説明

呼制御サーバおよびパケット中継方法

【課題】IP電話網を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数以上のセッションを同時に確立することができる技術を提供する。
【解決手段】構内呼制御サーバ11は、LAN14から受信したSIPパケットまたはRTPパケットを、このSIPパケットまたはRTPパケットの送信先である他の構内呼制御サーバ11との間に確立されている網管理セッションでやり取りするRTPパケットのペイロードに多重化して、IP電話網3に送信する。また、構内呼制御サーバ11は、網管理セッションを介してIP電話網3から受信したRTPパケットのペイロードに多重化されているSIPパケットまたはRTPパケットを分離して、このRTPパケットおよびこのRTPパケットから分離したSIPパケットあるいはRTPパケットを、LAN14に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼制御サーバにおけるセッション確立技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一本のアナログ回線のみで複数のセッションを実現可能なVoIP(Voice over Internet Protocol)多重化装置が開示されている。このVoIP多重化装置は、VoIPゲートウェイとの間でアナログ回線によるダイヤルアップネットワークを構成するとともに、配下の各アナログ電話機からの音声信号を音声パケットに多重化してダイヤルアップネットワークに送出する。そして、VoIPゲートウェイは、ダイヤルアップネットワークを介してVoIP多重化装置から受信した音声パケットをIP電話網に送出する。
【特許文献1】特開2004−343417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の技術によれば、一本のアナログ回線のみで複数のセッションを同時に実現できる。しかし、IP電話網を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数以上のセッションを同時に実現することはできない。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、IP電話網を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数以上のセッションを同時に確立することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、呼制御サーバが、IP電話網に管理されているセッションであって通話相手側の呼制御サーバとの間に確立しているセッションを利用して呼制御パケットをやり取りする。これにより、このセッションのなかに、IP電話網に管理されていないセッションを確立する。
【0006】
例えば、本発明の呼制御サーバは、LANをIP電話網に接続するゲートウェイ機能を備えた呼制御サーバであって、
前記LANを介して配下のIP電話端末から受信した呼制御パケットまたは音声パケットを、当該呼制御パケットまたは音声パケットの送信先である他の呼制御サーバを送信先とする音声パケットであって、前記LANを介して他の配下のIP電話端末から受信した音声パケットのペイロードに多重化して、前記IP電話網に送信する多重化手段と、
前記IP電話網から受信した音声パケットから、当該音声パケットのペイロードに多重化されている呼制御パケットまたは音声パケットを分離して、前記IP電話網から受信した音声パケットおよび当該音声パケットから分離した呼制御パケットあるいは音声パケットを、前記LANに送信する分離手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、IP電話網を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数以上のセッションを同時に確立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施の形態に係るIP電話システムの概略図である。
【0010】
図示するように、本実施の形態のIP電話システムは、複数の構内電話システム1および呼制御サーバ2が、IP電話網3を介して相互に接続されて構成されている。
【0011】
呼制御サーバ2は、IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダが運営するSIP(Session Initiation Protocol)サーバである。
【0012】
構内電話システム1は、構内呼制御サーバ11と、少なくとも一台のIP電話端末13と、構内呼制御サーバ11およびIP電話端末13を相互に接続するLAN14と、を有する。
【0013】
構内呼制御サーバ11は、自構内呼制御サーバ11に帰属する(配下の)各IP電話端末13の呼制御を実施するSIPサーバである。また、構内呼制御サーバ11は、自構内電話システム1内の各IP電話端末13をIP電話網3に接続するゲートウェイ(GW)としての機能を備える。
【0014】
IP電話端末13は、自IP電話端末13が帰属する構内呼制御サーバ11を用いて通話相手との間にセッションを確立し、このセッションを介して通話を行う。
【0015】
さて、図1において、構内呼制御サーバ11は、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13と連携して、通話相手側の構内電話システム1との間にセッションを確立する。このとき、構内呼制御サーバ11は、呼制御サーバ2経由で確立しているセッション(以下、網管理セッションと呼ぶ)の数が、IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数に達していないならば、呼制御サーバ2経由でセッションを確立する。一方、網管理セッションの数がこの契約回線数に達しているならば、通話相手側の構内電話システム1との間に確立している網管理セッションがあるか否かを調べる。そして、網管理セッションがあるならば、この網管理セッションを利用して呼制御情報をやり取りする。これにより、呼制御サーバ2経由で確立しているセッションのなかに、呼制御サーバ2に管理されていないセッションを確立する。
【0016】
次に、構内呼制御サーバ11を詳細に説明する。
【0017】
図2は、構内呼制御サーバ11の概略構成図である。
【0018】
図示するように、構内呼制御サーバ11は、LANインターフェース部110と、IP電話網インターフェース部111と、ゲートウェイ制御部112と、端末登録情報記憶部113と、外線セッション情報記憶部114と、多重化パケット保持部115と、SIPパケット送受信部116と、RTPパケット送受信部117と、パケット分離部118と、パケット多重化部119と、音声データ符号化・復号部120と、主制御部121と、を有する。
【0019】
LANインターフェース部110は、LAN14に接続するためのインターフェースであり、トランスポート層以下の各層のプロトコル(TCP(Transmission Control Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)、IP、イーサネット(登録商標)等)を処理する。
【0020】
IP電話網インターフェース部111は、IP電話網3に接続するためのインターフェースであり、トランスポート層以下の各層のプロトコルを処理する。
【0021】
ゲートウェイ制御部112は、LANインターフェース部110あるいはIP電話網インターフェース部111から受信したパケットの種別を判別して、SIPパケットであるならば、このパケットをSIPパケット送受信部116に渡し、RTPパケットであるならば、このパケットをRTPパケット送受信部117に渡す。そして、SIPパケットおよびRTPパケット以外のパケットであるならば、このパケットを、そのヘッダ情報に基づいて、LANインターフェース部110を介してLAN14へ、あるいはIP電話網インターフェース部111を介してIP電話網3へルーティングする。
【0022】
また、ゲートウェイ制御部112は、SIPパケット送受信部116から受け取ったSIPパケット、およびRTPパケット送受信部117から受け取ったRTPパケットを、これらのパケットのヘッダ情報に基づいて、LANインターフェース部110を介してLAN14へ、あるいはIP電話網インターフェース部111を介してIP電話網3へルーティングする。
【0023】
端末登録情報記憶部113には、自構内呼制御サーバ11に帰属しているIP電話端末13各々の端末登録情報(端末ID、内線番号、IPアドレス(ローカルIPアドレス)を含む)が記憶されている。
【0024】
外線セッション情報記憶部114には、自構内呼制御サーバ11に帰属しているIP電話端末13と他の構内呼制御サーバ11との間に確立されているセッション(以下、外線セッションと呼ぶ)の情報が記憶される。
【0025】
図3は、外線セッション情報記憶部114の登録内容例を模式的に表した図である。図示するように、外線セッション情報記憶部114には、自構内呼制御サーバ11に帰属しているIP電話端末13と他の構内呼制御サーバ11との間に確立されている外線セッション毎にレコード1140が登録される。
【0026】
レコード1140は、外線セッションの識別情報であるセッションIDを登録するためのフィールド1141と、この外線セッションと接続する自構内呼制御サーバ11に帰属しているIP電話端末13の端末ID(例えばローカルIPアドレス)を登録するためのフィールド1142と、通話相手の構内呼制御サーバ11に付与されている電話番号(相手番号情報:IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダによって付与された電話番号)を登録するためのフィールド1143と、通話相手の構内呼制御サーバ11のIPアドレス(相手IPアドレス:グローバルIPアドレス)を登録するためのフィールド1144と、この外線セッションの確立に使用されたINVITEメッセージの情報(ヘッダ情報、ボディ情報)を登録するためのフィールド1145と、この外線セッションが利用する網管理セッションの確立に使用されたINVITEメッセージの情報(ヘッダ情報、ボディ情報)を登録するためのフィールド1146と、通話中か否かの状態を判断するためのフィールド1147と、を有する。
【0027】
ここで、対象の外線セッションが網管理セッションである場合、フィールド1145およびフィールド1146に、同じINVITEメッセージの情報が登録される。一方、対象の外線セッションが、網管理セッションのなかに確立され、呼制御サーバ2に管理されていない外線セッションである場合、フィールド1145およびフィールド1146に、異なるINVITEメッセージの情報が登録される。
【0028】
また、フィールド1141に登録されるセッションIDは、INVITEメッセージのボディ情報に含まれているセッションIDを利用して定義してもよい。あるいは、構内呼制御サーバ11が独自に定義してもよい。
【0029】
多重化パケット保持部115は、網管理セッションを介してやり取りされるRTPパケットのペイロードに多重化するSIPパケットおよびRTPパケット(以下、多重化対象パケットと呼ぶ)を保持するバッファである。なお、以下、呼制御サーバ2に管理されていない外線セッションに利用されている網管理セッションを被多重化セッションと呼び、この被多重化セッションのRTPパケット、すなわちペイロードに多重化対象パケットが多重化されるRTPパケットを被多重化パケットと呼ぶ。
【0030】
SIPパケット送受信部116は、ゲートウェイ制御部112およびLANインターフェース部110を介してLAN14とSIPパケットを送受信する。また、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介してIP電話網3とSIPパケットを送受信する。
【0031】
RTPパケット送受信部117は、ゲートウェイ制御部112およびLANインターフェース部110を介してLAN14とRTPパケットを送受信する。また、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介してIP電話網3とRTPパケットを送受信する。
【0032】
また、RTPパケット送受信部117は、ゲートウェイ制御部112から受け取ったRTPパケットが被多重化パケットであるか否か、つまりRTPパケットのペイロードに多重化対象パケットが多重化されているか否かを判断する。ゲートウェイ制御部112からのRTPパケットが被多重化パケットでない場合は、このRTPパケットを主制御部121に渡す。一方、ゲートウェイ制御部112からのRTPパケットが被多重化パケットである場合は、このRTPパケットをパケット分離部118に渡す。また、RTPパケット送受信部117は、主制御部121およびパケット多重化部119から受け取ったRTPパケットをゲートウェイ制御部112に渡す。
【0033】
パケット分離部118は、RTPパケット送受信部117から受け取った被多重化パケットのペイロードから多重化対象パケットを分離する。そして、多重化対象パケットを、この多重化対象パケットがペイロードから分離された被多重化パケットとともに主制御部121に渡す。
【0034】
パケット多重化部119は、主制御部121から被多重化パケットとして受け取ったRTPパケットのペイロードに、主制御部121から受け取った多重化対象パケットを多重化して、得られた被多重化パケットをRTPパケット送受信部117に渡す。
【0035】
音声データ符号化・復号部120は、主制御部121の指示に従い、RTPパケットのペイロードに格納されている音声データを符号化(圧縮)する。または、RTPパケットのペイロードに格納されている符号化データを音声データに復号(伸張)する。
【0036】
