説明

回折格子結合導波路の感度向上のための基板屈折率変更

回折格子結合導波路の検知領域における生物学的物質(例えば、細胞、薬物、化合物)の存在を検出するために用いることができる回折格子結合導波路(100)及び方法が説明される。回折格子結合導波路は、基板(112)、回折格子(108)及び屈折率が1.5以下の基板より高い屈折率を有する導波路膜(106)を有する。比較的低屈折率の基板が、導波路モードを導波路膜上の検知領域にある生物学的物質に向けてシフトさせ、よってその領域におけるモードのエバネッセントテールの電場強度を高めることにより、回折格子結合導波路の感度を実効的に高める。一実施形態において、回折格子導波路のアレイがマイクロプレートのウエル内に組み込まれる。


【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は2003年8月1日に出願された米国特許出願第10/632276号の優先権の恩典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は全般的には回折格子結合導波路に関し、特に、基板、回折格子及び、1.5以下の屈折率を有する基板より高い屈折率を有する、導波路膜を有する回折格子結合導波路に関する。
【背景技術】
【0003】
回折格子結合導波路(CGW)は光呼掛けシステムから発せられる入射光に対する極めて狭いスペクトル応答を提供することができ、したがって、(例えば)光フィルタ、レーザキャビティミラー及びバイオセンサを含む広範な用途に用いられてきた。バイオセンシング用途において、光呼掛けシステムは、生物学的物質をGCWに接触させると、物質の結合、吸着等により測定されるGCWの光応答が変わることから、GCWの光応答における変化を測定する。このようにして、GCWにより生物学的イベントの直接光測定が可能になり、蛍光染料の費用及び実験的変動が完全に避けられる、無ラベル検定が可能になる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、相反する相関性が生じるため、GCWは生物学的物質を検出するために感度に関して最適化される必要がある。本発明の課題は、従来のGCWの設計を変更して高感度GCWの作成及び使用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、GCW及びGCWの検知領域における生物学的物質(例えば、細胞、薬物、化合物)の存在を検出するためにGCWを使用するための方法を含む。GCWは、基板、回折格子及び、屈折率が1.5以下の基板より高い屈折率を有する、導波路膜を有する。比較的低屈折率の基板が、導波路膜の上の検知領域にある生物学的物質に向けて導波路モードをシフトさせ、よってその領域におけるモードのエバネッセントテールの電場強度を高めることによって、GCWの感度を実効的に高める。一実施形態において、GCWのアレイがマイクロプレートのウエル内に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
添付図面とともになされる以下の詳細な説明を参照することによって、本発明のより完全な理解を得ることができる。
【0007】
図1を参照すれば、本発明にしたがうGCW100及び光呼掛けシステム120の基本コンポーネントの概念図が示されている。基本的に、GCW100は、GCW100の上層103(検知領域)上の生物学的物質102(例えば、細胞、分子、タンパク質、薬物、化合物、核酸、ペプチド、炭水化物)の無ラベル検出を可能にするために、光呼掛けシステム120から発せられる光126及び反射されて光呼掛けシステム120に戻る光128の屈折特性及び結合特性を利用する。光呼掛けシステム120は、1つまたはそれより多くの光源122(例えば、レーザ、ダイオード)及び1つまたはそれより多くの検出器124(例えば、分光計、CCDカメラまたはその他の光検出器)を備える。
【0008】
GCW100は、合わせて導波路110を形成する回折格子108の作成の前または後に基板112上に被着される薄い(〜100nm)材料層106(例えば導波路膜106)を有する。回折格子108は、型押し、ホログラフィまたはその他の方法によって基板112内または導波路膜106内に形成される。よって回折格子108は導波路膜106の上、下、または中にさえ、配することができる。さらに、回折格子108は導波路膜106と直接に物理的接触している必要はなく、単に導波路モードに光学的な影響を与えるに十分近くにあればよい。さらに、実効屈折導波により、導波路膜106をさらに被着する必要無しに導波路自体としてはたらくに適切な十分高い屈折率をもって回折格子108自体を作成することができる。導波路膜106は、Ta,TiO,TiO-SiO,HfO,ZrO,Al,Si,HfON,SiON,酸化スカンジウムまたはこれらの混合物のような、金属酸化物ベースの材料で作られることが好ましい。図示されるように、回折格子108は、型押し、ホログラフィまたはその他の方法によって基板112内に形成され、次いでより高い屈折率を有する薄い導波路膜106が回折格子108の上表面に被覆される。基板112を作成するために用いることができる様々な低屈折材料のいくつかに関する詳細な議論が以下に与えられる。
【0009】
