説明

吸収性または高吸収性の多糖類層状珪酸塩ナノコンポジット材料

本発明は多糖類及び層状珪酸塩を含む吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料に関する。多糖類成分は、自己絡み合いを形成するガラス状多糖類か、または架橋した多糖類であって、生分解性の多糖類である。層状珪酸塩成分は、剥離した粘土、または半剥離した粘土である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規の多糖類層状珪酸塩吸収性または高吸収性材料、及びそれらを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸収性ポリマー等の吸収性材料は、例えば使い捨て衛生用品(例えば、オムツ、インコンチネンス製品、婦人衛生製品、エアレイド(airlaid)、吸収性ドレッシング材(absorbent dressings))、家庭用品、シーリング材、土壌調整のための農業製品の保湿剤、石油掘削、防露被覆、農業/園芸における水分保持材料、吸い取り紙製品、ばんそうこう及び外科用パッド、ペット用シート、創傷被覆材、及び化学的な吸収剤等、多くの用途で使用することができる。さらに、吸収性材料は、生鮮食料品またはシーフードの輸送に関する用途、及び食料品の包装用途で使うことができる。
【0003】
しかしながら、高吸収性材料の最も大きな用途は個人用の使い捨て衛生製品である。これらの製品には、使用される高吸収性材料の体積の順に、オムツ、トレーニングパンツ、アダルトインコンチネンス製品及び婦人衛生製品が含まれる。これらの中で、2002年に販売された高吸収性材料の全ての量の85%以上がオムツである(Ohmura K.,Nonwovens Industry,2003,34(5),p.24)。結果として、高吸収性材料の開発は尿を吸収する性質が最適である材料を作り出すことに重点が置かれてきた。
【0004】
様々な使い捨て吸収製品において、吸収の対象である多くの流体の間の大きな違いは、どの衛生製品の製造者にとっても実際挑戦的なものである。
【0005】
オムツの場合、吸収される流体は一般的に尿であり、そのほとんどは水分であり、塩分、及び尿素等の窒素を含む材料から構成される。婦人衛生製品の場合には、吸収される流体は一般的に月経分泌物であり、水分、粘液性流体、塩分、たんぱく質、フィブリノーゲン、血液及び細胞堆積物を含む複雑な流体である(Bjornberg, Nonwoven World,2000,9(2),pp54−62)。そのような複雑流体中では、細胞や凝固物質は高吸収性材料の構造的なネットワーク内部に拡散していくにはサイズが大きすぎる。その代わりとして、それらは高吸収材料を構成する粒子表面上部に吸収する。部分的に膨潤した高吸収性材料は高い浸透圧を有するので、細胞及び凝固物質は水分を失い、ほとんど高吸収性材料を囲むほとんど不浸透性の層を形成する。この本質的に不浸透性の層は高吸収性材料の効率を強く妨げると思われる。結果的に月経分泌物等の複雑な流体を吸収するのに使用される高吸収性材料の性質は、尿等の単純流体を吸収するのに使用されるものとは異なるべきである。
【0006】
月経分泌物等の複雑流体を吸収することが可能な高吸収性材料の開発に関して様々な取り組みが明らかにされてきた。しかしながら、複雑流体を吸収するという特定の目的のために設計された高吸収性材料の性能を改良することは、しばしば単純流体を吸収する性能の減少によって相殺される。さらに、これらの特定の目的で設計された高吸収性材料は、本来尿等の単純流体を吸収するために開発された大量生産の高吸収性材料と比較して高価な場合がある。
【0007】
化学的に処理され、複雑流体を吸収する性能が強化された高吸収性材料の使用は、以前から複数の文献に開示されてきた(Pottsら、米国特許6,350,711号明細書;Di Luccionら、国際公開第01/91684号パンフレット)。ある程度有効であるとみなされると同時に、これらの材料はしばしば複雑な製造工程を必要とし、結果として得られる高吸収性材料のコストを一定に増加させる。
【0008】
複雑流体を吸収する性能を有する高吸収性材料を設計するために用いられる多くの取り組みから、植物性ポリマー及び粘土または鉱物配合材料が特に有用であることがわかってきた。
【0009】
石油系原料を再生可能な植物性材料で置き換えようとする世界的な要求がある。天然の、生分解性ガラス状アルファ化澱粉を液体の吸収剤として利用することが、Le Groupe Lysac(Huppeら カナダ特許第2,308,537号明細書)によって開示されている。
【0010】
化工澱粉(modified starch)は相乗的に多糖類、イオン性多糖類、ゲル化たんぱく質またはそれらの混合物を含むマンノースと相互作用可能である結果が得られている(Bergeron、カナダ特許第2,426,478号明細書)。これらの相乗的相互作用は吸収性材料を配合する際に特に有効であることがわかっている。これらの化工澱粉の吸収性の特徴は、グルコースの高分子量分岐ポリマーであるアミロペクチンによるものである。架橋またはネットワーク形成時にアミロペクチンは材料の吸収性を向上する(Le Groupe Lysac;Thibodeauら、カナダ特許第2,462,053号明細書)。
【0011】
Le Groupe Lysac(Coutureら,カナダ特許第2,362,006号明細書)は以前ポリエチレングリコールで架橋された多糖類を特に有効な吸収剤であるとして開示した。吸収性が改善された他の変性多糖類は、Qinら(米国特許第5,550,189号明細書;米国特許第5,498,705号明細書;及び米国特許第5,470,964号明細書);Besemerら(国際公開第0035504A1号パンフレット;国際公開第0134656A1号パンフレット;及び国際公開第9929352A1号パンフレット);Chung−Waiら(米国特許第5,932,017号明細書;米国特許第6,231,675号明細書;及び米国特許第6,451,121号明細書);Shahら(米国特許第5,718,770号明細書);Shiら(米国特許第6,277,186号明細書);同様にBeenackers A.A.C.M.ら(Carbohydr.Polym.,2001,45,219−226)に既に報告されている。
【0012】
ホウ酸塩またはジルコニウムイオンと架橋したガラクトマンナンを吸収性多糖類として利用することは多くの特許で開示されている:米国特許第4,624,868号明細書;米国特許第4,333,461号明細書;特開2002−253961号公報;特開2002−035037号公報;特開2001−278998号公報;特開2002−037924号公報;特開2002−053859号公報;特開2001−120992号公報;特開2002−053859号公報;特開2001−226525号公報。しかしながら、これらの多糖類は離漿及びゲル流動の問題を有する。
【0013】
Cottrellら(米国特許第5,536,825号明細書及び米国特許第5,489,674号明細書)は吸収性多糖類として溶媒(メタノールまたはイソプロパノール)精製したガラクトマンナンを利用することを開示した。さらに、Annergrenら(国際公開第0021581A1号パンフレット)は、架橋性を有する多糖類をメタノールに浸漬することによって材料により高い吸収性が与えられることを開示した。しかしながら、アルコールを使用することで、環境に対するさらなる配慮が必要とされ、また製造コストが増大する。
【0014】
パーソナルケア製品に多糖類ベースの吸収材料を利用することは知られているが、そのような用途では広く受け入れられているわけではない。その理由は、少なくとも部分的には、それらの吸収性が例えばポリアクリレート等の合成の吸収性材料と比べて一般的に劣ることにある。さらに、天然ベースの材料の多くは、特に外部から圧力を受けるときに吸収性が低い。天然ベース材料の多くが、液体で膨潤したとき柔らかくゼラチン状の塊を形成する傾向がある。吸収製品に使われるとき、そのような柔らかくゼラチン状の塊の存在は吸収性材料が含まれる繊維マトリックスを通じた液体(生理溶液または水溶液等)の通過を妨げる傾向がある。この現象はゲルブロッキングとして知られている。一度ゲルブロッキングが起こると、その後の液体は製品によって効果的に吸収されることができなくなり、製品は漏れを生じる傾向がある。
【0015】
珪藻土のような粘土及び他の鉱物の組成物は環境調和材料であり、自然に豊富に存在し、実用的である。多くのタイプの粘土について液体吸収性が知られているが、水中におけるコロイド性、分散性により利用が制限される場合がある。ポリマー等の他の材料とともに粘土を使用することは既に開示されている。
【0016】
Burkholderら(米国特許第3,935,363号明細書)は、水分吸収性が強化された粘土鉱物が、少量の無機塩溶液及び/またはポリアクリル酸等の水溶性ポリマー凝集剤(flocculating agent)を使って粒状の集合体に凝集され、乾燥されたときに得られうることを開示した。
【0017】
さらに、粘土及びポリアクリレートの物理的ブレンドが、Shinjiら(特開平10−244249)、小林ら(米国特許第5,489,469号明細書)、McKinleyら(米国特許第4,500,670号明細書)、Richmanら(米国特許第4,454,055号明細書)、Sunら(米国特許第6,124,391号明細書)、Roeら(米国特許第5,419,956号明細書)、Scone(米国特許第6,175,055号明細書)において報告されてきた。
【0018】
生理液の吸収を促進するために表面に粘土凝集体を有する高吸収材の物理的なブレンドはHerfertら(米国特許出願公開第2004018006A1号明細書)及びReevesら(米国特許第6,387,495号明細書及び米国特許第6,376,011号明細書)によって開示された。
【0019】
ベントナイトクレイ(85%以上)のブレンドであり、且つ水に対して膨潤性を有し水には不溶な有機ポリマー親水コロイドで、猫用シート用途において使用するため吸収性が改良されたものが、Woodrum(米国特許第4,914,066号明細書)によって開示されている。ホウ砂架橋ガラクトマンナン(borax crosslinkedgalactomanans)及びベントナイトを含む猫用シートはMarshal(米国特許出願第20040035369号明細書)開示されている。
【0020】
食品包装材の吸収性パッドにおいて使用される多孔質珪藻土(kieselguhr (diatomaceous earth))及び有機ゲル形成剤(CMC、澱粉、ブドウ糖、ゼラチン等)がMarx(米国特許第4,615,923号明細書)によって開示されている。
【0021】
カルボキシメチルセルロースナトリウム等のイオン性ポリマー、イオン性架橋剤及び粘土を含むドライブレンドがBrander(米国特許第6,376,034号明細書及び米国特許第5,820,955号明細書)によって開示されている。これらのブレンドは特に食品放送用途において吸収性パッドとして開示されている。
【0022】
多糖類−粘土の物理ブレンドは、それらの吸収性に関して相乗的効果を提供するが、変性多糖類または合成ポリマーに対する吸収能を持たない。
【0023】
ナノコンポジットは材料の区分としては比較的新しいものである。“ナノコンポジット”という用語が示唆するように、ナノコンポジット材料を構成する成分はナノメートルサイズであり、1ナノメーターは1ミリメーターの100万分の1である。ナノコンポジット材料は、多くの場合コンポジットを構成する材料を反映した性質を示す。ナノコンポジット材料は、驚くほど簡単で定コストの技術を用いて合成することができる。
【0024】
粘土は層状珪酸塩(または層状シリケートとも呼ばれる)で構成される。これらの珪酸塩は、約1ナノメーター(nm)の厚みを有するが、一方で長さ及び幅は300から500nmにわたる。層状珪酸塩のサイズ、組成、及び形状は、材料となる粘土に依存して変化すると考えられる。カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、またはカリウムイオン等のカチオンが層状珪酸塩の間に、“サンドイッチ型”の配列で配置される。水系の環境にさらすと、これらのカチオンは水和して、別個の層状珪酸塩の間の空間を増大させ、粘土を膨潤させる。
【0025】
層状珪酸塩ナノコンポジットはポリマーネットワーク中にナノスケールで分散した層状珪酸塩を含む材料である。一般的な層状珪酸塩ナノコンポジットは、層剥離型ナノコンポジット、インターカレーション型ナノコンポジット、半層剥離型ナノコンポジットである。
【0026】
層剥離型ナノコンポジットは、“層状珪酸塩分散系”とも呼ばれる。これらの層状珪酸塩ナノコンポジット内部では、層状珪酸塩は剥離され、ポリマーネットワークを通って均一に分散される。
【0027】
インターカレーション型ナノコンポジットは、“サンドイッチナノコンポジット”とも呼ばれる。インターカレーション型ナノコンポジットは、繰り返し且つ交互の層状珪酸塩−ポリマー層から構成される。
【0028】
半剥離型ナノコンポジットは部分的に剥離した粘土から構成される。これらの半剥離型ナノコンポジット内部では、粘土は剥離して、約45から70の層状珪酸塩ブロックを含むより小さなユニットとなる。Chenuらによって定義されたように、粘土は通常約85から140の層状珪酸塩ブロックを有するユニットを含む(Comptes Rendus del’Academie des Sciences,1990,Serie 2,310(7 serie 2),PP.975−980)。これらのより小さな層状珪酸塩ユニットはポリマーネットワークを通して均一に分散される。
【0029】
ナノコンポジットは様々な方法によって調整することができる。最も一般的な方法は粘土層間の空間内部に位置するカチオンを、カチオン性界面活性剤(C8−C30の脂肪族鎖を有するカチオン性分子)を用いてイオン交換する方法を含む。この方法は、最初にOkadaら(Mat Res. Soc. Proc. ,1990,171,45−50)によって、その後Pinnavaiaらによって報告された(米国特許第6,261,640号明細書;米国特許第6,414,069号明細書、及び米国特許第6,261,640号明細書)。
【0030】
粘土を構成する層状珪酸塩の層間の空間を増大する方法は、Beallら(米国特許第6,228,903号明細書及び米国特許第5,760,121号明細書);Lanら(米国特許第6,399,690号明細書);Qianら(米国特許第6,407,155号明細書);Zilgら(米国特許第6,197,849号明細書),Rossら(米国特許第6,521,690号明細書);Barbeeら(米国特許出願第20020169246号明細書);Ishida(米国特許第6,271,297号明細書);Powellら(米国特許第6,730,719号明細書);Knudsonら(米国特許出願第20020165305号明細書);Lorahら(米国特許出願第20030060555号明細書);Fischerら(米国特許第6,579,927号明細書)、Bagrodiaら(米国特許第6,586,500号明細書)によって開示されている。
【0031】
ナノコンポジットは、例えばTorkelsonら(国際公開第2004043663号パンフレット);Leeら(米国特許出願公開第20030134942号明細書);Nobuyoshi(特開平02−203936),McClellandら(カナダ特許第2,352,502号明細書)によって開示されたように、押出、凍結乾燥、超音波処理等の物理化学的な方法を用いて調整される場合もある。
【0032】
活性化4級アンモニウム−18ベントナイト(activated quarternium−18 bentonite)のような有機親和性粘土を、便のたんぱく質分解酵素の吸収及び不活性化のために利用することは、Schulz(米国特許第5,869,033号明細書)に開示されている。これらの有機親和性粘土はオムツかぶれを防ぐために使用された。
【0033】
化粧品または薬剤用の組成物として使用されるハイブリッド有機−無機ゲルは、Lahanasら(米国特許第6,042,839号明細書);Udagawa(特開平09−187493);Collinら(欧州特許出願公開第1327435号明細書)及びChevalierら(欧州特許出願公開第1203789号明細書)によって開示されている。しかしながら、これらのゲルは衛生関連用途において使用する吸収材料としては報告されていない。
【0034】
澱粉もまた、ナノコンポジット材料の成分としての使用が報告されている。ハイドロキシアパタイトによって補強された澱粉/エチレンビニルアルコールコポリマーコンポジットがReisら(J. Adv. Polym. Technol.1997,16,263)によって報告された。焼成カオリン/熱可塑性澱粉コンポジットがDeCarvalhoら(Carbohydr.Polym.2001,45(2),189−194)によって開示されている。モンモリロナイト/熱可塑性澱粉のハイブリッドはParkら(Macromolecular Materials and Engineering,2002,287(8),pp.553−558、J. of Mat Sci,2003,38(5),pp.909−915)及びMcGlashanら(Polymer International,2003,5(11), PP1767−1773)によって開示されている。しかしながら、これらのナノコンポジットを含む澱粉は吸収性を示すものとしては報告されていない。
【0035】
ナノコンポジット材料にキトサンを使用することも報告されている。モンモリロナイトにインターカレートされたカチオン性キトサンが、Darderら(Chemistry of materials,2003,15(20),PP3774−3780)により開示されている。ブチルアクリレートグラフト化キトサン−モンモリロナイトナノコンポジットは、Liら(Radiation physics and chemistry,2004,69(6)APR,PP467−471)によって開示されている。ナノコンポジット材料におけるキサンタン及びスクレログルカンの使用もまた開示されている。
【0036】
エチレン不飽和モノマーから製造された高吸収性ナノコンポジットは、Eijiら(特開平04−290547号公報)で報告されている。高い吸収及び保持性能を有しているが、それらは再生不可能であり、且つ一般的には生分解性ではなく低アレルギー誘発性でもない。ポリアクリルアミドナノコンポジットはM’Bodj,O.ら(Journal of Colloid and interface science,2004,273(2)(May 15),PP675−684)によって報告されている。
【0037】
澱粉―ポリアクリルアミドグラフト共重合体は、最高の吸収性を有する高吸収剤のうちの一つである(Riccardo P. O., Water−Absorbent Polymers : A Patent Survey. J.Macromol.Sci., Rev.Macromol. Chem.Phys.,1994,607−662(p.634)及び他に引用されている参考文献)。しかしながら、高い製造コストと比較的低いゲル強度のために、澱粉―ポリアクリルアミドグラフト共重合体の用途は限られている。
【0038】
吸収性を高めた、澱粉―ポリアクリルアミドグラフト共重合体/粘土高吸収性コンポジットの合成及び性質は、Jihuai Wuら(Macromol. Rapid Commun.2000,21,(15),pp1032−1034,Polymer,2003,44(21),PP6513−6520)で報告されている。しかしながら、これらのコンポジット材料は生分解性でもなく、低アレルギー誘発性でもない。
【0039】
残念ながら、ほとんどの変性多糖類ベースの材料は多くの高吸収性の合成材料と比較し得るほどの吸収性を有しておらず、個人向け衛生製品における吸収材料としての使用が厳しく制限される。
【0040】
個人向け衛生製品における使用に適した高吸収性の多糖類−粘土ナノコンポジット材料、また同様にこれらの高吸収性ナノコンポジット材料を製造する方法の必要性は依然として存在する。
【0041】
本発明はこれらの、及び他の要求を満たすことを目的としている。
【0042】
本発明は多くの文献を参照しているが、この内容は、参考として全てここに組み込まれている。
【特許文献1】米国特許6,350,711号明細書
【特許文献2】国際公開第01/91684号パンフレット
【特許文献3】カナダ特許第2,308,537号明細書
【特許文献4】カナダ特許第2,462,053号明細書
【特許文献5】カナダ特許第2,362,006号明細書
【特許文献6】米国特許第5,550,189号明細書
【特許文献7】米国特許第5,498,705号明細書
【特許文献8】米国特許第5,470,964号明細書
【特許文献9】国際公開第0035504A1号パンフレット
【特許文献10】国際公開第0134656A1号パンフレット
【特許文献11】国際公開第9929352A1号パンフレット
【特許文献12】米国特許第5,932,017号明細書
【特許文献13】米国特許第6,231,675号明細書
【特許文献14】米国特許第6,451,121号明細書
【特許文献15】米国特許第5,718,770号明細書
【特許文献16】米国特許第6,277,186号明細書
【特許文献17】米国特許第4,624,868号明細書
【特許文献18】米国特許第4,333,461号明細書
【特許文献19】特開2002−253961号公報
【特許文献20】特開2002−035037号公報
【特許文献21】特開2001−278998号公報
【特許文献22】特開2002−037924号公報
【特許文献23】特開2002−053859号公報
【特許文献24】特開2001−120992号公報
【特許文献25】特開2002−053859号公報
【特許文献26】特開2001−226525号公報
【特許文献27】米国特許第5,536,825号明細書
【特許文献28】米国特許第5,489,674号明細書
【特許文献29】国際公開第0021581A1号パンフレット
【特許文献30】米国特許第3,935,363号明細書
【特許文献31】特開平10−244249号公報
【特許文献32】米国特許第5,489,469号明細書
【特許文献33】米国特許第4,500,670号明細書
【特許文献34】米国特許第4,454,055号明細書
【特許文献35】米国特許第6,124,391号明細書
【特許文献36】米国特許第5,419,956号明細書
【特許文献37】米国特許第6,175,055号明細書
【特許文献38】米国特許第4,914,066号明細書
【特許文献39】米国特許出願第20040035369号明細書
【特許文献40】米国特許第4,615,923号明細書
【特許文献41】米国特許第6,376,034号明細書
【特許文献42】米国特許第5,820,955号明細書
【特許文献43】米国特許第6,261,640号明細書
【特許文献44】米国特許第6,414,069号明細書
【特許文献45】米国特許第6,261,640号明細書
【特許文献46】米国特許第6,228,903号明細書
【特許文献47】米国特許第5,760,121号明細書
【特許文献48】米国特許第6,399,690号明細書
【特許文献49】米国特許第6,407,155号明細書
【特許文献50】米国特許第6,197,849号明細書
【特許文献51】米国特許第6,521,690号明細書
【特許文献52】米国特許出願第20020169246号明細書
【特許文献53】米国特許第6,271,297号明細書
【特許文献54】米国特許第6,730,719号明細書
【特許文献55】米国特許出願第20020165305号明細書
【特許文献56】米国特許出願第20030060555号明細書
【特許文献57】米国特許第6,579,927号明細書
【特許文献58】米国特許第6,586,500号明細書
【特許文献59】国際公開第2004043663号パンフレット
【特許文献60】米国特許出願公開第20030134942号明細書
【特許文献61】特開平02−203936号公報
【特許文献62】カナダ特許第2,352,502号明細書
【特許文献63】米国特許第5,869,033号明細書
【特許文献64】米国特許第6,042,839号明細書
【特許文献65】特開平09−187493号公報
【特許文献66】欧州特許出願公開第1327435号明細書
【特許文献67】欧州特許出願公開第1203789号明細書
【特許文献68】特開平04−290547号公報
【特許文献69】カナダ特許第2,308,537号明細書
【特許文献70】米国特許第4,624,868号明細書
【非特許文献1】Nonwoven World,2000,9(2),pp54−62
【非特許文献2】Nonwovens Industry,2003,34(5),p.24
【非特許文献3】Carbohydr.Polym.,2001,45,219−226
【非特許文献4】Comptes Rendus del’Academie des Sciences,1990,Serie 2,310(7 serie 2),PP.975−980
【非特許文献5】Mat Res. Soc. Proc. ,1990,171,45−50
【非特許文献6】J. Adv. Polym. Technol.1997,16,263)
【非特許文献7】Carbohydr.Polym.2001,45(2),189−194
【非特許文献8】Macromolecular Materials and Engineering,2002,287(8),pp.553−558
【非特許文献9】J. of Mat Sci,2003,38(5),pp.909−915
【非特許文献10】Polymer International,2003,5(11), PP1767−1773
【非特許文献11】Chemistry of materials,2003,15(20),PP3774−3780
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【非特許文献13】Journal of Colloid and interface science,2004,273(2)(May 15),PP675−684
【非特許文献14】Macromol. Rapid Commun.2000,21,(15),pp1032−1034
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【非特許文献16】Reactive Extrusion : Principles and Practice, Xanthos M. Ed. , Hanser Publishers, New York, 1992
【非特許文献17】Macromolecules,1988,21,1121−1125
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【非特許文献19】Modern Superabsorbent PolymerTechnology (Buchholz F. L.、 Graham A. T. Eds., Wiley−VCH, New York, 1998, section 4.6. 1. Swelling Capacity: Theory and Practice, p. 147)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明は新規の吸収性または高吸収性材料に関する。より詳細には、本発明は多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料に関する。さらに詳細には、本発明は生分解性を有する吸収性または高吸収性多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料に関する。生分解性を有する吸収性または高吸収性多糖類は、ガラス状パターン内部で自己絡み合いしてもよく、及び/または架橋していてもよい。さらに、本発明の高吸収性ナノコンポジット材料は、好ましくは無水の、固体材料であり、液体に対する膨潤性が良好である。
