説明

固体撮像装置の製造方法、固体撮像装置

【課題】 高精度なアライメントが可能な固体撮像装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 固体撮像装置の製造方法は、画素領域から外れた領域18d内にアライメントマーク32が形成された半導体基板を準備する工程と、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜34を形成する第1の形成工程と、前記第1のλ/4多層膜34上に絶縁体層42を形成する第2の形成工程と、アライメントマーク上方に位置する前記絶縁体層42の光学膜厚を、アライメント光が透過する厚みに調整する調整工程と、前記厚み調整された絶縁体層36上に、複数の誘電体層からなる第2のλ/4多層膜38を形成する第3の形成工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどに使用される固体撮像装置の製造方法に関し、特に色分離を行うカラーフィルタ(フィルタ膜)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像装置は、複数の画素(受光セル)を有している。各画素は入射光を色分離を行うカラーフィルタと、このカラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部とを備えている。
特許文献1に示されるような固体撮像装置の製造工程においては、半導体基板上に光電変換部を形成し、カラーフィルタを形成した後、さらにマイクロレンズを形成する。
【0003】
これら形成時においては、位置合わせ(アライメント)が行われる。
位置合わせは、基板上に形成されたアライメントマークへレーザを照射し、アライメントマークからの反射・回折光を検出することにより行われる。
この場合、アライメントマーク上にカラーフィルタが形成されていると、マークがフィルタを通してしか見えずアライメントし難いという問題がある。
【0004】
この問題に対して、特許文献2では、図16に示すように、基板1004上のアライメントマーク1006を覆うように離型剤1008を前もって塗布し、その後でカラーフィルタ1002を形成するようにしている。
これにより、アライメントマーク1006の上にカラーフィルタ1002が形成されることはなく、マークがカラーフィルタに遮蔽されることが防ぐことができるとしている。
【特許文献1】特開平7-311310号公報
【特許文献2】特開平5-224013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、微細化、高集積化している基板のアライメントマークの上の一つ一つに、離型剤を塗布するのは技術的にも難しい上、工数の増加につながる。
また、特にカラーフィルタが誘電体多層膜である場合には、基板全面に成膜されることが不可避であり、上記離型剤を用いて部分的に成膜しないとすること困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、誘電体多層膜等の無機材料からなるカラーフィルタを備える固体撮像装置の製造方法において、高精度なアライメントが可能な固体撮像装置の製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、それぞれ複数の誘電体層からなる2つのλ/4多層膜と、両λ/4多層膜に挟まれた絶縁体層とを有し、前記λ/4多層膜及び絶縁体層は無機材料からなるカラーフィルタと、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素とを備えた固体撮像装置の製造方法であって、画素領域から外れた領域内にアライメントマークが形成された半導体基板を準備する工程と、準備された半導体基板上の略全面に、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜を形成する第1の形成工程と、前記第1のλ/4多層膜上に絶縁体層を形成する第2の形成工程と、アライメントマーク上方に位置する前記絶縁体層の光学膜厚を、アライメント光が透過する厚みに調整する調整工程と、前記厚み調整された絶縁体層上に、複数の誘電体層からなる第2のλ/4多層膜を形成する第3の形成工程と、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
この構成によれば、λ/4多層膜の設定波長と絶縁体膜の膜厚を調整することで、λ/4によって生じる反射帯域範囲内の、任意の波長帯域において透過帯域を設定することができる。このため、上記透過帯域にアライメント光の波長を含めれば、アライメント光を、カラーフィルタを透過させてアライメントマークに照射することができるので、高精度なアライメントが可能となる。
