説明

回転機械をモニタするための装置

【課題】機械(100)に使用するためのエンコーダを提供する。
【解決手段】本エンコーダ(152)は、少なくとも1つの可動部材を含む。本エンコーダは、磁束によって起動するように構成された少なくとも1つのセンサを含む。本エンコーダは、約1μWよりも小さい電力振幅を有する電気的信号を消費するように構成される。また、少なくとも1つのセンサが、複数のスイッチ(178、179)を含み、スイッチの各々が、1μWの1/3のよりも小さい電力振幅を有する電気的信号を消費するように構成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には回転機械に関し、より具体的には、回転機械をモニタするための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油井のような幾つかの公知の井戸は、地表面下の天然地質層内にボーリング孔を掘削することによって形成される。そのような地質層は、陸上地表面及び/又は水中地表面下に見出される。幾つかの公知の掘削方法は、ドリルパイプにトルクを与える動力回転装置を使用し、ドリルパイプが次にドリルビットを回転させる。回転ドリルビットは、掘削井戸を形成するために、地質層内に孔を開けて地質層の掘削屑を発生させるが、この時に掘削屑を地表面に運び出すのを可能にする適切な流体が井戸内で循環させられる。ドリルパイプは、ドローワークスドラムから延びる支持ケーブルによって、掘削井戸内で下降及び上昇される。回転すると、ドローワークスドラムは、ケーブルを繰り出し及び引き戻して、ドリルパイプをそれぞれ下降及び上昇させる。掘削井戸内でのドリルビット運動の所定の速度及び量は、多くの変数によって影響を受け、これらの変数には、それに限定されないが、掘削している地質層の硬さ及び/又はドリルビット交換のために井戸からドリルパイプを引き出す必要性が含まれる。掘削作業の促進は、少なくとも部分的には井戸内におけるドリルビットの深度を判定することによって達成される。ドリルビット深度は一般的に、掘削井戸内に挿入されたドリルパイプの長さ並びに該ドリルパイプの運動(移動)の速度及び方向をモニタすることによって達成される。
【0003】
そのようなドリルビット深度を判定するのを可能するために、幾つかの公知の掘削組立体は、ドローワークスドラムの回転を測定するエンコーダを備えたドリルビット測定装置を含む。エンコーダは、モニタシステムにデータを送信し、モニタシステムは、ドローワークスドラムの回転をドリルパイプ深度に相関させる。しかしながら、幾つかの公知のエンコーダは、0.25ワット(W)以上の電力レベル及び24ボルト(V)DC以上の電圧を供給する外部電源を必要とするので、そのようなエンコーダは、発火性環境が存在する可能性がある区域内での使用には適さないことになる。
【特許文献1】米国特許第4,156,467号公報
【特許文献2】米国特許第4,114,435号公報
【特許文献3】米国特許第6,029,951号公報
【特許文献4】米国特許第4,951,505号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0212366号公報
【特許文献6】米国特許第6,087,654号公報
【特許文献7】米国特許第4,982,189号公報
【特許文献8】米国特許第4,806,752号公報
【特許文献9】米国特許第4,386,270号公報
【特許文献10】米国特許第5,557,450号公報
【特許文献11】米国特許第4,319,134号公報
【特許文献12】米国特許第5,949,051号公報
【特許文献13】米国特許第6,556,005号公報
【特許文献14】米国特許第6,455,957号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、少なくとも1つの可動部材を含む回転機械で使用するためのエンコーダを提供する。本エンコーダは、磁束によって起動するように構成された少なくとも1つのセンサを含む。本エンコーダは、約1μWよりも小さい電力振幅を有する電気的信号を消費するように構成される。
【0005】
別の態様では、少なくとも1つの回転部材を含む掘削組立体のための測定システムを提供する。本システムは、磁束によって起動するように構成された少なくとも1つのセンサを備えたエンコーダを含む。エンコーダは、約1μWの1/3よりも小さい電力振幅を有する電気的信号を消費するように構成される。本システムはまた、少なくとも1つの入力チャネルを介してエンコーダと電子データ通信するように結合された少なくとも1つのプロセッサを含む。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのエンコーダ出力信号を受信しかつ処理するように構成される。
【0006】
