説明

吸着熱交換器

【課題】有機高分子材料を用いた吸着熱交換器において、フィン間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぎ、この吸着熱交換器を通過する空気の風量を安定させるようにする。
【解決手段】フィン(30)の表面には、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮する吸着剤(35a)を有する吸着層(35)が形成されている。この吸着層(35)は、空気流の上流側から下流側へ向かって順に、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)を備えている。そして、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)の厚みは、第1吸着層(36)、第2吸着層(37)、第3吸着層(38)、第4吸着層(39)の順に大きくなっており、吸着剤(35a)が吸湿により膨潤すると、空気流の上流側から下流側にかけての厚みが略均一となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機高分子材料をフィン表面に担持した吸着熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、フィンや伝熱管の表面に吸着剤が担持された吸着熱交換器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この吸着熱交換器では、吸着動作時に、フィンの間を通過する空気が水分を吸着剤に奪われて除湿される。そして、吸着熱交換器の伝熱管内を流れる冷却水は、空気中の水分が吸着剤へ吸着される際に生じる吸着熱を吸熱する。また、伝熱管内の冷却水は、空気からも吸熱する。
【0003】
一方、再生動作時には、伝熱管内を流れる温水によって吸着剤やフィンの間を通過する空気が加熱される。そして、吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分がフィンの間を通過する空気へ付与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−265649公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、吸着剤としては、ゼオライトやシリカゲル等の無機材料を用いることが一般的であるが、本発明者は、水分の吸着性能をさらに向上させるために、有機高分子材料を用いることを考えた。具体的に、有機高分子材料を吸着剤として用いた場合には、吸着剤自身が吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮する。このように、有機高分子材料は、吸放湿時に体積変化することで、無機材料に比べてより多量の水分を吸放出することができ、水分の吸着性能を向上させることができる。
【0006】
しかしながら、有機高分子材料を吸着剤として用いた場合には、吸着剤自身の体積変化によって、フィン間を通過する空気の圧力損失が変化することで風量変化が生じてしまい、例えば、この吸着熱交換器を調湿外気処理装置に適用した場合に換気量が安定しないといったことが懸念される。
【0007】
具体的に、吸着動作時には、吸着熱交換器へ供給された空気は、フィンの間を通過する過程で次第に水分を奪われていく。つまり、吸着側の吸着熱交換器を通過する空気は、フィンの間を通過する過程で絶対湿度が次第に低下し、それに伴って相対湿度も次第に低下していく。そして、一般的には、空気の相対湿度が低くなるほど、空気中の水分が吸着剤に吸着されにくくなる。
【0008】
このため、従来の吸着熱交換器では、空気流の上流側に位置する部分に比べて空気流の下流側に位置する部分に吸着される水分量が少なくなる。有機高分子材料を用いた吸着熱交換器では、空気流の上流側に位置する吸着剤の膨潤量が大きく、下流側に位置する吸着剤の膨潤量が小さくなることで、フィン間の空気通路の通路幅が偏ってしまい、フィン間を通過する空気の圧力損失が局所的に増大する。結果、風量変化が発生する。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィン間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぎ、吸着熱交換器を通過する空気の風量を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するため、本発明は、吸着層における空気流の上流側部分の厚みを、下流側部分に比べて薄くするようにした。
【0011】
具体的に、本発明は、内部を熱媒体が流通する伝熱管(40)と、該伝熱管(40)に取り付けられるとともに表面に吸着剤(35a)が担持された複数のフィン(30)とを備え、該フィン(30)間を通過する空気を該フィン(30)表面の該吸着剤(35a)と接触させる吸着熱交換器を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0012】
すなわち、第1の発明は、前記吸着剤(35a)は、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮するような特性を持ち、
前記フィン(30)の表面には、前記吸着剤(35a)を有する吸着層(35)が形成され、
