説明

周回走行事前検出装置および周回走行事前検出プログラム

【課題】 従来よりも迅速に周回走行を事前検出し、その検出に基づいてドライバーの目的地捜索の支援を行う。
【解決手段】 カーナビゲーション装置において、次交差点特定部26が、ウインカ操作における自車両の位置および地図データに基づいて、ウインカ操作があった時点の次の交差点を特定し、右左折経路予測部27が、特定された次の交差点を当該ウインカ操作の方向に曲折した先の道路から道なりに続く道路を、当該車両の曲折後の経路として予測し、周回走行予測部28が、走行経路記録手段が前記記憶媒体に記録した過去の走行経路と交差することを判定し、地図表示部29、経路計算部30、経路誘導部31、および音声発生部32が、その周回走行予測部28の判定に基づいて、目的地捜索を支援するための表示制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周回走行を事前に検出するための周回走行事前検出装置および周回走行事前検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、設定された目的地までの経路を案内表示するナビゲーション装置が広く利用されている。しかし、これらナビゲーション装置の機能は、目的地が設定されて初めて機能するものである。したがって、本来の目的地にできるだけ近い空き駐車場を探す場合、地図データに地点として記載されていない個人宅を探す場合、目的地の正確な名称を知らない場合等の、目的地の設定が行えない場合、ドライバーは経路案内を受けることができない。このような場合、ドライバーが目的地を発見できないまま、車両が同じ道路を何度も走行するような状況、すなわち周回走行の状況が発生する可能性がある。
【0003】
このような車両の周回走行を察知する技術が、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1に記載のナビゲーション装置は、現在走行中の道路と過去に走行した道路とが交差または距離的に接近している場合、ドライバーはどこを走行しているかを把握できないまま車両を運転していると判断するようになっている。
【0004】
現在走行中の道路と過去に走行した道路とが交差することを検出することは、周回走行を事前察知することに相当する。
【特許文献1】特開閉10−122881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1よりも、より早く周回走行を事前検知することが望ましい。
【0006】
そこで本発明は、従来よりも迅速に周回走行を事前検出し、その検出に基づいてドライバーの目的地捜索の支援を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両の位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段が特定した前記車両の位置に基づいて、前記車両の過去の走行経路を記憶媒体に記録する走行経路記録手段と、当該車両のウインカ操作の検出および当該ウインカ操作時における前記位置特定手段の特定した当該車両の位置に基づいて、当該車両の曲折後の経路を予測する経路予測手段と、前記経路予測手段が予測した予測経路が、前記走行経路記録手段が前記記憶媒体に記録した過去の走行経路と交差することを判定する判定手段と、前記判定手段の判定に基づいて、目的地捜索を支援するための制御を行う支援制御手段と、を備えた周回走行事前検出装置である。
【0008】
このようになっているので、周回走行事前検出装置は、ウインカ操作に基づいて、車両の曲折後の経路が過去の走行経路と交差することを、その曲折の前に検出することができるので、従来よりも迅速に周回走行を事前検出し、その検出に基づいてドライバーの目的地捜索の支援を行うことが可能となる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の周回走行事前検出装置において、前記位置特定手段の特定した前記車両の位置、および地図データに基づいて、次の交差点を特定する次交差点特定手段を備え、前記経路予測手段は、当該ウインカ操作時において前記次交差点特定手段が特定した次の交差点を当該ウインカ操作の方向に曲折した先の道路から道なりに続く道路を、当該車両の曲折後の経路として予測することを特徴とする。
【0010】
このようになっていることで、地図データに基づいた精度の高い周回走行の事前検出を行うことができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の周回走行事前検出装置において、前記経路予測手段は、当該ウインカ操作時における前記位置特定手段の特定した前記車両の位置を起点とし、それまでの走行方向に直交し、当該ウインカ操作の方向側に伸びる直線を、当該車両の曲折後の経路として予測することを特徴とする。
【0012】
なお、ここでいう「直交」は厳密な90°の交差のみならず、周回走行を検出する目的にとって意味のなくならない程度に直交からずれている範囲(例えば60°〜120°)の交差であってもよい。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置において、前記判定手段は、前記予測経路中の曲折後の判断対象距離範囲内において、前記過去の走行経路と交差することを判定することを特徴とする。
