説明

吸着材料、及び炭化水素ガスの脱硫方法

炭化水素ガス混合物から硫黄化合物を除去する方法であって、
炭化水素ガス混合物を、酸化銅を担体材料としてのケイ酸マグネシウム上に有する吸着材料に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着材料、及び炭化水素ガスの脱硫方法に関し、特に、それらの燃料電池システムにおける使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、天然ガス又は液化ガス等の炭化水素ガスは、通常の自然に生じる硫黄化合物に加え、安全性の理由で添加される硫黄化合物を含む。
【0003】
工業的基準において、天然ガスは主に水素の添加による接触水素化によって脱硫される。しかし、この脱硫法は、小さいもの及び極めて小さいもの、特に、固有の分野では燃料電池に対して好適に適用することができず、従って、この場合、ガス流を精製するための吸着方法が主に用いられる。
【0004】
燃料電池の稼働において必要な水素は、通常、天然ガスを改質することによって得られる。天然ガスは、特に高度に工業化された国において明確に定められた供給網が存在するので、広い範囲で利用することができるという利点がある。更に、天然ガスは、水素生成のために都合の良い大きさの水素/炭素比を有している。
【0005】
「天然ガス」という表現は、複数種の考え得るガス組成物を意味し、その組成は地域に応じて様々である。天然ガスは、現実的にメタン(CH4)のみを含むものでも良いが、より高い炭化水素を相当量含んでも良い。ここで、「より高い炭化水素」とは、直鎖飽和又は不飽和、環状、又は芳香族炭化水素であるかどうかにかかわらず、エタン(C2H6)からの全ての炭化水素を意味する。一般的には、天然ガスにおける「より高い炭化水素」の部分は、その分子量及び蒸気圧が高くなるにつれて減少する。例えば、10個以上の炭素原子を有する炭化水素が、通常、天然ガス中に2〜3ppmしか存在しない一方で、エタン、及びプロパンも低いパーセンテージで存在する。また、より高い炭化水素は、例えば、発がん性のあるベンゼン、トルエン、及びキシレン等の環状化合物である。これら化合物は、100ppmより大きい濃度で生じる。
【0006】
より高い炭化水素に加えて、ヘテロ原子を含む他の少量のガス成分及び混入物が、天然ガス中に生じる。
【0007】
本明細書中において、特に、低濃度で生じる天然由来の硫黄化合物について言及する。その例は、硫化水素(H2S)、硫化炭素(COS)、二硫化炭素(CS2)、及び軽質の有機硫黄化合物(例えば、MeSH)である。ガスの起源に応じて、除去の難しいCOSが特に、複雑な精製過程が要求される高い濃度で生じることがある。
【0008】
特にH2SやCOS等の天然ガス中に自然に存在する硫黄化合物に加えて、他の硫黄化合物が安全上の理由で、いわゆる着臭剤として天然ガスに添加される。メタン及び天然ガスは、それ自体無臭のガスであり、毒性はない。しかし、空気と結合することで爆発性の混合物となることがある。天然ガスの放出を即座に検出することができるように、天然ガスには強い着臭性の物質がいわゆる着臭剤として低濃度で混合され、天然ガスに特徴的な臭いを与える。この天然ガスに対する着臭について、天然ガスを着臭剤とともに使用することが多くの国において法律で規定されている。例えば、アメリカ合衆国等のいくつかの国において、tert−ブチルメルカプタン、又はエチルメルカプタン等のメチルカプタン(R−S−H,R=アルキル部分)が着臭剤として使用されている。一方で、ヨーロッパ連合の国は、通常、テトラヒドロチオフェン等の環状硫黄化合物が用いられている。可能な化学反応の進行にしたがい、これらメルカプタン(R−S−H)から、硫化物(R−S−R)及び/又は二硫化物(R−S―S―R)が形成され、これらも同様に除去しなければならない。従って、これにより、自然に生じる硫黄化合物ともに、天然ガス中に含まれる多数種の硫黄化合物が除去される。天然ガスの組成に対する種々の調整において、天然ガス中に含まれる硫黄は100ppm以下まで許容されている。原料としての液化ガス(LPG)も同様である。主成分としてプロパン及びブタンを含む液化ガスは、天然ガスと同様、着臭マーカーとしての硫黄含有分子が混合される。
【0009】
天然ガス又はLPG中の硫黄成分は、燃料電池及び改質器において、強い不可逆性の毒を与える促進物となる。このために、燃料電池に供給されるガスは、全ての硫黄含有成分から精製されなければならない。このため、燃料電池は、常に、天然ガス又は液化ガス用のための脱硫装置を有している。燃料電池は、例えば、灯油等の液体炭化水素を用いて稼働されるべきであり、同様に脱硫が必要である。
【0010】
