固体撮像素子及びその製造方法、並びに撮像機器
【課題】安定した黒レベルを実現可能な固体撮像素子及びそれを備えた撮像機器を提供する。
【解決手段】入射光を受光する受光領域と、遮光膜18により入射光が遮光されたオプティカルブラック領域2bとを有し、受光領域とオプティカルブラック領域2bとでフォトセンサ30を同一構成としており、オプティカルブラック領域2bにおいて、読出し電極39aとフォトセンサ30との間の距離dを、読出し電極39aに読出し電圧を印加したときに、フォトセンサ30から電荷が読出されない距離とした。
【解決手段】入射光を受光する受光領域と、遮光膜18により入射光が遮光されたオプティカルブラック領域2bとを有し、受光領域とオプティカルブラック領域2bとでフォトセンサ30を同一構成としており、オプティカルブラック領域2bにおいて、読出し電極39aとフォトセンサ30との間の距離dを、読出し電極39aに読出し電圧を印加したときに、フォトセンサ30から電荷が読出されない距離とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及びその製造方法、並びに撮像機器に関するものであり、特にOPB(オプティカルブラック)領域を備えたCCD(Charge-Coupled Device)型の固体撮像素子及びその製造方法、並びに撮像機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からデジタルビデオカメラやデジタルカメラなどの撮像機器用の撮像素子として、CCDやCMOS等の固体撮像素子が広く用いられている。これらの固体撮像素子は基本構造が半導体であることから、半導体内部で生じる熱的な電荷の励起に起因して暗電流ノイズが不可避的に発生する。そこで、暗電流ノイズによる影響を除去するため、遮光したオプティカルブラック(Optical Black)領域を受光領域に隣接して設け、この領域の垂直転送レジスタから転送される信号を黒レベルの基準とする構成が用いられる(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
受光領域とオプティカルブラック領域とは、入射光を効率的にフォトセンサに導くための導光構造と、入射光がフォトセンサに到達しないように遮光する遮光構造とが相違し、フォトセンサ及び垂直転送レジスタは同じ半導体構造で構成されていた。例えば、HADセンサ(Hole Accumulation Diode Sensor)と称されるCCD型の固体撮像素子は、N型シリコン基板に、受光領域、オプティカルプティカルブラック領域ともにP+NPN接合のフォトセンサが形成されていた。垂直転送レジスタについても同様であり、例えば、フォトセンサの電荷を読出す読出し電極と、電荷を転送する転送電極とが交互に並ぶCCD構造の垂直転送レジスタが同じ構造で構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−305675号公報
【特許文献2】特開2009−164247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の固体撮像素子では、オプティカルブラック領域のフォトセンサに、遮光膜とシリコン基板との隙間に入り込んで多重反射した漏れ光が侵入して光電変換され、黒レベルが変動することがあった。特に、長時間露光モード時などのように大光量撮影時にこの問題が顕著になってくる。
【0006】
そこで、オプティカルブラック領域のフォトセンサについては電荷蓄積作用をもつN型拡散層を形成せず、P型拡散層のみとする構成とすることで、この問題を解決することができるとも考えられる。ところがこの構成について鋭意研究を進めてゆくと、以下のような課題が生じた。
【0007】
オプティカルブラック領域のフォトセンサはN型拡散層を持たないため、N型拡散層を有する受光領域のフォトセンサのように電荷を蓄積することができない。そのため、図6に示すように、読出し電極に読出し用の高い電圧が印加されブレークダウンが発生したときに、P型拡散層から電子がチャネルストップを越えて溢れ出て隣接する垂直転送レジスタに流れ込み、黒レベルを変動させる。そのため、受光領域の信号レベルが沈んでしまい、図7に示すように、画像上部で白浮きが発生するという現象が見いだされた。すなわち、オプティカルブラック領域は受光領域よりもブレークダウンに対する耐性が低く、黒レベルが変動するおそれがあるという課題である。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、安定した黒レベルを実現可能な固体撮像素子及びそれを備えた撮像機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、二次元配列された複数のフォトセンサと、前記フォトセンサから電荷を読出す読出し電極と、読出した電荷を転送する転送電極と、前記フォトセンサの垂直列毎に設けられた垂直転送レジスタと、を有する画素部と、前記垂直転送レジスタから転送された電荷を水平転送する水平転送レジスタと、を備え、前記画素部は、入射光を受光する受光領域と、遮光膜により前記入射光が遮光されたオプティカルブラック領域とを有し、前記受光領域と前記オプティカルブラック領域とで前記フォトセンサを同一構成としており、前記オプティカルブラック領域において、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした固体撮像素子とした。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の固体撮像素子において、前記オプティカルブラック領域の読出し電極の幅を、前記受光領域の読出し電極の幅よりも狭くすることによって、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、固体撮像素子を有し、前記固体撮像素子は、二次元配列された複数のフォトセンサと、前記フォトセンサから電荷を読出す読出し電極と、読出した電荷を転送する転送電極と、前記フォトセンサの垂直列毎に設けられた垂直転送レジスタと、を有する画素部と、前記垂直転送レジスタから転送された電荷を水平転送する水平転送レジスタと、を備え、前記画素部は、入射光を受光する受光領域と、遮光膜により前記入射光が遮光されたオプティカルブラック領域とを有し、前記受光領域と前記オプティカルブラック領域とで前記フォトセンサを同一構成としており、前記オプティカルブラック領域において、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした撮像機器とした。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、半導体基板に第1導電型のウェル領域を形成する工程と、前記ウェル領域の垂直転送レジスタ形成領域に、転送チャンネルを形成する工程と、前記ウェル領域のフォトセンサ形成領域に、第2導電型の半導体領域を形成する工程と、前記転送チャネルと前記第2導電型の半導体領域との間の前記ウェル領域に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程と、前記転送チャンネル上に、前記フォトセンサ形成領域に形成されるフォトセンサから電荷を読出す読出し電極を絶縁膜を介して形成する工程と、前記読出し電極間の、前記第2導電型の半導体領域上及び前記第1半導体領域の上部に、前記第1半導体領域よりも不純物濃度の高い第1導電型の第2半導体領域を形成する工程と、前記読出し電極及び前記転送電極を含む前記半導体基板上に絶縁膜を介して遮光膜を形成する工程と、を有し、前記フォトセンサは、前記第2導電型の半導体領域と前記第2半導体領域とを有して構成され、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした固体撮像素子の製造方法とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、オプティカルブラック領域のブレークダウンや大光量撮影時による黒レベルの変動を抑制して白浮きの問題を防止することができ、これにより安定した黒レベルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るCCD型の固体撮像素子を有する撮像機器の概要構成図である。
【図2】読出し電極、転送電極及びフォトセンサの配置を示す図である。
【図3】図1中に付記するII−II矢視の断面図である。