バルク流体内に入れることができる生物学的物質102はGCW100の上層103(検知領域)上に堆積し、この生物学的物質102の存在が、GCW100の表面104における屈折率を変える。すなわち、生物学的物質102を検出するため、光源122から発せられる光ビーム126でGCW100が探査され、次いで、生物学的物質102の存在により屈折率に何らかの変化(〜1ppm)が生じているか否かを判定するために、検出器124で受け取られた反射光ビーム128が解析される。一実施形態において、上表面104は、感度が高くかつ特異性の強いGCW100の作成を可能にする、特定の相補性生物学的物質102しか表面に付着させない生物学的化合物(図示せず)で被覆することができる。このようにすれば、光呼掛けシステム120及びGCW100を広範な生物学的物質102を検出するために用いることができ、GCW100がアレイに配列されていれば、光呼掛けシステム120及びGCW100を用いてスループットの高い薬物または化学物質の選別調査を可能にすることができる。
【0010】
GCW100の感度は回折格子108及び導波路110の構造を解析することによって最善に理解することができる。回折格子108上に照射された光ビーム126は、その波動ベクトルが下式(1):
【数1】

【0011】
で示されるような共鳴条件を満たしている場合にのみ、導波路110に結合され得る。ここで、k'は入射波動ベクトルのx成分、kは導波モード波動ベクトル、kは格子ベクトルである。格子ベクトルkは、回折格子108の格子線に垂直な方向及び2π/Λで与えられる大きさを有するベクトルとして定義される。ここでΛは格子周期(ピッチ)である(図1を見よ)。この式は、式(2):
【数2】

【0012】
に示されるように、波長λ及び入射角θで表すこともできる。ここで、θは光ビーム126の入射角、n入射は入射媒体の屈折率、λは光126の波長、n実効は導波路110の実効屈折率である。導波路110の実効屈折率は、光導波路モードフィールドまたは基本モードが導波路110を通って伝搬しながら「見る」、屈折率の加重平均である。基本モードは導波路110自体よりかなり広い空間的広がりを有することが好ましく、この広がりは基板112の屈折率に依存する。詳しくは、基本モードは、生物学的物質102がGCW100の上表面に近づくかまたは接触するときに生じる何らかの表面変化を「見る」、上層103(検知領域)に延び込むエバネッセント波/テールを有する。
【0013】
式(2)に示される前式は、式(3):
【数3】

【0014】
に示される、より簡便な形に書き換えることができる。これは、sinθがy軸であり、λがx軸であって、Λn実効がx切片であり、−1/Λが勾配である、直線の方程式である。式(3)を得るため、この式からn入射を省くことができるように、n入射を1とおいている。この近似は、空気(n〜1.0003)が最も普通の入射媒体であることから用いられる。この関係が図2に示されるグラフに描かれる。生物学的物質102が表面104に結合すると、導波路110の実効屈折率が変化し、これによってGCW100の共鳴波長または共鳴角のシフトが生じる。このシフトは図2に示される直線のx切片のシフトとして見ることができる。
【0015】
そのようなGCWの共鳴条件(例えば、共鳴波長または共鳴角)はGCWからの反射光128を観測することによって屈折率の変化を決定するために呼びかけることができる(図1を見よ)。屈折率変化を測定するための2つの異なる動作モード−分光呼掛け及び角度呼掛け−がある。分光呼掛けにおいては、光126の公称上コリメートされた広帯域ビームがGCW100内に送られ、反射光128が集められて(例えば)分光計124で測定される。共鳴波長(ピーク)のスペクトル位置を観測することにより、GCW100の表面104またはその近傍での結合すなわち屈折率変化を測定することができる。分光呼掛けの概念が図3に示されるグラフに図式表示される。逆に、角度呼掛けにおいては、公称上単一波長の光126がある範囲の照射角を生じるように集束されて、GCW100内に向けられる。反射光128がCCDカメラまたはその他の光検出器124によって測定される。GCW100によって反射された共鳴角の位置を測定することにより、GCW100の表面104またはその近傍での結合すなわち屈折率変化を測定することができる。角度呼掛けの概念が図4に示されるグラフに図式表示される。
【0016】
動作の単純性及び効率を維持するために、バイオセンサに用いられるGCWは通常、入射光126の0次回折光だけが自由空間を伝搬し、±1次であろう回折光が導波路110の基本モードに結合するように設計される。さらに高次の回折は、入射光126の所望の動作波長λより小さな格子ピッチΛを有するサブ波長回折格子108を設計することによって避けられる。この場合、高次光がGCW100からパワーを取り去らないことから、導波路110の結合効率が高い。さらに、0次の反射及び透過ビームだけが自由空間に存在するから、GCW100は入射光126の所望の(異常)波長λのほぼ全反射または全透過を生じさせることができる。図5は、TE入力光126の角度が3°であり、法線に対して3°をなす反射ビーム128が824nm近傍に共鳴502を有する、上層103の物質(水)の屈折率が1.33である場合の、従来のGCW100のGSOLVER(厳密結合波解析すなわちRCWAコード)を示す。
【0017】
