説明

品質制御装置、品質制御システム、品質制御方法およびプログラム

【課題】ある端末に対してユーザ体感品質(QoE)を向上させる場合にQoEを低下させる端末を特定し、その端末のQoEを適切に低下させることができない。
【解決手段】端末の配信条件と当該配信条件下でのQoEの品質値とを対応付けたルールを記憶する記憶手段と、所定のルールを記憶手段から読み出し、読み出したルールごとにそのルールの配信条件と当該端末の配信条件との差分に基づいて品質制御に必要な帯域幅の変分を算出する品質制御方法選定手段と、増分が減分を上回らない条件を満たす改善ルールと削減ルールとをそれぞれ選択する制御方法決定手段と、端末の配信条件を前記改善ルールまたは前記削減ルールの配信条件に変更する配信制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス全体のユーザ体感品質を考慮して配信制御する品質制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IP(Internet Protocol)ネットワークを介したコンテンツ配信サービスでは、パケットロスなどの発生によりネットワーク品質が低下すると、例えばサービスを受ける受信側端末が受信するメディアデータの欠落が発生する場合がある。このとき、受信側端末においては、受信するコンテンツの品質が低下する。すると、この受信端末において、ユーザが体感する主観的な品質であるユーザ体感品質(以下QoE(Quality of Experience)と呼ぶことがある)が低下する。
【0003】
コンテンツ配信サービスにおいて、配信制御を行う品質制御装置が受信側端末におけるQoEを確保させるためには、品質制御装置がコンテンツの配信側装置と受信側端末との間のネットワーク品質を確保するよう制御することが有効な場合がある。
【0004】
受信側端末におけるQoEを向上するための技術が例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載されている。
【0005】
特許文献1の双方向映像通信サービスの品質制御システムは、通信端末と品質管理装置と品質制御装置とから構成されており、以下のように動作する。
【0006】
品質制御システムは、接続中の通信端末間ごとにその通信端末間に品質劣化がない状態での予測されるQoEの品質値(ユーザ体感品質値)を求める。そして、品質制御システムは、ある閾値以上のQoEが予想される通信端末を制御対象とする。次に品質制御システムは、個々の通信端末のユーザ体感品質値を収集し、収集した品質値からサービス全体のユーザ体感品質値を算出する。そして、品質制御システムは、サービス全体のユーザ体感品質値とある閾値を比較し、サービス全体のユーザ体感品質値が閾値以下であるとき、品質制御を実行する。
【0007】
このような特徴を有する特許文献1に記載された技術では、品質制御システムは、QoEの低い受信端末側のユーザ体感品質値を、当該ネットワークを用いた通信で予測されるQoEの最大値に近づける制御を行うことができる。
【0008】
特許文献2のネットワーク計測制御システムは、記憶装置と制御部とから構成されており、以下のように動作する。
【0009】
制御部はネットワークの計測対象のフローごとに遅延などの計測値のデータを受け取る。すると、制御部はその計測値が記憶手段に記憶されている所定の上限値を超えた場合に、その計測対象のフローに割り当てられている帯域幅を増やす。一方、制御部はその計測値が記憶手段に記憶されている所定の下限値を下回った場合に、その計測対象のフローに割り当てられている帯域幅を減らす。また、制御部が計測対象のフローに割り当てられている帯域幅を増やす場合には、制御部は計測対象外のフローに割り当てられている帯域幅をその増やした帯域幅の分だけ減らす。
【0010】
このような特徴を有する特許文献2記載の技術では、ネットワークの状況に応じた帯域幅の最適な割り当てを行うことが可能となる。
【0011】
特許文献3のリソース量割当装置は、受信部と不満度算出部と帯域決定部とから構成されており、以下のように動作する。
【0012】
受信部は各ユーザが使用する端末からユーザごとの主観品質値を受信すると、受信した主観品質値を不満度算出部に渡す。不満度算出部は、受け取った主観品質値に基づいてユーザの不満度を算出する。帯域決定部は、不満度算出部が算出したユーザの不満度と割り当てられる帯域に応じて定められる料金とに基づいて割り当てるリソース量を決定する。
【0013】
このような特徴を有する特許文献3記載の技術では、ユーザの主観的な品質要求と割り当てられる帯域に応じて定められる料金とに基づいてリソースの割り当て量を決めることができるので、ユーザに対しコストパフォーマンスのよいリソースの割り当てができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−221318号公報
【特許文献2】特開2002−16599号公報
【特許文献3】特開平11−68840号公報
【特許文献4】特開2007−135040公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】ITU-T Recommendation J.246、“Perceptual visual quality measurement techniques for multimedia services over digital cable television networks in the presence of a reduced bandwidth reference”、2008
【非特許文献2】ITU-T Recommendation G.1070、” Opinion model for video-telephony applications”、2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、上述したいずれの特許文献にも、ある端末に対してQoEを向上させる場合にQoEを低下させる端末を特定し、その端末のQoEを適切に低下させることができないという問題がある。その理由は、品質制御システムが、ある端末に対してQoEを向上させる際に、他の端末に対する影響を考慮していないためである。
[発明の目的]
本発明の目的は、ある端末に対してQoEを向上させる場合にQoEを低下させる端末を特定し、その端末のQoEを適切に低下させることができる品質制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の品質制御装置は、端末へコンテンツを配信する際の特性を示す属性を包含する配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを対応付けたルールを記憶する制御情報記憶手段と、推定品質値が第一の端末のユーザ体感品質値より高いルールである第一のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第一のルールごとに前記第一のルールの配信条件と前記第一の端末の配信条件との差分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、推定品質値が第二の端末のユーザ体感品質値より低いルールである第二のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第二のルールごとに前記第二のルールの配信条件と前記第二の端末の配信条件との差分に基づいて前記第二の端末のユーザ体感品質値を前記第二のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する品質制御方法選定手段と、算出された増分が算出された減分を上回らない条件を満たす前記第一のルールから一以上の改善ルールと前記第二のルールから一以上の削減ルールとを選択する制御方法決定手段と、前記第一の端末の配信条件を前記改善ルールの配信条件に変更し、前記第二の端末の配信条件を前記削減ルールの配信条件に変更する配信制御手段と、を備える。
【0018】
本発明の第1の品質制御システムは、端末へコンテンツを配信する際の特性を示す属性を包含する配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを対応付けたルールを記憶する制御情報記憶手段と、推定品質値が第一の端末のユーザ体感品質値より高いルールである第一のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第一のルールごとに前記第一のルールの配信条件と前記第一の端末の配信条件との差分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、推定品質値が第二の端末のユーザ体感品質値より低いルールである第二のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第二のルールごとに前記第二のルールの配信条件と前記第二の端末の配信条件との差分に基づいて前記第二の端末のユーザ体感品質値を前記第二のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する品質制御方法選定手段と、算出された増分が算出された減分を上回らない条件を満たす前記第一のルールから一以上の改善ルールと前記第二のルールから一以上の削減ルールとを選択する制御方法決定手段と、前記第一の端末の配信条件を前記改善ルールの配信条件に変更し、前記第二の端末の配信条件を前記削減ルールの配信条件に変更する配信制御手段と、を備える品質制御装置と、コンテンツの配信を受ける際の配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを前記品質制御装置に送信する端末と、を備える。
【0019】
本発明の第1の品質制御方法は、端末へコンテンツを配信する際の特性を示す属性を包含する配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを対応付けたルールを制御情報記憶手段に記憶するルール記憶ステップと、推定品質値が第一の端末のユーザ体感品質値より高いルールである第一のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第一のルールごとに前記第一のルールの配信条件と前記第一の端末の配信条件との差分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、推定品質値が第二の端末のユーザ体感品質値より低いルールである第二のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第二のルールごとに前記第二のルールの配信条件と前記第二の端末の配信条件との差分に基づいて前記第二の端末のユーザ体感品質値を前記第二のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する品質制御方法選定ステップと、算出された増分が算出された減分を上回らない条件を満たす前記第一のルールから一以上の改善ルールと前記第二のルールから一以上の削減ルールとを選択する制御方法決定ステップと、前記第一の端末の配信条件を前記改善ルールの配信条件に変更し、前記第二の端末の配信条件を前記削減ルールの配信条件に変更する配信制御ステップと、を備える。
【0020】
本発明の第1のプログラムは、コンピュータに、端末へコンテンツを配信する際の特性を示す属性を包含する配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを対応付けたルールを制御情報記憶手段に記憶するルール記憶処理と、推定品質値が第一の端末のユーザ体感品質値より高いルールである第一のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第一のルールごとに前記第一のルールの配信条件と前記第一の端末の配信条件との差分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、推定品質値が第二の端末のユーザ体感品質値より低いルールである第二のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第二のルールごとに前記第二のルールの配信条件と前記第二の端末の配信条件との差分に基づいて前記第二の端末のユーザ体感品質値を前記第二のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する品質制御方法選定処理と、算出された増分が算出された減分を上回らない条件を満たす前記第一のルールの一つである改善ルールと前記第二のルールの一つである削減ルールとを選択する制御方法決定処理と、前記第一の端末の配信条件を前記改善ルールの配信条件に変更し、前記第二の端末の配信条件を前記削減ルールの配信条件に変更する配信制御処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の効果は、ある端末に対してQoEを向上させる場合に適切な端末を特定し、その端末のQoEを適切に低下させることができることにある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における品質制御システムの構成を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態における品質制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、端末情報記憶手段に記憶される端末情報の一例を示したものである。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態における品質制御装置2の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、複数の属性が配信条件の属性として包含される場合に、制御情報記憶手段24に記憶されるルールの一例を示したものである。