さらにここでは、ロータシャフトを含む回転構成部品の移動量を判定する方法を開示する。この方法は、密封ハウジングの内側で、ロータとハウジングとの間に間隙ギャップが形成されるように延びる少なくとも1つのエンコーダロータを備えた内蔵型の磁気駆動エンコーダを設ける段階を含む。本方法はまた、ロータシャフトに対してエンコーダを回転可能に結合する段階を含む。本方法はさらに、エンコーダロータの第1の位置を測定する段階と、エンコーダロータに基づいてロータシャフトの第1の線形位置測定値を判定する段階とを含む。本方法はまた、ロータシャフトを第2の位置に回転させる段階と、エンコーダを使用してロータシャフトの回転の方向及び第2の線形位置測定値を判定する段階とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、例示的な井戸掘削装置100の概略図である。この例示的な実施形態では、掘削装置100は、回転ウェルトップドライブ式掘削装置100である。それに代えて、掘削装置100は、本明細書に記載した本発明を組み込むことができるあらゆる掘削装置とすることができる。掘削装置100は、その上に支持構造体つまりデリック104が結合されたプラットフォーム102を含む。クラウンブロック106は、デリック104から懸垂される。掘削装置100はまた、動力源(図1には図示せず)によって駆動されるドラム110を備えたドローワークス108を含み、動力源には、それに限定されないが、電気駆動モータを含むことができる。それに代えて、動力源は、掘削装置100が本明細書に記載したように機能することを可能にするあらゆる装置とすることができる。具体的には、この例示的な実施形態では、動力源は、ドラム110に対して回転可能に結合されたドローワークス駆動シャフト112に結合される。
【0008】
ケーブル114が、ドラム110の周りに巻かれ、ドラム110からクラウンブロック106まで延びる。ケーブル114は、所定の機械的利点を可能にするプーリシステムと同様な方式でクラウンブロック106に結合され、それによってクラウンブロック106によるトラベリングブロック116の支持を可能にする。トラベリングブロック116は、懸垂部材120を介して回転ドライブ装置118を支持する。この例示的な実施形態では、部材120は、それに限定されないが、フック・スイベル組立体を含むことができる。それに代えて、部材120は、掘削装置100が本明細書に記載したように機能することを可能にするあらゆる装置とすることができる。装置118は、電源(図1には図示せず)によって動力供給される。例えば、この例示的な実施形態では、装置118は、電気モータ式トップドライブ118である。
【0009】
トップドライブ118は、ケリー122に対して回転可能に結合される。この例示的な実施形態では、ケリー122は、それに限定されないが、方形又は六角形部材である。それに代えて、ケリー122は、掘削装置100が本明細書に記載したように機能することを可能にするあらゆる構成を有することができる。ケリー122は、ドリルパイプ124に対して回転可能に結合され、トップドライブ118からドリルパイプ124にトルクを伝達するように構成される。案内部材123は、ケリー122を半径方向に支持するのを可能にする。ドリルパイプ124は、ボーリング孔又は井戸128を形成するのに使用する少なくとも1つのドリルビット126に対して回転可能に結合される。掘削装置100の別の実施形態は、トップドライブ118の代わりにスイベル継手を含み、また案内部材123の代わりに動力駆動式の方形又は六角形ブッシングを含むことができる。
【0010】
掘削装置100はまた、少なくとも1つのエンコーダ152を備えたドリルパイプ位置測定システム150を含み、エンコーダ152は、駆動シャフト112に対して回転可能に結合され、かつエンコーダケーブル156を介してインタフェース装置154に対して電気的に結合される。この例示的な実施形態では、エンコーダケーブル156は、絶縁及びシールド銅ケーブルであり、装置154は、オハイオ州ツインズバーグ所在のGeneral Electric Energyから購入可能なSafe Area Interface(SAI)装置154である。インタフェース装置154は、該装置154内に含まれた複数の電子装置(図1には図示せず)を収納するのを可能にする環境内に、プラットフォーム102から距離をおいて配置される。プラットフォーム102から所定の距離をおいた遠隔位置に装置154を配置することによりまた、井戸128の近傍で電弧が不用意に発生する可能性を軽減することが可能になる。インタフェース装置154は、複数の電子ケーブル162を介してオペレータインタフェース端末(OIT)160に結合されたデータ処理組立体158に対して電気的に結合される。この例示的な実施形態では、電子ケーブル162は、シリアル及び/又はユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルである。また、この例示的な実施形態では、組立体158及びOIT160は、ポータブルラップトップコンピュータとして結合される。それに代えて、組立体158及びOIT160は、別個のユニットである。
【0011】
