説明

回路装置

【課題】放熱性が向上された回路装置を提供する。
【解決手段】本発明の混成集積回路装置10Aは、回路基板12と、回路基板12の上面に配置された制御素子23およびチップ素子24と、回路基板12を部分的に開口させた開口部18と、開口部18を下面から塞ぐ実装基板28と、実装基板28の上面に実装されたパワー素子22とを備えている。回路基板12よりも熱伝導性に優れる材料からなる実装基板28にパワー素子22を実装することにより、パワー素子22から発生した熱を実装基板28を経由して良好に外部に放出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路装置に関し、特に、放熱性が向上された回路装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4を参照して、従来型の回路装置の一例として混成集積回路装置100の構成を説明する(特許文献1)。先ず、アルミニウム等の金属からなる基板101の表面には、樹脂から成る絶縁層102を介して導電パターン103が形成され、この導電パターン103の所望の箇所に回路素子が固着されて、所定の電気回路が形成される。ここでは、回路素子として半導体素子105Aとチップ素子105Bが採用されている。半導体素子105Aは、例えばトランジスタまたはダイオードであり、上面の電極が金属細線107を経由して所定の導電パターン103と接続され、裏面の電極は導電パターン103に接続されている。一方、コンデンサまたは抵抗器であるチップ素子105Bは、両端の電極が半田等の接合材106を介して所定の導電パターン103と接合されている。また、封止樹脂108は、基板101の表面に形成された電気回路を封止する機能を有する。更に、リード109は装置全体の外部接続端子として機能し、内側の端部はパッド状に形成された導電パターン103に固着され、外側の端部は封止樹脂108から外部に導出する。
【0003】
この様な構成の混成集積回路装置100は、金属からなる基板101の上面に各回路素子が実装されるので、動作状況下にて半導体素子105Aが発熱しても、発生した熱は基板101を経由して良好に外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−036014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、数十アンペアの大電流のスイッチングを行うパワー素子等の発熱量が大きい素子を回路素子として採用した場合、上記した構成の混成集積回路装置100でも放熱性が不十分な問題があった。
【0006】
具体的には、例えば半導体素子105Aから発生された熱が外部に至る経路は、導電パターン103、絶縁層102、基板101、封止樹脂108の順番である。この中でも、導電パターン103、基板101は金属から成るので熱伝導率は良いが、絶縁層102および封止樹脂108はエポキシ樹脂等の樹脂材料から成るので熱伝導性が悪い。このように、半導体素子105Aの熱が外部に放出される経路に、樹脂からなる部分が含まれることが、放熱性の更なる向上を阻害していた。
【0007】
また、基板101の下面を外部に露出させると、裏面を被覆していた封止樹脂108が無くなる分、放熱性が向上する。しかしながら、この場合であっても、基板101の上面を被覆する絶縁層102が、熱の経路に存在するので、放熱性の向上に限界があった。更に、絶縁層102自体の熱伝導率を向上させるために、絶縁層102はシリカ等の無機フィラーを含むが、この様な対策を施しても絶縁層102の熱伝導率は金属には劣る。
【0008】
更に、上記した混成集積回路装置100では、耐圧性が十分でない場合があった。具体的には、導電材料である金属からなる基板101と、導電パターン103とは、両者の間に介在する絶縁層102により絶縁されている。しかしながら、例えば、導電パターン103に、1000V〜2000V程度の電圧を印加すると、エポキシ樹脂等の樹脂材料から成る絶縁層102が絶縁破壊し、導電パターン103と基板101とがショートしてしまう恐れがあった。
【0009】