【図6】図6は、制御対象端末aの端末情報の一例を示したものである。
【図7】図7は、コンテンツビットレートが配信条件の属性として包含される場合に、制御情報記憶手段24に記憶されるルールの一例を示したものである。
【図8】図8は、制御対象端末bの端末情報の一例を示したものである。
【図9】図9は、品質制御方法選定手段21がルール毎に算出する帯域幅の変分を示したものである。
【図10】図10は、本発明の第1の実施の形態の動作例を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第1の実施の形態の第6変形例における品質制御装置2の構成例を示したブロック図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施の形態における品質制御システムの構成例を示したブロック図である。
【図13】図13は、制御情報記憶手段64に記憶される制御情報の一例を示したものである。
【図14】図14は、パケットロス率が配信条件の属性として包含される場合における、(1)制御対象端末aの端末情報、(2)制御情報記憶手段64に記憶されるルール、および(3)制御情報記憶手段64に記憶される制御情報の一例をそれぞれ示したものである。
【図15】図15は、コンテンツのフレームレートが配信条件の属性として包含される場合における、(1)制御対象端末aの端末情報、(2)制御情報記憶手段64に記憶されるルール、および(3)制御情報記憶手段64に記憶される制御情報の一例をそれぞれ示したものである。
【図16】図16は、コンテンツの解像度情報が配信条件の属性として包含される場合における、(1)制御対象端末aの端末情報、(2)制御情報記憶手段64に記憶されるルール、および(3)制御情報記憶手段64に記憶される制御情報の一例をそれぞれ示したものである。
【図17】図17は、コンテンツの階層情報が配信条件の属性として包含される場合における、(1)制御対象端末aの端末情報、(2)制御情報記憶手段64に記憶されるルール、(3)制御情報記憶手段64に記憶される制御情報、(4)階層符号化されたコンテンツの階層構造の一例をそれぞれ示したものである。
【図18】図18は、本発明の第2の実施の形態の動作例を示すフローチャートである。
【図19】図19は、本発明の第2の実施の形態の第1変形例における構成例を示すブロック図である。
【図20】図20は、ポリシー記憶手段66に記憶される、複数種類の状況情報を含む制御ポリシーの一例を示すものである。
【図21】図21は、ポリシー記憶手段66に記憶される、コンテンツの識別情報が状況情報として包含される制御ポリシーの一例を示すものである。
【図22】図22は、ポリシー記憶手段66に記憶される、フレーム当たりの情報量が状況情報として包含される制御ポリシーの一例を示すものである。
【図23】図23は、ポリシー記憶手段66に記憶される、品質向上時と低下時とで異なる制御ポリシーの一例をそれぞれ示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下は、本発明を実施するための最良の形態についての詳細な説明である。なお、各図面および本明細書記載の各実施の形態において、同様の機能を備える構成要素には同一の符号が与えられている。
【0024】
[第1の実施の形態]
[構成の説明]
図1は本発明の第1の実施の形態における品質制御システムの構成例を示す模式図である。また、図2は本発明の第1の実施の形態における品質制御システムの構成例を示すブロック図である。品質制御システムは、端末1と、品質制御装置2と、帯域管理装置3と、コンテンツ配信装置4と、を備え、それぞれがネットワーク5を介して接続されている。
【0025】
以下は、品質制御システムに含まれる各構成要素についての説明である。
【0026】
===端末1===
端末1は、図2に示すように、体感品質推定手段10と、ネットワーク品質情報収集手段11と、端末情報送信手段12と、を備える。そして、体感品質推定手段10は端末情報送信手段12と、ネットワーク品質情報収集手段11は端末情報送信手段12と、それぞれ接続している。
【0027】
端末1は例えば、パーソナルコンピュータ(PC(Personal Computer))、セットトップボックス(STB(Set Top Box))などの通信可能な装置であってもよい。また端末1は例えば、携帯電話機、携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistant))などの通信端末であってもよい。
【0028】
以下は、端末1に含まれる各構成要素についての説明である。
【0029】
<体感品質推定手段10>
体感品質推定手段10は、端末1が備える図示しない表示手段により再生されているコンテンツについて、このコンテンツを視聴しているユーザのQoEを推定する。なお、本明細書ではコンテンツは音声と動画とを含むデータであってもよいし、音声のみ、または動画のみを含むデータであってもよい。また、コンテンツは、画像や文字情報など、あらゆる情報を含むものであってもよい。
【0030】
本明細書では、QoEとは、コンテンツ配信サービスを受けているユーザが体感する主観的な品質値を指す。また、コンテンツ配信サービスとは、コンテンツ配信装置4からコンテンツの配信を受けるサービスを指す。
【0031】
体感品質推定手段10がQoEを推定する方法は、例えば以下に挙げる方法がある。
【0032】
例えば、前述の方法としてコンテンツのメディア信号を入力としてQoEを推定するメディアレイヤモデルがある。具体的にはメディアレイヤモデルとして次のようなモデルがある。1つ目はコンテンツ配信装置4が配信するコンテンツのメディア信号(原信号)と端末1が受信したコンテンツのメディア信号(劣化信号)とを比較することでQoEを推定するFR(Full-Reference)方式である。2つ目は劣化信号のみを用いてQoEを推定するNR(No-Reference)方式である。3つ目は原信号の一部の情報と劣化信号とを用いてQoEを推定するRR(Reduced Reference)方式である。
【0033】
前述のNR方式の具体例として、例えば次の方法がある。コンテンツ配信装置4はコンテンツの配信時に少なくとも各パケットに含まれるコンテンツデータの各ピクチャの種類または場所を記憶しておく。たとえばコンテンツがH.264により符号化されているとする。コンテンツデータの各ピクチャの種類とは例えば、Iピクチャ(Intra Picture)・Bピクチャ(Bi-directional Predictive Picture)・Pピクチャ(Predictive Picture)である。また、コンテンツデータの各ピクチャの場所とは、「あるパケットにはIピクチャの前半5/7が含まれる」、といった情報を指す。端末1は、コンテンツを受け取ると、そのコンテンツのどのパケットが欠損したかを検出する。そして端末1は検出された欠損パケットと端末1の端末仕様(例えば画面サイズなど)に基づきユーザ体感品質値を推定する。
【0034】
前述のRR方式の具体例として、国際標準化団体ITU-T(International Telecommunication Union Telecommunication Standardization Sector)で承認された技術である非特許文献1の方式がある。
【0035】
また、メディアレイヤモデル以外のQoEの推定方法として、次のような方法がある。1つ目は、コンテンツの劣化信号を直接使わずに端末1が受信するコンテンツのパケットヘッダに含まれるヘッダ情報のみを利用するパケットレイヤモデルである。2つ目は、前述のヘッダ情報とコンテンツ配信装置4が配信するコンテンツの復号化前のビット列とを利用してQoEを推定するビットストリームモデルである。3つ目は、プランニングモデルである。この方法は次のようなものである。システム管理者は、予め特定のコンテンツを用意し、各コンテンツに対する平均的なユーザ体感品質値を求めておく。システム管理者はこの平均的なユーザ体感品質値に基づきコンテンツ配信時における符号化のパラメータなどを設計する。
【0036】
パケットレイヤモデルの具体例としては特許文献4に記載された方法がある。特許文献4では次のような方法が記載されている。体感品質推定装置が、送信側端末で送信したメディア用パケットと受信側端末で受信したメディア用パケットとのヘッダ情報を収集する。そして体感品質推定装置が、前述の両メディア用パケットのうちパケット損失によって影響を受けた無効フレームの割合(無効フレーム率)を前述のヘッダ情報に基づいてそれぞれ算出する。そして体感品質推定装置が、前述の無効フレーム率からQoEを推定する。
【0037】
プランニングモデルの具体例として、非特許文献2に記載された方法がある。非特許文献2に記載の技術は、双方向映像音声通信においてE-modelとしてよく知られている方法である。
【0038】
また、体感品質推定手段10は、ユーザからユーザ体感品質値の入力を受け、入力された値を体感品質推定手段10が出力するユーザ体感品質値としてもよい。ユーザが例えばMOS(Mean Opinion Score)を尺度としてユーザ体感品質値を入力するとする。この場合ユーザは、1(非常に悪い)、2(悪い)、3(普通)、4(良い)、5(非常に良い)の5段階からユーザが一番当てはまると思うものを体感品質推定手段10に入力することになる。
【0039】
上記に挙げた方法は例示であり、体感品質推定手段10がQoEを推定する方法は上記の方法に限られるものではない。また体感品質推定手段10がQoEを推定する方法として上記に挙げられた方法を複数組み合わせて実現することも可能である。
【0040】
本明細書では、ユーザがMOSを尺度としてユーザ体感品質値を体感品質推定手段10に入力するものとする。ユーザ体感品質値としてMOSを利用する利点は、同一のネットワーク品質であってもQoEが異なる場合を把握することができる点にある。例えば、HD解像度のコンテンツが再生可能な端末1が、帯域の制限などによりSD解像度のコンテンツを受信しているとする。この場合、当該端末1におけるネットワーク品質は良好でもQoEは十分ではないことが起こりうる。また、この端末1は端末に適した解像度でコンテンツを受信しているとする。この場合、パケットロスによって欠落したパケットがコンテンツを当該端末1に表示させた場合のどの部分のデータであるかによって、QoEは異なる場合がある。したがって、ユーザが入力した値をユーザ体感品質値とする方法では、ネットワーク品質のみでは判定できなかったQoEの違いも判定可能となる。
【0041】
<ネットワーク品質情報収集手段11>
ネットワーク品質情報収集手段11は、端末1が受信するコンテンツのパケットについての受信品質に関する情報(以下、配信条件とも呼ぶことにする)を収集する。例えば配信条件には、パケットロス率、バーストロス率、各パケットの優先フラグ・非優先フラグの有無などのネットワークに関する情報が含まれてもよい。また、配信条件には、FEC(Forward Error Correction)の強度、受信ビットレート(受信帯域)、コンテンツの符号化方式・ビットレート・解像度・フレームレート、といったコンテンツに関する情報が含まれていてもよい。これらは例示であって、配信条件には、端末1が受信するコンテンツのパケットについての受信品質を示す情報が少なくとも1つは含まれていればよい。
【0042】
また、配信条件とは、コンテンツ配信装置4がコンテンツを配信する際の特性を示す属性を包含する情報とも定義されてよい。この場合、属性とは、前述の各ネットワークに関する情報や各コンテンツに関する情報などを指す。
【0043】
ここで、パケットロス率とは、コンテンツの全パケット数に占める欠落したパケット数の割合である。また、バーストロス率とは、欠落したパケットのうちバーストロスによって欠落したパケット数の割合を示す。バーストロスとは、2以上のパケットが連続して欠落することをいうものとする。
【0044】