【図4】図1中に付記するIII−III矢視の断面図である。
【図5A】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5B】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5C】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5D】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5E】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5F】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5G】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5H】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図6】従来の問題点を説明するための図である。
【図7】従来の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」とする)について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子を備えた撮像機器の構成
2.固体撮像素子における受光領域及びオプティカルブラック領域の構成
3.固体撮像素子の製造方法
【0016】
[1.固体撮像素子を備えた撮像機器の構成]
まず、本実施形態に係る発明を固体撮像素子を備えた撮像機器の構成を説明する。図1は、本実施形態における撮像機器Aの概要構成図である。本実施形態の撮像機器Aは、いわゆるデジタルカメラと称されるデジタルスチルカメラである。なお、撮像機器Aは、デジタルスチルカメラに限定されるものではなく、デジタルビデオカメラや、あるいは携帯電話などに内蔵されるカメラユニットであってもよい。
【0017】
図1には、撮像機器Aにおける撮像のためのCCD型の固体撮像素子1と、この固体撮像素子1を所定タイミングで駆動させるための駆動用信号を生成するタイミングジェネレータ6とを示している。この他に、撮像機器Aには、バッテリなどの電源部、撮像して生成した画像データ信号を記憶する記憶部、撮像機器A全体を制御する制御部などがある。これらを構成する回路は、本図では別回路(固体撮像素子1以外のチップ)としているが、同一チップに設けたり、あるいはいくつかのチップに分割して設けたりすることもある。
【0018】
固体撮像素子1は、インターライン・トランスファ方式(Interline Transfer:IT方式)の撮像素子であり、半導体基板であるN型シリコン基板10をベースとし、画素部2、水平転送出力部4、処理回路5などから構成される。画素部2は、受光領域2aと、オプティカルブラック領域2bとにより構成される。受光領域2aは、入射光を受光する受光領域であり、一般的には被写体からの光を受光する撮像領域と呼ばれる。オプティカルブラック領域2bは、遮光膜により入射光が遮断された領域である。水平転送出力部4は、これらの領域2a,2bから転送されて来る電荷を水平転送し電圧信号に変換して出力する。水平転送出力部4から出力された信号は処理回路5により処理される。オプティカルブラック領域2bと水平転送出力部4には、斜線で示すように遮光膜18が形成される。
【0019】
受光領域2aは、二次元配列された複数の第1フォトセンサ20と、第1フォトセンサ20の側方(図1の構成例では左側)に第1フォトセンサ20の垂直列毎に設けられたCCD構造の第1垂直転送レジスタ25とを備えて構成される。すなわち、固体撮像素子1は、N型シリコン基板10の受光領域2aに、第1フォトセンサ20をマトリクス状に二次元配列した画素構造を基本として構成される。この第1フォトセンサ20はフォトダイオードにより構成される。なお、図1においては、図面の複雑化を避けるため斜線を省略しているが、第1垂直転送レジスタ25は水平転送出力部4等と同様に遮光膜18で覆われており、垂直転送クロックVφ1〜Vφ8によって駆動される。
【0020】
図2に示すように、第1垂直転送レジスタ25には、読出し電極29aと転送電極29bが交互に連続して配設されており、それぞれ4つの読出し電極29aと転送電極29bとを一組として、8相の垂直転送クロックVφ1〜Vφ8が印加される。なお、図2におけるV1〜V8は、電極29a,29bに印加される垂直転送クロックVφ1〜Vφ8の種類を意味する。例えば、V1の読出し電極29aは、垂直転送クロックVφ1が印加され、V5の読出し電極29aは、垂直転送クロックVφ5が印加され、V8の転送電極29bは、垂直転送クロックVφ8が印加される。第1フォトセンサ20からの信号電荷の読出しは、V1,V3,V5,V7の読出し電極29aに高電圧を印加することで行う。読み出した信号電荷の転送は、V1〜V8の電極29a、29bに垂直転送クロックVφ1〜Vφ8を印加することで、信号電荷を水平転送出力部4へ転送する。
【0021】
オプティカルブラック領域2bは、受光領域2aに隣接して二次元配列された複数の第2フォトセンサ30と、第2フォトセンサ30の側方に第2フォトセンサ30の垂直列毎に設けられたCCD構造の第2垂直転送レジスタ35とを備えて構成される。オプティカルブラック領域2bは、第2フォトセンサ30及び第2垂直転送レジスタ35の全体が遮光膜18により覆われており、入射光が第2フォトセンサ30に入射しないようになっている。第2垂直転送レジスタ35は、読出し電極39aと転送電極39bが交互に連続して配設されており、第1垂直転送レジスタ25と同様に、垂直転送クロックVφ1〜Vφ8によって、読出し電圧や転送電圧が印加されて駆動される。また、第2フォトセンサ30は、フォトダイオードにより構成されており、第1フォトセンサ20と同一構成である。
【0022】
水平転送出力部4は、受光領域2aの第1垂直転送レジスタ25,25…及びオプティカルブラック領域2bの第2垂直転送レジスタ35,35…が接続されたCCD構造の水平転送レジスタ45を備えている。この水平転送レジスタ45は、公知の2相駆動方式によって各第1垂直転送レジスタ35から転送される信号電荷を水平転送するように構成されており、互いに位相が異なる水平転送クロックHφ1,Hφ2により駆動される。この水平転送クロックHφ1,Hφ2は、タイミングジェネレータ6から出力される。また、水平転送出力部4には、水平転送レジスタ45の出口に設けられたFDアンプ(フローティング・ディフュージョンアンプ)48が備えられている。そして、第1垂直転送レジスタ25から水平転送レジスタ45に転送された信号電荷、及び第2垂直転送レジスタ35から水平転送レジスタ45に転送された暗電荷(暗電流の電荷)が、水平走査1ライン分ずつFDアンプ48に入力される。
【0023】
FDアンプ48は、水平転送レジスタ45から入力された信号電荷を電荷量に応じた電圧の信号(便宜的に画素信号という)に変換する。また、水平転送レジスタ45から入力された暗電荷を電荷量に応じた電圧の信号(同様、便宜的に「黒信号」という)に変換する。そして、各垂直列の画素信号及び黒信号を水平走査1ライン分ずつ処理回路5に出力する。
【0024】
処理回路5は、水平転送出力部4から出力された画素信号及び黒信号に基づいて、黒レベルの補償処理やFDリセットノイズの減算処理などを行い、受光領域2aに入射した入射光の像(被写体の像)を生成する。
【0025】
このような構成の固体撮像素子1においては、読出し方式に応じた時間(例えば1/60秒)内に、各第1フォトセンサ20において光電変換された受光量に応じた信号電荷が、後述する読出しゲート24を介して接続された第1垂直転送レジスタ25に読出される。読出された信号電荷と、半導体構造の熱的励起により第1垂直転送レジスタ25内に生じた暗電荷とは第1垂直転送レジスタ25内で混じり合い、第1垂直転送レジスタ25から水平転送レジスタ45に転送される。また、半導体構造の熱的励起により第2垂直転送レジスタ35内に生じた暗電荷は、第2垂直転送レジスタ35から水平転送レジスタ45に転送される。
【0026】
そして、第2垂直転送レジスタ35から転送された暗電荷を電圧変換した黒信号を基準として黒レベルが設定される。そして、処理回路5において、第1垂直転送レジスタ25から転送され、暗電荷が付加された信号電荷を電圧信号に変換した画素信号から、上記黒信号を差し引くことにより、熱的励起状態の変動に起因した画像の明度の浮動が除去されるようになっている。