【0014】
このように、予測経路中の、走行経路との差を判断する対象に、上限長さが設けられていることで、目的地がわからずに走行しているのではない可能性が比較的高い、非常にループの長い周回走行の存在を、目的地捜索の支援を行う起因から除外することで、より必要に応じた目的地捜索の支援を行うことができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置において、前記支援制御手段は、前記予測経路が前記過去の走行経路と交差することによってできる、前記予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍全体の地図画像を、画像表示装置に表示させることを特徴とする。
【0016】
このようになっていることで、予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍、すなわち捜索範囲の全体地図画像を表示することで、捜索範囲の把握が容易になる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置において、前記支援制御手段は、目的地検索のための検索対象地点を、前記予測経路が前記過去の走行経路と交差することによってできる、前記予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍に含まれる地点に限定することを特徴とする。
【0018】
このようになっていることで、目的地検索を行うときに、よりユーザの選択操作の作業が簡易になる。
【0019】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置において、前記支援制御手段は、前記予測経路が前記過去の走行経路と交差することによってできる、前記予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍に含まれる施設名をスピーカに出力させることを特徴とする。
【0020】
このようになっていることで、ドライバーが目的地の正確な名称を思い出す可能性が高くなる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置において、前記支援制御手段は、前記位置特定手段が特定した前記車両の現在位置から最寄りの交番までの経路誘導を行うことを特徴とする。
【0022】
このように、車両を交番に誘導すれば、個人宅等、地図データを用いても発見が困難な目的地でも、その交番で情報を取得することで、当該目的地の正確な住所等を把握することが可能となる。
【0023】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置において、前記支援制御手段は、前記予測経路が前記過去の走行経路と交差することによってできる、前記予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍内の道路すべてを走行する経路を案内する制御を行うことを特徴とする。
【0024】
このようになっていることで、ドライバーは、捜索範囲内をしらみ潰し的に目的地を捜索することが容易となる。
【0025】
また、請求項10に記載の発明は、車両の位置を特定する位置特定手段、前記位置特定手段が特定した前記車両の位置に基づいて、前記車両の過去の走行経路を記憶媒体に記録する走行経路記録手段、当該車両のウインカ操作の検出および当該ウインカ操作時における前記位置特定手段の特定した前記車両の位置に基づいて、当該車両の曲折後の経路を予測する経路予測手段、前記経路予測手段が予測した予測経路が、前記走行経路記録手段が前記記憶媒体に記録した過去の走行経路と交差することを判定する判定手段、および前記判定手段の判定に基づいて、目的地捜索を支援するための制御を行う支援制御手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする周回走行事前検出プログラムである。このように、本発明はプログラムとしても実現可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13、スピーカ14、RAM16、ROM17、外部記憶媒体18、CPU19、を有している。
【0027】
位置検出器11は、いずれも周知の、車両のシフトポジションがバックになっていることを検出する後退信号センサ、車両のヨーレートを検出する旋回速度センサ、車速パルス信号を検出する車速センサ、およびGPS衛星からの位置情報を無線受信するGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および旋回速度を特定するための情報をCPU19に出力する。
【0028】
操作スイッチ群12は、車両用ナビゲーション装置1に設けられた複数のメカニカルスイッチ、画像表示装置13の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下、タッチパネルのタッチに基づいた信号をCPU19に出力する。
【0029】
画像表示装置13は、CPU19から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。表示映像としては、例えば現在地を中心とする地図等がある。
【0030】
