吸着装置および搬送装置
【課題】弾性材料からなる吸着パッドにおける吸引口の位置精度を高め得る吸着装置および搬送装置を提供する。
【解決手段】吸着装置20には、金属製のホルダ30と、炭素を含む導電性のゴム等の弾性材料からなる4つの吸着パッド40a〜40dと、各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態でホルダ30に固定される金属製の固定治具50とが設けられており、この固定治具50には、各吸着パッド40a〜40dの吸引口44が露出する開口が形成されている。
【解決手段】吸着装置20には、金属製のホルダ30と、炭素を含む導電性のゴム等の弾性材料からなる4つの吸着パッド40a〜40dと、各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態でホルダ30に固定される金属製の固定治具50とが設けられており、この固定治具50には、各吸着パッド40a〜40dの吸引口44が露出する開口が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを吸着する吸着装置および搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップ等のワークを吸着する吸着装置に関する技術として、下記特許文献1に開示されるウェハ貼付装置が知られている。この装置は、ウェハをマウント板に貼り付ける装置として構成されており、片面に接着剤が塗布されたウェハを、チャンバー内に搬入して接着剤を塗布していない面を吸着パッドに接触させた状態で、この吸着パッド内を真空作用で吸引することにより当該吸着パッドに吸着保持させる。そして、チャンバー内を真空作用により吸引し、チャンバー内の真空度が上記吸着パッドの真空度を越えると、ウェハを吸着している吸着パッドが伸長し、ウェハの保持が解放されてウェハはマウント板上に載置されて、貼り付けられることとなる。上記吸着パッドは、ウェハを吸着保持するとき収縮し、当該ウェハをマウント板に載置するとき伸長するよう適宜の弾性を有する弾性材料で作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−189293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の吸着パッドは、同文献の図1から分かるように、保持板にネジ部材を介して取り付けられており、弾性材料にて形成されていることから、保持板に対する吸着パッドの取付位置精度を高めることは困難である。保持板等に対する吸着パッドの取付位置精度が低下すると、吸着部分である吸引口の位置精度が低下してしまい、吸着対象のワークに対して規定の位置にて吸着することができずに安定した吸着作業が困難になるという問題が発生する。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、弾性材料からなる吸着パッドにおける吸引口の位置精度を高め得る吸着装置および搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の吸着装置では、負圧発生源に連通する連通孔が吸引部に形成されるホルダと、弾性材料からなり前記吸引部の周囲を覆うとともに前記連通孔に連通する吸引口が形成される吸着パッドと、を備える吸着装置であって、前記吸着パッドを前記吸引部に対して押圧した状態で前記ホルダに固定される金属製の固定部材を備え、前記固定部材には、前記吸引口が露出する開口が形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の吸着装置において、前記ホルダには、前記吸引部が複数形成され、前記固定部材は、複数の前記吸着パッドを前記複数の吸引部に対してそれぞれ押圧した状態で前記ホルダに固定されて、これら各吸着パッドの前記吸引口がそれぞれ露出するように前記開口が複数形成されることを特徴とする。
【0008】
特許請求の範囲に記載の請求項3の搬送装置では、請求項1または2に記載の吸着装置によりワークを吸着して搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、吸着パッドを吸引部に対して押圧した状態でホルダに固定される金属製の固定部材が設けられており、この固定部材には、吸着パッドの吸引口が露出する開口が形成されている。
【0010】
これにより、ホルダに対する吸引口の位置精度が、吸着パッドを押圧する固定部材の加工精度により高められるので、弾性材料からなる吸着パッドを採用する場合であっても吸着パッドにおける吸引口の位置精度を高めることができる。その結果、安定した吸着作業を実現することができる。
【0011】
請求項2の発明では、ホルダには、吸引部が複数形成されており、固定部材は、複数の吸着パッドを複数の吸引部に対してそれぞれ押圧した状態でホルダに固定されて、これら各吸着パッドの吸引口がそれぞれ露出するように開口が複数形成されている。
【0012】
これにより、複数の吸引部に吸着パッドがそれぞれ取り付けられる場合であっても、ホルダに対する各吸着パッドの吸引口の位置精度をそれぞれ高めることができる。さらに、各吸引口間のピッチ精度をも高めることができる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1または2に記載の吸着装置によりワークを吸着して搬送するため、弾性材料からなる吸着パッドにおける吸引口の位置精度を高め得る等の、請求項1または2の各発明による作用・効果を享受した搬送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る吸着装置を採用する搬送装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の吸着装置の詳細形状を示す説明図である。
