説明

固体撮像素子及びBIST回路を備えた半導体装置及び画像診断方法

【課題】 画像診断で必要とされるメモリ領域の記憶容量を、半導体装置に搭載可能な記憶容量に抑え、固体撮像素子のBIST回路を搭載した半導体装置を提供する。
【解決手段】 固体撮像素子12と、読み出し手段13と、診断作業用領域設定手段14a、部分撮像画像データ記憶手段14b、診断用データ生成手段14c、診断用データ出力手段14dを備えた画像診断用テスト手段が同一基板上に形成され、画像診断時において、診断作業用領域設定手段14aは、撮像画像データの領域全体に亘って設定した複数の有効診断領域毎に、有効診断領域を含む診断作業用領域を設定し、読み出し手段13は、診断作業用領域毎に部分撮像画像データを読み出し、診断用データ生成手段14cは、部分撮像画像データ夫々に対し画像処理及び第1統計処理を含む演算処理を実行して診断用データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子と、該固体撮像素子が撮像した撮像画像データの診断を行うBIST回路を備えた半導体装置、及び、その画像診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやカメラ機能を内蔵した携帯電話機等において、CCD(Charge−Coupled Devices)センサやCMOSセンサ等、光学的信号を電気的信号に変換する固体撮像素子の需要が広がってきている。更に、近年、固体撮像素子の高品質化及び低価格化に対するニーズが高まっている。
【0003】
固体撮像素子を備える半導体装置は、製造工程中のテスト工程において、固体撮像素子の特質上、不良品をスクリーニングするために、固体撮像素子に対する画像診断が実施される。画像診断では様々な項目の試験が行われる。画像診断には、例えば、均質なグレー画像を診断用画像(光学的データ)として固体撮像素子に与え、固体撮像素子から出力される電気的データから得られる被検査画像(撮像画像データ)に現れるシミやムラを検出する事で、固体撮像素子の光学的欠陥及び電気的欠陥をスクリーニングするものがある。
【0004】
ここで、画像診断における欠陥には、例えば、「点欠陥」、「シミ欠陥」、「ムラ欠陥」がある。図25は、画像診断における「点欠陥」、「シミ欠陥」及び「ムラ欠陥」の例を模式的に示している。詳細には、「点欠陥」とは、固体撮像素子から得られるイメージセンサ画像(撮像画像データ)200を構成する複数の画素データにおいて、周囲の通常の画素データの基準画素値(例えば、輝度値)に比べ、画素値が所定の点欠陥判定差を超えて著しく異なる1または数個の画素データ群からなる領域201を意味している。また、「シミ欠陥」とは、図25に示すように、基準画素値に対し画素値が点欠陥判定差より小さい所定のシミ欠陥判定差を超えて異なる画素データを、点欠陥よりも多数備える画素データ群からなる領域202を意味しており、点欠陥よりも広い領域に広がっている。尚、シミ欠陥については、発生原因により様々な形状のものがある。ここで、図26は、シミ欠陥の具体的な画像データ例を示している。具体的には、図26(a)は点状シミ欠陥を、図26(b)は線状シミ欠陥を、図26(c)は面状シミ欠陥の例を夫々示しており、何れのシミ欠陥についても、シミ欠陥に含まれる画素データの画素値と周囲の通常の画素データの基準画素値との差は、点欠陥と比較すると、小さい。更に、「ムラ欠陥」とは、図25に示すように、基準画素値に対し画素値がシミ欠陥判定差より小さい所定のムラ欠陥判定差を超えて異なる画素データを、シミ欠陥よりも更に多数備える画素データ群からなる領域203を意味しており、領域203はシミ欠陥よりも広い領域に広がっている。
【0005】
従来、固体撮像素子に対する画像診断において、固体撮像素子から出力される被検査画像の「シミ欠陥」や「ムラ欠陥」等のスクリーニング検査は、シェーディングやノイズの影響により、これらの欠陥の定量化が困難であったことから、検査員の目視により行われていた。ここで、図27は、撮像画像データにおける「シェーディング」の例を示している。具体的には、「シェーディング」は、図27に示すように、イメージセンサ画像200全体において、イメージセンサ画像200の中央部ほど画素データの輝度値が大きく、中央部から上下左右の終端部分に向かうほど、画素データの輝度値が次第に小さくなっていく現象を意味している。尚、「シェーディング」は、CCD等の固体撮像素子において、撮像画像データに、固体撮像素子の中央部の感度より端部の感度が低下することに起因して発生する現象である。
【0006】
しかし、検査員の目視による画像診断では、検査員の主観的判断に依存した検査となるため、検査員間の検査基準のばらつきや、検査員の検査時の体調等により、検査結果が一定にならないといった問題があった。
【0007】
検査員による目視検査に対し、固体撮像素子の画像診断を自動化するための技術として、例えば、撮像画像データをメッシュ状に面積の等しいブロック単位で分割し、それらのブロック間のばらつきを統計的に判定する画像診断技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。また、上記非特許文献1に記載の画像診断技術等を用い、固体撮像素子を備える半導体装置に対する固体撮像素子の画像診断を自動化するための技術として、例えば、半導体装置の固体撮像素子から撮像画像データを取得し、当該撮像画像データからシェーディングやノイズの影響を取り除くための画像処理として、撮像画像データ全体に対しフィルタ処理を実施し、フィルタ処理後の撮像画像データをブロック分割し、ブロック間のばらつきを統計処理して固体撮像素子の良否を判定する画像検査装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
ここで、図28は、非特許文献1に記載の画像診断技術及び特許文献1に記載の画像診断装置を用いた、従来の一般的な画像診断システムの概略構成例を示しており、図29は、図28に示すテスタ300における画像診断の処理手順を示している。尚、非特許文献1における半導体装置の固体撮像素子に対する画像診断技術では、点欠陥については複雑な画像処理をしなくても検出する事が出来るため他の方法で検出することとし、ここでは、シミ欠陥及びムラ欠陥の2つの欠陥をスクリーニングする場合について説明する。
【0009】
先ず、半導体装置100及びテスタ300の装置構成について説明する。半導体装置100は、CCD等の固体撮像素子からなるイメージセンサ102、イメージセンサ102から出力される電気信号を受けてデジタル形式の撮像画像データ200を出力する読み出し回路103、撮像画像データ200をテスタ300に対して出力する出力回路104、イメージセンサ102、読み出し回路103及び出力回路104の制御を行う制御回路101を備えて構成されている。テスタ300は、図28に示すように、撮像画像データ200を記憶する固定ディスク等で構成される撮像画像データ記憶手段301、撮像画像データ200を変換処理して輝度画像データを生成し、輝度画像データに対し演算処理を実施してブロック単位での特徴量を算出する演算回路302、輝度画像データ等、演算回路302における演算処理で生成された各種中間画像データを記憶するRAM等のメモリから構成される作業用メモリ303、特徴量に基づいてイメージセンサ102の良否判定を行う判定回路304、判定結果を記憶する判定結果メモリ305、及び、判定結果を表示する判定結果表示手段306を備えて構成されている。
【0010】
次に、テスタ300における半導体装置100に対する検査工程の実施手順について、図29を基に説明する。テスタ300は、図29に示すように、先ず、光源310により、イメージセンサ102に光学的データを与え、半導体装置100から出力される撮像画像データ200を取得し、撮像画像データ記憶手段301に記憶する(ステップ#1101)。ここでの光学的データは、均質なグレー画像であり、テスタ300は、出力される撮像画像データ200に現れるシミ欠陥及びムラ欠陥を検出する。続いて、テスタ300の演算回路302は、撮像画像データ200から輝度画像データを生成して作業用メモリ303に記憶する(ステップ#1102)。更に、演算回路302は、輝度画像データに対し、点欠陥やシェーディング、ノイズの影響を除去するためのフィルタ処理や、シミ欠陥やムラ欠陥を強調するためのエラー輪郭抽出処理(エッジ検出フィルタ処理)を実行し、その結果を作業用メモリ303に記憶する(ステップ#1103)。ここで、図30は、フィルタ処理に用いるフィルタ演算用配列の一例を示しており、図30(a)は、点欠陥除去用の平滑化フィルタの演算用配列の一例を、図30(b)は、エラー輪郭抽出処理で用いるラプラシアンフィルタの演算用配列の一例を示している。更に、演算回路302は、フィルタ処理後の輝度画像データに対し、同じ面積のブロック単位で分割する分割処理を実行し、ブロック毎に統計処理して特徴量を算出する(ステップ#1104)。ここでの特徴量は、ブロック毎の輝度値の平均値、最大値及び最小値である。判定回路304は、ブロック毎の特徴量を用いてシミ欠陥及びムラ欠陥等を検出して半導体装置100の良否を判定し(ステップ#1105)、その結果を判定結果メモリ305に記憶する。更に、判定結果表示回路306が、判定結果メモリ305に記憶された判定結果を表示する。
【0011】
尚、上述した従来の画像診断技術では、画像診断に係る処理は、テスタ300上で実行することが前提となっている。つまり、被検査デバイスである半導体装置100から全撮像画像データを読み出し、テスタ300上で、読み出した撮像画像データ200に対して演算処理(輝度画像データへの変換処理、画像処理、ブロック分割処理、統計処理等)を実施し、その結果に基づいて半導体装置100の良否を判定している。
【0012】
一方、従来、固体撮像素子を搭載していない半導体装置(ロジックLSI)においては、BIST(Built−In−Self−Test)と呼ばれる自己診断回路が搭載されているものがある。BIST回路を搭載した半導体装置は、BIST回路による自己診断が可能であることから、検査工程を実行するために、画像処理用エンジンを搭載した高価なテスタ/計測器を必要としない。つまり、安価なテスタを用いて検査工程を実行することが可能である。尚、BIST回路としては、例えば、RAM(Randam Access Memory)に対する自己診断を実施するRAM−BIST等、様々な機能回路に対するBIST回路が提案されている。
【0013】
【特許文献1】特開2006−135700号公報
【非特許文献1】口井敏匡他、“統計型エラーモデルによるイメージセンサの画質検査手法について”、SEMIテクノロジシンポジウム2006論文集、p.4-93
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、固体撮像素子に対する自己診断を実施するBIST技術は未だ開発されていない。尚、固体撮像素子を搭載した半導体装置においても、固体撮像素子に対するBIST回路を搭載することができれば、現在、画像処理用エンジンを搭載した高価なテスタを使用する必要がなくなり、画像処理用エンジンを搭載していない安価なテスタを使用可能になる。また、BIST回路を搭載した半導体装置では、画像診断時に、撮像画像データをテスタの画像処理用エンジンに転送する必要がなくなる。例えば、比較的画素数の多い1000万画素のイメージセンサでは、撮像画像データのデータ量が、約12000万bit(≒3648×2736×12bit)にもなり、撮像画像データをテスタの画像処理用エンジンに転送するのに相当の時間がかかる。BIST回路を搭載した半導体装置では、撮像画像データの転送時間がなくなり、高速に画像診断を実行する事が可能になる。
【0015】
ここで、図31は、上述した画像診断に係る処理をテスタ300上で実行することが前提となっている場合におけるテスタ300の装置構成を、全てそのままBIST回路化して半導体装置400に搭載した場合を想定した仮想的な半導体装置400の概略構成を示している。
【0016】
図31に示す仮想的な半導体装置400及びテスタ500の装置構成について説明する。半導体装置400は、図28に示すイメージセンサ102、読み出し回路103、制御回路101及び出力回路104に加え、読み出し回路103が読み出した撮像画像データ200を記憶する固定ディスク等で構成される撮像画像データ記憶手段401、撮像画像データ200に対して演算処理を行い、イメージセンサ102の良否判定に用いる特徴量を算出する演算回路402、演算回路112で生成される各種中間画像データを記憶するためのRAM等のメモリから構成される作業用メモリ403を備えている。半導体装置400の出力回路104は、演算回路402が算出した特徴量をテスタ500に対して出力する。テスタ500は、図31に示すように、半導体装置400から出力される特徴量に基づいてイメージセンサ102の良否判定を行う判定回路304、判定結果を記憶する判定結果メモリ305、及び、判定結果を表示する判定結果表示手段306を備えて構成されている。
【0017】