【0008】
また本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、無機材料からなるカラーフィルタと、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素とを備えた固体撮像装置の製造方法であって、画素領域から外れた領域内にアライメントマークが形成された半導体基板を準備する工程と、準備された半導体基板上の略全面に、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜を形成する第1の形成工程と、前記第1のλ/4多層膜上に絶縁体層を形成する第2の形成工程と、アライメントマーク上方に位置する前記絶縁体層及び第1のλ/4多層膜を除去する除去工程と、アライメントマーク上方の位置に、第2のλ/4多層膜を形成する第3の形成工程と、を経て前記カラーフィルタを形成することを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、高精度なアライメントが可能となる。その上、プロセス途上、アライメントマークが、直接、半導体基板上に露出される工程を増やすことができるので、アライメントの精度を向上させることができる。
また、前記アライメント光として、赤色光を発するHe−Neレーザを用い、前記アライメントマーク上方に位置するカラーフィルタは、赤色光が透過する特性であることを特徴としている。
【0010】
また、アライメント光を、アライメントマーク上方の位置するカラーフィルタを透過させてアライメントマークへと照射することにより、半導体基板の位置合わせを行う位置合わせ工程と、位置合わせされた半導体基板に含まれる画素の各々に、入射光を集光するレンズを形成するレンズ形成工程を含むことを特徴としている。
また、本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、それぞれ複数の誘電体層からなる2つのλ/4多層膜と、前記λ/4多層膜に挟まれた絶縁体層とを有し、前記λ/4多層膜及び絶縁体層は無機材料からなるカラーフィルタと、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素とを備えた固体撮像装置の製造方法であって、半導体基板上の略全面に、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜を形成する第1の形成工程と、前記第1のλ/4多層膜上に絶縁体層を形成する第2の形成工程と、画素領域から外れた領域内の所定境域における絶縁体層の光学膜厚を、その周りとは異なる厚みに調整し、所定境域とその周りとで光特性を異ならせる調整工程と、前記厚み調整された絶縁体層上に、複数の誘電体層からなる第2のλ/4多層膜を形成する第3の形成工程と、を含むことを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、所定境域とその周りとの光特性の違いを利用してアライメントを行うことが可能となる。
また、さらに、画素領域から外れた領域内にアライメントマークが形成された半導体基板を準備する工程を含み、前記第1の形成工程では、準備された半導体基板上の略全面に、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜を形成し、前記調整工程における所定境域は、前記アライメントマーク上方に位置していること
を特徴としている。
【0012】
この構成によれば、例えば、所定境域に対する光特性が透過である光をアライメント光として用いれば、所定境域とその周りとの光特性の違いを利用することに加えて、アライメントマークからの反射光をも利用してアライメントを行うことができ、より精度の高いアライメントを行うことができる。
また、本発明に係る固体撮像装置は、無機材料からなるカラーフィルタと、半導体基板上の所定領域内に形成されたアライメントマークとを備えた固体撮像装置であって、前記アライメントマーク上方に位置するカラーフィルタは、アライメント光を透過することを特徴としている。
【0013】
さらに、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素を備え、前記アライメントマークは、前記画素の領域から外れた領域内に形成されていることを特徴としている。
また、前記カラーフィルタは、誘電体多層膜からなることを特徴としている。