本発明は上記した問題を鑑みて成されたものであり、本発明の主たる目的は、放熱性が更に向上された回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の回路装置は、上面に導電パターンが配置された回路基板と、前記回路基板を部分的に開口した開口部と、前記開口部と重畳するように前記回路基板の下方に配置された実装基板と、前記実装基板の上面に配置されて前記導電パターンと電気的に接続された半導体素子と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回路素子が実装される基板に開口部を設け、開口部の下方に熱伝導性に優れた材料からなる実装基板を配置し、この実装基板の上面に半導体素子を実装している。このようにすることで、半導体素子から発生した熱は、熱伝導性に優れる実装基板を経由して直ちに外部に放出される。従って、動作時の半導体素子の過熱が抑制され、その誤動作や特性低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の回路装置としての混成集積回路装置を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図であり、(C)は他の形態の混成集積回路装置を示す断面図である。
【図2】本発明の回路装置としての混成集積回路装置を示す図であり、(A)−(D)は他の形態の混成集積回路装置を示す断面図である。
【図3】本形態の混成集積回路装置の熱抵抗を測定した結果を示すグラフである。
【図4】背景技術の混成集積回路装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、本発明の回路装置の一例として混成集積回路装置10Aの構成を説明する。図1(A)は混成集積回路装置10Aを示す斜視図であり、図1(B)はその断面図であり、図1(C)は他の形態の混成集積回路装置10Bを示す断面図である。
【0014】
図1(A)および図1(B)を参照して、混成集積回路装置10Aは、導電パターン16および回路素子から成る混成集積回路が上面に組み込まれた回路基板12と、回路基板12を部分的に開口した開口部18と、開口部18と重畳する様に回路基板12の下方に配置された実装基板28と、実装基板28に実装されたパワー素子22(半導体素子)とを備えている。更に、混成集積回路装置10Aは、封止樹脂30と、一方が導電パターン16に固着されて他端が封止樹脂30から外部に導出するリード14とを備えている。
【0015】
具体的には、回路基板12は、回路素子を相互に接続するための導電パターン16が上面に形成された基板である。回路基板12の材料としては、ガラスエポキシ樹脂等の樹脂材料、セラミック基板またはアルミニウム等の金属基板が採用される。また、金属基板が回路基板12として採用される場合は、アルミナ等のフィラーが充填された樹脂からなる絶縁層により回路基板12の上面が被覆され、この絶縁層の上面に導電パターン16が形成される。回路基板12の具体的な大きさは、例えば、縦×横=60mm×80mm程度であり、厚みは1.0mm〜2.0mm程度である。
【0016】
導電パターン16は厚みが35μm〜70μm程度の銅等の金属から成り、所定の電気回路が形成されるように回路基板12の上面に形成される。導電パターン16は、回路素子が固着されるアイランド、金属細線が接続されるパッド、リード14が固着されるパッドおよび、これらを相互に接続する配線部等を備える。ここでは単層の導電パターン16が図示されているが、絶縁層を介して積層された多層の導電パターン16が回路基板12の上面に形成されても良い。
【0017】
導電パターン16に電気的に接続される回路素子としては、能動素子や受動素子を全般的に採用することができる。具体的には、トランジスタ、LSIチップ、ダイオード、チップ抵抗、チップコンデンサ、インダクタンスなどを回路素子として採用することができる。図1(A)を参照すると、回路基板12の上面には、制御素子23(LSI)、チップ素子24等が回路基板12の上面に固着されている。一方、MOSFET等であるパワー素子22は、開口部18の内部に配置されており、この事項は図1(B)を参照して後述する。
【0018】
封止樹脂30は、回路基板12およびその上面に固着された回路素子を封止するように形成されている。封止樹脂30は、フィラーが混入されたエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂から成り、トランスファーモールドにより形成される。
【0019】
リード14は、回路基板12の対向する側辺に沿って、導電パターン16から成るパッドに固着されており、混成集積回路装置10Aの入出力端子として機能している。図1(A)を参照すると、紙面上にて右側の回路基板12の側辺に沿って多数のリード14が設けられているが、対向する2つの側辺に沿ってリード14が固着されても良い。
【0020】
開口部18は回路基板12を部分的に開口した部位であり、パワー素子22を収納可能な大きさで四角形形状に開口されている。開口部18の平面視での大きさは、例えば、縦×横=0.4cm以上1.2cm以下である。このような開口部18は、回路基板12に対してプレス加工または研削加工を施すことで形成される。
【0021】