【0027】
[2.受光領域2a及びオプティカルブラック領域2bの構成]
上述のように概要構成される固体撮像素子1にあって、図1及び図2中に付記するII−II矢視の断面図(受光領域2aの画素の断面図)を図3に、III−III矢視の断面図(オプティカルブラック領域2bの画素の断面図)を図4に示す。
【0028】
受光領域2aの各画素は、図3に示すように、入射光を受光する第1フォトセンサ20、読出しゲート24、第1垂直転送レジスタ25、チャネルストップ28などからなる。
【0029】
第1フォトセンサ20は、N型シリコン基板10のPウェル領域11上に形成されたN型半導体領域21と、このN型半導体領域21上に形成されたP型半導体領域22とを基本的な構成要素とする。そして、これらのP+NPN接合によりHADセンサ(Hole Accumulation Diode Sensor)を構成する。N型半導体領域21はN型の不純物拡散領域であり、P型半導体領域22はP型の不純物拡散領域である。なお、N型半導体領域21は、N型不純物(例えば、ヒ素)の濃度が、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度の領域である。また、P型半導体領域22は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1018〜5×1018個/cm3程度の領域である。
【0030】
読出しゲート24を挟んで、Pウェル領域11上にP+領域26、このP+領域26上にN型の不純物拡散領域(以下、転送チャネル領域という)27が形成される。読出しゲート24は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度の領域である。P+領域26は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度の領域である。また、転送チャネル領域27は、N型不純物(例えば、ヒ素)の濃度が、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度の領域である。
【0031】
また、転送チャネル領域27と隣の画素の第1フォトセンサ20との間には、P型の不純物拡散領域が形成されチャネルストップ28が構成される。このチャネルストップ28は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば、1×1017〜5×1017個/cm3程度の領域である。
【0032】
そして、読出しゲート24、転送チャネル領域27及びチャネルストップ28の上にゲート絶縁膜(不図示)を挟んで多結晶シリコンからなる読出し電極29aが形成され、第1垂直転送レジスタ25が構成される。
【0033】
第1フォトセンサ20及び第1垂直転送レジスタ25を覆う全面に、例えばリン・シリケートガラス(PSG)からなる光透過性の層間絶縁膜17が積層される。層間絶縁膜17の上には、第1フォトセンサ20の上方に開口部を有し、第1垂直転送レジスタ25を覆う遮光膜(例えばAl膜やW膜)18が形成され、最上層には基板全面を覆って表面保護層19が形成される。
【0034】
一方、オプティカルブラック領域2bの各画素は、図4(a)に示すように、第2フォトセンサ30、第2垂直転送レジスタ35、チャネルストップ38などから構成される。
【0035】
オプティカルブラック領域2bの第2フォトセンサ30は、受光領域2aの第1フォトセンサ20と同様に、N型シリコン基板のPウェル領域11上に形成されたN型半導体領域31と、このN型半導体領域31上に形成されたP型半導体領域32とを基本的な構成要素とする。従って、オプティカルブラック領域3のブレークダウンに対する耐性を、受光領域2aよりもブレークダウンに対する耐性と同等にすることができ、黒レベルの変動を抑制することができる。なお、N型半導体領域31は、N型不純物(例えば、ヒ素)の濃度が、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度のN型半導体領域である。また、P型半導体領域32は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1018〜5×1018個/cm3程度のP型半導体領域である。
【0036】
また、第2垂直転送レジスタ35の形成領域では、Pウェル領域11上にP+領域36、このP+領域36上に転送チャネル領域37が形成される。P+領域36は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度のP型半導体領域である。また、転送チャネル領域37は、N型不純物(例えば、ヒ素)の濃度が、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度のN型半導体領域である。
【0037】
また、転送チャネル領域37と隣の画素の第2フォトセンサ30との間には、チャネルストップ38が形成される。また、転送チャネル領域37と第2フォトセンサ30との間にP+領域33が形成される。チャネルストップ38は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば、1×1017〜5×1017個/cm3程度のP型半導体領域である。また、P+領域33は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば、1×1016〜5×1016個/cm3程度のP型半導体領域である。
【0038】
そして、転送チャネル領域37及びチャネルストップ38の上に絶縁膜17aを挟んで多結晶シリコンからなる読出し電極39aが形成され、第2垂直転送レジスタ35が構成される。第2フォトセンサ30及び第2垂直転送レジスタ35を覆う全面(オプティカルブラック領域全域)に、層間絶縁膜17b及び遮光膜18が形成され、最上層に表面保護層19が形成される。
【0039】
ここで、上述したように、オプティカルブラック領域2bのフォトセンサ30は、受光領域2aの第1フォトセンサ20と同様に、N型シリコン基板のPウェル領域11上に形成されたN型半導体領域31を有している。そのため、オプティカルブラック領域2bの第2フォトセンサ30に、遮光膜18とN型シリコン基板10との隙間に入り込んで多重反射した漏れ光が侵入して光電変換され、黒レベルが変動することがあった。
【0040】
そこで、本実施形態に係るオプティカルブラック領域2bでは、オプティカルブラック領域2bの読出し電極39aについて、受光領域2aの読出し電極29aと異なり、読出し電極39aをN型半導体領域31から所定の距離dだけ遠ざけている。これにより、読出し時に受光領域2aと同じように電子が垂直転送レジスタ35へ読出されることがないようにしている。すなわち、図4(b)に示すように、読出し電極39a’がN型半導体領域31’に近いと、P+領域33’のポテンシャルが下がり、N型半導体領域31’から電荷が読出されてしまう。しかし、本実施形態に係るオプティカルブラック領域2bでは、読出し電極39aをN型半導体領域31から遠ざけることで、P+領域33’のポテンシャルが下がり、N型半導体領域31’から電荷が読出されないようにしている。
【0041】
図4(a)に示す例では、読出し電極39aの直下にP+領域33を配置しないようにして、P+領域33のポテンシャルが下がることを抑制しているが、N型半導体領域31から電荷が読出されなければ、読出し電極39aの直下にP+領域33が跨るように配置してもよい。
【0042】
すなわち、オプティカルブラック領域2bにおいて、読出し電極39aと第2フォトセンサ30との間の距離dを、読出し電極39aに読出し電圧を印加したときに、第2フォトセンサ30から電荷が読出されない距離とする。このようにオプティカルブラック領域2bを構成することにより、オプティカルブラック領域2bのブレークダウンや大光量撮影時による黒レベルの変動を抑制して、白浮きの問題を防止することができる。
【0043】
特に、オプティカルブラック領域2bの読出し電極39aの幅を、受光領域2aの読出し電極29aの幅よりも狭くすることによって、距離dを、読出し電極39aに読出し電圧を印加したときに、第2フォトセンサ30から電荷が読出されない距離としている。そのため、フォトセンサ20,30や垂直転送レジスタ25,35を同一構成で設計した後に、読出し電極39aの幅を狭くするだけでよく、レイアウト設計が極めて容易である。
【0044】
[3.固体撮像素子の製造方法]
