吸気マニホルド酸素制御
【課題】内燃エンジンにおいて、エミッションを減少させると共にエンジン効率を向上させるために吸気マニホルド酸素を制御する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を有するエンジン(12)のための吸気マニホルド酸素を制御する方法は、エンジン内における燃焼のための理想過剰酸素比を定めるステップと、エンジンの吸気マニホルド(15)に送り出されるべき酸素の全質量流量を計算して理想過剰酸素比を維持するステップと、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップと、新気酸素の所望の質量流量とEGR酸素の質量流量の和が酸素の所望の全質量流量に等しくなるようEGR弁の再調節によって吸気マニホルドに送り出されるべき新気酸素の所望の質量流量を制御するステップとを有する。
【解決手段】新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を有するエンジン(12)のための吸気マニホルド酸素を制御する方法は、エンジン内における燃焼のための理想過剰酸素比を定めるステップと、エンジンの吸気マニホルド(15)に送り出されるべき酸素の全質量流量を計算して理想過剰酸素比を維持するステップと、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップと、新気酸素の所望の質量流量とEGR酸素の質量流量の和が酸素の所望の全質量流量に等しくなるようEGR弁の再調節によって吸気マニホルドに送り出されるべき新気酸素の所望の質量流量を制御するステップとを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジン、特に排気ガス再循環制御装置を備えたトラック用ディーゼルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、北米で現在製造されている多くのトラックのパワープラント(動力源)である。
【0003】
ディーゼルエンジンで生じる燃焼は、エミッションを最小限に抑えるために正確に制御されなければならない。エミッションレベルを決定する際の要因のうちの1つは、燃焼プロセス中における過剰酸素の存在である。排気ガス再循環(EGR)は、エンジンの排気ガスの一部分を再循環させてエンジンのシリンダ内に戻すプロセスであり、EGRは、ピーク燃焼温度を下げ、過剰酸素レベルを低下させると共にNOxエミッションを減少させるために用いられている。
【0004】
典型的には、ディーゼルエンジンは、単段又は二段ターボチャージャ(ターボ過給機)を装備している。二段ターボチャージャは、排気系統中に直列流れ関係をなしていて、ブーストを生じさせるよう吸気系統中に直列流れ関係をなした高圧及び低圧圧縮機を作動させる高圧及び低圧タービンを有しており、このような二段ターボチャージャは、ターボチャージャの一例である。単段ターボチャージャは、たった1つのタービン及びたった1つの圧縮機を有する。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0078176号明細書は、ターボチャージャ付きディーゼルエンジン用のエンジン制御システムを記載しており、実際のブーストが例えば急な加速又は急な減速中、ブースト制御方式により生じる所望のブースト設定値から逸脱すると、この制御方式は、ブーストの差をゼロにするようにする排気ガス再循環(EGR)の即座調節を可能にする。
【0006】
この米国特許出願公開第2008/0078176号明細書は、幾つかのパラメータに基づいて所望のEGR設定値を定めるEGR弁の制御方式を記載しており、このようなパラメータとしては、エンジン速度、指定エンジントルク及び吸気系統に流入する新気の質量流量が挙げられる。EGR弁は、EGR設定値に基づくデューティサイクル信号によって制御される。EGR設定値の変化により、コントローラ、典型的には処理方式中の仮想コントローラとして具体化されたPID(比例・積分・微分動作方式)コントローラによりデューティ信号のデューティサイクルが変化する。
【0007】
ターボチャージャブーストの制御のための米国特許出願公開第2008/0078176号明細書の方式は、幾つかのパラメータに基づいて所望のブースト設定値を定め、このようなパラメータとしては、エンジン速度及び指定エンジントルクが挙げられる。ブースト設定値は、ターボチャージャを制御し、具体的には流路可変ターボチャージャ(variabe geometry turbocharger :VGT)のベーンの位置を制御する制御方式によって処理される。ベーン位置は、典型的には、ブースト設定値に基づくデューティサイクル信号が印加されるアクチュエータによって制御される。デューティサイクル信号は又、ブースト制御方式においてPIDコントローラによって出力される場合がある。
【0008】
米国特許出願公開第2008/0078176号明細書の開示内容によれば、種々の計算が行われる。適切且つ適当なアルゴリズムによって実行される一計算法は、エンジンシリンダを通る質量流量をもたらすよう実際のブーストを利用する。任意の適切且つ妥当な仕方で実施される別の計算法は、エンジン吸気系統に流入する新気の実際の質量流量をもたらす。次に、吸気系統に流入する新気と混ざり合う再循環排気ガスの質量流量をエンジンシリンダを通る計算された質量流量と吸気系統に流入する新気の実際の質量流量の差として計算する。
【0009】
EGR弁は、EGR弁を通る質量流量に影響を及ぼす或る特定の一般的条件、例えば、弁入口と弁出口との間の排気ガス温度及び圧力差に関し、EGR弁を通る質量流量とEGR弁の開度との間に相関関係が成り立つようモデル化されている。
【0010】
急加速又は急減速中のブースト差をゼロにするため、制御システムは、EGR弁を通る流量とEGR弁の開度との相関関係を利用して弁開時期の調節の仕方を定め、それによりブースト差をゼロにしようとする仕方でEGR弁を通る質量流量が調節されることになる。
【0011】
米国特許出願公開第2008/0078176号明細書の制御システムは、所望のブースト設定値と実際のブーストの差をゼロにするようにする調節方向における再循環排気ガスの質量流量のフィードフォワード調節を実施する。このシステムは、エンジンシリンダを通る実際の質量流量を表わすデータとエンジンシリンダを通る予想質量流量を表わすデータとの差を表わすデータを処理して調節を行うためにEGR弁に印加されるフィードフォワード調節信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0078176号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の方法は、過渡的状態の間、例えば車両の加速及び減速中に乱される場合のあるEGRガスと新気の比を制御する。
【0014】
本発明者は、実際には、EGRがほぼ0%から21%までの可変量の酸素を含んでいることを認識している。エミッション減少をもたらすエンジンの改良に対する要求が厳しくなっている状態で、EGRが酸素を含んでいないという仮定に立った場合、エミッションをそれ以上減少させるには制限がある。
【0015】
本発明者は、エミッションを減少させると共にエンジン効率を高めるために燃焼及び混合気(燃料と空気の混合物)をより厳密に制御するディーゼルエンジン用エンジン制御システムの必要性を認識している。本発明者は、ディーゼルエンジンにおける燃焼に利用される過剰酸素を正確にモニタすると共に正確に制御しようとする過剰酸素制御アルゴリズムの必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、エミッションを最大限減少させるためにエンジン吸気系統内に送り出されるべきEGR及び新気の正確な量を計算すると共に制御するエンジン制御アルゴリズムを提供する。このアルゴリズムは、例えば米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に開示されている公知のEGR制御方式の改良手段としての役目を果たし、この米国特許出願公開を参照により援用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0017】
本発明のアルゴリズムによれば、新気からの酸素の質量流量は、新気の測定された質量流量から求められる。というのは、新気中の酸素の割合が既知だからである。EGRガスの質量流量は、EGR弁位置及びこの弁前後の圧力降下によって求められる。変形例として、エンジンを通る空気の全質量流量と新気の質量流量の差の計算によってEGRの質量流量を求めることができる。排気ガスO2センサによって測定でき又は酸素の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比(3.51)の積との差として反復法でEGRガスの酸素含有量を求めることができる。したがって、EGRガスの酸素質量流量を酸素フラクションとEGRガスの質量流量の積として計算することができる。エンジンの吸気マニホルドに送り出される全酸素流量は、新気からの酸素の流量とEGRガスからの酸素の流量の和である。
【0018】
従来公知のEGR制御方式では、定常状態のエンジン作動中、EGRの量を定めるEGR弁の位置は、種々の要因によって、しかしながら主としてエンジン速度及び指示トルクによって制御される。
【0019】
アクセルを踏み又は放すと、変化した量の燃料がエンジン内に送り込まれる。エミッションを減少させると共にエンジン効率を維持するため、エンジン制御装置は、空気質量流量を設定し、EGR弁は、例えば米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に記載されている、制御装置内にプログラムされたあらかじめ設定された関係に従って調節される。しかしながら、この関係は、エンジン内における燃焼のために吸気マニホルド内に存在する過剰酸素を推定するためにEGRガス中に存在する酸素の量を無視する。本発明の追加の又は補助的なアルゴリズムによれば、EGRガスの酸素含有量を求め、新気の質量流量の設定値を再設定して吸気マニホルド中への全酸素をエンジン制御装置にあらかじめプログラムされた値に従って最適値に維持する。
【0020】
本発明のアルゴリズムは、既存のエンジン制御アルゴリズム、特にエンジン吸気マニホルド中に送り込まれるEGRガスの量を制御するアルゴリズムとの協働が可能である。本発明のアルゴリズムは、出力として、例えば米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に記載されている既存のEGR制御アルゴリズムのための入力として用いられるエンジン制御装置のための新気の質量流量に関する設定値を提供する。
【0021】
したがって、新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を有するエンジンのための本発明の方法は、
エンジン内における燃焼のための理想過剰酸素比Rを定めるステップと、
新気とEGRガスの両方の全質量流量が所与である場合、吸気マニホルドに送り出されるべきEGRガスの質量流量を定めると共にEGR弁を調節してEGRガスのこの質量流量を通過させるステップと、
吸気マニホルドへの新気の質量流量を測定して新気の測定質量流量を定めるステップと、
エンジンの吸気マニホルドに送り出されるべき酸素の所望の全質量流量を計算して理想の過剰酸素比を維持するステップと、
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップと、
吸気マニホルドに送り出されるべき新気酸素の所望の質量流量を計算して新気酸素の所望の質量流量とEGR酸素の質量流量の和が酸素の所望の全質量流量に等しくなるようにするステップと、
新気の調節された質量流量を計算して新気の所望の質量流量を供給するステップと、
EGR弁を再調節してEGRガスの質量流量の変化及び新気の調節された質量流量に向かう方向における新気の測定質量流量の変化を生じさせるステップとを有する。
【0022】
理想過剰酸素比Rを定めるステップは、エンジンへの燃料の既知の送り出し量及び燃焼中に生じる酸素の質量と燃料の質量の好ましい比に基づいて実施される。EGRガスの質量流量を定めるステップは、エンジン速度及び指示トルクで決まる値のマップ又はルックアップテーブルに基づいて実施されるのが良い。
【0023】
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を定めるステップは、EGRガスの質量流量中の酸素含有量を測定するステップと、EGRガスの質量流量を測定するステップとから成る。
【0024】
