説明

回転電機用コイル及びステータ

【課題】回転電機用コイルにおいて、ステータの軸方向となる方向の寸法を過度に大きくすることなく、コイルエンドを構成する部分の放熱性を向上させることである。
【解決手段】コイル30は、平板導体の帯を長さ方向複数個所で幅方向に曲げ形成するとともに、それぞれが1巻きである複数のコイル要素32を順番に配列した状態で連結したエッジワイズ型のコイルとする。複数のコイル要素32は、ステータコアを構成するティース部18にコイル30を巻装した場合にコイルエンドを構成する部分となる、所定方向両端部に、ステータコアの径方向となる方向に折り曲げた複数の折り曲げ部36を備える。各所定方向端部に設けた複数の折り曲げ部36同士の間に、所定方向の隙間42を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板導体の帯を長さ方向複数個所で幅方向に曲げ形成するとともに、それぞれが1巻きである複数のコイル要素を順番に配列した状態で連結し、ステータコアを構成するティース部に巻装して使用するエッジワイズ型の回転電機用コイルと、ステータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている、車両用電動機等の回転電機は、ステータとロータとを備える。また、ステータは、積層鋼板等により構成し、周方向複数個所に径方向に突出するティース部を含むステータコアと、各ティース部に巻装した、または2個以上のティース部にまたがるように巻装した複数のコイルとを含んでいる。このようなコイルとして一般的に使用される導線以外に、平板導体の帯を長さ方向複数個所で幅方向に曲げ形成するとともに、それぞれが1巻きである複数のコイル要素を順番に配列した状態で連結するエッジワイズ型のコイルも知られている。エッジワイズ型のコイルは、ステータコアを構成する各ティース部の周囲に巻装して使用する。このようなエッジワイズ型のコイルは、平角線により構成するので、断面積を大きくでき、放熱性を高くできる。
【0003】
図14は、エッジワイズ型のコイルを使用するステータの従来から考えられる構造の1例を示す略斜視図である。図15は、図14に示すステータを構成する1個の分割コア要素と、分割コア要素に巻装したエッジワイズ型のコイルとを取り出して示す透視斜視図である。図14に示すように、ステータ10は、略円筒状の外周リング12の内側に複数の分割コア要素14を環状に連結するように嵌合固定している。図15に示すように、各分割コア要素14は、積層鋼板等により構成し、断面略T字形で、外径側に設けた幅広の基部16の内径側に、幅狭のティース部18を結合している。また、ティース部18にコイル20を巻装している。コイル20は、平板導体である平角線の長さ方向複数個所を幅方向に曲げ形成したエッジワイズ型のコイルである。コイル20の両端部は、径方向外側に伸ばしてU相、V相、W相のいずれかの相に対応する、または中性点に対応するバスバー22に接続し、U相、V相、W相の各相に対応するバスバー22の一部に、図示しないインバータ等の外部回路と接続するための端子24(図14)を接続している。
【0004】
エッジワイズ型のコイル20を巻装した複数の分割コア要素14は、図14に示す外周リング12の内側に、環状に連結するように嵌合固定している。複数の分割コア要素14を環状に連結することにより、略円筒状のステータコア26が構成される。このようなステータコア26を含むステータ10により回転電機を構成する場合には、ステータ10の内側に図示しないロータを、ステータ10と径方向に対向させるように配置する。例えば回転電機を永久磁石付モータとする場合には、ロータの周方向複数個所に永久磁石を配置する。
【0005】
また、特許文献1には、ステータ本体の端面から突出するコイルエンドをプレス成形でステータ本体における径方向に倒してなるステータにおいて、コイルエンドを倒す際に該コイルエンドとステータ本体の端面とでチューブ状の絶縁部材を挟持してなるステータが記載されている。具体的には、ティース鉄心の間のスロットを通すように導電線が巻回され、その結果、スロットを通すように巻線が配置されている。また、プレス成形で巻線のステータ本体の両端面から突出する両コイルエンドを押圧し、ステータ本体の外径側に倒している。また、コイルエンドとステータ本体の端面とでチューブ状の絶縁部材を挟持している。また特許文献1には、チューブ状の絶縁部材に冷却用冷媒を流すことも記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、第1コイル巻回部に巻回され、第1固定子スロットに保持される第1コイルと、第2コイル巻回部に巻回され第2固定子スロットに保持される第2コイルとを有するモータが記載されている。第1コイルは、第1コイル束と、第1コイル束の固定子コアの半径方向外方に位置する第2コイル束とを備えている。また、第2コイルは、第3コイル束と、第3コイル束の固定子コアの半径方向外方に位置する第4コイル束とを備えている。各コイル束は、固定子コアの軸方向両端部から外方に突出するとともに、回転子の円周方向に沿う略円弧状の一対の第1〜4コイルエンドと、第1〜4軸方向コイル部とから構成している。第1コイルエンド及び第2コイルエンドと、第3コイルエンド及び第4コイルエンドとは、それらを軸方向端部から見たときの第1固定子スロット及び第2固定子スロットから外れた部分によって隙間を提供している。