実装基板28は、回路基板12の開口部18と重畳する領域で回路基板12の下方に配置された基板であり、回路基板12よりも熱伝導性に優れ且つ電気的には絶縁性の材料から成る。実装基板28の具体的な材料としては、例えばセラミック基板が採用される。実装基板28の平面視での大きさは、開口部18よりも若干大きい程度であり、縦×横=0.5cm以上1.5cm以下である。回路基板12の材料であるエポキシ樹脂の熱伝導率が0.2〔W・m−1・K−1〕であるのに対し、実装基板28の材料であるセラミックの熱伝導率は30〔W・m−1・K−1〕である。また、実装基板28の下面は封止樹脂30から外部に露出している。図1(A)を参照すると、回路基板12に2つの開口部18が設けられ、これらの開口部18にパワー素子22が配置されている。また、ここでは、開口部18の全域を下方から覆うように実装基板28が回路基板12の下面に当接しているが、開口部18を部分的に覆うように実装基板28が設けられても良い。
【0022】
実装基板28の上面には、銅などの金属箔を所定形状にパターニングした配線パターン32が形成されている。パワー素子22の下面に形成された電極は、半田等の導電性固着材を介して、配線パターン32と接続される。
【0023】
実装基板28の上面に実装されるパワー素子22は、例えば1アンペア以上の大電流が通過する半導体素子であり、具体的には、MOSFET、IGBT、バイポーラトランジスタまたはダイオードが採用される。これらの複数が実装基板28に実装されても良い。
【0024】
パワー素子22としてMOSFETが採用された場合は、パワー素子22の下面にドレイン電極が配置され、上面にソース電極およびゲート電極が設けられる。一方、パワー素子22としてIGBTが採用された場合は、下面にコレクタ電極が設けられ、上面にエミッタ電極およびゲート電極が配置される。また、パワー素子22としてバイポーラトランジスタが採用された場合は、下面にコレクタ電極が設けられ、上面にエミッタ電極およびベース電極が配置される。
【0025】
実装基板28の上面に配置されたパワー素子22は、金属細線20を経由して回路基板12の上面に形成された導電パターン16と接続される。具体的には、例えばパワー素子22がMOSFETの場合、パワー素子22の上面に設けられたソース電極およびゲート電極は、金属細線20を経由して回路基板12の上面に形成された導電パターン16から成るパッドに接続される。一方、パワー素子22の下面に設けられたドレイン電極は、先ず、半田を介してランド形状の配線パターン32に電気的に接続される。そして、この配線パターン32は、金属細線20を経由して、回路基板12の上面に形成されたパッド状の導電パターン16と接続される。
【0026】
上記した本形態の混成集積回路装置10Aによれば、パワー素子22から発生した熱を背景技術の場合よりも効率的に外部に放出させることができる。具体的には、本形態では、パワー素子22が配置される箇所を開口して開口部18を設け、この開口部を塞ぐように配置された実装基板28の上面にパワー素子22を固着している。これにより、パワー素子22が動作時に発生する熱は、配線パターン32および実装基板28を経由して良好に外部に放出される。従来例では、図4を参照すると、放熱の経路に基板101の上面を被覆する絶縁層102や、基板101の下面を覆う封止樹脂108が存在しおり、これらの熱伝導性が悪いことによって放熱性が阻害されていたが、本形態ではこの様な樹脂材料(有機材料)が放熱の経路に存在していない。即ち、パワー素子22の放熱の経路に存在するのは、金属からなる配線パターン32およびセラミックから成る実装基板28の無機材料のみであり、これらの熱伝導率は上記したように非常に良い。更に、パワー素子22の固着に用いられる半田も放熱の経路となるが、半田は錫等から成る金属材料であるので、樹脂材料と比較すると熱伝導性に優れている。更にまた、実装基板28は回路基板12よりも薄く形成されているので、その分熱抵抗が小さくなる。以上の理由により、パワー素子22が動作時に発生した熱は直ちに外部に放出されるので、パワー素子22が過熱されることによる破壊や特性劣化が抑制されている。
【0027】
一方、回路基板12の上面には、発熱量が多いパワー素子22は載置されず、パワー素子22のスイッチングを制御する制御素子23やチップ素子24等の発熱量が比較的小さい素子のみが配置される。従って、放熱性に劣るが安価なガラスエポキシ基板を回路基板12として採用でき、コストダウンが図れる。更に、ガラスエポキシ基板は加工性に優れた材料であるので、容易に開口部18を形成できる。
【0028】
更に、本形態では、他の素子と比較して発熱量が多いパワー素子22が実装される基板と、他の素子が実装される基板とを別体の基板としている。これにより、基板を経由してパワー素子22から他の素子に伝導する熱量が低減される。従って、パワー素子22から発生した熱により他の素子(制御素子23)が過熱されることが防止される。