GCWは、共鳴角/共鳴波長502の位置の決定及び上層103の屈折率の計算を可能にするから、バイオセンシング用途に用いられる。これは、導波路110内を伝搬している基本モードのエバネッセントテールが生物学的物質102の存在によって生じる上層103の屈折率変化を検知することから、可能である。上層103の屈折率変化は式(1)にしたがってGCW100の共鳴条件を変え、よって、共鳴502が新しい波長すなわち新しい位置にシフトする。シフトした共鳴の位置は、GCW100の上層103に生物学的物質102があるか否かを示す、上層103の現在の屈折率を示す。上層103の屈折率の単位変化に対して共鳴502が数100nmシフトし得ることが示された(図2を見よ)。このシフトはGCW100の波長呼掛け勾配(WIS)または角度呼掛け勾配(AIS)と称される。検出計器の波長分解能、雑音レベル等にともなう現行の技術をもってすれば、これは一般にGCW100の上表面104における10−6RIUの検出限界に換算される。GCW100の基板112の設計変更によりGCW100のWIS/AISすなわち感度を高めることによって計装への制約を緩和することが本発明の目的である。
【0018】
GCW100のWIS/AISの根源への知見を提供するため、図6に示されるような簡略化された3層導波路モデルを用いる。GCW100の感度は主として上層103との導波路モードの重畳に関係するから、このモデルはWIS/AISの推定を可能にする導波モード構造対GCW100の設計を検討するために用いられる。図6に示されるように、GCW100の構造は3層構造に簡略化することができる。この場合、回折格子108が導波路膜106の厚さの内の極めて小さい(一般に<5%)部分である場合には回折格子108を全く無視することができ、また回折格子108が導波路膜106に対して有意である場合には回折格子108の交互する区画の誘電率(無損失材料の屈折率の二乗)を平均することによって得られる実効屈折率を用いて中央層(導波路膜106)が近似される。これは回折格子108の区画間のデューティサイクルを50%とすることにより、単純平均とすることができる。基板112及び上層103はz方向に無限であると仮定され、全ての層103,106及び112はx方向に無限である。GCW100のこのモデルを解析するためにいかなる数の簡単なモード求解機も用いることができる。3つの異なる解析の結果を図7〜11に関して以下に与える。
【0019】
図7を参照すれば、環式オレフィン共重合体(COC)(屈折率n=1.53)でつくられた基板112,Ta(屈折率n=2.01)でつくられた導波路膜106及びHO(屈折率n=1.33)を含有する上層103を有する、従来のGCWの上層103に延び込むエバネッセントテールを有する基本モード702をグラフが示している。基本TEモード702は、図6に示されるGCWの形状を時計回りに90°回転させた図7に見ることができる。距離ゼロは導波路膜106と上層103の界面に相当する。
【0020】
このグラフは、中心が高屈折率導波路膜106に重なる、導波路110の基本モード702を示す。さらに、基本モード702は上層103(カバー/検知領域)内よりも基板112内に深く延び込むエバネッセントテールを有する。これは導波路110と基板112の間の屈折率差の結果である、上述したように、WIS/AISは上層103に延び込む導波モードのエバネッセントテールの面積に正比例する。基板112の屈折率を低めることにより、モード実効屈折率を上層103に近づけることによってモード702の閉込めを改善することができる(図8及び10を見よ)。
【0021】
エバネッセントテールは、モード702の、導波路110の外側にある部分である。技術的には、エバネッセントテールは、距離とともに指数関数的に減衰する、モード702の部分である。モード実効屈折率が局所材料の屈折率より大きいときに、電場はエバネッセントになる。図6に示される例示的GCW100において、導波路膜106(中央層)は局所屈折率がモード実効屈折率を上回る唯一の層であり、よって、導波路膜106は、電場が振動し、通常の波のように振る舞う、唯一の領域である。周囲層112及び103においては、モード屈折率が局所屈折率を上回り、モードが導波路層110から離れるにしたがって、モードの強度が減衰する。この、周囲領域にある短い距離まで延び込むモード702の減衰部分が、モード702の「エバネッセントテール」と称される。上層103が上表面周囲領域であり、また生物学的反応がおこる領域であるから、この領域におけるモード702のエバネッセントテールが、モード702の、バイオロジカルセンシングの全てを行う部分である。
【0022】
図8を参照すれば、屈折率n=1.20の基板112,屈折率n=2.01の導波路膜106及び屈折率n=1.33の上層103を有する、例示的GCW100の上層103に延び込むエバネッセントテールを有する基本モード802をグラフが示している。このグラフは、図7に示される従来のGCWと比較して、導波基本モード802が上層103に深く延び込み、よってWIS/AISを高めていることを明瞭に示す。
【0023】