次に、固体撮像素子1の製造方法について図5A〜図5H及び図4(a)を参照して具体的に説明する。ここでは、本実施形態における特徴部分であるオプティカルブラック領域2bの製造方法について説明し、受光領域2aの製造方法については省略する。
【0045】
まず、図5Aに示すように、半導体基板であるN型シリコン基板10を用意し、このN型シリコン基板10の上部に、P型不純物をイオン注入して、Pウェル領域11(第1導電型のウェル領域)を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、Pウェル領域11の不純物濃度は、例えば1×1015〜5×1015個/cm3程度である。
【0046】
次いで、図5Bに示すように、第2フォトセンサ30を形成する領域のPウェル領域11にN型不純物をイオン注入して、N型半導体領域31(第2導電型の半導体領域)を形成する。ここでN型不純物は、例えば、ヒ素であり、N型半導体領域31の不純物濃度は、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度である。
【0047】
次いで、図5Cに示すように、第2垂直転送レジスタ35を形成する領域(垂直転送レジスタ形成領域)のPウェル領域11にP型不純物をイオン注入して、P+領域36を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、P+領域36の不純物濃度は、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度である。
【0048】
次いで、図5Dに示すように、第2垂直転送レジスタ35を形成する領域(垂直転送レジスタ形成領域)のP+領域36上にN型不純物をイオン注入して、転送チャネル領域37を形成する。ここでN型不純物は、例えば、ヒ素であり、転送チャネル領域37の不純物濃度は、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度である。
【0049】
次いで、図5Eに示すように、転送チャネル領域37とN型半導体領域31との間のPウェル領域11にP型不純物をイオン注入して、P+領域33(第1導電型の第1半導体領域)を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、P+領域33の不純物濃度は、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度である。
【0050】
次いで、図5Fに示すように、転送チャネル領域37と第2フォトセンサ30との間のPウェル領域11にP型不純物をイオン注入して、チャネルストップ38を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、チャネルストップ38の不純物濃度は、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度である。
【0051】
次いで、図5Gに示すように、N型シリコン基板10及び上に絶縁膜17aを形成した後、転送チャネル領域37及びチャネルストップ38の上に多結晶シリコンを選択的に形成して、読出し電極39aを形成する。なお、図示しないがこのとき、転送電極39bも同時に形成される。
【0052】
次いで、図5Hに示すように、読出し電極39aをマスクとして、転送チャネル領域37間のN型シリコン基板10上面にP型不純物をイオン注入して、P型半導体領域32(第1導電型の第2半導体領域)を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、P型半導体領域32の不純物濃度は、例えば1×1018〜5×1018個/cm3程度である。
【0053】
最後に、図4(a)に示すように、読出し電極39a及び絶縁膜17a上に、絶縁膜17bを形成した後、遮光膜18を形成し、最上層に表面保護層19を形成する。
【0054】
一方、受光領域2aは、第1フォトセンサ20に入射光を導くための開口部(図3に示す符号50参照)を有する点、読出し電極29aの幅が広い点を除き、オプティカルブラック領域2bと同様の構成でありオプティカルブラック領域2bと同時に形成される。すなわち、Pウェル領域11が形成された後、N型半導体領域31はN型半導体領域21と同時に、P+領域36はP+領域26と同時に、転送チャネル領域37は転送チャネル領域27と同時に、P+領域33は読出しゲート24と同時に形成される。また、チャネルストップ38はチャネルストップ28と同時に、読出し電極39aは読出し電極29aと同時に、P型半導体領域32はP型半導体領域22と同時に形成される。
【0055】
このように、本実施形態に係るオプティカルブラック領域2bの製造方法では、受光領域2aと同様の工程で受光領域2aと同時に形成することができる。しかも、従来の読出し電極39aの幅を変更した場合であっても、受光領域2aと同様に、読出し電極39aをマスクとしてセルフアラインによりP型半導体領域32を形成することができ、工程数を増加させることがない。
【0056】
以上、本発明の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 固体撮像素子
2 画素部
2a 受光領域
2b オプティカルブラック領域
4 水平転送出力部
10 N型シリコン基板(半導体基板)
11 Pウェル領域(第1導電型のウェル領域)
20 第1フォトセンサ
21 N型半導体領域
22 P型半導体領域
24 読出しゲート
25 第1垂直転送レジスタ
29a,39a 読出し電極
29b,39b 転送電極
30 第2フォトセンサ
31 N型半導体領域(第2導電型の半導体領域)
32 P型半導体領域(第1導電型の第2半導体領域)
33 P+領域(第1導電型の第1半導体領域)
35 第2垂直転送レジスタ
38 チャネルストップ
45 水平転送レジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子及びその製造方法、並びに撮像機器に関するものであり、特にOPB(オプティカルブラック)領域を備えたCCD(Charge-Coupled Device)型の固体撮像素子及びその製造方法、並びに撮像機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からデジタルビデオカメラやデジタルカメラなどの撮像機器用の撮像素子として、CCDやCMOS等の固体撮像素子が広く用いられている。これらの固体撮像素子は基本構造が半導体であることから、半導体内部で生じる熱的な電荷の励起に起因して暗電流ノイズが不可避的に発生する。そこで、暗電流ノイズによる影響を除去するため、遮光したオプティカルブラック(Optical Black)領域を受光領域に隣接して設け、この領域の垂直転送レジスタから転送される信号を黒レベルの基準とする構成が用いられる(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
受光領域とオプティカルブラック領域とは、入射光を効率的にフォトセンサに導くための導光構造と、入射光がフォトセンサに到達しないように遮光する遮光構造とが相違し、フォトセンサ及び垂直転送レジスタは同じ半導体構造で構成されていた。例えば、HADセンサ(Hole Accumulation Diode Sensor)と称されるCCD型の固体撮像素子は、N型シリコン基板に、受光領域、オプティカルプティカルブラック領域ともにP+NPN接合のフォトセンサが形成されていた。垂直転送レジスタについても同様であり、例えば、フォトセンサの電荷を読出す読出し電極と、電荷を転送する転送電極とが交互に並ぶCCD構造の垂直転送レジスタが同じ構造で構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−305675号公報
【特許文献2】特開2009−164247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の固体撮像素子では、オプティカルブラック領域のフォトセンサに、遮光膜とシリコン基板との隙間に入り込んで多重反射した漏れ光が侵入して光電変換され、黒レベルが変動することがあった。特に、長時間露光モード時などのように大光量撮影時にこの問題が顕著になってくる。
【0006】
そこで、オプティカルブラック領域のフォトセンサについては電荷蓄積作用をもつN型拡散層を形成せず、P型拡散層のみとする構成とすることで、この問題を解決することができるとも考えられる。ところがこの構成について鋭意研究を進めてゆくと、以下のような課題が生じた。