【0029】
更にまた、混成集積回路装置10Aでは、背景技術で述べた絶縁破壊の問題が回避される。具体的には、本形態では、実装基板28自体が絶縁材料であるセラミックから成るので、実装基板28と配線パターン32との間に、絶縁破壊を起こしやすい樹脂からなる絶縁層を設ける必要が無い。また、配線パターン32に、1000V〜2000V程度の電圧を印加しても、セラミックから成る実装基板28は絶縁破壊を起こし難い。この様な理由により、装置全体の耐圧性が向上されている。
【0030】
図1(C)を参照して、他の形態の混成集積回路装置10Bの構成を説明する。混成集積回路装置10Bの構成は上述した装置と基本的には同様であり、相違点は、実装基板28の裏面が封止樹脂30により被覆されることにある。このようにすることで、パワー素子22から発生した熱の経路に封止樹脂30が存在することに成るので、放熱性が若干低下する。しかしながら、実装基板28の下面も被覆されるように封止樹脂30を形成することにより、実装基板28と封止樹脂30との界面が外部に露出しないので、その界面を経由して水分が内部に侵入することが抑制され、耐湿性が向上する。また、下記する他の形態に関しても、このように実装基板28も被覆されるように樹脂封止を行っても良い。
【0031】
図2の各図を参照して、他の形態の混成集積回路装置を説明する。これらの図に示す他の形態の混成集積回路装置は、上記した混成集積回路装置10Aと基本的には同様であるので、以下では相違点を中心に説明する。
【0032】
図2(A)に示す混成集積回路装置10Cでは、パワー素子22が実装される実装基板28として、金属からなる基板を採用している。このように、セラミックよりも熱伝導性に優れた金属を、実装基板28の材料として採用することにより、パワー素子22から放出された熱をより効率的に外部に放出することができる。また、この場合、パワー素子22の下面電極が半田を介して実装基板28と接続され、この実装基板28に接続する金属細線20を経由して、回路基板12条の導電パターン16とパワー素子22とが接続されても良い。
【0033】
図2(B)に示す混成集積回路装置10Dでは、セラミックから成る実装基板28の下面に、アルミニウムまたは銅等の金属材料から成る金属基板34が固着されている。そして、金属基板34の下面は封止樹脂30から外部に露出している。従って、パワー素子22から発生した熱は、配線パターン32、実装基板28および金属基板34をこの順番で経由した後に外部に放出される。
【0034】
ここで、金属基板34の平面視での大きさは、パワー素子22よりも大きい程度が好適であり、厚みは実装基板28と同程度で良い。このようにすることで、パワー素子22から発せられて実装基板28を伝導した熱が、金属基板34で拡散される。即ち、金属基板34がヒートスプレッダーとして作用し、パワー素子22よりも広い面積で熱が外部に放出され、放熱特性が向上する。
【0035】
図2(C)に示す混成集積回路装置10Eでは、セラミックから成る実装基板28の上面に金属基板34を載置し、この金属基板34の上面にパワー素子22を実装している。従って、パワー素子22から発生した熱は、金属基板34、配線パターン32および実装基板28を経由して外部に放出される。図2(B)の場合と同様に、パワー素子22から発生した熱が、金属基板34にて周囲に拡散されて広い面積が伝導するので、放熱性が良好となる。
【0036】
図2(D)に示す混成集積回路装置10Fでは、開口部18の周辺部で回路基板12を厚み方向に窪ませて凹状部36を形成し、実装基板28を凹状部36に収納している。ここで、凹状部36の深さは、実装基板28が厚み方向に完全に収納される程度でも良いし、部分的に収納される程度でも良い。このようにすることで、実装基板28を設けることによる装置全体の厚みの増加が抑制される。この凹状部36を設ける事項は、上記した他の形態に適用可能である。
【0037】
図3を参照して、上記した構成の混成集積回路装置の熱抵抗を測定した実験結果を説明する。ここでは、上記した混成集積回路装置10A、10Dおよび10Eを用意し、従来例のものと共に熱抵抗の経時変化を測定した。この図に示すグラフでは、縦軸は熱抵抗を示し、横軸は経過時間を対数で示している。ここで、熱抵抗が小さいことは、放熱性に優れていることを示している。また、熱抵抗の値が時間と共に変化する領域での熱抵抗(グラフでは10秒までの領域)は過渡熱抵抗と称され、それ以降で経時的に熱抵抗が変化しない熱抵抗は(グラフでは10秒以降の領域)は定常熱抵抗と称される。
【0038】