装置154及びデータ処理組立体158の両方は、少なくとも1つのプロセッサとメモリ(図1にはいずれも図示せず)とを含む。本明細書で使用する場合、コンピュータという用語は、当技術分野においてコンピュータと呼ばれるような集積回路そのものに限定されるものではなく、広くプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラム可能論理コントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路及びその他のプログラム可能回路を指しており、これらの用語は、本明細書では互換的に使用している。この例示的な実施形態では、メモリには、それに限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)のようなコンピュータ可読媒体を含むことができる。それに代えて、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク−読出し専用メモリ(CD−ROM)、光磁気ディスク(MOD)及び/又はデジタル多用途ディスク(DVD)もまた、使用することができる。また、この例示的な実施形態では、それに限定されはないが、OIT160と関連したマウス及び/又はキーボードのようなコンピュータ周辺装置に対して、付加的な入力チャネルを結合することもできる。それに代えて、例えばスキャナを含むその他のコンピュータ周辺装置もまた、使用することができる。さらに、この例示的な実施形態では、付加的な出力チャネルは、付加的なデータディスプレイ、プリンタ、プロッタ及び/又は操作制御機構に結合することができる。
【0012】
インタフェース装置154及び組立体158のためのプロセッサは、エンコーダ152及び装置154から受信した信号を含む情報を処理する。RAM装置は、プロセッサによって実行されるべき情報及び命令を記憶しかつ送信する。RAM装置はまた、プロセッサによる命令の実行中に、一時的変数、静的(つまり、変化しない)情報及び命令並びに/或いはその他の中間情報を記憶しかつプロセッサに提供するために使用することもできる。実行することができる命令には、常駐の変換、較正及び/又はコンパレータアルゴリズムを含むことができるが、それらを含むことだけに限定されるものではない。一連の命令の実行は、ハードウエア回路又はソフトウエア命令のいずれの特定の組合せに限定されるものではない。
【0013】
掘削装置100の作動時に、ドリルパイプ124及びドリルビット126は、井戸128内に懸垂される。トップドライブ118は、トルク及び回転運動をケリー122に伝え、ケリー122は、トルク及び回転運動をドリルパイプ124及びドリルビット126に伝える。また、ドリルビット126上方に位置した構成部品の重量によって、ドリルビット126には下向きの力が生じ、この力は、掘削されている地質層への貫入を可能にする。トラベリングブロック116は、該トラベリングブロック116とクラウンブロック106との間に結合されたケーブル114の多数のループを介して位置決めされる。ドリルビット126に対して生じる下向きの力を調整するために、ドローワークスドラム110を回転させて、ケーブル114の一部分を引き戻すか又は繰り出す。ケーブル114の引戻し及び繰出しにより、トラベリングブロック116が上昇又は下降し、ドリルビット126上に生じる下向きの力が次に、減少又は増大するようになる。ドリルビット126によって削り取られた地下地質層の掘削屑(図1には図示せず)は、ドリルビット126を貫通する流体の循環によって地表面に運ばれ、掘削屑除去サブシステム(図1には図示せず)によって除去される。井戸128から掘削屑が除去され、また井戸128の深さが増すにつれて、ドリルパイプ124は、ドリルビット126がより深く掘削するのが可能になるように、井戸128内に降下される。具体的には、ドリルパイプ124が降下するにつれて、ドラム110は回転してケーブル114の一部分を繰り出す。繰り出されたケーブル114の長さは、ドリルパイプ124の深度及びドラム110の回転数と相関させることができる。時には、井戸128の深さが増大した時に、ドリルパイプ124の付加的なセクションを掘削装置100に付加することが必要になる場合がある。
【0014】
図2は、井戸掘削装置100(図1に示す)で使用することができる例示的なエンコーダ152の概略図である。図3は、エンコーダ152の側面図である。エンコーダ152は、その中にエンコーダ内部空洞166を形成したハウジング164を含む。ハウジング164は、空洞166をエンコーダ152の外部環境から密封して、塵埃及び水から保護するのを可能にする。
【0015】
エンコーダ152はまた、ドローワークス駆動シャフト112(図1に示す)に対して回転可能に結合されたロータ168を含む。ロータ168は、外部環境と空洞166との間の相互作用を軽減するのを可能にするシ−ル組立体(図示せず)を介して、ハウジング164を貫通して延びる。ロータ168は、回転軸線169の周りで回転する。ハウジング164及びロータ168は、エンコーダ152の作動中にロータ168の半径方向最外側表面170とハウジング164の半径方向最内側表面172とが、ロータ168及びハウジング164間の接触を防止するのを可能にするギャップ174を形成するように作られる。