前記吸着層(35)は、空気流の上流側部分の厚みを下流側部分に比べて薄くすることにより、前記吸着剤(35a)が吸湿により膨潤したときに、空気流の上流側から下流側にかけての厚みが略均一となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0013】
第1の発明では、吸着剤(35a)は、吸湿することにより膨潤、すなわち空気中の水分が吸着剤(35a)へ吸着される際に膨潤する一方、放湿することにより収縮、すなわち吸着剤(35a)から水分が脱離した際に収縮する。フィン(30)の表面には、吸着剤(35a)を有する吸着層(35)が形成される。吸着層(35)は、空気流の上流側部分の厚みが下流側部分に比べて薄くなっている。そのため、吸着剤(35a)が吸湿により膨潤すると、空気流の上流側から下流側にかけての厚みが略均一となる。
【0014】
このような構成とすれば、吸着剤(35a)が吸湿により膨潤したときでも、フィン(30)間の空気通路の通路幅を十分に広く確保することができ、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0015】
具体的に、吸着熱交換器(20)では、空気流の上流側に位置する部分に比べて空気流の下流側に位置する部分に吸着される水分量が少なくなる。これは、吸着側の吸着熱交換器(20)を通過する空気が、フィン(30)間を通過する過程で絶対湿度が次第に低下し、それに伴って相対湿度も次第に低下していくことで、空気中の水分が吸着剤(35a)に吸着されにくくなるからである。
【0016】
ここで、空気流の上流側と下流側とで吸着層(35)の厚みを同じに設定した場合には、吸着層(35)の上流側部分が下流側部分に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなることから、空気流の上流側のフィン(30)間の空気通路の通路幅が狭くなって、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失が局所的に増大してしまう。
【0017】
これに対し、本発明では、吸着層(35)における空気流の上流側部分の厚みを下流側部分に比べて薄く設定しておくことで、吸着層(35)の上流側部分が下流側部分に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなったときでも、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0018】
第2の発明は、第1の発明において、
前記吸着層(35)は、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜していることを特徴とするものである。
【0019】
第2の発明では、吸着層(35)は、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜している。このような構成とすれば、吸着層(35)における空気流の上流側部分の厚みを下流側部分に比べて薄く設定することができ、吸着層(35)の上流側部分が下流側部分に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなったときでも、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0020】
第3の発明は、第1の発明において、
前記複数のフィン(30)は、空気流の上流側に位置するフィン群(21)と、空気流の下流側に位置するフィン群(22)とをそれぞれ構成し、
前記上流側のフィン群(21)の吸着層(36)は、前記下流側のフィン群(22)の吸着層(37)に比べて厚みが薄くなるように構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
第3の発明では、複数のフィン(30)は、空気流の上流側に位置するフィン群(21)と、空気流の下流側に位置するフィン群(22)とをそれぞれ構成している。そして、上流側のフィン群(21)の吸着層(36)は、下流側のフィン群(22)の吸着層(37)に比べて厚みが薄くなっている。
【0022】
このような構成とすれば、吸着層(36)を担持させた上流側のフィン群(21)と、上流側のフィン群(21)の吸着層(36)よりも厚みの厚い吸着層(37)を担持させた下流側のフィン群(22)とをそれぞれ形成した後で、上流側及び下流側のフィン群(21,22)を空気の通過方向に沿って並べるだけで、空気流の下流側から上流側にかけて吸着層(35)の厚みが薄くなる吸着熱交換器(20)を容易に製造することができる。
【0023】
第4の発明は、第3の発明において、
前記上流側のフィン群(21)の吸着層(36)の下流側端部を、前記下流側のフィン群(22)の吸着層(37)の上流側端部に比べて厚みが厚くなるように構成することにより、該上流側のフィン群(21)の吸着層(36)と該下流側のフィン群(22)の吸着層(37)との継ぎ目部分に段差部(34)が形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
第4の発明では、上流側のフィン群(21)の吸着層(36)の下流側端部は、下流側のフィン群(22)の吸着層(37)の上流側端部に比べて厚みが厚くなっている。そのため、上流側及び下流側のフィン群(21,22)の吸着層(36,37)の継ぎ目部分に段差部(34)が形成される。
【0025】