【発明の効果】
【0044】
好ましい実施形態としては、本発明は変性ガラクトマンナンまたは澱粉を含む新規の吸収性または高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料に関する。
【0045】
本発明は、例えば、オムツ、インコンチネンス製品、婦人衛生製品、エアレイド、及び吸収性ドレッシング材等の使い捨て衛生製品における、多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料の利用にも関する。さらに、本発明は多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料の、家庭用品、シーリング材、土壌調整のための農業製品の保湿剤、採掘、石油掘削、防露被覆、農業/園芸/林業における水分保持材料、吸い取り紙製品、ばんそうこう及び外科用パッド、化学物質流出時の吸収材、化粧品及び薬剤のためのポリマーゲル、人工雪、消防技術における利用にも関する。さらに、本発明は食品包装用途に加えて生鮮食料品またはシーフードの輸送に関する用途における多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料の利用に関する。
【0046】
さらに好ましい実施形態としては、本発明は、これらの例で制限されるわけではないが、例えば水、水溶液、生理液及び塩水を含む液体を吸収するための、多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料の利用にも関する。
【0047】
本発明は多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料及び共吸収(co−absorbent)材料を含む組成物にも関する。
【0048】
結果的に、本発明は多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料の調整方法に関する。
【0049】
さらに好ましい実施形態としては、本発明は生分解性を有する吸収性または高吸収性の多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料の調整方法にも関する。
【0050】
さらにこの後の詳細な記述から、目的および適用範囲は明確になるであろう。しかしながら、本発明の精神や目的を逸脱しない範囲における様々な変化や変更は当業者にとっては自明なものであり、この詳細な記述は発明の好ましい実施形態を示すと同時に説明を目的として与えられるものであると理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
発明の詳細な記述
本発明の記述は多くの通常使用される化学用語に関する。しかし、明瞭性及び整合性のためにいくつかの用語を定義する。
【0052】
ここで使用される、“フリースウェルキャパシティ(Free Swell Capacity)”(FSC)、または“全吸収量”という用語は、組成物1グラムあたりに吸収される流体の量(g)を示す。典型的な流体は血液、合成血液及び塩水(0.9% 重量/重量 NaCl溶液、これ以降0.9%NaCl溶液または塩水とよぶ)である。
【0053】
ここで使用される、“遠心分離機保持容量(Centrifuge Retention Capacity)”(CRC)または“保持率”という用語は、組成物に250Gの遠心力を加えた後に、組成物1グラムあたりに保持される流体の量(g)を示す。典型的な流体は血液、合成血液及び塩水(0.9% 重量/重量 NaCl溶液、これ以降0.9%NaCl溶液または塩水とよぶ)である。
【0054】
ここで使用される、0.3PSI、0.7PSIまたは0.9PSIにおける“荷重下での吸収(Absorption under Load)”(AUL)、または“圧力に対する吸収”という用語は、組成物1グラムあたりに吸収される流体の量(g)を示す。典型的な流体は血液、合成血液及び塩水(0.9% 重量/重量 NaCl溶液、これ以降0.9%NaCl溶液または塩水とよぶ)である。
【0055】
ここで使用される、“リウェット(rewet)”または“ウェットバック(wet−back)”という用語は、オムツ、生理用ナプキン、エアレイド、吸収性コア(absorbent core)またはインコンチネンス衣料品の物理的特性を示し、適用された圧力(0.7PSI)下でこれらの吸収性製品の性能を測るものである。
【0056】
ここで使用される“着色面積(stain area)”または“拡散”という用語は、オムツ、生理用ナプキン、エアレイド、C−フォールド(C−FOLD)、吸収性コアまたはインコンチネンス衣料品の物理的特性を示し、与えられた液体の量に対する、生じた着色面積(cm)を測るものである。
【0057】
ここで使用される“浸透時間(penetration time)”という用語は、オムツ、生理用ナプキン、エアレイド、吸収性コアまたはインコンチネンス衣料品の物理的特性を示し、吸収性製品が与えられた量の液体を吸収するのにかかった時間を測るものである。
【0058】
ここで使用される“ナノコンポジット”という用語は、ポリマーネットワーク中にナノスケールで分散した層状珪酸塩を含む材料を示す。一般的な層状珪酸塩ナノコンポジットは剥離型ナノコンポジット、インターカレーション型ナノコンポジット、半剥離型ナノコンポジットである。
【0059】
ここで使用される“層状珪酸塩”または“層状シリケート”という用語は、約1nmの厚みを有し、同時に長さ及び幅が300から500nmであるアルミノシリケートを示す。層状珪酸塩は粘土の主な成分である。層状珪酸塩のサイズ、組成及び形状は原料となる粘土に依存して変わり得る。層状珪酸塩は一般的に分子式Al・4Si0・H0である。
【0060】
ここで使用される“インターカレートナノコンポジット”または“サンドイッチナノコンポジット”という用語は、繰り返し且つ交互の層状珪酸塩−ポリマー層から構成されるナノコンポジットを示す。これらのインターカレートナノコンポジット内部では、層状珪酸塩の層間の空間はポリマーを挿入するために増大される。
【0061】
ここで使用される“剥離型ナノコンポジット”または“層状珪酸塩分散系”という用語は、ポリマーネットワークを通して分散された、剥離した層状珪酸塩を含むナノコンポジットを示す。
【0062】
ここで使用される“半剥離型ナノコンポジット”という用語は、部分的に剥離した粘土を含むナノコンポジットを示す。これらの半剥離したナノコンポジット内部では、粘土は剥離して約45〜70の層状珪酸塩ブロックを含む相対的に小さなユニットとなっている。Chenuら(Comptes Rendus del’Academie des Sciences,Surie 2,1990,310(7 serie 2),PP.975−980)が定義したように、粘土は通常約85から140の層状珪酸塩ブロックを有するユニットを含む。これらの半剥離型ナノコンポジット内部では、相対的に小さな層状珪酸塩ユニットがポリマー全体にわたって均一に分散している。
【0063】
ここで使用される“多糖類”という用語は、主に(少なくとも90%)単糖類の繰り返しユニット及び/または単糖類の誘導体の繰り返しユニットからなる主鎖を含むポリマーを示す。これによって制限するものではないが、例としては澱粉、化工澱粉、アミロペクチン、変性アミロペクチン、アミロース、変性アミロース、キトサン、キチン、グアガム、変性グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、コンニャクガム(konjac gum)、コンニャク粉末(konjac flour)、フェヌグリークガム、メスキートガム、アロエマンナン、セルロース、変性セルロース(代表例はカルボキシアルキル化セルロース(carboxyalkylated cellulose)及びカルボキシメチルセルロース)、酸化型多糖類(oxidized polysaccharides)、硫酸化多糖類、カチオン性多糖類、ペクチン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタン、κ(kappa)、ι(iota)、λ(lambda)カラギナン、寒天、アルギン酸塩(alginates)を含む。これによって制限するものではないが、例としてはグアガム、タラガム、ローカストビーンガム、コンニャク、メスキートガム、及びフェヌグリーク抽出物を含むマンノースを主材料とした(mannose−based)多糖類が挙げられる。
【0064】
ここで使用される“単糖類ユニット”という用語は、環状のC−Cアルドースまたはケトースを示す。これによって制限するものではないが、C−Cアルドースの例としてはアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、が挙げられる。これによって制限するものではないが、C−Cケトースの例としては、リブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボース、タガトースが挙げられる。
【0065】
ここで使用される“単糖類誘導体”という用語は、化学的にまたは酵素によって変性された単糖類ユニットを示す。
【0066】
ここで使用される“生分解性”という用語は、OECD試験法302Bに従って、56日以内に少なくとも50%に分解される全ての物質を示す。詳細には、これによって制限するものではないが、生分解性物質の例としては多糖類が挙げられる。
【0067】
ここで使用される“エアレイド”という用語は、吸収性コアのタイプを示し、通常生理用ナプキン及び赤ちゃんのオムツ内部にある。エアレイドはセルロース“フラフ”繊維を用いて作られる。しかしながら、吸収性または高吸収性材料及び/またはバイコンポーネントファイバを用いて製造されてもよい。エアレイドは一般的に真空スクリーン上に強制的に堆積させた粒子及び繊維のエアサスペンションを用いて作成される。結果として得られる堆積物は圧縮され、エアレイドとなる。
【0068】
ここで使用される“C−フォールド”という用語は吸収性コアのタイプを示し、通常生理用ナプキン内部にあり、エアレイドを用いて製造される(図21参照)。“C−フォールド”の内部空間は通常高吸収性材料を含む。
【0069】
ここで使用される“もとの(pristine)”という用語は、層状珪酸塩分散系を全く含まない(すなわち、ナノコンポジットではない)多糖類を示す。
【0070】
ここで使用される“滞留時間”という用語は、材料がフィード口からダイへと押出機を通過するのに要する時間を示す。滞留時間は一般的に着色剤を含む少量の材料をフィード口内へと加えることによって測定される。滞留時間は、着色剤を含む材料がバレルに入ったときを開始とし、ダイ出口で観察されたときを終了とする。
【0071】
ここで使用される“押出物の温度”という用語は、携帯用熱電対をダイ開口部のひとつに差し込んで測定された、ダイ出口における材料の温度を示す。
【0072】
ここで使用される“イオン性多糖類”という用語は、アニオン性及びカチオン性多糖類の双方を示す。
【0073】
ここで使用される“繊維”という用語は、天然及び合成繊維の双方を示す。
【0074】
T:押出物温度(℃); Ω:スクリュー回転速度、RPM(1分あたりの回転数); Q:押出機処理量または吐出量(Kg/h); Qdie:ダイ押出処理量(Kg/h); Tb:バレル部分Xの温度(℃)(図15); Td:ダイ温度(℃)(図15); HP:押出機のモーター出力(馬力); D:押出機バレル直径(mm)(図15)
AFM: 分子間力顕微鏡
SEM: 走査型電子顕微鏡
【0075】
広い意味では、本発明は新規の吸収性または高吸収性材料に関する。より詳細には、本発明は多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料に関する。さらに詳細には、本発明は生分解性の多糖類及び層状珪酸塩を含む高吸収性ナノコンポジット材料に関する。生分解性の吸収性または高吸収性多糖類はガラス状パターン内部で自己絡み合いした形態であってもよいし、架橋していてもよい。
【0076】
本発明の高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料は、異なる高分子の型を有する。これらのナノコンポジット材料内部で、層状珪酸塩は剥離して、及び/または半剥離した状態で、多糖類ネットワークの領域にわたって分散される。驚いたことに、これらの剥離の状態は混錬(剪断力)と、ナノコンポジット材料を調整する際のプロセス条件との双方に影響されることがわかった。
【0077】
好ましい多糖類はグア及び澱粉である。層状珪酸塩の存在下で架橋される場合にはグアは特に好ましく、層状珪酸塩の存在下で自己絡み合いを生じる(ガラス状多糖類を形成する)場合には澱粉が特に好ましい。
【0078】
生分解性多糖類−層状珪酸塩高吸収ナノコンポジットは材料の新しい区分けである。層状珪酸塩は粘土の主な構成物であり、環境親和性であり天然に豊富に存在する材料である。驚くことに、高吸収性を有する多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料は、多糖類の性質である生分解性及び高吸収性と、粘土の性質である強度及び安定性を兼ね備えるよう調整可能であることが見出された。
【0079】
押出法によるナノコンポジット(例1及び例2)はX線回折によって解析された(各々図7及び図8)。どちらのスペクトルにおいても4°シータにブロードなショルダーが観測される。純粋なガラス状澱粉(図9、比較例I)及び純粋なベントナイト(図10)はそのようなブロードなショルダーは示さない。このブロードなショルダーは、剥離した形態によって特徴づけられる押出法によるナノコンポジットが約20−25Åの層間の空間を有することを示している。剥離した形態の存在は、走査型電子顕微鏡“SEM”によって確認することができる(図3及び4)。図3から、無秩序な、しかしガラス状の表面(小さな亀裂によって分断された平坦な表面)が認められる。図4からは、より平滑な、ガラス状澱粉の表面が確認される。
【0080】
溶液で作られたナノコンポジットは異なる高分子のパターンを有する。溶液ベースのナノコンポジット(例7)もX線回折によって解析された(図11)。しかしながら、3−4°のあたりにはショルダリングの効果が認められなかった。さらに、純粋なグアホウ砂(guar borax)(図13、比較例II)及び純粋なベントナイト(図12)もショルダリングを示さない。ショルダリングの効果が全くみられないということは、溶液ベースのナノコンポジット中では層状珪酸塩間の空間が変化していないことを示している。
【0081】
溶液で作られたナノコンポジットは、さらに分子間力顕微鏡“AFM”によって解析され、半剥離した形態の形成を示した。半剥離した形態の存在を示す多くの層状珪酸塩ブロック(PHB)は、20%カルシウムベントナイト/グア−ホウ砂ナノコンポジットの分子間力顕微鏡像で確認することができる(図5)。層状珪酸塩ブロックは一般的に50nmの厚みを有する。しかしながら、図6から確認できるように、グア−ホウ砂は材料中の長く曲線的な亀裂によってのみ分断された平滑な表面を含んでいる。半剥離した形態の存在は、走査型電子顕微鏡“SEM”によっても確認された(図1及び例7)。多くの小さな粒子が埋め込まれた無秩序な表面が20%ベントナイト/グア−ホウ砂ナノコンポジットに関して確認される(図1)。組織化された、小さなしわによってのみ分断された比較的平滑な表面が、もとの(pristine)グア−ホウ砂に関して確認される(図6、比較例II)。
【0082】
粒子サイズが約88μmから約590μmの範囲である多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットは、流体を吸収するのに特に有効であることがわかった(例40及び41)。さらに、もとの多糖類と比較して、これらのナノコンポジットは広い範囲の粒子サイズにわたって安定的な性能を示す。
【0083】
さらに、もとの多糖類と比較して、本発明の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットはゲル流動または離漿を示さない(図24)。図24で観察されるように、30分間浸漬することによって、多糖類と、ナノコンポジット材料との双方でFSC値が最大に達した。FSCの最大値はナノコンポジット材料において維持され、このことはゲル流動や離漿が起こっていないことを示す。しかしながら、多糖類(グア−ホウ砂)の場合、ゲル流動及び離漿の存在を示すFSC値の降下が観察される可能性がある。
【0084】
本発明の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットは、単純流体及び複雑流体のどちらについても、それらを吸収するのに使われてよい(すなわち、水、水溶液、生理溶液、塩水、血液、合成血液、血清、月経分泌液)。実は驚くべきことに、本発明の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットは、もとの多糖類(層状珪酸塩なしの多糖類)と比較してウシの血液の吸収性能が高いことがわかった。これは、吸収材が生理液のみではなく血液、合成血液、血清、月経分泌物を吸収しなくてはならない婦人衛生製品及び創傷ドレッシング材を考えると、重要な示唆である。本発明の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットが複雑流体を吸収する性能を向上させたとしても、単純流体を吸収する性能において有効であり続けることを指摘しておくのは重要なことである。これら吸収特性の改良に関しては、例3−6及び42−45で説明されている。20%ベントナイト/グア−ホウ砂ナノコンポジットは、もとの多糖類と比較して、血液または合成血液におけるFSC及びCRCの値が高い場合が多かった。さらに例7の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットは、多くのエアレイド及びC−フォールドにおいて浸透時間を短くし、同時に着色面積(血液または合成血液)を減少することを示した。吸収時間が減少することにより生理用ナプキンの流体流動速度を早くすることができ、一方で着色領域が小さいことにより衛生製品からの漏れを防ぐことができる。
【0085】
驚くことに、粘土及びもとの多糖類の吸収性能と比較して、本発明の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットには相乗効果がみられる。相乗効果は、ナノコンポジット材料の吸収性能が予想される理論値を超える場合に認められる。下記の式1で説明されるように、理論値はナノコンポジット(すなわち多糖類及び粘土)の各成分について、各々の寄与の和によって得られる。
【0086】
[式1]
nanocomposite > (Sclay X Cclay) + (Spolysaccharide X Cpolysaccharide
【0087】
式1においてSclay、Spolysaccharide、Snanocompositeは各々原料となる粘土、もとの多糖類、ナノコンポジットの吸収性能であり、Cclay及びCpolysaccharideはナノコンポジット材料を構成する成分の重量分率である。
【0088】
観察された相乗効果は特に剥離型ナノコンポジットで特に顕著なものである。観察された相乗効果は半剥離型ナノコンポジットでは満足できるものである。この相乗効果は単純流体及び複雑流体(血液、月経分泌物または血清)の両方で観察される。
【0089】
製造コストが低いことは、本発明の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットのさらなる強みである。粘土は低価格で容易に入手可能な材料である。
【0090】
本発明の高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットは、例えば赤ちゃんのオムツ、インコンチネンス製品、生理用ナプキン、及びそれに類似する製品等、吸収剤としての個人向け衛生製品に包含されてもよい。または、例えば吸収性コア、エアレイドまたは発泡構造物等のような吸収材として使用されてもよい。
【0091】
本発明の高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットは、その他にも、例えば食料品パッド、土壌中に水分を保持するため及び植物や樹木の根に水分を与えるための農業及び林業用途、消防技術、ばんそうこう及び外科用パッド、水溶性化学物質流出物を含む酸性または塩基性溶液流出物の清掃、化粧品及び薬品における徐放性ポリマーゲル(ドラッグデリバリーシステムとしても知られている)、人口雪等の他のいくつかの用途において使われてもよい。
【0092】
本発明の高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットは、高吸収性の組成物を与えるために、他の共吸収剤と混合されてもよい。好ましい実施形態において、高吸収性組成物は約1〜約99%(w/w)のナノコンポジット材料と、約99〜約1%(w/w)の共吸収剤を含む。これに制限されるものではないが、共吸収剤の例としては、高吸収性合成ポリマー、マンノースを主材料とした多糖類、イオン性多糖類、繊維およびそれらの混合物が挙げられる。
【0093】
より好ましい実施形態では、高吸収性組成物は多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットをイオン性の多糖類(カチオン性またはアニオン性多糖類、またはそれらの混合物)と混合することによって調整される。さらに好ましい実施形態では、高吸収性組成物は多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットを一つ以上のアニオン性多糖類と混合することによって調整される。これによって制限されるものではないが、アニオン性多糖類の例としては、カルボキシアルキル多糖類、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチル澱粉、酸化型多糖類、キサンタン、カラギナン、ペクチン及びそれらの混合物が挙げられる。これによって制限されるものではないが、繊維の例としては、セルロース、ビスコース、レーヨン、セルロースアセテート、ナイロン(商標)、ポリアルキレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、バイコンポーネントファイバ、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリプロパンジオール、リヨセル(商標)、ミズゴケ、及びそれらの混合物が挙げられる。これによって制限されるものではないが、マンノースを主材料とする多糖類の例としては、グア、タラ、ローカストビーン、コンニャク、フェヌグリーク抽出物、メスキート抽出物及びアロエマンナンが挙げられる。
【0094】
高吸収性組成物に包含された高吸収性合成ポリマーは、一般的に重合から得られ、好ましくはモノマーをラジカル重合、またはラジカルグラフト重合することによって得られ、これによって制限されるものではないがモノマーの例としては、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、アクリル酸無水物、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステル、メタクリル酸無水物、無水マレイン酸、マレイン酸塩、マレイン酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルアセテート、ビニルグアニジン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0095】
本発明の高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジットは以下に示す簡単な手順に従って調整することが可能である。ひとつの実施形態においては、水溶性多糖類の水溶液または懸濁液は、水に分散させた粘土と均一になるまで混合される。粘土はまず膨潤し、剪断条件下で剥離する。このように、水溶性多糖類の溶液または懸濁液を加える前に粘土を膨潤させることは重要である。
【0096】
剪断速度はナノコンポジット材料の高分子パターンに大きく影響する。例えばマグネチックスターラー等で得られるような低剪断速度においては、結果的に半剥離した形態が形成される。しかし、例えば押出成形または高剪断ミキサー等で得られるような高剪断速度においては、より剥離した形態が形成される。より剥離した形態は本発明のナノコンポジット材料において好ましいものである。
【0097】
押出機は、例えば重合、ポリマー変性、またはポリマーブレンドを相溶させる等の工程において連続リアクターとして普及している。押出機は、Huppeら(カナダ特許第2,308,537号明細書)に開示されるように、ガラス状吸収性澱粉の調整に使用された。反応押出の場合、重合、グラフト化、コポリマー形成、分子ネットワーク形成、架橋、官能化、コントロールされた分解等(Reactive Extrusion : Principles and Practice, Xanthos M. Ed. , Hanser Publishers, New York, 1992)、いくつかの有機反応が押出機中で行われうる。
【0098】
層状珪酸塩ガラス状澱粉ナノコンポジットは、膨潤し且つ水和した粘土を単純に澱粉ペーストに加え、混合し、粘土−澱粉混合物を押出成形することによって作られることがわかった。押出後、粘土−澱粉混合物は乾燥され、粉砕される。これらの層状珪酸塩ガラス状澱粉ナノコンポジットは、層状珪酸塩含量が高い(25%)けれども、もとのガラス状澱粉と比較してより良好な吸収性能を示す。
【0099】
ガラス状澱粉は自己絡み合い状態の多糖類の分子鎖、例えばアミロペクチン、及び/またはアミロースの分子鎖、のアモルファスネットワークからなる。この分子ネットワーク内部のノードは単純に水素結合で形成される。アミロペクチンの含量が90%を超えるナノコンポジット吸収性材料は、多糖類成分と層状珪酸塩成分との間で相乗効果を示さない。
【0100】
前述のように、多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット吸収性材料は溶液法を用いて(すなわち、多糖類の水溶液または水性懸濁液を用いて)調整されてもよい。これによって制限されるものではないが水溶性多糖類の例としては、澱粉、化工澱粉、アミロペクチン、変性アミロペクチン、アミロース、変性アミロース、キトサン、キチン、グアガム、変性グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、コンニャクガム、コンニャク粉末、フェヌグリークガム、メスキートガム、アロエマンナン、セルロース、変性セルロース(カルボキシアルキル化セルロース、カルボキシメチルセルロース)、酸化型多糖類、硫酸化多糖類、カチオン性多糖類、ペクチン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタン、κ(kappa)、ι(iota)、またはλ(lambda)カラギナン、寒天、アルギン酸塩が挙げられる。特に好ましい水溶性多糖類はガラクトマンナンガムを含む。ガラクトマンナンは天然に生じる中性の多糖類であり、様々な置換の程度(degrees of substitution,DS)を有するポリβ−(1−4)−マンノース主鎖からなり、単一のD−ガラクトピラノシル残基がα−(1−6)結合を通して結合されている。
【0101】
グアガムはグア植物の粉砕された胚乳から取り出されたものであり、パキスタン及びインドの半乾燥地帯に広く生育する。以下の化学式1に示されるように、グアガムの構造は1.6:1の置換比でランダムにガラクトースを含む。この比は、作物によって、または亜種によって変動を受ける(Jasinskiet al. J. of Polym. Sci., part. B,1996,34,pp.1477−1488)。
【0102】
【化1】