そして、主制御部121は、自構内呼制御サーバ11の各部110〜120を統括的に制御する。
【0037】
図4は、構内呼制御サーバ11のSIPパケット送受信動作を説明するためのフロー図である。
【0038】
主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびSIPパケット送受信部116を介して、自構内電話システム1内のIP電話端末13からREGISTERメッセージのSIPパケットを受信すると(S10でYES)、このIP電話端末13の端末登録情報の登録処理を実施して、このIP電話端末13を自構内呼制御サーバ11に帰属させる(S11)。
【0039】
具体的には、主制御部121は、このREGISTERメッセージの送信元のIPアドレスと、このREGISTERメッセージに記述されている内線番号および端末IDとを含む端末登録情報を端末登録情報記憶部113に登録する。また、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、このREGISTERメッセージの送信元に、200OKメッセージを格納したSIPパケットを送信する。
【0040】
また、主制御部121は、SIPパケット送受信部116あるいはパケット分離部118からINVITEメッセージのSIPパケットを受信すると(S12でYES)、後述する発着信処理を実施する(S13)。
【0041】
また、主制御部121は、SIPパケット送受信部116あるいはパケット分離部118からBYEメッセージのSIPパケットを受信すると(S14でYES)、後述する切断処理を実施する(S15)。
【0042】
図5は、図4に示す発着信処理(S13)を説明するためのフロー図である。
【0043】
先ず、主制御部121は、端末登録情報記憶部113を参照して、INVITEメッセージの送信元が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13であるか否かを調べる(S1301)。そして、INVITEメッセージの送信元が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13であるならば(S1301でYES)、S1302に進み、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13でないならば(S1301でNO)、S1310に進む。
【0044】
S1302において、主制御部121は、端末登録情報記憶部113を参照して、INVITEメッセージの送信先が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13であるか否かを調べる。
【0045】
INVITEメッセージの送信先が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13でないならば(S1302でNO)、S1304に進む。
【0046】
一方、INVITEメッセージの送信先が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13である場合(S1302でYES)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、INVITEメッセージの送信先に、このINVITEメッセージを格納したSIPパケットを送信する。その後、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110と連携して、INVITEメッセージの送信元と送信先との間でやり取りされるSIPパケットを中継することにより、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13間にセッション(以下、内線セッションと呼ぶ)を確立する内線発信処理を実施する(S1303)。
【0047】
S1304において、主制御部121は、外線セッション情報記憶部114に登録されているレコード1140を、フィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報毎にグループ化し、そのグループ数を調べる。
【0048】
そして、グループ数が、IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数に達しているならば(S1304でNO)、S1307に進む。
【0049】
一方、グループ数が、IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数に達していない場合(S1304でYES)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびIP電話網インターフェース部111を介して、呼制御サーバ2に、このINVITEメッセージを格納したSIPパケットを転送する。その後、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、LANインターフェース部110、およびIP電話網インターフェース部111と連携して、INVITEメッセージの送信元であるIP電話端末13と送信先である他の構内呼制御サーバ11との間で呼制御サーバ2経由でやり取りされるSIPパケットを中継することにより、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13と他の構内呼制御サーバ11との間に外線セッションを確立する通常の外線発信処理を実施する(S1305)。
【0050】
それから、主制御部121は、外線セッション情報記憶部114にレコード1140を追加する。そして、このレコード1140のフィールド1141にセッションIDを、フィールド1142に、INVITEメッセージの送信元であるIP電話端末13の端末IDを、フィールド1143に、INVITEメッセージの送信先である他の構内呼制御サーバ11の電話番号を、フィールド1144に、INVITEメッセージの送信先である他の構内呼制御サーバ11のIPアドレスを、フィールド1145、1146に、INVITEメッセージの情報(INVITEメッセージを格納したSIPパケットのヘッダ情報およびボディ情報)を、そして、フィールド1147に、通話中であることを示す「通話中」を登録する(S1306)。
【0051】
S1307において、主制御部121は、外線セッション情報記憶部114を参照し、INVITEメッセージの送信先がフィールド1143またはフィールド1144に登録されたレコード1140が登録されているか否か、つまりINVITEメッセージの送信先と接続する外線セッションが既に存在するか否かを調べる。INVITEメッセージの送信先と接続する外線セッションが既に存在する場合は(S1307でYES)、後述するパケット多重外線発信処理を実施する(S1308)。
【0052】
一方、INVITEメッセージの送信先と接続する外線セッションが存在しない場合(S1307でNO)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110と連携し、INVITEメッセージの送信元に、BUSYメッセージを格納したSIPパケットを返信するなどの所定の話中処理を実施する(S1309)。
【0053】
S1310において、主制御部121は、INVITEメッセージをSIPパケット送受信部116から受け取ったか、それともパケット分離部118から受け取ったかを判断する。
【0054】
パケット分離部118から受け取った場合は(S1310で「パケット分離部経由」)、主制御部121は、後述するパケット多重外線着信処理を実施する(S1313)。
【0055】
一方、SIPパケット送受信部116から受け取った場合(S1310で「SIPパケット送受信部経由」)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、自構内呼制御サーバ11に帰属する各IP電話端末13にINVITEメッセージのSIPパケットを転送する。その後、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、LANインターフェース部110、およびIP電話網インターフェース部111と連携して、INVITEメッセージの送信元である他の構内呼制御サーバ11と、INVITEメッセージに応答したIP電話端末13との間でやり取りされるSIPパケットを呼制御サーバ2経由で中継することにより、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13と他の構内呼制御サーバ11との間に外線セッションを確立する通常の外線着信処理を実施する(S1311)。
【0056】
それから、主制御部121は、外線セッション情報記憶部114にレコード1140を追加する。そして、このレコード1140のフィールド1141にセッションIDを、フィールド1142に、INVITEメッセージに応答したIP電話端末13の端末IDを、フィールド1143に、INVITEメッセージの送信元である他の構内電話システム1の電話番号を、フィールド1144に、INVITEメッセージの送信元である他の構内電話システム1のIPアドレスを、フィールド1145、1146に、このINVITEメッセージの情報(このINVITEメッセージを格納したSIPパケットのヘッダ情報およびボディ情報)を、そして、フィールド1147に、通話中であることを示す「通話中」を登録する(S1312)。
【0057】
図6は、図5に示すパケット多重外線発信処理(S1308)を説明するためのフロー図である。
【0058】
先ず、主制御部121は、INVITEメッセージの送信先(他の構内呼制御サーバ11)との間に確立している網管理セッションを被多重化セッションに決定する(S130800)。具体的には、主制御部121は、外線セッション情報記憶部114を参照し、INVITEメッセージの送信先の電話番号がフィールド1143に登録され、あるいはINVITEメッセージの送信先のIPアドレスがフィールド1144に登録され、且つフィールド1145およびフィールド1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されているレコード1140を特定する。そして、このレコード1140により特定される外線セッションを被多重化セッションに決定する。なお、被多重化パケット(RTPパケット)は、被多重化セッションを介して送受される。
【0059】
次に、主制御部121は、INVITEメッセージのSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に登録する(S130801)。
【0060】
次に、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、INVITEメッセージの送信元に100TryingメッセージのSIPパケットを返信する(S130802)。
【0061】
また、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびRTPパケット送受信部117を介してLAN14から被多重化パケットが届くのを待つ(S130803)。
【0062】
次に、主制御部121は、この被多重化パケットに多重化するための多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、この被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、この被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S130804)。
【0063】
それから、主制御部121は、IP電話網インターフェース部111、ゲートウェイ制御部112、RTPパケット送受信部117、およびパケット分離部118を介して、INVITEメッセージの送信先から100TryingメッセージのSIPパケットを受信するのを待つ(S130805)。
【0064】
INVITEメッセージの送信先から100TryingメッセージのSIPパケットを受信したならば(S130805でYES)、主制御部121は、IP電話網インターフェース部111、ゲートウェイ制御部112、RTPパケット送受信部117、およびパケット分離部118を介して、INVITEメッセージの送信先から180RiningメッセージのSIPパケットを受信するのを待つ(S130806)。
【0065】
INVITEメッセージの送信先から180RiningメッセージのSIPパケットを受信したならば(S130806でYES)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介してINVITEメッセージの送信元に、この180RingingメッセージのSIPパケットを転送する(S130807)。
【0066】
次に、主制御部121は、IP電話網インターフェース部111、ゲートウェイ制御部112、RTPパケット送受信部117、およびパケット分離部118を介して、INVITEメッセージの送信先から200OKメッセージのSIPパケットを受信するのを待つ(S130808)。
【0067】
INVITEメッセージの送信先から200OKメッセージのSIPパケットを受信すると(S130808でYES)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介してINVITEメッセージの送信元に、この200OKメッセージのSIPパケットを転送する(S130809)。
【0068】
次に、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびSIPパケット送受信部116を介して、INVITEメッセージの送信元からACKメッセージのSIPパケットを受信すると(S130810でYES)、このACKメッセージのSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に登録する(S130811)。