また、前記誘電体多層膜は、それぞれ複数の誘電体層からなる第1及び第2のλ/4多層膜と両λ/4多層膜に挟まれた光学膜厚がλ/4以外の絶縁体層からなり、前記絶縁体層の光学膜厚が、アライメント光が透過する厚みに調整されていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る固体撮像装置は、無機材料からなるカラーフィルタと、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素とを備えた固体撮像装置であって、画素領域から外れた領域内の所定境域における光特性が、当該所定境域の周りと異なっていることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る固体撮像装置の構成を示す平面図である。
図1に示すように、固体撮像装置2は、二次元状に配列された単位画素4を有している。単位画素4は受光手段となるものであり、図中においては網掛けを施している。
【0016】
単位画素4の各行は垂直シフトレジスタ6により選択され、その行信号が水平シフトレジスタ8により選択されて画素毎のカラー信号が出力アンプ10から出力される。
単位画素の周辺に設置された駆動回路12は、これら垂直シフトレジスタ6、水平シフトレジスタ8を動作させる。
図2は、ウエハ14内おける各素子の構成を示す概要図である。ウエハ14内には、撮像を行うための画素部16と、アライメントマーク19とが形成されている。
【0017】
アライメントマーク(以下、単に「マーク」という場合がある。)19は、ステッパ等の露光装置において位置合わせを行うために用いられ、X方向に列設されたマーク19xと、Y方向に列設されたマーク19yとから構成されている。
ここで、ウエハ上における露光においては、ウエハ全面に一括して露光はせず、数チップずつ分けて繰り返し露光を行う。図2の例では、領域20におけるステップアンドリピートとなる。
【0018】
画素部16においては、赤色の画素16r、青色の画素16b、緑色との画素16gがベイヤー配列されている。
赤色の画素16rは主として赤色の波長帯に対して感度を有する。同様に、青色の画素16bは青色の波長帯に対して、緑色の画素16gは緑色の波長帯に対して感度を有する。
【0019】
図3は、図2の画素部16における断面構造を示す図である。
同図においては、説明の便宜上、画素部16における青色領域18a、赤色領域18b、緑色領域18c、画素外のアライメントマークが形成された領域であるアライメント領域18dを並べて描いている。
半導体基板20は、N型不純物が添加されたシリコンからなる。この半導体基板20上面には入射光を電気信号に変換する光電変換部22が形成されている。
【0020】
青色領域18a、赤色領域18b、緑色領域18cの各画素領域における半導体基板20上には、層間絶縁膜24、遮光膜26、カラーフィルタ28、マイクロレンズ30が形成されている。
層間絶縁層24は、素子の平坦化のため形成されており、二酸化珪素からなる。
カラーフィルタ28(28a,28b,28c,28d)は、誘電体多層膜からなり、光の色分離を行う。
【0021】
マイクロレンズ30は、光を集光してカラーフィルタ28に効率的に入射させる。
領域18d上には、遮光膜26の代わりにアライメントマーク32が形成されている。アライメントマーク32の材料としては、例えばアルミニウムを用いる。
図4は、3種類のカラーフィルタ28a〜28cの構造とその透過特性を示す図である。
【0022】
同図に示すように、カラーフィルタ28a〜28cは、二酸化チタン(TiO2)と二酸化珪素(SiO2)とが概ね交互に積層された誘電体多層膜フィルタである。
カラーフィルタ28a〜28cは、TiO2(53nm)/SiO2(90nm)/TiO2(53nm)からなる第1のλ/4多層膜34及び第2のλ/4多層膜38、第1のλ/4多層膜34と第2のλ/4多層膜38との間に挟まれた絶縁体層(スペーサ層)36(青色フィルタ28a:133nm、緑色フィルタ28c:0nm、赤色フィルタ28b:31nm)からなる。なお、上記した数値は、物理膜厚である。
【0023】
図3に戻って、領域18d上のカラーフィルタ28dは、赤色フィルタ28bと同じ構成であり赤色を透過する特性である。
一般にアライメントマークの際には、波長633nmのHe−Neレーザを用いる。アライメントマーク32上のフィルタは633nm光の透過率が80%程度と高いため、精度の良いアライメントを行うことが可能となる。
【0024】
なお、仮にアライメントマーク32上のフィルタが青色フィルタ28aである構成とすると、633nm光の透過率は僅か5%程度である。それゆえ、レーザ光がアライメントに到達する前に青色フィルタ28aにより反射されてしまいアライメントを行うことができない。
図5、図6は、固体撮像装置の製造方法における工程図である。
【0025】
まず、基板21上にアライメントマーク32を形成する[工程A1]。
次に、高周波(RF)スパッタ装置を用いて、二酸化チタン(層34a)、二酸化珪素(層34b)、二酸化チタン(層34c)からなる第1のλ/4多層膜34を基板21上の略全面に形成する[工程B1]。