FECとは以下に示される技術である。まず、コンテンツの配信装置は、コンテンツを一定のサイズのブロックに分割する。そして、配信装置は、分割したブロックごとに誤り訂正用の冗長符号を付加した上で、各ブロックをコンテンツの再生装置へ送信する。再生装置は、配信装置から送信されてきたブロックのすべてを受信できなかった場合、受信できたブロックに付加されている冗長符号を用いてコンテンツの一部の復元を行う。FECにより、配信装置が、コンテンツの各ブロックに付加する誤り訂正用の冗長符号の量を多くするに伴って、再生装置は、より多くのブロックを復元することが可能となる。
【0045】
ネットワーク品質情報収集手段11は、端末1がインターネットに接続するために利用しているアクセス網の種類、端末1の現在位置、データ収集の日時に関する情報を収集してもよい。
【0046】
<端末情報送信手段12>
端末情報送信手段12は、体感品質推定手段10で推定されるユーザ体感品質値とネットワーク品質情報収集手段11で収集した配信条件とを含む情報である端末情報を送信する。端末情報送信手段12は、端末1の配信条件を伝えることが可能なプロトコルを利用して前述の端末情報を送信してもよい。前述のプロトコルとは例えば、RTCP XR(RTP(Real-time Transport Protocol) control protocol extended reports)がある。端末情報送信手段12は、端末情報を品質制御装置2へ送信する、としてもよい。また、端末情報送信手段12は、端末情報を図示しない端末情報管理装置へ送信し、端末情報管理装置が前述の端末情報を品質制御装置2へ送信する、としてもよい。
【0047】
品質制御装置2へ送信された前述の各情報は、品質制御装置2の備える図示しない端末情報記憶手段に記憶されてもよい。端末情報記憶手段に格納される端末情報の一例が図3に示されている。図3に示すように端末情報は例えば、コンテンツの符号化方式、解像度、フレームレート、コンテンツのビットレート、FECの強度などのコンテンツに関する配信条件を含む。また、端末情報は例えば、パケットロス率、パケットの優先・非優先フラグの有無(TOS(Type of Service)有無)などのネットワークに関する配信条件を含む。また端末情報は例えば、ユーザ体感品質値、端末1のIPアドレス、データ取得日、データ取得時間、アクセス網の種類、などを含む。
【0048】
===品質制御装置2===
図4は本発明の第1の実施の形態における品質制御装置2の構成例を示すブロック図である。
【0049】
品質制御装置2は、図4に示すように、品質制御方法選定手段21と制御方法決定手段22と配信制御手段23と制御情報記憶手段24とを備える。そして、品質制御方法選定手段21は制御方法決定手段22と制御情報記憶手段24と、制御方法決定手段22は品質制御方法選定手段21と配信制御手段23と、配信制御手段23は制御方法決定手段22と、それぞれ接続している。
【0050】
以下は、品質制御装置2に含まれる各構成要素についての説明である。
【0051】
<制御情報記憶手段24>
制御情報記憶手段24は、図5に示すように配信条件と、その配信条件下でコンテンツを配信した場合にネットワーク上での伝送劣化がないと仮定した場合に推定されるユーザ体感品質値と、を対応付けたルールを記憶する。なお、本明細書において、前述のように推定されるユーザ体感品質値は推定品質値と呼ばれることもある。
【0052】
図5の例を参照すると、「符号化方式」、「コンテンツビットレート」、「解像度」、「フレームレート」が、配信条件である。また、「推定MOS」が、前述の配信条件下での推定品質値である。例えば、ルールAの配信条件として符号化方式が「H.264/AVC」、コンテンツビットレートが「10[Mbps]」、解像度が「HD」、フレームレートが「30[fps]」がそれぞれ規定されている。このルールAの配信条件下での推定品質値は「4.2」となる。なお、本明細書および図面では、解像度の項目における「HD」は解像度1920ピクセル*1080ピクセルのことを、「SD」は解像度720ピクセル*480ピクセルのことをそれぞれ指すものとするが、これに限定するものではない。
【0053】
制御情報記憶手段24に記憶されるルールは、予め実験などにより得られる実測データに基づいてこのシステムの管理者等がこの制御情報記憶手段24に入力させるものであってもよい。あるいは、品質制御装置2が、例えば特許文献1に記載のように配信条件(例えば、コンテンツのパケットの無効フレーム率)を基にユーザ体感品質値の向上がどの程度見込めるかを算出する図示しない制御情報生成部を備えてもよい。なお、実験については、模擬環境を作って実験する方法もあるが、実網を使っての実験が望ましい。
【0054】
<品質制御方法選定手段21>
品質制御方法選定手段21は、少なくとも各端末1のQoEの品質値(ユーザ体感品質値)およびその端末1の配信条件を含む端末情報を受け取る。
【0055】
図6の例を参照すると、この端末1の端末情報は、配信条件として「受信ビットレート」が「8[Mbps]」、ユーザ体感品質値が「3.2」であることを示している。
【0056】
品質制御方法選定手段21は、各端末1の端末情報を端末1のおのおのから受信してもよい。また品質制御方法選定手段21は、コンテンツ配信装置4からのサービスを受けている全端末1から端末情報を受け取ってもよいし、一部の端末1から端末情報を受け取ってもよい。あるいは、次のような構成であってもよい。例えば、この品質制御システムは各端末1の端末情報を管理する図示しない端末情報管理装置を新たに備える。そして品質制御方法選定手段21は、前述の端末情報管理装置から端末情報を受け取るようにしてもよい。また例えば、この品質制御システムの品質制御装置2は新たに図示しない端末情報計測手段を備える構成であってもよい。この場合、前述の端末情報計測手段は各端末1のユーザ体感品質値およびその端末1の配信条件を計測する。そして、端末情報計測手段は計測したユーザ体感品質値および配信条件を品質制御方法選定手段21に渡すようにしてもよい。また、各端末1の端末情報には、各端末1を識別できる端末識別情報を含んでいてもよい。
【0057】
品質制御方法選定手段21は、各端末1の端末情報のうち一の端末1(以下、制御対象端末aという)に関する端末情報に含まれるユーザ体感品質値に基づき、制御情報記憶手段24からルールを読み出す。具体的には、制御情報記憶手段24に記憶されている各ルールの推定品質値が制御対象端末aの端末情報に含まれるユーザ体感品質値よりも高いルール(以下、第1のルールという)を読み出す。
【0058】
ここで、品質制御方法選定手段21は、推定品質値が所定の閾値よりも高いルールを第1のルールとして読み出すようにしてもよい。この方法によれば、品質制御装置2は制御対象端末aのユーザ体感品質値が少なくとも前述の閾値以上になることを保証できる。
【0059】
なお、本明細書の記載は、ユーザ体感品質値が大きい場合はQoEが高いことを、ユーザ体感品質値が小さい場合はQoEが低いことをそれぞれ示す実装を前提とする。ユーザ体感品質値が大きい場合はQoEが低いことを、ユーザ体感品質値が小さい場合はQoEが高いことをそれぞれ示す実装も当然可能である。
【0060】
品質制御方法選定手段21は、読み出した第1のルール毎に制御対象端末aのユーザ体感品質値をその第1のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する。具体的には、品質制御方法選定手段21は、第1のルールの配信条件と制御対象端末aの端末情報に含まれるユーザ体感品質値との差分に基づいて帯域幅の増分を算出する。
【0061】
例えば、制御情報記憶手段24に図7で示されるようなルールA、ルールBおよびルールCが記憶されているとする。ここで、ルールAは、配信条件として「受信ビットレート」が「8[Mbps]」、推定品質値が「2.8」であることを示している。また、ルールBは、配信条件として「受信ビットレート」が「10[Mbps]」、推定品質値が「3.3」であることを示している。また、ルールCは、配信条件として「受信ビットレート」が「12[Mbps]」、推定品質値が「3.8」であることを示している。また、制御対象端末aの端末情報が図6で示されるものであったとする。
【0062】
品質制御方法選定手段21は制御対象端末aのユーザ体感品質値「3.2」より高い推定品質値に対応するルールを第1のルールとして選定する。例えば、品質制御方法選定手段21はこのうち推定品質値「3.3」のルールBと推定品質値「3.8」のルールCとを第1のルールとして選定する。
【0063】
このとき、品質制御方法選定手段21は、選定した各ルールに対して、制御対象端末aの端末情報の配信条件と、前述の各ルールの配信条件との差分に基づいて、帯域幅の増分を算出する。
【0064】
いま、制御対象端末aの端末情報の配信条件は『「受信ビットレート」が「8[Mbps]」』である。一方、ルールBの配信条件は『「受信ビットレート」が「10[Mbps]」』である。したがって品質制御方法選定手段21は、制御対象端末aのユーザ体感品質値をそのルールBの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を10-8=2[Mbps]と算出する。
【0065】
また、制御対象端末aの端末情報の配信条件は『「受信ビットレート」が「8[Mbps]」』である。一方、ルールCの配信条件は『「受信ビットレート」が「12[Mbps]」』である。したがって品質制御方法選定手段21は、制御対象端末aのユーザ体感品質値をそのルールCの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を12-8=4[Mbps]と算出する。
【0066】
ここで、帯域幅とは、コンテンツ配信装置4から各端末1への経路における帯域幅を指す。
【0067】
品質制御方法選定手段21は、各端末1の端末情報のうち一の端末1(以下、制御対象端末bという)の端末情報に含まれるユーザ体感品質値に基づき、制御情報記憶手段24からルールを読み出す。具体的には、制御情報記憶手段24に記憶されている各ルールの推定品質値が制御対象端末bの端末情報に含まれるユーザ体感品質値よりも低いルール(以下、第2のルールという)を読み出す。
【0068】
品質制御方法選定手段21は、読み出した第2のルール毎に制御対象端末bのユーザ体感品質値をその第2のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する。具体的には、品質制御方法選定手段21は、第2のルールの配信条件と制御対象端末bの端末情報に含まれるユーザ体感品質値との差分に基づいて帯域幅の減分を算出する。
【0069】
例えば、制御情報記憶手段24に図7で示されるようなルールA、ルールBおよびルールCが記憶されており、制御対象端末bの端末情報が図8で示されるものであったとする。
【0070】
品質制御方法選定手段21は制御対象端末bのユーザ体感品質値「3.8」より低い推定品質値に対応するルールを第2のルールとして選定する。例えば、品質制御方法選定手段21はこのうち推定品質値「2.8」のルールAと推定品質値「3.3」のルールBとを第2のルールとして選定する。
【0071】
このとき、品質制御方法選定手段21は、選定した各ルールに対して、制御対象端末bの端末情報の配信条件と、前述の各ルールの配信条件との差分に基づいて、帯域幅の減分を算出する。
【0072】
いま、制御対象端末bの端末情報の配信条件は『「受信ビットレート」が「12[Mbps]」』である。一方、ルールAの配信条件は『「受信ビットレート」が「8[Mbps]」』である。したがって品質制御方法選定手段21は、制御対象端末bのユーザ体感品質値をそのルールAの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を12-8=4[Mbps]と算出する。
【0073】
また、制御対象端末bの端末情報の配信条件は『「受信ビットレート」が「12[Mbps]」』である。一方、ルールBの配信条件は『「受信ビットレート」が「10[Mbps]」』である。したがって品質制御方法選定手段21は、制御対象端末bのユーザ体感品質値をそのルールBの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を12-10=2[Mbps]と算出する。
【0074】
品質制御方法選定手段21は、各第1のルールとそのルールから算出される帯域幅の増分とを対応付けて、制御方法決定手段22に渡す。また、品質制御方法選定手段21は、各第2のルールとそのルールから算出される帯域幅の減分とを対応付けて、制御方法決定手段22に渡す。例えば、品質制御方法選定手段21は、図9に示されているルールBと帯域幅の増分「2[Mbps]」とを対応付けて制御方法決定手段22に渡す。また例えば、品質制御方法選定手段21は、図9に示されているルールAと帯域幅の減分「4[Mbps]」とを対応付けて制御方法決定手段22に渡す。
【0075】
<制御方法決定手段22>