変形例として、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップは、新気の質量流量とEGRガスの質量流量の和に等しい吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、酸素の所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比(3.51)の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、排気ガス中の酸素の質量流量を吸気マニホルド空気の全質量流量で除算することによって排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、O2のフラクションにEGRガスの質量流量を乗算するステップとから成る。
【0025】
また、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップは、エンジン速度、エンジン排気量、及び吸気マニホルド空気の密度から吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、センサに基づいて新気の質量流量を測定するステップと、吸気マニホルド空気の全質量流量から新気の質量流量を減算してEGRガスの質量流量を求めるステップと、酸素の所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比(3.51)の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、排気ガス中の酸素の質量流量を吸気マニホルド空気の全質量流量で除算することによって排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、O2のフラクションにEGRガスの質量流量を乗算するステップとから成る。
【0026】
新気の測定質量流量と新気の調節された設定質量流量の差をゼロにしようとする調節方向における再循環排気ガスの質量流量の調節のためにEGR弁を再調節するステップは、新気の調節質量流量に関する設定値信号がEGR弁を調節するための別の補助的アルゴリズムへの入力値であるよう生成される出力値であるという特徴を更に有する。
【0027】
上記方法のステップは、迅速に繰り返し実施される。
【0028】
本発明の原理は、追加の機械的装置を導入しないでエンジン制御方式に具体化でき、それにより、本発明の方式の具体化が費用効果の良いものになる。さらに、テールパイプ(尾管)に対する望ましい作用効果は、適用しうる法律及び規則に対する準拠に向けて意味のある寄与をなし得る。
【0029】
本発明の多くの他の利点及び特徴は、本発明及びその実施形態に関する以下の詳細な説明、特許請求の範囲の記載及び添付の図面から容易に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】自動車エンジンシステムの概略全体図である。
【図2】本発明の方式の原理を示す略図である。
【図3】本発明の吸気マニホルド酸素制御装置の略図である。
【図4】本発明の方法のフローチャートである。
【図5】本発明の方式の結果を説明するのに有用なグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、多くの互いに異なる形態で実施できるが、開示内容が本発明の原理の例示として考えられ、本発明を図示の特定の実施形態に限定するものではないということを理解した上で、図面には本発明の特定の実施形態が示されており、これら実施形態について以下に詳細に説明する。
【0032】
図1は、例示の内燃エンジンシステム10を示しており、この内燃エンジンシステムは、燃焼が生じるシリンダを有するエンジン12、給気をエンジン12に流入させることができる吸気マニホルド15を含む吸気系統14及びシリンダ内の混合気の燃焼に起因して生じる排気ガスを流出させる排気系統16を有する。EGRシステム18が、排気ガスを排気系統16から再循環させてこれを吸気系統14に送ることができる。
【0033】
エンジンシステム10は、排気系統16内に設けられ、吸気系統14内に設けられた圧縮機20Cを作動させるタービン20Tを備えたターボチャージャ(ターボ過給機)20を有するターボチャージャ付きディーゼルエンジンを表わしている。給気クーラ22が、圧縮機20Cの下流側に設けられている。
【0034】
EGRシステム18は、EGRクーラ24を有し、排気ガスは、EGR弁26に達する前に、このEGRクーラを通過し、EGR弁は、EGR弁の開度を設定するためにEGR弁の電気アクチュエータに印加されるデューティサイクル信号によって制御される。
【0035】
エンジン制御方式30が図2に示されている。この制御方式は、ターボチャージャ制御方式32、基本EGR制御方式34及び本発明の追加の吸気マニホルド酸素制御方式36を含む。
【0036】
制御方式32,34は、例えば米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に記載されたデータを処理するためのアルゴリズムとしてエンジン制御システムの1つ又は2つ以上のプロセッサに具体化され、この米国特許出願公開を参照により援用し、その記載内容を本明細書の一部とする。変形例として、ターボチャージャ及び/又は基本EGR制御方式は、米国特許第7,353,648号明細書、同第6,973,382号明細書又は同第6,401,700号明細書に記載されている方式であっても良く、これら米国特許を全て参照により援用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0037】
制御方式は、EGR弁26を通る質量流量に影響を及ぼす或る特定の一般的条件、例えば、弁入口と弁出口との間の排気ガス温度及び圧力差に関し、EGR弁を通る質量流量とEGR弁の開度との間に相関関係が成り立つようなEGR弁26のモデル化を含むのが良い。このように、EGR弁26のパーセント開放位置により、EGRガス質量流量を測定することができる。この方式は、EGR弁26の開度を表わすパラメータに関するデータ値を含む別のマップ又はルックアップテーブルから成る。各データ値は、流れに対してEGR弁を閉じたときに可動要素が着座している受座に対する可動弁要素、例えば弁ピントルの特定の位置に対応している。可動要素が受座から遠ざかれば遠ざかるほど、弁はそれだけ一層大きく開く。
【0038】
EGR弁26前後の圧力降下を表わすパラメータも又、EGRガス質量流量に関するデータ値を生じさせるようこの制御方式の具体化において利用される。排気マニホルドのところに設けられた適当なセンサによって測定される排気ガス背圧(EBP)と吸気マニホルド15のところに設けられたMAPセンサにより測定されるマニホルド絶対圧力(MAP)との差を用いると、EGR弁26前後の圧力降下に近似させることができる。
【0039】
この結果、制御システムのプロセッサのデータ格納装置に各々が圧力差及び質量流量差に関するそれぞれの対をなすデータ値と相関したXEGRに関するデータ値を定めるデータを格納することができる。
【0040】
図2に示されているように、一般的なターボチャージャ制御方式は、参照符号32で示されている。タービン20Tのベーンは、ベーン位置を設定するアクチュエータに印加されるデューティサイクル信号VGT_DTYによって位置決めされる。方式32は、圧縮機20CがパラメータMAP_SP(N,TQ)によって表わされる所望のブースト設定値に対応したブーストを生じさせるようベーンを位置決めしようとする。制御システムは、エンジン速度N及び指示エンジントルクTQを用いて方式32による処理のためのマップからMAP_SP(N,TQ)に適したデータ値を選択する。方式32は、実際のブーストに関するデータ値、即ち、パラメータMAPを所望の設定値と比較して所望の設定値に対する実際のブーストの対応関係を固定するVGT_DTYに関する値を生じさせるよう処理されるエラー信号を生じさせる閉ループコントローラを含む。
【0041】
基本EGR制御方式は、参照符号34で示されている。EGRに関する所望の設定値は、パラメータEGR_SPによって表わされ、このパラメータは、ブースト設定値と同様、エンジン速度N及び指示エンジントルクTQで決まり、制御方式は、方式34による処理のためのマップ又はルックアップテーブルからEGR_SPに適したデータ値を選択する。
【0042】
指示エンジントルクは、P‐V(シリンダ圧力‐容積)線図内の面積に比例する。指示エンジントルクは、本質的には、エンジンにより生じ、車両を推進するクラッチのところのトルクに他の目的、例えばトルクコンバータ及びオルタネータや燃料ポンプのようなエンジンにより駆動される補助機器を作動させる目的及びエンジン回転摩擦に打ち勝つ目的で用いられるトルクを加えた合計としてのトルクに対応する有用なトルクである。
【0043】
参照符号36により指示された処理の一部分は、EGR_SPを処理するだけでなく、エンジン燃料補給、パラメータMfuel及び吸気系統14に流入する新気の質量流量、即ちパラメータMAFを表わすデータを処理する。MAFに関するデータ値は、任意の適切且つ妥当な仕方で、例えば、MAFセンサ60(図3)出力を対応のデータ値に変換することにより計算される。
【0044】
処理36の結果は、代数的加算機能38の一入力として用いられ、この代数的加算機能は、EGR PIDコントローラ40への出力データXEGRを提供し、このコントローラ40は、別の代数的加算機能42に対する入力を提供する。EGR弁26のアクチュエータに印加されるデューティサイクル信号EGR_DTYを設定するのは、加算機能42の出力である。
【0045】
方式34は、パラメータMengによって表わされる、エンジン12を通る実際の質量流量に関するデータ値を生じさせる適切且つ妥当なアルゴリズム44を有する。Mengに関するデータ値は、代数的加算機能46に対する入力である。実際の質量流量は、ここではブースト(MAP)、空気温度(MAT)、容積効率(Vol eff)及びエンジン排気量(Displ)として示されている幾つかの変数の関数である。Mengに関するデータ値を生じさせるようアルゴリズム44によって処理されるのは、上記パラメータに関するデータ値である。
【0046】
方式34は、MAPを除きアルゴリズム44によって処理された同一の変数に基づく、エンジン12を通る質量流量に関するデータ値を生じさせる適切且つ妥当なアルゴリズム47を更に含む。MAPを用いないで、アルゴリズム47は、所望のブースト設定値MAP_SP(N,TQ)を用いる。アルゴリズム47によって提供された結果は、パラメータMeng*によって表わされる。Meng*に関するデータ値は、代数的加算機能48に対する入力である。
【0047】
加算機能48は、MengとMeng*の差を計算する。この差は、パラメータΔMENGによって表わされ、このパラメータは、ブースト結合アルゴリズム50のための幾つかの入力のうちの1つである。このアルゴリズムは、加算機能42によってEGR PIDコントローラ40によって提供されたXEGRに関するデータ値から除算されるパラメータΔXEGRに関するデータ値を生じさせる計算を実行する。
【0048】
加算機能46は、Mengに関するデータ値からMAF及びMfuelに関するデータ値を減算することによりパラメータΔMENGにより表わされるEGR弁26を通る質量流量を計算する。MEGRに関するデータ値は、アルゴリズム50に対する別の入力である。これも又、加算機能38によって処理36により計算されたデータ値から減算される。
【0049】
アルゴリズム50のための追加の入力は、EGR弁前後の圧力差ΔP及び密度ρのパラメータである。
【0050】
エンジンの定常作動及びほぼ定常作動中、ΔMENG及びMENGに関するデータ値相互間には差が殆どなく又は全くない。その結果、ブースト結合方式50は、ΔXEGRを介してEGRの調節を殆ど行わず又は全く行わない。というのは、ΔXEGRに関するデータ値は、僅かであり又はゼロであるからである。EGR PIDコントローラ40に対するEGR質量流量エラー入力は、EGR率を設定値EGR_SPに向かって連続的に押しやるEGRの閉ループ制御を提供する。
【0051】
単にほぼ定常状態(例えば急加速及び急減速)よりも著しく非定常状態である非定常状態作動中、ΔMENG及びMEGRに関するデータ値相互間の差は、相当大きくなる。その結果、ブースト結合方式50は、ΔXEGRを介してEGRの調節を行う。というのは、ΔXEGRに関するデータ値は、今や相当大きくなっているからである。EGR PIDコントローラ42は、依然として、ΔXEGRによりEGRの制御に対して閉ループ成分を提供するが、ΔXEGRに提供される追加の成分は、EGR_DTYで迅速に反映される。というのは、これは、PIDコントローラの妥協策としての設計に固有のゆっくりとした応答によっては遅延されないからである。
【0052】
エンジンシステム10によって動力供給される自動車では、ドライバによるアクセルペダルの急な踏み込みにより、EGR弁26は、開かれた場合、閉鎖方向に迅速に作動され、それにより、EGR弁を通る排気ガスの質量流量を迅速に減少させる。即座に得られる作用効果として、これに対応してエンジンシリンダ内に導入される排気ガスが減少する。エンジン燃料補給がエンジンを加速するよう迅速に増量されるので、EGRの量の迅速な減少に続いてシリンダ内燃焼プロセス及びターボチャージャ作動が容易に行われ、それにより、エンジンが加速しているときにブースト差がより迅速にゼロになる。