さらに、高周波スパッタ装置によって、二酸化珪素からなる第1絶縁体膜37を形成する。ここで、第1のλ/4多層膜34は、λ/4多層膜構造であり、その設定中心波長λは530nmである。また、第1絶縁体膜37の光学膜厚(物理膜厚と屈折率の積)は150nmである。
【0026】
その後、第1絶縁体膜37を形成した面上に、レジスト塗布、熱処理(プリベーク)、ステッパなどの露光装置による露光、有機溶剤等でレジスト現像、熱処理(ポストベーク)を行い、青色領域18a上にレジスト40を形成する[工程C1]。レジスト40は1μm厚のレジストである。
次に、第1絶縁体膜37の物理的なドライエッチングを行い青色領域18aを除く部分を取り除く[工程D1]。
【0027】
エッチング条件は、エッチングガスCF4、ガス流量40sccm、RFパワー200W、真空度0.050Torrである。このエッチングはドライエッチングに限られるものではなく、二酸化珪素と二酸化チタンではフッ化水素酸に対する選択比が大きいので、このフッ化水素酸等を用いることによるウェットエッチングプロセスを用いてもかまわない。この場合には、フッ化水素酸とフッ化アンモニウム溶液とを1対4の割合で混合した溶液に5秒浸すことでエッチングを行う。
【0028】
次に、有機溶剤等を用いてレジスト40を除去した後、高周波スパッタ装置を用いて面上に二酸化珪素からなる第2絶縁体膜42を形成する[工程E1]。この第2絶縁体膜42の光学膜厚は45nmである。
そして、工程C1のときと同様にして、青色領域18a、赤色領域18b、領域18d上にレジスト44を形成し[工程F1]、第2絶縁体膜42のエッチングを行う[工程G1]。
【0029】
その後、有機溶剤等でレジスト44を除去することで、絶縁体層36が形成される。絶縁体層36は、青色、赤色、緑色で互いに異なる光学膜厚195(=150+45)nm、45nm、0nmとなっている。
さらに、高周波スパッタ装置により、順に二酸化珪素(層38a)、二酸化チタン(層38b)、二酸化珪素(層38c)の層を形成し、第2のλ/4多層膜38を作成する[工程H1]。第2のλ/4多層膜38も第1のλ/4多層膜34と同様、λ/4多層膜構造である。
【0030】
そして、青色領域18a、赤色領域18b、緑色領域18c上にマイクロレンズ30を形成する[工程I1]。
なお、カラーフィルタ28の段差を平坦化した後で、マイクロレンズ30を形成しても構わない。
このマイクロレンズ30形成時のアライメント(位置合わせ)には、アライメントマーク32を用いる。マーク32上のカラーフィルタ28dは赤色を透過するので、He−Neレーザの633nm光を透過し、精度良くアライメントが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態は、アライメントマーク32上方の多層膜の構造が実施の形態1とは異なるが、共通する部分の説明は省略する。
【0031】
図7は、実施の形態2に係る画素部16における断面構造を示す図である。
アライメントマーク32の上方のカラーフィルタ28eは、λ/4多層膜とその上に積まれた絶縁体層とからなっている。
図8は、カラーフィルタ28eの構造とその透過特性を示す図である。
同図に示すように、カラーフィルタ28eは、絶縁体層とTiO2(53nm)/SiO2(90nm)/TiO2(53nm)からなる第2のλ/4多層膜38とからなる。
【0032】
カラーフィルタ28eの633nm光の透過率は60%程度と高いため、He−Neレーザ用いて精度の良いアライメントを行うことができる。
図9、図10は、実施の形態2に係る固体撮像装置の製造における工程図である。
まず、アライメントマーク32が形成された基板21上に[工程A2]、に二酸化チタン(層34a)、二酸化珪素(層34b)、二酸化チタン(層34c)からなる第1のλ/4多層膜34を形成する。その後、第1絶縁体膜37を形成する(工程B2)。
【0033】
次に、領域18dを除く画素領域18a〜18cにレジスト48を形成し(工程C2)、その後、領域18dにおける第1のλ/4多層膜34及び第1絶縁体膜37を取り除くエッチングプロセスを実施する(工程D2)。この時点では、画素領域18a〜18cのおける第1のλ/4多層膜34及び第1絶縁体膜37は残っている。
続いて、レジスト48を除去し、青色領域18aにだけレジスト49を形成し(工程E2)、赤色領域18b及び緑色領域18cの第1絶縁体膜37を取り除くエッチングプロセスを実施する(工程F2)。
【0034】
そして、レジスト49を除去し、一面上に、第2絶縁体膜42を形成する(工程G2)。このとき、青色領域18a上の絶縁体膜の膜厚は、残っていた第1絶縁体膜37と第2絶縁体膜42の和となる。