好ましくは、炭化水素ガスを室温で吸着剤を通過させて、実質的に全ての硫黄成分を除去することが好ましい。吸着剤は、燃料電池の稼働温度及び稼働圧力で操作されることが好ましい。安全上の理由で、一般的に吸着材の容器は、燃料電池のハウジングに配置される。70℃以下の温度において、それは有効である。更に、消費者におけるガス管網の圧力は、一般的に大気圧より大きく数百ミリバール以下である。
【0011】
吸着材は、種々の成分の天然ガスを適切に扱うことが意図されているので、硫黄を含む成分のみが天然ガスから吸収され、より高い炭化水素が共に吸着(共吸着)される量が無視できる程度に抑制されることが更に重要である。
【0012】
更に、天然ガスからより高い炭化水素、特にベンゼンを共吸着することにより、法律で定められた吸着材中のベンゼン含有率を超過してしまい、従って吸着装置にラベル付けをしなければならない結果となる。更に、このようにベンゼンが飽和している吸着材は、吸着媒体の変更やリサイクルのための吸着材を輸送の際において、煩雑性やコストの増加が生じる。
【0013】
従来技術において、天然ガスの脱硫は、特に、天然の硫黄成分及び着臭剤を除去するために使用される異なる種の吸着材を配置した2つの段階によってのみ進行する。
【0014】
特許文献1には、燃料電池の稼働に用いられる2段階の触媒床が開示されている。この触媒床は、着臭剤を除去するX−ゼオライト、及び天然ガスから硫黄含有成分を除去するニッケルベースの次の触媒を含む。この方法の欠点は、H2Sへの加水分解を行った後にしかCOSが直接的に除去されないことである。更に、ベンゼン及びより高い炭化水素がゼオライトにより吸着される。また、ニッケルは発がん性があることが知られている。
【0015】
特許文献2には、自然に生じる硫黄化合物を除去するために、無機担体、好ましくは酸化アルミニウムや周期表のIB、IIB、VIB,及びVIIIB族の元素の酸化物の混合物、好ましくはCu、Fe、Mo及びZnの酸化物の混合物が提案されている。また、当該文献において、この硫化化合物は、初めにH2Sへ加水分解される。
【0016】
特許文献3によれば、ガス混合物中に存在する自然発生の有機硫黄化合物、例えば、COS及びCS2は、触媒の存在下で酸化硫黄又は酸化窒素を用いて定量的に除去される。この方法では、使用される触媒は、例えば、酸化アルミニウム上における、Sc、Yの化合物、ランタノイドの化合物、アクチノイドの化合物、又はそれらの混合物である。上記化合物の製造の間、触媒は100℃から1000℃となるまで乾燥され撹拌される。
【0017】
特許文献4では、硫黄化合物は、担持された銅触媒上において、直接的に元素の硫黄に酸化されるか、或いは硫酸化する。なお、銅触媒は、担体としての酸化アルミニウム上に、Fe、Mo、Ti、Ni、Co、Sn、Ge、Ga、Ru、Sb、Nb、Mn、V、Mg、Ca、及びCrからなるグループから選択される少なくとも1種の他の触媒活性元素を有している。
【0018】
特許文献5には、硫化剤としての銅−亜鉛−アルミニウム混合物が記載されている。この混合物は、200℃から500℃までに焼成される。
【0019】
特許文献6には、室温において銀が添加されたゼオライトを用いて、硫化物、メルカプタン、及びチオフェン等の硫黄含有着臭剤を天然ガスから吸着して除去する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】US2002/0159939A
【特許文献2】US5763350A
【特許文献3】DE3525871A
【特許文献4】US6024933A
【特許文献5】WO2007/021084
【特許文献6】EP1121977A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ゼオライトベースの物質においては銀の含有率が高いということに加えて、さらなる重要な欠点がある。この欠点は、ゼオライトがその孔質性のために、ガス流において生じる全てのより高い炭化水素を容易に吸着してしまうことである。特に、環状炭化水素、例えば、ベンゼン等は、完全に吸着され、数質量%の範囲以下で上記ゼオライトに集積する。
【0022】
従来の方法では、触媒の孔質物における望まれない共吸着(特に、ガス流中に生じるベンゼン等の環状炭化水素の共吸着)の問題が解決されない。さらなる不利益として、より高い炭化水素の吸着により、場合によっては、発火性物質の吸着が起こる。これにより、使用した触媒の除去の際に、発火源が存在すると、上記発火性物質が発火することがある。更に、一般的にCOSが、上流の加水分解の段階でしか除去されないという欠点もある。
【0023】