制御方法決定手段22は、品質制御方法選定手段21から受け取った第1のルールから例えば一のルールを改善ルールとして選択する。また、制御方法決定手段22は、品質制御方法選定手段21から受け取った第2のルールから例えば一のルールを削減ルールとして選択する。このとき制御方法決定手段22は、改善ルールに対応付けられている帯域の増分が、削減ルールに対応付けられている帯域幅の減分を上回らないように、改善ルールと削減ルールとを選択する。そして、制御方法決定手段22は、選択した改善ルールと削減ルールとを配信制御手段23に渡す。
【0076】
制御方法決定手段22の具体的な動作は以下の通りである。制御方法決定手段22が第1のルールとして図7で示されるルールBとルールCとを受け取ったとする。また、制御方法決定手段22が第2のルールとして図7で示されるルールAとルールBとを受け取ったとする。また、図9に示されるように、各ルールについてそれぞれ帯域幅の増分または減分が前述の品質制御方法選定手段21によって算出されているとする。
【0077】
このとき制御方法決定手段22は、例えば改善ルールとして増分が小さいルールから優先して改善ルールとして選択してもよい。この場合制御方法決定手段22は、例えばルールBを選択する。ルールBの配信条件下で制御対象端末aにコンテンツを配信した場合の帯域幅の増分は「2[Mbps]」である。この場合、制御方法決定手段22は、削減ルールとして帯域幅の増分(2[Mbps])以上の減分に対応付けられているルールの1つを削減ルールとして選択する。制御方法決定手段22は、このときルールAとルールBとを選択しうる。制御方法決定手段22は、減分が大きいルールから優先して削減ルールとして選択してもよい。この場合、例えば制御方法決定手段22は、削減ルールとしてルールAを選択する。このとき制御方法決定手段22は、改善ルールとしてルールBを、削減ルールとしてルールAを、それぞれ配信制御手段23に渡す。
【0078】
制御方法決定手段22は、増分が小さいルールから優先して改善ルールとして選択してもよい。あるいは、制御方法決定手段22は、増分が所定の閾値以上でかつ最も小さいルールから優先して改善ルールとして選択してもよい。
【0079】
制御方法決定手段22は、増分と減分との差が最も小さいルールから優先して削減ルールとして選択してもよい。あるいは、制御方法決定手段22は、減分が所定の閾値以下でかつ最も大きいルールから優先して削減ルールとして選択してもよい。
【0080】
<配信制御手段23>
配信制御手段23は、制御対象端末aの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った改善ルールの配信条件に変更する。また、配信制御手段23は、制御対象端末bの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った削減ルールの配信条件に変更する。
【0081】
例えば、配信制御手段23は改善ルールとしてルールBを受け取ったとする。このとき配信制御手段23は制御対象端末aに割り当てられている帯域幅を単位時間当たりの送信パケット数を増加させるなどして8[Mbps]から10[Mbps]へと大きくする。
また、配信制御手段23は、削減ルールとしてルールAを受け取ったとする。このとき配信制御手段23は制御対象端末bに割り当てられている帯域幅を単位時間当たりの送信パケット数を減少させるなどして10[Mbps]から8[Mbps]へと小さくする。
【0082】
配信制御手段23は、帯域管理装置3に対し、制御対象端末aの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った改善ルールの配信条件に変更するよう指示する情報を送信してもよい。また、配信制御手段23は、帯域管理装置3に対し、制御対象端末bの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った削減ルールの配信条件に変更するよう指示する情報を送信してもよい。
【0083】
あるいは、配信制御手段23は、コンテンツ配信装置4に対し、制御対象端末aの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った改善ルールの配信条件に変更するよう指示する情報を送信してもよい。また、配信制御手段23は、コンテンツ配信装置4に対し、制御対象端末bの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った削減ルールの配信条件に変更するよう指示する情報を送信してもよい。
【0084】
===帯域管理装置3===
帯域管理装置3は、品質制御装置2から、制御対象端末aの配信条件を改善ルールの配信条件に変更するよう指示する情報を受けると、制御対象端末aの配信条件を改善ルールの配信条件に変更する。また、帯域管理装置3は、品質制御装置2から、制御対象端末bの配信条件を削減ルールの配信条件に変更するよう指示する情報を受けると、制御対象端末bの配信条件を削減ルールの配信条件に変更する。
【0085】
===コンテンツ配信装置4===
コンテンツ配信装置4は、図2に示すように、少なくともコンテンツを記憶しているコンテンツ保持手段41と、コンテンツを配信するコンテンツ配信手段42と、を備える。コンテンツ保持手段41は、コンテンツ配信手段42と接続されている。
【0086】
以下は、コンテンツ配信装置4に含まれる構成要素についての詳細な説明である。
【0087】
<コンテンツ保持手段41>
コンテンツ保持手段41は、端末1に配信するコンテンツを記憶している。コンテンツ保持手段41は、コンテンツと当該コンテンツを識別できるコンテンツ識別情報とを対応付けて記憶していてもよい。
【0088】
<コンテンツ配信手段42>
コンテンツ配信手段42は、ネットワーク5を介して端末1からコンテンツのリクエストを受信すると、コンテンツ保持手段41から受信したリクエストに応じたコンテンツを読み出す。そしてコンテンツ配信手段42は、ネットワーク5を介して、読み出したコンテンツを端末1へ配信する。コンテンツのリクエストには当該コンテンツのコンテンツ識別情報や端末1を識別できる端末識別情報などを含んでいてもよい。
【0089】
コンテンツ配信手段42は、品質制御装置2から、制御対象端末aの配信条件を改善ルールの配信条件に変更するよう指示する情報を受けると、制御対象端末aの配信条件を改善ルールの配信条件に変更する。また、コンテンツ配信手段42は、品質制御装置2から、制御対象端末bの配信条件を削減ルールの配信条件に変更するよう指示する情報を受けると、制御対象端末bの配信条件を削減ルールの配信条件に変更する。
【0090】
[動作の説明]
図10は、本発明の第1の実施の形態の動作の概要を示すシーケンス図である。
【0091】
品質制御方法選定手段21は、少なくとも各端末1のユーザ体感品質値およびその端末1の配信条件を含む端末情報を受け取る(ステップS1)。品質制御方法選定手段21は、各端末1の端末情報のうち一の端末1(制御対象端末a)の端末情報に含まれるユーザ体感品質値よりも高い推定品質値を含むルール(第1のルール)を、制御情報記憶手段24から読み出す(ステップS2)。品質制御方法選定手段21は、読み出した第1のルール毎に制御対象端末aのユーザ体感品質値をその第1のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する(ステップS3)。
【0092】
品質制御方法選定手段21は、各端末1の端末情報のうち一の端末1(制御対象端末b)の端末情報に含まれるユーザ体感品質値よりも低い推定品質値を含むルール(第2のルール)を制御情報記憶手段24から読み出す(ステップS4)。品質制御方法選定手段21は、読み出した第2のルール毎に制御対象端末bのユーザ体感品質値をその第2のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する(ステップS5)。品質制御方法選定手段21は、各第1のルールとそのルールから算出される帯域幅の増分とを対応付けて、制御方法決定手段22に渡す。また、品質制御方法選定手段21は、各第2のルールとそのルールから算出される帯域幅の減分とを対応付けて、制御方法決定手段22に渡す。
【0093】
制御方法決定手段22は、品質制御方法選定手段21から受け取った第1のルールから一のルールを改善ルールとして選択する。また、制御方法決定手段22は、品質制御方法選定手段21から受け取った第2のルールから所定の要件を満たす一のルールを削減ルールとして選択する(ステップS6)。所定の要件とは、改善ルールに対応付けられている帯域幅の増分が、削減ルールに対応付けられている帯域幅の減分を上回らないこと、などである。制御方法決定手段22は、選択した改善ルールと削減ルールとを配信制御手段23に渡す。
【0094】
配信制御手段23は、制御対象端末aの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った改善ルールの配信条件に変更する。また、配信制御手段23は、制御対象端末bの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った削減ルールの配信条件に変更する(ステップS7)。
【0095】
第1の実施の形態では、品質制御方法選定手段21が所定の条件を満たし、かつ制御対象端末aが使用する帯域幅を増加させる第1のルールを選択する。また、品質制御方法選定手段21が所定の条件を満たし、かつ制御対象端末bが使用する帯域幅を減少させる第2のルールを選択する。そして、制御方法決定手段22が前述の第1のルールから1の改善ルールを、第2のルールから1の削減ルールを、それぞれ選択する。配信制御手段23が前述の改善ルールに基づいて制御対象端末aの配信条件を変更する。そして、配信制御手段23が前述の削減ルールに基づいて制御対象端末bの配信条件を変更する。
【0096】
したがって、品質制御装置2は、制御対象端末aのユーザ体感品質値を改善ルールで特定できる値だけ向上させる際に、制御対象端末bのユーザ体感品質値を削減ルールで特定できる値だけ低下させることができる。つまり、品質制御装置2は制御対象端末aに対してユーザ体感品質値を向上させる場合にユーザ体感品質値を低下させる制御対象端末bを特定し、その制御対象端末bのユーザ体感品質値を適切に低下させることができる。
【0097】
また、制御方法決定手段22は、改善ルールに対応付けられている帯域の増分が、削減ルールに対応付けられている帯域幅の減分を上回らないように改善ルールと削減ルールとを選択する。したがって配信制御手段23によって実施される配信制御の前後においてこの品質制御システムが使用する帯域幅の総量は増加しない。すると、配信制御手段23によって行われる配信制御によって、制御対象端末b以外の端末1に割り当てられるリソースが少なくなる可能性が無い。つまり、品質制御装置2は制御対象端末aに対してユーザ体感品質値を向上させる場合に制御対象端末b以外のユーザ体感品質値を低下させることがない。
【0098】
第1の実施の形態において、品質制御方法選定手段21は予め設定されている閾値γ(例えばγ=2.5、γ:MOS)以下のユーザ体感品質値を送ってきた端末1の中から制御対象端末aを選定する構成としてもよい。あるいは、品質制御方法選定手段21は全端末1に対し各端末の端末情報のユーザ体感品質値の降順に順位付けをする。そして、品質制御方法選定手段21は前述の順位の下位N%(Nは0から100までの任意の数)の端末1の中から制御対象端末aを選定するようにしてもよい(第1変形例)。
【0099】
このような構成によれば、品質制御方法選定手段21はユーザ体感品質値の低い端末1から優先的に制御対象端末aとして選定する。したがって、品質制御システムは端末1間でのユーザ体感品質値のばらつきを小さくすることができる。また品質制御システムは、サービス全体のユーザ体感品質値を向上させることもできる。
【0100】
また第1の実施の形態において、品質制御方法選定手段21は予め設定されている閾値δ(例えばδ=3.8、δ:MOS)以上のユーザ体感品質値を送ってきた端末1の中から制御対象端末bを選定する構成としてもよい。あるいは、品質制御方法選定手段21は端末1に対し各端末の端末情報のユーザ体感品質値の降順に順位付けをする。そして、品質制御方法選定手段21は前述の順位の上位M%(Mは0から100までの任意の数)の端末1の中から制御対象端末bを選定するようにしてもよい(第2変形例)。
【0101】
このような構成によれば、品質制御方法選定手段21はユーザ体感品質値の高い端末1から優先的に制御対象端末bとして選定する。したがって、品質制御システムは端末1間でのユーザ体感品質値のばらつきを小さくすることができる。
【0102】
第1の実施の形態において、品質制御方法選定手段21は、複数の制御対象端末bを選定する構成としてもよい。また、制御方法決定手段22は、改善ルールまたは削減ルールを複数選択してもよい。この場合、制御方法決定手段22は、1または複数の改善ルールの帯域幅の増分の和が、1または複数の削減ルールの帯域幅の減分の和よりも小さくなるようにそれぞれを選択すればよい(第3変形例)。
【0103】