しかしながら、図31に示す仮想的な半導体装置400は、大容量のメモリ等を比較的容易に搭載可能なテスタ300において画像診断における演算処理を行う装置構成をそのまま流用しているので、撮像画像データや中間画像データを記憶するために、比較的容量の大きなメモリ空間を必要とする。
【0018】
以下、イメージセンサに対するBIST回路で必要とされるメモリ空間の容量について具体的に説明する。先ず、現状で比較的画素数の少ない200万画素(=2Mピクセル≒1600×1280ピクセル)のイメージセンサ102を例に説明する。図31において、1ピクセル当たり必要なデータビット数を10bitとすると、撮像画像データのサイズは、200万×10bit=2000万bitとなる。そうすると、撮像画像データ記憶手段401で必要とされる記憶容量は2000万bitとなる。また、撮像画像データから得られる輝度画像データのサイズ、及び、輝度画像データを画像処理した後の中間画像データのサイズは、夫々、約2000万bitとなる。また、画像処理後の中間画像データを64bit×64bitの大きさのブロックで500個に分割する場合、特徴量を算出する作業領域のサイズは、64×64(=4096)bitとなる。また、特徴量のデータサイズは16bitとする。従って、作業用メモリ403で必要とされる記憶容量は、輝度画像データを記憶するための約2000万bit、中間画像データを記憶するための約2000万bit、特徴量を算出するための64×64bit、特徴量を記憶するための16bitを加算したものとなる。
【0019】
また、比較的画素数の多い1000万画素(=10Mピクセル≒3648×2736ピクセル)のイメージセンサでは、図31において、1ピクセル当たり必要なデータビット数を12bitとすると、撮像画像データのサイズは、1000万×12bit=12000万bitとなる。そうすると、撮像画像データ記憶手段401で必要とされる記憶容量は約1200万bitとなる。また、撮像画像データから得られる輝度画像データのサイズ、及び、輝度画像データを画像処理した後の中間画像データのサイズは、夫々、約1200万bitとなる。また、画像処理後の中間画像データを64bit×64bitの大きさのブロックで500個に分割する場合、特徴量を算出する作業領域のサイズは、64×64(=4096)bitとなる。また、特徴量のデータサイズは16bitとする。従って、作業用メモリ403で必要とされる記憶容量は、輝度画像データを記憶するための約12000万bit、中間画像データを記憶するための約12000万bit、特徴量を算出するための64×64bit、特徴量を記憶するための16bitを加算したものとなる。
【0020】
従って、図31に示す仮想的な半導体装置400においては、BIST回路410を実装するためには、比較的画素数の少ない200万画素(2Mピクセル)のイメージセンサ102であっても、2000万bit以上のデータを記憶可能な撮像画像データ記憶手段と、2000万×2以上のデータを記憶可能な作業用メモリを実装しなくてはならないことを意味している。このような大容量のメモリは、テスタ500内での実装は容易であるが、半導体装置400内に実装するには非現実的である。
【0021】
尚、固体撮像素子の1つであるCMOSセンサは、CMOS構造をしている為、同じCMOS構造のMOSトランジスタ等と同時に同じ工程で製造する事が可能であり、数百万ゲート程度のロジック回路を、同一チップ上にCMOSセンサと同時に形成することが可能である。但し、このCMOSセンサにおいても、比較的画素数の少ない200万画素のイメージセンサ102における約2000万bitのデータを記憶可能なメモリを複数実装することは非現実的である。
【0022】
従って、画像診断におけるコスト及び診断時間の観点から、固体撮像素子を備えた半導体装置において、BIST回路を搭載するために、半導体装置に搭載可能な記憶容量のメモリ領域で実施可能な画像診断技術が望まれている。
【0023】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、固体撮像素子に対する画像診断で必要とされるメモリ領域の記憶容量を、半導体装置に搭載可能な記憶容量に抑え、固体撮像素子のBIST回路を搭載した半導体装置を提供する点にある。また、該半導体装置に対する画像診断方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するための本発明に係る半導体装置は、光信号を電気信号に変換する固体撮像素子と、前記固体撮像素子から出力される前記電気信号を受けて、デジタル形式の撮像画像データを出力する読み出し手段と、前記固体撮像素子の画像診断時に前記撮像画像データの良否を判定する画像診断用テスト手段が同一基板上に形成された半導体装置であって、前記画像診断用テスト手段は、診断作業用領域設定手段と、部分撮像画像データ記憶手段と、診断用データ生成手段と、診断用データ出力手段と、を備えてなり、前記診断作業用領域設定手段は、前記画像診断時において、前記撮像画像データの領域全体に亘って複数の有効診断領域を設定し、前記有効診断領域毎に、前記有効診断領域を含む前記診断作業用領域を設定し、前記読み出し手段は、前記画像診断時において、前記診断作業用領域毎に、前記診断作業用領域に対応する部分撮像画像データを読み出す部分読み出し処理を実行し、前記部分撮像画像データ記憶手段は、前記画像診断時において、前記部分読み出し処理毎に、前記読み出し手段が読み出した前記部分撮像画像データを記憶し、前記診断用データ生成手段は、前記画像診断時において、前記部分読み出し処理毎に、前記部分撮像画像データ記憶手段に記憶された前記部分撮像画像データ夫々に対し、所定の画像処理及び所定の第1統計処理を含む演算処理を実行し、前記演算処理を実行して得られるデータ処理結果に基づいて前記固体撮像素子の診断用データを生成し、前記診断用データ出力手段は、前記画像診断時に、前記診断用データを出力するように構成されていることを第1の特徴とする。
【0025】
上記特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断作業用領域設定手段は、前記診断用データ生成手段において前記診断作業用領域内の一部の画像データのデータ欠損を伴う前記画像処理を実行する場合に、前記有効診断領域の周囲に、前記データ欠損を補う無効診断領域を加えて前記診断作業用領域とすることを第2の特徴とする。
【0026】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断作業用領域設定手段は、前記有効診断領域を、隣接する前記有効診断領域同士が一部で重複するように配置することを第3の特徴とする。
【0027】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、前記第1統計処理において、前記部分撮像画像データ毎に、前記部分撮像画像データを前記演算処理した後の中間画像データに含まれる各画素の画素値を合計した特徴量を求めることを第4の特徴とする。
【0028】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、前記演算処理において、前記部分撮像画像データ夫々に対し前記画像処理及び前記第1統計処理を実行して得られる中間処理結果を用いて所定の第2統計処理を実行し、前記第2統計処理の結果を前記データ処理結果として用いて前記診断用データを生成することを第5の特徴とする。
【0029】
上記特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、前記第1統計処理において、前記部分撮像画像データ毎に、前記部分撮像画像データを前記演算処理した後の中間画像データに含まれる各画素の画素値を合計した特徴量を求め、前記第2統計処理において、前記部分撮像画像データ毎の前記特徴量を用い、前記特徴量の最大値、前記特徴量の最小値及び前記特徴量の平均値を求めることを第6の特徴とする。
【0030】
上記特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、前記特徴量の最大値から前記特徴量の平均値を減算した値を、前記特徴量の最小値から前記特徴量の平均値を減算した値で除算し、前記診断用データを求めることを第7の特徴とする。
【0031】
上記第4、第6、第7の特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、前記第1統計処理において、前記中間画像データを各画素群に含まれる画素数が同じになるように複数の前記画素群に分割し、前記画素群毎に、前記画素群に含まれる各画素の画素値を合計して前記特徴量を求めることを第8の特徴とする。
【0032】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記固体撮像素子の良否判定に用いる判定用データの前記半導体装置外部からの入力を受け付ける判定用データ入力手段を備え、前記診断用データ生成手段は、前記データ処理結果と前記判定用データを用いて前記固体撮像素子の良否判定を実行し、前記固体撮像素子の良否判定の結果を前記診断用データとすることを第9の特徴とする。
【0033】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、前記画像処理において、シェーディング補正処理、点欠陥除去処理、エラー輪郭抽出処理の少なくとも何れか1つを含むフィルタ処理を実行することを第10の特徴とする。
【0034】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、外部入力により、前記診断用データ生成手段における前記演算処理の内容を設定するための処理内容設定用パラメータを受け付ける処理内容設定用パラメータ入力手段を備え、前記診断用データ生成手段は、前記処理内容設定用パラメータに基づいて、前記演算処理の内容を設定及び変更することを第11の特徴とする。
【0035】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、所定数の前記部分撮像画像データの夫々に対し、同時並行的に、前記演算処理を実行可能に構成されていることを第12の特徴とする。
【0036】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記部分撮像画像データ記憶手段は、前記所定数の前記部分撮像画像データを同時に記憶可能な記憶容量を備えてなることを第13の特徴とする。
【0037】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、前記画像処理において、シフト演算処理及び加減算処理からなるフィルタ処理を実行することを第14の特徴とする。
【0038】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記診断用データ生成手段は、前記画像処理における中間画像データを、前記部分撮像画像データ記憶手段の前記部分撮像画像データの記憶領域を利用して一時的に保存することを第15の特徴とする。
【0039】
上記何れかの特徴の本発明に係る半導体装置は、前記読み出し手段は、前記固体撮像素子を駆動する駆動タイミング発生回路と、前記固体撮像素子から出力される前記電気信号をデジタル形式のデジタル信号に変換するAD変換回路と、前記AD変換回路から出力される前記デジタル信号を所定の形式に変換して前記撮像画像データを生成する信号処理回路と、前記駆動タイミング発生回路、前記AD変換回路及び前記信号処理回路を制御する読み出し制御回路と、を備えてなることを第16の特徴とする。
【0040】
上記目的を達成するための本発明に係る画像診断方法は、上記何れかの特徴の半導体装置の良否判定を行うための半導体装置の画像診断方法であって、前記画像診断時に、前記半導体装置を前記固体撮像素子の画像診断モードに設定する画像診断モード設定工程と、前記半導体装置の前記診断用データ出力手段から出力される前記診断用データを受け付ける診断用データ取得工程と、前記診断用データを用いて前記半導体装置の前記固体撮像素子の良否判定を行う判定工程と、を実行することを第1の特徴とする。
【0041】
上記目的を達成するための本発明に係る画像診断方法は、上記何れかの特徴の半導体装置を用いて、前記半導体装置の前記固体撮像素子により撮像された前記撮像画像データの良否判定を行うための画像診断方法であって、前記画像診断時に、前記半導体装置を画像診断モードに設定する画像診断モード設定工程と、前記半導体装置の前記診断用データ出力手段から出力される前記診断用データを受け付ける診断用データ取得工程と、前記診断用データを用いて、前記撮像画像データの良否判定を行う判定工程と、を実行することを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
上記特徴の半導体装置によれば、固体撮像素子と画像診断用テスト手段(固体撮像素子の画像診断用のBIST回路)が同一基板上に形成されている場合に、画像診断時に、画像診断用テスト手段が、撮像画像データに複数の有効診断領域を設定し、有効診断領域毎に設定した診断作業用領域毎に、部分読み出し処理及び演算処理を実行して診断用データを生成するように構成したので、図31に示す仮想的な半導体装置のように撮像画像データ全体に対し読み出し処理及び演算処理を実行する場合に比べ、各種処理の対象となる部分撮像画像データのデータ容量を半導体装置に搭載可能な程度に小さく抑えることが可能になる。これによって、固体撮像素子を備える半導体装置内に、固体撮像素子から得られる撮像画像データのシミ欠陥やムラ欠陥を検出するために、固体撮像素子の画像診断用のBIST回路を構築することが可能になる。