従って、本発明の目的は、COS及びH2S等の天然の硫黄化合物に対してだけではなく、有機硫化物(エチルメルカプタン等のメルカプタン)、二硫化物、及び環状着臭剤、特に、テトラヒドロチオフェン(THT)を吸着する高い吸着力を有し、また同時に、ベンゼンの共吸着が非常に低い吸着手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的は、炭化水素ガス化合物から硫黄化合物を除去する方法であって、炭化水素ガス混合物を、酸化銅を担体材料としてのケイ酸マグネシウム上に有する吸着材に接触させる工程を含む方法により達成される。
【0025】
本発明にかかる使用される吸着材料は、概ね、30〜70質量%、好ましくは40〜60質量%、より好ましくは46〜54質量%、及び特に48〜52質量%の酸化銅を含む。この酸化銅は、実質的に、好ましくは完全に、酸化銅(II)としてのCuOである。更に、本発明の使用される吸着材料は、5質量%以下の1種以上の他の金属酸化物、及び周期表の第2族、及び第4〜12族の遷移金属を少量成分として含んでも良い。少量成分の含有率は、概して最大で2質量%である。少量成分の例は、クロム酸化物(Cr23)、バリウム、及び亜鉛である。従って、一般的に、金属酸化物含有量の総量は、ケイ酸マグネシウム担体及び金属酸化物に対して30〜75質量%、好ましくは40〜62質量%である。
【0026】
ケイ酸マグネシウムのSiO2含有量は、概ね、32〜38質量%であり、MgO含有量は、12〜18質量%である。化学量論のケイ酸マグネシウムは、実験的な化学式Mg2SiO4を有する。
【0027】
本発明の使用される吸着材料は、後述のように製造することができる。
【0028】
この方法において、アルカリ性ケイ酸ナトリウム水溶液は、マグネシウム塩、特に硝酸マグネシウムの水溶液と混合される。同時に得られたケイ酸マグネシウム溶液は、他の金属塩を含む銅塩(好ましくは硝酸銅)溶液及び炭酸溶液に添加される。また、適宜、他の金属の金属塩溶液を別に添加しても良い(しかし、銅塩及び炭酸溶液とともにである)。沈殿物は、ろ過され、乾燥され、及び適宜焼成される。
【0029】
特に、吸着材料は、以下のように製造される:強いアルカリ性ナトリウム水ガラス溶液(pHがおよそ13)が、沈殿管で硝酸マグネシウム溶液と混合され、均質化され、最大40℃まで加熱される。使用されるSiO2、Na2O、及びMgOの物質量は、kgで2.0:1.25:1.0の関係にある。予備沈殿において製造されるケイ酸マグネシウム溶液は、実質的に最大の70℃まで加熱される。
【0030】
金属塩溶液は、別々に構成される。金属塩溶液の量及び組成は、ケイ酸マグネシウムに担持される酸化金属の所望の最終組成に依存する。一般的に、金属酸化物部は、全質量に対して30〜70質量%であり、第2族の金属、及び/又は第4〜第12族の1種以上の遷移金属で構成されても良い。金属は、直ちに酸性の水溶液中において可溶性塩の形態で蓄積される。
【0031】
金属塩溶液は、同様に最大70℃まで加熱され、ケイ酸マグネシウム溶液に添加される。炭酸溶液の添加により、沈殿物のpHは、およそ7に一定に保たれる。沈殿材料の結晶サイズの要求に応じて、沈殿の熟成が実行される。例えば、沈殿管内で上昇された温度によっては残存時間が延長される。
【0032】
沈殿の終了、又は沈殿及び熟成の終了の後に、その懸濁液がフィルタープレスに移送され、導電率が100μS/cm未満となるまでろ過及び純水により洗浄され、次いで、質量フィルターとして、回転炉における燃焼によって所望の損失となるまで乾燥され焼成される。更に、得られた粉末は、次のステップでタブレット状、押出形状、又は他の使いやすい形状となるまで処理しても良い。
【0033】
必要に応じて、再焼成が実行され、孔部の放射状の分配及び表面積の設定が行われる。この再焼成は、好ましくは1〜3時間の間で、400〜700℃の温度で行われる。再焼成しないと、吸着材料は、6nmより小さい径を有する孔部を高割合で有する。一般的に、孔部の量は、水銀ポロシメトリー(mercury porosimetry)を用いた測定により、全孔部の量に対して10%を超えた量より大きい。再焼成により、6nmより小さい径を有する孔部の部分は、著しく減少する。そして、上述した温度範囲において再焼成が実行された後の孔部の量の割合は、一般的に全孔の量の5%未満となる。結果として、炭化水素を共吸着する材料の性質が顕著に減少する。
【0034】
本発明において使用される吸着材料は、炭化水素ガス、特に天然ガスから硫黄含有成分を吸着し、この吸着においてより高い炭化水素の共吸着が無視できる程度に減少する。吸着材は、硫黄成分に対する高い吸着能力により特徴付けられ、これにより、吸着材の頻繁な交換を防止して十分に長い耐用時間が得られる。吸着材は、多種の成分を含む炭化水素ガス混合物を脱硫するのに好適である。
【0035】
精製されるべき炭化水素ガス混合物は、特に天然ガスである。天然ガスは、主にメタンを含むが、10%以下の量のより高い炭化水素を含む。また、LPG(液化石油ガス)も好ましい。液化石油ガスは、一般的にプロパン及びブタンが合わせて90%以上含む。