【図3】図2のホルダの詳細形状を示す説明図である。
【図4】図2の吸着パッドの詳細形状を示す説明図である。
【図5】図2の固定治具の詳細形状を示す説明図である。
【図6】固定治具による吸着パッドの押圧状態を示す断面図である。
【図7】図7(A)は、固定治具を使用しない状態でのホルダに対する吸引口の位置精度を示す説明図であり、図7(B)は、固定治具を使用した状態でのホルダに対する吸引口の位置精度を示す説明図である。
【図8】図8(A)は、固定治具を使用しない状態での各吸引口間のピッチ精度を示す説明図であり、図8(B)は、固定治具を使用した状態での各吸引口間のピッチ精度を示す説明図である。
【図9】吸着装置による吸着状態を示す説明図である。
【図10】本実施形態の第1変形例に係る吸着装置の要部を示す説明図である。
【図11】本実施形態の第2変形例に係る吸着装置の要部を示す説明図である。
【図12】本実施形態の第3変形例に係る吸着装置の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の吸着装置およびこの吸着装置を採用する搬送装置を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る吸着装置20を採用する搬送装置10の構成を概略的に示すブロック図である。
【0016】
図1(A)〜(D)に示すように、搬送装置10は、半導体チップ等のワークを吸着装置20にて吸着した状態で所定の位置に搬送する装置であって、吸着装置20と、この吸着装置20を所定の位置に移動させる移動装置11と、移動装置11による吸着装置20の移動を制御する制御装置12とを備えている。
【0017】
例えば、この搬送装置10は、制御装置12により制御される移動装置11により、図1(A)に例示するように、チップケース13に収容された半導体チップ15を吸着状態の吸着装置20にて吸着すると、図1(B)に例示するように、半導体チップ15を吸着した状態の吸着装置20を規定の方向へ移動させる。そして、図1(C)に例示するように、はんだ17を塗布したリードフレーム16に対して所定の位置まで移動させた吸着装置20の吸着状態を解除することで、図1(D)に例示するように、半導体チップ15がリードフレーム16にはんだ17を介して取り付けられることとなる。
【0018】
次に、吸着装置20について、図2〜図6を用いて説明する。図2は、図1の吸着装置20の詳細形状を示す説明図であり、図2(A)は側面図、図2(B)は下面図である。図3は、図2のホルダ30の詳細形状を示す説明図であり、図3(A)は側面図、図3(B)は下面図である。図4は、図2の吸着パッド40aの詳細形状を示す説明図であり、図4(A)は側面図、図4(B)は下面図である。図5は、固定治具50の詳細形状を示す説明図であり、図5(A)は側面図、図5(B)は下面図である。図6は、固定治具50による吸着パッド40aの押圧状態を示す断面図である。
【0019】
図2(A),(B)に示すように、吸着装置20は、金属製のホルダ30と、炭素を含む導電性のゴム等の弾性材料からなる4つの吸着パッド40a〜40dと、金属製の固定治具50とを備えている。当該吸着装置20は、減圧ポンプ等の負圧発生源によって発生した負圧力を利用して吸着状態となり、吸着対象の半導体チップ15等を吸着するように構成されている。
【0020】
図3(A),(B)に示すように、ホルダ30は、その上面にて移動装置11に取り付けられる基台31の下方に治具固定台32が設けられこの治具固定台32から4つの吸引部33a〜33dが下方に突出するように形成されている。各吸引部33a〜33dは、それぞれ連通孔34a〜34dが同軸的に設けられることで、略円筒状にそれぞれ形成されており、これら各連通孔34a〜34dは、上記負圧発生源にて発生する負圧力が供給されるように、治具固定台32および基台31等を貫通して形成されている。
【0021】
基台31の下面の四隅には、それぞれ座ぐり部が形成されており、各座ぐり部のうち対向する2カ所には基台31を移動装置11に対して締結して固定するためのネジ穴として断面円形状の貫通孔31a,31bが形成されるとともに、残りの隅の1つには基台31を移動装置11に対して位置決めをするための断面長穴状の貫通孔31cが形成されている。
【0022】
治具固定台32の下面には、固定治具50を当該ホルダ30に対して位置決めするための2カ所の切り欠き32aが下面外縁にて対向する位置に形成され、固定治具50を当該ホルダ30に対して締結して固定するためのねじ穴32bが下面中央に形成されている。
【0023】
各吸着パッド40a〜40dは、対応する吸引部33a〜33dをそれぞれ覆うように当該各吸引部33a〜33dの先端側からそれぞれ取り付けられることで、各吸引部33a〜33dが直接ワークに接触することを防止する機能を有するものである。各吸着パッド40a〜40dは、全て同じ形状に形成されているため、吸着パッド40aを代表例として説明する。
【0024】
図4に示すように、吸着パッド40aには、吸引部33aを挿入させるための貫通孔41が形成されており、当該吸着パッド40aは、その上端部42が治具固定台32の下面に接触するまで吸引部33aを貫通孔41に挿入するとき、吸引部33aが吸着パッド40の下端部43から突出しないように形成されている(図2参照)。吸着パッド40の下端部43は、テーパ状であって、挿入した吸引部33aが貫通孔41を介して吸引口44に連通するように形成されている。各吸着パッド40b〜40dも、吸着パッド40aと同様に形成されている。