このような構成によれば、品質制御装置2は、ユーザ体感品質値の低下分を各制御対象端末bに分散させることができる。また、品質制御装置2は、サービスの提供を受けているユーザにおける不公平感の解消を実現することができる。
【0104】
また、第1の実施の形態において、品質制御方法選定手段21は、複数の制御対象端末aを選定する構成としてもよい。また、制御方法決定手段22は、改善ルールまたは削減ルールを複数選択してもよい。この場合、制御方法決定手段22は、1または複数の改善ルールの帯域幅の増分の和が、1または複数の削減ルールの帯域幅の減分の和よりも小さくなるようにそれぞれを選択すればよい(第4変形例)。
【0105】
このような構成によれば、品質制御装置2は、配信制御する回数を減らすことが可能となる。したがって、品質制御装置2は、配信制御の負荷を軽減させることができる。また品質制御装置2は、配信制御する機会を減少させることができる。よって、ユーザが視聴するコンテンツの配信条件がたびたび変更されるといったことが無くなる。
【0106】
また、上記の第3変形例または第4変形例の場合には、品質制御装置2は、一度に配信制御する台数をサービス全体のX%(例えば1乃至5%)と設定しておくことで、ネットワーク構成を大きく変更させることなく配信制御を実現できる。これにより、品質制御システムは安定したサービスを提供できる。
【0107】
第1の実施の形態において、品質制御装置2は、サービス全体のQoEの平均品質値を推定する品質算出手段25を備える構成としてもよい。図11はこの変形例における品質制御装置2の構成例である。品質算出手段25は品質制御方法選定手段21と接続されている(第5変形例)。
【0108】
<品質算出手段25>
品質算出手段25は、各端末1の端末情報に含まれるユーザ体感品質値に基づき、当該サービス全体のQoEの平均品質値を算出する。具体的には、品質算出手段25は、各端末情報に含まれるユーザ体感品質値の相加平均や相乗平均などの算出方法によって平均品質値を算出してもよい。
【0109】
また、品質算出手段25は、各端末1の端末情報に含まれるユーザ体感品質値の最頻値を平均品質値として算出するようにしてもよい。
【0110】
品質算出手段25は、算出した平均品質値がある一定値以下の場合に品質制御方法選定手段21に対し、ルールの選定を行うよう制御する、という構成にしてもよい。
【0111】
このような構成によれば、品質制御装置2は、サービス全体のQoEが低い場合にのみ配信制御を行うことができる。これにより品質制御装置2は、配信制御する機会を減少させることができる。したがって、品質制御装置2は、配信制御の負荷を軽減させることができる。また、ユーザが視聴するコンテンツの配信条件がたびたび変更されるといったことが無くなる。
【0112】
また、品質算出手段25は、端末1の端末情報に含まれるユーザ体感品質値に基づき、当該サービス全体のQoEの分散を算出してもよい。この場合、品質算出手段25は、算出した分散がある一定値以上の場合に品質制御方法選定手段21に対し、ルールの選定を行うよう制御する、という構成にしてもよい。
【0113】
このような構成によれば、品質制御装置2は、サービスの提供を受けている端末1間でのQoEのばらつきが大きい場合にのみ配信制御を行うことができる。したがって、品質制御装置2は、配信制御の負荷を軽減させることができる。また、品質制御装置2は、サービスの提供を受けているユーザにおける不公平感の解消を実現することができる。
【0114】
また、品質算出手段25は、各端末1の端末情報に含まれるユーザ体感品質値に基づき、当該サービス全体のQoEの平均品質値と分散とを算出する。そして品質算出手段25は、算出した平均品質値がある一定値以下かつ算出した分散がある一定値以上の場合に品質制御方法選定手段21に対し、ルールの選定を行うよう制御する、という構成にしてもよい。
【0115】
このような構成によれば、品質制御装置2は、当該サービス全体のQoEの平均品質値と分散とが所定の値の場合にのみ配信制御を行うことができる。これにより品質制御装置2は、配信制御する回数を減らすことが可能となる。したがって、品質制御装置2は、配信制御の負荷を軽減させることができる。
【0116】
なお、端末情報に端末情報を収集した時刻を示す情報、アクセス網の種類、利用場所、利用時間帯などの情報が含まれている場合には、品質算出手段25はそれらの情報の内容毎に平均品質値または分散を算出するようにしてもよい。
【0117】
このような構成によれば、品質制御装置2は、端末1の利用環境といった条件等の、よりきめ細やかな条件に基づいて配信制御の要否を決定することが可能となる。
【0118】
なお、上記の第1の実施の形態における種々の変形例を互いに組み合わせる実施の例が実現可能である。
【0119】
[第2の実施の形態]
[構成の説明]
図12は本発明の第2の実施の形態における品質制御システムの構成例を示すブロック図である。品質制御システムは、端末1と、品質制御装置6と、帯域管理装置3と、コンテンツ配信装置4と、を備え、それぞれがネットワーク5を介して接続されている。ここでは第2の実施の形態の第1の実施の形態と異なる点のみを説明し、同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0120】
以下は、品質制御システムに含まれる各構成要素の説明である。
【0121】
<制御情報記憶手段64>
制御情報記憶手段64は、図13に示すように、配信条件の一の属性の変更前の値と、前述の一の属性の変更後の値と、その変更による帯域幅の変分値と、を対応付けた制御情報をさらに記憶する点が、制御情報記憶手段24と異なる。
【0122】
図13の例を参照すると、「変更前パケットロス率」が配信条件の一の属性の変更前の値に、「変更後パケットロス率」が前述の一の属性の変更後の値に、「帯域幅変分」がその変更による帯域幅の変分値に、それぞれ対応する。
【0123】
配信条件の一の属性は、例えばパケットロス率、バーストロス率、受信ビットレート、各パケットの優先フラグ・非優先フラグの有無、FECの強度、符号化方式、コンテンツビットレート、コンテンツの解像度、コンテンツのフレームレートなどである。
【0124】
制御情報記憶手段64に記憶される制御情報は、予め実験などにより得られる実測データに基づいてこのシステムの管理者等がこの制御情報記憶手段64に入力させるものであってもよい。
【0125】
なお、本実施の形態ではルールと制御情報とが一の記憶手段に記憶されている構成を示したが、これに限られることはない。つまりルールと制御情報とが異なる記憶手段に記憶されている構成であってもよい。
【0126】
<品質制御方法選定手段61>
品質制御方法選定手段61は、品質制御方法選定手段21と下記の点で異なる。
【0127】
品質制御方法選定手段61は、読み出した第1のルール毎にそのルールの配信条件と制御対象端末aの配信条件とに基づいて制御情報を制御情報記憶手段64から読み出す点が品質制御方法選定手段21と異なる。具体的には、品質制御方法選定手段61は、制御対象端末aの配信条件の一の属性の値が変更前の当該属性の値に対応し、前述の各第1のルールに含まれる配信条件の一の属性の値が変更後の当該属性の値に対応する、制御情報を読み出す。
【0128】
例えば、制御対象端末aの端末情報が図14の(1)に、制御情報記憶手段64に記憶されているルールが図14の(2)に、制御情報記憶手段64に記憶されている制御情報が図14の(3)にそれぞれ示されているものであるとする。本例では、図14に示されているように配信条件の一の属性は「パケットロス率」である。この場合、品質制御方法選定手段61は、制御対象端末aの配信条件のパケットロス率「0.3」とルールAの配信条件のパケットロス率「0.1」とに基づいて、制御情報記憶手段64に記憶されている制御情報1を読み出す。次に、品質制御方法選定手段61は、制御対象端末aの配信条件のパケットロス率「0.3」とルールBの配信条件のパケットロス率「0.05」とに基づいて、制御情報記憶手段64に記憶されている制御情報2を読み出す。
【0129】
品質制御方法選定手段61は、第1のルール毎に読み出した制御情報に含まれる帯域幅の変分値を、品質制御方法選定手段61が算出した帯域幅の増分とする点で品質制御方法選定手段21と異なる。
【0130】
品質制御方法選定手段61は、読み出した第2のルール毎にそのルールの配信条件と制御対象端末bの配信条件とに基づいて制御情報を制御情報記憶手段64から読み出す点で品質制御方法選定手段21と異なる。具体的には、品質制御方法選定手段61は、制御対象端末bの配信条件の一の属性の値が変更前の当該属性の値に対応し、前述の各第2のルールに含まれる配信条件の一の属性の値が変更後の当該属性の値に対応する、制御情報を読み出す。
【0131】
品質制御方法選定手段61は、第2のルール毎に読み出した制御情報に含まれる帯域幅の変分値を、品質制御方法選定手段61が算出した帯域幅の減分とする点で品質制御方法選定手段21と異なる。
【0132】
<配信制御手段63>
配信制御手段63は、制御対象端末aの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った改善ルールの配信条件に変更する際、以下のように動作してもよい。配信制御手段63は、品質制御方法選定手段61が改善ルールを読み出す際に用いた制御情報に基づいて、配信制御を行ってもよい。つまり、配信制御手段63は、制御対象端末aの配信条件の一の属性の値を制御情報に含まれる一の属性の変更後の値に変更する。
【0133】
この変更により、配信制御手段63は、前述の制御情報に含まれる帯域幅の増分だけ制御対象端末aにさらに帯域を割り当てる配信制御を行うことになる。
【0134】
また、配信制御手段63は、制御対象端末bの配信条件を制御方法決定手段22から受け取った削減ルールの配信条件に変更する際、以下のように動作してもよい。配信制御手段63は、品質制御方法選定手段61が削減ルールを読み出す際に用いた制御情報に基づいて、配信制御を行ってもよい。つまり、配信制御手段63は、制御対象端末bの配信条件の一の属性の値を制御情報に含まれる一の属性の変更後の値に変更する。
【0135】
この変更により、配信制御手段63は、前述の制御情報に含まれる帯域幅の減分だけ制御対象端末bに割り当てる帯域を減らす配信制御を行うことになる。
【0136】
例えば改善ルールが図14(3)に示す制御情報1であるとする。この場合、配信制御手段63は、帯域幅の変分である2[Mbps]だけコンテンツに対する冗長符号を付加する。例えば配信制御手段63はコンテンツに対し前述のFECを適用する場合、そのコンテンツの各ブロックのサイズと帯域幅の変分2[Mbps]とに基づき各ブロック毎に付加するデータ量を特定する。そして配信制御手段63は、各ブロックに特定されたデータ量の冗長符号を付加する。
【0137】
以下の例は配信条件が異なる構成である場合である。例えば制御対象端末aの端末情報が図15の(1)に示すものであるとする。そして改善ルールが図15(2)に示すルールCであるとする。また、品質制御方法選定手段61がルールCを読み出す際に用いた制御情報が図15(3)に示す制御情報4であったとする。ルールCの配信条件の一の属性は「コンテンツのフレームレート」である。この場合、配信制御手段63は、コンテンツのフレームレートを変更後の値(60[fps])に変更する。例えば配信制御手段63またはコンテンツ配信装置4がコンテンツをトランスコードすることによって所望の変更が実現されうる。コンテンツのトランスコードとは、例えばコンテンツのフレームを間引く、またはコンテンツの所定のフレームのデータから新たなフレームのデータを補間する動作を含む。
【0138】
例えば制御対象端末aの端末情報が図16の(1)に示すものであるとする。そして改善ルールが図16(2)に示すルールFであるとする。また、品質制御方法選定手段61がルールFを読み出す際に用いた制御情報が図16(3)に示す制御情報5であったとする。ルールFの配信条件の一の属性は「コンテンツの解像度の情報」である。この場合、配信制御手段63は、コンテンツの解像度を変更後の値(HD)に変更する。上記と同様に、例えば配信制御手段63またはコンテンツ配信装置4がコンテンツをトランスコードすることによって所望の変更が実現されうる。
【0139】
例えば制御対象端末aの端末情報が図17の(1)に示すものであるとする。そして改善ルールが図17(2)に示すルールIであるとする。ルールIの配信条件の一の属性は「コンテンツのどの階層までを配信するのかを示す情報(階層情報)」である。また、品質制御方法選定手段61がルールIを読み出す際に用いた制御情報が図17(3)に示す制御情報8であったとする。さらにコンテンツは図17の(4)に示すとおりに階層符号化されているものとする。階層符号化とは、例えばコンテンツデータが動画であるような場合にはH.264/SVC(Scalable Video Coding)のような規格によりコンテンツデータを圧縮することである。またコンテンツデータが画像であるような場合にはJPEG2000(Joint Photographic Experts Group 2000)のような規格によりコンテンツデータを圧縮することである。本例において、階層符号化するために用いられる規格は、H.264やJPEG2000に限られるものではなくあらゆる規格が用いられてもよい。この場合、配信制御手段23は、図17(2)のルールIの配信条件の階層情報「Enhanced-3」に基づき、基本階層から階層情報が示す階層までのコンテンツを配信する。本例では、配信制御手段23は、階層情報「Enhanced-3」に基づき、BaseからEnhanced-3まで(Base,Enhanced-1,Enhanced-2,Enhanced-3)のコンテンツを配信する。