このような構成とすれば、上流側及び下流側のフィン群(21,22)の吸着層(36,37)の継ぎ目部分を空気が通過する際に、段差部(34)において空気の乱流が生じて、空気が吸着剤(35a)に接触しやすくなり、空気中の水分を吸着層(36,37)に対して効率的に吸着させることができる。
【0026】
第5の発明は、内部を熱媒体が流通する伝熱管(40)と、該伝熱管(40)に取り付けられるとともに表面に吸着剤(35a)が担持された複数のフィン(30)とを備え、該フィン(30)間を通過する空気を該フィン(30)表面の該吸着剤(35a)と接触させる吸着熱交換器を対象とし、
前記吸着剤(35a)は、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮するような特性を持ち、
前記フィン(30)の表面には、前記吸着剤(35a)を有する吸着層(35)が形成され、
前記吸着層(35)は、空気流の上流側部分に含まれる前記吸着剤(35a)の量を下流側部分に比べて少なくすることにより、該吸着剤(35a)が吸湿により膨潤したときに、空気流の上流側から下流側にかけての厚みが略均一となるように構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
第5の発明では、吸着剤(35a)は、吸湿することにより膨潤、すなわち空気中の水分が吸着剤(35a)へ吸着される際に膨潤する一方、放湿することにより収縮、すなわち吸着剤(35a)から水分が脱離した際に収縮する。フィン(30)の表面には、吸着剤(35a)を有する吸着層(35)が形成される。そして、吸着層(35)は、空気流の上流側部分に含まれる吸着剤(35a)の量が下流側部分に比べて少なくなっている。そのため、吸着剤(35a)が吸湿により膨潤すると、空気流の上流側から下流側にかけての厚みが略均一となる。
【0028】
このような構成とすれば、空気流の上流側部分と下流側部分とでフィン(30)に担持された吸着剤(35a)の量が相違するから、上流側部分から下流側部分へ至る各部分でのフィン(30)に対する水分吸着量が平均化される。これにより、吸着剤(35a)が吸湿して吸着層(35)が膨潤したときに、空気流の上流側から下流側にかけての吸着層(35)の厚みが略均一となることから、フィン(30)間の空気通路の通路幅の偏りをなくして、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、吸着層(35)における空気流の上流側部分の厚みを下流側部分に比べて薄く設定しておくことで、吸着層(35)の上流側部分が下流側部分に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなったときでも、フィン(30)間の空気通路の通路幅を十分に広く確保することができ、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0030】
また、吸着層(35)における空気流の上流側部分に含まれる吸着剤(35a)の量を、下流側部分に比べて少なく設定しておくことで、上流側部分から下流側部分へ至る各部分でのフィン(30)に対する水分吸着量が平均化することができる。これにより、吸着剤(35a)が吸湿して吸着層(35)が膨潤したときに、空気流の上流側から下流側にかけての吸着層(35)の厚みが略均一となることから、フィン(30)間の空気通路の通路幅の偏りをなくして、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態1に係る冷媒回路の構成と動作を示す冷媒回路図である。
【図2】本実施形態1に係る吸着熱交換器の斜視図である。
【図3】吸着熱交換器をU管側から見た側面図である。
【図4】吸着熱交換器をフィンの短辺側から見た概略側面図である。
【図5】吸着層が膨潤した状態を示す概略側面図である。
【図6】本変形例1に係る吸着熱交換器をフィンの短辺側から見た概略側面図である。
【図7】本変形例2に係る吸着熱交換器をフィンの短辺側から見た概略側面図である。
【図8】本実施形態2に係る吸着熱交換器をフィンの短辺側から見た概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0033】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る冷媒回路の構成と動作を示す冷媒回路図である。本実施形態1に係る調湿装置は、冷媒回路(10)を備え、除湿した空気を室内へ供給する除湿運転と、加湿した空気を室内へ供給する加湿運転とが可能に構成されている。
【0034】
図1に示すように、前記冷媒回路(10)は、第1吸着部材(11)、第2吸着部材(12)、圧縮機(13)、四方切換弁(14)、及び電動膨張弁(15)が設けられた閉回路で構成されている。この冷媒回路(10)には、冷媒が充填されている。冷媒回路(10)では、充填された冷媒を循環させることにより蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。また、第1吸着部材(11)と第2吸着部材(12)は、何れも吸着熱交換器(20)によって構成されている。吸着熱交換器(20)の詳細については後述する。
【0035】
前記冷媒回路(10)において、圧縮機(13)は、その吐出側が四方切換弁(14)の第1ポートに、その吸入側が四方切換弁(14)の第2ポートにそれぞれ接続されている。第1吸着部材(11)の一端は、四方切換弁(14)の第3ポートに接続されている。第1吸着部材(11)の他端は、電動膨張弁(15)を介して第2吸着部材(12)の一端に接続されている。第2吸着部材(12)の他端は、四方切換弁(14)の第4ポートに接続されている。