【0043】
更に、上記特徴の半導体装置によれば、固体撮像素子を搭載する場合に、固体撮像素子を自己診断するためのBIST回路を同一基板上に形成可能になることから、固体撮像素子の画像診断において、固体撮像素子を診断するための画像処理用エンジン等を搭載した高価なテスタを用いる必要がなく、画像処理用エンジンを搭載しない安価なテスタを用いることが可能になる。これによって、固体撮像素子を備える半導体装置に対する固体撮像素子の画像診断を安価に行うことが可能になる。また、特別なテスタを用いる必要がなく、安価なテスタを用いることが可能であるため、多数の上記特徴の半導体装置に対する固体撮像素子の画像診断を行う場合に使用可能なテスタ数を増やすことができ、同時並行的に固体撮像素子の画像診断を行う半導体装置の個数を増やすことが可能になり、画像診断時間を多数の半導体装置全体で低減することが可能になる。
【0044】
また、上記第12の特徴の半導体装置の如く、診断用データ生成手段を、所定数の部分撮像画像データの夫々に対し、同時並行的に、演算処理を実行可能に構成すれば、演算処理の高効率化を図ることが可能になり、画像診断にかかる時間を短縮可能になる。
【0045】
尚、上記特徴の半導体装置では、有効診断領域の配置設定及び画像処理の内容設定により、複数種類の欠陥に対応することが可能になる。具体的には、例えば、診断作業用領域夫々の画像データである部分撮像画像データ夫々に対し、画像処理として1×5線欠陥検出フィルタ処理を実行するように構成すれば、縦線欠陥を検出可能になる。また、診断作業用領域夫々の画像データである部分撮像画像データ夫々に対し、画像処理として5×1線欠陥検出フィルタ処理を実行するように構成すれば、横線欠陥を検出可能になる。更に、上記特徴の半導体装置では、固体撮像素子のBIST回路を搭載しているため、製品出荷後の通常動作時において、半導体装置本来の動作に影響しない範囲で自己診断を実施することが可能であり、異常発生時における救済措置や通報措置、異常発生箇所の情報提供等が実施可能になる。これによって、上記特徴の半導体装置を用いた機器では、半導体装置の固体撮像素子に異常が発生した場合に、当該異常に対する対応を容易にすることが可能になる。
【0046】
また、上記第2の特徴の画像診断方法によれば、上記何れかの特徴の半導体装置は、液晶ディスプレイ等のフラットパネルや鋼板等に対する診断を行う検査装置に応用することが可能になる。具体的には、上記特徴の半導体装置において、固体撮像素子の画像診断は、固体撮像素子に均質なグレー画像(診断用画像)を撮像させて行うが、固体撮像素子に診断用画像に替えて液晶ディスプレイ等の被検査対象を撮像させ、当該被検査対象の撮像画像データを、画像診断用テスト手段(BIST回路)を用いて診断するように構成すれば、被検査対象におけるシミ欠陥やムラ欠陥等の診断を行うことが可能になる。液晶ディスプレイ等のフラットパネルや鋼板等に対する診断を行う検査装置に、上記特徴の半導体装置を用いれば、該検査装置を安価に構築することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明に係る半導体装置及びその画像診断方法(以下、適宜「本発明装置」、「本発明方法」と称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0048】
〈第1実施形態〉
本発明装置の第1実施形態について図1〜図10を基に説明する。尚、本実施形態の本発明装置で画像診断の対象、つまり、スクリーニングの対象となる欠陥は、シミ欠陥及びムラ欠陥であり、検出に複雑な画像処理を必要としない点欠陥については他の方法で検出を行うこととする。
【0049】
先ず、本発明装置及びテスタの構成について図1を基に説明する。ここで、図1は、本発明装置1の画像診断に係る部分の部分概略構成、及び、本発明装置1に対する各種検査工程(画像診断)を実施するテスタ2の概略構成の一例について示している。
【0050】
本発明装置1は、光信号を電気信号に変換するイメージセンサ12(固体撮像素子)と、イメージセンサ12から出力される電気信号を受けて、デジタル形式の撮像画像データを出力する読み出し回路13(読み出し手段に相当)と、イメージセンサ12の画像診断時に撮像画像データの良否を判定するBIST回路14(画像診断用テスト手段に相当)が同一の半導体基板上に形成されている。図1に示すように、本発明装置1のBIST回路14は、診断作業用領域設定手段14aと、部分撮像画像データ記憶手段14bと、診断用データ生成手段14cと、診断用データ出力手段14dを備えて構成されている。本実施形態では、更に、各種中間画像データ等、診断用データ生成手段14cにおける診断用データの生成過程で生成されるデータや、診断用データを記憶するための中間画像データ記憶手段14eを備えている。より詳細には、本発明装置1は、テストモード制御回路11により、通常動作時は、イメージセンサ12の撮像処理及び読み出し回路13による読み出し処理を実行するように制御され、画像診断時は、イメージセンサ12の撮像処理、読み出し回路13による部分読み出し処理及びBIST回路14による演算処理等を実行するように制御される。診断作業用領域設定手段14aは、画像診断時において、撮像画像データの領域全体に亘って複数の有効診断領域を設定し、有効診断領域毎に、有効診断領域を含む診断作業用領域を設定する。読み出し回路13は、画像診断時において、診断作業用領域毎に、診断作業用領域の画像データである部分撮像画像データを読み出す部分読み出し処理を実行する。部分撮像画像データ記憶手段14bは、画像診断時において、部分読み出し処理毎に、読み出し回路13が読み出した部分撮像画像データを記憶する。診断用データ生成手段14cは、画像診断時において、部分読み出し処理毎に、部分撮像画像データ記憶手段14bに記憶された部分撮像画像データ夫々に対し、所定の画像処理及び所定の第1統計処理を含む演算処理を実行し、演算処理を実行して得られるデータ処理結果に基づいてイメージセンサ12の診断用データを生成する。診断用データ出力手段14dは、画像診断時に、診断用データを出力する。
【0051】
本実施形態では、イメージセンサ12として、比較的画素数の少ない200万画素(1ピクセル当たりのデータビット数10bit)のCMOSセンサを想定している。また、部分撮像画像データ記憶手段14bは、RAMまたはレジスタ等のメモリを想定しており、部分撮像画像データのデータ容量に応じた記憶容量を備えている。
【0052】
テスタ2は、本実施形態では、本発明装置1から出力される診断用データを受け付ける診断用データ入力手段21と、受け付けた診断用データに対する統計処理及び判定処理を実行して本発明装置1のイメージセンサ12の良否判定を行う判定回路22と、本発明装置1のイメージセンサ12の良否判定の結果を記憶する作業用/判定結果メモリ23と、良否判定の結果を表示する判定結果表示回路24を備えている。
【0053】
次に、画像診断時における本発明装置1及びテスタ2の動作について、図2を基に説明する。ここで、図2は、本発明装置1及びテスタ2の処理手順を示すフローチャートである。尚、本実施形態では、BIST回路14の診断用データ生成手段14cが実行する画像処理として、フィルタ処理を想定している。
【0054】
尚、本実施形態では、有効診断領域及び診断作業用領域の大きさ(サイズ)は、イメージセンサ12の画素構成に応じて予め以下の要領で設定されている。ここで、図3及び図4は、撮像画像データの全撮像素子領域PA及び有効撮像素子領域PEに対する有効診断領域Rd及び診断作業用領域Rfの設定例を示している。本実施形態では、図3(a)に示すように、イメージセンサ12から読み出し回路13により読み出される撮像画像データの領域全体、ここでは、イメージセンサ12に含まれる全撮像素子で規定される全撮像素子領域PAの内、実際に撮像に用いられる有効撮像素子(1600×1280ピクセル)によって撮像された有効撮像素子領域PEの全体を、面積(画素数)の等しい複数の長方形に分割し、分割した部分領域の夫々を有効診断領域Rdとしている。本実施形態では、有効診断領域Rdは、X方向の幅をXdピクセル、Y方向の幅をYdピクセルとするXd×Ydの大きさの長方形である。
【0055】
更に、本実施形態では、診断用データ生成手段14cによる画像処理としてフィルタ処理を想定しており、診断作業用領域Rf内の一部の画像データのデータ欠損を伴うことから、図3(b)に示すように、有効診断領域Rdの周囲に、同じ幅のデータ欠損を補う無効診断領域(斜線部分)を加えて診断作業用領域Rfとしている。尚、本発明装置1では、画像診断の結果に反映される有効診断領域Rdを有効撮像素子領域PE全体に亘って設定することで、有効撮像素子領域PE内の撮像素子に、画像処理に起因するデータ欠損により画像診断できない撮像素子が生じないようにしている。尚、図3(a)に示すように、全撮像素子領域PAと有効撮像素子領域PEの境界に接する有効診断領域Rdの診断作業用領域Rfの場合、一部の要素のデータを取得できない場合がある。従って、本実施形態では、近似データにより補うこととする。
【0056】
ここで、図3〜図5を用いて、部分撮像画像データと、フィルタ処理後の中間画像データの対応関係(フィルタ処理によるデータ欠損)について説明する。尚、図5は、フィルタ処理の前後のデータ構成について、3×3フィルタの場合を例に示している。図5(a)は、3×3フィルタ適用前の画像データDb[i,j](i=0〜Xmax、j=0〜Ymax)を、図5(b)は、3×3フィルタの演算用配列F[k,l]を、図5(c)は3×3フィルタ適用後の画像データDa[i,j](i=1〜Xmax−1、j=1〜Ymax−1)を夫々示している。詳細には、フィルタ処理では、フィルタ処理を行う要素Db[i,j]だけでなく、周囲の要素を含めて演算を行う。即ち、3×3フィルタを用いたフィルタ処理では、要素Da[i,j]を求めるには、Db[i,j]だけでなく、Db[i−1,j−1]、Db[i,j−1]、Db[i+1,j−1]、Db[i−1,j]、Db[i+1,j−1]、Db[i−1,j+1]、Db[i,j+1]、Db[i+1,j+1]を用いて演算を行う。このため、3×3フィルタによるフィルタ処理の場合、図5(c)に示すように、斜線部分(上下左右に1ピクセル=(3−1)/2ピクセル)の要素は、画像診断の結果に反映されない要素(データ欠陥)となる。同様に、25×25フィルタでは、上下左右に12ピクセル(=(25−1)/2ピクセル)ずつ、9×9フィルタでは、上下左右に4ピクセル(=(9−1)/2ピクセル)ずつ、データ欠損が生じる。そして、フィルタ処理を実行する毎に、データ欠損部分は大きくなる。このため、本発明装置1では、診断用データ生成手段14cにおける全てのフィルタ処理(図2のステップ#140の画像処理)によるデータ欠損の大きさに基づいて、有効診断領域Rdに対する診断作業用領域Rfを設定する。本実施形態では、診断作業用領域Rfは、X方向の幅をXfピクセル、Y方向の幅をYfピクセルとするXf×Yfの大きさの長方形である。以下、Xf及びYfの値が64の場合について説明する。
【0057】
本発明装置1は、図2に示すように、テスタ2により、BIST回路14によるイメージセンサ12の画像診断を行うための画像診断モードの設定操作が行われると(ステップ#210)、イメージセンサ12から、診断用画像(光学的データ)としての均質なグレー画像を取り込む(ステップ#110)。本実施形態では、更に、中間画像データ記憶手段14eの各種パラメータ、例えば、中間画像データの記憶領域の初期化を行う。
【0058】
続いて、本発明装置1は、BIST回路14の診断作業用領域設定手段14aにより、読み出し回路13における部分読み出し処理毎に、診断用データの生成対象となる診断作業用領域Rfの有効撮像素子領域PEに対する位置情報を求めて読み出し回路13に位置情報を出力する(ステップ#120)。尚、本実施形態では、簡単のために、図3(a)に示すように、有効撮像素子領域PEの左上隅に設定される有効診断領域Rdを含む診断作業用領域Rfの左上隅(頂点)の座標を座標(0、0)に設定する。X軸、Y軸の単位はピクセルである。また、診断用データの生成対象となる診断作業用領域Rfの座標を、座標(X0、Y0)と表している。従って、診断作業用領域設定手段14aは、本実施形態では、最初の部分撮像画像データの部分読み出し処理時において、X0、Y0の値を夫々0に初期化する(ステップ#121、#122)。
【0059】
本発明装置1の読み出し回路13は、図2に示すように、イメージセンサ12が保持する診断用画像から、診断作業用領域設定手段14aによって設定された座標(X0、Y0)を頂点とする、X座標がX0〜X0+Xf、Y座標がY0〜Y0+Yfの診断作業用領域Rfの画像データである部分撮像画像データを読み出す部分読み出し処理を行う(ステップ#130)。更に、読み出し回路13は、読み出した部分撮像画像データを、部分撮像画像データ記憶手段14bに記憶する。