【0069】
また、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびRTPパケット送受信部117を介してLAN14から被多重化パケットが届くのを待つ(S130812)。
【0070】
次に、主制御部121は、この被多重化パケットに多重化するための多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットをこの被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、この被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S130813)。
【0071】
これにより、INVITEメッセージの送信元(自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13)と、INVITEメッセージの送信先(他の構内呼制御サーバ11)との間に、呼制御サーバ2で管理されていない外線セッションが、被多重化セッションを介して新たに確立される。
【0072】
次に、主制御部121は、この新たに確立された外線セッションの情報を外線セッション情報記憶部114に登録する(S130814)。具体的には、外線セッション情報記憶部114にレコード1140を追加する。そして、このレコード1140のフィールド1141〜1145に、新たに確立された外線セッションのセッションID、INVITEメッセージの送信元であるIP電話端末13の端末ID、INVITEメッセージの送信先の電話番号、INVITEメッセージの送信先のIPアドレス、およびINVITEメッセージの情報を登録する。また、フィールド1146には、被多重化セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報を登録する。さらに、フィールド1147に、通話中であることを示す「通話中」を登録する。
【0073】
なお、被多重化セッションのレコード1140と新たに追加したレコード1140とは、フィールド1143の相手番号情報、あるいはフィールド1144の相手IPアドレスが一致する。また、新たに追加したレコード1140のフィールド1145、1146には、異なるINVITEメッセージの情報が登録されている。
【0074】
次に、主制御部121は、被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する外線セッションの音声データ各々の品質を決定する(S130815)。具体的には、被多重化セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報をキーにして、外線セッション情報記憶部114からレコード1140を検索することにより、被多重化セッションおよびこの被多重化セッションを利用する外線セッションの総数を計測する。なお、フィールド1147が「非通話中」であるレコード1140は、外線セッションの総数には含めない。そして、この総数が大きいほど、つまり、多重化される音声パケットの数が多いほど、音声データの品質が低くなるように(例えば総数に比例して圧縮率が高くなるように)、被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する外線セッション各々の音声データの品質を決定する。
【0075】
その後、構内呼制御サーバ11は、後述するRTPパケット送受信動作(図12参照)によって、この新たに確立された外線セッションを介してRTPパケットを送受信することにより、INVITEメッセージの送信元および送信先間の通話を開始する(S130816)。
【0076】
図7は、図5に示すパケット多重外線着信処理(S1313)を説明するためのフロー図である。
【0077】
先ず、主制御部121は、INVITEメッセージの送信元(他の構内呼制御サーバ11)との間に確立している網管理セッションを被多重化セッションに決定する(S131300)。具体的には、主制御部121は、外線セッション情報記憶部114を参照し、INVITEメッセージの送信元の電話番号がフィールド1143に登録され、あるいはINVITEメッセージの送信元のIPアドレスがフィールド1144に登録され、且つフィールド1145およびフィールド1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されているレコード1140を特定する。そして、このレコード1140により特定される外線セッションを被多重化セッションに決定する。
【0078】
次に、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13各々にINVITEメッセージのSIPパケットを転送する(S131301)。
【0079】
次に、主制御部121は、100TryingメッセージのSIPパケットを生成し、このSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に登録する(S131302)。それから、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびRTPパケット送受信部117を介してLAN14から被多重化パケットが届くのを待つ(S131303)。
【0080】
主制御部121は、この被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、この被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、この被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S131304)。
【0081】
次に、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびSIPパケット送受信部116を介して、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13各々から180RingingメッセージのSIPパケットを受信するのを待つ(S131305)。そして、主制御部121は、この180RingingメッセージのSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に登録する(S131306)。それから、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびRTPパケット送受信部117を介してLAN14から被多重化パケットが届くのを待つ(S131307)。
【0082】
主制御部121は、この被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、この被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、この被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S131308)。
【0083】
次に、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびSIPパケット送受信部116を介して、自構内呼制御サーバ11に帰属する何れかのIP電話端末13から200OKメッセージのSIPパケットを受信するのを待つ(S131309)。そして、主制御部121は、200OKメッセージのSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に登録する(S131310)。それから、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびRTPパケット送受信部117を介してLAN14から被多重化パケットが届くのを待つ(S131311)。
【0084】
主制御部121は、この被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、この被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、この被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S131312)。
【0085】
また、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13であって200OKメッセージの送信元以外の各IP電話端末13にCANCELメッセージのSIPパケットを送信する(S131313)。
【0086】
次に、主制御部121は、IP電話網インターフェース部111、ゲートウェイ制御部112、RTPパケット送受信部117、およびパケット分離部118を介して、INVITEメッセージの送信元からACKメッセージのSIPパケットを受信するのを待つ(S131314)。
【0087】
そして、INVITEメッセージの送信元からACKメッセージのSIPパケットを受信したならば(S131314でYES)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、200OKメッセージの送信元に、このACKメッセージのSIPパケットを転送する(S131315)。
【0088】
これにより、200OKメッセージの送信元(自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13)とINVITEメッセージの送信元(他の構内呼制御サーバ11)との間に、呼制御サーバ2で管理されていない外線セッションが、被多重化セッションを介して新たに確立される。
【0089】
次に、主制御部121は、この新たに確立された外線セッションの情報を外線セッション情報記憶部114に登録する(S131316)。具体的には、外線セッション情報記憶部114にレコード1140を追加する。そして、このレコード1140のフィールド1141〜1145に、新たに確立された外線セッションのセッションID、200OKメッセージの送信元であるIP電話端末13の端末ID、INVITEメッセージの送信元の電話番号、INVITEメッセージの送信元のIPアドレス、およびINVITEメッセージの情報を登録する。また、フィールド1146には、被多重化セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報を登録する。さらに、フィールド1147に、通話中であることを示す「通話中」を登録する。
【0090】
次に、主制御部121は、被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する外線セッションの音声データ各々の品質を決定する(S131317)。具体的には、被多重化セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報をキーにして、外線セッション情報記憶部114からレコード1140を検索することにより、被多重化セッションおよびこの被多重化セッションを利用する外線セッションの総数を計測する。なお、フィールド1147が「非通話中」であるレコード1140は、外線セッションの総数には含めない。そして、この総数が大きいほど音声データの品質が低くなるように(例えば総数に比例して圧縮率が高くなるように)、被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する外線セッション各々の音声データの品質を決定する。
【0091】
その後、構内呼制御サーバ11は、後述するRTPパケット送受信動作(図13参照)によって、この新たに確立された外線セッションを介してRTPパケットを送受信することにより、INVITEメッセージの送信元および送信先間の通話を開始する(S131318)。
【0092】
図8は、図4に示す切断処理(S15)を説明するためのフロー図である。
【0093】
先ず、主制御部121は、端末登録情報記憶部113を参照して、BYEメッセージの送信元が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13であるか否かを調べる(S1501)。BYEメッセージの送信元が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13であるならば(S1501でYES)、S1502に進む。一方、BYEメッセージの送信元が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13でないならば(S1501でNO)、S1510に進む。
【0094】
S1502において、主制御部121は、端末登録情報記憶部113を参照して、BYEメッセージの送信先が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13であるか否かを調べる。
【0095】
そして、BYEメッセージの送信先が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13でないならば(S1502でNO)、S1504に進む。
【0096】
一方、BYEメッセージの送信先が、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13である場合(S1502でYES)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、BYEメッセージの送信先に、このBYEメッセージのSIPパケットを転送する。その後、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110と連携して、BYEメッセージの送信元と送信先との間でやり取りされるSIPパケットを中継することにより、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13間で確立されている内線セッションを切断する内線切断処理を実施する(S1503)。