外部記憶媒体18は、HDD等の不揮発性の記憶媒体であり、CPU19が読み出して実行するプログラム、経路案内用の地図データ等を記憶している。
【0031】
地図データは、道路片(リンク)および複数の道路片の接続点に該当する交差点(ノード)の位置、種別、交差点と道路片との接続関係情報等を含む道路データ、および施設データを有している。なお、道路片のそれぞれには固有の道路番号が対応づけられ、交差点のそれぞれには固有の交差点番号が対応づけられている。施設データは、施設毎のエントリを複数有しており、各エントリは、対象とする施設の名称情報、所在位置情報、施設種類情報等を示すデータを有している。
【0032】
CPU(コンピュータに相当する)19は、ROM17および外部記憶媒体18から読み出した車両用ナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはRAM16、ROM17、および外部記憶媒体18から情報を読み出し、RAM16および外部記憶媒体18に対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、操作スイッチ群12、画像表示装置13およびスピーカ14と信号の授受を行い、車両の左右のウインカの点滅、非点滅を制御するウインカスイッチからの信号を検出する。
【0033】
図2に、このCPU19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理を、機能別に分けて記載する。この図に示すように、CPU19は、プログラムを実行することで、車速算出部21、GPS座標算出部22、旋回速度算出部23、マップマッチング部24、走行経路記憶部25、次交差点特定部26、右左折経路予測部27、周回走行予測部28、地図表示部29、経路計算部30、経路誘導部31、および音声発生部32のそれぞれに対応する機能を実現する。
【0034】
車速算出部21は、位置検出器11の車速センサからの信号に基づいて自車両の車速を算出する機能に対応する部分である。
【0035】
GPS座標算出部22は、位置検出器11のGPS受信からの信号に基づいて自車両の緯度、経度(図中ではGPS座標と記す)を算出する機能に対応する部分である
旋回速度算出部23は、位置検出器11の旋回速度センサに基づいて自車両の旋回速度を算出する機能に対応する部分である。
【0036】
マップマッチング部24は、車速算出部21によって算出された車速、GPS座標算出部22によって算出された緯度、経度、旋回速度算出部23によって算出された旋回速度、位置検出器11の後退信号センサからの信号、および外部記憶媒体18中の地図データ中の道路位置に基づいて、自車両がどの道路片のどの位置をどの方位にどの速度で走行しているかを特定する機能に対応する部分である。
【0037】
走行経路記憶部25は、定期的にマップマッチング部24が特定した自車両の走行位置を外部記憶媒体18に記録する機能に対応する部分である。この記録が累積することで、外部記憶媒体18には、自車両の過去の走行経路が記録されることになる。
【0038】
次交差点特定部26は、マップマッチング部24が特定した現在位置(緯度、経度)、走行方位、走行道路片の道路番号に基づいて、次の交差点、すなわち自車両が現在の方向に道なりに走行したときに最初に到達する交差点を特定し、さらにその交差点からの退出道路片とその道路の退出方向(右折、左折、直進等)とを特定する機能に対応する部分である。
【0039】
右左折経路予測部27は、ウインカスイッチが左折または右折の点滅をさせる状態になったことを検出すると、次交差点特定部26によって特定された次交差点の交差点番号および退出方向と対応づけられた退出道路片の道路番号に基づいて、自車両がどの退出道路片から次交差点を退出するかを特定し、そして、地図データに基づいて、その退出道路片をさらに道なりに走行した場合に走行することになる道路片を特定する機能に対応する部分である。これら退出道路片、およびそれに道なりに続く道路片が、予測経路に相当する。
【0040】
周回走行予測部28は、右左折経路予測部27によって特定された予測経路のうち、当該次交差点を始点とする判断対象距離範囲内の部分が、走行経路記憶部25に記憶された過去の走行経路と交差するか否かを判定する機能に対応する部分である。
【0041】
地図表示部29は、通常はマップマッチング部24によって特定された現在位置を中心とする地図画像を、地図データに基づいて、画像表示装置13に表示させる機能に対応する部分である。
【0042】
経路計算部30は、通常は操作スイッチ群12からユーザによる目的地の入力を受け付け、マップマッチング部24によって特定された現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出する機能に対応する部分である。
【0043】
経路誘導部31は、通常は地図データを読み出し、経路計算部30によって算出された誘導経路、目的地および現在位置等をこの地図データの示す地図上に重ねた画像を、画像表示装置13に表示させる機能に対応する部分である。
【0044】
音声発生部32は、通常は経路誘導部31の誘導内容に応じて、道なりでない交差点等でガイダンス音声をスピーカ14に出力させる機能に対応する部分である。
【0045】
本実施形態においては、これら地図表示部29、経路計算部30、経路誘導部31、音声発生部32は、上記の通常の機能に加え、周回走行予測部28の判定結果に基づいて目的地捜索を支援するための制御を行う機能にも対応する。この支援制御の機能については後述する。