【0060】
本発明装置1は、BIST回路14の診断用データ生成手段14cにより、部分読み出し処理毎に、各部分読み出し処理で読み出された部分撮像画像データに対し、画像処理として各種フィルタ処理を行う(ステップ#140)。ここで、図6は、診断用データ生成手段14cによる画像処理の処理手順の具体例を示している。また、図7(a)は、シェーディング補正処理で用いる平滑化フィルタの演算用配列の一例を、図7(b)は、エラー輪郭抽出処理で用いるラプラシアンフィルタの演算用配列の一例を示している。
【0061】
診断用データ生成手段14cは、図6に示すように、画像処理において、先ず、シェーディングの影響を除去するためのシェーディング補正処理を実施する(ステップ#141)。詳細には、ここでのシェーディング補正処理は、部分撮像画像データに対し、図7(a)に示す25×25移動平均フィルタを適用して画素値のばらつきを平均化した第1中間画像データを生成し(ステップ#142)、部分撮像画像データと第1中間画像データの差分計算により第2中間画像データを生成して(ステップ#143)実行される。尚、部分撮像画像データのサイズは、上述したように、図3に示す診断作業用領域Rfが64×64ピクセルであり、1ピクセル当たりのデータビット数を10bitとすると、64×64×10bitとなる。第1中間画像データのサイズは、25×25移動平均フィルタにより、40×40×10bitとなる。これは、上述したように、25×25移動平均フィルタを適用することにより、上下左右の12ピクセルの要素が欠損するためである。第2中間画像データのサイズは第1中間画像データと同じである。
【0062】
引き続き、診断用データ生成手段14cは、図6に示すように、本実施形態では、検出容易な点欠陥は他の検出方法で検出することとし、スクリーニング対象とならない点欠陥を除去するための点欠陥除去処理を行う(ステップ#144)。詳細には、ここでの点欠陥除去処理は、シェーディング補正処理の処理結果である第2中間画像データに対し、3×3移動平均フィルタを適用して第3中間画像データを生成する。尚、第3中間画像データのサイズは、3×3移動平均フィルタにより38×38×10bitとなる。
【0063】
引き続き、診断用データ生成手段14cは、スクリーニング対象となるシミ欠陥及びムラ欠陥を強調するためのエラー輪郭抽出処理を実行する(ステップ#145)。詳細には、ここでのエラー輪郭抽出処理は、点欠陥除去処理の処理結果である第3中間画像データに対し、圧縮処理を実行して第4中間画像データを生成し(ステップ#146)、第4中間画像データに9×9ラプラシアンフィルタを適用して第5中間画像データを生成して行う(ステップ#147)。尚、第4中間画像データのサイズは、2×2→1×1圧縮処理により19×19×10bitとなる。第5中間画像データのサイズは、9×9ラプラシアンフィルタにより11×11×10bitとなる。
【0064】
BIST回路14の診断用データ生成手段14cは、図2に示すように、部分撮像画像データの画像処理結果である第5中間画像データに対し、第1統計処理を実行する(ステップ#150)。具体的には、診断用データ生成手段14cは、第1統計処理において、第5中間画像データに含まれる各画素の画素値を合計して、座標(X0,Y0)を頂点とする部分撮像画像データの特徴量Z(X0,Y0)を求める。診断用データ出力手段14dは、診断用データ生成手段14cにより座標(X0,Y0)を頂点とする部分撮像画像データの特徴量Z(X0,Y0)が算出されると、テスタ2に対し、算出された特徴量を診断用データとして出力する。
【0065】
BIST回路14の診断作業用領域設定手段14aは、診断用データ出力手段14dにより、テスタ2に対し、診断用データ生成手段14cにより算出された座標(X0,Y0)を頂点とする部分撮像画像データの特徴量Z(X0,Y0)が出力されると(ステップ#160)、次の診断用データの生成対象となる診断作業用領域Rfの位置情報、ここでは診断作業用領域Rfの頂点の座標(X0,Y0)を求めて、読み出し回路13に位置情報を出力する(ステップ#120’、#120)。具体的には、頂点の座標(0,0)の診断作業用領域Rfから、特徴量Z(X0,Y0)の算出毎に、先ず、X座標の値X0を有効診断領域RdのX方向の幅Xdずつ増加させて(ステップ#123)、同じY座標を持つ診断作業用領域Rfを順次選択する。X0の値がXmax(=Xd×(n−1)、nはX方向に設定された有効診断領域Rdの数)より大きくなり、同じY座標を持つ診断作業用領域Rfが全て選択されると(ステップ#124でYes分岐)、Y座標の値Y0を、有効診断領域RdのY方向の幅Ydだけ増加させる(ステップ#125)。同様の処理を、Y0の値がYmax(=Yd×(m−1)、mはY方向に設定された有効診断領域Rdの数)より大きくなるまで繰り返し実行し(ステップ#126)、有効撮像素子領域PEに設定された全ての有効診断領域Rdの診断作業用領域Rfについて、特徴量Z(X0,Y0)を算出する。ここで、図8は、診断用データ生成手段14cによる演算処理結果としての特徴量Z(X0,Y0)を示しており、本実施形態では、n×m個の特徴量Z(X0,Y0)が求められる。
【0066】
テスタ2は、画像診断モードの設定後、診断用データ入力手段21により、本発明装置1から順次出力される診断用データとしての特徴量Z(X0,Y0)(X0=0〜Xd×(n−1)、Y0=0〜Yd×(m−1))を受け付け、作業用/判定結果メモリ23に記憶する(ステップ#220)。テスタ2は、n×m個の全ての特徴量Z(X0,Y0)を受け付けると、判定回路22により、本発明装置1のイメージセンサ12の良否判定を行う判定処理として、n×m個の特徴量Z(X0,Y0)に対する統計処理及びエラー判定を実行する(ステップ#230)。具体的には、テスタ2は、統計処理において、n×m個の特徴量Z(X0,Y0)から、特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveを求める(ステップ#231)。
【0067】
更に、テスタ2の判定回路22は、統計処理で算出した特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveに基づいてエラー判定を行う(ステップ#232)。ここで、図9は、半導体装置のイメージセンサ12が良品である場合のn×m個の特徴量Z(X0,Y0)の分布を、図10は、半導体装置のイメージセンサ12が不良品である場合のn×m個の特徴量Z(X0,Y0)の分布を示している。図9及び図10を比較して分かるように、撮像画像データにシミ欠陥やムラ欠陥があれば、エラー領域に分布が現れ(図10の波線部分)、欠陥があることが判定できる。従って、本実施形態では、以下の数1に示すように、最大値Zmaxと平均値Zaveの差と、平均値Zaveと最小値Zminの差の比Pが、所定のエラー判定値Lより小さい場合に、良品であると判定する。
【0068】
[数1]
P=(Zmax−Zave)/(Zave−Zmin)<L
【0069】
テスタ2は、判定回路22によりエラー判定(ステップ#232)が実行されると、その結果を作業用/判定結果メモリ23に記憶し、判定結果表示回路24により、半導体装置のイメージセンサ12に対する画像診断結果を表示し(ステップ#240)、画像診断処理を終了する。
【0070】
以下、本発明装置1において、部分撮像画像データ記憶手段14b及び中間画像データ記憶手段14eの記憶容量について、具体的な数値で説明する。
【0071】
先ず、本発明装置1において、部分撮像画像データ記憶手段14b及び中間画像データ記憶手段14eの記憶容量を求めるために、診断作業用領域Rfのサイズの設定方法について説明する。本実施形態では、診断作業用領域Rfのサイズを仮に64×64ピクセルとしたが、診断作業用領域Rfのサイズは、2つの設定要件に基づいて設定する。
【0072】
第1設定要件として、診断作業用領域Rfのサイズは、シェーディング補正処理におけるシェーディングの除去に必要な情報が確保できるサイズであることが必要である。詳細には、本実施形態では、シェーディング補正処理において、平滑化フィルタ(25×25移動平均フィルタ)を適用して部分撮像画像データからノイズを除去した後、元の部分撮像画像データと平滑化フィルタ適用後の第1中間画像データの差分を求めている。即ち、部分撮像画像データに対する平滑化フィルタの適用において、シェーディング成分のみの第1中間画像データを生成する必要がある。このためには、ある一定以上のサイズの平滑化フィルタを使用する必要がある。尚、平滑化フィルタのサイズは、経験則的に、画像の横幅(ピクセル)の1/100程度のフィルタサイズが必要となることが知られている。従って、本実施形態では、イメージセンサ12が200万画素(=1600×1280ピクセル)のCMOSセンサであることから、平滑化フィルタのサイズは、16(=1600/100)×16ピクセル以上に設定する。
【0073】
第2設定要件として、診断作業用領域Rfのサイズは、有効診断領域Rdのサイズが、シミ欠陥の判定に必要なサイズ以上となることが必要である。つまり、シミ欠陥のエッジ検出時にエッジが検出できるだけの情報が必要である。
【0074】
ところで、上述したように、本実施形態の画像処理では、シェーディング補正処理における25×25フィルタ処理、点欠陥除去処理における3×3フィルタ処理、エラー輪郭抽出処理における2×2→1×1圧縮処理、及び、9×9フィルタ処理(エッジ検出処理)を実行するように構成されている。尚、フィルタ処理において、ダミー画素を付加する等、データ欠損が生じないフィルタ処理もあるが、本実施形態では、説明のために、データ欠損を伴う場合を想定している。ここで、本実施形態における画像処理のデータ欠損量は、具体的には、25×25移動平均フィルタによる上下左右に12ピクセル相当、3×3移動平均フィルタによる上下左右に1ピクセル相当、9×9ラプラシアンフィルタによる上下左右に4ピクセル相当を加味したものとなる。ところで、9×9ラプラシアンフィルタによるフィルタ処理は、2×2→1×1圧縮処理後に実行されるため、データ欠損量は2倍の上下左右に8ピクセル相当となる。このため、画像処理全体におけるデータ欠損量は、上下左右に12+1+8=21ピクセル相当となる。ここで、図3に示すように、診断作業用領域RfのX方向の幅をXfピクセル、Y方向の幅をYfピクセルとすると、画像処理後の有効診断領域Rdのサイズは、Xd×Yd=(Xf−21×2)×(Yf−21×2)となる。上述したように、診断作業用領域RfのサイズXf×Yfを64×64ピクセルとすると、画像処理後の有効診断領域Rdのサイズは、Xd×Yd=(64−21×2)×(64−21×2)=22×22ピクセルとなる。
【0075】
従って、図3に示すように、診断作業用領域RfのX方向の幅をXfピクセル、Y方向の幅をYfピクセルとすると、画像処理後の部分撮像画像データのサイズは、(Xf/2−22)×(Yf/2−22)となる。尚、経験則的に、シミ欠陥の判定のためには、画像処理後の部分撮像画像データのサイズが、4×4〜8×8程度必要であることが知られている。従って、Xf>60(Xf/2−22>8)、Yf>60(Yf/2−22>8)を満たすXf、Yfを設定する。よって、本実施形態では、イメージセンサ12が200万画素(=1600×1280ピクセル)のCMOSセンサであり、有効撮像素子領域PE(=1600×1280ピクセル)を同じ面積の診断作業用領域Rfで分割することを考慮して、診断作業用領域Rfのサイズを64×64ピクセルに設定した。尚、このサイズは、第1設定要件(16×16以上)を満たしている。
【0076】
次に、上記設定要件に基づいて設定した診断作業用領域Rfのサイズ(64×64ピクセル)に基づいて、部分撮像画像データ記憶手段14bに必要とされる記憶容量を求める。尚、本実施形態では、本発明装置1のイメージセンサ12は、200万画素のCMOSセンサであり、1ピクセル当たりのデータビット数は10bit、撮像画像データのサイズは1600×1280ピクセルである。上述したように、本実施形態では、有効撮像素子領域PEを64×64ピクセルの大きさの有効診断領域Rdに分割したので、部分撮像画像データのサイズは、64×64×10bit=40960bitとなる。従って、部分撮像画像データ記憶手段14bに必要とされる記憶容量は、40960bitである。これは、図31に示す仮想的な半導体装置の撮像画像データ記憶手段401に必要とされる記憶容量2000万bitの1/500の容量であり、半導体装置の同一基板上に十分に形成可能なサイズとなっている。
【0077】
尚、本実施形態では、本発明装置1のイメージセンサ12として、比較的画素数の少ない200万画素のCMOSセンサである場合を想定したが、以下に、本発明装置1が、比較的画素数の多い1000万画素(10Mピクセル)のイメージセンサ12を備える場合について、具体的な数値で説明する。
【0078】