【0016】
エンコーダ152はまた、複数の永久磁石176を含み、これらの永久磁石176は、各磁石176の半径方向最外側部分がロータ表面と実質的に同一面になるように、ロータ168内でほぼ半径方向に配向される。ロータ168の回転中に、磁石176は、所定の磁気強度と向きとを有する磁束を発生する。この例示的な実施形態では、5つの磁石176が、互いに実質的に円周方向に等距離で配置される。それに代えて、エンコーダ152が本明細書に記載したように機能することを可能にするあらゆる円周方向の距離間隔になったあらゆる数の磁石176を使用することができる。1磁気サイクルは、第1の磁石176から円周方向に隣接する次の磁石176までのロータ168の回転移動として定義される。
【0017】
エンコーダ152はさらに、ハウジング164に固定されたスイッチホルダ180に固定結合された2つの磁気リードスイッチ178及び179を含む。この例示的な実施形態では、スイッチ178及び179は、エンコーダ152の作動を可能にするために約18°離れている。それに代えて、スイッチ178及び179は、エンコーダ152が本明細書に記載したように機能することを可能にするあらゆる円周方向距離間隔で配置することができる。スイッチ178及び179は各々、磁石176の磁束と実質的に協働するように選択された所定の感度を有する。この例示的な実施形態では、スイッチ178及び179は、磁気サイクルの1/4にほぼ等しく、かつ磁石176が回転してスイッチ178及び179を通過する時に第1の磁気パルスと第2の磁気パルスとの間の関係を少なくとも部分的に定める距離だけ、円周方向に分離される。さらに、この例示的な実施形態では、5つの磁石176と2つのスイッチ178及び179とが、ドリルパイプ124の所定の移動分解能を達成するのを可能にする。1対の共通電源電線管182及び184が、それぞれスイッチ178及び179と電気的に結合される。電線管182及び184は、インタフェース装置154(図1に示す)内に配置された電源(図2及び図3には図示せず)と電気的に結合される。さらに、共通接地電線管183が、電線管182及び184の接続部とは反対側のスイッチ178及び179の端部において該スイッチ178及び179と電気的に結合される。電線管182、183及び184は、エンコーダケーブル156内に封入される。この例示的な実施形態では、電線管182、183及び184は、銅ワイヤである。それに代えて、電線管182、183及び184は、システム150が本明細書に記載したように機能することを可能にするあらゆる導電性装置とすることができる。電線管183、スイッチ178及び電線管182は、第1のエンコーダチャネル186を少なくとも部分的に形成し、また電線管183、スイッチ179及び電線管184は、第2のエンコーダチャネル188を少なくとも部分的に形成する。
【0018】
現場条件に露出されるシステム150の可動部品は比較的少数であり、またエンコーダ152内に完全に収納されているから、エンコーダ152は、システム150、従って掘削装置100の信頼性を高めるのを可能にする。具体的には、本明細書に記載したようにエンコーダ152の性能に影響を与える作動運動を利用するのは、ロータ168とスイッチ178及び179とのみである。機能不良の場合には、エンコーダ152は、容易かつ迅速に交換して、掘削作業の中断を軽減することができる。さらに、エンコーダ152は、シャフト112に対して冗長エンコーダ152を結合することができるような及び/又は交換用エンコーダ152の保管の必要性を軽減するようなサイズにすることができる。
【0019】
作動時に、ドローワークスドラム110(図1に示す)は、井戸128(図1に示す)内におけるドリルパイプの深度の関数としてケーブル114(図1に示す)を引き戻すか又は繰り出す。ドローワークス駆動シャフト112によってドラム110が回転されると、エンコーダロータ168も、同じ方向に回転する。例えば、ロータ168が時計方向に(矢印で示すように)回転する時、磁石176は、連続的にスイッチ178に接近し、スイッチ178の側を回転し、かつスイッチ178から遠ざかる。磁石176は、所定の磁性強度及び向きを有する磁束を発生して、各磁石176がスイッチ178に接近する場合に、スイッチ178に接近する間においてスイッチ178から所定の円周方向距離だけ離れた位置で、スイッチ178が閉じる。スイッチ178は、これが閉じた時、第1のチャネル186内に電気回路を完成して、電気的信号を装置154から電線管182を介してスイッチ178に送りまた電線管183を介して装置154に戻すことができるようになる。スイッチ178は、磁石176がスイッチ178から所定の円周方向距離だけ遠ざかるまで、閉じた状態に保持される。スイッチ179、電線管183及び電線管184を含む第2チャネル188の構成部品、磁石176並びに装置154は、全体として同様な方式で作動する。スイッチ178を閉じる磁石176の各々の作用は、第1の負の磁気パルスエッジを形成し、スイッチ179を閉じる各磁石176の作用は、第2の負の磁気パルスエッジを形成する。この作用と各磁石176並びにスイッチ178及び179との相互作用に関連したその後の作用については、さらに後述する。