次に、青色領域18a及び赤色領域18bにレジスト50を形成し(工程H2)、これらの領域外の第2絶縁体膜42を取り除くエッチングプロセスを実施する(工程I2)。
【0035】
そして、レジスト50を除去し、一面上に、二酸化珪素(層38a)、二酸化チタン(層38b)、二酸化珪素(層38c)からなる第2のλ/4多層膜38を形成する(工程J2)。
そして、アライメントマーク32をアライメントに用いて、青色領域18a、赤色領域18b、緑色領域18c上にマイクロレンズ30を形成する[工程K2]。
【0036】
なお、実施の形態1と同様に、カラーフィルタ28の段差を平坦化した後で、マイクロレンズ30を形成しても構わない。
本実施の形態は、工程D2〜工程F2、工程I2において、露出したマーク32をアライメントに用いることができる点で、実施の形態1に比べて有利となっている。
(実施の形態3)
本実施の形態は、カラーフィルタの透過特性・反射特性の違いを利用してアライメントを可能とするものである。
【0037】
図11(a)は、実施の形態3に係る画素部16における断面構造を示す図である。図11(b)は、アライメント領域18dにおけるフィルタ特性とその配置を模式的に示した平面図である。
領域18dにおけるカラーフィルタは、アライメントマーク32直上の所定境域54では赤色を透過する特性である。
【0038】
これに対して、所定境域54を包囲する境域56は、緑色領域18cのカラーフィルタと同じカラーフィルタである。
カラーフィルタの波長633nmに対する透過率は、赤色領域18a:80%、緑色領域18c:20%と異なり、反射特性も異なっている。
このため、本実施の形態によれば、アライメントにおいて、マーク32からの反射光の検出に加えて、境域54とその周囲の境域56との反射光の違いを利用することができ、より精度を向上させることが可能である。
【0039】
図12、実施の形態3に係る固体撮像装置の製造における工程図である。
本実施の形態では、工程の前半(工程A3〜工程E3)は図5を用いて説明したものと同様であるので、図示及び説明を省略し、続く工程F3〜工程I3を図12を用いて説明する。
青色領域18a、赤色領域18b及びアライメント領域18dの境域56となる部分に、レジスト60,61を形成し[工程F3]、レジスト60,61が形成された部分以外の第2絶縁体膜42を取り除くエッチングプロセスを実施する[工程G3]。
【0040】
そして、一面上に、二酸化珪素(層38a)、二酸化チタン(層38b)、二酸化珪素(層38c)からなる第2のλ/4多層膜38を形成する[工程H3]。
そして、アライメントを行い、青色領域18a、赤色領域18b、緑色領域18c上にマイクロレンズ30を形成する[工程I3]。
なお、実施の形態1と同様に、カラーフィルタ52の段差を平坦化した後で、マイクロレンズ30を形成しても構わない。
【0041】
(変形例1)
実施の形態3に係る変形例1は、基板21上にアライメントマーク32を配置せず、カラーフィルタの配置に工夫を施して、いわばカラーフィルタ自体をアライメントマークとする構成である。
図13は、変形例1に係るアライメント領域18dにおけるフィルタ特性とその配置を模式的に示す平面図である。
【0042】
同図に示すように、島状に点在する所定境域62a〜62dは境域64に包囲されている。所定境域62a〜62dは、緑色(G)を透過する特性である。これに対して、境域64は赤色(R)を透過する特性である。
この構成によれば、He−Neレーザの波長633nmに対する反射特性の違いを利用してアライメントが可能となる。
【0043】
なお、所定境域は、島状(光特性の異なる境域に周りを取り囲まれている)に限られない。要は、光特性の差異となる境目が判別できればよい。すなわち、例えば、所定境域の形状としては縞状や線状などであってもよい。
(その他)
(1)ウエハ、アライメントマークのサイズの具体例
次に、一例としてウエハの寸法、アライメントマークの寸法及び配置パターンについて説明する。
【0044】
図14は、ウエハ、アライメントマークのサイズを示す平面図である。
図14(b)は図14(a)の部分拡大図であり、図14(c)は図14(b)の部分拡大図となっている。
ウエハ66は、8インチサイズであり、ステッパ1ショットあたりのサイズは、16.5mm×24mm(チップ12個)である。
【0045】
スクライブライン幅(ダイシングにおける切断幅)は140μmである。
なお、図14に示す例では、アライメントマークはチップ外の領域に形成されているが、アライメントマークをチップ上に形成しても構わない。
図15は、アライメントマークの配置パターンを示す図である。
FIAマーク形状及びLSAマーク形状は、WGAマーク形状に比べて細かい合わせ精度が要求される場合に用いられる。
(2)実施の形態では説明しなかったが、アライメントマーク32上のカラーフィルタの、アライメント光に対する少なくとも透過特性が約20%以上(より好ましくは50%以上)であればアライメントを行うことが概ね可能である。