【0007】
また、特許文献3には、平板導体の帯を帯の幅方向に曲げを施すエッジワイズ型のコイルであって、曲げが施された第1の曲げ部のコイル積層方向隣に配置された第2の曲げ部とを含み、第1の曲げ部と第2の曲げ部との内側部分の位置が、平板導体の平面方向に相互にずれるように配置されている回転電機のコイルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−236415号公報
【特許文献2】特開2005−223961号公報
【特許文献3】特開2005−304244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図14から図15に示した従来から考えられているエッジワイズ型のコイル20を使用した回転電機の場合、各コイル20において、ステータコア26の軸方向端面から軸方向に突出する、すなわち図15に示すように、ステータコア26の軸方向となる各ティース部18の所定方向(図15の矢印α方向)端面から所定方向に突出するコイル20の端部であって、コイルエンドを構成する部分では、コイル20を構成する複数の1巻きのコイル要素28が単にほぼ平行に積層されているのに過ぎない。このため、このコイルエンドを構成する部分での放熱性を高くする面から改良の余地がある。これに対して、コイル20において、コイルエンドを構成する部分の所定方向(図15の矢印α方向)長さを十分に大きくすることによりコイル20の放熱性を高くすることも考えられるが、この場合には、コイル20において、ステータ10の軸方向となる方向の寸法が過度に大きくなり、ステータ10及びステータ10を含んで構成する回転電機の軸方向の全長が過度に大きくなる可能性がある。
【0010】
また、特許文献1に記載のステータの場合、コイルエンドをステータ本体の外径側へ倒すことにより、ステータの軸線方向高さを小さく抑えるとされており、倒したコイルエンドの側面とステータコアに対応するステータ本体との間に絶縁部材を挟持している。このような構成の場合、絶縁部材の熱伝導率を高くすれば、コイルエンドからステータ本体への伝熱性を高くして、伝熱経路における熱抵抗を低減できる可能性がないとはいえない。また、絶縁部材をチューブ状の部品とするとともに、絶縁部材の両端部側を冷却装置に連結することで、絶縁部材を流れる冷媒によりコイルエンド及びステータ本体から熱を奪ってこれらの冷却を行うことができるとされている。
【0011】
ただし、特許文献1に記載のステータの場合、コイルエンドと放熱対象となる可能性があるステータ本体との間に絶縁部材を挟持しているため、コイルエンドからステータ本体へ伝熱されるとしても、コイルエンド及びステータ本体と絶縁部材との接触面積を大きくするのに限界があり、しかもコイルエンドの側面及びステータ本体の端面の面積を大きくする面からも限界があるため、コイルエンドの放熱性を高くする面から改良の余地がある。
【0012】
また、特許文献2に記載のモータの場合、第1コイルエンド及び第2コイルエンドと、第3コイルエンド及び第4コイルエンドとは、それらを軸方向端部から見たときの第1固定子スロット及び第2固定子スロットから外れた部分によって隙間が設けられているが、各コイルエンドでは、複数の巻線部が重なり合っているため、互いの巻線部同士の間に隙間を設けることができず、各巻線部の放熱性を高くすることができず、コイルエンドの放熱性を高くする面から改良の余地がある。
【0013】
また、特許文献3に記載のコイルの場合、エッジワイズ型コイルを使用するため、単なる一般的な巻線を使用する場合よりも放熱性をある程度は高くできるが、コイルエンドを構成する、ステータの突起部から軸方向に突出した部分で、コイルエンドを構成する複数の1巻き部同士の間に大きな隙間を形成することが難しく放熱性を高くする面からまだ改良の余地がある。
【0014】
本発明の目的は、回転電機用コイル及びステータにおいて、ステータの軸方向となる方向の寸法を過度に大きくすることなく、コイルエンドを構成する部分の放熱性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る回転電機用コイルは、平板導体の帯を長さ方向複数個所で幅方向に曲げ形成するとともに、それぞれが1巻きである複数のコイル要素を順番に配列した状態で連結し、ステータコアを構成するティース部に巻装して使用するエッジワイズ型の回転電機用コイルであって、複数のコイル要素は、ティース部にコイルを巻装した場合にコイルエンドを構成する部分となる、所定方向両端部に設けられ、ステータコアの径方向となる方向に折り曲げられた複数の折り曲げ部を備え、各所定方向端部に設けられた複数の折り曲げ部同士の間に、所定方向の隙間が設けられたことを特徴とする回転電機用コイルである。
【0016】