【0097】
S1504において、主制御部121は、切断対象のセッションが網管理セッションであるか否かを調べる。具体的には、主制御部121は、外線セッション情報記憶部114を参照し、フィールド1142にBYEメッセージの送信元の端末IDが登録され、かつ、フィールド1143、1144にBYEメッセージの送信先の電話番号、IPアドレスが登録されているレコード1140を検索する。そして、検索したレコード1140のフィールド1145、1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されているか否かを調べる。2つのフィールド1145、1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されているならば、網管理セッションと判断し、2つのフィールド1145、1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されていないならば、呼制御サーバ2を経由することなく確立された外線セッション、つまり被多重化セッションを利用して確立された外線セッションと判断する。
【0098】
切断対象のセッションが被多重化セッションを利用して確立された外線セッションである場合(S1504でNO)、主制御部121は、後述する第一パケット多重外線切断処理を実施する(S1505)。
【0099】
一方、切断対象の外線セッションが網管理セッションである場合(S1504でYES)、この網管理セッションが被多重化セッションであるか否かをさらに調べる(S1506)。具体的には、主制御部121は、網管理セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報をキーにして、外線セッション情報記憶部114からレコード1140を検索する。そして、この網管理セッション以外の外線セッションのレコード1140を検索できた場合、主制御部121は、この網管理セッションが被多重化セッションであると判断する。
【0100】
切断対象の網管理セッションが被多重化セッションである場合(S1506でYES)、主制御部121は、後述するパケット多重外線みなし切断処理を実施する(S1507)。一方、切断対象の網管理セッションが被多重化セッションでない場合(S1506でNO)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびIP電話網インターフェース部111を介して、呼制御サーバ2にBYEメッセージのSIPパケットを転送する。その後、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、LANインターフェース部110、およびIP電話網インターフェース部111と連携して、呼制御サーバ2経由で、BYEメッセージの送信元であるIP電話端末13と送信先である他の構内呼制御サーバ11との間でやり取りされるSIPパケットを中継することにより、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13と他の構内呼制御サーバ11との間に確立されている外線セッションを切断する通常の外線切断処理を実施する(S1508)。
【0101】
それから、主制御部121は、切断した外線セッションのレコード1140を外線セッション情報記憶部114から削除する(S1509)。
【0102】
S1510において、主制御部121は、BYEメッセージをSIPパケット送受信部116から受け取ったか、それともパケット分離部118から受け取ったかを判断する。
【0103】
パケット分離部118から受け取った場合(S1510で「パケット分離部経由」)、主制御部121は、後述する第二パケット多重外線切断処理を実施する(S1513)。
【0104】
一方、SIPパケット送受信部116から受け取った場合(S1510で「SIPパケット送受信部経由」)、主制御部121は、切断対象の外線セッションによる通話が既に終了しているか否かを判断する(S1511)。具体的には、主制御部121は、外線セッション情報記憶部114を参照し、フィールド1142にBYEメッセージの送信先の端末IDが登録され、かつ、フィールド1143、1144にBYEメッセージの送信元の電話番号、IPアドレスが登録されているレコード1140を検索する。このレコード1140のフィールド1147が「通話中」であれば、切断対象の外線セッションによる通話が終了していないと判断し、フィールド1147が「非通話中」であれば、切断対象の外線セッションによる通話が既に終了したものと判断する。
【0105】
切断対象の外線セッションによる通話が既に終了している場合(S1511でYES)、主制御部121は、後述する外線切断代行処理を実施する(S1512)。一方、切断対象の外線セッションによる通話が未だ終了していない場合(S1511でNO)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、BYEメッセージの送信先のIP電話端末13にBYEメッセージのSIPパケットを転送する。その後、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、LANインターフェース部110、およびIP電話網インターフェース部111と連携して、呼制御サーバ2経由で、BYEメッセージの送信先であるIP電話端末13と送信元である他の構内呼制御サーバ11との間でやり取りされるSIPパケットを中継することにより、自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13と他の構内呼制御サーバ11との間に確立されている外線セッションを切断する通常の外線切断処理を実施する(S1508)。
【0106】
それから、主制御部121は、切断した外線セッションのレコード1140を外線セッション情報記憶部114から削除する(S1509)。
【0107】
図9は、図8に示す第一パケット多重外線切断処理(S1505)を説明するためのフロー図である。
【0108】
先ず、主制御部121は、切断対象の外線セッションに利用されている被多重化セッションによる通話が通話中であるか、それとも終了済みであるか否かを調べる(S150500)。具体的には、主制御部121は、BYEメッセージの送信元の端末IDをキーにして外線セッション情報記憶部114からレコード1140を検索し、このレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報を取得する。そして、このINVITEメッセージの情報がフィールド1145およびフィールド1146の両方に登録されているレコード1140を外線セッション情報記憶部114からさらに検索する。このレコード1140のフィールド1147が「通話中」であれば、被多重化セッションによる通話が通話中であると判断し、フィールド1147が「非通話中」であれば、被多重化セッションによる通話が終了していると判断する。
【0109】
さて、主制御部121は、切断対象の外線セッションに利用されている被多重化セッションによる通話が通話中であるならば(S150500でYES)、S150501に進む。一方、通話が終了しているならば(S150500でNO)、S150508に進む。
【0110】
S150501において、主制御部121は、BYEメッセージのSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に保持する。それから、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびRTPパケット送受信部117を介して、LAN14から被多重化パケットが届くのを待つ(S150502)。
【0111】
次に、主制御部121は、この被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、この被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、この被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S150503)。
【0112】
それから、主制御部121は、IP電話網インターフェース部111、ゲートウェイ制御部112、RTPパケット送受信部117、およびパケット分離部118を介して、BYEメッセージの送信先から200OKメッセージのSIPパケットを受信するのを待つ(S150504)。そして、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、BYEメッセージの送信元に、この200OKメッセージのSIPパケットを転送する(S150505)。
【0113】
これにより、200OKメッセージの送信元(自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13)と200OKメッセージの送信先(他の構内呼制御サーバ11)との間に、呼制御サーバ2を経由しないで確立されていた外線セッションが切断される。
【0114】
次に、主制御部121は、この切断された外線セッションの情報のレコード1140を外線セッション情報記憶部114から削除する(S150506)。
【0115】
次に、主制御部121は、この切断された外線セッションに利用されていた被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する他の外線セッションの音声データ各々の品質を決定して、このフローを終了する(S150507)。具体的には、主制御部121は、被多重化セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報をキーにして外線セッション情報記憶部114からレコード1140を検索することにより、被多重化セッションおよびこの被多重化セッションを利用する外線セッションの総数を計測する。なお、フィールド1147が「非通話中」であるレコード1140は、外線セッションの総数には含めない。そして、この総数が大きいほど音声データの品質が低くなるように(例えば総数に比例して圧縮率が高くなるように)、被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する他の外線セッション各々の音声データの品質を決定する。なお、総数が「1」の場合、つまり被多重化セッションを利用する外線セッションが存在しない場合、主制御部121は、被多重化セッションの音声データの品質設定を解除して標準に戻す。
【0116】
一方、S150508において、主制御部121は、BYEメッセージのSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に保持する。それから、主制御部121は、切断対象である外線セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報、つまり被多重化セッションの確立に用いられたINVITEメッセージの情報に基づいて、ダミーの被多重化パケット(RTPパケット)を生成する(S150509)。
【0117】
次に、主制御部121は、多重化パケット保持部115から、このダミーの被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを読み出し、この多重化対象パケットを、このダミーの被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、ダミーの被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、このダミーの被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S150510)。
【0118】
それから、主制御部121は、IP電話網インターフェース部111、ゲートウェイ制御部112、RTPパケット送受信部117、およびパケット分離部118を介して、BYEメッセージの送信先から200OKメッセージのSIPパケットを受信するのを待つ(S150511)。そして、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、BYEメッセージの送信元に、この200OKメッセージのSIPパケットを転送する(S150512)。
【0119】
これにより、200OKメッセージの送信元(自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13)と200OKメッセージの送信先(他の構内呼制御サーバ11)との間に、呼制御サーバ2を経由しないで確立されていた外線セッションが切断される。
【0120】
次に、主制御部121は、この切断された外線セッションの情報のレコード1140を外線セッション情報記憶部114から削除する(S150513)。
【0121】
それから、主制御部121は、この切断された外線セッションに利用されていた被多重化セッションを利用する他の外線セッションが存在するか否かを判断する(S150514)。具体的には、主制御部121は、被多重化セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報をキーにして、外線セッション情報記憶部114から被多重化セッションを除くレコード1140を検索する。このようなレコードを検索できた場合は被多重化セッションを利用する他の外線セッションが存在すると判断し、検索できなかった場合は、被多重化セッションを利用する他の外線セッションが存在しないと判断する。
【0122】