【0007】
オプティカルブラック領域のフォトセンサはN型拡散層を持たないため、N型拡散層を有する受光領域のフォトセンサのように電荷を蓄積することができない。そのため、図6に示すように、読出し電極に読出し用の高い電圧が印加されブレークダウンが発生したときに、P型拡散層から電子がチャネルストップを越えて溢れ出て隣接する垂直転送レジスタに流れ込み、黒レベルを変動させる。そのため、受光領域の信号レベルが沈んでしまい、図7に示すように、画像上部で白浮きが発生するという現象が見いだされた。すなわち、オプティカルブラック領域は受光領域よりもブレークダウンに対する耐性が低く、黒レベルが変動するおそれがあるという課題である。
【0008】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、安定した黒レベルを実現可能な固体撮像素子及びそれを備えた撮像機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、二次元配列された複数のフォトセンサと、前記フォトセンサから電荷を読出す読出し電極と、読出した電荷を転送する転送電極と、前記フォトセンサの垂直列毎に設けられた垂直転送レジスタと、を有する画素部と、前記垂直転送レジスタから転送された電荷を水平転送する水平転送レジスタと、を備え、前記画素部は、入射光を受光する受光領域と、遮光膜により前記入射光が遮光されたオプティカルブラック領域とを有し、前記受光領域と前記オプティカルブラック領域とで前記フォトセンサを同一構成としており、前記オプティカルブラック領域において、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした固体撮像素子とした。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の固体撮像素子において、前記オプティカルブラック領域の読出し電極の幅を、前記受光領域の読出し電極の幅よりも狭くすることによって、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、固体撮像素子を有し、前記固体撮像素子は、二次元配列された複数のフォトセンサと、前記フォトセンサから電荷を読出す読出し電極と、読出した電荷を転送する転送電極と、前記フォトセンサの垂直列毎に設けられた垂直転送レジスタと、を有する画素部と、前記垂直転送レジスタから転送された電荷を水平転送する水平転送レジスタと、を備え、前記画素部は、入射光を受光する受光領域と、遮光膜により前記入射光が遮光されたオプティカルブラック領域とを有し、前記受光領域と前記オプティカルブラック領域とで前記フォトセンサを同一構成としており、前記オプティカルブラック領域において、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした撮像機器とした。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、半導体基板に第1導電型のウェル領域を形成する工程と、前記ウェル領域の垂直転送レジスタ形成領域に、転送チャンネルを形成する工程と、前記ウェル領域のフォトセンサ形成領域に、第2導電型の半導体領域を形成する工程と、前記転送チャネルと前記第2導電型の半導体領域との間の前記ウェル領域に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程と、前記転送チャンネル上に、前記フォトセンサ形成領域に形成されるフォトセンサから電荷を読出す読出し電極を絶縁膜を介して形成する工程と、前記読出し電極間の、前記第2導電型の半導体領域上及び前記第1半導体領域の上部に、前記第1半導体領域よりも不純物濃度の高い第1導電型の第2半導体領域を形成する工程と、前記読出し電極及び前記転送電極を含む前記半導体基板上に絶縁膜を介して遮光膜を形成する工程と、を有し、前記フォトセンサは、前記第2導電型の半導体領域と前記第2半導体領域とを有して構成され、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした固体撮像素子の製造方法とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、オプティカルブラック領域のブレークダウンや大光量撮影時による黒レベルの変動を抑制して白浮きの問題を防止することができ、これにより安定した黒レベルを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るCCD型の固体撮像素子を有する撮像機器の概要構成図である。
【図2】読出し電極、転送電極及びフォトセンサの配置を示す図である。
【図3】図1中に付記するII−II矢視の断面図である。
【図4】図1中に付記するIII−III矢視の断面図である。
【図5A】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5B】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5C】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5D】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5E】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5F】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5G】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図5H】本発明の一実施形態に係る固体撮像素子の製造方法を示す図である。
【図6】従来の問題点を説明するための図である。
【図7】従来の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」とする)について図面を参照しながら説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子を備えた撮像機器の構成
2.固体撮像素子における受光領域及びオプティカルブラック領域の構成
3.固体撮像素子の製造方法
【0016】
[1.固体撮像素子を備えた撮像機器の構成]
まず、本実施形態に係る発明を固体撮像素子を備えた撮像機器の構成を説明する。図1は、本実施形態における撮像機器Aの概要構成図である。本実施形態の撮像機器Aは、いわゆるデジタルカメラと称されるデジタルスチルカメラである。なお、撮像機器Aは、デジタルスチルカメラに限定されるものではなく、デジタルビデオカメラや、あるいは携帯電話などに内蔵されるカメラユニットであってもよい。
【0017】
図1には、撮像機器Aにおける撮像のためのCCD型の固体撮像素子1と、この固体撮像素子1を所定タイミングで駆動させるための駆動用信号を生成するタイミングジェネレータ6とを示している。この他に、撮像機器Aには、バッテリなどの電源部、撮像して生成した画像データ信号を記憶する記憶部、撮像機器A全体を制御する制御部などがある。これらを構成する回路は、本図では別回路(固体撮像素子1以外のチップ)としているが、同一チップに設けたり、あるいはいくつかのチップに分割して設けたりすることもある。
【0018】
固体撮像素子1は、インターライン・トランスファ方式(Interline Transfer:IT方式)の撮像素子であり、半導体基板であるN型シリコン基板10をベースとし、画素部2、水平転送出力部4、処理回路5などから構成される。画素部2は、受光領域2aと、オプティカルブラック領域2bとにより構成される。受光領域2aは、入射光を受光する受光領域であり、一般的には被写体からの光を受光する撮像領域と呼ばれる。オプティカルブラック領域2bは、遮光膜により入射光が遮断された領域である。水平転送出力部4は、これらの領域2a,2bから転送されて来る電荷を水平転送し電圧信号に変換して出力する。水平転送出力部4から出力された信号は処理回路5により処理される。オプティカルブラック領域2bと水平転送出力部4には、斜線で示すように遮光膜18が形成される。
【0019】