【0140】
[動作の説明]
図18は、本発明の第2の実施の形態の動作の概要を示すシーケンス図である。
【0141】
品質制御方法選定手段61は、少なくとも各端末1のユーザ体感品質値およびその端末1の配信条件を含む端末情報を受け取る(ステップS1)。品質制御方法選定手段61は、各端末1の端末情報のうち一の端末1(制御対象端末a)の端末情報に含まれるユーザ体感品質値よりも高い推定品質値を含むルール(第1のルール)を、制御情報記憶手段64から読み出す(ステップS2)。
【0142】
品質制御方法選定手段61は、読み出した第1のルール毎にそのルールの配信条件と制御対象端末aの配信条件とに基づいて制御情報を制御情報記憶手段64から読み出す(ステップS11)。品質制御方法選定手段61は、第1のルール毎に読み出した制御情報に含まれる帯域幅の変分値を、品質制御方法選定手段61が算出した帯域幅の増分とする(ステップS12)。
【0143】
品質制御方法選定手段61は、各端末1の端末情報のうち一の端末1(制御対象端末b)の端末情報に含まれるユーザ体感品質値よりも低い推定品質値を含むルール(第2のルール)を制御情報記憶手段64から読み出す(ステップS4)。
【0144】
品質制御方法選定手段61は、読み出した第2のルール毎にそのルールの配信条件と制御対象端末bの配信条件とに基づいて制御情報を制御情報記憶手段64から読み出す(ステップS13)。品質制御方法選定手段61は、第2のルール毎に読み出した制御情報に含まれる帯域幅の変分値を、品質制御方法選定手段61が算出した帯域幅の減分とする(ステップS14)。品質制御方法選定手段61は、各第1のルールとそのルールから算出される帯域幅の増分とを対応付けて、制御方法決定手段22に渡す。また、品質制御方法選定手段61は、各第2のルールとそのルールから算出される帯域幅の減分とを対応付けて、制御方法決定手段22に渡す。
【0145】
制御方法決定手段22は、品質制御方法選定手段61から受け取った第1のルールから一のルールを改善ルールとして選択する。また、制御方法決定手段22は、品質制御方法選定手段61から受け取った第2のルールから所定の要件を満たす一のルールを削減ルールとして選択する(ステップS6)。所定の要件とは、改善ルールに対応付けられている帯域の増分が、削減ルールに対応付けられている帯域幅の減分を上回らないこと、などである。制御方法決定手段22は、選択した改善ルールと削減ルールとを配信制御手段63に渡す。
【0146】
配信制御手段63は、品質制御方法選定手段61が改善ルールを読み出す際に用いた制御情報に基づいて、配信制御を行う。また、配信制御手段63は、品質制御方法選定手段61が削減ルールを読み出す際に用いた制御情報に基づいて、配信制御を行う(ステップS15)。
【0147】
第2の実施の形態では、配信制御手段63が改善ルールに基づいて制御対象端末aの配信条件を変更する際に、品質制御方法選定手段61が改善ルールを読み出す際に用いた制御情報に基づいて、配信制御を行う。具体的には、配信制御手段63は、制御情報に含まれる帯域幅の増分だけ制御対象端末aに割り当てられる帯域を増やすようその制御情報に含まれる属性の値を変更させる。そして、配信制御手段63が削減ルールに基づいて制御対象端末bの配信条件を変更する際に、品質制御方法選定手段61が削減ルールを読み出す際に用いた制御情報に基づいて、配信制御を行う。具体的には、配信制御手段63は、制御情報に含まれる帯域幅の減分だけ制御対象端末bに割り当てられる帯域を減らすようその制御情報に含まれる属性の値を変更させる。
【0148】
制御情報は、配信条件と帯域幅の変分とを対応付けたものである。よって品質制御装置6は、どのような属性のパラメータが配信条件に含まれていたとしても、それらの属性の値を変更する配信制御によるリソースの変更を帯域幅の変分に置き換える。つまり品質制御装置6は、どんな属性のパラメータを配信条件としても帯域幅の変分にもとづいて配信制御方法の選定を行うことができる。したがって、品質制御装置6は多様なパラメータを配信条件として採用することができる。
【0149】
また、配信制御手段63は制御情報に含まれる帯域幅の変分と変更後の一の属性の値を参照するだけで配信制御を実現することが可能となる。
【0150】
第2の実施の形態において、品質制御装置6は、配信条件が包含する各属性の変更優先度と所定の条件を示す情報(以下、状況情報という)とを対応付けた制御ポリシーを記憶するポリシー記憶手段66を備える構成としてもよい。
【0151】
本変形例において、品質制御方法選定手段61は、少なくとも各端末1のQoEの品質値(ユーザ体感品質値)およびその端末1の配信条件を含む端末情報と、前述の状況情報とを受け取る。この状況情報は、配信条件または配信条件または端末情報に含まれていてもよいし、端末情報とは別個の情報であってもよい。
【0152】
図19はこの変形例における品質制御装置6の構成例を示すブロック図である。ポリシー記憶手段66は、制御方法決定手段62と接続されている(第1変形例)。
【0153】
<ポリシー記憶手段66>
ポリシー記憶手段66は、図20に示すように、配信条件が包含する各属性の変更優先度と状況情報とを対応付けた制御ポリシーを対応付けて記憶する。
【0154】
図20の例を参照すると、「コンテンツ識別情報」、「フレーム当たりの情報量」、「年齢」、「利用プラン」、「アクセス網の種類」がそれぞれ状況情報に対応している。状況情報は、前述の項目に限られることは無く、各端末1を使用するユーザに関する各種プロファイル情報などを含んでいてもよい。
【0155】
また、図20の例を参照すると、「パケットロス率」、「フレームレート」、「解像度」、「階層情報」が各属性の変更優先度に対応している。
【0156】
ポリシー記憶手段66に記憶される制御情報は、予め実験などにより得られる実測データに基づいてこのシステムの管理者等がこのポリシー記憶手段66に入力させるものであってもよい。
【0157】
<制御方法決定手段62>
本変形例において、制御方法決定手段62は制御対象端末aの状況情報に対応するポリシーをポリシー記憶手段66から読み出す。そして、制御方法決定手段62は、読み出したポリシーに含まれる変更優先度の高い属性を特定する。制御方法決定手段62は、制御対象端末aの配信条件と改善ルールの配信条件とについて、特定した属性の値が異なっている改善ルールを優先的に選択する。
【0158】
また、制御方法決定手段62は制御対象端末bの状況情報に対応するポリシーをポリシー記憶手段66から読み出す。そして、制御方法決定手段62は、読み出したポリシーに含まれる変更優先度の高い属性を特定する。制御方法決定手段62は、制御対象端末bの配信条件と削減ルールの配信条件とについて、特定した属性の値が異なっている削減ルールを優先的に選択する。
【0159】
例えば、制御方法決定手段62は、図20に示すポリシーのうち「映画B」のコンテンツ識別情報を含むポリシーをポリシー記憶手段66から読み出すとする。この場合、制御方法決定手段62は制御対象端末aの配信条件と改善ルールの配信条件とについて、最も変更優先度の高い属性であるパケットロス率が異なる改善ルールを選択する。
【0160】
この構成によれば、品質制御システムの管理者は、状況情報の特性に応じて配信条件のどの属性から優先的に変更すればよいかを容易に設定できる。
【0161】
例えば、制御方法決定手段62は状況情報のうち「コンテンツの識別情報」に応じてポリシーをポリシー記憶手段66から読み出すとする。ポリシー記憶手段66には例えば図21に示すようなポリシーが記憶されているとする。コンテンツが“映画B”の場合には、そのコンテンツの表示においては動きが激しいと推定されるので、図21に示されるように、パケットロス率を下げることを優先させる。なぜならコンテンツの表示において動きが激しい場合には、少々のコマ落ちが気になりやすく、QoEに大きな影響を与えると考えられるからである。
【0162】
また、コンテンツが“教育テレビD”の場合には、そのコンテンツの表示においては動きが緩やかであると考えられるので、パケットロス率を下げるのではなく、解像度を上げることを優先させる。なぜならコンテンツの表示において動きが緩やかである場合には、少々のコマ落ちが気になりにくく、QoEに大きな影響を与えないと考えられるからである。
【0163】
このように、制御方法決定手段62が「コンテンツの識別情報」に応じてポリシーをポリシー記憶手段66から読み出すことによって、コンテンツの内容に応じた配信制御を実現することが可能となる。
【0164】
また、例えば制御方法決定手段62は状況情報のうち「フレーム当たりの情報量」に応じてポリシーをポリシー記憶手段66から読み出すとする。ポリシー記憶手段66には例えば図22に示すようなポリシーが記憶されているとする。
【0165】
ここで、例えばコンテンツがH.264/AVC(Advanced Video Coding)形式で符号化されていたとする。コンテンツの表示において動きが激しい場合にはフレーム間のデータの差分も大きくなりPピクチャやBピクチャの情報量が大きくなるので、コンテンツのフレーム当たりの情報量が大きい場合には、そのコンテンツの表示においては動きが激しいと推定される。
【0166】
したがって、図22に示されるように、コンテンツのフレーム当たりの情報量が大きい場合には、そのコンテンツの表示においては動きが激しいと推定されるので、パケットロス率を下げることを優先させる。なぜならコンテンツの表示において動きが激しい場合には、少々のコマ落ちが気になりやすく、QoEに大きな影響を与えるからである。
【0167】
また、前述とは逆にコンテンツのフレーム当たりの情報量が小さい場合には、そのコンテンツの表示においては動きが緩やかであると考えられるので、パケットロス率を下げるのではなく、解像度を上げることを優先させる。なぜならコンテンツの表示において動きが緩やかである場合には、少々のコマ落ちが気になりにくく、QoEに大きな影響を与えないからである。
【0168】
このように、制御方法決定手段62が「フレーム当たりの情報量」に応じてポリシーをポリシー記憶手段66から読み出す。この構成によれば、制御方法決定手段62は例えば同一コンテンツの配信においてもフレーム当たりの情報量が大きい時間帯とフレーム当たりの情報量が小さい時間帯とで異なる配信制御を実現する、といったことが可能となる。
【0169】
また、例えば制御方法決定手段62は状況情報のうち「利用プラン」に応じてポリシーをポリシー記憶手段66から読み出すとする。ポリシー記憶手段66には例えば図23(1)に示すようなポリシーが記憶されているとする。なお、図23(1)において、変更優先度が「0」であることは、その属性の値の変更を許可しないことを意味するものとする。図23(1)に示すように、利用プランが無料の場合には、パケットロス率を下げる配信制御しか行わない。
【0170】
また、図23(1)に示すように、利用プランがプレミアムの場合には、パケットロス率、フレームレート、解像度、コンテンツの階層のいずれの属性も変更できるようにする。
【0171】
なお、上記は品質向上時の例を示したものである。品質低下時には、品質制御装置6は例えば図23(2)に示すように品質向上時に用いられるポリシーとは異なるポリシーを制御ポリシー記憶手段66に記憶させておく。そして品質制御装置6は図23(2)に示すポリシーに基づいて配信制御を行ってもよい。
【0172】
このように、制御方法決定手段62が「利用プラン」に応じてポリシーをポリシー記憶手段66から読み出す。この構成によれば、制御方法決定手段62はユーザがサービス提供者と契約する利用プランによって異なる配信制御を実現する、といったことが可能となる。
【0173】
上記第2の実施の形態の第1変形例は、各端末1に配信されるコンテンツの内容が品質制御システムの管理者において事前に確認できるサービスに好適である。また、上記第2の実施の形態の第1変形例は、端末1によるチャンネル切り替えがあまり起こらないと想定されるVoD(Video on Demand)サービスに特に好適である。
【0174】