【0025】
固定治具50は、各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態でホルダ30に固定する機能を有するもので、当該固定治具50には、図5に示すように、各吸着パッド40a〜40dがそれぞれ挿通する4つの貫通孔51a〜51dが形成されている。
【0026】
図6に示すように、各貫通孔51a〜51dの下端部52a〜52dは、各吸着パッド40a〜40dの下端部43のテーパ形状に沿い環状に面接触するようにテーパ状に形成され、かつ、吸着パッド40の下端部43が開口53a〜53dから僅かに突出して露出するように形成されている。なお、図6では、吸着パッド40aを貫通孔51aに挿入した状態を例示している。
【0027】
また、固定治具50には、その上面50aの外縁に、治具固定台32の両切り欠き32aに係合する略凸状の係合部55が2カ所形成されており、その下面50bの中央に、当該固定治具50を当該ホルダ30に対して締結して固定するための座ぐり部56および貫通孔57が形成されている。
【0028】
上述のように形成されたホルダ30の吸引部33a〜33dに対して各吸着パッド40a〜40dを取り付けた後、両係合部55を治具固定台32の両切り欠き32aに係合させるように固定治具50をホルダ30に取り付けて、貫通孔57を挿通したねじ21をねじ穴32bに締結する。これにより、図2に示す吸着装置20が完成する。このとき、各吸着パッド40a〜40dは、対応する吸引部33a〜33dに対して固定治具50により押圧された状態でホルダ30に固定されることとなる。
【0029】
ここで、上述のように固定治具50により各吸着パッド40a〜40dを各吸引部33a〜33dに対して押圧する理由について、図7および図8を用いて説明する。図7(A)は、固定治具50を使用しない状態でのホルダ30に対する吸引口44の位置精度を示す説明図であり、図7(B)は、固定治具50を使用した状態でのホルダ30に対する吸引口44の位置精度を示す説明図である。図8(A)は、固定治具50を使用しない状態での各吸引口44間のピッチ精度を示す説明図であり、図8(B)は、固定治具50を使用した状態での各吸引口44間のピッチ精度を示す説明図である。なお、図7(A),(B)では、吸着パッド40aを吸引部33aに取り付ける状態を例示している。
【0030】
各吸着パッド40a〜40dは、ワーク保護の観点から弾性材料にて形成されているため、固定治具50を使用しない状態において、ホルダ30に対する各吸着パッド40a〜40dの取付位置精度は、弾性材料の加工精度である±50μm程度となる。すなわち、図7(A)に示す固定治具50を使用しない状態でのホルダ30に対する吸引口44の位置精度E1,S1は、50μm程度となる。
【0031】
一方、固定治具50にて各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態では、固定治具50の加工精度である±20μm程度が、そのままホルダ30に対する各吸着パッド40a〜40dの取付位置精度となる。すなわち、図7(B)に示す固定治具50を使用した状態でのホルダ30に対する吸引口44の位置精度E2,S2は、20μm程度となり、固定治具50を使用しない場合よりもその位置精度を高めることができる。
【0032】
さらに、固定治具50を使用しない状態では、図8(A)に示す各吸引口44間のピッチ精度F1は、弾性材料の加工精度程度になる。一方、固定治具50を使用した状態では、図8(B)に示す各吸引口44間のピッチ精度F2は、固定治具50の加工精度程度になり、固定治具50を使用しない場合よりもそのピッチ精度を高めることができる。
【0033】
また、各吸着パッド40a〜40dが吸引部33a〜33dに対して固定されることなく単に取り付けられている場合、経時変化等により吸着パッド40a〜40dの少なくともいずれかが徐々に下方向にずれる場合がある。例えば、吸着パッド40aのみが下方に位置ずれして半導体チップ15に接触すると、吸着時の片当たりが生じ半導体チップ15を吸着ミスしてしまう。そこで、上述のように固定治具50により各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態でホルダ30に固定することで、各吸着パッド40a〜40dの下方への位置ずれを確実に防止することができる。
【0034】
次に、上述のように構成される吸着装置20における吸着状態について、図9を用いて説明する。図9は、吸着装置20による吸着状態を示す説明図である。
吸着装置20では、減圧ポンプ等の負圧発生源によって負圧力が発生すると、各連通孔34a〜34dおよび各貫通孔41が負圧状態となる。このため、半導体チップ15が、各吸引口44に吸い付けられて、固定治具50の開口53a〜53dから露出する各吸着パッド40a〜40dの下端部43に吸着されることとなる。
【0035】
この吸着時には、各吸着パッド40a〜40dの下端部43のみが半導体チップ15に接触するので、当該半導体チップ15が破損することもない。また、各吸着パッド40a〜40dが固定治具50により対応する吸引部33a〜33dに対して押圧されているので、各吸引口44が下方へ位置ずれすることもなくホルダ30に対する位置精度やピッチ精度が高められて、安定した吸着作業を実現することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る吸着装置20では、各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態でホルダ30に固定される金属製の固定治具50が設けられており、この固定治具50には、各吸着パッド40a〜40dの吸引口44が露出する開口53a〜53dが形成されている。