【0046】
もっとも、アライメントマークからの反射光は解析ソフトを用いてゲインを変えることが可能であり、また要求されるアライメント精度によって上記値は変わることがある。
(3)上述の実施の形態では、カラーフィルタとして、誘電体多層膜を用いる例を説明したが、誘電体多層膜のみならず他の無機材料フィルタを用いることができる。
他の無機材料フィルタの例としては、アモルファスシリコンのフィルタや金属薄膜(例えば、ニッケル薄膜)が挙げられる。
(4)上述の実施の形態では、アライメント光として、波長633nm(赤色)のHe−Neレーザを用いる例を説明したが、これに限らずアライメント光として青色や緑色の光源を用いることも可能である。この場合は言うまでもなく、用いるべきアライメント光に応じて、マーク上のカラーフィルタの透過特性が設定される。
(5)本発明は、固体撮像装置の製造方法のみならず他の半導体装置の製造方法としても適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係る固体撮像装置の製造方法は、高精度なアライメントが可能であるので有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1に係る固体撮像装置の構成を示す平面図である。
【図2】ウエハ14内おける各素子の構成を示す概要図である。
【図3】図2の画素部16における断面構造を示す図である。
【図4】3種類のカラーフィルタ28a〜28cの構造とその透過特性を示す図である。
【図5】固体撮像装置の製造方法における工程図である。
【図6】固体撮像装置の製造方法における工程図である。
【図7】実施の形態2に係る画素部16における断面構造を示す図である。
【図8】カラーフィルタ28eの構造とその透過特性を示す図である。
【図9】実施の形態2に係る固体撮像装置の製造における工程図である。
【図10】実施の形態2に係る固体撮像装置の製造における工程図である。
【図11】図11(a)は、実施の形態3に係る画素部16における断面構造を示す図である。図11(b)は、アライメント領域18dにおけるフィルタ特性とその配置を模式的に示した平面図である。
【図12】実施の形態3に係る固体撮像装置の製造における工程図である。
【図13】実施の形態3の変形例1に係るアライメント領域18dにおけるフィルタ特性とその配置を模式的に示す平面図である。
【図14】ウエハ、アライメントマークのサイズを示す平面図である。
【図15】アライメントマークの配置パターンを示す図である。
【図16】従来の固体撮像装置における画素領域の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
2 固体撮像装置
18a 青色領域
18b 赤色領域
18c 緑色領域
19,19x,19y,32 アライメントマーク
20 半導体基板
21 基板
22 光電変換部
28,52 カラーフィルタ
28a 青色フィルタ
28b 赤色フィルタ
28c 緑色フィルタ
30 マイクロレンズ
34 第1のλ/4多層膜
36 絶縁体層
38 第2のλ/4多層膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ複数の誘電体層からなる2つのλ/4多層膜と、両λ/4多層膜に挟まれた絶縁体層とを有し、前記λ/4多層膜及び絶縁体層は無機材料からなるカラーフィルタと、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素とを備えた固体撮像装置の製造方法であって、
画素領域から外れた領域内にアライメントマークが形成された半導体基板を準備する工程と、
準備された半導体基板上の略全面に、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜を形成する第1の形成工程と、
前記第1のλ/4多層膜上に絶縁体層を形成する第2の形成工程と、
アライメントマーク上方に位置する前記絶縁体層の光学膜厚を、アライメント光が透過する厚みに調整する調整工程と、
前記厚み調整された絶縁体層上に、複数の誘電体層からなる第2のλ/4多層膜を形成する第3の形成工程と、
を含む
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項2】
無機材料からなるカラーフィルタと、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素とを備えた固体撮像装置の製造方法であって、
画素領域から外れた領域内にアライメントマークが形成された半導体基板を準備する工程と、