先ず、上述した第1設定要件及び第2設定要件に基づいて、診断作業用領域Rfのサイズを求める。第1設定要件については、200万画素のCMOSセンサの場合と同様である。第2設定要件については、シェーディング補正処理において39×39フィルタ処理、点欠陥除去処理において3×3フィルタ処理、エラー輪郭抽出処理における2×2→1×1圧縮処理、及び、9×9フィルタ処理(エッジ検出処理)を実行することとする。尚、9×9ラプラシアンフィルタによるフィルタ処理は、上述したように、2×2→1×1圧縮処理後に実行されるため、データ欠損量は2倍の上下左右に8ピクセル相当となる。このため、画像処理全体におけるデータ欠損量は、上下左右に19+1+8=28ピクセル相当となる。そうすると、画像処理後の有効診断領域Rdのサイズは、Xd×Yd=(Xf−28×2)×(Yf−28×2)となる。上述したように、診断作業用領域RfのサイズXf×Yfを80×80ピクセルとすると、画像処理後の有効診断領域Rdのサイズは、Xd×Yd=(80−28×2)×(80−28×2)=24×24ピクセルとなる。
【0079】
従って、画像処理後の部分撮像画像データのサイズは、(Xf/2−28)×(Yf/2−28)となる。上述したように、経験則的に、シミ欠陥の判定のためには、画像処理後の部分撮像画像データのサイズが、4×4〜8×8程度必要であることから、Xf>72(Xf/2−28>8)、Yf>72(Yf/2−28>8)を満たすXf、Yfを設定する。ここでは、診断作業用領域Rfのサイズを80×80ピクセルに設定する。尚、このサイズは、第1設定要件(16×16以上)を満たしている。
【0080】
次に、上述した診断作業用領域Rfのサイズ(80×80ピクセル)に基づいて、部分撮像画像データ記憶手段14bに必要とされる記憶容量を求める。尚、ここでは、1000万画素のイメージセンサ12を想定しており、1ピクセル当たりのデータビット数は12bitである。上述したように、有効撮像素子領域PEを80×80bitの大きさの有効診断領域Rdに分割したので、部分撮像画像データのサイズ、即ち、部分撮像画像データ記憶手段14bに必要とされる記憶容量は、80×80×12bit=76800bitとなる。これは、図31に示す仮想的な半導体装置の撮像画像データ記憶手段401に必要とされる記憶容量12000万bitの約1/1560の容量であり、半導体装置の同一基板上に十分に形成可能なサイズとなっている。
【0081】
ところで、本発明装置1の部分撮像画像データ記憶手段14bと中間画像データ記憶手段14eを除いたBIST回路14は、四則演算回路の組み合わせで構成される。具体的には、例えば、点欠陥除去処理における3×3フィルタは、除算に2のべき乗以外を使用しない条件で設計すれば1000ゲート程度で構成できる。また、エラー輪郭抽出処理における9×9フィルタは複雑なものを除けば3×3フィルタを複数回実行すれば実現できる。従って、部分撮像画像データを除いたBIST回路14は、中間画像データ記憶手段14eを含めても、1万〜5万ゲート程度で構成できる。
【0082】
従って、本実施形態の本発明装置1のように、200万画素のCMOSセンサを用いる場合、40Kビット程度のメモリと5万ゲート程度のロジック回路でBIST回路14を構築できる。また、1000万画素のイメージセンサ12を用いる場合でも、64Kビット程度のメモリと5万ゲート程度のロジック回路でBIST回路14を構築することが可能である。即ち、本発明装置1によれば、BIST回路14で必要とされるメモリの記憶容量を半導体装置内に搭載可能な記憶容量に抑えることができ、イメージセンサ12のBIST回路14を搭載した半導体装置を実現できる。
【0083】
〈第2実施形態〉
本発明装置1の第2実施形態について、図11及び図12を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1実施形態とは、診断用データ生成手段14cの構成が異なる場合について説明する。詳細には、上記第1実施形態では、診断用データ生成手段14cは、演算処理として画像処理と第1統計処理を実行したが、本実施形態では、BIST回路14の診断用データ生成手段14cは、演算処理として、画像処理と第1統計処理に加え、更に、第2統計処理を実施する。
【0084】
先ず、本実施形態の本発明装置1及びテスタ2の構成について図11を基に説明する。ここで、図11は、本実施形態の本発明装置1の画像診断に係る部分の部分概略構成、及び、本実施形態のテスタ2の概略構成の一例について示している。尚、本発明装置1におけるイメージセンサ12、読み出し回路13、テストモード制御回路11、診断作業用領域設定手段14a及び部分撮像画像データ記憶手段14bの構成、及び、テスタ2における作業用/判定結果メモリ23及び判定結果表示回路24の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0085】
本実施形態の本発明装置1において、BIST回路14の診断用データ生成手段14cは、部分撮像画像データ夫々に対し画像処理及び第1統計処理を実行して得られる中間処理結果を用いて所定の第2統計処理を実行し、第2統計処理の結果(データ処理結果)に基づいて診断用データを生成する。ここでの第2統計処理は、具体的には、部分撮像画像データ夫々の特徴量Z(X0,Y0)から、特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveを求める。
【0086】
より詳細には、本実施形態の診断用データ生成手段14cは、最大値Zmaxについては、特徴量Z(X0,Y0)を算出する毎に、前回までの最大値Zmaxと逐次比較し、前回までの最大値Zmaxより新たに算出された特徴量Z(X0,Y0)の方が大きい場合に、最大値Zmaxの値を置き換える。同様に、最小値Zminについては、特徴量Z(X0,Y0)が算出される毎に、前回までの最小値Zminと逐次比較し、前回までの最小値Zminより新たに算出された特徴量Z(X0,Y0)の方が小さい場合に、最小値Zminの値を置き換える。また、特徴量の平均値Zaveについては、本実施形態では、特徴量Z(X0,Y0)のデータ数N(=n×m)とおくと、以下の数2で求められる。尚、数2において、Σは、X0=0〜Xd×(n−1)、Y0=0〜Yd×(m−1)の範囲の(Z(X0,Y0)/N)を合計することを示す演算子である。
【0087】
[数2]
Zave=Σ(Z(X0,Y0)/N)
【0088】
従って、本実施形態の診断用データ生成手段14cは、特徴量Z(X0,Y0)が算出される毎に、Z(X0,Y0)/Nを求めてZaveに順次加算する。
【0089】
本実施形態の本発明装置1において、BIST回路14の中間画像データ記憶手段14eは、画像処理及び第1統計処理で用いる中間画像データに加え、特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveを記憶可能に構成されている。
【0090】
本実施形態のBIST回路14の診断用データ出力手段14dは、診断用データ生成手段14cから、診断用データとして、第2統計処理で算出した特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveを受け付け、テスタ2に出力する。
【0091】
本実施形態の中間画像データ記憶手段14eは、各中間画像データに加え、部分撮像画像データ毎に特徴量Z(X0,Y0)を記憶可能に構成されている。
【0092】
本実施形態のテスタ2の判定回路22は、本発明装置1から、診断用データとして、特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveを受け付け、これらの値に基づいて半導体装置の判定処理を行う。
【0093】
次に、画像診断時における本実施形態の本発明装置1及びテスタ2の動作について、図12を基に説明する。ここで、図12は、本発明装置1及びテスタ2の処理手順を示すフローチャートである。尚、テスタ2におけるステップ#210及び#240、本発明装置1におけるステップ#120〜#140については、上記第1実施形態と同じである。
【0094】
本実施形態では、ステップ#110において、中間画像データ記憶手段14eの各種パラメータの初期化時に、特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveを記憶する記憶領域の初期化を行う。
【0095】
本実施形態では、ステップ#150の実行後、BIST回路14の診断用データ生成手段14cは、第1統計処理において特徴量Z(X0,Y0)を算出する毎に、第2統計処理として、特徴量Z(X0,Y0)と中間画像データ記憶手段14eに記憶された最大値Zmaxを比較し、新たに算出された特徴量Z(X0,Y0)の方が大きい場合に、最大値Zmaxの値を置き換える。同様に、新たに算出された特徴量Z(X0,Y0)と中間画像データ記憶手段14eに記憶された最小値Zminを比較し、新たに算出された特徴量Z(X0,Y0)の方が小さい場合に、最小値Zminの値を置き換える。更に、新たに算出した特徴量Z(X0,Y0)を用いてZ(X0,Y0)/Nを算出し、中間画像データ記憶手段14eに記憶されたZaveに加算する(ステップ#170)。これにより、ステップ#120の終了後には、中間画像データ記憶手段14eには、特徴量の最大値Zmax、最小値Zmin、平均値Zaveが記憶されることとなる。
【0096】
本実施形態の診断用データ出力手段14dは、ステップ#120の終了後(ステップ#126でYes分岐)、診断用データ生成手段14cが算出した特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveを、テスタ2に対し、診断用データとして出力する(ステップ#160)。
【0097】
本実施形態のテスタ2は、診断用データ入力手段21により、本発明装置1から診断用データとして特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveを受け付けると(ステップ#220)、判定回路22により、エラー判定を行う(ステップ#230)。エラー判定は、上記第1実施形態と同様に、数1に示すように、最大値Zmaxと平均値Zaveの差と、平均値Zaveと最小値Zminの差の比Pが、所定のエラー判定値Lより小さい場合に、良品であると判定する。最終的に、テスタ2は、判定回路22により、第1実施形態と同様に、エラー判定(ステップ#232)の結果を作業用/判定結果メモリ23に記憶し、判定結果表示回路24により、半導体装置のイメージセンサ12に対する画像診断結果を表示し(ステップ#240)、画像診断処理を終了する。
【0098】
以下、本実施形態の本発明装置1において、部分撮像画像データ記憶手段14b及び中間画像データ記憶手段14eの記憶容量について説明する。
【0099】
本実施形態の本発明装置1では、上記第1実施形態の本発明装置1の記憶容量に加え、平均値Zave、最大値Zmax、最小値Zminを求めることができる記憶容量が必要となる。詳細には、本実施形態では、上述したように、特徴量の最大値Zmaxについては、特徴量Z(X0,Y0)が算出される毎に、中間画像データ記憶手段14eに記憶された最大値Zmaxの値と比較し、新たに算出された特徴量Z(X0,Y0)の方が大きい場合に、中間画像データ記憶手段14eのZmaxの値を置き換えることで、最大値Zmaxを求めるので、最大値Zmaxを算出するのに必要な記憶容量は、最大値Zmaxのデータ容量に等しくなる。同様に、最小値Zminを算出するのに必要な記憶容量は、最小値Zminのデータ容量に等しくなる。また、特徴量の平均値Zaveについては、特徴量Z(X0,Y0)が算出される毎に、Z(X0,Y0)/Nを求めてZaveに順次加算する構成としたので、特徴量の平均値Zaveを求めるのに必要な記憶容量は、平均値Zaveのデータ容量に等しくなる。
【0100】
つまり、平均値Zave、最大値Zmax及び最小値Zminを求めるために必要な記憶容量は、平均値Zave、最大値Zmax及び最小値Zminのデータ容量だけである。従って、本実施形態では、中間画像データ記憶手段14eの記憶容量を、上記第1実施形態の記憶容量にこれらの3つの値のデータ容量を加えた値に設定するだけで、BIST回路14の診断用データ生成手段14cにおいて、特徴量の平均値Zave、最大値Zmax及び最小値Zminを求める第2統計処理を実行することが可能になる。
【0101】
〈第3実施形態〉
本発明装置1の第3実施形態について、図13及び図14を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1及び第2実施形態とは、診断用データ生成手段14cの構成が異なる場合について説明する。詳細には、上記第1及び第2実施形態では、診断用データ生成手段14cは、演算処理のみを実行したが、本実施形態では、診断用データ生成手段14cは、演算処理に加え、良否判定処理を実施する。
【0102】
先ず、本実施形態の本発明装置1及びテスタ2の構成について図13を基に説明する。ここで、図13は、本実施形態の本発明装置1の画像診断に係る部分の部分概略構成、及び、本実施形態のテスタ2の概略構成の一例について示している。本実施形態の本発明装置1は、上記第2実施形態の各構成に加え、イメージセンサ12の良否判定に用いる判定用データの本発明装置1外部からの入力を受け付ける判定用データ入力手段15を備えている。尚、本発明装置1におけるイメージセンサ12、読み出し回路13、テストモード制御回路11、診断作業用領域設定手段14a、部分撮像画像データ記憶手段14b及び中間画像データ記憶手段14eの構成、及び、テスタ2における作業用/判定結果メモリ23及び判定結果表示回路24の構成は上記第2実施形態と同じである。