【0020】
図4は、掘削装置100(図1に示す)で使用することができる例示的なドリルパイプ位置測定システム150の電気配線図である。システム150は、エンコーダケーブル156を介してインタフェース装置154に対して電気的に結合された少なくとも1つのエンコーダ152を含む。インタフェース装置154は、複数の電子ケーブル162を介してオペレータインタフェース端末(OIT)160に結合されたデータ処理組立体158に対して電気的に結合される。エンコーダ152は、2つの磁気リードスイッチ178及び179を含む。共通電源電線管182及び184が、それぞれスイッチ178及び179と電気的に結合される。さらに、共通接地電線管183が、電線管182及び184の接続部とは反対側のスイッチ178及び179の端部において、該スイッチ178及び179と電気的に結合される。電線管182、183及び184は、エンコーダケーブル156内に封入される。
【0021】
電線管183、スイッチ178及び電線管182は、第1のエンコーダチャネル186を少なくとも部分的に形成する。チャネル186はさらに、5ボルト直流(VDC)電源190を含む。チャネル186はまた、電源190に対して電気的に結合された25,000オーム限流抵抗器191と、抵抗器191の下流で電線管182に対して電気的に結合された電源信号電線管192とを含む。チャネル186はさらに、電線管192に対して電気的に結合されたプロセッサ193を含む。チャネル186はまた、電線管183に対して電気的に結合された電気的接地装置194と、電源190と、プロセッサ193に対して電気的に結合された接地電線管195とを含む。電線管195はまた、接地装置194の上流で電線管183に対して電気的に結合される。抵抗器191、電線管192、プロセッサ193、接地装置194及び接地電線管195は、インタフェース装置154内に配置される。従って、第1のチャネル186は、電源190、抵抗器191、電線管182、電線管192、スイッチ178、電線管183、接地装置194、電線管195及びプロセッサ193によって形成される。プロセッサ193は、電線管162を介して組立体158と電子データ通信するように結合される。
【0022】
同様に、電線管183、スイッチ179及び電線管184は、第2のエンコーダチャネル188を少なくとも部分的に形成する。チャネル188はさらに、電源190と、電源190に対して電気的に結合された25,000オーム限流抵抗器196と、抵抗器196の下流で電線管184に対して電気的に結合された電源信号電線管197とを含む。チャネル188はまた、電線管197に対して電気的に結合されたプロセッサ193を含む。チャネル188はさらに、電気的接地装置194と、接地電線管195とを含む。抵抗器196及び電線管197は、インタフェース装置154内に配置される。従って、第2のチャネル188は、電源190、抵抗器196、電線管184、電線管197、スイッチ179、電線管183、接地装置194、電線管195及びプロセッサ193によって形成される。
【0023】
図5は、エンコーダ152(図2及び図3に示す)及びシステム150(図4に示す)を使用して生成することができる複数の波形の例示的なグラフ図200である。縦座標軸202(Y軸)は、スイッチ178及び179(両方を図2及び図4に示す)からの出力信号電圧の振幅をボルト(V)単位で表す。横座標軸204(X軸)は、時間単位を表す。スイッチ178は、第1のチャネル186(図2及び図4に示す)を介して第1のチャネル出力信号206を送るのを可能にし、またスイッチ179は、第2のチャネル188(図2及び図4に示す)を介して第2のチャネル出力信号208を送るのを可能にする。信号206及び208は、実質的に方形波信号であり、明瞭にするために振幅が互いに僅かにオフセットしたものとして図示している。
【0024】
第1のチャネル186内で送られた信号は、電線管192及び195を介してプロセッサ193によって受信され、また両者合わせて第1のチャネル信号206を形成する。約5VDCの電圧差が、電源190、抵抗器191、電線管183及び182並びに接地装置194(全て図4に示す)を介してスイッチ178に印加される。接地装置194は、電線管195を通して送られる実質的に全ての信号が、システム150の作動全体にわたってほぼゼロVDCの電圧振幅を有するのを可能にする。スイッチ178が開状態にある時、第1のチャネル186を通って流れる電流は、実質的にゼロである。さらに、約5VDCの電圧振幅を有する信号は、電線管192を通って送られる。信号206は、第1のチャネルの「スイッチ178開」の出力部分220を含み、この出力部分220は、スイッチ178が開いている期間並びに電線管192及び195間の関連した電圧差の値を表している。部分220は、この電圧差をグラフで表している。