上記の構成によれば、複数のコイル要素のそれぞれに折り曲げ部を設けるとともに、各折り曲げ部同士の間に所定方向の隙間を設けているので、コイルエンドの樹脂または空気等と接触する部分の放熱面積となる、全体の表面積を大きくでき、各折り曲げ部で各コイル要素の放熱性を高くできる。このため、コイルエンドを構成する部分の放熱性の向上を図れ、コイルを含むステータを組み込んだ回転電機の冷却性の向上を図れる。しかも、折り曲げ部は、ステータの径方向となる方向に折り曲げられているので、ステータの軸方向となる方向の寸法が過度に大きくなることを防止できる。
【0017】
また、本発明に係る回転電機用コイルにおいて、好ましくは、各所定方向端部に設けられた複数の折り曲げ部同士の間の、所定方向の隙間のうち、少なくとも一部の隙間の大きさを、残部の隙間の大きさと異ならせる。
【0018】
また、本発明に係るステータは、内周面に径方向に突出するように設けられた複数のティース部を含むステータコアと、各ティース部に巻装された本発明に係る回転電機用コイルと、を備える。
【0019】
また、本発明に係るステータにおいて、好ましくは、各回転電機用コイルの各コイル要素に設けられた各折り曲げ部は、ステータコアの軸方向端面から軸方向に突出した部分を、径方向外側に折り曲げている。
【0020】
上記構成によれば、各折り曲げ部を、ステータコアの軸方向端面から軸方向に突出した部分を、径方向内側に折り曲げる場合に比べて、ステータと対向するロータ側に向けコイルの端部が過度に突き出すことを防止しつつ、互いの間に隙間を設けた複数の折り曲げ部を設けることにより冷却性の向上を図れる。このため、ステータの径方向の寸法が過度に大きくなることを防止して、ステータを含む回転電機が過度に大型化することを防止できる。
【0021】
また、本発明に係るステータにおいて、好ましくは、複数の折り曲げ部のうち、内径側に配置されるコイル要素に設けられた折り曲げ部の径方向長さを、外径側に配置されるコイル要素に設けられた折り曲げ部の径方向長さよりも大きくしている。
【0022】
上記構成によれば、ステータコアの軸方向両側の空間を、さらに効率的に利用でき、特に内径側に配置されるコイル要素の折り曲げ部で放熱性をさらに向上させることができる。このため、ロータからの磁場により特に内径側のコイル要素に漏洩磁束が生じて渦電流の発生により内径側で外径側よりもコイル要素が温度上昇しやすくなる場合でも、内径側に配置されるコイル要素で、外径側に配置されるコイル要素よりも放熱性を高めることにより、コイルの均熱化を図りやすくなり、ステータを含む回転電機の性能向上を図りやすくなる。
【0023】
また、本発明に係るステータにおいて、好ましくは、複数の回転電機用コイルの、ステータコアの軸方向両端面から突出した、折り曲げ部を含む部分によりコイルエンドを構成し、コイルエンドは、樹脂モールドされている。
【0024】
また、本発明に係るステータにおいて、好ましくは、コイルエンドを覆うコイルエンドカバーを備え、使用時にコイルエンドカバーの内部に冷媒を流す。
【0025】
上記構成によれば、2個の折り曲げ部同士の間の軸方向の隙間が異なる部分同士で、隙間を流れる冷媒の流速を異ならせて、冷媒と折り曲げ部との間での伝熱性を異ならせることができる。このため、各部の冷却性を任意に調節しやすくできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る回転電機用コイル及びステータによれば、ステータの軸方向となる方向の寸法を過度に大きくすることなく、コイルエンドを構成する部分の放熱性を向上させることができ、回転電機用コイルを含むステータを組み込んだ回転電機の冷却性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の回転電機用コイルを示す略斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の回転電機用コイルと、コイルを巻装した分割コア要素との部分拡大斜視図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図2を上方から下方に見た図である。
【図5】図4の下方から上方に見た図である。
【図6】図5のB部拡大図である。
【図7】第1の実施の形態のステータを組み込んだ回転電機の略図である。
【図8】本発明に係る第2の実施の形態の回転電機用コイルと、コイルを巻装した分割コア要素との部分拡大斜視図である。
【図9】図8のB矢視図である。
【図10】図9を右方から左方に見た図である。
【図11】本発明に係る第3の実施の形態の回転電機用コイルと、コイルを巻装した分割コア要素との端部を示す図である。
【図12】第3の実施の形態のステータを含む回転電機を備える回転電機冷却システムを示す略断面図である。
【図13】本発明に係る第4の実施の形態の回転電機用コイルと、コイルを巻装した分割コア要素との端部を示す図である。
【図14】エッジワイズ型のコイルを使用するステータの従来から考えられる構造の1例を示す略斜視図である。
【図15】図14に示すステータを構成する1個の分割コア要素と、分割コア要素に巻装したエッジワイズ型のコイルとを取り出して示す透視斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1の発明の実施の形態]