被多重化セッションを利用する他の外線セッションが存在する場合は(S150514でYES)、S150507に進み、品質設定を行った後、このフローを終了する。一方、被多重化セッションを利用する他の外線セッションが存在しない場合(S150514でNO)、主制御部121は、切断対象である外線セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報、つまり被多重化セッションの確立に用いられたINVITEメッセージの情報に基づいて、BYEメッセージのSIPパケットを生成する。そして、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびIP電話網インターフェース部111を介して、呼制御サーバ2経由で被多重化セッションの接続先(他の構内呼制御サーバ11)に、このBYEメッセージのSIPパケットを送信する(S150515)。
【0123】
それから、主制御部121は、IP電話網インターフェース部111、ゲートウェイ制御部112、およびSIPパケット送受信部116を介して、呼制御サーバ2経由で被多重化セッションの接続先から200OKメッセージのSIPパケットを受信した後(S150516でYES)、外線セッション情報更新を行い(S150517)、このフローを終了する。具体的には、被多重化セッションの情報のレコード1140を外線セッション情報記憶部114から削除する。
【0124】
これにより、通話が終了しているにもかかわらず、呼制御サーバ2には引き続き接続中として管理されている被多重化セッションが切断される。
【0125】
図10は、図8に示す第二パケット多重外線切断処理(S1513)を説明するためのフロー図である。
【0126】
先ず、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、BYEメッセージの送信先である自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13に、このBYEメッセージのSIPパケットを転送する(S151300)。
【0127】
次に、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびSIPパケット送受信部116を介して、BYEメッセージの送信先から200OKメッセージのSIPパケットを受信すると(S151301でYES)、この200OKメッセージのSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に保持する(S151302)。
【0128】
次に、主制御部121は、切断対象の外線セッションが被多重化セッションであるか否かを判断する(S151303)。具体的には、主制御部121は、BYEメッセージの送信先の端末IDと送信元の電話番号あるいは送信元のIPアドレスとをキーにして、外線セッション情報記憶部114から、切断対象の外線セッションのレコード1140を検索する。そして、このレコード1140のフィールド1145およびフィールド1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されているか否かを調べる。2つのフィールド1145、フィールド1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されているならば、切断対象の外線セッションが被多重化セッションであると判断する。一方、2つのフィールド1145、フィールド1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されていないならば、切断対象の外線セッションが被多重化セッションではないと判断する。
【0129】
さて、主制御部121は、切断対象の外線セッションが被多重化セッションである場合は(S151303でYES)、S151309に進む。一方、切断対象の外線セッションが被多重化セッションでない場合は(S151303でNO)、S151304に進む。
【0130】
S151304において、主制御部121は、切断対象の外線セッションに利用されている被多重化セッションによる通話が通話中であるか、それとも終了しているか否かを調べる。具体的には、主制御部121は、切断対象である外線セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報を取得する。そして、このINVITEメッセージの情報がフィールド1145およびフィールド1146の両方に登録されているレコード1140を外線セッション情報記憶部114からさらに検索する。このレコード1140のフィールド1147が「通話中」であれば、被多重化セッションによる通話が通話中であると判断し、フィールド1147が「非通話中」であれば、被多重化セッションによる通話が終了していると判断する。
【0131】
さて、主制御部121は、被多重化セッションの通話が終了している場合は(S151404でNO)、S151309に進む。一方、被多重化セッションが通話中である場合は(S151304でYES)、S151305に進む。
【0132】
S151305において、主制御部121は、LANインターフェース部110、ゲートウェイ制御部112、およびRTPパケット送受信部117を介して、LAN14から被多重化パケットが届くのを待つ。
【0133】
次に、主制御部121は、この被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、この被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、この被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S151306)。
【0134】
これにより、BYEメッセージの送信先(自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13)とBYEメッセージの送信元(他の構内呼制御サーバ11)との間に、呼制御サーバ2を経由しないで確立されていた外線セッションが切断される。
【0135】
次に、主制御部121は、この切断された外線セッションの情報のレコード1140を外線セッション情報記憶部114から削除する(S151307)。
【0136】
次に、主制御部121は、この切断された外線セッションに利用されていた被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する他の外線セッションの音声データ各々の品質を決定して、このフローを終了する(S151308)。具体的には、主制御部121は、被多重化セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報をキーにして、外線セッション情報記憶部114からレコード1140を検索することにより、被多重化セッションおよびこの被多重化セッションを利用する外線セッションの総数を計測する。なお、フィールド1147が「非通話中」であるレコード1140は、外線セッションの総数には含めない。そして、この総数が大きいほど音声データの品質が低くなるように(例えば総数に比例して圧縮率が高くなるように)、被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する他の外線セッション各々の音声データの品質を決定する。なお、総数が「1」の場合、つまり被多重化セッションを利用する他の外線セッションが存在しない場合、主制御部121は、被多重化セッションの音声データの品質設定を解除して標準に戻す。
【0137】
一方、S151309において、主制御部121は、切断対象である外線セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報、つまり被多重化セッションの確立に用いられたINVITEメッセージの情報に基づいて、ダミーの被多重化パケット(RTPパケット)を生成する。
【0138】
次に、主制御部121は、このダミーの被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、このダミーの被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、ダミーの被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、このダミーの被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S151310)。
【0139】
これにより、200OKメッセージの送信先(自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13)と200OKメッセージの送信元(他の構内呼制御サーバ11)との間に、呼制御サーバ2を経由しないで確立されていた外線セッションが切断される。
【0140】
それから、主制御部121は、切断対象が被多重化セッションでなければ、この切断された外線セッションの情報のレコード1140を外線セッション情報記憶部114から削除し、切断対象が被多重化セッションであれば、この切断された外線セッションの情報のレコード1140のフィールド1147を「非通話中」にする(S151311)。そして、S151308に進み、品質設定を行った後、このフローを終了する。
【0141】
図11(A)は、図8に示すパケット多重外線みなし切断処理(S1507)を説明するためのフロー図である。
【0142】
先ず、主制御部121は、BYEメッセージのSIPパケットを多重化対象パケットとして多重化パケット保持部115に保持する(S150700)。それから、主制御部121は、切断対象である外線セッション(被多重化セッション)のレコード1140のフィールド1145、1146に登録されているINVITEメッセージの情報、つまり被多重化セッションの確立に用いられたINVITEメッセージの情報に基づいて、ダミーの被多重化パケット(RTPパケット)を生成する(S150701)。
【0143】
次に、主制御部121は、このダミーの被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、このダミーの被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、ダミーの被多重化パケットのペイロードに多重化対象パケットを多重化する。そして、このダミーの被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112、およびIP電話網インターフェース部111を介して、被多重化セッションの接続相手(他の構内呼制御サーバ11)に送信する(S151702)。
【0144】
それから、主制御部121は、IP電話網インターフェース部111、ゲートウェイ制御部112、RTPパケット送受信部117、およびパケット分離部118を介して、BYEメッセージの送信先から200OKメッセージのSIPパケットを受信すると(S150703でYES)、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、この200OKメッセージのSIPパケットをBYEメッセージの送信元に転送する(S150704)。
【0145】
これにより、IP電話網3上の被多重化セッションが切断されることなく、つまり呼制御サーバ2には引き続き被多重化セッション接続中として管理されつつ、この被多重化セッションに接続するIP電話端末13間の通話が終了する。
【0146】
次に、主制御部121は、この被多重化セッションのレコード1140のフィールド1147を「非通話中」にする(S150705)。そして、品質設定を行った後(S150706)、このフローを終了する。具体的には、主制御部121は、被多重化セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報をキーにして、外線セッション情報記憶部114からレコード1140を検索することにより、被多重化セッションおよびこの被多重化セッションを利用する外線セッションの総数を計測する。なお、フィールド1147が「非通話中」であるレコード1140は、外線セッションの総数には含めない。そして、この総数が大きいほど音声データの品質が低くなるように(例えば総数に比例して圧縮率が高くなるように)、被多重化セッション、およびこの被多重化セッションを利用する他の外線セッション各々の音声データの品質を決定する。なお、総数が「1」の場合、つまり被多重化セッションを利用する他の外線セッションが存在しない場合、主制御部121は、被多重化セッションの音声データの品質設定を解除して標準に戻す。
【0147】
図11(B)は、図8に示す外線切断代行処理(S1512)を説明するためのフロー図である。
【0148】
先ず、主制御部121は、BYEメッセージの送信先の代わりに、このBYEメッセージに対する200OKメッセージのSIPパケットを生成する(S151200)。そして、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびIP電話網インターフェース部111を介して、呼制御サーバ2経由でBYEメッセージの送信元(他の構内呼制御サーバ11)に、この200OKメッセージのSIPパケットを送信する(S151201)。そして、外線セッション情報更新を行い(S151202)、このフローを終了する。具体的には、被多重化セッションの情報のレコード1140を外線セッション情報記憶部114から削除する。
【0149】
これにより、通話が終了しているにもかかわらず、呼制御サーバ2には引き続き接続中として管理されている被多重化セッションが切断される。
【0150】
図12は、LAN14側からRTPパケットを受信した場合における構内呼制御サーバ11のRTPパケット送受信動作を説明するためのフロー図である。
【0151】