【0053】
アクセルの解除に起因して生じる減速のような急減速により、所望のブースト設定値が迅速に低下する。制御方式により、EGR弁26はその開放方向に即座に作動され、EGR弁を通る排気ガスの質量流量が迅速に増大し、その結果より多くの排気ガスがエンジンシリンダ内に導入されるようになる。EGRの量の迅速な増大により、減速中、NOx生成を制限することができる。
【0054】
上述の基本EGR制御方式34は、実質的に、米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に開示されている。
【0055】
本発明は、特に過渡的状況の際、例えば加速又は減速中、理想的な燃焼をできるだけ厳密に維持するために燃焼中、過剰酸素比を正確に制御するための適切且つ妥当なアルゴリズム58を含む吸気マニホルド酸素制御方式56を追加する。
【0056】
図3は、この追加の制御方式を詳細に示している。図3では、図2の基本EGR制御方式34は、単一のボックスにまとめられている。図3では、吸気系統14は、新気が吸気マニホルド15中に流れ、そしてエンジン12のシリンダ内に流れることができるようにするものとして示されている。エンジン12から出た排気ガスは、排気系統16に流入する。エンジン12からの排気ガスのうちの何割かは、排気ガス再循環システム18に流入してクーラ24及びEGR弁26を介して吸気系統14に送られる。排気ガスの残りは、排気系統16内に送り込まれ、そして下流側に送られてタービン20T(図1)内に入り、次に排気ガス処理装置(図示せず)に送り込まれ、そして車両テールパイプから送り出される。
【0057】
MAFセンサ60が吸気系統14内で且つ吸気系統14へのEGR入口の上流側に配置されている。MAFセンサは、吸気系統14内への新気の実際の質量流量に対応した信号を出力する。
【0058】
酸素センサ62が排気系統16内に設けられている。酸素センサは、排気ガスの酸素含有量に対応した信号をエンジン制御モジュール(ECM)に提供し、この信号は、公知のようにエンジン制御のために用いられる。本発明によれば、酸素信号は、方式56で行われるEGRガスの酸素含有量の計算のためにも用いられる。
【0059】
EGRシステム18中には入らないエンジン12からの排気ガスは、酸素センサ62の側を通る。本発明のアルゴリズム58は、酸素センサ62を用いて排気ガス中に存在する酸素の量を検出し、排気ガスは、EGRチャネル18を通過する。
【0060】
制御方式56は、EGR弁26を通る質量流量に影響を及ぼす或る特定の一般的条件、例えば、弁入口と弁出口との間の排気ガス温度及び圧力差に関し、EGR弁を通る質量流量とEGR弁の開度(EGR%開度として定義される)との間に相関関係が成り立つようなEGR弁26のモデル化を含むのが良い。このように、EGR弁26のパーセント開放位置により、EGRガス質量流量を測定することができる。この方式は、EGR弁26の開度を表わすパラメータに関するデータ値を含む別のマップ又はルックアップテーブルから成る。各データ値は、流れに対してEGR弁を閉じたときに可動要素が着座している受座に対する可動弁要素、例えば弁ピントルの特定の位置に対応している。可動要素が受座から遠ざかれば遠ざかるほど、弁はそれだけ一層大きく開く。
【0061】
EGR弁26前後の圧力降下を表わすパラメータも又、EGRガス質量流量に関するデータ値を生じさせるようこの制御方式の具体化において利用される。排気マニホルドのところに設けられた適当なセンサによって測定される排気ガス背圧(EBP)と吸気マニホルド15のところに設けられたMAPセンサにより測定されるマニホルド絶対圧力(MAP)との差を用いると、EGR弁26前後の圧力降下に近似させることができる。
【0062】
ディーゼルエンジンでは、酸素の質量と燃料の質量の化学量論的比は、3.51である。エンジン内で燃焼されるべき酸素の所望の量が既知であり且つEGRチャネル18内のガスのEGR酸素組成データ及び弁26の設定値を用いると、本発明のアルゴリズム58は、吸気マニホルド15内に送り込まれるのに必要な新気の正確な量を計算する。次に、この方式56は、基本EGR制御方式34によって利用されるMAF設定値を制御する。MAF設定値を加算機能59のところでセンサ60からの測定MAFと比較し、差が方式34へのエラー信号入力となる。
【0063】
吸気マニホルド内への設定された全質量流量が所与であれば、MAF設定値は、EGR弁26を制御することによりEGR質量流量を調節することによって維持される。
【0064】
アルゴリズム58は、以下の関係に基づいている。
【0065】
過剰酸素比(R)
【0066】
過剰酸素比は、燃焼に利用可能な実際の酸素量を理論酸素必要量で除算した値である。
R=MFR_O2_IntMan/MFR_O2_Theory
R=MFR_O2_IntMan/3.51(Fuel_Rate)
【0067】
理論燃焼のため、過剰酸素比(R)を特定して制御する。所与のブーストでは、吸気マニホルド酸素(MFR_O2_IntMan)及びそれ故(R)をEGR弁の操作によって変化させることができる。MAFセンサ及び排気ガスO2センサは、フィードバックをもたらす。
【0068】
EGR O2質量流量(MFR_O2_EGR)の計算
【0069】
排気ガスの酸素含有量は、吸入空気の酸素含有量よりも少ない。というのは、幾分かのO2が燃焼によって消費されるからである。燃料比は、既知であり、従って、酸素消費量を推定することができる。
【0070】
炭化水素燃料及び空気に関する釣り合いの取れた方程式は、次の通りである。即ち、C8H18+12 1/2O2+47N2→8CO2+9H2O+47N2
【0071】
化学量論的空気質量比は、次の通りである。即ち、A/F=[(12 1/2+47)(29)]/[8(12)+18(1)]=燃料1ポンド当たり空気15.1ポンド(なお、1ポンド=453.59g)
【0072】
化学量論的O2質量比は、次の通りである。即ち、O2/F=[(12 1/2(32)]/[9(12)+18(1)]=燃料1ポンド当たりO23.51ポンド
【0073】
排気マニホルド酸素流量の計算は、次の通りである。即ち、MFR_O2_Exh=MFR_O2_IntMan−[Fuel_Rate(3.51)](この式において、MFR_O2_IntManは、吸気マニホルド中のO2流量である。)
【0074】
排気マニホルドO2フラクションは、次の通りである。即ち、O2_Exh=MFR_O2_Exh/排気ガス流量
【0075】
EGR O2質量流量(MFR_O2_EGR)の測定
【0076】
EGRガス中の酸素濃度は、排気管中の酸素濃度と同一である。EGR中のO2フラクションを排気ガス中のO2センサによって測定するのが良い(パーセント酸素)。EGR流量を計算するのが良い。
【0077】
全エンジン流量=(MFR_EGR)+(MAF)
MFR_EGR=(全エンジン流量)−(MAF)
MFR_O2_EGR=MFR_EGR(測定された排気ガス中のO2パーセント)
【0078】
吸気マニホルドO2質量流量(MFR_O2_IntMan)の計算
【0079】
吸気マニホルド流量は、新気流量とEGR流量の和である。
【0080】
MFR_O2_IntMan=MFR_O2_Fresh+MFR_O2_EGR
【0081】
新気O2質量流量(MFR_O2_Fresh)の計算
【0082】
空気=21容量%O2
空気の分子量=O2の29分子量=32
質量O2=0.21(質量空気)(32/29)
質量流量O2=0.21(空気の質量流量)(32/29)
MFR_O2_Fresh=0.23(MAF)(この式において、MAF=新気のポンド/分)
【0083】
R設定値を達成し、R_SPをMAF_SPに変換する手段
【0084】
今日のEGR制御方式は、MAF設定値を予想する。
全エンジン空気流量=所望のEGR+MAF
MAF設定値=(全エンジン流量)−(所望EGR)
MFR_O2_IntMan_SP=R_SP(3.51)(Fuel_Rate)
MFR_O2_Fresh_SP=(MFR_O2_IntMan_SP)−(MFR_O2_EGR)
MAF_SP=(MFR_O2_Fresh_SP)/0.23
【0085】
したがって、図4に示されているように、新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を備えたエンジンのための本発明の方法は、
吸気マニホルド中への瞬時全空気量が所与である(ステップ100)と共に燃料比が所与である(ステップ104)場合、エンジン内における燃焼のために理想過剰酸素比R=MFR_O2_IntMan/(3.51)(Fuel_Rate)を定め(ステップ106)、
新気とEGRガスの両方の全質量流量が所与である場合に吸気マニホルドに送り出されるべきEGRガスの質量流量を定めてEGRガスのこの質量流量を通過させ(ステップ108)、このステップにより、新気質量流量MAFも又設定し(ステップ110)、
MAFセンサ60により吸気マニホルドへの新気質量流量MAFを測定して(ステップ112)新気酸素の測定質量流量を定め(ステップ113)、
エンジンの吸気マニホルドに送り出されるべき酸素の所望の全質量流量を計算して理想の過剰酸素比Rを維持し(ステップ114)、
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求め(ステップ116)、
吸気マニホルドに送り出されるべき新気酸素の現在の所望の質量流量(MAF_SP)を計算して(ステップ118)新気酸素の現在の所望の質量流量(MAF_SP)とEGR酸素の質量流量の和(ステップ119)を、新気酸素の現在の所望の質量流量にEGR酸素の質量流量を加えた質量流量と酸素の所望の全質量流量(MFR_O2_IntMan_SP)との差を求める(ステップ120)ことにより酸素の所望の又は「設定値」全質量流量(MFR_O2_IntMan_SP)に制御し、エラー信号を発生させ(ステップ121)、このエラー信号が現在の所望の質量流量MAF_SPを変化させ(ステップ118)、
方式56及び該当する場合には基本EGR方式34を用い、EGR弁を再調節してMFR_EGRを増大させ又は減少させ、これとは逆に、MAFを増減し、新気の所望の質量流量(MAF_SP)に向かう方向に新気酸素の測定質量流量(ステップ113)を変化させる(ステップ126)。
【0086】
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップ(ステップ116)は、EGRガスの質量流量(MFR_EGR)を求めるステップ(ステップ128)及び次にEGRガスの酸素含有量を求めるステップ(ステップ130)を含むのが良い。
【0087】
第1の方法によれば、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップは、酸素センサ62を用いてEGRガスの質量流量中の酸素含有量を測定するステップ(ステップ130)及びEGR弁前後の圧力降下及びEGR弁百分率開放データ並びにマップ又はルックアップテーブルを用いてEGRガスの質量流量を測定するステップ(ステップ128)を有するのが良い。
【0088】
図4に示されているステップは、毎秒何回も迅速に繰り返される。
【0089】
本発明の第2の方法は、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップが反復法によりEGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を推定するステップを有するのが良いという点を除き、第1の方法と同一のステップを提供する。
【0090】
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を推定するステップは、全エンジン質量流量を測定するステップと、排気ガス中の酸素含有量を推定するステップとから成るのが良い。全エンジン質量流量は、エンジン排気量、エンジンRPM及び吸気マニホルド圧力又はブースト及び容積効率並びに温度で決まる吸気マニホルド空気密度の関数である。これらパラメータをエンジンに設けられている適用可能なセンサを用いてエンジン制御モジュールで求め又は計算することができる。排気ガス流量は、実質的に、全エンジン質量流量に等しい。排気ガス中の酸素含有量は、次の公式、即ち、MFR_O2_Exh=MFR_O2_IntMan−[(Fuel_Rate)(3.51)]及びO2_Exh=MFR_O2_Exh/排気ガス流量を用いて、吸気マニホルドに流入する全酸素から化学量論的燃焼によって消費される酸素を差し引いた結果を考慮することによって推定できる。EGRガスの質量流量を計算するには、EGR弁前後の圧力降下及びEGR弁百分率開放データ並びにマップ又はルックアップテーブルを用いて或いは以下に説明する計算によって計算できる。
【0091】