準備された半導体基板上の略全面に、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜を形成する第1の形成工程と、
前記第1のλ/4多層膜上に絶縁体層を形成する第2の形成工程と、
アライメントマーク上方に位置する前記絶縁体層及び第1のλ/4多層膜を除去する除去工程と、
アライメントマーク上方の位置に、第2のλ/4多層膜を形成する第3の形成工程と、を経て前記カラーフィルタを形成する
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項3】
前記アライメント光として、赤色光を発するHe−Neレーザを用い、
前記アライメントマーク上方に位置するカラーフィルタは、赤色光が透過する特性である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項4】
アライメント光を、アライメントマーク上方の位置するカラーフィルタを透過させてアライメントマークへと照射することにより、半導体基板の位置合わせを行う位置合わせ工程と、
位置合わせされた半導体基板に含まれる画素の各々に、入射光を集光するレンズを形成するレンズ形成工程を含む
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項5】
それぞれ複数の誘電体層からなる2つのλ/4多層膜と、前記λ/4多層膜に挟まれた絶縁体層とを有し、前記λ/4多層膜及び絶縁体層は無機材料からなるカラーフィルタと、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素とを備えた固体撮像装置の製造方法であって、
半導体基板上の略全面に、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜を形成する第1の形成工程と、
前記第1のλ/4多層膜上に絶縁体層を形成する第2の形成工程と、
画素領域から外れた領域内の所定境域における絶縁体層の光学膜厚を、その周りとは異なる厚みに調整し、所定境域とその周りとで光特性を異ならせる調整工程と、
前記厚み調整された絶縁体層上に、複数の誘電体層からなる第2のλ/4多層膜を形成する第3の形成工程と、
を含む
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。
【請求項6】
さらに、画素領域から外れた領域内にアライメントマークが形成された半導体基板を準備する工程を含み、
前記第1の形成工程では、準備された半導体基板上の略全面に、複数の誘電体層からなる第1のλ/4多層膜を形成し、
前記調整工程における所定境域は、前記アライメントマーク上方に位置していること
を特徴とする請求項5に記載の固体撮像装置の製造方法。
【請求項7】
無機材料からなるカラーフィルタと、半導体基板上の所定領域内に形成されたアライメントマークとを備えた固体撮像装置であって、
前記アライメントマーク上方に位置するカラーフィルタは、アライメント光を透過する
ことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項8】
さらに、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素を備え、
前記アライメントマークは、前記画素の領域から外れた領域内に形成されている
ことを特徴とする請求項7に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記カラーフィルタは、誘電体多層膜からなる
ことを特徴とする請求項7または8に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記誘電体多層膜は、それぞれ複数の誘電体層からなる第1及び第2のλ/4多層膜と、両λ/4多層膜に挟まれた光学膜厚がλ/4以外の絶縁体層からなり、
前記絶縁体層の光学膜厚が、アライメント光が透過する厚みに調整されている
ことを特徴とする請求項9に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
無機材料からなるカラーフィルタと、前記カラーフィルタを透過した光を電荷に変換する光電変換部を有する画素とを備えた固体撮像装置であって、
画素領域から外れた領域内の所定境域における光特性が、当該所定境域の周りと異なっている
ことを特徴とする固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−165646(P2007−165646A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360804(P2005−360804)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】