図8に示される例示的GCW100においてなされたように基板112の屈折率を低めることで得られる利益を定量化するため、共鳴波長位置を測定しながらRCWAコードにおいて上層103の屈折率を変えた。図9は、特定の導波路厚に対してバルク感度WISが基板112の屈折率の関数である、導波路110のTM基本モード及びTE基本モードについての結果を示す。図からわかるように、基板112が屈折率n=1.53を有する場合(図7を見よ)に、TE感度は〜50であり、TM感度は〜130である。しかし、基板112の屈折率が低められるにつれて、TM感度は550にも高くなることができ、これは〜4倍の向上であり、一方TE感度は175近くのピークをもつことができ、これも〜4倍の向上である。GCW100はTEモードまたはTMモードのいずれでも動作できるべきであり、それぞれの場合で相関性が異なるであろうことは当然である。これは、基本モードの電場成分と磁場成分を律している物理方程式の間の違いによる結果である。好ましい実施形態において、GCWは最も感度の高いWIS/AISが得られるTMモードで動作するであろうが、今日までのほとんどの測定は、より強く、より容易に検出される信号が得られることから、TEモードを用いている。
【0024】
屈折率nが1.5以下の基板112を有するGCW100における上記の向上は主として導波路モード802のエバネッセントテールの上層103内への伸長によって生じる。上層103の検知領域に重なり、「サンプリング」するエバネッセントテールが長くなるほど、GCW100の感度は高くなる。この効果は特に基板112の屈折率を低めることによってモード802がカットオフに近づくほど顕著になる。この極限の電場侵入またはカットオフは、屈折率n=1.00の基板、屈折率n=2.01の導波路膜106及び屈折率n=1.33の上層103を有する例示的GCW100の屈折率プロファイル及び基本モード1002を示す、図10に見ることができる。この場合、上層103内のエバネッセントテール長(1/e点)は1.17μmである。これを、基板103が屈折率n=1.53を有する場合のテール長161nm(図7を見よ)と比較されたい。カットオフは導波路110の導波モード1002がもはや導波されない状態であることは当然であり、これは、導波路膜116と基板112または上層103の間の屈折率差を小さくすることによるか、または導波路膜106の厚さが減じることによるか、あるいは両者によっておこり得る。図10は、基板112の屈折率が導波路膜106に比較して非常に低いためにモード1002が導波路膜106と上層103の間の界面にわずかにしか閉じ込められないようになり始めている場合を示す。これは、導波路モード1002のエバネッセントテールを上層103内にさらに一層深く侵入させる。図10のグラフは、光が上層103内に完全に漏出するであろう、完全カットオフモードの前兆である。
【0025】
生物学者はGCW100の上表面104上への結合の測定に関心をもつであろう。したがってバルク応答を表面応答から分離できる能力を有することが重要であるから、GCW100の設計において考慮することが重要な別のパラメータは、バルク感度(図9を見よ)に対比されるものとしての、表面感度である。一般に検定は、初めに表面104におけるバッファ(純水)によるGCW100の応答を測定する工程、次いでGCW100を流体内のある生物学的物質102に暴露し、よってある材料102の表面104への結合を可能にする工程、最後にGCW100から残りの生物学的流体102を置換バッファでリンスする工程を含むであろう。したがって、表面104にバッファがあるGCW100の初期応答と最終応答の間の差が表面104への生物学的物質102の結合による正味の屈折率変化を示すことになろう。この場合、バルク媒体に対するGCW100の応答が差し引かれ、表面の寄与だけが残ることが明らかになる。〜100nmが現行の市販計測器(例えば表面プラズモン共鳴装置)の代表的な検知範囲であり、多くの代表的な検定について生物学的物質102のほぼ数単分子層の厚さを表すから、「表面」がGCW100の上表面104から上方〜100nmまでであると見なされることは至極当然である。
【0026】
特定の導波路厚を有するGCW100がバルク表面流体に対照して表面屈折率変化にどのように応答するかを説明するため、上記の感度計算に立ち戻ることができ、ここでGCW100の上表面104の上方の1nm層だけで屈折率が変化するとされ、カバーバルク流体は一定のままである(図11を見よ)。この厚さはある程度任意であるが、おそらくは間違いなく表面104への効果を局限する。全ての感度は相対尺度であるから、この検討厚の選択によって本発明の範囲を限定するべきではない。さらに、エバネッセントテール長より実質的に小さいままである限り、表面104の厚さの拡大は結果に影響しないことが示された。
【0027】
図11を参照すれば、表面感度WISが基板112の屈折率の関数である、GCW100における導波路のTM基本モード及びTE基本モードについての結果をグラフが示している。図からわかるように、このグラフは、基板112の屈折率が低められたときのGCW100の表面感度の向上が、バルク感度における顕著な向上(図9を見よ)に比較すると、かなり小さいことを示す。これは、図10に示されるグラフ及び低基板屈折率に対して深く侵入するエバネッセントテールの議論を考察することによって説明できる。図9に示される向上したバルク感度の向上の利点のかなりの部分は上層103におけるバルク流体への導波モードのエバネッセントテールの大きな延び込みによって得られる。これはバルク感度を大きく高めるであろうが、表面感度には最小限にしか影響しないであろう。それにもかかわらず、基板112の屈折率の低下が表面感度に有利な関係を有することが、図11のグラフによって確かめられる。n=1.50からn=1.35にしたときに感度は〜28%向上する。
【0028】