排気ガス中のO2含有量(O2_Exh)にEGRガスの質量流量(MFR_EGR)を乗算してEGR O2の推定質量流量(MFR_O2_EGR)を導き出す。この推定MFR_O2_EGRを図4のステップ116で用いてMFR_O2_Freshに加え、この場合、残りのステップは、同一のままである。
【0092】
上述のステップを毎秒多くの回数迅速に繰り返す。推定O2含有量を方法ステップの多くの繰り返しによって是正する。
【0093】
新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を備えたエンジンのための本発明の第3の方法は、EGRガスの質量流量を求めるステップを除き、第1又は第2の方法と同一のステップを提供するが、これらとは異なるステップが用いられる。異なるステップは、次のステップを含む。エンジン速度、エンジン排気量及び吸気マニホルド中への空気の密度を用いて、新気の質量流量とEGRガスの質量流量の両方を含むエンジンを通る全空気質量流量を計算する。EGRガスの質量流量を測定する代わりに、吸気マニホルドに送られるべきEGRガスの質量流量をエンジンを通る全空気質量流量とMAFセンサによって測定された新気の質量流量の差として計算する。
【0094】
エンジン速度、エンジン排気量及び吸気マニホルド中への空気の密度を用いるステップは、吸気マニホルド中への空気の密度が温度、圧力又はターボチャージャブースト及び容積効率の関数であるという特徴を更に有している。これらパラメータをセンサにより伝送すると共に/或いはエンジン制御ユニット(ECU)で計算するのが良い。
【0095】
上述の方法は、実際の動的エンジンでは、エンジンを通る空気の全質量流量が一定ではないということを理解した上で単一の作動ポイントのみについて説明されている。エンジンを通る空気の全質量流量は、例えば、エンジンrpm及びターボチャージャブーストにつれて変化する。しかしながら、空気の全質量流量が変化すると、これら方式は、エンジンを通る空気の新たな全質量流量及び/又は新たな燃料比について迅速に変化する。これら方法のうちの任意のものの方法ステップを毎秒多数回にわたって迅速に繰り返す。
【0096】
図5は、本発明の方式56のモデル化された結果を示している。図4は、過渡的条件の発生及びエンジン内の過剰酸素比に対する影響を示している。先にほぼ時刻=49秒のところでは、車両アクセルを踏み込み、燃料質量流量は、25ポンド/時から40ポンド/時に増大する。上述したように、EGR流量は、減少する。というのは、より多くのO2が燃焼プロセスによって消費されるからである。このためて、EGRガスにより提供されるO2は、減少する。方式56によれば、MAF_SPを増大させ、測定MAFは、燃料比の増大にマッチするよう増大し、又、MAF_SPは、EGRガスにより提供されるO2の減少を補償するよう増大する。図4に示されているように、過剰酸素比は、新たな燃料流量比=40ポンド/時について理想的な燃焼過剰酸素比に関する設定値に収斂して戻る。
【0097】
上述のことから、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変形例及び改造例を想到できることが観察されよう。理解されるべきこととして、本明細書において説明した特定の装置に関する制約が意図されておらず又は推定されるべきでない。
【符号の説明】
【0098】
10 内燃エンジンシステム
12 エンジン
14 吸気系統
15 吸気マニホルド
16 排気系統
18 EGRシステム
20 ターボチャージャ(ターボ過給機)
20C 圧縮機
20T タービン
22 給気クーラ
24 EGRクーラ
26 EGR弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃エンジン、特に排気ガス再循環制御装置を備えたトラック用ディーゼルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、北米で現在製造されている多くのトラックのパワープラント(動力源)である。
【0003】
ディーゼルエンジンで生じる燃焼は、エミッションを最小限に抑えるために正確に制御されなければならない。エミッションレベルを決定する際の要因のうちの1つは、燃焼プロセス中における過剰酸素の存在である。排気ガス再循環(EGR)は、エンジンの排気ガスの一部分を再循環させてエンジンのシリンダ内に戻すプロセスであり、EGRは、ピーク燃焼温度を下げ、過剰酸素レベルを低下させると共にNOxエミッションを減少させるために用いられている。
【0004】
典型的には、ディーゼルエンジンは、単段又は二段ターボチャージャ(ターボ過給機)を装備している。二段ターボチャージャは、排気系統中に直列流れ関係をなしていて、ブーストを生じさせるよう吸気系統中に直列流れ関係をなした高圧及び低圧圧縮機を作動させる高圧及び低圧タービンを有しており、このような二段ターボチャージャは、ターボチャージャの一例である。単段ターボチャージャは、たった1つのタービン及びたった1つの圧縮機を有する。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0078176号明細書は、ターボチャージャ付きディーゼルエンジン用のエンジン制御システムを記載しており、実際のブーストが例えば急な加速又は急な減速中、ブースト制御方式により生じる所望のブースト設定値から逸脱すると、この制御方式は、ブーストの差をゼロにするようにする排気ガス再循環(EGR)の即座調節を可能にする。
【0006】
この米国特許出願公開第2008/0078176号明細書は、幾つかのパラメータに基づいて所望のEGR設定値を定めるEGR弁の制御方式を記載しており、このようなパラメータとしては、エンジン速度、指定エンジントルク及び吸気系統に流入する新気の質量流量が挙げられる。EGR弁は、EGR設定値に基づくデューティサイクル信号によって制御される。EGR設定値の変化により、コントローラ、典型的には処理方式中の仮想コントローラとして具体化されたPID(比例・積分・微分動作方式)コントローラによりデューティ信号のデューティサイクルが変化する。
【0007】
ターボチャージャブーストの制御のための米国特許出願公開第2008/0078176号明細書の方式は、幾つかのパラメータに基づいて所望のブースト設定値を定め、このようなパラメータとしては、エンジン速度及び指定エンジントルクが挙げられる。ブースト設定値は、ターボチャージャを制御し、具体的には流路可変ターボチャージャ(variabe geometry turbocharger :VGT)のベーンの位置を制御する制御方式によって処理される。ベーン位置は、典型的には、ブースト設定値に基づくデューティサイクル信号が印加されるアクチュエータによって制御される。デューティサイクル信号は又、ブースト制御方式においてPIDコントローラによって出力される場合がある。
【0008】
米国特許出願公開第2008/0078176号明細書の開示内容によれば、種々の計算が行われる。適切且つ適当なアルゴリズムによって実行される一計算法は、エンジンシリンダを通る質量流量をもたらすよう実際のブーストを利用する。任意の適切且つ妥当な仕方で実施される別の計算法は、エンジン吸気系統に流入する新気の実際の質量流量をもたらす。次に、吸気系統に流入する新気と混ざり合う再循環排気ガスの質量流量をエンジンシリンダを通る計算された質量流量と吸気系統に流入する新気の実際の質量流量の差として計算する。
【0009】
EGR弁は、EGR弁を通る質量流量に影響を及ぼす或る特定の一般的条件、例えば、弁入口と弁出口との間の排気ガス温度及び圧力差に関し、EGR弁を通る質量流量とEGR弁の開度との間に相関関係が成り立つようモデル化されている。
【0010】
急加速又は急減速中のブースト差をゼロにするため、制御システムは、EGR弁を通る流量とEGR弁の開度との相関関係を利用して弁開時期の調節の仕方を定め、それによりブースト差をゼロにしようとする仕方でEGR弁を通る質量流量が調節されることになる。
【0011】
米国特許出願公開第2008/0078176号明細書の制御システムは、所望のブースト設定値と実際のブーストの差をゼロにするようにする調節方向における再循環排気ガスの質量流量のフィードフォワード調節を実施する。このシステムは、エンジンシリンダを通る実際の質量流量を表わすデータとエンジンシリンダを通る予想質量流量を表わすデータとの差を表わすデータを処理して調節を行うためにEGR弁に印加されるフィードフォワード調節信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0078176号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述の方法は、過渡的状態の間、例えば車両の加速及び減速中に乱される場合のあるEGRガスと新気の比を制御する。
【0014】
本発明者は、実際には、EGRがほぼ0%から21%までの可変量の酸素を含んでいることを認識している。エミッション減少をもたらすエンジンの改良に対する要求が厳しくなっている状態で、EGRが酸素を含んでいないという仮定に立った場合、エミッションをそれ以上減少させるには制限がある。
【0015】
本発明者は、エミッションを減少させると共にエンジン効率を高めるために燃焼及び混合気(燃料と空気の混合物)をより厳密に制御するディーゼルエンジン用エンジン制御システムの必要性を認識している。本発明者は、ディーゼルエンジンにおける燃焼に利用される過剰酸素を正確にモニタすると共に正確に制御しようとする過剰酸素制御アルゴリズムの必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、エミッションを最大限減少させるためにエンジン吸気系統内に送り出されるべきEGR及び新気の正確な量を計算すると共に制御するエンジン制御アルゴリズムを提供する。このアルゴリズムは、例えば米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に開示されている公知のEGR制御方式の改良手段としての役目を果たし、この米国特許出願公開を参照により援用し、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0017】
本発明のアルゴリズムによれば、新気からの酸素の質量流量は、新気の測定された質量流量から求められる。というのは、新気中の酸素の割合が既知だからである。EGRガスの質量流量は、EGR弁位置及びこの弁前後の圧力降下によって求められる。変形例として、エンジンを通る空気の全質量流量と新気の質量流量の差の計算によってEGRの質量流量を求めることができる。排気ガスO2センサによって測定でき又は酸素の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比(3.51)の積との差として反復法でEGRガスの酸素含有量を求めることができる。したがって、EGRガスの酸素質量流量を酸素フラクションとEGRガスの質量流量の積として計算することができる。エンジンの吸気マニホルドに送り出される全酸素流量は、新気からの酸素の流量とEGRガスからの酸素の流量の和である。
【0018】
従来公知のEGR制御方式では、定常状態のエンジン作動中、EGRの量を定めるEGR弁の位置は、種々の要因によって、しかしながら主としてエンジン速度及び指示トルクによって制御される。
【0019】
アクセルを踏み又は放すと、変化した量の燃料がエンジン内に送り込まれる。エミッションを減少させると共にエンジン効率を維持するため、エンジン制御装置は、空気質量流量を設定し、EGR弁は、例えば米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に記載されている、制御装置内にプログラムされたあらかじめ設定された関係に従って調節される。しかしながら、この関係は、エンジン内における燃焼のために吸気マニホルド内に存在する過剰酸素を推定するためにEGRガス中に存在する酸素の量を無視する。本発明の追加の又は補助的なアルゴリズムによれば、EGRガスの酸素含有量を求め、新気の質量流量の設定値を再設定して吸気マニホルド中への全酸素をエンジン制御装置にあらかじめプログラムされた値に従って最適値に維持する。
【0020】
本発明のアルゴリズムは、既存のエンジン制御アルゴリズム、特にエンジン吸気マニホルド中に送り込まれるEGRガスの量を制御するアルゴリズムとの協働が可能である。本発明のアルゴリズムは、出力として、例えば米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に記載されている既存のEGR制御アルゴリズムのための入力として用いられるエンジン制御装置のための新気の質量流量に関する設定値を提供する。
【0021】
したがって、新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を有するエンジンのための本発明の方法は、
エンジン内における燃焼のための理想過剰酸素比Rを定めるステップと、