図1(A)に示す混成集積回路装置10Aは、従来例と比較すると、10秒までの過渡熱抵抗では劣るが、それ以降の定常熱抵抗では良好な値を示している。過渡熱容量が従来例よりも劣る原因は、セラミックから成る実装基板28が、従来例のアルミから成る基板101よりも熱容量が小さいからである。また、混成集積回路装置10Aが定常熱抵抗に優れる原因は、上記したように、熱伝導率の低い樹脂材料が熱の経路に存在しないからである。
【0039】
図2(B)に示す混成集積回路装置10Dの実験結果を従来例と比較すると、過渡熱抵抗は従来例よりも劣るが、定常熱抵抗では従来例よりも優れている。この理由は、混成集積回路装置10Aの場合と同様である。また、この結果を混成集積回路装置10Aと比較すると、過渡熱抵抗値ではこのケースの方が優れている。この原因は、実装基板28の下面に配置された金属基板34がヒートシンクとして機能し、パワー素子22の急激な温度上昇が抑制されたからである。
【0040】
図2(C)に示す混成集積回路装置10Eの実験結果を従来例と比較すると、過渡熱抵抗および定常熱抵抗の両方に於いて、混成集積回路装置10Eが従来例よりも優れている。過渡熱抵抗が優れる理由は、動作の初期段階に於いてはパワー素子22から発生した熱が金属基板34に吸収されて急激な温度上昇が抑制されるからである。また、定常熱抵抗が優れる理由は、パワー素子22から発生した熱が金属基板34によって四方に広げられた後に、広い面積で実装基板28から外部に放出されるからである。
【0041】
以上の実験結果から、本形態の混成集積回路装置は、従来例のものよりも放熱性に優れているといえる。
【符号の説明】
【0042】
10A、10B、10C、10D、10E、10F 混成集積回路装置
12 回路基板
14 リード
16 導電パターン
18 開口部
20 金属細線
22 パワー素子
23 制御素子
24 チップ素子
28 実装基板
30 封止樹脂
32 配線パターン
34 金属基板
36 凹状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に導電パターンが配置された回路基板と、
前記回路基板を部分的に開口した開口部と、
前記開口部と重畳するように前記回路基板の下方に配置された実装基板と、
前記実装基板の上面に配置されて前記導電パターンと電気的に接続された半導体素子と、
を備えたことを特徴とする回路装置。
【請求項2】
前記実装基板は、前記回路基板よりも熱伝導性が優れる材料からなることを特徴とする請求項1に記載の回路装置。
【請求項3】
前記実装基板はセラミックから成る基板であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回路装置。
【請求項4】
前記実装基板の上面に金属からなる金属基板を配置し、
前記金属基板に前記半導体素子を固着することを特徴とする請求項3に記載の回路装置。
【請求項5】
前記実装基板の上面には配線パターンが形成され、
前記半導体素子の下面に設けられた電極は、前記配線パターンを経由して、前記回路基板の上面に配置された前記導電パターンと接続されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の回路装置。
【請求項6】
前記実装基板の下面に金属基板が固着されることを特徴とする請求項3から請求項5の何れかに記載の回路装置。
【請求項7】
前記金属基板は前記回路基板を封止する封止樹脂から外部に露出することを特徴とする請求項6に記載の回路装置。
【請求項8】
前記実装基板は金属からなる基板であることを特徴とする請求項1また請求項2に記載の回路装置。
【請求項9】
前記半導体素子の下面に設けられた電極は、前記実装基板を経由して、前記回路基板の上面に設けられた前記導電パターンと接続されることを特徴とする請求項8に記載の回路装置。
【請求項10】
前記回路基板の上面、側面および下面の一部を被覆する封止樹脂を更に備え、
前記実装基板の下面は前記封止樹脂から外部に露出することを特徴とする請求項1から請求項9の何れかに記載の回路装置。
【請求項11】
前記回路基板は樹脂材料からなる基板であることを特徴とする請求項1から請求項10の何れかに記載の回路装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−169520(P2012−169520A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30691(P2011−30691)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(300057230)セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (119)
【Fターム(参考)】