これらの理論的結果が基板112が1.5以下の屈折率を有するときのGCW100の表面感度における比較的小さな向上を示すとしても、以下で説明される実験結果は、向上が実際にはかなり大きくほぼ200%に達することを示す。さらに、表面感度の向上がバルク感度より小さいとしても、生物学に関与する購買者は、例えばより大きな分子及び/または細胞の調査のような、ある状況のもとではバルク屈折率変化にも関心をもつことに留意すべきである。したがって、基板の屈折率が低められたGCW100により、従来の表面最適化DBA製品では全く感度がない、上層103への極めて深い電場侵入による、この市場をターゲットとする製品が可能になるであろう。
【0029】
GCW100における低屈折率基板112を作成するために用いることができる様々な材料の内のいくつかについて以下に論じる。また、バイオセンシング用途に用いられるGCW100には低コスト品であることが要求されることが多いので、プラスチック材料が、原材料が安価であり、プラスチックは容易に微細成形されることか多いことから、好ましい。図6〜11に関して上でなされた計算から、必要な基板材料がほぼ1.5より低い屈折率を有するべきであることは明らかである。
【0030】
例えば、1.4〜1.5の間の屈折率を有する基板112を作成するために用いることができる材料にはいくつかの熱可塑性材料、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルペンテン(PMP)またはPVDF/ポリメチルメタクリレート(PMMA)配合物がある。低屈折率基板の効果をさらに強めるためには、基板112を作成するために用いられる材料が好ましくは〜1.4以下の屈折率を有することになろう。〜1.4以下の屈折率を有する「特殊」材料の一部類に光学級フルオロポリマーがある。使用可能な「特殊」材料の別の例に、注入成形が可能な、アサヒ(Asahi)によって製造されたペルフルオロポリマーがある。使用可能であると考えられる「特殊」材料のまた別の例は、デュポン(DuPont)のテフロン(登録商標)AFである。低屈折率基板112及び回折格子108を形成するためにUV光への露光によって硬化する、使用可能ないくつかのフルオロポリマーもある。そのような例の1つは、屈折率が〜1.35のフルオロアクリレートである。
【0031】
一連の実験において、発明者等はこれらの材料の内の一種、すなわちUV110で例示的導波路110を作成した。プロセスは以下の通りである。
【0032】
1) ガラス基板を洗浄し、接着促進剤で処理した。
【0033】
2) スポイトを用いて極めて少量(〜300μL)の材料112を分配した。
【0034】
3) 基板112を、スペーサ(〜0.2mm)を介して格子形成「ピル」上に吊した。
【0035】
4) 基板112をパージボックスに入れて、窒素で〜30秒間パージした。
【0036】
5) 基板112を120mJ/cmの365nm光で10秒間露光した。
【0037】
6) 格子形成型を取り外し、試料112を140nm厚Ta導波路膜106で被覆した。
【0038】
角度呼掛け手法を用いてこれらの試料を試験した。実験結果を以下に論じる。これらの実験において、導波路共鳴をカバー屈折率の関数として測定してバルクAISを得、引き続いて静電層実験により表面感度を得た。低屈折率基板112の利点を決定するため、「正規の」環状オレフィン共重合体(COC)基板(n〜1.52)GCWを、表面感度及びバルク感度のいずれについても光学系の調節を行わずに、同じ実験条件の下で比較した。
【0039】
バルク屈折率液を、一連のグリセリンと脱イオン水の溶液として作成した。0.5%,1%,2.5%,5%,10%のグリセリン濃度を一般に用いた。角度呼掛け法にしたがい、単一波長レーザ122を用いて共鳴を励起し、上記の様々な屈折率溶液を従来のGCW及び低屈折率GCW100(図1も見よ)に接触させながら、反射共鳴ピークの角度位置を時間の関数としてCCDカメラ126で測定した。図12は従来のGCW及び低屈折率GCW100の感度を決定するために用いた較正データの一例を示す。このグラフは、様々な屈折率液を従来のGCW及び低屈折率GCW100と接触させたときに受ける信号シフトの大きさに関するデータを含む。上記の様々なバルク流体は既知の(較正された)屈折率を有し、これは最小感度すなわち単位屈折率当りの信号シフトを計算できることを意味する。例えば、水(0%溶液)の屈折率は1.333であるが、5%(グリセロール)溶液の屈折率は1.3336であり、以下同様である。これらの溶液のそれぞれについての信号(共鳴位置)の差を屈折率差(0.0006)で割れば、感度が得られる。また、そのようなグラフからプラトーデータを縮約することによって、従来のGCW及び低屈折率GCW100のバルク感度は5419画素/RIU及び19395画素/RIUであると計算され、これは低屈折率GCW100による3.6倍のバルク感度向上を示す。
【0040】