【0103】
本発明の吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料が調整される際溶液法が用いられる場合には、多糖類は架橋していることが望ましい。架橋によって水系懸濁液中での多糖類の完全な溶解を防ぐ。しかしながら、架橋度が高すぎると、過剰な架橋剤によって続くナノコンポジット材料の膨潤が妨害され、吸収性能を低下させる。
【0104】
水溶性多糖類の懸濁液と水に分散した粘土とを混合した後、続いて架橋剤を含む溶液が混合物に加えられる。架橋剤の例としては、ホウ砂(マンノースポリマーに関して)に制限されるものではなく、ホウ酸(マンノースポリマーに関して)、グリオキサール、エピクロロヒドリン、トリメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オキシ塩化りん、およびそれらの混合物が挙げられる。加えて、これらで制限されるものではないが、従来技術で知られた架橋剤の例としては、二塩化スクシニル、塩化アクリロイル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、エタンジオールジグリシジルエーテル、ピロメリット酸二無水物、ジビニルスルホン、ジイソシアネート、アルキレンビスアクリルアミド、及びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい架橋剤はホウ酸またはホウ砂である。この架橋剤は、ガラクトマンナンを架橋するのに特に有効である。
【0105】
テトラホウ酸ナトリウム(ホウ砂)及びホウ酸はシス−ジオール、特にグアガムの架橋に関連して頻繁に報告されているホウ素誘導体である(Muller 米国特許第4,624,868号明細書、米国特許第4,333,461号明細書)。これらの架橋剤を用いてグアガムの高分子構造を硬化することで、吸収性及び保持容量(retention capabilities)に加えてゲル強度を改良する。
【0106】
ホウ砂(テトラホウ酸ナトリウム)及びホウ酸は、水性の塩基溶液中でホウ酸イオン(borate ions)を経由してグアガムと反応する(Pezron E. et al. Macromolecules,1988,21,1121−1125)。以下に化学式2で示されるように、ホウ砂の水溶液はホウ砂、ホウ酸イオン、及びホウ酸が平衡状態で存在する系からなる。グアボレート誘導体(guar−borate derivative)の11BNMRによる研究から、マンノシル−ボレート五員環及びガラクトシル−ボレート六員環の2:1複合体(complex)の存在が説明された(Jasinski R. et al. J.Polym.Sc.,Part.B−Polym.Phys.,1996,34,1477−1488)。
【0107】
【化2】