新気とEGRガスの両方の全質量流量が所与である場合、吸気マニホルドに送り出されるべきEGRガスの質量流量を定めると共にEGR弁を調節してEGRガスのこの質量流量を通過させるステップと、
吸気マニホルドへの新気の質量流量を測定して新気の測定質量流量を定めるステップと、
エンジンの吸気マニホルドに送り出されるべき酸素の所望の全質量流量を計算して理想の過剰酸素比を維持するステップと、
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップと、
吸気マニホルドに送り出されるべき新気酸素の所望の質量流量を計算して新気酸素の所望の質量流量とEGR酸素の質量流量の和が酸素の所望の全質量流量に等しくなるようにするステップと、
新気の調節された質量流量を計算して新気の所望の質量流量を供給するステップと、
EGR弁を再調節してEGRガスの質量流量の変化及び新気の調節された質量流量に向かう方向における新気の測定質量流量の変化を生じさせるステップとを有する。
【0022】
理想過剰酸素比Rを定めるステップは、エンジンへの燃料の既知の送り出し量及び燃焼中に生じる酸素の質量と燃料の質量の好ましい比に基づいて実施される。EGRガスの質量流量を定めるステップは、エンジン速度及び指示トルクで決まる値のマップ又はルックアップテーブルに基づいて実施されるのが良い。
【0023】
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を定めるステップは、EGRガスの質量流量中の酸素含有量を測定するステップと、EGRガスの質量流量を測定するステップとから成る。
【0024】
変形例として、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップは、新気の質量流量とEGRガスの質量流量の和に等しい吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、酸素の所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比(3.51)の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、排気ガス中の酸素の質量流量を吸気マニホルド空気の全質量流量で除算することによって排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、O2のフラクションにEGRガスの質量流量を乗算するステップとから成る。
【0025】
また、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップは、エンジン速度、エンジン排気量、及び吸気マニホルド空気の密度から吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、センサに基づいて新気の質量流量を測定するステップと、吸気マニホルド空気の全質量流量から新気の質量流量を減算してEGRガスの質量流量を求めるステップと、酸素の所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比(3.51)の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、排気ガス中の酸素の質量流量を吸気マニホルド空気の全質量流量で除算することによって排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、O2のフラクションにEGRガスの質量流量を乗算するステップとから成る。
【0026】
新気の測定質量流量と新気の調節された設定質量流量の差をゼロにしようとする調節方向における再循環排気ガスの質量流量の調節のためにEGR弁を再調節するステップは、新気の調節質量流量に関する設定値信号がEGR弁を調節するための別の補助的アルゴリズムへの入力値であるよう生成される出力値であるという特徴を更に有する。
【0027】
上記方法のステップは、迅速に繰り返し実施される。
【0028】
本発明の原理は、追加の機械的装置を導入しないでエンジン制御方式に具体化でき、それにより、本発明の方式の具体化が費用効果の良いものになる。さらに、テールパイプ(尾管)に対する望ましい作用効果は、適用しうる法律及び規則に対する準拠に向けて意味のある寄与をなし得る。
【0029】
本発明の多くの他の利点及び特徴は、本発明及びその実施形態に関する以下の詳細な説明、特許請求の範囲の記載及び添付の図面から容易に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】自動車エンジンシステムの概略全体図である。
【図2】本発明の方式の原理を示す略図である。
【図3】本発明の吸気マニホルド酸素制御装置の略図である。
【図4】本発明の方法のフローチャートである。
【図5】本発明の方式の結果を説明するのに有用なグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、多くの互いに異なる形態で実施できるが、開示内容が本発明の原理の例示として考えられ、本発明を図示の特定の実施形態に限定するものではないということを理解した上で、図面には本発明の特定の実施形態が示されており、これら実施形態について以下に詳細に説明する。
【0032】
図1は、例示の内燃エンジンシステム10を示しており、この内燃エンジンシステムは、燃焼が生じるシリンダを有するエンジン12、給気をエンジン12に流入させることができる吸気マニホルド15を含む吸気系統14及びシリンダ内の混合気の燃焼に起因して生じる排気ガスを流出させる排気系統16を有する。EGRシステム18が、排気ガスを排気系統16から再循環させてこれを吸気系統14に送ることができる。
【0033】
エンジンシステム10は、排気系統16内に設けられ、吸気系統14内に設けられた圧縮機20Cを作動させるタービン20Tを備えたターボチャージャ(ターボ過給機)20を有するターボチャージャ付きディーゼルエンジンを表わしている。給気クーラ22が、圧縮機20Cの下流側に設けられている。
【0034】
EGRシステム18は、EGRクーラ24を有し、排気ガスは、EGR弁26に達する前に、このEGRクーラを通過し、EGR弁は、EGR弁の開度を設定するためにEGR弁の電気アクチュエータに印加されるデューティサイクル信号によって制御される。
【0035】
エンジン制御方式30が図2に示されている。この制御方式は、ターボチャージャ制御方式32、基本EGR制御方式34及び本発明の追加の吸気マニホルド酸素制御方式36を含む。
【0036】
制御方式32,34は、例えば米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に記載されたデータを処理するためのアルゴリズムとしてエンジン制御システムの1つ又は2つ以上のプロセッサに具体化され、この米国特許出願公開を参照により援用し、その記載内容を本明細書の一部とする。変形例として、ターボチャージャ及び/又は基本EGR制御方式は、米国特許第7,353,648号明細書、同第6,973,382号明細書又は同第6,401,700号明細書に記載されている方式であっても良く、これら米国特許を全て参照により援用し、これらの記載内容を本明細書の一部とする。
【0037】
制御方式は、EGR弁26を通る質量流量に影響を及ぼす或る特定の一般的条件、例えば、弁入口と弁出口との間の排気ガス温度及び圧力差に関し、EGR弁を通る質量流量とEGR弁の開度との間に相関関係が成り立つようなEGR弁26のモデル化を含むのが良い。このように、EGR弁26のパーセント開放位置により、EGRガス質量流量を測定することができる。この方式は、EGR弁26の開度を表わすパラメータに関するデータ値を含む別のマップ又はルックアップテーブルから成る。各データ値は、流れに対してEGR弁を閉じたときに可動要素が着座している受座に対する可動弁要素、例えば弁ピントルの特定の位置に対応している。可動要素が受座から遠ざかれば遠ざかるほど、弁はそれだけ一層大きく開く。
【0038】
EGR弁26前後の圧力降下を表わすパラメータも又、EGRガス質量流量に関するデータ値を生じさせるようこの制御方式の具体化において利用される。排気マニホルドのところに設けられた適当なセンサによって測定される排気ガス背圧(EBP)と吸気マニホルド15のところに設けられたMAPセンサにより測定されるマニホルド絶対圧力(MAP)との差を用いると、EGR弁26前後の圧力降下に近似させることができる。
【0039】
この結果、制御システムのプロセッサのデータ格納装置に各々が圧力差及び質量流量差に関するそれぞれの対をなすデータ値と相関したXEGRに関するデータ値を定めるデータを格納することができる。
【0040】
図2に示されているように、一般的なターボチャージャ制御方式は、参照符号32で示されている。タービン20Tのベーンは、ベーン位置を設定するアクチュエータに印加されるデューティサイクル信号VGT_DTYによって位置決めされる。方式32は、圧縮機20CがパラメータMAP_SP(N,TQ)によって表わされる所望のブースト設定値に対応したブーストを生じさせるようベーンを位置決めしようとする。制御システムは、エンジン速度N及び指示エンジントルクTQを用いて方式32による処理のためのマップからMAP_SP(N,TQ)に適したデータ値を選択する。方式32は、実際のブーストに関するデータ値、即ち、パラメータMAPを所望の設定値と比較して所望の設定値に対する実際のブーストの対応関係を固定するVGT_DTYに関する値を生じさせるよう処理されるエラー信号を生じさせる閉ループコントローラを含む。
【0041】
基本EGR制御方式は、参照符号34で示されている。EGRに関する所望の設定値は、パラメータEGR_SPによって表わされ、このパラメータは、ブースト設定値と同様、エンジン速度N及び指示エンジントルクTQで決まり、制御方式は、方式34による処理のためのマップ又はルックアップテーブルからEGR_SPに適したデータ値を選択する。
【0042】
指示エンジントルクは、P‐V(シリンダ圧力‐容積)線図内の面積に比例する。指示エンジントルクは、本質的には、エンジンにより生じ、車両を推進するクラッチのところのトルクに他の目的、例えばトルクコンバータ及びオルタネータや燃料ポンプのようなエンジンにより駆動される補助機器を作動させる目的及びエンジン回転摩擦に打ち勝つ目的で用いられるトルクを加えた合計としてのトルクに対応する有用なトルクである。
【0043】
参照符号36により指示された処理の一部分は、EGR_SPを処理するだけでなく、エンジン燃料補給、パラメータMfuel及び吸気系統14に流入する新気の質量流量、即ちパラメータMAFを表わすデータを処理する。MAFに関するデータ値は、任意の適切且つ妥当な仕方で、例えば、MAFセンサ60(図3)出力を対応のデータ値に変換することにより計算される。
【0044】
処理36の結果は、代数的加算機能38の一入力として用いられ、この代数的加算機能は、EGR PIDコントローラ40への出力データXEGRを提供し、このコントローラ40は、別の代数的加算機能42に対する入力を提供する。EGR弁26のアクチュエータに印加されるデューティサイクル信号EGR_DTYを設定するのは、加算機能42の出力である。
【0045】
方式34は、パラメータMengによって表わされる、エンジン12を通る実際の質量流量に関するデータ値を生じさせる適切且つ妥当なアルゴリズム44を有する。Mengに関するデータ値は、代数的加算機能46に対する入力である。実際の質量流量は、ここではブースト(MAP)、空気温度(MAT)、容積効率(Vol eff)及びエンジン排気量(Displ)として示されている幾つかの変数の関数である。Mengに関するデータ値を生じさせるようアルゴリズム44によって処理されるのは、上記パラメータに関するデータ値である。
【0046】
方式34は、MAPを除きアルゴリズム44によって処理された同一の変数に基づく、エンジン12を通る質量流量に関するデータ値を生じさせる適切且つ妥当なアルゴリズム47を更に含む。MAPを用いないで、アルゴリズム47は、所望のブースト設定値MAP_SP(N,TQ)を用いる。アルゴリズム47によって提供された結果は、パラメータMeng*によって表わされる。Meng*に関するデータ値は、代数的加算機能48に対する入力である。
【0047】
加算機能48は、MengとMeng*の差を計算する。この差は、パラメータΔMENGによって表わされ、このパラメータは、ブースト結合アルゴリズム50のための幾つかの入力のうちの1つである。このアルゴリズムは、加算機能42によってEGR PIDコントローラ40によって提供されたXEGRに関するデータ値から除算されるパラメータΔXEGRに関するデータ値を生じさせる計算を実行する。
【0048】
加算機能46は、Mengに関するデータ値からMAF及びMfuelに関するデータ値を減算することによりパラメータΔMENGにより表わされるEGR弁26を通る質量流量を計算する。MEGRに関するデータ値は、アルゴリズム50に対する別の入力である。これも又、加算機能38によって処理36により計算されたデータ値から減算される。