GCW100の表面104上〜4nmになる、静電的に帯電したポリマー単分子層の連続堆積によって表面感度を決定した。市販計測器及び従来の方法(例えばエリプソメトリー)のいずれによっても広く研究されてきたPSS(ポリスルホン酸スチレン)/PAH(ポリアリルアミン塩酸塩)系をこの目的のために用いた。単分子層密度及び分子量情報を共に用いることによって、分子量に関するGCW100の基本的な表面応答を決定できる。図13は、従来のGCW及び低屈折率GCW100への生物学的材料102の二重層の連続付加によって生じた光応答のグラフである。データ(直線の勾配)は、低屈折率基板を有するGCW100が高屈折率基板を有する従来のGCWより感度が1.8倍高いことを示す。これは図11に関してなされた理論的モデル化にともなうモデル化結果とは相入れないが、結果には再現性があり、実験毎に2倍に近い表面感度の向上が示された。この向上に対する可能な説明は、生物学的材料102が回折格子108の歯の側面に吸着して回折格子厚を変化させ、この結果導波路のデューティサイクル及び実効屈折率が変わるという事実によるとするものである。
【0041】
本発明の別の実施形態において、図14A〜14Fに示されるように、マイクロプレート1404のフレーム内に形成されたウエル1402の底にGCW100のアレイを組み込むことができる。マイクロプレート1404のウエル1402の底にGCW100を組み込むために用いることができる例示的プロセスは、低屈折率UV硬化性液体1408(例えば、フルオロポリマー、フルオロアクリレート)に分配器具1406を浸漬する工程から始まる。分配器具1406から突き出す突起1410の直径を調節することによって、抜き取られる液体1408の体積を精確に制御することができる(図14Aを見よ)。次いで、分配器具1406は格子形成器具1412の上に配置される(図14Bを見よ)。分配器具1406上の液体1408のほぼ50%が格子形成器具1412から突き出す突起1414の表面に移される(図14Cを見よ)。次いで格子形成器具1412はマイクロプレート1404(あるいは、2部構成マイクロプレート用の平基板プレート底面)に接触させられ、窒素でパージされて、液体1408を基板112に変えるためにUV硬化光で露光される(図14Dを見よ)。次いで、格子形成器具1412はマイクロプレート1404から取り外される(図14Eを見よ)。この時点において、マイクロプレート1404のウエル1402は、比較的小さな回折格子108が型押しされた、比較的厚い基板112を有する。最後に、GCW100を形成するために導波路膜106が回折格子108上に与えられる(図14Fを見よ)。このプロセスはマイクロプレートの作成に用いられるポリマーの量を低減することができ、よってコストを低減できることは当然である。
【0042】
図15を参照すれば、本発明にしたがって生物学的物質102を検出するために光呼掛けシステム120及びGCW100を用いるための好ましい方法1500の基本工程をフローチャートが示している。本明細書においてGCW100及び光呼掛けシステム120はGCW100の表面104上の、細胞、分子、タンパク質、薬物、化合物、核酸、ペプチドまたは炭水化物のような、生物学的物質102の存在を検出するために用いられるとして説明されるが、GCW100及び光呼掛けシステム120を広範な調査研究を実施するために用い得ることは当然である。例えば、GCW100及び光呼掛けシステム120は、細胞移動検定、薬物浸透性検定、薬物溶解度検定、ウイルス検出調査及びタンパク質分泌調査を実施するために用いることができる。
【0043】
初めに工程1502において、光ビーム126をGCW100内に向けるために光源124が用いられる。工程1504において、GCW100から反射光ビーム128を検出器124が受け取る。一実施形態において、反射光ビーム128は、多重化して検出器124(例えば分光計)に入力することができる。次いで工程1506において、それぞれのGCW100の上層103に生物学的物質102があるか否かを示す、所定の屈折率に対応する共鳴波長または共鳴角を検出するために、受け取った反射光ビーム128のそれぞれを検出器124が解析する。それぞれのGCW100は、基板112,回折格子108及び、屈折率が1.5以下の基板112より高い屈折率を有する、導波路膜106を有する。上述したように、基板112は、回折格子108及び導波路膜106によって形成された導波路110とインターフェースする光ビーム126を受け取り、基板112の屈折率が1.5以下であるから、従来の基板112で生じるであろうより深く導波路膜106の上の上層103(検知領域)に延び込むエバネッセントテールを有する基本モードに回折する、底面を有する。エバネッセントテールがより深く検知領域103に延び込むという事実により、GCW100の感度の向上が得られる。
【0044】
以下は、本発明のGCW100及び光呼掛けシステム120のいくつかの利点及び使用法である。
【0045】
・GCW100の構造における導波電場分布を変えるためにGCW100に低屈折率基板112を用いるという概念が本明細書に示された。この変化により、GCW100の上層への電場のより深い侵入が可能になり、よって表面屈折率変化に対するGCW感度が向上する。この感度向上はGCW100の性能を大きく高めると共に与えられた屈折率感度仕様に対してGCW100の応答を解読するために用いられる光学系120に関する要件を緩和する。
【0046】
・基板112の屈折率を低めるという概念は、設計が同様の、広い部類のセンサに適用することができ、プロセス設備及び製造工程を大きく変えずにセンサの感度を高めるために用いることができる。
【0047】