【0108】
架橋剤を加えた後、混合された組成物はゲル形成を可能とするのに十分な時間放置される。最適な濃度条件下で、阻害剤が存在しない状態で、一般的なゲル化時間は約30分を越えない程度である。この時点で混合物は極めて粘稠であり、さらに処理が必要である。望むような粘稠度を得るためには、ゲル生成物は過剰量のアルコール中で沈殿させる。他の沈殿または乾燥方法が使われてもよい。
【0109】
沈殿の段階を組み入れる際には、例えばメタノール、エタノールまたはイソプロパノール等のアルコールを使用することが望ましい。さらに、アルコール沈殿の段階によって、高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料から不純物を除く。しかも、pHを調整することによって、得られた高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料の、防腐性を改良するだけではなく、テキスチャーを改良する。生成物は、その後ろ過によって取り出され、粉状のテキスチャーを有する粒子サイズに粉砕されまたは製粉することによって均一化される。ナノコンポジット生成物は、最終的な利用目的に合わせてさらに加工されてもよい。
【0110】
本発明の高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料の製造には、水溶液中において剥離するか、または半剥離する性能を有するどのような粘土が使用されてもよい。材料の粘土は天然のものであっても、合成のものであってもよい。粘土の例としては、スメクタイトに制限されるものではないが、ヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ラポナイト(商標)、セライト、イライト及びそれらの混合物が挙げられる。特に好ましい粘土は、モンモリロナイト型の粘土であるベントナイトである。ベントナイトは基本的にコロイド状の水和アルミニウム層状珪酸塩から構成され、様々な量の鉄、アルカリ、及びアルカリ土類金属を含む。カルシウム、ナトリウム、カリウム及びマグネシウムベントナイトが好ましい。イオン交換性のベントナイトは、本発明の高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料の調整に用いられてもよい。
【0111】
さらに有効な高吸収性多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料は、粘土の成分の寄与が約1%(w/w)から約40%(w/w)の範囲のときに得られる。粘土含量が約1%(w/w)から約25%(w/w)の範囲である多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料は特に好ましい。
【0112】
本発明の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料は実施例1−45においてさらに説明される。
【0113】
生分解性
本発明の多糖類−層状珪酸塩ナノコンポジット材料を製造するのに使用されるもとの多糖類は、吸収性を有し生分解性であることが望ましい。もとの多糖類の生分解性は、56日後に“分解した有機炭素(Dissolved Organic Carbon、DOC)”含量の少なくとも50%が消えたときに、確認される。
【0114】
ガラス状澱粉は、濃度250mg/Lで分散され、DOCによって測定される。イノキュラム(0.2g/L、Activated mud, Valcartier、カナダ)がサンプルに加えられ、溶液のpHは6.5と8との間に保たれた。溶液は175rpmで攪拌され、20℃で56日間保温された。DOC含量はt=0(イノキュラムを加える前)、t=3時間、t=14日、t=28日、t=42日、及びt=56日で測定された。イノキュラムに接触させてから14日後にガラス状澱粉の92.5%が生分解したことが観察された。
【0115】
グアボレート(guar borate)は、濃度250mg/Lで分散され、DOCによって測定された。イノキュラム(0.2g/L、Activated mud、Valcartier、カナダ)がサンプルに加えられ、溶液のpHは6.5と8との間に保たれた。溶液は175rpmで攪拌され、20℃で56日間保温された。DOC含量はt=0(イノキュラムを加える前)、t=3時間、t=14日、t=28日、t=42日、及びt=56日で測定された。イノキュラムに接触させてから14日後にグアボレートの86.7%が生分解したことが観察された。
【0116】
血液試験
血液試験は、ウシの血液及び合成血液を用いて実施された。合成血液は以下のように調整された:
【0117】
2Lのビーカーに、700mLの脱イオン水を加え、続けてカルボキシメチルセルロースナトリウムを加えた(14g;DS:0.7;MW:90KDa)。セルロースが完全に溶解したら、アルブミン(20g;Sigma A5253)及びD−MEM/F−12(Dulbecco’s modified eagle medium,15mM,Hepes #12400024、Gibco−Invitrogen Corp.)を1袋(15.6g)加え、完全に溶解するまで攪拌した。NaHCO(1.2g)及びヘモグロブリン(hemoglobulin)(1.75g、ウシ血液から、Sigma H2625)が溶液に加えられ、完全に溶解するまで攪拌された。必要に応じて、NaOH(1N)またはHCl(1N)を用いて溶液のpHは7.2に調整された。最後に、溶液の全重量が1000gに達するまでさらに脱イオン水が加えられた。溶液は約30分間立たせておき、その後ろ過された(4層のチーズコットン、cheese cotton)。ろ過溶液は冷蔵され、10日後に廃棄した。
【0118】
吸収性コアの製造
吸収性コアは、吸収性コア形成装置(図14及び20参照)を含む工程で調整された。
【0119】
エアレイドは、ポリプロピレンサーマルボンド不織布(39)上にフラフパルプ(fluff pulp)(0.5g;SCA、ドラモンドヴィル、カナダ)を均一に分散することによって製造された(図20)。成形セル(6x20cm)(37)(図20)は、吸収性コア形成装置内部に取り付けられ、位置決めされた。続いてバキュームチャンバー(11)(図14)内を減圧し、モーターを作動した。加圧されたエアレギュレーター(1)(図14)が起動され、装置内の空気を減圧された状態にした。吸収性コア形成装置に漏斗を通じてフラフパルプ(0.5g)が加えられ、吸収性または高吸収性材料(1g)、及び別途フラフパルプ(2g)が加えられた。材料は成形セル内に堆積することが可能であり、吸収性コア(40)が生成された(図20)。その後、成形セルは吸収性コア形成装置からゆっくりと取り外された。得られた吸収性コア(40)及び不織フィルター(39)は1から3トンの範囲の圧力下で圧縮され、厚さが約3〜約3.5mmの範囲の吸収性コアが作られた。その後不織フィルター(39)は圧縮コアから取り外され、1平方メートルあたり約300グラム(grams per square meter、GSM)の密度で、且つ約25%の高吸収性チャージ(superabsorbent charge)を有するエアレイドが与えられた。
【0120】
オムツ模型はポリプロピレンサーマルボンド不織フィルター(39)上にフラフパルプ(1.5g;SCA、ドラモンドヴィル、カナダ)を均一に分散することによって製造された(図20)。成形セル(10x20cm)(37)(図20)は、吸収性コア形成装置内に取り付けられ、位置決めされた。その後バキュームチャンバー内を減圧し(11)(図14)、モーターが起動された。加圧されたエアレギュレーター(1)(図14)が起動され、装置内の空気を減圧された状態にした。フラフパルプ(2.39g)が漏斗(4)を通して吸収性コア形成装置に加えられ(図14)、その後吸収性または高吸収性材料(1.79g)を加えた。別途フラフパルプ(2.39g)及び吸収性または高吸収性材料(1.79g)を引き続きさらに2度加えた。材料は成形セル内に堆積され、吸収性コア(40)を形成した(図20)。その後成形セルは吸収性コア形成装置からゆっくりと取り外された。得られた吸収性コア(40)及び不織フィルター(39)は1から3トンの範囲の圧力下で圧縮され、厚さが約4.22から約4.45mmの範囲の吸収性コアが形成された。圧縮されたコアは密度が1平方センチメートルあたり0.17gであり、且つ高吸収性チャージが約38%であった。BBA(登録商標)15GSMスパンボンド不織材料が、圧縮された吸収性コア上に、より詳細にはオムツの表面シートを模したプロピレンサーマルボンド不織材料上に配置された。
【0121】
C−フォールド形成
エアレイド(44)(14x20cm、100 GSM、Thurso、カナダ)はC−形状に折り曲げられる(図21)。エアレイドは主部分(42)が6cmになり、折り曲げ部分が7cmとなるようたたまれた。吸収性または高吸収性材料(45)は、その後主部分内部に撒き散らされた。その後折り曲げ部分は吸収性材料上部に折り曲げられ、接着された。
【0122】
実験
材料
Aグレードの小麦粉澱粉はArcher Daniels Midland(登録商標)(ディケーター、米国)から入手した。グアスプリット及びグアガムはTIC−Gum(登録商標)(Belcamp、米国)及びPolypro(ミネアポリス、米国)から購入した。白色カルシウムベントナイト(Minelco(登録商標) MB 300)はMinelco Minerals(登録商標)(Flixborough、英国)から入手した。グレイベントナイトはAldrich(登録商標)(セントルイス、米国)及びBentonite Performance Minerals(登録商標)(デンバー、米国、LD−12)から購入した。セライトはAldrich(登録商標)(セントルイス、米国)から購入した。ラポナイト(商標)及びイライトはSource Clay Repository(パーデュー大学、ウエストラファイエット、米国)から購入した。リサーチグレードのメタノール、水酸化ナトリウム、塩酸はLaboratoire MAT(登録商標)(ビューポート、カナダ)から入手した。ホウ酸及びホウ砂、トリメタリン酸三ナトリウム(trisodium trimetaphosphate)、トリポリリン酸ナトリウム、オキシ塩化リンは全てAldrich(登録商標)(セントルイス、米国)から入手した。フラフパルプはSCA(登録商標)(ドラモンドヴィル, カナダ)から入手した。C−フォールド形成のためのエアレイドはConcert(Thurso、カナダ)から供給された。オムツ模型を作成するのに使用されたBBA(登録商標) 15 GSM スパンボンド不織材料は、BBA Nonwovens(Nashville、米国)から購入された。Dounor(登録商標) 23 GSMポリプロピレンサーマルボンド不織材料はDounor(Neuville en Ferrain、フランス)から購入された。
【0123】
押出機
共回転インターメッシュ二軸押出機(co−rotating intermeshing twin screw extruder)(TSE)が使用された(表1)。TSE構成のスクリューデザインは以下表2に説明される。
【0124】
【表1】