【0025】
同様に、第2のチャネル188内で送られた信号は、電線管197及び195を介してプロセッサ193によって受信され、また両者合わせて第2のチャネル信号208を形成する。約5VDCの電圧差が、電源190、抵抗器196、電線管183及び184並びに接地装置194(全て図4に示す)を介してスイッチ179に印加される。接地装置194は、電線管195を通して送られる実質的に全ての信号が、システム150の作動全体にわたってほぼゼロVDCの電圧振幅を有するのを可能にする。スイッチ179が開状態にある時、第2のチャネル188を通って流れる電流は、実質的にゼロである。さらに、約5VDCの電圧振幅を有する信号は、電線管197を通って送られる。信号208は、第2のチャネルの「スイッチ179開」の出力部分222を含み、この出力部分222は、スイッチ179が開いている期間並びに電線管197及び195間の関連した電圧差の値を表している。部分222は、この電圧差をグラフで表している。この例示的な実施形態では、それぞれ信号206及び208の部分220及び222は、実質的に類似している。
【0026】
信号206はまた、第1の負の磁気パルスエッジ210と第1の正の磁気パルスエッジ212とを含む。エッジ210は、磁石176がスイッチ178に接近し該スイッチ178を閉じた時のように、各磁石の磁束がスイッチ178の感度限界値を越えた時に発生する。エッジ212は、各磁石176がスイッチ178から遠ざかり該スイッチ178が開いた時のように、スイッチ178の近傍の磁束が弱まった時に発生する。信号206の「スイッチ178閉」の部分211が形成され、エッジ210及び212間で延びる。部分211は、スイッチ178の近傍における磁束の強さがスイッチ178の感度限界値及びスイッチ178の両端における関連する電圧差を越えた持続時間に等しい。スイッチ178が閉じている時、電流は、スイッチ178を含む第1のチャネル186を通って電源190から接地装置194まで流れ、それによって電線管192を通して送られる信号の電圧振幅を実質的にゼロに減少させることが可能になる。従って、電線管192及び195間の電圧差は、実質的にゼロになる。
【0027】
同様に、出力信号208もまた、第2の負の磁気パルスエッジ214と第2の正の磁気パルスエッジ216とを含む。また同様に、信号208の「スイッチ179閉」の部分215が形成され、エッジ214及び216間で延びる。スイッチ179が閉じている時、電流は、スイッチ179を含む第2のチャネル188を通って電源190から接地装置194まで流れ、それによって電線管197を通して送られる信号の電圧振幅を実質的にゼロに減少させることが可能になる。従って、電線管197及び195間の電圧差は、実質的にゼロになる。この例示的な実施形態では、それぞれ信号206及び208の部分211及び215は、実質的に類似している。
【0028】
1磁気サイクルは、第1の磁石176から次の磁石176までのロータ168の回転移動として定義される。1磁気サイクルは、図4では360°として定義されている、すなわち、360°は、エッジ210と次のエッジ210の発生事象との間の時間分と実質的に等しい。次に、90°は、エッジ210とエッジ214との間の時間分と実質的に等しい。また、90°は、エッジ214とエッジ212との間の時間分、及びエッジ212とエッジ216との間の時間分と等しい。さらに、90°は、エッジ216と次のエッジ210の発生事象との間の時間分と実質的に等しい。この事象のシーケンスは、実質的に各磁気サイクルについて繰り返される。この例示的な実施形態では、エンコーダ152は、5つの磁石176を含み、エンコーダロータ168(図2及び図3に示す)の各360°の回転により、5つの磁気サイクルが生じる。従って、各磁気サイクルは、ロータ168の72°の回転に実質的に相当し、360°の磁気サイクルの各象限つまり90°の磁気サイクルは、ロータ168の18°の回転に実質的に相当する。
【0029】
エンコーダ152が時計方向に回転する時、信号206は、出力信号208に先行する。これと対照的に、出力信号206に先行する信号208は、エンコーダ152が反時計方向に回転していることを示す。この例示的な実施形態では、それぞれ部分220及び222の期間における電圧出力信号206及び208の振幅は、約5ボルト(V)DCであり、またスイッチ178及び179を通って流れ電流は、実質的にゼロアンペア(A)である。これと対照的に、それぞれ部分211及び215の期間におけるスイッチ178及び179からの電圧出力信号206及び208の振幅は、約ゼロVDCである。さらに、部分211及び215が重なり合った期間には、1マイクロワット(μW)の1/3よりも小さい電力が、システム150によって消費される。