【0036】
前記四方切換弁(14)は、第1ポートと第3ポートが連通して第2ポートと第4ポートが連通する第1状態(図1(a)に示す状態)と、第1ポートと第4ポートが連通して第2ポートと第3ポートが連通する第2状態(図1(b)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
【0037】
上述のように、前記第1吸着部材(11)及び第2吸着部材(12)は、それぞれが吸着熱交換器(20)によって構成されている。この吸着熱交換器(20)について、図2〜図5を参照しながら説明する。
【0038】
図2に示すように、前記吸着熱交換器(20)は、いわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器である。吸着熱交換器(20)は、銅製の伝熱管(40)とアルミニウム製のフィン(30)とを複数ずつ備えている。フィン(30)は、それぞれが長方形板状に形成され、一定の間隔で並べられている。各伝熱管(40)は、直管状に形成され、一定間隔で並べられたフィン(30)を貫通している。つまり、吸着熱交換器(20)では、各伝熱管(40)の軸方向に沿って多数のフィン(30)が等間隔で配置されている。
【0039】
図3は、本実施形態1に係る吸着熱交換器をU管側から見た側面図である。図3にも示すように、吸着熱交換器(20)では、各伝熱管(40)の配列がいわゆる千鳥配列となっている。具体的に、この吸着熱交換器(20)では、フィン(30)の長辺に沿って所定のピッチで伝熱管(40)が配置されている。また、この吸着熱交換器(20)では、フィン(30)の短辺に沿っても所定のピッチで伝熱管(40)が配置されている。フィン(30)の長辺方向における伝熱管(40)のピッチがいわゆる段ピッチであり、フィン(30)の短辺方向における伝熱管(40)のピッチがいわゆる列ピッチである。
【0040】
前記吸着熱交換器(20)では、フィン(30)の長辺に沿って一列に並んだ一群の伝熱管(40)が第1管列(41)〜第4管列(44)を構成している。第1管列(41)〜第4管列(44)は、空気流の上流側(図3における左側)から下流側にかけて順に並べられている。
【0041】
ここで、前記第1管列(41)〜第4管列(44)のうち隣接するものは、フィン(30)の長手方向へ段ピッチの半分だけずれている。また、第1管列(41)〜第4管列(44)では、隣接する伝熱管(40)が互いにU字状のU管(45)で接続されている。さらに、図4に示すように、第1管列(41)〜第4管列(44)は、互いに並列に接続されている。
【0042】
前記冷媒回路(10)では、吸着熱交換器(20)における第1管列(41)〜第4管列(44)の一端が四方切換弁(14)に接続され、第1管列(41)〜第4管列(44)の他端が電動膨張弁(15)に接続されている。
【0043】
前記フィン(30)は、第1管列(41)〜第4管列(44)ごとに分割された第1フィン群(21)〜第4フィン群(24)を構成している。具体的に、吸着熱交換器(20)では、第1管列(41)に密着する第1フィン群(21)と、第2管列(42)に密着する第2フィン群(22)と、第3管列(43)に密着する第3フィン群(23)と、第4管列(44)に密着する第4フィン群(24)とがそれぞれ設けられている。
【0044】
図4に示すように、前記フィン(30)の表面には、吸着層(35)が形成されている。この吸着層(35)は、吸湿性を有する有機高分子材料からなる吸着剤(35a)と、ウレタン樹脂等からなるバインダとによって構成されている。この吸着剤(35a)として用いられる有機高分子材料では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
【0045】
前記吸着剤(35a)は、水蒸気を捕捉(すなわち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤(35a)が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤(35a)が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤(35a)の体積が増加する。
【0046】
このように、前記吸着剤(35a)では、水蒸気が吸着剤(35a)に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤(35a)に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤(35a)には、水蒸気が収着される。また、この吸着剤(35a)に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤(35a)には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
【0047】
また、この吸着剤(35a)は、水蒸気を放出(すなわち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤(35a)が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤(35a)の体積が減少する。
【0048】