【0125】
【表2】

【0126】
粉砕機
Braun(商標)モデルKSMコーヒーグラインダーが、製造された押出サンプルを粉砕するのに用いられた。
【0127】
ふるい(Siever)
示された場合、サンプルはTyler Rota−Tap(商標)テストシーブシェイカーをもちいてふるい、分粒された。
【0128】
試験方法
Modern Superabsorbent PolymerTechnology (Buchholz F. L.、 Graham A. T. Eds., Wiley−VCH, New York, 1998, section 4.6. 1. Swelling Capacity: Theory and Practice, p. 147)で議論されるように、ポリマーのスウェリングキャパシティ(swelling capacity)を解析するためにいくつかの測定方法が使用されている。高吸収性材料の分野において、重量膨潤容量(Gravimetric Swelling Capacity)[またはフリースウェルキャパシティ(Free Swell Capacity)(FSC)とよぶ]及び遠心容量(Centrifuge Capacity)[または遠心機保持容量(Centrifuge Retention Capacity)(CRC)とよぶ]が推奨される方法である。FSC及びCRCは得られた吸収性材料のスウェリングキャパシティを比較するために使用された。
【0129】
AUL測定
0.9%NaCl溶液中での0.3PSI、0.7PSI及び0.9PSIにおける荷重下での吸収(Absorption Under Load)(AUL)は装置内において、0.1または0.9グラムの吸収性材料を使用して、推奨される試験方法であるEDANA442.2−02に従って決定された。
【0130】
FSC及びCRC測定用ティーバッグ
ティーバッグ(10×10cm)は熱シール可能なAhlstrom(商標)ろ紙(16.5±0.5)g/mから作成された。
【0131】
FSC測定
0.9%のNaCl溶液でのフリースウェルキャパシティ(FSC)はEDANAから推奨される試験方法である440.2−02に従って決定された(フリースウェルキャパシティNo.440.2−02、推奨される試験方法:高吸収性材料−ポリアクリレート(Polyacrylate)高吸収性材料粉末−の塩水中での重量測定での決定によるフリースウェルキャパシティ、2002)。
【0132】
CRC測定
0.9%のNaCl溶液での遠心分離機保持容量(Centrifuge Retention Capacity、CRC)はEDANAから441.2−02の推奨される試験方法に従って決定された(遠心分離機保持容量No.441.2−02、推奨される試験方法:高吸収性材料−ポリアクリレート高吸収性粉末−遠心分離後の塩水内での流体保持容量(Fluid Retention Capacity)の決定、2002)。
【0133】
リウェット
オムツ模型、C−フォールド及びエアレイドにおけるリウェット特性が、以下の方法を用いて決定された。
【0134】
天然血液(7mL)、合成血液(7mL)または0.9%のNaCl水溶液(55mL)が、エアレイド、C−フォールド、またはオムツ模型の表面に注がれた。濡れた表面はその後重みをかけられたろ紙(C−フォールド及びエアレイドでは約8g、オムツ模型では約15g)(VWR ウェストチェスター、米国、#28320−041 フィルター#415)で覆われた。その後外部の圧力(0.7PSI)が直径9cm高さ7cmの円形のステンレス・スチールの重り(3.13Kg)を使って与えられた。代わりに、どんな重量でも直径7センチであって、0.7PSIまたは4.83KPaと等しい圧力を提供するという状態であればどのような重りが使われてもよい。圧力は2分間維持された。ろ紙の重量の増加はオムツ、C−フォールドとエアレイドから放出された液体の量に対応する。
【0135】
浸透時間
C−フォールドとエアレイドの浸透特性は次の方法を使って決定された。
【0136】
C−フォールドまたはエアレイドが平滑面の上に置かれた。円形のオリフィスを有するプレキシガラス(商標)(Plexiglas)プレート(19.5cmX10cmX0.4cm)は、オリフィスがC−フォールド及びエアレイドの中心に配置されるように、C−フォールド及びエアレイドの最上部に置かれた。円形のオリフィスはそれで天然または合成血液(7mL)で満たされた。液体がC−フォールドまたはエアレイドと接触するとすぐに、クロノメーター(chronometer)はスタートされた。液体が使い尽くされるまで、オリフィスが常に液体で満たされていたことを保証するため特別な用心がなされた。液体のすべてが吸収性の物の表面(C−フォールドあるいはエアレイド)から見えなくなるとすぐに、クロノメーターは止められた。
【0137】
オムツ模型の浸透特性は次の方法を使って決定された。
【0138】
オムツ模型が平面の上に置かれ、中心には消えることのないマークが付けられた。丸いプレキシガラス試験シリンダー(図25)が塩水溶液(25mL)で満たされた。液体がオムツ模型と接触するとすぐに、クロノメーターはスタートされた。液体のすべてが吸収性の物(オムツ模型)の表面から見えなくなるとすぐに、クロノメーターは止められ、経過時間はT1で示された。シリンダーはその後追加の量の塩水溶液(15mL)で満たされ、そして、液体がオムツ模型と接触するとすぐに、クロノメーターはスタートされた。液体のすべてが吸収性の物(オムツ模型)の表面から見えなくなるとすぐに、クロノメーターは止められ、経過時間はT2で示された。前記手順3回目がさらに15mLの塩水溶液を使って繰り返され、T3で示される経過時間が与えられた。オムツ模型の浸透時間(T)はT1+T2+T3と同等であると考えられる。
【0139】
拡散または着色面積
浸透実験の後に、吸収性の物(C−フォールド、エアレイド及びオムツ模型)の拡散あるいは着色面積がマルチメータ(multimeter)を使って分析され、決定された。マルチメータは液体にさらされた後に吸収性の物に残された湿った領域の輪郭をトレースする。着色の寸法は測られて、そして計算された。
【0140】
走査型電子顕微鏡写真
走査型電子顕微鏡写真がHitachi(登録商標)S3000N走査型電子顕微鏡を使って記録された。サンプルが両面接着紙に配置され、アルミニウム板に接着された。接着されていない微片が空気流で取り除かれた。接着されたサンプルの表面に薄い(約10nm)金の層が、スパッタコータによって塗布された。その後表面はスキャンされ、記録された。
【0141】
X線回折スペクトル
X線回折スペクトルがX−pert(登録商標)ディフラクトメータで記録された。ディフラクトメータはCu Kaソース(1,542Å)(50KV、40mA、0.02度/秒の走査レート)を用いた。シータ―2シータ法(Theta−2Theta法)はサンプルを解析するために使われた。
【0142】
原子間力顕微鏡
原子力顕微鏡写真が、タッチングモードで、Digital Instruments(登録商標)nanoscope III−Aを使って記録された。サンプルは両面接着紙の片側に接着された。接着紙の一方はインスツルメントニードルの下でしっかり固定された磁気のプレートに接着された。
【0143】