【0030】
本明細書に記載したような、エンコーダ152を含むシステム150に関連した電圧、電流及び電力の例示的な振幅(大きさ)は、所定の物質及び化合物の発火を誘発するのに十分なエネルギーを有するエンコーダ152と関連した不用意な電弧が生じる可能性を低減するのを可能にする。さらに、この例示的な実施形態では、エンコーダ152は、如何なる有効な外部電源、つまり1μWよりも大きな電力を送達するように構成された電源に対しても電気的に結合されない。従って、エンコーダ152は、それに限定されないが、第1種区分1条件のような本質的に安全な装置が必要となるような用途において使用ことができる。そのような条件は、それに限定されないが、化学プラント、穀物倉庫及び天然ガス輸送ステーションを含む施設内に存在する可能性がある。それに代えて、本明細書に記載したようなエンコーダ152の作動を可能にする電圧、平均電力、ピーク電力、平均電流及びピーク電流のあらゆる値を使用することができる。
【0031】
再び図1を参照すると、掘削装置100の作動時、ケーブル114が、ドリルパイプ124の深度を変化させるためにドラム110から繰り出されまたドラム110に向けて引き戻された時に、ドローワークスシャフト112に対して回転可能に結合されたエンコーダ152は、それぞれ電線管182及び184を介してインタフェース装置154に送信される出力信号206及び208を送るのを可能にする。エンコーダ152は、それが始動時深度からの相対的深度を測定し、またその始動時深度からの上向き又は下向きへの深度変化を測定する点で増分エンコーダ152である。初期始動時深度に対応する初期データセットが、システム150内に手動で入力される。装置154及びデータ処理組立体158は、第1の信号206及び208の組を受信し、組立体158は、少なくとも1つの常駐変換アルゴリズムを使用してドリルパイプ124の第1の距離を判定する。シャフト112が回転してドリルパイプ124の深度が第2の位置まで変化すると、第2の信号206及び208の組が装置154に送られ、装置154は、少なくとも1つの常駐変換アルゴリズムを使用して、磁気サイクルの数及び極性を判定する。装置154によって判定された磁気サイクルの数及び極性は、データ処理組立体158に送られ、データ処理組立体158において、複数の変換アルゴリズムが実行されて、ドリルパイプ124の移動距離、移動方向及び移動速度が求められる。変換アルゴリズムの実施例には、それに限定されないが、ドリルパイプ124の移動の距離及び方向を表す磁気サイクルの数及び極性をオペレータが解釈することができる値に変換する積分アルゴリズムが含まれる。処理された信号は、次にOIT160に送信される。
【0032】
本明細書に記載したような回転機械のシャフトをモニタするための方法及び装置は、回転掘削装置の操作及びモニタを可能にする。より具体的には、本明細書に記載した回転エンコーダは、効率的かつ有効なドリルパイプ深度測定方式を可能にする。また、回転エンコーダは、内蔵型の低電力構成部品を備えかつ外部電源を必要としない状態で受動オペレーティングシステムを作動させるのを可能にし、また危険な環境において本質的に安全である。さらに、回転エンコーダはまた、掘削装置の信頼性を高め、また保守コスト及び掘削装置一時停止を減少させるのを可能にする。さらに、回転エンコーダはまた、それに限定されないが、化学プラント、穀物倉庫及び天然ガス輸送ステーションを含む施設の稼動も可能にする。
【0033】
以上、ドリルパイプ深度測定方式と関連した回転エンコーダの例示的な実施形態について詳述している。本方法、装置及びシステムは、本明細書に記述した特定の実施形態にも、また特定の例示した掘削装置にも限定されるものではない。
【0034】
様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の変更で実施することができることは、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】例示的な井戸掘削装置の概略図。
【図2】図1に示す掘削装置で使用することができる例示的なエンコーダの概略図。
【図3】図2に示すエンコーダの側面図。
【図4】図1に示す掘削装置で使用することができる例示的なドリルパイプ位置測定システムの電気配線図。
【図5】図2に示すエンコーダを使用して生成することができる波形の例示的なグラフ図。
【符号の説明】
【0036】
100 掘削装置
102 プラットフォーム
104 デリック
106 クラウンブロック
108 ドローワークス
110 ドラム
112 駆動シャフト
114 ケーブル
116 トラベリングブロック
118 トップドライブ
120 懸垂部材
122 ケリー
123 案内部材
124 ドリルパイプ
126 ドリルビット
128 井戸
150 システム
152 エンコーダ
154 インタフェース装置
156 エンコーダケーブル
158 データ処理組立体
160 端末(OIT)
160 端末(OIT)