先ず、RTPパケット送受信部117は、LANインターフェース部110およびゲートウェイ制御部112を介してLAN14からRTPパケットを受信すると(S200でYES)、このRTPパケットの送信先を確認する(S201)。このRTPパケットの送信先が自構内呼制御サーバ11に帰属する何れかのIP電話端末13である場合(S201でYES)、RTPパケット送受信部117は、ゲートウェイ制御部112およびLANインターフェース部110を介して、このIP電話端末13に、このRTPパケットを転送する(S211)。
【0152】
一方、このRTPパケットの送信先が他の構内呼制御サーバ11である場合(S201でNO)、RTPパケット送受信部117は、主制御部121に、このRTPパケットを渡す。これを受けて、主制御部121は、このRTPパケットが多重化対象パケットであるか否かを判断する(S202)。具体的には、主制御部121は、RTPパケットの送信元である自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13の端末IDをキーにして、外線セッション情報記憶部114から、このRTPパケットに対応する外線セッションのレコード1140を検索し、このレコード1140のフィールド1145、1146に登録されているINVITEメッセージの情報を調べる。両フィールド1145、1146に異なるINVITEメッセージの情報が登録されている場合は多重化対象パケットであると判断し、両フィールド1145、1146に同じINVITEメッセージの情報が登録されている場合は多重化対象パケットでないと判断する。
【0153】
このRTPパケットが多重化対象パケットでない場合(S202でNO)、主制御部121は、このRTPパケットが被多重化パケットであるか否かをさらに調べる(S203)。具体的には、主制御部121は、このRTPパケットに対応する外線セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報をキーにして、外線セッション情報記憶部114からレコード1140を検索する。このRTPパケットに対応する外線セッションのレコード1140以外のレコード1140が検索された場合は被多重化パケットであると判断し、そのようなレコード1140が検索されなかった場合は被多重化パケットでないと判断する。
【0154】
このRTPパケットが被多重化パケットでない場合(S203でNO)、主制御部121は、SIPパケット送受信部116、ゲートウェイ制御部112、およびIP電話網インターフェース部111を介して、このRTPパケットの送信先である他の構内呼制御サーバ11に、このRTPパケットを転送する(S212)。
【0155】
一方、このRTPパケットが被多重化パケットである場合(S203でYES)、主制御部121は、音声データ符号化・復号部120を用いて、このRTPパケットのペイロードに格納されている音声データを、このRTPパケットに対応する外線セッションに対して予め決定された品質となるように符号化する(S204)。
【0156】
次に、主制御部121は、この被多重化パケットに多重化する多重化対象パケットを多重化パケット保持部115から読み出し、この多重化対象パケットを、この被多重化パケットとともにパケット多重化部119に渡す。これを受けて、パケット多重化部119は、この被多重化パケット(RTPパケット)のペイロードに多重化対象パケットを多重化する(S205)。そして、この被多重化パケットを、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112およびIP電話網インターフェース部111を介して、この被多重化パケットの送信先である他の構内呼制御サーバ11に転送する(S206)。
【0157】
また、S202において、このRTPパケットが多重化対象パケットである場合(S202でYES)、主制御部121は、音声データ符号化・復号部120を用いて、このRTPパケットのペイロードに格納されている音声データを、このRTPパケットに対応する外線セッションに対して予め決定された品質となるように符号化する(S207)。そして、このRTPパケット(多重化対象パケット)を多重化パケット保持部115に保持する(S208)。
【0158】
次に、主制御部121は、この多重化対象パケットに対応する外線セッションに利用されている被多重化セッションによる通話が通話中であるか、それとも終了しているか否かを調べる(S209)。具体的には、主制御部121は、多重化対象パケットに対応する外線セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報がフィールド1145、1146の両方に登録されているレコード1140を、外線セッション情報記憶部114から検索する。このようなレコード1140が検索できた場合は、被多重化セッションによる通話が通話中であると判断し、検索できなかった場合は通話が終了していると判断する。
【0159】
さて、主制御部121は、この多重化対象パケットに対応する外線セッションに利用されている被多重化セッションによる通話が通話中である場合(S209でYES)、このフローを終了する。一方、通話が終了しているである場合(S209でNO)、主制御部121は、この多重化対象パケットに対応する外線セッションのレコード1140のフィールド1146に登録されているINVITEメッセージの情報、つまり被多重化セッションの確立に用いられたINVITEメッセージの情報に基づいて、ダミーの被多重化パケット(RTPパケット)を生成する(S210)。その後、上述のS204〜S206の処理を実施する。
【0160】
図13は、IP電話網3側からRTPパケットを受信した場合における構内呼制御サーバ11のRTPパケット送受信動作を説明するためのフロー図である。
【0161】
先ず、RTPパケット送受信部117は、IP電話網インターフェース部111およびゲートウェイ制御部112を介してIP電話網3からRTPパケットを受信すると(S220でYES)、このRTPパケットのペイロードに多重化対象パケットが多重化されているか否かを判断する(S221)。
【0162】
RTPパケットに多重化対象パケットが多重化されていない場合(S221でNO)、RTPパケット送受信部117は、ゲートウェイ制御部112およびLANインターフェース部110を介して、このRTPパケットの送信先である自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13に、このRTPパケットを転送する(S228)。
【0163】
一方、RTPパケットに多重化対象パケットが多重化されている場合、つまりこのRTPパケットが被多重化パケットである場合(S221でYES)、RTPパケット送受信部117は、このRTPパケットをパケット分離部118に渡す。これを受けて、パケット分離部118は、このRTPパケットのペイロードから多重化対象パケットを分離して、このRTPパケットおよび多重化対象パケットを主制御部121に渡す(S222)。
【0164】
次に、主制御部121は、音声データ符号化・復号部120を用いて、パケット分離部118から受け取ったRTPパケットのペイロードに格納されている符号化データを音声データに復号する(S223)。それから、主制御部121は、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、このRTPパケットの送信先である自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13に、このRTPパケットを転送する(S224)。
【0165】
また、主制御部121は、パケット分離部118から受け取った多重化対象パケットがRTPパケットであるか、それともSIPパケットであるかを判断する(S225)。そして、RTPパケットである場合(S225でYES)、主制御部121は、音声データ符号化・復号部120を用いて、このRTPパケットのペイロードに格納されている符号化データを音声データに復号する(S226)。それから、主制御部121は、RTPパケット送受信部117、ゲートウェイ制御部112、およびLANインターフェース部110を介して、このRTPパケットの送信先である自構内呼制御サーバ11に帰属するIP電話端末13に、このRTPパケットを転送する(S227)。
【0166】
なお、多重化対象パケットがSIPパケットである場合は(S225でNO)、図4〜図11に示すSIPパケット送受信フローに従って処理される。
【0167】
次に、図1に示すIP電話システムの動作例を説明する。
【0168】
先ず、網管理セッションを利用してIP電話網3に管理されていない外線セッションが確立される場合の動作例を説明する。
【0169】
図14は、構内呼制御サーバ[A]11がパケット多重外線発信処理(図6参照)を実施し、構内呼制御サーバ[B]11がパケット多重外線着信処理(図7参照)を実施することにより外線セッションが確立される場合のIP電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0170】
ここで、構内電話システム[A]1は、IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数分の網管理セッションを確立しており、そのうちの一つが構内電話システム[B]1との間に確立されているものとする(S301)。
【0171】
さて、構内電話システム[A]1内のIP電話端末[A01]13は、ユーザから構内電話システム[B]1への発信指示を受け付けると、自IP電話端末[A01]13が帰属する構内呼制御サーバ[A]11に、構内電話システム[B]1を送信先とするINVITEメッセージのSIPパケットを送信する(S302)。
【0172】
これを受けて、構内呼制御サーバ[A]11は、100TryingメッセージのSIPパケットをIP電話端末[A01]13に返信する(S303)。
【0173】
また、構内呼制御サーバ[A]11は、INVITEメッセージの送信先である構内呼制御サーバ[B]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのペイロードにINVITEメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、INVITEメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11に送られる(S304)。
【0174】
構内呼制御サーバ[B]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11から受信したRTPパケットからINVITEメッセージのSIPパケットを分離して、このINVITEメッセージのSIPパケットを、自構内呼制御サーバ[B]11に帰属する各IP電話端末[B01]13に送信する(S305)。
【0175】
また、構内呼制御サーバ[B]11は、INVITEメッセージの送信元である構内呼制御サーバ[A]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのペイロードに100TryingメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、100TryingメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11に送られる(S306)。
【0176】
それから、構内呼制御サーバ[B]11は、自構内呼制御サーバ[B]11に帰属する各IP電話端末[B01]13から180RingingメッセージのSIPパケットを受信すると(S307)、INVITEメッセージの送信元である構内呼制御サーバ[A]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのペイロードに180RingingメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、180RingingメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11に送られる(S308)。
【0177】
構内呼制御サーバ[A]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11から受信したRTPパケットから180RingingメッセージのSIPパケットを分離する。そして、180RingingメッセージのSIPパケットを、INVITEメッセージの送信元であるIP電話端末[A01]13に送信する(S309)。
【0178】
さて、構内電話システム[B]1において、IP電話端末[B01]13は、ユーザより応答指示を受け付けると、200OKメッセージを構内呼制御サーバ[B]11に送信する(S310)。構内呼制御サーバ[B]11は、INVITEメッセージの送信元である構内呼制御サーバ[A]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのペイロードに200OKメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、200OKメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11に送られる(S311)。
【0179】
構内呼制御サーバ[A]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11から受信したRTPパケットから200OKメッセージのSIPパケットを分離し、この200OKメッセージのSIPパケットを、INVITEメッセージの送信元であるIP電話端末[A01]13に送信する(S312)。
【0180】