比較例I
ガラス状澱粉の準備
グレードA小麦澱粉(15Kg)を水(3.7Kg)と混合することによって、全体の水分含量が22.8%であるペーストが準備された。その後ペーストは24rpmで回転しているKtron(商標)T35定量フィーダを用いる押出機にフィードされた。押出機は次のバレル温度プロファイルを有する、すなわちTb=32℃、Tb=38℃、Tb=49℃、Tb=66℃、Tb=82℃、Tb=93℃、Tb=104℃、Tb=116℃であった。突出速度は16.8Kg/h、押出温度は129℃であった。押出機スクリューの回転数は100rpmであった。続いて、得られた混練サンプルは循環式オーブン内で24時間60℃において放置され、そして粉砕器を使って粉砕された。粉砕された混練サンプルは、約150μmから約600μmの範囲の粒子サイズを有する混練サンプルを提供するためにふるいにかけられた。生成物のFSCとCRCは各々7.9g/g及び5.3g/gであった。混練サンプル粒子はX線回折及びSEMによって解析された。
【0144】
比較例II
グアボレートのバッチ準備
グア粉末(0.5Kg、Procol P3)がCrepaco(登録商標)(Rosemont、米国)はLiquiverter(商標)CLV25ミキサーが設置された85リットルのミキシングバット内で25リットルの水で溶かされた。その後57gのホウ砂を含む2リットルの水溶液が、(25リットルのミキシングバット内で)予め準備されたグア混合物15.3Kgに加えられた。硬いゲルがすぐに形成された。ゲルテキスチャーが安定するまで、ゲルはおよそ30分間回転翼攪拌機(impeller agitator)で完全に混合された。ゲルはその後45のサンプルに分けられ(各々382ml)、Braun(登録商標)台所ミキサーに移された。それぞれのサンプルにメタノール(550−600mL)が加えられ、その後およそ1分間攪拌された。pHは濃塩酸を使って7.9に調整された。溶液はWestern States(登録商標)バスケット型遠心分離機(1μmのろ布、3600rpm)を使ってろ過された。ろ液は新鮮なメタノール(1.3L)で洗浄され、その後循環式オーブン内で60℃において終夜で乾燥した。生成した粒子は、Braun(登録商標)コーヒーグラインダーで粉砕され、その後、ふるいにかけ122μmから559μmまでの範囲のサイズを有する粒子のみが集められた。材料はX線回折、AFM及びSEMによって解析された。このボレートーグア(borated−guar)の種々の物理的特性を以下の表3において示す。
【0145】
【表3】

【0146】
例1
ガラス状澱粉ナノコンポジット(9.1%のベントナイト)の準備
グレードAの小麦澱粉(15Kg)、水(4.23Kg)とベントナイト(Bentonite Performance Minerals(登録商標) 1.5Kg)を混合することによって、ペーストが調整された。その後ペーストは22rpmで回転しているKtron(商標)T35 定量フィーダを用いる押出機にフィードされた。押出機は次のバレル温度プロファイルを有する、すなわちTb=32℃、Tb=38℃、Tb=49℃、Tb=66℃、Tb=82℃、Tb=93℃、Tb=104℃、及びTb=116℃であった。突出速度は13.2Kg/h、混練サンプル温度は122℃であった。押出機スクリューの回転数は100rpmであった。続いて、得られた混練サンプルは循環式オーブンで24時間60℃において放置され、その後粉砕器を使って粉砕された。粉砕された混練サンプルは、約150μmから約600μmの範囲の粒子サイズを有する混練サンプルを提供するためにふるいにかけられた。生成物のFSCとCRCは各々8.3g/g及び5.2g/gであった。混練サンプル粒子はX線回折及びSEMによって解析された。
【0147】
例2
ガラス状澱粉ナノコンポジット(23.1%のベントナイト)の準備
グレードAの小麦澱粉(15Kg)、水(5.36Kg)とベントナイト(Bentonite Performance Minerals(登録商標);4.5Kg)を混合することによって、ペーストが調整された。その後ペーストは24rpmで回転しているKtron(商標)T35定量フィーダを用いる押出機にフィードされた。押出機は次のバレル温度プロファイルを有する、すなわちTb=32℃、Tb=38℃、Tb=49℃、Tb=66℃、Tb=82℃、Tb=93℃、Tb=104℃、Tb=116℃であった。突出速度は12.0kg/h、混練サンプル温度は125.5℃であった。押出機スクリューの回転数は100rpmであった。続いて、得られた混練サンプルは循環式オーブン内で24時間60℃において放置され、そして粉砕器を使って粉砕された。粉砕された混練サンプルは、約150μmから約600μmの範囲の粒子サイズを有する混練サンプルを提供するためにふるいにかけられた。生成物のFSCとCRCは各々7.3g/g及び3.8g/gであった。混練サンプル粒子はX線回折及びSEMによって解析された。
【0148】
例3から6
ガラス状澱粉ナノコンポジットにおけるベントナイトの充填量(charge)の効果の比較研究
例2に記載された方法で、以下の表4に示されたパラメータを使ってペーストが準備された。
【0149】
【表4】

【0150】
相乗的な寄与はベントナイト(Bentonite Performance Minerals(登録商標))のFSCが5.18であることから決定されうる。観察された相乗効果は表5に示される。
【0151】
【表5】

【0152】
表5に示される相乗効果から導き出されるように、約5〜約25%の範囲のベントナイト含量を有するナノコンポジット材料が好ましい。
【0153】
例7
ボレートグア ベントナイトナノコンポジット(20%のベントナイト)のバッチ準備
グア粉末(0.5Kg Procol P3)及びベントナイト(125g)(Minelco(登録商標) Microgel MB300)が、Crepaco(登録商標)(Rosemont、米国)Liquiverter(商標)CLV25ミキサーが設置された85リットルのミキシングバット内において25リットルの水で溶かされた。ホウ砂57gを含んでいる2リットルの水溶液が、15.3Kgの予め準備されたグア混合物に加えられた(25リットルのミキシングバット内で)。硬いゲルがすぐに形成された。ゲルのテキスチャーが安定するまで、ゲルはおよそ30分間完全に攪拌翼攪拌機で混合された。その後ゲルは(それぞれ384ml)45のサンプルに分けられ、Braun(登録商標)台所ミキサーに移された。その後メタノール(550−600mL)が加えられ、約1分間攪拌された。pHは濃塩酸を使って7.9に調整された。溶液はWestern States(登録商標)バスケット遠心分離機を使ってろ過された(1μmろ布、3600rpm)。ろ液は新鮮なメタノール(1.3L)で洗浄され、循環式オーブンで60℃において終夜で乾燥された。結果として生じた粉末はBraun(登録商標)コーヒーグラインダーで粉砕され、ふるいにかけられ、122から559μmの範囲の大きさの粒子のみ保持された。材料はX線回折、AFM及びSEMによって解析された。ボレートーグア(borated−guar)のベントナイトナノコンポジット材料の種々の物理的性質は以下に表6において列挙される。
【0154】
【表6】

【0155】
表6のデータから推論することができるように、ナノコンポジット材料は、もとのグアホウ砂と比較して、天然の血液(牛の血液)と合成の血液両方で際立ってFSCとCRCを増やす。さらに、浸透時間の減少と吸収速度の増加がボレートーグア(borated−guar)のベントナイトナノコンポジット材料に関して一般的に認識された。
【0156】
例8
グアボレートベントナイトナノコンポジット(10%ベントナイト)
グアスプリット(3.00g;1.0当量)が脱イオン水(150ml)で懸濁され、マグネチックスターラーで攪拌された。水酸化ナトリウム(30% W/V;3.0ml;1.22当量)がその後加えられ、そして混合物は60℃で5時間加熱された。ベントナイト(0.334g;グレイベントナイト、Aldrich)が蒸留水(10mL)で懸濁され、結果として得られた懸濁液は50℃において攪拌された。ベントナイト懸濁液をその後グアスラリーに加えて、1時間反応させた。脱イオン水(20mL)に溶解されたホウ酸(0.3664g;0.32当量)は、攪拌の間に加えられた。結果として生じたゲルはメタノール(200mL)に混合され、粉砕されて、そしてビーカーに移された。pHは塩酸(10%)を使って激しい機械的攪拌によって7.91に調整された。そのように得られた固体はろ過されて、メタノール(3X25ml)で洗浄され、循環式オーブン内で60℃で終夜乾燥し、表7に示される特徴を有する白い微粒子粉を供給するため粉砕された。
【0157】
【表7】

【0158】
例9−16
グアボレート白色ベントナイトナノコンポジット;ナノコンポジット材料におけるベントナイト充填量効果
例9−16のグアボレートベントナイトナノコンポジットは既に例8に記載された手順に従って調整された。白色ベントナイト(Minelco(登録商標)MB 300)が使用された。以下に表8で説明されるように、ベントナイトの充填量は0%から40%(白色ベントナイト重量/グア重量)まで変化した。
【0159】
【表8】