【0103】
本実施形態のBIST回路14の判定用データ入力手段15は、画像診断時に、判定用データとして、数1に示す特徴量の最大値Zmaxと平均値Zaveの差と、平均値Zaveと最小値Zminの差の比Pの値の範囲を設定するためのエラー判定値Lを受け付ける。
【0104】
本実施形態のBIST回路14の診断用データ生成手段14cは、第2統計処理のデータ処理結果と判定用データを用いてイメージセンサ12の良否判定を実行し、イメージセンサ12の良否判定の結果を診断用データとする。
【0105】
本実施形態のBIST回路14の診断用データ出力手段14dは、診断用データ生成手段14cから、診断用データとして、良否判定の判定結果を受け付け、テスタ2に出力する。
【0106】
次に、画像診断時における本実施形態の本発明装置1及びテスタ2の動作について、図12を基に説明する。ここで、図12は、本発明装置1及びテスタ2の処理手順を示すフローチャートである。尚、テスタ2におけるステップ#240、本発明装置1におけるステップ#120〜#150、#170については、上記第2実施形態と同じである。
【0107】
本発明装置1は、図14に示すように、テスタ2により、BIST回路14によるイメージセンサ12の画像診断を行うための画像診断モードの設定操作が行われ、判定用データが入力されると(ステップ#210)、イメージセンサ12から、診断用画像(光学的データ)としての均質なグレー画像を取り込むとともに、判定用データを受け付ける(ステップ#110)。ここでの判定用データは、上述したように、エラー判定値Lの値である。
【0108】
本実施形態の本発明装置1は、ステップ#120の終了後(ステップ#126でYes分岐)、BIST回路14の診断用データ生成手段14cにより、判定用データ、特徴量の最大値Zmax、特徴量の最小値Xmin及び特徴量の平均値Zaveに基づいて良否判定処理を行う(ステップ#180)。具体的には、良否判定は、判定用データからエラー判定値Lを取得し、上記第1実施形態のエラー判定と同様に、数1に示すように、最大値Zmaxと平均値Zaveの差と、平均値Zaveと最小値Zminの差の比Pが、エラー判定値Lより小さい場合に、良品であると判定する。
【0109】
更に、本実施形態の診断用データ出力手段14dは、診断用データ生成手段14cにより判定結果が出力されると、テスタ2に対し、判定結果を診断用データとして出力する(ステップ#160)。具体的には、本実施形態の診断用データは、イメージセンサ12の良否を示す1bitのデータである。
【0110】
本実施形態のテスタ2は、診断用データ入力手段21により、本発明装置1から診断用データとして判定結果を受け付けると(ステップ#220)、作業用/判定結果メモリ23に記憶し、判定結果表示回路24により、半導体装置のイメージセンサ12に対する画像診断結果を表示し(ステップ#240)、画像診断処理を終了する。尚、本実施形態では、本発明装置1において良否判定までを実行するので、テスタ2側の負荷を低減することができる。
【0111】
尚、本実施形態では、良否判定に係る判定用データを、テスタ2を介して本発明装置1の外部から入力する構成を例に説明したが、これに限るものではない。本発明装置1内に予め固定値として記憶しておく構成であっても良い。
【0112】
〈第4実施形態〉
本発明装置1の第4実施形態について、図15〜図17を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1〜第3実施形態とは、BIST回路14の記憶手段の構成が異なる場合について説明する。詳細には、本実施形態では、中間画像データ記憶手段14eを備えず、部分撮像画像データ記憶手段14bを中間画像データ記憶手段14eとして利用する場合について説明する。
【0113】
先ず、本実施形態の本発明装置1及びテスタ2の構成について図15を基に説明する。ここで、図15は、本実施形態の本発明装置1の画像診断に係る部分の部分概略構成、及び、本実施形態のテスタ2の概略構成の一例について示している。尚、本発明装置1におけるイメージセンサ12、読み出し回路13、テストモード制御回路11、診断作業用領域設定手段14a、部分撮像画像データ記憶手段14b及び診断用データ出力手段14dの構成、及び、テスタ2における作業用/判定結果メモリ23及び判定結果表示回路24の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0114】
本実施形態のBIST回路14の診断用データ生成手段14cは、画像処理における中間画像データを、部分撮像画像データ記憶手段14bの部分撮像画像データの記憶領域を利用して一時的に保存するように構成されている。
【0115】
ここで、図16及び図17は、本実施形態におけるフィルタ処理の概念を、フィルタ処理の前後のデータ構成により示しており、ここでは、簡単のために、3×3フィルタの場合を例に図示している。具体的には、図16(a)に示すD[i、j](tは何番目の部分撮像画像データであるかを示す変数)を中心とする3×3の部分領域にフィルタF[k、l]をかけて得た値を、要素Dt+1[i、j]ではなく、D[i、j]を中心とする3×3の領域の左上の要素Dt+1[i−1、j−1]に記憶する。
【0116】
尚、本実施形態では、図16に示すように、診断用データ生成手段14cは、座標(0,0)を頂点とする部分領域A[0,0](D[0,0]〜D[2,2])を始めとして、X軸の正の方向、及び、Y軸の正の方向に向かうように、部分領域を順次選択するように構成されている。具体的には、A[0,0](D[0,0]〜D[2,2])、A[1,0](D[1,0]〜D[3,2])、・・・、A[Xmax−2,0](D[Xmax−2,0]〜D[Xmax,2])、A[0,1](D[0,1]〜D[2,3])、・・・、A[Xmax−2,Ymax−2](D[Xmax−2,Ymax−2]〜D[Xmax,Ymax])の順に選択する。そうすると、図17に示すように、A[0,0](D[0,0]〜D[2,2])を用いて演算した後は、A[0,0]の左上の要素D[0,0]は他の演算で使用されることがない。このため、A[0,0]を用いたフィルタ処理後、左上の要素D[0,0]の値を書き換えても、その後の演算及びフィルタ処理の結果に影響を与えることはない。同様に、他のA[X,Y]についても、演算後に左上の要素D[X,Y]の値を書き換えてもその後の演算及びフィルタ処理の結果に影響を与えることはない。つまり、演算を行う部分領域を、X軸の正の方向及びY軸の正の方向に順次部分領域を選択する場合には、演算後に部分領域の左上の要素の値を書き換えてもその後の演算及びフィルタ処理の結果に影響を与えることはない。従って、画像処理における中間画像データを、部分撮像画像データ記憶手段14bの部分撮像画像データの記憶領域を利用して一時的に保存することが可能になる。
【0117】
本実施形態では、画像処理における中間画像データを、部分撮像画像データ記憶手段14bの部分撮像画像データの記憶領域を利用して一時的に保存するように構成されているので、中間画像データ記憶手段14eを備える必要がなくなる。
【0118】
尚、上記第2及び第3実施形態において、本発明装置1のBIST回路14を、画像処理における中間画像データを、部分撮像画像データ記憶手段14bの部分撮像画像データの記憶領域を利用して一時的に保存するように構成する場合は、部分撮像画像データ記憶手段14bに、第2統計処理で特徴量の最大値Zmax、最小値Xmin及び平均値Zaveを算出するために必要な記憶容量を確保する必要がある。このため、部分撮像画像データ記憶手段14bの記憶容量を、部分撮像画像データと、特徴量の最大値Zmax、最小値Xmin及び平均値Zaveを記憶可能な容量に設定する。
【0119】
〈第5実施形態〉
本発明装置1の第5実施形態について、図18〜図20を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1〜第4実施形態とは、BIST回路14の診断作業用領域設定手段14aの構成が異なる場合について説明する。詳細には、本実施形態では、隣接する有効診断領域Rd同士が一部で重複するように配置されている場合について説明する。
【0120】
先ず、本実施形態の本発明装置1及びテスタ2の構成について図1を基に説明する。尚、本発明装置1におけるイメージセンサ12、読み出し回路13、テストモード制御回路11、診断作業用領域設定手段14a、部分撮像画像データ記憶手段14b、中間画像データ記憶手段14e、診断用データ出力手段14dの構成、及び、テスタ2における作業用/判定結果メモリ23及び判定結果表示回路24の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0121】
本実施形態の本発明装置1において、BIST回路14の診断作業用領域設定手段14aは、有効診断領域Rdを、隣接する有効診断領域Rd同士が一部で重複するように配置する。ここで、図18は、本実施形態における全撮像素子領域PA及び有効撮像素子領域REに対する有効診断領域Rd及び診断作業用領域Rfの設定例を示している。
【0122】
尚、図19は、上記第1〜第4実施形態のように有効診断領域Rdを有効診断領域Rd同士が重複しないように配置した場合において、シミ欠陥が隣接する2つの有効診断領域Rdにかけて存在する場合を概念的に示している。図19に示すように、シミ欠陥が有効診断領域Rd同士の境界上にある場合、シミ欠陥が分割されるので、シミ欠陥の有効診断領域Rdに占める面積の割合が小さくなる。これに対し、本実施形態では、図18に示すように、有効診断領域Rdを、隣接する有効診断領域Rd同士が一部で重複するように配置したので、図20に示すように、シミ欠陥の全体或いは大部分が同じ有効診断領域Rdに存在することとなる。シミ欠陥の有効診断領域Rdに占める面積の割合が大きいほど検出精度が高くなると考えられる。従って、図18に示すように、有効診断領域Rdを、隣接する有効診断領域Rd同士が一部で重複するように配置すれば、シミ欠陥の検出精度をより高く維持することが可能になる。
【0123】
また、上記第1実施形態では、有効診断領域Rdの大きさは22×22ピクセルであり、有効診断領域Rdを22ピクセルずつX方向またはY方向にずらして配置していたが、本実施形態では、シミ欠陥の大きさを考慮し、16ピクセルずつX方向またはY方向にずらして配置する。
【0124】
〈第6実施形態〉
本発明装置1の第6実施形態について、図21を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1〜第5実施形態とは、BIST回路14の診断用データ生成手段14cの構成が異なる場合について説明する。詳細には、本実施形態では、BIST回路14の診断用データ生成手段14cは、画像処理において、シフト演算処理及び加減算処理からなるフィルタ処理を実行する。尚、本実施形態における本発明装置1の構成は、上記第1〜第5実施形態の何れかと同じである。
【0125】
本実施形態のBIST回路14の診断用データ生成手段14cは、フィルタ処理における演算を、シフト演算処理(2のべき乗のみを用いた乗除算)及び加減算処理のみで構成している。ここで、図21は、本実施形態で用いるフィルタの演算用配列の一例として、点欠陥除去処理で用いる平滑化フィルタにおける演算用配列の一例を示している。図21に示す平滑化フィルタの演算用配列における各要素の値は1/8であることから、このフィルタを用いたフィルタ処理は、2の除算(シフト演算)と加算処理のみで実行可能である。
【0126】
ここで、図21に示すフィルタの演算用配列と図30(a)に示す従来技術で用いたフィルタの演算用配列とを比較すると、図21に示すフィルタの演算用配列における各要素の値は、図30に示すフィルタの演算用配列における各要素の値の9/8倍となっている。これは、例えば、フィルタ処理の対象となる画像データが輝度画像データである場合、図21に示すフィルタを用いたフィルタ処理は、図30に示すフィルタを用いたフィルタ処理に加え、輝度を9/8倍にする処理(輝度画像データの明るさを9/8倍にする処理)を実行したのと同じである。最終的な撮像画像データの良否判定は、部分撮像画像データ別に算出された特徴量の比較によって実施されることから、全ての特徴量の値を増加させる処理を行っても、良否判定には全く影響を与えない。
【0127】
尚、本実施形態では、診断用データ生成手段14cが、乗除算において2のべき乗のみを用いるように構成したので、乗除算用の回路としてシフト演算を行うためのシフトレジスタのみを備えていれば良く、組み合わせ回路の構成を簡略化することが可能になる。これによって、回路規模の増大を抑えることが可能になり、回路規模に制約のある半導体装置において特に有用である。
【0128】
〈第7実施形態〉