前記吸着剤(35a)は、フィン(30)に対してバインダによって接合されており、空気流の上流側から下流側にかけての厚みが略均一となるように設定されている。また、特に図示しないが、伝熱管(40)の表面にも吸着層(35)が形成されている。
【0049】
なお、本実施形態1の吸着剤(35a)として用いられる材料は、吸湿することによって膨潤して放湿することによって収縮するものであれば上述した材料に限定されず、例えば吸湿性を有するイオン交換樹脂であってもよい。
【0050】
ここで、前記吸着層(35)は、厚みが相違する第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)で構成されている。具体的に、第1フィン群(21)の表面には第1吸着層(36)が、第2フィン群(22)の表面には第2吸着層(37)が、第3フィン群(23)の表面には第3吸着層(38)が、第4フィン群(24)の表面には第4吸着層(39)がそれぞれ形成されている。
【0051】
前記吸着熱交換器(20)では、空気流の上流側から下流側(図4では左側から右側)へ向かって順に、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)が形成されている。また、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)の厚みは、第1吸着層(36)、第2吸着層(37)、第3吸着層(38)、第4吸着層(39)の順に大きくなる。
【0052】
このような構成とすれば、吸着剤(35a)が吸湿により膨潤したときでも、フィン(30)間の空気通路の通路幅を十分に広く確保することができ、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0053】
具体的に、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)の厚みを全て同じに設定した場合には、第1吸着層(36)が第2吸着層(37)〜第4吸着層(39)に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなることから、空気流の上流側のフィン(30)間の空気通路の通路幅が狭くなって、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失が局所的に増大してしまう。
【0054】
これは、吸着側の吸着熱交換器(20)を通過する空気が、フィン(30)間を通過する過程で絶対湿度が次第に低下し、それに伴って相対湿度も次第に低下していくことで、空気中の水分が吸着剤(35a)に吸着されにくくなるからである。
【0055】
これに対し、本発明では、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)の厚みを順に大きくなるように設定しておくことで、図5に示すように、第1吸着層(36)が第2吸着層(37)〜第4吸着層(39)に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなったときでも、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0056】
なお、本実施形態1では、吸着熱交換器(20)のフィン(30)を、第1管列(41)〜第4管列(44)ごとに分割して第1フィン群(21)〜第4フィン群(24)を構成するようにしたものについて説明したが、この形態に限定するものではなく、例えば、第1管列(41)と第2管列(42)とに密着する第1フィン群(21)と、第3管列(43)と第4管列(44)とに密着する第2フィン群(22)との2つに分割した構成としても良い。さらに、フィン(30)を分割することなく、1枚のフィン(30)に対して第1管列(41)〜第4管列(44)を設けた構成としても良い。
【0057】
−運転動作−
前記調湿装置では、除湿運転と加湿運転とが可能である。この調湿装置は、除湿運転中と加湿運転中の何れにおいても、第1動作と第2動作を所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返す。
【0058】
前記調湿装置は、除湿運転中であれば第1空気として室外空気(OA)を、第2空気として室内空気(RA)をそれぞれ取り込む。また、前記調湿装置は、加湿運転中であれば第1空気として室内空気(RA)を、第2空気として室外空気(OA)をそれぞれ取り込む。
【0059】
まず、第1動作について説明する。第1動作中には、第1吸着部材(11)へ第2空気が、第2吸着部材(12)へ第1空気がそれぞれ送り込まれる。この第1動作では、第1吸着部材(11)についての再生動作と、第2吸着部材(12)についての吸着動作とが行われる。
【0060】
図1(a)に示すように、第1動作中の冷媒回路(10)では、四方切換弁(14)が第1状態に設定される。圧縮機(13)を運転すると、冷媒回路(10)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(10)では、第1吸着部材(11)が凝縮器として機能し、第2吸着部材(12)が蒸発器として機能する。
【0061】
具体的に、圧縮機(13)から吐出された冷媒は、第1吸着部材(11)で放熱して凝縮する。第1吸着部材(11)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(15)を通過する際に減圧され、その後に第2吸着部材(12)で吸熱して蒸発する。第2吸着部材(12)で蒸発した冷媒は、圧縮機(13)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(13)から吐出される。