【0037】
これにより、ホルダ30に対する吸引口44の位置精度が、各吸着パッド40a〜40dを押圧する固定治具50の加工精度により高められるので、弾性材料からなる吸着パッド40a〜40dを採用する場合であってもそれぞれの吸着パッド40a〜40dにおける吸引口44の位置精度を高めることができる。その結果、安定した吸着作業を実現することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る吸着装置20では、ホルダ30には、吸引部33a〜33dが4つ形成されており、固定治具50は、各吸着パッド40a〜40dを各吸引部33a〜33dに対してそれぞれ押圧した状態でホルダ30に固定されて、これら各吸着パッド40a〜40dの吸引口44がそれぞれ露出するように開口が4つ形成されている。
【0039】
これにより、複数の吸引部33a〜33dに吸着パッド40a〜40dがそれぞれ取り付けられる場合であっても、ホルダ30に対する各吸着パッド40a〜40dの吸引口44の位置精度をそれぞれ高めることができる。さらに、各吸引口44間のピッチ精度をも高めることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る搬送装置10では、上述した吸着装置20によりワークを吸着して搬送するため、弾性材料からなる吸着パッド40a〜40dにおける吸引口44の位置精度を高め得る等の、各発明による作用・効果を享受した搬送装置を実現することができる。
【0041】
図10は、本実施形態の第1変形例に係る吸着装置20の要部を示す説明図である。図11は、本実施形態の第2変形例に係る吸着装置20の要部を示す説明図である。図12は、本実施形態の第3変形例に係る吸着装置20の要部を示す説明図であり、図12(A)は側面図、図12(B)は下面図である。
【0042】
第1実施形態の第1変形例として、図10に示すように、固定治具50の各貫通孔51a〜51dの下端部52a〜52dは、一部のみが各吸着パッド40a〜40dの下端部43に対して環状に面接触するように形成されてもよい。また、第1実施形態の第2変形例として、図11に示すように、各吸着パッド40a〜40dの下端部43が曲面状に形成される場合に、固定治具50の各貫通孔51a〜51dの下端部52a〜52dは、一部のみが当該下端部43に対して環状に面接触するように形成されてもよい。
【0043】
第1実施形態の第3変形例として、図12(A),(B)に示すように、固定治具50は、各吸着パッド40a〜40dを押圧部58a〜58dにてそれぞれ個別に押圧するように形成されてもよい。当該固定治具50は、両係合部55を治具固定台32の両切り欠き32aに係合させた状態で2カ所のねじ22によりホルダ30に締結されている。このとき、各吸着パッド40a〜40dの下端部43に面接触する固定治具50の部位は、上述のように環状に面接触するように形成されることに限らず、例えば、3カ所以上等分割された状態で、下端部43に対して部分的に面接触するように形成されてもよい。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)吸引部(33a〜33d)は、治具固定台32に4つ設けられることに限らず、治具固定台32に1つ〜3つ設けられてもよいし、5つ以上設けられてもよい。この場合、吸引部には、対応する吸着パッド40が取り付けられるとともに、固定治具50は、この吸着パッド40を対応する吸引部に対して押圧した状態でホルダ30に固定するように形成される。
【0045】
(2)吸着装置20は、搬送装置10の吸着手段として採用されることに限らず、他の装置にてワークを吸着する吸着手段として採用されてもよい。
【0046】
(3)固定治具50は、両係合部55を治具固定台32の両切り欠き32aに係合させることで当該固定治具50をホルダ30に対して位置決めすることに限らず、治具固定台32にピンを設けるとともにこのピンに対応するピン穴を固定治具50を設け、ピン穴にピンを挿入することで、固定治具50をホルダ30に対して位置決めしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…搬送装置
20…吸着装置
30…ホルダ
32…治具固定台
33a〜33d…吸引部
34a〜34d…連通孔
40a〜40d…吸着パッド
44…吸引口
50…固定治具(固定部材)
53a〜53d…開口
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを吸着する吸着装置および搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップ等のワークを吸着する吸着装置に関する技術として、下記特許文献1に開示されるウェハ貼付装置が知られている。この装置は、ウェハをマウント板に貼り付ける装置として構成されており、片面に接着剤が塗布されたウェハを、チャンバー内に搬入して接着剤を塗布していない面を吸着パッドに接触させた状態で、この吸着パッド内を真空作用で吸引することにより当該吸着パッドに吸着保持させる。そして、チャンバー内を真空作用により吸引し、チャンバー内の真空度が上記吸着パッドの真空度を越えると、ウェハを吸着している吸着パッドが伸長し、ウェハの保持が解放されてウェハはマウント板上に載置されて、貼り付けられることとなる。