受光領域2aは、二次元配列された複数の第1フォトセンサ20と、第1フォトセンサ20の側方(図1の構成例では左側)に第1フォトセンサ20の垂直列毎に設けられたCCD構造の第1垂直転送レジスタ25とを備えて構成される。すなわち、固体撮像素子1は、N型シリコン基板10の受光領域2aに、第1フォトセンサ20をマトリクス状に二次元配列した画素構造を基本として構成される。この第1フォトセンサ20はフォトダイオードにより構成される。なお、図1においては、図面の複雑化を避けるため斜線を省略しているが、第1垂直転送レジスタ25は水平転送出力部4等と同様に遮光膜18で覆われており、垂直転送クロックVφ1〜Vφ8によって駆動される。
【0020】
図2に示すように、第1垂直転送レジスタ25には、読出し電極29aと転送電極29bが交互に連続して配設されており、それぞれ4つの読出し電極29aと転送電極29bとを一組として、8相の垂直転送クロックVφ1〜Vφ8が印加される。なお、図2におけるV1〜V8は、電極29a,29bに印加される垂直転送クロックVφ1〜Vφ8の種類を意味する。例えば、V1の読出し電極29aは、垂直転送クロックVφ1が印加され、V5の読出し電極29aは、垂直転送クロックVφ5が印加され、V8の転送電極29bは、垂直転送クロックVφ8が印加される。第1フォトセンサ20からの信号電荷の読出しは、V1,V3,V5,V7の読出し電極29aに高電圧を印加することで行う。読み出した信号電荷の転送は、V1〜V8の電極29a、29bに垂直転送クロックVφ1〜Vφ8を印加することで、信号電荷を水平転送出力部4へ転送する。
【0021】
オプティカルブラック領域2bは、受光領域2aに隣接して二次元配列された複数の第2フォトセンサ30と、第2フォトセンサ30の側方に第2フォトセンサ30の垂直列毎に設けられたCCD構造の第2垂直転送レジスタ35とを備えて構成される。オプティカルブラック領域2bは、第2フォトセンサ30及び第2垂直転送レジスタ35の全体が遮光膜18により覆われており、入射光が第2フォトセンサ30に入射しないようになっている。第2垂直転送レジスタ35は、読出し電極39aと転送電極39bが交互に連続して配設されており、第1垂直転送レジスタ25と同様に、垂直転送クロックVφ1〜Vφ8によって、読出し電圧や転送電圧が印加されて駆動される。また、第2フォトセンサ30は、フォトダイオードにより構成されており、第1フォトセンサ20と同一構成である。
【0022】
水平転送出力部4は、受光領域2aの第1垂直転送レジスタ25,25…及びオプティカルブラック領域2bの第2垂直転送レジスタ35,35…が接続されたCCD構造の水平転送レジスタ45を備えている。この水平転送レジスタ45は、公知の2相駆動方式によって各第1垂直転送レジスタ35から転送される信号電荷を水平転送するように構成されており、互いに位相が異なる水平転送クロックHφ1,Hφ2により駆動される。この水平転送クロックHφ1,Hφ2は、タイミングジェネレータ6から出力される。また、水平転送出力部4には、水平転送レジスタ45の出口に設けられたFDアンプ(フローティング・ディフュージョンアンプ)48が備えられている。そして、第1垂直転送レジスタ25から水平転送レジスタ45に転送された信号電荷、及び第2垂直転送レジスタ35から水平転送レジスタ45に転送された暗電荷(暗電流の電荷)が、水平走査1ライン分ずつFDアンプ48に入力される。
【0023】
FDアンプ48は、水平転送レジスタ45から入力された信号電荷を電荷量に応じた電圧の信号(便宜的に画素信号という)に変換する。また、水平転送レジスタ45から入力された暗電荷を電荷量に応じた電圧の信号(同様、便宜的に「黒信号」という)に変換する。そして、各垂直列の画素信号及び黒信号を水平走査1ライン分ずつ処理回路5に出力する。
【0024】
処理回路5は、水平転送出力部4から出力された画素信号及び黒信号に基づいて、黒レベルの補償処理やFDリセットノイズの減算処理などを行い、受光領域2aに入射した入射光の像(被写体の像)を生成する。
【0025】
このような構成の固体撮像素子1においては、読出し方式に応じた時間(例えば1/60秒)内に、各第1フォトセンサ20において光電変換された受光量に応じた信号電荷が、後述する読出しゲート24を介して接続された第1垂直転送レジスタ25に読出される。読出された信号電荷と、半導体構造の熱的励起により第1垂直転送レジスタ25内に生じた暗電荷とは第1垂直転送レジスタ25内で混じり合い、第1垂直転送レジスタ25から水平転送レジスタ45に転送される。また、半導体構造の熱的励起により第2垂直転送レジスタ35内に生じた暗電荷は、第2垂直転送レジスタ35から水平転送レジスタ45に転送される。
【0026】
そして、第2垂直転送レジスタ35から転送された暗電荷を電圧変換した黒信号を基準として黒レベルが設定される。そして、処理回路5において、第1垂直転送レジスタ25から転送され、暗電荷が付加された信号電荷を電圧信号に変換した画素信号から、上記黒信号を差し引くことにより、熱的励起状態の変動に起因した画像の明度の浮動が除去されるようになっている。
【0027】
[2.受光領域2a及びオプティカルブラック領域2bの構成]
上述のように概要構成される固体撮像素子1にあって、図1及び図2中に付記するII−II矢視の断面図(受光領域2aの画素の断面図)を図3に、III−III矢視の断面図(オプティカルブラック領域2bの画素の断面図)を図4に示す。
【0028】
受光領域2aの各画素は、図3に示すように、入射光を受光する第1フォトセンサ20、読出しゲート24、第1垂直転送レジスタ25、チャネルストップ28などからなる。
【0029】
第1フォトセンサ20は、N型シリコン基板10のPウェル領域11上に形成されたN型半導体領域21と、このN型半導体領域21上に形成されたP型半導体領域22とを基本的な構成要素とする。そして、これらのP+NPN接合によりHADセンサ(Hole Accumulation Diode Sensor)を構成する。N型半導体領域21はN型の不純物拡散領域であり、P型半導体領域22はP型の不純物拡散領域である。なお、N型半導体領域21は、N型不純物(例えば、ヒ素)の濃度が、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度の領域である。また、P型半導体領域22は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1018〜5×1018個/cm3程度の領域である。
【0030】
読出しゲート24を挟んで、Pウェル領域11上にP+領域26、このP+領域26上にN型の不純物拡散領域(以下、転送チャネル領域という)27が形成される。読出しゲート24は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度の領域である。P+領域26は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度の領域である。また、転送チャネル領域27は、N型不純物(例えば、ヒ素)の濃度が、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度の領域である。
【0031】
また、転送チャネル領域27と隣の画素の第1フォトセンサ20との間には、P型の不純物拡散領域が形成されチャネルストップ28が構成される。このチャネルストップ28は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば、1×1017〜5×1017個/cm3程度の領域である。
【0032】
そして、読出しゲート24、転送チャネル領域27及びチャネルストップ28の上にゲート絶縁膜(不図示)を挟んで多結晶シリコンからなる読出し電極29aが形成され、第1垂直転送レジスタ25が構成される。
【0033】
第1フォトセンサ20及び第1垂直転送レジスタ25を覆う全面に、例えばリン・シリケートガラス(PSG)からなる光透過性の層間絶縁膜17が積層される。層間絶縁膜17の上には、第1フォトセンサ20の上方に開口部を有し、第1垂直転送レジスタ25を覆う遮光膜(例えばAl膜やW膜)18が形成され、最上層には基板全面を覆って表面保護層19が形成される。
【0034】
一方、オプティカルブラック領域2bの各画素は、図4(a)に示すように、第2フォトセンサ30、第2垂直転送レジスタ35、チャネルストップ38などから構成される。
【0035】