・導波路膜116の屈折率はGCW100の総合最適化及び物理的パラメータ(例えば、異なる層間の材料互換性及び化学的互換性、処理の容易さ、保管問題)に影響するが、GCW100の感度の向上を生じさせるのは基板112の屈折率の低下であることは理解されるべきである。特に、導波路膜106の屈折率を変更すると、この変更は光モード閉じ込めを「平均化」するが、基板112の屈折率の変更は、モード対称性を変えてモードのほとんどが基板112にあるかまたは上層103にあるかを決定する。本明細書では、ほとんどの生物学的反応が水溶液中で行われることから、上層103の屈折率は有意なほど変更されないと仮定した。
【0048】
・本発明の効力を決定するためには上層103の屈折率に比較して基板112の屈折率が最善であることは理解されるべきである。基板112が上層103の屈折率よりかなり高い屈折率を有する状況は避けるようにするべきである。
【0049】
・センサ表面(すなわち、表面から200nm以内)において何がおこるかに関心があれば、上層103にエバネッセントテールを延び込ませすぎると、実際上表面の寄与に比べて「バルク」溶液からの信号が強まり得ることに注意すべきである。結果として、エバネッセントテールを基板103に深く押し込むことと表面信号を得ようとすることの間でバランスが取られるべきである。
【0050】
・呼掛け装置が反射信号での動作に限定されないことは理解されるべきである。呼掛け装置はさらに、導波路結合光(ピーク)または透過光(ディップ)で動作することができる。
【0051】
・図1において導波路膜106は平坦化されて示されているが、導波路膜106はかなり一様な膜厚を維持しながら下層の回折格子108と同形となる可能性が高いことは理解されるはずである。
【0052】
・上述した本発明の好ましい実施形態は生物学的物質の検出を可能にするために反射光ビームを利用したが、透過ビームも、センサの側面から出てくるビームであっても、生物学的物質を検出するために用い得ることは容易に理解されるはずである。もちろん、透過ビームまたはセンサの側面から出てくるビームを検出するためにはシステムの構成に多少の変更が必要となるであろう。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を添付図面に示し、上に詳細に説明したが、本発明が開示された実施形態に限定されず、添付される特許請求の範囲に述べられ、定められる本発明の精神を逸脱することなく、数多くの、再構成、改変及び置換が可能であることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明にしたがうGCW及び光呼掛けシステムの基本コンポーネントの概念図である
【図2】図1に示されるGCWの共鳴角と共鳴波長の間の関係を示すグラフである
【図3】図1に示されるGCWの共鳴波長を決定するために分光呼掛け手法を光呼掛けシステムでどのように用いることができるかの説明を補助するために用いられるグラフである
【図4】図1に示されるGCWの共鳴角を決定するために角度呼掛け手法を光呼掛けシステムでどのように用いることができるかの説明を補助するために用いられるグラフである
【図5】(従来技術)環状オレフィン共重合体(COC)でつくられた基板及びTaでつくられた導波路膜を有する従来のGCWの共鳴波長(反射異常)を示す、GSOLVERでつくられたグラフである
【図6】図1に示されるGCWの簡略化された3層導波路モデルである
【図7】(従来技術)環状オレフィン共重合体(COC)(屈折率n=1.53)、Ta(屈折率n=2.01)でつくられた導波路膜及びHO(屈折率n=1.33)含有上層を有する従来のGCWの上層領域に延び込むエバネッセントテールを有する基本モードを示すグラフである
【図8】屈折率n=1.20の基板、屈折率n=2.01の導波路膜及び屈折率n=1.33の上層を有する例示的GCWの上層領域に延び込むエバネッセントテールを有する基本モードを示すグラフである
【図9】バルク感度WISが基板屈折率の関数である例示的GCWにおける導波路のTM基本モード及びTE基本モードに対する結果を示すグラフである
【図10】屈折率n=1.00の基板、屈折率n=2.01の導波路膜及び屈折率n=1.33の上層を有する例示的GCWの上層領域に延び込むエバネッセントテールを有する基本モードを示すグラフである
【図11】表面感度WISが基板屈折率の関数である例示的GCWにおける導波路のTM基本モード及びTE基本モードに対する結果を示すグラフである
【図12】従来のGCW及び図1に示される低屈折率基板GCWのバルク感度を決定するために用いることができる較正データの一例を示すグラフである
【図13】従来のGCW及び図1に示される低屈折率基板GCWへの生物学的物質の二重層の連続付加に対する光応答のグラフである
【図14A】マイクロプレートのウエルの底内にGCWのアレイを形成するための作成プロセスにおける一工程を示す
【図14B】マイクロプレートのウエルの底内にGCWのアレイを形成するための作成プロセスにおける一工程を示す
【図14C】マイクロプレートのウエルの底内にGCWのアレイを形成するための作成プロセスにおける一工程を示す
【図14D】マイクロプレートのウエルの底内にGCWのアレイを形成するための作成プロセスにおける一工程を示す
【図14E】マイクロプレートのウエルの底内にGCWのアレイを形成するための作成プロセスにおける一工程を示す
【図14F】マイクロプレートのウエルの底内にGCWのアレイを形成するための作成プロセスにおける一工程を示す
【図15】本発明にしたがう生物学的物質を検出するために図1に示される光呼掛けシステム及びGCWを用いるための好ましい方法の基本工程を示すフローチャートである