次に、構内呼制御サーバ[A]11は、IP電話端末[A01]13からACKメッセージのSIPパケットを受信すると(S313)、INVITEメッセージの送信先である構内呼制御サーバ[B]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのペイロードにACKメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、ACKメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11に送られる(S314)。
【0181】
構内呼制御サーバ[B]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11から受信したRTPパケットからACKメッセージのSIPパケットを分離し、このACKメッセージのSIPパケットを、INVITEメッセージに応答したIP電話端末[B01]13に送信する(S315)。
【0182】
以上により、構内電話システム[A]1および構内電話システム[B]1間の網管理セッションを介して、IP電話網3上の呼制御サーバ2に管理されていない外線セッションが確立される(S316)。これにより、IP電話端末[A02]13およびIP電話端末[B02]13間の通話と、IP電話端末[A01]13およびIP電話端末[B01]13間の通話とを同時に行うことができる。
【0183】
次に、網管理セッションを利用して確立された外線セッションが切断される場合の動作例を説明する。
【0184】
図15は、構内呼制御サーバ[A]11が第一パケット多重外線切断処理(図9参照)を実施し、構内呼制御サーバ[B]11が第二パケット多重外線切断処理(図10参照)を実施することにより外線セッションが切断される場合のIP電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0185】
ここで、構内電話システム[A]1内のIP電話端末[A02]13と構内電話システム[B]1内のIP電話端末[B02]13との間に網管理セッションが確立され、構内電話システム[A]1内のIP電話端末[A01]13と構内電話システム[B]1内のIP電話端末[B01]13との間に、この網管理セッションを利用した外線セッションが確立されているものとする(S320)。
【0186】
さて、IP電話端末[A01]13は、ユーザから切断指示を受け付けると、自IP電話端末[A01]13が帰属する構内呼制御サーバ[A]11に、IP電話端末[B01]13を送信先とするBYEメッセージのSIPパケットを送信する(S321)。
【0187】
これを受けて、構内呼制御サーバ[A]11は、構内呼制御サーバ[B]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのペイロードにBYEメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、BYEメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11に送られる(S322)。
【0188】
構内呼制御サーバ[B]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11から受信したRTPパケットからBYEメッセージのSIPパケットを分離し、このBYEメッセージのSIPパケットをIP電話端末[B01]13に送信する(S323)。それから、構内呼制御サーバ[B]11は、IP電話端末[B01]13から200OKメッセージのSIPパケットを受信すると(S324)、構内呼制御サーバ[A]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのペイロードに200OKメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、200OKメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11に送られる(S325)。
【0189】
構内呼制御サーバ[A]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11から受信したRTPパケットから200OKメッセージのSIPパケットを分離し、この200OKメッセージのSIPパケットをIP電話端末[A01]13に送信する(S326)。
【0190】
これにより、IP電話端末[A01]13およびIP電話端末[B01]13間に確立されていた外線セッションが切断される(S327)。
【0191】
次に、外線セッションに利用されている網管理セッションがみなし切断される場合の動作例を説明する。
【0192】
図16は、構内呼制御サーバ[A]11がパケット多重外線みなし切断処理(図11(A)参照)を実施し、構内呼制御サーバ[B]11が第二パケット多重外線切断処理(図10参照)を実施することにより網管理セッションがみなし切断される場合のIP電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0193】
ここで、構内電話システム[A]1内のIP電話端末[A02]13と構内電話システム[B]1内のIP電話端末[B02]13との間に網管理セッションが確立され、構内電話システム[A]1内のIP電話端末[A01]13と構内電話システム[B]1内のIP電話端末[B01]13との間に、この網管理セッションを利用した外線セッションが確立されているものとする(S330)。
【0194】
さて、IP電話端末[A02]13は、ユーザから切断指示を受け付けると、自IP電話端末[A02]13が帰属する構内呼制御サーバ[A]11に、IP電話端末[B02]13を送信先とするBYEメッセージのSIPパケットを送信する(S331)。
【0195】
これを受けて、構内呼制御サーバ[A]11は、構内呼制御サーバ[B]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのダミーを生成し、このダミーのRTPパケットのペイロードにBYEメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、BYEメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11に送られる(S332)。
【0196】
構内呼制御サーバ[B]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11から受信したRTPパケットからBYEメッセージのSIPパケットを分離し、このBYEメッセージのSIPパケットをIP電話端末[B02]13に送信する(S333)。それから、構内呼制御サーバ[B]11は、IP電話端末[B02]13から200OKメッセージのSIPパケットを受信すると(S334)、構内呼制御サーバ[A]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのダミーを生成し、このダミーのRTPパケットのペイロードに200OKメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、200OKメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11に送られる(S335)。
【0197】
構内呼制御サーバ[A]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11から受信したRTPパケットから200OKメッセージのSIPパケットを分離し、この200OKメッセージのSIPパケットをIP電話端末[A02]13に送信する(S336)。
【0198】
これにより、IP電話網3上の網管理セッションが切断されることなく、つまり呼制御サーバ2に引き続き網管理セッション接続中として管理されつつ、この網管理セッションに接続するIP電話端末[A02]13およびIP電話端末[B02]13間の通話が終了する(みなし切断)。IP電話網3上の網管理セッションは切断されていないため(S337)、この網管理セッションを利用するIP電話端末[A01]13およびIP電話端末[B01]13間の外線セッションは、引き続き維持される(S338)。
【0199】
次に、網管理セッションのみなし切断後にこの網管理セッションを利用して確立された外線セッションが切断される場合の動作例を説明する。
【0200】
図17は、構内呼制御サーバ[A]11が第一パケット多重外線切断処理(図9参照)を実施し、構内呼制御サーバ[B]11が第二パケット多重外線切断処理(図10参照)および外線切断代行処理(図11(B)参照)を実施することにより外線セッションが切断される場合のIP電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0201】
ここで、構内電話システム[A]1内のIP電話端末[A02]13と構内電話システム[B]1内のIP電話端末[B02]13との間に網管理セッションが確立され、構内電話システム[A]1内のIP電話端末[A01]13と構内電話システム[B]1内のIP電話端末[B01]13との間に、この網管理セッションを利用した外線セッションが確立された後、IP電話端末[A02]13およびIP電話端末[B02]13間の網管理セッションがみなし切断されたものとする(S340)。
【0202】
さて、IP電話端末[A01]13は、ユーザから切断指示を受け付けると、自IP電話端末[A01]13が帰属する構内呼制御サーバ[A]11に、IP電話端末[B01]13を送信先とするBYEメッセージのSIPパケットを送信する(S341)。
【0203】
これを受けて、構内呼制御サーバ[A]11は、構内呼制御サーバ[B]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのダミーを生成し、このダミーのRTPパケットのペイロードにBYEメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、BYEメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11に送られる(S342)。
【0204】
構内呼制御サーバ[B]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11から受信したRTPパケットからBYEメッセージのSIPパケットを分離し、このBYEメッセージのSIPパケットをIP電話端末[B01]13に送信する(S343)。それから、構内呼制御サーバ[B]11は、IP電話端末[B01]13から200OKメッセージのSIPパケットを受信すると(S344)、構内呼制御サーバ[A]11との間に確立している網管理セッションのRTPパケットのダミーを生成し、このダミーのRTPパケットのペイロードに200OKメッセージのSIPパケットを多重化する。これにより、200OKメッセージのSIPパケットは、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[A]11に送られる(S345)。
【0205】
構内呼制御サーバ[A]11は、網管理セッションを介して構内呼制御サーバ[B]11から受信したRTPパケットから200OKメッセージのSIPパケットを分離し、この200OKメッセージのSIPパケットをIP電話端末[A01]13に送信する(S346)。
【0206】
これにより、IP電話端末[A01]13およびIP電話端末[B01]13間に確立されていた網管理外セッションが切断される(S347)。
【0207】
次に、構内呼制御サーバ[A]11は、みなし切断された網管理セッションを利用する外線セッションが存在しないことを確認し、この網管理セッションのIP電話網3上での接続を切断するためのBYEメッセージのSIPパケットをIP電話網3上の呼制御サーバ2に送信する。このBYEメッセージのSIPパケットは、呼制御サーバ2経由で構内呼制御サーバ[B]11に送られる(S348)。
【0208】
構内呼制御サーバ[B]11は、このBYEメッセージのSIPパケットに対して、200OKメッセージのSIPパケットを呼制御サーバ2経由で構内呼制御サーバ[A]11に送信する(S349)。
【0209】
これにより、通話が終了しているにもかかわらず、呼制御サーバ2には引き続き接続中として管理されている被多重化セッションが切断される。
【0210】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。
【0211】
本実施の形態では、構内呼制御サーバ11が、IP電話網3上の呼制御サーバ2に管理されているセッションであって通話相手側の構内呼制御サーバ11との間に確立しているセッションである網管理セッションを利用してSIPパケットをやり取りする。これにより、網管理セッションのなかに、IP電話網3上の呼制御サーバ2に管理されていないセッションを確立する。
【0212】
具体的には、構内呼制御サーバ11は、LAN14から受信したSIPパケットまたはRTPパケットを、このSIPパケットまたはRTPパケットの送信先である他の構内呼制御サーバ11との間に確立されている網管理セッションでやり取りするRTPパケットのペイロードに多重化して、IP電話網3に送信する。また、構内呼制御サーバ11は、網管理セッションを介してIP電話網3から受信したRTPパケットのペイロードに多重化されているSIPパケットまたはRTPパケットを分離して、このRTPパケットおよびこのRTPパケットから分離したSIPパケットあるいはRTPパケットを、LAN14に送信する。
【0213】
したがって、IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数以上のセッションを同時に確立することができる。
【0214】