上記第2の実施の形態の第1変形例において、品質制御方法選定手段61は、端末1の状況情報に基づいて制御対象端末bを選択してもよい。一般に映像コンテンツを視聴中の端末1に対する配信制御では、各端末1で視聴しているコンテンツの内容によってユーザ体感品質値の変動は異なる。たとえば、品質制御装置6が各端末1に対し同一の配信制御を行う場合でも、スポーツ中継などの被写体の動きの激しいコンテンツを視聴中の端末に対しては、ユーザ体感品質値が低下しやすい。一方、品質制御装置6が座談会やニュース番組のスタジオなどの被写体の動きが緩やかなコンテンツを視聴中の端末1に対して配信制御を行う場合、ユーザ体感品質値が低下しにくい。このことを利用し、品質制御方法選定手段61は、各端末1の状況情報(例えば、コンテンツの識別情報またはフレーム当たりの情報量)に基づいて、動きの緩やかなコンテンツを視聴している端末1の中から制御対象端末bを選択する。すると、品質制御方法選定手段61が動きの激しいコンテンツを視聴中の端末1を制御対象端末bとして選択するよりも、ユーザ体感品質値の低下を少なくすることができる。
【0175】
また、第2の実施の形態の第1変形例において以下に挙げる配信制御方法が実現可能である。すなわち、端末1のユーザがコンテンツ配信サービス提供者との間に結ぶサービス水準に関する合意であるSLA(Service Level Agreement)に応じて、品質制御装置6がユーザ体感品質値を制御する方法である。一般に、ユーザが高い金額を支払う場合、高いサービスレベルを示すSLAを当該ユーザとコンテンツ配信サービス提供者との間に結ぶ。一方、ユーザが安い金額のみ支払う場合、低いサービスレベルを示すSLAを当該ユーザとコンテンツ配信サービス提供者との間に結ぶ。
【0176】
この場合、品質制御方法選定手段61は、各端末1の状況情報(SLA)に基づき、高いサービスレベルを示すSLAの端末1の中から制御対象端末aを選択する。また品質制御方法選定手段61は、低いサービスレベルを示すSLAの端末1の中から制御対象端末bを選択する。
【0177】
上記の構成により、品質制御システムの管理者はユーザが支払う金額によって品質制御装置6による配信制御を異なるものにするといった動作を実現できる。
【0178】
また、第2の実施の形態の第1変形例において品質制御方法選定手段61は、推定品質値が所定の閾値よりも高いルールを第1のルールとして読み出すようにしてもよい。さらに品質管理装置6は、この所定の閾値をSLAに応じて定めるようにしてもよい。この方法によれば、品質制御装置6は制御対象端末aのユーザ体感品質値が少なくとも前述の閾値以上になることを保証できる。さらに、品質制御装置6は、SLAによって制御対象端末aに対して保証するユーザ体感品質値の最低値を設定することができる。品質制御システムの管理者は、ユーザが支払う金額によって各ユーザに対し割り当てる帯域幅を設定できるので、使用帯域当たりにユーザから受け取る金額を最大化させることができる。
【0179】
以上、これまで述べてきた各実施の形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施の形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0180】
また、本発明の各実施の形態における各構成要素は、その機能をハードウェア的に実現することはもちろん、コンピュータとプログラムとで実現することができる。プログラムは磁気ディスクや半導体メモリなどのコンピュータ可読記録媒体に記録されて提供され、コンピュータの立ち上げ時などにコンピュータに読み取られる。この読み取られたプログラムは、そのコンピュータの動作を制御することにより、そのコンピュータを前述した各実施の形態における構成要素として機能させる。
【産業上の利用可能性】
【0181】
本発明は、コンテンツ配信サービスにおけるサービス品質制御に活用できる。
【符号の説明】
【0182】
1 端末
2 品質制御装置
3 帯域管理装置
4 コンテンツ配信装置
5 ネットワーク
6 品質制御装置
10 体感品質推定手段
11 ネットワーク品質情報収集手段
12 端末情報送信手段
21 品質制御方法選定手段
22 制御方法決定手段
23 配信制御手段
24 制御情報記憶手段
25 品質算出手段
41 コンテンツ保持手段
42 コンテンツ配信手段
61 品質制御方法選定手段
62 制御方法決定手段
63 配信制御手段
64 制御情報記憶手段
66 ポリシー記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末へコンテンツを配信する際の特性を示す属性を包含する配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを対応付けたルールを記憶する制御情報記憶手段と、
推定品質値が第一の端末のユーザ体感品質値より高いルールである第一のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第一のルールごとに前記第一のルールの配信条件と前記第一の端末の配信条件との差分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、
推定品質値が第二の端末のユーザ体感品質値より低いルールである第二のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第二のルールごとに前記第二のルールの配信条件と前記第二の端末の配信条件との差分に基づいて前記第二の端末のユーザ体感品質値を前記第二のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する品質制御方法選定手段と、
算出された増分が算出された減分を上回らない条件を満たす前記第一のルールから一以上の改善ルールと前記第二のルールから一以上の削減ルールとを選択する制御方法決定手段と、
前記第一の端末の配信条件を前記改善ルールの配信条件に変更し、前記第二の端末の配信条件を前記削減ルールの配信条件に変更する配信制御手段と、を備える品質制御装置。
【請求項2】
前記配信条件は前記属性としてパケットロス率を包含し、
前記制御情報記憶手段は、変更前パケットロス率と変更後パケットロス率と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を記憶し、
前記品質制御方法選定手段は、前記第一の端末のパケットロス率が変更前パケットロス率に、前記第一のルールに含まれるパケットロス率が変更後パケットロス率にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、
前記配信制御手段は、前記第一の端末に配信するコンテンツに対し、前記帯域幅の増分だけ当該コンテンツに対する冗長符号を付加する、請求項1に記載の品質制御装置。
【請求項3】
前記配信条件は前記属性としてコンテンツのフレームレート情報を包含し、
前記制御情報記憶手段は、変更前フレームレート情報と変更後フレームレート情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を記憶し、
前記品質制御方法選定手段は、前記第一の端末のフレームレート情報が変更前フレームレート情報に、前記第一のルールに含まれるフレームレート情報が変更後フレームレート情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、
前記配信制御手段は、前記第一の端末に配信するコンテンツのフレームレートを前記変更後フレームレートに変更する、請求項1または2に記載の品質制御装置。
【請求項4】
前記配信条件は前記属性としてコンテンツの解像度情報を包含し、
前記制御情報記憶手段は、変更前解像度情報と変更後解像度情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を記憶し、
前記品質制御方法選定手段は、前記第一の端末の解像度情報が変更前解像度情報に、前記第一のルールに含まれる解像度情報が変更後解像度情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、
前記配信制御手段は、前記第一の端末に配信するコンテンツの解像度を前記変更後解像度に変更する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の品質制御装置。
【請求項5】
端末に配信されるコンテンツは階層符号化されており、
前記配信条件は前記属性として階層符号化されたコンテンツのうちどの階層までを配信するのかを示す階層情報を包含し、
前記制御情報記憶手段は、変更前階層情報と変更後階層情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を記憶し、
前記品質制御方法選定手段は、前記第一の端末の階層情報が変更前階層情報に、前記第一のルールに含まれる階層情報が変更後階層情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、
前記配信制御手段は、前記第一の端末に配信するコンテンツについて、当該コンテンツのうち前記変更後階層情報に示される階層までを配信するように変更する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の品質制御装置。
【請求項6】
前記配信条件は複数の前記属性と配信されるコンテンツを識別できるコンテンツ識別情報とを包含し、
コンテンツ識別情報と前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーを記憶するポリシー記憶手段を備え、
前記制御方法決定手段は、前記第一の端末に配信されているコンテンツのコンテンツ識別情報に対応する制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と当該第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の品質制御装置。
【請求項7】
前記配信条件は複数の前記属性と配信されるコンテンツのフレーム当たりの情報量を示すフレーム情報量とを包含し、
フレーム情報量と前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーを記憶するポリシー記憶手段を備え、
前記制御方法決定手段は、前記第一の端末に配信されているコンテンツのフレーム情報量を含む制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と当該第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の品質制御装置。
【請求項8】
前記配信条件は複数の前記属性を包含し、
各端末のユーザに関する情報であるユーザプロファイルと前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーを記憶するポリシー記憶手段を備え、
前記制御方法決定手段は、前記第一の端末のユーザプロファイルを含む制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と前記第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の品質制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の品質制御装置と、
コンテンツの配信を受ける際の配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを前記品質制御装置に送信する端末と、
を備える品質制御システム。
【請求項10】
端末へコンテンツを配信する際の特性を示す属性を包含する配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを対応付けたルールを制御情報記憶手段に記憶するルール記憶ステップと、
推定品質値が第一の端末のユーザ体感品質値より高いルールである第一のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第一のルールごとに前記第一のルールの配信条件と前記第一の端末の配信条件との差分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、
推定品質値が第二の端末のユーザ体感品質値より低いルールである第二のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第二のルールごとに前記第二のルールの配信条件と前記第二の端末の配信条件との差分に基づいて前記第二の端末のユーザ体感品質値を前記第二のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する品質制御方法選定ステップと、
算出された増分が算出された減分を上回らない条件を満たす前記第一のルールから一以上の改善ルールと前記第二のルールから一以上の削減ルールとを選択する制御方法決定ステップと、
前記第一の端末の配信条件を前記改善ルールの配信条件に変更し、前記第二の端末の配信条件を前記削減ルールの配信条件に変更する配信制御ステップと、を備える品質制御方法。
【請求項11】
前記配信条件は前記属性としてパケットロス率を包含し、
変更前パケットロス率と変更後パケットロス率と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を前記制御情報記憶手段に記憶する制御情報記憶ステップと、