上記吸着パッドは、ウェハを吸着保持するとき収縮し、当該ウェハをマウント板に載置するとき伸長するよう適宜の弾性を有する弾性材料で作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−189293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の吸着パッドは、同文献の図1から分かるように、保持板にネジ部材を介して取り付けられており、弾性材料にて形成されていることから、保持板に対する吸着パッドの取付位置精度を高めることは困難である。保持板等に対する吸着パッドの取付位置精度が低下すると、吸着部分である吸引口の位置精度が低下してしまい、吸着対象のワークに対して規定の位置にて吸着することができずに安定した吸着作業が困難になるという問題が発生する。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、弾性材料からなる吸着パッドにおける吸引口の位置精度を高め得る吸着装置および搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の吸着装置では、負圧発生源に連通する連通孔が吸引部に形成されるホルダと、弾性材料からなり前記吸引部の周囲を覆うとともに前記連通孔に連通する吸引口が形成される吸着パッドと、を備える吸着装置であって、前記吸着パッドを前記吸引部に対して押圧した状態で前記ホルダに固定される金属製の固定部材を備え、前記固定部材には、前記吸引口が露出する開口が形成されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の吸着装置において、前記ホルダには、前記吸引部が複数形成され、前記固定部材は、複数の前記吸着パッドを前記複数の吸引部に対してそれぞれ押圧した状態で前記ホルダに固定されて、これら各吸着パッドの前記吸引口がそれぞれ露出するように前記開口が複数形成されることを特徴とする。
【0008】
特許請求の範囲に記載の請求項3の搬送装置では、請求項1または2に記載の吸着装置によりワークを吸着して搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、吸着パッドを吸引部に対して押圧した状態でホルダに固定される金属製の固定部材が設けられており、この固定部材には、吸着パッドの吸引口が露出する開口が形成されている。
【0010】
これにより、ホルダに対する吸引口の位置精度が、吸着パッドを押圧する固定部材の加工精度により高められるので、弾性材料からなる吸着パッドを採用する場合であっても吸着パッドにおける吸引口の位置精度を高めることができる。その結果、安定した吸着作業を実現することができる。
【0011】
請求項2の発明では、ホルダには、吸引部が複数形成されており、固定部材は、複数の吸着パッドを複数の吸引部に対してそれぞれ押圧した状態でホルダに固定されて、これら各吸着パッドの吸引口がそれぞれ露出するように開口が複数形成されている。
【0012】
これにより、複数の吸引部に吸着パッドがそれぞれ取り付けられる場合であっても、ホルダに対する各吸着パッドの吸引口の位置精度をそれぞれ高めることができる。さらに、各吸引口間のピッチ精度をも高めることができる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1または2に記載の吸着装置によりワークを吸着して搬送するため、弾性材料からなる吸着パッドにおける吸引口の位置精度を高め得る等の、請求項1または2の各発明による作用・効果を享受した搬送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る吸着装置を採用する搬送装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の吸着装置の詳細形状を示す説明図である。
【図3】図2のホルダの詳細形状を示す説明図である。
【図4】図2の吸着パッドの詳細形状を示す説明図である。
【図5】図2の固定治具の詳細形状を示す説明図である。
【図6】固定治具による吸着パッドの押圧状態を示す断面図である。
【図7】図7(A)は、固定治具を使用しない状態でのホルダに対する吸引口の位置精度を示す説明図であり、図7(B)は、固定治具を使用した状態でのホルダに対する吸引口の位置精度を示す説明図である。
【図8】図8(A)は、固定治具を使用しない状態での各吸引口間のピッチ精度を示す説明図であり、図8(B)は、固定治具を使用した状態での各吸引口間のピッチ精度を示す説明図である。
【図9】吸着装置による吸着状態を示す説明図である。
【図10】本実施形態の第1変形例に係る吸着装置の要部を示す説明図である。
【図11】本実施形態の第2変形例に係る吸着装置の要部を示す説明図である。
【図12】本実施形態の第3変形例に係る吸着装置の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の吸着装置およびこの吸着装置を採用する搬送装置を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る吸着装置20を採用する搬送装置10の構成を概略的に示すブロック図である。
【0016】
図1(A)〜(D)に示すように、搬送装置10は、半導体チップ等のワークを吸着装置20にて吸着した状態で所定の位置に搬送する装置であって、吸着装置20と、この吸着装置20を所定の位置に移動させる移動装置11と、移動装置11による吸着装置20の移動を制御する制御装置12とを備えている。