【符号の説明】
【0055】
100 GCW
102 生物学的物質
103 検知領域
104 GCW上表面
106 導波路膜
108 回折格子
110 導波路
112 基板
120 光呼掛けシステム
122 光源
124 検出器
126 入射光ビーム
128 反射光ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折格子結合導波路において、
基板、
回折格子、及び
1.5以下の屈折率を有する前記基板より高い屈折率を有する導波路膜、
を有することを特徴とする回折格子結合導波路。
【請求項2】
前記回折格子が前記導波路膜の上表面内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回折格子結合導波路。
【請求項3】
前記回折格子が前記導波路膜内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回折格子結合導波路。
【請求項4】
前記回折格子が前記導波路膜の機能も果たすことを特徴とする請求項1に記載の回折格子結合導波路。
【請求項5】
前記回折格子が前記基板の上表面内に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回折格子結合導波路。
【請求項6】
前記基板が約1.4〜1.5の範囲の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の回折格子結合導波路。
【請求項7】
前記基板が1.4以下の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の回折格子結合導波路。
【請求項8】
1つまたはそれより多くの回折格子ベース導波路型センサに呼び掛けるための方法において、前記方法が、
前記回折格子ベース導波路型センサのそれぞれに光ビームを向ける工程であって、
前記回折格子ベース導波路型センサのそれぞれは、
基板、
回折格子、及び
1.5以下の屈折率を有する前記基板より高い屈折率を有する導波路膜、
を有し、
前記基板が、前記回折格子及び前記導波路膜によって形成された導波路とインターフェースする前記光ビームを受け取り、前記基板が1.5以下の屈折率を有することから、前記導波路膜の上の検知領域に従来技術より深く延び込むエバネッセントテールを有する基本モードに回折する、底面を有するものである工程、
前記それぞれの回折格子ベース導波路型センサから反射光ビームを受け取る工程、及び
前記それぞれの回折格子ベース導波路型センサの前記導波路膜の上の前記検知領域に生物学的物質が存在するか否かを示す所定の屈折率に対応する共鳴条件を検出するために前記受け取った反射光ビームのそれぞれを解析する工程、
を有してなることを特徴とする方法。
【請求項9】
前記基板が約1.4〜1.5の範囲の屈折率を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記回折格子ベース導波路型センサがマイクロプレート内に形成されたウエルに置かれることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
マイクロプレートにおいて、
フレームであって、複数のウエルが前記フレームに形成され、前記ウエルのそれぞれに、
基板、
回折格子、及び
1.5以下の屈折率を有する前記基板より高い屈折率を有する導波路膜、
を有する回折格子ベース導波路、
が組み込まれているフレームを有することを特徴とするマイクロプレート。
【請求項12】
前記回折格子ベース導波路が、
低屈折率紫外線硬化性材料に分配器具を浸漬する工程、
前記低屈折率紫外線硬化性材料の一部を前記分配器具から前記低屈折率紫外線硬化性材料内に回折格子を形成する格子形成器具に移す工程、
前記低屈折率紫外線硬化性材料を前記格子形成器具から前記ウエル内に移す工程、
前記基板及び前記回折格子を形成するために前記ウエル内の前記低屈折率紫外線硬化性材料を紫外光で露光する工程、及び
前記回折格子を前記導波路膜で被覆する工程、
にしたがって前記ウエル内に形成されることを特徴とする請求項11に記載のマイクロプレート。
【請求項13】
光呼掛けシステムが、
それぞれの前記回折格子ベース導波路内に光ビームを向ける工程、
前記それぞれの回折格子ベース導波路から反射光ビームを受け取る工程、及び
前記それぞれの回折格子ベース導波路の前記導波路膜の上の検知領域内に生物学的物質が存在するか否かを示す所定の屈折率に対応する共鳴条件を検出するために前記受け取られた反射光ビームのそれぞれを解析する工程、
にしたがって前記それぞれの回折格子ベース導波路に呼び掛けるために用いられることを特徴とする請求項11に記載のマイクロプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−501432(P2007−501432A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522557(P2006−522557)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020673
【国際公開番号】WO2005/015185
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】