以下において、図1から図7を用いて本発明に係る第1の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態の回転電機用コイルを示す略斜視図である。図2は、本実施の形態の回転電機用コイルと、コイルを巻装した分割コア要素との部分拡大斜視図である。図3は、図2のA矢視図である。図4は、図2を上方から下方に見た図である。図5は、図4の下方から上方に見た図である。図6は、図5のB部拡大図である。図7は、本実施の形態のステータを組み込んだ回転電機の略図である。
【0029】
図1に略示するように本実施の形態の回転電機用のコイル30は、ステータを構成するために使用するもので、平板導体の帯を長さ方向複数個所で幅方向に曲げ形成したエッジワイズ型のコイルである。また、コイル30は、上記の図14から図15に示した従来から考えられている構造と同様に、回転電機のステータコア26を構成するティース部18の周囲に巻装して使用する。なお、本実施の形態の回転電機用コイルの特徴は、コイルエンドを構成する部分の構成を工夫した点にあり、コイルを組み付けるステータコア及び外周リングの構成自体は、上記の図14から図15に示した従来から考えられている構成の場合と同様である。このため、以下の説明では、図14から図15に示した構成と同等部分には同一の符号を付して重複する説明を省略もしくは簡略化し、以下、本実施の形態の特徴部分を中心に説明する。
【0030】
図1に略示するように、コイル30は、平板導体の帯を長さ方向複数個所で幅方向に曲げ形成するとともに、それぞれが1巻きである複数のコイル要素32を順番に配列した状態で連結している。具体的には、各コイル要素32は、互いに略平行な一対の直線部34と、一対の直線部34の所定方向(図1の矢印β方向)両端部同士を連結した一対の折り曲げ部36とを備える。各折り曲げ部36は、一対の直線部34の長さ方向一端を外径側となる片側(図1の裏側)に略直角に折り曲げた径方向折り曲げ要素38と、各径方向折り曲げ要素38の一端部から互いに近づく方向に略直角かつ幅方向に曲げ形成し、互いの径方向折り曲げ要素38の一端部同士を連結する周方向折り曲げ要素40とにより構成している。
【0031】
また、最も径方向内側となる他側(図1の表側)に配置される1個のコイル要素32から、最も径方向外側となる片側(図1の裏側)に配置されるコイル要素32に向かうにしたがって、コイル要素32を構成する一対の直線部34の長さを徐々に小さくしている。このため、径方向(図1の表裏方向)に隣り合う2個のコイル要素32のそれぞれを構成する折り曲げ部36であって、ステータコアを構成するティース部18(図15参照)に巻装した場合に、ステータの軸方向となる上下方向(図1の矢印β方向)両側のそれぞれに配置される折り曲げ部36同士の間に、上下方向の隙間42が形成される。
【0032】
また、最も径方向内側となる他側(図1の表側)に配置される1個のコイル要素32の下側の折り曲げ部36の一端(図1の右端)から直線部34と平行な短直線部44を曲げ形成するように連結し、短直線部44の一端部(図1の上端部)の幅方向片側(図1の右側)から、図示しないインバータ等の外部回路に接続するための導出部46を径方向外側に導出させている。さらに、最も径方向外側となる片側(図1の裏側)に配置されるコイル要素32の上側の折り曲げ部36の端部から直線部34と平行な別の短直線部(図示せず)を曲げ形成するように連結し、別の短直線部の幅方向他側から、外部回路に接続するための導出部48を径方向外側に導出させている。
【0033】
図2から図6を用いてより具体的に説明すると、コイル30は、複数のコイル要素32を連結して構成し、各コイル要素32は、平行な一対の直線部34と、一対の直線部34の端部同士を連結する折り曲げ部36とを備え、各コイル要素32同士を連結している。この場合、ステータの周方向(図2の左右方向)に関して互いに同じ側に配置される直線部34は、各コイル要素32同士で互いに積層している。
【0034】
また、各コイル要素32は、分割コア要素14を構成するティース部18(図3、図5)にコイル30を巻装した場合にコイルエンドを構成する部分となる、ティース部18の所定方向(図2、図4、図5の左右方向、図3の表裏方向)両端面から突出する両端部に設けられ、ステータコアの径方向となる方向(図2、図3、図5の上下方向、図4の表裏方向)に折り曲げられた2個ずつの折り曲げ部36を備える。各折り曲げ部36は、上記の図1を用いて説明したように、径方向折り曲げ要素38と周方向折り曲げ要素40とを含む。また、図6に拡大して示すように、ステータの軸方向となる各所定方向の端部に設けられた複数の折り曲げ部36同士の間に、所定方向(図6の左右方向)の隙間42を設けている。
【0035】
また、図4に示すように、最も径方向内側となる他側(図4の裏側)に位置する1個のコイル要素32に連結した短直線部44(図1参照)の幅方向片側(図4の上側)から径方向外側(図4の表側)に導出部46を導出させている。また、最も径方向外側となる片側(図4の表側)に位置する1個のコイル要素32に連結した別の短直線部50の幅方向他側(図4の下側)から径方向外側(図4の上側)に導出部48を導出させている。また、図5、図6に示すように、各コイル要素32を構成する折り曲げ部36の径方向(図5、図6の上下方向)の長さはほぼ同じ大きさとする一方、折り曲げ部36の周方向(図3の左右方向、図4の上下方向)長さは、径方向内側のコイル要素32の折り曲げ部36から径方向外側のコイル要素32の折り曲げ部36に向けて徐々に大きくしている。