162 電子ケーブル
164 ハウジング
166 空洞
168 ロータ
169 回転軸線
170 最外側表面
172 最内側表面
174 ギャップ
176 磁石
178 スイッチ
179 スイッチ
180 スイッチホルダ
182 電線管
183 電線管
184 電線管
186 第1のチャネル
188 第2のチャネル
190 電源
191 限流抵抗器
192 電線管
193 プロセッサ
194 接地装置
195 電線管
196 限流抵抗器
197 給電信号電線管
200 グラフ図
202 縦座標軸
204 横座標軸
206 第1のチャネル出力信号
208 第2のチャネル信号
210 負の磁気パルスエッジ
211 部分
212 正の磁気パルスエッジ
214 負の磁気パルスエッジ
215 部分
216 正の磁気パルスエッジ
220 部分
222 部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの可動部材を含む機械(100)で使用するためのエンコーダ(152)であって、
磁束によって起動するように構成された少なくとも1つのセンサを含み、
1μWよりも小さい電力振幅を有する電気的信号を消費するように構成される、
エンコーダ(152)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサが、複数のスイッチ(178、179)を含み、
前記スイッチの各々が、1μWの1/3のよりも小さい電力振幅を有する電気的信号を消費するように構成される、
請求項1記載のエンコーダ(152)。
【請求項3】
前記機械(100)が回転機械であり、また前記可動部材が回転部材であり、前記エンコーダが、
前記回転機械の少なくとも1つの回転部材に対して回転可能に結合するように構成された少なくとも1つのロータ(168)と、
前記少なくとも1つのロータの少なくとも一部分を覆って該ロータとの間に間隙が形成されるように延びる密封ハウジング(164)と、
前記少なくとも1つのロータの少なくとも一部分内に結合された複数の磁石(176)と、をさらに含む、
請求項1記載のエンコーダ(152)。
【請求項4】
前記複数の磁石(176)が、該複数の磁石が前記少なくとも1つのロータの周りで互いに実質的に等距離で円周方向に間隔を置いて配置され、また該複数の磁石の各々の半径方向最外側部分が前記ロータの外表面(170)と実質的に同一面になるように構成される、請求項3記載のエンコーダ(152)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのセンサが、前記ハウジング(164)に結合されかつ前記複数の磁石(176)からの磁束を受けるように構成される、請求項3記載のエンコーダ(152)。
【請求項6】
前記複数の磁石(176)が、前記少なくとも1つの磁気駆動センサの作動を制御する、請求項5記載のエンコーダ(152)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサ及び複数の磁石(176)が、前記ロータ(168)の回転方向及び該ロータの回転数の少なくとも1つを表す信号を発生するように構成される、請求項5記載のエンコーダ(152)。
【請求項8】
少なくとも1つの回転部材を含む掘削組立体(100)のための測定システムであって、
磁束によって起動するように構成された少なくとも1つのセンサを含み、また1μWよりも小さい電力振幅を有する電気的信号を消費するように構成されたエンコーダ(152)と、
少なくとも1つの入力チャネル(186)を介して前記エンコーダ(152)と電子データ通信するように結合され、また少なくとも1つのエンコーダ出力信号を受信しかつ処理するように構成された少なくとも1つのプロセッサ(193)と、
を含む測定システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのセンサが、複数のスイッチ(178、179)を含み、
前記スイッチの各々が、1μWの1/3よりも小さい電力振幅を有する電気的信号を消費するように構成される、
請求項8記載の測定システム。
【請求項10】
前記エンコーダが、
前記掘削組立体の少なくとも1つの回転部材に対して回転可能に結合するように構成された少なくとも1つのロータ(168)と、
前記少なくとも1つのロータの少なくとも一部分を覆って該ロータとの間に間隙が形成されるように延びる密封ハウジング(164)と、
前記少なくとも1つのロータの少なくとも一部分内に結合された複数の磁石(176)と、
をさらに含む、請求項8記載の測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−14946(P2008−14946A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175698(P2007−175698)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】