【0017】
例えば、この搬送装置10は、制御装置12により制御される移動装置11により、図1(A)に例示するように、チップケース13に収容された半導体チップ15を吸着状態の吸着装置20にて吸着すると、図1(B)に例示するように、半導体チップ15を吸着した状態の吸着装置20を規定の方向へ移動させる。そして、図1(C)に例示するように、はんだ17を塗布したリードフレーム16に対して所定の位置まで移動させた吸着装置20の吸着状態を解除することで、図1(D)に例示するように、半導体チップ15がリードフレーム16にはんだ17を介して取り付けられることとなる。
【0018】
次に、吸着装置20について、図2〜図6を用いて説明する。図2は、図1の吸着装置20の詳細形状を示す説明図であり、図2(A)は側面図、図2(B)は下面図である。図3は、図2のホルダ30の詳細形状を示す説明図であり、図3(A)は側面図、図3(B)は下面図である。図4は、図2の吸着パッド40aの詳細形状を示す説明図であり、図4(A)は側面図、図4(B)は下面図である。図5は、固定治具50の詳細形状を示す説明図であり、図5(A)は側面図、図5(B)は下面図である。図6は、固定治具50による吸着パッド40aの押圧状態を示す断面図である。
【0019】
図2(A),(B)に示すように、吸着装置20は、金属製のホルダ30と、炭素を含む導電性のゴム等の弾性材料からなる4つの吸着パッド40a〜40dと、金属製の固定治具50とを備えている。当該吸着装置20は、減圧ポンプ等の負圧発生源によって発生した負圧力を利用して吸着状態となり、吸着対象の半導体チップ15等を吸着するように構成されている。
【0020】
図3(A),(B)に示すように、ホルダ30は、その上面にて移動装置11に取り付けられる基台31の下方に治具固定台32が設けられこの治具固定台32から4つの吸引部33a〜33dが下方に突出するように形成されている。各吸引部33a〜33dは、それぞれ連通孔34a〜34dが同軸的に設けられることで、略円筒状にそれぞれ形成されており、これら各連通孔34a〜34dは、上記負圧発生源にて発生する負圧力が供給されるように、治具固定台32および基台31等を貫通して形成されている。
【0021】
基台31の下面の四隅には、それぞれ座ぐり部が形成されており、各座ぐり部のうち対向する2カ所には基台31を移動装置11に対して締結して固定するためのネジ穴として断面円形状の貫通孔31a,31bが形成されるとともに、残りの隅の1つには基台31を移動装置11に対して位置決めをするための断面長穴状の貫通孔31cが形成されている。
【0022】
治具固定台32の下面には、固定治具50を当該ホルダ30に対して位置決めするための2カ所の切り欠き32aが下面外縁にて対向する位置に形成され、固定治具50を当該ホルダ30に対して締結して固定するためのねじ穴32bが下面中央に形成されている。
【0023】
各吸着パッド40a〜40dは、対応する吸引部33a〜33dをそれぞれ覆うように当該各吸引部33a〜33dの先端側からそれぞれ取り付けられることで、各吸引部33a〜33dが直接ワークに接触することを防止する機能を有するものである。各吸着パッド40a〜40dは、全て同じ形状に形成されているため、吸着パッド40aを代表例として説明する。
【0024】
図4に示すように、吸着パッド40aには、吸引部33aを挿入させるための貫通孔41が形成されており、当該吸着パッド40aは、その上端部42が治具固定台32の下面に接触するまで吸引部33aを貫通孔41に挿入するとき、吸引部33aが吸着パッド40の下端部43から突出しないように形成されている(図2参照)。吸着パッド40の下端部43は、テーパ状であって、挿入した吸引部33aが貫通孔41を介して吸引口44に連通するように形成されている。各吸着パッド40b〜40dも、吸着パッド40aと同様に形成されている。
【0025】
固定治具50は、各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態でホルダ30に固定する機能を有するもので、当該固定治具50には、図5に示すように、各吸着パッド40a〜40dがそれぞれ挿通する4つの貫通孔51a〜51dが形成されている。
【0026】
図6に示すように、各貫通孔51a〜51dの下端部52a〜52dは、各吸着パッド40a〜40dの下端部43のテーパ形状に沿い環状に面接触するようにテーパ状に形成され、かつ、吸着パッド40の下端部43が開口53a〜53dから僅かに突出して露出するように形成されている。なお、図6では、吸着パッド40aを貫通孔51aに挿入した状態を例示している。
【0027】
また、固定治具50には、その上面50aの外縁に、治具固定台32の両切り欠き32aに係合する略凸状の係合部55が2カ所形成されており、その下面50bの中央に、当該固定治具50を当該ホルダ30に対して締結して固定するための座ぐり部56および貫通孔57が形成されている。
【0028】
上述のように形成されたホルダ30の吸引部33a〜33dに対して各吸着パッド40a〜40dを取り付けた後、両係合部55を治具固定台32の両切り欠き32aに係合させるように固定治具50をホルダ30に取り付けて、貫通孔57を挿通したねじ21をねじ穴32bに締結する。これにより、図2に示す吸着装置20が完成する。このとき、各吸着パッド40a〜40dは、対応する吸引部33a〜33dに対して固定治具50により押圧された状態でホルダ30に固定されることとなる。
【0029】