【0062】
前記吸着熱交換器(20)により構成された第1吸着部材(11)では、フィン(30)表面の吸着層(35)が伝熱管(40)内の冷媒によって加熱され、加熱された吸着層(35)から脱離した水分が第2空気に付与される。また、同じく吸着熱交換器(20)により構成された第2吸着部材(12)では、フィン(30)表面の吸着層(35)に第1空気中の水分が吸着され、発生した吸着熱が伝熱管(40)内の冷媒に吸熱される。
【0063】
そして、除湿運転中であれば、第2吸着部材(12)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第1吸着部材(11)から脱離した水分が第2空気とともに室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第1吸着部材(11)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第2吸着部材(12)に水分を奪われた第1空気が室外へ排出される。
【0064】
次に、第2動作について説明する。第2動作中には、第1吸着部材(11)へ第1空気が、第2吸着部材(12)へ第2空気がそれぞれ送り込まれる。この第2動作では、第2吸着部材(12)についての再生動作と、第1吸着部材(11)についての吸着動作とが行われる。
【0065】
図1(b)に示すように、第2動作中の冷媒回路(10)では、四方切換弁(14)が第2状態に設定される。圧縮機(13)を運転すると、冷媒回路(10)で冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(10)では、第2吸着部材(12)が凝縮器として機能し、第1吸着部材(11)が蒸発器として機能する。
【0066】
具体的に、圧縮機(13)から吐出された冷媒は、第2吸着部材(12)で放熱して凝縮する。第2吸着部材(12)で凝縮した冷媒は、電動膨張弁(15)を通過する際に減圧され、その後に第1吸着部材(11)で吸熱して蒸発する。第1吸着部材(11)で蒸発した冷媒は、圧縮機(13)へ吸入されて圧縮され、再び圧縮機(13)から吐出される。
【0067】
前記吸着熱交換器(20)により構成された第2吸着部材(12)では、フィン(30)表面の吸着層(35)が伝熱管(40)内の冷媒によって加熱され、加熱された吸着層(35)から脱離した水分が第2空気に付与される。また、同じく吸着熱交換器(20)により構成された第1吸着部材(11)では、フィン(30)表面の吸着層(35)に第1空気中の水分が吸着され、発生した吸着熱が伝熱管(40)内の冷媒に吸熱される。
【0068】
そして、除湿運転中であれば、第1吸着部材(11)で除湿された第1空気が室内へ供給され、第2吸着部材(12)から脱離した水分が第2空気とともに室外へ排出される。一方、加湿運転中であれば、第2吸着部材(12)で加湿された第2空気が室内へ供給され、第1吸着部材(11)に水分を奪われた第1空気が室外へ排出される。
【0069】
−吸着熱交換器への水分の吸着−
上述のように、前記調湿装置の運転中には、第1吸着部材(11)や第2吸着部材(12)を構成する吸着熱交換器(20)が蒸発器として機能し、その吸着熱交換器(20)へ空気中の水分が吸着される。蒸発器として機能する吸着熱交換器(20)へは、低圧冷媒が冷却用の熱媒体として供給される。ここでは、蒸発器となっている吸着熱交換器(20)へ空気中の水分が吸着される過程について説明する。
【0070】
蒸発器となっている吸着熱交換器(20)では、電動膨張弁(15)で減圧された冷媒が第1管列(41)〜第4管列(44)へ分配される。吸着熱交換器(20)へ送り込まれた空気は、第1フィン群(21)〜第4フィン群(24)を順に通過し、その過程で熱と水分を吸着熱交換器(20)に奪われていく。そして、空気がフィン(30)同士の間を通過する際に吸着層(35)と接触して吸着層(35)が膨潤する。
【0071】
以上のように、本実施形態1に係る吸着熱交換器(20)によれば、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)の厚みを順に大きくなるように設定しておくことで、第1吸着層(36)が第2吸着層(37)〜第4吸着層(39)に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなったときでも、フィン(30)間の空気通路の通路幅を十分に広く確保することができ、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0072】
<実施形態1の変形例1>
図6は、本発明の変形例1に係る吸着熱交換器をフィンの短辺側から見た概略側面図である。図6に示すように、この吸着熱交換器(20)のフィン(30)の表面には、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜した吸着層(35)が形成されている。
【0073】
このような構成とすれば、吸着層(35)における空気流の上流側部分の厚みを下流側部分に比べて薄く設定することができ、吸着層(35)の上流側部分が下流側部分に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなったときでも、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0074】
