性能が10%以上である、請求項8〜10のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項12】
前記ポリビニルアセタール(A)におけるビニルアルコール単位量が22モル%以下、ビニルアセテート単位量が5〜8モル%であり、前記ポリビニルアセタール(A’)におけるビニルアルコール単位量が25〜34モル%、ビニルアセテート単位量が0.1〜11モル%である、請求項8〜11のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項13】
前記樹脂組成物層に含まれる可塑剤の含有量と、前記第2の樹脂組成物層に含まれる可塑剤の含有量の差が5重量%以上である、請求項8〜12のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項14】
前記合わせガラス用中間膜を2mm厚のクリアガラス2枚で挟み、接着して作製した合わせガラスにおいて、JIS K7105に準じて測定したヘイズが2%以下である、請求項1〜13のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜を用いて複数のガラス板を接着してなる合わせガラス。
【請求項16】
加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)および可塑剤(B)をポリビニルアセタール(A)と溶融混合し、フィルム状に成形する工程を含む、請求項1〜14のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
【請求項17】
加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)とを、別々にポリビニルアセタール(A)と混合した後、フィルム状に溶融成形する工程を含む、請求項16に記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
【請求項18】
加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)と、アルカリ金属塩および/またはアルカリ土類金属塩(E)の分散液(d2)を別々にポリビニルアセタール(A)と混合した後、フィルム状に溶融成形する工程を含む、請求項16または17に記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
【請求項19】
加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物と熱線遮蔽微粒子の混合物を100〜400℃で焼成することにより表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)を調製する工程を含む、請求項16〜18のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
【請求項20】
加水分解性置換基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された熱線遮蔽微粒子(C)に粉砕処理を施すことにより、熱線遮蔽微粒子(C)の分散液(d1)を調製する工程を含む、請求項16〜19のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。

【公開番号】特開2012−25645(P2012−25645A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168858(P2010−168858)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】