ここで、上述のように固定治具50により各吸着パッド40a〜40dを各吸引部33a〜33dに対して押圧する理由について、図7および図8を用いて説明する。図7(A)は、固定治具50を使用しない状態でのホルダ30に対する吸引口44の位置精度を示す説明図であり、図7(B)は、固定治具50を使用した状態でのホルダ30に対する吸引口44の位置精度を示す説明図である。図8(A)は、固定治具50を使用しない状態での各吸引口44間のピッチ精度を示す説明図であり、図8(B)は、固定治具50を使用した状態での各吸引口44間のピッチ精度を示す説明図である。なお、図7(A),(B)では、吸着パッド40aを吸引部33aに取り付ける状態を例示している。
【0030】
各吸着パッド40a〜40dは、ワーク保護の観点から弾性材料にて形成されているため、固定治具50を使用しない状態において、ホルダ30に対する各吸着パッド40a〜40dの取付位置精度は、弾性材料の加工精度である±50μm程度となる。すなわち、図7(A)に示す固定治具50を使用しない状態でのホルダ30に対する吸引口44の位置精度E1,S1は、50μm程度となる。
【0031】
一方、固定治具50にて各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態では、固定治具50の加工精度である±20μm程度が、そのままホルダ30に対する各吸着パッド40a〜40dの取付位置精度となる。すなわち、図7(B)に示す固定治具50を使用した状態でのホルダ30に対する吸引口44の位置精度E2,S2は、20μm程度となり、固定治具50を使用しない場合よりもその位置精度を高めることができる。
【0032】
さらに、固定治具50を使用しない状態では、図8(A)に示す各吸引口44間のピッチ精度F1は、弾性材料の加工精度程度になる。一方、固定治具50を使用した状態では、図8(B)に示す各吸引口44間のピッチ精度F2は、固定治具50の加工精度程度になり、固定治具50を使用しない場合よりもそのピッチ精度を高めることができる。
【0033】
また、各吸着パッド40a〜40dが吸引部33a〜33dに対して固定されることなく単に取り付けられている場合、経時変化等により吸着パッド40a〜40dの少なくともいずれかが徐々に下方向にずれる場合がある。例えば、吸着パッド40aのみが下方に位置ずれして半導体チップ15に接触すると、吸着時の片当たりが生じ半導体チップ15を吸着ミスしてしまう。そこで、上述のように固定治具50により各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態でホルダ30に固定することで、各吸着パッド40a〜40dの下方への位置ずれを確実に防止することができる。
【0034】
次に、上述のように構成される吸着装置20における吸着状態について、図9を用いて説明する。図9は、吸着装置20による吸着状態を示す説明図である。
吸着装置20では、減圧ポンプ等の負圧発生源によって負圧力が発生すると、各連通孔34a〜34dおよび各貫通孔41が負圧状態となる。このため、半導体チップ15が、各吸引口44に吸い付けられて、固定治具50の開口53a〜53dから露出する各吸着パッド40a〜40dの下端部43に吸着されることとなる。
【0035】
この吸着時には、各吸着パッド40a〜40dの下端部43のみが半導体チップ15に接触するので、当該半導体チップ15が破損することもない。また、各吸着パッド40a〜40dが固定治具50により対応する吸引部33a〜33dに対して押圧されているので、各吸引口44が下方へ位置ずれすることもなくホルダ30に対する位置精度やピッチ精度が高められて、安定した吸着作業を実現することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る吸着装置20では、各吸着パッド40a〜40dを対応する吸引部33a〜33dに対して押圧した状態でホルダ30に固定される金属製の固定治具50が設けられており、この固定治具50には、各吸着パッド40a〜40dの吸引口44が露出する開口53a〜53dが形成されている。
【0037】
これにより、ホルダ30に対する吸引口44の位置精度が、各吸着パッド40a〜40dを押圧する固定治具50の加工精度により高められるので、弾性材料からなる吸着パッド40a〜40dを採用する場合であってもそれぞれの吸着パッド40a〜40dにおける吸引口44の位置精度を高めることができる。その結果、安定した吸着作業を実現することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る吸着装置20では、ホルダ30には、吸引部33a〜33dが4つ形成されており、固定治具50は、各吸着パッド40a〜40dを各吸引部33a〜33dに対してそれぞれ押圧した状態でホルダ30に固定されて、これら各吸着パッド40a〜40dの吸引口44がそれぞれ露出するように開口が4つ形成されている。
【0039】
これにより、複数の吸引部33a〜33dに吸着パッド40a〜40dがそれぞれ取り付けられる場合であっても、ホルダ30に対する各吸着パッド40a〜40dの吸引口44の位置精度をそれぞれ高めることができる。さらに、各吸引口44間のピッチ精度をも高めることができる。
【0040】
また、本実施形態に係る搬送装置10では、上述した吸着装置20によりワークを吸着して搬送するため、弾性材料からなる吸着パッド40a〜40dにおける吸引口44の位置精度を高め得る等の、各発明による作用・効果を享受した搬送装置を実現することができる。
【0041】