【0036】
このようなエッジワイズ型のコイル30は、図2から図5に示すように、分割コア要素14を構成するティース部18(図3、図5)に1個ずつ巻装して使用する。分割コア要素14は、複数を環状に連結するように配置した状態で外周リング12(図14参照)の内側に嵌合固定することによりステータを構成する。この状態で、複数の分割コア要素14によりステータコア26(図14参照)が構成される。ステータコア26は、内周面の周方向複数個所にティース部18が径方向に突出した状態で配置される。複数のティース部18に巻装された複数のコイル要素32の、ステータコア26の軸方向端面から軸方向外側に突出した部分により、ステータコア26の軸方向両側に配置される一対のコイルエンドが構成される。すなわち、複数のコイル30の、ステータコア26の軸方向両端面から突出した、折り曲げ部36を含む部分によりコイルエンドが構成される。
【0037】
また、各コイル30の内側の断面略矩形状の孔部とティース部18の側面との間に、図示しない絶縁部材(インシュレータ)を挟持させている。また、各折り曲げ部36は、各1巻きのコイル要素32のそれぞれで、ステータコア26の軸方向両端面から軸方向に突出した直線部34の端部を、径方向外側に折り曲げている。
【0038】
また、図7に示すように、複数のコイル30(図1から図6)の、ステータコア26の軸方向両端面から突出した、折り曲げ部36(図1から図6)を含む部分によりそれぞれ構成される一対のコイルエンドは、それぞれ環状に樹脂モールドされ、樹脂により各コイルエンドを覆うことにより、一対の樹脂モールドコイルエンド52を構成している。このような樹脂モールドコイルエンド52を含むコイル30とステータコア26とにより、ステータ54が構成される。ステータ54と、ステータ54の内径側に配置した回転軸56と、回転軸56の中間部外径側にステータ54と対向するように設けたロータ58とにより、回転電機60が構成される。ロータ58の周方向複数個所にはステータ54と対向するように図示しない永久磁石を配置して永久磁石付電動機を構成したり、ロータ58の周方向複数個所にステータ54と対向するように複数のコイル部(図示せず)を配置して誘導電動機や同期電動機等を構成する。
【0039】
また、回転電機60と、回転電機60に冷却油等の冷媒を供給するための冷媒供給部62とにより回転電機冷却システムを構成している。冷媒供給部62は、例えば、一対の樹脂モールドコイルエンド52の上方からステータ54及び回転軸56を支持する図示しないケースに設けた孔部等を通じて、各樹脂モールドコイルエンド52に冷媒を滴下して、各樹脂モールドコイルエンド52を冷却する。なお、冷却油としては、例えば、オートマチックトランスミッションフルード(ATF)等の、変速装置の潤滑に使用するオイルを使用する。
【0040】
このような回転電機60を構成するコイル30及びステータ54によれば、複数のコイル要素32のそれぞれに折り曲げ部36を設けるとともに、各折り曲げ部36同士の間にステータ54の軸方向となる所定方向の隙間42を設けているので、コイルエンドの樹脂と接触する部分の放熱面積となる、全体の表面積を大きくでき、各折り曲げ部36で各コイル要素32の放熱性を向上させることができる。すなわち、各折り曲げ部36を互いにステータ54の軸方向となる所定方向に接触させて積層する場合に比べて、折り曲げ部36の数の約倍数分、複数の折り曲げ部36部分で表面積を大きくできる。例えば、コイルエンドを本実施の形態のように樹脂モールドする場合に、各コイル要素32と樹脂との間で伝熱しやすくでき、コイルエンドの放熱性の向上を図れる。しかも、折り曲げ部36は、ステータ54の径方向となる方向に折り曲げられているので、ステータ54の軸方向となる方向の寸法が過度に大きくなることを防止できる。この結果、ステータ54の軸方向となる方向の寸法を過度に大きくすることなく、コイル30を含むステータ54を組み込んだ回転電機60の冷却性の向上を図れる。
【0041】
なお、本実施の形態では、コイルエンドを樹脂モールドしているが、コイルエンドは、樹脂モールドせず、ワニス含浸等により固めるようにすることもできる。この場合でも各折り曲げ部36同士の間にステータ54の軸方向となる所定方向の隙間42が設けられるので、コイルエンドの空気と接触する部分の放熱面積となる、全体の表面積を大きくでき、各折り曲げ部36で各コイル要素32の放熱性を高くでき、コイルエンドの放熱性の向上を図れる。また、この場合には、各折り曲げ部36により、冷却フィンとしての機能を発揮させることができる。
【0042】
また、本実施の形態のステータ54を含む回転電機60は、冷媒供給部62と組み合わせて、冷媒供給部62から供給される冷媒によりコイルエンドを冷却しているが、本実施の形態はこのような構成に限定するものではなく、冷媒供給部62を設けず、ファン等により回転電機60の内部に送風させ、空冷によりコイルエンドを冷却することもできる。
【0043】