また、本実施の形態において、構内呼制御サーバ11は、網管理セッション数が、IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数に達しており、且つ、通話相手側の構内電話システム1との間に網管理セッションが確立されている場合に、この網管理セッションを利用して外線セッションを確立する。
【0215】
したがって、本実施の形態によれば、網管理セッションを優先利用することができる。
【0216】
また、本実施の形態において、構内呼制御サーバ11は、網管理セッション数が、IP電話網3を提供するIP電話サービスプロバイダとの契約回線数に達しており、且つ、通話相手側の構内電話システム1との間に網管理セッションが確立されていない場合に、INVITEメッセージのSIPパケットを送信した自構内電話システム1内のIP電話端末13に対してBUSYメッセージのSIPパケットを送信して話中処理を実施する。
【0217】
したがって、本実施の形態によれば、セッションを確立できる見込みのない無意味なSIPメッセージのやり取りによってIP電話網3のトラヒックが増大するのを防止することができる。
【0218】
また、本実施の形態において、構内呼制御サーバ11は、網管理セッションと接続するIP電話端末13からBYEメッセージのSIPパケットを受信した場合に、この網管理セッションを利用する外線セッションがあるならば、網管管理セッションのRTPパケットのダミーを生成し、このダミーのRTPパケットを利用してSIPパケットをやり取りする。これにより、網管理セッションをみなし切断し、IP電話網3上の網管理セッションを維持したまま、この網管理セッションと接続するIP電話端末13間の通話を終了させる。
【0219】
したがって、本実施の形態によれば、網管理セッションと接続するIP電話端末13間の通話が終了した後でも、この網管理セッションを利用する外線セッションを維持することができる。
【0220】
また、本実施の形態において、構内呼制御サーバ11は、みなし切断された網管理セッションを利用する外線セッションと接続するIP電話端末13からBYEメッセージのSIPパケットを受信した場合に、網管理セッションを利用する外線セッションが他にない場合、IP電話網3に対して、網管理セッションを切断するためのBYEメッセージのSIPパケットを送信することにより、この網管理セッションを切断する。
【0221】
したがって、本実施の形態によれば、利用されていない網管理セッションがいつまでも残ってしまうのを防止することができる。
【0222】
また、本実施の形態において、構内呼制御サーバ11は、網管理セッションを利用して外線セッションが確立されている場合に、LAN14から受け取ったこの網管理セッションおよび外線セッション各々のRTPパケットのペイロードに格納されている音声データを、外線セッションの数に応じた品質(圧縮率)で符号化(圧縮)する。そして、網管理セッションのRTPパケットのペイロードに、各外線セッションのRTPパケットを多重化してIP電話網3に送信する。また、IP電話網3から受け取った網管理セッションのRTPパケットおよびこのRTPパケットのペイロードに多重化されている外線セッションのRTPパケット各々のペイロードに格納されている符号化データを音声データに復号(伸張)して、LAN14に送信にする。
【0223】
したがって、本実施の形態によれば、網管理セッションを利用して複数の外線セッションが確立されている場合でも、この網管理セッションおよび外線セッション各々に接続する各IP電話端末13がより確実に通話相手と通話できるようにすることが可能となる。
【0224】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0225】
例えば、上記の実施の形態において、構内呼制御サーバ11は、網管理セッションのRTPパケットのペイロードに、網管理セッションを利用する外線セッションのSIPパケットをそのまま多重化しているが、本発明はこれに限定されない。独自に呼制御メッセージを定義してもよい。そして、変換テーブル等を利用して、SIPメッセージを独自の呼制御メッセージに変換してRTPパケットのペイロードに多重化し、またRTPパケットのペイロードから分離した独自の呼制御メッセージをSIPメッセージに変換するようにしてもよい。
【0226】
また、上記の実施の形態において、図2に示す構内呼制御サーバ11の構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実行されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)などの計算機によりソフトウエア的に実行されるものでもよい。または、CPU、メモリ、HDD、DVD−ROM等の補助記憶装置、およびNIC(Network Interface Card)、モデム等の通信インターフェースを備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することで実現されるものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0227】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るIP電話システムの概略図である。
【図2】図2は、構内呼制御サーバ11の概略構成図である。
【図3】図3は、外線セッション情報記憶部114の登録内容例を模式的に表した図である。
【図4】図4は、構内呼制御サーバ11のSIPパケット送受信動作を説明するためのフロー図である。
【図5】図5は、図4に示す発着信処理(S13)を説明するためのフロー図である。
【図6】図6は、図5に示すパケット多重外線発信処理(S1308)を説明するためのフロー図である。
【図7】図7は、図5に示すパケット多重外線着信処理(S1313)を説明するためのフロー図である。
【図8】図8は、図4に示す切断処理(S15)を説明するためのフロー図である。
【図9】図9は、図8に示す第一パケット多重外線切断処理(S1505)を説明するためのフロー図である。
【図10】図10は、図8に示す第二パケット多重外線切断処理(S1513)を説明するためのフロー図である。
【図11】図11(A)は、図8に示すパケット多重外線みなし切断処理(S1507)を説明するためのフロー図であり、図11(B)は、図8に示す外線切断代行処理(S1512)を説明するためのフロー図である。
【図12】図12は、LAN14側からRTPパケットを受信した場合における構内呼制御サーバ11のRTPパケット送受信動作を説明するためのフロー図である。
【図13】図13は、IP電話網3側からRTPパケットを受信した場合における構内呼制御サーバ11のRTPパケット送受信動作を説明するためのフロー図である。
【図14】図14は、構内呼制御サーバ[A]11がパケット多重外線発信処理(図6参照)を実施し、構内呼制御サーバ[B]11がパケット多重外線着信処理(図7参照)を実施することにより外線セッションが確立される場合のIP電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【図15】図15は、構内呼制御サーバ[A]11が第一パケット多重外線切断処理(図9参照)を実施し、構内呼制御サーバ[B]11が第二パケット多重外線切断処理(図10参照)を実施することにより外線セッションが切断される場合のIP電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【図16】図16は、構内呼制御サーバ[A]11がパケット多重外線みなし切断処理(図11(A)参照)を実施し、構内呼制御サーバ[B]11が第二パケット多重外線切断処理(図10参照)を実施することにより網管理セッションがみなし切断される場合のIP電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【図17】図17は、構内呼制御サーバ[A]11が第一パケット多重外線切断処理(図9参照)を実施し、構内呼制御サーバ[B]11が第二パケット多重外線切断処理(図10参照)および外線切断代行処理(図11(B)参照)を実施することにより外線セッションが切断される場合のIP電話システムの動作例を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0228】
1:構内電話システム、2:呼制御サーバ、3:IP電話網、11:構内呼制御サーバ、13:IP電話端末、14:LAN、110:LANインターフェース部、111:IP電話網インターフェース部、112:ゲートウェイ制御部、113:端末登録情報記憶部、114:外線セッション情報記憶部、115:多重化パケット保持部、116:SIPパケット送受信部、117:RTPパケット送受信部、118:パケット分離部、119:パケット多重化部、120:音声データ符号化・復号部、121:主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LANをIP電話網に接続するゲートウェイ機能を備えた呼制御サーバであって、
前記LANを介して配下のIP電話端末から受信した呼制御パケットまたは音声パケットを、当該呼制御パケットまたは音声パケットの送信先である他の呼制御サーバを送信先とする音声パケットであって、前記LANを介して他の配下のIP電話端末から受信した音声パケットのペイロードに多重化して、前記IP電話網に送信する多重化手段と、
前記IP電話網から受信した音声パケットから、当該音声パケットのペイロードに多重化されている呼制御パケットまたは音声パケットを分離して、前記IP電話網から受信した音声パケットおよび当該音声パケットから分離した呼制御パケットあるいは音声パケットを、前記LANに送信する分離手段と、を有する
ことを特徴とする呼制御サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の呼制御サーバであって、
前記多重化手段は、
前記LANを介して前記配下のIP電話端末から接続要求の呼制御パケットを受信したときに、前記IP電話網を介して確立しているセッションが所定数以上であり、且つ前記他の配下のIP電話端末が存在する場合に、前記配下のIP電話端末から受信する呼制御パケットまたは音声パケットを、前記他の配下のIP電話端末から受信する音声パケットのペイロードに多重化して、前記IP電話網に送信する
ことを特徴とする呼制御サーバ。
【請求項3】
請求項2に記載の呼制御サーバであって、
前記LANを介して前記配下のIP電話端末から接続要求の呼制御パケットを受信したときに、前記IP電話網を介して確立しているセッションが所定数以上であり、且つ前記他の配下のIP電話端末が存在していない場合に、前記配下のIP電話端末に対して話中処理を実施する話中処理手段をさらに有する
ことを特徴とする呼制御サーバ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の呼制御サーバであって、
前記多重化手段は、
前記LANを介して前記他の配下のIP電話端末から切断要求あるいは切断要求に対する応答の呼制御パケットを受信したときに、前記配下のIP電話端末から音声パケットを受信中であるならば、前記他の配下のIP電話端末を送信元とし、前記他の呼制御サーバ配下の何れかの端末を送信先とするダミーの音声パケットを生成して、当該音声パケットのペイロードに前記呼制御パケットを多重化し、当該呼制御パケットを前記IP電話網に送信する
ことを特徴とする呼制御サーバ。
【請求項5】
請求項4に記載の呼制御サーバであって、
前記LANを介して前記配下のIP電話端末から切断要求あるいは切断要求に対する応答の呼制御パケットを受信したときに、前記他の配下のIP電話端末から切断要求の呼制御パケットを受信済みであるならば、当該受信済みである切断要求の呼制御パケットを前記IP電話網に送信する代行切断手段をさらに有する
ことを特徴とする呼制御サーバ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の呼制御サーバであって、
前記他の配下のIP電話端末から受信した音声パケットのペイロードに多重化する音声パケット数に応じた品質で、前記他の配下のIP電話端末から受信した音声パケットおよび当該音声パケットのペイロードに多重化する音声パケット各々のペイロードに格納されている音声データを符号化する符号化手段と、
前記IP電話網から受信した音声パケットに多重化されている音声パケット数に応じた品質で、前記IP電話網から受信した音声パケットおよび当該音声パケットのペイロードに多重化されている音声パケット各々のペイロードに格納されている符号化データを音声データに復号する復号手段と、をさらに有する
ことを特徴とする呼制御サーバ。
【請求項7】
ゲートウェイ機能を備えた呼制御サーバによるLANおよびIP電話網間のパケット中継方法であって、
前記LANを介して配下のIP電話端末から受信した呼制御パケットまたは音声パケットを、当該呼制御パケットまたは音声パケットの送信先である他の呼制御サーバを送信先とする音声パケットであって、前記LANを介して他の配下のIP電話端末から受信した音声パケットのペイロードに多重化して、前記IP電話網に送信し、
前記IP電話網から受信した音声パケットから、当該音声パケットのペイロードに多重化されている呼制御パケットまたは音声パケットを分離して、前記IP電話網から受信した音声パケットおよび当該音声パケットから分離した呼制御パケットあるいは音声パケットを、前記LANに送信する
ことを特徴とするパケット中継方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−130305(P2010−130305A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302420(P2008−302420)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】