図10は、本実施形態の第1変形例に係る吸着装置20の要部を示す説明図である。図11は、本実施形態の第2変形例に係る吸着装置20の要部を示す説明図である。図12は、本実施形態の第3変形例に係る吸着装置20の要部を示す説明図であり、図12(A)は側面図、図12(B)は下面図である。
【0042】
第1実施形態の第1変形例として、図10に示すように、固定治具50の各貫通孔51a〜51dの下端部52a〜52dは、一部のみが各吸着パッド40a〜40dの下端部43に対して環状に面接触するように形成されてもよい。また、第1実施形態の第2変形例として、図11に示すように、各吸着パッド40a〜40dの下端部43が曲面状に形成される場合に、固定治具50の各貫通孔51a〜51dの下端部52a〜52dは、一部のみが当該下端部43に対して環状に面接触するように形成されてもよい。
【0043】
第1実施形態の第3変形例として、図12(A),(B)に示すように、固定治具50は、各吸着パッド40a〜40dを押圧部58a〜58dにてそれぞれ個別に押圧するように形成されてもよい。当該固定治具50は、両係合部55を治具固定台32の両切り欠き32aに係合させた状態で2カ所のねじ22によりホルダ30に締結されている。このとき、各吸着パッド40a〜40dの下端部43に面接触する固定治具50の部位は、上述のように環状に面接触するように形成されることに限らず、例えば、3カ所以上等分割された状態で、下端部43に対して部分的に面接触するように形成されてもよい。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)吸引部(33a〜33d)は、治具固定台32に4つ設けられることに限らず、治具固定台32に1つ〜3つ設けられてもよいし、5つ以上設けられてもよい。この場合、吸引部には、対応する吸着パッド40が取り付けられるとともに、固定治具50は、この吸着パッド40を対応する吸引部に対して押圧した状態でホルダ30に固定するように形成される。
【0045】
(2)吸着装置20は、搬送装置10の吸着手段として採用されることに限らず、他の装置にてワークを吸着する吸着手段として採用されてもよい。
【0046】
(3)固定治具50は、両係合部55を治具固定台32の両切り欠き32aに係合させることで当該固定治具50をホルダ30に対して位置決めすることに限らず、治具固定台32にピンを設けるとともにこのピンに対応するピン穴を固定治具50を設け、ピン穴にピンを挿入することで、固定治具50をホルダ30に対して位置決めしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10…搬送装置
20…吸着装置
30…ホルダ
32…治具固定台
33a〜33d…吸引部
34a〜34d…連通孔
40a〜40d…吸着パッド
44…吸引口
50…固定治具(固定部材)
53a〜53d…開口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧発生源に連通する連通孔が吸引部に形成されるホルダと、
弾性材料からなり前記吸引部の周囲を覆うとともに前記連通孔に連通する吸引口が形成される吸着パッドと、
を備える吸着装置であって、
前記吸着パッドを前記吸引部に対して押圧した状態で前記ホルダに固定される金属製の固定部材を備え、
前記固定部材には、前記吸引口が露出する開口が形成されることを特徴とする吸着装置。
【請求項2】
前記ホルダには、前記吸引部が複数形成され、
前記固定部材は、複数の前記吸着パッドを前記複数の吸引部に対してそれぞれ押圧した状態で前記ホルダに固定されて、これら各吸着パッドの前記吸引口がそれぞれ露出するように前記開口が複数形成されることを特徴とする請求項1に記載の吸着装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸着装置によりワークを吸着して搬送することを特徴とする搬送装置。
【請求項1】
負圧発生源に連通する連通孔が吸引部に形成されるホルダと、
弾性材料からなり前記吸引部の周囲を覆うとともに前記連通孔に連通する吸引口が形成される吸着パッドと、
を備える吸着装置であって、
前記吸着パッドを前記吸引部に対して押圧した状態で前記ホルダに固定される金属製の固定部材を備え、
前記固定部材には、前記吸引口が露出する開口が形成されることを特徴とする吸着装置。
【請求項2】
前記ホルダには、前記吸引部が複数形成され、
前記固定部材は、複数の前記吸着パッドを前記複数の吸引部に対してそれぞれ押圧した状態で前記ホルダに固定されて、これら各吸着パッドの前記吸引口がそれぞれ露出するように前記開口が複数形成されることを特徴とする請求項1に記載の吸着装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸着装置によりワークを吸着して搬送することを特徴とする搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−55993(P2012−55993A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200127(P2010−200127)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(595065323)株式会社石井工作研究所 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(595065323)株式会社石井工作研究所 (2)
【Fターム(参考)】
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