<実施形態1の変形例2>
図7は、本発明の変形例2に係る吸着熱交換器をフィンの短辺側から見た概略側面図である。図7に示すように、この吸着熱交換器(20)のフィン(30)は、第1管列(41)〜第4管列(44)ごとに分割された第1フィン群(21)〜第4フィン群(24)を構成している。具体的に、吸着熱交換器(20)では、第1管列(41)に密着する第1フィン群(21)と、第2管列(42)に密着する第2フィン群(22)と、第3管列(43)に密着する第3フィン群(23)と、第4管列(44)に密着する第4フィン群(24)とがそれぞれ設けられている。
【0075】
そして、前記第1フィン群(21)〜第4フィン群(24)の表面には、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)が形成されている。第1吸着層(36)は、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜している。
【0076】
前記第2吸着層(37)は、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜するとともに、第1吸着層(36)の下流側端部の方が第2吸着層(37)の上流側端部に比べて厚みが厚くなっている。これにより、第1吸着層(36)と第2吸着層(37)との継ぎ目部分に段差部(34)が形成されている。
【0077】
前記第3吸着層(38)は、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜するとともに、第2吸着層(37)の下流側端部の方が第3吸着層(38)の上流側端部に比べて厚みが厚くなっている。これにより、第2吸着層(37)と第3吸着層(38)との継ぎ目部分に段差部(34)が形成されている。
【0078】
前記第4吸着層(39)は、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜するとともに、第3吸着層(38)の下流側端部の方が第4吸着層(39)の上流側端部に比べて厚みが厚くなっている。これにより、第3吸着層(38)と第4吸着層(39)との継ぎ目部分に段差部(34)が形成されている。
【0079】
そして、前記第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)の下流側端部の頂点部をそれぞれ繋ぐ仮想線は、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜している。
【0080】
このような構成とすれば、第1及び第2吸着層(36,37)、第2及び第3吸着層(37,38)、第3及び第4吸着層(38,39)の継ぎ目部分を空気が通過する際に、段差部(34)において空気の乱流が生じて空気が吸着剤(35a)に接触しやすくなり、空気中の水分を吸着層(35)に対して効率的に吸着させることができる。
【0081】
さらに、吸着層(35)における空気流の上流側部分の厚みを下流側部分に比べて薄く設定することができ、吸着層(35)の上流側部分が下流側部分に比べてより多くの水分を吸湿してその膨潤量が大きくなったときでも、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【0082】
<実施形態2>
図8は、本発明の実施形態2に係る吸着熱交換器をフィンの短辺側から見た概略側面図である。前記実施形態1との違いは、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)における吸着剤(35a)の質量割合であるため、以下、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付し、相違点についてのみ説明する。
【0083】
図8に示すように、各フィン(30)の表面には、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)が形成されている。具体的に、吸着熱交換器(20)の各フィン(30)では、第1フィン群(21)に位置する部分の表面に第1吸着層(36)が、第2フィン群(22)に位置する部分の表面に第2吸着層(37)が、第3フィン群(23)に位置する部分の表面に第3吸着層(38)が、第4フィン群(24)に位置する部分の表面に第4吸着層(39)が、それぞれ形成されている。
【0084】
前記第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)は、吸収性を有する有機高分子材料からなる吸着剤(35a)と、ウレタン樹脂等からなるバインダとによって構成されている。この吸着剤(35a)は、吸湿することにより膨潤、すなわち空気中の水分が吸着剤(35a)へ吸着される際に膨潤する一方、放湿することにより収縮、すなわち吸着剤(35a)から水分が脱離した際に収縮するような特性を持っており、吸着剤(35a)自身の体積が吸湿時と放湿時とで変化する。この吸着剤(35a)は、フィン(30)に対してバインダによって接合されている。
【0085】