【0160】
例17
最適化グア−リン酸塩/グレイベントナイトナノコンポジット(10%のベントナイト)
グアスプリット(5.0g)が脱イオン水(167mL)で懸濁され、マグネチックスターラーで攪拌された。ベントナイト(0.56g;グレイベントナイト、Aldrich)が蒸留水(10mL)で懸濁され、結果として生じる懸濁液は50℃で攪拌された。その後ベントナイト懸濁液は前記グアスラリーに加えられ、1時間反応を進めた。水酸化ナトリウム(30% W/V;6.0ml;1.46当量)が加えられ、その後トリポリリン酸ナトリウム(sodium tripolyphosphate、STPP;0.16g;0.0141当量)が付加され、混合物は15時間70℃で加熱された。室温まで下げた後、結果として生じたゲルはメタノール(200mL)に混合されて、粉砕されて、そしてビーカーの中に移された。pHは塩酸溶液(10%)を使って激しく攪拌しながら7.41に調整された。そのように得られた固体はろ過され、メタノールで洗浄されて(3X50ml)、循環式オーブン内で60℃で終夜乾燥され、表9に示される特徴を有する白い微粒子粉を供給するため粉砕された。
【0161】
【表9】

【0162】
例18−21
グア−リン酸グレイベントナイトナノコンポジット;ナノコンポジット材料に対するベントナイト充填量効果
例18−21のグア−リン酸ベントナイトナノコンポジットは、すでに例17において記述された手続きに従って準備された。以下に表10で説明されるように、ベントナイトの充填量は0%から40%(グレイベントナイトの重量/グアの重量)まで変化した。
【0163】
【表10】

【0164】
例22−26
グアーホウ砂白色ベントナイトナノコンポジット;高剪断ミキサーを使ったナノコンポジット材料に対するベントナイト充填量結果
白色ベントナイト[Minelco(登録商標) MB300;0,334g(10%);0.755g(20%);1.29g(30%);2.00g(40%)]が脱イオン水(150ml)に懸濁され、70℃に加熱された。室温に冷えるとすぐに、グア粉末(3.00g;Procol(登録商標))が加えられた。結果として生じた溶液は(30分8000rpmにおいて)Silverson(登録商標)高剪断ミキサーを使って攪拌された。ホウ砂溶液(20mL;200mlの脱イオン水にホウ砂5.65g)がその後加えられ、結果として生じたゲルは25分間攪拌された。結果として生じたゲルはメタノール(350mL)で混合されて、粉砕されて、そしてビーカーの中に移された。pHは塩酸(10%)を使って激しい攪拌の下で7.90に調整された。そのように得られた固体はろ過され、メタノール(3X50ml)で洗浄され、循環式オーブン内で60℃で終夜乾燥され、そして表11に示される特徴を有する白い微粒子粉を供給するため粉砕された。以下に表11で説明されるように、ベントナイトの充填量は0%から40%(グレイベントナイトの重量/グアの重量)まで変化した。
【0165】
【表11】

【0166】
例27−30
グアボレートセライトナノコンポジット
例27−30のグアボレートセライトナノコンポジットは、すでに例8に記載された方法に従って準備された。セライト(Aldrich)はグレイベントナイトの代わりに使われた。以下に表12で説明されるように、セライトの充填量は0%から40%(セライトの重量/グアの重量)まで変化した。
【0167】
【表12】

【0168】
例31−33
グアボレート ラポナイト(商標) ナノコンポジット
ラポナイト(商標)[0.187g(3%);0.316g(5%)]は脱イオン水(150ml)で懸濁され、70℃に加熱された。室温に冷えるとすぐ、グア粉末(6.00g;Procol(登録商標))が加えられた。ホウ砂溶液(40mL;200mlの脱イオン水にホウ砂5.65g)がその後加えられ、結果として生じたゲルは25分間攪拌された。結果として生じたゲルはメタノール(700mL)に混合され、粉砕されて、そしてビーカーの中に移された。pHは塩酸(10%)を使って激しい攪拌下で7.90に調整された。そのようにして得られた固体はろ過され、メタノール(3X100ml)で洗浄され、循環式オーブン内で60℃で終夜乾燥され、表13に示される特徴を有する白い微粒子粉を供給するため粉砕された。以下に表13で説明されるように、Laponite(商標)の充填量は0%から5%(ラポナイト(商標)重量/グア重量)まで変化した。
【0169】
【表13】

【0170】
例34−36
グアボレートイライトナノコンポジット
イライト[0.187g(3%);0.316g(5%)]が脱イオン水(150ml)に懸濁され、70℃で加熱された。室温に冷えるとすぐに、グア粉末(6.00g;Procol(登録商標))が加えられた。ホウ砂溶液(40mL;200mlの脱イオン水にホウ砂5,65g)がその後加えられ、結果として生じたゲルは25分間攪拌された。結果として生じたゲルはメタノール(700mL)に混合されて、粉砕され、ビーカーの中に移された。pHは塩酸(10%)を使って激しい攪拌の下で7.90に調整された。そのように得られた固体はろ過されて、メタノール(3X100ml)で洗浄され、循環式オーブン内で60℃で終夜乾燥され、表14に示される特徴を有する白い微粒子粉を供給するため粉砕された。以下に表14で説明されるように、イライトの充填量は0%から5%(イライトの重量/グア重量)まで変化した。
【0171】
【表14】

【0172】
例37−39
グアボレートベントナイトナノコンポジットの吸収動力学
ベントナイト[Minelco(登録商標) MB 300;例37:0%(もとのグアボレート);例38:1.87g(30%);例39:2.49g(40%)]は脱イオン水(150mL)で懸濁され、30分間70℃で加熱された。室温に冷えるとすぐに、グア粉末(6.00g;Procol(登録商標))が加えられた。結果として生じた溶液は45分間攪拌された。ホウ砂溶液(40mL;200mlの脱イオン水にホウ砂5.65g)がその後加えられ、結果として生じたゲルは25分間攪拌された。結果として生じたゲルはメタノール(700mL)に混合され、粉砕されて、そしてビーカーの中に移された。pHは塩酸(10%)を使って激しい攪拌の下で7.90に調整された。そのように得られた固体はろ過され、メタノール(3X100ml)で洗浄され、循環式オーブン内で60℃で終夜乾燥され、白い微粒子粉を供給するため粉砕された。FSC測定の間に、ティーバッグは設定された期間塩水にさらされた(5分、10分、15分、30分、1時間、1と1/2時間、2時間、2と1/2時間及び3時間)。図24で説明された結果から、もとのグア−ホウ砂(pristine guar−borax)が30分において最大の吸収を示すことを観察することができた。しかしながら、吸収容量は次の30分でいくぶん減少し、離漿及びゲル流動問題の存在を示唆した。もとのグアボレートと対照して、グアボレートベントナイトナノコンポジットは離漿とゲル流動問題がみられなかった。
【0173】
例40−41
グアボレートベントナイトナノコンポジット;吸収性能に対する粒子サイズの効果
白色ベントナイト[Minelco(登録商標) MB 300;例40:0%(もとのグアボレート);例41:0.373g(3%)]は脱イオン水(600mL)で懸濁され、30分間70℃で加熱された。室温に冷えるとすぐにグアガム(12.0g;Procol(登録商標)、1当量)が加えられた。結果として生じた溶液は45分間攪拌された。ホウ砂溶液(80mL;0.074N、0.08当量)がその後加えられ、結果として生じたゲルは25分間攪拌された。結果として生じたゲルはメタノール(1200mL)で混合されて、粉砕されて、そしてビーカーの中に移された。pHは塩酸溶液(10%)を使って激しい攪拌の下で7.90に調整された。そのようにして得られた固体はろ過され、メタノール(3X50ml)で洗浄され、循環式オーブン内で60℃で終夜乾燥され、白い微粒子粉を供給するため粉砕された。結果として生じた粉末はメッシュ30、60、100と170のふるいを使って分粒された。分粒された各々の生成物について、FSC、CRC及びAULが決定された。もとのグアボレート(例40)及びグアボレートベントナイトナノコンポジット(例41)に関して得られた結果はそれぞれ図23と22で説明される。図22で示された結果から、グアボレートベントナイトナノコンポジットが粒度分布を通じて本質的に安定したFSCとCRC特徴を示すことを観察することができる。しかしながら、もとのグアボレートは約150μmのサイズを有する粒子に関しては、FSCとCRC特性の減少を示す(図23)。
【0174】
例42−45
グアボレートベントナイトナノコンポジットにおける相乗効果
白色ベントナイト[Minelco(登録商標) MB 300;0.094g(3%);0.188g(5%);0.316g(10%)]は脱イオン水(150ml)で懸濁され、70℃で加熱された。室温に冷えるとすぐに、グア粉末(3.00g;Procol(登録商標))が加えられた。ホウ砂溶液(20mL;200mlの脱イオン水にホウ砂の5,65g)がその後加えられ、そして結果として生じたゲルは25分間攪拌された。結果として生じたゲルはメタノール(350mL)に混合され、粉砕されて、そしてビーカーの中に移された。pHは塩酸(10%)を使って激しい攪拌の下で7.90に調整された。そのようにして得られた固体はろ過されて、メタノール(3X50ml)で洗浄され、循環式オーブン内で60℃で終夜乾燥され、表15に示される特徴を有する白い微粒子粉を供給するため粉砕された。以下に表15で説明されるように、ベントナイトの充填量は0%から10%まで変化した。
【0175】
【表15】