本発明装置1の第7実施形態について、図22を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1〜第7実施形態とは、BIST回路14の診断用データ生成手段14cの構成が異なる場合について説明する。詳細には、本実施形態では、本発明装置1のBIST回路14の診断用データ生成手段14cが、所定数の部分撮像画像データの夫々に対し、同時並行的に、演算処理を実行可能に構成されている場合について説明する。
【0129】
ここで、図22は、本実施形態の本発明装置1の画像診断に係る部分の部分概略構成、及び、本実施形態のテスタ2の概略構成の一例について示している。尚、本発明装置1におけるイメージセンサ12、読み出し回路13、テストモード制御回路11、診断作業用領域設定手段14a及び部分撮像画像データ記憶手段14bの構成、及び、テスタ2における作業用/判定結果メモリ23及び判定結果表示回路24の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0130】
本実施形態では、BIST回路14の診断用データ生成手段14cは、図22に示すように、所定数の部分撮像画像データの夫々に対し、演算処理における画像処理を行うための画像処理回路CI〜CI(pは任意の正の整数)と、演算処理における第1統計処理を行うための第1統計処理回路CS〜CSを備えている。より具体的には、本実施形態では、例えば、1つの部分撮像画像データに対し、シミ欠陥のみを検出する演算処理回路とムラ欠陥のみを検出する演算処理回路の2つの演算処理回路を構築する。これにより、欠陥の種類毎に、欠陥の特性に応じた演算処理回路を構築できるので、より正確に良否判定が可能になり、BIST回路14全体の処理効率を向上させることができる。
【0131】
本実施形態の中間画像データ記憶手段14eは、画像処理回路CI(q=1〜p)及び第1統計処理回路CSからなる演算処理回路毎に構成されている。
【0132】
本実施形態では、BIST回路14の診断用データ出力手段14dは、診断用データ生成手段14cの第1統計処理回路から出力される特徴量を、各部分撮像画像データまたは欠陥の内容と対応付けてテスタ2に出力する。
【0133】
尚、本実施形態では、1つの部分撮像画像データに対し、シミ欠陥のみを検出する演算処理回路とムラ欠陥のみを検出する演算処理回路の2つの演算処理回路を構築するように構成したが、これに限るものではない。例えば、複数の部分撮像画像データに対し、部分撮像画像データ夫々に対応した演算処理回路を設けるように構成しても良いし、複数の部分撮像画像データの夫々に対し、欠陥の種類毎の演算処理回路を備えるように構成しても良い。何れの構成であっても、BIST回路14全体の処理効率を向上させることができる。
【0134】
また、本実施形態では、中間画像データ記憶手段14eを演算回路毎に設置したが、これに限るものではなく、中間画像データを複数記憶可能な記憶手段を領域分割して用いる構成等、中間画像データ記憶手段14eの構成は任意である。また、上記第4実施形態のように、部分撮像画像データ記憶手段14bを中間画像データ記憶手段14eとして利用する場合には、中間画像データ記憶手段14eを備えずに、部分撮像画像データ記憶手段14bを、p個(演算回路の数)の部分撮像画像データを同時に記憶可能な記憶容量を備えるように構成する。
【0135】
〈第8実施形態〉
本発明装置1の第8実施形態について、図23を基に説明する。尚、本実施形態では、上記第1〜第7実施形態とは、BIST回路14の診断用データ生成手段14cの構成が異なる場合について説明する。詳細には、本実施形態では、本発明装置1のBIST回路14の診断用データ生成手段14cが、演算処理の内容を外部入力により変更可能に構成されている場合について説明する。
【0136】
ここで、図23は、本実施形態の本発明装置1の画像診断に係る部分の部分概略構成、及び、本実施形態のテスタ2の概略構成の一例について示している。本実施形態の本発明装置1は、上記第1実施形態の各構成に加え、外部入力により、診断用データ生成手段14cにおける演算処理の内容を設定するための処理内容設定用パラメータを受け付ける処理内容設定用パラメータ入力手段16を備えている。尚、本発明装置1におけるイメージセンサ12、読み出し回路13、テストモード制御回路11、診断作業用領域設定手段14a、部分撮像画像データ記憶手段14b、中間画像データ記憶手段14e及び診断用データ出力手段14dの構成、及び、テスタ2における作業用/判定結果メモリ23及び判定結果表示回路24の構成は上記第1実施形態と同じである。
【0137】
本実施形態では、BIST回路14の診断用データ生成手段14cは、処理内容設定用パラメータ入力手段16が受け付けた処理内容設定用パラメータに基づいて、演算処理の内容を設定及び変更する。具体的には、例えば、フィルタ処理に用いるフィルタの種類の設定や変更を行う。
【0138】
尚、本実施形態では、説明のために、診断用データ生成手段14cが画像処理及び第1統計処理を行うように構成されている場合について説明したが、第2統計処理及び良否判定処理を実行するように構成されていても良い。また、本実施形態の本発明装置1は、中間画像データ記憶手段14eを備えず、部分撮像画像データ記憶手段14bが、中間画像データ記憶手段14eとして利用されるように構成されていても良い。
【0139】
〈第9実施形態〉
本発明装置1の第9実施形態について、図24を基に説明する。本実施形態では、読み出し回路13の詳細について説明する。
【0140】
先ず、本実施形態の本発明装置1の構成について、図24を基に説明する。ここで、図24は、本実施形態における本発明装置1の概略構成を示している。尚、本発明装置1のイメージセンサ12、テストモード制御回路11、BIST回路14の診断作業用領域設定手段14a、部分撮像画像データ記憶手段14b、中間画像データ記憶手段14e、診断用データ生成手段14c及び診断用データ出力手段14dの構成は上記第3実施形態と同じである。
【0141】
本実施形態の読み出し回路13は、図24に示すように、イメージセンサ12を駆動する駆動タイミング発生回路13aと、イメージセンサ12から出力される電気信号をデジタル形式のデジタル信号に変換するAD変換回路13bと、黒レベルの補正を行うレベル補正回路13cと、AD変換回路13bから出力されるデジタル信号を所定の形式に変換して撮像画像データを生成する信号処理回路13dと、レベル補正回路13cからの信号を基に部分撮像画像データの読み出しを行う部分撮像画像データ読み出し回路13e、駆動タイミング発生回路13a、AD変換回路13b及び信号処理回路13dを制御する読み出し制御回路13fと、を備えて構成されている。
【0142】
部分撮像画像データ読み出し回路13eは、レベル補正回路13cの後段に設けられており、画像診断時に、AD変換回路13b及びレベル補正回路13cを介して、イメージセンサ12が保持する診断用画像の画像データから、診断作業用領域設定手段14aによって指定された診断作業用領域Rfの画像データである部分撮像画像データを順次抽出し、部分撮像画像データ記憶手段14bに記憶する。
【0143】
次に、通常動作時における本発明装置1の動作について簡単に説明する。本発明装置1は、通常動作時、イメージセンサ12の撮像処理及び読み出し回路13による読み出し処理を実行する。具体的には、本実施形態の本発明装置1のイメージセンサ12は、通常動作時、駆動タイミング発生回路13aからの信号に基づいて撮像処理を行い、光信号を電気信号に変換してアナログ形式の画像データをAD変換回路13bに対して出力する。AD変換回路13bは、イメージセンサ12から出力されたアナログ形式の画像データをデジタル形式の画像データに変換し、レベル補正回路13cに出力する。レベル補正回路13cは、AD変換回路13bによってデジタル信号に変換された画像データを受け付けると、黒レベルの補正を行い、信号処理回路13d及び部分撮像画像データ読み出し回路13eに出力する。尚、部分撮像画像データ読み出し回路13e及びBIST回路14は、通常動作時は、テストモード制御手段により動作停止状態となっている。信号処理回路13dは、黒レベルの補正後の画像データを、半導体装置の出力先のデバイスで利用可能な形式の撮像画像データに処理して、半導体装置の外部に出力する。
【0144】
尚、画像診断時については、本発明装置1の動作は、上記第3実施形態と同じであり、イメージセンサ12の撮像処理、読み出し回路13による部分読み出し処理及びBIST回路14による演算処理等を実行する。
【0145】
〈別実施形態〉
〈1〉上記第1〜第9実施形態では、診断用データ生成手段14cによる画像処理において、点欠陥除去処理、シェーディング補正処理及びエラー輪郭抽出処理の3つの処理をこの順に実施したが、これに限るものではない。例えば、シェーディング補正処理の後に、移動平均フィルタやガウシアンフィルタを用いたノイズ成分を低減するための平滑化処理、演算量の低減やエラー輪郭抽出処理の前処理としての画像縮小処理等を実行するように構成しても良いし、他のフローを用いても良い。
【0146】
また、上記第1〜第9実施形態では、シェーディング補正処理として、25×25移動平均フィルタを用いたが、例えば、メディアンフィルタ等、他の平滑化フィルタを用いても良い。点欠陥除去処理では、3×3移動平均フィルタを用いたが、例えば、処理対象画素の画素値と周囲8画素の平均画素値の差が所定の点欠陥判定差以上である場合に、処理対象画素の画素値を周囲8画素の平均画素値で置き換えるように構成しても良い。更に、エラー輪郭抽出処理では、ラプラシアンフィルタを用いたが、例えば、ソーベルフィルタ等、他のフィルタを用いても良い。
【0147】
〈2〉上記第1〜第9実施形態では、有効診断領域Rdを有効撮像素子領域PE全体に亘って設定するように構成したが、これに限るものではない。全撮像素子領域PAと有効撮像素子領域PEの境界付近では、近似データは本来のデータとずれが大きくなる傾向があり、更に、境界付近の撮像素子については、撮像画像データの画質に与える影響が小さいことから、境界付近のデータを捨てるように構成しても良い。
【0148】
〈3〉上記第1〜第9実施形態では、診断用データ生成手段14cは、部分撮像画像データを画像処理して生成された画像データ(第5中間画像データ)の全ての画素を用いて特徴量を求めるように構成したが、これに限るものではない。例えば、半導体装置の製造プロセス等により、部分撮像画像データのデータ量をある程度大きく設定できる場合には、診断用データ生成手段14cは、第5中間画像データを、各画素群に含まれる画素数が同じになるように複数の画素群に分割し、画素群毎に、各画素群に含まれる各画素の画素値を合計して特徴量Zを求めるように構成しても良い。この場合には、n×m×画素群数の特徴量Zが算出される。
【0149】
〈4〉上記第1〜第9実施形態では、シミ欠陥及びムラ欠陥をスクリーニング対象とする場合について説明したが、これに限るものではない。点欠陥についてもスクリーニング対象とするように構成しても良いし、他の欠陥を検出するように構成しても良い。
【0150】
〈5〉上記第1〜第9実施形態では、本発明装置1のBIST回路14を、イメージセンサ12の検査を行うことを目的として用いたが、これに限るものではない。例えば、本発明装置1は、液晶ディスプレイ等のフラットパネルや鋼板等の被検査対象の診断を行う検査装置に応用することが可能である。
【0151】
以下、本発明装置1を用いて、本発明装置1のイメージセンサ12以外の被検査対象に対する検査を行うための検査方法(画像診断方法)について簡単に説明する。尚、ここでは、説明のために、上記第3実施形態の本発明装置1を用いた場合(診断用データとして撮像画像データの良否判定結果が出力される場合)を想定して説明するが、他の実施形態における本発明装置1を用いても良い。具体的には、先ず、本発明装置1を画像診断モードに設定し(画像診断モード設定工程に相当)、イメージセンサ12に被検査対象を撮像させる。続いて、本発明装置1から出力される診断用データを受け付ける(診断用データ取得工程に相当)。最終的に、本発明装置1から出力された診断用データに基づいて、撮像画像データの良否判定結果を取得して(判定工程に相当)、被検査対象の良否判定を行う。このように、本発明装置1は、画像診断時に被検査対象を撮像させ、その撮像画像データを画像診断用テスト手段(BIST回路)14により診断するように構成すれば、イメージセンサ12以外の被検査対象におけるシミ欠陥やムラ欠陥等の欠陥の診断を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明に係る半導体装置の第1実施形態における部分概略構成、及び、画像診断に係るテスタとの接続構成の一例を示す概略ブロック図
【図2】本発明に係る半導体装置及びテスタの第1実施形態における処理手順を示すフローチャート
【図3】本発明に係る半導体装置の第1実施形態における全撮像素子領域及び有効撮像素子領域に対する有効診断領域及び診断作業用領域の設定例を示す概略ブロック図
【図4】本発明に係る半導体装置の第1実施形態における有効診断領域及び診断作業用領域の設定例を示す概略ブロック図
【図5】本発明に係る半導体装置の第1実施形態におけるフィルタ処理の処理手順例を示す概略概念図