【0046】
ここで、図3に、CPU19が次交差点特定部26、右左折経路予測部27、および周回走行予測部28の機能を実現するために繰り返し実行するプログラム100を示す。以下、このプログラムの処理内容に基づいて、次交差点特定部26、右左折経路予測部27、および周回走行予測部28の機能の時系列的な関係について説明する。
【0047】
CPU19は、プログラム100を実行すると、まずステップ110で、ウインカスイッチからの信号に基づいてウインカ操作が行われるまで待ち、ウインカ操作があると判定すると、続いてステップ120で、次交差点特定部26の説明において示した通り、次交差点を特定する処理を行う。
【0048】
ステップ120に続いては、ステップ130で、検出したウインカ操作が示す方向が、右折方向であるか左折方向であるかを特定する。そして、右折方向であれば続いてステップ140で次交差点から右方向に曲がった後の退出道路片を次交差点特定部26が特定した交差点番号および道路番号に基づいて見つけ、左折方向であれば続いてステップ150で次交差点から左方向に曲がった後の退出道路片を次交差点特定部26が特定した交差点番号および道路番号に基づいて見つける。
【0049】
ステップ140、150に続いては、ステップ160で、当該道路片が、走行座標を結ぶ線、すなわち走行経路記憶部25によって外部記憶媒体18に記録された過去一定間隔毎の走行位置を連続的に繋いだ走行経路線、と交差するか否かを判定する。なお、当該道路片とは、ステップ160がステップ140、150に続いて実行される場合には、そのステップ140、150で見つけた曲折先の退出道路片に相当する。交差すると判定する場合は、続いてステップ185でRAM16中の周回走行フラグをオンにし、プログラム100の1回分の実行を終了する。この周回走行フラグをオンにすることが、自車両が周回走行することを事前に検出したと判定することに相当する。また、ステップ160で交差しないと判定する場合は続いてステップ170を実行する。
【0050】
ステップ170では、当該道路片の終端が、現在位置またはステップ120で特定した次交差点から所定の(道路に沿ったまたは直線の)距離(例えば3km)以上であるか否かを判定し、所定の距離以上であれば続いてステップ190で上記の周回走行フラグをオフにし、プログラム100の1回分の実行を終了する。また、ステップ170で所定の距離未満であると判定した場合は、続いてステップ180を実行する。なお、当該終端位置が、現在位置または次交差点から所定の距離未満であることが、当該終端位置が、次交差点曲折後の判断対象距離範囲内にあることに相当する。また、道路片の終端とは道路片の端部のうち、ステップ120で特定した次交差点から遠い方の端部をいう。
【0051】
ステップ180では、当該道路片の終端から道なりに続く次の道路片を特定し、その後ステップ160を再度実行する。なお、ステップ180に続いてステップ160が実行される場合は、当該道路片は、直前のステップ180で特定した道路片に相当する。
【0052】
以上のようなプログラム100を実行することで、CPU19は、ウインカ操作が行われることに基づいて(ステップ110参照)、その時点における次交差点を特定し(ステップ120参照)、そのウインカ操作の方向に曲折した先の退出道路片を特定する(ステップ140、150参照)。そして、その退出道路片またはその退出道路片から道なりに続く道路片(すなわち予測経路)が過去の走行経路と交差すると判定するか(ステップ160参照)、あるいは道路片の終端が判断対象距離範囲内から外れるまで(ステップ170参照)、道なりに順次交差を判定する対象の道路片を選択していく(ステップ180参照)。
【0053】
このような処理手順のステップ120により、次交差点特定部26の機能が実現し、またステップ130、140、150、180により、右左折経路予測部27の機能が実現し、またステップ160、170、185、190により、周回走行予測部28の機能が実現する。
【0054】
なお、ステップ185および190において、判断対象距離範囲内で予測経路が過去の走行経路と交差する場合には周回走行フラグがオンとなり、判断対象距離範囲内で予測経路が過去の走行経路と交差しない場合には周回走行フラグがオフとなる。この周回走行フラグがオンの場合、上述の地図表示部29、経路計算部30、経路誘導部31、および音声発生部32の支援機能が実行される。
【0055】
具体的には、地図表示部29において、周回走行フラグがオンとなると、予測経路が過去の走行経路と交差することによってできる、予測経路と過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍全体(以下捜索範囲と記す)の2次元地図画像を、画像表示装置に表示させる機能が実現する。このとき、地図画像の縮尺は、捜索範囲が画像表示装置13の一画面内に収まるように調整する。さらにこの地図画像に過去の走行経路を重ねたものを画像表示装置13に表示させてもよい。
【0056】
このようになっていることで、目的地の捜索範囲の把握が容易になる。また、ドライバーは、捜査範囲の一度通った走路とまだ通っていない道路とを容易に区別することができるので、同じ道路を何度も行き来する無駄を省くことが可能となる。
【0057】