【0176】
本発明がその望ましい実施形態を通して上に記載されたが、添付された請求項で定義されるような主題の発明の精神と性質から逸脱しないように修正されうる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】20%(w/w)カルシウムベントナイト(Minelco MB300)−グアホウ砂ナノコンポジットの走査型電子顕微鏡像(7,000倍)(例7)。
【図2】もとのグア−ホウ砂の走査型電子顕微鏡像(7,000倍)(比較例II)。
【図3】9.1%(w/w)ベントナイト(Bentonite Performance Minerals)−ガラス状澱粉ナノコンポジットの走査型電子顕微鏡像(7,000倍)(例1)。
【図4】もとのガラス状澱粉の走査型電子顕微鏡像(7,000倍)(比較例I)。
【図5】20%(w/w)カルシウムベントナイト(Minelco MB300)−グアホウ砂ナノコンポジット(例7)の分子間力顕微鏡像、半剥離した形態を示す層状珪酸塩ブロックはPHBとして示されている。
【図6】もとのグア−ホウ砂の分子間力顕微鏡像(比較例II)。
【図7】9.1%(w/w)ベントナイト(Bentonite Performance Minerals)−ガラス状澱粉ナノコンポジットのX線回折スペクトル(例1)。
【図8】23.1%(w/w)ベントナイト(Bentonite Performance Minerals)−ガラス状澱粉ナノコンポジットのX線回折スペクトル(例2)。
【図9】もとのガラス状澱粉のX線回折スペクトル(比較例I)
【図10】ベントナイト(Bentonite Performance Minerals, LD−12 dust)のX線回折スペクトル。
【図11】20%(w/w)ベントナイト(Minelco MB300)−グアホウ砂ナノコンポジット(例7)のX線回折スペクトル。
【図12】ベントナイト(Minelco MB300)のX線回折スペクトル
【図13】もとのグア−ホウ砂のX線回折スペクトル(比較例II)
【図14】高速空気流を用いて、フラフパルプ及び高吸収性粒子が移送されサーマルボンド不織フィルター上に堆積される吸収性コア形成装置を示す。吸収性コア形成装置はフレキシブルホース(1)を経由して前記装置に接続されたコンプレッサーによって移送される圧縮空気(790KPa)を用いる。加圧されたエアレギュレーターはコンプレッサーに接続される。フラフパルプ及び吸収性または高吸収性材料は漏斗(3)を通して吸収性コア形成装置のミキシングチャンバー(mixing chamber)(2)内部に導入される。フラフパルプ及び吸収性または高吸収性材料はミキシングチャンバー内で電気モーター(5)に接続された6ブレードプロペラ(4)を用いて完全に混合される。プロペラは、4−メッシュスクリーン(6)上方59.4mmの位置に配置される。ブラシ(10)は、スクリーンをこするようにスクリーン上方に配置される。上記スクリーンを通過するのに十分な程小さい粒子は、空気の流れによって第2のミキシングチャンバー(7)へと移され、そこから粒子形成セル(8)へと移送される(図20により詳細に示される)。エアバキュームチャンバー(9)は粒子形成セルの下部に配置される。バキュームチャンバーはバキュームクリーナーに接続される。コア形成プロセスは可視化窓(11)を通じて観察される。
【図15】ダイプレート(13)を含む二軸押出機(twin screw extruder (TSE));バレル直径はDbで示され、加熱セクションTb1、Tb2、Tb3、Tb4,Tb5、Tb6、Tb7、Tb8及びTdを含む。
【図16】TSE内部で使用されるツインリードフィードスクリュエレメントの実施形態を示す。この実施形態では、ツインリードフィードスクリュピッチ(14)は50.8mm、フライト幅(15)は1.5mm、内径(16)及び外径(17)は各々27.7mm及び48.9mmであった。
【図17】TSE内部で使用されるシングルリードスクリュエレメントの実施形態を示す。この実施形態では、シングルリードスクリュピッチ(20)は12.7mm、フライト幅(21)は2.7mm、内径(18)及び外径(19)は各々27.7mm及び38.3mmであった。
【図18】TSE内部で使用され、前方ねじれ角度(forward staggering angle)が30°の単一ブロックエレメントを7個含むパドルブロックエレメント(paddle block element)(24)を示す。この実施形態では単一のパドルブロックエレメント(22)は幅(23)が12.7mmであり、内径(25)及び外径(26)は各々27.7mm及び48.9mmであった。
【図19】TSEで使用されるダイ断面(30)(ラインA−Aに沿った)に加えて、構造の実施例を示している。この実施形態では、ダイは各々6mm(直径)の2箇所の開口部(27)を有し、ダイ開口部の間隔(29)は30mmであり、スクリューバレルと最も離れた位置における間隔(28)は89mm、バレル直径(31)は50mm、ダイの円柱部の長さ(34)は38mm且つその直径(32)は30mm、ダイの円柱部から開口部までの円錐形の中間部の長さ(35)は20mm、及びダイの全押出体積は250cmであった。
【図20】高吸収性粒子形成セルの断面図を示す。漏斗(36)は吸収性コア(40)が製造される成型セル(37)の上部に配置される。成型セルの底部には20−メッシュスクリーン(38)が配置され、スクリーンはDounor(登録商標)23GSM(グラム パー スクエア メーター)プロピレンサーマルボンド不織フィルター(39)の下部に配置され、細かいフラフ及び吸収性粒子を成型セル(37)内に保持する。成型セルを通過する空気は減圧部に接続されたバキュームチャンバー(11)に移送される。吸収性コアの形成を完了すると、成型セル(37)はハンドル付きプレート(41)によって移動される。
【図21】不織エアレイド(44)から作られるC−フォールドデザインの断面図を示す。高吸収性材(45)は主セクション(42)内部に配置され、二つの折り曲げ部分(43)は曲げられ、互いに接着された。
【図22】粒子サイズ分布の関数としてのグア−ホウ砂ナノコンポジット(3%ベントナイト)のFSC、CRC挙動を示す。
【図23】粒子サイズ分布の関数としてのもとのグア−ホウ砂(3%ベントナイト)のFSC、CRC挙動を示す。
【図24】グア−ホウ砂、30%ベントナイト−グアホウ砂ナノコンポジット、及び40%ベントナイト−グアホウ砂ナノコンポジットの吸収動力学を示す。
【図25】オムツ模型におけるリウェット特性を測定するために用いられる“リウェットシリンダー”を示す。シリンダーの対向する末端(46)はプレキシグラス(商標)で構成され、それらの中央部における直径が2.5cmのオリフィスを有する。双方のオリフィスは内部シリンダー(48)で接続され、外部シリンダーと内部シリンダーとの間に隙間(49)を作る。ふたつのねじ(52)によって支持されたおもり(51)は、隙間内部に配置される。おもりによってシリンダーの全重量は3.87kgとなる。その後内部シリンダーは水(53)で満たされる。
【符号の説明】
【0178】
1 フレキシブルホース
2 ミキシングチャンバー
3 漏斗
4 6ブレードプロペラ
5 電気モーター
6 4−メッシュスクリーン
7 第2のミキシングチャンバー
8 粒子形成セル
9 エアバキュームチャンバー
11 可視化窓
13 ダイプレート
14 ツインリードフィードスクリュピッチ
15、21 フライト幅
20 シングルリードスクリュピッチ
24 パドルブロックエレメント
36 漏斗
37 成型セル
38 20−メッシュスクリーン
39 プロピレンサーマルボンド不織フィルター
40 吸収性コア
41 ハンドル付きプレート
44 不織エアレイド
45 高吸収性材
46 シリンダーの対向する末端
48 内部シリンダー
49 隙間
51 おもり
52 ねじ
53 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多糖類及び層状珪酸塩を含む吸収性または高吸収性のナノコンポジット材料。
【請求項2】
前記多糖類は生分解性多糖類である、請求項1に記載のナノコンポジット材料。
【請求項3】
前記生分解性多糖類は自己絡み合いを形成するガラス状多糖類または架橋した多糖類である、請求項2に記載のナノコンポジット材料。
【請求項4】
前記生分解性多糖類が、セルロース、変性セルロース、澱粉、化工澱粉、アミロペクチン、変性アミロペクチン、アミロース、変性アミロース、キトサン、変性キトサン、キチン、変性キチン、グアガム、変性グアガム、ローカストビーンガム、変性ローカストビーンガム、タラガム、変性タラガム、コンニャク、変性コンニャク、フェヌグリークガム、変性フェヌグリークガム、メスキートガム、変性メスキートガム、アロエマンナン、変性アロエマンナン、カルボキシアルキル化セルロース、カルボキシメチルセルロース、酸化型多糖類、硫酸化多糖類、カチオン性多糖類、ペクチン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタン、カッパ、イオータ、またはラムダカラギナン、寒天、アルギン酸塩及びそれらの混合物からなるグループから選択される、請求項2に記載のナノコンポジット材料。
【請求項5】
前記生分解性多糖類はグア及び澱粉からなるグループから選択される、請求項3に記載のナノコンポジット材料。
【請求項6】
前記グアは架橋したグアである、請求項5に記載のナノコンポジット材料。
【請求項7】
前記澱粉はガラス状澱粉である、請求項5に記載のナノコンポジット材料。
【請求項8】
前記架橋グアは、ホウ砂、ホウ酸、ボレート、グリオキサール、エピクロロヒドリン、トリメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オキシ塩化りん、二塩化スクシニル、塩化アクリロイル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、エタンジオールジグリシジルエーテル、ピロメリット酸二無水物、ジビニルスルホン、ジイソシアネート、アルキレンビスアクリルアミド及びそれらの混合物からなるグループから選択される架橋剤で架橋された、請求項6に記載のナノコンポジット材料。
【請求項9】
前記架橋剤が、ホウ砂、ホウ酸、ボレート及びそれらの組み合わせからなるグループから選択される、請求項8に記載のナノコンポジット材料。
【請求項10】
前記層状珪酸塩が剥離した粘土または半剥離した粘土である、請求項1に記載のナノコンポジット材料。
【請求項11】
前記粘土が、スメクタイト、ヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ラポナイト、セライト、イライト及びそれらの混合物からなるグループから選択される、請求項10に記載のナノコンポジット材料。
【請求項12】
前記粘土はベントナイトである、請求項11に記載のナノコンポジット材料。
【請求項13】
前記ベントナイトはカルシウムベントナイト、ナトリウムベントナイト、マグネシウムベントナイト、カリウムベントナイトからなるグループから選択される、請求項12に記載のナノコンポジット材料。
【請求項14】
層状珪酸塩の含量が約1%から約40%(w/w)の範囲である、請求項1に記載のナノコンポジット材料。
【請求項15】
層状珪酸塩の含量が約1%から約25%(w/w)の範囲である、請求項14に記載のナノコンポジット材料。
【請求項16】
前記層状珪酸塩が剥離した粘土である、請求項10に記載のナノコンポジット材料。
【請求項17】
前記層状珪酸塩が半剥離した粘土である、請求項10に記載のナノコンポジット材料。
【請求項18】
約80μmから約600μmの範囲の粒子サイズを含む、請求項1に記載のナノコンポジット材料。
【請求項19】
オムツ、インコンチネンス製品、婦人衛生製品、エアレイド、吸収性ドレッシング材、家庭用品、シーリング材、土壌調整のための農業製品の保湿剤、防露被覆、農業/園芸/林業における水分保持材料、吸い取り紙製品、ばんそうこう及び外科用パッド、化学物質流出時の吸収材、化粧品及び薬剤のためのポリマーゲル、人工雪、からなるグループから選択される吸収材製品に使用するための、請求項1に記載のナノコンポジット材料。
【請求項20】
請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料、及び少なくともひとつの共吸収材を含む、吸収材組成物。
【請求項21】
前記共吸収材が、合成高吸収性ポリマー、マンノースを主材料とする多糖類、イオン性多糖類、繊維及びそれらの混合物からなるグループから選択される、請求項20に記載の吸収材組成物。
【請求項22】
前記合成高吸収性ポリマーはアクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、アクリル酸無水物、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステル、メタクリル酸無水物、無水マレイン酸、マレイン酸塩、マレイン酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ビニルアセテート、ビニルグアニジン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、及びそれらの混合物からなるグループから選択されるモノマーを主材料とする、請求項21に記載の吸収材組成物。
【請求項23】
前記マンノースを主材料とする多糖類は、グアガム、タラガム、ローカストビーンガム、コンニャク、メスキートガム、フェヌグリークガム、及びそれらの混合物からなるグループから選択される、請求項21に記載の吸収材組成物。
【請求項24】
前記イオン性多糖類は、カルボキシアルキル多糖類、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチル澱粉、酸化型多糖類、キサンタン、カラギナン、ペクチン及びそれらの混合物からなるグループから選択される、請求項21に記載の吸収材組成物。
【請求項25】
前記繊維が、セルロース、ビスコース、レーヨン、セルロースアセテート、ナイロン(商標)、ポリアルキレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、バイコンポーネントファイバ、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリプロパンジオール、リヨセル(商標)、ミズゴケ、及びそれらの混合物からなるグループから選択される、請求項21に記載の吸収材組成物。
【請求項26】
オムツ、インコンチネンス製品、婦人衛生製品、エアレイド、吸収性ドレッシング材、家庭用品、シーリング材、土壌調整のための農業製品の保湿剤、防露被覆、農業/園芸/林業における水分保持材料、吸い取り紙製品、ばんそうこう及び外科用パッド、化学物質流出時の吸収材、化粧品及び薬剤のためのポリマーゲル、人工雪、からなるグループから選択される吸収材製品に使用するための、請求項20に記載の吸収材組成物。
【請求項27】
水、水溶液、生理液、及び塩水からなるグループから選択される流体を吸収するための方法であって、前記流体と、請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料を含む吸収材製品との接触を含む、流体を吸収するための方法。
【請求項28】
前記吸収材製品がさらに少なくともひとつの共吸収性材料を含む、請求項27において定義される方法。
【請求項29】
前記共吸収性材料が合成高吸収性ポリマー、マンノースを主材料とする多糖類、イオン性多糖類、繊維及びそれらの混合物からなるグループから選択される、請求項28において定義される方法。
【請求項30】
前記吸収材製品が、オムツ、インコンチネンス製品、婦人衛生製品、エアレイド、吸収性ドレッシング材、家庭用品、吸い取り紙製品、ばんそうこう及び外科用パッド、化学物質流出時の吸収材からなるグループから選択される、請求項29において定義される方法。
【請求項31】
水、水溶液、生理液、及び塩水からなるグループから選択される流体を吸収するための吸収材製品の製造における、請求項1に定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料の使用。
【請求項32】
前記吸収材製品がさらに少なくともひとつの共吸収性材料を含む、請求項31において定義される使用。
【請求項33】
前記共吸収性材料が合成高吸収性ポリマー、マンノースを主材料とする多糖類、イオン性多糖類、繊維及びそれらの混合物からなるグループから選択される、請求項32において定義される使用。
【請求項34】
前記吸収材製品が、オムツ、インコンチネンス製品、婦人衛生製品、エアレイド、吸収性ドレッシング材、家庭用品、吸い取り紙製品、ばんそうこう及び外科用パッド、化学物質流出時の吸収材からなるグループから選択される、請求項33において定義される使用。
【請求項35】
請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料、及び任意に少なくともひとつの共吸収性材料を含むオムツ。
【請求項36】
請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料、及び任意に少なくともひとつの共吸収性材料を含むインコンチネンス製品。
【請求項37】
請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料、及び任意に少なくともひとつの共吸収性材料を含む婦人衛生製品。
【請求項38】
請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料、及び任意に少なくともひとつの共吸収性材料を含むエアレイド。
【請求項39】
請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料、及び任意に少なくともひとつの共吸収性材料を含む吸収性ドレッシング材。
【請求項40】
請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料、及び任意に少なくともひとつの共吸収性材料を含むばんそうこう。
【請求項41】
請求項1において定義された吸収性または高吸収性ナノコンポジット材料、及び任意に少なくともひとつの共吸収性材料を含む外科用パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2007−533780(P2007−533780A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527252(P2006−527252)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【国際出願番号】PCT/CA2004/001760
【国際公開番号】WO2005/030279
【国際公開日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(506104057)ル・グループ・リサック・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】