前記第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)では、吸着剤(35a)とバインダの比率が所定の値に設定されている。吸着剤(35a)とバインダの比率は、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)ごとに相違している。具体的に、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)における吸着剤(35a)の質量割合は、第1吸着層(36)、第2吸着層(37)、第3吸着層(38)、第4吸着層(39)の順に高くなっている。つまり、これら第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)は、空気流の下流側に位置するものほど吸着剤の質量割合が高くなっている。このように、前記吸着熱交換器(20)では、第1フィン群(21)から第4フィン群(24)にかけてフィン(30)に吸着される水分量が平均化されるように、空気流の上流側に位置する第1フィン群(21)に比べて下流側に位置する第4フィン群(24)の方がフィン(30)に担持された吸着剤(35a)の量が多くなっている。
【0086】
以上のように、本実施形態2に係る吸着熱交換器(20)によれば、第1吸着層(36)〜第4吸着層(39)の吸着剤(35a)の量を相違させるようにしたから、第1吸着層(36)から第4吸着層(39)へ至る各部分でのフィン(30)に対する水分吸着量が平均化される。これにより、吸着剤(35a)が吸湿して吸着層(35)が膨潤したときに、空気流の上流側から下流側にかけての吸着層(35)の厚みが略均一となることから、フィン(30)間の空気通路の通路幅の偏りをなくして、フィン(30)間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明は、有機高分子材料を用いた吸着熱交換器において、フィン間を通過する空気の圧力損失の局所的な増大を防ぎ、この吸着熱交換器を通過する空気の風量を安定させることができるという実用性の高い効果が得られることから、きわめて有用で産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0088】
20 吸着熱交換器
21 第1フィン群
22 第2フィン群
30 フィン
34 段差部
35 吸着層
35a 吸着剤
36 第1吸着層
37 第2吸着層
40 伝熱管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を熱媒体が流通する伝熱管(40)と、該伝熱管(40)に取り付けられるとともに表面に吸着剤(35a)が担持された複数のフィン(30)とを備え、該フィン(30)間を通過する空気を該フィン(30)表面の該吸着剤(35a)と接触させる吸着熱交換器であって、
前記吸着剤(35a)は、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮するような特性を持ち、
前記フィン(30)の表面には、前記吸着剤(35a)を有する吸着層(35)が形成され、
前記吸着層(35)は、空気流の上流側部分の厚みを下流側部分に比べて薄くすることにより、前記吸着剤(35a)が吸湿により膨潤したときに、空気流の上流側から下流側にかけての厚みが略均一となるように構成されていることを特徴とする吸着熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、
前記吸着層(35)は、空気流の下流側部分から上流側部分にかけてその厚さが徐々に薄くなるように傾斜していることを特徴とする吸着熱交換器。
【請求項3】
請求項1において、
前記複数のフィン(30)は、空気流の上流側に位置するフィン群(21)と、空気流の下流側に位置するフィン群(22)とをそれぞれ構成し、
前記上流側のフィン群(21)の吸着層(36)は、前記下流側のフィン群(22)の吸着層(37)に比べて厚みが薄くなるように構成されていることを特徴とする吸着熱交換器。
【請求項4】
請求項3において、
前記上流側のフィン群(21)の吸着層(36)の下流側端部を、前記下流側のフィン群(22)の吸着層(37)の上流側端部に比べて厚みが厚くなるように構成することにより、該上流側のフィン群(21)の吸着層(36)と該下流側のフィン群(22)の吸着層(37)との継ぎ目部分に段差部(34)が形成されていることを特徴とする吸着熱交換器。
【請求項5】
内部を熱媒体が流通する伝熱管(40)と、該伝熱管(40)に取り付けられるとともに表面に吸着剤(35a)が担持された複数のフィン(30)とを備え、該フィン(30)間を通過する空気を該フィン(30)表面の該吸着剤(35a)と接触させる吸着熱交換器であって、
前記吸着剤(35a)は、吸湿することにより膨潤して放湿することにより収縮するような特性を持ち、
前記フィン(30)の表面には、前記吸着剤(35a)を有する吸着層(35)が形成され、
前記吸着層(35)は、空気流の上流側部分に含まれる前記吸着剤(35a)の量を下流側部分に比べて少なくすることにより、該吸着剤(35a)が吸湿により膨潤したときに、空気流の上流側から下流側にかけての厚みが略均一となるように構成されていることを特徴とする吸着熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−249403(P2010−249403A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99118(P2009−99118)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】