【0049】
アルゴリズム50のための追加の入力は、EGR弁前後の圧力差ΔP及び密度ρのパラメータである。
【0050】
エンジンの定常作動及びほぼ定常作動中、ΔMENG及びMENGに関するデータ値相互間には差が殆どなく又は全くない。その結果、ブースト結合方式50は、ΔXEGRを介してEGRの調節を殆ど行わず又は全く行わない。というのは、ΔXEGRに関するデータ値は、僅かであり又はゼロであるからである。EGR PIDコントローラ40に対するEGR質量流量エラー入力は、EGR率を設定値EGR_SPに向かって連続的に押しやるEGRの閉ループ制御を提供する。
【0051】
単にほぼ定常状態(例えば急加速及び急減速)よりも著しく非定常状態である非定常状態作動中、ΔMENG及びMEGRに関するデータ値相互間の差は、相当大きくなる。その結果、ブースト結合方式50は、ΔXEGRを介してEGRの調節を行う。というのは、ΔXEGRに関するデータ値は、今や相当大きくなっているからである。EGR PIDコントローラ42は、依然として、ΔXEGRによりEGRの制御に対して閉ループ成分を提供するが、ΔXEGRに提供される追加の成分は、EGR_DTYで迅速に反映される。というのは、これは、PIDコントローラの妥協策としての設計に固有のゆっくりとした応答によっては遅延されないからである。
【0052】
エンジンシステム10によって動力供給される自動車では、ドライバによるアクセルペダルの急な踏み込みにより、EGR弁26は、開かれた場合、閉鎖方向に迅速に作動され、それにより、EGR弁を通る排気ガスの質量流量を迅速に減少させる。即座に得られる作用効果として、これに対応してエンジンシリンダ内に導入される排気ガスが減少する。エンジン燃料補給がエンジンを加速するよう迅速に増量されるので、EGRの量の迅速な減少に続いてシリンダ内燃焼プロセス及びターボチャージャ作動が容易に行われ、それにより、エンジンが加速しているときにブースト差がより迅速にゼロになる。
【0053】
アクセルの解除に起因して生じる減速のような急減速により、所望のブースト設定値が迅速に低下する。制御方式により、EGR弁26はその開放方向に即座に作動され、EGR弁を通る排気ガスの質量流量が迅速に増大し、その結果より多くの排気ガスがエンジンシリンダ内に導入されるようになる。EGRの量の迅速な増大により、減速中、NOx生成を制限することができる。
【0054】
上述の基本EGR制御方式34は、実質的に、米国特許出願公開第2008/0078176号明細書に開示されている。
【0055】
本発明は、特に過渡的状況の際、例えば加速又は減速中、理想的な燃焼をできるだけ厳密に維持するために燃焼中、過剰酸素比を正確に制御するための適切且つ妥当なアルゴリズム58を含む吸気マニホルド酸素制御方式56を追加する。
【0056】
図3は、この追加の制御方式を詳細に示している。図3では、図2の基本EGR制御方式34は、単一のボックスにまとめられている。図3では、吸気系統14は、新気が吸気マニホルド15中に流れ、そしてエンジン12のシリンダ内に流れることができるようにするものとして示されている。エンジン12から出た排気ガスは、排気系統16に流入する。エンジン12からの排気ガスのうちの何割かは、排気ガス再循環システム18に流入してクーラ24及びEGR弁26を介して吸気系統14に送られる。排気ガスの残りは、排気系統16内に送り込まれ、そして下流側に送られてタービン20T(図1)内に入り、次に排気ガス処理装置(図示せず)に送り込まれ、そして車両テールパイプから送り出される。
【0057】
MAFセンサ60が吸気系統14内で且つ吸気系統14へのEGR入口の上流側に配置されている。MAFセンサは、吸気系統14内への新気の実際の質量流量に対応した信号を出力する。
【0058】
酸素センサ62が排気系統16内に設けられている。酸素センサは、排気ガスの酸素含有量に対応した信号をエンジン制御モジュール(ECM)に提供し、この信号は、公知のようにエンジン制御のために用いられる。本発明によれば、酸素信号は、方式56で行われるEGRガスの酸素含有量の計算のためにも用いられる。
【0059】
EGRシステム18中には入らないエンジン12からの排気ガスは、酸素センサ62の側を通る。本発明のアルゴリズム58は、酸素センサ62を用いて排気ガス中に存在する酸素の量を検出し、排気ガスは、EGRチャネル18を通過する。
【0060】
制御方式56は、EGR弁26を通る質量流量に影響を及ぼす或る特定の一般的条件、例えば、弁入口と弁出口との間の排気ガス温度及び圧力差に関し、EGR弁を通る質量流量とEGR弁の開度(EGR%開度として定義される)との間に相関関係が成り立つようなEGR弁26のモデル化を含むのが良い。このように、EGR弁26のパーセント開放位置により、EGRガス質量流量を測定することができる。この方式は、EGR弁26の開度を表わすパラメータに関するデータ値を含む別のマップ又はルックアップテーブルから成る。各データ値は、流れに対してEGR弁を閉じたときに可動要素が着座している受座に対する可動弁要素、例えば弁ピントルの特定の位置に対応している。可動要素が受座から遠ざかれば遠ざかるほど、弁はそれだけ一層大きく開く。
【0061】
EGR弁26前後の圧力降下を表わすパラメータも又、EGRガス質量流量に関するデータ値を生じさせるようこの制御方式の具体化において利用される。排気マニホルドのところに設けられた適当なセンサによって測定される排気ガス背圧(EBP)と吸気マニホルド15のところに設けられたMAPセンサにより測定されるマニホルド絶対圧力(MAP)との差を用いると、EGR弁26前後の圧力降下に近似させることができる。
【0062】
ディーゼルエンジンでは、酸素の質量と燃料の質量の化学量論的比は、3.51である。エンジン内で燃焼されるべき酸素の所望の量が既知であり且つEGRチャネル18内のガスのEGR酸素組成データ及び弁26の設定値を用いると、本発明のアルゴリズム58は、吸気マニホルド15内に送り込まれるのに必要な新気の正確な量を計算する。次に、この方式56は、基本EGR制御方式34によって利用されるMAF設定値を制御する。MAF設定値を加算機能59のところでセンサ60からの測定MAFと比較し、差が方式34へのエラー信号入力となる。
【0063】
吸気マニホルド内への設定された全質量流量が所与であれば、MAF設定値は、EGR弁26を制御することによりEGR質量流量を調節することによって維持される。
【0064】
アルゴリズム58は、以下の関係に基づいている。
【0065】
過剰酸素比(R)
【0066】
過剰酸素比は、燃焼に利用可能な実際の酸素量を理論酸素必要量で除算した値である。
R=MFR_O2_IntMan/MFR_O2_Theory
R=MFR_O2_IntMan/3.51(Fuel_Rate)
【0067】
理論燃焼のため、過剰酸素比(R)を特定して制御する。所与のブーストでは、吸気マニホルド酸素(MFR_O2_IntMan)及びそれ故(R)をEGR弁の操作によって変化させることができる。MAFセンサ及び排気ガスO2センサは、フィードバックをもたらす。
【0068】
EGR O2質量流量(MFR_O2_EGR)の計算
【0069】
排気ガスの酸素含有量は、吸入空気の酸素含有量よりも少ない。というのは、幾分かのO2が燃焼によって消費されるからである。燃料比は、既知であり、従って、酸素消費量を推定することができる。
【0070】
炭化水素燃料及び空気に関する釣り合いの取れた方程式は、次の通りである。即ち、C8H18+12 1/2O2+47N2→8CO2+9H2O+47N2
【0071】
化学量論的空気質量比は、次の通りである。即ち、A/F=[(12 1/2+47)(29)]/[8(12)+18(1)]=燃料1ポンド当たり空気15.1ポンド(なお、1ポンド=453.59g)
【0072】
化学量論的O2質量比は、次の通りである。即ち、O2/F=[(12 1/2(32)]/[9(12)+18(1)]=燃料1ポンド当たりO23.51ポンド
【0073】
排気マニホルド酸素流量の計算は、次の通りである。即ち、MFR_O2_Exh=MFR_O2_IntMan−[Fuel_Rate(3.51)](この式において、MFR_O2_IntManは、吸気マニホルド中のO2流量である。)
【0074】
排気マニホルドO2フラクションは、次の通りである。即ち、O2_Exh=MFR_O2_Exh/排気ガス流量
【0075】
EGR O2質量流量(MFR_O2_EGR)の測定
【0076】
EGRガス中の酸素濃度は、排気管中の酸素濃度と同一である。EGR中のO2フラクションを排気ガス中のO2センサによって測定するのが良い(パーセント酸素)。EGR流量を計算するのが良い。
【0077】
全エンジン流量=(MFR_EGR)+(MAF)
MFR_EGR=(全エンジン流量)−(MAF)
MFR_O2_EGR=MFR_EGR(測定された排気ガス中のO2パーセント)
【0078】
吸気マニホルドO2質量流量(MFR_O2_IntMan)の計算
【0079】
吸気マニホルド流量は、新気流量とEGR流量の和である。
【0080】
MFR_O2_IntMan=MFR_O2_Fresh+MFR_O2_EGR
【0081】
新気O2質量流量(MFR_O2_Fresh)の計算
【0082】
空気=21容量%O2
空気の分子量=O2の29分子量=32
質量O2=0.21(質量空気)(32/29)
質量流量O2=0.21(空気の質量流量)(32/29)
MFR_O2_Fresh=0.23(MAF)(この式において、MAF=新気のポンド/分)
【0083】
R設定値を達成し、R_SPをMAF_SPに変換する手段
【0084】
今日のEGR制御方式は、MAF設定値を予想する。
全エンジン空気流量=所望のEGR+MAF
MAF設定値=(全エンジン流量)−(所望EGR)
MFR_O2_IntMan_SP=R_SP(3.51)(Fuel_Rate)
MFR_O2_Fresh_SP=(MFR_O2_IntMan_SP)−(MFR_O2_EGR)
MAF_SP=(MFR_O2_Fresh_SP)/0.23
【0085】
したがって、図4に示されているように、新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を備えたエンジンのための本発明の方法は、
吸気マニホルド中への瞬時全空気量が所与である(ステップ100)と共に燃料比が所与である(ステップ104)場合、エンジン内における燃焼のために理想過剰酸素比R=MFR_O2_IntMan/(3.51)(Fuel_Rate)を定め(ステップ106)、
新気とEGRガスの両方の全質量流量が所与である場合に吸気マニホルドに送り出されるべきEGRガスの質量流量を定めてEGRガスのこの質量流量を通過させ(ステップ108)、このステップにより、新気質量流量MAFも又設定し(ステップ110)、
MAFセンサ60により吸気マニホルドへの新気質量流量MAFを測定して(ステップ112)新気酸素の測定質量流量を定め(ステップ113)、
エンジンの吸気マニホルドに送り出されるべき酸素の所望の全質量流量を計算して理想の過剰酸素比Rを維持し(ステップ114)、
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求め(ステップ116)、
吸気マニホルドに送り出されるべき新気酸素の現在の所望の質量流量(MAF_SP)を計算して(ステップ118)新気酸素の現在の所望の質量流量(MAF_SP)とEGR酸素の質量流量の和(ステップ119)を、新気酸素の現在の所望の質量流量にEGR酸素の質量流量を加えた質量流量と酸素の所望の全質量流量(MFR_O2_IntMan_SP)との差を求める(ステップ120)ことにより酸素の所望の又は「設定値」全質量流量(MFR_O2_IntMan_SP)に制御し、エラー信号を発生させ(ステップ121)、このエラー信号が現在の所望の質量流量MAF_SPを変化させ(ステップ118)、
方式56及び該当する場合には基本EGR方式34を用い、EGR弁を再調節してMFR_EGRを増大させ又は減少させ、これとは逆に、MAFを増減し、新気の所望の質量流量(MAF_SP)に向かう方向に新気酸素の測定質量流量(ステップ113)を変化させる(ステップ126)。
【0086】
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップ(ステップ116)は、EGRガスの質量流量(MFR_EGR)を求めるステップ(ステップ128)及び次にEGRガスの酸素含有量を求めるステップ(ステップ130)を含むのが良い。
【0087】
第1の方法によれば、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップは、酸素センサ62を用いてEGRガスの質量流量中の酸素含有量を測定するステップ(ステップ130)及びEGR弁前後の圧力降下及びEGR弁百分率開放データ並びにマップ又はルックアップテーブルを用いてEGRガスの質量流量を測定するステップ(ステップ128)を有するのが良い。