前記第一の端末のパケットロス率が変更前パケットロス率に、前記第一のルールに含まれるパケットロス率が変更後パケットロス率にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する前記品質制御方法選定ステップと、
前記第一の端末に配信するコンテンツに対し、前記帯域幅の増分だけ当該コンテンツに対する冗長符号を付加する前記配信制御ステップと、を備える請求項10に記載の品質制御方法。
【請求項12】
前記配信条件は前記属性としてコンテンツのフレームレート情報を包含し、
変更前フレームレート情報と変更後フレームレート情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を前記制御情報記憶手段に記憶する制御情報記憶ステップと、
前記第一の端末のフレームレート情報が変更前フレームレート情報に、前記第一のルールに含まれるフレームレート情報が変更後フレームレート情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する前記品質制御方法選定ステップと、
前記第一の端末に配信するコンテンツのフレームレートを前記変更後フレームレートに変更する前記配信制御ステップと、を備える請求項10または11に記載の品質制御方法。
【請求項13】
前記配信条件は前記属性としてコンテンツの解像度情報を包含し、
変更前解像度情報と変更後解像度情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を前記制御情報記憶手段に記憶する制御情報記憶ステップと、
前記第一の端末の解像度情報が変更前解像度情報に、前記第一のルールに含まれる解像度情報が変更後解像度情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する前記品質制御方法選定ステップと、
前記第一の端末に配信するコンテンツの解像度を前記変更後解像度に変更する前記配信制御ステップと、を備える請求項10乃至12のいずれか1項に記載の品質制御方法。
【請求項14】
端末に配信されるコンテンツは階層符号化されており、
前記配信条件は前記属性として階層符号化されたコンテンツのうちどの階層までを配信するのかを示す階層情報を包含し、
変更前階層情報と変更後階層情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を前記制御情報記憶手段に記憶する制御情報記憶ステップと、
前記第一の端末の階層情報が変更前階層情報に、前記第一のルールに含まれる階層情報が変更後階層情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する前記品質制御方法選定ステップと、
前記第一の端末に配信するコンテンツについて、当該コンテンツのうち前記変更後階層情報に示される階層までを配信するように変更する前記配信制御ステップと、を備える請求項10乃至13のいずれか1項に記載の品質制御方法。
【請求項15】
前記配信条件は複数の前記属性と配信されるコンテンツを識別できるコンテンツ識別情報とを包含し、
コンテンツ識別情報と前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーをポリシー記憶手段に記憶するポリシー記憶ステップと、
前記第一の端末に配信されているコンテンツのコンテンツ識別情報に対応する制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と当該第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する前記制御方法決定ステップと、を備える請求項10乃至14のいずれか1項に記載の品質制御方法。
【請求項16】
前記配信条件は複数の前記属性と配信されるコンテンツのフレーム当たりの情報量を示すフレーム情報量とを包含し、
フレーム情報量と前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーをポリシー記憶手段に記憶するポリシー記憶ステップと、
前記第一の端末に配信されているコンテンツのフレーム情報量を含む制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と当該第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する前記制御方法決定ステップと、を備える請求項10乃至15のいずれか1項に記載の品質制御方法。
【請求項17】
前記配信条件は複数の前記属性を包含し、
各端末のユーザに関する情報であるユーザプロファイルと前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーをポリシー記憶手段に記憶するポリシー記憶ステップと、
前記第一の端末のユーザプロファイルを含む制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と前記第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する前記制御方法決定ステップと、を備える請求項10乃至16のいずれか1項に記載の品質制御方法。
【請求項18】
コンピュータに、
端末へコンテンツを配信する際の特性を示す属性を包含する配信条件と当該配信条件下で得られるユーザ体感品質の推定品質値とを対応付けたルールを制御情報記憶手段に記憶するルール記憶処理と、
推定品質値が第一の端末のユーザ体感品質値より高いルールである第一のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第一のルールごとに前記第一のルールの配信条件と前記第一の端末の配信条件との差分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出し、
推定品質値が第二の端末のユーザ体感品質値より低いルールである第二のルールを前記制御情報記憶手段から選択して読み出し、前記第二のルールごとに前記第二のルールの配信条件と前記第二の端末の配信条件との差分に基づいて前記第二の端末のユーザ体感品質値を前記第二のルールの推定品質値に下げた場合の帯域幅の減分を算出する品質制御方法選定処理と、
算出された増分が算出された減分を上回らない条件を満たす前記第一のルールの一つである改善ルールと前記第二のルールの一つである削減ルールとを選択する制御方法決定処理と、
前記第一の端末の配信条件を前記改善ルールの配信条件に変更し、前記第二の端末の配信条件を前記削減ルールの配信条件に変更する配信制御処理と、を実行させるためのプログラム。
【請求項19】
前記配信条件は前記属性としてパケットロス率を包含し、
前記コンピュータに、
変更前パケットロス率と変更後パケットロス率と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を前記制御情報記憶手段に記憶する制御情報記憶処理と、
前記第一の端末のパケットロス率が変更前パケットロス率に、前記第一のルールに含まれるパケットロス率が変更後パケットロス率にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する前記品質制御方法選定処理と、
前記第一の端末に配信するコンテンツに対し、前記帯域幅の増分だけ当該コンテンツに対する冗長符号を付加する前記配信制御処理と、を実行させる請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記配信条件は前記属性としてコンテンツのフレームレート情報を包含し、
前記コンピュータに、
変更前フレームレート情報と変更後フレームレート情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を前記制御情報記憶手段に記憶する制御情報記憶処理と、
前記第一の端末のフレームレート情報が変更前フレームレート情報に、前記第一のルールに含まれるフレームレート情報が変更後フレームレート情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する前記品質制御方法選定処理と、
前記第一の端末に配信するコンテンツのフレームレートを前記変更後フレームレートに変更する前記配信制御処理と、を実行させる請求項18または19に記載のプログラム。
【請求項21】
前記配信条件は前記属性としてコンテンツの解像度情報を包含し、
前記コンピュータに、
変更前解像度情報と変更後解像度情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を前記制御情報記憶手段に記憶する制御情報記憶処理と、
前記第一の端末の解像度情報が変更前解像度情報に、前記第一のルールに含まれる解像度情報が変更後解像度情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する前記品質制御方法選定処理と、
前記第一の端末に配信するコンテンツの解像度を前記変更後解像度に変更する前記配信制御処理と、を実行させる請求項18乃至20のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項22】
端末に配信されるコンテンツは階層符号化されており、
前記配信条件は前記属性として階層符号化されたコンテンツのうちどの階層までを配信するのかを示す階層情報を包含し、
前記コンピュータに、
変更前階層情報と変更後階層情報と帯域幅の増分値とを対応付けた制御情報を前記制御情報記憶手段に記憶する制御情報記憶処理と、
前記第一の端末の階層情報が変更前階層情報に、前記第一のルールに含まれる階層情報が変更後階層情報にそれぞれ対応付けられている制御情報に含まれる帯域幅の増分に基づいて前記第一の端末のユーザ体感品質値を前記第一のルールの推定品質値に上げるための帯域幅の増分を算出する前記品質制御方法選定処理と、
前記第一の端末に配信するコンテンツについて、当該コンテンツのうち前記変更後階層情報に示される階層までを配信するように変更する前記配信制御処理と、を実行させる請求項18乃至21のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項23】
前記配信条件は複数の前記属性と配信されるコンテンツを識別できるコンテンツ識別情報とを包含し、
前記コンピュータに、
コンテンツ識別情報と前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーをポリシー記憶手段に記憶するポリシー記憶処理と、
前記第一の端末に配信されているコンテンツのコンテンツ識別情報に対応する制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と当該第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する前記制御方法決定処理と、を実行させる請求項18乃至22のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項24】
前記配信条件は複数の前記属性と配信されるコンテンツのフレーム当たりの情報量を示すフレーム情報量とを包含し、
前記コンピュータに、
フレーム情報量と前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーをポリシー記憶手段に記憶するポリシー記憶処理と、
前記第一の端末に配信されているコンテンツのフレーム情報量を含む制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と当該第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する前記制御方法決定処理と、を実行させる請求項18乃至23のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項25】
前記配信条件は複数の前記属性を包含し、
前記コンピュータに、
各端末のユーザに関する情報であるユーザプロファイルと前記配信条件が包含する各属性の変更優先度とを対応付けた制御ポリシーをポリシー記憶手段に記憶するポリシー記憶処理と、
前記第一の端末のユーザプロファイルを含む制御ポリシーを前記ポリシー記憶手段から読み出し、前記制御ポリシーに含まれる変更優先度の高い属性の属性値が前記第一の端末の配信条件と前記第一のルールの配信条件とで異なるルールを前記改善ルールとして選択する前記制御方法決定処理と、を実行させる請求項18乃至24のいずれか1項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−19068(P2011−19068A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162067(P2009−162067)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】