また、本実施の形態のステータ54は、内周面の周方向複数個所に径方向に突出するように設けられたティース部18を含むステータコア26を備えるとともに、各折り曲げ部36は、各コイル30を構成する各1巻きのコイル要素32のそれぞれで、ステータコア26の軸方向端面から軸方向に突出した部分を、径方向外側に折り曲げている。このため、各折り曲げ部36を、ステータコア26の軸方向端面から軸方向に突出した部分を、径方向内側に折り曲げる場合に比べて、ロータ58側に向けコイル30の端部が過度に突き出すことを防止しつつ、互いの間に隙間を設けた複数の折り曲げ部36を設けることにより、冷却性の向上を図れる。このため、ステータ54の径方向の寸法が過度に大きくなることを防止して、ステータ54を含む回転電機60が過度に大型化することを防止できる。また、本実施の形態では、複数の折り曲げ部36を外径側に折り曲げるように設けているが、折り曲げ部36はステータコア26のティース部18を結合した外径側の環状部分の軸方向両側のデッドスペースに配置できるため、回転電機60の内部空間の有効利用を図れる。
【0044】
また、コイル30の両端部に設けた導出部46,48は、図示の例のような位置から径方向となる方向に導出させる場合に限定するものではなく、例えば種々の任意の位置から径方向に導出させることもできる。
【0045】
[本発明に係る第2の実施の形態]
図8は、本発明に係る第2の実施の形態の回転電機用コイルと、コイルを巻装した分割コア要素との部分拡大斜視図である。図9は、図8のB矢視図である。図10は、図9を右方から左方に見た図である。
【0046】
本実施の形態の場合には、上記の第1の実施の形態のエッジワイズ型のコイル30において、複数の折り曲げ部36のうち、内径側の1巻きのコイル要素32に設けられた折り曲げ部36の径方向長さを、外径側の1巻きのコイル要素32に設けられた折り曲げ部36の径方向長さよりも大きくしている。より具体的には、最も外径側に配置される1個のコイル要素32から最も内径側に配置されるコイル要素32に向かうにしたがって、各コイル要素32の折り曲げ部36の径方向(図8から図10の上下方向)の長さを徐々に大きくしている。そして、図9、10に示すように、複数の折り曲げ部36のすべての外周側縁部が径方向に関してほぼ同位置に配置されるようにしている。なお、図8から図10では、導出部46,48(図1から図5参照)の図示を省略する。
【0047】
このような本実施の形態によれば、ステータコア26(図7参照)の軸方向両側の空間を、上記の第1の実施の形態の場合よりも、さらに効率的に利用でき、特に内径側(図8から図10の下側)に配置されるコイル要素32の折り曲げ部36で放熱性をさらに向上させることができる。このため、ロータ58(図7参照)側で発生する磁場により特に内径側のコイル要素32に漏洩磁束が生じて渦電流の発生により内径側のコイル要素32が外径側のコイル要素32に比べて温度上昇しやすくなる場合でも、内径側に配置されるコイル要素32で、外径側に配置されるコイル要素32よりも放熱性を高めることにより、コイル30の均熱化を図りやすくなる。このため、ステータ54(図7参照)を含む回転電機60(図7参照)の性能向上を図りやすくなる。
【0048】
また、本実施の形態では、複数の折り曲げ部36のすべての外周側縁部が径方向に関してほぼ同位置に配置されるように構成するため、コイルエンドの外径側の空間をほぼ最大限に活用できる。その他の構成及び作用については、上記の第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
[本発明に係る第3の実施の形態]
図11は、本発明に係る第3の実施の形態の回転電機用コイルと、コイルを巻装した分割コア要素との端部を示す図である。図12は、本実施の形態のステータを含む回転電機を備える回転電機冷却システムを示す略断面図である。
【0050】
本実施の形態では、図11に示すように、上記の図1から図7に示した第1の実施の形態のエッジワイズ型のコイル30において、ステータの軸方向となる各所定方向(図11の左右方向)の端部に設けられた複数の折り曲げ部36同士の間の、所定方向の隙間42のうち、少なくとも一部の隙間42の大きさを、残部の隙間42の大きさと異ならせている。より具体的には、最も外径側(図11の上側)に配置される1個のコイル要素32から最も内径側(図11の下側)に配置される1個のコイル要素32に向かうにしたがって、各コイル要素32とそれぞれに隣り合うコイル要素32との折り曲げ部36同士の間の隙間42の所定方向長さL1,L2・・・Lnを徐々に小さくしている。また、本実施の形態では、コイル30は樹脂モールドせず、ワニス含浸により固めている。このようなコイル30は、ステータコア26(図12)を構成するティース部18に巻装することによりステータ54(図12)を構成する。ステータ54は、後述するコイルエンドカバー64(図12)も備える。
【0051】