オプティカルブラック領域2bの第2フォトセンサ30は、受光領域2aの第1フォトセンサ20と同様に、N型シリコン基板のPウェル領域11上に形成されたN型半導体領域31と、このN型半導体領域31上に形成されたP型半導体領域32とを基本的な構成要素とする。従って、オプティカルブラック領域3のブレークダウンに対する耐性を、受光領域2aよりもブレークダウンに対する耐性と同等にすることができ、黒レベルの変動を抑制することができる。なお、N型半導体領域31は、N型不純物(例えば、ヒ素)の濃度が、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度のN型半導体領域である。また、P型半導体領域32は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1018〜5×1018個/cm3程度のP型半導体領域である。
【0036】
また、第2垂直転送レジスタ35の形成領域では、Pウェル領域11上にP+領域36、このP+領域36上に転送チャネル領域37が形成される。P+領域36は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度のP型半導体領域である。また、転送チャネル領域37は、N型不純物(例えば、ヒ素)の濃度が、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度のN型半導体領域である。
【0037】
また、転送チャネル領域37と隣の画素の第2フォトセンサ30との間には、チャネルストップ38が形成される。また、転送チャネル領域37と第2フォトセンサ30との間にP+領域33が形成される。チャネルストップ38は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば、1×1017〜5×1017個/cm3程度のP型半導体領域である。また、P+領域33は、P型不純物(例えば、ボロン)の濃度が、例えば、1×1016〜5×1016個/cm3程度のP型半導体領域である。
【0038】
そして、転送チャネル領域37及びチャネルストップ38の上に絶縁膜17aを挟んで多結晶シリコンからなる読出し電極39aが形成され、第2垂直転送レジスタ35が構成される。第2フォトセンサ30及び第2垂直転送レジスタ35を覆う全面(オプティカルブラック領域全域)に、層間絶縁膜17b及び遮光膜18が形成され、最上層に表面保護層19が形成される。
【0039】
ここで、上述したように、オプティカルブラック領域2bのフォトセンサ30は、受光領域2aの第1フォトセンサ20と同様に、N型シリコン基板のPウェル領域11上に形成されたN型半導体領域31を有している。そのため、オプティカルブラック領域2bの第2フォトセンサ30に、遮光膜18とN型シリコン基板10との隙間に入り込んで多重反射した漏れ光が侵入して光電変換され、黒レベルが変動することがあった。
【0040】
そこで、本実施形態に係るオプティカルブラック領域2bでは、オプティカルブラック領域2bの読出し電極39aについて、受光領域2aの読出し電極29aと異なり、読出し電極39aをN型半導体領域31から所定の距離dだけ遠ざけている。これにより、読出し時に受光領域2aと同じように電子が垂直転送レジスタ35へ読出されることがないようにしている。すなわち、図4(b)に示すように、読出し電極39a’がN型半導体領域31’に近いと、P+領域33’のポテンシャルが下がり、N型半導体領域31’から電荷が読出されてしまう。しかし、本実施形態に係るオプティカルブラック領域2bでは、読出し電極39aをN型半導体領域31から遠ざけることで、P+領域33’のポテンシャルが下がり、N型半導体領域31’から電荷が読出されないようにしている。
【0041】
図4(a)に示す例では、読出し電極39aの直下にP+領域33を配置しないようにして、P+領域33のポテンシャルが下がることを抑制しているが、N型半導体領域31から電荷が読出されなければ、読出し電極39aの直下にP+領域33が跨るように配置してもよい。
【0042】
すなわち、オプティカルブラック領域2bにおいて、読出し電極39aと第2フォトセンサ30との間の距離dを、読出し電極39aに読出し電圧を印加したときに、第2フォトセンサ30から電荷が読出されない距離とする。このようにオプティカルブラック領域2bを構成することにより、オプティカルブラック領域2bのブレークダウンや大光量撮影時による黒レベルの変動を抑制して、白浮きの問題を防止することができる。
【0043】
特に、オプティカルブラック領域2bの読出し電極39aの幅を、受光領域2aの読出し電極29aの幅よりも狭くすることによって、距離dを、読出し電極39aに読出し電圧を印加したときに、第2フォトセンサ30から電荷が読出されない距離としている。そのため、フォトセンサ20,30や垂直転送レジスタ25,35を同一構成で設計した後に、読出し電極39aの幅を狭くするだけでよく、レイアウト設計が極めて容易である。
【0044】
[3.固体撮像素子の製造方法]
次に、固体撮像素子1の製造方法について図5A〜図5H及び図4(a)を参照して具体的に説明する。ここでは、本実施形態における特徴部分であるオプティカルブラック領域2bの製造方法について説明し、受光領域2aの製造方法については省略する。
【0045】
まず、図5Aに示すように、半導体基板であるN型シリコン基板10を用意し、このN型シリコン基板10の上部に、P型不純物をイオン注入して、Pウェル領域11(第1導電型のウェル領域)を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、Pウェル領域11の不純物濃度は、例えば1×1015〜5×1015個/cm3程度である。
【0046】
次いで、図5Bに示すように、第2フォトセンサ30を形成する領域のPウェル領域11にN型不純物をイオン注入して、N型半導体領域31(第2導電型の半導体領域)を形成する。ここでN型不純物は、例えば、ヒ素であり、N型半導体領域31の不純物濃度は、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度である。
【0047】
次いで、図5Cに示すように、第2垂直転送レジスタ35を形成する領域(垂直転送レジスタ形成領域)のPウェル領域11にP型不純物をイオン注入して、P+領域36を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、P+領域36の不純物濃度は、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度である。
【0048】
次いで、図5Dに示すように、第2垂直転送レジスタ35を形成する領域(垂直転送レジスタ形成領域)のP+領域36上にN型不純物をイオン注入して、転送チャネル領域37を形成する。ここでN型不純物は、例えば、ヒ素であり、転送チャネル領域37の不純物濃度は、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度である。
【0049】
次いで、図5Eに示すように、転送チャネル領域37とN型半導体領域31との間のPウェル領域11にP型不純物をイオン注入して、P+領域33(第1導電型の第1半導体領域)を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、P+領域33の不純物濃度は、例えば1×1016〜5×1016個/cm3程度である。
【0050】
次いで、図5Fに示すように、転送チャネル領域37と第2フォトセンサ30との間のPウェル領域11にP型不純物をイオン注入して、チャネルストップ38を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、チャネルストップ38の不純物濃度は、例えば1×1017〜5×1017個/cm3程度である。
【0051】
次いで、図5Gに示すように、N型シリコン基板10及び上に絶縁膜17aを形成した後、転送チャネル領域37及びチャネルストップ38の上に多結晶シリコンを選択的に形成して、読出し電極39aを形成する。なお、図示しないがこのとき、転送電極39bも同時に形成される。
【0052】
次いで、図5Hに示すように、読出し電極39aをマスクとして、転送チャネル領域37間のN型シリコン基板10上面にP型不純物をイオン注入して、P型半導体領域32(第1導電型の第2半導体領域)を形成する。ここでP型不純物は、例えば、B(ボロン)であり、P型半導体領域32の不純物濃度は、例えば1×1018〜5×1018個/cm3程度である。
【0053】
最後に、図4(a)に示すように、読出し電極39a及び絶縁膜17a上に、絶縁膜17bを形成した後、遮光膜18を形成し、最上層に表面保護層19を形成する。