また、経路計算部30において、周回走行フラグがオンとなると、目的地検索のための検索対象地点を、捜索範囲内の施設に限定する。目的地検索とは、ドライバーによる、目的地の施設種別や名称を限定する等の絞り込み条件の設定操作に基づいて、設定する目的地を決定する処理である。ここでは、その絞り込み条件に、さらにその施設が捜索範囲内にある旨の条件を付加することで、目的地設定において、自動的に捜索範囲内の施設しか選ばれなくなるので、ドライバーの操作の手間が省ける。
【0058】
このようになっていることで、目的地設定を行うときに、よりユーザの選択操作の作業が簡易になる。
【0059】
また、周回走行フラグがオンとなると、経路計算部30において、自動的に現在位置から最寄りの交番までの誘導経路を算出する機能が実現し、また経路誘導部31において、その算出した最寄りの交番までの誘導経路への経路誘導を行う機能が実現する。このように、車両を交番に誘導すれば、個人宅等、地図データを用いても発見が困難な目的地でも、その交番で情報を取得することで、当該目的地の正確な住所等を把握することが可能となる。
【0060】
また、周回走行フラグがオンとなると、地図表示部29において、地図データ中で捜索範囲内に登録された施設数が所定の数(例えば20)以下ならば、捜索範囲内のすべての施設名を画像表示装置13に一覧表示させる機能が実現する。さらに、音声発生部32において、地図データ中で捜索範囲内に登録された施設数が所定の数(例えば20)以下ならば、捜索範囲内のすべての施設名をスピーカに出力させる機能が実現する。このようになっていることで、ドライバーが目的地の正確な名称を思い出す可能性が高くなる。
【0061】
また、周回走行フラグがオンとなると、経路誘導部31において、捜索範囲内の道路すべてを走行する経路を案内する機能が実現する。このようになっていることで、ドライバーは、捜索範囲内をしらみ潰し的に目的地を捜索することが容易となる。
【0062】
以上示したような機能をCPU19が実現することにより、カーナビゲーション装置1は、自車両の過去の走行経路を外部記憶媒体18に記録し、また、自車両位置、および地図データに基づいて、次の交差点を特定し、ウインカ操作を検出すると、当該ウインカ操作時において次交差点を当該ウインカ操作の方向に曲折した先の道路から道なりに続く道路を、当該車両の曲折後の予測経路とする。そして、この予測経路が、記録した過去の走行経路と交差する場合、目的地捜索を支援するための制御を行う。
【0063】
このようになっているので、カーナビゲーション装置1は、ウインカ操作に基づいて、車両の曲折後の経路が過去の走行経路と交差することを、その曲折の前に検出することができるので、従来よりも迅速に周回走行を事前検出し、その検出に基づいてドライバーの目的地捜索の支援を行うことが可能となる。
【0064】
また、予測経路中、過去の走行経路と交差するか否かを判定する対象の部分は、予測経路中の曲折後の判断対象距離範囲内に限定することで、目的地がわからずに走行しているのではない可能性が比較的高い、非常にループの長い周回走行の存在を、目的地捜索の支援を行う起因から除外することで、より必要に応じた目的地捜索の支援を行うことができる。
【0065】
なお、過去の走行経路も、そのすべてを予測経路と交差するか否かを判定する対象とするようになっていてもよいし、過去の走行経路のうち、予測経路と交差するか否かを判定する対象は、過去所定の期間(例えば1時間)以内の走行経路とするようになっていてもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。本実施形態のカーナビゲーション装置1のハードウェア構成は、第1実施形態と同じである。図4に、本実施形態のCPU19がプログラムを実行することによって行う具体的な処理を、機能別に分けて記載する。この図に示すように、CPU19は、プログラムを実行することで、車速算出部21、GPS座標算出部22、旋回速度算出部23、マップマッチング部24、走行経路記憶部25、右左折経路予測部27’、周回走行予測部28’、地図表示部29、経路計算部30、経路誘導部31、および音声発生部32のそれぞれに対応する機能を実現する。なお、この図において、第1実施形態で図2に示した機能部分と同一符号を有する部分は、その機能も当該機能部分のものと同じである。
【0066】
右左折経路予測部27’は、ウインカスイッチが左折または右折の点滅をさせる状態になったことを検出すると、マップマッチング部24によって特定された現在位置と走行方位とに基づいて、現在位置からウインカ操作の方向に直角に曲がって直線的に走行すると仮定した場合の経路を、予測経路とする機能に対応する部分である。
【0067】
周回走行予測部28’は、右左折経路予測部27’によって特定された予測経路のうち、現在位置を始点とする判断対象距離範囲内の部分が、走行経路記憶部25に記憶された過去の走行経路と交差するか否かを判定する機能に対応する部分である。
【0068】
ここで、図5に、CPU19が右左折経路予測部27’および周回走行予測部28’の機能を実現するために繰り返し実行するプログラム200を示す。以下、このプログラムの処理内容に基づいて、右左折経路予測部27’および周回走行予測部28’の機能の時系列的な関係について説明する。
【0069】
CPU19は、プログラム200を実行すると、まずステップ210で、ウインカスイッチからの信号に基づいてウインカ操作が行われるまで待ち、ウインカ操作があると判定すると、続いてステップ220を実行する。