図12に示すように、ステータ54を含む回転電機60は、ケース66の内側に直接または図示しない外周リングを介して嵌合固定したステータ54と、ケース66に回転可能に支持した回転軸56と、回転軸56の中間部外径側に、ステータ54に径方向に対向させるように固定したロータ58とを備える。また、ステータコア26の軸方向両端面の、各コイル30の両端部により構成する一対のコイルエンド68の径方向内側部分と、ケース66の軸方向内側面との間に円筒状の内周壁70を結合固定し、ステータコア26の軸方向両端面の、各コイルエンド68の径方向外側部分と、ケース66の軸方向内側面との間に円筒状の外周壁72を結合固定している。また、各外周壁72の上部に冷媒入口74を、各外周壁72の下部に冷媒出口76を設けている。そして、各外周壁72と、各内周壁70とにより、コイルエンド68の内周側と外周側とを覆う一対のコイルエンドカバー64を構成している。
【0052】
また、回転電機60は、冷媒である冷却油を流すオイル循環路78と、オイル循環路78に設けた、回転電機60の上部とほぼ同位置に設けられた冷媒供給部であるオイルタンク80と、回転電機60から排出された冷却油をオイルタンク80に戻すためのオイルポンプ82と組み合わせることにより、回転電機冷却システム84を構成する。なお、回転電機冷却システム84にオイルポンプ82を設けず、ギヤ等の回転部分による冷却油の掻き上げによりオイル循環路78に冷却油を循環させることもできる。また、回転電機60から排出された冷却油は、図示しないオイルパンに貯留してオイルパンで冷却することもできる。また、オイル循環路78の途中に、外気と冷却油とを熱交換させる熱交換部、または車両に搭載したエンジンを冷却するための冷却水等と熱交換するためのウォータージャケット等の冷却部を設けて、オイル循環路78内の冷却油を冷却することもできる。
【0053】
回転電機冷却システム84の運転時には、オイルタンク80から排出され、ケース66の上部に設けた冷媒供給口86からケース66内側に供給された冷却油は、軸方向片側(図12の右側)の冷媒入口74から軸方向片側のコイルエンド68の周囲に送られる。これとともに、冷媒供給口86からケース66内側に供給された冷却油は、ステータコア26の外周面とケース66の内周面との間の周方向一部または複数個所に軸方向に貫通するように設けた連通路88と、軸方向他側(図12の左側)の冷媒入口74とを通じて軸方向他側のコイルエンド68の周囲に送られる。そして、各コイルエンド68の周囲を流れた冷却油は、各冷媒出口76と、ケース66の下部に設けた冷媒排出口90とを通じてオイル循環路78に戻され、オイルポンプ82を介してオイルタンク80に戻される。このようにケース66内を流れる冷却油により、冷却油が各コイルエンド68の表面を流れて各コイルエンド68は冷却油により冷却される。
【0054】
このような回転電機60を構成するステータ54によれば、軸方向端部に設けられた複数の折り曲げ部36同士の間の、軸方向の隙間42(図11)のうち、少なくとも一部の隙間42の大きさを、残部の隙間42の大きさと異ならせている。このため、2個の折り曲げ部36同士の間の軸方向の隙間42が異なる部分同士で、隙間42を流れる冷却油の流速を異ならせて、冷却油と折り曲げ部36との間での伝熱性を異ならせることができる。このため、各部の冷却性を任意に調節しやすくできる。特に、本実施の形態では、最も外径側に配置されるコイル要素32から最も内径側に配置されるコイル要素32に向かうにしたがって、各コイル要素32とそれぞれに隣り合うコイル要素32との折り曲げ部36同士の間の隙間42の軸方向の大きさを徐々に小さくしているため、2個の折り曲げ部36同士の間の隙間42を流れる冷却油の流速を、外径側に配置されるコイル要素32の折り曲げ部36部分で低くし、内径側に配置されるコイル要素32の折り曲げ部36部分で高くすることができる。このため、外径側のコイル要素32に比べて、内径側のコイル要素32をより冷却することができる。したがって、ロータ58側で発生する磁場により特に内径側のコイル要素32に漏洩磁束が生じて渦電流の発生により内径側で外径側よりもコイル要素32が温度上昇しやすくなる場合でも、内径側に配置されるコイル要素32で、外径側に配置されるコイル要素32よりも放熱性を高めることにより、コイル30の均熱化を図りやすくなる。この結果、ステータ54を含む回転電機60の性能向上を図りやすくなる。その他の構成及び作用については、上記の図1から図7に示した第1の実施の形態と同様であるため、同等部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0055】
なお、本実施の形態は、上記の図8から図10に示した第2の実施の形態の構成と組み合わせることもできる。すなわち、本実施の形態において、最も外径側に配置されるコイル要素32から最も内径側に配置されるコイル要素32に向かうにしたがって、各コイル要素32の折り曲げ部36の径方向の長さを徐々に大きくすることもできる。例えば、複数の折り曲げ部36のすべての外周側縁部が径方向に関してほぼ同位置に配置されるようにすることもできる。このような構成によれば、内径側に配置されるコイル要素32で、外径側に配置されるコイル要素32よりも、放熱性をさらに高めることができる。
【0056】
[本発明に係る第4の実施の形態]