【図6】本発明に係る半導体装置の第1実施形態における診断用データ生成手段による画像処理の処理手順を示すフローチャート
【図7】本発明に係る半導体装置の第1実施形態のフィルタ処理で用いるフィルタの演算用配列の一例を示す概略概念図
【図8】本発明に係る半導体装置の第1実施形態における演算処理結果例を示す概略概念図
【図9】本発明に係る半導体装置の第1実施形態における診断用データの良品分布を示すグラフ
【図10】本発明に係る半導体装置の第1実施形態における診断用データの不良品分布を示すグラフ
【図11】本発明に係る半導体装置の第2実施形態における部分概略構成、及び、画像診断に係るテスタとの接続構成の一例を示す概略ブロック図
【図12】本発明に係る半導体装置及びテスタの第2実施形態における処理手順を示すフローチャート
【図13】本発明に係る半導体装置の第3実施形態における部分概略構成、及び、画像診断に係るテスタとの接続構成の一例を示す概略ブロック図
【図14】本発明に係る半導体装置及びテスタの第3実施形態における処理手順を示すフローチャート
【図15】本発明に係る半導体装置の第4実施形態における部分概略構成、及び、画像診断に係るテスタとの接続構成の一例を示す概略ブロック図
【図16】本発明に係る半導体装置の第4実施形態におけるフィルタ処理の処理手順例を示す概略概念図
【図17】本発明に係る半導体装置の第4実施形態におけるフィルタ処理の処理手順例を示す概略概念図
【図18】本発明に係る半導体装置の第5実施形態における全撮像素子領域及び有効撮像素子領域に対する有効診断領域及び診断作業用領域の設定例を示す概略ブロック図
【図19】本発明に係る半導体装置の第5実施形態における有効診断領域の設定手法を示す概略概念図
【図20】本発明に係る半導体装置の第5実施形態における有効診断領域の設定手法を示す概略概念図
【図21】本発明に係る半導体装置の第6実施形態のフィルタ処理で用いる平滑化フィルタの演算用配列の一例を示す概略概念図
【図22】本発明に係る半導体装置の第7実施形態における部分概略構成、及び、画像診断に係るテスタとの接続構成の一例を示す概略ブロック図
【図23】本発明に係る半導体装置の第8実施形態における部分概略構成、及び、画像診断に係るテスタとの接続構成の一例を示す概略ブロック図
【図24】本発明に係る半導体装置の第9実施形態における概略構成例を示す概略ブロック図
【図25】画質検査における欠陥例を示す概略説明図
【図26】シミ欠陥の具体的な画像データ例を示す模式図
【図27】シェーディングの画像データ例を示す模式図
【図28】従来技術に係る半導体装置及びそのテスタの概略構成例を示す概略ブロック図
【図29】従来技術に係る半導体装置のテスタにおける画質検査の処理手順を示すフローチャート
【図30】従来技術に係る半導体装置のフィルタ処理で用いる平滑化フィルタの演算用配列の一例を示す概略概念図
【図31】テスタ上での画像診断に係る構成をそのままBIST回路化して搭載した場合を想定した仮想的な半導体装置及びそのテスタの概略構成例を示す概略ブロック図
【符号の説明】
【0153】
1 本発明に係る半導体装置
2 テスタ
11 テストモード制御回路
12 イメージセンサ(固体撮像素子)
13 読み出し回路(読み出し手段)
13a 駆動タイミング発生回路
13b AD変換回路
13c レベル補正回路
13d 信号処理回路
13e 部分撮像画像データ読み出し回路
13f 読み出し制御回路
14 BIST回路(画像診断用テスト手段)
14a 診断作業用領域設定手段
14b 部分撮像画像データ記憶手段
14c 診断用データ生成手段
14d 診断用データ出力手段
14e 中間画像データ記憶手段
15 判定用データ入力手段
16 処理内容設定用パラメータ入力手段
21 診断用データ入力手段
22 判定回路
23 作業用/判定結果メモリ
24 判定結果表示回路
100 従来技術に係る半導体装置
101 テストモード制御回路
102 イメージセンサ(固体撮像素子)
103 読み出し回路
104 出力回路
200 撮像画像データ
201 点欠陥
202 シミ欠陥
203 ムラ欠陥
300 従来技術に係るテスタ
301 撮像画像データ記憶手段
302 演算回路
303 作業用メモリ
304 判定回路
305 判定結果メモリ
306 判定結果表示回路
310 光源
400 仮想的な半導体装置
401 撮像画像データ記憶手段
402 演算回路
403 作業用メモリ
410 仮想的な半導体装置におけるBIST回路
500 仮想的な半導体装置を検査するためのテスタ
PA 全撮像素子領域
PE 有効撮像素子領域
Rd 有効診断領域
Rf 診断作業用領域
CI 画像処理回路
CS 統計処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を電気信号に変換する固体撮像素子と、前記固体撮像素子から出力される前記電気信号を受けて、デジタル形式の撮像画像データを出力する読み出し手段と、前記固体撮像素子の画像診断時に前記撮像画像データの良否を判定する画像診断用テスト手段が同一基板上に形成された半導体装置であって、
前記画像診断用テスト手段は、診断作業用領域設定手段と、部分撮像画像データ記憶手段と、診断用データ生成手段と、診断用データ出力手段と、を備えてなり、
前記診断作業用領域設定手段は、前記画像診断時において、前記撮像画像データの領域全体に亘って複数の有効診断領域を設定し、前記有効診断領域毎に、前記有効診断領域を含む前記診断作業用領域を設定し、
前記読み出し手段は、前記画像診断時において、前記診断作業用領域毎に、前記診断作業用領域に対応する部分撮像画像データを読み出す部分読み出し処理を実行し、
前記部分撮像画像データ記憶手段は、前記画像診断時において、前記部分読み出し処理毎に、前記読み出し手段が読み出した前記部分撮像画像データを記憶し、
前記診断用データ生成手段は、前記画像診断時において、前記部分読み出し処理毎に、前記部分撮像画像データ記憶手段に記憶された前記部分撮像画像データ夫々に対し、所定の画像処理及び所定の第1統計処理を含む演算処理を実行し、前記演算処理を実行して得られるデータ処理結果に基づいて前記固体撮像素子の診断用データを生成し、
前記診断用データ出力手段は、前記画像診断時に、前記診断用データを出力するように構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記診断作業用領域設定手段は、前記診断用データ生成手段において前記診断作業用領域内の一部の画像データのデータ欠損を伴う前記画像処理を実行する場合に、前記有効診断領域の周囲に、前記データ欠損を補う無効診断領域を加えて前記診断作業用領域とすることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記診断作業用領域設定手段は、前記有効診断領域を、隣接する前記有効診断領域同士が一部で重複するように配置することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記診断用データ生成手段は、前記第1統計処理において、前記部分撮像画像データ毎に、前記部分撮像画像データを前記演算処理した後の中間画像データに含まれる各画素の画素値を合計した特徴量を求めることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記診断用データ生成手段は、前記演算処理において、前記部分撮像画像データ夫々に対し前記画像処理及び前記第1統計処理を実行して得られる中間処理結果を用いて所定の第2統計処理を実行し、前記第2統計処理の結果を前記データ処理結果として用いて前記診断用データを生成することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記診断用データ生成手段は、
前記第1統計処理において、前記部分撮像画像データ毎に、前記部分撮像画像データを前記演算処理した後の中間画像データに含まれる各画素の画素値を合計した特徴量を求め、
前記第2統計処理において、前記部分撮像画像データ毎の前記特徴量を用い、前記特徴量の最大値、前記特徴量の最小値及び前記特徴量の平均値を求めることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記診断用データ生成手段は、前記特徴量の最大値から前記特徴量の平均値を減算した値を、前記特徴量の最小値から前記特徴量の平均値を減算した値で除算し、前記診断用データを求めることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記診断用データ生成手段は、前記第1統計処理において、前記中間画像データを各画素群に含まれる画素数が同じになるように複数の前記画素群に分割し、前記画素群毎に、前記画素群に含まれる各画素の画素値を合計して前記特徴量を求めることを特徴とする請求項4、6、7の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記固体撮像素子の良否判定に用いる判定用データの前記半導体装置外部からの入力を受け付ける判定用データ入力手段を備え、
前記診断用データ生成手段は、前記データ処理結果と前記判定用データを用いて前記固体撮像素子の良否判定を実行し、前記固体撮像素子の良否判定の結果を前記診断用データとすることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記診断用データ生成手段は、前記画像処理において、シェーディング補正処理、点欠陥除去処理、エラー輪郭抽出処理の少なくとも何れか1つを含むフィルタ処理を実行することを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
外部入力により、前記診断用データ生成手段における前記演算処理の内容を設定するための処理内容設定用パラメータを受け付ける処理内容設定用パラメータ入力手段を備え、
前記診断用データ生成手段は、前記処理内容設定用パラメータに基づいて、前記演算処理の内容を設定及び変更することを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記診断用データ生成手段は、所定数の前記部分撮像画像データの夫々に対し、同時並行的に、前記演算処理を実行可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記部分撮像画像データ記憶手段は、前記所定数の前記部分撮像画像データを同時に記憶可能な記憶容量を備えてなることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記診断用データ生成手段は、前記画像処理において、シフト演算処理及び加減算処理からなるフィルタ処理を実行することを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記診断用データ生成手段は、前記画像処理における中間画像データを、前記部分撮像画像データ記憶手段の前記部分撮像画像データの記憶領域を利用して一時的に保存することを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記読み出し手段は、
前記固体撮像素子を駆動する駆動タイミング発生回路と、
前記固体撮像素子から出力される前記電気信号をデジタル形式のデジタル信号に変換するAD変換回路と、
前記AD変換回路から出力される前記デジタル信号を所定の形式に変換して前記撮像画像データを生成する信号処理回路と、
前記駆動タイミング発生回路、前記AD変換回路及び前記信号処理回路を制御する読み出し制御回路と、を備えてなることを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか1項に記載の半導体装置の良否判定を行うための画像診断方法であって、
前記画像診断時に、前記半導体装置を前記固体撮像素子の画像診断モードに設定する画像診断モード設定工程と、
前記半導体装置の前記診断用データ出力手段から出力される前記診断用データを受け付ける診断用データ取得工程と、
前記診断用データを用いて前記半導体装置の前記固体撮像素子の良否判定を行う判定工程と、を実行することを特徴とする画像診断方法。
【請求項18】
請求項1〜16の何れか1項に記載の半導体装置を用いて、前記半導体装置の前記固体撮像素子により撮像された前記撮像画像データの良否判定を行うための画像診断方法であって、
前記画像診断時に、前記半導体装置を画像診断モードに設定する画像診断モード設定工程と、
前記半導体装置の前記診断用データ出力手段から出力される前記診断用データを受け付ける診断用データ取得工程と、
前記診断用データを用いて、前記撮像画像データの良否判定を行う判定工程と、を実行することを特徴とする画像診断方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2008−241505(P2008−241505A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−83526(P2007−83526)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】