【0088】
図4に示されているステップは、毎秒何回も迅速に繰り返される。
【0089】
本発明の第2の方法は、EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップが反復法によりEGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を推定するステップを有するのが良いという点を除き、第1の方法と同一のステップを提供する。
【0090】
EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を推定するステップは、全エンジン質量流量を測定するステップと、排気ガス中の酸素含有量を推定するステップとから成るのが良い。全エンジン質量流量は、エンジン排気量、エンジンRPM及び吸気マニホルド圧力又はブースト及び容積効率並びに温度で決まる吸気マニホルド空気密度の関数である。これらパラメータをエンジンに設けられている適用可能なセンサを用いてエンジン制御モジュールで求め又は計算することができる。排気ガス流量は、実質的に、全エンジン質量流量に等しい。排気ガス中の酸素含有量は、次の公式、即ち、MFR_O2_Exh=MFR_O2_IntMan−[(Fuel_Rate)(3.51)]及びO2_Exh=MFR_O2_Exh/排気ガス流量を用いて、吸気マニホルドに流入する全酸素から化学量論的燃焼によって消費される酸素を差し引いた結果を考慮することによって推定できる。EGRガスの質量流量を計算するには、EGR弁前後の圧力降下及びEGR弁百分率開放データ並びにマップ又はルックアップテーブルを用いて或いは以下に説明する計算によって計算できる。
【0091】
排気ガス中のO2含有量(O2_Exh)にEGRガスの質量流量(MFR_EGR)を乗算してEGR O2の推定質量流量(MFR_O2_EGR)を導き出す。この推定MFR_O2_EGRを図4のステップ116で用いてMFR_O2_Freshに加え、この場合、残りのステップは、同一のままである。
【0092】
上述のステップを毎秒多くの回数迅速に繰り返す。推定O2含有量を方法ステップの多くの繰り返しによって是正する。
【0093】
新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を備えたエンジンのための本発明の第3の方法は、EGRガスの質量流量を求めるステップを除き、第1又は第2の方法と同一のステップを提供するが、これらとは異なるステップが用いられる。異なるステップは、次のステップを含む。エンジン速度、エンジン排気量及び吸気マニホルド中への空気の密度を用いて、新気の質量流量とEGRガスの質量流量の両方を含むエンジンを通る全空気質量流量を計算する。EGRガスの質量流量を測定する代わりに、吸気マニホルドに送られるべきEGRガスの質量流量をエンジンを通る全空気質量流量とMAFセンサによって測定された新気の質量流量の差として計算する。
【0094】
エンジン速度、エンジン排気量及び吸気マニホルド中への空気の密度を用いるステップは、吸気マニホルド中への空気の密度が温度、圧力又はターボチャージャブースト及び容積効率の関数であるという特徴を更に有している。これらパラメータをセンサにより伝送すると共に/或いはエンジン制御ユニット(ECU)で計算するのが良い。
【0095】
上述の方法は、実際の動的エンジンでは、エンジンを通る空気の全質量流量が一定ではないということを理解した上で単一の作動ポイントのみについて説明されている。エンジンを通る空気の全質量流量は、例えば、エンジンrpm及びターボチャージャブーストにつれて変化する。しかしながら、空気の全質量流量が変化すると、これら方式は、エンジンを通る空気の新たな全質量流量及び/又は新たな燃料比について迅速に変化する。これら方法のうちの任意のものの方法ステップを毎秒多数回にわたって迅速に繰り返す。
【0096】
図5は、本発明の方式56のモデル化された結果を示している。図4は、過渡的条件の発生及びエンジン内の過剰酸素比に対する影響を示している。先にほぼ時刻=49秒のところでは、車両アクセルを踏み込み、燃料質量流量は、25ポンド/時から40ポンド/時に増大する。上述したように、EGR流量は、減少する。というのは、より多くのO2が燃焼プロセスによって消費されるからである。このためて、EGRガスにより提供されるO2は、減少する。方式56によれば、MAF_SPを増大させ、測定MAFは、燃料比の増大にマッチするよう増大し、又、MAF_SPは、EGRガスにより提供されるO2の減少を補償するよう増大する。図4に示されているように、過剰酸素比は、新たな燃料流量比=40ポンド/時について理想的な燃焼過剰酸素比に関する設定値に収斂して戻る。
【0097】
上述のことから、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの変形例及び改造例を想到できることが観察されよう。理解されるべきこととして、本明細書において説明した特定の装置に関する制約が意図されておらず又は推定されるべきでない。
【符号の説明】
【0098】
10 内燃エンジンシステム
12 エンジン
14 吸気系統
15 吸気マニホルド
16 排気系統
18 EGRシステム
20 ターボチャージャ(ターボ過給機)
20C 圧縮機
20T タービン
22 給気クーラ
24 EGRクーラ
26 EGR弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を有するエンジンを制御する方法であって、
前記エンジン内における燃焼のためのあらかじめ選択された過剰酸素比を定めるステップと、
新気とEGRガスの両方の全質量流量が所与である場合、吸気マニホルドに送り出されるべきEGRガスの質量流量を定めると共にEGR弁を調節してEGRガスのこの質量流量を通過させるステップと、
前記吸気マニホルドへの新気の質量流量を測定して新気の測定質量流量を定めるステップと、
前記エンジンの前記吸気マニホルドに送り出されるべき酸素の所望の全質量流量を計算して理想の過剰酸素比を維持するステップと、
前記EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップと、
前記吸気マニホルドに送り出されるべき新気酸素の所望の質量流量を計算して新気酸素の前記所望の質量流量とEGR酸素の前記質量流量の和が酸素の前記所望の全質量流量に等しくなるようにするステップと、
新気の調節された質量流量を計算して新気の前記所望の質量流量を供給するステップと、
前記EGR弁を再調節してEGRガスの前記質量流量の変化及び新気の前記調節された質量流量に向かう方向における新気の前記測定質量流量の変化を生じさせるステップとを、備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記理想過剰酸素比を定める前記ステップは、前記エンジンへの燃料の既知の送り出し量及び燃焼中に生じる酸素の質量と燃料の質量のあらかじめ設定された比に基づいて実施される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
EGRガスの質量流量を定める前記ステップは、エンジン速度及び指示トルクで決まる値のマップに基づいて実施されるのが良い、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を定める前記ステップは、
EGRガスの前記質量流量中の酸素含有量を測定するステップと、
EGRガスの前記質量流量を測定するステップとから成る、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記酸素含有量を測定する前記ステップは、酸素センサを用いて実施される、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記EGR弁を再調節する前記ステップは、新気の前記調節質量流量に関する設定値信号が前記EGR弁を調節するための別の補助的アルゴリズムへの入力値であるよう生成される出力値であるという特徴を更に有する、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ステップは、迅速に繰り返し実施される、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求める前記ステップは、
新気の前記質量流量とEGRガスの前記質量流量の和に等しい吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、
酸素の前記所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、
排気ガス中の酸素の前記質量流量を吸気マニホルド空気の前記全質量流量で除算することによって前記排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、
O2の前記フラクションにEGRガスの前記質量流量を乗算するステップとから成る、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求める前記ステップは、
エンジン速度、エンジン排気量、及び吸気マニホルド空気の密度から吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、
センサに基づいて新気の質量流量を測定するステップと、
吸気マニホルド空気の前記全質量流量から新気の質量流量を減算してEGRガスの質量流量を求めるステップと、
酸素の前記所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、
排気ガス中の酸素の前記質量流量を吸気マニホルド空気の前記全質量流量で除算することによって前記排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、
O2の前記フラクションにEGRガスの前記質量流量を乗算するステップとから成る、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
ターボチャージャ付き内燃エンジンの排気系統から前記エンジンの吸気系統までの排気ガス再循環の制御を協調させる方法であって、
前記吸気系統に流入している新気の質量流量を表わすデータを作成するステップと、
エンジンシリンダを通る質量流量を表わすデータを計算し、前記エンジンシリンダを通る前記計算された質量流量を表わすデータと前記吸気系統に流入している新気の前記質量流量を表わすデータとの差を計算することによって前記吸気系統に流入している前記新気酸素と混合される再循環排気ガスの質量流量を表わすデータを計算するステップと、
EGR弁を調節して再循環排気ガスの前記質量流量を通過させるステップと、
前記エンジン内における燃焼のための理想の過剰酸素比を定めるステップと、
前記吸気マニホルドへの新気の質量流量を測定するステップと、
前記エンジンの吸気系統に送り出されるべき酸素の所望の全質量流量を計算して前記理想過剰酸素比を維持するステップと、
再循環排気ガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップと、
前記吸気系統に送り出されるべき新気酸素の所望の質量流量を計算して新気酸素の前記所望の質量流量とEGR酸素の前記質量流量の和が酸素の前記所望の全質量流量に等しくなるようにするステップと、
新気の調節された設定質量流量を計算して前記所望の質量流量の新気を供給するステップと、
新気の前記測定質量流量と新気の前記調節された設定質量流量の差をゼロにしようとする調節方向における再循環排気ガスの前記質量流量の調節のために前記EGR弁を再調節するステップと、を備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記理想過剰酸素比を定める前記ステップは、前記エンジンへの燃料の既知の送り出し量及び燃焼中に生じる酸素の質量と燃料の質量のあらかじめ設定された比に基づいて実施される、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
排気ガス再循環ガスの質量流量を定める前記ステップは、エンジン速度及び指示トルクで決まる値のマップに基づいて実施される、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を定める前記ステップは、
EGRガスの前記質量流量中の酸素含有量を測定するステップと、
EGRガスの前記質量流量を測定するステップとから成る、
請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記酸素含有量を測定する前記ステップは、酸素センサを用いて実施される、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