【0070】
ステップ220では、検出したウインカ操作が示す方向が、右折方向であるか左折方向であるかを特定する。そして、右折方向であれば続いてステップ240で現在位置から右折方向に90°曲がった方向への直線を予測道路とする。また、左折方向であれば続いてステップ250で現在位置から左折方向に90°曲がった方向への直線を予測経路とする。
【0071】
ステップ240、250に続いては、ステップ260で、当該予測経路が、走行座標を結ぶ線、すなわち走行経路記憶部25によって外部記憶媒体18に記録された過去一定間隔毎の走行位置を連続的に繋いだ走行経路線、と交差するか否かを判定する。交差すると判定する場合は、続いてステップ270を実行し、交差しないと判定する場合は続いてステップ280を実行する。
【0072】
ステップ270では、ステップ260で交差した位置と現在位置との直線距離が所定距離(例えば5km)以上であるか否かを判定し、所定距離以上であれば続いてステップ280を実行し、所定距離以下であれば続いてステップ290を実行する。
【0073】
ステップ280では、周回走行フラグをオフにし、その後プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0074】
ステップ290では、周回走行フラグをオンにし、その後プログラム200の1回分の実行が終了する。
【0075】
このような処理手順のステップ220、240、250により、右左折経路予測部27’の機能が実現し、またステップ260、270、280、290により、周回走行予測部28’の機能が実現する。
【0076】
以上示したような機能をCPU19が実現することにより、カーナビゲーション装置1は、自車両の過去の走行経路を外部記憶媒体18に記録し、またウインカ操作を検出すると(ステップ210参照)、当該ウインカ操作時における自車両の位置を起点とし、それまでの走行方向に直交し、当該ウインカ操作の方向側に伸びる直線を、自車両の曲折後の経路として予測する(ステップ220、240、250参照)。そして、この予測経路が、記録した過去の走行経路と交差する場合(ステップ260、270参照)、目的地捜索を支援するための周回走行フラグに基づく制御を第1実施形態と同様に行う。
【0077】
このようになっているので、カーナビゲーション装置1は、ウインカ操作に基づいて、
車両の曲折後の経路が過去の走行経路と交差することを、その曲折の前に検出することができるので、従来よりも迅速に周回走行を事前検出し、その検出に基づいてドライバーの目的地捜索の支援を行うことが可能となる。
【0078】
また、予測経路中、過去の走行経路と交差するか否かを判定する対象の部分は、予測経路中の曲折後の判断対象距離範囲内に限定することで、目的地がわからずに走行しているのではない可能性が比較的高い、非常にループの長い周回走行の存在を、目的地捜索の支援を行う起因から除外することで、より必要に応じた目的地捜索の支援を行うことができる。
【0079】
なお、上記の各実施形態において、カーナビゲーション装置1が周回走行事前検出装置に相当する。また、RAM16、ROM17、および外部記憶媒体18が、記憶媒体に相当する。また、CPU19が、プログラムを実行して車速算出部21、GPS座標算出部22、旋回速度算出部23、およびマップマッチング部24の機能を実現することで、位置特定手段として機能する。また、CPU19が、プログラムを実行して走行経路記憶部25の機能を実現することで、走行経路記録手段として機能する。また、CPU19が、プログラムを実行して地図表示部29、経路計算部30、経路誘導部31、および音声発生部32の機能を実現することで、支援制御手段として機能する。
【0080】
また、第1実施形態においては、CPU19が、プログラム100のステップ120を実行することで、次交差点特定手段として機能する。そして、CPU19が、プログラム100のステップ130、140、150、および180を実行することで、経路予測手段として機能する。そして、CPU19がプログラム100のステップ160、170、185、および190を実行することで、判定手段として機能する。
【0081】
また、第2実施形態においては、CPU19が、プログラム200のステップ220、240、および250を実行することで経路予測手段として機能する。そして、CPU19が、プログラム200のステップ260、270、280、および290を実行することで、判定手段として機能する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施形態に係るカーナビゲーション装置1の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態においてCPU19が実現する機能の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態においてCPU19が実行するプログラム100のフローチャートである。
【図4】第2実施形態においてCPU19が実現する機能の構成を示す図である。
【図5】第2実施形態においてCPU19が実行するプログラム200のフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1…カーナビゲーション装置、11…位置検出器、12…操作スイッチ群、