【0036】
一般的に、精製されるべき炭化水素ガス混合物は、1種以上の硫黄含有成分を全部で1〜500ppm、好ましくは5〜250ppm含む。硫黄含有成分は、しばしば以下の量で存在する。
【0037】
2S 0.5〜50ppm;
COS 0.5〜100ppm;
メルカプタン類 0〜100ppm、好ましくは1〜100ppm;
硫化物類 0〜100ppm、好ましくは1〜100ppm;
テトラヒドロチオフェン 0〜20ppm、好ましくは0.5〜20ppm。
【0038】
精製されるべき炭化水素ガスに含まれている知られたメルカプタンは、エチルメルカプタンであり、知られた硫化物は、ジメチルスルフィドである。
【0039】
硫黄化合物が含まれる炭化水素ガスは、本発明において使用される吸着材料を(−50)〜150℃、好ましくは(−20)〜80℃、より好ましくは0〜80℃、特に好ましくは15〜60℃の温度において通過する。なお、この場合、圧力は、0.1〜10バール、好ましくは0.5〜4.5バール、より好ましくは0.8〜2.0バールである。
【0040】
炭化水素ガスは直線状の流れで吸着材料を通過することが利点である。この方法は、特に好ましくは、室温及び大気圧で実行される。
【0041】
硫黄成分に対する吸着材の吸着能力は、試験ガスにおける硫黄成分の平均濃度、及び第1の硫黄成分が、オンラインGC(ガスクロマトグラフィー)において検出された後の時間から計算される。一般的に適用される式は以下の通りである:容量[g/l]=(濃度[mg/m3]×ガス体積[m3/h]×流時間[h])/(触媒の体積×1000000):流時間とは、GCにおいて検出される硫黄成分が無くなるまでの時間を意味する。ガス量は、標準状態で試験ガス流に対応する。
【0042】
特に、物理的相互作用による吸着材のTHT能力は、濃度に依存する。試験のためだけにTHT濃度が使用され、現実的なガス網に対する着臭に対応する。従って、使用される試験ガスは、3ppmの量のTHT、及び60ppmの量のベンゼンを有するガス流である。
【0043】
本発明にかかる脱硫方法を用いると、硫黄成分は、完全に取り除かれる。本発明における完全にとは、GCを用いた測定にともなう現在可能な検出限界を下回る除去を意味する。それは、0.04ppmである。従って、本発明にかかる方法及び触媒は、非常に好適であり、特に、燃料電池への適用に好適である。
【0044】
ガス流から、H2S、COs、及びCS2が吸着されるだけではなく、メルカプタン、硫化物、二硫化物、及びTHT等の環状硫黄成分が吸着される。
【0045】
燃料電池システムへの適用において、本発明にかかる方法は、改質段階の上流に適用される。この場合、本発明における精製の下流で水素を得るために使用される炭化水素ガスは、直接、改質装置又は燃料電池に送給されても良い。この場合、本発明にかかる方法は、知られているすべてのタイプの燃料電池、例えば、低温及び高温PEM燃料電池、ホスホン酸燃料電池(PAFC)、MCFC燃料電池(炭酸塩メルト)、及び高温燃料電池(SOFC)に対して好適である。
【0046】
本発明にかかる方法が、燃料電池と合わせて使用される場合、消費した触媒をシステム内において再生せず、それを再生するために取り除いた後に、その触媒を交換することが有効である。特に、このことは、低出力の燃料電池に適用される。
【0047】
本発明にかかる方法は、特に、定常的及び動的な適用に好適である。好ましい定常的な使用は、例えば、結合された加熱及び出力ユニット(CHP装置)等による力及び熱の同時発生のための燃料電池(好ましくは固有のエネルギー供給において)である。更に、このシステムは、ガスエンジン用の天然ガスを脱硫するためのガス流の精製に対して好適である。動的な適用として、本発明の方法を車、トラック、バス、又は機関車、好ましくは車及びトラックにおける燃料電池用の炭化水素の精製に用いることができる。燃料電池は、搭載電力生成用のみに使用されても、駆動用のみに使用されてもどちらでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1a】容器1、フィルター布2a、2b、ネジ止め結合部3a、3b、及びガス気密性で素早い結合動作が可能な結合部4a、4bを含む交換可能なカートリッジの可能な実施形態を示す。
【図1b】容器5、フィルター布6a、6b、及びガス気密性で素早い結合動作が可能な結合部7a、7bを含む交換可能なカートリッジの他の可能な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の一つの実施の形態において、吸着材料は、交換可能な脱硫カートリッジに存在する。交換可能な脱硫カートリッジは、容易に且つ柔軟に上述の定常的及び動的な適用に組み込まれ得る。適切なカートリッジは、例えば、ガス気密性で素早い結合動作が可能な、ネジで結合される円筒状容器である。ガス気密性で素早い結合動作が可能である構造は、容器に直接に取り付けられる。好適なカートリッジの態様は、図1a及び1bで与えられる。