【0054】
一方、受光領域2aは、第1フォトセンサ20に入射光を導くための開口部(図3に示す符号50参照)を有する点、読出し電極29aの幅が広い点を除き、オプティカルブラック領域2bと同様の構成でありオプティカルブラック領域2bと同時に形成される。すなわち、Pウェル領域11が形成された後、N型半導体領域31はN型半導体領域21と同時に、P+領域36はP+領域26と同時に、転送チャネル領域37は転送チャネル領域27と同時に、P+領域33は読出しゲート24と同時に形成される。また、チャネルストップ38はチャネルストップ28と同時に、読出し電極39aは読出し電極29aと同時に、P型半導体領域32はP型半導体領域22と同時に形成される。
【0055】
このように、本実施形態に係るオプティカルブラック領域2bの製造方法では、受光領域2aと同様の工程で受光領域2aと同時に形成することができる。しかも、従来の読出し電極39aの幅を変更した場合であっても、受光領域2aと同様に、読出し電極39aをマスクとしてセルフアラインによりP型半導体領域32を形成することができ、工程数を増加させることがない。
【0056】
以上、本発明の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 固体撮像素子
2 画素部
2a 受光領域
2b オプティカルブラック領域
4 水平転送出力部
10 N型シリコン基板(半導体基板)
11 Pウェル領域(第1導電型のウェル領域)
20 第1フォトセンサ
21 N型半導体領域
22 P型半導体領域
24 読出しゲート
25 第1垂直転送レジスタ
29a,39a 読出し電極
29b,39b 転送電極
30 第2フォトセンサ
31 N型半導体領域(第2導電型の半導体領域)
32 P型半導体領域(第1導電型の第2半導体領域)
33 P+領域(第1導電型の第1半導体領域)
35 第2垂直転送レジスタ
38 チャネルストップ
45 水平転送レジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次元配列された複数のフォトセンサと、前記フォトセンサから電荷を読出す読出し電極と、読出した電荷を転送する転送電極と、前記フォトセンサの垂直列毎に設けられた垂直転送レジスタと、を有する画素部と、
前記垂直転送レジスタから転送された電荷を水平転送する水平転送レジスタと、を備え、
前記画素部は、入射光を受光する受光領域と、遮光膜により前記入射光が遮光されたオプティカルブラック領域とを有し、前記受光領域と前記オプティカルブラック領域とで前記フォトセンサを同一構成としており、
前記オプティカルブラック領域において、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした固体撮像素子。
【請求項2】
前記オプティカルブラック領域の読出し電極の幅を、前記受光領域の読出し電極の幅よりも狭くすることによって、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
固体撮像素子を有し、
前記固体撮像素子は、
二次元配列された複数のフォトセンサと、前記フォトセンサから電荷を読出す読出し電極と、読出した電荷を転送する転送電極と、前記フォトセンサの垂直列毎に設けられた垂直転送レジスタと、を有する画素部と、
前記垂直転送レジスタから転送された電荷を水平転送する水平転送レジスタと、を備え、
前記画素部は、入射光を受光する受光領域と、遮光膜により前記入射光が遮光されたオプティカルブラック領域とを有し、前記受光領域と前記オプティカルブラック領域とで前記フォトセンサを同一構成としており、
前記オプティカルブラック領域において、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした撮像機器。
【請求項4】
半導体基板に第1導電型のウェル領域を形成する工程と、
前記ウェル領域の垂直転送レジスタ形成領域に、転送チャンネルを形成する工程と、
前記ウェル領域のフォトセンサ形成領域に、第2導電型の半導体領域を形成する工程と、
前記転送チャネルと前記第2導電型の半導体領域との間の前記ウェル領域に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程と、
前記転送チャンネル上に、前記フォトセンサ形成領域に形成されるフォトセンサから電荷を読出す読出し電極を絶縁膜を介して形成する工程と、
前記読出し電極間の、前記第2導電型の半導体領域上及び前記第1半導体領域の上部に、前記第1半導体領域よりも不純物濃度の高い第1導電型の第2半導体領域を形成する工程と、
前記読出し電極及び前記転送電極を含む前記半導体基板上に絶縁膜を介して遮光膜を形成する工程と、を有し、
前記フォトセンサは、前記第2導電型の半導体領域と前記第2半導体領域とを有して構成され、
前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした固体撮像素子の製造方法。
【請求項1】
二次元配列された複数のフォトセンサと、前記フォトセンサから電荷を読出す読出し電極と、読出した電荷を転送する転送電極と、前記フォトセンサの垂直列毎に設けられた垂直転送レジスタと、を有する画素部と、
前記垂直転送レジスタから転送された電荷を水平転送する水平転送レジスタと、を備え、
前記画素部は、入射光を受光する受光領域と、遮光膜により前記入射光が遮光されたオプティカルブラック領域とを有し、前記受光領域と前記オプティカルブラック領域とで前記フォトセンサを同一構成としており、
前記オプティカルブラック領域において、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした固体撮像素子。
【請求項2】
前記オプティカルブラック領域の読出し電極の幅を、前記受光領域の読出し電極の幅よりも狭くすることによって、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
固体撮像素子を有し、
前記固体撮像素子は、
二次元配列された複数のフォトセンサと、前記フォトセンサから電荷を読出す読出し電極と、読出した電荷を転送する転送電極と、前記フォトセンサの垂直列毎に設けられた垂直転送レジスタと、を有する画素部と、
前記垂直転送レジスタから転送された電荷を水平転送する水平転送レジスタと、を備え、
前記画素部は、入射光を受光する受光領域と、遮光膜により前記入射光が遮光されたオプティカルブラック領域とを有し、前記受光領域と前記オプティカルブラック領域とで前記フォトセンサを同一構成としており、
前記オプティカルブラック領域において、前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした撮像機器。
【請求項4】
半導体基板に第1導電型のウェル領域を形成する工程と、
前記ウェル領域の垂直転送レジスタ形成領域に、転送チャンネルを形成する工程と、
前記ウェル領域のフォトセンサ形成領域に、第2導電型の半導体領域を形成する工程と、
前記転送チャネルと前記第2導電型の半導体領域との間の前記ウェル領域に第1導電型の第1半導体領域を形成する工程と、
前記転送チャンネル上に、前記フォトセンサ形成領域に形成されるフォトセンサから電荷を読出す読出し電極を絶縁膜を介して形成する工程と、
前記読出し電極間の、前記第2導電型の半導体領域上及び前記第1半導体領域の上部に、前記第1半導体領域よりも不純物濃度の高い第1導電型の第2半導体領域を形成する工程と、
前記読出し電極及び前記転送電極を含む前記半導体基板上に絶縁膜を介して遮光膜を形成する工程と、を有し、
前記フォトセンサは、前記第2導電型の半導体領域と前記第2半導体領域とを有して構成され、
前記読出し電極と前記フォトセンサとの間の距離を、前記読出し電極に読出し電圧を印加したときに、前記フォトセンサから電荷が読出されない距離とした固体撮像素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−258598(P2011−258598A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129114(P2010−129114)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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