13…画像表示装置、14…スピーカ、16…RAM、17…ROM、
18…外部記憶媒体、19…CPU、21…車速算出部、22…GPS座標算出部、
23…旋回速度算出部、24…マップマッチング部、25…走行経路記憶部、
26…次交差点特定部、27、27’…右左折経路予測部、
28、28’…周回走行予測部、29…地図表示部、30…経路計算部、
31…経路誘導部、32…音声発生部、100、200…プログラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段が特定した前記車両の位置に基づいて、前記車両の過去の走行経路を記憶媒体に記録する走行経路記録手段と、
当該車両のウインカ操作の検出および当該ウインカ操作時における前記位置特定手段の特定した当該車両の位置に基づいて、当該車両の曲折後の経路を予測する経路予測手段と、
前記経路予測手段が予測した予測経路が、前記走行経路記録手段が前記記憶媒体に記録した過去の走行経路と交差することを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定に基づいて、目的地捜索を支援するための制御を行う支援制御手段と、を備えた周回走行事前検出装置。
【請求項2】
前記位置特定手段の特定した前記車両の位置、および地図データに基づいて、次の交差点を特定する次交差点特定手段を備え、
前記経路予測手段は、当該ウインカ操作時において前記次交差点特定手段が特定した次の交差点を当該ウインカ操作の方向に曲折した先の道路から道なりに続く道路を、当該車両の曲折後の経路として予測することを特徴とする請求項1に記載の周回走行事前検出装置。
【請求項3】
前記経路予測手段は、当該ウインカ操作時における前記位置特定手段の特定した前記車両の位置を起点とし、それまでの走行方向に直交し、当該ウインカ操作の方向側に伸びる直線を、当該車両の曲折後の経路として予測することを特徴とする請求項1に記載の周回走行事前検出装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記予測経路中の曲折後の判断対象距離範囲内において、前記過去の走行経路と交差することを判定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置。
【請求項5】
前記支援制御手段は、前記予測経路が前記過去の走行経路と交差することによってできる、前記予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍全体の地図画像を、画像表示装置に表示させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置。
【請求項6】
前記支援制御手段は、目的地検索のための検索対象地点を、前記予測経路が前記過去の走行経路と交差することによってできる、前記予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍に含まれる地点に限定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置。
【請求項7】
前記支援制御手段は、前記予測経路が前記過去の走行経路と交差することによってできる、前記予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍に含まれる施設名をスピーカに出力させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置。
【請求項8】
前記支援制御手段は、前記位置特定手段が特定した前記車両の現在位置から最寄りの交番までの経路誘導を行うことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置。
【請求項9】
前記支援制御手段は、前記予測経路が前記過去の走行経路と交差することによってできる、前記予測経路と前記過去の走行経路とから成るループ内全体および当該ループ近傍内の道路すべてを走行する経路を案内する制御を行うことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の周回走行事前検出装置。
【請求項10】
車両の位置を特定する位置特定手段、
前記位置特定手段が特定した前記車両の位置に基づいて、前記車両の過去の走行経路を記憶媒体に記録する走行経路記録手段、
当該車両のウインカ操作の検出および当該ウインカ操作時における前記位置特定手段の特定した前記車両の位置に基づいて、当該車両の曲折後の経路を予測する経路予測手段、
前記経路予測手段が予測した予測経路が、前記走行経路記録手段が前記記憶媒体に記録した過去の走行経路と交差することを判定する判定手段、および
前記判定手段の判定に基づいて、目的地捜索を支援するための制御を行う支援制御手段として、コンピュータを機能させることを特徴とする周回走行事前検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−145288(P2006−145288A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333360(P2004−333360)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】