図13は、本発明に係る第4の実施の形態の回転電機用コイルと、コイルを巻装した分割コア要素14との端部を示す図である。本実施の形態の場合には、上記の図11から図12に示した第3の実施の形態において、最も外径側(図13の上側)に配置されるコイル要素32から最も内径側(図13の下側)に配置されるコイル要素32に向かうにしたがって、各コイル要素32とそれぞれに隣り合うコイル要素32との折り曲げ部36同士の間の隙間42の軸方向の大きさL1´,L2´・・・Ln´を徐々に大きくしている。このような構成の場合、上記の第3の実施の形態の場合と異なり、2個の折り曲げ部36同士の間の隙間42を流れる冷却油の流速が、外径側に配置されるコイル要素32の折り曲げ部36部分で高くなり、内径側に配置されるコイル要素32の折り曲げ部36部分で低くなる。このため、本実施の形態では、外径側のコイル要素32が、内径側のコイル要素32に比べて何らかの要因により温度上昇しやすくなる場合でも、コイル30の均熱化を図りやすくなり、ステータ54(図12参照)を含む回転電機60(図12参照)の性能向上を図りやすくなる。その他の構成及び作用については、上記の図11から図12に示した第3の実施の形態と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0057】
なお、コイル30において、ステータ54の軸方向となる所定方向端部に設けられた複数の折り曲げ部36同士の間の、軸方向の隙間42のうち、少なくとも一部の隙間42の軸方向の大きさを、残部の隙間42の軸方向の大きさと異ならせる構成は、上記の図11から図13に示した第3の実施の形態及び第4の実施の形態の場合に限定するものではなく、コイル要素32の各部の冷却性を異ならせる必要性に応じて種々の構成を採用できる。
【符号の説明】
【0058】
10 ステータ、12 外周リング、14 分割コア要素、16 基部、18 ティース部、20 コイル、22 バスバー、24 端子、26 ステータコア、28 コイル要素、30 コイル、32 コイル要素、34 直線部、36 折り曲げ部、38 径方向折り曲げ要素、40 周方向折り曲げ要素、42 隙間、44 短直線部、46,48 導出部、50 短直線部、52 樹脂モールドコイルエンド、54 ステータ、56 回転軸、58 ロータ、60 回転電機、62 冷媒供給部、64 コイルエンドカバー、66 ケース、68 コイルエンド、70 内周壁、72 外周壁、74 冷媒入口、76 冷媒出口、78 オイル循環路、80 オイルタンク、82 オイルポンプ、84 回転電機冷却システム、86 冷媒供給口、88 連通路、90 冷媒排出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板導体の帯を長さ方向複数個所で幅方向に曲げ形成するとともに、それぞれが1巻きである複数のコイル要素を順番に配列した状態で連結し、ステータコアを構成するティース部に巻装して使用するエッジワイズ型の回転電機用コイルであって、
複数のコイル要素は、ティース部にコイルを巻装した場合にコイルエンドを構成する部分となる、所定方向両端部に設けられ、ステータコアの径方向となる方向に折り曲げられた複数の折り曲げ部を備え、
各所定方向端部に設けられた複数の折り曲げ部同士の間に、所定方向の隙間が設けられたことを特徴とする回転電機用コイル。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機用コイルにおいて、
各所定方向端部に設けられた複数の折り曲げ部同士の間の、所定方向の隙間のうち、少なくとも一部の隙間の大きさを、残部の隙間の大きさと異ならせることを特徴とする回転電機用コイル。
【請求項3】
内周面に径方向に突出するように設けられた複数のティース部を含むステータコアと、
各ティース部に巻装された請求項1または請求項2に記載の回転電機用コイルと、を備えるステータ。
【請求項4】
請求項3に記載のステータにおいて、
各回転電機用コイルの各コイル要素に設けられた各折り曲げ部は、ステータコアの軸方向端面から軸方向に突出した部分を、径方向外側に折り曲げていることを特徴とするステータ。
【請求項5】
請求項4に記載のステータにおいて、
複数の折り曲げ部のうち、内径側に配置されるコイル要素に設けられた折り曲げ部の径方向長さを、外径側に配置されるコイル要素に設けられた折り曲げ部の径方向長さよりも大きくしていることを特徴とするステータ。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1に記載のステータにおいて、
複数の回転電機用コイルの、ステータコアの軸方向両端面から突出した、折り曲げ部を含む部分によりコイルエンドを構成し、
コイルエンドは、樹脂モールドされていることを特徴とするステータ。
【請求項7】
請求項3から請求項6のいずれか1に記載のステータにおいて、
コイルエンドを覆うコイルエンドカバーを備え、
使用時にコイルエンドカバーの内部に冷媒を流す事を特徴とするステータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−226903(P2010−226903A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73192(P2009−73192)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】