【0050】
ガス気密性で素早い結合動作が可能な結合部を使用することにより、耐用年数の終了時において脱硫カートリッジを問題なく交換することができる。例えば、使用される吸着材料の化学的吸着及び/又は物理的吸着能力の消費において問題がなく、使用時に構造的な変更の必要性がない。従って、カートリッジを、新しい又は再生された吸着材料を有する新しいカートリッジに簡単に交換することができる。また、吸着材料をカートリッジに供給することを、支障なく素早く行うことができる。
【0051】
与えられたカートリッジの体積Vに対して、カートリッジの径に対する長さの比は、吸着材の定められた容量、すなわち、吸着材料の密度から与えられることが好ましい。また、望ましい全容量(目的の硫黄含有成分の総量)は、カートリッジの全長Lにより確定される圧力降下ΔPが、精製すべき炭化水素ガス混合物が貯留された際のライン圧力を下回ることが好ましい。従って、可能な最大のカートリッジ長Lは、吸着材料の明確な圧力降下、及び与えられた吸着材料に対する所望の全吸着性能に作用する。上記長さL及び要求される全体積Vは、カートリッジの径Dを与える。
【0052】
好ましい交換可能な脱硫カートリッジの設計は、以下の式を満たすものでも良い。
【0053】
【数1】

【0054】
ΔP*=定められた圧力降下[kPa/m]
V=カートリッジの体積[l]
L=カートリッジの長さ[m]
D=カートリッジの当量径[m]
c=平均比容量
【0055】
この場合の当量径Dは、カートリッジの断面領域に対応する円形断面領域の径である。平均比容量cは、以下の式により与えられる。
【0056】
【数2】

【0057】
但し、xn=Vn/V、及びcn=吸着材nの容量
【0058】
比L/Dは、好ましくは1.0〜25である。パラメータiは、好ましくは0〜100である。
【0059】
上述の脱硫カートリッジは、その体積に応じて最少圧力降下を吸着材の体積を有効利用することが可能となる点で特徴的である。これにより、耐用期間において吸着材料を最も良好に使用することができる。
【0060】
勿論、交換可能な脱硫カートリッジは、任意の所望の適切な吸着材料を用いて操作される。例えば、カートリッジは、1から99.8質量%、特に5から70質量%の銅、銀、亜鉛、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、又はそれらの混合物、及び0.2から99質量%、特に30から95質量%の、周期表のIIB、IIIB、IVB、VIII、VIIIA、及びIVA族の元素、例えば、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタニウム、ジルコニウム、クロミウム、タングステン、ボロン、アルミニウム、ガリウム、シリコン、ゲルマニウム、及びスズの酸化物を含むWO2004/056949に記載された吸着材料を用いて操作されても良い。更により好適な吸着材料は、銀、及び好ましくは担体材料上の銅、好ましくはアルミニウム酸化物、特に純粋なガンマアルミニウム酸化物(本出願の優先日より前に公開されていないEP07114114.7)である。
【0061】
本発明にかかる方法の他の好ましい実施の形態において、硫黄成分が多く吸着された吸着材料は、加熱された窒素ガス流と接触させることで再生する。ガス流は少なくとも75体積%の窒素を含むことが好ましい。再生を加速するために、再生されるべき吸着材料をさらに加熱しても良い。本発明の他の実施の形態において、吸着材料を加熱しガス流と接触させる。
【0062】
硫黄成分が多く吸着された吸着材料は、カートリッジ内で再生させることができる。このため、カートリッジには熱再生ガス流が貯留され、好ましくは他に外部から加熱される。
【0063】
カートリッジ内における吸着材料の再生は、有効であり、特に、吸着材料は、物理的吸着のみを目的とした硫黄成分に対する吸着能力(例えば、THT、ジメチルスルフィド等)が、消費している場合でも、化学的吸着により硫黄成分を吸着する能力(例えば、H2Sエチルメルカプタン)がある。従って、物理的吸着のみにより吸着する上述の方法を行い、化学的吸着による硫黄成分に対する吸収能力が消費されるまで吸着材料の脱着を行って、再生された吸着材料を再使用することが経済的に有効である。化学的吸着による硫黄成分に対する吸着能力が容易に再生できない(一般的に不可逆性)ので、この場合のみ使用された吸着材料を新しい吸着材料と交換することが要求される。