新気の前記測定質量流量と新気の前記調節された設定質量流量の差をゼロにしようとする調節方向における再循環排気ガスの前記質量流量の調節のために前記EGR弁を再調節する前記ステップは、前記EGR弁を調節するための別の補助的アルゴリズムへの入力信号である新気設定値信号の質量流量を出力するステップを含む、
請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記ステップは、迅速に繰り返し実施される、
請求項10記載の方法。
【請求項17】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求める前記ステップは、
新気の前記質量流量とEGRガスの前記質量流量の和に等しい吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、
酸素の前記所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、
排気ガス中の酸素の前記質量流量を吸気マニホルド空気の前記全質量流量で除算することによって前記排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、
O2の前記フラクションにEGRガスの前記質量流量を乗算するステップとから成る、
請求項10記載の方法。
【請求項18】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求める前記ステップは、
エンジン速度、エンジン排気量、及び吸気マニホルド空気の密度から吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、
センサに基づいて新気の質量流量を測定するステップと、
吸気マニホルド空気の前記全質量流量から新気の質量流量を減算してEGRガスの質量流量を求めるステップと、
酸素の前記所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、
排気ガス中の酸素の前記質量流量を吸気マニホルド空気の前記全質量流量で除算することによって前記排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、
O2の前記フラクションにEGRガスの前記質量流量を乗算するステップとから成る、
請求項10記載の方法。
【請求項1】
新気入口及び排気ガス再循環(EGR)回路を有するエンジンを制御する方法であって、
前記エンジン内における燃焼のためのあらかじめ選択された過剰酸素比を定めるステップと、
新気とEGRガスの両方の全質量流量が所与である場合、吸気マニホルドに送り出されるべきEGRガスの質量流量を定めると共にEGR弁を調節してEGRガスのこの質量流量を通過させるステップと、
前記吸気マニホルドへの新気の質量流量を測定して新気の測定質量流量を定めるステップと、
前記エンジンの前記吸気マニホルドに送り出されるべき酸素の所望の全質量流量を計算して理想の過剰酸素比を維持するステップと、
前記EGRガスの質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップと、
前記吸気マニホルドに送り出されるべき新気酸素の所望の質量流量を計算して新気酸素の前記所望の質量流量とEGR酸素の前記質量流量の和が酸素の前記所望の全質量流量に等しくなるようにするステップと、
新気の調節された質量流量を計算して新気の前記所望の質量流量を供給するステップと、
前記EGR弁を再調節してEGRガスの前記質量流量の変化及び新気の前記調節された質量流量に向かう方向における新気の前記測定質量流量の変化を生じさせるステップとを、備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記理想過剰酸素比を定める前記ステップは、前記エンジンへの燃料の既知の送り出し量及び燃焼中に生じる酸素の質量と燃料の質量のあらかじめ設定された比に基づいて実施される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
EGRガスの質量流量を定める前記ステップは、エンジン速度及び指示トルクで決まる値のマップに基づいて実施されるのが良い、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を定める前記ステップは、
EGRガスの前記質量流量中の酸素含有量を測定するステップと、
EGRガスの前記質量流量を測定するステップとから成る、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記酸素含有量を測定する前記ステップは、酸素センサを用いて実施される、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記EGR弁を再調節する前記ステップは、新気の前記調節質量流量に関する設定値信号が前記EGR弁を調節するための別の補助的アルゴリズムへの入力値であるよう生成される出力値であるという特徴を更に有する、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記ステップは、迅速に繰り返し実施される、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求める前記ステップは、
新気の前記質量流量とEGRガスの前記質量流量の和に等しい吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、
酸素の前記所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、
排気ガス中の酸素の前記質量流量を吸気マニホルド空気の前記全質量流量で除算することによって前記排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、
O2の前記フラクションにEGRガスの前記質量流量を乗算するステップとから成る、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求める前記ステップは、
エンジン速度、エンジン排気量、及び吸気マニホルド空気の密度から吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、
センサに基づいて新気の質量流量を測定するステップと、
吸気マニホルド空気の前記全質量流量から新気の質量流量を減算してEGRガスの質量流量を求めるステップと、
酸素の前記所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、
排気ガス中の酸素の前記質量流量を吸気マニホルド空気の前記全質量流量で除算することによって前記排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、
O2の前記フラクションにEGRガスの前記質量流量を乗算するステップとから成る、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
ターボチャージャ付き内燃エンジンの排気系統から前記エンジンの吸気系統までの排気ガス再循環の制御を協調させる方法であって、
前記吸気系統に流入している新気の質量流量を表わすデータを作成するステップと、
エンジンシリンダを通る質量流量を表わすデータを計算し、前記エンジンシリンダを通る前記計算された質量流量を表わすデータと前記吸気系統に流入している新気の前記質量流量を表わすデータとの差を計算することによって前記吸気系統に流入している前記新気酸素と混合される再循環排気ガスの質量流量を表わすデータを計算するステップと、
EGR弁を調節して再循環排気ガスの前記質量流量を通過させるステップと、
前記エンジン内における燃焼のための理想の過剰酸素比を定めるステップと、
前記吸気マニホルドへの新気の質量流量を測定するステップと、
前記エンジンの吸気系統に送り出されるべき酸素の所望の全質量流量を計算して前記理想過剰酸素比を維持するステップと、
再循環排気ガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求めるステップと、
前記吸気系統に送り出されるべき新気酸素の所望の質量流量を計算して新気酸素の前記所望の質量流量とEGR酸素の前記質量流量の和が酸素の前記所望の全質量流量に等しくなるようにするステップと、
新気の調節された設定質量流量を計算して前記所望の質量流量の新気を供給するステップと、
新気の前記測定質量流量と新気の前記調節された設定質量流量の差をゼロにしようとする調節方向における再循環排気ガスの前記質量流量の調節のために前記EGR弁を再調節するステップと、を備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記理想過剰酸素比を定める前記ステップは、前記エンジンへの燃料の既知の送り出し量及び燃焼中に生じる酸素の質量と燃料の質量のあらかじめ設定された比に基づいて実施される、
請求項10記載の方法。
【請求項12】
排気ガス再循環ガスの質量流量を定める前記ステップは、エンジン速度及び指示トルクで決まる値のマップに基づいて実施される、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を定める前記ステップは、
EGRガスの前記質量流量中の酸素含有量を測定するステップと、
EGRガスの前記質量流量を測定するステップとから成る、
請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記酸素含有量を測定する前記ステップは、酸素センサを用いて実施される、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
新気の前記測定質量流量と新気の前記調節された設定質量流量の差をゼロにしようとする調節方向における再循環排気ガスの前記質量流量の調節のために前記EGR弁を再調節する前記ステップは、前記EGR弁を調節するための別の補助的アルゴリズムへの入力信号である新気設定値信号の質量流量を出力するステップを含む、
請求項10記載の方法。
【請求項16】
前記ステップは、迅速に繰り返し実施される、
請求項10記載の方法。
【請求項17】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求める前記ステップは、
新気の前記質量流量とEGRガスの前記質量流量の和に等しい吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、
酸素の前記所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、
排気ガス中の酸素の前記質量流量を吸気マニホルド空気の前記全質量流量で除算することによって前記排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、
O2の前記フラクションにEGRガスの前記質量流量を乗算するステップとから成る、
請求項10記載の方法。
【請求項18】
EGRガスの前記質量流量中のEGR酸素の質量流量を求める前記ステップは、
エンジン速度、エンジン排気量、及び吸気マニホルド空気の密度から吸気マニホルド空気の全質量流量を求めるステップと、
センサに基づいて新気の質量流量を測定するステップと、
吸気マニホルド空気の前記全質量流量から新気の質量流量を減算してEGRガスの質量流量を求めるステップと、
酸素の前記所望の全質量流量と、燃料比と酸素質量と燃料質量の化学量論的比の積との差として排気ガス中の酸素の質量流量を求めるステップと、
排気ガス中の酸素の前記質量流量を吸気マニホルド空気の前記全質量流量で除算することによって前記排気ガス中のO2のフラクションを求めるステップと、
O2の前記フラクションにEGRガスの前記質量流量を乗算するステップとから成る、
請求項10記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2011−52693(P2011−52693A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−208502(P2010−208502)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(501402947)インターナショナル エンジン インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208502(P2010−208502)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(501402947)インターナショナル エンジン インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (69)
【Fターム(参考)】
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