【0064】
本発明にかかる方法の他の変形例として、吸着材料は、物理的吸着による硫黄成分の吸着能力について、脱硫カートリッジ内で少なくとも一度、好ましくは多数回再生され、化学的吸着による材料の成分に対する吸収能力が、実用上の限度に到達する又は超えるまで再使用される。再生は、150℃〜250℃の温度において窒素流を吸着材料に通過させることで行われる。このとき、窒素流のみを加熱するか、吸着材料のみを(外部からカートリッジを加熱することによって)加熱する、又は窒素流及び吸着材料を加熱する。再生時間は、例えば、3〜12時間である。また、上記再生方法は、脱硫カートリッジ内で少なくとも2種の吸着材料が存在する場合に適用されることが好適であり、第1吸着材料(吸着クラス1)は化学的吸着により硫黄成分を主に拘束し、第2の吸着材料(吸着クラス2)は、物理的吸着により硫黄成分を主に吸着する。
【0065】
主に化学的吸着により硫黄成分(例えばH2S)を拘束する材料は、例えば、Cu、Zn、Fe、Ni、Mn、Pb、Mg、Ca、及びNaの金属酸化物である。吸着クラス1の好適な材料は、例えば、40質量%のCuO、40質量%のZnO、20質量%のAl23を含む。更に、上記材料は、H2Sに加え、COS、メルカプタン、チオエーテル、硫化物、及びTHTを化学的吸着により拘束する。
【0066】
主に物理的吸着により硫黄成分を拘束する材料は、例えば、一種以上の金属Ag、Cu、Mo、又はZnを酸化された又は硫化された形態で含む。これらは特に、二硫化物、チオエーテル、及びTHTを拘束する。
【0067】
カートリッジ内において、吸着材料が硫黄成分を物理的吸着する能力において多数回再生される上述の再生方法は、担体材料としてのケイ酸マグネシウムに担持された酸化銅を含む吸着材料を用いて実行される。この吸着材料は、物理的吸着によりある硫黄成分を拘束し、化学的吸着により他の硫黄成分を拘束するという事実によって特徴付けられる。この場合、化学的吸着による硫黄成分に対する吸収能力が、物理的吸着による硫黄成分に対する吸収能力に比べて大きい。
【0068】
また、物理的吸着材料のみでカートリッジを充填して再生を行っても良い。
【0069】
本発明は、後述の実験的例に基づいてより詳細に説明される。
【実施例1】
【0070】
吸着材料の製造
ナトリウム水ガラス溶液(濃度27%、1.7kgのSiO2)を、NaOH溶液(濃度25%、1.0kgのNa2O)、及び5kgの純水(溶液1)と混合した。容器において7kgの純水を45℃まで加熱した。この容器に、溶液1及びMg硝酸塩溶液(濃度8%、0.8kgのMgO)を同時に添加した。この添加が終了した後に、混合物をさらに55℃で30分間撹拌した。この沈殿溶液に、55℃で数時間に亘り、Cu硝酸塩溶液(濃度20%、2.4kgのCuO)と炭酸溶液(濃度20%、5kgのNa2CO3)の2種の溶液を添加した。
【0071】
得られた固体をろ過し、硝酸塩を洗い落とし、900℃においておよそ20%の点火による損失が実現されるまで、120℃で48時間の間乾燥した。
【0072】
乾燥した物を、220℃にしてその温度を3時間維持した。次いで、それを約4%のグラファイトと混合し、タブレット形状(1.5×1.5mm及び3×5mm)に形成した。
【0073】
物理的性質
CuO含有率 50g/100g
SiO2含有率 35g/100g
MgO含有率 14g/100g
残余物 炭素
平均側部圧縮強度 34N
表面積 310〜330m2/g
リットル重量 800〜840g/l
水中における気孔率 0.45〜0.50ml/g
点火による損失(900℃) 10〜14質量%
【実施例2】
【0074】
実施例1の吸着材を、575℃で2時間の間再焼成した。
【0075】
[比較例1]
CuO/ZnO/Al23調合物をベースとする市販の吸着材、すなわち、従来の天然ガス用の脱硫溶液として使用されている吸着材を使用した。ここで、金属酸化物の総量は、吸着材の全質量に対して75質量%を超えていた。
【0076】
全ての吸着材料を、個々が識別されている粉砕された3×3mmのタブレット片として使用した。使用した反応器は、加熱可能なステンレス鋼製で頂部から底部まで流体が通過する管であった。実験ごとに、40又は50mlの触媒を使用した。市販の天然ガス(Linde社による)を使用した。
【0077】
反応器におけるガス流の下流の分析のために、切り替え可能な2つのカラム及び2つの検出器を備えた市販のガスクロマトグラフィーを使用した。第1検出器であるフレームイオン化検出器(FID)を、天然ガス中の個々の炭化水素、特にベンゼンを検出するために用いた。第2検出器である炎光光度検出器(FPD)は、硫黄化合物に敏感であり、その化合物を実用上の検出限界である0.04ppmを下回って検出することができる。
【0078】
吸着材の個々の成分に対する吸着能力は、全ガス量(第1の硫黄化合物の通過まで)及び供給ガスにおける各々の成分の濃度から測定した。触媒の予備処理(例えば、還元等)は必要なかった。
【0079】
一般的に、上述した吸着能力が消費されるまでの全ての試験において、個々の硫黄含有成分における検出限界以下の除去が達成された。
【0080】
個々の成分試験:
ジメチルスルフィド:
テストガスシリンダーを用いて、ジメチルスルフィド(天然ガス中のDMS)を、体積測定対象の天然ガス流に計量投入した。これを、1時間あたり170リットル(S.T.P.)のトータル体積に対し平均濃度の20ppmで触媒(2500h-1のGHSVに対応して68ml)を通過させた。
【0081】
DMSの通過において、本発明(実施例1)にかかる吸着材は、1リットルの触媒あたり6.6gのDMSを吸着する能力を示した。比較する吸着材(比較例1)は、同じ条件の下、触媒1リットル当たり0.4gのDMS吸着能力を示すに過ぎなかった。
【0082】
テトラヒドロチオフェン
一般的に環状の硫黄化合物はスルホン基終端の化合物と比較して、吸着による除去が困難であることが知られているので、テトラヒドロチオフェン(THT)を「有機」硫黄化合物に対するモデル物質として選択した。なお、THTはドイツにおいて最も普及している着臭剤である。
【0083】
ガスを、THTの体積3ppm、及びベンゼンの体積の60ppmを用いて飽和器内をガスで充満し、ガスを1時間あたり250リットルの体積流量率(S.T.P)で触媒(6250h-1のGHSVに対応して40ml)に通過させた。測定を標準圧力(1013mbar)及び室温で行った。
【0084】
THTの通過において、本発明の吸着材(実施例1)は、1リットルの触媒あたり8.8gのTHTを吸着する能力に届いた。比較する吸着材(比較例1)は、同じ条件の下、触媒1リットル当たり4.0gのTHTの吸着能力を示すに過ぎなかった。
【0085】
実施例2にかかる材料は、同一の測定において、触媒当たり9.7gのTHTの吸着能力を示し、THTの通過の後には、0.1質量%よりも低いベンゼン含有率となった。
【0086】
エチルメルカプタン
他の着臭剤は、天然ガス、特にLPG中における着臭剤として使用されるエチルメルカプタン(EtSH)であった。一般的に、銅を含む触媒が使用される場合、ジスルフィド(ここでは、ジエチル、ジスルフィド、DEDS)を形成するメルカプタンの酸化的二量化が生じ得る。従って、吸着材の全吸着能力を、第1番目(ここでは、EtSh又はDEDS)を通過する硫黄成分から測定した。
【0087】
EtSHで体積の15ppmを用いて飽和器内をガスで充満し、このガスを1時間あたり200リットルの体積流量率(S.T.P)で触媒(2500h-1のGHSVに対応して80ml)に通過させた。測定を標準圧力(1013mbar)及び室温で行った。
【0088】
DEDSの通過において、本発明の使用した吸着材(実施例1)は、硫黄含有成分の通過が観測されることなく、1リットルの触媒あたり45gのEtSHを吸着する能力に届いた。比較する吸着材(比較例1)は、同じ条件でDEDSの通過の下、触媒1リットル当たり24.0gのEtSHの吸着能力を示すに過ぎなかった。
【0089】
COS及びH2Sは、天然ガス中において、CO2の体積の2%存在した。
【0090】
COS及びH2Sの除去は、特にガス中のCO2の存在において吸収剤に対する課題である。この実験において、COSの体積の50ppm及びH2Sの体積の150ppmを、天然ガスにおけるCO2の1時間あたり167リットル(S.T.P)、及び1時間あたり3.4リットル(S.T.P)の流れに触媒(2500h-1のGHSVに対応して70ml)を通して通過させた。測定を標準圧力(1013mbar)及び室温で行った。
【0091】
本発明の吸着材(実施例1)だけでなく、比較される吸着材(比較例1)の場合において、通過するCOSの処理を初めに行った。従って、吸着能力の報告を、COSの通過時間点に対して行った。この時間点において、本発明の吸着材(実施例1)は、1リットルの触媒あたり60gのH2Sを吸着する能力及び1リットルの触媒あたり16gのCOSを吸着する能力を超えた。比較する吸着材(比較例1)は、同じ条件の下、触媒1リットル当たり58gのH2Sの吸着能力及び触媒1リットル当たり3gのCOSの吸着能力を示すに過ぎなかった。
【0092】
本発明の材料は、天然ガス中における既知の硫黄成分に全てに対して実施例の材料と比べて吸着能力が大きく超えている。特に、天然ガスに含まれる少量成分でドイツ国において最も重要であるものとして生じるCOSは、本発明の使用される吸着材から極めて効率的に除去される。
【0093】
吸着材のTHTに対する高い吸着能力、及びメルカプタンに対する低い二量化活性により、吸着材は天然ガス、LPG、及び他の(ガス性)の炭化水素の単一段階の脱硫に好適である。この有力な適用は、先行技術の構造化された床を用いる2段階の吸着と比較して有利である。
【符号の説明】
【0094】
1 容器
2a フィルター布
2b フィルター布
3a ネジ止め結合部
3b ネジ止め結合部
4a ガス気密性で素早い結合動作が可能な結合部
4b ガス気密性で素早い結合動作が可能な結合部
6a フィルター布
6b フィルター布
7a ガス気密性で素早い結合動作が可能な結合部
7b ガス気密性で素早い結合動作が可能な結合部
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素ガス混合物から硫黄化合物を除去する方法であって、
炭化水素ガス混合物を、酸化銅を担体材料としてのケイ酸マグネシウム上に有する吸着材料に接触させることを特徴とする方法。
【請求項2】
吸着材料が、30〜70質量%のCuOを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
吸着材料が、周期表の2族、及び4〜12族の金属の1種以上の他の金属酸化物を2質量%以下含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
炭化水素ガス混合物が、1〜500ppmの硫黄化合物を含む請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
炭化水素ガス混合物が、0.5〜50ppmのHSを含む請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
炭化水素ガス混合物が、1〜100ppmのCOSを含む請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
炭化水素ガス混合物が、0.5〜20ppmのテトラヒドロチオフェンを含む請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素ガス混合物が、1〜100ppmのジメチルスルフィドを含む請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
炭化水素ガス混合物が、1〜100ppmのエチルメルカプタンを含む請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
炭化水素ガス混合物が、天然ガスである請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
炭化水素ガス混合物から硫黄化合物を除去する方法であって、
硫黄化合物を化学的吸着により一部分拘束し且つ物理的吸着により一部分拘束する吸着材料に炭化水素ガスを接触させる工程と、
前記吸着材料を交換可能な容器(カートリッジ)に存在させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
交換可能な容器を、気密状態で素早い動作による結合で設け、従って、該容器が容易に交換可能である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
吸着材料を容器内で再生する請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
吸着材料を、150〜250℃で窒素ガス流に接触させることによって再生する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
窒素ガス流、及び/又は容器を加熱する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
吸着材料を、化学的吸着による目的の硫黄含有成分に対する吸収能力が実質的に尽きるまで一回又は多数回再生する請求項13〜15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
吸着材料が、担体材料としてのケイ酸マグネシウム上に酸化銅を含む請求項11〜16の何れか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2012−501362(P2012−501362A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524384(P2011−524384)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/061086
【国際公開番号】WO2010/023249
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】